説明

インプリント装置及び物品の製造方法

【課題】干渉計の光路へのガス漏れを抑制しつつ、インプリント処理時に基板とモールドとの隙間にガスを迅速に高い濃度に充填させるインプリント装置を提供する。
【解決手段】モールド11を保持するヘッドと、ウエハ21を保持するウエハステージ23と、樹脂を前記ウエハに供給する樹脂供給口32と、前記ウエハステージの第1方向における位置を計測する干渉計と、型と前記ウエハとの間の空間に空気と置換するためのガスを供給する第1ガス供給口41aを前記ウエハステージの上に有する第1ガス供給部と、前記空間に前記ガスを供給する第2ガス供給口41bを前記ウエハステージの上に有する第2ガス供給部と、前記空間に前記ガスを供給する第3ガス供給口43を前記ウエハステージの前記干渉計側の縁部に有する第3ガス供給部と、制御部60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置及び物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線、X線又は電子ビームによるフォトリソグラフィーを用いた半導体デバイスへの転写パターンの形成方法に代わる技術としてインプリント技術が知られている。インプリントとは、電子ビーム露光等によって微細な転写パターンを形成した型(モールド)を、樹脂(レジスト)を塗布したウエハ等の基板に押し付ける(押印する)ことによって、樹脂上にパターンを転写するものである。既に10nm程度の微細な形状の転写が可能であることが示されており、特に、磁気記録媒体の微細な周期構造の作成手段として注目されており、各地で盛んに研究開発が行われている。
【0003】
インプリント方式としては、紫外線硬化型の樹脂をレジストとして使用し、透明なモールドで押印した状態で感光、硬化させてからモールドを剥離する方法(光硬化法)が知られている。半導体集積回路パターンは最小線幅が100nm以下であり、モールドの微細な構造に確実に樹脂が入り込むためには低粘度の樹脂材を使用する必要がある。また、インプリント装置は、通常、ステップアンドリピート方式でウエハ面に逐次パターンを転写する。ここで、「ステップアンドリピート方式」は、ウエハのショットの一括転写ごとにウエハをステップ移動して、次のショットの転写領域に移動する方法である。この際、樹脂の粘度が低いことから露光装置のように基板全面に樹脂を予め塗布して搬送、装着することは困難である。このため、ショット毎、もしくは複数ショット毎に適量の樹脂をショット又は複数ショットに滴下して塗布する方法が提案されている。
【0004】
樹脂が塗布された基板にモールドを押印する時に、モールドと基板表面の樹脂との間に気泡が残留すると、形成されるパターンが歪むことが知られている。その対策として、モールドと基板との間に気泡が残留しにくいように拡散性が高い又は樹脂に対して溶解性が高いヘリウムや二酸化炭素などのガスを流し込み、基板とモールドとの隙間の空気を置換する技術が特許文献1で開示されている。さらに、モールドと基板との間の空間を負圧にして、気泡の発生源である気体を除去する技術も特許文献1には開示されている。また、基板とモールドとの隙間のガス濃度を高めやすいように、ステージ上面に設けられたガス供給口(エアベアリング)とガス回収口を設けて、モールド周辺を密閉化する技術が特許文献2で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−509769号公報
【特許文献2】特表2009−532245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インプリント装置の押印時における基板とモールドとの隙間のガス濃度はより高い方が欠陥の抑制に効果的であるが、ガス濃度が高くなるまでの時間が長いと生産性が低下する。また、干渉計の光路の近傍にガスが漏れると計測誤差が生じて、重ね合わせ精度が低下する。そこで、本発明では、干渉計の光路へのガス漏れを抑制しつつ、インプリント処理時に基板とモールドとの隙間にガスを迅速に高い濃度に充填させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板に塗布された樹脂とパターン面を有する型とを接触させた状態で該樹脂に光を照射することによって該樹脂を硬化させるインプリント処理を前記基板のショット領域ごとに行うインプリント装置であって、型を保持するヘッドと、基板を保持する基板ステージと、樹脂を前記基板に供給する樹脂供給口と、前記基板ステージの第1方向における位置を計測する干渉計と、前記型と前記基板との間の空間に空気と置換するためのガスを供給する第1ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第1ガス供給部と、前記空間に前記ガスを供給する第2ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第2ガス供給部と、前記空間に前記ガスを供給する第3ガス供給口を前記基板ステージの前記干渉計側の縁部に有する第3ガス供給部と、制御部と、を備え、前記樹脂供給口、前記第1ガス供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド及び前記干渉計は、前記第1方向に沿って、前記樹脂供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド、前記第1ガス供給口及び前記干渉計の順となるように配置され、前記制御部は、前記第1ガス供給口が前記第3ガス供給口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記第2ガス供給口及び前記第3ガス供給口の少なくともいずれかから前記空間に前記ガスを供給し、前記第3ガス供給口が前記第1ガス供給口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記第1ガス供給口及び前記第2ガス供給口の少なくともいずれかから前記空間に前記ガスを供給するように、前記第1ガス供給部、前記第2ガス供給部及び前記第3ガス供給部を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、干渉計の光路へのガス漏れを抑制しつつ、インプリント処理時に基板とモールドとの隙間にガスを迅速に高い濃度に充填させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インプリント装置の概略を示した図
【図2】ステージ上面から見た第1のガス供給口を示した図
【図3】ガス充填プロセスの一例を示した図
【図4】ガス充填プロセスを他の例を示した図
【図5】ガス充填プロセスの他の例を示した図
【図6】複数のガス充填プロセスを用いる場合のフローチャート
【図7】基板上の領域を説明する図
【図8】複数のショットに対して連続してインプリント処理を行う場合のフローチャート
【図9】ガス供給口の配置例を示した図
【図10】ガス充填プロセスの他の例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施例1]
以下、添付図面を参照して、実施例1として光硬化法を用いたインプリント装置10について説明する。インプリント装置は、基板に塗布された樹脂とパターン面を有する型とを接触させた状態で該樹脂に光を照射することによって該樹脂を硬化させるインプリント処理を前記基板のショット領域ごとに行う。なお、各図において、同一の部材については、同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。図1は、インプリント装置10の概略断面図である。インプリント装置10は、光硬化部と、型(モールド)11と、モールド駆動部と、基板(ウエハ)21と、ウエハ駆動部と、樹脂供給部と、その他の機構とを有する。光硬化部は、光源15と照明光学系14とを有し、モールド11と接触させた状態の樹脂42に光(紫外線)を照射して樹脂を硬化する。光源15は、UV光を発生するハロゲンランプ(不図示)等からなる。照明光学系14は、樹脂を露光し硬化させるための照明光を整えて樹脂面に照射するためのレンズ、アパーチャ、照射と遮光とを切り替えるためのシャッタ等を含む。モールド11は、その中心付近にパターン面12が配置されており、樹脂42を硬化するための紫外線を透過するために透明な部材で作られている。モールド駆動部は、モールド11をインプリント装置10に保持するためのモールドチャック13と、モールド11を下方向に押し付ける駆動部としてのインプリント機構部40とを含む。モールド駆動部は、型(モールド)11を保持するヘッドを構成している。インプリント機構部40は、上下動作をさせるだけでなくモールド転写面とウエハ21とが密着するように姿勢のかわし機構や姿勢制御、回転方法の位置合わせ機能も有する。
【0011】
基板(ウエハ)21は、モールド11に形成されている転写パターン12が転写され、後の工程を経て半導体集積回路が形成される対象であり、従来の半導体プロセスに用いられているものと同様である。ウエハ駆動部は、ウエハ21を保持するウエハチャック22と、ウエハチャック22の位置、姿勢を調整するためのウエハステージ23とを含む。ウエハステージ(基板ステージ)23は、xy平面方向に移動可能であり、ウエハ21の全面を転写可能としている。ウエハステージ23は、精密な位置決めも可能であり、微細なパターンの重ね合せを達成している。また、ウエハステージ23は、位置決めだけではなく、ウエハ21の表面の姿勢を調整する役割を有する。また、ウエハステージ23の端面に配置されたミラー52と干渉計50及び干渉光の光路51で構成される干渉計システムによりウエハステージ23のx方向(第1方向)における位置が計測される。樹脂供給部は、紫外線照射前、つまり硬化前の樹脂42を保持するタンク31と、ウエハ21の表面に樹脂42を供給して塗布するための樹脂供給口32を含む。
【0012】
その他の機構は、定盤24、除振器25、フレーム26、アライメントスコープ27を含む。定盤24は、インプリント装置10の全体を支えると共にウエハステージ23の移動の基準平面を形成する。除振器25は、床からの振動を除去する機能を有し、フレーム26を支える。フレーム26は、ウエハ21より上方に位置する構成部分の光源15からモールド11までを支える。アライメントスコープ27は、ウエハ21上のアライメントマーク位置を計測し、その結果に基づいてステージ制御部64はウエハステージ23の位置決めを行う。転写に供されるウエハ21は、不図示のウエハ搬送系によってウエハチャック22に載置される。ウエハチャック22は真空吸着によってウエハ21を保持する。ウエハステージ23によって、ウエハ21の面上のアライメントマークを順にアライメントスコープ27によって計測を行い、ウエハ21の位置計測を高精度に行う。プロセス制御部60は、その計測結果から各転写座標を演算する。プロセス制御部60は、その演算結果に基づいて所定の転写エリア(ショット領域)ごとに逐次転写(ステップアンドリピート)を行う。全てのショットに対して転写が完了したら、ウエハ21が搬出され、次のウエハ21が搬入される。
【0013】
ステージ制御部64は、まずウエハステージ23により対象ショット領域28が樹脂供給口32下に位置するようにウエハ21を位置決めする。そして、樹脂供給口32から適量の樹脂42を対象ショット領域28に滴下する。その後、ステージ制御部64は、対象ショット領域28がパターン面12の直下に位置するようにウエハステージ23を移動させ、位置決めを行う。位置決め完了後に、インプリント機構部40がモールド11を下降させ、パターン面12を対象ショット領域28上に塗布されている樹脂42に押し付けて押印する。押し付け完了の判断は、インプリント機構部40の内部に設置された荷重センサによって行われる。プロセス制御部60は、押印後に、紫外線を照射し、樹脂42を硬化させる。樹脂の硬化が終了した後、プロセス制御部60は、モールド11を引き上げる。そして、プロセス制御部60は、ウエハステージ23により、次の対象ショット領域28が樹脂供給口32の下に位置するように移動させる。
【0014】
樹脂42を塗布したショット領域にモールド11のパターン面12を押印する時に、パターン面12とショット領域表面の樹脂42との間に気泡が残留すると、形成されるパターンが歪み、程度によっては転写欠陥が発生してしまう。そのため、樹脂42に対して溶解性が高いヘリウムや二酸化炭素などのガスでモールド11とウエハ21との間の空間の空気を置換させて、気泡の発生を抑える。少なくとも押印直前にモールド11の近傍に配置した第2ガス供給口41b又は第1ガス供給口41aからヘリウムなどのガスを噴出し、モールド11周辺のガス濃度を極力高める方式が知られている。これにより、ガス自身の持つ拡散効果により、一定の時間を経ることでモールド11中心付近に配置されているパターン面12近傍のガス濃度も十分高くなり(例えば濃度70%以上)、その後押印することで転写欠陥を効果的に減らすことが出来る。しかし、このようなガス充填方式ではモールド11とウエハ21との間の空間のガス濃度が十分高くなるまで、一定の待ち時間が必要となる。待ち時間はモールド11周りの構成や必要濃度によって異なるが、一般的なインプリント装置10を想定すれば、1秒〜数十秒以上の待ち時間が予想される。この待ち時間は、生産性に影響を及ぼすため、極力短くしたい。そこで、本実施例1ではモールド11とウエハ21との間の空間のガス濃度をより迅速に高めるように以下のようなガス充填方法を用いる。
【0015】
ウエハステージ23の干渉計側の縁部の上面には図2のように第3ガス供給口43が設けられている。第3ガス供給口43は、ウエハ21を取り囲むように全方向に対して多数設けても良いが、図2のようにウエハ21の近傍で干渉計50側に配置するのでも効果が得られる。第3ガス供給口43は図2Aのように微細孔をウエハ21周辺に並べるように形成しても良いし、図2Bのように、多孔質体を並べるように形成しても良い。モールド11とウエハステージ23との位置関係によってガスの供給領域を切り替えられるように第3ガス供給口43を分割することができる。例えば図2Aの場合、第3ガス供給口43は、4つのガス供給口で構成される3つのガス供給口群43a,43b,43cを備えている。ガス供給口群43a〜43cは、各々独立にガス供給を切り替えられるように構成しても良いし、各ガス供給口群43a〜43cを構成する4つのガス供給口を各々独立にガス供給を切り替えられるように構成しても良い。また、図2Bの場合は、多孔質体が3つに分割されており、3領域43a〜43cはそれぞれ独立にガス供給をしたり、停止させたりすることが可能な構成になっている。
【0016】
モールド11を保持するヘッドの近傍にも第2ガス供給口41bと第1ガス供給口41aが配置されている。図1において、第1ガス供給口41aはヘッドと干渉計50との間に配置され、第2ガス供給口41bはヘッドと樹脂供給口32との間に配置されている。すなわち、X方向(第1方向)に沿って、樹脂供給口32、第2ガス供給口41b、ヘッド、第1ガス供給口41a、干渉計50の順となるように配置される。
【0017】
ステージ制御部64はステージ動作指令をプロセス制御部60から受け取りウエハステージ23の位置決めを行う。プロセス制御部60は、第3ガス供給源63、第2ガス供給源62及び第1ガス供給源61に指令を送って、第3ガス供給口43、第2ガス供給口41b及び第1ガス供給口41aからのガス供給を最適に制御する。第1ガス供給源61、第2ガス供給源62、第3ガス供給源63は、第1ガス供給部、第2ガス供給部、第3ガス供給部をそれぞれ構成している。実施例1において、プロセス制御部60は、第1ガス供給部、第2ガス供給部及び第3ガス供給部を制御する制御部を構成している。
【0018】
以下に具体的なガス供給方法の一例について図3を用いて説明する。図3に示される一連の流れをプロセス1と称する。図3は、ウエハステージ23とモールド11との位置関係やウエハステージ23の移動方向とガス供給タイミングとの関係と、対応するフローチャートを示している。図3Aはウエハ21上の樹脂供給口32側に位置するショット領域28に樹脂42を樹脂供給口32より塗布している状態を示しており、S11に対応している。この時点では、第2ガス供給口41bと第1ガス供給口41aの両方からガス45を供給して、モールド11とウエハ21との間の空間のガス濃度を維持している。図3Aにおけるモールド11下とウエハ21との間の黒塗りされた領域はガス45が高濃度に充填されている状態を示している。
【0019】
その後、プロセス制御部60は、第2ガス供給口41bのみガス供給が行われる状態に切り替え、図3Bのようにウエハステージ23は対象ショット28が転写パターン12の下に位置するように図中左方向へ移動を開始する。S12、S13が図3Bに対応する。第2ガス供給口41bから供給されたガス45は、ウエハステージ23の移動とともにモールド11とウエハ21との隙間に引き込まれていくため、効果的に隙間のガス濃度を高めることが可能となる。図3Bにおけるモールド11下とウエハ21との間の黒塗りされた領域はガス45が高濃度に充填されている状態を示している。また、モールド11下とウエハ21との間のハッチングされた領域は、黒塗りの領域よりはガス濃度が低いが、その他の領域に比べてガス濃度が高い状態を示している。第1ガス供給口41aからガス45を供給しても、ウエハステージ23の移動によって、モールド11とウエハ21との隙間には入りにくく、モールド11下のガス濃度を高める効果が薄いため、ガス供給を停止させている。ガスがモールド11下から漏れて干渉光の光路51近傍に到達すると、干渉計50によるウエハステージ23の位置計測に誤差が発生する弊害もあることから、モールド11周辺ではガス供給とは別にガスを排気するための排気機構(不図示)も設けている。このガス排気機構は、基本的に常時排気するのが好ましいが、例えば押印時のガス濃度を上げることを優先させるために、押印時直前のみガス排気を停止するのでも良い。しかし、ガス排気機構によってもモールド11周辺から漏れ出すガスを全て回収できる訳ではないので、ガス供給は出来るだけ抑制したい事情もあり、効果の薄い第1ガス供給口41aからのガス供給は停止させている。
【0020】
図3Cでは、ウエハステージ23の移動が完了し、対象のショット領域28が転写パターン12の下に位置し、第1及び第2ガス供給口41a、41bからのガス供給を開始している状態を示しており、S14及びS15に対応している。その後、図3Dでインプリント機構部40がモールド11を下降させて、モールド11を樹脂に対して押印させる。プロセス制御部60は、その状態を保ったまま照明光を照射させて、樹脂を硬化させた後、インプリント機構部40によってモールド11を引き上げて離型させる。この状態では、引き続き第1及び第2ガス供給口41a、41bからのガス供給を行っている。この状態は、S16に対応している。そして、プロセス制御部60は、第1ガス供給口41aのみからガス45供給を行う。また、プロセス制御部60は、次のショット領域28に樹脂42を塗布させるために、ウエハステージ23を図中右側方向に移動を開始させて、ステージ移動によりガス45をモールド11とウエハ21との隙間に引き込ませる。第2ガス供給口41bからのガス供給を行っても、モールド11とウエハ21との隙間のガス濃度に寄与しにくいため、ガス供給は行わない。その後、ステージ制御部64は、対象のショット領域28が樹脂供給口32の下に位置する状態でウエハステージ23を停止させる。この一連のプロセスは、S17、S18、S19に対応する。その後、S20で示すように、プロセス制御部60は、第2ガス供給口41bと第1ガス供給口41aのガス供給を開始して、図3Aの状態つまりS11の状態も戻り、フローが繰り返される。
【0021】
次に、ウエハステージ23上に配置している第3ガス供給口43を適用したガス供給プロセスを、図4を用いて説明する。以下、図4の一連の流れをプロセス2と称する。図4は、ウエハ21上の−X方向の端のショット領域28が対象となる場合に最適なガス供給プロセスの一例を示したものである。図3で示したプロセスと異なり、第1又は第2ガス供給口41a、41bの下にウエハステージ23の上面が位置しない状態が生じて、ガスが干渉光の光路51近傍に漏れ出る可能性が高い。干渉光の光路51近傍のガス濃度が変化すると、計測誤差が発生して、ウエハステージ23の位置決め精度が低下するため、ここではプロセス1とは別のガス供給方法を採用している。図4Aでは対象ショット28が樹脂供給口32下に位置しており、樹脂42を対象のショット領域28に塗布している状態を示しており、S31に対応している。この状態ではガスが干渉光の光路51近傍のガス濃度を高めてしまう恐れがあるため、プロセス制御部60は、全てのガス供給口41a,41b,43からのガス供給を停止させている。図4Bは、第3ガス供給口43と第2ガス供給口41bからガス45を供給させながら、ウエハステージ23を−X方向に移動させている状態を示しており、S32及びS33に対応している。第3ガス供給口43から供給されたガスはモールド11の下壁面に、第2ガス供給口41bから供給されたガスはウエハステージ23の上面に張り付き、ウエハステージ23の移動とともにモールド11とステージ23上面との隙間にガス45が入り込みやすくなる。図3に示されるプロセス1では、ウエハステージ23の移動時にモールド11側の第1、第2ガス供給口41a又は41bからのみガス供給を行っていたが、ここではステージ23上面側の第3ガス供給口43からも同時に供給している。これにより、モールド11の下のガス濃度を効率的に上げることが可能となっている。図3のプロセス1に比べてウエハステージ23が移動開始する時点でのモールド11下のガス濃度が低くなるとの課題に対して、第3ガス供給口43を設けてガス供給することで、押印時における転写パターン12下のガス濃度を十分高く保つことを可能している。この際、前述のように第3ガス供給口43は、いくつかの領域に分割されており(図2の43a〜43c)、モールド11と第3ガス供給口43との位置関係によって、モールド11以外へのガスの漏れが少ない領域のガス供給口からガスを供給するのが好ましい。
【0022】
対象のショット領域28がパターン面12の下に位置する状態になったら、ステージ制御部64は、図4Cのように、ウエハステージ23を停止させる。その後、プロセス制御部60は、図4Dのように全てのガス供給口43、41a、41bからのガス供給を停止させ、押印及び離型を行う。この一連のステップは、S34、S35、S36に対応する。次に、全てのガス供給を停止させた状態で、ステージ制御部64は、図4Eのように、次の対象のショット領域28を樹脂供給口32の下に位置するようにウエハステージ23の移動を開始及び停止させる。図4Eのステップは、S37、S38に対応する。この後は、図4AのS31に戻り、プロセスが繰り返される。以上が、ウエハステージ23上面に設けた第3ガス供給口43を利用したガス供給プロセスであるが、図5に示したガス供給プロセスに制限されるものではない。例えば、図5BのS32(ガス供給の切り替え)とS33(ステージ移動開始)の順番が入れ替わっていてもよい。
【0023】
[実施例2]
次に、第3ガス供給口43のかわりに、第1ガス吸引口43’を有する第1ガス吸引部63’を設けた場合についての実施例3を説明する。以下、説明の都合上、図中の第3ガス供給口43を第1ガス吸引口43’、第3ガス供給源63を第1ガス吸引部63’に置き換えて説明することとし、図4A、図5B、図5C、図4D、図4Eの順でプロセスを説明する。また、S51〜S58が第1ガス吸引口43’を用いたガス供給プロセスを示したフローチャートである。以下、図5の一連の流れをプロセス3と称する。図4Aは、対象のショッ領域ト28に対して樹脂42を塗布している状態であり、S51に対応する。次に図5Bのように、プロセス制御部60は、第1ガス吸引口43’を通して排気を行い、かつ第2ガス供給口41bからガス45を供給させながら、ウエハステージ23を図中−X方向に移動させる。第1ガス吸引口43’を通して排気しながら、第2ガス供給口41bからガス45を供給しているため、第2ガス供給口41bと第1ガス吸引口43’との間に圧力勾配が出来てスムーズにガス45が流れるようになる。当然ながら、実施例1と同様に、ウエハステージ23の移動によっても、モールド11とウエハステージ23上面との隙間に引き込まれる効果も得られ、相乗効果でモールド11下のガス濃度を上げることが可能となっている。この状態は、S52及びS53に対応している。図5Cでは、パターン面12の下に対象のショット領域28が位置して、ウエハステージ23が停止している状態を示しており、S54に対応している。次に、プロセス制御部60は、図4Dで全てのガス排気及びガス供給を停止させて、押印及び離型動作を行い、その後、樹脂42を塗布出来る状態にウエハステージ23を移動させて、停止する。これらの状態は、S55〜S58に対応している。その後は、実施例1と同様に図4AのS51に戻り、フローを繰り返す。
【0024】
S55で、第1ガス吸引口43’を介したガス排気を停止させているが、ガスの干渉光の光路51への流入を抑制するという観点では、ガス排気を停止させずに、S56の押印・離型プロセス又はS57〜S58のステージ移動を行うのが望ましい。押印時のモールド11下に求められるガス濃度仕様や、干渉光の光路51のガス濃度仕様などを加味して、押印・離型プロセス(S56)又はステージ移動(S57及びS58)のガス排気を行うのか停止するのかを決めると良い。
【0025】
また、実施例2では、実施例1で説明した第3ガス供給口43を第1ガス吸引口43’に置き換えて説明してきたが、一つの開口43が第3ガス供給口43と第1ガス吸引口43’とを兼用しても良い。つまり、ガス供給ラインとガス排気ラインとを切り替え可能な電磁弁(不図示)等をガス供給装置63内に構成し、プロセス制御部60が状況に応じて判断して、開口43を介してガス供給と排気を切り替えることも可能である。さらに、第3ガス供給口43とは別にウエハステージ23の干渉計側に第1ガス吸引口43’を設けても構わない。この場合、第1ガス吸引口43’を介してモールド11とウエハ21との隙間の空気を排気した後、第3ガス供給口43からガス45を供給することで、より効率的にモールド11下のガス濃度を上げることが可能となる。
【0026】
[実施例3]
実施例1と実施例2で説明したように、ウエハステージ23上における処理するショット領域28の位置関係によって、最適なガス供給プロセスが異なる。そのため、対象のショット領域28に対して処理する前に、どのガス供給プロセスを用いてモールド11下にガスを充填させるべきか決める必要がある。図6に本実施例のフローチャート図を示し、説明する。まず図6のS71で対象のショット領域28に対して樹脂42を塗布する際に、プロセス制御部60は、第1ガス供給口41aからガスを供給した時に、干渉光の光路51近傍のガス濃度に影響を与える位置関係になるかどうか判断する。例えば、図4Aの状態のように、ショット領域28に対して樹脂42を塗布する際に、第1ガス供給口41a下にウエハステージ23上面がない場合、ガスを供給すると干渉光の光路51のガス濃度を高くする可能性がある。干渉光の光路51のガス濃度が高くなると、干渉計50での計測誤差が生じてウエハステージ23の位置計測精度が低下してしまう。図7の領域Bに示す領域は、ショット領域28を処理する時に、干渉光の光路51のガス濃度が高くなる可能性がある領域を示している。つまり、領域Bは、図4Aの状態のように、ショット領域28に対して樹脂42を塗布する際に、第1ガス供給口41aの下からウエハステージ23上面がはずれる位置になってしまう領域で定義されている。一方、図7の領域Aに示す領域は、図3Aのように、ショット領域28に対して樹脂42を塗布する際に第1ガス供給口41aの直下にウエハステージ23の上面が対向し、ガスを供給しても干渉光の光路51にガスがもれない位置関係の領域として定義される。そのため、領域Aのショットを処理する場合は、相対的に領域Bのショットを処理する場合に比べて、干渉光の光路51のガス濃度が変化しにくい領域と解釈出来る。
【0027】
そのため、まず、次に処理するショット領域が図7の領域Aに属するのか、もしくは領域Bに属するかをプロセス制御部60が判断するステップS71を設けている。その結果、領域Bに属するショット領域であると判断された場合、プロセス制御部60は、図4のプロセス2もしくは図5のプロセス3のいずれかを適用してガスの供給を行うと判断する(S71)。プロセス2とプロセス3のどちらを適用するかについては、プロセス制御部60は、干渉光の光路51に流入すると予測されるガスの量を抑制することを重視するのか、モールド11下の濃度を高くすることを重視するかによって判断する。例えば、プロセス制御部60は、干渉光の光路51に流入すると予測されるガスの量が閾値よりも大きいならばプロセス3を選択し、ガスの量が閾値よりも小さいならばプロセス2を選択する。通常プロセス2を採用するか、プロセス3を採用するかは、構成によって決まる干渉光の光路51へのガスの予測流入量とモールド11下のガス濃度仕様との関係から、どちらか一方に決めておくのが望ましい。しかし、例えばガス供給プロセス等の別の要因で、干渉光の光路51に流入すると予測されるガスの量がショット領域ごとに変化する場合は、ステップS71の後に、ショット領域ごとに判断して切り替えても構わない。例えば、ショット領域ごとに干渉光の光路51へのガスの流入量が変化する場合、ガスの予測流入量から、プロセス3を採用するか、プロセス2を採用するかをプロセス制御部60が判断するステップを設けても良い。
【0028】
また、S71でショット領域28に樹脂42を塗布する際に、第1ガス供給口41aからガスを供給した時に、干渉光の光路51におけるガス流入の影響が小さいと判断された場合、プロセス制御部60は、プロセス1を適用してガス供給を行う(S72b)。つまり、図7の領域Aに属するショット領域を処理すると判断された場合に、プロセス1を適用することになる。
【0029】
ここでは、ショット領域28ごとに判断しながら、ガス供給プロセスを選択する例を示しているが、予めショットレイアウトなどから、各ショット領域のガス供給プロセスを決定しておいても良い。本実施例3での趣旨は、ショット領域とウエハジ23との相対位置関係によって、ガス供給プロセスを切り替えることが特徴であり、どの段階でガス供給プロセスを選択する判断を行うかは、システムによってより適切な方法を採用すべきである。
【0030】
[実施例4]
ここまで、ショット領域ごとに樹脂42を塗布して押印・離型を行うプロセスに基づいた実施例を説明してきた。しかし、背景技術でも説明したように、一度に樹脂42を複数のショット領域に対して塗布して、その後、樹脂42が塗布された複数のショット領域に対して押印と離型を繰り返すプロセスも考えられる。このようなプロセスを採用することにより、樹脂42を塗布するときのウエハステージ23の位置と押印するときのウエハステージ23の位置との間の移動量が少なくなり、生産性が向上する可能性がある。本実施例4はこのようなプロセスに対しても有効である。樹脂42と前記モールド11とを離型した後に、次の対象ショット28への押印を行うためにステージ23移動が発生する。ウエハステージ23の移動時に、第3ガス供給口43や第2ガス供給口41b、第1ガス供給口41a、及び第1ガス吸引口43’を単独もしくは複数を組み合わせてガス供給を行うことで、効果的にモールド11下のガス濃度を高めることが可能になる。
【0031】
具体的なガス供給プロセスについて図8に示す。図8Aで示すプロセス11は図3のプロセス1に基づいて、複数ショットに対して連続押印処理を行う場合のフローを示している。同様に図8Bのプロセス12は図4のプロセス2、図8Cのプロセス13は図5のプロセス3に対応した、連続押印処理を行う場合のフローを示している。以下、プロセス11の例で具体的に説明する。プロセス制御部60は、複数のショット領域に対して樹脂42を塗布(S111)した後、S112〜S117までを複数のショット領域の数だけ繰り返す。プロセス制御部60は、S117で、樹脂42が塗布されたショット領域28全てを処理されたか判断処理を行い、処理が完了したと判断した場合は、次のショット領域28への樹脂塗布処理(S111)に向けたステップ(S118〜S121)処理を行う。
【0032】
プロセス12及びプロセス13も同様にまず、複数のショット領域に対して樹脂42の塗布処理S131(もしくはS151)を行う。その後、プロセス制御部60は、S132〜S137(もしくはS152〜S157)までを繰り返す。そして、プロセス制御部60は、S137(もしくはS157)で対象のショット領域28全ての押印処理が完了したと判断したら、S138とS139(もしくはS158とS159)の処理を行い、塗布処理(S131もしくはS151)に戻る。本実施例4では押印ステップ(S116,S136,S156)前のステージ移動時に行うガス供給プロセスが特徴であり、図8に示された全体シーケンスに制限されるものではない。
【0033】
[実施例5]
これまで図4における紙面左右方向(X方向)のステージ移動動作に着目して、ガス供給プロセス説明してきたが、紙面奥行き方向(Y方向)のステージ移動動作を利用してガス供給を行うことも可能である。例えば、一度に樹脂42を複数のショット領域に対して塗布して、その後、樹脂42が塗布された複数のショット領域に対して押印と離型を繰り返すプロセスで、複数のショット領域がY方向に離れている場合は、Y方向のステージ移動に合わせてガス供給を行える。この場合は、第3ガス供給口43もしくは第1ガス吸引口43’の配置場所を変更することで対応が可能である。具体的には、図2における第3ガス供給口43もしくは第1ガス吸引口43’をZ軸周りに90度回転させた位置に配置し、第2ガス供給口41bと第1ガス供給口41aもZ軸周りに90度回転させる。これにより、Y軸方向のステージ移動に対してガス供給が対応出来るようになる。さらに、X方向とY方向両方のステージ移動に合わせてガス供給を行いたい場合は、図9に示すように、モールド11周辺にX方向に2つのガス供給口41a、41b、Y方向に2つのガス供給口41c、41dを設けることで対応が出来る。
【0034】
[実施例6]
これまでモールド11とウエハ21との隙間の空気を拡散性が高い又は樹脂に対して溶解性の高いガス45に置換することで、押印時におけるモールド11とウエハ21との間に残留する気体を低減する例を説明してきた。しかし、ガス45の拡散および溶解特性にも限界があり、押印時にモールド11とウエハ21との間にガス45が残留してしまう可能性はある。そのため、隙間の空間をガス45で置換した後に、隙間のガス45を吸引することで負圧にして、気体そのものの量を少なくすると気泡を低減することができる。
【0035】
図10は、図3で説明した構成に加えて、第1ガス供給口41aと第2ガス供給口41bとの間に第2ガス吸引口47を有する第2ガス吸引部をさらに設けた例を示している。第2ガス吸引口47は、モールド11とウエハ21との空間の気体(ガスおよび空気)を吸引する。対象ショット領域28が転写パターン12の下に移動してウエハステージ23が停止した後、ガス45を供給しながら第2ガス吸引口47から気体を吸引することによってモールド11とウエハ21との空間が負圧にされる(図10のS75および10Dに対応)。これにより、モールド11とウエハ21間の隙間に拡散及び溶解特性の悪い空気の極力排除し、モールド11の外部からの空気の進入を抑制し、さらに気体の量そのものを少なくすることで、押印時の気泡の発生を抑制しうる。また、第1ガス供給口41aと第2ガス供給口41bからのガス供給量を、第2ガス吸引口47からの吸引量以上に設定することで、モールド11の外部からの空気の進入を抑制することができる。ガス供給量をガス吸引量以上に設定することで、モールド11の外部へガスが漏れ出し、干渉計50による位置計測精度に与える影響が大きくなる場合は、モールド11周辺に不図示のガス回収口を更に設けることができる。
【0036】
本実施例6では、離型時もガス供給及び気体の吸引を行っている。しかし、ガス供給及び気体の吸引は、本質的には押印、硬化まで行えば十分であるため、離型時にはガス供給や気体の吸引を停止しても構わない。また、本実施例6では、第2ガス吸引口47から気体を吸引するときに、第1ガス供給口41aと第2ガス供給口41bとの双方からガスを供給している。しかし、第2ガス吸引口からの気体の吸引時に、第1ガス供給口41aと第2ガス供給口41bとのうちの少なくとも一つのガス供給口からガスを供給するようにしてもよい。さらに、本実施例6では、ガスの供給と気体の吸引を並行して行うことで隙間に空気が入りにくくして、気泡の発生を低減しているが、ガスの供給を停止して気体の吸引だけを行ってもよい。例えば、ガスの漏れが押印時における干渉計50による位置計測精度に与える影響が大きく、ガス漏れを抑制することを優先したい場合には、隙間の空気をガス45に置換した後、ガスの供給を停止し、隙間の圧力を低くする方が好ましい場合もある。また、本実施例6では、実施例1(図3)の構成にさらに第2吸引口47を付設した構成を示しているが、実施例2〜5の構成に対しても、隙間をガス置換した後負圧にするという構成を付加すること可能である。
【0037】
[物品の製造方法]
物品としてのデバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)の製造方法は、上述したインプリント装置を用いて基板(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板)にパターンを転写(形成)する工程を含む。さらに、該製造方法は、パターンを転写された基板をエッチングする工程を含みうる。なお、パターンドメディア(記録媒体)や光学素子などの他の物品を製造する場合には、該製造方法は、エッチングの代わりに、パターンを転写された基板を加工する他の処理を含みうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に塗布された樹脂とパターン面を有する型とを接触させた状態で該樹脂に光を照射することによって該樹脂を硬化させるインプリント処理を前記基板のショット領域ごとに行うインプリント装置であって、
型を保持するヘッドと、
基板を保持する基板ステージと、
樹脂を前記基板に供給する樹脂供給口と、
前記基板ステージの第1方向における位置を計測する干渉計と、
前記型と前記基板との間の空間に空気と置換するためのガスを供給する第1ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第1ガス供給部と、
前記空間に前記ガスを供給する第2ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第2ガス供給部と、
前記空間に前記ガスを供給する第3ガス供給口を前記基板ステージの前記干渉計側の縁部に有する第3ガス供給部と、
制御部と、
を備え、
前記樹脂供給口、前記第1ガス供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド及び前記干渉計は、前記第1方向に沿って、前記樹脂供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド、前記第1ガス供給口及び前記干渉計の順となるように配置され、
前記制御部は、前記第1ガス供給口が前記第3ガス供給口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記第2ガス供給口及び前記第3ガス供給口の少なくともいずれかから前記空間に前記ガスを供給し、前記第3ガス供給口が前記第1ガス供給口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記第1ガス供給口及び前記第2ガス供給口の少なくともいずれかから前記空間に前記ガスを供給するように、前記第1ガス供給部、前記第2ガス供給部及び前記第3ガス供給部を制御する、
ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項2】
基板に塗布された樹脂とパターン面を有する型とを接触させた状態で該樹脂を光を照射することによって該樹脂を硬化させるインプリント処理を前記基板のショット領域ごとに行うインプリント装置であって、
型を保持するヘッドと、
基板を保持する基板ステージと、
樹脂を前記基板に供給する樹脂供給口と、
前記基板ステージの第1方向における位置を計測する干渉計と、
前記型と前記基板との間の空間に空気と置換するためのガスを供給する第1ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第1ガス供給部と、
前記空間に前記ガスを供給する第2ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第2ガス供給部と、
ガスを吸引する第1ガス吸引口を前記基板ステージの前記干渉計側の縁部に有する第1ガス吸引部と
制御部と、
を備え、
前記樹脂供給口、前記第1ガス供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド及び前記干渉計は、前記第1方向に沿って、前記樹脂供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド、前記第1ガス供給口及び前記干渉計の順となるように配置され、
前記制御部は、前記第1ガス供給口が前記第1ガス吸引口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記空間から前記第1ガス吸引口を通して前記ガスを排気しながら前記第2ガス供給口から前記空間に前記ガスを供給し、前記第1ガス吸引口が前記第1ガス供給口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記第1ガス供給口及び前記第2ガス供給口の少なくともいずれかから前記空間に前記ガスを供給するように、前記第1ガス供給部、前記第2ガス供給部及び前記第1ガス吸引部を制御する、
ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項3】
基板に塗布された樹脂とパターン面を有する型とを接触させた状態で該樹脂に光を照射することによって該樹脂を硬化させるインプリント処理を前記基板のショット領域ごとに行うインプリント装置であって、
型を保持するヘッドと、
基板を保持する基板ステージと、
樹脂を前記基板に供給する樹脂供給口と、
前記基板ステージの第1方向における位置を計測する干渉計と、
前記型と前記基板との間の空間に空気と置換するためのガスを供給する第1ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第1ガス供給部と、
前記空間に前記ガスを供給する第2ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第2ガス供給部と、
前記空間に前記ガスを供給する第3ガス供給口を前記基板ステージの前記干渉計側の縁部に有する第3ガス供給部と、
ガスを吸引する第1ガス吸引口を前記基板ステージの前記干渉計側の縁部に有する第1ガス吸引部と
制御部と、
を備え、
前記樹脂供給口、前記第1ガス供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド及び前記干渉計は、前記第1方向に沿って、前記樹脂供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド、前記第1ガス供給口及び前記干渉計の順となるように配置され、
前記制御部は、前記第1ガス供給口が前記第3ガス供給口及び前記第1ガス吸引口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記空間から前記第1ガス吸引口を通して前記ガスを排気しながら前記第2ガス供給口から前記空間に前記ガスを供給するか、又は、前記第2ガス供給口及び前記第3ガス供給口の少なくともいずれかから前記空間に前記ガスを供給し、前記第1ガス吸引口及び前記第3ガス供給口が前記第1ガス供給口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記第1ガス供給口及び前記第2ガス供給口の少なくともいずれかから前記空間に前記ガスを供給するように、前記第1ガス供給部、前記第2ガス供給部、前記第3ガス供給部及び前記第1ガス吸引部を制御する、
ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項4】
基板に塗布された樹脂とパターン面を有する型とを接触させた状態で該樹脂に光を照射することによって該樹脂を硬化させるインプリント処理を前記基板のショット領域ごとに行うインプリント装置であって、
型を保持するヘッドと、
基板を保持する基板ステージと、
樹脂を前記基板に供給する樹脂供給口と、
前記基板ステージの第1方向における位置を計測する干渉計と、
前記型と前記基板との間の空間に空気と置換するためのガスを供給する第1ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第1ガス供給部と、
前記空間に前記ガスを供給する第2ガス供給口を前記基板ステージの上に有する第2ガス供給部と、
前記空間に前記ガスを供給する開口を前記基板ステージの前記干渉計側の縁部に有する第3ガス供給部と、
前記開口を介してガスを吸引する第1ガス吸引部と
制御部と、
を備え、
前記樹脂供給口、前記第1ガス供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド及び前記干渉計は、前記第1方向に沿って、前記樹脂供給口、前記第2ガス供給口、前記ヘッド、前記第1ガス供給口及び前記干渉計の順となるように配置され、
前記制御部は、前記第1ガス供給口が前記開口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記空間から前記開口を通して前記ガスを排気しながら前記第2ガス供給口から前記空間に前記ガスを供給するか、又は、前記第2ガス供給口及び前記第3ガス供給口の少なくともいずれかから前記空間に前記ガスを供給し、前記開口が前記第1ガス供給口よりも前記干渉計側に位置する場合には、前記第1ガス供給口及び前記第2ガス供給口の少なくともいずれかから前記空間に前記ガスを供給するように、前記第1ガス供給部、前記第2ガス供給部、前記第3ガス供給部及び前記第1ガス吸引部を制御する、
ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1ガス供給口が前記開口よりも前記干渉計側に位置する場合に、前記干渉計と前記基板ステージとの間の干渉光の光路に流入すると予測される前記ガスの量が閾値よりも大きいならば、前記第1ガス吸引部により前記空間から前記ガスを排気しながら前記第2ガス供給口から前記空間に前記ガスを供給し、前記ガスの量が前記閾値より小さいならば前記第2ガス供給部及び前記第3ガス供給部の少なくともいずれかによって前記空間に前記ガスを供給するように、前記第2ガス供給部、前記第3ガス供給部及び前記第1ガス吸引部を制御する、ことを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
【請求項6】
前記型と前記基板との間の空間の気体を吸引する第2ガス吸引口を前記第1ガス供給口と前記第2ガス供給口との間に有する第2ガス吸引部をさらに備え、
前記第2ガス吸引口から気体が吸引されることによって前記型と前記基板との間の空間が負圧にされる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記基板ステージが停止した後、前記第2ガス吸引口が気体の吸引を開始するように前記第2ガス吸引部を制御する、ことを特徴とする請求項6記載のインプリント装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2ガス吸引口から気体を吸引するときに、前記第1ガス供給口と前記第2ガス供給口とのうちの少なくとも一つのガス供給口からガスを供給するように、前記第1ガス供給部、前記第2ガス供給部及び前記第2ガス吸引部を制御する、
ことを特徴とする請求項7記載のインプリント装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のインプリント装置を用いてパタ−ンを基板に形成する工程と、
前記工程で前記パタ−ンを形成された基板を加工する工程と、
を含む、ことを特徴とする物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−39057(P2012−39057A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278400(P2010−278400)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】