説明

イン・サイチュシールを有する経皮送達デバイス

本発明は、皮膚接触表面と非皮膚接触表面とを有し、揮発性成分を含む活性成分(AI)層と、全方向にAI層の周縁を超えて延在する周縁を有するAI層の皮膚接触表面に隣接する、揮発性成分に不透過性である剥離ライナと、全方向にAI層の周縁を超えて延在する周縁を有する非AI層の皮膚接触表面に隣接する揮発性成分を吸収しない、感圧接着剤(PSA)を含む重層とを含み、剥離ライナおよび重層のPSAは、互いに接触し、AI層の周縁の周囲に接着し、揮発性成分損失を低減または防止するシールを形成する、経皮的薬物送達デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第60/948,757号(名称「Dermal Delivery Device with In situ Seal」、2007年7月10日出願)の利益を主張し、この出願は、すべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、全身性、局部性、または表面性投与のための皮膚への薬理学的または美容的な活性薬剤の送達の分野におけるものである。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
経皮送達デバイスは、皮膚への適用のための接着性「パッチ」であって、多種多様な薬理学的および美容的な活性薬剤を送達するために使用される。そのようなパッチを使用して、経皮的に、すなわち、全身性治療のために皮膚を通して血流内に、あるいは局部性治療のために皮膚内または皮膚を通して、薬剤を送達することが可能である。また、そのようなパッチを使用して、美容的活性薬剤を含む局所性治療を投与することが可能である。
【0004】
そのようなパッチは、概して、活性成分、すなわち、薬理学的または美容的な活性薬剤に加えて、接着剤と、裏地と、剥離ライナとを含む。ある場合には、デバイスは、1つ以上の揮発性成分を含む。そのような揮発性成分は、可溶化剤、保湿剤、および可塑剤等の、パッチの適切な機能性の発展の際に重要である、活性薬物、薬物の送達を向上させる化学物質、または他の添加剤であり得る。
【0005】
そのような揮発性成分は、デバイスから漏出する傾向があり、それによって、デバイスの保存期間に悪影響を及ぼし、また、使用時のデバイスの有効性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、皮膚へまたは皮膚を通して薬物あるいは化粧品を送達するために、1つ以上の揮発性成分を利用する経皮送達デバイスと、システムと、揮発性成分の損失を阻止するための手段とに関する。本発明の特定の側面は、以下においてさらに十分に説明される中でもとりわけ、活性成分(AI)含有パッチの非皮膚接触面上に感圧接着剤(PSA)重層を接着するステップを含み、パッチは、1つ以上の揮発性成分と、パッチの皮膚接触面上の剥離ライナとを含み、それによって、PSAは、剥離ライナに接着し、揮発性成分の損失を防止する。本発明の関連する側面は、例えば、ポリイソブチレン(PIB)PSA重層の使用を含む。本発明の別の関連する側面は、以下に詳述されるように、例えば、2つ以上の層を含む、積層重層の使用を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の例示的な経皮送達システムの分解断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、概して、任意のAIを含む、組成の経皮送達に関し、AIは、受動的または別様の経皮的送達によって投与されると活性し、揮発性成分を含む。
【0009】
図1を参照すると、本発明の例示的デバイスは、4つの層を含む。1つ目は、AI層またはAIパッチ(6)である。2つ目は、剥離ライナ(4)である。3つ目は、内部裏地層(5)である。4つ目は、重層であって、本例示的デバイスでは、それ自体、以下、それぞれ、PSA層(3)と、中間層(2)と、重層被覆または重層被膜(1)と称される、3つの構成層(1、2、3)を含む。また、重層は、本例示的実施形態では、PSA層(3)と、重層被覆(1および2)とを含むように説明され得る。いずれにしても、本発明の本側面の特長の1つは、重層(1、2、3)のPSA層(3)と剥離ライナ(4)との間のシールの形成である。
【0010】
本発明の関連側面の特長は、重層(1、2、3)のPSA層(3)内におけるPIB PSAの使用である。
【0011】
本発明の別の関連側面の特長は、PIB PSAが、指または衣類と接触しないが、皮膚から外側への水蒸気の透過を可能にするように、PIB PSA層(3)とPIB PSA層を被覆する材料(1,2)とを備える、重層(1、2、3)の使用である。図1に示されるように、材料は、層1および2を含み、層2は、重層被膜(1)内へのPIB PSAの移動を防止するPSAである。
【0012】
本発明の別の側面の特長は、PIB PSA層(3)と多孔性重層被覆(1)との間の中間層(2)の使用である。
【0013】
例示的実施形態では、適用部位の輪郭に効果的かつ快適に接着し、そして、通常の生活活動に関連する屈曲に耐え得るように、パッチ全体が可撓性である。
【0014】
本発明のこれらおよび他の側面は、以下により十分に説明され、またはそうでない場合でも、そのような説明に基づいて当業者に明白となるであろう。
【0015】
本発明の経皮的送達システム全体を含む、本発明の例示的な非限定的実施形態が、以下に説明される。
【0016】
(AI層)
層6は、一般的には、PSA基質中に、AIと揮発性成分とを含む。揮発性成分は、一般的には、AI層中に少なくとも部分的に溶解される。したがって、例えば、本発明の例示的実施形態では、層6は、AI、アクリルPSA、および揮発性皮膚透過促進剤等の、1つ以上のホルモンを含む。しかしながら、揮発性成分は、また、例えば、AI自体、または溶剤、あるいは担体であり得る。本発明の送達デバイスにおいて有用な経皮的ホルモン組成の例示的調剤は、例えば、米国特許第7,045,145号および米国特許第20070065495号において説明されている。
【0017】
例示的実施形態では、AIは、接着性ポリマー基質内に分散される、プロゲスチン、例えば、レボノルゲストレル、およびエストロゲン、例えば、エチニルエストラジオールまたは17−βエストラジオール等の1つ以上のホルモンである、薬理活性成分(API)である。ホルモンの送達のための本発明の別の側面では、APIは、プロゲスチンのみに限定される。他のそのような側面では、APIは、プロゲスチン、エストロゲン、およびテストステロン、またはテストステロン単独を含む。
【0018】
また、本発明に従って送達され得る他のAPIは、フェンタニル、ニコチン、スコポラミン、ニトログリセリン、クロニジン、メチルフェニデート、リドカイン、プリロカイン、オキシブチニン、抗精神病薬、例えば、フルフェナジン、アルプラゾラム、リスペリドン、およびオランザピン、パーキンソン薬、例えば、ロチゴチンおよびセレギリン、アルツハイマー薬、例えば、リバスティグミンおよびドネペジル、降圧剤、例えば、エナラプリル、BPH薬、例えば、タムスロシンおよびテラゾシン、ならびに抗ぜんそく薬、例えば、アルブテロールおよびモンテルカストナトリウム等、「小分子」、すなわち、低分子量(例えば、<2000ダルトン)合成有機化合物を含むが、それらに限定されない。
【0019】
また、AIは、化粧品剤、例えば、角質溶解剤、例えば、アルファ/ベータヒドロキシカルボン酸およびベータケトカルボン酸、アルファヒドロキシ酸、例えば、グリコール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、マンデル酸、および、概して、フルーツ酸、ベータヒドロキシ酸、例えば、サリチル酸およびその誘導体、抗菌剤、例えば、クリンダマイシンまたはリン酸エリスロマイシン、あるいはテトラサイクリン型の抗生物質、アスコルビン酸ならびにその生物学的適合塩およびエステル、酵素、緊張剤、例えば、タンパク質、大豆、および小麦粉末、ヒドロキシル化ポリ酸、スクロースおよびそれらの誘導体、尿素、アミノ酸、植物および酵母エキス、タンパク質加水分解物、例えば、コラーゲンおよびエラスチン加水分解物、ヒアルロン酸、ムコ多糖類、ビタミン、パンテノール、葉酸、アセチルサリチル酸、アラントイン、コウジ酸、ハイドロキノン、レチノイン酸およびそれらの誘導体、脂肪酸等であり得る。
【0020】
米国特許出願公開第20070065495号において説明されるように、例示的な層6は、以下の実施例1に説明されるように調製される。本実施例は、DMSOおよび乳酸の低級(C1−C4)アルキルエステル、例えば、乳酸エチルを含み、両方とも、揮発性成分であって、本発明の経皮的薬物送達デバイス内に含まれ得る揮発性成分の実施例である、皮膚透過促進剤の組み合わせを使用する調剤について説明する。「揮発性」とは、20℃で0.1mmHgを超える蒸気圧を有する薬剤を意味する。本発明において有用な他の例示的揮発性成分は、当業者には周知であって、他の揮発性有機溶剤、例えば、スルホキシド、例えば、メチルデシルスルホキシド、アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、およびベンジルアルコール、脂肪酸、例えば、吉草酸、イソ吉草酸、酪酸イソプロピル、酢酸エチル、および酢酸ブチル、ポリオール、例えば、ブタンジオールおよびエチレングリコール、アミド類、例えば、ジメチルアセトアミド、ジエチルトルアミド、ジメチルホルムアミド、ピロリドン、およびメチルピロリドン、テルペン、例えばリモネン、ピネン、テルピノレン、メントン、ユーカリ、およびメントール、アルカン類、例えば、ヘキサンおよびヘプタン、ならびに有機酸、例えば、クエン酸を含む。
【0021】
皮膚透過促進剤および溶剤は、DMSOおよび類似有機溶剤に加えて、実施例1に説明されるものを含むが、それらに限定されない。
【0022】
以下の説明は、ホルモンの送達のための層6の好ましい調剤に関し、該層またはパッチは、1つ以上のホルモンと、皮膚透過促進剤と、接着性ポリマーおよび保湿剤/可塑剤を含むPSA基質とを含む。
【0023】
皮膚透過促進剤: 経皮的送達システムから放出される薬物分子は、皮膚の各層に浸透可能でなければならない。薬物分子の透過率を増加させるために、経皮的薬物送達システムは、望ましくは、分子の浸透性に対して最も耐性を提供する、皮膚の最外層である角質層の透過性を向上させることが可能である。この点に関して、本発明は、特定量の1つ以上の皮膚透過促進剤を利用する経皮的薬物送達システムを可能とする。
【0024】
皮膚透過促進剤の組み合わせは、好ましくは、レボノルゲストレルおよびエチニルエストラジオール(EE)、または17ベータエストラジオールの送達のために、本発明の実践において利用される。組み合わせは、(1)ジメチルスルホキシド(DMSO)等の薬理学的に許容可能な有機溶剤と、(2)乳酸ラウリル等のヒドロキシ酸の脂肪(C8−C20)アルコールエステルと、(3)例えば、乳酸エチル等のヒドロキシ酸の低級(C1−C4)アルキルエステルと、(4)カプリン酸等のC6−C18脂肪酸との混合物を含む。特定の実施形態では、乳酸の脂肪アルコールエステルは、乳酸ラウリルであって、乳酸の低級アルキルエステルは、乳酸エチルである。皮膚透過促進剤中でも、中鎖乃至長鎖脂肪酸が、皮膚透過促進剤の調剤において利用可能である。カプリン酸は、使用に好ましいが、他のC6−C18飽和または不飽和脂肪酸が使用されてもよく、2〜3例を挙げると、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、およびミリスチン酸を含むが、それらに限定されない。
【0025】
これらの皮膚透過促進剤は、後述の量で存在し得る。ある実施形態では、皮膚透過促進剤のうちの1つ以上は、ポリマー基質から排除されてもよい。
【0026】
特定のそのような実施形態では、薬理学的に許容可能な有機溶剤は、DMSOである。本発明における使用に好適な他の有機溶剤は、2〜3例を挙げると、C1−C8分岐または非分岐アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等、ならびにアゾン(ラウロカプラム:1−ドデシルヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン)およびメチルサルフォニルメタンを含むが、それらに限定されない。
【0027】
ヒドロキシ酸の脂肪アルコールエステルは、乳酸ラウリル等の乳酸の脂肪アルコールエステルであり得る。しかしながら、他のヒドロキシ酸および脂肪アルコールが利用されてもよい。代替ヒドロキシ酸は、アルファヒドロキシ酸、例えば、グリコール酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、およびマンデル酸、ならびにベータヒドロキシ酸、サリチル酸を含むが、それらに限定されない。代替脂肪アルコールは、2〜3例を挙げると、任意のC8−C20飽和または不飽和脂肪アルコール、例えば、ミリスチル、パルミチル、またはオレイルアルコールを含む。
【0028】
また、ヒドロキシ酸の低級アルキルエステルは、乳酸を利用することが可能であって、例えば、乳酸エチルであり得る。しかしながら、また、他のヒドロキシ酸、例えば、グリコール酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、およびサリチル酸が利用されてもよい。加えて、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)は、ヒドロキシ酸の低級アルキルエステルの代用として使用されてもよい。
【0029】
皮膚透過促進剤の上述の組み合わせを使用して、任意の種類の経皮的送達デバイスからのステロイドホルモンの経皮的送達を促進してもよい。本明細書に詳述される接着性ポリマー基質型システムは、使用に好ましい。しかしながら、また、促進剤の組み合わせは、2〜3例を挙げると、非接着性ポリマー、ならびに多層またはリザーバ型経皮的送達システムにおいて利用されてもよい。
【0030】
ホルモン: 上述の皮膚透過促進剤を利用する経皮的薬物送達デバイスを使用して、ホルモンを含む、経皮的送達が可能な種々の種類のAPIを送達可能である。一実施形態では、プロゲスチンおよびエストロゲンの組み合わせは、以下の目的のうちの1つ以上のために利用される。(1)排卵の制御、(2)座瘡の制御、(3)子宮内膜症の治療、(4)月経前不快気分障害(PMDD)の治療、および(5)無月経の導入。別の実施形態では、プロゲスチンは、単独で、以下の目的のうちの1つ以上のために利用される(1)排卵の制御、(2)妊娠支援、(3)エストロゲンが禁忌者(例えば、授乳中の女性)のための代替ホルモン療法、および(4)乳漏症の防止。さらに別の実施形態では、プロゲスチン、エストロゲン、およびテストステロンの組み合わせは、女性におけるこれらのホルモンの欠乏症の治療のためのホルモン補充療法として利用される。さらに別の実施形態は、男女両方におけるテストステロン欠乏症から生じる性欲減退の治療のために有用である、テストステロン単独の送達のために調剤されるTHDSを対象とする。
【0031】
レボノルゲストレルは、プロゲスチンが、多くの場合、エストロゲンよりも非常に少ない程度の経皮的吸収を呈するので、重要な要因である重量/用量ベースの強力なプロゲスチンである。部分的または全体的に使用可能な他のプロゲスチンは、ノルゲストレル、ノルゲスチメート、デソゲストレル、ゲストデン、ノレシンドロン、ノルエチノドレル、ヒドロゲステロン、二酢酸エチノジオール、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸ノルエチンドロン、プロゲステロン、酢酸メゲストロール、ゲストゲン、および生体適合性かつ経皮的に吸収可能なその他である。これらは、経皮的に吸収されるプロゲスチンの生体適合性誘導体を含み、その一部は、有利には、オリジナルプロゲスチンへの経皮的吸収後に生物学的変換が可能である。選択されるプロゲスチンおよび他のホルモンは、好ましくは、互いに高適合性を有する。
【0032】
プロゲスチンとエストロゲンとの組み合わせの場合、合成ホルモンエチニルエストラジオールが、特に好適であるが、天然エストロゲンまたは他の類似体も使用可能である。本ホルモンは、本発明のTDHSによって、両ホルモンに対して望ましい日量で、特に好適なプロゲスチン、レボノルゲストレルと併用して、経皮的に送達されてもよい。エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルは、適合性であって、接着性ポリマー調剤中に分散可能である。一般的には、1週間の療法のために設計される経皮的投与量単位として、少なくとも約20μg/日のレボノルゲストレル、例えば、約50乃至約100μg/日(または、別のプロゲスチンの同等有効量)および10−50μg/日のエチニルエストラジオール(または、別のエストロゲンの同等有効量)を送達すべきである。
【0033】
それらのそれぞれの量のプロゲスチンおよびエストロゲンは、排卵を抑制し、そして、正常な女性の生理機能および特性を維持するために必要であると考えられる。本発明では、経皮的に送達されるレボノルゲストレルの量は、好ましくは、15cmの経皮的送達デバイスによる1日超乃至約1週間に対して30μg/日である。
【0034】
また、生体適合性であり、経皮的に吸収されることが可能であり、好ましくは、17β−エストラジオールに生物学的に変換可能である17β−エストラジオールの誘導体は、吸収量がエストロゲン成分の必要1日量を満たす場合、そして、ホルモン成分が適合性である場合に、使用されてもよい。エストラジオールのそのような誘導体は、エステル、モノエステル、またはジエステルを含む。モノエステルは、3−または17−エステルであり得る。エストラジオールエステルは、例示的には、エストラジオール−3、17−ジアセタート、エストラジオール−3−アセテート、エストラジオール17−アセテート、エストラジオール−3、17−ジバレラート、エストラジオール−3−吉草酸、エストラジオール−17−吉草酸、3−モノ−、17−モノ−、および3,17−ジピバラートエステル、3−モノ−、17−モノ、および3,17−ジプロピオン酸エステル、3−モノ−、17−モノ−、および3,17−ジシクロペンチル−プロピオン酸エステル、対応するシピオン酸、ヘプタン酸、安息香酸、および類似エステル、エチニルエストラジオール、エストロン、ならびに経皮的に吸収可能な他のエストロゲン性ステロイドおよびそれらの誘導体であり得る。
【0035】
エストラジオール自体との上述の組み合わせ(例えば、エストラジオールおよびエストラジオール−17−吉草酸の組み合わせ、またはさらに、エストラジオール−17−吉草酸およびエストラジオール−3、17−ジバレラートの組み合わせ)は、有益な結果を伴って使用可能である。例えば、エストロゲン性ステロイド成分の総重量に基づく各化合物の15−80%を使用して、所望の結果を得ることが可能である。また、他の組み合わせを使用して、治療対象の体内の17β−エストラジオールの所望の吸収およびレベルを得ることが可能である。
【0036】
テストステロンを含む調剤は、経皮的に吸収される天然テストステロンまたは合成テストステロンを利用してもよい。例えば、メチルテストステロンは、本発明における使用に好適である。閉経前女性におけるテストステロン送達のための経皮的デバイスは、最大約300ug/日の送達のために調剤されるべきである。男性におけるテストステロン欠乏症の治療の場合、経皮的ホルモン送達システムは、最大約3−6mg/日を送達するために調剤されるべきである。
【0037】
ホルモンは、純粋な化学化合物の形態においてだけではなく、経皮的に適用され得る他の薬剤と、または上述の所望の目的に不適合ではない他の成分との混合において利用されてもよいことを理解されたい。したがって、ホルモンの単純な薬理学的に許容可能な誘導体、例えば、エーテル、エステル、アミド類、アセタール、塩等は、適切な場合に、使用されてもよい。ある場合には、そのような誘導体が好ましい。プロゲスチン化合物およびエストロゲン性ステロイドは、通常、ホルモン含有接着性ポリマー基質を加工する際に同時に分散または溶解されるか、あるいは別々に分散または溶解されてもよい。
【0038】
活性パッチ成分として使用されるポリマー: AI含有層は、薬理学的または美容的に活性成分を含む、ポリマー基質であり得る。ポリマーは、PSAであって、生物学的に許容可能な接着性ポリマー基質を形成可能であって、好ましくは、AIが制御速度で通過可能な薄膜または被膜を形成可能である。好適なポリマーは、生物学的および薬理学的な適合性、非アレルギー性、不溶性、デバイスが接触する体液または組織との適合性を有する。水溶性ポリマーの使用は、概して、気質の溶解および侵食が、AIの放出速度ならびに皮膚上の定位置に残留する投与量単位の能力に影響を及ぼすので、あまり好ましくない。したがって、ある実施形態では、ポリマーは非水溶性である。
【0039】
好ましくは、AI含有層内にポリマー基質を形成するために使用されるポリマーは、室温を下回るガラス転移温度を有する。ポリマーは、好ましくは、非結晶性であるが、他の所望の特性の発展のために必要な場合に、一定の結晶化度を有してもよい。架橋モノマー単位または部位は、そのようなポリマー内に組み込むことが可能である。例えば、ポリアクリルポリマー内に組み込み可能な架橋モノマーは、ポリオールのポリメタクリル酸エステル、例えば、ジアクリル酸およびジメタクリル酸ブチレン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等を含む。そのような部位を提供する他のモノマーは、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル等を含む。
【0040】
有用な接着性ポリマー調剤は、一般式(I)のポリアクリレート接着性ポリマーを含む。
【0041】
【化1】

式中、Xは、接着性ポリマー中の所望の特性を提供するために十分な反復単位の数を表し、Rは、Hまたは低(C1−C10)アルキル、例えば、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル等である。より具体的には、接着性ポリマー基質は、アクリル酸2−エチルヘキシルモノマーおよびコモノマーとして約50−60%w/wの酢酸ビニルを有する、ポリアクリレート接着性コポリマーを含むことが好ましい。本発明における使用のための好適なポリアクリレート接着性コポリマーの実施例は、Duro Tak(登録商標) 87−4098の商品名にて、National Starch and Chemical Co.,Bridgewater,N.J.から市販されており、ある割合の酢酸ビニルコモノマーを含むものを含むが、それに限定されない。
【0042】
保湿剤/可塑剤: 好ましくは、可塑剤/保湿剤は、接着性ポリマー調剤内に分散される。調剤内に保湿剤を組み込むことによって、投与量単位が、皮膚の表面から湿気を吸収することが可能となり、したがって、皮膚炎症を低減し、送達システムの接着性ポリマー基質が落下ことを防止するのに役に立つ。可塑剤/保湿剤は、医薬品分野において使用される従来の塑剤、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)であってもよい。特に、PVP/酢酸ビニル(PVP/VA)コポリマー、例えば、約50,000からの分子量を有するものは、本発明における使用のために好適である。PVP/VAは、ポリマー基質の合成を制御する作用をする可塑剤と、基質の湿気含有量を調節する作用をする保湿剤の両方の作用を果たす。PVP/VAは、例えば、PVP/VA S−630(60:40 PVP:VA)、51,000の分子量および110℃のガラス転移温度を有するコポリマーであり得る。保湿剤/可塑剤の量は、重層の接着の持続時間に直接関連する。
【0043】
好ましくは、PVP/酢酸ビニルは、International Specialty Products,Inc.(ISP)of Wayne,New Jerseyによって供給されるPVP/VA S−630であって、PVPおよび酢酸ビニルはそれぞれ、約等しい重量%で存在する。
【0044】
本発明のデバイスの形状は、重要ではない。例えば、円形、すなわち、円盤形であり得、あるいは多角形、例えば、矩形または楕円形であり得る。AI層の表面積は、概して、面積約60cmを超えるべきではない。好ましくは、約5乃至50cm、より好ましくは、約8乃至約40cmである。最も好ましくは、円盤形は、約10乃至約20cmである。15cmの円盤形は、比較的小型寸法であるが、高レベルのホルモンを分散可能であるので好ましい。本発明の特定の実施形態は、10、12.5、15、17.5、または20cmの表面積のAI層を有するパッチを特長とする。しかしながら、他の寸法が利用されてもよい。
【0045】
例示的実施形態では、AI層は、内部裏地層と剥離ライナとの間に直接配置される。したがって、「リザーバ」または予成形ポケットは存在せず、むしろ、AI層および内部裏地層は、重層と剥離ライナとの間に密閉してシールされる。
【0046】
そのようなポリマー基質によって、活性成分は、例えば、マイクロカプセル、または他の封じ込め/放出手段内に含有される必要はない。
【0047】
(内部裏地層)
PSAが、ポリアクリル酸基質を含む場合、上述のように、有機成分は、皮膚およびシステムの非皮膚接触表面を通って漏出することが可能である。非皮膚接触表面を通してのそのような漏出を最小限にするために、内部裏地層が利用可能である。重層内へのAI層の成分の吸収を抑制する本層は、図1の層5として示される。
【0048】
そのような内部裏地層は、AIおよび接着性ポリマー基質の添加剤に対して不透過性または実質的に不透過性である、任意の好適材料から成り得る。内部裏地層は、AI層のための保護被覆としての役割を果たし、支持機能を提供する。裏地層は、ホルモン含有接着性ポリマー基質と本質的に同一寸法であるように成形が可能であるか、またはAI含有パッチの縁を外側に超えて延在することができるように、より大きな寸法であることが可能である。裏地層は、所望の保護および支持機能を提供する、任意の適切な厚さであり得る。好適な厚さは、約10乃至約300ミクロンである。より具体的には、厚さは、約150ミクロン未満、さらにより具体的には、約100ミクロン未満、最も具体的には、約50ミクロン未満である。
【0049】
内部裏地層を生成するために好適な材料の実施例は、ポリプロピレン、ポリ(エチレンテレフタレート)等のポリエステル、金属薄片、そのような好適ポリマー膜の金属薄片積層等の膜である。ポリエステル膜、例えば、Mylar(登録商標)(DuPont Teijin)およびScotchpak(登録商標) 9732(3M Company)は、本発明における使用に特に好適である。
【0050】
内部裏地層は、概して、重層または重層の任意の構成層とは別個の層であって、例えば、重層と同時押出または共成形されない。例示的実施形態では、内部裏地層は、「結合被膜」、例えば、酢酸ポリビニル−酢酸ポリエチレンビニルコポリマー、あるいは他の軟性ポリマーまたはコポリマーを有するAI層に隣接する表面上に被膜され得る。
【0051】
(剥離ライナ)
剥離ライナの表面積は、AI層よりも大きい。これは、図1に見られ、層3の直径(円形デバイスの場合)、または幅および長さ(多角形デバイスの場合)は、一部または全部の方向にAI層を超えて延在するように、層5および6よりも大きい。
【0052】
剥離ライナは、(1)AI層の成分に対して不透過性または実質的に不透過性であること、(2)後述されるように、重層内のPSAがこれに接着すること、ならびに(3)皮膚への適用直前に、AI層および重層PSAから剥離されることによって容易に除去可能であることを満たす任意の材料から成る。「不透過性」および「実質的に不透過性」とは、AI層の成分、特に、揮発性成分が、剥離ライナによって、またはそれを通過若しくは通して吸収されず、例えば、デバイスの性能、特に、皮膚透過性または活性成分の有効性を変化させないことを意味するものと理解されたい。
【0053】
剥離ライナは、後述のように、重層と同一寸法を有することが可能であって、または、パッチの縁を超えて全体的または部分的に延在可能である。一つの例示的実施形態では、剥離ライナは、システムの残りのものからの剥離ライナの容易な分離のために、重層の縁を超えて延在する剥離ライナ材料の「タブ」を形成するために、重層を部分的に超えて延在する。
【0054】
好ましくは、フッ素化またはシリコン化ポリエステル膜、あるいは別のフッ素化またはシリコン化ポリマー、例えば、ポリアクリロニトリルコポリマー、もしくはシリコン化またはフッ素化ポリマーによって裏打ちされた薄片を含む。剥離ライナは、ポリスチレンがDMSOを吸収するであろうことが示されているので、好ましくは、ポリスチレンではない。重層の層4aが、PIB PSAを含む場合の剥離ライナのための好ましい材料は、Scotchpak(登録商標)ライナ(3M Company)、例えば、Scotchpak(登録商標) 1022またはScotchpak(登録商標) 9744フッ素化ポリエステル剥離ライナである。
【0055】
本例示的実施形態では、薬物透過性膜、速度制御膜、多孔性膜、シール剥離膜、剥離可能円盤または他の層、ポリマー基質と剥離ライナとの間の被覆または被膜は、必要ではない。代わりに、例示的実施形態では、ポリマー基質の粘性によって、剥離ライナは、AI層と直接接触し、AI層の周縁の外側において重層と直接接触する。
【0056】
(重層)
本例示的実施形態では、重層は、図1において層1、2、および3と称される3つの構成層を含む。重層は、揮発性成分の溶解度が、AI基質内の同成分の溶解度よりも低い、好ましくは、大幅に低い、PSAを含む。したがって、例えば、揮発性成分がDMSOまたは乳酸エチルである場合、PIB PSAが選択されてもよい。図1を参照すると、PIB PSA層は、層3である。概して、そのようなPIB PSAは、低乃至中間分子量および高分子量PIBと、可塑剤、例えば、ポリブテンと、親水コロイド、例えば、架橋ポリビニルピロリジンとの混合を含む。有用なPIBは、例えば、Oppanol(登録商標) PIB(BASF)を含み、平均分子量40,000乃至4,000,000を有する。
【0057】
有用なPIB PSAは、クロスポビドン、例えば、Kollidon(登録商標) CLMクロスポビドン(BASF)(例えば、5−45重量%、好ましくは、15−30重量%、より好ましくは、20−25重量%)、低粘性PIB、例えば、Oppanol(登録商標) B12(分子量:51000、150℃における粘性:150パスカル秒)(例えば、10−60重量%、好ましくは、30−50重量%)、高粘性PIB、例えば、Oppanol(登録商標) B100(粘性:約1100パスカル秒)(例えば、2−15重量%、好ましくは、5−15重量%)、ポリブテン、例えば、Indopol(登録商標) 1900(Innovene LLC)(分子量:2500、100℃における粘性:3900−4200センチストークス)(例えば、10−60重量%、好ましくは、20−40重量%)、および鉱油(0−20重量%)を含む。例えば、例示的な調剤は、約20重量%のクロスポビドン、約40重量%の低粘性PIB、約8重量%の高粘性PIB、および約32重量%のポリブテンを含む(本明細書で使用される「約」とは、±10%を意味する。粘性が150℃で測定される場合、「低粘性」とは、約300パスカル秒未満を意味し、「高粘性」とは、約800パスカル秒超を意味する)。そのような架橋ポリマーは、水膨潤性であるが、不水溶性である傾向にあるため、PVPの架橋は、有用である。そのようなPIB PSAは、良好な水安定性を提供可能であって、例えば、通常の生活条件下において、少なくとも7日間付着している。
【0058】
PIB PSAの代わりに、重層内で使用可能な他のゴム系ポリマーは、シリコン系PSA、例えば、BIO−PSA(登録商標)(Dow Corning)、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、およびスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのコポリマーおよびターポリマー、例えば、Kraton Dスチレン/ブタジエン、ならびにKraton Gスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンまたはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンを含む。また、イソプレンゴム、例えば、Kraton IR線形ポリイソプレンホモポリマーも使用可能である。
【0059】
図1に示されるように、そして、剥離ライナと同様に、重層は、全方向にAI層の周縁を超えて、一般的には約0.1乃至約1.5cm、より具体的には約0.3乃至約1.2cm、さらにより具体的には約0.8cmの余地をもって、AI層の周縁を超えて延在可能である。
【0060】
重層は、それがPSA層を含む場合には、AI層(これが存在する場合には)内のPSAによって提供される接着性を補強することによって皮膚への接着を向上させ、またはPSAを含まないAI層の場合には、皮膚への接着を提供する。
【0061】
さらに、本発明の一つの例示的実施形態では、重層は、両層の周縁の周囲において剥離ライナに接着し、それによって、AI層の成分をシールする。重層および剥離ライナを含む材料を適切に選択することによって、それらの間における本シールは、AI層内の揮発性成分の漏出を防止または実質的に防止するが、依然として、局所性適用に先立って、剥離ライナをユーザによって容易に剥離することを可能とする。
【0062】
シールは、AI層の周縁を超えて延在する重層の縁と、AI層の周縁を超えて延在する剥離ライナの縁とをともに機械的に押圧することによって、原位置で形成される。第1の重層がPIB PSAであって、剥離ライナがフッ素化またはシリコン化ポリエステル膜である場合、好適なシールは、圧力を付与することによって生成することが可能である。そのようなシールを形成するために必要とされる圧力の量は、重要ではない。指による圧力は、適度である。当然ながら、本発明の例示的実施形態では、シールは、皮膚への適用の直前に、手によって、システムの残りから剥離ライナを剥離することによって分割可能であることが望ましい。
【0063】
重層PSAと剥離ライナとの間のシールは、例えば、システムの保管の際、これら2つの層間のシールを通してのAI層の成分の損失を防止または実質的に防止する。
【0064】
また、重層は被覆を含み得、この被覆は、(1)PSAを含まない、すなわち、非PSA層を含み、その結果、指、衣類、および環境塵または埃に曝露される重層の表面が、非粘着性であり、皮膚および筋肉の運動とともに屈曲するように可撓性または展性であり、目立たないまたは人目を引く色および質感であり、そして、その多孔性または別様に水に対して透過性であることによって皮膚からの湿気をデバイスから通過させる。
【0065】
したがって、その内部で揮発性成分が不溶性であるPSAの第1の層を含み、上述の特性を有する中間および重層被覆によって被覆される、多層重層を利用することが望ましい場合がある。そのような例示的な重層は、層1、2、および3として図1に示される。
【0066】
PIB PSAは、AI層内にDMSO、または乳酸エチル、あるいは両方を含有するために有用であるが、PIB PSAは、上述の特性を有する大部分の重層被覆を通って流動し得る。そのようなPIB PSAの流動は、デバイスを粘着性かつ変色状態にさせ得る。したがって、重層被覆を使用することが望ましい場合があり、この重複被覆は、それ自体が2つの層を含み、そのうちの1つはPIB PSA(中間層)と裏地層との間に介在するポリマー層である。そのような中間層は、そのようなPSAが重層被覆内およびそれを通してのPIB PSAの流動を実質的に防止するが、それ自体は、重層被覆内またはそれを通して実質的に移動しないので、上述のポリアクリレートPSAであり得る。
【0067】
したがって、本発明の例示的実施形態では、AI層は、保湿剤、例えば、PVP/VAと、DMSO、乳酸エチル、または両方、あるいは別の1つ以上の揮発性有機溶剤を含む、皮膚透過促進剤と、をさらに含む、ポリアクリル酸基質を含む。重層は、3つの層(PIB PSA層(図1の3)、PIB PSAを流動させないが、湿気を通過させる材料を含む中間層(図1の2)、および非粘着性であって、人目を引く、可撓性、かつ湿気透過性の重層被覆(または、裏地層)(図1の1))を含む、積層である。
【0068】
中間層において有用な材料は、例えば、ポリアクリル酸、ポリウレタン、可塑化ポリ塩化ビニル、ならびにポリエチレンおよび酢酸エチルビニルのコポリマーを含む。また、非常に高分子量、例えば、少なくとも約150,000ダルトンであるゴム系ポリマーは、架橋結合可能なゴム系ポリマーとして使用可能である。実施例は、Kraton Dスチレン/ブタジエン、Kraton Gスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンまたはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレン、およびKraton IR線形ポリイソプレンホモポリマーを含む。また、架橋結合可能なブチルゴムおよびシリコンゴムも使用可能である。中間層は、第1の重層層および重層被覆を結合する、PSAを含み得る。高分子量架橋ポリマーが、好ましい。好ましくは、そのようなPSAは、例えば、AI層に関して上述したようなポリアクリルである。
【0069】
重層被覆内で使用される材料は、PSAではない。例えば、ポリウレタン膜、発泡体またはスパンボンド構造、ポリオレフィン発泡体、PVC発泡体、あるいは織布または不織布を含む。例示的織布は、KOB 051、053、および055織布ポリエステル(Karl Otto Braun)を含む。例示的不織布は、ポリエステルを含む。例示的ポリウレタン材料は、CoTran(登録商標) 9700溶融吹き出しポリウレタン不織布裏地(3M)であって、皮膚の色合に着色可能である。好適材料は、例えば、米国特許第6,660,295号において、裏地層等として説明される。
【0070】
重層被覆が多孔性ではない場合、中間層を伴わずに使用可能である。しかしながら、重層被覆が多孔性ではない場合、接着問題が、皮膚/PIB PSA界面における湿気の蓄積から生じ得る。中実材料、すなわち、多孔性ではないが、別様に水に対して透過性であるものの使用、例えば、薄い、例えば、1ミリ(すなわち、0.001インチ)のポリウレタン膜が使用可能である。しかしながら、多孔性材料、例えば、発泡体または布は、概して、その形状を良好に保定し、優れた接着性を提供するであろう。
【0071】
したがって、一体型経皮的送達システムの上述の説明に基づいて、本発明の側面は、重層と剥離ライナとの間にシールを形成することによって、AI層内に揮発性成分を含有することに関係することが分かる。
【0072】
本発明の別の側面は、DMSOはPIB PSA内で難溶性であるので、揮発性溶剤、特にDMSOを含むAI層のために重層内でのPIB PSAの使用に関する。上述のようなポリアクリレートPSA(Duro Tak 87−4098、National Starch)およびPIB PSA内のDMSOの溶解度を比較したものである、以下の表1を参照されたい。
【0073】
【表1】

これらのデータは、DMSOおよび乳酸エチル(両方とも揮発性である)が、飽和を考慮する理由から、PIB PSA中に移動不可能であることを示唆する。当然ながら、重層内への一定量の吸収は許容可能であって、実際、少なくともある条件下では回避不可能であることを理解されたい。しかしながら、AI含有層内の揮発性成分の溶解度は、重層PSA内の揮発性成分の溶解度よりも高く、好ましくは、実質的に高いことが重要である。揮発性成分を吸収しないPSAに対する本明細書における参照は、このような状況において理解されなければならない。いずれにしても、上述のデータは、また、乳酸ラウリル(比較的に揮発性ではない)が、接触によって、PIB PSA内に流動可能であることを示唆し、これは、内部裏地層が、本発明の経皮的薬物送達システムにおいて好ましい理由である。
【0074】
上述のデータに一致して、摩耗研究では、PIB PSAが、揮発性促進剤の存在下で保存される場合、アクリル接着性AI基質からPIB PSA内への揮発性促進剤の移動低減傾向のため、ポリアクリレートPSAよりも優れた接着性を保持することを示したが、その移動は、PIB PSAの接着性に悪影響を及ぼす。
【0075】
重層PIBおよびポリアクリレートPSAは、長期間の皮膚への接着能力を判定するために、摩耗研究において試験した。表2は、添加剤の吸収が最小限にされる場合(25℃曝露)、アクリル接着性がPIBよりも良好な結果を得たことを示す。添加剤の吸収が、より高速(40℃曝露)で進行する場合、PIB PSAによって提供される接着性は、アクリルPSAよりも優れていた。PIB PSAの接着力は、揮発性の添加剤の吸収のために、高(40℃)または低(25℃)条件に曝露される場合、同一であったことに留意することが重要である。
【0076】
【表2】

本発明の別の側面は、PIB PSAを被覆するための重層被覆の使用に関し、その層は、PIB PSAとの接触から保護し、水蒸気を透過させる。本発明の別の側面は、多孔性重層被覆と、湿気に対して透過性であるが、重層被覆内およびそれを通してのPIB PSAの流動を抑制または防止する中間層との使用に関する。
【0077】
以下の表3のデータは、(1)PIB PSA層を有するかまたは有しない(PIB PSAは、片面のウレタンのみを保護する)ウレタン重層の使用は、実施例1および2に示されるような皮膚透過促進剤組成における揮発性成分を吸収し、したがって、損失をもたらし、(2)ポリエステル膜は、例えば、内部裏地層がMylar(登録商標)であって、重層がPIB PSAを含む場合には、PIB PSAで被膜されても、そのような成分を吸収しないことを示す。
【0078】
【表3】

表3のデータは、以下の実施例に記載のパッチと同一比において、4つの促進剤を金属乾燥器内に載置することによって得たものである。異なる成分のパッチを同一乾燥器内に載置し、液体促進剤(乾燥器底のビーカー内に載置)がパッチ成分と接触しないことを確実にした。したがって、パッチ成分内への促進剤のなんらかの吸収のみが、蒸気移動を介して生じ得た。乾燥器は、40℃のオーブン内に載置され、パッチ成分内への吸収は、3ヶ月後に試料を計量し、重量増加を決定することによって測定された。
【0079】
また、ポリエステル不織布、例えば、KOB 053およびKOB 055も、有意な程度には揮発性成分を吸収しないことを示した。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために記載される。本発明の例示を意図するものであって、限定するものではない。
【0081】
(実施例1−経皮的薬物送達システムの加工)
実施例1は、本発明の経皮送達システムを加工するための方法の1つの説明である。また、他の方法も使用可能であることを理解されたい。本実施例では、パートAは、内部裏地/AI層/剥離ライナ積層の調製を示す。パートBは、発泡体/アクリルPSA/PIB PSA重層構造の加工を示す。パートCは、パートAおよびBで調製された積層を利用する、本発明の一体型デバイスまたはシステムの加工を示す。
【0082】
パートA.内部裏地/AI層/剥離ライナ積層の加工: 脱気後、AIおよび揮発性成分を含む接着性ポリマー組成は、裏地層材料に適用され、その後、設定温度において、設定時間の間、乾燥させる。代替実施形態では、接着性ポリマー基質は、裏地層の代わりに、剥離ライナに適用されてもよい。故に、接着性ポリマー基質の裏地層への適用に対する本明細書における参照は、本代替実施形態を含むものと理解されたい。脱気された接着性ポリマー基質の裏地層への塗布は、本目的のために通常使用される市販の実験用被膜/乾燥装置を使用して達成されてもよい。例えば、Werner Mathis Model LTSV/LTH装置、ならびにWerner Mathis AG(Zurich,Switzerland)から市販の他の実験用被膜デバイスが利用されてもよい。他の好適デバイスは、Chemsultants,Inc.(Mentor,OH)から市販の器具を含むが、それに限定されない。
【0083】
裏地層に適用される接着性ポリマー溶液の厚さ、ならびに乾燥時間および温度はすべて、パッチ内のホルモンと透過促進剤との最終濃度および比率を達成するために変動可能なプロセスパラメータである。例えば、裏地層に適用される接着性ポリマー基質の厚さの変化(例えば、300乃至800μm)は、他の2つのプロセスパラメータ(乾燥時間および乾燥温度)が一定に保持される場合に、揮発性皮膚透過促進剤のさらなる全体的保持をもたらすことが可能であることが認められている。対照的に、乾燥時間(例えば、5乃至25分)、または乾燥温度(例えば、40−100℃)を変化させることによって、促進剤に応じて程度の差はあれ、揮発性皮膚透過促進剤の保持における全体的損失をもたらし得る。
【0084】
したがって、接着性ポリマー開始調剤内の開始材料の適切な量の選択に加えて、(1)裏地層上に拡散される脱気された接着性ポリマー溶液の初期厚、(2)乾燥時間、および(3)乾燥温度の適切な組み合わせは、デバイス内の皮膚透過促進剤およびAIの最終組成を達成するように選択され得ることが、当業者には理解されるであろう。
【0085】
次に、乾燥された接着性ポリマー基質は、好ましくは、経皮的ホルモン送達システムのシートを形成するために、同一寸法の一片の剥離ライナ(例えば、Scotchpak(登録商標) 1022または9744、3M Co.,St.Paul Minn.)(または、代替実施形態が利用される、裏地層)とともに積層される。
【0086】
パートB.不織布/アクリルPSA/PIB PSA重層積層の加工: 重層の加工は、2つのステップで行なわれる。
【0087】
第1のステップでは、PETシリコン被膜剥離ライナが解巻され、アクリル接着性Duro−Tak 87−2852の溶液が、剥離ライナのシリコン側に被膜される。ウェブが加熱されたオーブンを通過し、そこで溶剤が噴出され、剥離ライナ/中実アクリルPSA積層が形成される。積層がラミネータユニットに向かって進行し、そこで3M 9700スパンボンド不織布が解巻され、アクリルPSAおよび3M 9700が、加熱されたラミネータロールを通過し、3つの層の積層が形成される(3m 9700/アクリルPSA/シリコン剥離ライナ)。
【0088】
第2のステップでは、PETシリコン被膜剥離ライナが解巻され、PIB PSAの溶液が、剥離ライナのシリコン側に被膜される。ウェブが加熱されたロールを通過し、そこで溶剤が噴出され、剥離ライナ/中実PIB PSA積層が形成される。積層がラミネータユニットに向かって進行し、そこで3M 9700/アクリルPSA/シリコン剥離ライナ積層が配置される。3M 9700積層が解巻され、その剥離ライナが除去および廃棄され、積層の残りが、加熱されたラミネータロールに向かって進行し、加熱されたラミネータロールにおいて、それは、結合して剥離ライナ/中実PIB PSA積層に積層されて、3M 9700スパンボンド不織布/アクリルPSA/PIB PSA/シリコン剥離ライナから成る最終の重層を形成する。
【0089】
パートC.本発明の一体型デバイスの加工(二重円盤形変換プロセス): 二重円盤形周縁接着性経皮的送達デバイスの変換は、本業界において一般的な機器の打抜積層片上で加工される。少なくとも2つの投入場、2つの打抜場、1つの積層場、および3つの巻取場を有する。パートBからの重層積層(ポリウレタン、ポリアクリレートPSA、およびPIB PSA)のロールと、パートAからの剥離ライナ/活性パッチ/内部裏地層積層のロールを投入心棒上に搭載する。活性パッチ積層が、打抜場に螺入され、活性パッチの形状に、剥離ライナは通さず、内部裏地およびAI層を通して、部分的切断または枠取りが行なわれる。パッチの周囲の廃材料は、保護ライナから剥離され、巻取心棒上に巻回される。
【0090】
重層積層は、変換機械を通して螺入され、剥離ライナは、除去され、露出した重層接着性ウレタン裏地は、活性パッチ積層から、パッチ上方および剥離ライナ上に積層される。重層と剥離ライナとの間に挟着された活性パッチを伴う得られた積層は、活性パッチよりも大きな形状に抜打され、次の処理ステップのために回収される。重層パッチの形状に抜打された孔を有する得られたライナは、巻取心棒上に巻回される。
【0091】
(実施例2−揮発性成分損失の制御)
経皮的ホルモン送達デバイスは、内部裏地層と、AI層と、剥離ライナとを含むように調製した。AI層は、ポリマー基質PSAとしてDuro Tak 87−4098と、保湿剤としてPVP/VA−S360と、皮膚透過促進剤としてジメチルスルホキシド(DMSO)、乳酸ラウリル(Ceraphyl(登録商標) 31)、乳酸エチル、およびカプリン酸と、AIとして、レボノルゲストレルおよびエチニルエストラジオールとを含んでいた。
【0092】
また、デバイスは、大量の揮発性添加剤、DMSO、および乳酸エチルを吸収可能な、ポリウレタンスパンボンド不織布裏地と、ポリウレタン発泡体上に被膜されたアクリルPSAと、アクリルPSAの上部に被膜されたPIB PSAとを含む、重層を含んでいた。内部裏地層は、AI、ならびに揮発性添加剤であるDMSOおよび乳酸エチル(それぞれ、8重量%および1.7重量%(公称濃度))と、非揮発性添加剤である乳酸ラウリル(8.4重量%(公称濃度))とを含有する、アクリルPSAで被膜されたMylarポリエステル裏地膜から構成した。剥離ライナは、フッ素ポリマー剥離被膜によって被膜されたMylarポリエステル膜であった。パッチは、剥離ライナが重層のPIB PSAと直接接触し、活性パッチの周囲に原位置でシールを形成するように組み立てた。
【0093】
デバイスは、25℃または40℃のオーブン内に載置された。6週間および12週間後、デバイスをオーブンから取り出し、各デバイスの活性区画を重層から分離した。ガスクロマトグラフィを使用して、活性パッチ内のDMSO、乳酸ラウリル、および乳酸エチルを決定した(40℃への12週間の曝露は、室温(25℃)への18ヶ月間の曝露をシミュレーションする意図である)。結果は、表4に示される。
【0094】
【表4】

これらの結果は、重層と剥離ライナとの間のシールと、重層、内部裏地層、および剥離ライナの使用とが、揮発性成分(DMSO、乳酸エチル)および非揮発性成分(乳酸ラウリル)の損失を防止するために適切であることを照明する。
【0095】
本発明の経皮送達デバイスは、任意に、ユーザへの流通および販売のために封入可能である。標準的パッケージングが使用可能であるか、または所望に応じて、重層の剥離ライナとPSAとの間の原位置のシールに圧力を付与するパッケージングを利用可能である。そのようなパッケージングの目的は、剥離ライナおよび重層を互いに接触させたままとし、例えば、輸送の際に生じ得る滑脱または空所化を最小限にすることである。そのようなパッケージングは、送達デバイスの周縁の周囲にぴったりと嵌着し、それによって、原位置のシールに少量の圧力を付与するが、AI含有パッチを圧搾しないように成形される密閉性パケット(例えば、開放のために蝶着されるが、スナップ式に密閉可能である、クラムシェル状パケット)を含むことが可能である。
【0096】
本発明は、上述に説明および例示される実施形態に限定されず、添付の請求項の範囲内における変形および修正が可能である。本明細書内で参照される公開特許出願および特許は、全体として記載されるように、参照することによって、本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮的薬物送達デバイスであって、
a.皮膚接触表面と非皮膚接触表面とを有し、揮発性成分を含む、活性成分(AI)層と、
b.該AI層の該皮膚接触表面に隣接する剥離ライナであって、該剥離ライナは、該揮発性成分に対して不透過性であり、それの周縁は、全方向に該AI層の周縁を超えて延在する、剥離ライナと、
c.該AI層の該非皮膚接触表面に隣接する感圧接着剤(PSA)を含む重層であって、該PSAは、該揮発性成分を吸収せず、それの周縁は、全方向に該AI層の周縁を超えて延在する、重層と
を含み、
該剥離ライナおよび該重層の該PSAは、該AI層の周縁に接触し、該AI層の周縁の周りにおいて互いに接着することにより、該AI層からの該揮発性成分の損失を低減または防止するシールを形成する、デバイス。
【請求項2】
前記揮発性成分は、有機溶剤であって、前記AI層は、それの中において該有機溶剤が少なくとも部分的に可溶化されるPSA基質を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記揮発性成分は、DMSO、乳酸エチル、または両方を含み、
前記AI層の前記PSA基質は、ポリアクリレートPSAであり、
前記剥離ライナは、フッ素化またはシリコン化ポリエステル膜、あるいは他のフッ素化またはシリコン化ポリマー、もしくはシリコン化またはフッ素化ポリマーによって裏打ちされた薄片を含み、
前記重層は、ポリイソブチレン感圧接着剤(PIB PSA)を含む、
請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
重層被覆をさらに含む、請求項1、2、または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記重層被覆は、ポリアクリレートPSA中間層と、非PSA層とを含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記重層被覆内の前記非PSA層は、ポリウレタン膜、発泡体もしくはスパンボンド構造、ポリオレフィン発泡体、PVC発泡体、または織布もしくは不織布である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記AI層と前記重層との間に内部裏地層をさらに含む、請求項1、2、3、4、5、または6に記載のデバイス。
【請求項8】
経皮的薬物送達デバイスであって、
a)皮膚接触表面と非皮膚接触表面とを有し、揮発性成分を含む、AI層と、
b)該AI層の該非皮膚接触表面に隣接するPIB PSAを含む、重層と
を含む、デバイス。
【請求項9】
前記揮発性成分は、DMSO、乳酸エチル、または両方を含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記PIB PSAは、約5乃至約45重量%の架橋PVPと、約10乃至約60重量%の低粘性PIBと、約2乃至約20重量%の高粘性PIBと、約10乃至約60重量%のポリブテンと、約0乃至約20重量%の鉱油とを含む、請求項8または9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記PIB PSAは、約15乃至約30重量%のクロスポビドンと、約30乃至約50重量%の低分子量PIBと、約5乃至約15重量%の高分子量PIBと、100℃で約3900乃至約4200センチストークスの粘性を有する約20乃至約40重量%のポリブテンと、0重量%の鉱油とを含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記PIB PSAは、約20重量%のクロスポビドンと、約40重量%の低分子量PIBと、約8重量%の高分子量PIBと、約32重量%のポリブテンとを含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記AI層の前記皮膚接触面に隣接する剥離ライナをさらに含み、前記重層は、前記PIB PSA上に重層被覆を含む、請求項8、9、10、11、または12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記重層および前記剥離ライナは、前記AI層の周縁の周囲にシールを形成する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記AI層の前記非皮膚接触面と前記重層との間に内部裏地層をさらに含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
経皮的薬物送達デバイスであって、
a)皮膚接触表面と非皮膚接触表面とを有し、AIおよび揮発性成分を含む、AI層と、
b)重層であって、
(i)該AI層の該非皮膚接触表面に隣接するPIB PSAであって、該PIB PSAの周縁は、一部または全部の方向に該AI層の周縁を超えて延在する、PIB PSAと、
(ii)該PIB PSAに対して実質的に不透過性である重層被覆であって、湿気に対して透過性である、重層被覆と
を含む、重層と
を含む、デバイス。
【請求項17】
前記重層被覆は、PSA層と、多孔性層とを含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記重層被覆内の前記PSA層は、ポリアクリレートPSAであって、前記多孔性層は、ポリウレタンである、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記AIは、少なくとも1つのホルモンである、請求項1−18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記AIは、小分子である、請求項1−18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記APIは、2つのホルモン(プロゲスチンおよびエストロゲン)である、請求項19に記載のデバイス。
【請求項22】
前記エストロゲンは、エチニルエストラジオールまたは17ベータエストラジオールであり、前記プロゲスチンは、レボノルゲストレルであり、両方は、ポリマー基質内に存在し、該ポリマー基質は、また、ポリアクリレートPSAと、保湿剤/可塑剤と、1つ以上の皮膚透過促進剤とを含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記1つ以上の皮膚透過促進剤は、DMSOを含む、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記皮膚透過促進剤は、ヒドロキシ酸の低級(C1−C4)アルキルエステルを含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記皮膚透過促進剤は、DMSOと、乳酸の脂肪(C8−C20)アルコールエステルと、乳酸の低級(C1−C4)アルキルエステルと、C6−C18脂肪酸とを含む、請求項22、23、または24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記ポリアクリレートPSAは、ポリアクリレートコポリマーである、請求項22、23、24、または25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記ポリアクリレートコポリマーは、約3乃至約60重量%の酢酸ビニルを含む、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記保湿剤/可塑剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)を含む、請求項22、23、24、25、または26に記載のデバイス。
【請求項29】
前記保湿剤/可塑剤は、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル(PVP/VA)コポリマーである、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記PVPは、前記PVP/VAコポリマー中、約60重量%の量に調剤され、前記酢酸ビニルは、約40重量%の量に調剤される、請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記乳酸の脂肪アルコールエステルは、乳酸ラウリルである、請求項25〜30のいずれかに記載のデバイス。
【請求項32】
前記乳酸の低級アルキルエステルは、乳酸エチルである、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記C6−C18脂肪酸は、カプリン酸である、請求項25〜32のいずれかに記載のデバイス。
【請求項34】
PSAによって剥離ライナにシールされる重層を含み、該剥離ライナを該重層と接触させたまま保持する容器内に封入される、請求項1から33のいずれか一項に記載のデバイス。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−533199(P2010−533199A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516238(P2010−516238)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/069618
【国際公開番号】WO2009/009649
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510009522)アージャイル セラピューティクス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】