説明

ウェザストリップ

【課題】中空シール部を有して自動車車体のドア開口縁部に取付けられ、ドア閉時に中空シール部がドアに弾接してドアとの間をシールし、中空シール部には薄肉部を設けてドアを閉じ易くしたウェザストリップにおいて、ドア閉じ性を損なわずに遮音性を向上させる。
【解決手段】中空シール部3を比重0.4〜0.8のゴムまたは熱可塑性エラストマーよりなる発泡材で形成し、薄肉部5a、5bに中空シール部3の形成材より比重の小さな0.05〜0.4の比重のゴムまたは熱可塑性エラストマーよりなる高発泡スポンジ材22を充填して一体形成され、他の箇所の中空シール部3の肉厚と同程度にされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車車体のドア開口縁部、トランクルームの開口縁部或いはドア周り、ルーフ開口部を開閉する可動パネルに取付けられ、ドア、トランクリッド、可動パネル等(以下、これらを単にドアといい、したがって本明細書においてドアとは、サイドドア、バックドア、トランクリッド、可動パネル等を含むものである)を閉じたとき、車体側のドア開口縁部、トランクルームの開口縁部、ルーフ開口部(以下、これらを単にドア開口縁部ということがあり、したがって本明細書においてドア開口縁部とは、ドアの開口縁部、トランクルームの開口縁部、ルーフ開口部を含むものとしていうことがある)とドア等との間をシールするウェザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のウェザストリップとして、中空シール部を備え、ドア等を閉じたとき、中空シール部がドア等や車体側のドア開口縁部等に弾接するタイプのものが知られる。
【0003】
図1〜図3がその例を示すもので、図1は車体のドア開口縁部に取付けられるオープニングウェザストリップ1、図2はトランクルームの開口縁部に取付けられるウェザストリップ6、図3はドア周りに取付けられるウェザストリップ11の各断面を示すもので、オープニングウェザストリップ1は、車体のドア開口縁部のフランジに差し込んで取付けられる取付部2と、該取付部2より側方に突設される中空シール部3と、取付部2より中空シール部3とは逆向きに突設し、内装材に被さるカバーリップ4を有し、ドア閉時にドア周縁が中空シール部3に弾接して車体のドア開口縁部とドアとの間をシールするようになっている。
【0004】
ウェザストリップ6は、トランクルームの開口縁部のフランジに差し込んで取付けられる取付部7と、該取付部7より上向きに突設される中空シール部8と、取付部7より側方に突出し、内装材に被さるカバーリップ9を有し、トランクリッド閉時にトランクリッド周縁が中空シール部8に弾接してトランクルーム開口縁部とトランクリッドとの間をシールするようになっている。
【0005】
ウェザストリップ11は、ドアのドアサッシュに取付けられるリテーナに嵌着して取付けられる取付部12と、該取付部12より突設される中空シール部13を有し、ドア閉時に車体のドア開口縁部に弾接してドアと車体のドア開口縁との間をシールするようになっている。
【0006】
前述のウェザストリップ1、6、11において、中空シール部3、8、13によるシールは、水密性のほか遮音性を持たせるためにも行われ、遮音性に関しては、遮音性を高めるために中空シール部内にゴムや樹脂製の高発泡スポンジ材を一体形成したものが種々知られている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3425657号
【特許文献2】特許第3393129号
【特許文献3】特許第3934003号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウェザストリップに求められることの一つにドア閉じ易さがある。すなわちドア等を閉じるときの閉じ力を小さくしてドア等を閉じ易くすることである。しかしながら前記特許文献に開示されるウェザストリップでは、中空シール部内に一体形成した高発泡スポンジ材により遮音性は高められるが、ドア閉じ易さに難点がある。
【0009】
ドア閉じ性を改善する方法としては、図1〜図3に示されるように、中空シール部3、8、13の一部に薄肉部5a、5b、10a、10b、14a、14bを設けることが行われているが、一部であっても薄肉部5a、5b、10a、10b、14a、14bを設けると、該部により遮音性が低下し、品質が低下する難点がある。
【0010】
本発明は、中空シール部を備えたウェザストリップにおいて、ドア等の閉じ力を小さくしてドア等を閉じ易くすると共に、それにより遮音性が損なわれることがないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係わる発明は、中空シール部を有して自動車の車体側或いはドア側に取付けられ、ドアを閉じたとき、中空シール部がドア或いは車体側のドア開口縁部に弾接するウェザストリップにおいて、中空シール部の一部に薄肉部を形成して屈曲し易くし、ドアを閉じ易くすると共に、前記薄肉部に前記中空シール部の形成材より比重の小さなゴム又は樹脂製の高発泡スポンジ材を充填して一体形成したことを特徴とする。
請求項2に係わる発明は、請求項1に係る発明において、前記薄肉部は中空シール部の内壁に凹部により形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のウェザストリップによると、中空シール部の薄肉部には中空シール部の形成材より比重の小さな高発泡スポンジ材が充填されているが、高発泡スポンジ材は柔軟性に富むため屈曲性が損なわれることがなく、ドアの閉じ易さを維持できること、薄肉部に高発泡スポンジ材が充填され、薄肉部で二層構造をなすことにより遮音性が向上し、ドア閉時にウェザストリップから音が発生しにくくなること、薄肉部を設けた箇所では大きな撓みが確実に発生するため、屈曲を必要とする箇所に薄肉部を設けることにより、狙い通りの屈曲を確実に行うことができること、単に薄肉部にすると、コーナ部に装着する際に湾曲させると、薄肉部で皺が寄ったりして変形し易いが、高発泡スポンジ材を充填することにより、こうした問題が生じにくいこと、成形性に関しては、薄肉部を設けただけでは、押出成形時にわざわざ所望の形状に押し出しても中空シール部が、その自重に耐えられず、へたり(ダレ)を生じてしまうが、高発泡スポンジ材が薄肉部に充填されることにより押出成形時に溶融したゴムや熱可塑性エラストマーは型崩れを生ずることがなく、形状維持性に優れること、等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のオープニングウェザストリップの断面図。
【図2】従来の別のウェザストリップの断面図。
【図3】従来の更に別のウェザストリップの断面図。
【図4】本発明に係わるオープニングウェザストリップの断面図。
【図5】同じく別のウェザストリップの断面図。
【図6】更に別のウェザストリップの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態のウェザストリップを図面により説明する。図中、図1〜図3に示すウェザストリップ1、6、11と同一構造部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0015】
図4は、車体のドア開口縁部に取付けられるオープニングウェザストリップ21を示すもので、図示しない車体に突設されるフランジに組み付けられる断面略U字状の取付部2と、その車外側側壁2Xから車外側に膨出している中空シール部3からなり、中空シール部3は比重0.4〜0.8のEPDM等のゴム又は熱可塑性エラストマーよりなる発泡材で形成されている。そして中空シール部内壁3aには、取付部2の車外側側壁2Xと車内側側壁2Yを連結する連結壁2Z側における、膨出する中間部に凹部による薄肉部5aが、取付部2の開口側(取付部連結壁2Zの対面側)に隣接する取付部開口側のシール部3に凹部による薄肉部5bがそれぞれ形成されている。そして各薄肉部5a、5bには、それぞれ比重が0.05〜0.4で、中空シール部3の形成材より比重の小さなゴム又は熱可塑性エラストマーよりなる高発泡スポンジ材22が充填して一体形成され、充填された箇所での肉厚が他の箇所の中空シール部3の肉厚とほぼ同程度にされている。
【0016】
図5は、トランクルームの開口縁部に取付けられるウェザストリップ26を示すもので、中空シール部8は前記実施形態のウェザストリップ21の中空シール部3と同様、比重0.4〜0.8のゴム又は熱可塑性エラストマーよりなる発泡材にて形成されている。そして中空シール部内壁の車外側側壁及び車内側側壁中間部に凹部によって形成される各薄肉部10a、10bには、それぞれ中空シール部3の発泡材より比重の小さな0.05〜0.4の比重のゴム又は熱可塑性エラストマーよりなる高発泡スポンジ材27が充填して一体形成され、他の箇所の中空シール部8の肉厚と同程度にされている。
【0017】
図6は、ドアのドアサッシュに取付けられるウェザストリップ31を示すもので、中空シール部13は前記各実施形態の中空シール部3、8と同様、比重0.4〜0.8のゴム又は熱可塑性エラストマーよりなる発泡材にて形成されている。そして中空シール部内壁の取付部12に隣接する車外側側壁部分及び車内側側壁部分に形成される各薄肉部14a、14bには、それぞれ中空シール部3の発泡材より比重の小さな0.05〜0.4の比重のゴム又は熱可塑性エラストマーよりなる高発泡スポンジ材32が充填して一体形成され、他の箇所の中空シール部8の肉厚と同程度にされている。
【0018】
前記実施形態のウエザストリップ21、26、31では、いずれの中空シール部3、8、13においても、薄肉部5a、5b、10a、10b、14a、14bは図示するように、中空シール部3、8、13の内壁3a、8a、13aに凹部により形成され、該凹部を埋めるように高発泡スポンジ材22、27、32が充填されているが、薄肉部を形成するための凹部は、中空シール部3、8、13の内壁に形成するのに代えて外壁3b、8b、13bに、或いは内壁と共に外壁に形成してもよい。
【0019】
薄肉部はまた、前記各実施形態に示されるような箇所に限定されることなく、設計上設定された屈曲箇所に形成される。
図示するウェザストリップ21、26、31ではまた、薄肉部は2箇所に形成されているが、2箇所ではなく、1箇所又は3箇所以上に形成してもよい。
【符号の説明】
【0020】
2、7、12・・取付部
2X・・取付部の車外側側壁
2Y・・取付部の車内側側壁
2Z・・取付部の連結壁
3、8、13・・中空シール部
3a、8a、13a・・内壁
3b、8b、13b・・外壁
4、9・・カバーリップ
5a、5b、10a、10b、14a、14b・・薄肉部
21、26、31・・ウェザストリップ
22、27、32・・高発泡スポンジ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空シール部3、8、13を有して自動車の車体側或いはドア側に取付けられ、ドアを閉じたとき、中空シール部3、8、13がドア或いは車体側のドア開口縁部に弾接するウェザストリップにおいて、中空シール部3、8、13の一部に薄肉部5a、5b、10a、10b、14a、14bを形成して屈曲し易くし、ドアを閉じ易くすると共に、前記薄肉部5a、5b、10a、10b、14a、14bに前記中空シール部3、8、13の形成材より比重の小さなゴム又は樹脂製の高発泡スポンジ材22、27、32を充填して一体形成したことを特徴とするウェザストリップ。
【請求項2】
前記薄肉部は中空シール部の内壁3a、8a、13aに凹部により形成されることを特徴とする請求項1記載のウェザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−126347(P2011−126347A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284623(P2009−284623)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】