説明

ウェザーストリップ

【課題】フランジ部に両面接着テープを介して取付けられるウェザーストリップにおいて、フランジ部に強固に取付けることができ、取付基部の形状を常に安定にする製品を提供する。
【解決手段】
自動車のボディパネル1のドア開口縁に沿って形成されたフランジ部1aの側面に両面接着テープ3を介して取付けられる平板状の車外側壁11aを備える取付基部11と、取付基部11に一体成形され、ドアパネル2に弾接する中空シール部14を備えるウェザーストリップ10で、少なくとも取付基部11の車外側壁11aをスポンジ材で形成すると共に、車外側壁11aに、取付基部11を構成する材料より硬質で、長手方向及び幅方向に伸縮可能に複数の切欠部13が所定間隔で形成された板状の硬質材12を埋設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボディパネルに形成されるドア開口縁に沿って取付けられるウェザーストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図6及び図7に示すように、自動車のボディパネル1には、そのドア開口縁に沿って形成されたフランジ部1aの側面に、両面接着テープ3を介して、ウェザーストリップ20が取付けられている。こうした形態のウェザーストリップ20は、フランジ部1aに取付けられる取付基部21と、ドアパネル2に弾接する中空シール部22を備えている。ここに示す取付基部21は車外側壁21aとそれに略垂直に延びる垂直壁21bからなる断面略L字状であり、車外側壁21aとフランジ部1aの側面とが両面接着テープ3によって固定されている。通常、取付基部21はEPDMゴムや熱可塑性エラストマーのソリッド材で形成され、中空シール部22のシール面はEPDMゴムや熱可塑性エラストマーのスポンジ材で形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−205847号公報
【0003】
こうした従来のウェザーストリップ20は、取付基部21をソリッド材で形成しているので剛性が高く、両面接着テープ3を介して、フランジ部1aに強く取付けることができるといった利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のウェザーストリップ20は、図6に示すようなフロントドアの後部上方のコーナー部Cにおいて、取付基部21の、フランジ部1a先端とは逆側に位置する基端部21cが十分に伸びないためにそのコーナー部Cの形状に追従できず、その結果、図8に示すように、中空シール部22が矢印方向となる内周側(フランジ部1aの先端側)に転んでしまい、皺が発生するといった問題が発生する。なお、図8においては断面におけるハッチングを省略した。
【0005】
こうした問題を解決すべく、取付基部21を伸び易いスポンジ材で形成することが考えられるが、取付基部21をスポンジ材で形成すると、ソリッド材のような剛性がないため、フランジ部1aに強固に取付けることができないといった問題が発生する。また、押出成形されるウェザーストリップ20の取付基部21の形状が安定しないといった問題も発生する。
【0006】
そこで、本発明の目的とするところは、フランジ部に両面接着テープを介して取付けられるウェザーストリップにおいて、フランジ部に強固に取付けることができ、取付基部の形状を常に安定にする製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のウェザーストリップは、自動車のボディパネル(1)のドア開口縁に沿って形成されたフランジ部(1a)の側面に両面接着テープ(3)を介して取付けられる平板状の車外側壁(11a)を備える取付基部(11)と、前記取付基部(11)に一体成形され、ドアパネル(2)に弾接する中空シール部(14)を備えるウェザーストリップ(10)であって、少なくとも前記取付基部(11)の車外側壁(11a)をスポンジ材で形成すると共に、前記車外側壁(11a)に、前記取付基部(11)を構成する材料より硬質で、長手方向及び幅方向に伸縮可能に複数の孔又は複数の切欠部(13)が所定間隔で形成された板状の硬質材(12)を埋設したことを特徴とする。
【0008】
なお、「スポンジ材」には、発泡が少量である微発泡で比重がソリッド材に近い、いわゆる伸びの良いソリッド材を含む。
【0009】
また、請求項2に記載のウェザーストリップは、自動車のボディパネル(1)のドア開口縁に沿って形成されたフランジ部(1a)の側面に両面接着テープ(3)を介して取付けられる平板状の車外側壁(11a)とその車外側壁(11a)に略垂直に延びる垂直壁(11b)からなる断面略L字状の部位を備える取付基部(11)と、前記取付基部(11)に一体成形され、ドアパネル(2)に弾接する中空シール部(14)を備えるウェザーストリップ(10)であって、少なくとも前記取付基部(11)の車外側壁(11a)と垂直壁(11b)をスポンジ材で形成すると共に、前記車外側壁(11a)と垂直壁(11b)に、前記取付基部(11)を構成する材料より硬質で断面略L字状の硬質材(12)を埋設し、前記硬質材(12)の前記取付基部(11)の車外側壁(11a)に埋設した部位となる車外硬質部(12a)に、その車外硬質部(12a)がその長手方向及び幅方向に伸縮可能に複数の孔又は複数の切欠部(13)を所定間隔で形成したことを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3に記載のウェザーストリップは、前記複数の孔又は複数の切欠部(13)を、前記硬質材(12)の長手方向に向けて左右交互に形成したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載のウェザーストリップ(10)は、前記取付基部(11)の車外側壁(11a)と垂直壁(11b)との接続部内側に凹部(25)を形成したことを特徴とする。
【0012】
なお、カッコ内の記号は、図面および後述する発明を実施するための最良の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載のウェザーストリップによれば、少なくとも取付基部の車外側壁をスポンジ材で形成すると共に、車外側壁に、長手方向及び幅方向に伸縮可能に複数の孔又は複数の切欠部が所定間隔で形成された板状の硬質材を埋設したので、特にコーナー部において車外側壁をコーナー部の形状に沿って円滑に追従させることができる。
これによって、中空シール部の転びと皺の発生を防止することができる。
【0014】
また、取付基部の車外側壁に埋設される硬質材は、取付基部を構成する材料より硬質であるので、内部は高い剛性を有し、従って、フランジ部に対してウェザーストリップを強固に取付けることができる。
さらに、車外側壁に硬質材を埋設したことによって、押出成形時において硬質材の周囲に存在するスポンジ材の形状を安定させることができるので、これにより、車外側壁の全体形状を安定させることができる。
【0015】
また、請求項2に記載のウェザーストリップによれば、取付基部の断面略L字状の部位を構成する車外側壁と垂直壁をスポンジ材で形成すると共に、車外側壁と垂直壁に、取付基部を構成する材料より硬質で断面略L字状の硬質材を埋設するので、取付基部をスポンジ材で形成しても剛性は保たれ、フランジ部に対してウェザーストリップを強固に取付けることができる。
また取付基部に硬質材を埋設したことによって、押出成形時において硬質材の周囲に存在するスポンジ材の形状を安定させることができるので、これにより、車外側壁の全体形状を安定させることができる。
さらに、硬質材の取付基部の車外側壁に埋設した部位となる車外硬質部に、その車外硬質部がその長手方向及び幅方向に伸縮可能に複数の孔又は複数の切欠部を所定間隔で形成したので、スポンジ材で形成された取付基部と共に、特にコーナー部において取付基部をコーナー部の形状に沿って円滑に追従させることができ、これによって、中空シール部の転びと皺の発生を防止することができる。
【0016】
さらに、請求項3に記載のウェザーストリップによれば、請求項1又は2に記載の発明の作用効果に加えて、複数の孔又は複数の切欠部を、硬質材の長手方向に向けて左右交互に形成したので、車外側壁の全体を均等に変形させることができる。
これにより、車外側壁をコーナー部の形状に沿ってさらに容易に変形させることができ、コーナー部に対する追従性をさらに高めることができる。
【0017】
また、請求項4に記載のウェザーストリップによれば、請求項2又は3に記載の発明の作用効果に加えて、取付基部の車外側壁と垂直壁との接続部内側に凹部を形成したので、コーナー部における追従性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第一実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第一実施形態に係るウェザーストリップ10について説明する。図1は、第一実施形態に係るウェザーストリップを示すもので、図6のA−A線拡大断面図である。また、図2は、図1に示すウェザーストリップに埋設した硬質材を示す平面図である。なお、従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
【0019】
本発明の実施形態に係るウェザーストリップ10は、自動車のボディパネル1のドア開口縁に沿って形成されたフランジ部1aの車外側の側面に両面接着テープ3を介して取付けられるもので、取付基部11と中空シール部14を備える。
取付基部11は、平板状の車外側壁11aとそれにほぼ直交する平板状の垂直壁11bを備える断面略L字状である。また、中空シール部14は、取付基部11に一体成形され、ドアパネル2に弾接してボディパネル1とドアパネル2との間のシール性を確保する。
【0020】
また、このウェザーストリップ10は、内装トリム4に当接するリップ部15を備える。また、取付基部11の車外側壁11aと垂直壁11bとの接続部内側には、凹部25が形成されている。
【0021】
そして、取付基部11の車外側壁11aを含めた全体、すなわち車外側壁11a及び垂直壁11bを、スポンジゴムなどのスポンジ材で形成し、車外側壁11aに、平板状の硬質材12を埋設している。
硬質材12は、取付基部11を構成する材料であるスポンジ材よりも硬質なもので、例えば、ポリエチレンやポリプロプレンなどの樹脂やアルミニウムなどの金属からなる。
この硬質材12は、複数の切欠部13を、硬質材12の長手方向に向けて左右交互に所定間隔で形成して長手方向及び幅方向に伸縮可能にしている。なお、各切欠部13の一方端(左端または右端)を開放部13aとして開口状態に形成しているが、閉塞状態として複数の孔とすることもできる。
【0022】
このように構成されたウェザーストリップ10は、取付基部11の車外側壁11aを、硬質材12を埋設したスポンジ材で形成しているので、スポンジ材の働きによって車外側壁11aを適度に伸ばすことができる。これにより、車外側壁11aをコーナー部Cの形状に追従させことができるので、中空シール部14の転びを防止して、中空シール部14に皺が発生するといった事態を未然に防止することができる。つまり、図6に示すようなフロントドアの後部上方のコーナー部Cにおいても、取付基部11の、フランジ部1a先端とは逆側に位置する基端部11cは十分に伸びるためそのコーナー部Cの形状に十分追従することができる。
【0023】
また、硬質材12には、複数の切欠部13が長手方向に向けて左右交互に一定間隔で形成され、伸縮可能にしているので、車外側壁11aを容易に変形させることができる。これにより、車外側壁11aをコーナー部Cの形状に沿って円滑に追従させることができるので、中空シール部14の転びと皺の発生を、さらに効果的に防止することができる。
【0024】
また、取付基部11を構成する材料よりも硬質である硬質材12を埋設した車外側壁11aは適度な剛性を備えているので、両面接着テープ3を介して、フランジ部1aに強固に取付けることができる。さらに、車外側壁11aに硬質材12を埋設しているので、押出成形時において硬質材12の周囲に存在するスポンジ材の形状を安定させることができ、よって、車外側壁11aの全体の形状を安定させることができる。
【0025】
さらに、ウェザーストリップ10の全体をスポンジ材で形成しているので、取付基部11にソリッド材を使用するものと比較して、軽量化を図ることができると共に、その成形が容易であるといった効果も発揮する。
【0026】
(第二実施形態)
次に図3および図4を参照して、本発明の第二実施形態に係るウェザーストリップ10について説明する。図3は、第二実施形態に係るウェザーストリップを示すもので、図6のA−A線拡大断面図である。また、図4は、図3に示すウェザーストリップに埋設した硬質材を示す斜視図である。
【0027】
本実施形態に係るウェザーストリップ10の特徴は、取付基部11の車外側壁11aと垂直壁11bを含む全体をスポンジ材Sで形成すると共に、硬質材12を断面略L字状として、取付基部11の車外側壁11aと垂直壁11bの両方に埋設したことである。
また、硬質材12の車外側壁11aに埋設した部分である車外硬質部12aにのみ切欠部13を形成している。この切欠部13は、その一方端に開放部13aを形成した開口状態に形成している。
【0028】
なお、ここでは硬質材12の垂直壁11bに埋設した部分である垂直硬質部12bには切欠部13や孔を特に形成していないが、垂直硬質部12bに対しても複数の切欠部13や複数の孔を形成して、伸縮性を高め、コーナー部Cにおける追従性を向上させると共に、軽量化を図ることもできる。
【0029】
このウェザーストリップ10は、第一実施形態と同様に、コーナー部Cにおいて、中空シール部14の転びと皺の発生をさらに効果的に防止することができる。また、硬質材12を断面略L字状として、取付基部11の車外側壁11aと共に、垂直壁11bにも埋設したので、押出成形によって形成されるウェザーストリップ取付基部11の垂直壁11bの形状も安定させることができる。
【0030】
なお、硬質材12の車外側壁11aに埋設した部分である車外硬質部12aに切欠部13を形成しているので、取付基部11の良好な追従性をそのまま維持することができ、中空シール部14の転びと皺の発生をさらに効果的に防止することができる。
【0031】
また、このウェザーストリップ10もその全体をスポンジ材Sで形成しているので、軽量化を促進することができると共に、その成形も容易である。
【0032】
(第三実施形態)
図5を参照して、本発明の第三実施形態に係るウェザーストリップについて説明する。図5は、第三実施形態に係るウェザーストリップを示すもので、図6のA−A線拡大断面図である。
【0033】
このウェザーストリップ10は、取付基部11を、平板状の車外側壁11aのみで形成し、その車外側壁11aに平板状の硬質材12を埋設している。また、取付基部11を含む全体をスポンジ材で形成し、硬質材12は、図2に示す形状をなす。
【0034】
このウェザーストリップ10も、コーナー部Cにおける中空シール部14の転びと皺の発生を防止することができる。また、垂直壁11bを形成するための材料を必要としないので、軽量化を図ることができると共に、材料コストを削減することができるといった利点がある。
【0035】
なお、上記第一乃至第三実施形態に係るウェザーストリップ10の取付基部11に埋設された硬質材12には、複数の切欠部13が形成されているが、その複数の切欠部13の設置位置や形状は特定されるものではなく、硬質材12がその長手方向及び幅方向に伸縮可能にするものであればよい。また、複数の切欠部13にかえてあるいは併用して複数の孔を形成することによって硬質材12を伸縮自在にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第一実施形態に係るウェザーストリップを示すもので、図6のA−A線拡大断面図である。
【図2】図1に示すウェザーストリップに埋設した硬質材を示す平面図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係るウェザーストリップを示すもので、図6のA−A線拡大断面図である。
【図4】図3に示すウェザーストリップに埋設した硬質材を示す斜視図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係るウェザーストリップを示すもので、図6のA−A線拡大断面図である。
【図6】自動車を示す側面図である。
【図7】従来例に係るウェザーストリップを示すもので、図6のA−A線拡大断面図である。
【図8】従来例に係るウェザーストリップの、コーナー部における転びの状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ボディパネル
1a フランジ部
2 ドアパネル
3 両面接着テープ
4 内装トリム
10 ウェザーストリップ
11 取付基部
11a 車外側壁
11b 垂直壁
11c 基端部
12 硬質材
12a 車外硬質部
12b 垂直硬質部
13 切欠部
13a 開放部
14 中空シール部
15 リップ部
20 ウェザーストリップ
21 取付基部
21a 車外側壁
21b 垂直壁
21c 基端部
22 中空シール部
25 凹部
C コーナー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のボディパネルのドア開口縁に沿って形成されたフランジ部の側面に両面接着テープを介して取付けられる平板状の車外側壁を備える取付基部と、前記取付基部に一体成形され、ドアパネルに弾接する中空シール部を備えるウェザーストリップであって、
少なくとも前記取付基部の車外側壁をスポンジ材で形成すると共に、前記車外側壁に、前記取付基部を構成する材料より硬質で、長手方向及び幅方向に伸縮可能に複数の孔又は複数の切欠部が所定間隔で形成された板状の硬質材を埋設したことを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項2】
自動車のボディパネルのドア開口縁に沿って形成されたフランジ部の側面に両面接着テープを介して取付けられる平板状の車外側壁とその車外側壁に略垂直に延びる垂直壁からなる断面略L字状の部位を備える取付基部と、前記取付基部に一体成形され、ドアパネルに弾接する中空シール部を備えるウェザーストリップであって、
少なくとも前記取付基部の車外側壁と垂直壁をスポンジ材で形成すると共に、前記車外側壁と垂直壁に、前記取付基部を構成する材料より硬質で断面略L字状の硬質材を埋設し、前記硬質材の前記取付基部の車外側壁に埋設した部位となる車外硬質部に、その車外硬質部がその長手方向及び幅方向に伸縮可能に複数の孔又は複数の切欠部を所定間隔で形成したことを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項3】
前記複数の孔又は複数の切欠部を、前記硬質材の長手方向に向けて左右交互に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のウェザーストリップ。
【請求項4】
前記取付基部の車外側壁と垂直壁との接続部内側に凹部を形成したことを特徴とする請求項2又は3に記載のウェザーストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−179722(P2010−179722A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23264(P2009−23264)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】