説明

ウェハ押上装置

【課題】突起部によって持ち上げられた第1の半導体ウェハがウェハキャリアから落下することを抑制する。
【解決手段】架台200は、ウェハキャリア100を、ウェハキャリア100の差込口が上に向く方向に保持する。架台200には、突起部204が設けられている。突起部204は、第1の半導体ウェハ10をウェハキャリア100から一部がはみ出るまで押し上げる。本実施形態において突起部204は、第1の半導体ウェハ10の隣に位置する第2の半導体ウェハ10には接しない。そしてウェハ押上装置のアダプタ部材210は、ウェハキャリア100の上に取り外し可能に設けられ、第1の半導体ウェハ10のうちウェハキャリア100からはみ出た部分を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハキャリアに保持されている半導体ウェハを押し上げるウェハ押上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造プロセス中では、ウェハキャリアに保持されている複数の半導体ウェハから、少数の半導体ウェハを抜き取って検査することがある。半導体ウェハをウェハキャリアから抜き取るための技術として、特許文献1には、ウェハキャリアの内ケースに半導体ウェハを保持させ、かつ、ウェハキャリアの外ケースの底面に突起を形成することが記載されている。この技術において、ウェハキャリアの内ケースを外ケースにはめ込むと、外ケースに設けられた突起により、半導体ウェハの一部は押し上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−208626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、突起によって半導体ウェハは、一部がウェハキャリアにはみ出るところまで押し上げられる。このため、ウェハキャリアの内ケースを外ケースから取り出すとき、突起によって持ち上げられていた半導体ウェハがウェハキャリアから落下する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、複数の半導体ウェハが差し込まれることにより、前記複数の半導体ウェハを互いに平行かつ互いに離間して保持するウェハキャリアを、前記半導体ウェハの差込口が上に向く方向に保持する架台と、
前記架台に設けられ、第1の前記半導体ウェハを前記ウェハキャリアから一部がはみ出るまで押し上げる突起部と、
前記ウェハキャリアの上に取り外し可能に設けられ、前記第1の半導体ウェハのうち前記ウェハキャリアからはみ出た部分を保持するアダプタ部材と、
を備えるウェハ押上装置が提供される。
【0006】
本発明によれば、ウェハキャリアの上にはアダプタ部材が取り付けられる。アダプタ部材は、突起部によって持ち上げられた第1の半導体ウェハのうち、ウェハキャリアからはみ出た部分を保持する。従って、第1の半導体ウェハがウェハキャリアから落下することを抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、突起部によって持ち上げられた第1の半導体ウェハがウェハキャリアから落下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係るウェハ押上装置を、ウェハキャリアとともに示す図である。
【図2】図1に示したウェハ押上装置を用いて半導体ウェハを取り出す方法を説明するための図である。
【図3】第2の実施形態に係るウェハ押上装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るウェハ押上装置を、ウェハキャリア100とともに示す図である。このウェハ押上装置は、架台200及びアダプタ部材210を備えている。ウェハキャリア100は、複数の半導体ウェハ10が差し込まれることにより、複数の半導体ウェハ10を平行かつ互いに離間した状態に保持する。半導体ウェハ10の間隔は、例えば5mm以上10mm以下である。ウェハ押上装置の架台200は、ウェハキャリア100を、ウェハキャリア100の差込口が上に向く方向に保持する。架台200には、突起部204が設けられている。突起部204は、第1の半導体ウェハ10をウェハキャリア100から一部がはみ出るまで押し上げる。本実施形態において突起部204は、第1の半導体ウェハ10の隣に位置する第2の半導体ウェハ10には接しない。そしてウェハ押上装置のアダプタ部材210は、ウェハキャリア100の上に取り外し可能に設けられ、第1の半導体ウェハ10のうちウェハキャリア100からはみ出た部分を保持する。アダプタ部材210を設けることにより、第1の半導体ウェハ10がウェハキャリア100から落下することを抑制できる。以下、詳細に説明する。
【0011】
架台200は板状の部材であり、上面にウェハキャリア100を保持させる。架台200の上面には、ガイド部材300が設けられている。ガイド部材300は、ウェハキャリア100の側面を外側からガイドしている。具体的には、ガイド部材300のうちウェハキャリア100に対向する側面にはガイド溝302が設けられている。ウェハキャリア100は、ガイド溝302に差し込まれ、これによりガイド部材300によって保持される。
【0012】
本実施形態において、ガイド部材300は、架台200に対して取り外し可能に設けられている。具体的には、架台200の上面には凹部202が複数設けられている。そしてガイド部材300は、下端が凹部202に差し込まれることにより、架台200の上面に取り外し可能に取り付けられる。また本実施形態では、凹部202は複数設けられている。これら複数の凹部202は、半導体ウェハ10を互いの間に挟まない位置に設けられている。このようにすることで、ウェハ押上装置は、ガイド部材300を取り替えるのみで、複数種類のウェハキャリア100に対して共通化することができる。本図に示す例では、第1のウェハキャリア100(図1に示しているウェハキャリア100)に対応する凹部202の外側に、第1のウェハキャリア100よりも大きい第2のウェハキャリア100に対応する凹部202が設けられている。
【0013】
架台200の上面は、突起部204を除いて、半導体ウェハ10には接していない。このため、ウェハキャリア100を架台200に保持させるとき、半導体ウェハ10に衝撃が加わることを抑制できる。
【0014】
突起部204は、上端に保持溝206を有している。保持溝206は、半導体ウェハ10の外周に沿う形状を有しており、半導体ウェハ10の下端が差し込まれる。ここで突起部204の上端がシリコンゴムなど柔軟性を有する材料により形成されていると、半導体ウェハ10の下端が傷つくことを抑制できる。なお、突起部204の高さは、例えば、第1の半導体ウェハ10の中心がウェハキャリア100からはみ出ないように定められる。
【0015】
突起部204は、例えば架台200に対して取り外し可能に設けられていても良い。例えば架台200の上面に、突起部204を差し込むための凹部を、ウェハキャリア100が半導体ウェハ10を保持している間隔にあわせて設けておくと、検査したい半導体ウェハ10に対応した位置に、突起部204を配置することができる。
【0016】
アダプタ部材210は、上記したようにウェハキャリア100の上に取り外し可能に設けられる。本実施形態において、ウェハキャリア100の上端面には凹部102が設けられており、アダプタ部材210の下面には凸部212が設けられている。そして凹部102に凸部212がはめ込まれることにより、ウェハキャリア100の上にアダプタ部材210が固定される。
【0017】
アダプタ部材210の内側面は、ウェハキャリア100の内側面とほぼ同一の平面を形成している。ウェハキャリア100にはガイド溝104が設けられている。ガイド溝104は、半導体ウェハ10を差し込み保持するための溝である。そしてアダプタ部材210の内周面には、ガイド溝214が設けられている。ガイド溝214は、ウェハキャリア100に設けられているガイド溝104と繋がっている。このため、突起部204によって押し上げられた第1の半導体ウェハ10のうちウェハキャリア100からはみ出た部分は、アダプタ部材210のガイド溝214に差し込まれ、保持される。
【0018】
図2は、図1に示したウェハ押上装置を用いて半導体ウェハ10を取り出す方法を説明するための図である。図1は、ウェハ押上装置及びウェハキャリア100を、半導体ウェハ10の正面方向から見た図であるが、図2は、ウェハ押上装置及びウェハキャリア100を、半導体ウェハ10の側面方向から見た図である。本図に示す例では、架台200には複数の突起部204が一定間隔で設けられており、一定枚数おきに、一枚の半導体ウェハ10が押し上げられている。そして押し上げられた半導体ウェハ10は、吸着ピン400によって吸着されたのち、吸着ピン400によってウェハキャリア100及びアダプタ部材210から取り出される。上記したように、アダプタ部材210には、ガイド溝214が設けられている。ガイド溝214は、ウェハキャリア100のガイド溝104と連続している。このため、半導体ウェハ10はスムーズにウェハキャリア100及びアダプタ部材210から取り出される。
【0019】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態において、架台200の上には、突起部204が、取り出したい半導体ウェハ10の位置にあわせて設けられている。そしてウェハキャリア100は、上面にアダプタ部材210を取り付けた後に、架台200上に載置される。そしてウェハキャリア100を架台200に載置する。このとき、架台200の突起部204が、一部の半導体ウェハ10を上に押し上げる。押し上げられた半導体ウェハ10のうちウェハキャリア100からはみ出た部分は、アダプタ部材210によって保持される。
【0020】
そして架台200からウェハキャリア100を取り外すと、突起部204によって押し上げられていた半導体ウェハ10は、ウェハキャリア100の内側に収容される。その後、アダプタ部材210をウェハキャリア100から取り外す。
【0021】
以上の工程において、突起部204によって押し上げられた半導体ウェハ10は、押し上げられている間はアダプタ部材210によって保持される。このため、第1の半導体ウェハ10がウェハキャリア100から落下することを抑制できる。
【0022】
また、凹部202は複数設けられている。そしてガイド部材300は、ウェハキャリア100の大きさに合わせて適宜選択される。このため、ウェハ押上装置は、ガイド部材300を取り替えるのみで、複数種類のウェハキャリア100に対して共通化することができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係るウェハ押上装置の構成を示す図であり、第1の実施形態における図2に対応している。ただし、図を分かりやすくするために、ガイド溝214などは省略している。本実施形態に係るウェハ押上装置は、以下の点を除いて第1の実施形態に係るウェハ押上装置と同様の構成である。
【0024】
まず、突起部204が並んでいる方向から見た場合、複数の突起部204の上端は徐々に高くなっている。本実施形態では、全ての半導体ウェハ10に対して突起部204が設けられており、かつこれら複数の突起部204の上端は徐々に高くなっている。
【0025】
また、突起部204が並んでいる方向から見た場合、アダプタ部材210の高さは、複数の突起部204と同一方向に徐々に高くなっている。具体的には、アダプタ部材210の高さは、突起部204の高さの上がり具合にあわせて徐々に高くなる。
【0026】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、全ての半導体ウェハ10の上端を一度に確認することができる。従って、半導体ウェハ10の上端にロット番号(又はウェハ番号)が付与されている場合、全ての半導体ウェハ10におけるロット番号を一度に確認することができる。ロット番号を確認した後は、例えば番号順に次の処理又は検査を行うことや、半導体ウェハ10をロット番号順に並び替えることができる。
【0027】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
10 半導体ウェハ
100 ウェハキャリア
102 凹部
104 ガイド溝
200 架台
202 凹部
204 突起部
206 保持溝
210 アダプタ部材
212 凸部
214 ガイド溝
300 ガイド部材
302 ガイド溝
400 吸着ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体ウェハが差し込まれることにより、前記複数の半導体ウェハを互いに平行かつ互いに離間して保持するウェハキャリアを、前記半導体ウェハの差込口が上に向く方向に保持する架台と、
前記架台に設けられ、第1の前記半導体ウェハを前記ウェハキャリアから一部がはみ出るまで押し上げる突起部と、
前記ウェハキャリアの上に取り外し可能に設けられ、前記第1の半導体ウェハのうち前記ウェハキャリアからはみ出た部分を保持するアダプタ部材と、
を備えるウェハ押上装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェハ押上装置において、
前記架台に取り外し可能に取り付けられ、前記ウェハキャリアを外側からガイドするガイド部材と、
前記架台に設けられ、それぞれに対して前記ガイド部材の端部が差し込むことができる凹部と、
を備え、
前記凹部は、前記ウェハキャリアを互いの間に挟まない位置に複数設けられているウェハ押上装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のウェハ押上装置において、
前記突起部が複数設けられており、
前記複数の突起部が並んでいる方向で見た場合、前記複数の突起部の上端は徐々に高くなっているウェハ押上装置。
【請求項4】
請求項3に記載のウェハ押上装置において、
前記複数の突起部が並んでいる方向で見た場合、前記アダプタ部材の高さは、前記複数の突起部と同一方向に徐々に高くなっているウェハ押上装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−222293(P2012−222293A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89321(P2011−89321)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】