説明

ウェブの洗浄装置および方法

【課題】高い清浄度でウェブを洗浄する。
【解決手段】表面に洗浄液が供給される洗浄ローラ5に、当該洗浄ローラ5上に形成される洗浄液の液膜を介してウェブ2を巻装させた状態で、当該ウェブ2が搬送させられ、洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とが異なる速度に制御される。これにより、洗浄ローラ5とウェブ2との間に、大きな速度勾配を持った液流を有する薄い液膜が容易に形成され得る。かかる液流により、ウェブ2へのダメージを抑えて、効果的に異物がウェブ2から除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルム、ガラスフィルム、金属フィルム等のウェブの洗浄装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム、ガラスフィルム、金属フィルム等の各種ウェブは、FPD(フラットパネルディスプレイ)分野、エレクトロニクス分野、光学用分野等の様々な分野で使用されている。プラスチックフィルムは、製膜、塗工、貼合等の工程を経て、部材や、プロセス材として使用される。例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、SED、CRT等の製品において、機能性光学用プラスチックフィルムが使用されている。また、リチウムイオン電池等の製品において、銅箔やアルミ箔等の金属フィルム(金属箔)が使用されている。
【0003】
このようなウェブの製造工程においては、終始クリーンな環境下での取り扱いが必須であり、埃、繊維、フィルム粕等の異物の製品への混入や付着等の欠陥、及びそれらに起因するキズ、押し跡等の物理的欠陥の発生は厳重に管理されている。また、欠陥の程度についても、従来問題とされなかった非常に微細な欠陥が許容されなくなってきており、改善が要請されている。
【0004】
このような問題を解消するため、近年では、プラスチックフィルム等のウェブを洗浄することにより、ウェブ上の異物を除去する取組みが行われている。
【0005】
例えば、下記特許文献1では、超音波発生ノズルを有し、この超音波発生ノズルから噴出されるエアによる気流と超音波による振動とによって、フィルム上の塵埃を除去する洗浄ノズルが提案されている。
【0006】
また、下記特許文献2では、洗浄手段が洗浄ノズルから連続して洗浄液を噴霧し、洗浄液再循環手段が落下した洗浄液を再循環させ、乾燥手段が連続して温風を吹き付ける光学用プラスチックフィルムの洗浄・乾燥方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−239761号公報
【特許文献2】特開2002−292347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、吹き付けたエアによって剥離した塵埃が付近に散乱して、フィルムに再付着する虞があり、また、フィルムに強固に付着したものについては十分に除去できないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、洗浄液としてアルコール、エステル等を使用した場合には、プラスチックフィルムの可塑剤が溶出して、フィルム特性の変化と均一性の低下を招くことが問題となる。また、ロールまたはバーによるスキージングのみでは洗浄液を十分除去できず、生産性が低いという問題もある。
【0010】
このように特許文献1および2に記載の技術では、フィルムを洗浄しても、フィルムの表面に付着した非常に微細な異物を良好に除去することができないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高い清浄度でウェブを洗浄することが可能なウェブの洗浄装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく、本発明に係るウェブの洗浄装置は、表面に洗浄液が供給される洗浄ローラと、前記洗浄ローラに、当該洗浄ローラ上に形成される前記洗浄液の液膜を介してウェブを巻装させた状態で、当該ウェブを搬送する搬送手段と、前記洗浄ローラの周速度と前記ウェブの搬送速度とを異なる速度に制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成すべく、本発明に係るウェブの洗浄方法は、表面に洗浄液が供給される洗浄ローラに、当該洗浄ローラ上に形成される前記洗浄液の液膜を介してウェブを巻装させた状態で、当該ウェブを搬送するステップと、前記洗浄ローラの周速度と前記ウェブの搬送速度とを異なる速度に制御するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高い清浄度でウェブを洗浄することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るウェブの洗浄装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本実施形態に係るウェブの洗浄装置の制御ブロック図である。
【図3】洗浄ローラとウェブとの間に形成される液膜について説明するための図である。
【図4】洗浄ローラとウェブとの間に形成される液流について説明するための図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るウェブの洗浄装置の概略構成を示す図である。
【図6】ウェブの洗浄装置の変形例の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るウェブの洗浄装置1の概略構成を示す断面図、図2は、本実施形態に係るウェブの洗浄装置1の制御ブロック図である。なお、図1における各要素は、発明の理解を容易にするために適宜拡大、縮小または簡略化されて描かれており、実際とは異なる場合がある(以降の図面において同じ)。
【0017】
図1に示すように、洗浄装置1は、ウェブ2を洗浄するための洗浄液4が収容されている洗浄槽3と、当該洗浄槽3内の洗浄液4に少なくとも一部が浸漬した洗浄ローラ5と、を有している。なお、洗浄ローラ5は、その全体が洗浄液4に浸漬していてもよい。また、洗浄槽3や洗浄ローラ5は、複数備えられていてもよい。本実施形態では、洗浄ローラ5の少なくとも一部が洗浄液4に浸漬させられ、好ましくはその状態で洗浄ローラ5を回転させることにより、洗浄ローラ5の表面に洗浄液4が供給される構成とされている。
【0018】
また、本実施形態では、ウェブ2は、洗浄槽3に収容されている洗浄液4の中で洗浄ローラ5に液膜を介して巻装されて、後記の搬送手段により搬送されるように構成されている。
【0019】
洗浄対象のウェブ2としては、例えば液晶ディスプレイ等に用いられるプラスチックフィルムが使用される。使用されるプラスチックフィルムの厚さは、5〜2000μm、好ましくは15〜500μm、より好ましくは20〜200μmの範囲内である。但し、本発明は、ガラスフィルム、金属フィルム等の他の種類のウェブにも適用可能である。
【0020】
洗浄液4としては、特に限定されるものではないが、例えば、防錆剤を含む準水系の液体、超純水等が好ましくは使用される。このようにすれば、ウェブ2がプラスチックフィルムの場合であっても、品質が損なわれることはない。但し、ウェブ2が例えば銅箔やアルミ箔等の金属フィルムの場合には、当該金属と反応するものでなければ洗浄液にアルコール、エステル等が含まれていてもよい。
【0021】
洗浄によりウェブ2から除去されるべき異物9(図4参照)は、ウェブ2の面に付着等して存在する埃、繊維、フィルム粕、汚れ等を含む概念であり、10μm程度の微細な塵埃を含むものである。
【0022】
図2に示すように、洗浄装置1は、ウェブ2が懸架され当該ウェブ2を搬送するための搬送ローラ7と、当該搬送ローラ7に回転駆動力を伝達するための搬送ローラ駆動用モータ8とを有している。ここで、搬送ローラ7と搬送ローラ駆動用モータ8とは、ウェブ2を搬送する搬送手段を構成する。また、洗浄装置1は、洗浄ローラ5に回転駆動力を伝達するための洗浄ローラ駆動用モータ6を有している。
【0023】
さらに、洗浄装置1は、洗浄ローラ駆動用モータ6および搬送ローラ駆動用モータ8の動作を制御する制御手段10を有している。具体的には、制御手段10は、ウェブ2の洗浄時において、洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とを所定の異なる速度に制御する。
【0024】
洗浄装置1は、洗浄ローラ5上に形成される洗浄液の液膜を介して、ウェブ2を洗浄ローラ5に巻装させる状態を作り出すことができる。換言すれば、この状態において、洗浄ローラ5とウェブ2との間に液膜が介在する結果、洗浄ローラ5とウェブ2とは直接接触することはなく、すなわち非接触である。
【0025】
図3は、洗浄ローラ5とウェブ2との間に形成される液膜について説明するための図である。説明の便宜上、図3は、図1とは異なる視点から見た図として描かれている。液膜の高さ(厚さ)は、下記式(1)(橋本、コンバーテック35巻8号、2007.8を参照)で表される浮上量hで与えられる。
【0026】
【数1】

【0027】
ここで、hは浮上量(液膜の高さ)、Rはローラの半径、ηは水の粘性係数、Urはローラの周速度、Uwはウェブの搬送速度、Tはウェブの張力を表す。
【0028】
ウェブ2の搬送速度は、任意に選択でき(一般に顧客の要望によって決まる)、例えば100m/分程度の高速搬送にも対応可能である。この場合、洗浄ローラ5の周速度Urとウェブ2の張力Tとを調整することにより、1mm以下(例えば0.1〜0.5mm)といった非常に狭い洗浄ローラ5およびウェブ2間の隙間に、洗浄液4の液膜を発生させることが可能である。つまり、洗浄ローラ5およびウェブ2間に浮上量hの寸法を持つ隙間を生じさせ、その隙間に洗浄液4の液膜を発生させることが可能である。
【0029】
洗浄ローラ5の少なくとも外層は、錆びずに形状を保持できる観点から、例えばSUS304等のステンレス鋼により形成されることが好ましい。また、洗浄ローラ5およびウェブ2を相互にスリップさせてウェブ2を洗浄ローラ5の表面から浮上させ易くするために、洗浄ローラ5の外周面は、表面粗さが小さくなるように研磨加工が施されていることが好ましい。
【0030】
次に、上記のように構成された洗浄装置1の動作について説明する。初期において、制御手段10は、洗浄ローラ駆動用モータ6と搬送ローラ駆動用モータ8とを制御して、洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とが同じになるように、洗浄ローラ5と搬送ローラ7とを徐々に回転させる。そして、ウェブ2が洗浄ローラ5の表面から浮上した状態になると、制御手段10は、洗浄ローラ5の回転速度を徐々に変化させて、ウェブ2の洗浄時において、洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とを所定の異なる速度に制御する。
【0031】
すなわち、洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とが初期において同じ速度となるように上昇させられた後に、ウェブ2が洗浄ローラ5の表面から液膜を介して浮上し、次いで、ウェブ2が洗浄ローラ5の表面から液膜を介して浮上した状態で、洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とが異なる速度となるように制御される。これにより、ウェブ2がダメージを受けにくくなる。この場合において、初めは、洗浄ローラ5とウェブ2とを同方向に回転させ、順次、洗浄ローラ5の回転を変化させて逆転させること(正転→停止→逆転)が可能である。ウェブ2の洗浄時には、ウェブ2は、一定の張力Tがかけられると共に、一定速度Uwで搬送される。
【0032】
本実施形態では、図1および図3に示すように、ウェブ2の洗浄時において、洗浄ローラ5の回転方向とウェブ2の搬送方向とは逆方向に設定される。
【0033】
図4は、洗浄ローラ5とウェブ2との間に形成される液流について説明するための図である。洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とが異なるため、洗浄ローラ5とウェブ2との間の流体に生じる粘性によって、クエット流と呼ばれる定常流が生じる。流れが層流の形に保たれる場合、流速は、図中矢印で示すように両者間で直線的に変化する速度勾配を有している。
【0034】
図4に示すように、本実施形態の洗浄装置1によれば、洗浄ローラ5とウェブ2との間に、ウェブ2の表面に対して平行な液流が形成される。かかる液流によって、ウェブ2に付着した異物9に下記式(2)(富樫他、日本機械学会論文集69巻677号(2003-1)を参照)で表される水平方向の力Fdetが働き、異物9を除去する。
【0035】
【数2】

【0036】
ここで、Fdetは異物に働く力、dは異物の直径、uは水流の速度、ηは水の粘性係数、cは補正係数を表す。また、zはウェブ表面からの垂直方向の距離、(du/dz)wは該垂直方向における速度勾配を表す。
【0037】
ウェブ2の表面においては、液流の速度はウェブ2の搬送速度と同じであり、異物9はウェブ2に付着して共に運ばれるため、洗浄液4と異物9との相対速度は0である。したがって、異物9に働く剥離力を大きくするためには、式(2)からもわかるように、速度勾配(du/dz)wを極力大きくする必要がある。
【0038】
なお、図4は、洗浄ローラ5の回転方向とウェブ2の搬送方向とが逆方向の場合の液流を示している。このようにすれば、大きな速度勾配を持った液流を有する薄い液膜が発生し易くなると考えられる。但し、本発明は、洗浄ローラ5の回転方向とウェブ2の搬送方向とが同方向の場合にも適用可能である。このようにすれば、制御手段10による速度制御が簡単で済むとともに、液膜が十分形成されていないときでも、洗浄ローラ5とウェブ2とが擦れることによるダメージを受けにくい。さらには、本発明は、洗浄ローラ5が非回転で固定されている場合にも適用可能である。この場合でも、ウェブ2を所定速度で搬送することにより、洗浄ローラ5とウェブ2との間に、所定の速度勾配を持った液流を有する液膜を形成することが可能である。
【0039】
前述したように、ウェブ2は、洗浄液4の中で洗浄ローラ5に液膜を介して巻装されて、搬送される。さらには、搬送開始の前に、ウェブ2は既に洗浄液4に浸かっている。このため、ウェブ2の搬送開始時に、当該ウェブ2にダメージを受けにくいという利点がある。
【0040】
図1に示すように、洗浄槽3内の洗浄液4は、およそ洗浄ローラ5の軸方向長さの範囲内において、ウェブ2によって液膜の部分とそれ以外の部分とに区画される。したがって、液膜部分の液流の速度分布によっては、洗浄ローラ5のウェブ2に対する近接開始側(図中左側)か、洗浄ローラ5のウェブ2に対する離反開始側(図中右側)かのいずれかの液膜部分において、洗浄液4が引き込まれる結果、洗浄ローラ5の軸方向中央部付近の洗浄液4が少なくなる虞がある。この場合、洗浄液4が洗浄ローラ5の軸方向端部付近から流れ込むことができるものの、軸方向中央部付近の洗浄液4の不足を解消することは困難である。これを解消するために、図示しない洗浄液供給手段が、図中上方から洗浄ローラ5とウェブ2との間の洗浄液が不足している箇所に、洗浄液を供給するように構成されることが望ましい。
【0041】
以上述べたように、本実施形態では、表面に洗浄液が供給される洗浄ローラ5に、当該洗浄ローラ5上に形成される洗浄液の液膜を介してウェブ2を巻装させた状態で、当該ウェブ2が搬送させられ、洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とが異なる速度に制御される。
【0042】
このように本実施形態によれば、洗浄ローラ5とウェブ2との間に、ウェブ2の表面に平行な液流を有する液膜を形成することができる。また、洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とが異なる速度に制御されているため、液流は所定の速度勾配を有することになる。したがって、洗浄ローラ5とウェブ2との間に、大きな速度勾配を持った液流を有する薄い液膜が容易に形成され得る。かかる液流により、ウェブ2へのダメージを抑えて、効果的に異物9をウェブ2から除去することができる。このようにして高い清浄度でウェブ2を洗浄することが可能になる。また、薄い液膜を利用した洗浄であるため、洗浄液の使用量も少なくて済み、コストの低減が図られる。
【0043】
図5は、本発明の他の実施形態に係るウェブの洗浄装置1aの概略構成を示す図である。図1に示した実施形態と同様の構成および作用は、この実施形態に取り込まれるものとして詳細な説明を省略し、図1に示した実施形態と相違する構成および作用について重点的に説明する。なお、図5において、図1に示した実施形態と機能が共通する部材には同一の符号を付してある。
【0044】
この実施形態では、ウェブ2は、洗浄槽3に収容されている洗浄液4の外で洗浄ローラ5に液膜を介して巻装されて、搬送されるように構成されている。この場合、洗浄ローラ5の回転により、洗浄液4が洗浄ローラ5上に乗って洗浄槽3から引き上げられ、その結果、洗浄ローラ5とウェブ2との間に運ばれる。
【0045】
この実施形態によっても、洗浄ローラ5とウェブ2との間に、大きな速度勾配を持った液流を有する薄い液膜を容易に形成することができ、図1に示した実施形態と同様の効果を奏することができる。また、この実施形態によれば、図1に示した実施形態のような洗浄ローラ5の軸方向中央部付近において洗浄液4が少なくなる虞はないため、洗浄液供給手段を別途設ける必要はない。したがって、例えば幅寸法が大きいウェブ2を洗浄する必要が生じた場合にも、柔軟に対応することができる。
【0046】
図5は、洗浄ローラ5の回転方向とウェブ2の搬送方向とが逆方向の場合の液流を示している。但し、図1に示した実施形態と同様に、本発明は、図5において洗浄ローラ5の回転方向とウェブ2の搬送方向とが同方向の場合にも適用可能である。さらには、本発明は、図5において洗浄ローラ5が非回転で固定されている場合にも適用可能である。但し、図5の場合において洗浄ローラ5が非回転であると、洗浄液4を洗浄ローラ5とウェブ2との間に運べない。このため、図示しない洗浄液供給手段としての洗浄ノズルが、洗浄ローラ5とウェブ2との間の洗浄ローラ5の表面に向けて洗浄液を送出することにより、洗浄ローラ5の表面に洗浄液4を供給するように構成する必要がある。このような洗浄ノズルを使用する場合には、洗浄ローラ5を洗浄液4に浸漬させる必要は必ずしもない。
【0047】
なお、図6に示すように、洗浄ローラ5を回転させる場合においても、洗浄ローラ5の表面に向けて洗浄液を送出する洗浄ノズル11を使用することが可能である。この場合、洗浄液4が洗浄ローラ5上に乗って効果的に洗浄ローラ5とウェブ2との間に運ばれるように、洗浄ローラ5およびウェブ2の最近接点よりも洗浄ローラ5の回転方向上流側に配置された洗浄ノズル11から、洗浄ローラ5の表面に向けて洗浄液4を送出するように構成することが好ましい(図6(a)(b)参照)。
【0048】
以上、本発明のウェブの洗浄装置および方法について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0049】
例えば、制御手段10は、ウェブ2の洗浄時において、洗浄ローラ5の周速度とウェブ2の搬送速度とを所定の異なる速度に制御するものであるが、洗浄ローラ5の周速度およびウェブ2の搬送速度について、最終的な洗浄時の速度に達するまでの過渡的な速度制御の仕方は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
1,1a 洗浄装置
2 ウェブ
4 洗浄液
5 洗浄ローラ
7 搬送ローラ(搬送手段)
8 搬送ローラ駆動用モータ(搬送手段)
9 異物
10 制御手段
11 洗浄ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に洗浄液が供給される洗浄ローラと、
前記洗浄ローラに、当該洗浄ローラ上に形成される前記洗浄液の液膜を介してウェブを巻装させた状態で、当該ウェブを搬送する搬送手段と、
前記洗浄ローラの周速度と前記ウェブの搬送速度とを異なる速度に制御する制御手段と、
を有することを特徴とするウェブの洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄ローラの少なくとも一部が洗浄液に浸漬していることを特徴とする請求項1に記載のウェブの洗浄装置。
【請求項3】
前記ウェブは、前記洗浄液の外で前記洗浄ローラに前記液膜を介して巻装されて、搬送されることを特徴とする請求項2に記載のウェブの洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄ローラの表面に向けて洗浄液を送出することにより前記洗浄ローラの表面に洗浄液を供給する洗浄ノズルを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェブの洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄ローラの回転方向と前記ウェブの搬送方向とは逆方向に設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のウェブの洗浄装置。
【請求項6】
表面に洗浄液が供給される洗浄ローラに、当該洗浄ローラ上に形成される前記洗浄液の液膜を介してウェブを巻装させた状態で、当該ウェブを搬送する搬送ステップと、
前記洗浄ローラの周速度と前記ウェブの搬送速度とを異なる速度に制御する制御ステップと、
を有することを特徴とするウェブの洗浄方法。
【請求項7】
前記搬送ステップにおいて、前記洗浄ローラの周速度と前記ウェブの搬送速度とが初期において同じ速度となるように上昇させられた後に、前記ウェブが前記洗浄ローラの表面から前記液膜を介して浮上し、
前記制御ステップにおいて、前記ウェブが前記洗浄ローラの表面から前記液膜を介して浮上した状態で、前記洗浄ローラの周速度と前記ウェブの搬送速度とが異なる速度となるように制御されることを特徴とする請求項6に記載のウェブの洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−255343(P2011−255343A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133827(P2010−133827)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】