説明

ウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系

【課題】回折面と屈折面を具備するウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系が提供される。
【解決手段】本発明は、レンズ基板(lens substrate)、上記レンズ基板の物体側の面に形成され陽の屈折力を有する第1レンズ要素、上記レンズ基板の像側面に形成され回折面を具備する第2レンズ要素、及び上記第2レンズ要素の回折面に積層され陰の屈折力を有する第3レンズ要素、を含むウェーハスケールレンズを提供する。本発明によれば、超小型光学系の具現が可能で効果的に画角を補正し回折面に入射する光の角度を減らすことにより回折効率が高くなり高次回折光が除去され画質が改善されるという効果を得ることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系に使用されるウェーハスケールのレンズ及びこれを具備する光学系に関することとして、より詳細には回折面と屈折面を利用し優秀な光学的性能を具現することが可能な光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、モバイルフォーンは初期には通信手段の機能のみ有していた。しかし、その使用が増大するに連れ写真撮影または画像伝送ないし通信など要求されるサービスが多様になっており、これに伴いその機能とサービスが進化を重ねている。最近はデジタルカメラの技術とモバイルフォーン技術を融合させた拡張された新たな概念のモバイルフォーン、いわゆるカメラフォーン(camera phoneまたはcamera mobile phone)が大きく脚光をあびている。さらにデジタルキャムコーダー技術をモバイルフォーン技術に融合させ数十分以上の動画像マルチメディアを貯蔵、伝送することが可能ないわゆるキャムコーダーモバイルフォーン(camcorder mobile phoneまたはcamcorder phone)も開発されつつある。
【0003】
このようなモバイルフォーンだけではなく、コンピュータが大衆化普遍化されることにより画像チャットや画像会議のためピーシー(PC)カメラも急速に普及され大衆化されつつある。また、一般スチールカメラもまたデジタルカメラに急速に代替されつつある。
【0004】
このようなカメラは通常その特性上カメラ装置が小型かつ軽量であることが要求される。このため従来にはプラスチックまたはグラス材質のレンズを利用した光学系が使用されたが、このような超小型の光学系具現には限界があった。
【0005】
このような問題点を克服するため、一つのレンズ基板に多数のレンズを同時に形成するレプリカ法(replica method)を使用しレンズ及び光学系を形成する方法が提案されて来たが、レンズ基板に形成されるポリマーの厚さに限界があり効率的な光学系を具現するには困難なところがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのこととして、一つのレンズ基板に回折面と屈折面を同時に形成し効率的に収差を補正することが可能なウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系を提供することを目的とする。
【0007】
また、回折面に入射される光の角度を減らすことにより効果的に広い画角を効果的に補正しこれを通じ高い回折効率と高画質を実現することが可能なウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系を提供することを目的とする。
【0008】
そして、回折面を通過した光を再び拡散させ光学系の大きさを減らすことが可能なウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系を提供することを目的とする。
【0009】
また、レプリカ法を利用し超小型の光学系を具現すると同時に大量生産に効率的なウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するための一側面として、レンズ基板(lens substrate)、上記レンズ基板の物体側の面に形成され陽の屈折力を有する第1レンズ要素、上記レンズ基板の像側面に形成され回折面を具備する第2レンズ要素、及び上記第2レンズ要素の回折面に積層され陰の屈折力を有する第3レンズ要素、を含むウェーハスケールレンズを提供する。
【0011】
この際、上記第1レンズ要素の光軸上の厚さは180μm以上であることが好ましく、上記第3レンズ要素は強い陰の屈折力を有するよう外郭部の最大厚さが150μm以上であることが好ましい。
【0012】
また、上記第2レンズ要素の回折面は平面または曲面からなることが可能である。好ましくは、上記第2レンズ要素と第3レンズ要素の屈折率の差は0.1以上である。より好ましくは、上記第2レンズ要素の屈折率は1.58以上で第3レンズ要素の屈折率は1.48以下である。
【0013】
また、上記レンズ基板の面または第1ないし第3レンズ要素の面は赤外線遮断コーティングが成されることが可能である。
【0014】
他の側面として本発明は、第1レンズ基板(lens substrate)と、上記第1レンズ基板の物体側の面に形成され陽の屈折力を有する第1レンズ要素と、上記第1レンズ基板の像側面に形成され回折面を具備する第2レンズ要素と、上記第2レンズ要素の回折面に積層され陰の屈折力を有する第3レンズ要素を具備する第1ウェーハスケールレンズ、上記第1ウェーハスケールレンズの後方に設置され、第2レンズ基板(lens substrate)と、上記第2レンズ基板の物体側の面に形成され陽の屈折力を有する第4レンズ要素と、上記第2レンズ基板の像側面に形成され各々のフィールド別に収差を補正する第5レンズ要素を具備する第2ウェーハスケールレンズ、及び上記第2ウェーハスケールレンズから結像されたイメージを感知するイメージセンサー、を含むウェーハスケールレンズを具備する光学系を提供する。
【0015】
この際、上記第1レンズ要素の光軸上の厚さは180μm 以上であることが好ましく、上記第3レンズ要素は強い陰の屈折力を有するよう外郭部の最大厚さが150μm以上であることが好ましい。
【0016】
また、上記第2レンズ要素の回折面は平面または曲面からなることが可能である。好ましくは、上記第2レンズ要素と第3レンズ要素の屈折率の差は0.1以上である。さらに好ましくは、上記第2レンズ要素の屈折率は1.58以上で第3レンズ要素の屈折率は1.48以下である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、一つのレンズ基板に回折面と屈折面を同時に形成し効率的に収差を補正することが可能という効果を得ることが可能である。
【0018】
また、第1レンズ要素の光軸上の厚さを大きくすることにより回折面に入射される光の角度を減らし、これを通じ広い画角を効果的に補正し高い回折効率を具現すると同時に高次の回折光を除去することにより高画質を実現することが可能という有利な効果がある。
【0019】
そして、回折面を通過した光を効果的に拡散させることが可能であるよう第3レンズ要素の屈折力を大きくすることにより、光学系の大きさを減らすことが可能という効果を得ることが可能である。
【0020】
また、第3レンズ要素を透過した光を再び集める第4レンズ要素と各々のフィールド別に諸収差を補正する第5レンズ要素を具備することにより効率的な光学系を具現することが可能となる。
【0021】
さらに、レプリカ法を利用しウェーハスケールレンズを製作することにより超小型の光学系を具現すると同時に大量生産に適合という効果を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、レプリカ(replica)法を利用し、レンズ基板に屈折面と回折面を同時に形成し色収差を補正すると同時に、回折面に入射する光の角度を減らし回折効率を高め高次回折光を除去することにより高画質を実現することが可能なウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系を実現することを特徴とする。
【0023】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面に伴いより詳細に説明する。図1aは本発明によるウェーハレンズを具備する光学系の第1実施例を図示したレンズ構成図である。以下のレンズ構成図において、レンズの厚さ、大きさ、形状は説明のため多少誇張して図示されており、特にレンズ構成図から提示された球面または非球面の形状は一例として提示されただけでこの形状に限定されない。
【0024】
図1aに図示された通り、本発明の実施例によるウェーハスケールレンズを具備する光学系は物体側から順番に、第1ウェーハスケールレンズLG1と、第2ウェーハスケールレンズLG2と像面IPに該当するイメージセンサー(未図示)を具備する。
【0025】
上記第1ウェーハスケールレンズLG1は第1レンズ基板(lens substrate)S1と、上記第1レンズ基板S1の物体側の面2に形成され陽の屈折力を有する第1レンズ要素L1と、上記第1レンズ基板S1の像側面3に形成され回折面4を具備する第2レンズ要素L2と、上記第2レンズ要素L2の回折面4に積層され陰の屈折力を有する第3レンズ要素L3を具備する。すなわち、上記第2レンズ要素L2は回折光学素子(DOE、Diffractive Optical Element)に該当する。
【0026】
また、第2ウェーハスケールレンズLG2は第2レンズ基板(lens substrate)S2と、上記第2レンズ基板S2の物体側の面7に形成され陽の屈折力を有する第4レンズ要素L4と、上記第2レンズ基板S2の像側面8に形成され各々のフィールド別に収差を補正する第5レンズ要素L5を具備する。
【0027】
また、上記イメージセンサーは像面(IP)に位置し、第1ウェーハスケールレンズLG1及び第2ウェーハスケールレンズLG2を通過した光イメージを感知し電気的信号に変換させるようCCDまたはCMOS等からなる。
【0028】
また、第1レンズ基板S1の物体側の面2には開口絞り(未図示)が設置される。一方、上記第2ウェーハスケールレンズLG2の後側には光学的低域フィルタや色フィルタ、フェイスプレート(face plate)等に対応し赤外線フィルタとカバーグラス(cover glass)等が設置されることが可能で、本発明の光学的特性には原則的に影響を及ぼさないこととする。
【0029】
本発明による第1ウェーハスケールレンズLG1は図1bに図示された通り、第1レンズ基板S1の物体側の面2に陽の屈折力を有する第1レンズ要素L1が形成され、像側面3に回折光学素子からなる第2レンズ要素L2が形成され、上記第2レンズ要素L2の回折面4に陰の屈折力を有する第3レンズ要素L3が形成される。
【0030】
このように、一つのレンズ基板に屈折面と回折面を同時に具備するようにして色収差を効率的に補正することが可能であるようにする。
【0031】
また、上記第1レンズ要素L1は光軸上において180μm以上の厚さH1を有するよう形成される。
【0032】
従来はレプリカ法によりレンズ要素を製作する際、ポリマーの収縮などによりポリマーの高さ(厚さ)、すなわち, サグ(sag)が50μm以下に制限され強い屈折力を有する光学系を具現し難かった。
【0033】
しかし、本発明は、第1レンズ要素L1の厚さを大きくすることにより強い陽の屈折力を有するレンズ要素を提供する。
【0034】
このように、厚さが大きいレンズ要素の製作は厚さが小さいポリマー層を多数形成することにより形成されることが可能であるが、これに限定されない。
【0035】
このように、第1レンズ要素L1の光軸上の厚さH1を大きくすることにより強い屈折力を提供することが可能となる。
【0036】
これを通じ大きい画角を効率的に補正し回折光学素子、すなわち第2レンズ要素L2に入射される光の角度を減らすことにより回折光学素子の回折効率を高めることが可能になり、またイメージセンサーにおいてノイズとして作用する高次回折光が除去され画質が改善されるという利点を得ることが可能となる。
【0037】
図1bに図示された通り、第1レンズ基板S1の像側面3に形成される回折光学素子、すなわち第2レンズ要素L2は平面または曲面に凸凹パターンの回折面4が具備される。
【0038】
特に、基本面が曲面を成しここに回折光学素子が形成される場合には屈折面が一つ増加する効果を得ることが可能なため、効率的な光学系を具現することが可能という利点を得ることが可能となる。
【0039】
上記回折面4は第1レンズ基板S1に積層されるポリマーにより一体で形成され、上記回折面4が硬化された後上記回折面4の上に第3レンズ要素L3が形成される。
【0040】
一方、図1bの回折格子の格子高さ(H3)は凸凹パターンの凹部と凸部の高低差に該当することとして、このような格子高さH3は隣するレンズ要素L2、L3の屈折率の差により決定される。
【0041】
一般的に、同一の光学的機能を有する回折光学素子の凸凹パターンを考慮する場合、格子の高さH3は隣するレンズ要素L2、L3の間の屈折率の差に反比例する。すなわち、隣するレンズ要素L2、L3の間の屈折率の差を大きくすると格子高さを低くすることが可能である。
【0042】
この際、凸凹パターンの加工精密度と加工性を考慮すると凸凹パターンの格子高さH3は低いのが好ましい。
【0043】
本発明によるウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系はこのような凸凹高さを低めるため第2レンズ要素L2と第3レンズ要素L3の屈折率の差は1.0以上であることが好ましい。
【0044】
また、第2レンズ要素L2と第3レンズ要素L3に使用されるポリマーの材質を考慮する時、上記第2レンズ要素L2の屈折率は1.58以上であることが好ましく、第3レンズ要素L3の屈折率は1.48以下であることが好ましい。
【0045】
第3レンズ要素L3は回折面4に形成され陰の屈折力を有する。このように、陰の屈折力を有する第3レンズ要素L3を形成することにより、第3レンズ要素L3を通過した光を再び拡散させることにより光学系の大きさを減らすことが可能となる。
【0046】
このように、光学系の超小型化のため上記第3レンズ要素L3は可能な限り強い陰の屈折力を有することが好ましく、このため上記第3レンズ要素L3の外郭部の最大厚さ(高さ)H2は150μm以上であることが好ましい。
【0047】
また、本発明によるウェーハスケールレンズを具備する光学系は第2レンズ基板(lens substrate)S2に形成され、第4レンズ要素L4と第5レンズ要素L5を具備する第2ウェーハスケールレンズLG2を具備する。
【0048】
上記第4レンズ要素L4は上記第2レンズ基板S2の物体側の面7に陽の屈折力を有するよう形成され第1ウェーハスケールレンズLG1の第3レンズ要素L3から拡散された光を再び集める役割をする。
【0049】
また、上記第5レンズ要素L5は上記第2レンズ基板S2の像側面8に形成され各々のフィールド別に収差を補正する機能を遂行する。
【0050】
一方、上記第1レンズ基板S1、第2レンズ基板S2、第1ないし第5レンズ要素L1、L2、L3、L4、L5の面には紫外線コーティングされることが可能で、このような場合には紫外線フィルタが別途に具備されなくても良いと言う利点を得ることが可能である。
【0051】
以下、具体的な数値実施例を通じ本発明に対して説明する。以下の実施例1ないし3と比較例は全て前述した通り、物体側から順番に、第1ウェーハスケールレンズLG1と、第2ウェーハスケールレンズLG2と像面IPに該当するイメージセンサー(未図示)を具備する。
【0052】
この際、上記第1ウェーハスケールレンズLG1は第1レンズ基板(lens substrate)10と、上記第1レンズ基板S1の物体側の面2に形成され陽の屈折力を有する第1レンズ要素L1と、上記第1レンズ基板S1の像側面3に形成され回折面4を具備する第2レンズ要素L2と、上記第2レンズ要素L2の回折面4に積層され陰の屈折力を有する第3レンズ要素L3を具備し、第2ウェーハスケールレンズLG2は第2レンズ基板(lens substrate)S2と、上記第2レンズ基板S2の物体側の面7に形成され陽の屈折力を有する第4レンズ要素L4と、上記第2レンズ基板S2の像側面8に形成され各々のフィールド別に収差を補正する第5レンズ要素L5を具備する。
【0053】
また、上記イメージセンサーは像面IPに位置し、第1レンズ基板S1の物体側の面2には開口絞り(未図示)が設置され、上記第2ウェーハスケールレンズLG2と像面IPの間には赤外線フィルタ、カバーグラス等からなる光学的フィルタが具備され得る。
【0054】
以下の各実施例及び比較例において使用される非球面は公知の数学式1から得られ、円錐(Conic)定数(K)及び非球面係数(A、B、C)に使用される'E及びこれに連なる数字'は10の累乗を示す。例えば、E+01は10を、E-02は10-2を示す。
【0055】
【数1】

Z:レンズの頂点から光軸方向への距離
Y:光軸に垂直な方向への距離
c:レンズの頂点における曲率半径(r)の逆数
K:円錐(Conic)定数
A、B、C、D、E、F:非球面係数
【0056】
また、各々の実施例及び比較例において第4面は回折光学素子による回折面として、位相項は次の数学式2から得られる。
【0057】
【数2】

Φ:高さYにおける位相
λ:光の波長
Y:光軸に垂直な方向への距離
、a、a、a、a、a:位相項の係数
【実施例1】
【0058】
下記の表1は本発明の第1実施例による数値例を示している。また、図1aは本発明の第1実施例に伴うウェーハスケールレンズを具備する光学系のレンズ配置を示すレンズ構成図で、図1bは第1ウェーハスケールレンズの拡大図で、図2(a)ないし(c)は表1及び図1に図示された光学系の諸収差度を示し、図3は第1実施例のMTF特性を図示したグラフである。
【0059】
また、以下の非点収差図面の"S"はサジタル(sagittal)、"T"はタンジェンシャル(tangential)を示す。
【0060】
ここで、MTF(Modulation Transfer Function)はミリメートル当たりサイクルの空間周波数に依存し、光の最大強度(Max)と最小強度(Min)の間で次の数学式3により定義される値である。
【0061】
【数3】

即ち、MTFが1の場合が最も理想的でMTF値が減少すると解像度が落ちる。
【0062】
第1実施例はFナンバー(FNo)が2.8で、画角は60度、第1レンズ要素の物体側面1から像面までの距離(以下'TL'とする)は3.28mm、光学系の有効焦点距離(f)は2.76mm、第1ウェーハスケールレンズLG1の焦点距離(f1)は3.52mm、第2ウェーハスケールレンズLG2の焦点距離(f2)は7.01mmで、像高(image height)は3.2mm、画素数は640×480で、ピクセル大きさは4μmである。
【0063】
【表1】

【0064】
ここで、第4面の回折面は数学式2により得られ、各々の係数は次の通りである。
:-0.183372E-01
:-0.593600E-01
:0.266720E-02
:0.105593E+01
:-0.215752E+01
:0.129605E+01
【0065】
また、表において*は非球面を表わし、実施例1の場合第1面(第1レンズ要素の物体側の面)、第5面(第3レンズ要素の像側面)、第6面(第4レンズ要素の物体側面)及び第9面(第5レンズ要素の像側面)が非球面である。
【0066】
数学式1による実施例1の非球面係数の値は次の表2の通りである。
【表2】

【実施例2】
【0067】
下記の表3は本発明の第2実施例による数値例を表わしている。また、図4は本発明の第2実施例に伴うウェーハスケールレンズを具備する光学系のレンズ配置を示すレンズ構成図で、図5(a)ないし(c)は表3及び図4に図示された光学系の諸収差度を表わし、図6は第2実施例のMTF特性を図示したグラフである。
【0068】
第2実施例はFナンバー(FNo)が2.8で、画角は60度、TLは3.28mm、光学系の有効焦点距離(f)は2.76mm、第1ウェーハスケールレンズLG1の焦点距離(f1)は3.53mm、第2ウェーハスケールレンズLG2の焦点距離(f2)は6.76mmで、像高(image height)は3.2mm、画素数は640×480で、ピクセル大きさは4μmである。
【0069】
【表3】

【0070】
ここで、第4面の回折面は数学式2により得られ、各々の係数は次の通りである。
:-0.025648
:-0.080843
:0.014690
:1.085626
:-2.181123
:1.444613
【0071】
また、表3において*は非球面を表わし、実施例2の場合第1面(第1レンズ要素の物体側面)、第5面(第3レンズ要素の像側面)、第6面(第4レンズ要素の物体側面)及び第9面(第5レンズ要素の像側面)が非球面である。
【0072】
数学式1による実施例2の非球面係数の値は次の表4の通りである。
【表4】

【実施例3】
【0073】
下記の表5は本発明の第3実施例による数値例を表わしている。また、図7は本発明の第3実施例に伴うウェーハスケールレンズを具備する光学系のレンズ配置を示すレンズ構成図で、図8(a)ないし(c)は表5及び図7に図示された光学系の諸収差度を表わし、図9は第3実施例のMTF特性を図示したグラフである。
【0074】
第3実施例はFナンバー(FNo)が2.8で、画角は60度、TLは3.36mm、光学系の有効焦点距離(f)は2.76mm、第1ウェーハスケールレンズLG1の焦点距離(f1)は3.68mm、第2ウェーハスケールレンズLG2の焦点距離(f2)は6.99mmで、像高(image height)は3.2mm、画素数は640×480で、ピクセル大きさは4μmである。
【0075】
【表5】

【0076】
ここで、第4面の回折面は数学式2により得られ、各々の係数は次の通りである。
:-0.02
:0
:0
:0
:0
:0
【0077】
また、表5において*は非球面を表わし、第3実施例の場合第1面(第1レンズ要素の物体側面)、第5面(第3レンズ要素の像側面)、第6面(第4レンズ要素の物体側面)及び第9面(第5レンズ要素の像側面)が非球面である。
【0078】
数学式1による第3実施例の非球面係数の値は次の表6の通りである。
【表6】

【0079】
[比較例]
本比較例は焦点距離、TL、画角、Fナンバー等の光学的条件を実施例3と類似にし、但し第1レンズ要素の厚さH1と第2レンズ要素の厚さH2を小さくした場合である。
【0080】
下記の表7は本発明の比較例による数値例を表わしている。また、図10は比較例による光学系のレンズ配置を示すレンズ構成図で、図11(a)ないし(c)は表7及び図10に図示された光学系の諸収差度を表わし、図12は比較例のMTF特性を図示したグラフである。
【0081】
比較例はFナンバー(FNo)が2.8で、画角は60度、TLは3.37mm、光学系の有効焦点距離(f)は2.74mm、第1ウェーハスケールレンズLG1の焦点距離(f1)は3.70mm、第2ウェーハスケールレンズLG2の焦点距離(f2)は6.60mmで、像高(image height)は3.2mm、画素数は640×480で、ピクセル大きさは4μmである。
【0082】
【表7】

【0083】
ここで、第4面の回折面は数学式2により得られ、各々の係数は次の通りである。
:-0.0145
:-0.0739
:0.0895
:0
:0
:0
【0084】
また、表7において*は非球面を表わし、比較例の場合第1面(第1レンズ要素の物体側面)、第5面(第3レンズ要素の像側面)、第6面(第4レンズ要素の物体側面)及び第9面(第5レンズ要素の像側面)が非球面である。
【0085】
数学式1による比較例の非球面係数の値は次の表8の通りである。
【表8】

【0086】
以上の実施例を通じ図2、図5及び図8に図示された通り諸収差の特性が優れた光学系を得ることが可能で、図3、図6及び図9に図示された通りMTF特性が優秀で高解像度を具現することが可能なウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系を得ることが可能ということを確認することが可能である。
【0087】
しかし、第3実施例に比べ、第1レンズ要素の厚さH1と第2レンズ要素の厚さH2が小さい比較例の場合には、図11の通り、諸収差の特性が衰え、特に図12の通りMTF特性が大きく悪くなることを確認することが可能である。
【0088】
すなわち、本発明によるウェーハスケールレンズ及びこれを具備する光学系は回折面と屈折面を適切に配置すると同時に、第1レンズ要素の厚さH1と第2レンズ要素の厚さH2を大きくすることにより、諸収差特性及びMTF特性が優秀な光学系を得ることが可能ということを確認することが可能である。
【0089】
本発明は、特定の実施例に関し図示して説明したが、当業界において通常の知識を有している者であれば、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域を外れない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることが可能であることを明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1a】本発明の第1実施例によるウェーハスケールレンズを具備する光学系のレンズ構成図である。
【図1b】図1aに図示された光学系の部分拡大図である。
【図2】図1に図示された第1実施例の諸収差度を図示したこととして、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲を各々示す。
【図3】図1に図示された第1実施例のMTF特性を図示したグラフである。
【図4】本発明の第2実施例によるウェーハスケールレンズを具備する光学系のレンズ構成図である。
【図5】図4に図示された第2実施例の諸収差度を図示したこととして、 (a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲を各々示す。
【図6】図4に図示された第2実施例のMTF特性を図示したグラフである。
【図7】本発明の第3実施例によるウェーハスケールレンズを具備する光学系のレンズ構成図である。
【図8】図7に図示された第3実施例の諸収差度を図示したこととして、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲を各々示す。
【図9】図7に図示された第3実施例のMTF特性を図示したグラフである。
【図10】本発明に対する比較例による光学系のレンズ構成図である。
【図11】図10に図示された比較例の諸収差度を図示したこととして、 (a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲を各々示す。
【図12】図10に図示された比較例のMTF特性を図示したグラフである。
【符号の説明】
【0091】
S1 第1レンズ基板
S2 第2レンズ基板
L1 第1レンズ要素
L2 第2レンズ要素
L3 第3レンズ要素
L4 第4レンズ要素
L5 第5レンズ要素
LG1 第1ウェーハスケールレンズ
LG2 第2ウェーハスケールレンズ
IP 像面
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10 面番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ基板、
上記レンズ基板の物体側の面に形成され陽の屈折力を有する第1レンズ要素、
上記レンズ基板の像側面に形成され回折面を具備する第2レンズ要素、及び
上記第2レンズ要素の回折面に積層され陰の屈折力を有する第3レンズ要素、
を含むウェーハスケールレンズ。
【請求項2】
上記第1レンズ要素の光軸上の厚さは180μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のウェーハスケールレンズ。
【請求項3】
上記第3レンズ要素は強い陰の屈折力を有するよう外郭部の最大厚さが150μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のウェーハスケールレンズ。
【請求項4】
上記第2レンズ要素の回折面は平面または曲面からなることを特徴とする請求項1に記載のウェーハスケールレンズ。
【請求項5】
上記第2レンズ要素と第3レンズ要素の屈折率の差は0.1以上であることを特徴とする請求項1に記載のウェーハスケールレンズ。
【請求項6】
上記第2レンズ要素の屈折率は1.58以上で第3レンズ要素の屈折率は1.48以下であることを特徴とする請求項5に記載のウェーハスケールレンズ。
【請求項7】
上記レンズ基板の面または第1ないし第3レンズ要素の面は赤外線遮断コーティングが成されることを特徴とする請求項1に記載のウェーハスケールレンズ。
【請求項8】
第1レンズ基板と、上記第1レンズ基板の物体側の面に形成され陽の屈折力を有する第1レンズ要素と、上記第1レンズ基板の像側面に形成され回折面を具備する第2レンズ要素と、上記第2レンズ要素の回折面に積層され陰の屈折力を有する第3レンズ要素を具備する第1ウェーハスケールレンズ、
上記第1ウェーハスケールレンズの後方に設置され、第2レンズ基板と、上記第2レンズ基板の物体側の面に形成され陽の屈折力を有する第4レンズ要素と、上記第2レンズ基板の像側面に形成され各々のフィールド別に収差を補正する第5レンズ要素を具備する第2ウェーハスケールレンズ、及び
上記第2ウェーハスケールレンズから結像されたイメージを感知するイメージセンサー、
を含むウェーハスケールレンズを具備する光学系。
【請求項9】
上記第1レンズ要素の光軸上の厚さは180μm以上であることを特徴とする請求項8に記載のウェーハスケールレンズを具備する光学系。
【請求項10】
上記第3レンズ要素は強い陰の屈折力を有するよう外郭部の最大厚さが150μm以上であることを特徴とする請求項8に記載のウェーハスケールレンズを具備する光学系。
【請求項11】
上記第2レンズ要素の回折面は平面または曲面からなることを特徴とする請求項8に記載のウェーハスケールレンズを具備する光学系。
【請求項12】
上記第2レンズ要素と第3レンズ要素の屈折率の差は0.1以上であることを特徴とする請求項8に記載のウェーハスケールレンズを具備する光学系。
【請求項13】
上記第2レンズ要素の屈折率は1.58以上で第3レンズ要素の屈折率は1.48以下であることを特徴とする請求項12に記載のウェーハスケールレンズを具備する光学系。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−323365(P2006−323365A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104740(P2006−104740)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】