説明

ウエザストリップ

【課題】植毛の施されたシール部の外観品質の低下抑制を図ることのできるウエザストリップを提供する。
【解決手段】自動車用ドアのドア開口周縁にはウエザストリップが装着されている。ウエザストリップは、トリム部及び中空状のシール部6を備えている。シール部6には、接着剤層28を介して多数本のパイル29aが固着されることにより、植毛部29が形成されている。多数本のパイル29aとしては、白色と黒色の2種類の異なった色からなる長さ0.8mm、太さ3.3Tのパイルが使用されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両のドアの周縁部又はドア開口周縁にはウエザストリップが設けられる。ウエザストリップの一例としては、例えばドアの周縁部又はドア開口周縁のフランジに嵌め込まれる断面略U字状のトリム部と、該トリム部から突出して設けられた中空状のシール部とを備えたものが知られている。そして、ドア閉時には、ドア開口周縁又はドアの周縁部にシール部が圧接されることによって、ドアとボディとの間がシールされる。
【0003】
近年では、ウエザストリップの外表面、すなわち意匠面やシール面などウエザストリップの取付状態において視認される部分においても内装用ファブリック等と同様の外観品質が求められるため、当該外表面にファブリックを貼り付けて、意匠性の向上を図っているものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、ウエザストリップにファブリックを貼り付けた場合には、シール部のような変形する部位等においてはシワの発生が懸念される。これに鑑み、シール部の外表面に多数本のパイルよりなる植毛部を形成することも検討されている。
【特許文献1】特公平6−104343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、シール部はドア閉時にドア開口周縁等に圧接されるため、図5に示すように、シール部50の外表面に植毛部51が形成されていると、シール面52、すなわちドア開口周縁等と接触する部位においてはパイル53が倒れた状態となる。このように、ドア閉時に倒れた状態にあるパイル53は、ドアを開けた際、しばらくの間、そのまま倒れた状態を維持するため、シール面52であった部位には接触跡が残ることとなる。この接触跡(シール面52)は、倒れたパイル53が光を反射する等して他の部位に比べ白く光って見え、目立ってしまうため、結果として外観品質の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、植毛の施されたシール部の外観品質の低下抑制を図ることのできるウエザストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記問題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.車両のドアの周縁部又はドア開口周縁に取付けられ、ドア閉時にドア開口周縁又はドアの周縁に圧接される中空状のシール部を有したウエザストリップにおいて、
少なくとも前記シール部の外表面に、長さが0.6mm以上1.0mm以下でかつ太さが2.2T(デシテックス)以上6.7T以下の多数本のパイルよりなる植毛部を形成したことを特徴とするウエザストリップ。
【0009】
上記手段1によれば、シール部の外表面に植毛部を形成することで、ファブリック調の外観を得ることができ、シール部に関し高い意匠性を獲得することができる。さらに、植毛部を構成するパイルとして、従来(一般の静電植毛)に比べ比較的短く、比較的太い上記パイルを使用することにより、ドア閉時にシール部がドア開口周縁等に圧接される際にもパイルが倒れにくくなるとともに、ドア開時には、倒れたパイルがもとの状態に戻りやすくなる。結果として、ドアを開けた際、シール面であった部位には接触跡が残りにくくなる。ひいては、倒れたパイルが光を反射する等して他の部位に比べ白く光って見え、目立ってしまうような外観品質の低下を抑制できる。
【0010】
なお、前記「シール部の外表面」とは、シール部表面のうち、ウエザストリップの取付状態において視認される部分を意味しており、取付基部となるトリム部等と相対向する部位や内装品等により覆われる部位など視認されない部分を含まない趣旨である。もちろん、当該視認されない部分に植毛部を形成しても何ら不具合を生じるものではなく、意匠性の向上を図る上で、少なくともシール部の視認される部分(外表面)に植毛部が形成されていればよい。
【0011】
また、ドア閉時の接触跡をさらに目立たなくさせるためには、パイルの長さが0.6mm以上0.8mm以下であることがより好ましく、太さが3.3T以上であることがより好ましい。但し、長さが0.6mmよりも短いパイルは、後述するような湾曲したパイルを使用する場合に、当該湾曲が現われにくく略直線になってしまうため、好ましくない。また、太さが6.7Tより太いパイルは、ファブリック調の外観を得ることが難しく、好ましくない。
【0012】
手段2.前記多数本のパイルは、少なくとも白色を含む2種類以上の異なった色のパイルから構成されていることを特徴とする手段1に記載のウエザストリップ。
【0013】
上記手段2によれば、植毛部全体が白色の混ざった混合色となるため、仮にシール部に接触跡ができ、倒れたパイルが光を反射する等した場合でも、当該接触跡と他の部位との差が現われにくく、接触跡が目立ちにくくなる。結果として、外観品質の低下を抑制できる。
【0014】
手段3.前記パイルは、湾曲したものであることを特徴とする手段1又は2に記載のウエザストリップ。
【0015】
仮に直線状(直毛)のパイルをシール部表面に対し垂直に植毛した場合には、上記課題で述べた不具合がより顕著に現われるおそれがある。これに対し、湾曲した(曲毛)パイルを植毛した場合には、パイル同士が絡み合ったり、シール部表面に対しパイルが斜めに植毛されているため、上記手段2と同様の作用効果が奏される。なお、長さが0.6mmよりも短いパイルでは、湾曲が現われにくく略直線になってしまうため、パイルの長さは0.6mm以上であることが好ましい。また、1.0mmよりも長い場合は、スプレーのノズル内でパイルが絡み合って、ノズルがつまり易くなり、均一散布が難しくなり、好ましくない。
【0016】
手段4.前記多数本のパイルの植毛方向を無作為にしたことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0017】
上記手段4によれば、シール部表面に対する各パイルの植毛方向がランダムになるため、仮にパイルが直線状のものであっても、上記手段3と同様の作用効果を得ることができる。又は、手段3との相乗効果により、その作用効果を高めることができる。なお、シール部の外表面に植毛部を形成する場合、シール部の外表面に接着剤層を形成した上で、当該接着剤層にパイルを植毛する(パイルの一端を固定する)のであるが、上記「植毛方向」とは、前記接着剤層にパイルの一端が突き刺さる方向、すなわちパイルの固定端が向く方向を意味している。このため、パイルが絡み合うことでファブリック調に見えるとともに、シール部が変形した時にでも、パイル間が伸ばされて疎となり、素地(下地)の黒色が見えることもない。なお、パイルが直線状であり、かつ、静電植毛の場合、各パイルが直立状に植毛され、ファブリック調に見えないとともに、シール部が変形した場合には、パイル間が伸ばされて疎となる部分があり、素地の黒色が見えるおそれがある。また、多数本のパイルの植毛方向をランダムにする植毛方法としては、例えば加圧スプレーガンや静電散布ガンを用いてパイルを植毛する方法などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、車両としての自動車1の側方にはドア2が開閉可能に設けられ、ドア2に対応するボディ側のドア開口3周縁にはウエザストリップ4が装着されている。本実施形態のウエザストリップ4は、主として押出成形法によって成形され、全体として環状をなす。
【0019】
図2に示すように、ウエザストリップ4はトリム部5及びシール部6を備えている。トリム部5は、車内側側壁部11、車外側側壁部12及び両側壁11,12を連結する連結部13を備えており、全体として断面略U字状をなす。トリム部5は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)ソリッドゴムによって構成されており、その内部には金属製のインサート14が埋設されている。なお、前述したように、本実施形態では、ウエザストリップ4を構成するゴム材料としてEPDMゴムを採用している。このEPDMゴムは、補強材としてカーボンブラックを含んでおり、その素地色は黒色となっている。
【0020】
車外側側壁部12の内面(車内側面)にはトリム部5の内側(車内側)に向かって延びる複数の保持リップ部15が一体形成され、車内側側壁部11の内面(車外側面)にはトリム部5の内側(車外側)に向かって延びる保持リップ部16が一体形成されている。
【0021】
また、ドア開口3周縁には、前記ボディのインナパネル21及びアウタパネル22が接合されることによりフランジ23が形成されており、このフランジ23にトリム部5が嵌め込まれることにより、ウエザストリップ4がドア開口3周縁に保持される。
【0022】
一方、シール部6は、車外側側壁部12の車外側に突出して設けられ、スポンジ弾性材料としてのEPDMスポンジゴムによって中空状に構成されている。そして、ドア2閉時には、シール部6がドア2の周縁に圧接されることで、ドア2と自動車1のボディとの間がシールされる。なお、シール部6のドア開口3内周側には、ガーニッシュ等の内装品25の端部を覆うリップ部18が延出形成されている。
【0023】
ウエザストリップ4の取付状態においては、シール部6のドア開口3外周側の付根部からリップ部18の先端部に至る範囲のシール部6の外表面は、ドア2開時に視認可能な部位となる。そのため、このシール部6の外表面を含む所定範囲Dには、図3の部分拡大断面図を見ても分かるとおり、接着剤層28を介して植毛部29が形成されている。
【0024】
本実施形態では、接着剤層28を構成する接着剤として水系のウレタン樹脂系接着剤が用いられている。また、当該接着剤は、着色剤が混入されることで内装品25に合わせた不透明かつグレー色に着色されている。もちろん、接着剤層28に着色される色種はグレー色に限らず、カーボンブラックに基づく黒色以外の色種であれば、内装品25に合わせたどのような色であってもよい(例えば、赤、青、ベージュ、ブラウン(こげ茶色)等)。なお、内装品25が黒色系である場合、内装品25の黒色との色・艶を合わせるために黒色顔料を加えて調整してもよい。
【0025】
さて、次に植毛部29について詳しく説明する。本実施形態における植毛部29は、接着剤層28に多数本のパイル29aを加圧スプレーガンを用いて吹付けること(加圧植毛)により形成されている。これにより、各パイル29aは、その一端が接着剤層28に固着されるとともに、シール部6表面に対する角度(植毛方向)が無作為(ランダム)な状態となっている。
【0026】
各パイル29aとしては、例えば長さが約0.8mm、太さが3.3T(デシテックス)のポリアミド繊維で、捲縮加工されたベンディングタイプのものが使用されている。これにより、植毛部29を構成する多数本のパイル29aの中には、パイル同士が絡み合ったり、シール部6表面に対し斜めに植毛されているものもあるため、植毛部29がファブリックにより近い質感となる(ファブリック調を呈している)。
【0027】
また、多数本のパイル29aは、白色パイル及び黒色パイルの2種類の異なる色のパイルにより構成されている。これにより、植毛部29は、全体として上記内装品25及び接着剤層28と同色のグレー色(白色と黒色の混合色)となっている。もちろん、混合色はグレー色に限らず、接着剤層28と同様、内装品25に合わせたどのような色であってもよい。
【0028】
次に上記ウエザストリップ4の製造方法について説明する。図4はウエザストリップ4の製造ラインの一部を示す模式図であり、この図中においてウエザストリップ4は左側から右方向に進みながら製造される。
【0029】
まず、押出成形工程においては、ゴム押出機31に対し、EPDM未加硫ゴムとともにインサート14が連続的に供給される。そして、EPDM未加硫ゴムによってインサート14が被覆された状態で、ゴム押出機31のダイスからウエザストリップ4となる中間成形体32が押出成形される。この段階では、トリム部5に対応するインサート14を埋設した部位が開いた状態で略平板状に押出される。
【0030】
続く加硫工程では、押出成形された中間成形体32が高周波加硫槽(UHF)33に案内され、一次加硫が施される。その後、熱風加硫槽(HAV)34に案内され、二次加硫が施され、加硫が完了する。
【0031】
続く表面処理工程においては、表面処理装置37によって、後述する接着剤層28を形成しやすいように、中間成形体32に表面処理が施される。表面処理としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、プライマー塗布等の極性を持たせる処理が例として挙げられる。
【0032】
その後、接着剤塗布工程において、接着剤塗布装置38によって中間成形体32の表面に接着剤を塗布し、接着剤層28を形成する。
【0033】
続く植毛工程では、まず植毛装置39において、接着剤の塗布された部位に加圧スプレーガンを用いて多数本のパイル29aを吹付ける。加圧スプレーガンは、パイル29aを所定のエア圧力で塗布ブースの内部まで搬送するとともに、パイル29aを所定のエア圧力で吹き出し口から接着剤の塗布された部位に吹き付けることができるものである。この際、吹付けられたパイル29aは接着剤層28に種々の方向を向いて植毛される。そして、乾燥機40において接着剤を加熱硬化させ、パイル29aを抜け落ち不能に固定した後、送風機41において余分なパイル29aを吹き飛ばす。これらの工程を経て植毛部29が完成する。
【0034】
植毛工程を経た中間成形体32は曲げ加工機42により曲げ加工され、断面略U字状のトリム部5が形成される。その後、カッター43で所定の寸法に裁断され、ウエザストリップ4が得られる。
【0035】
なお、曲げ加工機42による曲げ加工は加硫工程の後で、接着剤塗布工程の前に行っても良い。この場合、植毛面が曲げ加工機42のローラーで傷つくのを防止することができる。さらに、曲げ加工やゴムの被覆の容易性から、インサート14をハの字形にプレフォーミングしておき、ゴム押出機31に供給するようにしても良い。
【0036】
また、上記製造方法は連続ラインで製造するものを示したが、一旦、加硫されたウエザストリップの長尺体を製造しておき、別のラインで、その長尺体に対して植毛を施すようにして製造しても良い。
【0037】
以上詳述したように、シール部6の外表面に植毛部29を形成することで、ファブリック調の外観を得ることができ、シール部6に関し高い意匠性を獲得することができる。さらに、植毛部29を構成するパイルとして、従来に比べ比較的短く、比較的太い上記パイルを使用することにより、ドア2閉時にシール部6がドア2周縁に圧接される際にもパイル29aが倒れにくくなるとともに、ドア2開時には、倒れたパイル29aがもとの状態に戻りやすくなる。結果として、ドア2を開けた際、シール面であった部位には接触跡が残りにくくなる。ひいては、倒れたパイル29aが光を反射する等して他の部位に比べ白く光って見え、目立ってしまうような外観品質の低下を抑制できる。
【0038】
また、植毛部29を構成するパイル29aとしてベンディングタイプのものが採用されるとともに、シール部6表面に対する各パイル29aの植毛方向がランダムになっている。さらに、多数本のパイル29aは、白色パイル及び黒色パイルの2種類の異なる色のパイルにより構成されており、植毛部29が、全体としてグレー色(白色と黒色の混合色)となっている。このため、仮にシール部6に接触跡ができ、倒れたパイル29aが光を反射する等した場合でも、当該接触跡と他の部位との差が現われにくく、接触跡が目立ちにくくなる。結果として、直線状のパイルをシール部6表面に垂直に植毛した場合に比べ、外観品質の低下を抑制できる。
【0039】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0040】
(a)上記実施形態では、(サイドフロント)ドア2に対応するボディ側のドア開口3周縁に設けられるウエザストリップ4について具体化しているが、ドア2の周縁部、又は、リヤドア、バックドア、ラッゲージドア(トランクリッド)、ルーフドア(スライディングルーフパネル)等の他のドアの周縁部又はそれらのドアに対向するドアの開口周縁に設けられるウエザストリップについて適用することも可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、ウエザストリップ4がドア開口3周縁の全周にわたって取付けられているが、必ずしも全周でなくてもよく、例えば部分的に取付けられるウエザストリップであってもよい。また、部分的に型成形部を備えていても良い。
【0042】
(b)上記実施形態では、ウエザストリップ4を構成する素材としてEPDMを例示しているが、IR(イソプレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)等の他のゴム材料を用いてもよい。また、スポンジゴムに代えて、シール部6がソリッドゴムにより形成された構成としてもよい。
【0043】
(c)上記実施形態では、接着剤層28を構成する接着剤として水系のウレタン樹脂系接着剤が用いられているが、アクリル系、酢酸ビニル系、EVA系、PVA系、エポキシ系、塩ビ系、シリコーン系、フェノール系の接着剤等の他の接着剤を用いてもよい。但し、接着剤は、シール部6の変形に対する追従性を考慮して100%以上の伸び性を有し、環境面に配慮して揮発性有機化合物(VOC)が放出されないものであることが好ましい。また、水系のウレタン樹脂系接着剤の中でも、耐摩耗性を考慮して、カルボジイミド硬化剤又はエポキシ硬化剤を添加したものを採用してもよい。なお、接着剤の色に関しても上記実施形態に限定されるものではなく、例えば透明(無色)のものを採用してもよい。
【0044】
(d)上記実施形態では、植毛部29を構成するパイル29aとして、長さが約0.8mm、太さが3.3Tのポリアミド繊維で、捲縮加工されたベンディングタイプのものを採用しているが、パイル29aの構成はこれに限定されるものではない。例えば、ポリエチレン製などのパイルを採用してもよいし、直線状のパイルを採用してもよい。但し、ドア2閉時の接触跡を目立たなくさせるためには、長さが0.6mm以上1.0mm以下でかつ太さが2.2T以上6.7T以下のパイルを用いることが好ましい。さらに目立たなくさせるためには、パイル29aの長さが0.6mm以上0.8mm以下であることがより好ましく、太さが3.3T以上であることがより好ましい。
【0045】
なお、ベンディングタイプのパイルはカールタイプのパイルとも呼ばれている。また、パイルについて、長さが1.0mmより長いものを用いた場合、ドア2閉時に、接触部分のパイルがつぶされるように寝易くなり、接触跡が目立つ。そのため、パイルを太くして剛性を上げ、パイル自身の復元力を上げることも考えられるが、パイルを長くして、かつ、太くすると、パイル同士が先に絡み合って、ノズルがつまってしまい、加圧スプレー塗布ができなくなる。従って、接触跡を目立たせず、かつ、均一に植毛が可能なパイルの長さと太さは上記の範囲のものとなる。
【0046】
(e)上記実施形態における多数本のパイル29aは、白色パイル及び黒色パイルの2種類の異なる色のパイルにより構成されており、植毛部29は、全体として白色と黒色の混合色であるグレー色となっている。パイル29aの色はこれに限定されるものではない。例えば、3色以上のパイルを混ぜ合わせて用いてもよし、透明(無色)のパイルが含まれるようにしてもよい。但し、ドア2閉時の接触跡を目立たなくさせるためには、少なくとも白色を含むことが好ましい。
【0047】
(f)上記実施形態では、接着剤層28に多数本のパイル29aを加圧スプレーガンを用いて吹付けること(加圧植毛)により植毛部29を形成しているが、植毛方法はこれに限られるものではなく、静電散布ガンを用いるなど他の植毛方法であってもよい。
【0048】
(g)植毛部29が形成される範囲は、上記実施形態の範囲Dに限定されるものではなく、少なくともシール部6の外表面に形成されていればよい。また、トリム部5等が外観に現れる意匠面となる場合には、当該意匠面に植毛を施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】自動車を示す斜視図である。
【図2】一実施形態におけるウエザストリップを示す断面図である。
【図3】接着剤層及び植毛部を説明するための部分拡大断面図である。
【図4】ウエザストリップの製造ラインの一部を示す模式図である。
【図5】パイルの倒れを説明するための部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…自動車、2…ドア、3…ドア開口、4…ウエザストリップ、5…トリム部、6…シール部、28…接着剤層、29…植毛部、29a…パイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの周縁部又はドア開口周縁に取付けられ、ドア閉時にドア開口周縁又はドアの周縁に圧接される中空状のシール部を有したウエザストリップにおいて、
少なくとも前記シール部の外表面に、長さが0.6mm以上1.0mm以下でかつ太さが2.2T(デシテックス)以上6.7T以下の多数本のパイルよりなる植毛部を形成したことを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
前記多数本のパイルは、少なくとも白色を含む2種類以上の異なった色のパイルから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のウエザストリップ。
【請求項3】
前記パイルは、湾曲したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のウエザストリップ。
【請求項4】
前記多数本のパイルの植毛方向を無作為にしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−6973(P2008−6973A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179628(P2006−179628)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】