説明

ウエザストリップ

【課題】コーナー部のシール性を確保することができるウエザストリップを提供する。
【解決手段】ウエザストリップ10はトリム部20と中空シール部40が別体で形成される。トリム部20のソリッド材で形成された底壁23には外面に開口し長手方向に連続する底壁溝部23aが形成される。中空シール部40は、中空部42と、中空部から下方に延設されソリッド材で形成された連結部41と、連結部41の先端から幅方向における断面寸法が連結部より大きくてソリッド材で形成された先端回転部43とから形成される。先端回転部43は、底壁溝部23aに嵌合され、中空部42は、車体開口部と対向する相手部材に当接するとともに、先端回転部43が底壁溝部23a内で、所定範囲で回動可能に嵌合されたウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体開口部周縁のフランジに装着されるウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車にはドア開口、トランクルーム開口等の開口部があり、それぞれの車体開口部周縁のフランジにウエザストリップが装着され、車体開口部周縁とドアやトランクリッド等の相手部材との間をシールしている。
これらのウエザストリップを車体開口部周縁に装着する場合は、ウエザストリップの断面略コ字形のトリム部に車体開口部周縁のフランジを挿入させて装着している。
【0003】
例えば、図4に示すように、自動車のリヤトランクの開口部のシールは、リヤトランクのリッドの周囲に対向する、車体開口部周縁6に設けられたフランジ7に、ウエザストリップ110を装着することにより行われる。
すなわち、ウエザストリップ110は、フランジ7に取付けられるトリム部120とトランクリッド2の裏面に当接してその間をシールする中空状の中空シール部140とを有し、この中空シール部140がトランクリッド2の裏面と当接することにより開口部がシールされる。
【0004】
トリム部120は、車外側側壁121、車内側側壁122、及び底壁123で、断面略コ字形をなして形成され、フランジ7の保持を強化するために、トリム部120の内部には、板金のインサート129が埋設されている。
また、トリム部120の断面略コ字形の内部には、車外側側壁121と車内側側壁122の内面から車外側フランジ保持リップ124、125と車内側フランジ保持リップ126、127がそれぞれ断面ハ字形に、トリム部120の断面略コ字形の奥側(底壁123側)に向かって延設されている。
【0005】
ウエザストリップ110をフランジ7に装着するには、リヤトランクの開口の周囲に設けられたフランジ7に対して、トリム部120を上方からその断面略コ字形の内部にフランジ7を挿入させるようにして装着する。リヤトランクの開口のコーナー部においては、フランジ7は、コーナー部の形状に沿って曲がって形成されているため、コーナー部に取付けられたウエザストリップ110の中空シール部140は、内側に倒れたり、潰れたりして屈曲変形してしまい、充分なシール性が得られない場合がある。
【0006】
そこで、図5に示すように、コーナー部に取付けるウエザストリップ210の中空シール部240をトリム部220に対して予め倒れ角度を考慮して所定角度(α)だけ傾けて形成するものがある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、コーナー部に取付ける部分のみ中空シール部240を傾けて形成することは手間がかかるとともに、取付け作業においても開口部のコーナー部に、傾けて形成されたウエザストリップ210の部分を一致させて取付ける必要があり、手間がかかる。
【0007】
また、図6に示すように、スポンジ材で形成された中空シール部340の内部に、ソリッド材で形成されたトリム部320から延設されたドアストッパー329を設けて、中空シール部340の変形を防止するウエザストリップ310がある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この場合には中空シール部340自体の変形を充分に防止することができず、シール性が低下する場合があり、また、ドアストッパー329によりトランクリッド2を閉めるときの力が増大する場合がある。
【0008】
さらに、図7に示すように、ソリッド材で形成されたトリム部420とスポンジ材で形成された中空シール部440を別々に形成して、その後、トリム部420に形成したトリム係合部429へ中空シール部440のシール係合部449を係合させるウエザストリップ410がある(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この場合には、中空シール部440はトリム部420に対して回動することはできず、中空シール部440の変形を防止するには不充分であり、中空シール部440全体がスポンジで形成されているため、中空シール部440を保持する力が弱く、中空シール部440がトリム部420から外れる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−53076号公報
【特許文献2】実開平5−22205号公報
【特許文献3】特開2000−108807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、コーナー部に取付けられてもシール性を確保することができるウエザストリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体開口部周縁のフランジに取付けられる断面略コ字形のトリム部と、車体開口部と対向する相手部材に当接して車体開口部周縁と相手部材との間をシールする中空シール部とを備え、
トリム部は、車外側側壁、底壁と車内側側壁とで断面略コ字形をなし、断面略コ字形の内部には車外側側壁と車内側側壁の内面からそれぞれフランジ保持リップを延設して形成されたウエザストリップにおいて、
トリム部のソリッド材で形成された底壁には外面に開口し長手方向に連続する底壁溝部が形成され、
中空シール部は、トリム部と別体で形成されるとともに、車体開口部と対向する相手部材に当接するスポンジ材で形成された中空部と、中空部から下方に延設されソリッド材で形成された連結部と、連結部の先端から幅方向における断面寸法が連結部より大きくてソリッド材で形成された先端回転部とから形成され、先端回転部は、底壁溝部に嵌合され、中空部は、車体開口部と対向する相手部材に当接するとともに、先端回転部が底壁溝部内で、所定範囲で回動可能に嵌合されたことを特徴とするウエザストリップである。
【0012】
請求項1の本発明では、トリム部のソリッド材で形成された底壁には外面に開口し長手方向に連続する底壁溝部が形成されたため、後述する中空シール部の先端回転部を保持して、中空シール部を車体開口部と対向する相手部材であるトランクリッドやバックドア等に当接させて、車体開口部周縁と相手部材との間をシールすることができる。
【0013】
中空シール部は、トリム部と別体で形成されたため、中空シール部をトリム部に対して回動させることができ、コーナー部にウエザストリップが取付けられても、中空シール部とトリム部の変形挙動を分離することができ、コーナー部における中空シール部の屈曲や変形をコントロールして減少させることができる。
【0014】
中空シール部は、車体開口部と対向する相手部材に当接するスポンジ材で形成された中空部と、中空部から下方に延設されソリッド材で形成された連結部と、連結部の先端から断面形状が連結部より大きくてソリッド材で形成された先端回転部とから形成される。このため、中空部は車体開口部と対向する相手部材と柔軟に当接して、相手部材の形状に沿ってシール性を確保することができる。先端回転部が底壁溝部内に保持されるため、中空シール部がトリム部から外れることがなく、中空部が車体開口部と対向する相手部材に当接することができる。連結部は中空部と先端回転部を一体に連結して、中空シール部を傾けることができる。
【0015】
先端回転部は、底壁溝部に嵌合され、中空部は、車体開口部と対向する相手部材に当接するとともに、先端回転部が底壁溝部内で、所定範囲で回動可能に嵌合された。このため、ウエザストリップをコーナー部に取付けたときに、先端回転部が底壁溝部内で回動して中空部にかかる応力を減少させて、異常変形を防止するとともに、所定範囲で回動を可能にさせるため、中空部の移動範囲を限定して、中空部が車体開口部と対向する相手部材に確実に当接するようにしてシール性を確保することができる。ここで所定の範囲の回動とは、ウエザストリップをコーナー部に取付けたときに、中空シール部の中空部がトランクリッド等に当接することができ、かつ、中空部の異常変形を防止してシール性を確保できる範囲である。
【0016】
請求項2の本発明は、先端回転部は、断面円形又は断面円弧形に形成され、
底壁溝部は、先端回転部を保持する断面円形又は断面円弧形の溝部保持部と、底壁溝部の開口であって溝部保持部よりも断面が狭く形成された溝部開口部とから形成され、溝部保持部に先端回転部が嵌合されたウエザストリップである。
【0017】
請求項2の本発明では、先端回転部は、断面円形又は断面円弧形に形成されたため、底壁溝部内でスムースに回動することができる。
底壁溝部は、先端回転部を保持する断面円形又は断面円弧形の溝部保持部を有するため、先端回転部をその形状に合わせて保持して、先端回転部をスムースに回動させることができる。
【0018】
底壁溝部の溝部開口部の形状は、底壁溝部の開口であって溝部保持部よりも断面が狭く形成され、溝部保持部に先端回転部が嵌合されたため、溝部開口部から先端回転部が外れることがなく、底壁溝部内に先端回転部を保持して、先端回転部をスムースに回動させることができ、中空部の変形をコントロールすることができる
【0019】
請求項3の本発明は、底壁溝部の内面に長手方向に連続する溝部段部を形成し、先端回転部の表面に長手方向に連続する先端回転部段部を形成し、先端回転部が底壁溝部内で、所定範囲で回動して所定範囲限界に至ったときに、溝部段部に先端回転部段部が当接するように形成したウエザストリップである。
【0020】
請求項3の本発明では、底壁溝部の内面に長手方向に連続する溝部段部を形成し、先端回転部の表面に長手方向に連続する先端回転部段部を形成し、先端回転部が底壁溝部内で、所定範囲で回動して所定範囲限界に至ったときに、溝部段部に先端回転部段部が当接するように形成した。このため、底壁溝部内で先端回転部が回動する範囲を確実に制御して、コーナー部においては中空部の異常変形を防止して、中空部が車体開口部と対向する相手部材に確実に当接するようにしてシール性を確保することができる。
【0021】
請求項4の本発明は、底壁溝部の内面に長手方向に連続する複数の溝部突状部を形成し、先端回転部の表面に長手方向に連続する複数の先端回転部突状部を形成し、先端回転部が底壁溝部内で回動したときに、溝部突状部と先端回転部突状部が係合するように形成したウエザストリップである。
【0022】
請求項4の本発明では、底壁溝部の内面に長手方向に連続する複数の溝部突状部を形成し、先端回転部の表面に長手方向に連続する複数の先端回転部突状部を形成し、先端回転部が底壁溝部内で、溝部突状部と先端回転部突状部が係合するように形成した。このため、底壁溝部内で先端回転部が回動するときに、溝部突状部と先端回転部突状部との係合により、所定以上の回動力が発生したときに回動させて、コーナー部以外における不必要な中空シール部の回動を防止して、中空部が車体開口部と対向する相手部材に確実に当接するようにしてシール性を確保することができる。
【0023】
請求項5の本発明は、ウエザストリップは、トリム部の底壁の上方に中空シール部が位置し、車体開口部周縁のフランジに対して上方から取付けられ、相手部材であるトランクリッド又はバックドアが中空シール部に対して上方から当接するトランクウエザストリップまたはバックドアウエザストリップである。
【0024】
請求項5の本発明では、ウエザストリップは、トリム部の底壁の上方に中空シール部が位置し、車体開口部周縁のフランジに対して上方から取付けられ、相手部材であるトランクリッド又はバックドアが中空シール部に対して上方から当接するトランクウエザストリップまたはバックドアウエザストリップである。このため、トリム部の底壁の上方に中空シール部が位置して、トランクウエザストリップまたはバックドアウエザストリップがトランクとトランクリッドと確実に当接して、トランクとトランクリッドの間、および車体開口部周縁とバックドアとの間から進入する雨水や埃を確実にシールすることができるとともに、車内に侵入する騒音を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
中空シール部は、スポンジ材で形成された中空部と、ソリッド材で形成された連結部と、ソリッド材で形成された先端回転部とから形成されるため、中空部は相手部材の形状に沿ってシール性を確保することができ、先端回転部が底壁溝部内に保持され、中空シール部がトリム部から外れることがない。
先端回転部が底壁溝部内で、所定範囲で回動可能に嵌合されたため、中空部の異常変形を防止し、中空部の移動範囲を限定して、中空部が車体開口部と対向する相手部材に確実に当接するようにしてシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すもので、ウエザストリップを車体に装着したときの断面図であり、図3のA−A線に沿った断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示すもので、ウエザストリップを車体に装着したときの断面図であり、図3のA−A線に沿った断面図である。
【図3】自動車の斜め上方から見た概略斜視図である
【図4】従来のウエザストリップの断面図である。
【図5】従来の他のウエザストリップの断面図である。
【図6】従来の他のウエザストリップの断面図である。
【図7】従来の他のウエザストリップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を図1〜図3に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態を示すものであり、図2は、本発明の第2の実施の形態を示すものであり、図3は、自動車の左斜め上方から見た概略斜視図である。
本発明の第1の実施の形態をリヤトランクの周縁のフランジに装着され、トランクリッド2とリヤトランクの間をシールするウエザストリップ10を例にとり説明するが、本発明は、バックドアウエザストリップ、自動車のドア開口部、ルーフ開口部等の広く自動車の車体開口部と、その車体開口部と対向する相手部材であるバックドア、サイドドア、ルーフドア等との間をシールするウエザストリップに使用することができる。
【0028】
本発明の第1の実施の形態のウエザストリップ10は、図1に示すように、フランジ7に取付けるトリム部20とトランクリッド2に当接してシールする中空シール部40から構成される。トリム部20と中空シール部40はそれぞれ別体で成形され、後述するように、成形後に回動自在に嵌合される。
【0029】
中空シール部40は、車体開口部であるトランクの開口を塞ぐ部材であるトランクリッド2に当接するスポンジ材で形成された中空部42と、中空部42から下方に延設されソリッド材で形成された連結部41と、連結部41の先端から断面形状が円形であり連結部41より幅方向における断面寸法が大きくてソリッド材で形成された先端回転部43とから形成される。
【0030】
中空部42は、断面形状が円形、楕円形又は略菱形の中空状で形成され、上記のようにスポンジ材で形成されている。
中空部42は中空状であるため、柔軟性を有しており、トランクリッド2が閉じられたときは、中空部42がリップ状と比べて異常変形することなく、確実にトランクリッド2の所定位置に当接して、シールすることができる。
【0031】
また、中空部42の断面が略菱形または楕円形である場合は、中空部42の先端がトランクリッド2に当接すると、略菱形または楕円形の中央部分の膨らんだところが撓んで屈曲して、柔軟に当接することができる。
また、中空部42がスポンジ材で形成されているため、シールする相手部材であるトランクリッド2に中空シール部40が当接したときに、柔軟性が大きく、トランクリッド2の形状に応じて確実に先端が当接することができ、シール性が高い。
【0032】
連結部41は、中空部42の下部から、先端回転部43と中空部42を連結するように板状に延設される。連結部41は、ソリッド材で形成することができる。この場合は、連結部41の剛性が高く、中空部42の位置が安定して、中空部42が相手部材であるトランクリッド2に当接するときに、当接する位置が安定し、シール性を確保できる。
【0033】
先端回転部43は、断面円形又は断面円弧形に形成される。連結部41と先端回転部43はソリッド材で形成されるが、中空部42、連結部41と先端回転部43は一体的に形成される。
先端回転部43は、後述するトリム部20の底壁23に形成された底壁溝部23aに回動自在に嵌合される。
本実施の形態では、先端回転部43は、断面形状が円形に形成され、連結部41に隣接する一般部よりも半径が小さい部分を長手方向に連続して先端回転部段部44が形成されている。
【0034】
トリム部20は、車外側側壁21と、車内側側壁22と、底壁23からなる断面略コ字形をなしている。本実施の形態では、車外側側壁21、車内側側壁22と、底壁23の壁の内部には、金属板等の骨片からなるインサートは埋設されていなく、ゴム又は熱可塑性エラストマーの硬質材で形成されている。しかし、車外側側壁21、車内側側壁22と、底壁23の壁の内部に、インサートを埋設してもよい。車外側側壁21と車内側側壁22については後述する。
【0035】
トリム部20のソリッド材で形成された底壁23には外面である図1における上方に開口し長手方向に連続する底壁溝部23aが形成されている。
底壁溝部23aは、先端回転部43を保持するため、その形状に対応した断面円形又は断面円弧形の溝部保持部23eと、底壁溝部23aの開口部分に形成され、溝部保持部23eよりも幅方向の断面が狭く形成された溝部開口部23dとから形成されている。
【0036】
底壁溝部23aの溝部保持部23eには上記の先端回転部43が保持される。溝部保持部23eは、先端回転部43を保持することができるように、先端回転部43の断面形状に対応した形状を有して、断面円形又は断面円弧形に形成される。このため、先端回転部43を保持して、溝部保持部23e内で先端回転部43をスムースに回動させることができる。
【0037】
溝部開口部23dは、底壁溝部23aの開口であって溝部保持部23eよりも断面が狭く形成される。このため、先端回転部43が底壁溝部23aから外れることがない。さらに、溝部開口部23dに先端回転部43が嵌合されると、溝部開口部23dに中空シール部40の連結部41が位置する。このため、溝部保持部23e内に先端回転部43を保持して、先端回転部43が回動すると、連結部41が中空部42を傾かせて、中空部42の変形をコントロールすることができる
【0038】
溝部開口部23dの内面(溝部保持部23e側の面)の両側には、長手方向に連続する溝部段部23bが形成され、中空シール部40が回動すると、上述の先端回転部段部44と当接する。溝部段部23bと先端回転部段部44との間には空間が形成されている。このため、溝部保持部23e内で先端回転部43が所定の範囲の角度で回動することができる。所定の範囲とは、ウエザストリップ10をコーナー部に取付けたときに、中空シール部40の中空部42がトランクリッド2等に当接することができ、かつ、中空部42の異常変形を防止してシール性を確保できる範囲である。
【0039】
底壁溝部23aの内面に長手方向に連続する溝部段部23bを形成し、先端回転部43の表面に長手方向に連続する先端回転部段部44を形成したため、先端回転部43が底壁溝部23a内で、所定範囲で回動して所定範囲限界に至ったときに、溝部段部23bに先端回転部段部44が当接して、その回動は停止する。このため、底壁溝部23aの溝部保持部23e内で先端回転部43が回動する範囲を確実に制御して、中空部42が車体開口部と対向する相手部材であるトランクリッド2に確実に当接するようにしてシール性を確保することができる。
【0040】
本実施の形態では、車外側側壁21、底壁23と車内側側壁22は、ゴム又は熱可塑性エラストマーでIRHD(国際ゴム硬度)70〜90の硬質材で形成することができる。この場合は、底壁23の強度が大きく、先端回転部43を底壁溝部23a内に確実に保持することができる。さらに、トリム部20全体の剛性が高くなり、インサートを埋設しない場合でも、車外側側壁21と車内側側壁22とでフランジ7を挟持する力が大きい。
【0041】
車外側側壁21の内面には、従来と同様に、開口側から順に第1車外側フランジ保持リップ24と第2車外側フランジ保持リップ25が断面略コ字形の内部(底壁23方向)に向けて斜め上の方向に形成されて、車内側側壁22の内面には第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27が同様に、断面略コ字形の内部(底壁23方向)に向けて斜め方向に形成されている。
【0042】
このため、トリム部20にフランジ7が挿入された場合には、車外側側壁21と車内側側壁22の両方の面から2本ずつの第1車外側フランジ保持リップ24と第2車外側フランジ保持リップ25、及び第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27とで、安定してフランジ7を保持することができる。
【0043】
第2車外側フランジ保持リップ25の先端が第2車内側フランジ保持リップ27の先端よりも底壁23側に位置し、第2車内側フランジ保持リップ27の先端は、第1車外側フランジ保持リップ24と第2車外側フランジ保持リップ25の先端の間に位置するように延設され、第1車外側フランジ保持リップ24の先端は、第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27の先端の間に位置するように延設されて形成されている。
【0044】
このため、第1車外側フランジ保持リップ24と第2車外側フランジ保持リップ25が、第1車内側フランジ保持リップ26と第2車内側フランジ保持リップ27よりもそれぞれ底壁23側に近接しており、特に、トリム部20が車内側に回転して倒れようとするときに、第2車外側フランジ保持リップ25がフランジ7に対して突っ張ることができ、ウエザストリップ10が車内側に倒れることを防止することができる。
【0045】
車外側側壁21と車内側側壁22の硬度が高い場合には、車外側フランジ保持リップ24、25と車内側フランジ保持リップ26、27は、ソリッド材で形成され、その硬度は、車外側側壁21、底壁23と車内側側壁22の硬度よりも低く形成されることが好ましい。この場合は、車外側側壁21、底壁23と車内側側壁22で強固にフランジ7を挟持するとともに、車外側フランジ保持リップ24、25と車内側フランジ保持リップ26、27で柔軟にフランジ7に当接して、フランジ7の表面の凹凸等があっても、フランジ7を確実に保持し、シールすることができる。
【0046】
車外側フランジ保持リップ24、25と車内側フランジ保持リップ26、27は、ソリッド材で形成され、その硬度は、IRHD(国際ゴム硬度)65〜75度である。この場合は、フランジ7の表面の凹凸等があっても、柔軟にフランジ7に当接することができる充分な柔軟性を有し、フランジ7を保持することができる十分な剛性を有することができる。65度未満ではフランジ7の保持力が低下し、75度を超える場合にはフランジ7にトリム部20を挿入する力が大きくなる。
【0047】
車外側側壁21の開口側の外面の先端付近から斜め下方に比較的に厚肉で全体として略均一の肉厚のスポンジ材からなるボディーシールリップ28が形成されている。そのため、ボディーシールリップ28が車体開口部周縁6に当接する時に、その先端が線接触的に当接することができ、その先端が押圧する力が大きくシール性がよい。従って、車体開口部周縁6からフランジ7を伝わってトリム部20から車室内に雨水、埃、騒音等が浸入することを防止し、車体開口部周縁6とウエザストリップ10との間をシールすることができる。
【0048】
また、ボディーシールリップ28は根元から先端まで略同一肉厚で形成されている場合は、ボディーシールリップ28の先端が車体開口部周縁6に当接するときに、ボディーシールリップ28の弾性が向上して、その先端が車体開口部周縁6を押圧する力が強く、シール性がよい。ボディーシールリップ28は、スポンジ材で形成されている。そのため、ボディーシールリップ28の柔軟性が増加して、車体開口部周縁6の凹凸や変形に追従してシール性を確保することができる。
【0049】
車外側側壁21の開口側の内面の先端付近から下方にサブボディーシールリップ29が延設されている。サブボディーシールリップ29は、図1に示すように、直線状に形成され、ボディーシールリップ28や第1車外側フランジ保持リップ24よりも短く小さく形成されている。そのため、ウエザストリップ10がフランジ7に装着されたときは、フランジ7の根元と車体開口部周縁6との連絡部の湾曲した部分に当接する。
【0050】
サブボディーシールリップ29は、小さく、形成されているため、フランジ7の根元の湾曲した形状に沿って密着して変形することができ、万一、ボディーシールリップ28と車体開口部周縁6の間を通過した雨水等は、このサブボディーシールリップ29で確実にその進入を防止するとともに、騒音等をシールすることができ、シール性をより向上することができる。
サブボディーシールリップ29をスポンジ材で形成した場合は、柔軟性が向上して、フランジ7の根元の凹凸や変形に追従してシール性を確保することができる。
【0051】
車内側側壁22の車内側面の下部に、車内方向の下方に向けて湾曲してカバーシールリップ30が形成されている。ウエザストリップ10をフランジ7に装着した後に、カバーシールリップ30は、車内側パネルや、車室内に設けられたガーニッシュ(図示せず)、パネル(図示せず)等の端部を覆うように配置され、ウエザストリップ10とガーニッシュ、パネル等との間をシールするとともに、その隙間をカバーして見栄えを良好にしている。
カバーシールリップ30をスポンジ材で形成した場合は、柔軟性が向上して、ガーニッシュ、パネル等との間の隙間の変化に追従してシール性を確保することができる。
【0052】
トリム部20の内部の底壁23の内面に、図1に示すように、コーキング部材50を取付けてもよい。この場合は、コーキング部材50の内部にフランジ7の先端を挿入するとフランジ7の防錆とシール性を向上させることができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施の形態を図2に基づき説明する。
第2の実施の形態は、中空シール部40の先端回転部43とトリム部20の底壁23の底壁溝部23aの形状が異なり、他の部分は同じであるため、同じ部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0054】
第2の実施の形態では、底壁溝部23aの溝部保持部23eは、断面形状が円形又は円弧形に形成され、その内面に長手方向に連続する複数の溝部突状部23cが形成されている。中空シール部40の先端回転部43の表面にも同様に長手方向に連続する複数の先端回転部突状部45が形成されている。先端回転部43が底壁溝部23aの溝部保持部23e内で回動したときに、溝部突状部23cと先端回転部突状部45が係合する。
【0055】
この溝部突状部23cと先端回転部突状部45との係合代をコントロールして、先端回転部43が回動を開始する回動力を所定以上にコントロールして、中空部42がコーナー部以外において不必要に回動する異常変形を防止して、中空部42が車体開口部と対向する相手部材であるトランクリッド2に確実に当接するようにしてシール性を確保することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、底壁溝部23aと先端回転部43の両端にそれぞれ段部を形成して、先端回転部43の回動範囲を制御したり、底壁溝部23aと先端回転部43の表面に複数の突条を形成して制御したりしている。しかし、底壁溝部23aの内面に長手方向に延設されて幅方向に所定の幅を有する溝を設け、先端回転部43の表面にその溝に嵌る突条を形成して、その溝の範囲で先端回転部43の回動を可能にすることで、先端回転部43の回動範囲を制御することもできる。
【0057】
本発明のウエザストリップ10の成形においては、合成ゴム、熱可塑性エラストマーが使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、ポリオレフィン系エラストマー等を使用することができる。EPDMゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用した場合は、同じ種類の材料を使用して同時押出成形ができ、耐候性のよい製品を得ることができる。また、同じオレフィン系樹脂・ゴムのため分離せずにリサイクル使用ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。
【0058】
ウエザストリップ10の中空シール部40とトリム部20は押出成形機でそれぞれ別に成形され、 合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマーの場合は、冷却され固化される。
その後、所定の長さに切断されて、製造される。その後、中空シール部40の先端回転部43をトリム部20の底壁溝部23aに嵌合してウエザストリップ10が製造される。
【符号の説明】
【0059】
6 車体開口部周縁
7 フランジ
10 ウエザストリップ
20 トリム部
23 底壁
23a 底壁溝部
23b 溝部段部
23c 溝部突状部
23d 溝部開口部
23e 溝部保持部
40 中空シール部
41 連結部
42 中空部
43 先端回転部
44 先端回転部段部
45 先端回転部突条部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体開口部周縁のフランジに取付けられる断面略コ字形のトリム部と、車体開口部と対向する相手部材に当接して上記車体開口部周縁と相手部材との間をシールする中空シール部とを備え、
上記トリム部は、車外側側壁、底壁と車内側側壁とで断面略コ字形をなし、上記断面略コ字形の内部には上記車外側側壁と車内側側壁の内面からそれぞれフランジ保持リップを延設して形成されたウエザストリップにおいて、
上記トリム部の上記底壁には外面に開口し長手方向に連続する底壁溝部が形成され、
上記中空シール部は、上記トリム部と別体で形成されるとともに、車体開口部と対向する相手部材に当接するスポンジ材で形成された中空部と、該中空部から下方に延設されソリッド材で形成された連結部と、該連結部の先端から幅方向における断面寸法が該連結部より大きくてソリッド材で形成された先端回転部とから形成され、該先端回転部は、上記底壁溝部に嵌合され、上記中空部は、上記車体開口部と対向する相手部材に当接するとともに、上記先端回転部が上記底壁溝部内で、所定範囲で回動可能に嵌合されたことを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
上記先端回転部は、断面円形又は断面円弧形に形成され、
上記底壁溝部は、上記先端回転部を保持する断面円形又は断面円弧形の溝部保持部と、上記底壁溝部の開口であって上記溝部保持部よりも断面が狭く形成された溝部開口部とから形成され、該溝部保持部に上記先端回転部が嵌合された請求項1に記載のウエザストリップ。
【請求項3】
上記底壁溝部の内面に長手方向に連続する溝部段部を形成し、上記先端回転部の表面に長手方向に連続する先端回転部段部を形成し、上記先端回転部が上記底壁溝部内で、所定範囲で回動して所定範囲限界に至ったときに、上記溝部段部に上記先端回転部段部が当接するように形成した請求項1又は請求項2に記載のウエザストリップ。
【請求項4】
上記底壁溝部の内面に長手方向に連続する複数の溝部突状部を形成し、上記先端回転部の表面に長手方向に連続する複数の先端回転部突状部を形成し、上記先端回転部が上記底壁溝部内で回動したときに、上記溝部突状部と上記先端回転部突状部が係合するように形成した請求項1又は請求項2に記載のウエザストリップ。
【請求項5】
上記ウエザストリップは、上記トリム部の底壁の上方に中空シール部が位置し、上記車体開口部周縁のフランジに対して上方から取付けられ、上記相手部材であるトランクリッド又はバックドアが上記中空シール部に対して上方から当接するトランクウエザストリップまたはバックドアウエザストリップである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−228723(P2010−228723A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81554(P2009−81554)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】