説明

ウエザストリップ

【課題】特に分離タイプのインサートを有するウエザストリップにおいて、トリム部内にガス溜まりが発生してしまうことを防止し、ひいては外観品質の低下を防止する。
【解決手段】ウエザストリップは、発泡ゴムからなるトリム部と、中空状のシール部とを備える。また、トリム部内には、互いに略平行に配設された複数の骨片部32を有するインサート10が埋設される。トリム部は、インサート10を覆うようにして押出成形された未加硫の発泡ゴムに加硫処理を施すことで形成される。加硫処理時において、骨片部32は連結部33によって連結されるとともに、加硫処理の後、連結部33のうちの切断予定部が切断される。骨片部32のうち連結部33に挟まれる部位と連結部33とによって構成され、インサート10の長手方向に延びる帯状部のうち、切断予定部を除く部位にインサート10の長手方向に沿う複数の透孔35が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の開口周縁に用いられるウエザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両のドア開口周縁にはドアウエザストリップが設けられる。ドアウエザストリップは、ドア開口周縁のフランジに対し嵌め込まれる断面U字状のトリム部と、前記トリム部から突出する中空状のシール部とを備えている。また、前記トリム部は、ゴム材料によって構成されているとともに、当該トリム部には、前記フランジに対する保持力を高める等の観点から、金属製のインサートが埋設されている。当該インサートとしては、前記トリム部の長手方向と直交する方向に延びる複数の短冊状の骨片部と、各骨片部を連結するボンド部を有するものが知られている。また、フランジに対する取付の追従性を向上させるべく、前記骨片部が分離して構成されたインサート(分離タイプのインサート)を有するウエザストリップも提案されている。
【0003】
前記トリム部は、前記インサートを覆うようにして押出成形された未加硫ゴム(トリム部中間体)を得た上で、当該トリム部中間体に加硫処理を施すことによって形成される。また、上記分離タイプのインサートを有するウエザストリップであっても、製造の簡素化を図りつつ、各骨片部の埋設位置にずれが生じてしまうこと等を防止するために、押出成形時においては、各骨片部を連結部によって連結しておき、加硫処理の後に連結部を切断することが一般的である。
【0004】
近年、ドアウエザストリップに関する軽量化の要請が高まっており、前記トリム部を発泡ゴム(微発泡ゴムを含む)によって形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。ここで、前記発泡ゴムは、前記トリム部を構成する未加硫ゴムに対して発泡剤を含有させた上で、前記加硫処理により前記発泡剤を発泡させることによって形成される。
【特許文献1】特開2003−291744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、加硫処理を施すことによってトリム部内においては発泡ガスが生じることとなるが、当該発泡ガスの一部がトリム部の表面から外部へと放出され得る。ここで、発泡ガスが前記インサートとの境界側へと放出されてしまうと、図8に示すように、インサート94及びトリム部95間に発泡ガスが溜まってしまい、インサート94とトリム部95との間にガス溜まり96が形成されてしまうおそれがある。その結果、トリム部95の表面が所々膨らんだ状態となってしまい、外観品質の低下を招いてしまうおそれがある。
【0006】
ここで、本願発明者が鋭意検討した結果、特に、各骨片部を連結する連結部(例えば、ボンド部)と、骨片部のうち各連結部に挟まれた部位とからなる、インサートの長手方向に直線状に延びる帯状部において特にガス溜まりが発生しやすいことがわかった。これは、インサートの回りをトリム部を構成するゴムが取り囲むことで、インサートに対するトリム部の密着力が生じるのであるが、前記帯状部は、長手方向において前記ゴムに取り囲まれていないため、前記密着力が比較的弱いものとなりやすく、ひいては帯状部とトリム部との間に隙間が生じやすいことに起因する。
【0007】
従って、当該不具合は、押出成形時において各骨片部が連結部により連結される、上述の分離タイプのインサートを備えるウエザストリップにおいても発生してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、特に分離タイプのインサートを有するウエザストリップにおいて、トリム部内にガス溜まりが発生してしまうことを防止し、ひいては外観品質の低下を防止することができるウエザストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.車両のドア開口周縁部のフランジに保持されるとともに、発泡ゴムからなる断面U字状のトリム部と、
前記トリム部から突出して設けられ、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部と、
互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部を有し、前記トリム部内に埋設されるインサートとを備え、
前記トリム部は、前記インサートを覆うようにして押出成形された未加硫の発泡ゴムに対して加硫処理を施すことによって形成されるとともに、
前記加硫処理時において、前記インサートは隣接する前記骨片部同士を連結する複数の連結部を有するとともに、前記加硫処理の後、前記連結部のうちの複数の切断予定部が切断されてなるウエザストリップであって、
前記骨片部のうち前記連結部に挟まれる部位と、前記連結部とによって構成され、前記インサートの長手方向に延びる帯状部のうち、前記各切断予定部を除く部位に、前記インサートの長手方向に沿うようにして複数の透孔を設け、かつ、
前記透孔は、前記帯状部にスリットを設けた上で、前記帯状部に対して圧延処理を施すことによって形成されることを特徴とするウエザストリップ。
【0011】
上記手段1によれば、前記帯状部のうち切断予定部を除く部位に複数の透孔が設けられる。そのため、トリム部を構成する発泡ゴムが前記透孔を通った状態でインサートを取り囲むこととなり、帯状部は、その長手方向においても発泡ゴムで取り囲まれる。これにより、帯状部に対するトリム部の密着性を高めることができるとともに、帯状部に対応する位置においては、透孔を介しての気泡の導通が許容される。その結果、帯状部とトリム部との間に発泡ガスが溜まってしまうことを抑制でき、外観品質の低下をより確実に防止することができる。
【0012】
また、単にガス溜まりを防止するという観点からは、前記帯状部のうち前記透孔を設ける位置を特に限定する必要はないが、連結部のうちの切断予定部に透孔を設けてしまうと、押出成形の際に前記透孔を基点として切断予定部が切断されてしまうおそれがある。その結果、トリム部内の各骨片部の埋設位置にずれが生じてしまう等の不具合が発生してしまうおそれがある。この点、本手段1によれば、帯状部のうち切断予定部を除く部位に透孔が設けられている。その結果、押出成形時における切断予定部の切断をより確実に防止することができ、トリム部内において各骨片部の埋設位置にずれが生じてしまう等の不具合をより確実に抑制することができる。
【0013】
加えて、前記透孔を設けるにあたっては、例えば、打ち抜き加工を施すことによって透孔を形成する手法が考えられるが、打ち抜き加工を施すと、打ち抜きくずが発生してしまい、打ち抜きくずの処理の伴う製造工程の複雑化や、製造コストの増大等の不具合を招いてしまうおそれがあるところ、本手段1によれば、前記透孔は、帯状部にスリットを設けるとともに、当該スリットの設けられた帯状部に対して圧延加工を施すことによって形成されている。このため、打ち抜きくずの発生を防止することができ、製造工程の複雑化や製造コストの増大等の不具合を抑制することができる。
【0014】
手段2.前記透孔を前記帯状部のうち前記骨片部に対してのみ設けたことを特徴とする手段1に記載のウエザストリップ。
【0015】
連結部に対して前記透孔を設けた場合には、骨片部を連結する領域がその分だけ狭められてしまうため、連結部における強度が低下し、押出成形時等において連結部が切断されてしまうことが懸念される。この点、本手段2によれば、前記透孔が前記帯状部のうちの骨片部に対してのみ、すなわち、帯状部のうち連結部を除いた部位に設けられている。このため、押出成形時等における、透孔を基点とした連結部の切断をより確実に防止することができ、骨片部の埋設位置のずれ等の不具合を一層確実に抑制することができる。
【0016】
尚、押出成形時等における連結部の切断をより確実に防止するという観点からは、前記透孔の形成位置を前記連結部から比較的離間させた位置とすることが好ましい。従って、例えば、骨片部の幅方向略中央に前記透孔を設けることとしてもよい。
【0017】
手段3.前記透孔は、前記インサートの長手方向と直交する方向に延びる横長孔を含むことを特徴とする手段1又は2に記載のウエザストリップ。
【0018】
圧延加工によりスリットは帯状部の長手方向(圧延方向)に拡大しやすい。そのため、発泡ゴムを通過可能な十分な大きさの透孔を比較的容易に形成するという観点からは、上記手段3のように、透孔を長手方向と直交する方向に延びる横長孔を有するようにして形成することが好ましい。
【0019】
手段4.前記透孔は、前記インサートの長手方向に延びる縦長孔を含むことを特徴とする手段1又は2に記載のウエザストリップ。
【0020】
上記手段4によれば、透孔は長手方向に延びる縦長孔を有して形成されている。従って、連結部に差しかかった状態で前記透孔を設けたとしても、該透孔の幅を比較的狭くすることができるため、連結部について十分な強度を有するものとすることができる。その結果、押出成形等に際して連結部の切断が生じてしまうことを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、車両としての自動車100のトランクルーム1等を示す斜視図であり、図2は、ウエザストリップ4を示す断面図である。図1に示すように、前記トランクルーム1には、ヒンジ2を介して、ドアとしてのトランクリッド(ラッゲージドア)3が開閉可能に設けられており、トランクルーム1の開口部周縁には、前記ウエザストリップ4が配設されている。
【0022】
図2に示すように、ウエザストリップ4は、断面略U字状のトリム部5と、中空状のシール部6とを備えている。
【0023】
前記トリム部5は、車外側側壁部7、車内側側壁部8、及び、両側壁部7,8を連結する側壁連結部9からなり、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)微発泡ゴム(本発明の発泡ゴムに相当する)によって形成されている。また、前記トリム部5の内部には、金属製のインサート10が埋設されている。加えて、トリム部5には、両側壁部7,8からそれぞれトリム部5の内側へと延出する保持リップ11が一体的に設けられている。そして、トリム部5が、トランクルーム1の開口部周縁に沿って設けられたフランジ21に嵌合されることによって、ウエザストリップ4が前記開口部周縁に保持されている。より詳しくは、前記フランジ21を前記各保持リップ11によって挟み込むことで、ウエザストリップ4がトランクルーム1の開口部周縁に保持されている。
【0024】
また、前記トリム部5の車外側側壁部7には、その先端から車外側へと延設された室外リップ12が設けられており、前記フランジ21を構成するボディパネル22に対して当接するようになっている。
【0025】
さらに、前記車内側側壁部8の側壁連結部9側の端部から車内側に延びるようにして、室内リップ13が設けられている。尚、当該室内リップ13は、その略中間部分から先端側が車内側側壁部8に近づく方向に若干屈曲されて形成されている。
【0026】
また、シール部6は、前記側壁連結部9から車外側へと突出して形成されており、EPDM発泡ゴムにより形成されている。詳述すると、前記シール部6は、トランクルーム1の閉状態においてトランクリッド3と当接する位置に設けられており、前記トランクルーム1の閉時には、潰れ変形し、トランクルーム1の開口部とトランクリッド3との間をシールするようになっている。
【0027】
尚、本実施形態においては、トリム部5及びシール部6の双方が発泡されたEPDMゴムによって構成されているが、トリム部5を構成する材料は微発泡材料であり、シール部6を構成する材料よりも発泡の程度が低いものである。すなわち、トリム部5を構成する材料は、シール部6を構成する材料よりも密度が大きく、ひいては十分な剛性を有している。このため、前記保持リップ部11は十分な剛性を有しており、前記フランジ21に対してウエザストリップ4を安定した状態で組み付けることができるようになっている。
【0028】
加えて、図3に示すように、前記インサート10は、複数の骨片体31を備えて構成されている(尚、同図は、曲げ加工前の状態を示す)。また、前記骨片体31は、それぞれ一対の骨片部32と、当該一対の骨片部32の両端側同士を連結する一対の連結部33とによって構成されている。さらに、各骨片部32は、前記車内側側壁部7に対応する車内側側壁対応部37と、前記車外側側壁部8に対応する車外側側壁対応部38と、前記側壁連結部9に対応する側壁連結部対応部39とから構成されている。また、前記各骨片部32のうち前記連結部33を含むようにしてインサート10の長手方向に延びる部位(後述する帯状部45に相当する)は、圧延加工が施されることによって、比較的薄肉に形成されている。尚、図4に示すように、各骨片体31は、少なくとも後述する押出成形時においては、前記連結部33よりも幅狭な細連結部33Aによって連結されている。そして押出成形後の、後述する分離加工時において、比較的幅の狭い細連結部33A(切断予定部34)が切断されることで、前述のインサート10が構成されるようになっている。
【0029】
図3に戻って、各骨片部32の両端部には、複数の細長い透孔35が形成されている。より詳しくは、前記透孔35は、各骨片部32の両端側部分であって、各骨片部32の幅方向(インサート10の長手方向)略中央に設けられている。また、前記透孔35は、前記インサート10の長手方向と直交する方向に沿って延びている。
【0030】
次いで、上述したウエザストリップ4の製造方法について説明する。
【0031】
先ず初めに、図4に示す、細連結部33Aによって各骨片体31が連結されてなる(すなわち、分離加工前の)インサート中間体IMの製造方法について説明する。まず、スリット形成用突条部を備えるとともに相互に対向する一対のスリットローラ(図示せず)の間に、所定の金属材料よりなる帯状の金属板MBを通すことで、図5に示すように、当該金属板MBに対して複数のスリットを形成する。詳述すると、前記金属板MBには、前記金属板MBの幅方向両端において、幅方向に延びる複数の端部スリット41,42と、当該端部スリット41,42に挟まれる形で前記金属板MBの幅方向に沿って延びる複数の中央スリット43とが形成される。また、端部スリット41,42と中央スリット43との間に位置する領域(連結部33に相当する)間の金属板MBの長手方向に沿った中央部分には、幅方向に延びる複数の透孔用スリット44が形成される。尚、前記中央スリット43としては、前記金属板MBの幅方向に沿って比較的長いものと、比較的短いものとが交互に形成されるようになっている。
【0032】
次いで、図示しない一対の圧延ローラの間に、前記金属板MBを通すことで、前記端部スリット41,42及び中央スリット43の間に位置する領域を含んで長手方向に延びる一対の帯状部45が圧延される。これにより、各スリット41,42,43が長手方向に拡幅されることとなり、複数の骨片体31と、各骨片体31を連結する複数の細連結部33Aとが形成される。併せて、圧延処理により透孔用スリット44が長手方向に拡幅され、前記透孔35が形成される。その結果、インサート中間体IMが得られる。尚、前記比較的長い中央スリット43と、前記端部スリット41,42との間に位置する比較的幅の狭い細連結部33Aが、後述する分離加工時において切断される切断予定部34となる。
【0033】
次いで、押出成形機(図示せず)に対して、前記インサート中間体IMとともに、所定量の発泡剤が含有されてなるEPDM未加硫ゴム(EPDM未加硫微発泡ゴム)及び、前記所定量よりも比較的多い発泡剤が含有されてなるEPDM未加硫ゴム(EPDM未加硫発泡ゴム)を連続的に供給する。これにより、前記インサート中間体IMがEPDM未加硫微発泡ゴムによって被覆されるとともに、中空状のEPDM未加硫発泡ゴムが前記EPDM未加硫微発泡ゴムの外表面に対して接合されてなる中間体(図示せず)が、前記押出成形機のダイスから押出成形される。尚、インサート中間体IMの周囲を覆うEPDM未加硫微発泡ゴムが、前記トリム部5を構成し、中空状のEPDM未加硫発泡ゴムが、前記シール部6を構成することとなる。
【0034】
さらに、押出成形された前記中間体が、図示しない高周波加硫槽(UHF)に案内され、一次加硫が施される。その後、図示しない熱風加硫層(HAV)に案内され、二次加硫が施される。これにより、加硫が促進させられるとともに、材料中の前記発泡剤の発泡が起こることとなり、EPDM微発泡ゴムよりなるトリム部5及びEPDM発泡ゴムからなるシール部6等を有するウエザストリップ中間体(図示せず)が得られる。そして、当該ウエザストリップ中間体を冷却処理した後、インサート中間体IMの分離加工が施される。すなわち、前記ウエザストリップ中間体を、複数のローラを備える分離機(図示せず)に案内し、ウエザストリップ中間体を前記各ローラに沿って蛇行した状態で移動させることにより、前記切断予定部34に対して曲げ返しと曲げ戻しとが複数回に亘って行われる。その結果、切断予定部34が切断され、各骨片体31同士が分断されてなるインサート10が形成される。最後に、前記トリム部5に対して略U字状の曲げ加工を施すことによって、前記ウエザストリップ4が得られる。
【0035】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記帯状部45のうち切断予定部34を除く部位に複数の透孔35が設けられる。そのため、トリム部5を構成するEPDM微発泡ゴムが前記透孔35を通った状態でインサート10を取り囲むこととなり、帯状部45は、その長手方向においても微発泡ゴムで取り囲まれる。これにより、帯状部45に対するトリム部5の密着性を高めることができるとともに、帯状部45に対応する位置においては、透孔35を介しての気泡(発泡ガス)の導通が許容される。その結果、帯状部45とトリム部5との間に発泡ガスが溜まってしまうことを抑制でき、外観品質の低下をより確実に防止することができる。
【0036】
また、単にガス溜まりを防止するという観点からは、前記帯状部45のうち前記透孔35を設ける位置を特に限定する必要はないが、連結部33のうちの切断予定部34に透孔35を設けてしまうと、押出成形の際に前記透孔35を基点として切断予定部34が切断されてしまい、ひいてはトリム部5内における各骨片部32の埋設位置にずれが生じてしまう等の不具合が発生するおそれがある。この点、本実施形態によれば、帯状部45のうち切断予定部34を除く部位に透孔35が設けられている。その結果、押出成形時における切断予定部34の切断をより確実に防止することができ、トリム部5内において各骨片部32の埋設位置にずれが生じてしまう等の不具合をより確実に抑制することができる。
【0037】
併せて、連結部33に対して透孔35を設けてしまうと、各骨片体31を連結する領域がその分だけ減少してしまうため、連結部33の強度が低下し、押出成形時等において連結部33が切断されてしまうことが懸念される。この点、本実施形態によれば、前記帯状部45のうち骨片部32に対してのみ、すなわち、帯状部45のうち切断予定部34だけでなく連結部33も除いた部位に透孔35が設けられている。このため、押出成形時等における、透孔35を基点とした連結部33の切断をより確実に防止することができ、骨片部32の埋設位置のずれ等の不具合を一層確実に抑制することができる。
【0038】
さらに、前記透孔35は、帯状部45に透孔用スリット44を設けるとともに、当該帯状部45に対して圧延加工を施すことによって形成されている。このため、透孔35を打ち抜き加工によって形成した場合に生じる打ち抜きくずの発生をより確実に防止することができ、ひいては製造工程の複雑化や製造コストの増大等の不具合を抑制することができる。
【0039】
加えて、圧延加工によりスリットは帯状部45の長手方向(圧延方向)に拡大しやすいところ、本実施形態においては、透孔35が長手方向と直交する方向に延びる横長孔形状をなすように構成されている。このため、圧延加工によって発泡ゴムを通過可能な十分な大きさの透孔35を比較的容易に形成することができる。
【0040】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0041】
(a)上記実施形態において、透孔35は、長手方向と直交する方向に延びるようにして形成されているが、例えば、図6に示すように、透孔55を長手方向に延びるようにして形成することとしてもよい。また、図7に示すように、透孔65を、長手方向に延びる縦長孔66と、前記長手方向と直交する方向に延びる横長孔67とからなる略I字状に形成することとしてもよい。
【0042】
ここで、透孔55を長手方向に延びるようにして形成すれば、連結部33に差しかかった状態で前記透孔55を設けたとしても、該透孔55の幅を比較的狭くすることができるため、連結部33について十分な強度を有するものとすることができる。その結果、押出成形に際して連結部33の切断が生じてしまうことを効果的に防止することができる。
【0043】
また、透孔65を、長手方向に延びる縦長孔66と、長手方向と直交する方向に延びる横長孔67とで形成すれば、透孔を長手方向に延びるようにして形成することによる作用効果と、透孔を長手方向と直交する方向に延びるようにして形成することによる作用効果が一挙に奏されることとなる。
【0044】
(b)上記実施形態では、トランクリッド(ラッゲージドア)3に対応するボディ側のドア開口部周縁に設けられるウエザストリップ4について具体化しているが、フロントドア、リヤドア、バックドア、ルーフドア(スライディングルーフパネル)等の他のドア開口周縁に設けられるウエザストリップについて適用することも可能である。
【0045】
(c)上記実施形態では、分離タイプのインサートとして、骨片体31がそれぞれ分離されてなるインサート10を挙げているが、インサートの構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、各骨片部32がそれぞれ分離されてなるインサートに対して、本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】自動車のトランクルーム等を示す斜視図である。
【図2】ウエザストリップの構成を示す断面図である。
【図3】曲げ加工前のインサートの構成を示す部分拡大平面図である。
【図4】分離加工前のインサート(インサート中間体)の構成を示す部分拡大平面図である。
【図5】インサートを構成する金属板等を示す部分拡大平面図である。
【図6】別の実施形態におけるインサートの構成を示す部分拡大平面図である。
【図7】別の実施形態におけるインサートの構成を示す部分拡大平面図である。
【図8】従来技術における問題点を説明するためのトリム部等の構成を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0047】
3…ドアとしてのトランクリッド、4…ウエザストリップ、5…トリム部、6…シール部、10…インサート、21…フランジ、32…骨片部、33…連結部、34…切断予定部、35,55,65…透孔、45…帯状部、66…縦長孔、67…横長孔、100…車両としての自動車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア開口周縁部のフランジに保持されるとともに、発泡ゴムからなる断面U字状のトリム部と、
前記トリム部から突出して設けられ、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部と、
互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部を有し、前記トリム部内に埋設されるインサートとを備え、
前記トリム部は、前記インサートを覆うようにして押出成形された未加硫の発泡ゴムに対して加硫処理を施すことによって形成されるとともに、
前記加硫処理時において、前記インサートは隣接する前記骨片部同士を連結する複数の連結部を有するとともに、前記加硫処理の後、前記連結部のうちの複数の切断予定部が切断されてなるウエザストリップであって、
前記骨片部のうち前記連結部に挟まれる部位と、前記連結部とによって構成され、前記インサートの長手方向に延びる帯状部のうち、前記各切断予定部を除く部位に、前記インサートの長手方向に沿うようにして複数の透孔を設け、かつ、
前記透孔は、前記帯状部にスリットを設けた上で、前記帯状部に対して圧延処理を施すことによって形成されることを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
前記透孔を前記帯状部のうち前記骨片部に対してのみ設けたことを特徴とする請求項1に記載のウエザストリップ。
【請求項3】
前記透孔は、前記インサートの長手方向と直交する方向に延びる横長孔を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のウエザストリップ。
【請求項4】
前記透孔は、前記インサートの長手方向に延びる縦長孔を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−52507(P2010−52507A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217823(P2008−217823)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】