説明

ウエハーダイシングのための方法及び当該方法に有用な組成物

【課題】半導体ウエハーダイシングのための溶液を提供する。
【解決手段】この溶液は、汚染残留物又は粒子の付着を抑制し、そしてソーイングによるウエハーのダイシング処理の際、露出したメタライゼーション領域の腐食を低減又は排除する。この溶液は、少なくとも1種の有機酸及び/又はその塩、少なくとも界面活性剤及び/又は少なくとも塩基、並びに脱イオン水を含み、その組成物は4又はそれ以上のpHを有する。この溶液は、キレート剤、消泡剤又は分散剤をさらに含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願とのクロスリファレンス]
本出願は、これよりも前に出願した米国仮特許出願第61/362,896号(2010年7月9日付けで出願)の35U.S.C.§119(e)に基づく優先権を主張する。前記米国仮特許出願の開示内容はその全体を参照することによりここに援用される。
【背景技術】
【0002】
集積回路は通常、ウエハー上に形成される。単一のウエハーは、複数の集積回路チップ又はダイを含有している。ウエハーをソーイングするダイシング過程を通して集積回路チップ又はダイが得られる。
【0003】
ダイシング過程中、ウエハーをソーイングすることから生じる小さな汚染残留物/粒子、通常のシリコン残留物が、ウエハー表面に付着し、ボンディング・パッド及びトレンチされた場所内に蓄積する。これらの残留物は一旦ウエハーと接触すると、後続のクリーニング過程で除去するのは難しく、一旦深いトレンチ内に捕らえられると、除去するのは事実上不可能である。加えて、ダイシング過程中、ボンディング・パッドは腐食が発生するように露出される。腐食はボンディング・パッドを損傷し、このことはボンディング性能の劣化、信頼性の低下、又はデバイスの故障さえ引き起こす。汚染粒子及び腐食は、その後の組み立て作業、例えばワイヤボンディングで問題を招くおそれがある。
【0004】
ダイシング中に腐食を低減するための1つのアプローチは、ダイシング・ブレードのための冷却液として高純度脱イオン水(DIW)を使用することを伴う。カッティング領域及び回転ブレードは普通、大量の脱イオン水流を浴びせられる。シリコン残留物は、カッティング領域に大量に注がれる冷却水によって洗い流されると考えるかもしれない。残念ながら、大量の注水下でさえ、小さなシリコン粒子は完全には洗い流されない。さらに悪いことにより、冷却水は静荷電の形成をもたらし、その結果、ボンディング・パッド上にシリコン残留物/粒子を蓄積させ、腐食を引き起こすおそれがある。
【0005】
半導体技術が急速に進歩するのに伴って、ウエハーのサイズが大きくなる一方、ダイのサイズが小さくなる。このことは、ダイシングに費やされる時間を長くする。これはより多くの難題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、全ての露出表面領域に対する汚染残留物/粒子の付着、及び全ての露出表面領域の腐食を抑制する上で効果的な、ダイシング溶液又は半導体ウエハーダイシングのための溶液、及び溶液の使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施態様は、汚染残留物の付着及び露出したメタライゼーション領域の腐食を抑制する半導体ウエハーダイシングのための溶液であって、
有機酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の第1の化合物と、
界面活性剤及び塩基からなる群より選択される少なくとも1種の第2の化合物と
を含み、残りが実質的に脱イオン化された水であり、
前記溶液が4よりも大きなpHを有する、半導体ウエハーダイシングのための溶液を提供する。
【0008】
本発明の別の実施態様は、ウエハーダイシングのための方法であり、ボンディング・パッドを備えたウエハーをソーによりダイシングし、該ウエハーをソーイングすることにより汚染残留物が生じ、露出した全てのメタライゼーション領域に腐食が生じることがあり得るウエハーダイシングのための方法であって、
前記ダイシングの際に前記ウエハーを
有機酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の第1の化合物と、
界面活性剤及び塩基からなる群より選択される少なくとも1種の第2の化合物と
を含み、残りが実質的に脱イオン化された水であり、
4よりも大きなpHを有する溶液と接触させる工程を含む、ウエハーダイシングのための方法を提供する。
【0009】
より具体的には、少なくとも1種の第1の化合物は0.001wt%〜30wt%であり、界面活性剤は0.001wt%〜10wt%であり、塩基は0.001wt%〜20wt%であり、溶液は質量比1:0〜1:10000で脱イオン水によって希釈されている。
【0010】
溶液は、キレート剤、消泡剤又は分散剤をさらに含むことができる。
【0011】
本発明のさらに別の実施態様は、汚染残留物の付着及び露出したメタライゼーション領域の腐食を抑制する半導体ウエハーダイシングのための溶液であって、
クエン酸及びシュウ酸からなる群より選択される0.001wt%〜30wt%の少なくとも1種の酸と、
0.001wt%〜20wt%の塩基及び0.001wt%〜10wt%の界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と
を含み、残りが実質的に脱イオン化された水であり、
前記溶液が4よりも大きくかつ13よりも小さいpHを有し、
前記溶液が、質量比1:0〜1:10000で脱イオン水によって希釈され、
前記塩基が、水酸化カリウム(KOH)及び水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)からなる群より選択され、
前記界面活性剤が、第二アルコールエトキシレート及び第二アルカンスルホネートからなる群より選択される、半導体ウエハーダイシングのための溶液を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ソーイングによるウエハーダイシングのための典型的な装置の概略図である。
【図2a】水道水に対するダイシング溶液38Aのガルバニ電流密度を示す。
【図2b】水道水に対するダイシング溶液38Aのガルバニ電流密度を示す。
【図3a】ボール・グリッド・アレイ(BGA)上のDI水に対するダイシング溶液38Aの平均カーフ・サイズ(mm)を示す。
【図3b】セラミック上のDI水に対するダイシング溶液38Aの平均カーフ・サイズ(mm)を示す。
【図3c】シリコン・ウエハー上のDI水に対するダイシング溶液38Aの平均カーフ・サイズ(mm)を示す。
【図4a】ボール・グリッド・アレイ(BGA)上のDI水に対するダイシング溶液38Aの切り屑及びバリの平均サイズを示す。
【図4b】セラミック上のDI水に対するダイシング溶液38Aの切り屑及びバリの平均サイズを示す。
【図4c】シリコン・ウエハー上のDI水に対するダイシング溶液38Aの切り屑及びバリの平均サイズを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[導電率及び抵抗率]
ダイシング過程中、静電荷がウエハー上に蓄積されることがある。このような電荷蓄積及び/又は後続の静電放電(ESD)は、ウエハー上の高感度デバイスを損傷するおそれがある。静電荷はウエハー表面に粒子を引きつけることもある。従って、ダイシング過程中のいかなる静電荷蓄積をも消散させることが重要である。静電荷の消散方法は、抵抗率が低い(導電率が高い)ダイシング流体を使用することである。導電性流体は、電荷がダイシング中に消散するための通路を提供する。ソーブレードとウエハーとの間を潤滑にするために、ダイシング流体としてDI水が一般に使用される。DI水は、ソーブレードとウエハーとの間の摩擦に起因してソーブレードが過熱するのを防ぐための冷却液としても作用する。しかし、DI水は高い抵抗率を有している(典型的には約18メガオーム)ので、これは電荷消散のための良好な導電性流体ではない。DI水の抵抗率を低下させるための一般に用いられる方法は、CO2をDI水中に注入することによるものである。このことはDI水の抵抗率を低下させるので、この流体は、電荷をより良好に消散させる。本発明において開示されたダイシング溶液の抵抗率は、CO2をスパージされたDI水よりもさらに低い。従って、このようなダイシング溶液は、ダイシング中のウエハー上の電荷蓄積をより良好に消散させることになる。
【0014】
[表面張力及び低発泡]
ダイシング過程中、小さな汚染残留物、普通はシリコン残留物がウエハー表面に付着し、Alボンディング・パッド及びトレンチ領域上に蓄積する。これらのシリコン粒子は、Alボンディング・パッドを機能に関して検査/試験するときに問題を引き起こすことがある。シリコン粒子は、Alボンディング・パッドに別の金属がボンディングされるワイヤボンディング中の接着力を劣化させることもある。従って、これらのSi残留物は、ウエハー表面から除去される必要がある。通常は、ダイシング過程中にダイシング溶液が使用される。ダイシング溶液は、ソーブレード及びウエハー上に噴霧される流体である。ダイシング溶液の1つの機能は、ウエハー表面からSi残留物を除去することである。粒子除去を改善するために、ダイシング溶液はしばしば界面活性剤を含有する。このことはダイシング溶液の表面張力を低下させるので、ウエハーの表面をより良好に湿潤する。より良好な表面湿潤は粒子除去を改善することになる。希釈率が高くでも、本発明において開示されたダイシング溶液の表面張力はDI水よりも著しく低い。このことは、ダイシング溶液がDI水よりも良好な粒子除去能力を有することを意味する。本発明において開示されたダイシング溶液の表面張力はまた、一般に使用されている商業的ダイシング溶液のうちのいくつかよりも低い。
【0015】
ダイシング溶液中の界面活性剤が表面張力を低下させることにより、粒子をより良好に除去できても、界面活性剤の1つの潜在的問題、すなわち発泡という問題がある。多くの界面活性剤はダイシング溶液中で発泡体を生じさせる。発泡体は、粒子を除去するダイシング溶液の能力を妨害するおそれがある。発泡体自体はウエハー上で乾燥し、粒子をそのまま残す。従って、ダイシング溶液中に発生する発泡体をできる限り僅かにすることが重要である。実際のダイシング機械上の試験では、本発明において開示されたダイシング溶液がソーブレード及びウエハー表面における使用時点で発生させた発泡体は、競合業者の製品と比較して僅かであった。本発明において開示されたダイシング溶液が再循環タンク内で発生させる発泡体も、一般に使用される商業的ダイシング溶液よりも僅かであった。
【0016】
[pH]
ダイシング過程中にはAlボンディング・パッドがしばしば露出させられる。潤滑、冷却、粒子除去などのために、ダイシング中にダイシング溶液がしばしば使用される。ダイシング溶液としては非常にしばしばDI水が使用される。DI水の使用に伴う問題点は、そのpHが約7であり、これがAl腐食が生じるpHであることである。ウエハーをダイシングするために必要とされる典型的な時間は20〜30分である。その時間経過中、Alボンディング・パッドはDI水に曝されることになり、これはAl腐食を引き起こすおそれがある。DI水中のAl腐食を防止する1つの方法は、CO2をDI水中に注入することである。このことは、DI水のpHを約4〜4.5に低下させる。このpHでは、Al腐食は最小化される。ダイシング中のAl腐食を防止する別の方法は、DI水のpHを低下させるダイシング溶液を使用することである。DI水又は蒸留水による典型的な希釈質量比1:0〜1:10000における、本発明で開示されたダイシング溶液のpHは、4〜13である。脱イオン水と蒸留水とは取り換え可能に使用することができる。このpHでは、ダイシング溶液は、ダイシング中の露出Alボンディング・パッド上のAl腐食を最小限にする。このことは、実際のウエハーに対する評価に示されている。
【0017】
[酸化銅除去]
Cu表面(Cuボンディング・パッド又は他のCu表面)が露出したウエハーがダイシング過程に到達したときに、Cu表面は、前のプロセス工程に起因して酸化・汚染層を有している場合がある。ダイシング後、Cu表面は、電気的機能に関してその部分をチェックするために試験/検査過程を施すことがある。試験中、プローブ・チップがCu表面上に接触する。Cu表面とプローブ・チップとの間の接触抵抗はできるだけ低いことが理想的である。しかしながら、Cu表面が厚い酸化層及び/又は汚染層を有している場合には、接触抵抗は高く、その部分が機能している部分であっても、プローブ試験が不合格となるおそれがある。これらの「誤った不合格」が生じるのを防ぐために、プローブ・チップがこれに接触するときにできる限りCu表面がきれいな状態であるように、酸化・汚染層を除去するためにCu表面をクリーニングすることができる。金属ワイヤがCu表面にボンディングされるワイヤボンディング時に、Cu表面上の厚い酸化及び/又は汚染層に起因する問題が発生するおそれもある。この場合もやはり、Cu表面が厚い酸化/汚染層を有しているならば、金属ワイヤはCu表面に良好に接着しないことがある。従って、ワイヤボンディングのためには、Cu表面をクリーニングする過程も有利である。本発明において開示されるダイシング溶液は、下側に位置するCu表面に最小限のエッチングを施すことにより、酸化Cuを除去することができる。従って、本発明において開示されたダイシング溶液がダイシング中に使用されるならば、Cu表面をダイシング過程中にクリーニングすることができる。
【0018】
このように、期待されるダイシング溶液は、(a)ダイシング中にウエハー上の電荷蓄積をより良好に消散させるために抵抗率が低く(導電率が高く);(b)より良好な粒子除去能力のために表面張力がより低く;(c)発生させる発泡体がより少なく;(d)ダイシング中の露出Alボンディング・パッド上のAl腐食を最小限にするためのpHを有し;そして(e)下側に位置するCu表面に最小限のエッチングを施すことにより酸化Cuを除去する能力を有するべきである。配合物又はダイシング溶液は、(a)有機酸又は塩及びそれらの混合物、及び(b)配合物のpHが4以上である界面活性剤又は界面活性剤の混合物から成っている。
【0019】
微量金属の除去を改善し、有機残留物を除去し、pHを調節し、又は金属の腐食を低減するために、有機酸が機能する。有機酸は、例えばシュウ酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルコン酸、グルタル酸、アスコルビン酸、蟻酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アミノ安息香酸、例えばアントラニル酸、フマル酸、グリシン、アラニン、シスチンなどを含む広範囲の酸から選択することができる。これらの酸の塩を使用してもよい。これらの酸/塩の混合物を使用してもよい。
【0020】
配合物又はダイシング溶液は、0.001wt%〜30wt%の有機酸/塩を含有していてよい。好ましい有機酸濃度は0.01wt%〜5wt%である。有機酸及び塩の組み合わせを使用して、所望のレベルで溶液を緩衝してもよい。
【0021】
ダイシング中の表面(ブレード及びウエハー表面)の湿潤を改善するために、この配合物中には界面活性剤が使用される。このことは、潤滑特性の改善を助け、ブレード寿命を長くするのを助け、またカーフ損失を低減するのを助ける。界面活性剤はまた、表面上に再堆積させることなしに、粒子及び残留物を表面から除去する。
【0022】
界面活性剤は、湿潤特性、発泡特性、洗浄力、濯ぎ力などを含む種々の基準に応じて選択してよい。低濃度で表面張力が極めて低く、また発泡特性が低い界面活性剤が、本出願にとって極めて望ましい。界面活性剤の組み合わせを用いてもよく、低可溶性の疎水性界面活性剤分子を可溶化するために1つの界面活性剤が使用される。難溶性界面活性剤の溶解度を高めるために、任意のソルボ(solvo)界面活性剤分子、例えばアセチレンジオール界面活性剤を使用することができる。
【0023】
種々のタイプの界面活性剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性イオン性界面活性剤又はこれらの組み合わせを使用してよい。
【0024】
界面活性剤の一例としては、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。プロセス組成物中に使用するのに適した非イオン性界面活性剤の一例としては、アセチレンアルコール型界面活性剤、例えばSurfynol S-61;オクチル及びノニルフェノールエトキシレート、例えばTRITON(登録商標) X-114, X-102, X-100, X-45,及びX-15;及びアルコールエトキシレート、例えばBRIJ(登録商標) 56 (C1633(OCH2CH210OH)(ICI)、BRIJ(登録商標) 58 (C1633(OCH2CH220OH)(ICI)、及び第二アルコールエトキシレート、例えばTergitol 15-S-7が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、第二アリルベンゼンスルホネート、脂肪アルコールスルフェート(FAS)、第二アルカンスルホネート(SAS)、例えばHostapur SAS;及びいくつかの事例では脂肪アルコールエーテルスルフェート(FAES)を含んでよい。
【0025】
さらに別の模範的な界面活性剤は、アセチレンジオール型の界面活性剤、例えばDynol(登録商標) 604、第一アルコールエトキシレート、フェニルエトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミド、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール);又は参考文献:Glen Rock, N.J.在Manufacturers Confectioners Publishing Co.によって発行されたMcCutcheon's Emulsifiers and Detergents, North American Edition for the Year 2000に示されたその他の界面活性剤を含む。
【0026】
配合物又はダイシング溶液は、濃度が0.001wt%〜10wt%、又は好ましくは0.01wt%〜5wt%の界面活性剤を含有していてよい。本出願に好ましい界面活性剤は、第二アルコールエトキシレート(具体例はDow ChemicalsのTergitol 15-S-7);第二アルカンスルホネート(SAS)、例えばHostapur SAS;アセチレンアルコール、例えばSurfynol S-61;及びオクチル及びノニルフェノールエトキシレート、例えばTRITON(登録商標) Xシリーズである。
【0027】
配合物又はダイシング溶液はさらに、配合物のpHを所望のレベル(4以上)にさらに制御するために塩基を含むことができる。クリーニング溶液のpHは4を上回り且つ13未満であってよい。
【0028】
塩基は、例えば水酸化カリウム(KOH)、炭酸グアニジン、アンモニア水、水酸化アンモニウム、及び水酸化第四アンモニウムを含む一連の化学物質から選択される。有機塩基は単独で、又は互いに組み合わせて使用してよい。
【0029】
第四アンモニウム塩の具体例は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド及び(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシドを含む。
【0030】
配合物又はダイシング溶液は、濃度0.001wt%〜20wt%の塩基を含有していてよい。
【0031】
配合物又はダイシング溶液はキレート剤を含有していてよい。キレート剤は、アミノ安息香酸、例えばアントラニル酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(NHEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、エタノールジグリシネート、クエン酸、グルコン酸、シュウ酸、リン酸、酒石酸、メチルジホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、エチリデン−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ジホスホン酸、エチルアミノビスメチレンホスホン酸、ドデシルアミノビスメチレンホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ヘキサジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、1,2−プロパンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アンモニウム塩、有機アミン塩、マロン酸、コハク酸、ジメルカプトコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、ポリカルボン酸、例えばトリカルバリル酸、プロパン−1,1,2,3−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロメリット酸、オキシカルボン酸、例えばグリコール酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピルビン酸、ジグリコール酸、サリチル酸、没食子酸、ポリフェノール、例えばカテコール、ピロガロール、リン酸、例えばピロリン酸、ポリリン酸、複素環式化合物、例えば8−オキシキノリン、エチレングリコール、グリセロール及びジケトン、例えばα−ジピリジルアセチルアセトンから選択してよい。
【0032】
配合物又はダイシング溶液は、濃度0.001wt%〜10wt%のキレート剤を含有していてよい。
【0033】
配合物又はダイシング溶液は消泡剤を含有していてよい。消泡剤は、例えばシリコーン、有機ホスフェート、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーを含有するEO/PO系消泡剤、アルコール、ホワイトオイル、又は植物油から選択してよく、蝋は、長鎖脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、又はエステルである。
【0034】
配合物は、濃度0.001wt%〜5wt%の消泡剤を含有していてよい。
【0035】
配合物又はダイシング溶液は分散剤を含有していてよい。分散剤は、アニオン性分散剤、非イオン性分散剤、カチオン性分散剤、両性分散剤、及び共重合成分としてアクリル酸塩を含有する高分子分散剤から選択してよい。
【0036】
水溶性アニオン性分散剤の例は、トリエタノールアミンラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルトリエタノールアミンスルフェート、及び特定のポリカルボン酸型高分子分散剤を含む。水溶性非アニオン性分散剤の例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びアルキルアルカノールアミドを含む。水溶性カチオン性分散剤の例は、ポリビニルピロリドン、ココナツアミンアセテート、及びステアリルアミンアセテートを含む。水溶性両性分散剤の例は、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、及び2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインを含む。
【0037】
配合物は、濃度0.001wt%〜5wt%の分散剤を含有していてよい。
【0038】
ダイシング用途において、配合物は次いで、便宜処理工具(process tool for convenience)において希釈質量比1:0〜1:10000で脱イオン水又は蒸留水によって希釈することができる。脱イオン水及び蒸留水は互いに取り換え可能に使用することができる。ウエハーを切断して個々のダイにするダイシング機械内に混合物をポンピングする。ダイシング機械は、ウエハーの表面上に混合物を噴霧するスプレーノズルを有している。混合物を室温(典型的には約25℃)でディスペンシングする。次いで混合物をウエハー表面から排出し、排液管を下るか又はフィルタを通って再循環され、そしてウエハー表面上に再噴霧される。設備の単純な概略図を図1に示す。
【0039】
図1は、本発明で採用されたソーイングによってウエハーダイシングするための典型的な装置を示す。60000RPMのダイアモンド・チップ・ホイールを備えたNANOACE Saw 工具、及び約30分/ウエハーでx/yダイシングする試験ソーレシピを利用し、送り速度は約5mm/sである。希釈済ダイシング溶液を約0.22/分の流量でノズルから噴射する。ウエハー表面上のDI水及びダイシング溶液の温度は室温(20℃〜30℃)である。ソーイング中、ダイシング溶液を連続して噴射する。
【0040】
ソーイング後、ウエハーをスポンジ及びDIWで擦る。次いでウエハーをDIWで濯ぎ、そして回転濯ぎモジュール内でClean Dry Air (CDA)によって回転乾燥させる。
【0041】
ウエハーは、ソーイング前にクリーニング溶液でクリーニング(前処理)することができる。クリーニング溶液の一例は、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、酢酸亜アンモニウム、酢酸(氷酢酸)、フッ化アンモニウム(NH4F)を含み、残りは実質的に脱イオン化された水である。
【実施例】
【0042】
[グループI]
水(95.28wt%)、クエン酸(2wt%)、水酸化カリウム(KOH)(0.72wt%)、及びTergitol 15-S-7 (2wt%)を含むダイシング溶液38Aを製造した。
【0043】
水(>90wt%)、Hostapur SAS(1wt%)、Dynol 604(0.5wt%)、クエン酸(2wt%)、及びpHを6に調節するための水酸化カリウム(KOH)(<7.5wt%)を含むダイシング溶液38Bを、ダイシング溶液38Aと同様に製造した。
【0044】
水(>90wt%)、Triton X-100(2wt%)、クエン酸(2wt%)、及びpHを6に調節するための水酸化カリウム(KOH)(<6wt%)を含むダイシング溶液38Cを、ダイシング溶液38Aと同様に製造した。
【0045】
水(>90wt%)、エチレンジアミン四酢酸(2wt%)、Tergitol 15-S-7 (2wt%)、及びpHを7に調節するためのテトラエチルアンモニウム(<6wt%)を含むダイシング溶液38Dを、ダイシング溶液38Aと同様に製造した。
【0046】
水(>90wt%)、グリシン(2wt%)、及びTergitol 15-S-7 (2wt%)を含むダイシング溶液38Eを、ダイシング溶液38Aと同様に製造した。
【0047】
次いで、上記配合物及びダイシング溶液を次いで、便宜処理工具において希釈質量比1:0〜1:10000で脱イオン水又は蒸留水によって希釈することができる。
【0048】
脱イオン水中に2.0wt%クエン酸を含むダイシング溶液58Aを次のように調製した:1リットルのHDPEポリボトルに、69.0gmの29wt% クエン酸溶液を添加した。18.7gmの10.04wt% Hostapur SAS界面活性剤溶液をボトルに添加した。全部で908.9gmの脱イオン水をボトルに添加した。pH調節のために、3.4gmの48wt% KOH溶液を、最終重量が1000.0gmになるように添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。ダイシング溶液pHの測定値は2.66であった。次いでダイシング溶液を、1:1000で脱イオン水によって希釈した。不希釈及び希釈済のダイシング溶液58AのpH、導電率、抵抗率、及び表面張力を表1に示した。
【0049】
脱イオン水中に2.0wt% シュウ酸及び0.5wt% クエン酸を含むダイシング溶液58Bを次のように調製した:1リットルのHDPEポリボトルに、水中8.2wt% シュウ酸を含有する243.3gmの水溶液を添加した。同じ1リットルのHDPEポリボトルに、17.2gmの29wt% クエン酸溶液を添加した。18.7gmの10.04wt% Hostapur SAS界面活性剤溶液をボトルに添加した。全部で694.0gmの脱イオン水をボトルに添加した。pH調節のために、26.8gmの48wt% KOH溶液を、最終重量が1000.0gmになるように添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。ダイシング溶液pHの測定値は2.54であった。次いでダイシング溶液を、1:1000で脱イオン水によって希釈した。不希釈及び希釈済のダイシング溶液58BのpH、導電率、抵抗率、及び表面張力を表1に示した。
【0050】
脱イオン水中に2.0wt% クエン酸を含むダイシング溶液58Cを次のように調製した:1リットルのHDPEポリボトルに、69.0gmの29wt% クエン酸溶液を添加した。10.0gmの純粋Tergitol 15-S-7界面活性剤をボトルに添加した。全部で918.0gmの脱イオン水をボトルに添加した。pH調節のために、3.0gmの48wt% KOH溶液を、最終重量が1000.0gmになるように添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。ダイシング溶液pHの測定値は2.52であった。次いでダイシング溶液を、1:1000で脱イオン水によって希釈した。不希釈及び希釈済のダイシング溶液58BのpH、導電率、抵抗率、及び表面張力を表1に示した。
【0051】
2.0wt% クエン酸、0.72wt% KOH、1wt% Tergitol 15-S-7、及び98.86wt% 水を含むダイシング溶液59Cを、58Cのように製造した。但しpHは3.96に調節した。ダイシング溶液を1:1000で脱イオン水によって希釈した。不希釈及び希釈済のダイシング溶液58CのpH、導電率、抵抗率、及び表面張力を表1に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
2.0wt% クエン酸、1.04wt% KOH、1wt% Tergitol 15-S-7、及び95.96wt% 水を含むダイシング溶液60Cを、58Cのように製造した。但しpHは4.65に調節した。ダイシング溶液を1:1000で脱イオン水によって希釈した。不希釈及び希釈済のダイシング溶液60CのpH、導電率、抵抗率、及び表面張力を表1に示した。
【0054】
希釈していないダイシング溶液及び種々の比でDI水によって希釈したダイシング溶液のpH、導電率(μS/cm)、導電率(MΩ−cm)、表面張力(ダイン/cm)を表1に示した。DI水も基準として表1に示す。
【0055】
表1は、ダイシングのために用いられた典型的な希釈比のダイシング溶液のpHが4〜6.5であることを示した。このpHでは、ダイシング溶液は、ダイシング中の露出Alボンディング・パッド上のAl腐食を最小限に抑えることになる。
【0056】
前述のように、本発明における静電荷消散方法は、抵抗率が低い(導電率が高い)ダイシング溶液を使用することである。導電性ダイシング溶液は、ダイシング中に電荷が消散するための通路を提供する。導電性ダイシング溶液38Aは抵抗率が低く、導電率が高いので、ダイシング中のウエハー上の電荷蓄積をより良好に消散した。
【0057】
さらに、ダイシング過程中、表面張力が低いダイシング溶液は、ウエハー表面をより良好に湿潤する。表面がより良好に湿潤されると、粒子除去が改善される。
【0058】
種々の比でDI水によって希釈されたほとんどのダイシング溶液の表面張力を表1に示した。20℃で73ダイン/cmであるDI水と比較して、表1のデータは、ほとんどのダイシング溶液がDI水よりも良好な粒子除去能力を有することを示した。
【0059】
[グループII]
次の試験は、ダイシング過程をシミュレートするために、攪拌棒を備えたビーカーを使用して行われたものである。
【0060】
ダイシング溶液38A、58A、58B、58C、59C及び60Cを1:50〜1:1000で希釈し、CuOx除去に関して試験した。試験は2つのグループで行った。グループIはダイシング溶液38Aに対応し、グループIIは残りのダイシング溶液に対応した。全ての試験データを表2に示した。
【0061】
[ダイシング溶液38A]
この試験でテストされるウエハーはCu/熱酸化物/Siのブランケット・ウエハーであった。ビーカー内のウエハー浸漬を最後の20分に設定した。
【0062】
酸化Cu除去試験を次のように行った。ビーカーのダイシング溶液38Aを磁気攪拌棒で攪拌した。Cuウエハー片をプラスチック鉗子で保持し、そしてダイシング溶液38A中に浸漬した。ダイシング溶液38Aの温度を25℃で維持した。ダイシング溶液38A中の20分間にわたる浸漬後、Cuウエハーセグメントをダイシング溶液38Aから除去し、30秒間にわたってDI水で濯いだ。次いで、DI水をN2で吹き飛ばすことにより、Cuウエハー片を乾燥させた。
【0063】
偏光解析試験を実施することにより、エリプソメーター上のモデルを使用して酸化Cu厚さを測定した。データを表2に示した。酸化Cuの初期厚は約175Åであった。
【0064】
試験中、ダイシング溶液38A中の浸漬前及び浸漬後に、各ウエハー上で酸化Cu厚さを測定した。
【0065】
不希釈ダイシング溶液38Aのエッチング速度は、酸化Cuが完全に除去されたため、測定できなった。最初の5分間で酸化Cuが除去されたのか、或いは酸化Cuを除去するために20分間全部が費やされたのかは判らない。最小値で見て、濃縮ダイシング溶液38Aの酸化Cuエッチング速度は、少なくとも175Å/20分=8.75Å/分であったが、しかしこれよりも速いエッチング速度が可能である。
【0066】
DI水を単独で、又は前処理のためのクリーニング溶液と一緒に使用しても、表面酸化を防止し、そしてCuウエハー表面に対するシリコン残留物/粒子の付着を防止するには効果的でなかった。これに対してソーイングによるウエハーダイシング中に使用されるダイシング溶液38Aは、表2に示されているように、酸化物層の形成を抑制し、Cuウエハー表面に対するシリコン残留物/粒子の付着を防止し、下側に位置するCu表面の最小エッチングによって酸化Cuを除去することができた。従って、ダイシング溶液38Aをダイシング中に使用すると、ダイシング過程それ自体の間に、Cu表面をクリーニングすることができる。
【0067】
ウエハーをダイシングするためには20〜30分という典型的な時間が必要と成り得る。その時間経過中で、Alボンディング・パッドが露出され、このことはAl腐食を招くおそれがある。
【0068】
ダイシング溶液のガルバニ電流密度を測定することにより、そのダイシング溶液がAl腐食を招くことになるか否かを見極めることができる。ガルバニ電流密度がゼロに近いならば、ガルバニ腐食は予測されない。
【0069】
図2には、水道水(ダイシング過程から生じた粒子で汚染されたDI水と類似する)に対するダイシング溶液38Aのガルバニ電流密度が示されている。Al膜及びCu膜をカップリングして、それぞれのダイシング溶液中に浸漬し、これらのガルバニ電流密度を測定した。AlとCuとをカップリングしたのは、Alボンディング・パッドがAlの合金(0.5% Cu)からなるからであった。ダイシング溶液38Aの電流密度はゼロに近く、水道水の電流密度よりも著しく低かった。これは、ダイシング溶液38Aがダイシング過程中にガルバニ腐食を引き起こさないことを示唆した。このことは重要である。なぜならば、より良好なワイヤボンディング過程を可能にするために、ダイシング後、Al表面にできるだけ腐食がないことが望ましいからである。
【0070】
ダイシング・ブレードがウエハー又はその他の基板を切断するときに、ブレードが進む経路を定義する用語は、カーフ(kerf)と呼ばれる。理論上、カーフはブレードと同じ幅であるはずである。ブレードに対する冷却及び潤滑が適正に行われず、ブレードの経路から粒子が除去されていない場合には、カーフはブレード幅よりも広くなることがある。このことは、切断されるべきではないウエハー又は基板の領域が実際には切断されるので望ましくない。従って、良好な品質のダイシング過程が行われると、できるだけ小さな(ブレード幅にできる限り近い)カーフ幅を有することになる。
【0071】
図3a〜図3cのデータは、試験された3つの全てのタイプの基板、すなわちボール・グリッド・アレイ(BGA)、セラミック、及びシリコン・ウエハー上に、ダイシング溶液38Aが、DI水、つまり一般に使用されるダイシング溶液よりも低い平均カーフ幅を有することを示した。BGA及びセラミック基板上には、ダイシング溶液38Aは、一般に使用される商業的ダイシング溶液よりも小さな平均カーフ幅を有した。
【0072】
ダイシング・ブレードがウエハー又はその他の基板を切断するときには、カーフに沿って切り屑及びバリが生じ得る。チップはダイシング過程中に破断した小さな基板片であった。バリは典型的には、金属の切断時に一緒に発生する。バリは、金属がきれいに切れず、カーフに沿って汚れている場所である。これら双方(切り屑/バリ)は望ましくない。良好なダイシング過程はカーフに沿って切り屑及びバリを極めて僅かにしか生じさせない。カーフのエッジは平滑であることが望ましい。また、切り屑及びバリの平均サイズは小さければ小さいほどよい。
【0073】
図4a〜図4cのデータは、試験された3つの全てのタイプの基板(BGA、セラミック、及びシリコン・ウエハー)上に、ダイシング溶液38Aが、DI水、つまり一般に使用されるダイシング溶液よりも小さな平均切り屑/バリ・サイズを有することを示した。BGA及びセラミック基板上には、ダイシング溶液38Aは、一般に使用される商業的ダイシング溶液よりも小さな平均切り屑/バリ・サイズを有した。
【0074】
[ダイシング溶液58A、58B、58C、59C及び60C]
ダイシング溶液58A、58B、58C、59C及び60Cの場合、酸化Cuエッチング速度が高かった。該当する個所(これは表2において「a」と示す)には、1、3、5、10及び30分の間隔で測定された厚さの線形回帰から、酸化Cuエッチング速度を割り出した。
【0075】
【表2】

【0076】
[グループIII]
[A.不希釈ダイシング溶液]
[例3]
抵抗率338.24オーム−Å/Sqの窒化チタニウム(TiN)上のAl(0.5% Cu)金属基板をSVMIから入手した。これは公称8000ÅのAl厚を有した。貯蔵中、Al基板は150Åの酸化物層まで成長することができる。エッチング速度測定前に、脱イオン水中の42.5wt% H3PO4の水溶液中に2”x2”のAl片を、2分間にわたって25℃で浸漬することにより、Al基板を前処理した。2分間の浸漬後、Al片を脱イオン水で3分間にわたって濯ぎ、N2銃で30秒間にわたって乾燥させ、次いでAl膜厚を測定した。このように前処理されたAl片を、エッチング速度測定の実施に直ちに使用した。
【0077】
[例4]
脱イオン水中に2.0wt% シュウ酸を含むダイシング溶液を次のように調製した:1リットルのHDPEポリボトルに、8.92wt% シュウ酸を含有する水溶液224.2gmを添加した。次いで、追加の脱イオン水775.8gmを、最終重量が1000.0gmになるようにボトルに添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。このダイシング溶液を48Aと名付け、溶液のpHの測定値は1.04であった。
【0078】
前処理済Al片を使用して、また熱酸化物(TOx)上の1000ÅのNi基板を使用して、ダイシング溶液48Aに25℃でエッチング速度測定を施した。Ni基板の抵抗率は2035.64オーム−Å/Sqであった。それぞれの2”x2”のAl片又はNi基板を、500ml ガラスビーカー内の48Aダイシング溶液330ml中に浸漬し、溶液を300rpmで攪拌プレート上で攪拌した。温度を記録した。厚さ測定(Å)を、ResMap Four Point プローブを使用して0、20、40、60、及び90分後に3部行った。次いで、時間データに対する膜厚を回帰計算した。Al及びNiのエッチング速度を別々に割り出し、それぞれ0.6Å/分及び3.3Å/分であることが判った。
【0079】
【表3】

【0080】
[例5〜9]
付加的なダイシング溶液50B、50E、49A、55A、及び55Bを48Aのように調製したが、但し例5〜9ではシュウ酸の濃度及び/又は最終pHをそれぞれ変化させた。エッチング速度の結果を表3にまとめた。Al及びNi金属双方のエッチング速度は、pHに対する最大値を求めた。
【0081】
[例10]
脱イオン水中に2.0wt% クエン酸を含むダイシング溶液を次のように調製した:1リットルのHDPEポリボトルに、29wt% シュウ酸を含有する水溶液6.9gmを添加した。次いで、追加の脱イオン水993.1gmを、最終重量が1000.0gmになるようにボトルに添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。このダイシング溶液を48Bと名付け、溶液のpHの測定値は1.93であった。
【0082】
前処理済Al片、及びTOx上の1000ÅのNi基板を使用して、ダイシング溶液48Bに、例4のようにエッチング速度測定を施した。次いで、時間データに対する膜厚を回帰計算した。Al及びNiのエッチング速度を別々に割り出し、両基板に関して<1Å/分であることが判った。ResMap Four Point プローブは、>20Åの膜厚の変化を測定することができ、従って、<1Å/分というエッチング速度は、30〜90分の試験にわたる膜のエッチングが不十分であることを示している。
【0083】
【表4】

【0084】
[例11〜13]
付加的なダイシング溶液49B、55E、及び55Fを48Bのように調製したが、但し例11〜13ではクエン酸の濃度及び/又は最終pHをそれぞれ変化させた。TMAHの量及び最終エッチング速度の結果を表4にまとめた。Al及びNi金属のエッチング速度は、5.3までの全てのpH値に対して<1Å/分であった。
【0085】
[例14]
脱イオン水中に2.0wt% フマル酸を含むダイシング溶液を次のように調製した:1リットルのHDPEポリボトルに、2.0gmの固形フマル酸を添加した。次いで、追加の脱イオン水998.0gmを、最終重量が1000.0gmになるようにボトルに添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。未確定量のフマル酸結晶が溶解しないままであった。上澄み溶液を捕集し、このダイシング溶液を48Cと名付けた。溶液のpHの測定値は2.13であった。
【0086】
前処理済Al片、及びTOx上の1000ÅのNi基板を使用して、ダイシング溶液48Cに、例4のようにエッチング速度測定を施した。次いで、時間データに対する膜厚を回帰計算した。Al及びNiのエッチング速度を別々に割り出し、両基板に関して<1Å/分であることが判った。
【0087】
【表5】

【0088】
[例15〜17]
付加的なダイシング溶液49C、55G、及び55Hを48Cのように調製したが、但し例15〜17ではフマル酸の濃度及び/又は最終pHをそれぞれ変化させた。TMAHの量及び最終エッチング速度の結果を表5にまとめた。Al及びNi金属のエッチング速度は、5.1までの全てのpH値に対して<1Å/分であった。
【0089】
[例18]
脱イオン水中に2.0wt% シュウ酸及び0.2wt% フマル酸を含むダイシング溶液を次のように調製した:1リットルのHDPEポリボトルに、8.92wt% シュウ酸を含有する水溶液224.4gmを添加した。同じ1リットルのHDPEポリボトルに、2.0gmの固形フマル酸を添加した。全部で679.4gmの脱イオン水をボトルに添加した。pH調節のために、94.2gmの25wt% TMAH溶液を、最終重量が1000.0gmになるように添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。このダイシング溶液を53Bと名付け、溶液のpHの測定値は3.44であった。Al及びNiのエッチング速度を別々に割り出し、それぞれ0.6Å/分及び1.4Å/分であることが判った。表6は比較例7の結果も示しており、また、pH=3.3〜3.5で2.0wt% シュウ酸溶液に0.2wt% フマル酸を添加すると、Ni金属エッチング速度を10分の1未満だけ低減することを明らかにした。
【0090】
[例19〜20]
付加的なダイシング溶液53E及び53Fを53Bのように調製したが、但しフマル酸の濃度及び/又は最終pHを変化させた。pH調節のために、25wt% TMAH混合物を使用した。フマル酸及びTMAHの量、並びに最終エッチング速度の結果を表6にまとめた。Alのエッチング速度は、事実上変化しなかった。Ni金属エッチング速度も例20及び21に関して明らかなように著しく低減されたが、しかしNiエッチング速度は、フマル酸が増大するにつれて高くなった。
【0091】
[例21]
脱イオン水中に2.0wt% シュウ酸及び0.5wt% クエン酸を含むダイシング溶液を次のように調製した:1リットルのHDPEポリボトルに、8.2wt% シュウ酸を含有する水溶液243.92gmを添加した。同じ1リットルのHDPEポリボトルに、29wt% クエン酸溶液17.24gmを添加した。全部で625.92gmの脱イオン水をボトルに添加した。pH調節のために、112.92gmの25wt% TMAH溶液を、最終重量が1000.0gmになるように添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。このダイシング溶液を56Hと名付け、溶液のpHの測定値は3.48であった。Al及びNiのエッチング速度を別々に割り出し、それぞれ0.6Å/分及び0.5Å/分であることが判った。表6に結果がまとめられており、この結果は、pH=3.3〜3.5で2.0wt% シュウ酸溶液に0.5wt% クエン酸を添加すると、Ni金属エッチング速度を10分の1未満だけ低減することを明らかにした。
【0092】
【表6】

【0093】
[例22]
Al及びNi上のダイシング溶液58Aのエッチング速度を別々に割り出し、両基板に関して<1Å/分であることが判った。この結果は、TMAHの代わりにKOHを使用し得ることを明らかにし、例10〜13で見いだされた結果と一致した。
【0094】
[例23]
Al及びNi上のダイシング溶液58Bのエッチング速度を別々に割り出し、両基板に関して<1Å/分であることが判った。pH調節されたシュウ酸溶液に関する表3のデータと比較すると、これらの結果は、Niエッチング速度が著しく低減することを示した。この結果はさらに、シュウ酸とクエン酸とが混合された溶液中でTMAHの代わりにKOHを使用し得ることを明らかにし、この結果はpH3.48で例22に見いだされた結果と一致した。
【0095】
[例24]
Al及びNi上のダイシング溶液58Cのエッチング速度を別々に割り出し、両基板に関して<1Å/分であることが判った。この結果は、例22のHostapur SAS界面活性剤の代わりに、エッチング速度に著しい変化をもたらすことなしにTergitol界面活性剤を使用し得ることを明らかにする。
【0096】
[例25]
脱イオン水中に2.0wt% シュウ酸及び0.5wt% クエン酸を含むダイシング溶液を次のように調製した:1リットルのHDPEポリボトルに、8.2wt% シュウ酸を含有する水溶液243.3gmを添加した。同じ1リットルのHDPEポリボトルに、29wt% クエン酸溶液17.2gmを添加した。10.0gmの純粋Tergitol 15-S-7界面活性剤をボトルに添加した。全部で703.6gmの脱イオン水をボトルに添加した。pH調節のために、25.9gmの48wt% KOH溶液を、最終重量が1000.0gmになるように添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。このダイシング溶液を58Eと名付け、溶液のpHの測定値は2.42であった。Al及びNiのエッチング速度を別々に割り出し、両金属とも<1Å/分であることが判った。この結果は、例23のHostapur SAS界面活性剤の代わりに、エッチング速度に著しい変化をもたらすことなしにTergitol界面活性剤を使用し得ることを明らかにする。
【0097】
[例26〜31]
一連の付加的なダイシング溶液を、組成及びpHを変化させながら製造した。ダイシング溶液59A及び60Aは、グループIの58Aのようにクエン酸とHostapur SASとを含み;ダイシング溶液59B及び60Bは、グループIの58Bのようにシュウ酸及びクエン酸とHostapur SASとを含み;そしてダイシング溶液59D及び60Dは、例25のようにシュウ酸及びクエン酸とTergitol 15-S-7とを含んだ。
【0098】
59A、59B、及び59Dと名付けられたダイシング溶液シリーズを、KOHでpH=3.9〜4.2に全てpH調節した。1:1000で脱イオン水によって希釈すると、これらの59シリーズのダイシング溶液は、グループIの59Cのようにほぼ4.5の使用時pHをもたらした。同様に、60A、60B、及び60Dと名付けられたダイシング溶液シリーズも、KOHでpH=4.5〜4.7に全てpH調節した。1:1000で脱イオン水によって希釈すると、これらの60シリーズのダイシング溶液は、グループIの60Cのようにほぼ5.0の使用時pHをもたらした。ダイシング溶液の酸性成分、界面活性剤の組成、及び不希釈のニートのシュウ酸及びクエン酸ダイシング溶液のpHを、表7に例26〜31に関してまとめた。
【0099】
【表7】

【0100】
[B.希釈ダイシング溶液]
[例32]
1リットルのHDPEポリボトルに、1.0gmのダイシング溶液58Aを添加した。追加の脱イオン水1000gmをボトルに添加した。ボトルにキャップをしてこれを震盪させた。結果として生じる1:1000希釈体のpHの測定値は4.09であった。Al、Ni、及びCu金属基板、及びCu上のCuOx基板に対する試料のエッチング速度を測定した。エッチング速度を表8に示した。
【0101】
[例33〜43]
同様の1:1000希釈比を用いて、追加のダイシング溶液を希釈した。これらの希釈体を表8、例33〜43に示した。希釈済溶液のそれぞれのpH値を測定し、Al、Ni、及びCu金属、及び酸化Cu上の酸化Cu(CuOx)基板に対する25℃における試料のそれぞれのエッチング速度を測定した。結果を表8に示した。
【0102】
【表8】

【0103】
[比較例44]
加えて、58E、59D、及び60Dの希釈比1:1000の試料を、45℃及び65℃におけるAl及びNiエッチング速度に関して試験した。下記表9にエッチング速度結果を示し、これらの結果を、それぞれのダイシング溶液に関して上記表6に既に示した結果と比較した。これら3種のダイシング溶液は全てシュウ酸及びクエン酸、並びにTergitol界面活性剤を含有しているので、エッチング速度の差は、事実上pH及び温度の差に起因した。これらの結果は、高温時に低いNiエッチング速度を維持するためには、ほぼ5.0のより高いpHであることが重要であることを示した。
【0104】
【表9】

【0105】
[比較例45]
ダイシング溶液60B、60C、及び60DHの試料を、1ガロン量として調製した。60DH試料は、60Dダイシング溶液の半分の濃度を含有した。従ってこれを1:500で希釈することにより、これらの結果と、1:1000で希釈された他のダイシング溶液とを並列比較した。ダイシング溶液を、DNSウエハーダイシング・ソー操作を用いたオンライン試験において、1:000相当の希釈比で試験した。ダイシング試験は、ブレード・チップが破断を被る前にダイシング・ブレードを使用できる寿命又は時間を割り出すように意図されたものであった。ダイシング・ブレードはDISCO製であり、“disco *NBC-ZH 2050 *27HEDF”とラベリングされていた。これらのダイシング・ブレードは、Niチップを備えたアルミニウム金属ハブを含んだ。Niチップにはダイアモンドが埋め込まれていた。全てのダイシング溶液を、次の同一ダイシング条件で試験した:ブレードRPM:30000;ブレード送り速度:5mm/秒;Siウエハーへの切削深さ:50%。加えて、各ダイシング溶液のうちの少量を、Ni及びCu金属、及びCu上のCuOx基板に対するエッチング速度試験で使用した。
【0106】
ブレード寿命の結果を下記表10に示した。結果は、3種のダイシング溶液が約5.0のpHでほぼ同じブレード寿命を提供した。60Cダイシング溶液は加えて、有益に高いCuOxエッチング速度を有した。CuOxエッチング速度が高く、Cu金属エッチング速度が低いダイシング溶液は、Cuボンディング・パッドを損傷することのない、良好なクリーニングを保証した。
【0107】
【表10】

【0108】
[比較例46]
1:1000の希釈後のpH値が約4、4.5及び5であるダイシング溶液58B、59C、及び60Cの結果を表11に示した。データは、pHの増大に伴ってブレード寿命が著しく長くなることを示した。これらのブレード寿命結果に基づいて、表4及び5のダイシング溶液48A及び48Bはブレード寿命が短いと予想された。しかし、表8で前に提示した結果はまた、pHの増大に伴ってCuOxエッチング速度が低下することを明らかにした。約5.0のpHは、低いNiエッチング速度を最適に提供し、このような速度は、長いブレード寿命と、Cuボンディング・パッドのクリーニングのための中程度のCuOxエッチング速度とをもたらすと考えられる。
【0109】
【表11】

【0110】
[比較例47]
ダイシング溶液はより多くの成分を含有した。表12の組成物を、約4.0のpHで調製した。62Aは2wt%のシュウ酸を含有するのに対して、62Bは2.0wt%のシュウ酸と0.5wt%のクエン酸とを含有する。対照ダイシング溶液62A及び62Bは、付加的な成分(添加剤)を含有しておらず、KOHを使用して約4.0にpH調節した。添加剤は典型的には0.5wt%濃度で存在したが、しかしグルタル酸及び酒石酸が、0.5wt% クエン酸とほぼ等モルとなるように、0.34wt%及び0.31wt%で存在した。ダイシング溶液のいずれも、Hostapur SAS又はTergitol界面活性剤を含有していなかった。結果は、添加剤を含有するこれらの不希釈ダイシング溶液が、25℃でNi金属エッチング速度を低下させ得ることを明らかにした。これらの添加剤のうち、アントラニル酸が、Niエッチング速度を低下させるのに最も効果的であると考えられる。
【0111】
【表12】

【0112】
実施例を含む上記本発明の実施態様は、本発明から形成され得る数多くの実施態様の模範例である。多くの他のプロセス形態が用いられることが考えられ、また、プロセスに使用される材料を、具体的に開示されたもの以外の多数の材料から選んでもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染残留物の付着及び露出したメタライゼーション領域の腐食を抑制する半導体ウエハーダイシングのための溶液であって、
有機酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の第1の化合物と、
界面活性剤及び塩基からなる群より選択される少なくとも1種の第2の化合物と
を含み、残りが実質的に脱イオン化された水であり、
前記溶液が4よりも大きなpHを有する、半導体ウエハーダイシングのための溶液。
【請求項2】
前記少なくとも1種の第1の化合物が0.001wt%〜30wt%であり、
前記界面活性剤が0.001wt%〜10wt%であり、
前記塩基が0.001wt%〜20wt%であり、
pHが4よりも大きくかつ13よりも小さく、
質量比1:0〜1:10000で脱イオン水によって希釈されている、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
前記有機酸が、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルコン酸、グルタル酸、アスコルビン酸、蟻酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アミノ安息香酸、例えばアントラニル酸、フマル酸、グリシン、アラニン、シスチン、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、フルオロケミカル界面活性剤、アセチレンジオール界面活性剤、第一アルコールエトキシレート、第二アルコールエトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミド、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、及びそれらの組み合わせからかる群から選択され、
前記塩基が、水酸化カリウム(KOH)、炭酸グアニジン、アンモニア水、水酸化アンモニウム、及び水酸化第四アンモニウムからなる群より選択される、請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤が、オクチル及びノニルフェノールエトキシレート、第二アルコールエトキシレート、アセチレンアルコール及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、第二アリルベンゼンスルホネート、脂肪アルコールスルフェート(FAS)、第二アルカンスルホネート(SAS)、脂肪アルコールエーテルスルフェート(FAES)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、
第四アンモニウム塩が、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、及び(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群より選択される、請求項3に記載の溶液。
【請求項5】
クエン酸及びシュウ酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸と、
水酸化カリウム(KOH)及び水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)からなる群より選択される少なくとも1種の塩基と、
第二アルコールエトキシレート及び第二アルカンスルホネートからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤と
を含み、残りが実質的に脱イオン化された水である、請求項1に記載の溶液。
【請求項6】
アミノ安息香酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(NHEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、エタノールジグリシネート、クエン酸、グルコン酸、シュウ酸、リン酸、酒石酸、メチルジホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、エチリデン−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ジホスホン酸、エチルアミノビスメチレンホスホン酸、ドデシルアミノビスメチレンホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ヘキサジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、1,2−プロパンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アンモニウム塩、有機アミン塩、マロン酸、コハク酸、ジメルカプトコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、ポリカルボン酸、プロパン−1,1,2,3−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロメリット酸、オキシカルボン酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピルビン酸、ジグリコール酸、サリチル酸、没食子酸、ポリフェノール、ピロガロール、リン酸、ポリリン酸、複素環式化合物、エチレングリコール、グリセロール及びジケトン、並びにそれらの混合物からなる群より選択される0.001wt%〜10wt%のキレート剤をさらに含む、請求項1に記載の溶液。
【請求項7】
前記オキシカルボン酸が、グリコール酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピルビン酸、ジグリコール酸、サリチル酸、没食子酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記ポリフェノールが、カテコール、ピロガロール、リン酸、例えばピロリン酸、ポリリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記複素環式化合物が、8−オキシキノリン、ジケトン、例えばα−ジピリジルアセチルアセトン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項6に記載の溶液。
【請求項8】
シリコーン、有機ホスフェート、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーを含有するEO又はPO系消泡剤、アルコール、ホワイトオイル、植物油、蝋、長鎖脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、エステル、及びそれらの混合物からなる群より選択される0.001wt%〜5wt%の消泡剤と、
水溶性アニオン性分散剤、水溶性非イオン性分散剤、水溶性カチオン性分散剤、水溶性両性分散剤、共重合成分としてアクリル酸塩を含有する高分子分散剤、及びそれらの混合物からなる群より選択される0.001wt%〜5wt%の分散剤と
をさらに含む、請求項1に記載の溶液。
【請求項9】
前記水溶性アニオン性分散剤が、トリエタノールアミンラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルトリエタノールアミンスルフェート、ポリカルボン酸型高分子分散剤、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記水溶性非アニオン性分散剤が、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記水溶性カチオン性分散剤が、ポリビニルピロリドン、ココナツアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記水溶性両性分散剤が、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項8に記載の溶液。
【請求項10】
汚染残留物の付着及び露出したメタライゼーション領域の腐食を抑制する半導体ウエハーダイシングのための溶液であって、
クエン酸及びシュウ酸からなる群より選択される0.001wt%〜30wt%の少なくとも1種の酸と、
0.001wt%〜20wt%の塩基及び0.001wt%〜10wt%の界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と
を含み、残りが実質的に脱イオン化された水であり、
前記溶液が4よりも大きくかつ13よりも小さいpHを有し、
前記溶液が、質量比1:0〜1:10000で脱イオン水によって希釈され、
前記塩基が、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記界面活性剤が、第二アルコールエトキシレート、第二アルカンスルホネート及びそれらの混合物からなる群より選択される、半導体ウエハーダイシングのための溶液。
【請求項11】
ウエハーダイシングのための方法であり、ボンディング・パッドを備えたウエハーをソーによりダイシングし、該ウエハーをソーイングすることにより汚染残留物が生じ、露出した全てのメタライゼーション領域に腐食が生じることがあり得るウエハーダイシングのための方法であって、
前記ダイシングの際に前記ウエハーを
有機酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の第1の化合物と、
界面活性剤及び塩基からなる群より選択される少なくとも1種の第2の化合物と
を含み、残りが実質的に脱イオン化された水であり、
4よりも大きなpHを有する溶液と接触させる工程を含む、ウエハーダイシングのための方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の第1の化合物が0.001wt%〜30wt%であり、
前記界面活性剤が0.001wt%〜10wt%であり、
前記塩基が0.001wt%〜20wt%であり、
pHが4よりも大きくかつ13よりも小さく、
前記溶液が、質量比1:0〜1:10000で脱イオン水によって希釈されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記有機酸が、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルコン酸、グルタル酸、アスコルビン酸、蟻酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アミノ安息香酸、例えばアントラニル酸、フマル酸、グリシン、アラニン、シスチン、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、フルオロケミカル界面活性剤、アセチレンジオール界面活性剤、第一アルコールエトキシレート、第二アルコールエトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミド、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、及びそれらの組み合わせからかる群から選択され、
前記塩基が、水酸化カリウム(KOH)、炭酸グアニジン、アンモニア水、水酸化アンモニウム、及び水酸化第四アンモニウムからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記非イオン性界面活性剤が、オクチル及びノニルフェノールエトキシレート、第二アルコールエトキシレート、アセチレンアルコール及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、第二アリルベンゼンスルホネート、脂肪アルコールスルフェート(FAS)、第二アルカンスルホネート(SAS)、脂肪アルコールエーテルスルフェート(FAES)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、
第四アンモニウム塩が、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、及び(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶液が、クエン酸及びシュウ酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸と、
水酸化カリウム(KOH)及び水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)からなる群より選択される少なくとも1種の塩基と、
第二アルコールエトキシレート及び第二アルカンスルホネートからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤と
を含み、残りが実質的に脱イオン化された水であり、
前記溶液が4よりも大きくかつ13よりも小さいpHを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液が、アミノ安息香酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(NHEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、エタノールジグリシネート、クエン酸、グルコン酸、シュウ酸、リン酸、酒石酸、メチルジホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、エチリデン−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ジホスホン酸、エチルアミノビスメチレンホスホン酸、ドデシルアミノビスメチレンホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ヘキサジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、1,2−プロパンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アンモニウム塩、有機アミン塩、マロン酸、コハク酸、ジメルカプトコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、ポリカルボン酸、プロパン−1,1,2,3−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロメリット酸、オキシカルボン酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピルビン酸、ジグリコール酸、サリチル酸、没食子酸、ポリフェノール、ピロガロール、リン酸、ポリリン酸、複素環式化合物、エチレングリコール、グリセロール及びジケトン、並びにそれらの混合物からなる群より選択される0.001wt%〜10wt%のキレート剤をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記オキシカルボン酸が、グリコール酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピルビン酸、ジグリコール酸、サリチル酸、没食子酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記ポリフェノールが、カテコール、ピロガロール、リン酸、例えばピロリン酸、ポリリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記複素環式化合物が、8−オキシキノリン、ジケトン、例えばα−ジピリジルアセチルアセトン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液が、シリコーン、有機ホスフェート、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーを含有するEO又はPO系消泡剤、アルコール、ホワイトオイル、植物油、蝋、長鎖脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、エステル、及びそれらの混合物からなる群より選択される0.001wt%〜5wt%の消泡剤と、
水溶性アニオン性分散剤、水溶性非イオン性分散剤、水溶性カチオン性分散剤、水溶性両性分散剤、共重合成分としてアクリル酸塩を含有する高分子分散剤、及びそれらの混合物からなる群より選択される0.001wt%〜5wt%の分散剤と
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記水溶性アニオン性分散剤が、トリエタノールアミンラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルトリエタノールアミンスルフェート、及び特定のポリカルボン酸型高分子分散剤からなる群より選択され、
前記水溶性非アニオン性分散剤が、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記水溶性カチオン性分散剤が、ポリビニルピロリドン、ココナツアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記水溶性両性分散剤が、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記溶液が、クエン酸及びシュウ酸からなる群より選択される0.001wt%〜30wt%の少なくとも1種の酸と、
0.001wt%〜20wt%の塩基及び0.001wt%〜10wt%の界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と
を含み、残りが実質的に脱イオン化された水であり、
前記溶液が4よりも大きくかつ13よりも小さいpHを有し、
前記溶液が、質量比1:0〜1:10000で脱イオン水によって希釈され、
前記塩基が、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)及びそれらの混合物からなる群より選択され、
前記界面活性剤が、第二アルコールエトキシレート、第二アルカンスルホネート及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公開番号】特開2012−19219(P2012−19219A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−152026(P2011−152026)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】