説明

ウォーム内硬化物の除去装置

【課題】ウォーム内の硬化物を高い精度で確実に、且つ迅速に除去することができ、ウォーム製品の品質を安定させることができるウォーム内硬化物の除去装置を提供する。
【解決手段】混練押出機60から吐出されたウォーム30を搬送する搬送コンベア2と、撮像装置3a,3bと、撮像装置3a,3bによるウォーム30の撮像画像を画像処理し、ウォーム30内における硬化物31の有無をウォーム30と硬化物31との色の違いに基づいて検出する画像処理機能を有する制御装置4と、制御装置4が硬化物31を検出した場合に制御装置4から送信される駆動信号に基づいてウォーム30の落下位置に一時的に硬化物受け皿7をスライドさせることにより、搬送コンベア2の下流側から落下するウォーム30内の硬化物31を硬化物受け皿7に取り出して除去する硬化物除去装置6とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーム内硬化物の除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウォームは樹脂成形品の中間原料であり、混練押出機で樹脂原料を混練し外部に吐出することにより製造される。
【0003】
混練押出機から吐出されたウォーム内には、製品にとって異物となる硬化物が混入している。この硬化物は、たとえば白色のウォーム内において黄色の5mm〜20cm程度の細長い形状をしたものとして視認され、混練押出機のニーダー内の樹脂原料が滞留し過ぎ、熱履歴を過剰に受けた結果として硬化したものであり、たとえばニーダー先端形状の円形に対応した円弧形状のものなどが存在する。
【0004】
ウォームを良品として出荷するためには混練押出機から吐出されたウォーム内の硬化物を除去する工程が必要とされるが、従来、硬化物の除去工程は作業者による目視検査により行われている。
【0005】
しかしながら、目視検査による硬化物の検出には困難を伴う点もあり、検査の自動化が望まれていた。従来、粉粒体の分野などにおいては、撮像装置により検査対象を監視し撮像画像の画像処理によって異物除去などの検査を自動で行う装置が提案されている(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特許第2547304号明細書
【特許文献2】特開2003−294641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、混練押出機から吐出されたウォーム内の硬化物を高い精度で確実に、且つ迅速に除去できる全体としての装置構成は未だ提案されていないのが現状である。
【0007】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、ウォーム内の硬化物を高い精度で確実に、且つ迅速に除去することができ、ウォーム製品の品質を安定させることができるウォーム内硬化物の除去装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0009】
第1に、本発明のウォーム内硬化物の除去装置は、ウォームの混練押出機から吐出されたウォームを搬送する搬送コンベアと、搬送コンベア上を搬送されるウォームを撮像する撮像装置と、撮像装置によるウォームの撮像画像を画像処理し、ウォーム内における硬化物の有無をウォームと硬化物との色の違いに基づいて検出する画像処理機能を有する制御装置と、搬送コンベアの下流側におけるウォームの落下位置へスライド可能な硬化物受け皿を有し、制御装置が硬化物を検出した場合に制御装置から送信される駆動信号に基づいてウォームの落下位置に一時的に硬化物受け皿をスライドさせることにより、搬送コンベアの下流側から落下するウォーム内の硬化物を硬化物受け皿に取り出して除去する硬化物除去装置とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2に、上記第1のウォーム内硬化物の除去装置において、搬送コンベアの一方の側方に配設された送風装置と、搬送コンベアの他方の側方に送風装置と対向して配設され送風装置からのエアーを排出するエアー排出装置とを備え、搬送コンベアとその上方に配設された撮像装置との間に、送風装置からエアー排出装置に向かう送風によってエアーカーテンが形成されることを特徴とする。
【0011】
第3に、上記第1または第2のウォーム内硬化物の除去装置において、制御装置は、ウォームの品番に応じたウォーム色と硬化物色のデータを格納した記憶装置と、ウォームの品番を設定入力する入力装置とを備え、入力装置によるウォームの品番の設定入力により記憶装置に格納された当該品番のウォーム色と硬化物色のデータを読み出して、当該データに基づいて画像処理を行うことを特徴とする。
【0012】
第4に、上記第1ないし第3のいずれかのウォーム内硬化物の除去装置において、制御装置は、混練押出機およびウォーム内硬化物の除去装置の運転開始前に、硬化物色に対応した模擬色のテストピースを搬送コンベア上における撮像装置の視野内の検査領域に位置させて、撮像装置による撮像を行った結果として硬化物を検出した場合に出力する異常信号を出力するか否かの動作確認を行い、動作確認により異常信号を出力した場合にのみ、混練押出機を運転可能とさせるインターロック解除信号を出力することを特徴とする。
【0013】
第5に、上記第1ないし第4のいずれかのウォーム内硬化物の除去装置において、撮像装置の視野内の非検査領域に硬化物色に対応した模擬色の部材が配設されており、制御装置は、ウォーム内硬化物の除去装置の運転中において連続的または断続的に、撮像装置による非検査領域の撮像画像を画像処理して模擬色の部材の検出結果を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の発明によれば、混練押出機から吐出されるウォームを搬送コンベアに導入し、搬送コンベア上を搬送されるウォームの撮像画像を画像処理することにより、ウォームと硬化物との色の違いに基づいて硬化物を検出すると共に、この検出結果に基づく制御装置からの駆動信号により搬送コンベアの下流側におけるウォームの落下位置に一時的に硬化物受け皿をスライドさせて硬化物を除去するようにしたので、ウォーム内の硬化物を高い精度で確実に、且つ迅速に除去することができ、ウォーム製品の品質を安定させることができる。
【0015】
上記第2の発明によれば、送風装置とエアー排出装置とを配設することにより、搬送コンベアとその上方に配設された撮像装置との間にエアーカーテンを形成するようにしたので、ウォームを搬送する搬送コンベアから立ち昇る粉塵や揮発溶剤などはエアーカーテンにより遮蔽されてその上方に配設された撮像装置のレンズと接触することがない。従って、上記第1の発明の効果に加え、搬送コンベアから立ち昇る粉塵や揮発溶剤などが撮像装置のレンズに接触することによる硬化物の検出不良を防止することができる。
【0016】
上記第3の発明によれば、ウォームの品番に応じたウォーム色と硬化物色のデータを予め記憶装置に格納しておき、製造対象のウォームの品番の設定入力により当該品番のウォーム色と硬化物色のデータを読み出して、当該データに基づいて画像処理を行うようにしたので、上記第1および第2の発明の効果に加え、ウォーム色と硬化物色がそれぞれ異なる品番の複数種類のウォームを製造する場合であっても、各品番に応じた適切な画像処理が行われることにより高い精度で確実に各品番のウォーム内の硬化物を除去することができ、各品番のウォーム製品の品質を安定させることができる。
【0017】
上記第4の発明によれば、混練押出機およびウォーム内硬化物の除去装置の運転開始前に、硬化物色に対応した模擬色のテストピースを用いた動作確認試験を行い、硬化物を検出した場合に出力する異常信号を制御装置が出力するか否かの動作確認をして、動作確認により異常信号を出力した場合にのみ、混練押出機を運転可能とさせるインターロック解除信号を出力することで、異常信号を出力しない限り混練押出機の運転を開始不能とするようにしたので、上記第1ないし第3の発明の効果に加え、混練押出機を用いたウォームの製造工程において本発明のウォーム内硬化物の除去装置による硬化物の検出除去を確実に行うことができる。
【0018】
上記第5の発明によれば、撮像装置の視野内の非検査領域に硬化物色に対応した模擬色の部材を配設し、ウォーム内硬化物の除去装置の運転中において連続的または断続的に、撮像装置による非検査領域の撮像画像を画像処理して模擬色の検出結果を出力するようにしたので、上記第1ないし第4の発明の効果に加え、撮像装置に起因する硬化物の検出不良をウォーム内硬化物の除去装置の運転中において常に監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態におけるウォーム内硬化物の除去装置の概略構成を示した図である。図2は、図1のウォーム内硬化物の除去装置の一部を正面上方から見た斜視図、図3は斜め後方から見た斜視図である。図4は、ウォーム内硬化物の除去装置の運転中における制御装置のモニタ画面を示した図である。
【0021】
図1〜図3に示す本実施形態のウォーム内硬化物の除去装置1は、前工程において混練押出機60にてニーダーにより混練され、外部に吐出されたウォーム30内に存在する異物である硬化物31を除去するためのものであり、混練押出機60から吐出されたウォーム30が上流側に導入される搬送コンベア2を備えている。
【0022】
搬送コンベア2は、上流側に導入されたウォーム30を一定速度で図1の左方向へ水平に搬送し、下流側端部に達したウォーム30を下方に落下させる。図2および図3に示すように、搬送コンベア2の下流側にはシュート12が配設されており、搬送コンベア2の下流側端部に達したウォーム30はシュート12内を落下してシュート12の下方から取り出され、後工程に供給されるようになっている。
【0023】
図1〜図3に示すように、搬送コンベア2の下流側上方には2台の撮像装置3a,3bが搬送コンベア2の横断方向に並べて配設されている。撮像装置3a,3bとしてはCCDカメラを使用しており、撮像装置3a,3bはウォーム30からの揮発溶剤によるレンズ曇りを防止するために搬送コンベア2上から所定距離をおいて配設されており、最小検出物の精度も考慮して搬送コンベア2上から80cm程度離間した上方位置に配設されている。
【0024】
2台の撮像装置3a,3bは、搬送コンベア2の横断方向に並べて配設することにより、幅40cm程度の搬送コンベア2上の図4に示す検査領域51a,51b全体を視野内として撮像画像が得られるようにしている。図示はしないが、撮像装置3a,3bによる検査領域51a,51bは良好な撮像画像が得られるように光源からの光により照明されている。
【0025】
図2および図3に示すように、搬送コンベア2の周囲は粉塵や揮発溶剤などの飛散を防止する長尺箱状のカバー体10により覆われており、搬送コンベア2の上流側からシュート12に至るまでの搬送経路は外部から遮蔽されている。一方、カバー体10には、撮像装置3a,3bによる検査領域51a,51bの周辺のみ外部に開放する開口部11が設けられており、開口部11を通じて、カバー体10の上方に配設された撮像装置3a,3bにより搬送コンベア2上のウォーム30を撮像できるようになっている。
【0026】
カバー体10の開口部11の位置における搬送コンベア2の一方の側方には、搬送コンベア2の横断方向にエアーを送風する送風装置20が配設されている。また、搬送コンベア2の他方の側方には、送風装置20と対向して、送風装置20からのエアーを排出するエアー排出装置21が配設されている。このエアー排出装置21は、送風装置20からのエアーの入口であるエアー排出口22と、その下流に連通するエアー排出管23を備えており、搬送コンベア2から立ち昇る粉塵もエアーと共に集塵できるようになっている。
【0027】
図2に示すように、搬送コンベア2とその上方に配設された撮像装置3a,3bとの間には、送風装置20からエアー排出装置21のエアー排出口22に向かう送風によってエアーカーテン24が形成される。これにより、ウォーム30を搬送する搬送コンベア2から立ち昇る粉塵や揮発溶剤などはエアーカーテン24によりその上方から遮蔽されるため、粉塵や揮発溶剤などが撮像装置3a,3bのレンズと接触することがない。従って、搬送コンベア2から立ち昇る粉塵や揮発溶剤などが撮像装置3a,3bのレンズに接触することによるレンズ汚染やレンズ曇りなどに起因する硬化物31の検出不良が確実に防止される。
【0028】
図1に示すように、撮像装置3a,3bからの画像信号は、画像処理機能を有する制御装置4に送信される。制御装置4は、不図示の記憶装置、演算処理装置、入力装置などを備えたコンピュータから構成されており、記憶装置には画像処理用のプログラム、ウォームの品番に応じたウォーム30の色と硬化物31の色のデータや、その他、搬送コンベア2、硬化物除去装置6、ニーダー盤45などの制御に必要なプログラムなどが格納されている。また、制御装置4は撮像装置3a,3bによる撮像画像を図4に示すように表示するモニタ5を備えていると共に、撮像装置3a,3bの調整が可能なコントローラを内蔵している。
【0029】
2台の撮像装置3a,3bによる撮像画像は、制御装置4により画像処理され、画像処理結果としてウォーム30内の硬化物31が検出された場合には、制御装置4はその結果を異常信号として出力する。
【0030】
制御装置4による画像処理は、予め記憶装置から読み出され設定されている品番のウォームにおける白色系統のウォーム30の色と黄色系統の硬化物31の色を参照データとして、撮像装置3a,3bからの撮像画像データと対比して演算装置にて解析処理することにより行われる。このような画像処理方法として、たとえば色データに基づく硬化物31の形状輪郭の閾値抽出など、一般に知られている方法を適用することができる。
【0031】
画像処理の結果、制御装置4が硬化物31を検出した場合には、制御装置40は図1〜図3に示す硬化物除去装置6に駆動信号を送信する。硬化物除去装置6は、図3に示すように、搬送コンベア2の下流側に配設されたシュート12内のウォーム30の落下位置へシリンダー機構により前後にスライド可能な硬化物受け皿7を備えている。
【0032】
硬化物受け皿7は、SUS製の角皿形状を有しており、取り出した硬化物31がシュート12内にこぼれ落ちないように前端部が後端部に対してやや上向きとなるように斜めに配設されている。
【0033】
硬化物受け皿7は、常時はシュート12外に位置しているが、制御装置4が硬化物31を検出した場合には、制御装置4から送信された駆動信号に基づいてシリンダー機構が駆動され、図3に示すシュート12後側面部に設けられた開口部12aからシュート12内に前方へスライドする。
【0034】
硬化物受け皿7は、搬送コンベア2上における撮像装置3a,3bの検査領域51a,51b内に入った硬化物31が制御装置4の画像処理により検出されてから所定のタイミングで前方にスライドを開始し、シュート12内に位置した状態で搬送コンベア2の下流側端部から落下する硬化物31を受け取った後、直ちにシュート12外の定位置まで後方にスライドして戻るようになっている。
【0035】
このように、搬送コンベア2上を搬送されるウォーム30を撮像装置3a,3bにより監視しながら硬化物31の有無を検査し、制御装置4による画像処理によって硬化物31を検出したときは硬化物除去装置6により硬化物31をウォーム30から除去することで、ウォーム30内の硬化物31を高い精度で確実に、且つ迅速に除去することができ、製品の品質を安定させることができる。
【0036】
また本実施形態では、上記したように、制御装置4の記憶装置にウォーム30の品番に応じたウォーム30の色と硬化物31の色のデータが格納されており、製造するウォーム30の品番を入力キーやマウスなどの入力装置から設定入力することにより、記憶装置に格納された当該品番のウォーム30の色と硬化物31の色のデータを読み出して、当該データに基づいて画像処理を行うようにしている。
【0037】
ウォーム30は典型的には白色系統の色を有しており、硬化物31は典型的には黄色系統の色を有しているが、品番により色具合が異なっており、画像処理時に撮像装置3a,3bによる撮像画像データと対比するウォーム30の色と硬化物31の色の参照データが常に同じものであると、画像処理による硬化物31の検出精度には一定の限界がある。
【0038】
これに対して本実施形態では、製造対象のウォーム30の品番の設定入力により当該品番のウォーム30の色と硬化物31の色のデータを記憶装置から読み出して、当該データを参照して画像処理を行うようにしているので、各品番に応じた適切な画像処理が行われることにより高い精度で確実に各品番のウォーム30内の硬化物31を除去することができ、各品番の製品の品質を安定させることができる。
【0039】
また本実施形態では、図1に示すように、制御装置4に撮像装置3a,3bによる撮像画像を表示するモニタ5を備えており、このモニタ5には、図4の表示画面に示すように、撮像装置3aの撮像画面50aと、撮像装置3bの撮像画面50bが表示されている。撮像画面50a,50bにはそれぞれ、撮像装置3a,3bの視野内の検査領域51a,51bが表示されると共に、当該視野内における検査領域51a,51b外の非検査領域52a,52bが表示されている。
【0040】
そして非検査領域52a,52bには、硬化物31の色に対応した模擬色の部材53a,53bが常時配設されており、ウォーム内硬化物の除去装置1の運転中において連続的または断続的に、撮像装置3a,3bによる非検査領域52a,52bの撮像画像の画像処理を制御装置4により行い、模擬色の部材53a,53bの検出結果を出力するようにしている。
【0041】
そして制御装置4が画像処理の結果として模擬色の部材53a,53bを正常に検出したときは、制御装置4はウォーム内硬化物の除去装置1の運転をそのまま続行させる。一方、制御装置4が画像処理の結果として模擬色の部材53a,53bを検出しなかったときは、制御装置4はブザー鳴動や点検表示の点灯などにより異常を知らせる。
【0042】
この異常は、撮像装置3a,3bの調整不具合や、レンズへの粉塵や揮発溶剤などの接触によるレンズ汚染やレンズ曇りなどが主な要因であると考えられ、異常が知らされた状態で運転を続けると模擬色の部材53a,53bと同色である硬化物31の検出不良を生じる可能性が高くなる。
【0043】
そこでブザー鳴動や点検表示の点灯などにより異常が知らされた場合には、撮像装置3a,3bの調整などの異常原因に対処するための所要の操作を行った上で、その結果制御装置4が模擬色の部材53a,53bを正常に検出したときは、ウォーム内硬化物の除去装置1の運転をそのまま続行させる。あるいは、混練押出機60およびウォーム内硬化物の除去装置1の運転を停止して、異常を解消するための所要の操作を行った上で運転を再開する。
【0044】
このように、撮像装置3a,3bの視野内の非検査領域52a,52bに硬化物31の色に対応した模擬色の部材53a,53bを配設し、撮像装置3a,3bによる非検査領域52a,52bの撮像画像を画像処理して模擬色の検出結果を出力するようにしたので、撮像装置3a,3bに起因する硬化物31の検出不良をウォーム内硬化物の除去装置1の運転中において常に監視することができる。
【0045】
また本実施形態では、ウォーム内硬化物の除去装置1による硬化物31の検出を確実に行うためのインターロック機構を備えている。このインターロック機構は、硬化物31の色に対応した模擬色を有する図5のテストピース40を利用したものであり、混練押出機60およびウォーム内硬化物の除去装置1の運転開始前において、テストピース40を搬送コンベア2上における検査領域51a,51bに位置させて撮像装置3a,3bによる撮像を行う。図5では撮像装置3aの検査領域51aにテストピース40を位置させた場合を示しているが、撮像装置3bの検査領域51bにも同様にテストピース40を位置させて撮像装置3bによる撮像を行う。
【0046】
そして、検査領域51a,51bにテストピース40を位置させた状態において、制御装置4が硬化物31を検出した場合に出力する異常信号を出力するか否かの動作確認を行う。動作確認により制御装置4が異常信号を出力した場合には、制御装置4は、混練押出機60の制御盤である図1のニーダー盤45に混練押出機60を運転可能とさせるインターロック解除信号を送信する。インターロック解除信号をニーダー盤45が受信することにより、混練押出機60は運転可能な状態とされる。
【0047】
一方、動作確認により制御装置4が異常信号を出力しなかった場合には、制御装置4はニーダー盤45にインターロック解除信号を送信しない。この場合には混練押出機60はニーダー盤45を操作しても運転を開始することができないように運転開始がロックされる。
【0048】
動作確認により制御装置4が異常信号を出力しなかった場合、その主な要因としては撮像装置3a,3bの調整不具合などが考えられ、この状態で仮にウォーム内硬化物の除去装置1の運転を開始すると、テストピース40と同色である硬化物31の検出不良を生じる可能性が高くなる。
【0049】
そこでこの場合には、撮像装置3a,3bの調整などの所要の操作を行った上で、再度テストピース40を搬送コンベア2上における検査領域51a,51bに位置させて撮像装置3a,3bによる撮像を行い、上記の動作確認を行う。その結果、制御装置4が異常信号を出力した場合には、制御装置4はニーダー盤45にインターロック解除信号を送信し、インターロック解除信号をニーダー盤45が受信することにより、混練押出機60は運転可能な状態とされる。
【0050】
このように、本実施形態のウォーム内硬化物の除去装置1は以上に説明したインターロック機構を備えているので、混練押出機60を用いたウォーム30の製造工程においてウォーム内硬化物の除去装置1による硬化物31の検出除去を確実に行うことができる。
【0051】
以上の構成を備えた本実施形態のウォーム内硬化物の除去装置1の運転シーケンスを図6のフローチャートを参照しながら以下に説明する。
【0052】
最初に、混練押出機60およびウォーム内硬化物の除去装置1の運転開始前において、上記のインターロック機構を解除するためにウォーム内硬化物の除去装置1の動作確認を行う。図5のテストピース40を搬送コンベア2上における検査領域51a,51bに位置させて撮像装置3a,3bによる撮像を行い、制御装置4が硬化物31を検出した場合に出力する異常信号を出力するか否かの動作確認を行った結果、制御装置4がテストピース40を検出して異常信号を出力した場合には、制御装置4はニーダー盤45にインターロック解除信号を送信する。これにより混練押出機60は運転可能な状態とされる(S1)。
【0053】
一方、制御装置4が異常信号を出力しなかった場合には、撮像装置3a,3bの調整などの所要の操作を行った上で(S2)、S1に戻り再度テストピース40による動作確認を行う。
【0054】
混練押出機60が運転可能な状態とされた場合には、続いて混練押出機60およびウォーム内硬化物の除去装置1の運転を開始し、ウォーム30の製造を開始する(S3)。
【0055】
運転開始後は、搬送コンベア2上を搬送されるウォーム30内の硬化物31の有無を、図4の検査領域51a,51b内の撮像装置3a,3bによる撮像画像を制御装置4で画像処理することにより監視する(S4)。
【0056】
画像処理の結果、検査領域51a,51b内において硬化物31が検出されずウォーム30が良品であった場合には、その後、図5の非検査領域52a,52bにおける模擬色の部材53a,53bの検出結果を出力する(S5)。
【0057】
一方、画像処理の結果、検査領域51a,51b内において硬化物31が検出された場合には、制御装置4は硬化物除去装置6に駆動信号を送信し、硬化物除去装置6は、制御装置4から送信された駆動信号に基づいてシリンダー機構が駆動され、図3に示すシュート12後側面部の開口部12aからシュート12内に硬化物受け皿7が前方にスライドして搬送コンベア2の下流側端部から落下する硬化物31を受け取り、その後直ちに後方にスライドしてシュート12外の定位置へ戻る(S6)。その後、S4に戻り搬送コンベア2上を搬送されるウォーム30内の硬化物31の監視を続行する。
【0058】
S5において、図5の非検査領域52a,52bにおける模擬色の部材53a,53bを制御装置4が検出した場合には、S4に戻り搬送コンベア2上を搬送されるウォーム30内の硬化物31の監視を続行する。
【0059】
一方、制御装置4が画像処理の結果として模擬色の部材53a,53bを検出しなかったときは、制御装置4はブザー鳴動および点検表示の点灯により異常を知らせる(S7)。
【0060】
この場合には、撮像装置3a,3bの調整などの異常原因に対処するための所要の操作を行った上で、再度制御装置4により模擬色の部材53a,53bの検出確認を行い(S8)、その結果制御装置4が模擬色の部材53a,53bを正常に検出したときは、点検表示を消灯し(S10)、S4に戻り搬送コンベア2上を搬送されるウォーム30内の硬化物31の監視を続行する。
【0061】
一方、制御装置4が模擬色の部材53a,53bを検出しなかったときは、撮像装置3a,3bの調整などの異常原因に対処するための所要の操作を行った上で(S9)、S8に戻り制御装置4による模擬色の部材53a,53bの検出確認を行う。
【0062】
なお、S5において制御装置4が模擬色の部材53a,53bを検出せず、S7において制御装置4がブザー鳴動および点検表示の点灯により異常を知らせた場合には、混練押出機60およびウォーム内硬化物の除去装置1の運転を停止して、異常を解消するための所要の操作を行った上で運転を再開するようにしてもよい。
【0063】
最後に、ウォーム30の製造を終了する場合には、混練押出機60およびウォーム内硬化物の除去装置1の運転を停止する(S11)。
【0064】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。たとえば、制御装置4は、撮像装置3a,3bによる撮像画像の画像処理機能を有する画像処理用コンピュータと、その他の外部装置の制御を行う別体のコンピュータとから構成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態におけるウォーム内硬化物の除去装置の概略構成を示した図である。
【図2】図1のウォーム内硬化物の除去装置の一部を正面上方から見た斜視図である。
【図3】図1のウォーム内硬化物の除去装置の一部を斜め後方から見た斜視図である。
【図4】ウォーム内硬化物の除去装置の運転中における制御装置のモニタ画面を示した図である。
【図5】テストピースを搬送コンベア上に位置させたときの制御装置のモニタ画面を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるウォーム内硬化物の除去装置の運転シーケンスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 ウォーム内硬化物の除去装置
2 搬送コンベア
3a 撮像装置
3b 撮像装置
4 制御装置
6 硬化物除去装置
7 硬化物受け皿
20 送風装置
21 エアー排出装置
24 エアーカーテン
30 ウォーム
31 硬化物
40 テストピース
51a 検査領域
51b 検査領域
52a 非検査領域
52b 非検査領域
53a 模擬色の部材
53b 模擬色の部材
60 混練押出機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォームの混練押出機から吐出されたウォームを搬送する搬送コンベアと、搬送コンベア上を搬送されるウォームを撮像する撮像装置と、撮像装置によるウォームの撮像画像を画像処理し、ウォーム内における硬化物の有無をウォームと硬化物との色の違いに基づいて検出する画像処理機能を有する制御装置と、搬送コンベアの下流側におけるウォームの落下位置へスライド可能な硬化物受け皿を有し、制御装置が硬化物を検出した場合に制御装置から送信される駆動信号に基づいてウォームの落下位置に一時的に硬化物受け皿をスライドさせることにより、搬送コンベアの下流側から落下するウォーム内の硬化物を硬化物受け皿に取り出して除去する硬化物除去装置とを備えることを特徴とするウォーム内硬化物の除去装置。
【請求項2】
搬送コンベアの一方の側方に配設された送風装置と、搬送コンベアの他方の側方に送風装置と対向して配設され送風装置からのエアーを排出するエアー排出装置とを備え、搬送コンベアとその上方に配設された撮像装置との間に、送風装置からエアー排出装置に向かう送風によってエアーカーテンが形成されることを特徴とする請求項1に記載のウォーム内硬化物の除去装置。
【請求項3】
制御装置は、ウォームの品番に応じたウォーム色と硬化物色のデータを格納した記憶装置と、ウォームの品番を設定入力する入力装置とを備え、入力装置によるウォームの品番の設定入力により記憶装置に格納された当該品番のウォーム色と硬化物色のデータを読み出して、当該データに基づいて画像処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のウォーム内硬化物の除去装置。
【請求項4】
制御装置は、混練押出機およびウォーム内硬化物の除去装置の運転開始前に、硬化物色に対応した模擬色のテストピースを搬送コンベア上における撮像装置の視野内の検査領域に位置させて、撮像装置による撮像を行った結果として硬化物を検出した場合に出力する異常信号を出力するか否かの動作確認を行い、動作確認により異常信号を出力した場合にのみ、混練押出機を運転可能とさせるインターロック解除信号を出力することを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載のウォーム内硬化物の除去装置。
【請求項5】
撮像装置の視野内の非検査領域に硬化物色に対応した模擬色の部材が配設されており、制御装置は、ウォーム内硬化物の除去装置の運転中において連続的または断続的に、撮像装置による非検査領域の撮像画像を画像処理して模擬色の部材の検出結果を出力することを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載のウォーム内硬化物の除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−101332(P2009−101332A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278190(P2007−278190)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】