説明

ウッディな香気を付与可能な香料成分

本発明は香料分野に関し、かつ1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロ−2,3−ナフタレンジオールのジエーテルまたは1,3−ジオキソラン誘導体およびその香料成分としての使用に関する。さらに本発明は、前記化合物に関連する香料組成物または付香製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香料分野に関する。より詳細には、以下に示す式(I)の1,8−a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロ−2,3−ナフタレンジオール誘導体およびその香料成分としての使用に関する。さらに本発明は、香料組成物またはこの化合物に関連する製品に関する。
【0002】
背景技術
我々の知る限りにおいて、式(I)の2種の化合物のみが従来技術から知られている。前記化合物は、[1aR−(1aα,2β,3β,4aβ,8aS)]−デカヒドロ−2,4a,8,8−テトラメチル−シクロプロパ[d]ナフタレン−2,3−ジオールの3−アセテートおよび(1aR,2S,3S,4aS,8aS)−デカヒドロ−2,4a,8,8−テトラメチル−シクロプロパ[d]ナフタレン−2,3−ジオールの2−アセテートであり、この場合、これらは、ツジョプセンの酸化における中間体化合物として報告されている(たとえば、G.Ohloff ら、Helv, Chem. Acta 1970, 623 またはG. Ohloff ら、 Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas, 1974, 93, 264)。しかしながら、これら先行技術文献中には、前記化合物が香料成分として使用できることは明記または示唆されていない。式(I)の他の化合物については新規である。
【0003】
香料成分として従来技術において報告されている最も近い類似体は、US3839232に開示されている、4,7,11,11−テトラメチル−トリシクロ[5.4.0.0(1,3)]ウンデカン−5−オンである。この文献は、本発明による化合物がさらに有用な香料成分であることについては示唆していない。
【0004】
発明の記載
驚くべきことに、式(I)
【0005】
【化1】

[式中、RまたはRは互いに独立して、それぞれC〜C−アルキル基またはCOR基を示し、その際、Rはメチルまたはエチル基を示し、かつ前記RまたはRの一つはさらに水素原子を示していてもよいか;あるいは、
前記RおよびRは、互いに独立して、C(R基を示し、その際、それぞれRは水素原子、C〜C−アルキル基を示すか、あるいは、一緒になってCH−(CH−CHまたはCH−(CH−CH基を示す]の1,8−a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチル−デカヒドロ−2,3−ナフタレンジオール誘導体、これら異性体の任意の一つの形またはこれらの混合物が、香料組成物および付香製品を製造に、極めて有用なウッディーアンバー型のフレグランスを有することを見いだした。
【0006】
本発明の好ましい実施態様によれば、RまたはRは互いに独立して、それぞれC〜C−アルキル基を示し、かつ前記RまたはRの一つが水素原子を示していてもよいか、あるいは、前記RおよびRは一緒になって、C(R基を示し、その際、それぞれRは水素原子またはC〜C−アルキル基であるか、あるいは、一緒になって、CH−(CH−CHまたはCH−(CH−CH基を示す。
【0007】
本発明の好ましい化合物は、式(II)
【0008】
【化2】

[式中、それぞれRは互いに独立して、水素原子またはC〜C−アルキル基、好ましくはメチル基を示す]の(1R,4aS,8aS)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロ−2,3−ナフタレンジオール誘導体である。前記のように、式(I)の化合物は、さらに前記化合物の異性体の任意の一つの形または異性体の混合物の形であってもよい。
【0009】
本発明の化合物の典型的な例は(1R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレンであり、その際、この香気は、本質的なウッディ−アンバー特性により特徴付けられ、この場合、これらは、1−(2,2,3,6−テトラメチル−シクロヘキシル)−3−ヘキサノールの一つと同様の方向性を有するものであるが、しかしながら、よりドライ感の少ない、よりシーダーかつスイートなものある。さらに本発明の前記化合物の香気は、さらに、フローラル−レッドフルーツノートの存在により特徴付けられ、この場合、これらは、ウッディ−アンバー官能性ファミリーに属する化合物に関しては驚異的である。前記フローラル−レッドフルーティノートは、アコードの香気、本発明による化合物が添加されるパヒュームに、極めてホジティブかつ通常ではない様式で寄与する。
【0010】
化合物(II)の他の例は(1R,2R,3S,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレンであり、この場合、これらは、前記に示すように、(1R,4aS,8aS)異性体の一つと極めて類似する香気を有するが、しかしながら、付加的に“lait de santal”なノートを示す。前記(1R,2R,3S,4aS,8aS)異性体は、極めて類似の香気を付与するが、しかしながら、構造(1R,2S,3R,4aS,8aS)のそのジアステレオマーと比較した場合により顕著な強度を有する。
【0011】
本発明による化合物は、ツジョプセンを、たとえばOsOのような標準的な方法によって、相当するジオールに酸化することにより、容易に製造することができる。このようにして得られるジオールは、その後に、このような化学的形質転換のための任意の標準的方法によって、本発明によるアセタール、エステルまたはエーテルに形質転換する。特別な例を、実施例において提供する。
【0012】
式(I)の驚くべき性質によって、本発明の他の態様は、
i)前記に示すような少なくとも1種の本発明による化合物;
ii)香料キャリアおよび香料ベースから成る群から選択された少なくとも1種の成分;および
iii)場合により少なくとも1種の香料アジュバント
を含有する香料組成物である。
【0013】
「香料キャリア」とは、ここでは、パヒュームの点において特にニュートラルな材料を意味し、すなわち、これらは、香料成分の官能特性をなんら変更させるものではない。前記キャリアは液体または固体であってもよい。
【0014】
液体キャリアとしては、これに制限されることはないが、乳化系、すなわち溶剤および界面剤系が挙げられるか、あるいは、香料において通常使用される溶剤であってもよい。香料において通常使用される溶剤の性質および型の詳細については、制限されるものではない。しかしながら、制限のない例として、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノールまたはエチルシトレートを挙げることができ、この場合、これらは使用される最も通常のものである。
【0015】
固体キャリアとしては、制限のない例として、吸収ゴムまたはポリマーであるか、あるいは、さらに包接材料であってもよい。包接化は当業者に公知であり、かつ、たとえば、噴霧乾燥、凝固またはさらに押出技術を用いて実施することができるか、あるいは、コアセルベーションおよび錯体コアセルベーションを含む被覆包接化から構成されてもよい。
【0016】
一般的には「香料ベース」とは、ここで、少なくとも1種の香料助成分を含有する組成物を意味する。
【0017】
前記香料助成分は、式(I)の化合物ではない。さらに、「香料助成分」としては、ここでは、ヘドニックな効果を付与するために、香料製剤または組成物中で使用される化合物を意味する。いいかえれば、助成分は香料の一つとしてみなされてもよく、この場合、これらは、組成物の香気をポジティブまたは好ましい様式で付与または改質化する能力を有するものであって、単に香気を有するものではないものと、当業者に理解されるべきである。
【0018】
ベース中に存在する香料助成分の性質および型は、ここでより詳細な記載をする必要はなく、いずれの場合においても制限されることなく、その際、当業者は、その一般的知識および使用または適用にしたがって、かつ好ましい官能的効果に基づいて選択することが可能である。一般的用語において、これらの香料助成分は、種々の化合物群に属するものであって、たとえばアルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン系炭化水素、窒素含有または硫黄含有ヘテロ環式化合物およびエッセンシャルオイルであり、かつ前記香料助成分は、天然または合成由来のものであってもよい。これらの助成分の多くは、任意の場合において、参考資料、たとえばS. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA, またはより最近の版、あるいは同様の他の研究、ならびに、香料分野における放棄された特許文献に挙げられている。さらに、前記助成分は、香料化合物の種々の型を、制御された方法で放出することが知られた化合物であってもよい。
【0019】
香料キャリアおよび香料ベースの双方を含有する組成物に関して、前記に示す以外の他の適した香料キャリアは、さらにエタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン、たとえば商標Isopar(R)として公知のもの(製造元;Exxon Chemical)またはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、たとえば商標Dowanol(R)として公知のもの(製造元;Dow Chemical Company)である。
【0020】
一般に「香料アジュバント」とは、付加的に付与される利点、たとえば色、特に耐光性、耐化学薬品性等を付与する能力を有する成分を意味する。香料ベース中で通常使用されるアジュバントの性質および型の詳細な記載は、制限されるものではないが、しかしながら、前記成分は当業者に公知のものを挙げるべきである。
【0021】
式(I)の少なくとも1種の化合物および少なくとも1種の香料キャリアから成る本発明による組成物は、本発明の好ましい実施態様ならびに式(I)の少なくとも1種の化合物、少なくとも1種の香料キャリア、少なくとも1種の香料ベースおよび場合によっては少なくとも1種の香料アジュバントを含有する香料組成物を示す。
【0022】
ここで、前記組成物中で、式(I)の1種またはそれ以上を有する化合物は重要であり、それというのも本発明による種々の化合物の香調を有するアコード、香料を、パヒューマーが製造することができ、それによりパヒューマーの仕事に関して新規ツールを提供する可能性を有することを挙げることができる。
【0023】
好ましくは、化学合成から直接的に、たとえば適当な精製なく得られる任意の混合物は、この場合、本発明の混合物を出発材料、中間体または最終生成物として包含するものであっても、本発明による香料組成物として考慮されない。
【0024】
さらに、本発明による化合物は、現代香料のすべての分野において、前記化合物(I)を添加する消費製品の香気をホジティブに付与するかまたは改質化するために有利に使用することができる。したがって、
i)香料成分として、少なくとも1種の式(I)の化合物または本発明による組成物;および
ii)消費製品ベース
を含有する付香製品もまた、本発明の対象である。
【0025】
これに関連して「消費製品ベース」とは、香料成分と相溶性の消費製品を意味する。いいかえれば、本発明による付香製品は、消費製品、たとえば洗剤または空気清浄化剤に応じて、機能的配合物ならびに場合により付加的に利点を有する薬剤および少なくとも1種の本発明による化合物の官能的効果量を含有する。
【0026】
消費製品の構成成分の性質および型については、ここで詳細に説明することなく、この場合、これらは任意の場合において制限されるものではなく、当業者がその一般的一式および前記生成物の性質および好ましい効果にしたがって選択することが可能なものである。
【0027】
適した消費製品の例は固体または液体の洗剤および繊維柔軟剤ならびに香料において常用の他のすべての製品、すなわちパヒューム、コロンまたはアフターシェイブローション、化粧石けん、シャワーまたはバスソルト、ムース、オイルまたはジェル、衛生製品またはヘアケア製品、たとえばシャンプー、ボディケア製品、デオドラントまたは制汗剤、空気清浄化剤およびさらには化粧品組成物である。洗剤としては、意図される適用、たとえば洗剤組成物または種々の表面を洗浄または清浄化するため、たとえば繊維、皿、硬質表面の処理のためのクリーニング製品であり、その際、これらは家庭用または工業用の用途が意図される。他の付香製品はファブリックリフレッシュナー、アイロン用水、紙、布または漂白剤である。
【0028】
前記消費製品ベースのいくつかは、本発明による化合物のための攻撃的媒体を示し、したがって、この媒体による早期分解から、たとえば包接により保護する必要があってもよい。
【0029】
本発明による化合物が、種々の前記製品または組成物中に混合することができる割合は、広範囲で可変であってもよい。これらの値は、本発明による化合物を、香料助成分、溶剤またはこの分野で常用の添加剤と混合する場合には、付香すべき製品の性質および好ましい官能的効果ならびにベース中の補助製品の性質に依存する。
【0030】
たとえば、香料組成物の場合において、典型的濃度は、本発明による化合物を混合する組成物の質量に対して、本発明の化合物0.001質量%〜10質量%のオーダーまたはそれ以上のである。これよりも低い濃度、たとえば0.01質量%〜5質量%のオーダーは、これらの化合物を付香製品中に混合する場合に使用することができる。
【0031】
前記に示したように、本発明はさらに式(I)の化合物の香料成分としての使用に関する。いいかえれば、香料組成物または付香製品の香気特性を付与、増大、改善または改質化するための方法に関し、この場合、この方法は、前記組成物または製品に、少なくとも式(I)の化合物の効果的な量を添加するものである。式(I)の化合物を使用する場合には、ここでは、本発明による組成物の使用であると理解されるべきである。
本発明は以下の実施例により、より詳細に記載されるが、その際、略記は、この分野における通常の意味を有し。温度は摂氏度(℃);NMRスペクトルデータはCDCl中で(別記しない限り)、Hまたはそれぞれ13Cに関して500または125MHzの機械を用いて記録され、化学シフトδは、標準TMSに対してppmで示され、結合定数JはHzで示される。
【実施例】
【0032】
例1
式(II)の化合物の製造
a)(1R,4aS,8aS)−1,8a−メタノ−2,4a、8,8−テトラメチルデカヒドロ−2,3−ナフタレンジオールの合成
1000mlの丸底フラスコ中に、ツジョプセン(GC純度=74%[α]20=−78.0℃(CHCl中2.8%))97g(0.475モル)、BuOH338ml、ピリジン37.5ml、脱イオン水69ml、トリメチルアミンオキシド三水和物62.5g(0.562モル)およびBuOH中の2.5%OsO10gを導入した。混合物を還流で12日間に亘って加熱し、かつ冷却した後に、水1200ml中のNa15.6gの溶液に注ぎ入れた。混合物をエーテル(150ml)で3回に亘って抽出し、かつ有機相を10%HCl(50ml)で2回に亘って洗浄し、飽和NaHCO(50ml)および水(50ml)で2回に亘って洗浄した。濃縮後に、好ましいジオール115.0g(GC純度:64%)が得られ、かつさらに精製することなく使用した。
ジオールの物理的データは、従来技術においてすでに報告されたデータに相当する。
【0033】
b)(1R,4aS、8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレンの合成および(1R,2R,3S,4aS,8aS)および(1R,2S,3R,4aS,8aS)の構造のジアステレオマーの単離
2,2−ジメトキシプロパン1000ml中a)で得られたジオール115.0gの溶液に、p−トルエンスルホン酸5gを添加した。室温で4時間に亘っての攪拌後に、室温で、混合物をエーテル200mlおよびペンタン500mlで希釈し、引き続いて水、飽和NaHCOおよび水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、かつ残留物を濃縮した。この残留物を蒸留ヘッド(Eb(0.13mbar)=60〜85゜)を用いて迅速に蒸留し、粗生成物(1R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレン(純度:67%)を得た。前記粗化合物は、さらに第1蒸留によってFischer column MS 300(Eb(0.1mbar)=35〜72゜、35.4g)を用いて精製し、かつ、第2蒸留として蒸留ヘッド(Eb(0.18mbar)=72〜84゜)を用いて精製し、(1R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2、4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレン75.48g(収率=52%)(純度:90%)を得た。
【0034】
(1R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレンのフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ペンタン/エーテル=9:1)により、純粋な異性体(1R,2R,3S,4aS,8aS)および(1R,2S,3R,4aS,8aS)が得られた。
【0035】
(1R,2S,3R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレン:
【0036】
【化3】

【0037】
(1R,2R,3S,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレン:
【0038】
【化4】

【0039】
例2
香料組成物の製造
“ワイルドストロベリー”型のアコードを、以下の成分を混合することにより調製した:
【0040】
【表1】

ジプロピレングリコール中
1)製造元:Firmenich SA、Switzerland
2)ジエチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート;製造元:Firmenich SA、Switzerland
3)4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン;製造元:Firmenich SA、Switzerland
4)ペンタデセノリド;Firmenich SA、Switzerland
5)メチルイオノン;Firmenich SA、Switzerland
6)メチルジヒドロジャスモネート;製造元:Firmenich SA、Switzerland
7)1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン;Firmenich SA、Switzerland。
【0041】
(1R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8−a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレン 500質量部の前記アコードへの添加は、フルーティーなノートを増強させることによってアコードに極めて自然な相を付与した。本発明による化合物のアコードへの添加は、さらに、より丸みのある、心地よい、かつ増強した量感および拡散を有する香気を提供する効果を有する。すべての効果は、同様のウッディ−アンバーファミリーに属する従来の香気成分の一つを添加することによっては達成されなかったものである。
【0042】
例3
香料組成物の製造
“グリーン−フローラル−ウッディー”型の男性用アコードを、以下の成分を混合することにより製造した:
【0043】
【表2】

ジプロピレングリコール中
1)8,12−エポキシ−13,14,15,16−テトラノルラブダン;製造元:Firmenich SA、Switzerland
2)製造元:Firmenich SA、Switzerland
3)ペンタデセノリド;製造元:Firmenich SA、Switzerland
4)メチルジヒドロジャスモネート;製造元:Firmenich SA、Switzerland
5)1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン;製造元:IFF,USA
6)3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール;製造元:Givaudan SA,Switzerland
7)3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;製造元:Firmenich SA、Switzerland
8)メチルセドリルケトン;製造元:IFF、USA
ジプロピレングリコール中(1R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8−a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレン1%w/w溶液 10質量部の前記アコードへの添加は、本発明による化合物のウッディおよびアンバーの特性と組み合わせて、フローラルかつフルーティーな相に寄与する、独特かつ極めて化粧品向けのノートを有する新規アコードを生じる。
【0044】
例2として、新規アコードは、改善した量感および拡散ならびにより丸みのある心地よい香気を有する。この結果は、他の公知の香気成分、たとえば2−シクロドデシル−1−プロパノールまたは(−)−(1R,3S,7R,8R,10S,13R)−5,5,7,9,9,13−ヘキサメチル−4,6−ジオキサテトラシクロ[6.5.1.0(1,10),0(3,7)]テトラデカンの添加によって達成されるものではなく、これはアコードのウッディおよびアンバーな相に寄与するものの、フローラルノートまたは香気の拡散に対して、任意の独特または重要な効果を誘導するものではない。
【0045】
例4
香料成分の製造
「パイン」型のアコードを、以下の成分を混合することにより製造した:
【0046】
【表3】

ジプロピレングリコール中
1)製造元:Firmenich SA、Switzerland
2)2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール;製造元:Symerise,Germany
3)1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン;製造元:Firmenich SA、Switzerland
4)8(9)−メトキシ−トリシクロ[5.2.1.0.(2,6)]デカン−3(4)−カルバルデヒド;製造元:Firmenich SA、Switzerland
5)製造元:Givaudan SA,Switzerland
ジプロピレングリコール中(1R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8−a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレン10%w/w溶液の25質量部の前記アコードへの添加は、強化されたウッディおよびアンバーの特性を有し、かつフローラルおよびフルーティーの二重の独特の相を有する新規アコードを生じる。
【0047】
ウッディ−アンバー特性は、前記ノートを付与することが可能な他の香料成分を添加することにより供給されるものよりも、ドライ感の少ない、より丸みのあるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、RまたはRは、それぞれ互いに独立して、C〜C−アルキル基またはCOR基であり、その際、Rはメチルまたはエチル基を示し、かつ前記RまたはRの一つは水素原子を示していてもよく;あるいは、
前記RおよびRは、それぞれ互いに独立して、C(R基を示し、それぞれRは水素原子、C〜C−アルキル基であるか、あるいは一緒になって、CH−(CH−CHまたはCH−(CH−CH基を示す]の化合物、その異性体の任意の一つの形またはこれらの混合物、但し、[1aR−(1aα,2β,3β,4αβ,8αS)]−デカヒドロ−2,4a,8,8−テトラメチル−シクロプロパ[d]ナフタレン−2,3−ジオールの3−アセテートおよび(1aR,2S,3S,4αS,8αS)−デカヒドロ−2,4a,8,8−テトラメチル−シクロプロパ[d]ナフタレン−2,3−ジオールを除く。
【請求項2】
式(II)
【化2】

[式中、それぞれRは互いに独立して、水素原子またはC〜C−アルキル基を示す]の、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(1R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレン、(1R,2R,3S,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8−a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレンまたは(1R,2S,3R,4aS,8aS)−2,3−(ジメチルメチレンジオキシ)−1,8a−メタノ−2,4a,8,8−テトラメチルデカヒドロナフタレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
i)請求項1に記載の少なくとも1種の化合物;
ii)香料キャリアおよび香料ベースから成る群から選択された少なくとも1種の成分;および
iii)場合により、少なくとも1種の香料アジュバント
を含有する、香料組成物。
【請求項5】
i)香料成分として、請求項1に記載の少なくとも1種の化合物または請求項4に記載の組成物;および
ii)消費製品ベース
を含有する付香製品。
【請求項6】
固体または液体洗剤、繊維柔軟剤、パヒューム、コロンまたはアフターシェイブローション、化粧石けん、シャワーまたはバスソルト、ムース、オイルまたはジェル、衛生製品、ヘアケア製品、シャンプー、ボディケア製品、デオドラントまたは制汗剤、空気清浄化剤、化粧品、ファブリックリフレッシュナー、アイロン用水、紙、布または漂白剤の形での、請求項5に記載の付香製品。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物の香料成分としての使用。

【公表番号】特表2007−522124(P2007−522124A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550320(P2006−550320)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003981
【国際公開番号】WO2005/083045
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1、route des Jeunes、 CH−1211 Geneve 8、 Switzerland
【Fターム(参考)】