エアゾール噴射装置用アダプタ及びエアゾール噴射装置
【課題】種々の対象に使用可能なエアゾール噴射装置用アダプタ及びエアゾール噴射装置を提供する。
【解決手段】噴射口から内容物を噴射するエアゾール噴射装置に取り付けられ、少なくとも、排水栓を有する洗面台の排水管内にエアゾール噴射装置の内容物を噴射可能とするアダプタ4であって、エアゾール噴射装置1に下端部が取り付けられる取付部材5と、取付部材5の上端部に取り付けられ、先端側に向かって縮径する円錐台状に形成された挿入部62を有する先端部材6と、を備えている。先端部材6は、排水栓を収納可能な凹部64が挿入部62の先端面に形成されており、エアゾール噴射装置1の噴射口と連通す貫通孔が凹部64に形成されている。
【解決手段】噴射口から内容物を噴射するエアゾール噴射装置に取り付けられ、少なくとも、排水栓を有する洗面台の排水管内にエアゾール噴射装置の内容物を噴射可能とするアダプタ4であって、エアゾール噴射装置1に下端部が取り付けられる取付部材5と、取付部材5の上端部に取り付けられ、先端側に向かって縮径する円錐台状に形成された挿入部62を有する先端部材6と、を備えている。先端部材6は、排水栓を収納可能な凹部64が挿入部62の先端面に形成されており、エアゾール噴射装置1の噴射口と連通す貫通孔が凹部64に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール噴射装置用アダプタ及びエアゾール噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、台所や浴槽などの排水管内の汚れは、先端にブラシなどが形成された長尺のワイヤーを排水管内に挿入して汚れを直接こすり落とすことで除去していたが、この方法では非常に手間が掛かるためにより容易に排水管内の汚れを除去できる方法が要望されていた。これに対して、排水管の汚れを容易に除去する方法としてエアゾールを利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、例えば、特許文献1に開示しているように、キャップが排水口の内径よりも大きい半球体状に形成されており、この半球体状のキャップを排水管の排水口に当接させることで、洗浄成分を有する内容物を排水管内に噴射して排水管内の汚れを除去している。
【特許文献1】実開昭57−51775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般的に家庭に設置されている洗面台には、排水口を閉鎖して水を貯めることができるよう排水栓が設置されている。この排水栓は不使用時には排水口の上方に位置している一方、水を貯めるときには排水栓は下降して排水口を栓するように構成されている(例えば、実開平6−3183号公報の図2参照)。しかしながら、上述した半球状のキャップを備えたエアゾール噴射装置では、このような洗面台に対しては使用することができず使用対象が限定されている。
【0004】
そこで、本発明は、種々の対象、例えば、洗面台や、台所の流し台、浴槽などの排水管に内容物を噴射可能なエアゾール噴射装置用アダプタ、エアゾール噴射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るエアゾール容器用アダプタは、上記課題を解決するためになされたものであり、噴射口から内容物を噴射するエアゾール噴射装置に取り付けられ、少なくとも、排水栓を有する洗面台の排水管内にエアゾール噴射装置の内容物を噴射可能とするアダプタであって、エアゾール噴射装置に一端部が取り付けられる取付部材と、前記取付部材の他端部に取り付けられ、先端側に向かって縮径するよう形成された挿入部を有する先端部材と、を備え、前記先端部材は、排水栓を収納可能な凹部が挿入部の先端面に形成されており、エアゾール噴射装置の噴射口と連通する貫通孔が前記凹部に形成されている。
【0006】
上記エアゾール噴射装置用アダプタによれば、排水栓を収納可能な凹部が形成された挿入部を有する先端部材を備えているため、まず、排水栓を有する洗面台に使用する際は、排水栓を挿入部の凹部内に収納するとともに、挿入部の先端面を洗面台の排水口周辺と当接させることで、内容物を外部に漏らすことなく洗面台の排水管内に送り込むことができる。また、挿入部は先端側に向かって縮径するよう形成されているため、この挿入部の最小外径を浴槽の排水口の内径よりも小さくするとともに、最大外径を排水口の内径よりも大きくすることにより、先端部材の挿入部によって浴槽の排水口を密栓することができるため、凹部の貫通孔から噴射される内容物を外部に漏らすことなく排水管内に送り込むことができる。さらには、図11に示すように、台所の流し台の排水口は底面から溜水筒が上方に延びておりこの溜水筒が排水管へとつながっているが、一般的に溜水筒の外径は洗面台の排水栓の外径よりも小さいため、先端部材の挿入部の凹部内に溜水筒の上部を収納しつつ、凹部の底面で溜水筒の上端を密閉することができ、この結果、内容物を外部に漏らすことなく流し台の排水管内に送り込むことができる。なお、上記「排水栓」とは、不使用時には洗面台の排水口の上方に位置しており、洗面台に水を貯めるときには下降して排水口を密栓するような上下動可能に設置された排水栓のことをいう。
【0007】
上記エアゾール噴射用アダプタは種々の構成をとることができるが、例えば、上記先端部材は、挿入部の先端外周縁部から上方に延びるとともに外方に向かって広がる先端当接部をさらに有していることが好ましい。これにより、より先端部材を密着させて、内容物が外部に漏出することを抑制することができる。
【0008】
また、上記先端部材は、貫通孔が凹部の底面に形成されており、貫通孔の上方に形成された衝突壁をさらに有していることが好ましい。このように貫通孔の上方に衝突壁を設けることで、誤って人の顔などに向けて噴射させてしまった場合であっても、ステムの噴射口から噴射された内容物は貫通孔を出た後、一旦衝突壁に衝突するため、人の顔などに直接噴射されることを防止することができる。
【0009】
また、上記先端部材を取付部材と別体に形成して取付部材に対して回転可能とし、先端部材を取付部材に対して回転させることで、内容物の噴射を防止するようにエアゾール噴射装置をロック状態とするロック位置と、ロック状態を解除する解除位置とに切り替え可能とすることが好ましい。このように先端部材を回転させてロック位置と解除位置とに切り替え可能にすることによって、内容物の誤射を防止することができる。
【0010】
また、上記挿入部は、円錐台形状とすることで、排水管に挿入部の外壁が接触する際、接触面が直線となるため、どの位置で接触しても均一な力で接触する事が可能となるので、円錐台状に形成されていることが好ましい。
【0011】
また上記凹部は、深さが12〜20mmであり、内径が30〜70mmことが好ましく、深さが15〜17mmであり、内径が45〜50mmであることがより好ましい。このような大きさは、一般的に洗面台に設置されている排水栓を収容できるような大きさであればよい。
【0012】
また、本発明に係るエアゾール噴射装置は、上記いずれかのエアゾール噴射装置用アダプタが装着されている。このように、本発明に係るエアゾール噴射装置は、上記いずれかのエアゾール噴射装置用アダプタが装着されているので、種々の排水管を洗浄することができる。
【0013】
このエアゾール噴射装置は種々の構成をとることができるが、例えば、このエアゾール噴射装置が内容物を噴射可能な状態において、その全長を180mm以下とすることが好ましい。洗面台などは、通常、排水口の上方に水道の蛇口部分が配置されているが、エアゾール噴射装置の全長を180mm以下とすることによって、エアゾール噴射装置を排水口にセットしたときに、水道蛇口と干渉せずにエアゾール噴射装置を使用することができる。
【0014】
また、排水管内を洗浄するよう、洗浄成分を有する内容物を噴射するようなエアゾール噴射装置とすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、種々の対象、例えば、洗面台や台所の流し台、浴槽などの排水管に内容物を噴射可能なエアゾール噴射装置用アダプタ及びエアゾール噴射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタ及びこれを装着したエアゾール噴射装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の斜視図、図2はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の正面図、図3は図2のA−A線断面図、図4はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の側面図、図5は図4のB−B線断面図、図6は貫通孔周辺の詳細を示す拡大図、図7はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の平面図である。なお、図1〜図5において、エアゾール噴射装置用アダプタは全てロック位置にある。
【0017】
図1から図5に示すように、エアゾール噴射装置1は、エアゾール容器2と、エアゾール容器2の先端である上端から延びるステム3とを備えており、上端側にエアゾール噴射装置用アダプタ4が装着されている。このエアゾール噴射装置1の全長は、好ましくは180mm以下である。
【0018】
エアゾール容器2は、略円筒状の耐圧容器として形成されており、その内部には、洗浄成分を含む原液と、液化ガス又は圧縮ガスからなる噴射剤とからなる内容物が封入されている。詳細な図示は省略しているが、エアゾール容器2は、上端及び下端が開口している外筒21を備えており、この外筒21の下端開口部は底部材22によって閉鎖され、上端開口部は、中央部が開口したマウンティングキャップ23及びマウンティングキャップ23の中央開口部を閉鎖するトップドーム24によって閉鎖されている。なお、外筒21の下端縁部と底部材22の外周縁部とが巻締め部221を形成するとともに、外筒21の上端縁部とマウンティングキャップ23の外周縁部とで巻締め部231を形成している。これらエアゾール容器2を構成する材料としては、内部に封入した内容物による内圧に耐えられるものであればよく、好ましくはブリキなどの金属に内面コーティングしたものを使用する。
【0019】
ステム3は円筒状に形成されておりその上端開口を噴射口31としている。このステム3は、エアゾール容器2の内部においてマウンティングキャップ23に取り付けられたバルブ(図示省略)に連結されており、マウンティングキャップ23に対して上下動可能に設置されている。このステム3及びバルブの構成は、周知の構成を採用することができ、例えば、ステム3をエアゾール容器2内に押し込むことによってバルブが開放されてエアゾール容器2の内部圧力によりステム3の噴射口31を介して内容物が噴射される一方、ステム3を放すとスプリングの付勢力によりステム3が元の状態まで移動してバルブが閉じられるように構成することができる。
【0020】
このように構成されたエアゾール噴射装置1にはエアゾール噴射装置用アダプタ4が装着されている。このエアゾール噴射装置用アダプタ4は、取付部材5と先端部材6とを有している。
【0021】
取付部材5は、下端部(一端部)がエアゾール容器2の上端側の巻締め部231に取り付けられている。この取付部材5は円筒状であって、その内壁面の下端部に環状の突起部51が形成されており、この突起部51によってエアゾール容器2の巻締め部231と係合するように構成されている。また、取付部材5の内壁面の上端部にも環状の突起部52が形成されており、この突起部52が後述する先端部材6のガイド部61の突起部611と係合することによって、先端部材6を取り付け部材5を介してエアゾール噴射装置1に固定している。また、図4に示すように、取付部材5には、上端から上方に延びる第1の突出部53及び第2の突出部54が形成されている。この第1の突出部53と第2の突出部54とは高さが異なる(第1の突出部53の方が第2の突出部54よりも高い)ため、境界部分に段差部55が形成されている。
【0022】
先端部材6は、上記取付部材5の上端部(他端部)に取り付けられており、取付部材5を介してエアゾール噴射装置1に取り付けられている。この先端部材6は、円筒状のガイド部61と、上端側に向かって径が小さくなるような円錐台状の挿入部62と、挿入部62の上端外周縁部から上方に向かって径が大きくなるように延びる先端当接部63とを備えている。
【0023】
円筒状のガイド部61は、上記取付部材5の内径よりも小さい外径を有しており、その下部が取付部材5の内部に挿入されている。このガイド部61の側面下部には環状の突起部611が部分的に形成されており、この突起部611が上述した取付部材5の突起部52と係合することによって、先端部材6が取付部材5から抜けるのを防止している。
【0024】
円錐台状の挿入部62は、ガイド部61の上端に一体的に連結されており、挿入部62の下端はガイド部61の外径よりも大きく形成されている。この挿入部62の大きさは、原則として、後述するように浴槽の排水口を密栓できるような大きさに形成されており、挿入部62の上端の外径は浴槽排水口の内径よりも小さく形成され、挿入部62の下端の外径は浴槽排水口よりも大きく形成されている。具体的には、浴槽の排水口は大きいものでその内径が55mm程度であるので、挿入部62の下端の外径は25〜80mmであることが好ましく、50〜55mmであることがより好ましい。なお、浴槽の排水口は種々の大きさに形成されているため、浴槽の排水口の内径よりも挿入部62の上端の外径の方が大きい場合がある。この場合は、挿入部62で浴槽の排水口を密栓できないので、後述する先端当接部63を排水口の周辺に当接させて密閉する。また、図4に示すように、挿入部62の下端からは第1の突出部621及び第2の突出部622が下方に延びている。この第1の突出部621と第2の突出部622とはその下方へ延びる長さが異なる(第1の突出部621よりも第2の突出部622の方が長い)ため、境界部には段差部623が形成されている。この段差部623の大きさは、上述した取付部材5の段差部55とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0025】
挿入部62の上端面には凹部64が形成されている。この凹部64は、後述するように洗面台の排水栓が収容できる程度の大きさに形成されていればよい。具体的には、洗面台の排水栓は大きいもので高さが15mm程度、外径が45mm程度あるので、凹部64は、深さが12〜20mmであり、内径が30〜70mmであることが好ましく、深さが15〜17mmであり、内径が45〜50mmであることがより好ましい。この凹部64の底面65中央部には、図6に詳細を示すように、貫通孔66が形成されている。また、底面65の裏面には、貫通孔66の周囲から下方に延びるガイド筒67が形成されており、ステム3の噴射口31から噴射された内容物は、ガイド筒67を介して貫通孔66から噴射されるように構成されている。このように貫通孔66から噴射された内容物が誤って人の顔などにそのままの勢いで直接噴射されるのを防ぐ目的で、貫通孔66の上方に衝突壁68が形成されている。
【0026】
上述した挿入部62の上端から上方に延びるよう先端当接部63が形成されている。この先端当接部63は、挿入部62の上端外周縁部から上方に直立に延びる直立部631と、この直立部631の上端から上方かつ外方に向かって延びる傾斜部632とから構成されている。この傾斜部632は薄肉状に形成されており、僅かに弾性変形するため、当接する対象物に密着しやすいような構成となっている。
【0027】
次に上述したように構成されたエアゾール噴射装置1の使用方法について図面を参照しつつ説明する。なお、図8はエアゾール噴射装置のロック状態を解除したエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の側面図、図9はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置を洗面台に使用した状態を示す説明図、図10は浴槽に使用した状態を示す説明図、図12は台所の流し台に使用した状態を示す説明図である。
【0028】
まず、エアゾール噴射装置1を使用しないときは、内容物が誤って噴射してしまうのを防止するために、先端部材6を図1の時計回りに回転させてロック位置に保持しておく(図1〜図5参照)。このロック位置とは、図4に明確に示すように、挿入部62の第1及び第2の突出部621,622が、取付部材5の第1及び第2の突出部53,54と対向する位置のことである。このように挿入部62と取付部材5との各突出部とが対向するロック位置とすることで、先端部材6がエアゾール噴射装置1から離れた状態で保持され先端部材6を押し下げても移動しないため、ステム3がエアゾール容器2内に押し下げられて内容物が噴射されることがないようにエアゾール噴射装置1はロック状態となっている。また、挿入部62の第1及び第2の突出部621,622により画定される段差部623と、取付部材5の第1及び第2の突出部53,54により画定される段差部55とが互いに係合し合うことで、先端部材6はロック位置からさらに時計回りには回転しないようになっている。
【0029】
次にエアゾール噴射装置1のロック状態を解除して内容物を噴射する方法について説明する。まず、先端部材6を図1の反時計回りに回転させて、図8に示すように解除位置にする。この解除位置とは、挿入部62の第1及び第2の突出部621,622が、取付部材5の第1及び第2の突出部53,54と対向しない位置のことである。このように先端部材6を解除位置まで回転させると、先端部材6を押し下げることができるため、先端部材6を押し下げることでガイド筒67でステム3を押し下げて内容物を噴射させることが可能となりエアゾール噴射装置1のロック状態を解除することができる。
【0030】
続いて、上述したように先端部材6を解除位置まで回転させた状態でエアゾール噴射装置1の内容物を噴射して各種排水管の汚れを除去する方法について説明する。
【0031】
まず、図9に示すように、排水栓11が設置された洗面台10の排水管12を洗浄する場合について説明する。まず、エアゾール噴射装置1を逆さに向け、先端部材6の凹部64内に排水栓11を収容するとともに先端当接部63を排水口周辺に通常設けられている平坦部13に当接させる。この状態で、エアゾール容器2を下方に押し下げることで、先端部材6のガイド筒67がステム3を押圧してステム3がエアゾール容器2内に押し込まれる。これによりバルブ(図示省略)が開いて内部に封入されている洗浄成分を含む内容物がステム3の噴射口31から噴射される。ステム3の噴射口31から噴射された内容物は、貫通孔66を通過し、一旦衝突壁68に衝突して外方に向かうよう進行方向を変えて凹部64内に進む。先端当接部63が平坦部13と当接しているため、凹部64内に進んだ内容物は、外部に漏れることなく凹部64内から排水管12内に進み、排水管12の内壁に付着した汚れを落とすことができる。
【0032】
次に、図10に示すように、浴槽20の排水管21を洗浄する場合について説明する。まず、エアゾール噴射装置1を逆さに向け、浴槽20の排水口22内に先端部材6の挿入部62を挿入する。すると、挿入部62の最大外径は、一般的な浴槽20の排水口22よりも大きく形成されているため、先端部材6の挿入部62によって浴槽20の排水口22を密栓するような状態となる。この状態からさらにエアゾール容器2を下方に押し下げることで、上述したようにステム3がエアゾール容器2内に押し込まれてステム3の噴射口31から内容物が噴射され、この内容物が貫通孔66、凹部64を介して排水管21内に進み、排水管21の内壁に付着した汚れを落とすことができる。なお、上記実施形態では、浴槽20の排水口22は先端部材6の挿入部62の最小外径よりも大きく形成されているが、浴槽20の排水口22の内径が挿入部62の最小外径よりも小さい場合もある。この場合は、先端当接部63を排水口22周辺の平坦部24に当接することで密閉することができる。
【0033】
続いて、台所の流し台の排水管を洗浄する場合について説明する。流し台の排水口30は、一般的に図11に示すような構造をとっており、底面から円筒状の溜水筒31が上方に延びており、この溜水筒31の周りには水が張られており、この溜水筒31の上方を覆うように水封椀32が配置されている。このような構造をした排水口30の排水管33を洗浄する場合は、まず、水封椀32を取り出し、図12に示すように、エアゾール噴射装置1を逆さにして先端部材6の凹部64の底面65に溜水筒31の上端を当接させる。そして、エアゾール容器2を押し下げることで、上述したように内容物を排水管33内に噴射して排水管33の内壁に付着した汚れを洗浄することができる。
【0034】
以上、本実施形態によれば、エアゾール噴射装置用アダプタ4の挿入部62の上端に凹部64が形成されているため、排水栓11が設置された洗面台10の排水管12も洗浄することができるとともに、浴槽20の排水管21や、台所の流し台の排水管33も洗浄することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、先端当接部63は挿入部62の上端から形成された直立部631及び傾斜部632から構成されていたが、これを簡略化して図13に示すように挿入部62の上端を先端当接部63とすることもできる。
【0036】
また、図14に示すように、先端部材6の回転を容易にするため、挿入部62の第1及び第2の突出部621、622に複数の溝などによりグリップ部を形成してもよい。
【0037】
また、上記実施形態では貫通孔66を凹部64の底面65中央部に形成しているが、特に限定されるものではなく、例えば、凹部64の側壁に貫通孔を形成し、ステム3の噴射口31と連通するように繋げてもよい。こうすることにより、衝突壁67を形成しなくても、誤って人の顔などに直接内容物が噴射されることを防止することができる。
【0038】
また、上記実施形態では貫通孔66の上方に衝突壁68を設けていたが、これを省略することもできる。なおこの場合は誤って内容物が噴射されてしまうのを防止するためにキャップなどを設けておくことが好ましい。
【0039】
また、上記実施形態では、エアゾール容器2内には、洗浄成分を含む原液と、液化ガス又は圧縮ガスからなる噴射剤とからなる内容物が封入されていたが、内容物は特にこれに限定されるものではなく、例えば、洗浄成分を含む原液の代わりに、除菌剤や消臭薬剤、芳香薬剤、漂白剤などをエアゾール容器2内に封入することもできる。
【0040】
また、上記実施形態では、先端部材6の挿入部62は円錐台状に形成されているが、この挿入部62の形状は先端側に向かって径が小さくなるように形成されていればよく、例えば、図15に示すように、挿入部62の側面が内方に向かって湾曲していてもよいし、これとは逆に図16に示すように、挿入部62の側面が外方に向かって湾曲していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の実施形態を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の実施形態を示す側面図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】本実施形態に係る貫通孔周辺の詳細を示す拡大図である。
【図7】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の実施形態を示す平面図である。
【図8】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のロック状態が解除された状態の実施形態を示す正面図である。
【図9】本実施形態に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の使用方法を示す説明図である。
【図10】本実施形態に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の他の使用方法を示す説明図である。
【図11】本実施形態に係る流し台の排水口の詳細を示す正面断面図である。
【図12】本実施形態に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のさらに他の使用方法を示す説明図である。
【図13】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の他の実施形態を示す側面断面図である。
【図14】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【図15】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【図16】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 エアゾール噴射装置
31 噴射口
4 エアゾール噴射装置用アダプタ
5 取付部材
6 先端部材
62 挿入部
64 凹部
66 貫通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール噴射装置用アダプタ及びエアゾール噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、台所や浴槽などの排水管内の汚れは、先端にブラシなどが形成された長尺のワイヤーを排水管内に挿入して汚れを直接こすり落とすことで除去していたが、この方法では非常に手間が掛かるためにより容易に排水管内の汚れを除去できる方法が要望されていた。これに対して、排水管の汚れを容易に除去する方法としてエアゾールを利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、例えば、特許文献1に開示しているように、キャップが排水口の内径よりも大きい半球体状に形成されており、この半球体状のキャップを排水管の排水口に当接させることで、洗浄成分を有する内容物を排水管内に噴射して排水管内の汚れを除去している。
【特許文献1】実開昭57−51775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般的に家庭に設置されている洗面台には、排水口を閉鎖して水を貯めることができるよう排水栓が設置されている。この排水栓は不使用時には排水口の上方に位置している一方、水を貯めるときには排水栓は下降して排水口を栓するように構成されている(例えば、実開平6−3183号公報の図2参照)。しかしながら、上述した半球状のキャップを備えたエアゾール噴射装置では、このような洗面台に対しては使用することができず使用対象が限定されている。
【0004】
そこで、本発明は、種々の対象、例えば、洗面台や、台所の流し台、浴槽などの排水管に内容物を噴射可能なエアゾール噴射装置用アダプタ、エアゾール噴射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るエアゾール容器用アダプタは、上記課題を解決するためになされたものであり、噴射口から内容物を噴射するエアゾール噴射装置に取り付けられ、少なくとも、排水栓を有する洗面台の排水管内にエアゾール噴射装置の内容物を噴射可能とするアダプタであって、エアゾール噴射装置に一端部が取り付けられる取付部材と、前記取付部材の他端部に取り付けられ、先端側に向かって縮径するよう形成された挿入部を有する先端部材と、を備え、前記先端部材は、排水栓を収納可能な凹部が挿入部の先端面に形成されており、エアゾール噴射装置の噴射口と連通する貫通孔が前記凹部に形成されている。
【0006】
上記エアゾール噴射装置用アダプタによれば、排水栓を収納可能な凹部が形成された挿入部を有する先端部材を備えているため、まず、排水栓を有する洗面台に使用する際は、排水栓を挿入部の凹部内に収納するとともに、挿入部の先端面を洗面台の排水口周辺と当接させることで、内容物を外部に漏らすことなく洗面台の排水管内に送り込むことができる。また、挿入部は先端側に向かって縮径するよう形成されているため、この挿入部の最小外径を浴槽の排水口の内径よりも小さくするとともに、最大外径を排水口の内径よりも大きくすることにより、先端部材の挿入部によって浴槽の排水口を密栓することができるため、凹部の貫通孔から噴射される内容物を外部に漏らすことなく排水管内に送り込むことができる。さらには、図11に示すように、台所の流し台の排水口は底面から溜水筒が上方に延びておりこの溜水筒が排水管へとつながっているが、一般的に溜水筒の外径は洗面台の排水栓の外径よりも小さいため、先端部材の挿入部の凹部内に溜水筒の上部を収納しつつ、凹部の底面で溜水筒の上端を密閉することができ、この結果、内容物を外部に漏らすことなく流し台の排水管内に送り込むことができる。なお、上記「排水栓」とは、不使用時には洗面台の排水口の上方に位置しており、洗面台に水を貯めるときには下降して排水口を密栓するような上下動可能に設置された排水栓のことをいう。
【0007】
上記エアゾール噴射用アダプタは種々の構成をとることができるが、例えば、上記先端部材は、挿入部の先端外周縁部から上方に延びるとともに外方に向かって広がる先端当接部をさらに有していることが好ましい。これにより、より先端部材を密着させて、内容物が外部に漏出することを抑制することができる。
【0008】
また、上記先端部材は、貫通孔が凹部の底面に形成されており、貫通孔の上方に形成された衝突壁をさらに有していることが好ましい。このように貫通孔の上方に衝突壁を設けることで、誤って人の顔などに向けて噴射させてしまった場合であっても、ステムの噴射口から噴射された内容物は貫通孔を出た後、一旦衝突壁に衝突するため、人の顔などに直接噴射されることを防止することができる。
【0009】
また、上記先端部材を取付部材と別体に形成して取付部材に対して回転可能とし、先端部材を取付部材に対して回転させることで、内容物の噴射を防止するようにエアゾール噴射装置をロック状態とするロック位置と、ロック状態を解除する解除位置とに切り替え可能とすることが好ましい。このように先端部材を回転させてロック位置と解除位置とに切り替え可能にすることによって、内容物の誤射を防止することができる。
【0010】
また、上記挿入部は、円錐台形状とすることで、排水管に挿入部の外壁が接触する際、接触面が直線となるため、どの位置で接触しても均一な力で接触する事が可能となるので、円錐台状に形成されていることが好ましい。
【0011】
また上記凹部は、深さが12〜20mmであり、内径が30〜70mmことが好ましく、深さが15〜17mmであり、内径が45〜50mmであることがより好ましい。このような大きさは、一般的に洗面台に設置されている排水栓を収容できるような大きさであればよい。
【0012】
また、本発明に係るエアゾール噴射装置は、上記いずれかのエアゾール噴射装置用アダプタが装着されている。このように、本発明に係るエアゾール噴射装置は、上記いずれかのエアゾール噴射装置用アダプタが装着されているので、種々の排水管を洗浄することができる。
【0013】
このエアゾール噴射装置は種々の構成をとることができるが、例えば、このエアゾール噴射装置が内容物を噴射可能な状態において、その全長を180mm以下とすることが好ましい。洗面台などは、通常、排水口の上方に水道の蛇口部分が配置されているが、エアゾール噴射装置の全長を180mm以下とすることによって、エアゾール噴射装置を排水口にセットしたときに、水道蛇口と干渉せずにエアゾール噴射装置を使用することができる。
【0014】
また、排水管内を洗浄するよう、洗浄成分を有する内容物を噴射するようなエアゾール噴射装置とすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、種々の対象、例えば、洗面台や台所の流し台、浴槽などの排水管に内容物を噴射可能なエアゾール噴射装置用アダプタ及びエアゾール噴射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタ及びこれを装着したエアゾール噴射装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の斜視図、図2はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の正面図、図3は図2のA−A線断面図、図4はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の側面図、図5は図4のB−B線断面図、図6は貫通孔周辺の詳細を示す拡大図、図7はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の平面図である。なお、図1〜図5において、エアゾール噴射装置用アダプタは全てロック位置にある。
【0017】
図1から図5に示すように、エアゾール噴射装置1は、エアゾール容器2と、エアゾール容器2の先端である上端から延びるステム3とを備えており、上端側にエアゾール噴射装置用アダプタ4が装着されている。このエアゾール噴射装置1の全長は、好ましくは180mm以下である。
【0018】
エアゾール容器2は、略円筒状の耐圧容器として形成されており、その内部には、洗浄成分を含む原液と、液化ガス又は圧縮ガスからなる噴射剤とからなる内容物が封入されている。詳細な図示は省略しているが、エアゾール容器2は、上端及び下端が開口している外筒21を備えており、この外筒21の下端開口部は底部材22によって閉鎖され、上端開口部は、中央部が開口したマウンティングキャップ23及びマウンティングキャップ23の中央開口部を閉鎖するトップドーム24によって閉鎖されている。なお、外筒21の下端縁部と底部材22の外周縁部とが巻締め部221を形成するとともに、外筒21の上端縁部とマウンティングキャップ23の外周縁部とで巻締め部231を形成している。これらエアゾール容器2を構成する材料としては、内部に封入した内容物による内圧に耐えられるものであればよく、好ましくはブリキなどの金属に内面コーティングしたものを使用する。
【0019】
ステム3は円筒状に形成されておりその上端開口を噴射口31としている。このステム3は、エアゾール容器2の内部においてマウンティングキャップ23に取り付けられたバルブ(図示省略)に連結されており、マウンティングキャップ23に対して上下動可能に設置されている。このステム3及びバルブの構成は、周知の構成を採用することができ、例えば、ステム3をエアゾール容器2内に押し込むことによってバルブが開放されてエアゾール容器2の内部圧力によりステム3の噴射口31を介して内容物が噴射される一方、ステム3を放すとスプリングの付勢力によりステム3が元の状態まで移動してバルブが閉じられるように構成することができる。
【0020】
このように構成されたエアゾール噴射装置1にはエアゾール噴射装置用アダプタ4が装着されている。このエアゾール噴射装置用アダプタ4は、取付部材5と先端部材6とを有している。
【0021】
取付部材5は、下端部(一端部)がエアゾール容器2の上端側の巻締め部231に取り付けられている。この取付部材5は円筒状であって、その内壁面の下端部に環状の突起部51が形成されており、この突起部51によってエアゾール容器2の巻締め部231と係合するように構成されている。また、取付部材5の内壁面の上端部にも環状の突起部52が形成されており、この突起部52が後述する先端部材6のガイド部61の突起部611と係合することによって、先端部材6を取り付け部材5を介してエアゾール噴射装置1に固定している。また、図4に示すように、取付部材5には、上端から上方に延びる第1の突出部53及び第2の突出部54が形成されている。この第1の突出部53と第2の突出部54とは高さが異なる(第1の突出部53の方が第2の突出部54よりも高い)ため、境界部分に段差部55が形成されている。
【0022】
先端部材6は、上記取付部材5の上端部(他端部)に取り付けられており、取付部材5を介してエアゾール噴射装置1に取り付けられている。この先端部材6は、円筒状のガイド部61と、上端側に向かって径が小さくなるような円錐台状の挿入部62と、挿入部62の上端外周縁部から上方に向かって径が大きくなるように延びる先端当接部63とを備えている。
【0023】
円筒状のガイド部61は、上記取付部材5の内径よりも小さい外径を有しており、その下部が取付部材5の内部に挿入されている。このガイド部61の側面下部には環状の突起部611が部分的に形成されており、この突起部611が上述した取付部材5の突起部52と係合することによって、先端部材6が取付部材5から抜けるのを防止している。
【0024】
円錐台状の挿入部62は、ガイド部61の上端に一体的に連結されており、挿入部62の下端はガイド部61の外径よりも大きく形成されている。この挿入部62の大きさは、原則として、後述するように浴槽の排水口を密栓できるような大きさに形成されており、挿入部62の上端の外径は浴槽排水口の内径よりも小さく形成され、挿入部62の下端の外径は浴槽排水口よりも大きく形成されている。具体的には、浴槽の排水口は大きいものでその内径が55mm程度であるので、挿入部62の下端の外径は25〜80mmであることが好ましく、50〜55mmであることがより好ましい。なお、浴槽の排水口は種々の大きさに形成されているため、浴槽の排水口の内径よりも挿入部62の上端の外径の方が大きい場合がある。この場合は、挿入部62で浴槽の排水口を密栓できないので、後述する先端当接部63を排水口の周辺に当接させて密閉する。また、図4に示すように、挿入部62の下端からは第1の突出部621及び第2の突出部622が下方に延びている。この第1の突出部621と第2の突出部622とはその下方へ延びる長さが異なる(第1の突出部621よりも第2の突出部622の方が長い)ため、境界部には段差部623が形成されている。この段差部623の大きさは、上述した取付部材5の段差部55とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0025】
挿入部62の上端面には凹部64が形成されている。この凹部64は、後述するように洗面台の排水栓が収容できる程度の大きさに形成されていればよい。具体的には、洗面台の排水栓は大きいもので高さが15mm程度、外径が45mm程度あるので、凹部64は、深さが12〜20mmであり、内径が30〜70mmであることが好ましく、深さが15〜17mmであり、内径が45〜50mmであることがより好ましい。この凹部64の底面65中央部には、図6に詳細を示すように、貫通孔66が形成されている。また、底面65の裏面には、貫通孔66の周囲から下方に延びるガイド筒67が形成されており、ステム3の噴射口31から噴射された内容物は、ガイド筒67を介して貫通孔66から噴射されるように構成されている。このように貫通孔66から噴射された内容物が誤って人の顔などにそのままの勢いで直接噴射されるのを防ぐ目的で、貫通孔66の上方に衝突壁68が形成されている。
【0026】
上述した挿入部62の上端から上方に延びるよう先端当接部63が形成されている。この先端当接部63は、挿入部62の上端外周縁部から上方に直立に延びる直立部631と、この直立部631の上端から上方かつ外方に向かって延びる傾斜部632とから構成されている。この傾斜部632は薄肉状に形成されており、僅かに弾性変形するため、当接する対象物に密着しやすいような構成となっている。
【0027】
次に上述したように構成されたエアゾール噴射装置1の使用方法について図面を参照しつつ説明する。なお、図8はエアゾール噴射装置のロック状態を解除したエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の側面図、図9はエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置を洗面台に使用した状態を示す説明図、図10は浴槽に使用した状態を示す説明図、図12は台所の流し台に使用した状態を示す説明図である。
【0028】
まず、エアゾール噴射装置1を使用しないときは、内容物が誤って噴射してしまうのを防止するために、先端部材6を図1の時計回りに回転させてロック位置に保持しておく(図1〜図5参照)。このロック位置とは、図4に明確に示すように、挿入部62の第1及び第2の突出部621,622が、取付部材5の第1及び第2の突出部53,54と対向する位置のことである。このように挿入部62と取付部材5との各突出部とが対向するロック位置とすることで、先端部材6がエアゾール噴射装置1から離れた状態で保持され先端部材6を押し下げても移動しないため、ステム3がエアゾール容器2内に押し下げられて内容物が噴射されることがないようにエアゾール噴射装置1はロック状態となっている。また、挿入部62の第1及び第2の突出部621,622により画定される段差部623と、取付部材5の第1及び第2の突出部53,54により画定される段差部55とが互いに係合し合うことで、先端部材6はロック位置からさらに時計回りには回転しないようになっている。
【0029】
次にエアゾール噴射装置1のロック状態を解除して内容物を噴射する方法について説明する。まず、先端部材6を図1の反時計回りに回転させて、図8に示すように解除位置にする。この解除位置とは、挿入部62の第1及び第2の突出部621,622が、取付部材5の第1及び第2の突出部53,54と対向しない位置のことである。このように先端部材6を解除位置まで回転させると、先端部材6を押し下げることができるため、先端部材6を押し下げることでガイド筒67でステム3を押し下げて内容物を噴射させることが可能となりエアゾール噴射装置1のロック状態を解除することができる。
【0030】
続いて、上述したように先端部材6を解除位置まで回転させた状態でエアゾール噴射装置1の内容物を噴射して各種排水管の汚れを除去する方法について説明する。
【0031】
まず、図9に示すように、排水栓11が設置された洗面台10の排水管12を洗浄する場合について説明する。まず、エアゾール噴射装置1を逆さに向け、先端部材6の凹部64内に排水栓11を収容するとともに先端当接部63を排水口周辺に通常設けられている平坦部13に当接させる。この状態で、エアゾール容器2を下方に押し下げることで、先端部材6のガイド筒67がステム3を押圧してステム3がエアゾール容器2内に押し込まれる。これによりバルブ(図示省略)が開いて内部に封入されている洗浄成分を含む内容物がステム3の噴射口31から噴射される。ステム3の噴射口31から噴射された内容物は、貫通孔66を通過し、一旦衝突壁68に衝突して外方に向かうよう進行方向を変えて凹部64内に進む。先端当接部63が平坦部13と当接しているため、凹部64内に進んだ内容物は、外部に漏れることなく凹部64内から排水管12内に進み、排水管12の内壁に付着した汚れを落とすことができる。
【0032】
次に、図10に示すように、浴槽20の排水管21を洗浄する場合について説明する。まず、エアゾール噴射装置1を逆さに向け、浴槽20の排水口22内に先端部材6の挿入部62を挿入する。すると、挿入部62の最大外径は、一般的な浴槽20の排水口22よりも大きく形成されているため、先端部材6の挿入部62によって浴槽20の排水口22を密栓するような状態となる。この状態からさらにエアゾール容器2を下方に押し下げることで、上述したようにステム3がエアゾール容器2内に押し込まれてステム3の噴射口31から内容物が噴射され、この内容物が貫通孔66、凹部64を介して排水管21内に進み、排水管21の内壁に付着した汚れを落とすことができる。なお、上記実施形態では、浴槽20の排水口22は先端部材6の挿入部62の最小外径よりも大きく形成されているが、浴槽20の排水口22の内径が挿入部62の最小外径よりも小さい場合もある。この場合は、先端当接部63を排水口22周辺の平坦部24に当接することで密閉することができる。
【0033】
続いて、台所の流し台の排水管を洗浄する場合について説明する。流し台の排水口30は、一般的に図11に示すような構造をとっており、底面から円筒状の溜水筒31が上方に延びており、この溜水筒31の周りには水が張られており、この溜水筒31の上方を覆うように水封椀32が配置されている。このような構造をした排水口30の排水管33を洗浄する場合は、まず、水封椀32を取り出し、図12に示すように、エアゾール噴射装置1を逆さにして先端部材6の凹部64の底面65に溜水筒31の上端を当接させる。そして、エアゾール容器2を押し下げることで、上述したように内容物を排水管33内に噴射して排水管33の内壁に付着した汚れを洗浄することができる。
【0034】
以上、本実施形態によれば、エアゾール噴射装置用アダプタ4の挿入部62の上端に凹部64が形成されているため、排水栓11が設置された洗面台10の排水管12も洗浄することができるとともに、浴槽20の排水管21や、台所の流し台の排水管33も洗浄することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、先端当接部63は挿入部62の上端から形成された直立部631及び傾斜部632から構成されていたが、これを簡略化して図13に示すように挿入部62の上端を先端当接部63とすることもできる。
【0036】
また、図14に示すように、先端部材6の回転を容易にするため、挿入部62の第1及び第2の突出部621、622に複数の溝などによりグリップ部を形成してもよい。
【0037】
また、上記実施形態では貫通孔66を凹部64の底面65中央部に形成しているが、特に限定されるものではなく、例えば、凹部64の側壁に貫通孔を形成し、ステム3の噴射口31と連通するように繋げてもよい。こうすることにより、衝突壁67を形成しなくても、誤って人の顔などに直接内容物が噴射されることを防止することができる。
【0038】
また、上記実施形態では貫通孔66の上方に衝突壁68を設けていたが、これを省略することもできる。なおこの場合は誤って内容物が噴射されてしまうのを防止するためにキャップなどを設けておくことが好ましい。
【0039】
また、上記実施形態では、エアゾール容器2内には、洗浄成分を含む原液と、液化ガス又は圧縮ガスからなる噴射剤とからなる内容物が封入されていたが、内容物は特にこれに限定されるものではなく、例えば、洗浄成分を含む原液の代わりに、除菌剤や消臭薬剤、芳香薬剤、漂白剤などをエアゾール容器2内に封入することもできる。
【0040】
また、上記実施形態では、先端部材6の挿入部62は円錐台状に形成されているが、この挿入部62の形状は先端側に向かって径が小さくなるように形成されていればよく、例えば、図15に示すように、挿入部62の側面が内方に向かって湾曲していてもよいし、これとは逆に図16に示すように、挿入部62の側面が外方に向かって湾曲していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の実施形態を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の実施形態を示す側面図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】本実施形態に係る貫通孔周辺の詳細を示す拡大図である。
【図7】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の実施形態を示す平面図である。
【図8】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のロック状態が解除された状態の実施形態を示す正面図である。
【図9】本実施形態に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の使用方法を示す説明図である。
【図10】本実施形態に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の他の使用方法を示す説明図である。
【図11】本実施形態に係る流し台の排水口の詳細を示す正面断面図である。
【図12】本実施形態に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のさらに他の使用方法を示す説明図である。
【図13】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置の他の実施形態を示す側面断面図である。
【図14】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【図15】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【図16】本発明に係るエアゾール噴射装置用アダプタを装着したエアゾール噴射装置のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 エアゾール噴射装置
31 噴射口
4 エアゾール噴射装置用アダプタ
5 取付部材
6 先端部材
62 挿入部
64 凹部
66 貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射口から内容物を噴射するエアゾール噴射装置に取り付けられ、少なくとも、排水栓を有する洗面台の排水管内にエアゾール噴射装置の内容物を噴射可能とするアダプタであって、
エアゾール噴射装置に一端部が取り付けられる取付部材と、
前記取付部材の他端部に取り付けられ、先端側に向かって縮径するよう形成された挿入部を有する先端部材と、を備え、
前記先端部材は、排水栓を収納可能な凹部が挿入部の先端面に形成されており、エアゾール噴射装置の噴射口と連通する貫通孔が前記凹部に形成されている、エアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項2】
前記先端部材は、前記挿入部の先端外周縁部から上方に延びるとともに外方に向かって広がる先端当接部をさらに有する、請求項1に記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項3】
前記先端部材は、前記貫通孔が前記凹部の底面に形成されており、前記貫通孔の上方に形成された衝突壁をさらに有する、請求項1又は2に記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項4】
前記先端部材は、前記取付部材と別体に形成され、前記取付部材に対して回転可能であり、
前記先端部材を前記取付部材に対して回転させることで、内容物の噴射を防止するようにエアゾール噴射装置をロック状態とするロック位置と、前記ロック状態を解除する解除位置とに切り替え可能である、請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項5】
前記挿入部は、円錐台状に形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項6】
前記凹部は、深さが12〜20mmであり、内径が30〜70mmである、請求項1〜5のいずれかに記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のエアゾール噴射装置用アダプタが装着された、エアゾール噴射装置。
【請求項8】
内容物を噴射可能な状態において、全長が180mm以下である、請求項7に記載のエアゾール噴射装置。
【請求項9】
排水管内を洗浄するよう、洗浄成分を有する内容物を噴射する、請求項7又は8に記載のエアゾール噴射装置。
【請求項1】
噴射口から内容物を噴射するエアゾール噴射装置に取り付けられ、少なくとも、排水栓を有する洗面台の排水管内にエアゾール噴射装置の内容物を噴射可能とするアダプタであって、
エアゾール噴射装置に一端部が取り付けられる取付部材と、
前記取付部材の他端部に取り付けられ、先端側に向かって縮径するよう形成された挿入部を有する先端部材と、を備え、
前記先端部材は、排水栓を収納可能な凹部が挿入部の先端面に形成されており、エアゾール噴射装置の噴射口と連通する貫通孔が前記凹部に形成されている、エアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項2】
前記先端部材は、前記挿入部の先端外周縁部から上方に延びるとともに外方に向かって広がる先端当接部をさらに有する、請求項1に記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項3】
前記先端部材は、前記貫通孔が前記凹部の底面に形成されており、前記貫通孔の上方に形成された衝突壁をさらに有する、請求項1又は2に記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項4】
前記先端部材は、前記取付部材と別体に形成され、前記取付部材に対して回転可能であり、
前記先端部材を前記取付部材に対して回転させることで、内容物の噴射を防止するようにエアゾール噴射装置をロック状態とするロック位置と、前記ロック状態を解除する解除位置とに切り替え可能である、請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項5】
前記挿入部は、円錐台状に形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項6】
前記凹部は、深さが12〜20mmであり、内径が30〜70mmである、請求項1〜5のいずれかに記載のエアゾール噴射装置用アダプタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のエアゾール噴射装置用アダプタが装着された、エアゾール噴射装置。
【請求項8】
内容物を噴射可能な状態において、全長が180mm以下である、請求項7に記載のエアゾール噴射装置。
【請求項9】
排水管内を洗浄するよう、洗浄成分を有する内容物を噴射する、請求項7又は8に記載のエアゾール噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−243205(P2009−243205A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92795(P2008−92795)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]