説明

エアゾール容器用キャップ及びエアゾール噴射装置

【課題】エアゾール容器を廃棄する際の内容物の排出操作及び排出の途中停止操作が容易なワンタッチ式のエアゾール容器用キャップ及びエアゾール噴射装置を提供すること。
【課題手段】エアゾール容器用キャップ1は、キャップ本体11及びボタン12で構成され、ボタン12がキャップ本体11のボタン装着部15に装着され、キャップ本体11がエアゾール容器13に装着され、ステム押圧部17がステム16に接した状態で、ステム16を挟んで、エアゾール容器の通常使用時の押圧に対して作用する支点部Aと、内容物排出の際の押圧に対して作用する支点部Bとが形成され、ボタン12の排出用押圧部12cが押し下げられた際に、ボタン12が、ボタン12を係止する係止手段14によって、ステム16を押し下げた状態に保持されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器用キャップ及びエアゾール噴射装置に関し、さらに詳しくは、使用後のエアゾール容器内の内容物を、安全かつ容易に排出することができるエアゾール容器用キャップ及びこのエアゾール容器用キャップが装着されたエアゾール噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール式のスプレー装置は、容器内の内容物を簡単に噴射し、散布又は塗布することができるので、塗料、殺虫剤、芳香剤、脱臭剤、家庭用洗浄剤、防カビ剤、除菌剤、医薬品、化粧品、医薬部外品などの噴射用に広く利用されている。このエアゾール式のスプレー装置は、エアゾール容器内に被噴射剤及び噴射用ガスが収納されており、噴射用ガスによる加圧で被噴射剤がノズルを介して噴射されるようになっている。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、容器内の「内容物」には、被噴射剤及び噴射用ガスが含まれ、被噴射剤及び噴射用ガスのいずれかのみの場合にも、「内容物」と記すことがある。また、「エアゾール」は、容器からノズルを経て噴射される液体、気体、粉末等を言い、噴射形態として霧状、粒子状、泡状、ペースト状、ジェル状のもの等を含む。内容物に関して「排出」というときは、特に断らない限り、エアゾール容器を廃棄する目的で残留内容物を放出することを意味する。
【0003】
噴射用ガスとしては、フロンの使用が禁止され、現在は可燃性のブタン、プロパンなどの液化ガス、窒素ガス、炭酸ガスなどの高圧ガスが用いられている。使用後のエアゾール容器がそのままゴミとして廃棄されると、ゴミ処理の際に、容器内のガス圧に起因する容器の爆発が起こる危険性がある。そのような事故を防止するために、エアゾール容器を廃棄する場合には、廃棄する前に容器内の内容物を排出して内圧を常圧程度にするのが望ましく、現在、各自治体などにより、廃棄時する前に容器内の内容物を排出するように求められている。
【0004】
汎用されているエアゾール容器には、主として、ステムに取り付けられたノズルヘッドがキャップでカバーされ、使用時にはキャップを外し、ノズルヘッドを押すことによりステムを押し下げて内容物をスプレーするタイプ(ツータッチ式と呼ばれる)と、キャップを取り外すことなく、ノズルを備えた噴射用ボタン(以下、単に「ボタン」と略記する)を押すことにより、ステムを押し下げて内容物をスプレーするタイプ(ワンタッチ式と呼ばれる)とがある。
【0005】
これらの従来のエアゾール容器の場合、ノズルを介して、容器内の内容物を排出し続け内圧を常圧程度にするには長時間を要することもあり必ずしも容易ではない。また、エアゾール容器に、鋭利な先端を有する錐状の工具を用いて孔をあけ、内容物を排出する方法もあるが、一般的ではなく、内容物が人体に向けて噴出することがあるので、好ましい方法とは言えない。したがって、内容物が排出されないまま、エアゾール容器が廃棄されることが少なくないのが実態である。
【0006】
上記の問題を解決するために、エアゾール容器用のキャップ、ボタンなどを利用して、容器内のガス、残った被噴射剤などの内容物を排出するいくつかの方法が提案されている。ツータッチ式のエアゾール容器の場合には、通常容器のステムに取り付けられているノズルヘッドを取り外し、キャップの一部を直接ステムに接触させ、ステムを押し下げた状態でキャップをエアゾール容器に固定し、ステムから直接内容物を排出するようにしたタイプのキャップが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また、内容物を排出する際には、キャップを取り外さずに被せたまま、キャップ天板部の押圧片によりノズルヘッドを押し下げ、押し下げた状態に係止することにより、内容物を排出するタイプのキャップも提案されている(特許文献4)。
【0007】
一方、ワンタッチ式のエアゾール容器の場合には、ステムを押し下げた状態でボタンを係止させ、ノズルヘッドを介して内容物を排出するタイプのキャップが提案されている(例えば、特許文献5、6)。これらの特許文献5、6に開示されているワンタッチ式のエアゾール容器のキャップは、次のとおりである。
【0008】
図15は、特許文献5に開示されている「傾斜作動式噴射頭構造体」(以下、キャップと記す)を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は通常使用時の状態(被噴射剤の噴射状態)、(c)は内容物排出時の状態を示している。このキャップはキャップ本体111及びボタン113で構成されている。ボタン113は、ボタン113の上面を押圧すると、可撓性の接続部115を支点として図15(b)又は(c)に示したように図面右側に傾き、ステム112を押し下げることができるようになっている。このキャップの場合、通常使用時には、図15(b)に示した状態で噴射し、容器内の内容物を排出する際には、ボタン113をさらに押込み、ボタン下部に形成された係止用突起116が、キャップ本体に形成された係止用突起116の受け部117により係止される。したがって、ボタン113から手を離した状態で噴射が維持され、内容物がすべて排出される。
【0009】
図16は、特許文献6に開示されている「エアゾール容器用残留ガス除去用蓋装置」(以下、キャップと記す)を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は内容物排出時の状態を示している。このキャップは、キャップ本体121及びボタン122で構成されている。容器内の内容物を排出する際には、ボタン122を、図16(a)に示した非使用時の状態から、(b)に示した内容物排出時の状態の位置まで押し下げる。この状態で、ボタン122は、「キャップ側壁凸突起」127が「ガイド壁凸突起」128によって係止されることによって、内容物の噴射状態が維持される。このように、特許文献6に開示されているキャップは、エアゾール容器側にのみ押し下げ可能で、逆戻りしない構造のボタン122によって、容器内の内容物が排出され続けるようになっている。
【0010】
図17は、特許文献7に開示されている「エアゾール容器の残留物放出機構」(以下、「残留物放出機構」をキャップと記す)を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態(又は通常使用時の状態)、(b)は内容物排出時の状態を示している。キャップは、肩カバー133及びボタン131で構成されており、ボタン131は肩カバー133の中央孔部139に着脱可能に挿入されている。図17(a)に示したように、非使用時には、ボタン131は、ノズル132が肩カバー133に形成された前方凹部141に向けて装着されており、ボタン131を押し下げることによって、内容物がノズル132から噴射されるようになっている。
【0011】
一方、内容物を排出する場合には、まず、肩カバー133を容器Aから取り外し、さらに肩カバー133からボタン131を取り外す。次に、図17(b)に示したように、ノズル132が肩カバー133に形成された後方凹部140に向くように、すなわち、ボタン131を水平方向に180°回転して、肩カバー133の中央孔部139に装着する。このように装着することによって、ボタン131の突起137が肩カバー133に形成された切欠部138に嵌り、ボタン131が肩カバー133に対して低い位置に係止され、上方への移動が阻止される。この状態で肩カバー133を容器Aに取り付けることにより、ステム135が押し下げられた状態に維持されるようになり、容器内の内容物が、後方凹部140を介して連続的に排出される。
【0012】
特許文献5に開示されているキャップの場合には、誤ってボタン113を強く押すと、内容物の放出状態になり、いったんボタン113を押し込むと非使用時の状態に戻しにくく、内容物の放出を中止させにくいという欠点がある。また、特許文献6に開示されているキャップの場合には、ボタン122の移動が一方方向であり戻すことができない。したがって、誤ってボタン122を押し下げて放出状態にした場合など、内容物の放出を途中で止めることが難しいという欠点がある。また、特許文献7に開示されているキャップの場合には、ボタン操作のみで内容物の排出と停止とを行うことができない。内容物の排出を停止する場合には、キャップを外さなければならないが、キャップはステムを押圧できるように、しっかりと嵌め合わされているので、キャップの取り外しが容易ではない。
【0013】
このように、上記特許文献5〜7に開示されているキャップの場合には、内容物の排出開始後、途中で排出を停止することが困難である。したがって、排出開始後、有害臭、汚染物質が排出されたことに気づいても停止することが難しく、放出物の引火に対しても対処することが難しいので、逆火、爆発などの危険性がある。また、これらのキャップを使用したエアゾール容器の場合は、ノズルを介して容器内の内容物を排出することになるので、内圧を常圧程度にするには長時間を要するという欠点がある。
【特許文献1】特開2001−97465号公報
【特許文献2】特開2004−91017号公報
【特許文献3】特開2003−341763号公報
【特許文献4】特開2001−97466号公報
【特許文献5】特開平8−133360号公報
【特許文献6】特開2001−55284号公報
【特許文献7】特開2002−193362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、操作が簡単なワンタッチ式エアゾール噴射装置における上記問題点を解決するためになされたものであって、エアゾール容器を廃棄する際の内容物の排出操作及び排出の途中停止操作が容易なワンタッチ式のエアゾール容器用キャップ及びエアゾール噴射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0015】
本発明に係るワンタッチ式のエアゾール容器用キャップ(1)は、エアゾール容器に装着して用いられ、キャップ本体とボタンとで構成されたエアゾール容器用キャップであって、前記キャップ本体が、下部にエアゾール容器に装着するための嵌合部を備え、噴射物を通すための噴射用開口部、及び上端側に開口し、ボタンを押し下げる時に手指を受ける操作用凹部を側部に備えるとともに、前記ボタンが装着されるボタン装着部を備え、前記ボタンは、前記噴射用開口部に面し、前記エアゾール容器の内容物を噴射するノズル孔と、前記エアゾール容器の上部から突出しているバルブステムの先端部に接し、前記エアゾール容器の内容物を前記ノズル孔に導くバルブステム押圧部と、該バルブステム押圧部を挟む位置で上面に設けられた通常使用押圧部と排出用押圧部とを備え、前記ボタンが前記キャップ本体の前記ボタン装着部に装着され前記キャップ本体が前記エアゾール容器に装着されたときに、前記バルブステムを挟んで、前記通常使用押圧部の押圧による前記ボタンの回動の中心となる支点部と、前記排出用押圧部の押圧による前記ボタンの回動の中心となる支点部とが形成されるように構成されていることを特徴としている。
【0016】
上記エアゾール容器用キャップ(1)によれば、バルブステムを挟んで、エアゾール容器の通常使用時の押圧に対して作用する支点部と、内容物排出の際の押圧に対して作用する支点部とが形成されるように構成されており、ボタン上面の排出用押圧部が押し下げられた際に、ボタンを係止する係止手段によってバルブステムが押し下げられ、内容物が排出される状態に保持される。したがって、エアゾール容器を廃棄する際に、容器内に残留している被噴射剤、噴射用ガスなどの内容物を簡単に排出することができる。また、内容物の排出を中止したい場合には、ボタン上面の通常使用押圧部を押すことによって、内容物の排出を簡単に中止することができる。このように、エアゾール容器用キャップ(1)によれば、ワンタッチ式のエアゾール容器用キャップであるにもかかわらず、容器内に残留する内容物を、簡単な操作で安全に排出することができるという優れた効果が得られる。
【0017】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記ボタンの前記排出用押圧部が押し下げられた際に、前記ボタンが前記バルブステムを押し下げた状態に保持されるように、前記ボタンを係止する係止手段を備えたものとすることができる。
【0018】
上記エアゾール容器用キャップによれば、排出用押圧部が押し下げられた際に、押し下げられた位置にボタンが係止されるので、ボタンから手指を離した状態で内容物を排出することができる。したがって、内容物の排出操作が簡単である。さらに、内容物の排出を中止したい場合には、ボタンの通常使用押圧部を押すことにより、係止状態を解除することができるので、途中で中止する操作も容易である。
【0019】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記ボタンの前記排出用押圧部が押し下げられた際に、前記ノズル孔が、前記噴射用開口部より下側に位置し、前記エアゾール容器の内容物が、前記キャップ本体と前記エアゾール容器とで囲まれた領域に排出されるように構成されたものとすることができる。
【0020】
上記エアゾール容器用キャップによれば、排出された内容物が、キャップと容器本体によって囲まれた空間部に排出されるように構成されているので、排出された内容物が周囲に飛散することを確実に防止することができる。したがって、内容物に可燃性ガス、可燃性の被噴射剤が含まれている場合でも、安全に内容物を排出することができる。また、周囲を汚染するおそれも小さい。
【0021】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記キャップ本体の前記嵌合部は、前記エアゾール容器の内容物が前記キャップ本体と前記エアゾール容器とで囲まれた領域に排出される際に、前記エアゾール容器の胴部とマウンテンキャップとの巻締め部に緊く嵌合し、噴射圧に抗して該嵌合状態を保持し得るように構成されていたものとすることができる。
【0022】
上記エアゾール容器用キャップによれば、キャップ本体が容器に緊く嵌合し、噴射圧に抗して嵌合状態が保持されるので、キャップ本体から手指を離した状態であっても、安定して安全に内容物の排出を行うことができる。
【0023】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記通常使用押圧部時の押圧時に作用する支点部及び前記排出用押圧部の押圧時に作用する支点部が、それぞれ、前記ボタンの側壁部に形成された突起と、前記キャップ本体の前記ボタン装着部における前記突起に対応する位置の側壁に形成された突起受け部とで構成されたものとすることができる。
【0024】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記通常使用押圧部の押圧時に作用する支点部及び前記排出用押圧部の押圧時に作用する支点部が、それぞれ、前記キャップ本体の前記ボタン装着部の側壁に形成された突起と、前記ボタンの側壁部における前記突起に対応する位置に形成された突起受け部とで構成されたものとすることができる。
【0025】
上記エアゾール容器用キャップによれば、2つの支点部が、ボタンの側壁に形成された突起又は突起受け部と、キャップ本体のボタン装着部の側壁に形成された突起受け部又は突起とで構成されているので、構造が簡素であり、製作も容易であるとともに、支点としての機能を確実に発揮することができる。
【0026】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記噴射用開口部を、前記キャップ本体の上端側に開口した凹形とすることができる。
【0027】
上記エアゾール容器用キャップによれば、キャップ本体の噴射用開口部が、キャップ本体の上端側に開口した凹形であるので、容器からエアゾール容器用キャップを簡単に取り外すことができるように、キャップ本体を設計することができる。このエアゾール容器用キャップの場合には、キャップ本体の上端部近傍の側壁を両側から指などで挟み、多少力を加えるだけで、容器からキャップ本体を容易に取り外すことができる。容器からキャップ本体を容易に取り外すことができるのは、上記の持ち方をすることにより、キャップ本体の下端部に形成された容器への嵌合部が、挟んだ方向とは逆向き、すなわち容器に対して外向きに開く作用を受けるからである。したがって、エアゾール容器用キャップが樹脂製で、容器が金属製のような組合せの場合に、エアゾール噴射装置を廃棄する際に、樹脂類と金属類との分別回収に容易に応じられるという長所がある。
【0028】
本発明に係るエアゾール容器用キャップ(2)は、エアゾール容器に装着して用いられ、ボタン装着部材とボタンとで構成されており、前記ボタン装着部材は、下部にエアゾール容器に装着するための嵌合部及び前記ボタンが装着されるボタン装着用開口部を備え、前記ボタンは、前記エアゾール容器の内容物を噴射するノズル孔と、前記エアゾール容器の上部から突出しているバルブステムの先端部に接し、前記エアゾール容器の内容物を前記ノズル孔に導くバルブステム押圧部と、該バルブステム押圧部を挟み、前記ノズル孔の反対側に位置し、前記エアゾール容器の通常使用時及び内容物排出時の操作に用いられ、突出した形状のボタン操作部とを備え、前記ボタンの下端部が前記ボタン装着部材の前記ボタン装着用開口部に装入され、前記ボタン装着部材が前記エアゾール容器に装着されたときに、前記バルブステムを挟んで、前記通常使用時のボタン操作による前記ボタンの回動の中心となる支点部と、前記内容物排出時のボタン操作による前記ボタンの回動の中心となる支点部とが形成されるように構成されていることを特徴としている。
【0029】
上記エアゾール容器用キャップ(2)によれば、バルブステムを挟んで、エアゾール容器の通常使用時の押圧に対して作用する支点部と、内容物排出の際の押圧に対して作用する支点部とが形成されるように構成されており、ボタンの一端側に形成されたボタン操作部が押し上げられた際に、ボタンを係止する係止手段によって、バルブステムが押し下げられ、内容物が排出される状態に保持される。したがって、エアゾール容器を廃棄する際に、容器内に残留している被噴射剤、噴射用ガスなどの内容物を簡単に排出することができる。また、内容物の排出を中止したい場合には、ボタン操作部を押し下げることによって、内容物の排出を簡単に中止することができる。このように、エアゾール容器用キャップ(2)によれば、ワンタッチ式のエアゾール容器用キャップであるにもかかわらず、容器内に残留する内容物を、簡単な操作で安全に排出することができるという優れた効果が得られる。
【0030】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記ボタンに対して内容物排出のための操作が行われた際に、前記ボタンが前記バルブステムを押し下げた状態に保持されるように、前記ボタンを係止する係止手段を備えたものとすることができる。
【0031】
上記エアゾール容器用キャップによれば、排出用押圧部が押し下げられた際に、押し下げられた位置にボタンが係止されるので、ボタンから手指を離した状態で内容物を排出することができる。したがって、内容物の排出操作が簡単である。さらに、内容物の排出を中止したい場合には、ボタンの通常使用押圧部を押すことにより、係止状態を解除することができるので、途中で中止する操作も容易である。
【0032】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記通常使用時の支点部は、前記ボタン装着部材における前記ノズル孔側に位置し前記ボタン装着用開口部に面する端部、及び前記ボタンにおける前記ノズル孔側の側部下端近傍に形成された下端部突起によって構成され、前記内容物排出時の支点部が、前記ボタン装着部材における前記ボタン操作部側に位置し前記ボタン装着用開口部に面する端部、及び前記ボタンにおける前記ボタン操作部側の側部下端近傍に形成された下端部突起によって構成されたものとすることができる。
【0033】
上記エアゾール容器用キャップによれば、2つの支点部が、ボタンの側壁の下端部に形成された突起と、ボタン装着部材のボタン装着用開口部に面する端部とで構成されるので、構造が簡素であり、製作も極めて容易であるとともに、支点としての機能を確実に発揮することができる。
【0034】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記係止手段は、前記ボタン装着部材における前記ノズル孔側に位置し前記ボタン装着用開口部に面する端部、及び前記ボタンにおける前記ノズル孔側の側部の前記下端部突起の上方に形成された係止用突起によって構成されたものとすることができる。
【0035】
上記エアゾール容器用キャップによれば、係止手段が、ボタン装着部材におけるノズル孔側に位置しボタン装着用開口部に面する端部、及びボタンにおけるノズル孔側の側部の下端部突起の上方に形成された係止用突起によって構成されたものであるので、構造が簡素であり、係止手段としての機能を確実に発揮することができる。
【0036】
また、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、上記エアゾール容器用キャップにおいて、前記ボタン装着部材に設けられた前記嵌合部は、前記エアゾール容器のマウンテンカップ部に嵌合するように構成されたものとすることができる。
【0037】
上記エアゾール容器用キャップによれば、ボタン装着部材がエアゾール容器のマウンテンカップ部に装着されるものであるので、ボタンを含むキャップ全体の構造が極めて簡素なものとなる。したがって、エアゾール容器用キャップのコストが安くなり、キャップ部を小型化することができる。なお、ボタン装着部材は、エアゾール容器用キャップ(1)におけるキャップ本体又はその好ましい形態と同様な形状又は構造としてもよく、その場合には、エアゾール容器用キャップ(1)におけるキャップ本体と同様な効果が得られる。
【0038】
本発明に係るエアゾール噴射装置は、噴射用内容物を含むエアゾール容器に、上記エアゾール容器用キャップのいずれかが装着されていることを特徴としている。
【0039】
上記エアゾール噴射装置によれば、容器に、上記エアゾール容器用キャップのいずれかが装着されているので、エアゾール噴射装置には、上記エアゾール容器用キャップのそれぞれの利点が反映される。したがって、エアゾール噴射装置を廃棄する際に、簡単な操作で、周囲を汚染することなく、安全に内容物を排出することが可能であり、廃棄物の分別回収にも容易に対応できるエアゾール噴射装置とすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップを具体的に説明する。なお、説明に用いる図面においては、同一又は同種の部分に同じ番号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0041】
図1〜図3は、本発明の実施の形態1に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す図であり、図1は非使用時の状態、図2は通常使用時(噴射時)の状態、図3はエアゾール容器内の内容物排出時の状態を示している。また、図1〜図3における(a)は斜視図、(b)は上方から見た平面図、(c)は、(b)に示したそれぞれIc−Ic’、IIc−IIc’、IIIc−IIIc’切断線における断面図である。
【0042】
実施の形態1に係るエアゾール容器用キャップ1は、図1〜3に示したように、キャップ本体11とボタン12とで構成され、エアゾール容器(図1〜図3には容器の一部を図示。以下、エアゾール容器を単に容器と略記することがある)13に装着して用いられる。キャップ本体11は、ほぼ筒状で、下端部に容器13に装着するための嵌合部11d(図1(c)参照)が形成されており、嵌合部11dが容器13の巻締め部13a(容器13の胴部とマウンテンキャップとの巻締め部)に嵌め合わされている。また、キャップ本体11の側部には、内容物である噴射物を通すための噴射用開口部11b、及び噴射用開口部11bに対向し、上端11a側に開口しボタン押し下げ時に手指を受ける操作用凹部11cが形成されている。さらに、キャップ本体11には、噴射用開口部11bと操作用凹部11cとの間に、ボタン12が装着されるボタン装着部15(後に、図4により説明する)が形成されている。
【0043】
ボタン12は、容器13内の内容物をノズル孔12aから噴射するノズルと、容器13の上部から突出しているバルブステム(以下、ステムと記す)16の先端部に接し、容器13内の内容物をノズル孔12aに導くステム押圧部17を備えている。また、ステム押圧部17を挟んで、上面に、通常使用押圧部12b及び排出用押圧部12cを備えている。
【0044】
図1〜図3に示したように、ボタン12は、キャップ本体11のボタン装着部15に組み込まれる。このように、キャップ本体11及びボタン12で構成されたキャップ1が、ボタン12のステム押圧部17がステムに接した状態で容器13に装着されると、ステム16を挟んで、エアゾール容器の通常使用時にステム16を押し下げるように作用する支点部A、及び容器13の内容物排出の際に、ステム16を押し下げるように作用する支点部Bが形成されるようになっている。なお、ステム16の先端部とステム押圧部17の下端部の接触部も支点として作用し、後の説明においては、この部分を支点部Cとする。
【0045】
さらに、エアゾール容器用キャップ1は、ボタン12の排出用押圧部12cが押し下げられた際に、ボタン12が押し下げられた状態にボタン12を保持するボタン係止手段14を備えたものとすることができる(係止状態は、図3(c)参照)。
【0046】
また、エアゾール容器用キャップ1は、キャップ本体11の嵌合部11dが、容器13の内容物がキャップ本体11と容器13とで囲まれた領域に排出される際に、容器13の巻締め部13aに緊く嵌合し、噴射圧に抗して嵌合状態を保持し得るように構成されていたものとすることができる。
【0047】
図4、図5は、キャップ本体とボタンとを個別に示す斜視図であり、図4はキャップ本体、図5はボタンを示している。なお、図4(a)及び図5(a)は、それぞれ左斜め上から見た図、図4(b)及び図5(b)は、それぞれ右斜め上から見た図である。
【0048】
図4(a)、(b)に示したように、キャップ本体11には、ボタン装着部15が形成されており、ボタン装着部15は底部が開口している。また、ステム16に対応する位置を挟んで、側壁15d側には、ボタン12に形成された突起19a、19bに対応する突起受け部18a、18b、側壁15e側には、同じく突起19c、19dに対応する突起受け部18c、18dが形成されている。これらの突起受け部18a〜18dは、いずれも側壁15d、15eの下端側が開口した、ほぼ逆V字形の形状となっている。
【0049】
一方、図5(a)、(b)に示したように、ボタン12には、ステム16に対応する位置、すなわち図1〜図3に示したステム押圧部17を挟んで、側壁12d側に突起19a、19b、側壁12e側に突起19c、19dが形成されている。突起19a、19b、19c、19dは、それぞれキャップ本体11に形成された突起受け部18a、18b、18c、18dに嵌り、突起19a、19cと突起受け部18a、18cとにより、容器13の通常使用時に、ステム16を押し下げるように作用する支点部A(図2(c)参照)が構成される。また、突起19b、19dと突起受け部18b、18dとにより、容器13の内容物排出の際に、ステム16を押し下げるように作用する支点部B(図3(c)参照)が構成される。なお、ボタン12をキャップ本体11のボタン装着部15に取り付ける場合には、ボタン装着部15の下方から上向きにボタン12を挿入すればよい。
【0050】
図1〜図3を参照し、支点部A及びBの作用を説明すると、次のとおりである。図1に示した非使用時の状態では、ボタン12のステム押圧部17がステム16と接している。この接触部が支点部Cである。ステム16は、容器13内に設けられているバルブ機構に含まれるばねによって、押し下げに対して押し上げるように付勢されている。したがって、図1に示した非使用時には、ステム16がステム押圧部17でボタン12を軽く押し上げ、ボタン12の突起19a〜19dに作用する上向きの力が、キャップ本体11に形成された突起受け部18a〜18dによって拘束された状態となっている。なお、非使用時には、必ずしもボタン12にステム16の上向きの力が作用していなくてもよい。通常使用時及び内容物排出時に噴射可能であれば、非使用時の状態では、ステム16とボタン12のステム押圧部17との間にギャップがあってもよい。
【0051】
通常使用時、すなわち被噴射剤が噴射される場合には、図2に示したように、使用者によって、ボタン12の通常使用押圧部(ステム押圧部17を挟んでノズル孔12aと反対側)12bが押し下げられる。そのために、ステム16に対してノズル孔12a側の支点部Aが、ボタン12の回転の支点となり、ステム押圧部17によってステム16が押し下げられる。
【0052】
内容物排出時には、図3に示したように、使用者によって、ボタン12の排出用押圧部(ステム押圧部17に対してノズル孔12a側)12cが押し下げられる。そのために、ステム16に対してノズル孔12aと反対側の支点部Bが、ボタン12の回転の支点となり、ステム押圧部17によってステム16が押し下げられる。
【0053】
このように、エアゾール容器用キャップ1の場合には、ステム16とボタン12のステム押圧部17との接触部を挟んで、2つの支点部A、Bが形成されるようになっているので、非使用時の状態に対して、ノズル孔12aを上向きに傾けることも、下向きに傾けることもできる。ノズル孔12aを下向きに傾けた場合には、ノズル孔12aからの噴射方向をキャップ本体11の内部に向けること、又はノズル孔12aをキャップ本体11の内部に位置させることができる。したがって、エアゾール容器の内容物を、キャップ本体11と容器13とによって形成される空間部に排出することができる。ただし、内容物によっては、必ずしも、キャップ本体11と容器13によって形成される空間部に排出する必要はなく、その場合には、噴射用開口部11bから内容物が排出されるように、ボタン12の傾きを設定する。
【0054】
ボタン12の排出用押圧部12cを押込み、エアゾール容器の内容物を排出する場合には、ボタン12が押し込まれた状態で係止される。図3に、ボタン12が内容物排出側に押し込まれた際、係止手段14によって、ボタン12の戻りが係止された状態を示した。図3に示した係止手段14は、ボタン12のノズル孔12aに対して反対側(ノズル孔12a側を前部とした場合、後部側)の下端部に形成された係止用突起12f及びボタン装着部15の後部側上端部11eによって構成されている。
【0055】
ボタン12が内容物排出側に押し込まれた場合には、図3(c)に示したように、係止用突起12fが、弾性によりボタン装着部15の後部側上端部11eの上に跳ね出し、係止用突起12fがボタン装着部15の後部側上端部11eによって係止されるようになっている。そのために、ボタン12は、図3(c)に示した状態に保持され、エアゾール容器内の内容物が連続的に排出される。なお、係止用突起12fは、弾性を有する合成樹脂などでボタン12を形成し、ボタン12の後端面に下端部から切り込みが形成された短冊状の先端部に形成されていることが好ましい。また、係止手段14は、ボタン12の通常使用押圧部12bが押し下げられた際には、係止状態が解除されるように、係止用突起12fと後部側上端部11eとの関係を設定しておくことが好ましい。
【0056】
図6は、別の実施の形態に係るボタンの係止手段を示す図であり、(a)はボタンの斜視図、(b)はボタンがキャップ本体に装着された非使用時における係止手段の状態を示す断面図、(c)は内容物排出時における係止手段の状態を示す断面図である。なお、図6(b)、(c)は、図6(a)に示したVI−VI’切断線、すなわち、ボタンの係止用突起を含む面及び中心を含む面における断面図である。
【0057】
図6に示した係止手段は、ボタン12Bのノズル孔12a側の側部に形成された係止用突起12g及びボタン装着部15の前部上端部11fによって構成されている。また、図6(a)に示したように、ボタン12Bには、ノズル孔12aの両側側部に係止用突起12gが形成されている。この突起12gは、図6(b)に示したように、非使用時又は通常使用時(噴射時)には、キャップ本体11の前部上端部11fより上側に位置するように、その位置が設定されている。
【0058】
内容物排出時には、図6(c)に示したように、ボタン12Bの排出用押圧部12cが押し下げられ、係止用突起12gが、キャップ本体11の前部上端部11fの下に入り、ボタン12Bは、その状態で前部上端部11fによって係止される。なお、ボタン12Bの係止用突起12gとキャップ本体11の前部上端部11fとの間にはギャップがなく、係止用突起12gは、キャップ本体11の前部上端部11f及びボタン12Bのうちの少なくとも一方の弾性変形によって、ボタン12Bが、キャップ本体11の前部上端部11fの下に押し込まれるようになっている。
【0059】
内容物の排出を途中で中止する場合には、ボタン12Bの通常使用押圧部12bを押し下げて、図6(b)に示した状態に戻すことによって、排出を中止することができる。
【0060】
図6には、ボタン12Bの係止用突起12gが、ノズル孔12aの両側に位置する例を示したが、係止用突起12gの位置及び係止用突起12gに対応するキャップ本体11における係止用突起12gを止める手段は、図示した組合せには限定されない。係止用突起12gの位置はボタンの側面側でもよく、キャップ本体11との間は、摩擦力によって、ボタンが押し下げられた状態が維持されるようにしてもよい。
【0061】
図1〜図6には、支点部A、Bを構成する突起受け部18a〜18dが、いずれもボタン装着部15の側壁15d、15eに形成され、下端側が開口した、ほぼ逆V字形の形状である例を示した。しかし、突起受け部18a〜18dは、必ずしも下端側が開口している必要はなく、また、形状が逆V字形である必要もない。突起受け部18a〜18dの下端側が開口していない場合には、キャップ本体11を合成樹脂などで構成し、側壁15d、15eを薄肉にして弾性を持たせようにする。その場合には、ボタン装着部15を幅方向に広げるようにして、ボタン12の突起19a〜19dを押し込むことができる。
【0062】
また、突起受け部18a〜18dの形状をスリット状にしてもよい。図1〜図3における(c)に示したように、突起19a〜19dは、支点部C(ステム16とステム押圧部17との接触部)を中心として円を描くように移動する。したがって、その円に沿ったスリット形としてもよい。ただし、ボタン装着部15へのボタン12の装着の容易さなどの観点から、図1〜図4に示したように、下端部が開口した逆V字形がもっとも好ましい。
【0063】
さらに、突起受け部19a〜19dは、必ずしも側壁15d、15eを貫通している必要はない。側壁15d、15eの肉厚が厚い場合には、突起受け部19a〜19dの形状は横断面が凹形であってもよい。ただし、凹形とする場合には、その深さに合わせて、ボタン12の突起19a〜19dの突出長さを設定することが好ましい。
【0064】
図7は、さらに別の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す、エアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図であり、(a)は内容物の排出状態、(b)は、危険値以上の噴射圧によりボタンが上方に移動し、ボタンとステム先端部との間に隙間が生じた状態を示している。また、図8は、図7に示したエアゾール容器用キャップのキャップ本体及びボタンを示す斜視図であり、(a)はキャップ本体、(b)はボタンを示している。
【0065】
このエアゾール容器用キャップ1Aは、実施の形態1のものと、キャップ本体11Aにおけるボタン装着部15の突起受け部及びボタン12Aにおける突起の構造が異なっており、他の構造は同じである。図7(a)は、内容物排出時の状態であり、実施の形態1における図3(c)に示した状態と対応している。すなわち、ボタン12Aが内容物排出側に押し込まれている。一方、図7(b)は、危険値以上の噴射圧によりボタン12Aが上昇し、ステム16の先端部とボタン12Aのステム押圧部17との間に隙間が生じた状態を示している。
【0066】
図7(b)に示したように、危険値以上の噴射圧になった場合に、上記のような隙間が生じるようにするために、ボタン装着部15における突起受け部及びボタン12Aの突起の形状が一部変更されている。すなわち、図8にも示したように、ボタン装着部15の両側の側壁(図8(a)には、側壁15eのみが示されている)には、突起受け部18c、18d(図8(a)には、側壁15eにおける突起受け部18c、18dのみが示されている)の上部に、別の突起受け部18e、18fが形成されている。また、ボタン12Aの両側の側壁(図8(b)には、側壁12eのみが示されている)に形成されている突起19c’、19d’(図8(b)には、側壁12eにおける突起19c’、19d’のみが示されている)は、上側が内側に傾斜した形状、すなわち下側の方が張り出した形状となっている。
【0067】
前述のとおり、図7(a)に示したように、ボタン12Aが内容物排出側に押し下げられたとき、ステム16が押し込まれ、噴出した内容物は、ノズル12aを通ってキャップ本体11及び容器13の上部で囲まれた領域に排出される。このとき、容器13内の温度が、直射日光の影響や、高温下での保存等により異常に高いと、次のような危険がある。すなわち、容器内の蒸気圧の上昇により、内容物は急激にステム16から噴出することになる。これにより、エアゾール容器13には強い噴射反力が作用する。その結果、ステム16が押し当てられているボタン12Aがキャップ本体11Aごと飛ばされたり、噴射の反発力によりエアゾール容器13が飛んだりするおそれがある。
【0068】
特に、上記実施の形態の構造では、内容物が、ノズル12aからキャップ本体11A内へ流れるので、容器本体13の上部とキャップ本体11Aとの間の空間に溜まって急激に高圧を生じる。この状況下で、ボタン12Aが突起19a、19bなどと突起受け部18c、18dなどにより堅固に保持されていると、急激な高圧発生により、容器13がキャップ本体11Aから外れて飛んだり、キャップ本体11Aが飛んだりすることがあり、極めて危険である。
【0069】
これに対し、図7及び図8に示した別の実施の形態によれば、ボタン装着部15の側壁(例えば、15e)に、突起受け部(例えば、18c、18d)の上部に別の突起受け部(例えば、18e、18f)が形成されている。また、ボタン12Aの突起(例えば、19c’、19d’)は、下方側の張り出しが大きく上方ほど内側に傾斜した形状となっている。したがって、内容物排出の途中で、ステム16からの噴射圧が危険値以上になると、突起(例えば、19c’、19d’)と突起受け部(例えば、18c、18d)との間が広がる力が作用し、突起(例えば、19c’、19d’)が突起受け部(例えば、18c、18d)から抜け出し、上部の突起受け部(例えば、18e、18f)に嵌り、ステム6の押し込み状態が解かれ、内容物の排出が停止する。これにより、排出の際の安全が確保される。
【0070】
なお、図7及び図8には、突起受け部(例えば、18c、18d)の上部に別の突起受け部(例えば、18e、18f)を設ける例を示したが、別の突起受け部(例えば、18e、18f)を省くこともできる。その場合には、ボタン12Aが、突起受け部(例えば、18c、18d)から外れるとキャップ本体11Aから脱落する可能性もあるが、その時にはステム16は押圧状態から解放されているので、内容物の排出は停止した状態にある。したがって、内容物が周囲に飛散する可能性は小さいので、内容物排出の際の安全性を確保することができる。
【0071】
ボタン12Aの突起(例えば、19c’、19d’)が、突起受け部(例えば、18c、18d)から抜け出すに至る噴射圧、すなわち噴射圧の危険値は、ステム16からの噴出量、エアゾール容器の重さ、嵌合部11dと巻締め部13aとの嵌合強度、使用者がエアゾール容器を把持してステムを押し込む力等を考慮して決められる。また、噴射圧は、排出時の噴射に伴ってエアゾール容器とキャップとの間に作用する力(噴射力)に置き換えることができ、これによると、以下の観点から決められる。すなわち、危険値に相当する噴射力は、以下の(a)及び(b)、或いは(a)及び(c)を満たすように決められる。
(a) 内容物排出のためにステムを押し込むのに要する力より大きい。
(b) キャップ本体とボタンとの結合を外すのに要する力より小さい。
【0072】
キャップ本体とボタンとの結合については、キャップ本体の突起受け部とボタンの突起との嵌合により結合が保持される場合と、手による押し込みで結合が維持される場合とがある。上記(b)に基づく決定は、これらのいずれに該当するかを考慮して行なわれる。
【0073】
図9、図10は、実施の形態2に係るエアゾール容器用キャップにおける支点部の構成を示す斜視図であり、図9はキャップ本体、図10はボタンを示している。また、図9(a)及び図10(a)は、それぞれ左斜め上から見た図、図9(b)及び図10(b)は、それぞれ右斜め上から見た図である。実施の形態2に係るエアゾール容器用キャップ2は、図9に示したキャップ本体21と図10に示したボタン22とで構成されている。
【0074】
図9(a)、(b)に示したように、キャップ本体21には、ボタン装着部25が形成されており、ボタン装着部25は底部が開口している。また、ステム16に対応する位置を挟んで、側壁25d側には、ボタン22に形成された突起受け部29a、29bに対応する突起28a、28b、側壁25e側には、同じく突起受け部29c、29dに対応する突起28c、28dが形成されている(図10参照)。
【0075】
一方、図10(a)、(b)に示したように、ボタン22には、ステム16に対応する位置、すなわち図3に示したステム押圧部17を挟んで、側壁22d側に突起受け部29a、29b、側壁22e側に突起受け部29c、29dが形成されている。これらの突起受け部29a〜29dは、いずれも側壁22d、22eの上端側が開口した、ほぼV字形の形状となっている。また、突起受け部29a〜29dは、溝状の凹部であってもよく、側壁22d、22eが切除されてボタン22内側に開口していてもよい。ただし、容器13内の内容物を排出する際に、キャップ本体21内に排出された内容物が、突起受け部29a〜29dの開口部からボタン22の上面に漏れることを防止するために、ボタン22の内側に開口していないことが好ましい。
【0076】
突起受け部29a、29b、29c、29dには、それぞれキャップ本体21に形成された突起28a、28b、28c、28dに嵌り、突起29a、29cと突起28a、28cとにより、容器13の通常使用時にステム16を押し下げるように作用する支点部A(図2(c)参照)が構成される。また、突起受け部29b、29dと突起28b、28dとにより、容器13の内容物排出の際に、ステム16を押し下げるように作用する支点部B(図3(c)参照)が構成される。なお、ボタン22をキャップ本体21のボタン装着部25に取り付ける場合には、ボタン装着部25の下側から上向きにボタン22を挿入すればよい。
【0077】
図10には、ボタン22に形成された突起受け部29a〜29dが、いずれも側壁22d、22eの上端側が開口した、ほぼ逆V字形の形状である例を示した。しかし、突起受け部29a〜29dは、必ずしも上端側が開口している必要はなく、また、形状が逆V字形である必要もない。突起受け部29a〜29dの上端側が開口していない場合には、キャップ本体21を合成樹脂などで構成し、側壁25d、25eを薄肉にして弾性を持たせようにする。その場合には、ボタン装着部25を幅方向に広げるようにして、ボタン22の突起受け部29a〜29dに、ボタン装着部25に形成された突起28a〜28dを押し込むことができる。
【0078】
また、突起受け部29a〜29dの形状をスリット状にしてもよい。図1〜図3における(c)に示したボタン12に動きから明らかなように、ボタン22の突起受け部29a〜29dは、ボタン装着部25に形成された突起28a〜28dに対して、支点部C(ステム16とステム押圧部17との接触部、図1〜図3参照)を中心として円を描くように移動する。したがって、その円に沿ったスリット形としてもよい。ただし、ボタン装着部25へのボタン22の装着の容易さなどの観点から、図10に示したように、上端部が開口したV字形が好ましい。
【0079】
図11は、実施の形態3に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す、エアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は通常使用時の状態、(c)は内容物排出時の状態を示している。図11に示されているように、実施の形態3に係るエアゾール容器用キャップ3は、
エアゾール容器に装着して用いられ、ボタン装着部材31とボタン32とで構成されている。
【0080】
ボタン装着部材31は、下部に容器13のマウンテンカップ部13bに装着するための嵌合部31d及び上部にボタン32が装着されるボタン装着用開口部35を備えている。また、ボタン32は、エアゾール容器の内容物を噴射するノズル孔32aと、容器13の上部から突出しているバルブステム16の先端部に接し、容器13の内容物をノズル孔32aに導くバルブステム押圧部37と、バルブステム押圧部37を挟み、ノズル孔32aの反対側に位置し、エアゾール容器の通常使用時及び内容物排出時の操作に用いられ、突出した形状のボタン操作部32bとを備えている。
【0081】
さらに、ボタン32の下端部がボタン装着部材31のボタン装着用開口部35に装入され、ボタン装着部材31が容器13に装着された状態で、ボタン装着部材31とボタン32との間で、通常使用時にボタン32を回動させるように作用する支点部D(図11(b)参照)、及び内容物排出時にボタン32を回動させるように作用する支点部E(図11(c)参照)が形成される。さらに、ボタン32のボタン操作部32bに対して内容物排出のための操作が行われた際に、ボタン32がバルブステム16を押し下げた状態に保持されるように、ボタン32を係止する係止手段が設けられている。
【0082】
上記支点部D及びEのうち、通常使用時の支点部Dは、例えば、ボタン装着部材31におけるノズル孔32a側に位置し、ボタン装着用開口部35に面する端部31e、及びボタン32におけるノズル孔32a側の側部下端近傍に形成された下端部突起32eによって構成することができる。また、内容物排出時の支点部Eは、例えば、ボタン装着部材31におけるボタン操作部32b側に位置し、ボタン装着用開口部35に面する端部31f、及びボタン32におけるボタン操作部32b側の側部下端近傍に形成された下端部突起32fによって構成することができる。
【0083】
また、係止手段は、ボタン装着部材31におけるノズル孔32a側に位置し、ボタン装着用開口部35に面する端部31eと、ボタン32におけるノズル孔32a側の側部の下端部突起32eより上方で、ノズル孔32aに対応する位置より下に形成された係止用突起33とにより構成することができる。この係止手段は、ボタン装着部材31及び/又はボタン32が合成樹脂など弾性変形する材料で形成されている場合には、図11(c)に示したように、ボタン操作部32bが上方に押し上げられた際に、係止用突起33とボタン装着部材31の端部31eとの間で弾性変形が生じ、係止用突起33が端部31eの下に入るようにすることにより、係止機能を発揮させることができる。なお、係止用突起33の上下方向の位置は、非使用時及び通常使用時にはボタン装着部材31の端部31eより上、内容物排出時には端部31eより下に位置するように設定すればよい。
【0084】
係止用突起33については、ボタン32の側部に形成された凸部としての例を示したが、例えば、先端が半球状の部材とコイルバネとの組合せなど、バネを利用して出入する構成としてもよい。
【0085】
図12は、別の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す、エアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は通常使用時の状態、(c)は内容物排出時の状態を示している。図12に示されているように、エアゾール容器用キャップ3Aは、ボタン32とボタン装着部材31Aとの間の支点部の構成及び係止手段の構成が、実施の形態3に係るエアゾール容器用キャップ3と同様である。ボタン装着部材31Aの形状のみが相違しており、ボタン装着部材31Aは、例えば、図1に示したキャップ本体11とほぼ同じ形状となっている。
【0086】
すなわち、ボタン装着部材31Aは、容器13の巻締め部13aに嵌め合わされるようになっており、そのための嵌合部31gを備えている。また、その他ボタン32の周囲を囲むキャップとしての機能を有しており、ノズル孔32a側には上端部31a側に開口する噴射用凹部31b、ボタン操作部32b側には上端部31a側に開口する操作用凹部31cが形成されている。
【0087】
図13は、実施の形態4に係るエアゾール容器用キャップ4をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は噴射用開口部側から見た正面図である。図13に示したエアゾール容器用キャップ4は、実施の形態1、2又は実施の形態3における別に実施の形態に係るエアゾール容器用キャップ1、2又は3Aとほぼ同様な構成であり、噴射用開口部の形状のみが相違している。図1〜図4、図9、図12には、キャップ本体11、21の噴射用開口部11b、21b又はボタン装着部材31Aの噴射用開口部31bが、キャップ本体11、21又はボタン装着部材31Aの上端部11a、21a、31a側に開口した形、すなわち形状が凹形の例を示したが、噴射用開口部11b、21b、31bは、必ずしも凹形である必要はない。
【0088】
図13に示したエアゾール容器用キャップ4の場合のように、キャップ本体41の噴射用開口部41bは、上部側が閉じた正面視円形、楕円形などの形状となっている。なお、操作用凹部41cは、通常容器13を片手で持ち、人差し指でボタン12、22の操作が行われるので、操作性の観点から、図1〜図4、図9及び図11に示したように、上部側が開口した凹形であることが好ましい。
【0089】
図1〜図4、図9、図11に示したエアゾール容器用キャップ1、2、3Aのように、キャップ本体11、21又はボタン装着部材31Aの嵌合部11d、21d、31dが、容器13の巻締め部に外側から嵌め合わされ、噴射用開口部11b、21b、31bが、上部が開口した凹形の場合には、容器13からキャップ本体11、21、ボタン装着部材31Aを取り外しやすいキャップを設計することができるという利点がある。すなわち、キャップ本体11、21、ボタン装着部材31Aを比較的薄肉で軟質の樹脂などで形成する場合、噴射用開口部11b、21b、31bと操作用凹部11c、21c、31cとの間に位置するキャップ本体11、21、ボタン装着部材31Aの上端部近傍の側壁を両側から指などで挟み、多少力を加えるだけで、容器13からキャップ本体11、21、ボタン装着部材31Aを取り外すことができる。容器13からキャップ本体11、21、ボタン装着部材31Aを容易に取り外すことができるのは、上記の持ち方をすることにより、キャップ本体11、21、ボタン装着部材31Aの下端部に形成された容器13への嵌合部11d、21d、31dが、挟んだ方向とは逆向き、すなわち容器13に対して外向きに開く作用を受けるからである。
【0090】
また、実施の形態1、2に係るエアゾール容器用キャップ1、2の場合には、キャップ本体11、21の嵌合部11d、21dが、容器13の巻締め部13aに嵌め合わされる例を示したが(図1〜図3参照)、必ずしも容器13の巻締め部13aに嵌め合わされる必要はない。別の実施の形態では、図示しないが、例えば、容器13におけるステム16の周りに形成されているマウンテンカップ周縁部の巻締め部に嵌め合わされるように、キャップ本体の嵌合部を構成してもよい。
【0091】
図14は、実施の形態に係るエアゾール噴射装置を示す斜視図である。図14に示したエアゾール噴射装置5は、エアゾール容器13及びエアゾール容器用キャップ1により構成されている。エアゾール容器13には、塗料、殺虫剤、芳香剤、脱臭剤、家庭用洗浄剤、防カビ剤、除菌剤、医薬品、化粧品、医薬部外品などの被噴射剤及び液化プロパンガス、液化ブタンガス、代替フロンガス、高圧の窒素ガス、炭酸ガスなどの噴射用ガスが収められている。また、図示しないが、エアゾール容器13の頭部領域には、内部にバルブ機構が収められており、エアゾール容器13の中心軸に沿って、上向きに付勢されたバルブステムの一端が突出している。
【0092】
さらに、図1〜図3に示したように、エアゾール容器13の肩部に形成された巻締め部13aに、キャップ本体11の下端部に形成された嵌合部11dが嵌め合わされて、エアゾール噴射装置5として組み立てられている。エアゾール噴射装置5の非使用時、通常の使用時、内容物の排出時におけるステム16とボタン12との関係はすでに説明したとおりである。
【0093】
なお、図14には、エアゾール噴射装置5が容器13及びエアゾール容器用キャップ1で構成されている例を示したが、エアゾール容器用キャップ1に代えて、前述のエアゾール容器用キャップ2、3、3A又は4を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップの非使用時の状態をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上方から見た平面図、(c)は、(b)に示したIc−Ic’切断線における断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップの通常使用時の状態をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上方から見た平面図、(c)は、(b)に示したIIc−IIc’切断線における断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップのエアゾール容器内の内容物排出時の状態をエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上方から見た平面図、(c)は、(b)に示したIIIc−IIIc’切断線における断面図である。
【図4】キャップ本体を示す斜視図であり、(a)は左斜め上から見た図、(b)は右斜め上から見た図である。
【図5】ボタンを示す斜視図であり、(a)は左斜め上から見た図、(b)は、それぞれ右斜め上から見た図である。
【図6】別の実施の形態に係るボタンの係止手段を示す図であり、(a)はボタンの斜視図、(b)はボタンがキャップ本体に装着された非使用時における係止手段の状態を示す断面図、(c)は内容物排出時における係止手段の状態を示す断面図である。
【図7】さらに別の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す、エアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図であり、(a)は内容物の排出状態、(b)は、危険値以上の噴射圧によりボタンが上方に移動し、ボタンとステム先端部との間に隙間が生じた状態を示している。
【図8】図7に示したエアゾール容器用キャップのキャップ本体及びボタンを示す斜視図であり、(a)はキャップ本体、(b)はボタンを示している。
【図9】別の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップのキャップ本体における支点部の構成を示す斜視図であり、(a)は、キャップ本体を左斜め上から見た図、(b)は、右斜め上から見た図である。
【図10】別の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップのボタンにおける支点部の構成を示す斜視図であり、(a)は左斜め上から見た図、(b)は右斜め上から見た図である。
【図11】実施の形態に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す、エアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は通常使用時の状態、(c)は内容物排出時の状態を示している。
【図12】別の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す、エアゾール容器の中心軸を含む噴射方向に沿う断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は通常使用時の状態、(c)は内容物排出時の状態を示している。
【図13】別の実施の形態に係るエアゾール容器用キャップをエアゾール容器と共に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は噴射用開口部側から見た正面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るエアゾール噴射装置を示す斜視図である。
【図15】従来のワンタッチ式エアゾール容器用キャップの一例を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は通常使用時の状態、(c)はエアゾール容器の内容物排出時の状態を示している。
【図16】従来のワンタッチ式エアゾール容器用キャップの別の例を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)はエアゾール容器の内容物排出時の状態を示している。
【図17】従来のワンタッチ式エアゾール容器用キャップのさらに別の例を示す断面図であり、(a)は非使用時の状態、(b)は内容物排出時の状態を示している。
【符号の説明】
【0095】
1、2、3、3A、4 エアゾール容器用キャップ
5 エアゾール噴射装置
11、21、41 キャップ本体
11b、21b 噴射用凹部
11c、21c 操作用凹部
11d、21d、31d、31g 嵌合部
12、12A、12B、22、32 ボタン
12a、32a ノズル孔
12b 通常使用押圧部
12c 排出用押圧部
12f 係止用突起
13 エアゾール容器(容器)
14 ボタン係止手段
15、25 ボタン装着部
16 バルブステム(ステム)
17、37 ステム押圧部
18a〜18f、29a〜29d 突起受け部
19a〜19d、19c’、19d’、28a〜28d 突起
31、31A ボタン装着部材
35 ボタン装着用開口部
A、B、C、D、E 支点部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器に装着して用いられ、キャップ本体とボタンとで構成されたエアゾール容器用キャップであって、
前記キャップ本体は、下部にエアゾール容器に装着するための嵌合部を備え、噴射物を通すための噴射用開口部、及び上端側に開口し、ボタンを押し下げる時に手指を受ける操作用凹部を側部に備えるとともに、前記ボタンが装着されるボタン装着部を備え、
前記ボタンは、前記噴射用開口部に面し、前記エアゾール容器の内容物を噴射するノズル孔と、前記エアゾール容器の上部から突出しているバルブステムの先端部に接し、前記エアゾール容器の内容物を前記ノズル孔に導くバルブステム押圧部と、該バルブステム押圧部を挟む位置で上面に設けられた通常使用押圧部と排出用押圧部とを備え、
前記ボタンが前記キャップ本体の前記ボタン装着部に装着され前記キャップ本体が前記エアゾール容器に装着されたときに、前記バルブステムを挟んで、前記通常使用押圧部の押圧による前記ボタンの回動の中心となる支点部と、前記排出用押圧部の押圧による前記ボタンの回動の中心となる支点部とが形成されるように構成されていることを特徴とするエアゾール容器用キャップ。
【請求項2】
前記ボタンの前記排出用押圧部が押し下げられた際に、前記ボタンが前記バルブステムを押し下げた状態に保持されるように、前記ボタンを係止する係止手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項3】
前記ボタンの前記排出用押圧部が押し下げられた際に、前記ノズル孔が、前記噴射用開口部より下側に位置し、前記エアゾール容器の内容物が、前記キャップ本体と前記エアゾール容器とで囲まれた領域に排出されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項4】
前記キャップ本体の前記嵌合部は、前記エアゾール容器の内容物が前記キャップ本体と前記エアゾール容器とで囲まれた領域に排出される際に、前記エアゾール容器の胴部とマウンテンキャップとの巻締め部に緊く嵌合し、噴射圧に抗して該嵌合状態を保持し得るように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項5】
前記通常使用押圧部の押圧時に作用する支点部及び前記排出用押圧部の押圧時に作用する支点部が、それぞれ、前記ボタンの側壁部に形成された突起と、前記キャップ本体の前記ボタン装着部における前記突起に対応する位置の側壁に形成された突起受け部とで構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項6】
前記通常使用押圧部の押圧時に作用する支点部及び前記排出用押圧部の押圧時に作用する支点部が、それぞれ、前記キャップ本体の前記ボタン装着部の側壁に形成された突起と、前記ボタンの側壁部における前記突起に対応する位置に形成された突起受け部とで構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項7】
前記噴射用開口部が、前記キャップ本体の上端側に開口した凹形であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項8】
エアゾール容器に装着して用いられ、ボタン装着部材とボタンとで構成されたエアゾール容器用キャップであって、
前記ボタン装着部材は、下部にエアゾール容器に装着するための嵌合部及び上部に前記ボタンが装着されるボタン装着用開口部を備え、
前記ボタンは、前記エアゾール容器の内容物を噴射するノズル孔と、前記エアゾール容器の上部から突出しているバルブステムの先端部に接し、前記エアゾール容器の内容物を前記ノズル孔に導くバルブステム押圧部と、該バルブステム押圧部を挟み、前記ノズル孔の反対側に位置し、前記エアゾール容器の通常使用時及び内容物排出時の操作に用いられ、突出した形状のボタン操作部とを備え、
前記ボタンが前記ボタン装着部材の前記ボタン装着用開口部に装入され、前記ボタン装着部材が前記エアゾール容器に装着されたときに、前記バルブステムを挟んで、前記通常使用時のボタン操作による前記ボタンの回動の中心となる支点部と、前記内容物排出時のボタン操作による前記ボタンの回動の中心となる支点部とが形成されるように構成されていることを特徴とするエアゾール容器用キャップ。
【請求項9】
前記ボタンに対して内容物排出のための操作が行われた際に、前記ボタンが前記バルブステムを押し下げた状態に保持されるように、前記ボタンを係止する係止手段を備えていることを特徴とする請求項8に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項10】
前記通常使用時の支点部は、前記ボタン装着部材における前記ノズル孔側に位置し前記ボタン装着用開口部に面する端部、及び前記ボタンにおける前記ノズル孔側の側部下端近傍に形成された下端部突起によって構成され、前記内容物排出時の支点部が、前記ボタン装着部材における前記ボタン操作部側に位置し前記ボタン装着用開口部に面する端部、及び前記ボタンにおける前記ボタン操作部側の側部下端近傍に形成された下端部突起によって構成されることを特徴とする請求項8又は9に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項11】
前記係止手段は、前記ボタン装着部材における前記ノズル孔側に位置し前記ボタン装着用開口部に面する端部、及び前記ボタンにおける前記ノズル孔側の側部の前記下端部突起の上方に形成された係止用突起によって構成されることを特徴とする請求項8〜10のいずれかの項に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項12】
前記ボタン装着部材に設けられた前記嵌合部は、前記エアゾール容器のマウンテンカップ部に嵌合するように構成されていることを特徴とする請求項8〜11のいずれかの項に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項13】
噴射用内容物を含むエアゾール容器に、請求項1〜12のいずれかの項に記載のエアゾール容器用キャップが装着されていることを特徴とするエアゾール噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2007−99323(P2007−99323A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289352(P2005−289352)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【特許番号】特許第3855106号(P3855106)
【特許公報発行日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】