説明

エアゾール容器用噴射装置

【課題】簡単な構造でエアゾール容器内に残った噴射剤や主剤を排出し、排出された主剤が周囲に飛散しにくいエアゾール容器用噴射装置を提供する。
【解決手段】噴射ボタン44を保持するキャップ20と、キャップ20に形成され噴射ボタン44の移動方向に沿って形成された第1スリット36と、第1スリット36より短く形成された第2スリット38を有する。噴射ボタン44には、第1スリット36または第2スリット38のいずれか一方に摺動可能に差し込まれるガイド突起64を有する。噴射ボタン44は、ガイド突起64が第1スリット36に差し込まれた状態で、ステム18を突没させる。噴射ボタン44は、ガイド突起64が第2スリット38に差し込まれた状態で、移動が規制されて、ステム18を連続開放状態に維持し、ステム18は噴射ボタン44の内側の内筒部50以外に当接して、噴射ボタン44内にエアゾール容器12の内容物を放出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャップとしてエアゾール容器に取り付けられ、エアゾール容器の噴射口を開放してエアゾール容器内の内容液等を噴射させるエアゾール容器用噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エアゾール容器は、噴射ボタンを押圧することにより、中のガスや液体が噴射されるものである。また、塗料や殺虫剤、化粧料等のエアゾール容器には、主剤(液体や固体等からなる噴射剤以外の内容物)と噴射剤(液化石油ガス・ジメチルエーテル・イソペンタン等の可燃性ガスや窒素・炭酸ガス等の圧縮ガス)が充満してあり、主剤がなくなり噴霧が終了しても一般的に少量の噴射剤がエアゾール容器の中に残留する。この使用済みのエアゾール容器を廃棄する際は、安全性を考慮して使用者により音がしなくなるまで噴射ボタンを押し続けるか、又はエアゾール容器に穴を開けるが、それらの処理に手間がかかることからそのまま廃棄することも多々ある。すると、ごみ収集や圧縮処理の際などに、稀に容器内の残留噴射剤により爆発を起こすおそれがあり、これを防ぐため、市場には簡単にエアゾール容器に孔を開ける用品が販売されている。
【0003】
さらに、特許文献1にはエアゾール容器の残留物放出機構が開示されている。これは、エアゾール容器のステムに装着される噴射ボタンと、エアゾール容器の上部に嵌着される肩カバーにより構成されている。噴射ボタンは突起を有し、肩カバーは噴射ボタンが入れられる円筒状の中央孔部を備え、中央孔部を形成する環状周壁には、噴射ボタンの突起が摺動可能に差し込まれる深切欠部と浅切欠部が設けられている。深切欠部と浅切欠部は、周方向に等間隔で交互に形成されている。このエアゾール容器の残留物放出機構の使用方法は、通常の使用では噴射ボタンの突起を深切欠部に嵌入させて、噴射ボタンの移動距離を長く設定する。そして噴射ボタンの押圧と解圧の操作により、ステムの開放と閉鎖を行うことができる。エアゾール製品を使いきった後は、噴射ボタンの位置を変えて突起を浅切欠部に嵌入させ、噴射ボタンの移動を規制する。これにより、ステムが噴射ボタンにより常時押圧され、開放状態が維持される。この状態で、エアゾール容器内に残留している主剤や噴射剤を放出する。
【特許文献1】特開2002−193362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のエアゾール容器において、残留する噴射剤を手動で排出する場合は、エアゾール容器の噴射ボタンを長時間押し続けなければならず面倒であり、女性やお年寄りには大変な作業である。従って、しばしば持ち替えたりして噴射しなければならないことがあり、確実に噴射剤を排出できない場合があった。また、内容物が周囲に飛散し、周囲の環境や人に好ましくない場合もあった。
【0005】
一方、特許文献1に開示されているエアゾール容器の残留物放出機構は、噴射ボタンを通常の使用状態から噴射剤の排出状態にするとき、噴射ボタンを肩カバーの中央孔部に対して周方向に回転させてセットしなければならず、噴射ボタンは円柱形であることから方向性がなく、位置決めが難しかった。また噴射剤を排出するとき、エアゾール容器内に残った主剤も周囲に飛散し周囲の環境を汚すことがあった。
【0006】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造でエアゾール容器内に残った噴射剤や主剤を確実に排出し、排出された主剤が周囲に飛散しにくいエアゾール容器用噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、缶などのエアゾール容器の噴射口を突没動作により開閉するステムに内筒部が嵌合し内容物を噴射可能に取り付けられた噴射ボタンと、前記噴射ボタンを前記ステムの突没動作方向に移動可能に保持したキャップと、前記キャップに形成され前記噴射ボタンの移動方向に沿って形成された第1スリットと、前記第1スリットに略平行に短く形成された第2スリットと、前記噴射ボタンに形成され前記第1スリットまたは第2スリットのいずれか一方に摺動可能に差し込まれるガイド突起と、前記噴射ボタンに形成され前記ステムに連通し前記エアゾール容器の内容物が噴射される噴射孔が設けられ、前記ガイド突起が前記第1スリットに差し込まれた状態で前記噴射ボタンは移動可能で前記ステムの突没動作を行い、前記ガイド突起が前記第2スリットに差し込まれた状態で前記噴射ボタンは移動が規制されて、前記ステムが連続して開放状態に維持され、前記ステムは前記噴射ボタン内側の前記内筒部以外に当接して、前記噴射ボタン内にエアゾール容器の内容物が放出されるエアゾール容器用噴射装置である。
【0008】
前記噴射ボタンは、移動方向に対して交差する断面形状が長丸形であり、前記キャップには、前記噴射ボタンを収容する長丸形の噴射ボタン用筒部が設けられ、前記噴射ボタンは前記噴射ボタン用筒部内を、断面形状の長手方向の端部を逆に位置させても嵌合可能であり、前記噴射ボタンの長手方向の端部を逆にすることにより、前記噴射ボタンの前記ガイド突起の位置が、前記第1スリットまたは第2スリットのいずれかに切り替え可能に設けられている。
【0009】
前記噴射ボタンには、前記ガイド突起が前記第2スリットに差し込まれた状態で前記ステムが押し下げられて開放状態となる位置に、前記ステムに当接するリブ等から成るステム受け部が設けられている。
【0010】
前記エアゾール容器の内容物は、噴射剤として液化石油ガス・ジメチルエーテル・イソペンタンから選ばれる可燃性ガスまたは、窒素ガス・炭酸ガスから選ばれる圧縮ガスのうち、少なくとも1種類を含有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアゾール容器用噴射装置は、エアゾール容器の噴射口を簡単な操作及び構造で開いた状態に保ち、エアゾール容器内に残留する噴射剤や主剤を確実に排出することができる。これにより、力の弱い人でも容易に継続的な噴射が可能となり、使用済みのエアゾール容器を、残留噴射剤が総て排出された状態で廃棄することができる。そして、ごみ収集や圧縮処理の際に爆発が起こる恐れが無くなり、安全である。さらに、排出された主剤が噴射ボタン内に噴射されるため、周囲を汚損することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図6はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態のエアゾール容器用噴射装置10は、缶等のエアゾール容器12に取り付けられている。エアゾール容器12は、天面14を一周して巻締部16が設けられ、天面14の中心には図示しない噴射口が設けられている。噴射口には、突没動作により噴射口を開閉するステム18が突方向へ付勢されて設けられている。
【0013】
エアゾール容器12の天面14の巻締部16には、図3、図4に示すキャップ20が取り付けられている。キャップ20は合成樹脂製であり、巻締部16を覆う円筒状の側面部22が設けられ、側面部22の下端部22a付近の内周面には、エアゾール容器12の巻締部16に係止される凸部17がほぼ一周して設けられている。側面部22の上端部22bには、上面部24が、側面部22の半周以上の長さに亘って形成されている。上面部24は、側面部22に対してほぼ直角に、側面部22の内側に連続する一定幅に形成されている。上面部24が設けられていない部分には、側面部22の高さの中心付近まで窪んだ操作用凹部26が形成されている。
【0014】
キャップ20の側面部22の、操作用凹部26と反対側には、側面部22の途中に円形の噴射用開口部28が形成されている。
【0015】
上面部24の、側面部22の中側に向かう端縁部24aには、中央に向かってなだらかに下降する傾斜面30が形成され、操作用凹部26に繋がっている。傾斜面30の下端部30aには、噴射ボタン用筒部32が一体に設けられている。噴射ボタン用筒部32は、側面部22に対してほぼ平行に設けられ相対的に径が小さい筒形であり、操作用凹部26に近い位置であって、噴射用開口部28からは少し離れて設けられている。噴射ボタン用筒部32の、軸方向に対してほぼ直角な断面形状は、操作用凹部26と噴射用開口部28を結ぶ方向に長い長丸形であり、長手方向の中心で対称形となっている。
【0016】
噴射ボタン用筒部32の、エアゾール容器12側に位置する下端部32aには、後述する噴射ボタン44が係止される係合突起34が形成されている。係合突起34は、噴射ボタン用筒部32の長手方向の中心付近、つまり一対の直線部分の中心付近にそれぞれ設けられ、噴射ボタン用筒部32の内側に突出し、互いに対向している。一対の係合突起34よりも噴射用開口部28側には、噴射ボタン用筒部32の軸方向に対してほぼ平行に、一対の第1スリット36が形成されている。第1スリット36は、長方形に形成され、長手方向の端部36aは噴射ボタン用筒部32の上端部付近に向かって延出して傾斜面30近傍に達している。そして、一対の係合突起34よりも操作用凹部26側には、第1スリット36に対して平行な一対の第2スリット38が形成されている。第2スリット38は、第1スリット36とほぼ同じ幅で長方形に形成され、長手方向の端部38bは第1スリット36の長さの約三分の一程度の位置までで、短く形成されている。
【0017】
噴射ボタン用筒部32の、噴射用開口部28に対向する部分には、円形の噴射ボタン用開口部40が形成されている。噴射ボタン用開口部40は、側面部22の噴射用開口部28とほぼ同心の円形であり、噴射用開口部28よりも径が小さく形成されている。噴射ボタン用開口部40の中心は、操作用凹部26の端縁よりも側面部22の下端部22a側に位置している。噴射ボタン用筒部32の外周面には、噴射ボタン用開口部40と一対の第1スリット36との間に、板状の連結部42が各々連続して形成され、キャップ20の側面部22の内側面に、連結部42を介して連結されている。
【0018】
噴射ボタン用筒部32の内側には、図5、図6に示す噴射ボタン44が摺動可能に入れられて設けられている。噴射ボタン44は合成樹脂製であり、噴射ボタン用筒部32にわずかなゆとりを有して摺動可能に嵌合される筒状の側面部46を有し、側面部46の軸方向に対してほぼ直角な断面形状は、操作用凹部26と噴射用開口部28を結ぶ方向に長い長丸形であり、長手方向の中心で対称形となっている。側面部46の上端部46aには、側面部46の端部を閉鎖する押込板部48が、一体に設けられている。押込板部48は、通常の使用状態で、キャップ20の噴射用開口部28側が高く、操作用凹部26側が低い傾斜面であり、さらに押込板部48の噴射用開口部28と操作用凹部26を結ぶ線である中心線がより低くなるように湾曲され、傾斜面30と操作用凹部26になだらかに連続するように形成されている。
【0019】
噴射ボタン44の側面部46の内側には、側面部46の軸方向に対して平行に、ステム18が嵌入する内筒部50が設けられている。内筒部50は、噴射用開口部28に近い位置に設けられ、内筒部50の上端部50aは、押込板部48の裏面に一体に連続している。内筒部50の外周面には、キャップ20の操作用凹部26側の部分に、側面部46に連続する板状のステム受け部であるリブ52が形成されている。リブ52の途中には、リブ52にほぼ直角に交差する互いに平行な2個の板状のリブ54が一体に設けられている。各リブ54の両側端部は、側面部46の内周面に連結され、下端部は側面部46の下端部46bよりも押込板部48よりの高さに位置している。
【0020】
内筒部50の内側には、筒状の空間である嵌合部60が形成され、嵌合部60は、内筒部50の下端部50bから所定長さまでは内径が大きい大径部60aであり、大径部60aより奥の部分は、大径部60aより内径が小さい小径部60bである。大径部60aと小径部60bの間には、内筒部50の内筒部50bに対して平行な段部による当接面62が形成されている。当接面62は、ステム18の先端が当接し、リブ52,54とほぼ同じ高さに設けられている。
【0021】
噴射ボタン44の側面部46の、噴射用開口部28側の部分には、テーパ穴状噴射ガイド部56が形成されている。テーパ穴状噴射ガイド部56は、噴射ボタン用筒部32の噴射ボタン用開口部40とほぼ同じ大きさに形成され、深くなるほど径が小さくなる円錐形である。テーパ穴状噴射ガイド部56の底部には、噴射孔58が形成され、内筒部50の嵌合部60に連通している。
【0022】
側面部46の、キャップ20の噴射ボタン用筒部32の第1スリット36に対向する部分には、側面部46から外側に突出し第1スリット36に差し込まれるガイド突起64が形成されている。ガイド突起64は、断面形状が長丸形である側面部46の、長手方向の中心付近から少し穴状ガイド部56に近い位置であり、一対の第1スリット36に対応して両側に一個ずつ設けられている。ガイド突起64は、側面部46の長手方向の中心付近を挟んだ反対側は、第2スリット38に対向する位置であり、側面部46の長手方向の端部を逆にすると第2スリット38に差し込まれる。
【0023】
次に、このエアゾール容器用噴射装置10の組立方法について説明する。まず、キャップ20の下端部22aから、噴射ボタン用筒部32の内側に、噴射ボタン44を入れる。このとき、通常の使用では、噴射ボタン44のテーパ穴状噴射ガイド部56が噴射ボタン用開口部40と噴射用開口部28を向くようにし、ガイド突起64は第1スリット36に差し込まれる。噴射ボタン44の装着時には、係合突起34が形成された噴射ボタン用筒部32の下端部32aが外側に弾性変形し、噴射ボタン44の側面部46の下端部46bが噴射ボタン用筒部32の内側に入ったところで元の形状に戻り、係合突起34が側面部46下端部46bに係止される。これにより噴射ボタン44は、ガイド突起64が第1スリット36の端部36aに当接する最上位置と、側面部46の側面部46bが係合突起34に当接する最下位置までの間を移動可能となり、ステム18の突没動作を行う。
【0024】
このように噴射ボタン44をセットしたキャップ20を、エアゾール容器12の天面14に押し付け、巻締部16に、側面部22の凸部17を弾性変形させて係止する。このとき、エアゾール容器12の天面14中心に設けられているステム18は、噴射ボタン44の内筒部50の嵌合部60に挿入される。そして、ステム18の先端は嵌合部60の当接面62に当接する。
【0025】
エアゾール容器12の内容物を噴射するときは、噴射ボタン44を押し下げ、ステム18を押し込む。するとエアゾール容器12の内容物である主剤が、ステム18開口部からガスとともに噴射される。噴射された主剤は、噴射ボタン44の内筒部50の嵌合部60に充満し、嵌合部60に連通する噴射孔58からテーパ穴状噴射ガイド部56を通過して外に噴射される。噴射ボタン44が押し下げられているとき、テーパ穴状噴射ガイド部56はキャップ20の噴射ボタン用開口部40、噴射用開口部28に一致し、噴射された主剤は、噴射ボタン用開口部40、噴射用開口部28を通過して目的の被噴射物に付けられる。噴射を止めるときは、噴射ボタン44を押し下げる力を解除する。すると、噴射ボタン44はステム18が閉じ方向に付勢されているため、ステム18に押し上げられて、ガイド突起64が第1スリット36内を摺動しながら元の位置に戻り噴射が終了する。
【0026】
次にエアゾール容器12が使用済みとなり廃棄するときは、キャップ20をエアゾール容器12から外し、噴射ボタン44を押し下げるようにして、キャップ20の係合突起34を外側に弾性変形させ噴射ボタン44を外す。そして噴射ボタン44の向きを逆に、つまり噴射ボタン44のテーパ穴状噴射ガイド部56がキャップ20の操作用凹部26側に向くように軸方向に180度回転させて、噴射ボタン用筒部32の内側に再び入れる。このとき、噴射ボタン44のガイド突起64は、第2スリット38に差し込まれる。第2スリット38は第1スリット36よりも短く形成されているため、噴射ボタン44のガイド突起64が第2スリット38の端部38aに当接する最上位置は低く規制される。この状態でキャップ20をエアゾール容器12に取り付けると、噴射ボタン44のリブ52,54がエアゾール容器12のステム18の先端に当接して、連続した押し込み状態にする。これにより、ステム18は開放状態となり、エアゾール容器12内に残った噴射剤を完全に排出する。また、エアゾール容器12内に主剤が残っている場合、上記操作により噴射剤とともに主剤が噴射されるが、図2に示すように、ステム18は噴射ボタン44内側のリブ52,54に当接して、噴射ボタン44の内側にエアゾール容器12の内容物が放出され、主剤が外へ噴出されることを防ぐ。そして、この開放状態のまま廃棄することができる。
【0027】
この実施形態のエアゾール容器用噴射装置10によれば、簡単な構造で残留噴射剤の排出状態にステム18をロックすることができ、残留噴射剤による爆発事故を防ぎ、安全に廃棄することができる。また、操作が簡単であり、力の弱い人でも容易に噴射剤を排出することができる。通常の使用状態から、噴射剤の排出状態に切り替えるときは、噴射ボタン44の向きを軸方向に180度回転させてキャップ20に取り付け、さらにキャップ20をエアゾール容器12に取り付けるだけであり、切替操作が簡単である。またキャップ20の断面形状が、長手方向の端部が対称形である長丸形であるため、キャップ20の向きを軸方向に180度変える位置決めも容易である。また特別に治具を必要とせず、コストの上昇が無く経済的である。
【0028】
なお、この発明のエアゾール容器用噴射装置は、上記の実施形態に限定されるものではなく、噴射ボタンの形状は、長丸形以外に長方形や楕円形など、軸周りに180度回転させる位置決めが容易であれば、自由に変更可能である。また、ステム受け部は、噴射ボタン内のボス等の突起やボタン天面の窪み、或いは段差等でも良く、ステム頭部を受けて噴射状態に設定可能なものであればよい。その他の突起の数や位置、形状等も自由に設定可能である。さらに、エアゾール容器の内容物である主剤は、制汗剤やかゆみ止め、塗料、その他ガスなど、自由に選択可能である。
【実施例】
【0029】
この発明のエアゾール容器用噴射装置を適用可能な内容物の処方例を以下の表1に示す。
【表1】

【0030】
この実施例によれば、エアゾール容器12の廃棄時に、力の弱い人でも容易に継続的な噴射が可能となり、使用済みのエアゾール容器12について簡単に残留噴射剤が総て排出された状態で廃棄することができる。これにより、ごみ収集や圧縮処理の際に爆発が起こる恐れが無くなり、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施形態のエアゾール容器用噴射装置の通常の使用状態を示す縦断面図である。
【図2】この実施形態のエアゾール容器用噴射装置の残噴射剤の排出状態を示す縦断面図である。
【図3】この実施形態のエアゾール容器用噴射装置のキャップの底面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】この実施形態のエアゾール容器用噴射装置の噴射ボタンの底面図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 エアゾール容器用噴射装置
12 エアゾール容器
18 ステム
20 キャップ
22 側壁部
28 噴射用開口部
32 噴射ボタン用筒部
36 第1スリット
38 第2スリット
40 噴射ボタン用開口部
44 噴射ボタン
50 内筒部
52,54 リブ
58 噴射孔
64 ガイド突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器の噴射口を突没動作により開閉するステムに内筒部が嵌合し、内容物を噴射可能に取り付けられた噴射ボタンと、前記噴射ボタンを前記ステムの突没動作方向に移動可能に保持したキャップと、前記キャップに形成され前記噴射ボタンの移動方向に沿って形成された第1スリットと、前記第1スリットに略平行に短く形成された第2スリットと、前記噴射ボタンに形成され前記第1スリットまたは第2スリットのいずれか一方に摺動可能に差し込まれるガイド突起と、前記噴射ボタンに形成され前記ステムに連通し前記エアゾール容器の内容物が噴射される噴射孔が設けられ、前記ガイド突起が前記第1スリットに差し込まれた状態で前記噴射ボタンは移動可能で前記ステムの突没動作を行い、前記ガイド突起が前記第2スリットに差し込まれた状態で前記噴射ボタンは移動が規制されて、前記ステムが連続して開放状態に維持され、前記ステムは前記噴射ボタン内側の前記内筒部以外に当接して、前記噴射ボタン内にエアゾール容器の内容物が放出されることを特徴とするエアゾール容器用噴射装置。
【請求項2】
前記噴射ボタンは、移動方向に対して交差する断面形状が長丸形であり、前記キャップには、前記噴射ボタンを収容する長丸形の噴射ボタン用筒部が設けられ、前記噴射ボタンは前記噴射ボタン用筒部内を、断面形状の長手方向の端部を逆に位置させても嵌合可能であり、前記噴射ボタンの長手方向の端部を逆にすることにより、前記噴射ボタンの前記ガイド突起の位置が、前記第1スリットまたは第2スリットのいずれかに切り替え可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用噴射装置。
【請求項3】
前記噴射ボタンには、前記ガイド突起が前記第2スリットに差し込まれた状態で前記ステムが押し下げられて開放状態となる位置に、前記ステムに当接するステム受け部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器用噴射装置。
【請求項4】
前記エアゾール容器の内容物は、噴射剤として液化石油ガス・ジメチルエーテル・イソペンタンから選ばれる可燃性ガスまたは、窒素ガス・炭酸ガスから選ばれる圧縮ガスのうち、少なくとも1種類を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエアゾール容器用噴射装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−1418(P2008−1418A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175377(P2006−175377)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【出願人】(000104526)キタノ製作株式会社 (20)
【Fターム(参考)】