説明

エアゾール製品およびその吐出方法

【課題】吐出すると小さく発泡し一部が氷結したやわらかいみぞれ状になり、吐出物を塗り拡げるとシャリシャリとした心地よい使用感が得られ、噴射面からの流れ落ちにくく、冷却効果が維持されやすく、吐出時に飛び散らず効果的に塗布できるエアゾール製品およびその吐出方法を開発する。
【解決手段】水溶性高分子と界面活性剤を含有する水性原液と、液化ガスとからなり、水性原液と液化ガスとが乳化されてなるエアゾール組成物が充填されたエアゾール製品であって、水性原液と液化ガスとの配合比が50/50〜10/90であり、エアゾール容器に装着される噴射部材に、噴射通路と吐出孔の間に膨張室が設けられてなるエアゾール製品。また、噴射時に、エアゾール組成物が噴射通路を通過し、水性原液と乳化されてなる液化ガスの少なくとも一部が膨張室で気化する工程と、(2)液化ガスの気化により冷却されたエアゾール組成物を吐出孔から吐出する工程とを含んでなるエアゾール製品の吐出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール製品およびその吐出方法に関する。さらに詳しくは、水性原液と液化ガスとからなり、水性原液と液化ガスとが乳化されてなるエアゾール組成物が、噴射部材を装着したエアゾール容器に充填されたエアゾール製品およびそのエアゾール製品の吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水溶性高分子、界面活性剤および低級アルコールを含有する水性原液と液化ガスとからなり、低級アルコールを水性原液中に1〜30重量%含有し、沸点が−5℃以下の液化ガスを、エアゾール組成物中38重量%以上含有するエアゾール組成物の技術が開示されている。該エアゾール組成物を吐出物するとパチパチと音を立てるフォームになる。
【0003】
また、特許文献2には、有効成分、水、低級アルコール、特定の界面活性剤からなる原液と噴射剤とからなるエアゾール製剤が開示されている。該エアゾール製剤は吐出物が付着面で氷結してシャーベット状になる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−335629号公報
【特許文献2】特開2000−351725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のエアゾール組成物は水溶性高分子を配合しているため、吐出するとやや粘性を有する泡になり、泡は大きな破泡音を発し、破泡による心地よい使用感が得られるが、冷却効果が持続しないという問題がある。
【0006】
また、特許文献2のエアゾール製剤は吐出物全体が氷結するシャーベットを形成するものであり、優れた冷却効果が得られるが、シャーベットは全体が硬く、皮膚の熱により皮膚と接触している部分から溶解しやすいため、シャーベットが流れ落ちやすいという問題がある。
【0007】
また、シャーベットを形成するエアゾール製品は、噴射対象物に連続して付着させ液化ガスの気化熱を吐出物に伝わりやすくするために、噴射通路よりも断面積が小さく、噴射通路46からダイレクトに噴射できるストレート形状(円筒状)の噴射孔(吐出孔47)を備えている噴射部材48を使用している(図7参照)。そのため、噴射対象物に勢いよく噴射され飛び散りやすいという問題がある。
【0008】
本発明のエアゾール製品およびその吐出方法は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、皮膚などに吐出すると吐出物は大きくは発泡せず一部が氷結したやわらかいみぞれ状になり、優れた冷却効果が得られ、この吐出物を指や手のひらなどで塗り広げるとシャリシャリとした心地よい使用感が得られ、さらに「みぞれ」は泡を含有する、または周囲に泡があるため噴射面からの流れ落ちが防止され、さらに皮膚から「みぞれ」に直接熱が伝わりにくいためこの状態が維持されやすく冷却感が持続する効果が得られ、さらに吐出時に飛び散りがなく、効果的に塗布することができるエアゾール製品およびその吐出方法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかわるエアゾール製品は、水性原液と液化ガスとからなり、水性原液と液化ガスとが乳化されてなるエアゾール組成物が、噴射部材を装着したエアゾール容器に充填されたエアゾール製品であって、前記水性原液が水溶性高分子と界面活性剤を含有し、前記エアゾール組成物における前記水性原液と前記液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)であり、前記噴射部材が、前記エアゾール容器のステムに装着される装着部と、噴射通路と、吐出孔を備えており、前記噴射通路と前記吐出孔の間に、噴射通路の断面積よりも大きな断面積を有する膨張室が設けられてなることを特徴としている。また、本発明にかかわるエアゾール製品の吐出方法は、(1)吐出時に、水性原液と乳化されてなる液化ガスの少なくとも一部が、前記エアゾール容器のステムに装着された噴射部材の噴射通路を通過し、該噴射通路と吐出孔の間に設けられた、噴射通路の断面積よりも大きな断面積を有する膨張室で気化する工程と、(2)液化ガスの気化により冷却されたエアゾール組成物を、前記吐出孔から吐出する工程とを含んでなることを特徴としている。
【0010】
前記水溶性高分子が、多糖類、セルロース類、アルギン酸塩、またはこれらの混合物であることが好ましい。
【0011】
前記水性原液中に、アルコール類が3〜30重量%含有されてなることが好ましい。
【0012】
前記噴射部材に、前記膨張室の開放端を閉塞する衝突部が設けられてなることが好ましい。
【0013】
前記吐出孔が、前記噴射部材と前記衝突部との間隙に設けられた環状の孔であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかわるエアゾール製品およびその吐出方法によれば、吐出時に吐出物中に含まれる液化ガスのほとんど全量が瞬時に気化することがないため、吐出物は大きく発泡することなく、また、吐出物全体が氷結することなく、吐出物は発泡が抑制され一部が氷結したやわらかいみぞれ状になり、過冷却による凍傷にならず、ひんやりとした心地よい感触が得られ、この吐出物を指や手のひらなどで塗り伸ばすとシャリシャリとした心地よい使用感が得られ、さらに、噴射面からの流れ落ちが防止され、皮膚から「みぞれ」に直接熱が伝わりにくいためこの状態が維持されやすく冷却感が持続する効果が得られ、さらに吐出時に飛び散りがなく、効果的に塗布することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のエアゾール製品は、水性原液と液化ガスとからなり、水性原液と液化ガスとが乳化されてなるエアゾール組成物を、噴射部材を装着したエアゾール容器に充填したエアゾール製品であって、前記水性原液が水溶性高分子と界面活性剤を含有し、前記エアゾール組成物における前記水性原液と前記液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)であり、前記噴射部材が、前記エアゾール容器のステムに装着される装着部と、噴射通路と、吐出孔を備えており、前記噴射通路と前記吐出孔の間に、噴射通路の断面積よりも大きな断面積を有する膨張室が設けられてなるエアゾール製品である。また、水性原液と液化ガスとからなり、水性原液と液化ガスが乳化されてなるエアゾール組成物をエアゾール容器に充填したエアゾール製品の吐出方法であって、(1)吐出時に、水性原液と乳化している液化ガスの少なくとも一部が、前記エアゾール容器のステムに装着された噴射部材の噴射通路を通過し、該噴射通路と吐出孔の間に設けられた、噴射通路の断面積よりも大きな断面積を有する膨張室で気化する工程と、(2)液化ガスの気化により冷却されたエアゾール組成物を、前記吐出孔から吐出する工程とからなるエアゾール製品の吐出方法である。
【0016】
図1は、本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態1)の部分断面図であり、図2(a)は、噴射部材の正面図、図2(b)は衝突部材の底面図である。図3は、本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態2)における噴射部材の側面断面図である。図4は、本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態3)における噴射部材の側面断面図である。図5(a)は、本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態4)における噴射部材の側面断面図、図5(b)は、その上面断面図である。図6は、本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態5)における噴射部材の側面断面図である。図7は、従来のエアゾール製品における噴射部材の側面断面図である。
【0017】
本発明のエアゾール製品は、水性原液と液化ガスが乳化されてなるエアゾール組成物を、噴射部材を装着したエアゾール容器に充填したエアゾール製品であって、前記水性原液が水溶性高分子と界面活性剤を含有し、前記エアゾール組成物における前記水性原液と前記液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)であり、前記噴射部材が、前記エアゾール容器のステムに装着される装着部と、噴射通路と、吐出孔を備えており、前記噴射通路と前記吐出孔の間に、噴射通路の断面積よりも大きな断面積を有する膨張室が設けられてなる。
【0018】
前記水溶性高分子は、水性原液およびエアゾール組成物の粘度を調整して、水性原液と乳化されてなる液化ガスの一部を膨張室内で気化させ、該気化熱により冷却して吐出物の発泡を抑制すると共に一部を氷結させてみぞれ状にする、さらには、塗り伸ばしたときにシャリシャリと音を発し心地よい使用感を得る、吐出物を流れ落ちにくくする、などの効果を得る目的で用いられる。
【0019】
前記水溶性高分子としては、たとえば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム、ペクチン、カラギーナン、デンプン、ヒアルロン酸などの多糖類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース類、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムなどのアルギン酸塩、アルギン酸プロプレングリコールなどのアルギン酸とポリオールのエステル、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、寒天、デキストリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、およびこれらの混合物などがあげられる。特に、吐出時に液化ガスの保持に優れ、起泡が抑制されてみぞれ状になりやすい点から、多糖類、セルロース類、アルギン酸塩を用いることが好ましい。
【0020】
前記水溶性高分子の配合量は、水性原液中0.01〜5重量%、さらには0.05〜3重量%であることが好ましい。水溶性高分子の配合量が0.01重量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくくなる傾向があり、5重量%よりも多い場合は水性原液の粘度が高くなりすぎ、液化ガスと混ざりにくく乳化が困難になる。
【0021】
なお、吐出物の状態(みぞれ状態)を調整するために、水性原液中にアルコール類を配合することが好ましい。
【0022】
前記アルコール類としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの2〜3価のポリオール、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコール、などがあげられる。前記アルコール類の配合量は、水性原液中3〜30重量%であることが好ましく、さらには3〜25重量%であることが好ましい。前記アルコール類の配合量が3重量%よりも少ない場合は吐出物全体が氷結しやすくなり、付着性が低下しやすく、30重量%を超える場合はみぞれ状になりにくい。
【0023】
また、水溶性高分子を水性原液中に配合しやすくするために、水性原液中に有機酸塩を配合しても良い。前記有機酸塩としては、たとえば、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウムなどがあげられる。前記有機酸塩の配合量は、水性原液中0.05〜5重量%であることが好ましく、さらには0.1〜2重量%であることが好ましい。前記有機酸塩の配合量が0.05重量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくく、5重量%を超える場合はみぞれ状になりにくい。
【0024】
前記界面活性剤は、エアゾール容器内で水性原液と液化ガスとを乳化させる、吐出物中に液化ガスの一部を液体状態で保持し、後述する噴射部材の膨張室内で液化ガスの少なくとも一部を気化させて発泡を抑制し吐出物をみぞれ状にする、吐出物の一部を起泡させて付着性を良くする、などの効果を得る目的で配合される。
【0025】
前記界面活性剤としては、たとえば、POE(20)POP(8)セチルエーテル、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(12)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;モノステアリン酸POE(15)グリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;POE(10)ラノリンアルコール、POE(20)ラノリンアルコール、などのポリオキシエチレンラノリンアルコール;POE(50)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(80)硬化ヒマシ油、POE(100)硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;POE(10)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(20)ラウリルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(25)オクチルドデシルエーテル、POE(20)イソセチルエーテル、POE(20)イソステアリルエーテル、などのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25EO)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)などのポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどの常温(25℃)で固体の界面活性剤(ワックス状、フレーク状を含む)、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸POE(15)グリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノオレイン酸POE(20)ソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POE(6)ソルビット、テトラステアリン酸POE(60)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)ソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;POE(30)硬化ヒマシ油、POE(40)硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;POE(15)オレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;などの常温で粘性液体〜ペースト状の界面活性剤、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(40)ソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;POE(9)ラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(10EO)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(10EO)などのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;などの常温で液体の界面活性剤、などのHLBが10〜18、好ましくは11〜17であるものがあげられる。HLBが10よりも小さい場合は、液化ガスが連続相になりやすく吐出物がみぞれ状になりにくい傾向があり、HLBが18よりも大きい場合は発泡が大きくなりすぎて吐出物がみぞれ状になりにくい傾向がある。
【0026】
前記界面活性剤の中でも、常温で粘性液体〜ペースト状、または固体である界面活性剤を用いることにより、吐出物がみぞれ状になりやすい。前記固体の界面活性剤の中でも、特に起泡性が抑えられてみぞれ状の吐出物が得られやすい点からポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを用いることが好ましい。
【0027】
前記界面活性剤の配合量は、水性原液中0.1〜10重量%、さらには0.3〜5重量%であることが好ましい。界面活性剤の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は、水性原液と液化ガスとが乳化しにくくなり、吐出物中にも液化ガスを保持しにくくなってみぞれ状になりにくくなる傾向あり、10重量%よりも多い場合は皮膚上で残りやすくなり使用感が低下する。
【0028】
前記水性原液には、水溶性高分子や界面活性剤などを配合し、液化ガスとの乳化物を作るために水が用いられる。前記水としては、たとえば、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水などがあげられる。前記水の配合量は、水性原液中60〜99.5重量%、さらには70〜99重量%であることが好ましい。水の配合量が60重量%よりも少ない場合はみぞれ状になりにくく、99.5重量%よりも多い場合は有効成分などの添加剤の配合量が少なくなり、有効成分などの効果が得られにくくなる傾向がある。
【0029】
本発明に用いられる水性原液は、用途や目的などに応じて有効成分、油成分、粉体などを配合することができる。
【0030】
前記有効成分としては、たとえば、クロタミトン、d-カンフルなどの鎮痒剤;サリチル酸メチル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤;オキシコナゾール、クロトリマゾール、スルコナゾール、ビフォナゾール、ミコナゾール、イソコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、ブテナフィン、およびこれらの塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの塩、などの抗真菌剤;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリシルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤;ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;クロロヒドロキシアルミニウムなどの制汗剤;コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤;N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミドなどの害虫忌避剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;天然香料、合成香料などの各種香料;などがあげられる。
【0031】
前記有効成分の配合量は、水性原液中0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%配合される。有効成分の配合量が0.05重量%よりも少ない場合は、有効成分の効果が充分に発揮できない傾向があり、20重量%よりも多い場合は、有効成分濃度が高くなりすぎ、有効成分によっては人体へ悪影響を及ぼす場合がある。
【0032】
前記油成分は、使用感を向上させる以外にも、水性原液と液化ガスとの乳化状態を調整する、吐出物の状態を調整する、などの目的で用いられる。
【0033】
前記油成分としては、たとえば、イソヘキサン、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、ワセリン、パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素油;アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジオクチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸PPG−3ベンジルエーテル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸などの脂肪酸;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;アボガド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂;ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類;などがあげられる。
【0034】
前記油成分の配合量は、水性原液中0.1〜10重量%、さらには0.5〜8重量%であることが好ましい。油成分の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は、油成分を配合する効果が得られにくく、8重量%よりも多い場合は乾燥性が悪くなるなど、使用感が低下する。
【0035】
前記粉体は、水性原液と液化ガスとを乳化しやすくする、乳化安定性を向上させるなど、乳化補助剤として用いられる。また、粉体自体が有効成分として作用したり、他の有効成分を担持する担体、付着剤などとしても用いられる。
【0036】
前記粉体としては、たとえば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などがあげられる。
【0037】
前記粉体の配合量は、水性原液中0.1〜5重量%、さらには0.3〜3重量%であることが好ましい。粉体の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は、粉体を配合する効果が得られにくく、5重量%よりも多い場合はバルブや吐出部材の吐出孔で詰まりやすくなる。また静置した状態で長期間保存した場合、粉体が容器底部で固まりやすくなり(ケーキング)、均一な組成物を吐出し難くなる。
【0038】
本発明に用いられる水性原液は、水溶性高分子、界面活性剤、必要に応じて配合されるアルコール類、有機酸塩、有効成分などを水に溶解もしくは分散させることにより調製することができる。なお水溶性高分子はアルコール類と配合し湿潤させてから水に添加しても良い。また、有効成分や油成分など、水やアルコール類に溶解しない成分を配合する場合は、水性原液調整時に乳化させても良いが、水性原液を分離状態にしておき、液化ガスを充填した後、液化ガスともに水性原液と乳化しても良い。
【0039】
前記液化ガスは、エアゾール容器内では液体であり、水性原液と乳化して乳化物を形成する。エアゾール容器から吐出されると噴射通路内から気化し始めるが、吐出直後は一部が水性原液中に液体状態で含有されており、噴射通路の断面積よりも大きな断面積を有する膨張室内で気化量が多くなり、吐出物を冷却して発泡を抑制すると共に一部を氷結させてみぞれ状にする。
【0040】
前記液化ガスとしては、たとえば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、前記液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物などがあげられる。なお、吐出物のみぞれ状態を調整するために、n−ペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサンなどの炭素数が5〜6個の炭化水素や、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテルなどのハイドロフルオロエーテルなどを前記液化ガス中に配合しても良い。
【0041】
前記液化ガスのうち、水性原液と乳化しやすく乳化安定性に優れており、吐出物が起泡して破泡音を立てる泡を作りやすい点から、液化石油ガスを液化ガス中に60重量%以上、さらには70重量%以上含有するものを用いることが好ましい。
【0042】
本発明のエアゾール組成物は、たとえば、耐圧容器に水性原液を充填し、次いで液化ガスをアンダーカップ充填などで充填したのちバルブを固着し、エアゾール容器を振とうして水性原液と液化ガスとを乳化させることにより調製することができる。
【0043】
前記水性原液と液化ガスとの配合比(重量比)は50/50〜10/90であり、45/55〜15/85であることが好ましい。配合比が50/50よりも大きい場合は、すなわち、液化ガスの配合量がエアゾール組成物中50重量%よりも少ない場合は、液化ガスの自己冷却能力が不充分で吐出直後から吐出物が大きく発泡してみぞれ状になりにくく、配合比が10/90よりも小さい場合、すなわち、液化ガスの配合量が90重量%よりも多い場合は液化ガスを乳化しにくく、乳化が不安定になりやすい。また吐出物全体が氷結しやすく、付着性が低下しやすい。
【0044】
なおエアゾール組成物の圧力を調整するために、加圧剤として炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスを用いることができる。
【0045】
前記エアゾール組成物を充填するエアゾール容器は、特に限定されず、アルミニウムやブリキなどの金属、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂、耐圧ガラスなどから有底筒状に成型あるいは加工した耐圧性を有する容器本体に、エアゾールバルブを固着したものを用いることができる。
【0046】
前記エアゾールバルブは、吐出直後の吐出物中に液化ガスを液体状態で含有し吐出物をみぞれ状にするために、エアゾール組成物の液相のみを吐出する構造のものを用いることが好ましい。具体的には、エアゾール製品を正立状態で使用する場合はエアゾール組成物の気相をハウジング内に導入するベーパータップ孔を備えていないものや、エアゾール製品を倒立状態で使用する場合はハウジングから直接エアゾール組成物の液相を導入するものを用いることが好ましい。
【0047】
以下、本発明のエアゾール製品をみぞれ状にするための噴射部材を備えたエアゾール容器の構造について、説明する。
【0048】
実施の形態1
実施の形態1のエアゾール製品1は、図1および図2に示されるように、容器本体2の開口部にエアゾールバルブ3を固着したエアゾール容器4と、エアゾールバルブ3のステム5に装着される噴射部材6と、エアゾール容器4内に充填されるエアゾール組成物7とからなる。
【0049】
噴射部材6は、前記エアゾールバルブ3のステム5に装着されるステム装着部8と、ステム装着部8と連通する筒状の噴射通路9と、噴射通路9の周囲を覆うようにロート状に拡がる開口部10を備えている噴射部材本体11と、噴射通路9の筒部12に装着される衝突部材13とからなる。
【0050】
衝突部材13は、図2(b)に示されるように、噴射部材本体11の開口部10を覆うための、凸面形状のカバー部14と、カバー部14の中心に備えられた軸部15とからなる。軸部15は、十字の断面形状を有し、噴射通路9の筒部12に差し込んだ際に、噴射通路9と軸部15により4箇所の溝16が形成される。
【0051】
図1に示されるように、衝突部材13が噴射部材本体11に装着されている状態では、開口部10の開口の内周とカバー部14の外周との間の隙間が吐出孔17となり、ロート状に拡がる開口部10内部と衝突部材13の間の空間が膨張室18になる。膨張室18の断面積は噴射通路9の断面積よりも大きく、1.5〜25倍、さらには2〜20倍であることが好ましい。
【0052】
前記噴射部材6の天面を指で押し下げると、エアゾールバルブ3のステム5が降下してステム孔が開放され、エアゾール容器4内部のエアゾール組成物7がステム孔からステム内通路を通って噴射部材6の噴射通路9に供給される。さらに、軸部15と噴射通路9により形成された溝16を通過してカバー部14内面の衝突部19に衝突し、噴射の勢いが抑制され、膨張室18において水性原液と乳化している液化ガスの一部が気化する。このとき吐出物は液化ガスの気化により冷却されて発泡が抑制されると共に一部が氷結してみぞれ状となり、開口部10の先端に環状に形成された複数の凹部20を通って(図2(a)を参照)、開口部10の開口内周とカバー部14の外周との間に形成された環状の吐出孔17より吐出される。それにより、噴射対象物に勢いよく噴射されることもなく、液化ガスの気化が膨張室18内で集中的に起こりやすいため、発泡が抑制されて一部が氷結したやわらかいみぞれ状になりやすい。みぞれ状の吐出物は、優れた冷却効果を有し、指や手のひらなどで塗り広げるとシャリシャリとした感触が得られ、噴射面からの流れ落ちず、さらに皮膚から「みぞれ」に直接熱が伝わりにくいためこの状態が維持されやすく、さらに吐出時に飛び散りがなく、効果的に塗布することが可能な泡を形成することが出来る。
【0053】
実施の形態2
実施の形態2のエアゾール製品の噴射部材21は、図3に示されるように、ステム装着部22、噴射通路23を備えた噴射部材本体24と、噴射部材本体24の開口部に装着される衝突部材25とからなる。
【0054】
この噴射部材本体24の噴射通路23は、ステム装着部22の上方に上方噴射通路26が形成されており、上方噴射通路26の上部から側方に延び、上方噴射通路26よりも断面積が小さくなった側方噴射通路27が形成されている。さらに、内部に側方噴射通路27よりも断面積が大きくなった通路を有する筒状の開口部を備えており、開口部の内部空間が膨張室28として作用する。なお、前記膨張室28の断面積は、上方噴射通路26の断面積よりも大きいことが好ましい。
【0055】
衝突部材25は、円板上のカバー部29と、カバー部29の中心から突出する衝突部30と、衝突部30の周囲に設けられた複数の吐出孔31と、カバー部29の外周に設けられた筒状の装着部(図示せず)を備えている。衝突部材25は、噴射部材本体24の開口部を覆うように装着される。
【0056】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に噴射部材21を押し下げてステム孔を開放すると、エアゾール容器内部のエアゾール組成物がステム孔からステム内通路を通って噴射部材21の上方噴射通路26、側方噴射通路27に供給される。側方噴射通路27の断面積は上方噴射通路26よりも断面積が小さいため流速は速くなるが、膨張室28に入った直後に衝突部30と衝突するため噴射の勢いが充分に抑制され、膨張室28において水性原液と乳化している液化ガスの気化が起こりやすく、吐出物はみぞれ状になりやすい。
【0057】
実施の形態3
実施の形態3のエアゾール製品の噴射部材32は、図4に示されるように、噴射部材32本体のノズル33が長く、衝突部材を備えていないこと以外は、実施の形態2のエアゾール製品の噴射部材21と同じ構成である。ノズル33を長くすることで膨張室34の容積が大きくなるため、衝突部材を設けなくても膨張室34内で液化ガスが気化しやすくなり、みぞれ状に吐出することができる。特に、膨張室の長さを噴射通路より長くすることが好ましい。
【0058】
実施の形態4
実施の形態4のエアゾール製品の噴射部材35は、図5(a)と図5(b)に示されるように、ステム装着部36の上方に噴射通路37が形成されており、噴射通路37の上部から側方に膨張室38が設けられ、膨張室38の先端開口が吐出孔39である。膨張室38の断面積は、図5(b)に示すように、噴射通路37側から吐出孔39にかけて断面積が大きくなるように拡がっており、噴射通路37の断面積よりも大きい。本実施の形態では、開口部を幅広くすることで膨張室38の容積が大きくため、衝突部材を設けなくても膨張室38内で液化ガスが気化しやすくなり、みぞれ状に吐出することができる。
【0059】
実施の形態5
実施の形態5のエアゾール製品の噴射部材40は、図6に示されるように、ステム装着部41とは別に、エアゾール容器に装着するための装着部42を備えており、膨張室43を構成するノズル44は上方を向いている。さらに膨張室43は吐出孔45近辺で断面積が大きくなっており、断面積を段階的に大きくすることで液化ガスが気化しやすくなり、みぞれ状に吐出しやすくなる(本実施の形態では、2段階で断面積が大きくなる場合を例示)。またこの実施の形態5はエアゾール製品を倒立状態で使用することができるため、たとえば足首や足の甲、足の指や指の間、ふくらはぎ、ひざなどに直接塗布することができる。
【0060】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
評価方法を下記に示す。
<吐出物の状態>
エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持したのち、エアゾール組成物0.5gを手のひらに吐出したときの吐出物の状態を観察した。
○ :小さく発泡し、一部が氷結したみぞれ状になる。
△ :発泡がやや大きいが、一部が氷結したみぞれ状になる。
×1:完全氷結する。
×2:大きく発泡したのち液状になる。
<使用感>
エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持したのち、エアゾール組成物0.5gを手のひらに吐出し、吐出物を指先で潰したときの状態を、以下の基準により評価した。
○ :シャリシャリとした感触が得られた。
×1:固く、シャリシャリ感はない。
×2:液状であり、シャリシャリ感はない。
<付着性>
エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持したのち、エアゾール組成物0.5gを3cm離れたところから腕に吐出し、肌への付着性を観察した。
○:ほとんどが付着し、飛び散らない。
△:付着するが短時間で流れ落ちる。
×:飛び散りが多い。
【実施例】
【0062】
実施例1
下記の水性原液を調製し、水性原液20gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス80gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、噴射部材は図1に示すものを用いた。結果を表1に示す。
【0063】
<水性原液>
キサンタンガム 0.5
ジプロピレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 1.0
精製水 92.4
タルク 1.0
合 計 100.0(重量%)
【0064】
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*2)=20/80(重量比)
*1:NIKKOL PBC−44(商品名)、HLB12.5、日光ケミカルズ(株)製
*2:イソブタンとノルマルブタンの混合物、20℃での蒸気圧が0.15(MPa)
【0065】
実施例2
キサンタンガムの代わりにローカストビーンガムを用いた以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0066】
実施例3
キサンタンガムの代わりにヒドロキシエチルセルロースを用いた以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0067】
実施例4
キサンタンガムの代わりにアルギン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0068】
実施例5
キサンタンガムの代わりにゼラチンを用いた以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0069】
実施例6
キサンタンガムの代わりに2種類の天然ガムの混合物(*3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
*3:HR−H039(商品名)、新田ゼラチン(株)製
【0070】
実施例7
下記の水性原液を調製し、水性原液30gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス70gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、噴射部材は図1に示すものを用いた。結果を表1に示す。
【0071】
<水性原液>
キサンタンガム 0.5
乳酸カルシウム0.5%水溶液 8.0
ジプロピレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
精製水 84.4
タルク 1.0
合 計 100.0(重量%)
【0072】
実施例8
キサンタンガムの代わりに2種類の天然ガムの混合物(*3)を用いた以外は、実施例7と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0073】
実施例9
水性原液30g、液化石油ガス70gを充填した以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0074】
実施例10
水性原液30g、液化石油ガス70gを充填した以外は、実施例4と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0075】
実施例11
水性原液30g、液化石油ガス70gを充填した以外は、実施例6と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0076】
実施例12
ジプロピレングリコールの代わりに濃グリセリンを用いた以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0077】
実施例13
ジプロピレングリコールの代わりに濃グリセリンを用いた以外は、実施例3と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0078】
実施例14
ジプロピレングリコールの代わりに濃グリセリンを用いた以外は、実施例4と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0079】
実施例15
ジプロピレングリコールの代わりに95%エタノールを用いた以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0080】
実施例16
ジプロピレングリコールの代わりに95%エタノールを用いた以外は、実施例3と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0081】
実施例17
ジプロピレングリコールの代わりに95%エタノールを用いた以外は、実施例4と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0082】
実施例18
下記の水性原液を調製し、水性原液20gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス80gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、噴射部材は図1に示すものを用いた。結果を表1に示す。
【0083】
<水性原液>
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
95%エタノール 20.0
メチルパラベン 0.1
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
精製水 77.4
タルク 1.0
合 計 100.0(重量%)
【0084】
実施例19
95%エタノールを30.0重量%、精製水を67.4重量%に変更した以外は、実施例18と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0085】
比較例1
水性原液60g、液化石油ガス40gを充填した以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*2)=60/40(重量比)
【0086】
比較例2
キサンタンガムの代わりにローカストビーンガムを用いた以外は、比較例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0087】
比較例3
キサンタンガムの代わりにヒドロキシエチルセルロースを用いた以外は、比較例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0088】
比較例4
キサンタンガムの代わりにアルギン酸ナトリウムを用いた以外は、比較例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0089】
比較例5
キサンタンガムの代わりにゼラチンを用いた以外は、比較例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0090】
比較例6
キサンタンガムの代わりに2種類の天然ガムの混合物(*3)を用いた以外は、比較例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0091】
比較例7
水性原液5g、液化石油ガス95gを充填した以外は、実施例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*2)=5/95(重量比)
【0092】
比較例8
キサンタンガムの代わりにローカストビーンガムを用いた以外は、比較例7と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0093】
比較例9
キサンタンガムの代わりにヒドロキシエチルセルロースを用いた以外は、比較例7と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0094】
比較例10
キサンタンガムの代わりにアルギン酸ナトリウムを用いた以外は、比較例7と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0095】
比較例11
キサンタンガムの代わりにゼラチンを用いた以外は、比較例7と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0096】
比較例12
キサンタンガムの代わりに2種類の天然ガムの混合物(*3)を用いた以外は、比較例7と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0097】
比較例13〜18
図1の噴射部材の代わりに図7の噴射部材を用いた以外は、実施例1〜6と同様にしてエアゾール組成物を製造した。結果を表1に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
表1に示されるように、エアゾール組成物における水性原液と液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)の範囲から外れた比較例のうち、エアゾール組成物における液化ガスの配合比が少ない場合(比較例1〜6参照)は、大きく発泡し、みぞれ状態にならず、液状であるためシャリシャリ感は得られなかった。またこれらは、腕に吐出した場合、付着するが短時間で流れ落ち、付着性が悪かった。また、エアゾール組成物における液化ガスの配合比が多い場合(比較例7〜12参照)は、吐出物が完全に氷結し、固く、シャリシャリ感は得られなかった。またこれらは、勢いが強すぎて飛散しやすく付着性が悪かった。
【0100】
膨張室を持たない噴射部材を用いた場合(比較例13〜18参照)は、吐出物が完全に氷結し、固く、シャリシャリ感は得られなかった。またこれらは、勢いが強すぎて飛散しやすく付着性が悪かった。
【0101】
次に処方例を示す。
1.消炎鎮痛剤
下記の水性原液を調製し、水性原液25gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス75gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、噴射部材は図1に示すものを用いた。
<水性原液>
インドメタシン 1.0
l−メントール 0.5
ジプロピレングリコール 5.0
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 1.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
ペクチン 1.5
精製水 89.5
タルク 1.0
合 計 100.0(重量%)
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*2)=25/75(重量比)
【0102】
2.かゆみ止め
下記の水性原液を用いた以外は、処方例1と同様にしてエアゾール組成物を製造した。
<水性原液>
酢酸トコフェロール 0.5
リドカイン 2.0
ジフェニルヒドラミン 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
POE(60)硬化ヒマシ油(*4) 1.0
95%エタノール 5.0
キサンタンガム 0.5
精製水 88.5
タルク 1.0
合 計 100.0(重量%)
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*2)=25/75(重量比)
*4:HCO−60(商品名)、HLB14.0、日光ケミカルズ(株)製
【0103】
3.ほてり止め
下記の水性原液を調製し、水性原液30gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス70gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、噴射部材は図3に示すものを用いた。
<水性原液>
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
l−メントール 0.05
アロエエキス 0.05
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 1.0
95%エタノール 5.0
2種類の天然ガムの混合物(*3) 0.5
乳酸カルシウム0.5%水溶液 8.0
精製水 84.35
タルク 1.0
合 計 100.0(重量%)
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*2)=30/70(重量比)
【0104】
4.制汗剤
下記の水性原液を調製し、水性原液20gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス80gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、噴射部材は図6に示すものを用いた。
<水性原液>
クロルヒドロキシアルミニウム 3.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 1.0
95%エタノール 10.0
ゼラチン 0.5
精製水 83.5
エチレン・アクリル酸共重合体 0.5
タルク 0.5
合 計 100.0(重量%)
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*2)=20/80(重量比)
【0105】
5.育毛剤
下記の水性原液を調製し、水性原液35gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス65gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、噴射部材は図1に示すものを用いた。
<水性原液>
トウガラシチンキ 0.05
酢酸dl−α−酢酸トコフェロール 0.05
レゾルシン 0.1
l−メントール 0.1
1,3−ブチレングリコール 5.0
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 1.0
アルギン酸ナトリウム 0.5
精製水 92.7
タルク 0.5
合 計 100.0(重量%)
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*2)=35/65(重量比)
【0106】
以上のように、本発明のエアゾール製品およびその吐出方法によれば、皮膚などに吐出すると小さく発泡し、一部が氷結したやわらかいみぞれ状になり、優れた冷却効果が得られ、吐出物中を塗り伸ばすとシャリシャリとした心地よい使用感が得られ、さらに、噴射面からの流れ落ちが防止され、皮膚から「みぞれ」に直接熱が伝わりにくいためこの状態が維持されやすく冷却感が持続する効果が得られ、さらに吐出時に飛び散りがなく、効果的に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態1)におけるエアゾール製品の部分断面図である。
【図2】図1の噴射部材の正面図および衝突部材の底面図である。
【図3】本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態2)における噴射部材の側面断面図である。
【図4】本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態3)における噴射部材の側面断面図である。
【図5】本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態4)における噴射部材の側面断面図および上面断面図である。
【図6】本発明のエアゾール製品の一実施態様(実施の形態5)における噴射部材の側面断面図である。
【図7】従来のエアゾール製品の噴射部材の側面断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1 エアゾール製品
2 容器本体
3 エアゾールバルブ
4 エアゾール容器
5 ステム
6、21、32、35、40、48 噴射部材
7 エアゾール組成物
8、22、36、41 ステム装着部
9、23、37、46 噴射通路
10 開口部
11、24 噴射部材本体
12 筒部
13、25 衝突部材
14、29 カバー部
15 軸部
16 溝
17、31、39、45、47 吐出孔
18、28、34、38、43 膨張室
19、30 衝突部
20 凹部
26 上方噴射通路
27 側方噴射通路
42 装着部
33、44 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性原液と液化ガスとからなり、該水性原液と該液化ガスが乳化されてなるエアゾール組成物が、噴射部材を装着したエアゾール容器に充填されたエアゾール製品であって、
前記水性原液が水溶性高分子と界面活性剤を含有し、
前記エアゾール組成物における前記水性原液と前記液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)であり、
前記噴射部材が、前記エアゾール容器のステムに装着される装着部と、噴射通路と、吐出孔を備えており、
前記噴射通路と前記吐出孔との間に、噴射通路の断面積よりも大きな断面積を有する膨張室が設けられてなるエアゾール製品。
【請求項2】
前記水溶性高分子が、多糖類、セルロース類、アルギン酸塩、またはこれらの混合物である請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項3】
前記水性原液中に、アルコール類が3〜30重量%含有されてなる請求項1または2記載のエアゾール製品。
【請求項4】
前記噴射部材に、前記膨張室の開放端を閉塞する衝突部が設けられてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアゾール製品。
【請求項5】
前記吐出孔が、前記噴射部材と前記衝突部との間隙に設けられた孔である請求項4記載のエアゾール製品。
【請求項6】
水性原液と液化ガスとからなり、該水性原液と該液化ガスが乳化されてなるエアゾール組成物が、エアゾール容器に充填されたエアゾール製品の吐出方法であって、
(1)吐出時に、水性原液と乳化している液化ガスの少なくとも一部が、前記エアゾール容器のステムに装着された噴射部材の噴射通路を通過し、該噴射通路と吐出孔の間に設けられた、噴射通路の断面積よりも大きな断面積を有する膨張室で気化する工程と、
(2)液化ガスの気化により冷却されたエアゾール組成物を、前記吐出孔から吐出する工程
とを含んでなるエアゾール製品の吐出方法。
【請求項7】
前記水性原液が水溶性高分子と界面活性剤を含有し、
前記エアゾール組成物における前記水性原液と前記液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)である請求項6記載のエアゾール製品の吐出方法。
【請求項8】
前記水溶性高分子が、多糖類、セルロース類、アルギン酸塩、またはこれらの混合物である請求項6または7記載のエアゾール製品の吐出方法。
【請求項9】
前記水性原液中に、アルコール類が3〜30重量%含有されてなる請求項6〜8のいずれか1項に記載のエアゾール製品の吐出方法。
【請求項10】
前記噴射部材に、衝突部が設けられてなる請求項6〜9のいずれか1項に記載のエアゾール製品の吐出方法。
【請求項11】
前記吐出孔が、前記噴射部材と前記衝突部との間隙に設けられた環状の孔である請求項10記載のエアゾール製品の吐出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−120525(P2009−120525A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295611(P2007−295611)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】