説明

エアゾール製品

【課題】本発明は、一旦貯留したエアゾール組成物を噴出するものであって、使用操作と同時に液滴状にも滴下することができるエアゾール製品を提供する。
【解決手段】エアゾール容器11と、その容器に装着される噴出部材12と、エアゾール容器内に充填されるエアゾール組成物Aとからなるエアゾール製品10。噴出部材12は、本体43と、その本体43に収容される貯留部材44と、その貯留部材44を圧縮する圧搾部材45とからなり、貯留部材44は、エアゾール容器から放出されるエアゾール組成物を一時貯留すると共に外力により収縮可能であり、その貯留部材は圧搾部材を用いて圧搾される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール製品に関する。さらに詳しくは、エアゾール組成物を一旦貯留し、圧搾して噴出するエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2004−217264号公報
【0003】
エアゾール製品は、噴射剤(圧縮ガス、液化ガス)と有効成分を含む原液とを同一容器内に充填したものであり、容器内を大気に開放することにより、噴射剤の力で原液あるいは原液及び噴射剤を噴出するものである。このような性質から、内容物を空気中に分散させて霧状に噴射させるエアゾール製品が一般的に製造されている。しかし、霧状に噴射させるだけでなく、液状(棒状あるいは液滴状)や泡状やジェル状に噴出する製品も製造されており、ヘアスプレー、抗真菌剤、消炎鎮痛剤、殺虫剤、塗料、消臭剤等様々な商品として取り扱われている。
【0004】
特許文献1には、原液及び30重量%以上の液化ガスを含有するエアゾール組成物を充填したエアゾール製品であって、そのエアゾール組成物を液滴状に滴下できる滴下型エアゾール製品が開示されている。通常、液化ガスを30重量%以上含有したエアゾール組成物は、霧状に噴射される。しかし、特許文献1では、滴下量と、エアゾール組成物の流速を調整することにより、エアゾール組成物を周囲に飛散することもなく目的部位にのみ液化ガスを含んだ液滴状に滴下することができ、さらに、目的部位に対して優れた冷却効果が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では容器内のエアゾール組成物の流速を調整しているため、バルブを開放してから液滴状に滴下されるまでに時間がかかる。また、液滴を目視で確認しながら使用することができる目的部位では、エアゾール製品の使い過ぎを防止できるが、液滴を確認できない目的部位、たとえば、肩、背中、頭皮などでは、使用量が確認できず、使い過ぎるおそれがある。
【0006】
上述の問題点を鑑みて、本発明は、エアゾール組成物を噴出するものであって、使用操作と同時に液滴状にも滴下することができるエアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエアゾール製品は、エアゾール組成物を充填するエアゾール容器と、そのエアゾール容器に装着される噴出部材とからなるエアゾール製品であって、前記噴出部材が、エアゾール容器から放出されるエアゾール組成物を一時貯留すると共に外力により収縮可能な貯留部材と、その貯留部材を圧搾する圧搾部材とを備えていることを特徴としている。
【0008】
このようなエアゾール製品であって、前記貯留部材にエアゾール組成物を貯留する貯留操作と、貯留部材を圧搾する圧搾操作とを別々に行うことができるものが好ましい。また、貯留部材が軟質な発泡体で構成されているものが好ましい。
【0009】
本発明のエアゾール製品に使用するエアゾール組成物は、液化ガスを30〜99重量%含有しているものが好ましい。そして、本発明のエアゾール製品は、貯留部材に貯留したエアゾール組成物を、圧搾操作により貯留部材から噴出する第1状態と、前記貯留部材から直接塗布する第2状態とを切り替えることができることが好ましい。
さらに、前記貯留操作から圧搾操作への操作の移行を連続して行うことができるものが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエアゾール製品(請求項1)は、噴出部材がエアゾール容器から放出されるエアゾール組成物を一時貯留すると共に外力により収縮する貯留部材を備えているため、噴出されるエアゾール組成物は、必ず貯留部材を経由する。そのため、貯留部材に貯留されている量のエアゾール組成物を噴出することができ、エアゾール組成物の過度の使用を防止できる。また、貯留部材を圧搾する圧搾部材を備えているため、圧搾操作とほぼ同時にエアゾール組成物を液滴状にも滴下することができる。さらに、使用者が圧搾の加減をすることにより、単位時間当たりの噴出量や、噴出状態(霧状、棒状、液状、液滴状など)を使用者でコントロールすることができ、かつ、エアゾール組成物を飛散させることなく付与することができ、エアゾール組成物の効率がよい。
【0011】
本発明のエアゾール製品であって、貯留部材にエアゾール組成物を貯留する貯留操作と、その貯留部材を圧搾する圧搾操作とを別々に行うことができる場合(請求項2)、貯留部材の貯留量が噴出量の最大量となるため、過度の使用を確実に防止できる。
また、貯留部材が軟質な発泡体で構成されている場合(請求項3)、エアゾール組成物が貯留部材に浸透しやすく、短時間で貯留できる。さらに貯留部材を圧搾するのに必要な力が小さくてすみ、圧搾部材を押部(患部)に直接押し付けても、患部に強い力が加わらない。特にバルブのバネよりも弱い力で圧搾できる場合は、そのバネの弾発力を受けない。
【0012】
本発明のエアゾール組成物が液化ガスを30〜99重量%含有している場合(請求項4)、貯留部材内で液化ガスの一部が気化し、その気化熱により残存しているエアゾール組成物を冷却するため、液化ガスのさらなる気化を防止する。つまり、噴出されるエアゾール組成物には、液化ガスが含まれている。そのため、噴出物が目的部位(患部)に付与されると、液化ガスが目的部位の表面温度(体温)により速やかに気化し、その気化熱によってさらなる冷却効果が得られる。そして、目的部位に付着した後は、直ぐに揮発するため、液状あるいは液滴状に滴下しても垂れ落ちない。
【0013】
前記貯留部材に貯留したエアゾール組成物を圧搾操作により貯留部材から噴出する第1状態と、前記貯留部材から直接塗布する第2状態とを切り替えることができる場合、霧状、棒状、液状、液滴状などの噴出形態では付与しにくい箇所(たとえば背中)に対して使用するときに第2状態とすることでエアゾール組成物の付与が容易になり、エアゾール製品の使用範囲が広くなる。前記貯留操作から圧搾操作への操作の移行を連続して行うことができる場合(請求項6)エアゾール製品を持ち替えずに貯留操作から圧搾操作へ移行できるため、操作が簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明のエアゾール製品を図面を用いて説明する。図1は本発明のエアゾール製品の一実施形態を示す側面断面図、図2aはその拡大図、図2bはそのエアゾール製品を使用している状態の拡大図、図3a、bは本発明のエアゾール製品に用いることができる圧搾部材の他の実施形態を示す側面断面図、上面図、図3cは本発明のエアゾール製品に用いることができる圧搾部材のさらに他の実施形態を示す側面断面図、図4aは本発明のエアゾール製品の他の実施形態を示す一部側面断面図、図4bは、図4aの噴出部材を示す斜視図、図4cはその噴出部材のストッパを示す上面図、図5a、図5bは、それぞれ図4aのエアゾール製品の使用状態を示す一部側面断面図、図6aは本発明のエアゾール製品のさらに他の実施形態を示す一部側面断面図、図6bはその肩カバーを示す斜視図、図7a、7bは、それぞれ図6aのエアゾール製品の使用状態を示す一部側面断面図、図8は、本発明のエアゾール製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図、図9は、図8のエアゾール製品の使用を示す斜視図、図10aは、本発明のエアゾール製品の他の実施形態を示す一部側面断面図、図10bは、図10aのエアゾール製品の貯留状態を示す一部側面断面図、図10cは、図10aのエアゾール製品の圧搾状態を示す一部側面断面図、図11aは本発明のエアゾール製品のさらに他の実施形態を示す一部側面断面図、図11bはその圧搾操作を示す一部側面断面図、図12aは本発明のエアゾール製品のさらに他の実施形態を示す一部側面断面図であり、図12bはその圧搾操作を示す一部側面断面図である。
【0015】
図1に示すエアゾール製品10は、エアゾール容器11と、その容器に装着される噴出部材12と、エアゾール容器内に充填されるエアゾール組成物Aとからなる。
エアゾール容器11は、耐圧容器13と、その耐圧容器の開口に固着されたエアゾールバルブ(以下、バルブという。)14とからなる。
【0016】
耐圧容器13は、従来公知のものであり、アルミニウム、ブリキなどの金属板を絞りしごき加工またはインパクト加工により底部15および円筒状の胴部16を備えた有底筒状に形成し、ついで、その胴部上端にネッキング加工を施して肩部17を形成し、肩部上端にカーリング加工によりビード部18を形成したものである。また、底部15は中心に向けてテーパー状に盛り上がる山型に形成している。これにより、内圧に対する容器の耐圧性が高まり変形しにくい。なお、合成樹脂や耐圧ガラスなど、耐圧性を有する他の材質のものを用いてもよい。
【0017】
エアゾールバルブ14は、耐圧容器13の開口に固定される金属製のマウンティングカップ21と、そのマウンティングカップの中央に保持される筒状で合成樹脂製のハウジング22と、そのハウジング内に上下移動自在に収容されステム孔23を有する合成樹脂製のステム24と、そのステムを常時上向きに付勢するバネ25と、前記ステム孔を塞ぐステムラバー26と、前記ハウジングの下端から容器本体の底部に延びているディップチューブ27とからなるものである。これらの部材の材料は特に限定されず、金属から形成しても、合成樹脂により形成してもよい。
【0018】
また、マウンティングカップ21は、ハウジング22を保持する上底筒状のハウジング保持部28と、そのハウジング保持部下端から水平方向外側に延びる円板部29と、その円板部外縁から上方に立ち上がる円筒状の側壁部30と、その側壁部上端に形成された耐圧容器のビード部18に側壁部30をクリンプして固定されるカール部31とを備えている。
さらに、ハウジング保持部の上底には、ステムを通す中心孔32が形成されており、ハウジング保持部の下部には、ハウジングを保持するためにクリンプによって形成された複数の凹部33が環状に形成されている。
【0019】
噴出部材12は、図2aに示すように、エアゾール容器11のエアゾールバルブ14に装着するための容器装着部41と、その容器装着部41とヒンジ42を介して連結している本体43と、その本体43に収容される貯留部材44と、その貯留部材44を圧縮する圧搾部材45とからなる。
【0020】
容器装着部41は、円筒状のものであり、その下端の内周にマウンティングカップ21のカール部31の外周と係合する容器係合部46が形成されており、その上端にヒンジ42が形成されている。
【0021】
本体43は、ヒンジ42を介して容器装着部41と連結している円筒状の筒部48と、その筒部の下部に設けられた底部49とからなる。また、底部49の下面の中央から下方に突出するように形成され、筒部48内を底部49で区画した上面側の上部空間と連通してエアゾールバルブのステム24に係合される円筒状のステム装着部50を備えている。また、符号51は、ステム24と筒部48の上部空間とをつなぐステム装着部50の本体通路である。貯留部材44は、この筒部48の上部空間に挿入することによって収納される。
さらに、筒部48の外周であって、前記ヒンジ42の反対側の部位に外側に突出した操作部52が設けられている。しかし、この操作部52は、ヒンジ42の反対側の外周であれば、その高さは特に限定されず、筒部48の上端に設けられていてもよい。また、この筒部の底部49の上面には、本体通路51から放射状に伸びる複数の連通路53が形成されている。これによりエアゾール組成物は底部49の様々な方向から貯留される。
【0022】
貯留部材44は、円柱状のものであり、筒部48内に収容されるものであり、柔軟で収縮性を有する部材で構成されている。特に、軟質な発泡体で構成されているのが好ましい。この貯留部材44は、本体43の底部49に接着されてもよく、筒部48の内径と嵌合するように設計してもよい。
軟質な発泡体は、たとえば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリスチレンなどの合成樹脂を発泡させて所定の形状に成形した発泡樹脂を用いることができる。前記発泡体は、見かけ密度が0.005〜0.1(g/cm)であることが好ましく、さらには0.01〜0.08(g/cm)であることが好ましい。発泡体の見かけ密度が0.005(g/cm)よりも小さい場合はエアゾール組成物の保持時間が短く圧搾する前に液状で流出しやすくなり、容器の向きを変えたときなどに垂れ落ちやすい。また、発泡体の強度が弱く、圧搾により損傷しやすくなる。一方、発泡体の見かけ密度が0.1(g/cm)よりも大きい場合は固くなりやすく、圧搾しにくくなる。ここで、見かけ密度とは、内部に空隙を含んだ材料の体積によってその質量を除した値である。また圧搾操作のしやすさや、圧搾操作したときの収縮性、エアゾール組成物の搾り出しやすさなどの点から、発泡体の圧縮強度(25%圧縮するのに要する力)は0.01〜1(kg/cm)であることが好ましい。
【0023】
圧搾部材45は、有底筒状の部材であり、底面56と、その底面周縁から立ち上がる側壁57と、底面中央から上方に突出する噴出ノズル58とを備えている。側壁57の高さは噴出ノズル58より高く設計されている。そのため、側壁57の上端によって形成される開口部を目的箇所(例えば、頭皮、肩、腕、脚、背中等)に押し付けることにより開口部で囲まれている部位にエアゾール組成物を付与することができる。前記側壁57の外径は、筒部48の内径と実質的同じあるいは若干小さい。噴出ノズル58には、噴出孔59が形成されている。このように構成されているため、圧搾部材45は、底面56が貯留部材44を圧縮するように本体の筒部48内に収容される。また、貯留部材44と噴出孔59とは噴出ノズル通路60を介して連通している。ここで圧搾部材45は、筒部48の内周との摩擦によって保持されているが、貯留部材44に接着して固定してもよい。
【0024】
前記エアゾール容器に充填されるエアゾール組成物Aは、有効成分を含む原液と液化ガスとからなる。
前記有効成分は、製品の用途や目的などに応じて適宜選択できるものであり、たとえば、サリチル酸メチル、ケトプロフェン、インドメタシン、フェルビナク、ピロキシカムなどの消炎鎮痛剤;硝酸ミコナゾール、エコナゾール、ビフォナゾール、クロトリマゾール、塩酸ネチコナゾール、硝酸スルコナゾール、硝酸オキシコナゾール、塩酸テルビナフィン、塩酸ブテナフィンなどの抗真菌剤;尿素などの鎮痒剤;N、N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミドなどの害虫忌避剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾールなど殺菌剤;トウガラシチンキ、ジカプリル酸ピリドキシン、センブリ抽出物、酢酸―dl−α―トコフェロールなどの血行促進剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;アラントインヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸などの収斂剤;アラントイン、グリチルレチン酸、アズレンなどの抗炎症剤;塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤;塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェミラミンなどの抗ヒスタミン剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤;クロロヒドロキシアルミニウムなどの制汗剤;グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、セリン、シスチン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸;レチノール、パルミチン酸レチノール、塩化ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類;ドクダミエキス、オウバクエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、キナエキス、サクラソウエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;合成香料、天然香料などの香料;などがあげられる。
【0025】
有効成分の配合量は、原液中1〜50重量%、さらには2〜40重量%であることが好ましい。有効成分の配合量が1重量%よりも少ない場合は有効成分濃度が低く、所望の効果を得るためには使用量が多くなり、50重量%よりも多くなると有効成分濃度が高く、使用上限を超えて使用しやすく悪影響を及ぼす恐れがある。
また、この有効成分を溶媒に配合することで原液を調製することができる。なお、有効成分の効果を得やすくする、有効成分を安定化させる、使用感を向上させるなどの目的で、補助成分を配合してもよい。また、原液は貯留部材内で液化ガスが徐々に気化しても有効成分や補助成分が溶媒から分離しないように均一に溶解しているものが好ましい。これにより、均一な組成で噴出できる。
【0026】
溶媒は有効成分を溶解あるいは分散させるだけでなく、エアゾール組成物が貯留部材内で貯留されたときに液化ガスの気化によって冷却され冷却効果を持続させる。前記溶媒としては、たとえば、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水などの水;エタノール、イソプロパノールなどの1価の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどの多価アルコールなどがあげられる。
溶媒の配合量は特に限定されないが、原液中50〜99重量%、さらには60〜98重量%であることが好ましい。溶媒の配合量が50重量%よりも少ない場合は冷却効果が持続しにくくなり、99重量%よりも多くなると有効成分を必要量配合しにくくなり1回での使用量が多くなる。
【0027】
前記補助成分としては、たとえば、油性成分、界面活性剤、pH調整剤、増粘剤などがあげられる。
前記油性成分は、有効成分を付着しやすくする、さらっとした感触を得るなど使用感を向上させる、皮膚に潤いを与える、乾燥しにくくするなどの目的で用いられ、たとえば、シリコーンオイル、エステルオイル、液状の炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸、ロウ(ワックス類)、油脂などがあげられる。
前記界面活性剤は、溶媒に溶解し難い有効成分を可溶化させる、有効成分を付着させやすくする、などの目的で用いられ、たとえば、非イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤などがあげられる。
前記pH調整剤は、原液のpHを調整して有効成分を安定に溶解するなどの目的で用いられ、たとえば、有機アルカリ、無機アルカリ、有機酸、無機酸などがあげられる。
【0028】
前記液化ガスは、エアゾール組成物Aの噴射剤として、さらにはエアゾール組成物が貯留部材44内に貯留されたときに一部が気化して貯留部材44内のエアゾール組成物自身を冷却する自己冷却成分として作用する。そのため、貯留部材44から噴出される噴出物の温度は低く、患部等に付着したときに優れた冷却感が得られる。前記液化ガスは沸点が5℃以下であるものが冷却効果に優れているという点から好ましく、たとえば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物からなる液化石油ガス、ジメチルエーテル、および液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物などがあげられる。さらに冷却効果や液体状態での保持時間などの調整するためにノルマルペンタン、イソペンタンなどの沸点が5〜40℃である炭化水素を配合しても良い。特に、貯留部材44内で液化ガスが液体状態で保持されやすく、貯留部材44を圧縮することにより液滴状に搾り出しやすい点から、20℃での蒸気圧が0.05〜0.3(MPa)、さらには0.08〜0.2(MPa)である液化ガスを用いることが好ましい。液化ガスの蒸気圧が0.05(MPa)よりも低い場合は噴出物が付着した箇所での揮発が遅く液垂れしやすい。一方、液化ガスの蒸気圧が0.3(MPa)よりも高い場合は、貯留部材44内での気化が速いため、貯留部材44を圧縮しても液滴状に搾り出しにくくなる。
【0029】
原液と液化ガスの配合比(重量比)は、原液/液化ガス=70/30〜1/99であることが好ましく、さらには50/50〜1.5/98.5、特に30/70〜2/98であることが好ましい。原液/液化ガスの配合比が70/30よりも大きい場合、すなわち液化ガスの配合量が30重量%よりも少ない場合は、自己冷却能力が不充分であり、冷却効果が弱くなりやすい。一方、原液/液化ガスの配合比が1/99よりも小さい場合、すなわち液化ガスの配合量が99重量%よりも多い場合は付与した箇所での付着時間が短くなりすぎ、冷却効果が持続し難くなる。
【0030】
このエアゾール組成物Aは、耐圧容器13に原液を充填し、耐圧容器13の開口部にエアゾールバルブ14を固着するときに液化ガスをアンダーカップ充填により充填し、両者をエアゾール容器内で混合することにより調整できる。得られるエアゾール組成物Aは、貯留部材44内で液化ガスが徐々に気化しても原液と液化ガスとが分離しないように均一に溶解しているものが好ましい。これにより均一な組成で噴出できる。なお、低温時の圧力降下を少なくして貯留部材にエアゾール組成物を短時間で供給する、血行を促進して有効成分の効果を得やすくするなどの目的で、窒素ガス、炭酸ガス、圧縮空気などの圧縮ガスを配合しても良い。
【0031】
このように構成されているエアゾール製品10は、次のようにして使用される。初めにエアゾール製品10を正立させた状態で、本体43の操作部52を押し下げる(貯留操作)。これにより、本体43がステム24と共に下降し、バルブのステム孔23が開放される。そのため、エアゾール容器内に充填されたエアゾール組成物Aがディップチューブ27下端の開口からステム24及び本体通路51を介して筒部48内に収納されている貯留部材44に供給され、貯留される。このとき、貯留部材44内において、液化ガスの一部が気化する。しかし、その気化熱によって貯留部材44の全体が冷却されるため、貯留部材44内では、液化ガスの全てがすぐに気化されず、残りの液化ガスは、貯留部材44内で原液と均一溶液を形成して存在する。また圧搾部材は、貯留部材の外表面を覆い、筒部との間で閉鎖空間を形成するため、液化ガスの気化を一層抑制し、液化ガスが残留しやすい。
この状態において、図2bに示すようにエアゾール製品10を反転、つまり、倒立させる。そして、貯留部材44を圧縮するように圧搾部材45を目的部位に押し付けると、貯留部材44に貯留されているエアゾール組成物Aが搾り出され、噴出ノズルから液滴状に滴下される(圧搾操作)。滴下したエアゾール組成物Aは、液化ガスを含有しているため、目的物に付着したと同時、あるいは、その後直ぐに体温や外気温度により液化ガスが気化し、目的物を冷却しつつ、揮発する。エアゾール組成物を液滴状に滴下する場合、液滴の大きさは、直径が0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mmである。また、液滴は噴出孔59から1滴ずつ滴下することが好ましい。しかし、噴出孔59から同時に複数個滴下してもよい。
この実施の形態ではエアゾール組成物を液滴状に滴下することができるが、圧搾する力を大きくし速度を速くすることにより液状に噴出することもできる。さらに、噴出ノズルの先端にメカニカルブレークアップ機構を備えたチップを挿入することにより霧状(ミスト状)に噴出することもできる。また、噴出ノズルを長くすることで棒状に噴出することもできる。
【0032】
この実施の形態では、貯留操作と圧搾操作とを別々に行っているため、貯留操作時に貯留部材44に貯留された量のエアゾール組成物を噴出する。そのため過度の使用を防止できる。さらに、圧搾操作時に本体43とステム24が下降し、ステム孔23が開放されても、エアゾール製品10は倒立状態にあるため、ディップチューブ27の開口はエアゾール容器内の気相部と連通することになり、液体のエアゾール組成物が貯留部材44に貯留されない。
【0033】
図3a、b、cに示す圧搾部材65、66は、図1の噴出部材12に使用することができるものである。圧搾部材65は、噴出ノズル65aを複数個設けているものである。このように噴出ノズルを複数個有しているため、広範囲にエアゾール組成物を付与することができる。また、圧搾部材66は、噴出ノズルを設けず、圧搾部材66の外径を本体の筒部48の内径より小さくし、貯留部材44の上面に貼り付けたものである。そのため、この圧搾部材66で貯留部材44を圧縮することにより、筒部48の内周と圧搾部材66の外周との隙間からエアゾール組成物Aを噴出することができる。
【0034】
図4a、b、cに示すエアゾール製品70は、噴出部材71が圧搾部材78の押し下げを妨げるストッパ73を備えたものである。
噴出部材71は、容器係合部46を備えている容器装着部75と、その容器装着部75とヒンジ42を介して連結している本体76と、その本体76に保持される貯留部材77と、その貯留部材77を圧搾する圧搾部材78とからなる。容器装着部75及び貯留部材77は、図1のエアゾール製品に使用されているものと実質的に同じである。
【0035】
本体76は、ヒンジ42を介して容器装着部75と連結している円筒状の筒部79と、その筒部内面に設けられた底部80とからなる。本体76は、筒部79の上部空間に貯留部材77を保持したとき、貯留部材77の上部が筒部79の上端から突出するように構成されている。また、他の構成は、図1の噴出部材の本体43と実質的に同じものである。
【0036】
圧搾部材78は、上底を有する筒状部材であり、天面81と、その天面周縁から下方に延びる外周壁82と、外周壁の内側に設けられ下方に延びる円筒状の内周壁87と、その外周壁82に係合されるストッパ73と、天面中央から上方に突出する噴出ノズル83とを備え、噴出部材の本体76を覆うように構成されており、外周壁82の下端の内周が容器装着部75の上端と嵌合して固定される。また、圧搾部材の外周壁82には下端から本体の操作部52を挿入して上下に可動できる高さに切り欠いた窓84が形成されている。さらに、圧搾部材の外周壁82の中間に、窓84近辺を残すように扇状のストッパ保持部85が形成されている。ストッパ73は、扇状のリングであり、その外周中心には把持部86が突出して設けられている(図4c参照)。また内周壁87の内側には、貯留部材77の上部が挿入されている。
【0037】
このようにエアゾール製品70は構成されているため、エアゾール製品70を正立させた状態で、窓84から突出している操作部52を押し下げる(貯留操作)。これにより、エアゾール組成物Aが図1の場合と同様に貯留部材44に貯められる。このときも図1と同様に貯留部材は閉鎖空間を形成するため、その全体が冷却され、液化ガスを液体状態で含むエアゾール組成物が貯留される。
この状態において、ストッパ73を圧搾部材78から取り外し、エアゾール製品70を反転、つまり、倒立させる(図5a参照)。そして、圧搾部材78の天面を矢印の方向に指で押すと(圧搾操作)、本体の上部空間と圧搾部材78との間に保持されている貯留部材77が圧縮され、貯留部材77内に貯留されているエアゾール組成物が搾り出され、噴出ノズル83から液滴状などの状態で噴出される。なお、この形態では、本体76が容器装着部75に連結されるヒンジの上方で圧搾部材の天面を押すため、本体は押し下げられない。そのため、圧搾操作ではステム孔23は開放されないので、貯留操作で貯留されたエアゾール組成物のみを噴出することができる。
【0038】
また、貯留部材77にエアゾール組成物Aを貯めた後、図5bに示すように圧搾部材78を取り外して、貯留部材44を直接目的物に塗りつけるようにしてもよい。
【0039】
図6aに示すエアゾール製品90は、エアゾール容器11と、そのエアゾール容器のカール部31に装着される円筒状の肩カバー92と、エアゾール容器のステム24に装着される噴出部材93と、肩カバー92に取り付けられるキャップ94とからなる。
肩カバー92は、下端の内周に形成されたエアゾール容器のカール部31と係合する容器装着部95と、上端の外周に形成されたキャップ94と係合するキャップ係合部96とを備えている。また、肩カバーの上端の内面には、上端から下方に形成された縦溝97と、その縦溝の下端から環状方向に形成された環状溝98とが形成されている。
【0040】
噴出部材93は、有底筒状の本体99と、その本体の上部空間に保持される貯留部材100と、その貯留部材を覆うように取り付けられる圧搾部材101とから構成される。貯留部材100は、図1の貯留部材44と実質的に同じである。
本体99は、貯留部材100を保持する円筒状の筒部102と、その筒部の内面に形成される底部103とからなる。また、この本体99は、図4aのエアゾール製品70と同様に、筒部102に貯留部材100が挿入されたとき、貯留部材100の上部が筒部102の上端から突出するように構成されている。さらに、本体99の外周には、肩カバーの縦溝97及び環状溝98に挿入することができる突部104が形成されている。このように突部104を備えているため、突部104を縦溝97に沿わせて挿入することにより、本体99をエアゾール容器11に対して押し下げることができ、バルブを開放することができる。また、押し下げた状態で突部104が環状溝98に沿うように本体99を回転させることにより、バルブを開放した状態で保持することができ、連続的に噴出あるいは塗布することができる。この場合、倒立状態で液体のエアゾール組成物を貯留部材100に供給できるようにするために、バルブにディップチューブを設けない、あるいは、柔軟なディップチューブの先端に錘を設けて、容器の向きに関係なく、ディップチューブの開口が常に液体のエアゾール組成物内にあるようにすることが好ましい。
圧搾部材101は、上底106を有する円筒状のものであり、上底106の中央には上方に突出する噴出ノズル107が形成されている。噴出ノズル107の先端には、有底筒状であり、底部の中心に噴出孔108を備え、底部の裏面(貯留部材側)にメカニカルブレークアップ機構を備えたチップ108aを装着している。圧搾部材の筒部には、貯留部材を圧搾したときに搾り出された液体が外部に漏れないように、貯留部材の外径よりも拡がった拡大筒部を備えている。
【0041】
キャップ94は、上底109と、その上底周縁から下方に延びる筒状の外周壁110とからなり、外周壁110の下端が肩カバーのキャップ係合部96と係合するものである。また、上底109の内面には、筒状に形成され、圧搾部材101を収容する内周壁111が形成されており、上底109の内面の中央には、圧搾部材101の噴出ノズル107と係合するノズル係合部112が形成されている。また、使用前の状態では、圧搾部材101はキャップ94に装着されて搬送される。
【0042】
このように構成されているエアゾール製品90は、図7aに示すように、キャップ94を取り外すことにより、貯留部材100の上部が露出する。そのため、貯留部材100を直接患部等の目的箇所に押し付けてエアゾール組成物Aを塗布することができる。この状態のエアゾール製品90は、貯留部材100を押し付けることにより、本体99がステム24をエアゾール容器に対して押し下げ、バルブを開放し、貯留部材100にエアゾール組成物が貯留される。それと同時に目的箇所に貯留部材100を押し付けることにより広範囲に連続的に塗布することができる。ここで本体を押し下げた状態で本体99を回し突部104を環状溝98に挿入することにより、バルブを開放した状態で維持することができ、連続的な塗布操作が容易にできる。なお、貯留操作をした後で塗布することもできる。
また、図7bに示すように、キャップ94を取った後、本体99を押し下げてエアゾール組成物Aを貯留部材100に貯めて、圧搾部材101をキャップ94から取り外し、貯留部材100の上部に装着し、圧搾部材101の天面106を指等で押し下げることにより、貯留部材100を圧縮し、貯留部材100内に貯められているエアゾール組成物Aを搾りだし、チップの噴出孔108から霧状(ミスト状)に目的箇所に付与してもよい。この場合も、突部104を環状溝98に挿入することにより、バルブを開放した状態で維持することができ、エアゾール組成物を連続的に噴出することができる。
【0043】
図8に示すエアゾール製品115は、圧搾部材122を押し下げることにより、ステム24が押され、さらに、押し下げることにより、ステム24を押し下げた状態で維持しながら圧搾部材122を押し下げて貯留部材121を圧縮するものである。また、エアゾール容器11は、カバーキャップ136を用いてバルブを円筒状の開口部を有する耐圧容器に固定している従来公知のものである。
【0044】
噴出部材116は、エアゾール容器に装着される肩カバー119と、エアゾール容器のステム24に装着される本体120と、本体に収容される貯留部材121と、その貯留部材を圧縮する圧搾部材122と、圧搾部材122を常に上方に付勢するバネ123とから構成されている。貯留部材121は、図1の貯留部材44と実質的に同じである。
【0045】
肩カバー119は、円筒状であり、下端の内側にエアゾール容器の肩部と係合する容器装着部124を備えている。
本体120は、底部125及び筒部126を有する円筒状の保持部127と、その保持部の下端に外側に突出するフランジ部128と、底部中央に下方に突出するように形成された本体通路129を有するステム装着部130と、底部周縁に下方に突出するように形成されたストッパ131とが形成されている。この保持部127の中に貯留部材121は収容される。
【0046】
圧搾部材122は、本体の保持部127内に挿入される円柱状の圧縮部132と、その上端に外方に突出するように形成される操作部133と、その操作部の周縁から下方に本体120を覆うように延びる保護部134と、その圧縮部の上端から上方に突出するように形成された噴出孔135aを備えた噴出ノズル135とからなる。
バネ123は、本体の保持部127の外周にはめ込まれ、本体のフランジ部128と、圧搾部材122の操作部133との間に配置される。また、このバネ123は、エアゾールバルブのバネ25より反発力が大きい。
【0047】
このように構成されている噴出部材116を備えたエアゾール製品115は、例えば、図9のように倒立させて、親指Xで容器の底部を抑え、人差し指Y1、中指Y2を用いて圧搾部材122の操作部133を下方に押し下げる。このとき、バネ123の反発力はバルブのステムを上方に付勢しているバネ25の反発力より大きいため、本体120がステム24と共に押し下げられ、バルブが開放される。これによりエアゾール容器11のエアゾール組成物Aが貯留部材121に貯留される(貯留操作)。そして、さらに圧搾部材122を押し下げることにより、本体のストッパ131がエアゾール容器の上端(カバーキャップ136)と当接して、本体120及びステム24の下降が止まる。これと同時に今度はバネ123が縮められ、圧搾部材122による貯留部材121の圧縮が行われる(圧搾操作)。これにより、貯留部材121に貯留されているエアゾール組成物が搾り出され圧搾部材の噴出ノズル135から液滴状などの状態で噴出される。
【0048】
このようにエアゾール製品115は、貯留部材121へのエアゾール組成物Aの貯留操作の延長で貯留部材121の圧搾操作ができ、使用者が意図すればその操作の移行を連続的に行うことができる。また、噴出部材のバネ123とバルブのバネ24の強度差により貯留操作から圧搾操作への移行を認識することができる。
また、エアゾール製品115のバルブとしてティルト式を用いてもよく、この場合、圧搾部材を傾動させて貯留操作を行うことができ、貯留操作と圧搾操作とを別々にしてもよい。
【0049】
図10に示すエアゾール製品140は、噴出部材141の本体142を回転させることにより、貯留操作をするものである。
噴出部材141は、ステムに装着される本体142と、その本体142を押し下げた状態で保持することができる容器装着部143と、本体142に保持される貯留部材144と、その貯留部材144を圧縮する圧搾部材145とからなる。
【0050】
本体142は、円筒状の筒部146と、その筒部内面に設けられた円板状の底部147とからなる。筒部146の外周には、圧搾部材145と係合する係合部148を備えており、筒部146の上部空間には、貯留部材144が挿入される。また、底部の下面中央には、下方に突出するステム装着部149が形成されており、底部の下面であって中心と周縁の中間付近から下方に突出する円筒状の下筒部150が形成されている。この下筒部の下端には、後述する容器装着部143の係合溝153と係合する係合突起151が形成されている。
【0051】
容器装着部143は、バルブ14の側壁部30の内周に配置されるものであり、円筒状の装着部本体152と、その内面に螺旋状に下降するように形成された係合溝153と、本体の外周面にバルブ14の側壁部30のクリンプ部と係合した突起154とを備えている。
【0052】
圧搾部材145は、本体142と係合する円筒状の保護部155と、その保護部とヒンジ156を介して連結している有底筒状の圧搾部本体157とからなる。圧搾部本体157の上面の中央には、上方に突出する噴出ノズル158が形成されており、本体の上部空間に連通する噴出孔159を備えている。
【0053】
このように構成されているため、エアゾール製品140の噴出部材141は、本体142の係合突起151が容器装着部143の係合溝153に挿入されて組み立てられている(図10a参照)。そして、使用者が本体142を回転させることにより、本体の係合突起151が螺旋状に形成された係合溝153を進み、本体142が押し下げられる(貯留操作、図10b参照)。これによりステムラバー26によりシールされているステム孔23が開き、バルブ14が開放され、エアゾール組成物が貯留部材144内に貯留される。
貯留した後、圧搾部本体157を貯留部材144に対して押すことにより貯留部材144が圧縮され、貯留部材144内のエアゾール組成物が噴出ノズル158から搾り出される(圧搾操作、図10c参照)。また、このエアゾール製品140は、図4のエアゾール製品70と同様に、圧搾部材145を本体142から取り外して、貯留部材144を直接患部等に塗布してもよい。
【0054】
図11a、bに示すエアゾール製品160は、噴出部材の貯留部材144を圧搾する圧搾部材161の下面の形状が凹となっているものである。この実施形態では、圧搾部材161以外は、本体142の筒部146と下筒部150とを別物品として作成し、係合させている点を除き、エアゾール製品140と実質的に同じである。しかし、この圧搾部材161は、他のエアゾール製品10、70、90、115に用いてもよい。
圧搾部材161は、本体142と係合する円筒状の保護部162と、その保護部内を上下移動可能に配置される円柱状の圧搾部本体163とからなる。
保護部162の内周面の上部及び下部には、圧搾部本体163の飛び出しを防止する環状突起164a、bが形成されている。
【0055】
圧搾部本体163の下面163aは、凹状となっている。これにより、貯留部材144を効率良く圧搾させることができ、圧搾操作後に貯留部材内に残るエアゾール組成物を極限まで減らすことができる。また、下面163aの周縁が突出しているため、圧搾操作時に筒部146の天面と当接して圧搾操作を停止させるストッパーとして作用すると共に、搾り出されたエアゾール組成物が圧搾部材外に流出するのを防止する。特に、エアゾール製品を倒立させたとき、この下面163aが搾り出された液体(エアゾール組成物)を回収する皿として作用し、搾り出された液体を噴出孔へ流出しやすくしている。また、圧搾部本体163の外面の下部には、保護部の環状突起164a、bと係合する環状フランジ165が形成されている。これにより、環状ブランジ165は環状突起164a、b間を上下移動自在に動くことができ、つまり、圧搾部本体163はその範囲において保護部162から外れることなく、上下移動自在となっている。また、圧搾部本体164の上面の中央には、上方に突出する噴出ノズル166が形成されており、本体の上部空間に連通する噴出孔167が形成されている。
【0056】
このように構成されているため、貯留操作の後、圧搾操作が容易であり、また、液こぼれ等がしにくく、効率良いエアゾール製品を得ることができる(図11b参照)。
【0057】
図12aに示すエアゾール製品170は、貯留部材を側面から圧縮するものである。このエアゾール製品170も、噴出部材172が、図10のエアゾール製品の本体142と、容器装着部143と、貯留部材144とを備えている。
エアゾール製品170は、本体142に装着される保護部材176と、その保保護部材に対して前後に押し引きできる圧搾部材177とを備えている。
保護部材176は、上底を有する筒状のものであり、本体142および貯留部材144を覆うように形成されたものであり、また、下端から上方に形成されたスリット178aを備えている。また、保護部材の上面には、噴出ノズル174と、噴出孔175が形成されている。
圧搾部材144は、圧搾板178と、押部179と、圧搾板と押部の中心を結ぶ軸部180とを備えている。
【0058】
このように構成されているため、保護部材176のスリット178aから軸部180を挿入し、そして、その状態で保護部材176を本体142に装着する。これにより、圧搾部材177は、本体の上端とスリット178aの上端によって上下方向への移動が止められ、貯留部材144に対して前後(図面では左右)に移動可能となる。そのため、この状態で貯留操作を行い、その後、圧搾部材の押部179を前方(図面では左)に押し出すことにより貯留部材144が圧縮され、エアゾール組成物が噴出ノズル174から搾り出される。なお、エアゾール製品170を使用しない場合は、押部179と保護部材176との間にストッパーを挿入しておくことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のエアゾール製品の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】図2aは図1の拡大図、図2bはそのエアゾール製品を使用している状態の拡大図である。
【図3】図3a、bは本発明のエアゾール製品に用いることができる圧搾部材の他の実施形態を示す側面断面図、上面図であり、図3cは本発明のエアゾール製品に用いることができる圧搾部材のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図4】図4aは本発明のエアゾール製品の他の実施形態を示す一部側面断面図であり、図4bは、図4aの噴出部材を示す斜視図であり、図4cはその噴出部材のストッパを示す上面図である。
【図5】図5a、図5bは、それぞれ図4aのエアゾール製品の使用状態を示す一部側面断面図である。
【図6】図6aは本発明のエアゾール製品のさらに他の実施形態を示す一部側面断面図であり、図6bはその肩カバーを示す斜視図である。
【図7】図7a、7bは、それぞれ図6aのエアゾール製品の使用状態を示す一部側面断面図である。
【図8】本発明のエアゾール製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図9】図8のエアゾール製品の使用を示す斜視図である。
【図10】図10aは、本発明のエアゾール製品の他の実施形態を示す一部側面断面図であり、図10bは、図10aのエアゾール製品の貯留状態を示す一部側面断面図であり、図10cは、図10aのエアゾール製品の圧搾状態を示す一部側面断面図である。
【図11】図11aは本発明のエアゾール製品のさらに他の実施形態を示す一部側面断面図であり、図11bはその圧搾操作を示す一部側面断面図である。
【図12】図12aは本発明のエアゾール製品のさらに他の実施形態を示す一部側面断面図であり、図12bはその圧搾操作を示す一部側面断面図である。
【符号の説明】
【0060】
A エアゾール組成物
X 親指
Y1 人差し指
Y2 中指
10 エアゾール製品
11 エアゾール容器
12 噴出部材
13 耐圧容器
14 エアゾールバルブ(バルブ)
15 底部
16 胴部
17 肩部
18 ビード部
21 マウンティングカップ
22 ハウジング
23 ステム孔
24 ステム
25 バネ
26 ステムラバー
27 ディップチューブ
28 ハウジング保持部
29 円板部
30 側壁部
31 カール部
32 中心孔
33 凹部
41 容器装着部
42 ヒンジ
43 本体
44 貯留部材
45 圧搾部材
46 容器係合部
48 筒部
49 底部
50 ステム装着部
51 本体通路
52 操作部
53 連通路
56 底部
57 側壁部
58 噴出ノズル
59 噴出孔
60 噴出ノズル通路
65 圧搾部材
66 圧搾部材
65a 噴出ノズル
70 エアゾール製品
71 噴出部材
73 ストッパ
75 容器装着部
76 本体
77 貯留部材
78 圧搾部材
79 筒部
80 底部
81 天面
82 外周壁
83 噴出ノズル
84 窓
85 ストッパ保持部
86 把持部
87 内周壁
90 エアゾール製品
92 肩カバー
93 噴出部材
94 キャップ
95 容器装着部
96 キャップ係合部
97 縦溝
98 環状溝
99 本体
100 貯留部材
101 圧搾部材
102 筒部
103 底部
104 突部
106 上底
107 噴出ノズル
108 噴出孔
108a チップ
109 上底
110 外周壁
111 内周壁
112 ノズル係合部
115 エアゾール製品
116 噴出部材
119 肩カバー
120 本体
121 貯留部材
122 圧搾部材
123 バネ
124 容器装着部
125 底部
126 筒部
127 保持部
128 フランジ部
129 本体通路
130 ステム装着部
131 ストッパ
132 圧搾部
133 操作部
134 保護部
135a 噴出孔
135 噴出ノズル
136 カバーキャップ
140 エアゾール製品
141 噴出部材
142 本体
143 容器装着部
144 貯留部材
145 圧搾部材
146 筒部
147 底部
148 係合部
149 ステム装着部
150 下筒部
151 係合突起
152 装着部本体
153 係合溝
154 突起
155 保護部
156 ヒンジ
157 圧搾部本体
158 噴出ノズル
159 噴出孔
160 エアゾール製品
161 噴出部材
162 保護部
163 圧搾部本体
163a 下面
164a、164b 環状突起
165 環状ブランジ
166 噴出ノズル
167 噴出孔
170 エアゾール製品
172 噴出部材
174 噴出ノズル
175 噴出孔
176 保護部材
177 圧搾部材
178 圧搾板
178a スリット
179 押部
180 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール組成物を充填するエアゾール容器と、
そのエアゾール容器に装着される噴出部材とからなるエアゾール製品であって、
前記噴出部材が、エアゾール容器から放出されるエアゾール組成物を一時貯留すると共に外力により収縮可能な貯留部材と、その貯留部材を圧搾する圧搾部材とを備えているエアゾール製品。
【請求項2】
前記貯留部材にエアゾール組成物を貯留する貯留操作と、貯留部材を圧搾する圧搾操作とを別々に行うことができる請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項3】
前記貯留部材が軟質な発泡体で構成されている請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項4】
前記エアゾール組成物が液化ガスを30〜99重量%含有している請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項5】
前記貯留部材に貯留したエアゾール組成物を、圧搾操作により貯留部材から噴出する第1状態と、前記貯留部材から直接塗布する第2状態とを切り替えることができる請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項6】
前記貯留操作から圧搾操作への操作の移行を連続して行うことができる請求項1記載のエアゾール製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−1381(P2008−1381A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171081(P2006−171081)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】