エアバッグの保護布及びエアバッグモジュール
【課題】保護布と車両の内装品が擦れることによって発生する異音を吸収する。
【解決手段】エアバッグと、このエアバッグの上部に形成されたダクト６にガスを導入すべく設けられたガスガイド５に固定されたインフレータ４を備えたエアバッグモジュール１の前記エアバッグ部分に巻き付ける保護布２である。前記エアバッグを覆う大きさの略矩形状をなした保護布２自体の長手方向の両側部分に、例えば伸縮性の高い糸で織った織部２ｂを形成した。
【効果】保護布と車両の内装品が擦れる部分に別途吸音材を貼り付けることなく、従来の機能は保持したまま、優れた異音低減特性を得ることができる。また、保護布自体に織部を形成しているので、貼り付けた吸音材のように、取れたりずれたりするおそれもない。
【解決手段】エアバッグと、このエアバッグの上部に形成されたダクト６にガスを導入すべく設けられたガスガイド５に固定されたインフレータ４を備えたエアバッグモジュール１の前記エアバッグ部分に巻き付ける保護布２である。前記エアバッグを覆う大きさの略矩形状をなした保護布２自体の長手方向の両側部分に、例えば伸縮性の高い糸で織った織部２ｂを形成した。
【効果】保護布と車両の内装品が擦れる部分に別途吸音材を貼り付けることなく、従来の機能は保持したまま、優れた異音低減特性を得ることができる。また、保護布自体に織部を形成しているので、貼り付けた吸音材のように、取れたりずれたりするおそれもない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エアバッグモジュールのエアバッグ部分に巻き付ける保護布、およびこの保護布をエアバッグの外周部に巻きつけたエアバッグモジュールに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
例えばシリンダータイプのインフレータを備えたカーテンエアバッグは、工場で製造された後は、エアバッグ本体に設けられたガスガイドにインフレータを固定した状態で出荷される。
【０００３】
その際、図３に示すようにエアバッグモジュール１のエアバッグ部分に、図４に示したような、紙面の左右の中ほどにエアバッグのタブ３が取り付けられる長孔２ａを２箇所設けた保護布２を巻き付けている。なお、図中の４はインフレータ、５はガスガイド、６はダクトを示す。
【０００４】
この保護布によって、エアバッグの展開方向の制御や、車両等のエッジやバリからエアバッグを保護するので、保護布にはある程度の剛性（強度）が求められ、ポリエステル糸で織られている。
【０００５】
したがって、車両に搭載してあるエアバッグモジュールが緊急事態で展開した際には、保護布２と車両の内装品が擦れることによって大きな異音が発生する場合があった。そこで、従来は、この異音対策のために保護布２の長手方向の両側における前記擦れる部分に、別途吸音材７等を貼り付けていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、エアバッグに関しては、エアバッグ自体の安全性についての関心がほとんどで、従来はこのような保護布が展開時に発生する音について関心が払われることはなかった。しかしながら、エアバッグ自体の安全性がある程度確保されてきた今日、このような保護布にも関心が払われるようになってきた。
【０００７】
本発明が解決しようとする問題点は、従来は関心が払われることがなかった保護布においては、保護布と車両の内装品が擦れることによって発生する異音を低減するために、前記擦れる部分に別途吸音材を貼り付けてきたが、効果的に異音を低減することができなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明のエアバッグの保護布は、
エアバッグと、このエアバッグの上部に形成されたダクトにガスを導入すべく設けられたガスガイドに固定されたインフレータを備えたエアバッグモジュールの前記エアバッグ部分に巻き付ける保護布であって、
前記エアバッグを覆う大きさの略矩形状をなした保護布自体の長手方向の両側部分に、例えば前記保護布よりも伸縮性の高い糸で織った織部を別途形成したことを最も主要な特徴としている。
【０００９】
本発明のエアバッグの保護布では、保護布と車両の内装品が擦れて異音が発生する保護布自体の長手方向両端部を、例えば前記保護布よりも伸縮性の高い糸で織った織部を形成したので、該織部が柔らかくクッション性を持たせることができ、摩擦音などが発生しにくくなる。
【００１０】
従って、本発明のエアバッグの保護布をエアバッグの外周部に巻きつけた本発明のエアバッグモジュールでは、従来の機能は保持したまま、十分に摩擦音などの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、端部を織り込んで一体化しているので、展開時などにこの部分が貼り付けた吸音材のようにずれることがない。また、貼り付けた吸音材のように、取れてしまうおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図１及び図２を用いて説明する。
本発明の保護布２を巻き付けるエアバッグモジュール１は、例えばカーテンエアバッグに設けられたガスガイド５にインフレータ４が固定されたもので、この状態で工場から出荷され、また、自動車のルーフサイド部に沿って設置される。
【００１３】
本発明は、例えばポリエステル糸で織った、エアバッグを覆う大きさの矩形状の長手方向両端部を台形状となした保護布２において、長手方向の両側約５mm程度の範囲に、例えばウーリー糸を綾織状に織って織部２ｂを一体に形成したものである。
【００１４】
この織部２ｂは、高い伸縮性を有して良好な摩擦音等の異音低減性能が得られ、かつ、加工性、織り方が容易なものであれば、前記ウーリー糸で綾織状に織ったものに限らず、どのような種類の糸を使ってどのような織り方で織ったものでも良い。ただ、綾織の場合は、保護布２よりも厚くすることができ、よりクッション性を持たせることが可能となって好ましい。
【００１５】
このような構成を採用することで、本発明のエアバッグの保護布２をエアバッグの外周部に固定テープ８で巻きつけた本発明のエアバッグモジュールでは、従来の機能は保持したまま、従来のように別途吸音材を貼り付けなくても、優れた異音低減特性を得ることができる。また、貼り付けた吸音材のように、取れたりずれたりするおそれもない。
【００１６】
本発明は上記の例に限らず、請求項に記載された技術的思想の範疇内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【００１７】
本発明のエアバッグの保護布は、以上の例では自動車に設置するものについて説明しているが、車両以外に航空機や船舶等の乗物に設けるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】（ａ）本発明のエアバッグの保護布を展開して示した図、（ｂ）は（ａ）を側面から見た図である。
【図２】本発明のエアバッグの保護布をカーテンエアバッグモジュールに適用した状態を示した図である。
【図３】従来のエアバッグの保護布をカーテンエアバッグモジュールに適用した状態を示した図である。
【図４】（ａ）は従来のエアバッグの保護布を展開して示した図、（ｂ）は（ａ）を側面から見た図である。
【符号の説明】
【００１９】
１ エアバッグモジュール
２ 保護布
２ａ 長孔
２ｂ 織部
３ タブ
４ インフレータ
５ ガスガイド
６ ダクト
７ 吸音材
８ 固定テープ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エアバッグモジュールのエアバッグ部分に巻き付ける保護布、およびこの保護布をエアバッグの外周部に巻きつけたエアバッグモジュールに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
例えばシリンダータイプのインフレータを備えたカーテンエアバッグは、工場で製造された後は、エアバッグ本体に設けられたガスガイドにインフレータを固定した状態で出荷される。
【０００３】
その際、図３に示すようにエアバッグモジュール１のエアバッグ部分に、図４に示したような、紙面の左右の中ほどにエアバッグのタブ３が取り付けられる長孔２ａを２箇所設けた保護布２を巻き付けている。なお、図中の４はインフレータ、５はガスガイド、６はダクトを示す。
【０００４】
この保護布によって、エアバッグの展開方向の制御や、車両等のエッジやバリからエアバッグを保護するので、保護布にはある程度の剛性（強度）が求められ、ポリエステル糸で織られている。
【０００５】
したがって、車両に搭載してあるエアバッグモジュールが緊急事態で展開した際には、保護布２と車両の内装品が擦れることによって大きな異音が発生する場合があった。そこで、従来は、この異音対策のために保護布２の長手方向の両側における前記擦れる部分に、別途吸音材７等を貼り付けていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、エアバッグに関しては、エアバッグ自体の安全性についての関心がほとんどで、従来はこのような保護布が展開時に発生する音について関心が払われることはなかった。しかしながら、エアバッグ自体の安全性がある程度確保されてきた今日、このような保護布にも関心が払われるようになってきた。
【０００７】
本発明が解決しようとする問題点は、従来は関心が払われることがなかった保護布においては、保護布と車両の内装品が擦れることによって発生する異音を低減するために、前記擦れる部分に別途吸音材を貼り付けてきたが、効果的に異音を低減することができなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明のエアバッグの保護布は、
エアバッグと、このエアバッグの上部に形成されたダクトにガスを導入すべく設けられたガスガイドに固定されたインフレータを備えたエアバッグモジュールの前記エアバッグ部分に巻き付ける保護布であって、
前記エアバッグを覆う大きさの略矩形状をなした保護布自体の長手方向の両側部分に、例えば前記保護布よりも伸縮性の高い糸で織った織部を別途形成したことを最も主要な特徴としている。
【０００９】
本発明のエアバッグの保護布では、保護布と車両の内装品が擦れて異音が発生する保護布自体の長手方向両端部を、例えば前記保護布よりも伸縮性の高い糸で織った織部を形成したので、該織部が柔らかくクッション性を持たせることができ、摩擦音などが発生しにくくなる。
【００１０】
従って、本発明のエアバッグの保護布をエアバッグの外周部に巻きつけた本発明のエアバッグモジュールでは、従来の機能は保持したまま、十分に摩擦音などの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、端部を織り込んで一体化しているので、展開時などにこの部分が貼り付けた吸音材のようにずれることがない。また、貼り付けた吸音材のように、取れてしまうおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図１及び図２を用いて説明する。
本発明の保護布２を巻き付けるエアバッグモジュール１は、例えばカーテンエアバッグに設けられたガスガイド５にインフレータ４が固定されたもので、この状態で工場から出荷され、また、自動車のルーフサイド部に沿って設置される。
【００１３】
本発明は、例えばポリエステル糸で織った、エアバッグを覆う大きさの矩形状の長手方向両端部を台形状となした保護布２において、長手方向の両側約５mm程度の範囲に、例えばウーリー糸を綾織状に織って織部２ｂを一体に形成したものである。
【００１４】
この織部２ｂは、高い伸縮性を有して良好な摩擦音等の異音低減性能が得られ、かつ、加工性、織り方が容易なものであれば、前記ウーリー糸で綾織状に織ったものに限らず、どのような種類の糸を使ってどのような織り方で織ったものでも良い。ただ、綾織の場合は、保護布２よりも厚くすることができ、よりクッション性を持たせることが可能となって好ましい。
【００１５】
このような構成を採用することで、本発明のエアバッグの保護布２をエアバッグの外周部に固定テープ８で巻きつけた本発明のエアバッグモジュールでは、従来の機能は保持したまま、従来のように別途吸音材を貼り付けなくても、優れた異音低減特性を得ることができる。また、貼り付けた吸音材のように、取れたりずれたりするおそれもない。
【００１６】
本発明は上記の例に限らず、請求項に記載された技術的思想の範疇内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【００１７】
本発明のエアバッグの保護布は、以上の例では自動車に設置するものについて説明しているが、車両以外に航空機や船舶等の乗物に設けるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】（ａ）本発明のエアバッグの保護布を展開して示した図、（ｂ）は（ａ）を側面から見た図である。
【図２】本発明のエアバッグの保護布をカーテンエアバッグモジュールに適用した状態を示した図である。
【図３】従来のエアバッグの保護布をカーテンエアバッグモジュールに適用した状態を示した図である。
【図４】（ａ）は従来のエアバッグの保護布を展開して示した図、（ｂ）は（ａ）を側面から見た図である。
【符号の説明】
【００１９】
１ エアバッグモジュール
２ 保護布
２ａ 長孔
２ｂ 織部
３ タブ
４ インフレータ
５ ガスガイド
６ ダクト
７ 吸音材
８ 固定テープ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
エアバッグと、このエアバッグの上部に形成されたダクトにガスを導入すべく設けられたガスガイドに固定されたインフレータを備えたエアバッグモジュールの前記エアバッグ部分に巻き付ける保護布であって、
前記エアバッグを覆う大きさの略矩形状をなした保護布自体の長手方向の両側部分に織部を形成したことを特徴とするエアバッグの保護布。
【請求項２】
前記織部は前記保護布自体よりも伸縮性の高い糸で織って形成したものであることを特徴とする請求項１に記載のエアバッグの保護布。
【請求項３】
前記織部は前記保護布よりも厚く形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載のエアバッグの保護布。
【請求項４】
前記織部は綾織であることを特徴とする請求項１〜３の何れかに記載のエアバッグの保護布。
【請求項５】
請求項１〜４の何れかに記載のエアバッグの保護布をエアバッグの外周部に巻きつけたことを特徴とするエアバッグモジュール。
【請求項１】
エアバッグと、このエアバッグの上部に形成されたダクトにガスを導入すべく設けられたガスガイドに固定されたインフレータを備えたエアバッグモジュールの前記エアバッグ部分に巻き付ける保護布であって、
前記エアバッグを覆う大きさの略矩形状をなした保護布自体の長手方向の両側部分に織部を形成したことを特徴とするエアバッグの保護布。
【請求項２】
前記織部は前記保護布自体よりも伸縮性の高い糸で織って形成したものであることを特徴とする請求項１に記載のエアバッグの保護布。
【請求項３】
前記織部は前記保護布よりも厚く形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載のエアバッグの保護布。
【請求項４】
前記織部は綾織であることを特徴とする請求項１〜３の何れかに記載のエアバッグの保護布。
【請求項５】
請求項１〜４の何れかに記載のエアバッグの保護布をエアバッグの外周部に巻きつけたことを特徴とするエアバッグモジュール。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００７−２９６８７６（Ｐ２００７−２９６８７６Ａ）
【公開日】平成１９年１１月１５日（２００７．１１．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１２４１１１（Ｐ２００６−１２４１１１）
【出願日】平成１８年４月２７日（２００６．４．２７）
【出願人】（５０３３５８０９７）オートリブ ディベロップメント エービー (402)
【出願人】（０００１１３３４４）ホシノ工業株式会社 (3)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１１月１５日（２００７．１１．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年４月２７日（２００６．４．２７）
【出願人】（５０３３５８０９７）オートリブ ディベロップメント エービー (402)
【出願人】（０００１１３３４４）ホシノ工業株式会社 (3)
【Ｆターム（参考）】
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