説明

エアバッグ用インフレータ

エアバッグ用インフレータは、圧縮被酸化性ガスを収容するボトル(2)と、圧縮酸化性ガスを収容するボトル(4)とを備え、これらのボトルは、例えば導管(16)により提供されて車両のエアバッグに接続される出口を有するチャンバ(14)となる構造(12、16)に接続される。これらのボトルは、それぞれのシール箔によってシールされる複数の第1流出開口(18)及び別の流出開口(18a)を有する。インフレータは、点火用第1スクイブ(22)を含み、この第1スクイブ(22)に点火すると、第1流出開口(18)を覆うシール箔が破裂して、ボトル(2、4)からガスを通過させてチャンバ(14)に流入させ、次に、エアバッグに流入させることができる。インフレータは更に、別の点火用スクイブ(22a)を含み、この別のスクイブ(22a)に、スクイブ(22)点火後の或る時点で点火すると、別の流出開口(18a)を覆うシール箔がガスボトルからのガスの流出を促進する。このようにして、且つ第1及び別の流出開口(18、18a)の相対的な大きさを選択することにより、時間の経過に伴うエアバッグの膨張率を所望の分布に合わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装備されて、エアバッグ、例えば事故が発生した場合に車両の乗員を保護するエアバッグのインフレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高圧状態のガスを収容する2つのボトル又は圧力容器を搭載したエアバッグインフレータを提供することが提案されており、各ボトル又は圧力容器は、通常はシール手段によってシールされる出口を有し、このシール手段は緊急の状況では、例えば点火用スクイブ(pyrotechnic squib)を点火させることにより、外れるか又は破裂して、ガスをボトルからエアバッグに逃がすことができる。これまでに提案されているこのような汎用タイプのインフレータは、一方のガスボトルに被酸化性ガスの形態の燃料を収容することができ、他方のボトルに酸化性ガスを収容することができる。このようなガスは、ガスボトルから逃がすと混合されて、点火手段によって点火されるのと同時に、エアバッグに流入するか、又はこのようなガスがエアバッグ内に滞留する場合には、エアバッグを容量いっぱいに膨張させる。特許文献1にはこの種のインフレータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第2417066号
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上に説明した類の改良型エアバッグインフレータを提供することである。この改良型エアバッグインフレータでは、接続されるエアバッグに供給されるこのようなガス混合物の燃焼、及びエアバッグの膨張を、これまでのエアバッグインフレータよりも精密に制御することができる。
【0005】
本発明によれば、圧縮被酸化性ガスを収容するボトルと、圧縮酸化性ガスを収容するボトルとを備えるエアバッグ用インフレータが提供される。これらのボトルは、車両のエアバッグと連通する少なくとも1つの出口を有するチャンバとなる構造に接続されており、ボトルの内部を前記チャンバから密閉遮蔽するシール手段によってそれぞれシールされる複数の第1流出開口を有し、インフレータは第1作動手段を含み、この第1作動手段は、前記シール手段によって実現されるシールの破壊を招くか又は可能にすることにより、ボトルからのガスを、チャンバと、次いで出口を介してこのようなエアバッグに流入させることができる。本インフレータは、前記ボトルのうちの少なくとも一方が、固有のシール手段によってシールされる別の流出開口を有しており、インフレータが、シール手段によって実現される前記別の流出開口のシールの破壊を招くか又は可能にするための、前記第1作動手段とは異なるタイミングで作動することができるか又は前記第1作動手段が作動することができる環境のうちの一部において作動することができる別の作動手段を含むことにより、ガスを、別の流出開口から逃がして、チャンバと、次いでエアバッグとに流入させることができることを特徴とする。
【0006】
前記構造は、前記チャンバから延びて車両用エアバッグに接続される導管を含むことができるか、又はインフレータは、中心構造の外周の周りに出口となる複数の穴を有する管状インフレータとして構成してもよい。
【0007】
第1作動手段及び別の作動手段の各々は、点火用スクイブに点火したときにスクイブによって生成されるガス圧により相補的なシリンダに沿って移動できる対応するピストンを含むことができる。
【0008】
別の構成では、前記第1作動手段が、点火用スクイブに点火したときにスクイブによって生成されるガス圧により相補的なシリンダに沿って移動できるピストンを含むのに対し、前記別の作動手段は、何らかの他の態様で作動することができ、例えば、エアバッグに連結した紐又は帯を含むことにより、前記第2作動手段のシール破壊要素を、エアバッグの展開の所定の段階で引っ張ることができるか、或いは、減速力G又は加速力Gにより作動可能な機構を含むことができる。したがって、例えば、別の作動手段は、システムを取り付けた車両が別の車両又は障害物と特に激しく衝突する場合、エアバッグの膨張を迅速化するために寄与することができる。
【0009】
本発明の好適な実施形態では、前記ガスボトルの両方が、それぞれ別のシール手段によってシールされるそれぞれの流出開口を有し、前記別の作動手段は、前記ガスボトルの両方の前記別の流出開口のシール手段によって実現されるシールの破壊を招くか又は可能にするために作動させることができる。これらの好適な実施形態では、2つのガスボトルの別の流出開口の大きさは互いに異なってよい。
【0010】
好適には、各ガスボトルは、対応する破裂箔によりシールされる前記第1流出開口を有し、作動させると、第1流出開口の対応するシールの破壊を招くか又は可能にする第1作動手段は、破裂可能な箔に係合して破裂可能な箔を未破裂状態に維持する対応する支持部材を含み、前記各支持部材は、第1点火用スクイブによって生成されるガス圧により相補的なシリンダに沿って移動できるピストンにより支持される部品によって正しい位置に保持され、このピストン部品は、支持部材に直接係合する。このような構成は、関連するスクイブに点火するとこのようなピストンがピストンのシリンダに沿って移動することにより、対応するピストンにより支持される前記部品がそれぞれの支持部材を通り過ぎて、支持部材が、箔が破裂してガスをガスボトルから逃がすことができる位置に移動することを可能にする。
【0011】
好適には、前記一又は複数の別の流出開口は、同じように、一又は複数の破裂可能な箔によりシールされており、別の作動手段は、同じように、一又は複数の別の流出開口をシールする一又は複数の破裂可能な箔に係合して、箔を未破裂状態に維持する一又は複数の対応する別の支持部材を含み、前記別の支持部材は、別の点火用スクイブによって生成されるガス圧により相補的な別のシリンダ内を移動できる前記別のピストンにより支持される部品によって正しい位置に保持される。このような構成は、同じように、別のスクイブに点火すると別のピストンが前記別のシリンダに沿って移動することにより、前記別のピストンの前記部品が、前記一又は複数の別の支持部材を通り過ぎて、一又は複数の別の支持部材が、箔が破裂してガスを一又は複数の前記別の流出開口を通って逃がすことができる一又は複数の位置に移動することを可能にする。
【0012】
好適な実施形態では、2つのガスボトルの各々が、対応する別のシール箔、及び対応する別の支持部材を備える対応する別の流出開口を有し、及び前記別のピストンが、前記別の流出開口の両方に共通である。
【0013】
便利には、一方のガスボトルに収容される燃料ガス又は被酸化性ガスが、水素、エタン、メタン、プロパン、又はブタンを含む。
【0014】
有利には、被酸化性ガスを1種類以上の不活性ガスと混合させる。
【0015】
好適には、他方のガスボトルに収容される酸化性ガスが、空気、酸素、又は亜酸化窒素である。
【0016】
便利には、酸化性ガスを1又は複数の不活性ガスと混合させる。
【0017】
本発明は、上述の種類のインフレータを備えるエアバッグにも関する。
【0018】
本発明の一実施形態について、添付図面を参照して例示を目的に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明によるエアバッグインフレータの一部を示す断面図である。
【図2】図2は、図1のラインII−IIに沿った断面図である。
【図3】図3は、図2から図を見易くするために部品群を省略した断面図である。
【図4】図4は、図1のラインIV−IVに沿った垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、エアバッグインフレータは、第1ガスボトル2と、第2ガスボトル4とを備えている。図示の構成では、第2ガスボトル4は第1ガスボトル2と鏡像関係にある。各ガスボトル2、4は、一方の端部に位置するそれぞれの基部6と、それぞれの管状側壁8と、基部6とは反対側の端部に位置する平坦端壁10とを有する。各基部6には充填用開口が設けられている。ガスボトル2及び4の、基部6とは反対側の端部は、中央ハウジング12に固定されており、この中央ハウジング12は、ボトル2、4それぞれの、離間して対向する平行な平坦端壁10と共にチャンバ14を画定している。ハウジング12の上側部分16は、チャンバ14の一部から延びる導管又はチャンバ14の一部を形成する導管を構成する。上側部分16には、ガスを流出させるための開口が設けられる。使用状態では、ハウジング12の上側端部16が、開口と共にハウジングの前記上側部分の周りでシールされる車両用エアバッグ(図示せず)の接続口部の内部に嵌め込まれる。一変形例では、導管16は、ハウジング12に直接形成されてエアバッグと連通する開口に置き換えることができる。
【0021】
一方のガスボトル2は、例えば水素、メタン、エタン、プロパン、又はブタン、或いはこのようなガスの1種類以上を含む混合物のような可燃性ガスの形態の燃料を収容する。この燃料は、単体ガスとして、又は窒素、アルゴン、ヘリウム、又は二酸化炭素のような不活性ガスとの予備混合物、又は混合物として提供することができる。ボトル内のガスの圧力は、ガスが部分的に液化するような圧力とすることができる。他方のガスボトル4は、空気、酸素、又は亜酸化窒素のような酸化性ガスを収容する。酸化性ガスは、やはり、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、又はこれらの混合物のような不活性ガスと混合することができる。この場合も、圧力は、ガスが部分的に液化するような圧力とすることができる。
【0022】
図3に最もよく示されるように、各ボトル2、4の端壁10には、それぞれの第1出口又は流出開口18、及びそれぞれの別の流出開口18aが形成されており、開口部18及び18aは、それぞれ金属箔によりシールされ、これらの金属箔は、対応する壁10の外面上で開口部18及び18aを覆うように延びて、外面に接着により固定される。第1スクイブ22は、中央ハウジング12により支持され、ガスボトル2、4の対向する平行端壁10の間に配置されるスクイブハウジング24に取り付けられる。スクイブハウジング24は、軸方向ボアを有し、相補的なピストン28を収容するシリンダを提供する。スクイブハウジング24の上側部分は、2つの一体的な平板アーム30(図4参照)を有するブラケットを支持しており、これらのアームは、ボトル2及び4それぞれの端壁10に平行で、それぞれの端壁10に接しており、更に、それぞれの第1流出開口18を覆う各シール箔を横断して延びている。アーム30には、それぞれのスクイブハウジング上のブラケットに接続される位置に、対応する低機械的強度線が設けられる。スクイブハウジング24及びアーム30は、一体的な樹脂成形部品として形成することができる。
【0023】
ピストン28はピストンロッドを含み、このピストンロッドは、ピストンを収容するシリンダから軸方向に沿って2つのアーム30の間に延びて、複数の外向き支持フランジ36を支持している。これらのフランジは、図面に示す初期位置において、それぞれのアーム30の自由端に直に係合している。この位置において、アーム30は、支持部材として機能して開口18を覆う箔を支持し、逆に支持フランジ36によって支持される。
【0024】
同様に、第2のスクイブ22aは、中央ハウジング12により支持されて、同じように、ガスボトル2、4の対向する平行端壁10の間に配置されるスクイブハウジング24aに取り付けられる。スクイブハウジング24aは、同じように、軸方向ボアを有して相補的なピストン(28a)を収容するシリンダを提供する。スクイブハウジング24aの上側部分は、同様に、アーム30と同一の2つの一体的平板アームを有するブラケットを支持しており、これらのアームは、ボトル2及び4それぞれの端壁10に平行で、それぞれの端壁10に接しており、更に、別の開口18aを覆うシール箔を横断して延びている。最後に、アームにはそれぞれ、同様に、スクイブハウジング上のブラケットに接続される位置に、対応する低機械的強度線が設けられる。スクイブハウジング24a及び関連するアームは、やはり一体的樹脂成形部品として形成することができる。
【0025】
したがって、図示の実施形態では、流出開口18、18aは、2つのガスボトル2、4の中心線の両側で横方向に離間しており、開口18同士は互いに対向且つ整列しており、開口18a同士は互いに対向且つ整列している。スクイブ22aと、ハウジング24a及びハウジングのシリンダと、ピストン28aと、付属の支持アーム及びピストンヘッドフランジとを備える別の作動手段は、スクイブ22と、ハウジング24及びハウジングのシリンダと、ピストン28と、付属の支持アーム及びピストンヘッドフランジとを備える第1作動手段と同一であるか、又は鏡像関係にある。これらのピストン及びシリンダは互いに平行であるが、開口部18、18aの横方向間隔と一致するように横方向に離間している。
【0026】
図面に示される部品の初期位置では、ピストンの支持フランジは、開口18、18aを覆う箔を支持する対応する支持アームの自由端に直に接している。
【0027】
エアバッグを膨張させようとする場合、第1のスクイブ22に点火する。スクイブにより生成されるガスにより、ピストン28を軸方向に、そのシリンダに沿って移動させる力が加わる。したがって、ピストンは、外向きフランジ36がアーム30の自由端を通り過ぎて、アーム30が自由端で支持されなくなる位置に移動する。これにより、アーム30は、それらの低機械的強度線を中心として内側に向かって回動し、開口18を覆う箔を支持しなくなり、これらの箔をガスボトル2及び4内のガス圧で破裂させることができる。したがって、ガスボトル2及び4からのガスは、開口部18を通ってチャンバ14に流入し、チューブ状部品16のガス流開口を通ってエアバッグ内部に流入する。ガスが流れるとき、ガスは混合される。流出開口のシールを破壊する上述の構成は、特許文献1に記載されるものとほぼ同じである。スクイブ22の点火により生成される高熱ガスをチャンバ14に誘導して、ガスボトル1及び2から流出するガス混合物に点火することができる。これらの高熱ガスは、別の構成では、エアバッグ又は他の何らかの所望の位置に直接流入させることができる。
【0028】
スクイブ22に点火してから所定の時間が経過した後で、スクイブ22aに点火すると、ピストン28aが、ピストン上の外向きフランジが付属の支持アーム30の自由端を通り過ぎて、これらの支持アームが自由端で支持されなくなることにより、アームがその低機械的強度線を中心として内側に向かって回動することができ、開口18aを覆う箔を支持しなくなる位置に移動することにより、この場合も同じように、これらの箔をガスボトル2及び4内の残留ガス圧で破裂させることができる。したがって、この段階で、ガスボトル2及び4からのガスが、小さい流動抵抗で、両方の開口部18、18aを通ってチャンバ14に流入し、次いでエアバッグの内部に流入することができる。
【0029】
したがって、本発明の構成によって、2段階の作動が可能になる。即ち、第1開口18のシールが第1段階で破壊され、別の開口18aのシールも第2段階で破壊される。このような2段階手順によって、例えば、ガスボトルからのガス流が、インフレータを作動してから所定の時間が経過した後で増大し(開口18aを設けない場合と比較して)、この時点でインフレータからの膨張流を増大させることができる。時間の経過に伴うガス流の変動は、開口18及び18aそれぞれの大きさ、並びにスクイブ22、22aそれぞれの点火時点を選択することにより、ある程度「調整する」ことができる。したがって、開口18aは、開口18よりも大きくても小さくてもよく、及び/又はガスボトル2の開口18aはガスボトル4の対向する開口18aより大きくても小さくてもよい。幾つかの実施形態では、一方のガスボトルが流出開口を1つしか持たず、他方のガスボトルだけが第1流出開口と別の流出開口とを持つことにより、エアバッグの膨張の該当部分に亘って、他方のガスボトルのガスより一方のガスボトルからのガスを優先的に流すことができる。
【0030】
2つのスクイブ22、22aの点火の相対的なタイミングは、例えばスクイブ22によって点火されるタイムヒューズを用いてスクイブ22aに点火することにより、固定することができるか、又は検出される衝突状態に応じた、例えば衝突状況において検出される加速又は減速に応じた制御装置による決定に従って、可変とすることができる。実際、幾つかの構成では、別の流出開口18aのシールは、例えば、検出される減速が極めて大きい場合、又は衝突前に検出される車両速度が非常に大きい場合に、第1流出開口18のシールが破壊される条件のうちの所定の条件下でしか破壊されないようにすることができ、これによりバッグ膨張の速さを衝突状況の深刻度にかなりの程度まで一致させることができる。
【0031】
一又は複数の別の流出開口のシールを破壊する別の作動手段は、点火用スクイブの点火により何らかの方法で作動させることができる(実際には、第1流出開口のシールを破壊する作動手段が作動するように)。したがって、一変形例では、第1流出開口のシールが、上述のようなスクイブ起動装置を作動させることにより破壊することができるのに対し、第2段階は、エアバッグが特定の大きさまで膨張した後に機械的に開始することができる。したがって、例えば可動要素、例えば図面を参照して上述したものと同じように別の流出開口を被覆する箔の初期補強支持アームを、エアバッグの繊維に固定された紐に接続することにより、紐を引っ張ることで、エアバッグが所定のサイズまで膨張したら別の流出開口を開口することができる位置まで、このアームを機械的に移動させることができる。このような構成によって、例えば車両の乗員が所定の位置にいないなどしてバッグの膨張が阻止される場合、第2段階の開始を防止し、別の流出開口のシールが破壊されるのを防止することができる。当然ながら、この変形例では、本構成を作動させ、第1流出開口18をシールするために必要な点火用スクイブは1つだけである。
【0032】
上述のように、インフレータの性能は、状況に応じて非常に広い範囲に亘って変えることができる。実際、特定の車両における特定の取り付け状態においても、開口部18及び18aの作動手段の各作動タイミングを、適切なセンサからの信号に基づいて作動する制御手段により適切に制御することにより、インフレータの作動方法を、どのような特定の衝突状況の状態にも対応させることができる。このような制御は、これらの作動手段が、上述のように点火用スクイブの形態を取る場合に、非常に容易に行なうことができる。したがって、例えば幾つかの状況においては、スクイブ22のみを起動して、インフレータ性能が開口18を通過するガス流により決まるようにするか、又は他の状況においては、スクイブ22aのみを起動して、インフレータ性能が開口18aを通過するガス流により決まるようにしてもよい。更に別の状況においては、スクイブ22及びスクイブ22aの両方を同時に起動して、インフレータ性能が開口18及び開口18aの両方を通過するガス流により決まるようにしてもよい。ここでも同様に、スクイブ22をまず起動し、次にスクイブ22aを遅れて起動する場合、これによって、初期のバッグ膨張が、スクイブ22のみを起動する場合と同じように起こり、ガス流が開口部18aを通過する結果として膨張が更に進む。スクイブ22aをまず起動し、次いでスクイブ22を遅れて起動することも可能である。これにより、スクイブ22aのみが起動される場合と同様に一次的なバッグ膨張が起こり、ガス流が開口部18を通過する結果として膨張が更に進む。
【0033】
本明細書及び請求項において使用される場合、「備える」、「含む」及びこれらの用語の変形は、特定の特徴、ステップ、又は整数が含まれることを意味する。この用語は、他の特徴、ステップ、又は構成要素の存在を排除するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグ用インフレータであって、圧縮被酸化性ガスを収容するボトル(2)と、圧縮酸化性ガスを収容するボトル(4)とを備え、これらのボトルは、このような車両用エアバッグと連通する少なくとも1つの出口を有するチャンバ(14)となる構造(12、16)に接続されており、且つ前記チャンバ(14)からボトルの内部を密閉遮蔽する対応するシール手段によってシールされる第1流出開口(18)をそれぞれ有しており、インフレータは第1作動手段(22、24、28)を含み、この第1作動手段は、作動されると、前記シール手段により実現されるシールの破壊を招くか又は可能にして、前記ボトル(2、4)からのガスを、前記チャンバに流入させ、次いで一又は複数の出口を介してこのようなエアバッグに流入させることができるもので、前記ボトル(2、4)のうちの少なくとも一方が、固有のシール手段によってシールされる別の流出開口(18a)を有し、インフレータが、前記第1作動手段とは異なるタイミングで作動可能な、又は前記第1作動手段が作動することができる環境のうちの一部において作動可能な別の作動手段(22a、24a、28a)を含み、これによってシール手段により実現される前記別の流出開口(18a)のシールの破壊を招くか又は可能にすることにより、前記別の流出開口からチャンバ(14)にガスを逃がし、次いでエアバッグに流入させることができることを特徴とする、インフレータ。
【請求項2】
前記チャンバ(14)から延びてこのようなエアバッグに接続され、前記一又は複数の出口となる導管(16)を含んでいる、請求項1に記載のインフレータ。
【請求項3】
第1作動手段及び別の作動手段の各々が、点火用のスクイブ(22、22a)が点火時に生成するガス圧により対応する相補的なシリンダに沿って移動可能なピストン(28、28a)を含んでいる、請求項1又は2に記載のインフレータ。
【請求項4】
第1作動手段が、点火用のスクイブ(22)が点火時に生成するガス圧により対応する相補的なシリンダに沿って移動可能なピストン(28)を含んでいるのに対し、前記別の作動手段は他の何らかの方法で作動することができる、請求項1ないし3のいずれかに記載のインフレータ。
【請求項5】
第1作動手段が、点火用スクイブ(22)が点火時に生成するガス圧により相補的なシリンダに沿って移動できるピストン(28)を含むのに対し、前記別の作動手段が、エアバッグに連結されて、エアバッグ展開の所定の段階で前記第2作動手段のシール破壊要素を引っ張ることができる紐又は帯を含んでいる、エアバッグと組み合わせた請求項1ないし3のいずれか一項に記載のインフレータ。
【請求項6】
第1作動手段が、点火用スクイブ(22)が点火時に生成するガス圧により相補的なシリンダに沿って移動できるピストン(28)を含むのに対し、前記別の作動手段が、減速力G又は加速力Gにより作動させることができる機構を含んでいる、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のインフレータ。
【請求項7】
前記ガスボトル(2、4)の両方が、対応する別のシール手段によってシールされる対応する別の流出開口(18a)を有し、前記別の作動手段(22a、24a、28a)が、前記ガスボトルの両方の前記別の流出開口(18a)のためのシール手段により実現されるシールの破壊を招くか又は可能にするために作動可能である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のインフレータ。
【請求項8】
2つのガスボトル(2、4)の別の流出開口(18a)の大きさが互いに異っている、請求項7に記載のインフレータ。
【請求項9】
各ガスボトル(2、4)が、破裂可能な箔によりそれぞれシールされる前記第1流出開口(18)を有し、第1流出開口のそれぞれのシールの破壊を招くか又は可能にするために作動させることができる第1作動手段(22、24、28、30)が、破裂可能な箔に係合して破裂可能な箔を未破裂状態に維持するそれぞれの支持部材(30)を含み、前記支持部材(30)は、点火用第1スクイブ(22)によって生成されるガス圧により相補的なシリンダに沿って移動できるピストン(28)により支持される部品(36)によって正しい位置に保持され、これらの部品(36)は、支持部材に直に係合しており、関連するスクイブに点火した結果としてこのようなピストン(28)がピストンのシリンダに沿って移動することにより、対応するピストンにより支持される前記部品(36)が各支持部材を通り過ぎて、支持部材が、箔が破裂してガスをガスボトルから逃がすことができる位置に移動することができるように構成されている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のインフレータ。
【請求項10】
前記一又は複数の別の流出開口(18a)が、同じように、一又は複数の破裂可能な箔によりシールされ、前記別の作動手段(22a、24a、28a)が、同じように、一又は複数の対応する別の流出開口(18a)をシールする一又は複数の破裂可能な箔に係合して当該箔を未破裂状態に維持する一又は複数の対応する別の支持部材を含み、前記一又は複数の別の支持部材が、別の点火用スクイブ(22a)によって生成されるガス圧により別の相補的シリンダ内で移動できる前記別のピストン(28a)により支持される部品によって正しい位置に保持され、同じように、前記別のスクイブに点火した結果として別のピストン(28a)が前記別のシリンダに沿って移動することにより、前記別のピストン(28a)の前記部品が前記一又は複数の別の支持部材を通り過ぎて、一又は複数の別の支持部材が、別の開口(18a)を覆う箔が破裂して前記一又は複数の別の流出開口を通ってガスを逃がすことができる一又は複数の位置に移動することができるように構成される、請求項9に記載のインフレータ。
【請求項11】
2つのガスボトル(2、4)の各々が、前記対応する別のシール箔、及び前記対応する別の支持部材で塞がれた前記対応する別の流出開口(18a)を有し、前記別のピストン(28a)が、前記別の流出開口の両方の前記別の作動手段に共通である、請求項10に記載のインフレータ。
【請求項12】
少なくとも1つのボトルの内部を、ボトルの前記第1流出開口と連通する第1容積部と、ボトルの前記別の流出開口と連通する第2容積部とに分割する仕切り手段が設けられている、請求項1ないし11のいずれか一項に記載のインフレータ。
【請求項13】
前記ボトルの前記第1流出開口が、同ボトルの前記別の流出開口よりも大きいか又は小さい、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のインフレータ。
【請求項14】
前記第1作動手段及び前記別の作動手段の作動の順番及びタイミングを制御可能にすることにより、特定の衝突状況の環境に応じてインフレータ性能を制御することができる制御手段と組み合わせた、請求項1ないし13のいずれか一項に記載のインフレータ。
【請求項15】
特定の衝突状況の環境に応じて、前記第1作動手段のみを作動させるか、前記別の作動手段のみを作動させるか、前記第1作動手段を作動させた後で前記別の作動手段を作動させるか、或いは前記別の作動手段を作動させた後で前記第1作動手段を作動させるように作動可能な制御手段と組み合わせた、請求項1ないし14のいずれか一項に記載のインフレータ。
【請求項16】
前記制御手段が、センサ群からの信号に応じて作動可能である、請求項14又は請求項15に記載のインフレータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−509870(P2011−509870A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542672(P2010−542672)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000122
【国際公開番号】WO2009/090356
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(509186177)オートリブ ディベロプメント エービー (5)
【Fターム(参考)】