エアバッグ装置
【課題】インフレータから噴出するガスの流れを調整し、かつ、エアバッグ装置の安全性を向上させる。
【解決手段】インフレータ2は、ガスを噴出部2Aから噴出する。エアバッグは、インフレータ2から供給されるガスにより膨張展開する。ガス流調整部材31は、噴出部2Aを囲い、噴出部2Aから噴出するガスを流出口31Cから流出させる。ガス流調整部材31は、ガス圧により変形してガスの放出部31Dを形成する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材31の変形を抑制して放出部31Dの形成を防止する変形抑制機能を有する。変形抑制部材60は、エアバッグの膨張展開時における温度よりも高い所定温度で変形抑制機能を喪失する。
【解決手段】インフレータ2は、ガスを噴出部2Aから噴出する。エアバッグは、インフレータ2から供給されるガスにより膨張展開する。ガス流調整部材31は、噴出部2Aを囲い、噴出部2Aから噴出するガスを流出口31Cから流出させる。ガス流調整部材31は、ガス圧により変形してガスの放出部31Dを形成する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材31の変形を抑制して放出部31Dの形成を防止する変形抑制機能を有する。変形抑制部材60は、エアバッグの膨張展開時における温度よりも高い所定温度で変形抑制機能を喪失する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを噴出するインフレータを備えたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の緊急時や衝突時に乗員を保護するため、エアバッグ装置が使用されている。エアバッグ装置は、インフレータから噴出するガスによりエアバッグを膨張展開させる。乗員は、エアバッグにより受け止められる。その際、ガスガイドにより、インフレータから噴出するガスを一方向のみに噴出させるエアバッグモジュールが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ガスガイドは、ガス噴出し口と、補助ガス噴出し口を有する。補助ガス噴出し口は、樹脂又は布からなるガスガイドカバーで塞がれる。ガスは、ガス噴出し口から一方向に噴き出す。ガスの流れは、ガスガイドカバーにより一方向に調整される。これに対し、エアバッグモジュールが輸送中の火災等により高温にさらされると、ガスガイドカバーは、熱変形により補助ガス噴出し口を開く。その結果、インフレータがガスを発生しても、ガスは、ガスガイドから二方向に噴出する。ガスが一方向に噴出しないため、インフレータの急激な移動と大きな移動が抑制される。これにより、エアバッグモジュールの安全性を確保している。
【0004】
ところが、従来のエアバッグモジュールでは、ガスの流れを確実に調整するために、補助ガス噴出し口からのガス漏れを防止する必要がある。そのため、樹脂製のガスガイドカバーにおいては、ガスガイドカバーを、ガスガイドに合わせて精度よく成形する必要がある。ガスガイドカバーを専用の型により成形するときには、ガスガイドカバーの製造コストが高くなる。
【0005】
ガスガイドカバーが布からなるときには、熱に強い布や複数重ねた布をガスガイドに取り付ける必要がある。これにより、ガスガイドカバーが熱により破損するのを抑制する。また、補助ガス噴出し口からのガス漏れを防止する。しかしながら、熱に強い布は高いため、ガスガイドカバーのコストが増加する。布を複数重ねるときには、布の使用量が多くなるため、ガスガイドカバーの重量とコストが増加する傾向がある。布を複数重ねるため、ガスガイドカバーの外形寸法が大きくなる。ガスガイドカバーの形成にかかる時間と労力も増加する。従って、従来のエアバッグモジュールに関しては、ガスの流れの調整と安全性の向上を、より簡易かつ確実に実現するため、改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−210370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、簡易かつ確実に、インフレータから噴出するガスの流れを調整するとともに、エアバッグ装置の安全性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ガスを噴出部から噴出するインフレータと、インフレータから供給されるガスにより膨張展開するエアバッグと、を備えたエアバッグ装置であって、インフレータの噴出部を囲い、噴出部から噴出するガスを流出口から流出させるとともに、ガス圧により変形してガスの放出部を形成するガス流調整部材と、ガス流調整部材の変形を抑制して放出部の形成を防止する変形抑制機能を有し、エアバッグの膨張展開時における温度よりも高い所定温度で変形抑制機能を喪失する変形抑制部材と、を備えたエアバッグ装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易かつ確実に、インフレータから噴出するガスの流れを調整できるとともに、エアバッグ装置の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態のエアバッグ装置を示す図である。
【図2】第1の実施形態のエアバッグ装置の正面図である。
【図3】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図4】インフレータを示す図である。
【図5】第1の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図6】第1の実施形態の変形抑制部材の形成手順を示す図である。
【図7】エアバッグにガスを供給するインフレータを示す図である。
【図8】変形前後のガス流調整部材を示す斜視図である。
【図9】第2の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図10】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図11】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図12】第3の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図13】インフレータを示す図である。
【図14】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図15】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図16】第4の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図17】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図18】第5の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図19】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図20】第6の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図21】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図22】第7の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図23】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図24】第8の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図25】第8の実施形態の変形抑制部材の形成手順を示す図である。
【図26】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図27】第9の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図28】第9の実施形態の変形抑制部材の形成手順を示す図である。
【図29】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図30】第10の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図31】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図32】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図33】第11の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図34】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図35】第12の実施形態のガス流調整部材を示す斜視図である。
【図36】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図37】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図38】第13の実施形態のガス流調整部材を示す斜視図である。
【図39】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図40】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図41】第14の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図42】第14の実施形態の変形抑制部材を示す斜視図である。
【図43】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図44】インフレータのガスの噴出について説明するための図である。
【図45】ガス流調整部材の変形について説明するための図である。
【図46】ガス流調整部材の変形について説明するための図である。
【図47】ガス流調整部材に形成するスリットの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のエアバッグ装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態のエアバッグ装置は、車両に搭載されて、エアバッグを膨張展開させる。エアバッグにより乗員を受け止めて保護する。以下では、カーテンエアバッグ装置(以下、単にエアバッグ装置という)を例に採り説明する。エアバッグ装置は、車両内の側壁に搭載される。エアバッグは、車両内でカーテン状に展開する。エアバッグは、側壁において乗員を保護する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のエアバッグ装置を示す図である。図1では、車両90に搭載したエアバッグ装置1を車室内から見て示している。また、車両90の側壁91とエアバッグ装置1を、車両90の後方側を省略して、かつ、車両90の幅方向から見て模式的に示している。エアバッグ装置1は、車両90の内面を透視して示している。
なお、ここでは、車両90における前方、後方、上方、下方を、単に前方、後方、上方、下方という。また、車両90における前後方向と上下方向を、単に前後方向と上下方向という。
【0013】
車両90は、図示のように、車室内の側壁91に、ルーフレール92、フロントピラー93、センターピラー94、及び、リアピラー(図示せず)を備えている。また、車両90は、側壁91に、前部ドア95、後部ドア96、及び、ドア95、96の窓97、98を備えている。側壁91には、フロントピラートリム93Aと、ヘッドライニング92Aの一部が取り付けられている。ヘッドライニング92Aは、ルーフ(図示せず)とルーフレール92を覆う。
【0014】
エアバッグ装置1は、膨張展開可能なエアバッグ(カーテンエアバッグ)10と、円柱状のインフレータ2を備えている。エアバッグ10は、車両90内に前後方向に沿って取り付けられる。エアバッグ10は、細長く折り畳まれた状態で側壁91の上部に配置される。また、エアバッグ10は、フロントピラートリム93Aとヘッドライニング92A内に配置される。エアバッグ10は、固定手段(図示せず)により、車体99に固定される。
【0015】
インフレータ2は、シリンダタイプのガス発生装置である。このエアバッグ装置1では、パイロ型のインフレータ2を使用する。インフレータ2は、火薬の燃焼によりガスを発生する。インフレータ2は、エアバッグ10内に挿入されて、エアバッグ10内でガスを発生する。インフレータ2は、センターピラー94の上方に配置される。インフレータ2は、固定手段(図示せず)により、ヘッドライニング92A内で車体99に固定される。
【0016】
車両緊急時や衝撃検知時に、インフレータ2は、エアバッグ10にガスを供給する。エアバッグ10は、インフレータ2から供給されるガスにより、側壁91の上部から下方に向かって膨張展開する。その際、エアバッグ10は、フロントピラートリム93Aとヘッドライニング92Aを押し開いて、車室内に展開する。エアバッグ10は、側壁91に沿ってカーテン状に膨張展開する。
【0017】
図2は、エアバッグ装置1の正面図である。図2には、展開したエアバッグ10を示す。図2では、エアバッグ10内のガスの流れを矢印で示している。
エアバッグ10は、図示のように、前後方向に長い袋体である。エアバッグ10は、連結ベルト11と、複数の固定布12と、筒状のガス供給部13を有する。エアバッグ10の前方端は、連結ベルト11によりフロントピラー93に連結される。エアバッグ10は、固定布12により車体99に取り付けられる。連結ベルト11と固定布12は、ボルト等からなる固定手段(図示せず)により、フロントピラー93とルーフレール92に固定される。
【0018】
エアバッグ10は、乗員側の表基布(表パネル)14と、側壁91側の裏基布(裏パネル)15を有する。基布14、15は、同じ形状に形成された布(例えば、樹脂を被覆した布)からなる。重ねた基布14、15を、外縁接合部16で気密状に接合する。基布14、15は、外縁接合部16で、縫製により(又は、縫製と接着により)接合される。これにより、基布14、15の間に、膨張部20が形成される。膨張部20は、インフレータ2が発生するガスにより膨張する。
【0019】
膨張部20は、前膨張部21、後膨張部22、及び、連結膨張部23からなる。前膨張部21は、エアバッグ10内の前方で膨張して、主に前席の乗員を受け止める。後膨張部22は、エアバッグ10内の後方で膨張して、主に後席の乗員を受け止める。連結膨張部23は、前膨張部21と後膨張部22を連結する。膨張部20は、複数の内部接合部17により区画される。内部接合部17は、外縁接合部16(膨張部20)内に位置する。基布14、15は、内部接合部17で、外縁接合部16と同様に接合される。内部接合部17により、複数の気室24〜27が膨張部20に形成される。
【0020】
ガス供給部13は、エアバッグ10内にガスを供給するための開口部である。ガス供給部13は、エアバッグ10の前後方向の中間に形成され、前膨張部21の後方端に開口する。基布14、15は、ガス供給部13において、エアバッグ10の上縁部から斜め上方に突出する。ガス供給部13の縁部は、先端を除いて、外縁接合部16から連続して接合される。これにより、筒状のガス供給部13が形成される。ガス供給部13の両端部は開口している。ガス供給部13の一端部は、エアバッグ10の外部に開放されている。ガス供給部13の他端部は、膨張部20の内部に繋がる。
【0021】
インフレータ2は、ガス供給部13に挿入され、エアバッグ10内に配置される。ガス供給部13は、バンド3によりインフレータ2に気密状に固定される。インフレータ2は、車体99に前後方向に沿って取り付けられる。ガス供給部13は、インフレータ2により曲げられる。インフレータ2は、ガス供給部13内でガスを発生する。ガス供給部13は、インフレータ2が発生するガスをエアバッグ10内へ供給する。ガスは、ガス供給部13からエアバッグ10の膨張部20へ供給される。ガスは、前膨張部21へ供給されるとともに、連結膨張部23を通って後膨張部22へ供給される。
【0022】
次に、インフレータ2について、詳しく説明する。
図3は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図3には、インフレータ2に取り付けられた部材も示している。図3Aは、図2に対応するインフレータ2の正面図である。図3Bは、図3Aの矢印X方向から見たインフレータ2の側面図である。図3Cは、インフレータ2の一部を図3BのY−Y線で切断して示す断面図である。
【0023】
エアバッグ装置1は、図示のように、ガス流調整部材30と、変形抑制部材60と、固定部材4を備えている。ガス流調整部材30は、インフレータ2に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30に取り付けられる。ガス流調整部材30は、インフレータ2が発生するガスの流れを調整する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の変形を抑制する。固定部材4は、ガス流調整部材30をインフレータ2に固定する。その状態で、インフレータ2は、エアバッグ10のガス供給部13内に取り付けられる。インフレータ2は、ガス流調整部材30の内側でガスを発生する。
【0024】
図4は、インフレータ2を示す図である。図4Aは、インフレータ2の正面図である。図4Bは、図4Aの矢印X方向から見たインフレータ2の側面図である。
インフレータ2は、図示のように、ガスの噴出部2Aを有する。噴出部2Aは、円柱状をなし、インフレータ2の長手方向の一端部に設けられている。複数のガスの噴出口(図示せず)が、噴出部2Aの外周に形成されている。インフレータ2は、ガスを噴出部2A(複数の噴出口)から放射状に噴出する。
【0025】
図5は、ガス流調整部材30を示す図である。図5Aは、形成前のガス流調整部材30の平面図である。図5Bは、形成後のガス流調整部材30の斜視図である。
ガス流調整部材30は、図示のように、矩形状に形成された変形可能なプレート30Aからなる。プレート30Aは、金属製の板状部材(例えば、鉄板)である。プレート30Aは、インフレータ2の外周に沿うように、筒状に曲げられる(図5Aの矢印R)。プレート30Aの両縁部30Bは、突き合わされる。ガス流調整部材30は、筒状に形成されたプレート30Aからなる。ガス流調整部材30の両端面は開口する。
【0026】
インフレータ2(図3参照)は、筒状のガス流調整部材30内に挿入される。ガス流調整部材30は、インフレータ2の外周に装着される。ガス流調整部材30の一端部(先端部)は、噴出部2Aの周りに配置される。ガス流調整部材30は、2つの固定部材4によりインフレータ2に固定される。固定部材4は、環状のバンド4Aと、バンド4Aに取り付けられたボルト4Bを有する。バンド4Aは、ガス流調整部材30の外周に配置される。ガス流調整部材30をバンド4Aにより締め付けることで、ガス流調整部材30をインフレータ2に固定する。インフレータ2は、ボルト4Bにより、車両90に取り付けられる。
【0027】
プレート30Aからなるガス流調整部材30は、インフレータ2に取り付けられる。ガス流調整部材30は、噴出部2Aを囲む。ガス流調整部材30の先端部は、噴出部2Aを覆う周壁である。噴出部2Aの全体が、ガス流調整部材30の内側に配置される。ガス流調整部材30は、ガスの流出口30Cからガスを流出する。流出口30Cは、ガス流調整部材30の一端面に位置する開口からなる。ガス流調整部材30の内部は、インフレータ2により塞がれる。ガス流調整部材30の先端部は、筒状の変形抑制部材60内に配置される。
【0028】
図6は、変形抑制部材60の形成手順を示す図である。図6Aは、形成前の変形抑制部材60の平面図である。図6Bは、形成途中の変形抑制部材60の平面図である。図6Cは、形成後の変形抑制部材60の斜視図である。
変形抑制部材60は、図示のように、矩形状に形成されたシート又は布からなる。ここでは、変形抑制部材60は、エアバッグ10用の基布60Aからなる。基布60Aは、半分に折り畳まれる(図6Aの矢印S)。基布60Aの両縁部を重ねて縫製(図6Bの縫製部60B)する。これにより、変形抑制部材60を形成する(図6C参照)。
【0029】
変形抑制部材60は、基布60Aにより形成された筒状部材からなる。変形抑制部材60(図3参照)は、ガス流調整部材30に密着するように、ガス流調整部材30に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の外周に装着される。また、変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の先端部を含む所定部分に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の噴出部2Aを囲む部分を覆う。ガス流調整部材30の流出口30Cは、変形抑制部材60の開口部60Cに配置される。ガスは、ガス流調整部材30の流出口30Cを通って流出する。インフレータ2は、ガス流調整部材30を介してエアバッグ10にガスを供給する。
【0030】
図7は、エアバッグ10にガスを供給するインフレータ2を示す図である。図7Aは、図3Cに対応する断面図である。図7Bは、インフレータ2の斜視図である。
上記したように、インフレータ2は、噴出部2Aからガスを放射状に噴出する。ガスは、図示のように、ガス流調整部材30の内周面に当たる。ガス流調整部材30は、噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガス流調整部材30により、ガスがエアバッグ10に直接当たるのを防止する。エアバッグ10は、ガス流調整部材30によりガスから保護される。ガス流調整部材30は、噴出部2Aとエアバッグ10の接触を防止して、エアバッグ10を保護する。ガス流調整部材30により、エアバッグ10の破損が防止される。
【0031】
ガスがガス流調整部材30に当たることで、ガスの流れる方向が変更される。ガス流調整部材30は、ガスを流出口30Cから所定方向(図7の矢印F方向)に流出させる。ガスは、流出口30Cのみから流出する。ガスの流れは、ガス流調整部材30により所定方向に調整される。ガス流調整部材30は、ガスの流れを一方向に調整する。ガスは、流出口30Cから一方向(ここでは、インフレータ2の長手方向)に流出して、エアバッグ10に供給される。エアバッグ10は、ガス流調整部材30により調整されたガスにより膨張展開する。
【0032】
ガス流調整部材30は、噴出部2Aから噴出するガスの圧力(ガス圧)により広がるように変形する。ガス流調整部材30は、変形抑制部材60に押し付けられる。変形抑制部材60は、インフレータ2の作動時にガス流調整部材30の変形を抑制する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30を押さえて、ガス流調整部材30の形状を保持する。ガス流調整部材30は、変形抑制部材60により、ガス流を調整可能な状態に維持される。この通常時に対し、エアバッグ装置1が火災等により高温にさらされると、変形抑制部材60が破損する。例えば、変形抑制部材60は、溶けて変形する、又は、燃える。このような異常時にインフレータ2がガスを発生すると、ガス流調整部材30のガスを受ける部分が変形する。
【0033】
図8は、変形前後のガス流調整部材30を示す斜視図である。図8には、変形抑制部材60が燃えてなくなったときのガス流調整部材30を示している。図8Aに、変形前のガス流調整部材30を示す。図8Bに、変形後のガス流調整部材30を示す。
ガス流調整部材30は、図示のように、ガス圧により変形する。ガス流調整部材30の両縁部30Bが外側へ向かって開くように変形する。これにより、ガス流調整部材30にガスの放出部30Dが形成される。放出部30Dは、ガス流調整部材30からガスを放出するための開放部である。ガス流調整部材30の変形により、放出部30Dが開放する。その際、ガス流調整部材30は、ガス圧により、噴出部2Aのガスの噴出方向の一部を開放して、ガスの放出部30Dを形成する。放出部30Dは、ガス流調整部材30の開放された部分からなる。
【0034】
ガス流調整部材30の先端部が開くように変形することで、放出部30Dがガス流調整部材30の先端部に形成される。放出部30Dは、ガス流調整部材30の噴出部2Aを囲む部分に形成される。噴出部2Aから噴出するガスは、放出部30Dから、流出口30Cとは異なる方向に放出される。ガスは、流出口30Cと放出部30Dから噴出する。ガスは、ガス流調整部材30から多方向に噴出する。インフレータ2が誤作動したときに、ガスが一方向に噴出しないため、インフレータ2に一方向の推進力が働くのが防止される。その結果、インフレータ2が発射されるのが防止される。インフレータ2の急激な移動と大きな移動も抑制される。従って、火災等の高温の状態でインフレータ2が誤ってガスを発生したとしても、インフレータ2による危険を回避できる。また、輸送中や保管時におけるエアバッグ装置1の安全性が高くなる。
【0035】
上記したように、変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の変形抑制機能を有する。変形抑制機能は、ガス圧によるガス流調整部材30の変形を抑制して、放出部30Dの形成を防止する機能である。エアバッグ10の膨張展開時には、変形抑制部材60の変形抑制機能は維持される。即ち、エアバッグ10の膨張展開が開始するときからエアバッグ10の膨張展開が完了した後まで、変形抑制部材60は、変形抑制機能を発揮する。エアバッグ10の膨張展開時は、エアバッグ10にガスを供給するためにインフレータ2が作動するインフレータ2の作動時(通常作動時)である。インフレータ2の熱やガスの熱により変形抑制部材60が加熱されるため、変形抑制部材60の温度が上昇する。
【0036】
変形抑制部材60は、エアバッグ10の膨張展開時における温度よりも高い所定温度で変形抑制機能を喪失する。エアバッグ10の膨張展開時における温度とは、エアバッグ10の膨張展開時に上昇する変形抑制部材60の温度の最高温度である。インフレータ2は、外部から加熱されたときに、温度の上昇によってガスを噴出することがある。上記した所定温度は、加熱によりガスを噴出するときのインフレータ2の温度よりも低い温度である。具体的には、変形抑制部材60は、エアバッグ10の膨張展開時における温度よりも高い温度の熱をエアバッグ装置1の外部から受けたときに破損する。これにより、変形抑制部材60は、変形抑制機能を喪失する。例えば、火災時には、変形抑制部材60は、火災による熱で破損する。変形抑制部材60が変形抑制機能を喪失した後は、ガス流調整部材30の変形が許容される。インフレータ2がガスを噴出したときに、ガス流調整部材30は、上記のように変形して、ガスの放出部30Dを形成する。
【0037】
以上説明したように、ガス流調整部材30と変形抑制部材60により、簡易かつ確実に、インフレータ2から噴出するガスの流れを調整できる。また、火災等の高温時におけるエアバッグ装置1の安全性を、簡易かつ確実に向上させることができる。ガス流調整部材30と変形抑制部材60は、比較的簡単に低コストで形成できる。ここでは、以上の効果を、特性(例えば、融点と強度)が異なるガス流調整部材30と変形抑制部材60により実現している。エアバッグ装置1の外部から熱を受けたときに、変形抑制部材60は、変形抑制機能を喪失する。
【0038】
筒状の変形抑制部材60により、ガス流調整部材30の外側への変形を確実に抑制できる。プレート30Aによりガス流調整部材30を形成するため、ガス流調整部材30を容易に形成できる。プレート30Aの変形により、放出部30Dがガス流調整部材30に確実に形成される。基布60Aからなる変形抑制部材60は、耐熱性を有するとともに、高温の熱により確実に破損する。変形抑制部材60を、ガス流調整部材30の噴出部2Aを囲む部分に対応する大きさに形成することで、変形抑制部材60を小さくできる。
【0039】
なお、変形抑制部材60は、放出部30Dの形成を防止できるようにガス流調整部材30の変形を抑制する。そのため、ガス流調整部材30は、ある程度変形してもよい。放出部30Dの形成に関係しない変形が、ガス流調整部材30に生じてもよい。火災以外でも、所定温度で、変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の変形を抑制できなくなる。その際、変形抑制部材60は、熱により破損して変形抑制機能を喪失する。変形抑制部材60の破損は、例えば、溶け、変形、燃焼、劣化、又は、強度の低下である。変形抑制部材60が破損した状態で、ガス流調整部材30が変形することで、放出部30Dが形成される。
【0040】
次に、ガス流調整部材と変形抑制部材の他の実施形態について説明する。以下説明するガス流調整部材と変形抑制部材は、基本的には、既に説明したガス流調整部材30と変形抑制部材60と同様に構成されている。また、各実施形態では、第1の実施形態の効果と同じ効果が得られる。そのため、以下では、既に説明した事項とは異なる事項を説明する。既に説明した事項と同じ事項は簡単に説明する。ガス流調整部材と変形抑制部材に関して、同じ構成には同じ名称を付す。
【0041】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態のガス流調整部材31を示す図である。
ガス流調整部材31は、図示のように、矩形状のプレート31Aからなる。プレート31Aを曲げて筒状に形成する。プレート31Aの両縁部31Bは、重ね合わせる。両縁部31Bの全体が所定幅で重なる。両縁部31Bを重ね合わせることを除いて、ガス流調整部材31は、第1の実施形態のガス流調整部材30と同様に構成されている。
【0042】
図10は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図10Aは、図3Aに対応する正面図である。図10Bは、図3Bに対応する側面図である。図10Bでは、インフレータ2を図10Aの矢印X方向から見て示す。
筒状のガス流調整部材31は、図示のように、インフレータ2に取り付けられる。ガス流調整部材31の先端部は、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。筒状の変形抑制部材60は、ガス流調整部材31の先端部に取り付けられる。
【0043】
図11は、ガス流調整部材31の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材31は、図11Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、ガス流調整部材31の流出口31Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材31の変形を抑制することで、放出部31D(図11D参照)の形成を防止する。変形抑制部材60は、図11Bに示すように、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ2がガスを噴出すると、図11Cに示すように、ガス流調整部材31が、ガス圧により変形する。ガスの放出部31Dが、ガス流調整部材31に形成される。噴出部2Aのガスの噴出方向の一部が開放される。ガスは、流出口31Cと放出部31Dから噴出する。
【0044】
このガス流調整部材31では、プレート31Aの両縁部31Bを重ね合わせたため、縁部31Bの間に隙間が生じるのを防止できる。その結果、エアバッグ10の膨張展開時に、ガス流調整部材31からガスが漏れるのを抑制できる。ガスは、流出口31Cから一方向に流出する。ガス流調整部材31により、インフレータ2から噴出するガスの流れを確実に調整できる。
【0045】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態のガス流調整部材32を示す図である。
ガス流調整部材32は、図示のように、T字状に形成された板状部材からなる。ガス流調整部材32は、矩形状のプレート32A(本体部)と、インフレータ2に固定される固定部32Eを有する。固定部32Eは、プレート32Aと一体に形成された長板からなる。固定部32Eには、2つの挿入孔32Fが形成されている。プレート32Aを曲げて筒状に形成する(図12Aの矢印R)。プレート32Aの両縁部32Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材32は、先端部に形成された筒状部32Gと、固定部32Eからなる。
【0046】
図13は、ガス流調整部材32を取り付けるインフレータ2を示す図である。図13Aは、インフレータ2の正面図である。図13Bは、図13Aの矢印X方向から見たインフレータ2の側面図である。
図示のように、インフレータ2には、2つの固定部材5が取り付けられている。固定部材5は、ボルトからなり、溶接によりインフレータ2に固定される。インフレータ2は、固定部材5により、車両90に取り付けられる。
【0047】
図14は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図14では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材32をインフレータ2に取り付けるときには、図示のように、インフレータ2の固定部材5を、固定部32Eの挿入孔32Fに挿入する。これにより、ガス流調整部材32がインフレータ2に固定される。ガス流調整部材32(筒状部32G)は、インフレータ2の先端部に取り付けられ、噴出部2Aの周りに配置される。インフレータ2の噴出部2Aは、筒状部32Gにより囲まれる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材32の筒状部32Gに取り付けられる。
【0048】
図15は、ガス流調整部材32の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材32は、図15Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、ガス流調整部材32の流出口32Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材32の変形を抑制することで、放出部32D(図15C参照)の形成を防止する。
【0049】
変形抑制部材60は、図15Bに示すように、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ2がガスを噴出すると、図15Cに示すように、ガス流調整部材32の筒状部32Gが、ガス圧により変形する。筒状部32Gの全体が外側へ向かって開くように変形する。筒状部32Gは広がる。これにより、ガスの放出部32Dが、ガス流調整部材32に形成される。噴出部2Aのガスの噴出方向の一部が開放される。放出部32Dは、固定部32E側の一部を除いた筒状部32Gに形成される。ガスは、流出口32Cと放出部32Dから噴出する。
【0050】
このガス流調整部材32では、プレート32Aの両縁部32Bを重ね合わせたため、第2の実施形態のガス流調整部材31と同様の効果が得られる。また、固定部32Eをガス流調整部材32に設けたため、ガス流調整部材32をインフレータ2に固定し易くなる。ガス流調整部材32の固定作業を容易に行える。ガス流調整部材32の先端部のみを噴出部2Aを囲む筒状に形成したため、ガス流調整部材32を軽くできる。ガス流調整部材32はコンパクトになる。ガス流調整部材32のコストを削減することもできる。ガス流調整部材32の固定部32Eを、固定部材5によりインフレータ2に固定するため、ガス流調整部材32をインフレータ2に強固に固定できる。インフレータ2がガスを噴出するときに、ガス流調整部材32とインフレータ2の間にズレが生じるのを防止できる。ガス流調整部材32の位置の変化を抑制できる。
【0051】
(第4の実施形態)
図16は、第4の実施形態のガス流調整部材33を示す図である。
ガス流調整部材33は、図示のように、プレート33Aと固定部33Eを有する。固定部33Eに挿入孔がないことを除いて、ガス流調整部材33は、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。プレート33Aを曲げて筒状に形成する。プレート33Aの両縁部33Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材33は、筒状部33Gと固定部33Eからなる。
【0052】
図17は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図17では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材33(筒状部33G)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられ、噴出部2Aの周りに配置される。ガス流調整部材33は、2つの固定部材4によりインフレータ2に固定される。固定部33Eが、バンド4Aによりインフレータ2に固定される。インフレータ2の噴出部2Aは、筒状部33Gにより囲まれる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材33の筒状部33Gに取り付けられる。ガスは流出口33Cから流出する。このガス流調整部材33では、第3の実施形態のガス流調整部材32と同じ効果が得られる。
【0053】
(第5の実施形態)
図18は、第5の実施形態のガス流調整部材34を示す図である。図19は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。
ガス流調整部材34は、図示のように、プレート34Aと固定部34Eを有する。固定部34Eには、2つの挿入孔34Fが形成されている。プレート34Aを曲げて筒状に形成する。プレート34Aの両縁部34Bは、突き合わせる。ガス流調整部材34は、筒状部34Gと固定部34Eからなる。ガスは流出口34Cから流出する。両縁部34Bを突き合わせることを除いて、ガス流調整部材34は、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。
【0054】
(第6の実施形態)
図20は、第6の実施形態のガス流調整部材35を示す図である。図21は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。
ガス流調整部材35は、図示のように、プレート35Aと固定部35Eを有する。プレート35Aを曲げて筒状に形成する。プレート35Aの両縁部35Bは、突き合わせる。ガス流調整部材35は、筒状部35Gと固定部35Eからなる。ガスは流出口35Cから流出する。両縁部35Bを突き合わせることを除いて、ガス流調整部材35は、第4の実施形態のガス流調整部材33と同様に構成されている。
【0055】
(第7の実施形態)
図22は、第7の実施形態のガス流調整部材36を示す図である。
ガス流調整部材36は、図示のように、プレート36Aと固定部36Eと連結孔36Hを有する。ガス流調整部材36は、連結孔36Hを除き、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。固定部36Eには、2つの挿入孔36Fが形成される。連結孔36Hは、プレート36Aの中央部に形成される。プレート36Aを曲げて筒状に形成する。プレート36Aの両縁部36Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材36は、筒状部36Gと固定部36Eからなる。
【0056】
図23は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図23Aは、インフレータ2の正面図である。図23Bは、図23Aの矢印X方向から見たインフレータ2の側面図である。図23Cは、図23AのZ−Z線で切断した断面図である。
ガス流調整部材36は、図示のように、インフレータ2に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材36(筒状部36G)に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材36の連結孔36Hに重なる連結孔60Dを有する。変形抑制部材60とガス流調整部材36は、連結部材6により連結される。連結部材6は、ボルト6Aとナット6Bからなる。ボルト6Aは、連結孔36H、60Dに挿入される。ナット6Bは、ボルト6Aに取り付けられる。連結部材6は、ボルト6Aとナット6Bにより、変形抑制部材60をガス流調整部材36に連結する。ガスは流出口36Cから流出する。
【0057】
このガス流調整部材36では、第3の実施形態のガス流調整部材32と同じ効果が得られる。連結部材6により、変形抑制部材60をガス流調整部材36に連結するため、変形抑制部材60の位置の変化を抑制できる。インフレータ2がガスを噴出するときに、ガス流調整部材36と変形抑制部材60の間にズレが生じるのを防止できる。その結果、変形抑制部材60により、ガス流調整部材36の変形を確実に抑制できる。なお、リベットからなる連結部材6により、変形抑制部材60をガス流調整部材36に連結してもよい。
【0058】
(第8の実施形態)
図24は、第8の実施形態のガス流調整部材37を示す図である。
ガス流調整部材37は、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。ガス流調整部材37は、図示のように、プレート37Aと、固定部37Eを有する。固定部37Eには、2つの挿入孔37Fが形成されている。プレート37Aを曲げて筒状に形成する。プレート37Aの両縁部37Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材37は、筒状部37Gと固定部37Eからなる。
【0059】
図25は、変形抑制部材61の形成手順を示す図である。図25Aは、形成前の変形抑制部材61の平面図である。図25Bは、形成途中の変形抑制部材61の平面図である。図25Cは、形成後の変形抑制部材61の斜視図である。
変形抑制部材61は、図示のように、T字状に形成された基布61Aからなる。基布61Aは、半分に折り畳まれる(図25Aの矢印H)。基布61Aの先端部を重ねて縫製(図25Bの縫製部61B)する。変形抑制部材61の先端部は、筒状に形成される(図25C参照)。変形抑制部材61は、筒状部61Eと固定部61Fからなる。固定部61Fには、2つの挿入孔61Gが形成されている。
【0060】
図26は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図26では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材37(筒状部37G)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられる。その際、インフレータ2の固定部材5を、固定部37Eの挿入孔37Fに挿入する。変形抑制部材61は、基布61Aにより形成された筒状部材からなる。変形抑制部材61(筒状部61E)は、ガス流調整部材37の筒状部37Gに取り付けられる。インフレータ2の固定部材5を、固定部61Fの挿入孔61Gに挿入する。固定部材5により、ガス流調整部材37と変形抑制部材61をインフレータ2に固定する。ガスは流出口37Cから流出する。
【0061】
変形抑制部材61をインフレータ2に固定することで、変形抑制部材61の位置の変化を抑制できる。インフレータ2がガスを噴出するときに、ガス流調整部材37と変形抑制部材61の間にズレが生じるのを防止できる。その結果、変形抑制部材61により、ガス流調整部材37の変形を確実に抑制できる。
【0062】
(第9の実施形態)
図27は、第9の実施形態のガス流調整部材38を示す図である。
ガス流調整部材38は、図示のように、プレート38Aと、固定部38Eと、2つのガスの流出孔38Iを有する。ガス流調整部材38は、流出孔38Iを除いて、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。固定部38Eには、2つの挿入孔38Fが形成されている。プレート38Aを曲げて筒状に形成する。プレート38Aの両縁部38Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材38は、筒状部38Gと固定部38Eからなる。流出孔38Iは、筒状部38Gの側部に形成される。
【0063】
図28は、変形抑制部材62の形成手順を示す図である。図28Aは、形成前の変形抑制部材62の平面図である。図28Bは、形成途中の変形抑制部材62の平面図である。図28Cは、形成後の変形抑制部材62の斜視図である。
変形抑制部材62は、図示のように、矩形状に形成された基布62Aからなる。基布62Aには、2つの流出孔62Hが形成されている。変形抑制部材62は、流出孔62Hを除いて、第1の実施形態の変形抑制部材60と同様に構成されている。基布62Aを縫製(図28Bの縫製部62B)することで、筒状の変形抑制部材62を形成する。
【0064】
図29は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図29では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材38(筒状部38G)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられる。変形抑制部材62は、ガス流調整部材38の筒状部38Gに取り付けられる。変形抑制部材62の流出孔62Hの位置を、ガス流調整部材38の流出孔38Iの位置に合わせる。ガス流調整部材38は、流出口38Cと2つの流出孔38Iからガスを流出させる。ガスは、流出孔38I、62Hを通って流出する。従って、流出孔38Iは、ガス流調整部材38に設けられたガスの流出口である。ガスは、ガス流調整部材38から三方向に流出する。このように、ガス流調整部材38には、複数のガスの流出口を設けるようにしてもよい。
【0065】
(第10の実施形態)
図30は、第10の実施形態のガス流調整部材39を示す図である。
ガス流調整部材39は、図示のように、プレート39Aと固定部39Eを有する。また、ガス流調整部材39は、インフレータ2の噴出部2Aを囲む部分に複数のスリット39Jを有する。ガス流調整部材39は、スリット39Jを除いて、第5の実施形態のガス流調整部材34と同様に構成されている。固定部39Eには、2つの挿入孔39Fが形成されている。プレート39Aを曲げて筒状に形成する。プレート39Aの両縁部39Bは、突き合わせる。ガス流調整部材39は、筒状部39Gと固定部39Eからなる。複数のスリット39Jは、筒状部39Gに等間隔に形成されている。スリット39Jは、筒状部39Gの一端面(流出口39C側の端面)から他端面に向かって形成されている。
【0066】
図31は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図31では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材39(筒状部39G)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられる。筒状部39Gは、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。変形抑制部材60は、ガス流調整部材39の筒状部39Gに取り付けられる。
【0067】
図32は、ガス流調整部材39の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材39は、図32Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、ガス流調整部材39の流出口39Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材39の変形を抑制することで、放出部39D(図32C参照)の形成を防止する。
【0068】
変形抑制部材60は、図32Bに示すように、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ2がガスを噴出すると、図32Cに示すように、ガス流調整部材39の筒状部39Gが、ガス圧により変形する。筒状部39Gの全体が外側へ向かって開くように変形する。筒状部39Gは広がる。同時に、筒状部39Gのスリット39J間の部分が、それぞれ変形する。これにより、ガスの放出部39Dが、ガス流調整部材39に形成される。噴出部2Aのガスの噴出方向の一部が開放される。ガスは、流出口39Cと放出部39Dから噴出する。
【0069】
複数のスリット39Jにより、ガス流調整部材39が変形し易くなる。そのため、放出部39Dが、ガス流調整部材39に確実に形成される。なお、スリット39Jを、上記したガス流調整部材30〜38に形成するようにしてもよい。
【0070】
(第11の実施形態)
図33は、第11の実施形態のガス流調整部材40を示す図である。
ガス流調整部材40は、図示のように、矩形状のプレート40Aからなる。ガス流調整部材40は、インフレータ2の噴出部2Aを囲む部分に複数のスリット40Jを有する。ガス流調整部材40は、スリット40Jを除いて、第1の実施形態のガス流調整部材30と同様に構成されている。プレート40Aを曲げて筒状に形成する。プレート40Aの両縁部40Bは、突き合わせる。複数のスリット40Jは、ガス流調整部材40の先端部に等間隔に形成されている。スリット40Jは、ガス流調整部材40の一端面(流出口40C側の端面)から他端面に向かって形成されている。
【0071】
図34は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図34では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材40は、図示のように、インフレータ2に取り付けられる。ガス流調整部材40の先端部が、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。変形抑制部材60は、ガス流調整部材40の先端部に取り付けられる。ガスは流出口40Cから流出する。ガス流調整部材40がガス圧により変形するときに(図8B参照)、ガス流調整部材40の先端部が開くように変形する。同時に、ガス流調整部材40のスリット40J間の部分が、それぞれ外側へ向かって変形する。これにより、ガスの放出部が、ガス流調整部材40に形成される。このガス流調整部材40では、第10の実施形態のガス流調整部材39と同様の効果が得られる。
【0072】
(第12の実施形態)
図35は、第12の実施形態のガス流調整部材41を示す斜視図である。
ガス流調整部材41は、図示のように、筒状部41Gであるパイプ41Kと、固定部41Eを有する。ガス流調整部材41は、パイプ41Kに複数のスリット41Jを有する。ガス流調整部材41は、パイプ41Kを除いて、第10の実施形態のガス流調整部材39と同様に構成されている。固定部41Eには、2つの挿入孔41Fが形成されている。複数のスリット41Jは、パイプ41Kに等間隔に形成されている。スリット41Jは、パイプ41Kの一端面(流出口41C側の端面)から他端面に向かって形成されている。
【0073】
図36は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図36では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材41(パイプ41K)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられる。パイプ41Kは、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。パイプ41Kは、複数のスリット41Jにより、放射状に変形可能になっている。変形抑制部材60は、ガス流調整部材41のパイプ41Kに取り付けられる。変形抑制部材60は、パイプ41Kを覆う。
【0074】
図37は、ガス流調整部材41の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材41(パイプ41K)は、図37Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、流出口41Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、パイプ41Kの変形を抑制することで、放出部41D(図37C参照)の形成を防止する。
【0075】
変形抑制部材60は、図37Bに示すように、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ2がガスを噴出すると、図37Cに示すように、ガス流調整部材41のパイプ41Kが、ガス圧により変形する。パイプ41Kの全体が外側へ向かって開くように変形する。パイプ41Kのスリット41J間の部分が、それぞれ変形する。パイプ41Kは、放射状に変形する。これにより、ガスの放出部41Dが、ガス流調整部材41に形成される。ガス流調整部材41は、ガス圧により、噴出部2Aのガスの噴出方向の全部を開放して、ガスの放出部41Dを形成する。噴出部2Aの周りの全体が、放出部41Dになり、開放される。ガスは、放出部41Dから放射状に噴出する。
【0076】
このガス流調整部材41では、パイプ41Kの変形により、噴出部2Aの周りの全体を開放できる。また、噴出部2Aのガスの噴出方向の全部を開放することができる。ガスが放出部41Dから多方向に噴出するため、インフレータ2に推進力が働くのを確実に防止できる。ガスによるインフレータ2の移動も小さくできる。そのため、エアバッグ装置1の安全性を、より向上させることができる。
【0077】
(第13の実施形態)
図38は、第13の実施形態のガス流調整部材42を示す斜視図である。
ガス流調整部材42は、図示のように、筒状のパイプ42Kからなる。ガス流調整部材42は、インフレータ2の噴出部2Aを囲む部分に複数のスリット42Jを有する。複数のスリット42Jは、パイプ42Kの先端部に等間隔に形成されている。スリット42Jは、パイプ42Kの一端面(流出口42C側の端面)から他端面に向かって形成されている。
【0078】
図39は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図39では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材42は、図示のように、インフレータ2に取り付けられる。ガス流調整部材42は、2つの固定部材4によりインフレータ2に固定される。パイプ42Kの先端部が、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。パイプ42Kの先端部は、複数のスリット42Jにより、放射状に変形可能になっている。変形抑制部材60は、パイプ42Kの先端部に取り付けられる。変形抑制部材60は、パイプ42Kの先端部を覆う。
【0079】
図40は、ガス流調整部材42の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材42(パイプ42K)は、図40Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、流出口42Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、パイプ42Kの変形を抑制することで、放出部42D(図40C参照)の形成を防止する。
【0080】
図40B、図40Cに示すように、ガス圧により変形するときに、ガス流調整部材42は、第12の実施形態のガス流調整部材41と同様に変形する。パイプ42Kの先端部は、放射状に変形する。ガス流調整部材42は、ガス圧により変形して、噴出部2Aのガスの噴出方向の全部を開放する。噴出部2Aの周りの全体が、放出部42Dになる。ガスは、放出部42Dから放射状に噴出する。このガス流調整部材42では、第12の実施形態のガス流調整部材41と同じ効果が得られる。
【0081】
(第14の実施形態)
図41は、第14の実施形態のガス流調整部材43を示す図である。図41Aは、ガス流調整部材43の斜視図である。図41Bは、ガス流調整部材43の正面図である。図41Cは、図41Bの矢印X方向から見たガス流調整部材43の側面図である。図41Dは、図41BのW−W線で切断したガス流調整部材43の断面図である。図41Eは、図41Bの矢印V方向から見たガス流調整部材43の底面図である。
【0082】
ガス流調整部材43は、図示のように、キャップ部43Lと固定部43Eを有する。キャップ部43Lは、筒状に形成されている。キャップ部43Lの先端面43Mは、板状部材により塞がれている。ガスの流出口43Cは、キャップ部43Lの筒状部43Gに形成されている。T字状のスリット43N(図41E参照)が、キャップ部43Lに形成されている。流出口43Cとスリット43Nは、筒状部43Gの180°離れた位置に設けられている。固定部43Eは、キャップ部43Lに固定されている。固定部43Eには、2つの挿入孔43Fが形成されている。
【0083】
図42は、変形抑制部材63を示す斜視図である。
変形抑制部材63は、図示のように、1つの流出孔63Hを有する。変形抑制部材63は、流出孔63Hを除いて、第1の実施形態の変形抑制部材60と同様に構成されている。
【0084】
図43は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ7を示す図である。図43Aは、インフレータ7の正面図である。図43Bは、図43Aの矢印X方向から見たインフレータ7の側面図である。図43Cは、図43AのW−W線で切断した断面図である。
ガス流調整部材43(キャップ部43L)は、図示のように、インフレータ7の先端部に取り付けられる。キャップ部43Lは、インフレータ7の先端部に被せられる。キャップ部43Lは、インフレータ7の噴出部7Aを囲む。ガス流調整部材43は、固定部43Eにより、インフレータ7に固定される。
【0085】
変形抑制部材63は、ガス流調整部材43のキャップ部43Lに取り付けられる。変形抑制部材63は、キャップ部43Lの筒状部43Gを覆う。変形抑制部材63の流出孔63Hの位置を、ガス流調整部材43の流出口43Cの位置に合わせる。ガス流調整部材43は、流出口43Cからガスを流出させる。ガスは、流出口43Cと流出孔63Hを通って流出する。
【0086】
図44は、インフレータ7のガスの噴出について説明するための図である。図44A、図44Bは、インフレータ7の正面図である。図44Cは、図43BのQ−Q線で切断した断面図である。
インフレータ7は、図44Aに示すように、円柱状の噴出部7Aを有する。噴出部7Aの端面には、ガスの噴出口(図示せず)が形成されている。ガスは、噴出部7Aからインフレータ7の長手方向に噴出する。インフレータ7は、ガスの噴出方向を除いて、上記したインフレータ2と同様に構成されている。
【0087】
図44B、図44Cに示すように、ガス流調整部材43は、噴出部7Aから噴出するガスを受ける。ガスは、キャップ部43Lの先端面43Mに当たる。ガスは、流出口43Cから所定方向Fに流出する。ガスの流れる方向は、キャップ部43Lにより変更される。ガスは、キャップ部43Lから一方向に流出する。ガス流調整部材43により、ガスの流れが調整される。
【0088】
図45、図46は、ガス流調整部材43の変形について説明するための図である。図45A、図45Bは、インフレータ7の斜視図である。図45Cは、図45Bに示すガス流調整部材43の底面図である。図46Aは、インフレータ7の斜視図である。図46Bは、図46Aに示すガス流調整部材43の底面図である。図46Cは、図44Cに対応する断面図である。
図45に示すように、ガス流調整部材43の流出口43Cからガスが流出する間、変形抑制部材63は、ガス流調整部材43(キャップ部43L)の変形を抑制する。変形抑制部材63は、ガス流調整部材43のスリット43Nを閉じた状態に維持する。
【0089】
図46に示すように、変形抑制部材63は、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ7がガスを噴出すると、ガス流調整部材43のキャップ部43Lが、ガス圧により変形する。キャップ部43Lのスリット43Nを形成した部分が、外側へ向かって開くように変形する。これにより、ガスの放出部43Dが、ガス流調整部材43に形成される。放出部43Dは、三角形状の開口からなる。ガスは、開放された放出部43Dから放出される。ガスが、流出口43Cと放出部43Dから反対方向に噴出するため、インフレータ7に推進力が働くのを防止できる。そのため、エアバッグ装置1の安全性を向上できる。
【0090】
図47は、ガス流調整部材43に形成するスリット43Nの他の例を示す図である。図47は、図41Eに対応するガス流調整部材43の底面図である。
スリット43Nは、図示のように、開放可能な種々の形状に形成される。ガスの放出部43Dは、スリット43Nの形状に応じた形状に形成される。ここでは、矩形状の放出部(図示せず)が、キャップ部43Lに形成される。
【0091】
なお、ガス供給部13(図2参照)は、エアバッグ10の前後方向の端部に形成してもよい。インフレータ2、7は、エアバッグ10から前方又は後方に突出するガス供給部13に取り付けられる。また、本発明は、カーテンエアバッグ装置に限定されず、インフレータ2、7が取り付けられる種々のエアバッグ装置に適用できる。インフレータ2、7は、パイロ型以外のインフレータ(例えば、ストアードガス型やハイブリッド型のインフレータ)であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1・・・エアバッグ装置、2・・・インフレータ、2A・・・噴出部、3・・・バンド、4・・・固定部材、5・・・固定部材、6・・・連結部材、7・・・インフレータ、10・・・エアバッグ、11・・・連結ベルト、12・・・固定布、13・・・ガス供給部、14・・・表基布、15・・・裏基布、16・・・外縁接合部、17・・・内部接合部、20・・・膨張部、21・・・前膨張部、22・・・後膨張部、23・・・連結膨張部、24〜27・・・気室、30〜43・・・ガス流調整部材、60〜63・・・変形抑制部材、90・・・車両、91・・・側壁、92・・・ルーフレール、93・・・フロントピラー、94・・・センターピラー、95・・・前部ドア、96・・・後部ドア、97、98・・・窓、99・・・車体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを噴出するインフレータを備えたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の緊急時や衝突時に乗員を保護するため、エアバッグ装置が使用されている。エアバッグ装置は、インフレータから噴出するガスによりエアバッグを膨張展開させる。乗員は、エアバッグにより受け止められる。その際、ガスガイドにより、インフレータから噴出するガスを一方向のみに噴出させるエアバッグモジュールが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ガスガイドは、ガス噴出し口と、補助ガス噴出し口を有する。補助ガス噴出し口は、樹脂又は布からなるガスガイドカバーで塞がれる。ガスは、ガス噴出し口から一方向に噴き出す。ガスの流れは、ガスガイドカバーにより一方向に調整される。これに対し、エアバッグモジュールが輸送中の火災等により高温にさらされると、ガスガイドカバーは、熱変形により補助ガス噴出し口を開く。その結果、インフレータがガスを発生しても、ガスは、ガスガイドから二方向に噴出する。ガスが一方向に噴出しないため、インフレータの急激な移動と大きな移動が抑制される。これにより、エアバッグモジュールの安全性を確保している。
【0004】
ところが、従来のエアバッグモジュールでは、ガスの流れを確実に調整するために、補助ガス噴出し口からのガス漏れを防止する必要がある。そのため、樹脂製のガスガイドカバーにおいては、ガスガイドカバーを、ガスガイドに合わせて精度よく成形する必要がある。ガスガイドカバーを専用の型により成形するときには、ガスガイドカバーの製造コストが高くなる。
【0005】
ガスガイドカバーが布からなるときには、熱に強い布や複数重ねた布をガスガイドに取り付ける必要がある。これにより、ガスガイドカバーが熱により破損するのを抑制する。また、補助ガス噴出し口からのガス漏れを防止する。しかしながら、熱に強い布は高いため、ガスガイドカバーのコストが増加する。布を複数重ねるときには、布の使用量が多くなるため、ガスガイドカバーの重量とコストが増加する傾向がある。布を複数重ねるため、ガスガイドカバーの外形寸法が大きくなる。ガスガイドカバーの形成にかかる時間と労力も増加する。従って、従来のエアバッグモジュールに関しては、ガスの流れの調整と安全性の向上を、より簡易かつ確実に実現するため、改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−210370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、簡易かつ確実に、インフレータから噴出するガスの流れを調整するとともに、エアバッグ装置の安全性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ガスを噴出部から噴出するインフレータと、インフレータから供給されるガスにより膨張展開するエアバッグと、を備えたエアバッグ装置であって、インフレータの噴出部を囲い、噴出部から噴出するガスを流出口から流出させるとともに、ガス圧により変形してガスの放出部を形成するガス流調整部材と、ガス流調整部材の変形を抑制して放出部の形成を防止する変形抑制機能を有し、エアバッグの膨張展開時における温度よりも高い所定温度で変形抑制機能を喪失する変形抑制部材と、を備えたエアバッグ装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易かつ確実に、インフレータから噴出するガスの流れを調整できるとともに、エアバッグ装置の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態のエアバッグ装置を示す図である。
【図2】第1の実施形態のエアバッグ装置の正面図である。
【図3】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図4】インフレータを示す図である。
【図5】第1の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図6】第1の実施形態の変形抑制部材の形成手順を示す図である。
【図7】エアバッグにガスを供給するインフレータを示す図である。
【図8】変形前後のガス流調整部材を示す斜視図である。
【図9】第2の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図10】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図11】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図12】第3の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図13】インフレータを示す図である。
【図14】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図15】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図16】第4の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図17】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図18】第5の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図19】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図20】第6の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図21】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図22】第7の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図23】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図24】第8の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図25】第8の実施形態の変形抑制部材の形成手順を示す図である。
【図26】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図27】第9の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図28】第9の実施形態の変形抑制部材の形成手順を示す図である。
【図29】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図30】第10の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図31】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図32】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図33】第11の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図34】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図35】第12の実施形態のガス流調整部材を示す斜視図である。
【図36】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図37】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図38】第13の実施形態のガス流調整部材を示す斜視図である。
【図39】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図40】ガス流調整部材の変形について説明するための斜視図である。
【図41】第14の実施形態のガス流調整部材を示す図である。
【図42】第14の実施形態の変形抑制部材を示す斜視図である。
【図43】エアバッグに取り付けるインフレータを示す図である。
【図44】インフレータのガスの噴出について説明するための図である。
【図45】ガス流調整部材の変形について説明するための図である。
【図46】ガス流調整部材の変形について説明するための図である。
【図47】ガス流調整部材に形成するスリットの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のエアバッグ装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態のエアバッグ装置は、車両に搭載されて、エアバッグを膨張展開させる。エアバッグにより乗員を受け止めて保護する。以下では、カーテンエアバッグ装置(以下、単にエアバッグ装置という)を例に採り説明する。エアバッグ装置は、車両内の側壁に搭載される。エアバッグは、車両内でカーテン状に展開する。エアバッグは、側壁において乗員を保護する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のエアバッグ装置を示す図である。図1では、車両90に搭載したエアバッグ装置1を車室内から見て示している。また、車両90の側壁91とエアバッグ装置1を、車両90の後方側を省略して、かつ、車両90の幅方向から見て模式的に示している。エアバッグ装置1は、車両90の内面を透視して示している。
なお、ここでは、車両90における前方、後方、上方、下方を、単に前方、後方、上方、下方という。また、車両90における前後方向と上下方向を、単に前後方向と上下方向という。
【0013】
車両90は、図示のように、車室内の側壁91に、ルーフレール92、フロントピラー93、センターピラー94、及び、リアピラー(図示せず)を備えている。また、車両90は、側壁91に、前部ドア95、後部ドア96、及び、ドア95、96の窓97、98を備えている。側壁91には、フロントピラートリム93Aと、ヘッドライニング92Aの一部が取り付けられている。ヘッドライニング92Aは、ルーフ(図示せず)とルーフレール92を覆う。
【0014】
エアバッグ装置1は、膨張展開可能なエアバッグ(カーテンエアバッグ)10と、円柱状のインフレータ2を備えている。エアバッグ10は、車両90内に前後方向に沿って取り付けられる。エアバッグ10は、細長く折り畳まれた状態で側壁91の上部に配置される。また、エアバッグ10は、フロントピラートリム93Aとヘッドライニング92A内に配置される。エアバッグ10は、固定手段(図示せず)により、車体99に固定される。
【0015】
インフレータ2は、シリンダタイプのガス発生装置である。このエアバッグ装置1では、パイロ型のインフレータ2を使用する。インフレータ2は、火薬の燃焼によりガスを発生する。インフレータ2は、エアバッグ10内に挿入されて、エアバッグ10内でガスを発生する。インフレータ2は、センターピラー94の上方に配置される。インフレータ2は、固定手段(図示せず)により、ヘッドライニング92A内で車体99に固定される。
【0016】
車両緊急時や衝撃検知時に、インフレータ2は、エアバッグ10にガスを供給する。エアバッグ10は、インフレータ2から供給されるガスにより、側壁91の上部から下方に向かって膨張展開する。その際、エアバッグ10は、フロントピラートリム93Aとヘッドライニング92Aを押し開いて、車室内に展開する。エアバッグ10は、側壁91に沿ってカーテン状に膨張展開する。
【0017】
図2は、エアバッグ装置1の正面図である。図2には、展開したエアバッグ10を示す。図2では、エアバッグ10内のガスの流れを矢印で示している。
エアバッグ10は、図示のように、前後方向に長い袋体である。エアバッグ10は、連結ベルト11と、複数の固定布12と、筒状のガス供給部13を有する。エアバッグ10の前方端は、連結ベルト11によりフロントピラー93に連結される。エアバッグ10は、固定布12により車体99に取り付けられる。連結ベルト11と固定布12は、ボルト等からなる固定手段(図示せず)により、フロントピラー93とルーフレール92に固定される。
【0018】
エアバッグ10は、乗員側の表基布(表パネル)14と、側壁91側の裏基布(裏パネル)15を有する。基布14、15は、同じ形状に形成された布(例えば、樹脂を被覆した布)からなる。重ねた基布14、15を、外縁接合部16で気密状に接合する。基布14、15は、外縁接合部16で、縫製により(又は、縫製と接着により)接合される。これにより、基布14、15の間に、膨張部20が形成される。膨張部20は、インフレータ2が発生するガスにより膨張する。
【0019】
膨張部20は、前膨張部21、後膨張部22、及び、連結膨張部23からなる。前膨張部21は、エアバッグ10内の前方で膨張して、主に前席の乗員を受け止める。後膨張部22は、エアバッグ10内の後方で膨張して、主に後席の乗員を受け止める。連結膨張部23は、前膨張部21と後膨張部22を連結する。膨張部20は、複数の内部接合部17により区画される。内部接合部17は、外縁接合部16(膨張部20)内に位置する。基布14、15は、内部接合部17で、外縁接合部16と同様に接合される。内部接合部17により、複数の気室24〜27が膨張部20に形成される。
【0020】
ガス供給部13は、エアバッグ10内にガスを供給するための開口部である。ガス供給部13は、エアバッグ10の前後方向の中間に形成され、前膨張部21の後方端に開口する。基布14、15は、ガス供給部13において、エアバッグ10の上縁部から斜め上方に突出する。ガス供給部13の縁部は、先端を除いて、外縁接合部16から連続して接合される。これにより、筒状のガス供給部13が形成される。ガス供給部13の両端部は開口している。ガス供給部13の一端部は、エアバッグ10の外部に開放されている。ガス供給部13の他端部は、膨張部20の内部に繋がる。
【0021】
インフレータ2は、ガス供給部13に挿入され、エアバッグ10内に配置される。ガス供給部13は、バンド3によりインフレータ2に気密状に固定される。インフレータ2は、車体99に前後方向に沿って取り付けられる。ガス供給部13は、インフレータ2により曲げられる。インフレータ2は、ガス供給部13内でガスを発生する。ガス供給部13は、インフレータ2が発生するガスをエアバッグ10内へ供給する。ガスは、ガス供給部13からエアバッグ10の膨張部20へ供給される。ガスは、前膨張部21へ供給されるとともに、連結膨張部23を通って後膨張部22へ供給される。
【0022】
次に、インフレータ2について、詳しく説明する。
図3は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図3には、インフレータ2に取り付けられた部材も示している。図3Aは、図2に対応するインフレータ2の正面図である。図3Bは、図3Aの矢印X方向から見たインフレータ2の側面図である。図3Cは、インフレータ2の一部を図3BのY−Y線で切断して示す断面図である。
【0023】
エアバッグ装置1は、図示のように、ガス流調整部材30と、変形抑制部材60と、固定部材4を備えている。ガス流調整部材30は、インフレータ2に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30に取り付けられる。ガス流調整部材30は、インフレータ2が発生するガスの流れを調整する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の変形を抑制する。固定部材4は、ガス流調整部材30をインフレータ2に固定する。その状態で、インフレータ2は、エアバッグ10のガス供給部13内に取り付けられる。インフレータ2は、ガス流調整部材30の内側でガスを発生する。
【0024】
図4は、インフレータ2を示す図である。図4Aは、インフレータ2の正面図である。図4Bは、図4Aの矢印X方向から見たインフレータ2の側面図である。
インフレータ2は、図示のように、ガスの噴出部2Aを有する。噴出部2Aは、円柱状をなし、インフレータ2の長手方向の一端部に設けられている。複数のガスの噴出口(図示せず)が、噴出部2Aの外周に形成されている。インフレータ2は、ガスを噴出部2A(複数の噴出口)から放射状に噴出する。
【0025】
図5は、ガス流調整部材30を示す図である。図5Aは、形成前のガス流調整部材30の平面図である。図5Bは、形成後のガス流調整部材30の斜視図である。
ガス流調整部材30は、図示のように、矩形状に形成された変形可能なプレート30Aからなる。プレート30Aは、金属製の板状部材(例えば、鉄板)である。プレート30Aは、インフレータ2の外周に沿うように、筒状に曲げられる(図5Aの矢印R)。プレート30Aの両縁部30Bは、突き合わされる。ガス流調整部材30は、筒状に形成されたプレート30Aからなる。ガス流調整部材30の両端面は開口する。
【0026】
インフレータ2(図3参照)は、筒状のガス流調整部材30内に挿入される。ガス流調整部材30は、インフレータ2の外周に装着される。ガス流調整部材30の一端部(先端部)は、噴出部2Aの周りに配置される。ガス流調整部材30は、2つの固定部材4によりインフレータ2に固定される。固定部材4は、環状のバンド4Aと、バンド4Aに取り付けられたボルト4Bを有する。バンド4Aは、ガス流調整部材30の外周に配置される。ガス流調整部材30をバンド4Aにより締め付けることで、ガス流調整部材30をインフレータ2に固定する。インフレータ2は、ボルト4Bにより、車両90に取り付けられる。
【0027】
プレート30Aからなるガス流調整部材30は、インフレータ2に取り付けられる。ガス流調整部材30は、噴出部2Aを囲む。ガス流調整部材30の先端部は、噴出部2Aを覆う周壁である。噴出部2Aの全体が、ガス流調整部材30の内側に配置される。ガス流調整部材30は、ガスの流出口30Cからガスを流出する。流出口30Cは、ガス流調整部材30の一端面に位置する開口からなる。ガス流調整部材30の内部は、インフレータ2により塞がれる。ガス流調整部材30の先端部は、筒状の変形抑制部材60内に配置される。
【0028】
図6は、変形抑制部材60の形成手順を示す図である。図6Aは、形成前の変形抑制部材60の平面図である。図6Bは、形成途中の変形抑制部材60の平面図である。図6Cは、形成後の変形抑制部材60の斜視図である。
変形抑制部材60は、図示のように、矩形状に形成されたシート又は布からなる。ここでは、変形抑制部材60は、エアバッグ10用の基布60Aからなる。基布60Aは、半分に折り畳まれる(図6Aの矢印S)。基布60Aの両縁部を重ねて縫製(図6Bの縫製部60B)する。これにより、変形抑制部材60を形成する(図6C参照)。
【0029】
変形抑制部材60は、基布60Aにより形成された筒状部材からなる。変形抑制部材60(図3参照)は、ガス流調整部材30に密着するように、ガス流調整部材30に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の外周に装着される。また、変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の先端部を含む所定部分に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の噴出部2Aを囲む部分を覆う。ガス流調整部材30の流出口30Cは、変形抑制部材60の開口部60Cに配置される。ガスは、ガス流調整部材30の流出口30Cを通って流出する。インフレータ2は、ガス流調整部材30を介してエアバッグ10にガスを供給する。
【0030】
図7は、エアバッグ10にガスを供給するインフレータ2を示す図である。図7Aは、図3Cに対応する断面図である。図7Bは、インフレータ2の斜視図である。
上記したように、インフレータ2は、噴出部2Aからガスを放射状に噴出する。ガスは、図示のように、ガス流調整部材30の内周面に当たる。ガス流調整部材30は、噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガス流調整部材30により、ガスがエアバッグ10に直接当たるのを防止する。エアバッグ10は、ガス流調整部材30によりガスから保護される。ガス流調整部材30は、噴出部2Aとエアバッグ10の接触を防止して、エアバッグ10を保護する。ガス流調整部材30により、エアバッグ10の破損が防止される。
【0031】
ガスがガス流調整部材30に当たることで、ガスの流れる方向が変更される。ガス流調整部材30は、ガスを流出口30Cから所定方向(図7の矢印F方向)に流出させる。ガスは、流出口30Cのみから流出する。ガスの流れは、ガス流調整部材30により所定方向に調整される。ガス流調整部材30は、ガスの流れを一方向に調整する。ガスは、流出口30Cから一方向(ここでは、インフレータ2の長手方向)に流出して、エアバッグ10に供給される。エアバッグ10は、ガス流調整部材30により調整されたガスにより膨張展開する。
【0032】
ガス流調整部材30は、噴出部2Aから噴出するガスの圧力(ガス圧)により広がるように変形する。ガス流調整部材30は、変形抑制部材60に押し付けられる。変形抑制部材60は、インフレータ2の作動時にガス流調整部材30の変形を抑制する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材30を押さえて、ガス流調整部材30の形状を保持する。ガス流調整部材30は、変形抑制部材60により、ガス流を調整可能な状態に維持される。この通常時に対し、エアバッグ装置1が火災等により高温にさらされると、変形抑制部材60が破損する。例えば、変形抑制部材60は、溶けて変形する、又は、燃える。このような異常時にインフレータ2がガスを発生すると、ガス流調整部材30のガスを受ける部分が変形する。
【0033】
図8は、変形前後のガス流調整部材30を示す斜視図である。図8には、変形抑制部材60が燃えてなくなったときのガス流調整部材30を示している。図8Aに、変形前のガス流調整部材30を示す。図8Bに、変形後のガス流調整部材30を示す。
ガス流調整部材30は、図示のように、ガス圧により変形する。ガス流調整部材30の両縁部30Bが外側へ向かって開くように変形する。これにより、ガス流調整部材30にガスの放出部30Dが形成される。放出部30Dは、ガス流調整部材30からガスを放出するための開放部である。ガス流調整部材30の変形により、放出部30Dが開放する。その際、ガス流調整部材30は、ガス圧により、噴出部2Aのガスの噴出方向の一部を開放して、ガスの放出部30Dを形成する。放出部30Dは、ガス流調整部材30の開放された部分からなる。
【0034】
ガス流調整部材30の先端部が開くように変形することで、放出部30Dがガス流調整部材30の先端部に形成される。放出部30Dは、ガス流調整部材30の噴出部2Aを囲む部分に形成される。噴出部2Aから噴出するガスは、放出部30Dから、流出口30Cとは異なる方向に放出される。ガスは、流出口30Cと放出部30Dから噴出する。ガスは、ガス流調整部材30から多方向に噴出する。インフレータ2が誤作動したときに、ガスが一方向に噴出しないため、インフレータ2に一方向の推進力が働くのが防止される。その結果、インフレータ2が発射されるのが防止される。インフレータ2の急激な移動と大きな移動も抑制される。従って、火災等の高温の状態でインフレータ2が誤ってガスを発生したとしても、インフレータ2による危険を回避できる。また、輸送中や保管時におけるエアバッグ装置1の安全性が高くなる。
【0035】
上記したように、変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の変形抑制機能を有する。変形抑制機能は、ガス圧によるガス流調整部材30の変形を抑制して、放出部30Dの形成を防止する機能である。エアバッグ10の膨張展開時には、変形抑制部材60の変形抑制機能は維持される。即ち、エアバッグ10の膨張展開が開始するときからエアバッグ10の膨張展開が完了した後まで、変形抑制部材60は、変形抑制機能を発揮する。エアバッグ10の膨張展開時は、エアバッグ10にガスを供給するためにインフレータ2が作動するインフレータ2の作動時(通常作動時)である。インフレータ2の熱やガスの熱により変形抑制部材60が加熱されるため、変形抑制部材60の温度が上昇する。
【0036】
変形抑制部材60は、エアバッグ10の膨張展開時における温度よりも高い所定温度で変形抑制機能を喪失する。エアバッグ10の膨張展開時における温度とは、エアバッグ10の膨張展開時に上昇する変形抑制部材60の温度の最高温度である。インフレータ2は、外部から加熱されたときに、温度の上昇によってガスを噴出することがある。上記した所定温度は、加熱によりガスを噴出するときのインフレータ2の温度よりも低い温度である。具体的には、変形抑制部材60は、エアバッグ10の膨張展開時における温度よりも高い温度の熱をエアバッグ装置1の外部から受けたときに破損する。これにより、変形抑制部材60は、変形抑制機能を喪失する。例えば、火災時には、変形抑制部材60は、火災による熱で破損する。変形抑制部材60が変形抑制機能を喪失した後は、ガス流調整部材30の変形が許容される。インフレータ2がガスを噴出したときに、ガス流調整部材30は、上記のように変形して、ガスの放出部30Dを形成する。
【0037】
以上説明したように、ガス流調整部材30と変形抑制部材60により、簡易かつ確実に、インフレータ2から噴出するガスの流れを調整できる。また、火災等の高温時におけるエアバッグ装置1の安全性を、簡易かつ確実に向上させることができる。ガス流調整部材30と変形抑制部材60は、比較的簡単に低コストで形成できる。ここでは、以上の効果を、特性(例えば、融点と強度)が異なるガス流調整部材30と変形抑制部材60により実現している。エアバッグ装置1の外部から熱を受けたときに、変形抑制部材60は、変形抑制機能を喪失する。
【0038】
筒状の変形抑制部材60により、ガス流調整部材30の外側への変形を確実に抑制できる。プレート30Aによりガス流調整部材30を形成するため、ガス流調整部材30を容易に形成できる。プレート30Aの変形により、放出部30Dがガス流調整部材30に確実に形成される。基布60Aからなる変形抑制部材60は、耐熱性を有するとともに、高温の熱により確実に破損する。変形抑制部材60を、ガス流調整部材30の噴出部2Aを囲む部分に対応する大きさに形成することで、変形抑制部材60を小さくできる。
【0039】
なお、変形抑制部材60は、放出部30Dの形成を防止できるようにガス流調整部材30の変形を抑制する。そのため、ガス流調整部材30は、ある程度変形してもよい。放出部30Dの形成に関係しない変形が、ガス流調整部材30に生じてもよい。火災以外でも、所定温度で、変形抑制部材60は、ガス流調整部材30の変形を抑制できなくなる。その際、変形抑制部材60は、熱により破損して変形抑制機能を喪失する。変形抑制部材60の破損は、例えば、溶け、変形、燃焼、劣化、又は、強度の低下である。変形抑制部材60が破損した状態で、ガス流調整部材30が変形することで、放出部30Dが形成される。
【0040】
次に、ガス流調整部材と変形抑制部材の他の実施形態について説明する。以下説明するガス流調整部材と変形抑制部材は、基本的には、既に説明したガス流調整部材30と変形抑制部材60と同様に構成されている。また、各実施形態では、第1の実施形態の効果と同じ効果が得られる。そのため、以下では、既に説明した事項とは異なる事項を説明する。既に説明した事項と同じ事項は簡単に説明する。ガス流調整部材と変形抑制部材に関して、同じ構成には同じ名称を付す。
【0041】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態のガス流調整部材31を示す図である。
ガス流調整部材31は、図示のように、矩形状のプレート31Aからなる。プレート31Aを曲げて筒状に形成する。プレート31Aの両縁部31Bは、重ね合わせる。両縁部31Bの全体が所定幅で重なる。両縁部31Bを重ね合わせることを除いて、ガス流調整部材31は、第1の実施形態のガス流調整部材30と同様に構成されている。
【0042】
図10は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図10Aは、図3Aに対応する正面図である。図10Bは、図3Bに対応する側面図である。図10Bでは、インフレータ2を図10Aの矢印X方向から見て示す。
筒状のガス流調整部材31は、図示のように、インフレータ2に取り付けられる。ガス流調整部材31の先端部は、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。筒状の変形抑制部材60は、ガス流調整部材31の先端部に取り付けられる。
【0043】
図11は、ガス流調整部材31の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材31は、図11Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、ガス流調整部材31の流出口31Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材31の変形を抑制することで、放出部31D(図11D参照)の形成を防止する。変形抑制部材60は、図11Bに示すように、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ2がガスを噴出すると、図11Cに示すように、ガス流調整部材31が、ガス圧により変形する。ガスの放出部31Dが、ガス流調整部材31に形成される。噴出部2Aのガスの噴出方向の一部が開放される。ガスは、流出口31Cと放出部31Dから噴出する。
【0044】
このガス流調整部材31では、プレート31Aの両縁部31Bを重ね合わせたため、縁部31Bの間に隙間が生じるのを防止できる。その結果、エアバッグ10の膨張展開時に、ガス流調整部材31からガスが漏れるのを抑制できる。ガスは、流出口31Cから一方向に流出する。ガス流調整部材31により、インフレータ2から噴出するガスの流れを確実に調整できる。
【0045】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態のガス流調整部材32を示す図である。
ガス流調整部材32は、図示のように、T字状に形成された板状部材からなる。ガス流調整部材32は、矩形状のプレート32A(本体部)と、インフレータ2に固定される固定部32Eを有する。固定部32Eは、プレート32Aと一体に形成された長板からなる。固定部32Eには、2つの挿入孔32Fが形成されている。プレート32Aを曲げて筒状に形成する(図12Aの矢印R)。プレート32Aの両縁部32Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材32は、先端部に形成された筒状部32Gと、固定部32Eからなる。
【0046】
図13は、ガス流調整部材32を取り付けるインフレータ2を示す図である。図13Aは、インフレータ2の正面図である。図13Bは、図13Aの矢印X方向から見たインフレータ2の側面図である。
図示のように、インフレータ2には、2つの固定部材5が取り付けられている。固定部材5は、ボルトからなり、溶接によりインフレータ2に固定される。インフレータ2は、固定部材5により、車両90に取り付けられる。
【0047】
図14は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図14では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材32をインフレータ2に取り付けるときには、図示のように、インフレータ2の固定部材5を、固定部32Eの挿入孔32Fに挿入する。これにより、ガス流調整部材32がインフレータ2に固定される。ガス流調整部材32(筒状部32G)は、インフレータ2の先端部に取り付けられ、噴出部2Aの周りに配置される。インフレータ2の噴出部2Aは、筒状部32Gにより囲まれる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材32の筒状部32Gに取り付けられる。
【0048】
図15は、ガス流調整部材32の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材32は、図15Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、ガス流調整部材32の流出口32Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材32の変形を抑制することで、放出部32D(図15C参照)の形成を防止する。
【0049】
変形抑制部材60は、図15Bに示すように、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ2がガスを噴出すると、図15Cに示すように、ガス流調整部材32の筒状部32Gが、ガス圧により変形する。筒状部32Gの全体が外側へ向かって開くように変形する。筒状部32Gは広がる。これにより、ガスの放出部32Dが、ガス流調整部材32に形成される。噴出部2Aのガスの噴出方向の一部が開放される。放出部32Dは、固定部32E側の一部を除いた筒状部32Gに形成される。ガスは、流出口32Cと放出部32Dから噴出する。
【0050】
このガス流調整部材32では、プレート32Aの両縁部32Bを重ね合わせたため、第2の実施形態のガス流調整部材31と同様の効果が得られる。また、固定部32Eをガス流調整部材32に設けたため、ガス流調整部材32をインフレータ2に固定し易くなる。ガス流調整部材32の固定作業を容易に行える。ガス流調整部材32の先端部のみを噴出部2Aを囲む筒状に形成したため、ガス流調整部材32を軽くできる。ガス流調整部材32はコンパクトになる。ガス流調整部材32のコストを削減することもできる。ガス流調整部材32の固定部32Eを、固定部材5によりインフレータ2に固定するため、ガス流調整部材32をインフレータ2に強固に固定できる。インフレータ2がガスを噴出するときに、ガス流調整部材32とインフレータ2の間にズレが生じるのを防止できる。ガス流調整部材32の位置の変化を抑制できる。
【0051】
(第4の実施形態)
図16は、第4の実施形態のガス流調整部材33を示す図である。
ガス流調整部材33は、図示のように、プレート33Aと固定部33Eを有する。固定部33Eに挿入孔がないことを除いて、ガス流調整部材33は、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。プレート33Aを曲げて筒状に形成する。プレート33Aの両縁部33Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材33は、筒状部33Gと固定部33Eからなる。
【0052】
図17は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図17では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材33(筒状部33G)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられ、噴出部2Aの周りに配置される。ガス流調整部材33は、2つの固定部材4によりインフレータ2に固定される。固定部33Eが、バンド4Aによりインフレータ2に固定される。インフレータ2の噴出部2Aは、筒状部33Gにより囲まれる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材33の筒状部33Gに取り付けられる。ガスは流出口33Cから流出する。このガス流調整部材33では、第3の実施形態のガス流調整部材32と同じ効果が得られる。
【0053】
(第5の実施形態)
図18は、第5の実施形態のガス流調整部材34を示す図である。図19は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。
ガス流調整部材34は、図示のように、プレート34Aと固定部34Eを有する。固定部34Eには、2つの挿入孔34Fが形成されている。プレート34Aを曲げて筒状に形成する。プレート34Aの両縁部34Bは、突き合わせる。ガス流調整部材34は、筒状部34Gと固定部34Eからなる。ガスは流出口34Cから流出する。両縁部34Bを突き合わせることを除いて、ガス流調整部材34は、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。
【0054】
(第6の実施形態)
図20は、第6の実施形態のガス流調整部材35を示す図である。図21は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。
ガス流調整部材35は、図示のように、プレート35Aと固定部35Eを有する。プレート35Aを曲げて筒状に形成する。プレート35Aの両縁部35Bは、突き合わせる。ガス流調整部材35は、筒状部35Gと固定部35Eからなる。ガスは流出口35Cから流出する。両縁部35Bを突き合わせることを除いて、ガス流調整部材35は、第4の実施形態のガス流調整部材33と同様に構成されている。
【0055】
(第7の実施形態)
図22は、第7の実施形態のガス流調整部材36を示す図である。
ガス流調整部材36は、図示のように、プレート36Aと固定部36Eと連結孔36Hを有する。ガス流調整部材36は、連結孔36Hを除き、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。固定部36Eには、2つの挿入孔36Fが形成される。連結孔36Hは、プレート36Aの中央部に形成される。プレート36Aを曲げて筒状に形成する。プレート36Aの両縁部36Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材36は、筒状部36Gと固定部36Eからなる。
【0056】
図23は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図23Aは、インフレータ2の正面図である。図23Bは、図23Aの矢印X方向から見たインフレータ2の側面図である。図23Cは、図23AのZ−Z線で切断した断面図である。
ガス流調整部材36は、図示のように、インフレータ2に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材36(筒状部36G)に取り付けられる。変形抑制部材60は、ガス流調整部材36の連結孔36Hに重なる連結孔60Dを有する。変形抑制部材60とガス流調整部材36は、連結部材6により連結される。連結部材6は、ボルト6Aとナット6Bからなる。ボルト6Aは、連結孔36H、60Dに挿入される。ナット6Bは、ボルト6Aに取り付けられる。連結部材6は、ボルト6Aとナット6Bにより、変形抑制部材60をガス流調整部材36に連結する。ガスは流出口36Cから流出する。
【0057】
このガス流調整部材36では、第3の実施形態のガス流調整部材32と同じ効果が得られる。連結部材6により、変形抑制部材60をガス流調整部材36に連結するため、変形抑制部材60の位置の変化を抑制できる。インフレータ2がガスを噴出するときに、ガス流調整部材36と変形抑制部材60の間にズレが生じるのを防止できる。その結果、変形抑制部材60により、ガス流調整部材36の変形を確実に抑制できる。なお、リベットからなる連結部材6により、変形抑制部材60をガス流調整部材36に連結してもよい。
【0058】
(第8の実施形態)
図24は、第8の実施形態のガス流調整部材37を示す図である。
ガス流調整部材37は、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。ガス流調整部材37は、図示のように、プレート37Aと、固定部37Eを有する。固定部37Eには、2つの挿入孔37Fが形成されている。プレート37Aを曲げて筒状に形成する。プレート37Aの両縁部37Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材37は、筒状部37Gと固定部37Eからなる。
【0059】
図25は、変形抑制部材61の形成手順を示す図である。図25Aは、形成前の変形抑制部材61の平面図である。図25Bは、形成途中の変形抑制部材61の平面図である。図25Cは、形成後の変形抑制部材61の斜視図である。
変形抑制部材61は、図示のように、T字状に形成された基布61Aからなる。基布61Aは、半分に折り畳まれる(図25Aの矢印H)。基布61Aの先端部を重ねて縫製(図25Bの縫製部61B)する。変形抑制部材61の先端部は、筒状に形成される(図25C参照)。変形抑制部材61は、筒状部61Eと固定部61Fからなる。固定部61Fには、2つの挿入孔61Gが形成されている。
【0060】
図26は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図26では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材37(筒状部37G)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられる。その際、インフレータ2の固定部材5を、固定部37Eの挿入孔37Fに挿入する。変形抑制部材61は、基布61Aにより形成された筒状部材からなる。変形抑制部材61(筒状部61E)は、ガス流調整部材37の筒状部37Gに取り付けられる。インフレータ2の固定部材5を、固定部61Fの挿入孔61Gに挿入する。固定部材5により、ガス流調整部材37と変形抑制部材61をインフレータ2に固定する。ガスは流出口37Cから流出する。
【0061】
変形抑制部材61をインフレータ2に固定することで、変形抑制部材61の位置の変化を抑制できる。インフレータ2がガスを噴出するときに、ガス流調整部材37と変形抑制部材61の間にズレが生じるのを防止できる。その結果、変形抑制部材61により、ガス流調整部材37の変形を確実に抑制できる。
【0062】
(第9の実施形態)
図27は、第9の実施形態のガス流調整部材38を示す図である。
ガス流調整部材38は、図示のように、プレート38Aと、固定部38Eと、2つのガスの流出孔38Iを有する。ガス流調整部材38は、流出孔38Iを除いて、第3の実施形態のガス流調整部材32と同様に構成されている。固定部38Eには、2つの挿入孔38Fが形成されている。プレート38Aを曲げて筒状に形成する。プレート38Aの両縁部38Bは、重ね合わせる。ガス流調整部材38は、筒状部38Gと固定部38Eからなる。流出孔38Iは、筒状部38Gの側部に形成される。
【0063】
図28は、変形抑制部材62の形成手順を示す図である。図28Aは、形成前の変形抑制部材62の平面図である。図28Bは、形成途中の変形抑制部材62の平面図である。図28Cは、形成後の変形抑制部材62の斜視図である。
変形抑制部材62は、図示のように、矩形状に形成された基布62Aからなる。基布62Aには、2つの流出孔62Hが形成されている。変形抑制部材62は、流出孔62Hを除いて、第1の実施形態の変形抑制部材60と同様に構成されている。基布62Aを縫製(図28Bの縫製部62B)することで、筒状の変形抑制部材62を形成する。
【0064】
図29は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図29では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材38(筒状部38G)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられる。変形抑制部材62は、ガス流調整部材38の筒状部38Gに取り付けられる。変形抑制部材62の流出孔62Hの位置を、ガス流調整部材38の流出孔38Iの位置に合わせる。ガス流調整部材38は、流出口38Cと2つの流出孔38Iからガスを流出させる。ガスは、流出孔38I、62Hを通って流出する。従って、流出孔38Iは、ガス流調整部材38に設けられたガスの流出口である。ガスは、ガス流調整部材38から三方向に流出する。このように、ガス流調整部材38には、複数のガスの流出口を設けるようにしてもよい。
【0065】
(第10の実施形態)
図30は、第10の実施形態のガス流調整部材39を示す図である。
ガス流調整部材39は、図示のように、プレート39Aと固定部39Eを有する。また、ガス流調整部材39は、インフレータ2の噴出部2Aを囲む部分に複数のスリット39Jを有する。ガス流調整部材39は、スリット39Jを除いて、第5の実施形態のガス流調整部材34と同様に構成されている。固定部39Eには、2つの挿入孔39Fが形成されている。プレート39Aを曲げて筒状に形成する。プレート39Aの両縁部39Bは、突き合わせる。ガス流調整部材39は、筒状部39Gと固定部39Eからなる。複数のスリット39Jは、筒状部39Gに等間隔に形成されている。スリット39Jは、筒状部39Gの一端面(流出口39C側の端面)から他端面に向かって形成されている。
【0066】
図31は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図31では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材39(筒状部39G)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられる。筒状部39Gは、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。変形抑制部材60は、ガス流調整部材39の筒状部39Gに取り付けられる。
【0067】
図32は、ガス流調整部材39の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材39は、図32Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、ガス流調整部材39の流出口39Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、ガス流調整部材39の変形を抑制することで、放出部39D(図32C参照)の形成を防止する。
【0068】
変形抑制部材60は、図32Bに示すように、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ2がガスを噴出すると、図32Cに示すように、ガス流調整部材39の筒状部39Gが、ガス圧により変形する。筒状部39Gの全体が外側へ向かって開くように変形する。筒状部39Gは広がる。同時に、筒状部39Gのスリット39J間の部分が、それぞれ変形する。これにより、ガスの放出部39Dが、ガス流調整部材39に形成される。噴出部2Aのガスの噴出方向の一部が開放される。ガスは、流出口39Cと放出部39Dから噴出する。
【0069】
複数のスリット39Jにより、ガス流調整部材39が変形し易くなる。そのため、放出部39Dが、ガス流調整部材39に確実に形成される。なお、スリット39Jを、上記したガス流調整部材30〜38に形成するようにしてもよい。
【0070】
(第11の実施形態)
図33は、第11の実施形態のガス流調整部材40を示す図である。
ガス流調整部材40は、図示のように、矩形状のプレート40Aからなる。ガス流調整部材40は、インフレータ2の噴出部2Aを囲む部分に複数のスリット40Jを有する。ガス流調整部材40は、スリット40Jを除いて、第1の実施形態のガス流調整部材30と同様に構成されている。プレート40Aを曲げて筒状に形成する。プレート40Aの両縁部40Bは、突き合わせる。複数のスリット40Jは、ガス流調整部材40の先端部に等間隔に形成されている。スリット40Jは、ガス流調整部材40の一端面(流出口40C側の端面)から他端面に向かって形成されている。
【0071】
図34は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図34では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材40は、図示のように、インフレータ2に取り付けられる。ガス流調整部材40の先端部が、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。変形抑制部材60は、ガス流調整部材40の先端部に取り付けられる。ガスは流出口40Cから流出する。ガス流調整部材40がガス圧により変形するときに(図8B参照)、ガス流調整部材40の先端部が開くように変形する。同時に、ガス流調整部材40のスリット40J間の部分が、それぞれ外側へ向かって変形する。これにより、ガスの放出部が、ガス流調整部材40に形成される。このガス流調整部材40では、第10の実施形態のガス流調整部材39と同様の効果が得られる。
【0072】
(第12の実施形態)
図35は、第12の実施形態のガス流調整部材41を示す斜視図である。
ガス流調整部材41は、図示のように、筒状部41Gであるパイプ41Kと、固定部41Eを有する。ガス流調整部材41は、パイプ41Kに複数のスリット41Jを有する。ガス流調整部材41は、パイプ41Kを除いて、第10の実施形態のガス流調整部材39と同様に構成されている。固定部41Eには、2つの挿入孔41Fが形成されている。複数のスリット41Jは、パイプ41Kに等間隔に形成されている。スリット41Jは、パイプ41Kの一端面(流出口41C側の端面)から他端面に向かって形成されている。
【0073】
図36は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図36では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材41(パイプ41K)は、図示のように、インフレータ2の先端部に取り付けられる。パイプ41Kは、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。パイプ41Kは、複数のスリット41Jにより、放射状に変形可能になっている。変形抑制部材60は、ガス流調整部材41のパイプ41Kに取り付けられる。変形抑制部材60は、パイプ41Kを覆う。
【0074】
図37は、ガス流調整部材41の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材41(パイプ41K)は、図37Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、流出口41Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、パイプ41Kの変形を抑制することで、放出部41D(図37C参照)の形成を防止する。
【0075】
変形抑制部材60は、図37Bに示すように、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ2がガスを噴出すると、図37Cに示すように、ガス流調整部材41のパイプ41Kが、ガス圧により変形する。パイプ41Kの全体が外側へ向かって開くように変形する。パイプ41Kのスリット41J間の部分が、それぞれ変形する。パイプ41Kは、放射状に変形する。これにより、ガスの放出部41Dが、ガス流調整部材41に形成される。ガス流調整部材41は、ガス圧により、噴出部2Aのガスの噴出方向の全部を開放して、ガスの放出部41Dを形成する。噴出部2Aの周りの全体が、放出部41Dになり、開放される。ガスは、放出部41Dから放射状に噴出する。
【0076】
このガス流調整部材41では、パイプ41Kの変形により、噴出部2Aの周りの全体を開放できる。また、噴出部2Aのガスの噴出方向の全部を開放することができる。ガスが放出部41Dから多方向に噴出するため、インフレータ2に推進力が働くのを確実に防止できる。ガスによるインフレータ2の移動も小さくできる。そのため、エアバッグ装置1の安全性を、より向上させることができる。
【0077】
(第13の実施形態)
図38は、第13の実施形態のガス流調整部材42を示す斜視図である。
ガス流調整部材42は、図示のように、筒状のパイプ42Kからなる。ガス流調整部材42は、インフレータ2の噴出部2Aを囲む部分に複数のスリット42Jを有する。複数のスリット42Jは、パイプ42Kの先端部に等間隔に形成されている。スリット42Jは、パイプ42Kの一端面(流出口42C側の端面)から他端面に向かって形成されている。
【0078】
図39は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ2を示す図である。図39では、図10と同様に、インフレータ2を側面図と正面図で示す。
ガス流調整部材42は、図示のように、インフレータ2に取り付けられる。ガス流調整部材42は、2つの固定部材4によりインフレータ2に固定される。パイプ42Kの先端部が、インフレータ2の噴出部2Aを囲む。パイプ42Kの先端部は、複数のスリット42Jにより、放射状に変形可能になっている。変形抑制部材60は、パイプ42Kの先端部に取り付けられる。変形抑制部材60は、パイプ42Kの先端部を覆う。
【0079】
図40は、ガス流調整部材42の変形について説明するための斜視図である。
ガス流調整部材42(パイプ42K)は、図40Aに示すように、インフレータ2の噴出部2Aから噴出するガスを受ける。ガスは、流出口42Cから所定方向Fに流出する。変形抑制部材60は、パイプ42Kの変形を抑制することで、放出部42D(図40C参照)の形成を防止する。
【0080】
図40B、図40Cに示すように、ガス圧により変形するときに、ガス流調整部材42は、第12の実施形態のガス流調整部材41と同様に変形する。パイプ42Kの先端部は、放射状に変形する。ガス流調整部材42は、ガス圧により変形して、噴出部2Aのガスの噴出方向の全部を開放する。噴出部2Aの周りの全体が、放出部42Dになる。ガスは、放出部42Dから放射状に噴出する。このガス流調整部材42では、第12の実施形態のガス流調整部材41と同じ効果が得られる。
【0081】
(第14の実施形態)
図41は、第14の実施形態のガス流調整部材43を示す図である。図41Aは、ガス流調整部材43の斜視図である。図41Bは、ガス流調整部材43の正面図である。図41Cは、図41Bの矢印X方向から見たガス流調整部材43の側面図である。図41Dは、図41BのW−W線で切断したガス流調整部材43の断面図である。図41Eは、図41Bの矢印V方向から見たガス流調整部材43の底面図である。
【0082】
ガス流調整部材43は、図示のように、キャップ部43Lと固定部43Eを有する。キャップ部43Lは、筒状に形成されている。キャップ部43Lの先端面43Mは、板状部材により塞がれている。ガスの流出口43Cは、キャップ部43Lの筒状部43Gに形成されている。T字状のスリット43N(図41E参照)が、キャップ部43Lに形成されている。流出口43Cとスリット43Nは、筒状部43Gの180°離れた位置に設けられている。固定部43Eは、キャップ部43Lに固定されている。固定部43Eには、2つの挿入孔43Fが形成されている。
【0083】
図42は、変形抑制部材63を示す斜視図である。
変形抑制部材63は、図示のように、1つの流出孔63Hを有する。変形抑制部材63は、流出孔63Hを除いて、第1の実施形態の変形抑制部材60と同様に構成されている。
【0084】
図43は、エアバッグ10に取り付けるインフレータ7を示す図である。図43Aは、インフレータ7の正面図である。図43Bは、図43Aの矢印X方向から見たインフレータ7の側面図である。図43Cは、図43AのW−W線で切断した断面図である。
ガス流調整部材43(キャップ部43L)は、図示のように、インフレータ7の先端部に取り付けられる。キャップ部43Lは、インフレータ7の先端部に被せられる。キャップ部43Lは、インフレータ7の噴出部7Aを囲む。ガス流調整部材43は、固定部43Eにより、インフレータ7に固定される。
【0085】
変形抑制部材63は、ガス流調整部材43のキャップ部43Lに取り付けられる。変形抑制部材63は、キャップ部43Lの筒状部43Gを覆う。変形抑制部材63の流出孔63Hの位置を、ガス流調整部材43の流出口43Cの位置に合わせる。ガス流調整部材43は、流出口43Cからガスを流出させる。ガスは、流出口43Cと流出孔63Hを通って流出する。
【0086】
図44は、インフレータ7のガスの噴出について説明するための図である。図44A、図44Bは、インフレータ7の正面図である。図44Cは、図43BのQ−Q線で切断した断面図である。
インフレータ7は、図44Aに示すように、円柱状の噴出部7Aを有する。噴出部7Aの端面には、ガスの噴出口(図示せず)が形成されている。ガスは、噴出部7Aからインフレータ7の長手方向に噴出する。インフレータ7は、ガスの噴出方向を除いて、上記したインフレータ2と同様に構成されている。
【0087】
図44B、図44Cに示すように、ガス流調整部材43は、噴出部7Aから噴出するガスを受ける。ガスは、キャップ部43Lの先端面43Mに当たる。ガスは、流出口43Cから所定方向Fに流出する。ガスの流れる方向は、キャップ部43Lにより変更される。ガスは、キャップ部43Lから一方向に流出する。ガス流調整部材43により、ガスの流れが調整される。
【0088】
図45、図46は、ガス流調整部材43の変形について説明するための図である。図45A、図45Bは、インフレータ7の斜視図である。図45Cは、図45Bに示すガス流調整部材43の底面図である。図46Aは、インフレータ7の斜視図である。図46Bは、図46Aに示すガス流調整部材43の底面図である。図46Cは、図44Cに対応する断面図である。
図45に示すように、ガス流調整部材43の流出口43Cからガスが流出する間、変形抑制部材63は、ガス流調整部材43(キャップ部43L)の変形を抑制する。変形抑制部材63は、ガス流調整部材43のスリット43Nを閉じた状態に維持する。
【0089】
図46に示すように、変形抑制部材63は、所定温度で変形抑制機能を喪失する。インフレータ7がガスを噴出すると、ガス流調整部材43のキャップ部43Lが、ガス圧により変形する。キャップ部43Lのスリット43Nを形成した部分が、外側へ向かって開くように変形する。これにより、ガスの放出部43Dが、ガス流調整部材43に形成される。放出部43Dは、三角形状の開口からなる。ガスは、開放された放出部43Dから放出される。ガスが、流出口43Cと放出部43Dから反対方向に噴出するため、インフレータ7に推進力が働くのを防止できる。そのため、エアバッグ装置1の安全性を向上できる。
【0090】
図47は、ガス流調整部材43に形成するスリット43Nの他の例を示す図である。図47は、図41Eに対応するガス流調整部材43の底面図である。
スリット43Nは、図示のように、開放可能な種々の形状に形成される。ガスの放出部43Dは、スリット43Nの形状に応じた形状に形成される。ここでは、矩形状の放出部(図示せず)が、キャップ部43Lに形成される。
【0091】
なお、ガス供給部13(図2参照)は、エアバッグ10の前後方向の端部に形成してもよい。インフレータ2、7は、エアバッグ10から前方又は後方に突出するガス供給部13に取り付けられる。また、本発明は、カーテンエアバッグ装置に限定されず、インフレータ2、7が取り付けられる種々のエアバッグ装置に適用できる。インフレータ2、7は、パイロ型以外のインフレータ(例えば、ストアードガス型やハイブリッド型のインフレータ)であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1・・・エアバッグ装置、2・・・インフレータ、2A・・・噴出部、3・・・バンド、4・・・固定部材、5・・・固定部材、6・・・連結部材、7・・・インフレータ、10・・・エアバッグ、11・・・連結ベルト、12・・・固定布、13・・・ガス供給部、14・・・表基布、15・・・裏基布、16・・・外縁接合部、17・・・内部接合部、20・・・膨張部、21・・・前膨張部、22・・・後膨張部、23・・・連結膨張部、24〜27・・・気室、30〜43・・・ガス流調整部材、60〜63・・・変形抑制部材、90・・・車両、91・・・側壁、92・・・ルーフレール、93・・・フロントピラー、94・・・センターピラー、95・・・前部ドア、96・・・後部ドア、97、98・・・窓、99・・・車体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを噴出部から噴出するインフレータと、インフレータから供給されるガスにより膨張展開するエアバッグと、を備えたエアバッグ装置であって、
インフレータの噴出部を囲い、噴出部から噴出するガスを流出口から流出させるとともに、ガス圧により変形してガスの放出部を形成するガス流調整部材と、
ガス流調整部材の変形を抑制して放出部の形成を防止する変形抑制機能を有し、エアバッグの膨張展開時における温度よりも高い所定温度で変形抑制機能を喪失する変形抑制部材と、
を備えたエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエアバッグ装置において、
変形抑制部材が、エアバッグの膨張展開時における温度よりも高い温度の熱をエアバッグ装置の外部から受けたときに破損して変形抑制機能を喪失するエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたエアバッグ装置において、
変形抑制部材が、ガス流調整部材の周りに取り付けられた筒状部材からなるエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、ガス圧により、噴出部のガスの噴出方向の一部又は全部を開放して放出部を形成するエアバッグ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、筒状に形成され、インフレータに取り付けられたプレートからなるエアバッグ装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたエアバッグ装置において、
プレートの両縁部を重ね合わせたエアバッグ装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、インフレータに固定される固定部を有するエアバッグ装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
変形抑制部材をガス流調整部材に連結する連結部材を備えたエアバッグ装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、インフレータの噴出部を囲む部分に複数のスリットを有するエアバッグ装置。
【請求項10】
請求項9に記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、インフレータの噴出部を囲い、複数のスリットにより放射状に変形可能なパイプを有するエアバッグ装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
変形抑制部材が、エアバッグ用の基布からなるエアバッグ装置。
【請求項1】
ガスを噴出部から噴出するインフレータと、インフレータから供給されるガスにより膨張展開するエアバッグと、を備えたエアバッグ装置であって、
インフレータの噴出部を囲い、噴出部から噴出するガスを流出口から流出させるとともに、ガス圧により変形してガスの放出部を形成するガス流調整部材と、
ガス流調整部材の変形を抑制して放出部の形成を防止する変形抑制機能を有し、エアバッグの膨張展開時における温度よりも高い所定温度で変形抑制機能を喪失する変形抑制部材と、
を備えたエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエアバッグ装置において、
変形抑制部材が、エアバッグの膨張展開時における温度よりも高い温度の熱をエアバッグ装置の外部から受けたときに破損して変形抑制機能を喪失するエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたエアバッグ装置において、
変形抑制部材が、ガス流調整部材の周りに取り付けられた筒状部材からなるエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、ガス圧により、噴出部のガスの噴出方向の一部又は全部を開放して放出部を形成するエアバッグ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、筒状に形成され、インフレータに取り付けられたプレートからなるエアバッグ装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたエアバッグ装置において、
プレートの両縁部を重ね合わせたエアバッグ装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、インフレータに固定される固定部を有するエアバッグ装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
変形抑制部材をガス流調整部材に連結する連結部材を備えたエアバッグ装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、インフレータの噴出部を囲む部分に複数のスリットを有するエアバッグ装置。
【請求項10】
請求項9に記載されたエアバッグ装置において、
ガス流調整部材が、インフレータの噴出部を囲い、複数のスリットにより放射状に変形可能なパイプを有するエアバッグ装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
変形抑制部材が、エアバッグ用の基布からなるエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【公開番号】特開2013−103608(P2013−103608A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248624(P2011−248624)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】
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