説明

エアーテント

【課題】仮設作業場を容易に設置できるようにしたエアーテントを提供する。
【解決手段】本発明に係るエアーテント100によれば、テント本体1の天井に這わされた3本のロープ3が、プレート6により当該テント本体1の天井に固定されるものである。これにより、エアーテント100を収納する時において、テント本体1の天井に這わされた3本のロープ3がプレート6により固定されている。従って、エアーテント100を設置する時に、一々ロープ3をプレート6に挿通させる必要なく、そのままテント本体1にエアーを供給してエアーテント100を膨らませ、各ロープ3の両端を重石4により固定すればエアーテント100を設置できる。従って、エアーテント100を用いて仮設作業場を容易に設置できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設作業場に設置されるエアーテントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電所では、放射性物品を扱う区域は、管理区域として設定して管理している。機器の点検等で建物の屋上に一時管理区域を設定して管理区域専用作業服に着替えたり、取替部品を仮置きしたりする場合がある。例えば、建物の排気処理装置のフィルターを取替える際に、建物の屋上に一時管理区域を設定して管理区域専用作業服に着替える。この場合、鋼管材、テント幕などをクレーンにより建物の屋上まで吊り上げて、テントを組み立てて仮設作業場を設置している。
【0003】
特許文献1には、エアーテントが開示されている。このエアーテントによれば、内部に空気を吹き込んで膨張させた気柱を骨組みとし、当該気柱間に跨ってシート状の天幕を展開させて自立したエアーテントを設置するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−175559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例に係る仮設作業場の設置によれば、鋼管材、テント幕などをクレーンにより建物の屋上まで吊り上げてテントを組み立てる必要があり、労力と時間(約1日程度)を要していた。さらに、作業が終了すると、組み立てたテントを解体して再びクレーンにより建物の下まで鋼管材およびテント幕を降ろす必要があった。仮設作業場を設置しておく期間は1日〜数日程度であり、しかも、仮設作業場の用途は管理区域専用の作業服に着替えることであり、仮設作業場を設置する労力と時間をできるだけ少なくすることが望ましい。また、特許文献1においては、屋外に仮設するにも関わらずエアーテントを固定する手段がないために、暴風などによりエアーテントが吹き飛ばされてエアーテントが転倒したり、その位置が移動したりするおそれがある。
【0006】
そこで、本発明はこのような従来例に係る課題を解決したものであって、容易に設置できると共に位置を固定できるエアーテントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係るエアーテントは、エアーポンプによりエアーが供給されて膨張する膨張部を有したテント本体と、前記テント本体の天井に這わされる複数本のロープと、前記複数本のロープを前記テント本体の天井に固定するプレートと、前記ロープの両端を固定する固定部材とを備えるものである。
【0008】
本発明において、エアーポンプは、テント本体の膨張部にエアーを供給する。テント本体の膨張部は、エアーポンプによりエアーが供給されると逆U字形状に膨らむ。このとき、テント本体の天井に這わされた複数本のロープはプレートにより固定されているので、一々ロープをプレートに挿通させる必要なく、各ロープの両端を固定部材により固定できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るエアーテントによれば、テント本体の天井に這わされた複数本のロープが、プレートにより当該テント本体の天井に固定されるものである。これにより、エアーテントを収納する時において、テント本体の天井に這わされた複数本のロープがプレートにより固定されている。従って、エアーテントを設置する時に、一々ロープをプレートに挿通させる必要なく、そのままテント本体にエアーを供給してエアーテントを膨らませ、各ロープの両端を固定部材により固定すればエアーテントを設置できる。従って、エアーテントを用いて仮設作業場を容易に設置できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るエアーテント100の構成例を示す斜視図である。
【図2】エアーテント100の入口部7が開かれた状態を示す斜視図である。
【図3】Aは、プレート6の構成例を示す斜視図であり、Bは、ロープ3の位置をストッパー9,9により固定する例を示す図である。
【図4】他のエアーテント100Aの構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
続いて、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態について説明する。図1は、本発明に係るエアーテント100の構成例を示す斜視図である。図1に示すエアーテント100は、テント本体1、エアーポンプ2、3本のロープ3、6個の重石4および6個の
収納袋12を備えている。重石4は固定部材の一例である。
【0012】
テント本体1はビニール素材で形成され、逆U字形状の膨張部1aおよび入口部7を備え、短手方向の長さ(幅長)が2m〜3m、長手方向の長さ(奥行長)が4m〜5mである。逆U字形状の膨張部1aの下部の4箇所にはそれぞれ、結合部5が設けられている。エアーポンプ2は結合部5に結合され、膨張部1aにエアーを供給してエアーテント100を膨らます。通常は1台のエアーポンプ2を結合部5に結合してエアーを膨張部1aに供給する。早急にエアーテント100を膨らませたい場合は、4台のエアーポンプ2を用意して、4箇所の結合部5にエアーポンプ2を夫々結合して4台のエアーポンプ2から一斉にエアーを膨張部1aに供給する。
【0013】
テント本体1の入口部7には、左扉7Lおよび右扉7Rが設けられている。左扉7Lは、ファスナー7b,7dにより開閉され、右扉7Rは、ファスナー7c,7eにより開閉される。左扉7Lおよび右扉7Rは、ファスナー7b〜7eが閉じられた状態で、テープ7aにより止められて閉じられる。テープ7aには、マジックテープ(登録商標)などが適用される。
【0014】
エアーテント100を所定の位置に固定するために、3本のロープ3および6個の重石4が設けられている。ロープ3は、例えば化学繊維や天然繊維を撚り合わせて太くして形成されている。なお、ロープ3は金属製のワイヤーであってもよい。ロープ3の夫々は略等間隔に配置され、テント本体1の天井を這わせて両端を重石4,4により固定されている。この例で、1本のロープ3は、テント本体1の天井の3箇所に設置されたプレート6に挿通されている。プレート6に挿通されたロープ3の両端部は例えば不図示のフック部材が取り付けられ、このフック部材が、重石4に設けられた不図示の引っ掛け部に引っ掛けられてロープ3の両端部が固定される。このように、ロープ3をテント本体1の天井に這わせてその両端を重石4,4に取り付けることで、エアーテント100を設置場所に固定でき、暴風などによってエアーテント100の位置が移動することを防止できる。
【0015】
テント本体1(膨張部1a)の側面部のそれぞれには、ロープ3を収納するための収納袋12が取り付けられている。本例では、テント本体1の左右の各側面部に、ロープ3の本数に応じた個数(3個ずつ)の収納袋12が取り付けられている。収納袋12は、例えばテント本体1と同様にビニール素材からなり、その上端を開口するようにしてテント本体1の側面部に取り付けられている。また、収納袋12は、プレート6よりも下方であってテント本体1の高さ方向における略中央部に取り付けられ、プレート6に固定されていないフリー部分のロープ3が収納可能な構成となっている。これにより、エアーテント100の持ち運び時や収納時に、ロープ3が邪魔にならずに作業を行うことができ、作業の効率化を図ることができる。
【0016】
続いて、エアーテント100の設置方法について説明する。この例では、原子力発電所における建物の屋上に一時管理区域を設定し、この建物の屋上にエアーテント100を設置して仮設作業場を設ける。
【0017】
階段やエレベータなどにより屋上までエアーテント100を運ぶ。この例で、エアーテント100は、膨張部1aのエアーが抜かれて折り畳まれて袋などに収納されている。エアーテント100の収納時において、3本のロープ3は、プレート6によりテント本体1に取り付けられると共に収納袋12に収納された状態で収納されている。
【0018】
エアーテント100を袋から取り出すと共に収納袋12から各ロープ3を取り出した後、折り畳まれたエアーテント100のいずれかの結合部5にエアーポンプ2を結合する。結合後、エアーポンプ2を起動させてエアーテント100の膨張部1aにエアーを供給する。これにより、膨張部1aは徐々に膨らんでいき、逆U字形状を形成する。既に3本のロープ3はプレート6によりテント本体1に取り付けられているので、一々ロープ3をプレート6に挿通させる必要なく、各ロープ3の両端を重石4により固定する。このようにして、エアーテント100を設置する。なお、各ロープ3の両端を重石4により固定したが、これに限らず、各ロープ3の両端を周囲のフェンスやポールなどに固定するようにしてもよい。
【0019】
図2は、エアーテント100の入口部7が開かれた状態を示す斜視図である。図2に示すように、エアーテント100の入口部7を開く場合、左扉7Lおよび右扉7Rを閉じているテープ7a(図1参照)を外し、図2に示す位置までファスナー7b,7dをスライドさせて左扉7Lを開き、当該左扉7Lを束ねてテープ8により係止する。同様に、ファスナー7c,7eをスライドさせて右扉7Rを開き、当該右扉7Rを束ねてテープ8により係止する。これにより、図1に示した入口部7が閉じた状態から、図2に示すように入口部7を開いた状態に移行でき、エアーテント100に出入りが容易になる。もちろん、左扉7Lまたは右扉7Rのいずれか片方のみを開いて出入りするようにしてもよい。テント本体1の底面にはシート1bが設けられ、このシート1bは膨張部1aと一体形成されている。テント本体1は、天井の膨張部1a、底面のシート1b、前面部1cおよび不図示の背面部により囲まれたトンネル形状の空間を有し、このトンネル形状の空間は密閉されている。
【0020】
続いて、プレート6について詳細に説明する。図3Aは、プレート6の構成例を示す斜視図である。図3に示すプレート6はΩ形状に形成され、半円部6aおよび取付部6b,6bを備えている。プレート6は、平板状の取付部6b,6bが膨張部1aの天井部分に接着剤等により貼着されて固定されている。ロープ3は、膨張部1aに貼着されたプレート6の半円部6aに挿通されてテント本体1に固定される。上述したように、1本のロープ3は、3個のプレート6によってテント本体1に固定されている。
【0021】
エアーテント100のエアーを抜いて折り畳んで収納する際には、ロープ3をテント本体1のプレート6に挿通して取り付けた状態で収納する。従って、エアーテント100を収納して保管する際に、付属品であるロープ3が紛失することを防止できる。さらに、エアーテント100を設置する際に、一々ロープ3をプレート6に挿通させる手間を省略できるので、エアーテント100の設置が容易になる。
【0022】
続いて、ロープ3をプレート6に固定する方法について説明する。図3Bは、プレート6に挿通されたロープ3の位置を固定する方法を示す図である。この例では、プレート6に挿通されたロープ3をストッパー9,9により固定している。ストッパー9は、上円弧部9a、下円弧部9b、蝶番9cおよびネジ9dを備えている。上円弧部9aと下円弧部9bは蝶番9cにより回動自在に固定されている。上円弧部9aから延設されたネジ止め部9eと下円弧部9bから延設されたネジ止め部9fがネジ9dにより螺合されて、ストッパー9がロープ3に締め付けられて固定される。
【0023】
このように、ストッパー9,9をプレート6の両側に配置するようにロープ3に固定すると、当該ロープ3の位置が固定される。これにより、図3Aに示したプレート6に挿通されたロープ3よりも、図3Bに示すストッパー9,9に固定されたロープ3のほうがロープ3の位置が収納時にずれないので、エアーテント100の設置が容易になる。このように、ストッパー9,9によりロープ3の位置がずれないように固定してもよい。もちろん、図3Aに示した状態でも収納時にロープ3はプレート6にから大きく移動する可能性は低いので、ストッパー9,9を用いなくてもよい。
【0024】
本発明に係るエアーテント100によれば、テント本体1の天井に這わされた3本のロープ3が、プレート6により当該テント本体1の天井に固定されるものである。これにより、エアーテント100を収納する時において、テント本体1の天井に這わされた3本のロープ3がプレート6により固定されている。従って、エアーテント100を設置する時に、一々ロープ3をプレート6に挿通させる必要なく、そのままテント本体1にエアーを供給してエアーテント100を膨らませ、各ロープ3の両端を重石4により固定すればエアーテント100を設置できる。従って、エアーテント100を用いて仮設作業場を容易に設置できるようになる。
【実施例2】
【0025】
続いて、他の実施形態に係るエアーテント100Aについて説明する。図4は、エアーテント100Aの構成例を示す斜視図である。図4に示すエアーテント100Aは、図1に示したエアーテント100のようにロープ3でテント本体1を固定するものではなく、エアーテント100Aの縁部10R,10Lに複数個の重石11を載置して位置を固定するものである。なお、図1に示したエアーテント100と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0026】
エアーテント100Aは、テント本体1A、エアーポンプ2、縁部10R,10Lおよび6個の重石11を備えている。テント本体1Aは、逆U字形状の膨張部1aおよび入口部7を備えている。逆U字形状の膨張部1aの下部の4箇所にはそれぞれ、結合部5が設けられている。エアーポンプ2は結合部5に結合され、膨張部1aにエアーを供給してエアーテント100Aを膨らます。
【0027】
エアーテント100Aを所定の位置に固定するために、逆U字形状の膨張部1aから延設された縁部10R,10Lが設けられ、縁部10Rに3個の重石11と縁部10Lに3個の重石11が載置されている。このように、エアーテント100Aの縁部10R,10Lに複数個の重石11を載置してエアーテント100Aの位置を固定するようにしてもよい。なお、エアーテント100,100Aは、上述した原子力発電所の建物の屋上に使用するだけでなく、処理水ポンプ・処理水タンク等の飛び地の放射線管理区域での点検作業の際にも使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、仮設作業場に設置されるエアーテントに適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0029】
1a・・・膨張部、1・・・テント本体、2・・・エアーポンプ、3・・・ロープ、4・・・重石(固定部材)、6・・・プレート、6a・・・半円部、9・・・ストッパー、12・・・収納袋、100,100A・・・エアーテント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーポンプによりエアーが供給されて膨張する膨張部を有したテント本体と、
前記テント本体の天井に這わされる複数本のロープと、
前記複数本のロープを前記テント本体の天井に固定するプレートと、
前記ロープの両端を固定する固定部材とを備えることを特徴とするエアーテント。
【請求項2】
前記プレートは前記ロープを挿通する半円部を有し、
前記プレートの半円部に挿通されたロープを固定するストッパーを備えることを特徴とする請求項1に記載のエアーテント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−149199(P2011−149199A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11315(P2010−11315)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】