エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管およびその製造方法
【課題】寸法精度が高く、従来型のエキシマUVランプ装置に大幅な改造を加えることなく搭載可能で、広い面積に渡り均一な照射が行えるランプを製造することができる石英ガラス管、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管は、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解法によって合成される合成石英ガラスからなり、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管において、該異形合成石英ガラス管の寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を1面以上備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下である。
【解決手段】エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管は、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解法によって合成される合成石英ガラスからなり、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管において、該異形合成石英ガラス管の寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を1面以上備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプの光透過性部分を構成する異形合成石英ガラス管、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD基板の大型化に伴って基板の洗浄装置も大型化し、これに搭載されるエキシマUVランプの寸法においても長尺化が進められている。このときに問題とされるのはエキシマUVランプの放電特性や発光効率の均一化であり、寸法の高精度化や、ランプをランプユニット中に複数本並列に配置し各々のランプとランプの間に反射鏡を設置するなどして、均一な照射が行えるような試みがなされてきた。
【0003】
広い範囲にわたって均一に照射を行うものとして特開2004-152710には平板型のエキシマランプについて記載されているが、ランプの仕組みが現在広く使用されているものとは異なるために一般には馴染みにくいものとなっている。また特開2000-260396には薄箱型の放電容器によるエキシマランプについて記載されているが形状の寸法精度については記述されておらず、寸法自体も縦と横の寸法が十数cm〜数十cmであり、将来見込まれる大型の基板に対応できるようにはなっていない。また特開2004-111326には方形箱型の放電容器について述べられているが放電容器を形成する異形合成石英ガラス管自体の寸法精度については記載がなかった。
【特許文献1】特開2004-152710
【特許文献2】特開2000-260396
【特許文献3】特開2004-111326
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、今日のエキシマUVランプに求められているような寸法精度が高く、従来型のエキシマUVランプ装置に大幅な改造を加えることなく搭載可能で、広い面積に渡り均一な照射が行えるランプを製造することができる石英ガラス管、およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
以上の目的は、下記1.〜14.のいずれかの構成により達成される。
1.高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解法によって合成される合成石英ガラスからなり、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管において、該異形合成石英ガラス管の寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を1面以上備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であることを特徴とするエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
2.Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Fe、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満であることを特徴とする上記1.記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
3.異形合成石英ガラス管の平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上であることを特徴とする上記1.または2.記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
4.異形合成石英ガラス管中のOH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることを特徴とする上記1.〜3.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
5.異形合成石英ガラス管の仮想温度が800℃以上1400℃以下であることを特徴とする上記1.〜4.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
6.異形合成石英ガラス管中のF元素濃度が10wtppm以上2000wtppm以下であることを特徴とする上記1.〜5.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
7.波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を持ち、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを肉厚の変動率が2%以下、表面粗さが30μm以下に加工する工程と、
前工程で加工された石英ガラスシリンダーを、円筒型電気加熱炉を使った加熱延伸方法により、所定の断面形状となるようにグラファイト製ダイスを通して管引きを行う工程を含む、
エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
8.波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を持ち、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを、所用の管断面形状に基づきあらかじめ加工する工程と、
前工程で加工された石英ガラスシリンダーを、円筒型電気加熱炉を使った無接触加熱延伸方法により、管引きを行う工程を含む、エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
9.波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを円筒型電気加熱炉を使った無接触加熱延伸方法により、管引きを行うステップと、
管引きを行った石英管の内側に、所定の断面形状をした表面粗さが20μm以下であるグラファイト製プラグを差込み、管内を減圧下で1800℃以上に加熱しながら石英管をグラファイト製プラグに密着させて所望の断面形状を得る工程を含む、エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
10.Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Fe、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満であることを特徴とする上記7.〜9.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
11.異形合成石英ガラス管の平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上であることを特徴とする上記7.〜10.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
12.異形合成石英ガラス管中のOH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることを特徴とする上記7.〜11.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
13.異形合成石英ガラス管の仮想温度が800℃以上1400℃以下であることを特徴とする上記7.〜12.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
14.異形合成石英ガラス管中のF元素濃度が10wtppm以上2000wtppm以下であることを特徴とする上記7.〜13.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施の形態によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管は、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用のものであって、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を1面以上持つ、例えば断面が三角形や四角形の筒状や、一部に平面部分を有する断面円形(例えば半円形の断面)の筒状のものとして形成される。本異形合成石英ガラス管においては、上記外表面の平面部分(以下、外側の平面部分と称することがある)に対向する内表面に長さ方向に渡って幅の一様な平面部分(以下、内側の平面部分と称することがある)を持っていることが好ましい。
本異形合成石英ガラス管は、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解法によって合成される合成石英ガラスからなり、該異形合成石英ガラス管の寸法が長さ1000mm以上で、前記平面部分の幅が5mm以上350mm以下、肉厚0.7mm以上8mm以下である。
本異形合成石英ガラス管の寸法長さが上記未満であると、洗浄装置の大型化に対応できないからである。なお、現在のところその長さの上限値は、4000mm程度である。
【0007】
外側の平面部分の幅が5mm未満であると均一に光を取り出す効果が満足に得られない。一方で350mmを超えるようなものは製造上の歩留まりが悪く、コストに反映されることになるため好ましくない。なお、内側の平面部分の幅は、1mm以上であることが好ましい。
肉厚が上記未満であると、ランプ管としての強度が不足するおそれがあり、上記範囲を超えると十分な光透過性が得られなくなる。
【0008】
エキシマUVランプ用の異形合成石英ガラス管には、表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下好ましくは0.3mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下である異形合成石英ガラス管が好適である。幅0.8mm以上あるいは長さ200mm以上のキズがあると、エキシマUV光が散乱したり、あるいはランプそのものが破損するおそれがある。また長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差が0.5mmよりも大きくなったり、平面部分の幅の変動率が5%を超えたりすると、エキシマUV光がランプ表面から均一に発せられなくなる。また平面部分のそりが0.1%を超えたり、ねじれが0.5を超えたりするようなものについては、電極間の放電特性の悪化のおそれがある。
【0009】
さらに該異形合成石英ガラス管はLi、Na、K、Ca、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満、好ましくは上記の全ての元素の各濃度が5wtppb未満であるのがよい。Li、Na、K、Caなどのアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素は工場の建材等に含まれるが、これらが前記範囲以上であると石英ガラスの再結晶化が促進されクリストバライトを生成しやすくなり白色失透が起こる。またTi、Cr、Fe、Ni、Cu、Mo、W、Vなどの遷移金属元素は合成石英ガラスを製造する装置に使用される耐熱合金等に含まれることが多いがこれらの濃度が前記範囲を超えると紫外線を吸収し紫外線吸収端を長波長側にシフトさせ透過率の低下を招くため好ましくない。しかしいずれの元素も濃度が0.01wtppb未満になるようにするにはすべての製造工程でクリーンルーム並みの清浄な製造環境が必要となりコストが高くなるため望ましくない。
【0010】
さらに肉厚0.7mm以上8mm以下の該異形合成石英ガラス管は、前記平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上好ましくは82%以上、OH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下好ましくは190wtppm以上320wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることが望ましい。上記分光透過率が80%未満になるとエキシマUVランプを構成したときに紫外線光量の不足により被洗浄物への洗浄効果が低下する。
またOH基は石英ガラス網目構造において構造の終端部になるが、このOH基が石英ガラス中に適量含まれていると網目構造内の内部歪みが緩和され、Si-O-Si結合角が安定値に近づきSi-Oの平均結合エネルギーが上昇すると言われている。ところが、OH基は高濃度に含まれると紫外域の透過率を低下させることになる。そこで本発明の異形合成石英ガラス管ではOH基濃度を10wtppm以上400wtppm以下の範囲とすることが好ましい。
またCl元素により形成するSi-Clは210〜220nmの吸収帯、いわゆるE’センターの前駆体となるがCl元素濃度が5wtppm以下であれば透過率の低下はほとんど問題にならない。
また仮想温度が高いことはすなわちシリカネットワーク中に三員環構造、四員環構造といった不整な構造の割合が大きいことを意味しており、このような不整な構造部分は紫外線の透過性を阻害することが知られている。よって仮想温度は低いほどエキシマUVランプ管としては望ましいことになる。石英ガラスの仮想温度を変化させるための手段としては大気炉あるいは雰囲気処理炉等による熱処理法を用いることができる。仮想温度を低くするには低い温度で、高くするには高い温度で熱処理を行う必要があるが、特に、意図する仮想温度が低い場合には、長時間の熱処理が必要になることが多い。すなわち、熱処理が長時間におよぶと管の変形が生じるおそれがあり、さらに時間当たりの生産性の面からも仮想温度には下限が与えられるべきであって、その範囲としては800℃以上1400℃以下が適当である。
石英ガラス中にFを含有させるとSi-F結合が生成し前述の不整な構造を緩和させる作用があり、その効用によって紫外線の透過性を改善することが知られている。その下限は10wtppm程度である。しかし大量に添加させた場合には紫外線化学反応によるF2ガス生成のおそれや、シリカネットワーク中でODC(酸素欠乏欠陥)を生じさせるおそれがある。特にODCは紫外線に対する吸収が大きいのでエキシマUVランプ管にとっては望ましくない作用が生じる。したがってその上限は2000wtppm程度である。
さらに、仮想温度が800℃以上1400℃以下であり、かつF元素濃度が2000wtppm以下である場合には、互いの効果が相乗的に期待できることから、エキシマUVランプ管としてより好適である。
【0011】
本発明の実施の形態により、本発明のエキシマUVランプ用の長尺の異形合成石英ガラス管を製造するには、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成し、このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得、この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを肉厚の変動幅を2%以下、表面粗さを30μm以下、好ましくは20μm以下に加工(切削・研磨)して原管である石英ガラスシリンダーを得、さらに加熱延伸法によって、所定の断面形状となるようにグラファイト製ダイスを通して管引きを行ってエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造する。原管である円筒状石英ガラスシリンダーの肉厚の変動幅が2%以下でなければ、異形合成石英ガラス管を製造したときに長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、平面部分のそりおよびねじれが本発明の範囲に入らず、表面粗さ30μm以下でなければ表面に幅0.8mm以上あるいは長さ200mm以上のキズが残るおそれがある。
【0012】
尚、原管である円筒状合成石英ガラスシリンダーの肉厚の変動率とは次式で定義される。
変動率(%)=(最大肉厚−最小肉厚)/{(最大肉厚+最小肉厚)/2}×100
すなわち、気相軸付法(VAD法)あるいは外付法(OVD法)等で作られた円柱状石英ガラスインゴットをダイヤモンド砥粒を備えた円筒研削装置で所定の寸法に正確に研削し、次いで非接触レーザー式測定機で寸法合わせを行い、外径の円中心を正確に求めてこの外径の円中心に合わせて精密ホーニング装置で開孔し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行うと外周円と内周円の中心が一致した円筒石英ガラスシリンダーを得ることができる。
【0013】
次に加熱延伸法によって、所定の断面形状となるような高純度グラファイト製ダイスを通して管引きを行う。このときのグラファイト製ダイスの形状については特開平8-119649を参考にすることが出来る。仮想温度を低くするにはこの後に大気炉あるいは雰囲気処理炉にて大気中または窒素、ヘリウム等の雰囲気中で、所定の温度と時間にわたる熱処理を行えばよい。
また別の方法としては、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成し、透明ガラス化を行った石英ガラスシリンダーを、所用の管断面形状に基づきあらかじめ加工して得られた石英ガラスシリンダーを無接触加熱延伸法によって、所定の形状となるように管内の内圧と管引き速度を適宜制御しながら製造する。
すなわち、気相軸付法(VAD法)あるいは外付法(OVD法)等で作られた円柱状石英ガラスインゴットの少なくとも一部を加熱しながら所定の形状をした高純度グラファイト製プラグを中心軸に沿って圧入し、管の内部を所望の形状になるように加工したのち、外周部を正確に研削加工し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行い石英ガラスシリンダーを得ることができる。
【0014】
次に無接触加熱延伸法によって、上記石英ガラスシリンダーの形状、厚さ、加熱時のガラス粘度、延伸比などから求まる所定の管内圧と管引き速度を適宜制御しながら加熱延伸処理を行う。このときの高温加熱処理により機械研削時の研削面の粗さ、キズ等も解消されるため、エキシマUVランプ用途に好適な寸法精度が高く平滑な表面を持つ石英ガラス管を製造することができる。
管内圧と管引き速度を適宜制御するには、管内圧については、精密圧力コントローラーを用いて制御を行い、管引き速度については、高精度回転モーターを用いた制御を行えばよい。仮想温度を低くするにはこの後に大気炉あるいは雰囲気処理炉にて大気中または窒素、ヘリウム等の雰囲気中で、所定の温度と時間にわたる熱処理を行えばよい。
また別の方法としては、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成し、このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを、無接触加熱延伸法によって管内の内圧と管引き速度を適宜制御しながら管引きを行い、円筒形合成石英ガラス管を製造し、さらに製造した円筒形合成石英ガラス管の内側に、所定の断面形状をした表面粗さが20μm以下であるグラファイト製プラグを差込み、減圧下で1800℃以上に加熱しながら石英管をグラファイト製プラグに密着させてエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造する。グラファイト製プラグの表面粗さが20μm以下でなければ内表面に幅0.8mm以上あるいは長さ200mm以上のキズが残るおそれがある。また石英管にグラファイト製プラグを差込んで加熱する際の温度が1800℃未満であると、石英がプラグに密着せず不均一な形状となり、所望の形状を得ることが出来ない。なお、減圧とは、0.9気圧以下程度が好ましい。
すなわち、気相軸付法(VAD法)あるいは外付法(OVD法)等で作られた円柱状石英ガラスインゴットを、ダイヤモンド砥粒を備えた円筒研削装置で所定の寸法に正確に研削し、次いで非接触レーザー式測定機で寸法合わせを行い、外径の円中心を正確に求めてこの外径の円中心に合わせて精密ホーニング装置で開孔し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行うと外周円と内周円の中心が一致した円筒石英ガラスシリンダーを得ることができる。
次に無接触加熱延伸法によって、上記石英ガラスシリンダーの形状、厚さ、加熱時のガラス粘度、延伸比などから求まる所定の管内圧と管引き速度を適宜制御しながら加熱延伸処理を行い、円筒形合成石英ガラス管を製造する。続いて前記円筒形合成石英ガラス管の一端を封止し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち、当該円筒形合成石英ガラス管内部に、所定の断面形状をした表面粗さ20μm以下の高純度グラファイト製プラグを差込み、管内を減圧しながら横型電気炉にて1800℃以上に加熱して異形合成石英ガラス管をグラファイト製プラグに密着させ、所望の断面形状を有するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造する。
仮想温度を低くするにはこの後に大気炉あるいは雰囲気処理炉にて大気中または窒素、ヘリウム等の雰囲気中で、所定の温度と時間にわたる熱処理を行えばよい。
なお、本発明においては、グラファイト製ダイスおよびプラグとしては、高純度、特に超高純度グラファイト製のものを用いることが好ましい。一般純度グラファイトとは灰分が10wtppmを上回るものを指し、高純度グラファイトとは灰分が10wtppm以下であり、超高純度グラファイトとは灰分が2wtppm以下である。
【0015】
[寸法の測定]
[肉厚]
肉厚は、所定の長さの石英ガラス管に対し、管の周囲の任意の位置で管の長さ方向にわたり50mm間隔毎に非接触レーザー式測定器で測定し、長さ方向に沿った肉厚の最大値と最小値との差を求める。比率は次の式によって算出する。
比率(%)=(最大肉厚−最小肉厚)/{(最大肉厚+最小肉厚)/2}×100
[平面部分の幅の変動率]
平面部分の幅の変動率は、所定の長さの石英ガラス管に対し、平面部分の幅を長さ方向にわたり50mm間隔毎に定規を当てて測定し、次の式によって求める。
変動率(%)=(最大幅−最小幅)/{(最大幅+最小幅)/2}×100
[そり]
そりは、JIS R3203−1981に沿って行い、すなわち、該異形合成石英ガラス管の平面部分を鉛直に立て、定規を水平に当てて測定するものとし、弓形の場合は弦の長さに対する弧の高さ、波形の場合は山から山まで(又は谷から谷まで)の距離に対する谷の深さ(又は山の高さ)を測り、次の式によってそりを算出する。
ここに W:そり(%)
h:弧の高さ、谷の深さ又は山の高さ(mm)
l:弦の長さ、山から山までの距離又は谷から谷までの距離(mm)
[ねじれ]
該異形合成石英ガラス管の平面部分を鉛直に立てて定盤に沿わせて接触させ、該異形合成石英ガラス管の平面部分と定盤との隙間の最大値を定規またはノギスで測定する。この測定値をdとするとねじれは次の式によって算出される。
ここに C:ねじれ
d:該異形合成石英ガラス管の平面部分と定盤との隙間の最大値(mm)
L:管の長さ(mm)
[表面のキズ]
散乱光の下で目視観察し、キズが発見された場合にこの大きさを定規またはノギスで測定する。
[不純物元素分析]
ICP発光分光分析法による。
[透過率測定]
真空紫外分光光度計による測定法。分光透過率は次の式によって算出される。
ここに T:分光透過率(%)
I0:光路上に試料片がないときの光量
I:光路上に試料片を設置したときに試料片を通過して出射する光量
[OH基濃度]
D.M.DODD and
D.B.FRASER,Optical determination of OH in fused silica,Journal of Applied
Physics,Vol. 37(1966)p. 3911文献記載の赤外分光光度計による測定法。
[Cl元素濃度]
HF水溶液により分解後、AgNO3添加による比濁法による測定法。
[仮想温度]
A.E.GEISSBERGER
and F.L.GALEENER,Raman studies of vitreous SiO2 versus fictive
temperature,Physical Review B, Vol. 28, No. 6, pp. 3266〜71文献記載のラマン散乱分光光度法による測定法。
[F元素濃度]
フッ化物イオン選択性電極を用いたイオン選択性電極法による測定法。
【実施例】
【0016】
[実施例1および2]
回転するターゲット上に気化した純度99.9999wt%の高純度四塩化珪素を、酸素及び水素ガスを各々20リットル/分、60リットル/分の割合で流した際の酸水素中で火炎加水分解してシリカスートを堆積させる外付法(OVD法)により作製した均一密度の大型多孔質スート体を表1に示す雰囲気下で1600℃で透明ガラス化して実施例1および実施例2用の2本の円柱状石英ガラスインゴットを製造した。
これらの円柱状石英ガラスインゴットの両端を切断し、その外周をダイヤモンド砥粒を備えた円筒研削装置で所定の寸法に正確に研削し、次いで非接触レーザー式測定機で寸法合わせを行い、外径の円中心を求めた。この外径の円中心に合わせて精密ホーニング装置で開孔し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行って長さ3000mm、外径200mm、内径50mmの2本の石英ガラスシリンダーを得た。これらの石英ガラスシリンダーの肉厚の変動率および表面粗さはそれぞれ表1に示す通りであった。
図1に示すように、上記石英ガラスシリンダー1を、カーボン製円筒状ヒーター2を有する円筒型電気加熱炉内にセットし、円筒状ヒーター2の温度を2200℃に設定し、石英ガラスシリンダー1を表1記載および図2に示す超高純度グラファイト製ダイス6(表面粗さ10μm)を通して下端部をダミー管5によって封止し上端部より石英ガラスシリンダー内に窒素ガスを導入し、石英ガラスシリンダー1内の窒素ガス圧(シリンダー内圧)を所定の圧力に保持しつつ、延伸ロール3により所定の管引き速度で□60mm×20mm、肉厚2mmの角型合成石英ガラス管4(実施例1および2)に延伸した。上記管引きの際には、石英ガラスシリンダー1の中心軸とダイス6の中心軸とのズレが10μm以下となるように正確に設定し、かつ上記シリンダー内圧は精密圧力コントローラーを用いて一定に制御し、上記管引き速度については、高精度回転モーターを用いて一定に制御した。
得られた実施例1および2の異形合成石英ガラス管4をそれぞれ長さ1500mmに切断し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち表1に示す熱処理を行って、肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、そりおよびねじれを測定したところ、表1に示す通りとなった。また、表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズは見られなかった。
得られた実施例1および2の異形合成石英ガラス管の不純物元素濃度、波長172nmの分光透過率、OH基濃度、Cl元素濃度、仮想温度、F元素濃度はそれぞれ表2に示す通りであった。
【0017】
[実施例3および4]
回転するターゲット上に気化した高純度四塩化珪素(純度99.9999wt%)を酸水素中で火炎加水分解してシリカスートを堆積させる外付法(OVD法)により作製した大型多孔質スート体を表1に示す雰囲気下で1600℃で透明ガラス化して実施例3および実施例4用の2本の円柱状石英ガラスインゴットを製造した。
これらの円柱状石英ガラスインゴットの両端を切断し、一部分を2100℃に加熱しながら□60mm×60mmの断面形状をした超高純度グラファイト製プラグ(表面粗さ10μm)を中心軸に正確に(互いの中心軸の間のズレが10μm以下となるように)沿わせつつ圧入し、管内部を角型に整えた。次に外周をダイヤモンド砥粒を備えた研削装置で□160mm×160mmの寸法に正確に研削し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行って□160mm×160mm、長さ1000mm、肉厚50mmの2本の角型石英ガラスシリンダーを得た。
これらの石英ガラスシリンダー7を、図3に示す如くカーボン製円筒状ヒーター2を有する円筒型電気加熱炉内にセットし、円筒状ヒーター2の温度を2200℃に設定し、石英ガラスシリンダー7の下端部をダミー管5によって封止して上端部より石英ガラスシリンダー内に窒素ガスを導入し、圧力コントローラーによって石英ガラスシリンダー内の窒素ガス圧を所定の圧力に正確に保持しつつ、延伸ロール3により一定の管引き速度で□60mm×20mm、肉厚2mmの角型合成石英ガラス管4(実施例3および4)に延伸した。上記シリンダー内圧は精密圧力コントローラーを用いて一定に制御し、上記管引き速度については、高精度回転モーターを用いて一定に制御した。
得られた2本の異形合成石英ガラス管4を長さ1500mmに切断し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち表1に示す熱処理を行って、肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、そりおよびねじれを測定したところ、それぞれ表1に示す通りとなった。また、表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズは見られなかった。
得られた2本の異形合成石英ガラス管の不純物元素濃度、波長172nmの分光透過率、OH基濃度、Cl元素濃度、仮想温度、F元素濃度はそれぞれ表2に示す通りであった。
[実施例5および6]
回転するターゲット上に気化した四塩化珪素(純度99.9999wt%)を酸水素中で火炎加水分解してシリカスートを堆積させる外付法(OVD法)により作製した大型多孔質スート体を表1に示す雰囲気下で1600℃で透明ガラス化して実施例5および実施例6用の2本の円柱状石英ガラスインゴットを製造した。
これらの円柱状石英ガラスインゴットの両端を切断し、その外周をダイヤモンド砥粒を備えた円筒研削装置で所定の寸法に正確に研削し、次いで非接触レーザー式測定機で寸法合わせを行い、外径の円中心を求めた。この外径の円中心に合わせて精密ホーニング装置で開孔し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行って長さ3000mm、外径200mm、内径50mmの2本の石英ガラスシリンダー(実施例5および6用)を得た。これらの石英ガラスシリンダーの肉厚の変動率および表面粗さはそれぞれ表1に示す通りであった。
図10に示すように、上記石英ガラスシリンダー1を、カーボン製円筒状ヒーター2を有する円筒型電気加熱炉内にセットし、円筒状ヒーター2の温度を2200℃に設定し、石英ガラスシリンダー1を下端部をダミー管5によって封止し上端部より石英ガラスシリンダー内に窒素ガスを導入し、石英ガラスシリンダー1内の窒素ガス圧を所定の圧力に保持しつつ、延伸ロール3により所定の管引き速度でφ70mm、肉厚2mm、長さ1600mmの円筒形合成石英ガラス管4に延伸した。
次に上記円筒形合成石英ガラス管の一方の端部を封止し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち、図11に示すように表面粗さが18μmで□56×16mmの断面形状をした超高純度グラファイト製プラグ(表面粗さ10μm)を前記円筒形合成石英ガラス管内に差込み、真空ポンプにより減圧しながら横型電気炉内で2100℃に加熱し、□60mm×20mm、肉厚2mmの角型合成石英ガラス管4(実施例5および6)を製造した。
得られた実施例5および6の異形合成石英ガラス管4をそれぞれ長さ1500mmに切断し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち表1に示す熱処理を行って、肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、そりおよびねじれを測定したところ、表1に示す通りとなった。また、表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズは見られなかった。
得られた実施例5および6の異形合成石英ガラス管の不純物元素濃度、波長172nmの分光透過率、OH基濃度、Cl元素濃度、仮想温度、F元素濃度はそれぞれ表2に示す通りであった。
【表1】
【表2】
【0018】
[比較例1〜6]
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を実施例1の90%とし、また石英ガラスシリンダー1を角型石英ガラス管に延伸する際に表面粗さ10μmの超高純度グラファイト製ダイスを使用する代わりに表面粗さ60μmの一般純度グラファイト製ダイスを使用し、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例1と同様にして比較例1の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を実施例2の90%とし、また、石英ガラスシリンダー1を角型石英ガラス管に延伸する際に表面粗さ10μmの超高純度グラファイト製ダイスを使用する代わりに表面粗さ60μmの一般純度グラファイト製ダイスを使用し、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例2と同様にして比較例2の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、また、角型石英ガラスシリンダーを無接触加熱延伸法によって角型石英ガラス管に延伸する際に石英ガラスシリンダー内の窒素ガス圧力および延伸速度を特別に制御することなく行い、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例3と同様にして比較例3の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、また、角型石英ガラスシリンダーを無接触加熱延伸法によって角型石英ガラス管に延伸する際に石英ガラスシリンダー内の窒素ガス圧力および延伸速度を特別に制御することなく行い、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例4と同様にして比較例4の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を実施例5の90%とし、また、円筒形合成石英ガラス管を角型合成石英ガラス管に加工する際に表面粗さ10μmの超高純度グラファイト製プラグを使用する代わりに表面粗さ60μmの一般純度グラファイト製プラグを使用し、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例5と同様にして比較例5の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を実施例6の90%とし、また、円筒形合成石英ガラス管を角型合成石英ガラス管に加工する際に表面粗さ10μmの超高純度グラファイト製プラグを使用する代わりに表面粗さ60μmの一般純度グラファイト製プラグを使用し、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例6と同様にして比較例6の異形合成石英ガラス管を得た。
得られた比較例1〜6の長さ1500mmの異形合成石英ガラス管4について、肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、そりおよびねじれを測定したところ、表1に示す通りとなった。いずれの比較例においても幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズが見られた。実施例よりも悪化した原因としては、各々の比較例において、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を削減したことにより、シリンダー肉厚変動率、シリンダー表面粗さが悪化したこと、角型石英ガラス管に延伸する際に石英ガラスシリンダー内の窒素ガス圧力および延伸速度を特別に制御することなく行ったこと、表面粗さの異なるグラファイト製プラグを使用したこと、および熱処理の温度が実施例とは異なることが挙げられる。
得られた比較例1〜6の異形合成石英ガラス管の不純物元素濃度、波長172nmの分光透過率、OH基濃度、Cl元素濃度、仮想温度、F元素濃度はそれぞれ表2に示す通りであった。
[実験例]
得られた実施例1〜6および比較例1〜6の異形合成石英ガラス管を放電容器として図4のように電極8および金属網電極9を構成し、キセノンガス13を封入して図4および5に示す全長1400mmのエキシマUVランプを作製した。これらのランプを図4記載の高周波電源装置11に接続して所定の電圧をかけ、点灯させて100時間後のランプ表面での波長172nmの放射光強度を照度測定ヘッド10により測定した。一方の発光部端部から他方の端部方向に50mm間隔で測定し、下式により照度の変動率を求めた。
変動率(%)=(最大照度−最小照度)/{(最大照度+最小照度)/2}×100
評価結果を表2に示す。表2において実施例では照度の変動率が小さく、ランプの全長にわたってほぼ均一なエキシマUVランプ光が放出されていることがわかる。比較例では172nmにおける透過率が低く、さらにランプとしたときの照度の変動率も大きい。
以上から本発明の効果が明らかである。
なお、その他のランプの構造としては、実施例と同様の方法で製造した石英管を用いて図6および7に示すように二重管構造のエキシマUVランプとしてもよい。図6および7において符号4は異形合成石英ガラス管、8は電極、9は金属網電極である。
また、別の構造として、図8のように実施例と同様の方法で製造した異形合成石英ガラス管4の内側に従来型の円筒形合成石英ガラス管14からなるエキシマUVランプを配置し、本発明による異形合成石英ガラス管と従来型の円筒形合成石英ガラス管からなるエキシマUVランプとの間の空間を窒素、アルゴン、ヘリウムあるいは減圧雰囲気とすることによって、ワーク方向に均一なエキシマUVランプ光を取り出すことが出来る。さらに図9のように光取り出し方向に正対する面のみを平面とする形状とすることも出来る。なお、図9において、符号4は異形合成石英ガラス管、14は従来の円筒形合成石英ガラス管である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の異形合成石英ガラス管は長尺でありながら寸法精度高く、さらに管表面に平面部が存在するため、これを用いてエキシマUVランプを構成した場合には、ランプ全長にわたって均一な発光特性を持つ長尺のエキシマUVランプを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法において使用したグラファイト製ダイスを表す図である。
【図3】本発明の他の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法を説明するための図である。
【図4】本発明の実施例により得られたエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の性能試験を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例により得られたエキシマUVランプの縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施例により得られた二重管構造のエキシマUVランプを説明するための図である。
【図7】本発明の他の実施例により得られた二重管構造のエキシマUVランプの断面形状を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の他の使用例について示した図である。
【図9】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管のもう一つの使用例について示した図である。
【図10】本発明の実施例による円筒形合成石英ガラス管の製造方法を説明するための図である。
【図11】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0021】
1 合成石英ガラスシリンダー
2 円筒状ヒーター
3 延伸ロール
4 合成石英ガラス
5 ダミー管
6 グラファイト製ダイス
7 角型中空合成石英ガラス
8 電極
9 金属網電極
10 照度測定ヘッド
11 高周波電源装置
13 キセノンガス
14 従来型の異形合成石英ガラス管
15 グラファイト製プラグ
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプの光透過性部分を構成する異形合成石英ガラス管、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD基板の大型化に伴って基板の洗浄装置も大型化し、これに搭載されるエキシマUVランプの寸法においても長尺化が進められている。このときに問題とされるのはエキシマUVランプの放電特性や発光効率の均一化であり、寸法の高精度化や、ランプをランプユニット中に複数本並列に配置し各々のランプとランプの間に反射鏡を設置するなどして、均一な照射が行えるような試みがなされてきた。
【0003】
広い範囲にわたって均一に照射を行うものとして特開2004-152710には平板型のエキシマランプについて記載されているが、ランプの仕組みが現在広く使用されているものとは異なるために一般には馴染みにくいものとなっている。また特開2000-260396には薄箱型の放電容器によるエキシマランプについて記載されているが形状の寸法精度については記述されておらず、寸法自体も縦と横の寸法が十数cm〜数十cmであり、将来見込まれる大型の基板に対応できるようにはなっていない。また特開2004-111326には方形箱型の放電容器について述べられているが放電容器を形成する異形合成石英ガラス管自体の寸法精度については記載がなかった。
【特許文献1】特開2004-152710
【特許文献2】特開2000-260396
【特許文献3】特開2004-111326
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、今日のエキシマUVランプに求められているような寸法精度が高く、従来型のエキシマUVランプ装置に大幅な改造を加えることなく搭載可能で、広い面積に渡り均一な照射が行えるランプを製造することができる石英ガラス管、およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
以上の目的は、下記1.〜14.のいずれかの構成により達成される。
1.高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解法によって合成される合成石英ガラスからなり、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管において、該異形合成石英ガラス管の寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を1面以上備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であることを特徴とするエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
2.Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Fe、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満であることを特徴とする上記1.記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
3.異形合成石英ガラス管の平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上であることを特徴とする上記1.または2.記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
4.異形合成石英ガラス管中のOH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることを特徴とする上記1.〜3.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
5.異形合成石英ガラス管の仮想温度が800℃以上1400℃以下であることを特徴とする上記1.〜4.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
6.異形合成石英ガラス管中のF元素濃度が10wtppm以上2000wtppm以下であることを特徴とする上記1.〜5.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
7.波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を持ち、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを肉厚の変動率が2%以下、表面粗さが30μm以下に加工する工程と、
前工程で加工された石英ガラスシリンダーを、円筒型電気加熱炉を使った加熱延伸方法により、所定の断面形状となるようにグラファイト製ダイスを通して管引きを行う工程を含む、
エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
8.波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を持ち、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを、所用の管断面形状に基づきあらかじめ加工する工程と、
前工程で加工された石英ガラスシリンダーを、円筒型電気加熱炉を使った無接触加熱延伸方法により、管引きを行う工程を含む、エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
9.波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを円筒型電気加熱炉を使った無接触加熱延伸方法により、管引きを行うステップと、
管引きを行った石英管の内側に、所定の断面形状をした表面粗さが20μm以下であるグラファイト製プラグを差込み、管内を減圧下で1800℃以上に加熱しながら石英管をグラファイト製プラグに密着させて所望の断面形状を得る工程を含む、エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
10.Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Fe、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満であることを特徴とする上記7.〜9.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
11.異形合成石英ガラス管の平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上であることを特徴とする上記7.〜10.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
12.異形合成石英ガラス管中のOH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることを特徴とする上記7.〜11.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
13.異形合成石英ガラス管の仮想温度が800℃以上1400℃以下であることを特徴とする上記7.〜12.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
14.異形合成石英ガラス管中のF元素濃度が10wtppm以上2000wtppm以下であることを特徴とする上記7.〜13.のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施の形態によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管は、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用のものであって、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を1面以上持つ、例えば断面が三角形や四角形の筒状や、一部に平面部分を有する断面円形(例えば半円形の断面)の筒状のものとして形成される。本異形合成石英ガラス管においては、上記外表面の平面部分(以下、外側の平面部分と称することがある)に対向する内表面に長さ方向に渡って幅の一様な平面部分(以下、内側の平面部分と称することがある)を持っていることが好ましい。
本異形合成石英ガラス管は、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解法によって合成される合成石英ガラスからなり、該異形合成石英ガラス管の寸法が長さ1000mm以上で、前記平面部分の幅が5mm以上350mm以下、肉厚0.7mm以上8mm以下である。
本異形合成石英ガラス管の寸法長さが上記未満であると、洗浄装置の大型化に対応できないからである。なお、現在のところその長さの上限値は、4000mm程度である。
【0007】
外側の平面部分の幅が5mm未満であると均一に光を取り出す効果が満足に得られない。一方で350mmを超えるようなものは製造上の歩留まりが悪く、コストに反映されることになるため好ましくない。なお、内側の平面部分の幅は、1mm以上であることが好ましい。
肉厚が上記未満であると、ランプ管としての強度が不足するおそれがあり、上記範囲を超えると十分な光透過性が得られなくなる。
【0008】
エキシマUVランプ用の異形合成石英ガラス管には、表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下好ましくは0.3mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下である異形合成石英ガラス管が好適である。幅0.8mm以上あるいは長さ200mm以上のキズがあると、エキシマUV光が散乱したり、あるいはランプそのものが破損するおそれがある。また長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差が0.5mmよりも大きくなったり、平面部分の幅の変動率が5%を超えたりすると、エキシマUV光がランプ表面から均一に発せられなくなる。また平面部分のそりが0.1%を超えたり、ねじれが0.5を超えたりするようなものについては、電極間の放電特性の悪化のおそれがある。
【0009】
さらに該異形合成石英ガラス管はLi、Na、K、Ca、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満、好ましくは上記の全ての元素の各濃度が5wtppb未満であるのがよい。Li、Na、K、Caなどのアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素は工場の建材等に含まれるが、これらが前記範囲以上であると石英ガラスの再結晶化が促進されクリストバライトを生成しやすくなり白色失透が起こる。またTi、Cr、Fe、Ni、Cu、Mo、W、Vなどの遷移金属元素は合成石英ガラスを製造する装置に使用される耐熱合金等に含まれることが多いがこれらの濃度が前記範囲を超えると紫外線を吸収し紫外線吸収端を長波長側にシフトさせ透過率の低下を招くため好ましくない。しかしいずれの元素も濃度が0.01wtppb未満になるようにするにはすべての製造工程でクリーンルーム並みの清浄な製造環境が必要となりコストが高くなるため望ましくない。
【0010】
さらに肉厚0.7mm以上8mm以下の該異形合成石英ガラス管は、前記平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上好ましくは82%以上、OH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下好ましくは190wtppm以上320wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることが望ましい。上記分光透過率が80%未満になるとエキシマUVランプを構成したときに紫外線光量の不足により被洗浄物への洗浄効果が低下する。
またOH基は石英ガラス網目構造において構造の終端部になるが、このOH基が石英ガラス中に適量含まれていると網目構造内の内部歪みが緩和され、Si-O-Si結合角が安定値に近づきSi-Oの平均結合エネルギーが上昇すると言われている。ところが、OH基は高濃度に含まれると紫外域の透過率を低下させることになる。そこで本発明の異形合成石英ガラス管ではOH基濃度を10wtppm以上400wtppm以下の範囲とすることが好ましい。
またCl元素により形成するSi-Clは210〜220nmの吸収帯、いわゆるE’センターの前駆体となるがCl元素濃度が5wtppm以下であれば透過率の低下はほとんど問題にならない。
また仮想温度が高いことはすなわちシリカネットワーク中に三員環構造、四員環構造といった不整な構造の割合が大きいことを意味しており、このような不整な構造部分は紫外線の透過性を阻害することが知られている。よって仮想温度は低いほどエキシマUVランプ管としては望ましいことになる。石英ガラスの仮想温度を変化させるための手段としては大気炉あるいは雰囲気処理炉等による熱処理法を用いることができる。仮想温度を低くするには低い温度で、高くするには高い温度で熱処理を行う必要があるが、特に、意図する仮想温度が低い場合には、長時間の熱処理が必要になることが多い。すなわち、熱処理が長時間におよぶと管の変形が生じるおそれがあり、さらに時間当たりの生産性の面からも仮想温度には下限が与えられるべきであって、その範囲としては800℃以上1400℃以下が適当である。
石英ガラス中にFを含有させるとSi-F結合が生成し前述の不整な構造を緩和させる作用があり、その効用によって紫外線の透過性を改善することが知られている。その下限は10wtppm程度である。しかし大量に添加させた場合には紫外線化学反応によるF2ガス生成のおそれや、シリカネットワーク中でODC(酸素欠乏欠陥)を生じさせるおそれがある。特にODCは紫外線に対する吸収が大きいのでエキシマUVランプ管にとっては望ましくない作用が生じる。したがってその上限は2000wtppm程度である。
さらに、仮想温度が800℃以上1400℃以下であり、かつF元素濃度が2000wtppm以下である場合には、互いの効果が相乗的に期待できることから、エキシマUVランプ管としてより好適である。
【0011】
本発明の実施の形態により、本発明のエキシマUVランプ用の長尺の異形合成石英ガラス管を製造するには、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成し、このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得、この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを肉厚の変動幅を2%以下、表面粗さを30μm以下、好ましくは20μm以下に加工(切削・研磨)して原管である石英ガラスシリンダーを得、さらに加熱延伸法によって、所定の断面形状となるようにグラファイト製ダイスを通して管引きを行ってエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造する。原管である円筒状石英ガラスシリンダーの肉厚の変動幅が2%以下でなければ、異形合成石英ガラス管を製造したときに長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、平面部分のそりおよびねじれが本発明の範囲に入らず、表面粗さ30μm以下でなければ表面に幅0.8mm以上あるいは長さ200mm以上のキズが残るおそれがある。
【0012】
尚、原管である円筒状合成石英ガラスシリンダーの肉厚の変動率とは次式で定義される。
変動率(%)=(最大肉厚−最小肉厚)/{(最大肉厚+最小肉厚)/2}×100
すなわち、気相軸付法(VAD法)あるいは外付法(OVD法)等で作られた円柱状石英ガラスインゴットをダイヤモンド砥粒を備えた円筒研削装置で所定の寸法に正確に研削し、次いで非接触レーザー式測定機で寸法合わせを行い、外径の円中心を正確に求めてこの外径の円中心に合わせて精密ホーニング装置で開孔し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行うと外周円と内周円の中心が一致した円筒石英ガラスシリンダーを得ることができる。
【0013】
次に加熱延伸法によって、所定の断面形状となるような高純度グラファイト製ダイスを通して管引きを行う。このときのグラファイト製ダイスの形状については特開平8-119649を参考にすることが出来る。仮想温度を低くするにはこの後に大気炉あるいは雰囲気処理炉にて大気中または窒素、ヘリウム等の雰囲気中で、所定の温度と時間にわたる熱処理を行えばよい。
また別の方法としては、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成し、透明ガラス化を行った石英ガラスシリンダーを、所用の管断面形状に基づきあらかじめ加工して得られた石英ガラスシリンダーを無接触加熱延伸法によって、所定の形状となるように管内の内圧と管引き速度を適宜制御しながら製造する。
すなわち、気相軸付法(VAD法)あるいは外付法(OVD法)等で作られた円柱状石英ガラスインゴットの少なくとも一部を加熱しながら所定の形状をした高純度グラファイト製プラグを中心軸に沿って圧入し、管の内部を所望の形状になるように加工したのち、外周部を正確に研削加工し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行い石英ガラスシリンダーを得ることができる。
【0014】
次に無接触加熱延伸法によって、上記石英ガラスシリンダーの形状、厚さ、加熱時のガラス粘度、延伸比などから求まる所定の管内圧と管引き速度を適宜制御しながら加熱延伸処理を行う。このときの高温加熱処理により機械研削時の研削面の粗さ、キズ等も解消されるため、エキシマUVランプ用途に好適な寸法精度が高く平滑な表面を持つ石英ガラス管を製造することができる。
管内圧と管引き速度を適宜制御するには、管内圧については、精密圧力コントローラーを用いて制御を行い、管引き速度については、高精度回転モーターを用いた制御を行えばよい。仮想温度を低くするにはこの後に大気炉あるいは雰囲気処理炉にて大気中または窒素、ヘリウム等の雰囲気中で、所定の温度と時間にわたる熱処理を行えばよい。
また別の方法としては、高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成し、このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを、無接触加熱延伸法によって管内の内圧と管引き速度を適宜制御しながら管引きを行い、円筒形合成石英ガラス管を製造し、さらに製造した円筒形合成石英ガラス管の内側に、所定の断面形状をした表面粗さが20μm以下であるグラファイト製プラグを差込み、減圧下で1800℃以上に加熱しながら石英管をグラファイト製プラグに密着させてエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造する。グラファイト製プラグの表面粗さが20μm以下でなければ内表面に幅0.8mm以上あるいは長さ200mm以上のキズが残るおそれがある。また石英管にグラファイト製プラグを差込んで加熱する際の温度が1800℃未満であると、石英がプラグに密着せず不均一な形状となり、所望の形状を得ることが出来ない。なお、減圧とは、0.9気圧以下程度が好ましい。
すなわち、気相軸付法(VAD法)あるいは外付法(OVD法)等で作られた円柱状石英ガラスインゴットを、ダイヤモンド砥粒を備えた円筒研削装置で所定の寸法に正確に研削し、次いで非接触レーザー式測定機で寸法合わせを行い、外径の円中心を正確に求めてこの外径の円中心に合わせて精密ホーニング装置で開孔し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行うと外周円と内周円の中心が一致した円筒石英ガラスシリンダーを得ることができる。
次に無接触加熱延伸法によって、上記石英ガラスシリンダーの形状、厚さ、加熱時のガラス粘度、延伸比などから求まる所定の管内圧と管引き速度を適宜制御しながら加熱延伸処理を行い、円筒形合成石英ガラス管を製造する。続いて前記円筒形合成石英ガラス管の一端を封止し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち、当該円筒形合成石英ガラス管内部に、所定の断面形状をした表面粗さ20μm以下の高純度グラファイト製プラグを差込み、管内を減圧しながら横型電気炉にて1800℃以上に加熱して異形合成石英ガラス管をグラファイト製プラグに密着させ、所望の断面形状を有するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造する。
仮想温度を低くするにはこの後に大気炉あるいは雰囲気処理炉にて大気中または窒素、ヘリウム等の雰囲気中で、所定の温度と時間にわたる熱処理を行えばよい。
なお、本発明においては、グラファイト製ダイスおよびプラグとしては、高純度、特に超高純度グラファイト製のものを用いることが好ましい。一般純度グラファイトとは灰分が10wtppmを上回るものを指し、高純度グラファイトとは灰分が10wtppm以下であり、超高純度グラファイトとは灰分が2wtppm以下である。
【0015】
[寸法の測定]
[肉厚]
肉厚は、所定の長さの石英ガラス管に対し、管の周囲の任意の位置で管の長さ方向にわたり50mm間隔毎に非接触レーザー式測定器で測定し、長さ方向に沿った肉厚の最大値と最小値との差を求める。比率は次の式によって算出する。
比率(%)=(最大肉厚−最小肉厚)/{(最大肉厚+最小肉厚)/2}×100
[平面部分の幅の変動率]
平面部分の幅の変動率は、所定の長さの石英ガラス管に対し、平面部分の幅を長さ方向にわたり50mm間隔毎に定規を当てて測定し、次の式によって求める。
変動率(%)=(最大幅−最小幅)/{(最大幅+最小幅)/2}×100
[そり]
そりは、JIS R3203−1981に沿って行い、すなわち、該異形合成石英ガラス管の平面部分を鉛直に立て、定規を水平に当てて測定するものとし、弓形の場合は弦の長さに対する弧の高さ、波形の場合は山から山まで(又は谷から谷まで)の距離に対する谷の深さ(又は山の高さ)を測り、次の式によってそりを算出する。
ここに W:そり(%)
h:弧の高さ、谷の深さ又は山の高さ(mm)
l:弦の長さ、山から山までの距離又は谷から谷までの距離(mm)
[ねじれ]
該異形合成石英ガラス管の平面部分を鉛直に立てて定盤に沿わせて接触させ、該異形合成石英ガラス管の平面部分と定盤との隙間の最大値を定規またはノギスで測定する。この測定値をdとするとねじれは次の式によって算出される。
ここに C:ねじれ
d:該異形合成石英ガラス管の平面部分と定盤との隙間の最大値(mm)
L:管の長さ(mm)
[表面のキズ]
散乱光の下で目視観察し、キズが発見された場合にこの大きさを定規またはノギスで測定する。
[不純物元素分析]
ICP発光分光分析法による。
[透過率測定]
真空紫外分光光度計による測定法。分光透過率は次の式によって算出される。
ここに T:分光透過率(%)
I0:光路上に試料片がないときの光量
I:光路上に試料片を設置したときに試料片を通過して出射する光量
[OH基濃度]
D.M.DODD and
D.B.FRASER,Optical determination of OH in fused silica,Journal of Applied
Physics,Vol. 37(1966)p. 3911文献記載の赤外分光光度計による測定法。
[Cl元素濃度]
HF水溶液により分解後、AgNO3添加による比濁法による測定法。
[仮想温度]
A.E.GEISSBERGER
and F.L.GALEENER,Raman studies of vitreous SiO2 versus fictive
temperature,Physical Review B, Vol. 28, No. 6, pp. 3266〜71文献記載のラマン散乱分光光度法による測定法。
[F元素濃度]
フッ化物イオン選択性電極を用いたイオン選択性電極法による測定法。
【実施例】
【0016】
[実施例1および2]
回転するターゲット上に気化した純度99.9999wt%の高純度四塩化珪素を、酸素及び水素ガスを各々20リットル/分、60リットル/分の割合で流した際の酸水素中で火炎加水分解してシリカスートを堆積させる外付法(OVD法)により作製した均一密度の大型多孔質スート体を表1に示す雰囲気下で1600℃で透明ガラス化して実施例1および実施例2用の2本の円柱状石英ガラスインゴットを製造した。
これらの円柱状石英ガラスインゴットの両端を切断し、その外周をダイヤモンド砥粒を備えた円筒研削装置で所定の寸法に正確に研削し、次いで非接触レーザー式測定機で寸法合わせを行い、外径の円中心を求めた。この外径の円中心に合わせて精密ホーニング装置で開孔し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行って長さ3000mm、外径200mm、内径50mmの2本の石英ガラスシリンダーを得た。これらの石英ガラスシリンダーの肉厚の変動率および表面粗さはそれぞれ表1に示す通りであった。
図1に示すように、上記石英ガラスシリンダー1を、カーボン製円筒状ヒーター2を有する円筒型電気加熱炉内にセットし、円筒状ヒーター2の温度を2200℃に設定し、石英ガラスシリンダー1を表1記載および図2に示す超高純度グラファイト製ダイス6(表面粗さ10μm)を通して下端部をダミー管5によって封止し上端部より石英ガラスシリンダー内に窒素ガスを導入し、石英ガラスシリンダー1内の窒素ガス圧(シリンダー内圧)を所定の圧力に保持しつつ、延伸ロール3により所定の管引き速度で□60mm×20mm、肉厚2mmの角型合成石英ガラス管4(実施例1および2)に延伸した。上記管引きの際には、石英ガラスシリンダー1の中心軸とダイス6の中心軸とのズレが10μm以下となるように正確に設定し、かつ上記シリンダー内圧は精密圧力コントローラーを用いて一定に制御し、上記管引き速度については、高精度回転モーターを用いて一定に制御した。
得られた実施例1および2の異形合成石英ガラス管4をそれぞれ長さ1500mmに切断し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち表1に示す熱処理を行って、肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、そりおよびねじれを測定したところ、表1に示す通りとなった。また、表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズは見られなかった。
得られた実施例1および2の異形合成石英ガラス管の不純物元素濃度、波長172nmの分光透過率、OH基濃度、Cl元素濃度、仮想温度、F元素濃度はそれぞれ表2に示す通りであった。
【0017】
[実施例3および4]
回転するターゲット上に気化した高純度四塩化珪素(純度99.9999wt%)を酸水素中で火炎加水分解してシリカスートを堆積させる外付法(OVD法)により作製した大型多孔質スート体を表1に示す雰囲気下で1600℃で透明ガラス化して実施例3および実施例4用の2本の円柱状石英ガラスインゴットを製造した。
これらの円柱状石英ガラスインゴットの両端を切断し、一部分を2100℃に加熱しながら□60mm×60mmの断面形状をした超高純度グラファイト製プラグ(表面粗さ10μm)を中心軸に正確に(互いの中心軸の間のズレが10μm以下となるように)沿わせつつ圧入し、管内部を角型に整えた。次に外周をダイヤモンド砥粒を備えた研削装置で□160mm×160mmの寸法に正確に研削し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行って□160mm×160mm、長さ1000mm、肉厚50mmの2本の角型石英ガラスシリンダーを得た。
これらの石英ガラスシリンダー7を、図3に示す如くカーボン製円筒状ヒーター2を有する円筒型電気加熱炉内にセットし、円筒状ヒーター2の温度を2200℃に設定し、石英ガラスシリンダー7の下端部をダミー管5によって封止して上端部より石英ガラスシリンダー内に窒素ガスを導入し、圧力コントローラーによって石英ガラスシリンダー内の窒素ガス圧を所定の圧力に正確に保持しつつ、延伸ロール3により一定の管引き速度で□60mm×20mm、肉厚2mmの角型合成石英ガラス管4(実施例3および4)に延伸した。上記シリンダー内圧は精密圧力コントローラーを用いて一定に制御し、上記管引き速度については、高精度回転モーターを用いて一定に制御した。
得られた2本の異形合成石英ガラス管4を長さ1500mmに切断し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち表1に示す熱処理を行って、肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、そりおよびねじれを測定したところ、それぞれ表1に示す通りとなった。また、表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズは見られなかった。
得られた2本の異形合成石英ガラス管の不純物元素濃度、波長172nmの分光透過率、OH基濃度、Cl元素濃度、仮想温度、F元素濃度はそれぞれ表2に示す通りであった。
[実施例5および6]
回転するターゲット上に気化した四塩化珪素(純度99.9999wt%)を酸水素中で火炎加水分解してシリカスートを堆積させる外付法(OVD法)により作製した大型多孔質スート体を表1に示す雰囲気下で1600℃で透明ガラス化して実施例5および実施例6用の2本の円柱状石英ガラスインゴットを製造した。
これらの円柱状石英ガラスインゴットの両端を切断し、その外周をダイヤモンド砥粒を備えた円筒研削装置で所定の寸法に正確に研削し、次いで非接触レーザー式測定機で寸法合わせを行い、外径の円中心を求めた。この外径の円中心に合わせて精密ホーニング装置で開孔し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行って長さ3000mm、外径200mm、内径50mmの2本の石英ガラスシリンダー(実施例5および6用)を得た。これらの石英ガラスシリンダーの肉厚の変動率および表面粗さはそれぞれ表1に示す通りであった。
図10に示すように、上記石英ガラスシリンダー1を、カーボン製円筒状ヒーター2を有する円筒型電気加熱炉内にセットし、円筒状ヒーター2の温度を2200℃に設定し、石英ガラスシリンダー1を下端部をダミー管5によって封止し上端部より石英ガラスシリンダー内に窒素ガスを導入し、石英ガラスシリンダー1内の窒素ガス圧を所定の圧力に保持しつつ、延伸ロール3により所定の管引き速度でφ70mm、肉厚2mm、長さ1600mmの円筒形合成石英ガラス管4に延伸した。
次に上記円筒形合成石英ガラス管の一方の端部を封止し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち、図11に示すように表面粗さが18μmで□56×16mmの断面形状をした超高純度グラファイト製プラグ(表面粗さ10μm)を前記円筒形合成石英ガラス管内に差込み、真空ポンプにより減圧しながら横型電気炉内で2100℃に加熱し、□60mm×20mm、肉厚2mmの角型合成石英ガラス管4(実施例5および6)を製造した。
得られた実施例5および6の異形合成石英ガラス管4をそれぞれ長さ1500mmに切断し、フッ酸によるエッチング処理、純水による水洗、及び乾燥を行ったのち表1に示す熱処理を行って、肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、そりおよびねじれを測定したところ、表1に示す通りとなった。また、表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズは見られなかった。
得られた実施例5および6の異形合成石英ガラス管の不純物元素濃度、波長172nmの分光透過率、OH基濃度、Cl元素濃度、仮想温度、F元素濃度はそれぞれ表2に示す通りであった。
【表1】
【表2】
【0018】
[比較例1〜6]
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を実施例1の90%とし、また石英ガラスシリンダー1を角型石英ガラス管に延伸する際に表面粗さ10μmの超高純度グラファイト製ダイスを使用する代わりに表面粗さ60μmの一般純度グラファイト製ダイスを使用し、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例1と同様にして比較例1の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を実施例2の90%とし、また、石英ガラスシリンダー1を角型石英ガラス管に延伸する際に表面粗さ10μmの超高純度グラファイト製ダイスを使用する代わりに表面粗さ60μmの一般純度グラファイト製ダイスを使用し、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例2と同様にして比較例2の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、また、角型石英ガラスシリンダーを無接触加熱延伸法によって角型石英ガラス管に延伸する際に石英ガラスシリンダー内の窒素ガス圧力および延伸速度を特別に制御することなく行い、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例3と同様にして比較例3の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、また、角型石英ガラスシリンダーを無接触加熱延伸法によって角型石英ガラス管に延伸する際に石英ガラスシリンダー内の窒素ガス圧力および延伸速度を特別に制御することなく行い、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例4と同様にして比較例4の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を実施例5の90%とし、また、円筒形合成石英ガラス管を角型合成石英ガラス管に加工する際に表面粗さ10μmの超高純度グラファイト製プラグを使用する代わりに表面粗さ60μmの一般純度グラファイト製プラグを使用し、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例5と同様にして比較例5の異形合成石英ガラス管を得た。
大型多孔質スート体を透明ガラス化する際の雰囲気を表1記載のものとし、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を実施例6の90%とし、また、円筒形合成石英ガラス管を角型合成石英ガラス管に加工する際に表面粗さ10μmの超高純度グラファイト製プラグを使用する代わりに表面粗さ60μmの一般純度グラファイト製プラグを使用し、熱処理の方法を表1記載のものとした以外は実施例6と同様にして比較例6の異形合成石英ガラス管を得た。
得られた比較例1〜6の長さ1500mmの異形合成石英ガラス管4について、肉厚の最大値と最小値の差、平面部分の幅の変動率、そりおよびねじれを測定したところ、表1に示す通りとなった。いずれの比較例においても幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズが見られた。実施例よりも悪化した原因としては、各々の比較例において、円柱状石英ガラスインゴットの内外周を研削する時間を削減したことにより、シリンダー肉厚変動率、シリンダー表面粗さが悪化したこと、角型石英ガラス管に延伸する際に石英ガラスシリンダー内の窒素ガス圧力および延伸速度を特別に制御することなく行ったこと、表面粗さの異なるグラファイト製プラグを使用したこと、および熱処理の温度が実施例とは異なることが挙げられる。
得られた比較例1〜6の異形合成石英ガラス管の不純物元素濃度、波長172nmの分光透過率、OH基濃度、Cl元素濃度、仮想温度、F元素濃度はそれぞれ表2に示す通りであった。
[実験例]
得られた実施例1〜6および比較例1〜6の異形合成石英ガラス管を放電容器として図4のように電極8および金属網電極9を構成し、キセノンガス13を封入して図4および5に示す全長1400mmのエキシマUVランプを作製した。これらのランプを図4記載の高周波電源装置11に接続して所定の電圧をかけ、点灯させて100時間後のランプ表面での波長172nmの放射光強度を照度測定ヘッド10により測定した。一方の発光部端部から他方の端部方向に50mm間隔で測定し、下式により照度の変動率を求めた。
変動率(%)=(最大照度−最小照度)/{(最大照度+最小照度)/2}×100
評価結果を表2に示す。表2において実施例では照度の変動率が小さく、ランプの全長にわたってほぼ均一なエキシマUVランプ光が放出されていることがわかる。比較例では172nmにおける透過率が低く、さらにランプとしたときの照度の変動率も大きい。
以上から本発明の効果が明らかである。
なお、その他のランプの構造としては、実施例と同様の方法で製造した石英管を用いて図6および7に示すように二重管構造のエキシマUVランプとしてもよい。図6および7において符号4は異形合成石英ガラス管、8は電極、9は金属網電極である。
また、別の構造として、図8のように実施例と同様の方法で製造した異形合成石英ガラス管4の内側に従来型の円筒形合成石英ガラス管14からなるエキシマUVランプを配置し、本発明による異形合成石英ガラス管と従来型の円筒形合成石英ガラス管からなるエキシマUVランプとの間の空間を窒素、アルゴン、ヘリウムあるいは減圧雰囲気とすることによって、ワーク方向に均一なエキシマUVランプ光を取り出すことが出来る。さらに図9のように光取り出し方向に正対する面のみを平面とする形状とすることも出来る。なお、図9において、符号4は異形合成石英ガラス管、14は従来の円筒形合成石英ガラス管である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の異形合成石英ガラス管は長尺でありながら寸法精度高く、さらに管表面に平面部が存在するため、これを用いてエキシマUVランプを構成した場合には、ランプ全長にわたって均一な発光特性を持つ長尺のエキシマUVランプを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法を説明するための図である。
【図2】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法において使用したグラファイト製ダイスを表す図である。
【図3】本発明の他の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法を説明するための図である。
【図4】本発明の実施例により得られたエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の性能試験を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例により得られたエキシマUVランプの縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施例により得られた二重管構造のエキシマUVランプを説明するための図である。
【図7】本発明の他の実施例により得られた二重管構造のエキシマUVランプの断面形状を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の他の使用例について示した図である。
【図9】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管のもう一つの使用例について示した図である。
【図10】本発明の実施例による円筒形合成石英ガラス管の製造方法を説明するための図である。
【図11】本発明の実施例によるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0021】
1 合成石英ガラスシリンダー
2 円筒状ヒーター
3 延伸ロール
4 合成石英ガラス
5 ダミー管
6 グラファイト製ダイス
7 角型中空合成石英ガラス
8 電極
9 金属網電極
10 照度測定ヘッド
11 高周波電源装置
13 キセノンガス
14 従来型の異形合成石英ガラス管
15 グラファイト製プラグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解法によって合成される合成石英ガラスからなり、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管において、該異形合成石英ガラス管の寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を1面以上備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であることを特徴とするエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項2】
Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Fe、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満であることを特徴とする請求項1記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項3】
異形合成石英ガラス管の平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項4】
異形合成石英ガラス管中のOH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項5】
異形合成石英ガラス管の仮想温度が800℃以上1400℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項6】
異形合成石英ガラス管中のF元素濃度が10wtppm以上2000wtppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項7】
波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを肉厚の変動率が2%以下、表面粗さが30μm以下に加工する工程と、
前工程で加工された石英ガラスシリンダーを、円筒型電気加熱炉を使った加熱延伸方法により、所定の断面形状となるようにグラファイト製ダイスを通して管引きを行う工程を含む、
エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項8】
波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された透明ガラス化を行った石英ガラスシリンダーを、所用の管断面形状に基づきあらかじめ加工する工程と、
前工程で加工された石英ガラスシリンダーを、円筒型電気加熱炉を使った無接触加熱延伸方法により、管引きを行う工程を含む、エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項9】
波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを円筒型電気加熱炉を使った無接触加熱延伸方法により、管引きを行う工程と、
管引きを行った石英管の内側に、所定の断面形状をした表面粗さが20μm以下であるグラファイト製プラグを差込み、管内を減圧下で1800℃以上に加熱しながら石英管をグラファイト製プラグに密着させて所望の断面形状を得る工程を含む、エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項10】
Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Fe、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項11】
異形合成石英ガラス管の平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項12】
異形合成石英ガラス管中のOH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項13】
異形合成石英ガラス管の仮想温度が800℃以上1400℃以下であることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項14】
異形合成石英ガラス管中のF元素濃度が10wtppm以上2000wtppm以下であることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項1】
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解法によって合成される合成石英ガラスからなり、波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管において、該異形合成石英ガラス管の寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を1面以上備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であることを特徴とするエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項2】
Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Fe、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満であることを特徴とする請求項1記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項3】
異形合成石英ガラス管の平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項4】
異形合成石英ガラス管中のOH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項5】
異形合成石英ガラス管の仮想温度が800℃以上1400℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項6】
異形合成石英ガラス管中のF元素濃度が10wtppm以上2000wtppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管。
【請求項7】
波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを肉厚の変動率が2%以下、表面粗さが30μm以下に加工する工程と、
前工程で加工された石英ガラスシリンダーを、円筒型電気加熱炉を使った加熱延伸方法により、所定の断面形状となるようにグラファイト製ダイスを通して管引きを行う工程を含む、
エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項8】
波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された透明ガラス化を行った石英ガラスシリンダーを、所用の管断面形状に基づきあらかじめ加工する工程と、
前工程で加工された石英ガラスシリンダーを、円筒型電気加熱炉を使った無接触加熱延伸方法により、管引きを行う工程を含む、エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項9】
波長150〜250nmの真空紫外光を放出するエキシマUVランプ用であって、寸法が長さ1000mm以上で、管の外表面に長手方向に渡って幅の一様な平面部分を備え、該平面部分の幅が5mm以上350mm以下、内側の平面部分の幅が1mm以上、肉厚0.7mm以上8mm以下で表面に幅0.8mm以上または長さ200mm以上のキズがなく、長手方向に沿った肉厚の最大値と最小値の差と比率が0.5mm以下でかつ25%以下、平面部分の幅の変動率が5%以下、平面部分のそりが0.1%以下、ねじれが0.5以下であるエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管を製造するエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法であって、
高純度の珪素化合物を原料とし、火炎加水分解によるスート体を合成する工程と、
このスート体を透明ガラス化し、透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを得る工程と、
この透明ガラス化された石英ガラスシリンダーを円筒型電気加熱炉を使った無接触加熱延伸方法により、管引きを行う工程と、
管引きを行った石英管の内側に、所定の断面形状をした表面粗さが20μm以下であるグラファイト製プラグを差込み、管内を減圧下で1800℃以上に加熱しながら石英管をグラファイト製プラグに密着させて所望の断面形状を得る工程を含む、エキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項10】
Li、Na、K、Ca、Mg、Ti、Fe、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Vの各元素濃度が10wtppb未満であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項11】
異形合成石英ガラス管の平面部分の少なくとも一部分において、波長172nmにおける内表面から外表面への分光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項12】
異形合成石英ガラス管中のOH基濃度が10wtppm以上400wtppm以下、Cl元素濃度が5wtppm以下であることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項13】
異形合成石英ガラス管の仮想温度が800℃以上1400℃以下であることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【請求項14】
異形合成石英ガラス管中のF元素濃度が10wtppm以上2000wtppm以下であることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載のエキシマUVランプ用異形合成石英ガラス管の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−294440(P2006−294440A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114168(P2005−114168)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000190138)信越石英株式会社 (183)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000190138)信越石英株式会社 (183)
【Fターム(参考)】
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