説明

エキセンジン含有徐放性製剤組成物、エキセンジン含有徐放性微粒球、及びその製造方法

本発明は、有効成分としてエキセンジンを含む生体利用率の高い徐放性製剤組成物、エキセンジン含有徐放性微粒球、及びその製造方法に関するものである。
より詳細には、本発明は、有効性分としてのエキセンジン、特定の粘度を有する生分解性高分子、及びコーティング物質を含み、有効成分の過度な初期放出がなく一定の期間にわたって有効濃度で持続的に放出することができると共に生体利用率の高い徐放性製剤組成物;有効性分としてのエキセンジンとこれを封入する生分解性高分子を含むコア、及び前記コアをコーティングするコーティング層を含む徐放性微粒球;ならびに、エキセンジン、生分解性高分子、及び溶媒を混合する段階と、前記混合物から溶媒を除去して、硬化された微粒球を調製する段階と、前記硬化された微粒球の表面にコーティング物質コーティング層を形成する段階とを含む徐放性微粒球の製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年3月27日付けで出願された韓国特許出願第10-2007-0029586号の優先権利益を主張し、この韓国特許出願の明細書は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、有効成分としてエキセンジンを含む生体利用率の高い徐放性製剤組成物、エキセンジン含有徐放性微粒球、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
エキセンジンは、人体内においてグルカゴン類似ペプチド-1(GLP-1)ホルモンの役割を果たすGLP-1拮抗剤として作用し、GLP-1(7-36)NHアミノ酸配列と53%の類似性を示す(Goke, et al., J. Biol. Chem., 268: 19650-19655, 1993)。
【0004】
GLP-1は、代表的なインクレチンホルモンであって、腸内のL細胞から分泌されるペプチドとして消化器官に飲食物が入る場合に分泌され、膵臓のベータ細胞に作用してインスリンの分泌を促進して、血糖値を低下させる役割を果たす(Orskov, et al., Diabetes, 42:658-661, 1993)。また、GLP-1は、膵臓のアルファ細胞に作用してグルカゴンの分泌を抑制し(D'Alessio, et al., J. Clin. Invest., 97:133-138, 1996)、胃腸内の飲食物の除去時間を遅延させて、飲食物の摂取を抑制する作用をするものとしても知られている(Schira, et al., J. Clin. Invest., 97:92-103, 1996)。GLP-1は、単純に膵臓のベータ細胞でインスリンの分泌を促進するだけでなく、ベータ細胞の増殖及び生存率を増加させる役割も果たす(Buteau, et al., Diabetologia, 42:856-864, 1999)。しかし、分泌されたGLP-1は、ジペプチジルぺプチダーゼ-4(DPP-4)酵素によってN-末端部位が切られて活性を失うようになるが、GLP-1の半減期は約2分程度と非常に短いものとして知られている(Pridal, et al., Eur. J. Drug. Metab. Pharmacokinet., 21:51-59, 1996; Deacon, et al., Diabetes, 47:764-769, 1998)。
【0005】
一方、エキセンジンは、生体内で血糖値に応じてインスリンの分泌を増加させ、食後のグルカゴンの分泌を抑制し、胃腸内の飲食物の除去速度を遅延させて、飲食物の摂取を抑制する作用をするものとして知られている(Edwards, et al., Am. J. Physiol. Endocrinol Metab., 281:155-161, 2001)。また、エキセンジンは、GLP-1とは異なって、DPP-4酵素によってN-末端部位が切られないため、GLP-1より長時間にわたって生体内で作用するという長所がある(Thum, et al., Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes., 110:113-118, 2002)。エキセンジンは、ドクトカゲおよびタマトカゲの唾液分泌物から発見されたものであって、エキセンジン-3は、メキシコドクトカゲ(Heloderma Horridum)の毒に存在し、エキセンジン-4は、アメリカドクトカゲ(Heloderma suspectum)の毒に存在する(Eng, J., et al., J. Biol. Chem., 265:20259-62, 1990; Eng., J., et al., J. Biol. Chem., 267:7402-05, 1992)。
【0006】
エキセンジン-4を糖尿病ob/obマウスに1日1回、腹腔内に注入することによって、長期持続性の血糖値低下効果があることが確認された(Greig et al., Diabetologia 42:45-50, 1999)。エキセンジン-4は、最近では、1日2回5μgまたは10μgずつ皮下注射する注射剤の形態に開発されて、第2型の糖尿病治療剤として使用されている。エキセンジンは、DPP-4酵素に対して安定しているが、人体に0.2μg/kg以上を皮下注射する場合に、嘔吐、悪心、頭痛などの副作用を誘発するものとして知られている(Drug Development Research, 53:260-267, 2001)。エキセンジンの投与において、初期放出及び初期高血中濃度による副作用によって投与量が制限されることは、エキセンジンの徐放性製剤を開発するのに最も大きな障害物となっている。
【0007】
一般に、水溶性薬物の徐放性製剤の場合、投与後の初期段階に放出率が非常に高く、このような水溶性薬物の徐放性製剤の過度な初期放出を抑制するための多様な研究が進められてきた。特に、エキセンジンの場合、徐放性製剤を開発する際に、過度な初期放出による嘔吐、悪心、頭痛などの副作用を防止するために、初期放出を抑制しなければならない。
【0008】
末端肥大症などの治療に使用されるオクトレオチドを含む徐放性微粒球製剤の初期放出を抑制するために、微粒球内にグルコースを薬物と共に含む1次エマルジョンを調製して、二重乳化蒸発法によって微粒球を製造して研究した例がある。この研究で、薬物と共にグルコースを封入すれば初期放出量を減少させることができることが明らかになった。しかし、微粒球の初期放出率が5%程度である製造条件では、グルコースを添加して製造しても封入量が増加せず、むしろ初期放出が増加する傾向を示した(J. Wang et al., Biometerials, 25:1919-1927, 2004)。
【0009】
したがって、上記引用文献に開示された技術は、初期放出率を5%以下にして、初期放出による副作用を最小化しなければならないエキセンジンの徐放性製剤の製造には適用が難しい。
【0010】
一方、下記の特許文献1(米国特許第7164005号明細書)及び特許文献2(US2005/0271702)には、ラクチド及びグリコリドの比率が50:50であるポリラクチド‐コ‐グリコリド(PLGA)高分子を利用して、エキセンジン含有微粒球を相分離法によって製造する方法が記載されている。これらの特許文献1および2では、高分子としてAlkermes社のpolymer3A(IV=0.38dL/g)、polymer4A(IV=0.42dL/g)などを使用し、特に、polymer4Aを主に使用した。特許文献1および2は、エキセンジンと各々polymer3Aまたは4Aとからなる微粒球の生体利用率を改善し、ペプチド薬物の安定性を改善するために、薬物と共にスクロース、マンニトールなどの糖と、硫酸アンモニウムなどの塩析(salting-out)成分とを混合して1次エマルジョンを製造して、微粒球を製造した。つまり、微粒球の製造時に、糖や硫酸アンモニウムなどの添加物を追加することによって、エキセンジンが高分子マトリックスから十分に放出されるようにして、生体利用率を改善させようとした。その結果、生体利用率はある程度改善されたが、これとともに高いCmax値が示されたため、投与時に高い初期放出による副作用が現れるという短所が依然としてあった。つまり、生体利用率が高くなると、初期放出が過剰になる傾向があり、初期放出が低くなると、生体利用率が再度低くなる傾向がある。
【0011】
このように、従来の徐放性微粒球の製造技術は、初期放出による副作用を最小化すると同時に生体利用率の改善が要求されるエキセンジン含有徐放性微粒球製剤に適用するには、過度な初期放出、低い生体利用率などの限界があるため適切でない。
【0012】
したがって、このような上記問題点を解決し、低い初期放出及び改善された生体利用率特性を有するエキセンジン含有生分解性徐放性製剤の開発が切実に要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7164005号明細書
【特許文献2】US2005/0271702
【特許文献3】韓国特許第140209号
【発明の概要】
【0014】
このような要求に応じるために、本発明は、生分解性高分子を担体として、有効性分としてエキセンジンを含む徐放性製剤を提供することにおいて、従来の徐放性製剤の過度な初期放出を減少させ、生体利用率が高いエキセンジン含有徐放性製剤、及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】エキセンジン含有RG502H製剤のコーティング物質コーティング層の有無によるラットでの血中薬物濃度の変化を示したグラフである。
【図2】エキセンジン含有RG503H製剤のコーティング物質コーティング層の有無によるラットでの血中薬物濃度の変化を示したグラフである。
【図3】エキセンジン含有RG502H:RG503H=1:1製剤混合物のコーティング物質コーティング層の有無、及びコーティング物質の種類によるラットでの血中薬物濃度の変化を示したグラフである。
【図4a】従来の二重乳化蒸発法によって調製された微粒球の電子顕微鏡写真である。
【図4b】本発明による二重乳化蒸発法によって微粒球の表面をコーティング物質でコーティングした後の電子顕微鏡写真である。
【図4c】1次水相にコーティング物質を添加して、二重乳化蒸発法によって調製した微粒球の電子顕微鏡写真である。
【図4d】油相の高分子と共にコーティング物質を溶解させて、二重乳化蒸発法によって調製した微粒球の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明によって、本発明がより完全に認識され、これによる利点がより明確になるであろう。
【0017】
本発明は、投与時の薬物の初期放出を最小化し、生体利用率を高くしたエキセンジン含有徐放性微粒球組成物に関するものである。
【0018】
上記特許文献3(韓国特許第140209号)には、水溶性薬物の初期放出を抑制するために、水溶性薬物を所定の塩基性有機物と共に溶解させて1次エマルジョンを製造した後で、二重乳化蒸発法を利用した微粒球の製造方法について記述している。上記文献は、生分解性高分子の酸性残基と薬物保有物質の塩基性残基との間の反応によって堅固な膜を形成させて薬物の封入率を増加させ、不要な初期大量放出を抑制しようとしたものである。しかし、このような方法は、上記文献でも言及された通り、LHRH、TRH、またはその誘導体などの中性または塩基性ポリペプチドの徐放性組成物の製造には有用であるが、薬物の特性によって異なり、特に、酸性薬物で、LHRH、TRHより分子量が相対的に大きなエキセンジンに適用する場合には、その効果が微々たるものとなる恐れがある。同時に、このような塩基性有機物の添加によって微粒球の表面の多孔性が増加するため、初期放出による副作用の発現可能性のあるエキセンジン含有徐放性製剤に適用するのは難しい。
【0019】
したがって、本発明者らは、生分解性高分子を担体として、エキセンジンを含む微粒球の製造過程中または製造後に、微粒球の表面に所定のコーティング物質をコーティングすることによって、過度な初期放出による副作用がなく、生体利用率の高い微粒球が製造されるということを確認して、本発明を完成させた。
【0020】
まず、本発明は、有効性分としてのエキセンジン、特定の粘度を有する生分解性高分子、及びコーティング物質を含み、有効成分の過度な初期放出がなく一定の期間にわたって有効濃度で持続的に放出することができると共に生体利用率の高い徐放性製剤組成物を提供する。
【0021】
また、他の側面において、本発明は、有効性分としてのエキセンジン及び生分解性高分子を含むコア、及び前記コアをコーティングするコーティング層を含む徐放性微粒球を提供する。
【0022】
これをより詳細に説明すれば、次の通りである。
【0023】
本発明において、前記エキセンジンは、エキセンジン-3(配列番号1)及びエキセンジン-4(配列番号2)、これらの断片、誘導体、ならびにこれらの薬学的に許容可能な塩をすべて含む。
【0024】
前記エキセンジン誘導体は、下記の化学式Iで定義される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0025】
[化学式I]
Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Xaa5 Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Ala Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 - Z1,
前記式Iにおいて、
Xaa1は、His、Arg、Tyr、Ala、Norval、Val、Norleu、または4-イミダゾプロピオニルであり;
Xaa2は、Ser、Gly、Ala、またはThrであり;
Xaa3は、Ala、Asp、またはGluであり;
Xaa4は、Ala、Norval、Val、Norleu、またはGlyであり;
Xaa5は、AlaまたはThrであり;
Xaa6は、Ala、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa7は、ThrまたはSerであり;
Xaa8は、Ala、Ser、またはThrであり;
Xaa9は、Ala、Norval、Val、Norleu、Asp、またはGluであり;
Xaa10は、Ala、Leu、Ile、Val、ペンチルグリシン、またはMetであり;
Xaa11は、AlaまたはSerであり;
Xaa12は、AlaまたはLysであり;
Xaa13は、AlaまたはGlnであり;
Xaa14は、Ala、Leu、Ile、ペンチルグリシン、Val、またはMetであり;
Xaa15は、AlaまたはGluであり;
Xaa16は、AlaまたはGluであり;
Xaa17は、AlaまたはGluであり;
Xaa19は、AlaまたはValであり;
Xaa20は、AlaまたはArgであり;
Xaa21は、Ala、Leu、またはLys-NHε-Rであり(ここで、Rは、Lys、Arg、またはC1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイルである);
Xaa22は、Ala、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa23は、Ile,Val、Leu、ペンチルグリシン、3級-ブチルグリシン、またはMetであり;
Xaa24は、Ala、Glu、またはAspであり;
Xaa25は、Ala、Trp、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa26は、AlaまたはLeuであり;
Xaa27は、AlaまたはLysであり;
Xaa28は、AlaまたはAsnであり;
Z1は、-OH、
-NH
Gly-Z2、
Gly Gly-Z2、
Gly Gly Xaa31-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38-Z2、または
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38 Xaa39-Z2
[ここで、Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38は、各々独立的にPro、ホモプロリン、3Hyp、4Hyp、チオプロリン、N-アルキルグリシン、N-アルキルペンチルグリシン、またはN-アルキルアラニンであり、Xaa39は、SerまたはTyrであり、Z2は、-OHまたは-NHである]であり、
但し、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6、Xaa8、Xaa9、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa15、Xaa16、Xaa17、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、及びXaa28のうちの3個以下のみがAlaであり、Xaa1がHis、Arg、またはTyrである場合には、Xaa3、Xaa4、及びXaa9のうちの1つ以上がAlaである。
【0026】
N-アルキルグリシン、N-アルキルペンチルグリシン、及びN-アルキルアラニンに好ましいN-アルキル基には、好ましくは炭素原子数1乃至約6、より好ましくは炭素原子数1乃至4の低級アルキル基が含まれる。適切な化学式Iの化合物には、“新規のエキセンジンアゴニスト化合物”という発明の名称で、1998年11月13日付けで出願されたPCT出願番号第PCT/US98/24273号で、実施例1乃至89で同定された化合物(各々“化合物1乃至89”)及び実施例104及び105で同定された相応の化合物が含まれる(上記引用文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。
【0027】
好ましい化学式Iのエキセンジン誘導体には、Xaa1がHis、Ala、Norval、または4-イミダゾプロピオニルであるものが含まれる。より好ましくは、Xaa1は、His、Ala、または4-イミダゾプロピオニルである。最も好ましくは、Xaa1は、Hisまたは4-イミダゾプロピオニルである。
【0028】
化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa2がGlyであるのが好ましい。
【0029】
化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa3がAlaであるのが好ましい。
【0030】
化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa4がAlaであるのが好ましい。
【0031】
化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa9がAlaであるのが好ましい。
【0032】
化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa14がLeu、ペンチルグリシン、またはMetであるのが好ましい。
【0033】
化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa21がLys-NHε-R(ここで、Rは、Lys、Arg、またはC1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイルである)であるのが好ましい。
【0034】
化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa25がTrpまたはPheであるのが好ましい。
【0035】
化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa6がAla、Phe、またはナフチルアラニンであり、Xaa22がPheまたはナフチルアラニンであり、Xaa23がIleまたはValであるのが好ましい。また、化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38がPro、ホモプロリン、チオプロリン、及びN-アルキルアラニンから独立的に選択されるのが好ましい。好ましくは、Z1が-NHであり、Z2が-NHである。
【0036】
1つの側面において、前記化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa1がAla、His、またはTyrであり、より好ましくは、AlaまたはHisであり;Xaa2がAlaまたはGlyであり;Xaa6がPheまたはナフチルアラニンであり;Xaa14がAla、Leu、ペンチルグリシン、またはMetであり;Xaa22がPheまたはナフチルアラニンであり;Xaa23がIleまたはValであり;Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38がPro、ホモプロリン、チオプロリン、またはN-アルキルアラニンから独立的に選択され;Xaa39がSerまたはTyrであり、より好ましくは、Serである。より好ましくは、Z1が-NHである。
【0037】
特に好ましい化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa1がHisまたはAlaであり;Xaa2がGlyまたはAlaであり;Xaa3がAla、Asp、またはGluであり;Xaa4がAlaまたはGlyであり;Xaa5がAlaまたはThrであり;Xaa6がPheまたはナフチルアラニンであり;Xaa7がThrまたはSerであり;Xaa8がAla、Ser、またはThrであり;Xaa9がAla、Asp、またはGluであり;Xaa10がAla、Leu、またはペンチルグリシンであり;Xaa11がAlaまたはSerであり;Xaa12がAlaまたはLysであり;Xaa13がAlaまたはGlnであり;Xaa14がAla、Leu、Met、またはペンチルグリシンであり;Xaa15がAlaまたはGluであり;Xaa16がAlaまたはGluであり;Xaa17がAlaまたはGluであり;Xaa19がAlaまたはValであり;Xaa20がAlaまたはArgであり;Xaa21がAlaまたはLeuであり;Xaa22がPheまたはナフチルアラニンであり;Xaa23がIle、Val、または3級-ブチルグリシンであり;Xaa24がAla、Glu、またはAspであり;Xaa25がAla、Trp、またはPheであり;Xaa26がAlaまたはLeuであり;Xaa27がAlaまたはLysであり;Xaa28がAlaまたはAsnであり;Z1が-OH、-NH、Gly-Z2、Gly Gly-Z2、Gly Gly Xaa31-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37-Z2、Gly Gly31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38-Z2、またはGly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38 Xaa39-Z2であり;Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38が独立的にPro、ホモプロリン、チオプロリン、またはN-メチルアラニンであり;Xaa39がSerまたはTyrであり、より好ましくは、Serであり;Z2が-OHまたは-NHであるが;但し、Xaa3、Xaa5、Xaa6、Xaa8、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa15、Xaa16、Xaa17、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、及びXaa28のうちの3個以下のみがAlaであり;Xaa1がHis、Arg、またはTyrである場合には、Xaa3、Xaa4、及びXaa9のうちの1つ以上がAlaである。
【0038】
特に好ましい化学式Iの化合物には、PCT出願番号PCT/US98/25728に記載された配列番号:5乃至93のアミノ酸配列を有する化合物、または米国仮出願第60/066,029号に記載された化合物が含まれる(これらの文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。
【0039】
特に好ましい側面によれば、化学式Iのエキセンジン誘導体は、Xaa14がAla、Leu、Ile、Val、またはペンチルグリシンであり、より好ましくは、Leuまたはペンチルグリシンであり、Xaa25がAla、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり、より好ましくは、Pheまたはナフチルアラニンである。これら化合物は、試験管内及び生体内の両方において、ならびに当該化合物の合成中において、酸化的分解にそれほど敏感でない。
【0040】
また他の側面において、前記エキセンジン誘導体は、次の化学式IIで定義される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0041】
[化学式II]
Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Xaa5 Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Ala Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 X1- Z1
前記式IIにおいて、
Xaa1は、His、Arg、Tyr、Ala、Norval、Val、Norleu、または4-イミダゾプロピオニルであり;
Xaa2は、Ser、Gly、Ala、またはThrであり;
Xaa3は、Ala、Asp、またはGluであり;
Xaa4は、Ala、Norval、Val、Norleu、またはGlyであり;
Xaa5は、AlaまたはThrであり;
Xaa6は、Ala、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa7は、ThrまたはSerであり;
Xaa8は、Ala、Ser、またはThrであり;
Xaa9は、Ala、Norval、Val、Norleu、Asp、またはGluであり;
Xaa10は、Ala、Leu、Ile、Val、ペンチルグリシン、またはMetであり;
Xaa11は、AlaまたはSerであり;
Xaa12は、AlaまたはLysであり;
Xaa13は、AlaまたはGlnであり;
Xaa14は、Ala、Leu、Ile,ペンチルグリシン、Val、またはMetであり;
Xaa15は、AlaまたはGluであり;
Xaa16は、AlaまたはGluであり;
Xaa17は、AlaまたはGluであり;
Xaa19は、AlaまたはValであり;
Xaa20は、AlaまたはArgであり;
Xaa21は、Ala、Leu、またはLys-NHε-Rであり(ここで、Rは、Lys、Arg、C1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイル、またはシクロアレイル-アルカノイルである);
Xaa22は、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa23は、Ile、Val、Leu、ペンチルグリシン、3級-ブチルグリシン、またはMetであり;
Xaa24は、Ala、Glu、またはAspであり;
Xaa25は、Ala、Trp、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa26は、AlaまたはLeuであり;
X1は、Lys Asn、Asn Lys、Lys-NHε-R Asn、Asn Lys-NHε-R、Lys-NHε-R Ala、Ala Lys-NHε-Rであり(ここで、Rは、Lys、Arg、C1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイル、またはシクロアルキルアルカノイルである);
Z1は、-OH、
-NH
Gly-Z2、
Gly Gly-Z2、
Gly Gly Xaa31-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37-Z2、
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38-Z2、または
Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38 Xaa39-Z2
[ここで、Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38は、各々独立的にPro、ホモプロリン、3Hyp、4Hyp、チオプロリン、N-アルキルグリシン、N-アルキルペンチルグリシン、またはN-アルキルアラニンであり、Xaa39は、SerまたはTyrであり、Z2は、-OHまたは-NHである]であり、
但し、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6、Xaa8、Xaa9、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa15、Xaa16、Xaa17、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa24、Xaa25、及びXaa26のうちの3個以下のみがAlaであり;Xaa1がHis、Arg、Tyr、または4-イミダゾプロピオニルである場合には、Xaa3、Xaa4、及びXaa9のうちの1つ以上がAlaである。
【0042】
好ましい化学式IIのエキセンジン誘導体には、Xaa1がHis、Aal、Norval、または4-イミダゾプロピオニルであるものが含まれる。好ましくは、Xaa1がHis、4-イミダゾプロピオニル、またはAlaであり、より好ましくは、Hisまたは4-イミダゾプロピオニルである。
【0043】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Xaa2がGlyであるのが好ましい。
【0044】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Xaa4がAlaであるのが好ましい。
【0045】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Xaa9がAlaであるのが好ましい。
【0046】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Xaa14がLeu、ペンチルグリシンまたはMetであるのが好ましい。
【0047】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Xaa25がTrpまたはPheであるのが好ましい。
【0048】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Xaa6がAla、Phe、またはナフチルアラニンであり、Xaa22がPheまたはナフチルアラニンであり、Xaa23がIleまたはValであるのが好ましい。
【0049】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Z1が-NHの化合物を含むのが好ましい。
【0050】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38がPro、ホモプロリン、チオプロリン、及びN-アルキルアラニンからなる群より独立的に選択される化合物を含むのが好ましい。
【0051】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Xaa39がSerまたはTyrであるのが好ましく、Serの化合物を含むのがより好ましい。
【0052】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Z2が-NHの化合物を含むのが好ましい。
【0053】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Z1が-NHの化合物を含むのが好ましい。
【0054】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、Xaa21がLys-NHε-R(ここで、Rは、Lys、Arg、またはC1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイルである)である化合物を含むのが好ましい。
【0055】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、X1がLysAsn、Lys-NHε-RAsn、またはLys-NHε-RAla(ここで、Rは、Lys、Arg、またはC1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイルである)である化合物を含むのが好ましい。
【0056】
化学式IIのエキセンジン誘導体は、WO99/025728に記載された配列番号95乃至110で同定されたものから選択されたアミノ酸配列を有する化合物を含む。また、前記化学式IIのエキセンジン誘導体は、“新規のエキセンジンアゴニスト化合物”という発明の名称で、1998年11月13日付けで出願されたPCT出願番号第PCT/US98/24210号に記載された、配列番号5乃至93に同定されたアミノ酸配列を有する化合物を含む。また他の側面において、前記化学式IIのエキセンジン誘導体は、WO99/007404に記載された配列番号37乃至40のアミノ酸配列を有する化合物を含むことができる(これらの文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。
【0057】
前記化学式I及びIIで使用された略語は、次のような意味を有する。
【0058】
“ACN”または“CHCN”は、アセトニトリルを示す。
【0059】
“Boc”、“tBoc”、または“Tboc”は、t−ブトキシカルボニルを示す。
【0060】
“DCC”は、N,N′―ジシクロヘキシルカルボジイミドを示す。
【0061】
“Fmoc”は、フルオレニルメトキシカルボニルを示す。
【0062】
“HBTU”は、2−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェイトを示す。
【0063】
“HOBt”は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾル一水和物を示す。
【0064】
“homoP”または“hPro”は、ホモプロリンを示す。
【0065】
“MeAla”または“Nme”は、N−メチルアラニンを示す。
【0066】
“naph”は、ナフチルアラニンを示す。
【0067】
“pG”または“pGly”は、ペンチルグリシンを示す。
【0068】
“tBuG”は、3級−ブチルグリシンを示す。
【0069】
“ThioP”または“tPro”は、チオプロリンを示す。
【0070】
“3Hyp”は、3−ヒドロキシプロリンを示す。
【0071】
“4Hyp”は、4−ヒドロキシプロリンを示す。
【0072】
“NAG”は、N−アルキルグリシンを示す。
【0073】
“NAPG”は、N−アルキルペンチルグリシンを示す。
【0074】
“Norval”は、ノルバリンを示す。
【0075】
好ましい実施形態において、エキセンジン断片または誘導体は、エキセンジン-4(1-28)(配列番号3)、エキセンジン-4(1-28)アミド、エキセンジン-4(1-30)(配列番号4)、エキセンジン-4(1-30)アミド、エキセンジン-4(1-31)(配列番号5)、エキセンジン-4(1-31)アミド、14Leu25Pheエキセンジン-4(配列番号6)、14Leu25Pheエキセンジン-4アミド、及びこれらの薬学的に利用可能な塩からなる群より選択されたものである。
【0076】
本発明の徐放性製剤組成物及び徐放性微粒球に含まれている有効性分としてのエキセンジンの含有量は、エキセンジン、生分解性高分子、及びコーティング物質からなる組成物または微粒球100質量部に対して0.1乃至10質量部であり、より好ましくは、0.8乃至6質量部である。本発明の組成物または微粒球内のエキセンジンの含有量が前記範囲より低い場合には、薬物本来の効果を有効に発揮することができず、前記の範囲より高い場合には、初期放出量が増加して、過度な初期放出による副作用が現れるため、エキセンジンの含有量は前記の範囲内で使用するのが好ましい。
【0077】
前記生分解性高分子は、体内に投与すれば徐々に分解されて排出されるために人体に無害である高分子を総称するものであって、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド‐コ‐グリコリド)(PLGA)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、及びポリアルキルカーボネートからなる群より選択された1種以上の高分子、ならびに前記高分子とポリエチレングリコール(PEG)との共重合体を含み、前記1種以上の高分子は、共重合体または単純混合物の形態であってよい。
【0078】
例えば、前記生分解性高分子は、ドイツのBoehringer-Ingelheim社のポリ(ラクチド‐コ‐グリコリド)(PLGA)のうち、ラクチドとグリコリドとの比率が1:1であるRG502H(IV=0.16乃至0.24dL/g)、RG503H(IV=0.32乃至0.44dL/g)、及びRG504H(IV=0.45乃至0.60dL/g)、ラクチドとグリコリドとの比率が75:25であるRG752H(IV=0.14乃至0.22dL/g)、ポリラクチド(PLA)であるR202H(IV=0.16乃至0.24dL/g)、及びR203H(IV=0.25乃至0.35dL/g)、ならびに米国のLakeshore Biomaterials社(旧Alkermes社)のラクチドとグリコリドとの比率が1:1である共重合体、ポリ(ラクチド‐コ‐グリコリド)のうち、5050DL 2A(IV=0.15乃至0.25dL/g)、5050DL 3A(IV=0.25乃至0.43/g)、及び5050DL 4A(IV=0.38乃至0.48dL/g)などからなる群より選択された1種以上のものである。
【0079】
また他の側面において、前記生分解性高分子は、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド‐コ‐グリコリド)(PLGA)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、及びポリアルキルカーボネートからなる群より選択された1種の高分子または2種以上の共重合体、ならびに前記高分子とポリエチレングリコール(PEG)との共重合体からなる群より選択された1種以上の高分子と、糖との複合体(以下、高分子-糖複合体という)である。
【0080】
本発明における高分子糖複合体は、前記の高分子が糖のヒドロキシ基の位置に置換されている形態を意味する。前記糖は、1つ以上、好ましくは1乃至8個のサッカリド単位を含み、各サッカリド単位は、3乃至6個のヒドロキシ基を有するモノサッカリドまたはポリサッカリド、または直鎖構造を有して3乃至6個のヒドロキシ基を含む分子量20,000以下の糖アルコール類である。前記糖アルコール類は、マンニトール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、リビトール、及びキシリトールなどを含むことができる。高分子は、前記糖に存在するヒドロキシ基のうちの3個以上に結合する。
【0081】
本発明による高分子糖複合体は、糖に結合された高分子と類似した生体内特性を有し、高分子の種類によって多様な生体分解速度を示し、生体内分解時に生体に無害な高分子と糖とに分解されるので、本発明による生分解性高分子として適用可能である。好ましい実施形態としては、前記高分子糖複合体は、PLA−グルコース複合体、PGA−グルコース複合体、またはPLGA−グルコース複合体である。このうち、PLGA−グルコース複合体は、次のような構造を有するものである。
【化1】

【0082】
本発明による徐放性微粒球においては、外部に形成されたコーティング物質コーティング層がエキセンジンの初期放出を効果的に制御し、薬物の過度な初期放出による副作用を防止することができ、前記生分解性高分子は、粘度の制限なく使用することができる。
【0083】
本発明による徐放性製剤組成物において、前記生分解性高分子は、有効成分であるエキセンジンを保護するマトリックスの役割を果たすものであるので、粘度が低すぎると薬物を効果的に保護することができずに薬物の初期放出量が多くなる恐れがあり、粘度が高すぎると、薬物の全体的な放出量が低くなって生体利用率が低くなる恐れがある。本発明においては、組成物と共に含まれているコーティング物質がさらに薬物徐放性作用を果たすので、前記生分解性高分子は、粘度が比較的低い範囲にあるものでも使用可能である。したがって、効果的な薬物の初期放出の調節及び生体利用率の改善のために、前記生分解性高分子は、クロロホルムに1%(W/V)の濃度に溶解させた後、25℃±0.1℃でウベロデ(Ubbelohde)粘度計を利用して測定した固有粘度(IV)が0.1乃至0.6dL/g、好ましくは0.15乃至0.31dL/g、さらに好ましくは0.16乃至0.24dL/gである。
【0084】
本発明の組成物または微粒球において、生分解性高分子は、薬物放出期間中に薬物を保護して、放出速度を調節するマトリックスの役割を果たすものであって、組成物または微粒球内の含有量は、エキセンジン、生分解性高分子、及びコーティング物質からなる組成物または微粒球100質量部に対して85乃至99.89質量部、より好ましくは91乃至99質量部である。
【0085】
前記コーティング物質は、薬物の過度な初期放出を防止し、生体利用率を増加させる目的で用いられ、本発明による微粒球では、外部に形成されたコーティング層の形態で存在する。前記コーティング物質は、塩基性アミノ酸、ポリペプチド、及び有機窒素化合物からなる群より選択された1種以上のものである。前記塩基性アミノ酸は、アルギニン、リシン、ヒスチジン、及びこれらの誘導体を含み、前記ポリペプチドは、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群より選択された1種以上を含むアミノ酸2乃至10個、好ましくは2乃至5個のポリペプチドであり、前記ポリペプチドは、アミノ酸全体の個数のうち、酸性アミノ酸の数に比べて塩基性アミノ酸の数が多いため、塩基性を示すものである。例えば、前記ポリペプチドは、L-Ala-L-His-L-Lys、L-Arg-L-Phe、Gly-L-His、Gly-L-His-Gly、Gly-L-His-L-Lys、L-His-Gly、L-His-Leu、L-Lys-L-Tyr-L-Lys、L-His-L-Val、L-Lys-L-Lys、L-Lys-L-Lys-L-Lys、L-Lys-L-Thr-L-Thr-L-Lys-L-Serなどである。また、前記有機窒素化合物は、クレアチン、クレアチニン、尿素などである。
【0086】
本発明の組成物に含まれているコーティング物質の含有量または微粒球の表面にコーティング層として残留するコーティング物質の量は、エキセンジン、生分解性高分子、及びコーティング物質からなる組成物または微粒球100質量部に対して0.01乃至5質量部、好ましくは0.015乃至3質量部である。コーティング物質の含有量が前記範囲より少ない場合には、効果的な薬物徐放性が難しく、前記範囲より多くても初期放出抑制効果はそれ以上増加しないため、コーティング物質の含有量は前記の範囲にするのが好ましい。
【0087】
本発明による徐放性微粒球は、コーティング物質でコーティングされた滑らかな表面を有し、平均粒子が1乃至50μm、好ましくは5乃至30μmである(図4-b参照)。このように、本発明の微粒球は、滑らかな表面及び適切な大きさを有することによって、効果的な薬物初期徐放性及び優れた生体利用率効果を得ることができる。
【0088】
本発明による徐放性微粒球または徐放性製剤組成物から製造される微粒球は、従来の剤形とは異なり、微粒球の表面にコーティング物質がコーティングされた構造を有することによって、従来の方法を利用したエキセンジン含有微粒球製剤で達成できなかった過度な初期放出の抑制及び高い生体利用率を同時に達成することができるという利点を有する。特に、エキセンジンは、初期放出量が過剰である場合、嘔吐、悪心、頭痛などの副作用が発生するため、初期放出量を5%以下に制御することが大変重要である。本発明の徐放性微粒球または本発明の組成物から製造された微粒球は、エキセンジンの初期24時間の放出量を5%以下に減少させる効果がある。エキセンジンを含む徐放性微粒球の投与による副作用を減少させるためには、初期放出量が本発明に記載されたin vitro放出試験法で試験した場合に、初期1時間の放出量が5%以下、より好ましくは1%以下である。
【0089】
従来の方法によるエキセンジン含有微粒球の過度な初期放出の副作用を減少させるための多様な試みが行われたが、このような試みのうち、過度な初期放出を抑制するのに成功した例のほとんどは、初期放出量だけでなく全体的な放出量も減少して、薬物の生体利用率が著しく低下する問題があった。しかし、本発明の微粒球は、表面にコーティング物質コーティング層を含むことによって、初期放出量を効果的に制御し、過度な初期放出による副作用を除去すると同時に、薬物の持続的で十分な放出を可能にして、生体利用率も優れているという利点を有する。
【0090】
本発明の組成物または微粒球は、保護コロイド及び/または安定化剤などの賦形剤をさらに含むことができる。
【0091】
本発明の組成物または微粒球は、ポリビニルアルコール、アルブミン、ポリビニルピロリドン、ゼラチンなどからなる群より選択された1種以上の保護コロイドをさらに含むことができる。前記保護コロイド物質は、エキセンジン含有微粒球の過度な初期放出の抑制には特別な効果がないが、微粒球間の凝集を防止し、分散性を改善する役割を果たす。このような役割を考慮すれば、前記保護コロイドは、エキセンジン、生分解性高分子、及びコーティング物質からなる組成物または微粒球の重量を基準にして0.02%(W/W)乃至1.0%(W/W)の量でさらに含まれるのが好ましい。
【0092】
また、本発明の組成物または微粒球は、凍結乾燥時に微粒球の安定性を向上させるために、マンニトール、トレハロース、スクロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの賦形剤をエキセンジン、生分解性高分子、及びコーティング物質からなる微粒球の重量対比5%(W/W)乃至30%(W/W)、より好ましくは10%(W/W)乃至20%(W/W)の量でさらに添加することができる。
【0093】
その他にも、本発明の組成物または微粒球は、本発明が属する技術分野で医薬品の製剤化に通常使用されるすべての添加剤及び賦形剤をさらに含むことができ、これらの種類及び含有量は、関連技術分野の通常の知識を有する者であれば、誰でも容易に決定することができる。
【0094】
また他の側面において、本発明は、前記のようなエキセンジン含有徐放性微粒球の製造方法を提供する。本発明によるエキセンジン含有徐放性微粒球は、多様な方法によって製造され、微粒球の製造過程中または製造後に、コーティング物質の水溶液に懸濁させて、微粒球の表面をコーティング物質でコーティングすることによって、本発明の徐放性微粒球を製造することができる。本発明による微粒球の製造方法は、二重乳化蒸発法(W/O/W法)、単一乳化蒸発法(O/W法)、相分離法、噴霧乾燥法などを用いることができる。
【0095】
より詳しくは、本発明のエキセンジン含有徐放性微粒球の製造方法は、エキセンジンと生分解性高分子とを混合してW/O型エマルジョンまたは均質混合物を生成させる段階と、前記エマルジョンまたは均質混合物をコーティング物質水溶液に適用して乳化させて、コーティング層を形成する段階とを含むことができる。
【0096】
より具体的には、二重乳化蒸発法を使用する場合、本発明の製造方法は、エキセンジン水溶液と生分解性高分子が溶解した有機溶媒とを混合して乳化して、一次エマルジョン(W/O)を形成する段階と、前記エマルジョンをコーティング物質水溶液に懸濁させてW/O/Wエマルジョンを形成させ、これを加温して有機溶媒を除去して硬化させる段階と、前記硬化された微粒球を回収して水洗して凍結乾燥する段階とを含むことができる。前記有機溶媒は、前記生分解性高分子を溶解させて、水溶液と混合されてエマルジョンを形成することができるすべての有機溶媒を用いることができ、例えば、クロロホルム、酢酸エチル、メチレンクロリド、及びメチルエチルケトンからなる群より選択された1種以上であり、好ましくは、メチレンクロリドである。この場合、コーティング物質は2次水相(W/O/Wエマルジョンの外部水相)に含まれ、有機溶媒が除去されて乾燥されれば、エキセンジンおよび生分解性高分子の外部にコーティング層を形成するようになる。
【0097】
また、単一乳化蒸発法を使用する場合、本発明の製造方法は、生分解性高分子及びエキセンジンを有機溶媒に溶解させて、均一混合物を製造する段階と、前記均一混合物にコーティング物質水溶液を添加してエマルジョンを製造し、加温して有機溶媒を除去し硬化させる段階と、前記硬化された微粒球を回収して水洗して凍結乾燥する段階とを含むことができる。前記有機溶媒は、生分解性高分子及びエキセンジンを均一に混合させて、水溶液と混合してエマルジョンを形成することができるすべての有機溶媒を用いることができ、例えば、炭素数1乃至5のアルコール、氷酢酸、ギ酸、ジメチルスルホキシド、及びn-メチルピロリドンからなる群より選択された1種以上の溶媒とクロロホルム、エチルアセテート、メチルエチルケトン、及びメチレンクロリドからなる群より選択された1種以上の溶媒との混合溶媒、より好ましくは、メタノールとメチレンクロリドとの混合溶媒を用いる。この場合、前記生分解性高分子及びエキセンジンの均一混合物を乳化させて、有機溶媒を除去するための水溶液にコーティング物質を添加することによって、最終的に得られる微粒球の表面にコーティング層が形成される。
【0098】
また他の側面において、本発明のエキセンジン含有徐放性微粒球の製造方法は、エキセンジンと生分解性高分子とを混合してエマルジョンまたは均質混合物を生成させる段階と、前記エマルジョンまたは均質混合物を粉末化して、1次微粒球を調製する段階と、前記1次微粒球をコーティング物質水溶液に懸濁させて、コーティング層を形成する段階とを含む。
【0099】
前記粉末化方法には制限がなく、関連技術分野で通常適用される全ての粉末化方法を用いることが可能であり、例えば、相分離法または噴霧乾燥法を適用することができる。
【0100】
より具体的には、前記粉末化に相分離法を使用する場合、本発明の製造方法は、エキセンジン水溶液及び高分子が溶解した有機溶媒を混合してエマルジョンを製造する段階、またはエキセンジン及び高分子を混合溶媒と混合して均一混合液を製造する段階と、ここにシリコーンオイルなどのオイルを加えて1次微粒球を調製する段階と、前記1次微粒球を生分解性高分子の非溶媒、例えば炭素数1乃至5のアルコールと炭素数1乃至12のアルカンとの混合溶媒、好ましくは、エタノールとヘプタンとの混合溶媒を加えて前記微粒球から有機溶媒を除去して硬化させる段階と、微粒球をコーティング物質水溶液に懸濁させてコーティング層を形成する段階と、前記コーティング層が形成された微粒球を回収して、洗浄、凍結乾燥する段階とを含むことができる。
【0101】
前記有機溶媒は、クロロホルム、エチルアセテート、メチレンクロリド、及びメチルエチルケトンからなる群より選択された1種以上のものであり、好ましくは、メチレンクロリドである。また、前記混合溶媒は、炭素数1乃至5のアルコール、氷酢酸、ギ酸、ジメチルスルホキシド、及びn-メチルピロリドンからなる群より選択された1種以上の溶媒と、クロロホルム、エチルアセテート、メチレチルケトン、及びメチレンクロリドからなる群より選択された1種以上とが混合された混合溶媒であり、好ましくは、メタノールとメチレンクロリドとの混合溶媒である。
【0102】
また、噴霧乾燥法を使用する場合、本発明の製造方法は、エキセンジン水溶液及び高分子が溶解された有機溶媒を混合してエマルジョンを製造する段階、またはエキセンジン及び高分子を単一溶媒または混合溶媒と混合して均一な溶液を製造する段階と、前記溶液またはエマルジョンを噴霧乾燥させて1次微粒球を調製する段階と、前記1次微粒球をコーティング物質水溶液に懸濁させてコーティング層を形成する段階と、コーティング微粒球を水洗及び凍結乾燥する段階とを含むことができる。
【0103】
前記有機溶媒は、クロロホルム、エチルアセテート、メチレンクロリド、及びメチルエチルケトンからなる群より選択された1種以上のものであり、好ましくは、メチレンクロリドである。また、前記単一溶媒は、氷酢酸またはギ酸からなる群より選択された1種以上のものであり、前記混合溶媒は、炭素数1乃至5のアルコール、氷酢酸、ギ酸、ジメチルスルホキシド、及びn-メチルピロリドンからなる群より選択された1種以上の溶媒と、クロロホルム、エチルアセテート、メチレチルケトン、及びメチレンクロリドからなる群より選択された1種以上との混合溶媒であり、好ましくは、メタノールとメチレンクロリドとの混合溶媒である。
【0104】
本発明の製造方法は、通常の方法で保護コロイド物質を添加する段階をさらに含むことができ、好ましくは、前記保護コロイド物質は、微粒球にコーティング物質をコーティングする際に添加される。
【0105】
本発明による製造方法に使用された前記水相に溶解されたコーティング物質またはコーティング物質水溶液は、0.01M乃至1Mの濃度で用い、より好ましくは、0.1M乃至0.5Mの濃度で使用することができる。コーティング物質の水溶液の濃度が前記範囲より低い場合には、微粒球の表面にコーティング物質が十分にコーティングされず、前記範囲より高い場合には、コーティング物質が過飽和溶液になって、飽和状態溶液での初期放出の抑制効果よりも改善されないため、本発明の微粒球製造に使用されるコーティング物質の濃度は前記範囲であるのが好ましい。
【0106】
本発明の製造方法において、エキセンジン、生分解性高分子、及びコーティング物質の種類及び含有量は上述の通りである。
【0107】
本発明によるエキセンジン含有組成物は、経口または非経口経路で投与することができ、好ましくは、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与などの非経口経路によって投与する。したがって、好ましい実施形態において、本発明の前記エキセンジン含有組成物は、分散液状態の注射剤として適用される。本発明による組成物の有効投与量は、患者の年齢、病気の種類及び程度、患者の状態などに応じて適切に調節可能であり、一般的には、有効成分量を基準に0.01乃至100μg/kg/日、好ましくは0.1乃至10μg/kg/日とすることができ、前記分量を一度に投与したり、数回に分けて投与したりすることができる。
【0108】
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明する。しかし、これら実施例は、いかなる場合にも本発明の範囲を制限するものと解釈されてはならない。
【実施例】
【0109】
<実施例1>噴霧乾燥法によるエキセンジン-4含有微粒球の調製
生分解性高分子であるRG502H(Lot No.1009848、IV=0.19dL/g)4.850gと、エキセンジン-4(Polypeptide Laboratories, USA)0.150gとを氷酢酸97mLに均一に溶解させた。製造された溶液を、ピストンポンプを利用して、超音波ノズル(Sono-tek、120kHz)が装着された噴霧乾燥機(SODEVA, France)に1.5mL/minの流速で供給し、180℃の乾燥空気を供給して、微粒球を得た。これを各々保護コロイドとして1%(W/V)のポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol, Gohsenol、EG-50)を含む0.5Mのリシン水溶液(製剤1-1)、0.01Mのリシン水溶液(製剤1-2)、0.1Mのヒスチジン水溶液(製剤1-3)、または0.5Mのアルギニン水溶液(製剤1-4)に各々懸濁させて、3時間攪拌した後で回収し、蒸溜水で洗浄して、凍結乾燥させた。比較のために、コーティング物質が含まれていない1%(W/V)のポリビニルアルコール水溶液にも同じ方法で懸濁、攪拌、洗浄、及び凍結乾燥させた(製剤1)。
【0110】
<実施例2>高分子の種類による発明の組成物の効果
生分解性高分子としてRG503H(Lot No.1006370、IV=0.38dL/g、製剤2、2-1、2-2)、RG502H及びRG503Hの同量混合物(Lot No.1009848:Lot No.1006370=1:1、IV=0.29dL/g、製剤3、3-1)、RG504H(Lot No.1016605、IV=0.51dL/g、製剤4、4-1)、5050DL2A(Lot No.LP-207、IV=0.18dL/g、製剤5、5-1)、及び5050DL4A(Lot No.LP-206、IV=0.46dL/g、製剤6、6-1)を各々使用したことを除いては、前記実施例1と同じ方法でエキセンジン-4含有微粒球を製造した。
【0111】
<実験例1-1>微粒球のコーティング効果の試験
前記実施例1及び2で製造された微粒球内のエキセンジンの含有量は、次のような方法で定量した。エキセンジン-4標準品(Polypeptide Laboratories, USA)をDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させた後、各々の濃度が2、5、10μg/mLになるようにDMSOで希釈して標準液とし、蛍光分光計(CaryEclipse, Varian, USA)を利用してEx280nm、Em350nmでの蛍光を測定して、測定線を作成した。製造された微粒球を150μg/mLになるようにDMSOに溶解させて、蛍光を測定した後、測定線に外挿して、微粒球内のエキセンジン含有量を測定した。
【0112】
本発明の組成物に使用されたコーティング物質、特にリシン、アルギニン、ヒスチジンなどが微粒球の表面に存在する量を測定するために、フルオレスカミン定量法を利用した。製造された微粒球をDMSOに150μg/mLになるように溶解させた溶液を0.01%(W/V)のフルオレスカミンアセトン溶液及び0.5Mのホウ酸ナトリウム(pH9.5)溶液と混合して、20分間常温でインキュベーションした後、蛍光分光計(CaryEclipse, Varian, USA)を利用してEx392nm、Em480nmでの蛍光を測定した。同じ方法で、使用されたコーティング物質をDMSOに溶解させて、DMSOで各々の濃度が2、5、10μg/mLになるように希釈して標準液を調製し、蛍光を測定して測定線を作成した後、微粒球の表面のコーティング物質の量を定量した。
【0113】
本発明による微粒球の初期放出の抑制効果を確認するために、コーティング物質のコーティング微粒球及び従来の微粒球の試験管内の放出量を次の通り測定した。各々の微粒球10mgを放出試験液(10mM HEPES、pH7.5、100mM NaCl)1mLに懸濁させて、37℃で5rpmの速度で回転させながらインキュベーションした。1時間目および24時間目に各々の試料を回収して遠心分離し、その上澄液に放出されたエキセンジンの量をEx280nm、Em350nmで蛍光測定して定量した。
【0114】
本実施例で製造された微粒球の含有量及び試験管内の初期放出などを前述の方法によって試験した後、その結果を下記の表1に整理した。表1は、コーティング物質のコーティング及び高分子の種類による初期in vitro放出量の減少効果を示したものである。
【表1】

【0115】
表1から分かるように、噴霧乾燥後に、保護コロイドであるポリビニルアルコール溶液にだけ懸濁した製剤(製剤1、2、3、4、5及び6)に比べて、本発明によってコーティング物質をコーティングした製剤が、初期1時間及び24時間の放出量が減少したことが分かる。このような効果は、高分子の粘度の範囲に関係なく同様に現れる効果であることが分かり、これは、エキセンジン含有徐放性微粒球の投与の際に、投与直後の初期血中濃度の急激な上昇による副作用を防止するのに大変重要である。
【0116】
<実験例1−2>コーティング物質及び高分子の粘度による投与初期血中濃度の減少
エキセンジンの副作用は、初期投与時の急激な血中薬物濃度の増加に伴うものであるので、投与直後の初期薬物放出による血中薬物濃度の上昇を抑制することが最も重要である。本発明の製剤の血中薬物濃度は、投薬後1時間で最高に達した後、減少する傾向を示した。実施例1及び2で製造された製剤の投与後の初期最高血中濃度(Conc. 1h)及び生体利用率などを観察するために、雄のS.D.ラット(350±20g)に投薬した。上述のようにして調製されたエキセンジン含有微粒球を懸濁液(0.5%(W/W)のカルボキシメチルセルロースナトリウム、5%(W/W)のマンニトール、0.1%(W/W)のトゥウィーン80(Tween 80))に懸濁させた後、エーテルを用いた麻酔後に0.6mg(エキセンジン)/kgの容量で皮下注射した。尾静脈を通して、投薬前0時間、投薬後1時間、及び1、2、4、7、14、21、28日目に採血して、4℃で12,000rpmで10分間遠心分離した後、その血清を取って-20℃で保管した。血清中のエキセンジンを酵素免疫検定キット(EK-070-94, Phoenix pharmaceuticals, Inc., USA)を使って定量し、時間血中濃度曲線より曲線下面積(AUC)を求めて、相対的生体利用率を比較した。
【0117】
投与された製剤の血中濃度グラフを図1乃至図3に示し、その結果を表2に整理した。表2は、コーティング及び高分子の粘度による投与初期血中薬物濃度の減少効果及びAUC比較結果を示したものである。
【表2】

【0118】
図1乃至図3及び表2に示されるように、コーティング物質をコーティングしなかった製剤は、コーティングした製剤に比べて、高い初期最高血中濃度を示すことが分かる。また、粘度が低い高分子であるRG502Hで最も大きなAUC値、つまり、最も高い生体利用率を示しており、コーティング物質のコーティングによって、粘度の低い高分子製剤だけでなく、粘度の高い高分子製剤でも、生体利用率の改善効果が一部あることが確認できる。結論として、生体利用率は高分子の粘度によって大きく左右されるが、従来の技術を利用したエキセンジン含有製剤によって低粘度高分子を利用しても解決できなかった初期放出の抑制を本発明のコーティング物質のコーティングを通して解決することができることが分かる。
【0119】
<実施例3>薬物含有量が異なる微粒球の調製
生分解性高分子RG502Hにエキセンジン-4の含有量が各々1%(W/W)(製剤7及び7-1)及び7%(W/W)(製剤8及び8-1)になるように混合して、氷酢酸に溶解させた後、実施例1と同様な方法で噴霧乾燥させて、微粒球を調製した。調製された各々の微粒球を1%のポリビニルアルコール水溶液(製剤7及び8)または1%のポリビニルアルコール、0.5Mのリシン水溶液(製剤7-1及び8-1)に各々3時間懸濁した後で回収し、蒸溜水で洗浄して、凍結乾燥させた。
【0120】
<実験例2>薬物含有量の変化による初期放出の減少効果
前記実施例3で製造された微粒球の初期放出を前記実験例1-1の方法で測定し、下記の表3に整理した。表3は、薬物含有量によるコーティング物質のコーティング効果を整理したものである。
【表3】

【0121】
表3から分かるように、コーティング物質のコーティング層が形成されていない製剤1、7、及び8は、生分解性高分子に封入したエキセンジンの含有量が増加するのに伴って初期放出量も増加するが、本発明による表面にコーティング物質コーティング層が形成された製剤1-1、7-1、及び8-1は、エキセンジンの含有量に関係なく初期放出が著しく減少することが確認できる。
【0122】
<実施例4>二重乳化蒸発法によるエキセンジン-4含有微粒球の調製
970mgのRG502Hを3.23mLのジクロロメタン(Junsei Chem.)に溶解させた溶液に、30mgのエキセンジン-4を0.3mLの蒸溜水に溶解させた溶液を加えて超音波処理した後、1次W/O乳化液を調製した。上述のようにして得られた1次エマルジョンを0.5%(W/V)のポリビニルアルコール水溶液270mLに5000rpmで攪拌しながら注入して、W/O/Wエマルジョンを調製した。これを、40℃、4000rpmで1時間懸濁しながらジクロロメタンを除去し、高分子を硬化させて、遠心分離して、微粒球を回収した。これを蒸溜水で2回洗浄した後、凍結乾燥させて、微粒球を調製した。同じ方法で製剤を調製する際に、1次エマルジョンを注入するための懸濁液を各々1%のPVA(製剤9)、0.5Mのlys水溶液+1%のPVA(製剤9-1)、0.5MのTris水溶液+1%のPVA(製剤9-2)、0.5Mの尿素水溶液+1%のPVA(製剤9-3)、0.05Mのクレアチニン水溶液+1%のPVA(製剤9-4)、0.5Mのクレアチン水溶液+1%のPVA(製剤9-5)にして1時間懸濁した後で回収し、蒸溜水で洗浄して、凍結乾燥させた。
【0123】
このように得られた微粒球の電子顕微鏡写真を図4a及び図4bに示した。図4aは、コーティング物質が含まれていない製剤9を示し、図4bは、コーティング物質コーティング層が形成された製剤9-1を示す。図4bで確認できるように、本発明による製剤は、滑らかな表面を有することが分かる。
【0124】
<実験例3>コーティング物質の種類による初期放出の減少効果
前記実施例4で得られた微粒球を前記実験例1-1によって試験し、初期24時間の薬物放出量を観察して、その結果を下記の表4に整理した。表4は、コーティング物質による初期放出量の減少効果を整理したものである。
【表4】

【0125】
表4に示されたように、コーティング物質の種類によって初期放出の減少量に多少の差はあったが、本発明によるコーティング物質コーティング層を含む微粒球製剤9-1乃至9-5は、コーティング物質がコーティングされていない製剤9に比べて、初期放出を著しく減少させていることが確認できた。
【0126】
<比較例>エキセンジン-4及びコーティング物質封入微粒球の調製及び初期放出の観察
970mgのRG502Hを3.23mLのジクロロメタン(Junsei chem.)に溶解させた溶液に、30mgのエキセンジン-4、6.68mgのリシンを0.3mLに溶解させた水溶液を加えて、1次W/Oエマルジョンを製造した後、1%のPVA水溶液に懸濁して、実施例4と同様な方法で微粒球(製剤10)を製造した。また、970mgのRG502H、6.68mgのリシンを3.23mLのジクロロメタンに溶解させた溶液に、30mgのエキセンジン-4を0.3mLに溶解させた水溶液を加えて、1次W/Oエマルジョンを製造した後、1%のPVA水溶液に懸濁して、実施例4と同様な方法で微粒球(製剤11)を調製した。
【0127】
このように得られた製剤10及び11の電子顕微鏡写真を図4c及び図4dに示した。図4c及び図4dから分かるように、本比較例によって調製された微粒球は、表面に多くの細孔が形成されていることが確認できる。
【0128】
本比較例で製造された微粒球の初期1時間、24時間の間の放出量を前記実験例1-1と同様な方法で測定して、その結果を下記の表5に整理した。表5は、微粒球の調製の際のコーティング物質の添加方法による初期放出の変化を整理したものである。
【表5】

【0129】
表5に示されたように、コーティング物質をコーティングせずにコーティング物質を薬物と共に封入させたり、高分子と混合したりして用いる場合、過度な量の初期放出が起こることが分かる。これは、エキセンジンの徐放性剤形には適用できない致命的欠陥である。
【0130】
これは、図4c及び図4dに示されているように、1次エマルジョンの油相あるいは水相のどちらでも、コーティング物質を添加すれば、微粒球の表面の多孔性が増加するということが確認できる。結局、コーティング物質を微粒球の内部に添加すると、表面の多孔性を増加させて、薬物の過度な量の初期放出を起こすようになる。これに反して、本発明の構成によるコーティング物質コーティング微粒球は、表面の多孔性の増加がなく、表面が滑らかであると同時に、コーティング物質をコーティングしていない製剤9よりも少ない初期放出を示す。
【0131】
結局、前記韓国特許第140209号(特許文献3)などの従来の技術の方法では、エキセンジン含有製剤の製造時に、初期放出を所望するだけ減少させることはできず、特に、初期放出量によって副作用が発生するエキセンジン製剤には適用することができない。これに反して、本発明の組成物は、初期放出を極度に制限すべきエキセンジン徐放性微粒球の開発に非常に有用であることが分かる。また、本発明は、エキセンジン含有製剤の製造の際に、従来の初期放出を制御しようとした技術では達成できなかった高い生体利用率も共に達成することができるという利点がある。
【0132】
<実施例5>噴霧乾燥法によるエキセンジン-3含有微粒球の調製
生分解性高分子であるRG502H(Lot No.1009848、IV=0.19dL/g)4.850gと、エキセンジン-3(Peptron Inc., South Korea)0.150gとを氷酢酸97mLに均一に溶解させた。得られた溶液を、ピストンポンプを利用して、超音波ノズル(Sono-tek、120kHz)が装着された噴霧乾燥機(SODEVA, France)に1.5mL/minの流速で供給し、180℃の乾燥空気を供給して、微粒球を得た。これを各々保護コロイドとして1%(W/V)のポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol, Gohsenol、EG-50)を含む0.5Mのリシン水溶液に懸濁し、3時間攪拌した後で回収し、蒸溜水で洗浄して、凍結乾燥させた。
【0133】
<実施例6>噴霧乾燥法によるエキセンジン-4(1-28)アミド含有微粒球の調製
生分解性高分子であるRG502H(Lot No.1009848、IV=0.19dL/g)4.850gと、エキセンジン-4(1-28)アミド(Peptron Inc., South Korea)0.150gとを氷酢酸97mLに均一に溶解させた。調製された溶液を、ピストンポンプを利用して、超音波ノズル(Sono-tek、120kHz)が装着された噴霧乾燥機(SODEVA, France)に1.5mL/minの流速で供給し、180℃の乾燥空気を供給して、微粒球を得た。これを各々保護コロイドとして1%(W/V)のポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol, Gohsenol、EG-50)を含む0.5MのL-Lys-L-Thr-L-Thr-L-Lys-L-Ser水溶液に懸濁し、3時間攪拌して回収し、蒸溜水で洗浄して、D-マンニトール10%(W/W)の水溶液10mLに懸濁して、凍結乾燥させた。
【0134】
<実施例7>相分離法を利用したエキセンジン-4含有微粒球の調製
0.1gのエキセンジン-4(Polypeptide Laboratories, USA)を1.86mLの蒸溜水に溶解させた後、RG502H(Lot No.1009848、IV=0.19dL/g)1.86gを23.32mLのジクロロメタンに溶解させた溶液に徐々に注入して超音波処理して、1次エマルジョンを製造した。これに直ちに58.8gのシリコーンオイルを徐々に注入して均質化して、初期微粒球を形成した。形成された初期微粒球に、3℃を維持しながら、400gのヘプタン及び50gのエタノールの混合液を500rpmで攪拌しながら徐々に加えて、初期微粒球を硬化させた。約1時間攪拌した後、傾斜濾過により溶媒を除去した。その後、200gのヘプタンをさらに加えて1時間追加攪拌することによって、初期微粒球からシリコーンオイルとジクロロメタンを除去した。形成された微粒球を濾過して回収し、4℃のヘプタンで洗浄した後、減圧乾燥させて、微粒球を調製した。これを再び0.5%(W/V)のポリビニルアルコール、0.5Mのリシン水溶液に1時間懸濁した後、濾過及び回収し、蒸溜水で洗浄して、凍結乾燥させて、製剤を調製した。
【0135】
上述の実施例に示したように、本発明は、エキセンジンを含む徐放性微粒球の表面をコーティング物質でコーティングすることによって、投与時の過度な初期薬物放出を減少させて、副作用を防止し、生体利用率を改善した新たな微粒球製剤を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効性分としてのエキセンジン、固有粘度が0.15乃至0.31dL/gである生分解性高分子、及びコーティング物質を含み、
前記生分解性高分子が、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド‐コ‐グリコリド)(PLGA)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、及びポリアルキルカーボネートからなる群より選択された高分子、前記高分子から選択された2種以上の高分子からなる共重合体または単純混合物、前記高分子とポリエチレングリコール(PEG)との共重合体、及び前記高分子または前記共重合体と糖とが結合した高分子糖複合体からなる群より選択されたものであり、
前記コーティング物質が、塩基性アミノ酸、ポリペプチド、及び有機窒素化合物からなる群より選択された1種以上のものであって、前記塩基性アミノ酸が、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群より選択された1種以上のものであり、前記ポリペプチドが、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群より選択された1種以上の塩基性アミノ酸を含み、アミノ酸全体の個数のうち、酸性アミノ酸の数に比べて塩基性アミノ酸の数が多いアミノ酸2乃至10個のポリペプチドであり、前記有機窒素化合物が、クレアチン、クレアチニン、及び尿素からなる群より選択された1種以上のものである、徐放性製剤組成物。
【請求項2】
前記エキセンジンの含有量が、組成物100質量部に対して0.1乃至10質量部である、請求項1に記載の徐放性製剤組成物。
【請求項3】
前記コーティング物質の含有量が、組成物100質量部に対して0.01乃至5質量部である、請求項1に記載の徐放性製剤組成物。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、L-Ala-L-His-L-Lys、L-Arg-L-Phe、Gly-L-His、Gly-L-His-Gly、Gly-L-His-L-Lys、L-His-Gly、L-His-Leu、L-Lys-L-Tyr-L-Lys、L-His-L-Val、L-Lys-L-Lys、L-Lys-L-Lys-L-Lys、及びL-Lys-L-Thr-L-Thr-L-Lys-L-Serからなる群より選択された1種以上のものである、請求項1に記載の徐放性製剤組成物。
【請求項5】
前記エキセンジンが、エキセンジン-3(配列番号1)、エキセンジン-4(配列番号2)、下記の化学式IまたはIIで定義される化合物、C末端がアミド基で置換されるかまたは置換されないエキセンジン誘導体、及びこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上のものである、請求項1に記載の徐放性製剤組成物。
[化学式I]
Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Xaa5 Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Ala Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 - Z1,
前記式Iにおいて、
Xaa1は、His、Arg、Tyr、Ala、Norval、Val、Norleu、または4-イミダゾプロピオニルであり;
Xaa2は、Ser、Gly、Ala、またはThrであり;
Xaa3は、Ala、Asp、またはGluであり;
Xaa4は、Ala、Norval、Val、Norleu、またはGlyであり;
Xaa5は、AlaまたはThrであり;
Xaa6は、Ala、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa7は、ThrまたはSerであり;
Xaa8は、Ala、Ser、またはThrであり;
Xaa9は、Ala、Norval、Val、Norleu、Asp、またはGluであり;
Xaa10は、Ala、Leu、Ile、Val、ペンチルグリシン、またはMetであり;
Xaa11は、AlaまたはSerであり;
Xaa12は、AlaまたはLysであり;
Xaa13は、AlaまたはGlnであり;
Xaa14は、Ala、Leu、Ile,ペンチルグリシン、Val、またはMetであり;
Xaa15は、AlaまたはGluであり;
Xaa16は、AlaまたはGluであり;
Xaa17は、AlaまたはGluであり;
Xaa19は、AlaまたはValであり;
Xaa20は、AlaまたはArgであり;
Xaa21は、Ala、Leu、またはLys-NHε-Rであり(ここで、Rは、Lys、Arg、またはC1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイルである);
Xaa22は、Ala、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa23は、Ile,Val、Leu、ペンチルグリシン、3級-ブチルグリシン、またはMetであり;
Xaa24は、Ala、Glu、またはAspであり;
Xaa25は、Ala、Trp、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa26は、AlaまたはLeuであり;
Xaa27は、AlaまたはLysであり;
Xaa28は、AlaまたはAsnであり;
Z1は、-OH、-NH、Gly-Z2、Gly Gly-Z2、Gly Gly Xaa31-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38-Z2、またはGly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38 Xaa39-Z2であり(ここで、Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38は、各々独立的にPro、ホモプロリン、3Hyp、4Hyp、チオプロリン、N-アルキルグリシン、N-アルキルペンチルグリシン、またはN-アルキルアラニンであり、Xaa39は、SerまたはTyrであり、Z2は、-OHまたは-NHである)、
但し、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6、Xaa8、Xaa9、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa15、Xaa16、Xaa17、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、及びXaa28のうちの3個以下のみがAlaであり、Xaa1がHis、Arg、またはTyrである場合には、Xaa3、Xaa4、及びXaa9のうちの1つ以上がAlaである。
[化学式II]
Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Xaa5 Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Ala Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 X1- Z1,
前記式IIにおいて、
Xaa1は、His、Arg、Tyr、Ala、Norval、Val、Norleu、または4-イミダゾプロピオニルであり;
Xaa2は、Ser、Gly、Ala、またはThrであり;
Xaa3は、Ala、Asp、またはGluであり;
Xaa4は、Ala、Norval、Val、Norleu、またはGlyであり;
Xaa5は、AlaまたはThrであり;
Xaa6は、Ala、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa7は、ThrまたはSerであり;
Xaa8は、Ala、Ser、またはThrであり;
Xaa9は、Ala、Norval、Val、Norleu、Asp、またはGluであり;
Xaa10は、Ala、Leu、Ile,Val、ペンチルグリシン、またはMetであり;
Xaa11は、AlaまたはSerであり;
Xaa12は、AlaまたはLysであり;
Xaa13は、AlaまたはGlnであり;
Xaa14は、Ala、Leu、Ile、ペンチルグリシン、Val、またはMetであり;
Xaa15は、AlaまたはGluであり;
Xaa16は、AlaまたはGluであり;
Xaa17は、AlaまたはGluであり;
Xaa19は、AlaまたはValであり;
Xaa20は、AlaまたはArgであり;
Xaa21は、Ala、Leu、またはLys-NHε-Rであり(ここで、Rは、Lys、Arg、C1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイル、またはシクロアレイル-アルカノイルである);
Xaa22は、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa23は、Ile、Val、Leu、ペンチルグリシン、3級-ブチルグリシン、またはMetであり;
Xaa24は、Ala、Glu、またはAspであり;
Xaa25は、Ala、Trp、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa26は、AlaまたはLeuであり;
X1は、Lys Asn、Asn Lys、Lys-NHε-R Asn、Asn Lys-NHε-R、Lys-NHε-R Ala、またはAla Lys-NHε-Rであり(ここで、Rは、Lys、Arg、C1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイル、またはシクロアルキルアルカノイルである);
Z1は、-OH、-NH、Gly-Z2、Gly Gly-Z2、Gly Gly Xaa31-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38-Z2、またはGly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38 Xaa39-Z2であり(ここで、Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38は、各々独立的にPro、ホモプロリン、3Hyp、4Hyp、チオプロリン、N-アルキルグリシン、N-アルキルペンチルグリシン、またはN-アルキルアラニンであり、Xaa39は、SerまたはTyrであり、Z2は、-OHまたは-NHである)、
但し、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6、Xaa8、Xaa9、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa15、Xaa16、Xaa17、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa24、Xaa25、及びXaa26のうちの3個以下のみがAlaであり、Xaa1が、His、Arg、Tyr、または4-イミダゾプロピオニルである場合には、Xaa3、Xaa4、及びXaa9のうちの1つ以上がAlaである。
【請求項6】
前記エキセンジン誘導体が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または前記ポリペプチドのCの末端がアミド基で置換されたものである、請求項5に記載の徐放性製剤組成物。
【請求項7】
有効性分としてのエキセンジンと生分解性高分子とを含むコア、及び前記コアをコーティングするコーティング層を含み、
前記生分解性高分子が、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド‐コ‐グリコリド)(PLGA)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、及びポリアルキルカーボネートからなる群より選択された高分子、前記高分子から選択された2種以上の高分子からなる共重合体または単純混合物、前記高分子とポリエチレングリコール(PEG)との共重合体、及び前記高分子または共重合体と糖とが結合した高分子糖複合体からなる群より選択されたものであり、
前記コーティング層が、塩基性アミノ酸、ポリペプチド、及び有機窒素化合物からなる群より選択された1種以上のコーティング物質から形成されたものであって、前記塩基性アミノ酸が、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群より選択された1種以上のものであり、前記ポリペプチドが、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群より選択された1種以上の塩基性アミノ酸を含み、アミノ酸全体の個数のうち、酸性アミノ酸の数に比べて塩基性アミノ酸の数が多いアミノ酸2乃至10個のポリペプチドであり、前記有機窒素化合物が、クレアチン、クレアチニン、及び尿素からなる群より選択された1種以上のものである、コーティング層を含む徐放性微粒球。
【請求項8】
前記生分解性高分子は、固有粘度が0.1乃至0.6dL/gである、請求項7に記載の徐放性微粒球。
【請求項9】
前記生分解性高分子は、固有粘度が0.15乃至0.31dL/gである、請求項7に記載の徐放性微粒球。
【請求項10】
前記エキセンジンの含有量が、微粒球100質量部に対して0.1乃至10質量部である、請求項7に記載の徐放性微粒球。
【請求項11】
前記コーティング層の含有量が、微粒球100質量部に対して0.01乃至5質量部である、請求項7に記載の徐放性微粒球。
【請求項12】
前記ポリペプチドが、L-Ala-L-His-L-Lys、L-Arg-L-Phe、Gly-L-His、Gly-L-His-Gly、Gly-L-His-L-Lys、L-His-Gly、L-His-Leu、L-Lys-L-Tyr-L-Lys、L-His-L-Val、L-Lys-L-Lys、L-Lys-L-Lys-L-Lys、及びL-Lys-L-Thr-L-Thr-L-Lys-L-Serからなる群より選択された1種以上のものである、請求項7に記載の徐放性微粒球。
【請求項13】
前記エキセンジンが、エキセンジン-3(配列番号1)、エキセンジン-4(配列番号2)、下記の化学式IまたはIIで定義される化合物、C末端がアミド基で置換されるかまたは置換されないエキセンジン誘導体、及びこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上のものである、請求項7に記載の徐放性微粒球。
[化学式I]
Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Xaa5 Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Ala Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 -Z1,
前記式Iにおいて、
Xaa1は、His、Arg、Tyr、Ala、Norval、Val、Norleu、または4-イミダゾプロピオニルであり;
Xaa2は、Ser、Gly、Ala、またはThrであり;
Xaa3は、Ala、Asp、またはGluであり;
Xaa4は、Ala、Norval、Val、Norleu、またはGlyであり;
Xaa5は、AlaまたはThrであり;
Xaa6は、Ala、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa7は、ThrまたはSerであり;
Xaa8は、Ala、Ser、またはThrであり;
Xaa9は、Ala、Norval、Val、Norleu、Asp、またはGluであり;
Xaa10は、Ala、Leu、Ile、Val、ペンチルグリシン、またはMetであり;
Xaa11は、AlaまたはSerであり;
Xaa12は、AlaまたはLysであり;
Xaa13は、AlaまたはGlnであり;
Xaa14は、Ala、Leu、Ile、ペンチルグリシン、Val、またはMetであり;
Xaa15は、AlaまたはGluであり;
Xaa16は、AlaまたはGluであり;
Xaa17は、AlaまたはGluであり;
Xaa19は、AlaまたはValであり;
Xaa20は、AlaまたはArgであり;
Xaa21は、Ala、Leu、またはLys-NHε-Rであり(ここで、Rは、Lys、Arg、またはC1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイルである);
Xaa22は、Ala、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa23は、Ile、Val、Leu、ペンチルグリシン、3級-ブチルグリシン、またはMetであり;
Xaa24は、Ala、Glu、またはAspであり;
Xaa25は、Ala、Trp、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa26は、AlaまたはLeuであり;
Xaa27は、AlaまたはLysであり;
Xaa28は、AlaまたはAsnであり;
Z1は、-OH、-NH、Gly-Z2、Gly Gly-Z2、Gly Gly Xaa31-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38-Z2、またはGly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38 Xaa39-Z2であり(ここで、Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38は、各々独立的にPro、ホモプロリン、3Hyp、4Hyp、チオプロリン、N-アルキルグリシン、N-アルキルペンチルグリシン、またはN-アルキルアラニンであり、Xaa39は、SerまたはTyrであり、Z2は、-OHまたは-NHである)、
但し、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6、Xaa8、Xaa9、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa15、Xaa16、Xaa17、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、及びXaa28のうちの3個以下のみがAlaであり、Xaa1がHis、Arg、またはTyrである場合には、Xaa3、Xaa4、及びXaa9のうちの1つ以上がAlaである。
[化学式II]
Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Xaa5 Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Ala Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 X1-Z1,
前記式IIにおいて、
Xaa1は、His、Arg、Tyr、Ala、Norval、Val、Norleu、または4-イミダゾプロピオニルであり;
Xaa2は、Ser、Gly、Ala、またはThrであり;
Xaa3は、Ala、Asp、またはGluであり;
Xaa4は、Ala、Norval、Val、Norleu、またはGlyであり;
Xaa5は、AlaまたはThrであり;
Xaa6は、Ala、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa7は、ThrまたはSerであり;
Xaa8は、Ala、Ser、またはThrであり;
Xaa9は、Ala、Norval、Val、Norleu、Asp、またはGluであり;
Xaa10は、Ala、Leu、Ile、Val、ペンチルグリシン、またはMetであり;
Xaa11は、AlaまたはSerであり;
Xaa12は、AlaまたはLysであり;
Xaa13は、AlaまたはGlnであり;
Xaa14は、Ala、Leu、Ile、ペンチルグリシン、Val、またはMetであり;
Xaa15は、AlaまたはGluであり;
Xaa16は、AlaまたはGluであり;
Xaa17は、AlaまたはGluであり;
Xaa19は、AlaまたはValであり;
Xaa20は、AlaまたはArgであり;
Xaa21は、Ala、Leu、またはLys-NHε-Rであり(ここで、Rは、Lys、Arg、C1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイル、またはシクロアレイル-アルカノイルである);
Xaa22は、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa23は、Ile、Val、Leu、ペンチルグリシン、3級-ブチルグリシン、またはMetであり;
Xaa24は、Ala、Glu、またはAspであり;
Xaa25は、Ala、Trp、Phe、Tyr、またはナフチルアラニンであり;
Xaa26は、AlaまたはLeuであり;
X1は、Lys Asn、Asn Lys、Lys-NHε-R Asn、Asn Lys-NHε-R、Lys-NHε-R Ala、Ala Lys-NHε-Rであり(ここで、Rは、Lys、Arg、C1-C10直鎖もしくは分枝鎖アルカノイル、またはシクロアルキルアルカノイルである);
Z1は、-OH、-NH、Gly-Z2、Gly Gly-Z2、Gly Gly Xaa31-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37-Z2、Gly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38-Z2、またはGly Gly Xaa31 Ser Ser Gly Ala Xaa36 Xaa37 Xaa38 Xaa39-Z2であり(ここで、Xaa31、Xaa36、Xaa37、及びXaa38は、各々独立的にPro、ホモプロリン、3Hyp、4Hyp、チオプロリン、N-アルキルグリシン、N-アルキルペンチルグリシン、またはN-アルキルアラニンであり、Xaa39は、SerまたはTyrであり、Z2は、-OHまたは-NHである)、
但し、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa6、Xaa8、Xaa9、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa15、Xaa16、Xaa17、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa24、Xaa25、及びXaa26のうちの3個以下のみがAlaであり;Xaa1が、His、Arg、Tyr、または4-イミダゾプロピオニルである場合には、Xaa3、Xaa4、及びXaa9のうちの1つ以上がAlaである。
【請求項14】
前記エキセンジン誘導体が、配列番号3、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または前記ポリペプチドのCの末端がアミド基で置換されたものである、請求項13に記載の徐放性微粒球。
【請求項15】
薬学的に許容可能な保護コロイド及び賦形剤からなる群より選択された1種以上をさらに含む、請求項7乃至14のうちのいずれか1項に記載の徐放性微粒球。
【請求項16】
エキセンジンと生分解性高分子とを混合してW/O型エマルジョンまたは均質混合物を生成する段階と、
前記エマルジョンまたは均質混合物をコーティング物質水溶液に添加することにより乳化させて、コーティング層を形成する段階
とを含み、
前記生分解性高分子が、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド‐コ‐グリコリド)(PLGA)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、及びポリアルキルカーボネートからなる群より選択された高分子、前記高分子から選択された2種以上の高分子からなる共重合体または単純混合物、前記高分子とポリエチレングリコール(PEG)との共重合体、及び前記高分子または共重合体と糖とが結合した高分子糖複合体からなる群より選択されたものであり、
前記コーティング物質が、塩基性アミノ酸、ポリペプチド、及び有機窒素化合物からなる群より選択された1種以上のものであって、前記塩基性アミノ酸が、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群より選択された1種以上のものであり、前記ポリペプチドが、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群より選択された1種以上の塩基性アミノ酸を含み、アミノ酸全体の個数のうち、酸性アミノ酸の数に比べて塩基性アミノ酸の数が多いアミノ酸2乃至10個のポリペプチドであり、前記有機窒素化合物が、クレアチン、クレアチニン、及び尿素からなる群より選択された1種以上のものである、
コーティング層を含むエキセンジン含有徐放性微粒球の製造方法。
【請求項17】
コーティング物質水溶液は、濃度が0.01M乃至1Mである、請求項16に記載のエキセンジン含有徐放性微粒球の製造方法。
【請求項18】
エキセンジンと生分解性高分子とを混合してエマルジョンまたは均一混合物を生成する段階と、
前記エマルジョンまたは均一混合物を粉末化して、1次微粒球を調製する段階と、
前記1次微粒球をコーティング物質水溶液に懸濁させて、コーティング層を形成する段階
とを含み、
前記生分解性高分子が、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド‐コ‐グリコリド)(PLGA)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、及びポリアルキルカーボネートからなる群より選択された高分子、前記高分子から選択された2種以上の高分子からなる共重合体または単純混合物、前記高分子とポリエチレングリコール(PEG)との共重合体、及び前記高分子または共重合体と糖とが結合した高分子糖複合体からなる群より選択されたものであり、
前記コーティング物質が、塩基性アミノ酸、ポリペプチド、及び有機窒素化合物からなる群より選択された1種以上のものであって、前記塩基性アミノ酸が、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群より選択された1種以上のものであり、前記ポリペプチドが、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群より選択された1種以上の塩基性アミノ酸を含み、アミノ酸全体の個数のうち、酸性アミノ酸の数に比べて塩基性アミノ酸の数が多いアミノ酸2乃至10個のポリペプチドであり、前記有機窒素化合物が、クレアチン、クレアチニン、及び尿素からなる群より選択された1種以上のものである、
コーティング層を含むエキセンジン含有徐放性微粒球の製造方法。
【請求項19】
前記粉末化が、相分離法または噴霧乾燥法によって行われる、請求項18に記載のエキセンジン含有徐放性微粒球の製造方法。
【請求項20】
コーティング物質水溶液は、濃度が0.01M乃至1Mである、請求項18に記載のエキセンジン含有徐放性微粒球の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【公表番号】特表2010−522743(P2010−522743A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500816(P2010−500816)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000397
【国際公開番号】WO2008/117927
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(505404220)ペプトロン カンパニー リミテッド (6)
【Fターム(参考)】