説明

エチレン及び/又はプロピレン及びビニルエステルのコポリマーから出発してグラフト化により得られる液体炭化水素用の二機能性添加剤

【課題】液体自動車燃料の耐寒性と潤滑性の両者を改良する二機能性添加剤として有利に使用できるコポリマーを提供する。
【構成】a)式A−(CH2-CH2)n1-のエチレン及び/又は式A´- ((CH3)CH2-CH2)n2 のプロピレンから誘導されるユニット、
b)式B: - (CH2-CHOOCR1)m-x-のユニット、
c)式C: - (CH2-CHOH)x1 -のユニット、
d)式D:- (CH2-CHOOCR2)x2- のユニット、
を含んで成る、コポリマーを使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に石油及び原油の蒸留で得られる中間留分、特に低硫黄含有量の該中間留分である液体炭化水素の耐寒性及び潤滑性を改良するために効果的な、グラフト化により修飾されたエチレン及び/又はプロピレン及びビニルエステルに基づく新規なコポリマーの合成と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
長い間、石油工業では、低温における自動車燃料の濾過性を改良する添加剤を開発している。該添加剤は、CFPP(目詰まり点)添加剤と呼ばれるエチレン及び酢酸ビニル及び/又はプロピオン酸ビニルのコポリマー(EVA又はEVP)である。該添加剤の役割は、結晶性を修正すること、より具体的には、内燃機関エンジン又は加熱機器の内部に配置されたフィルタを通過するという観点で、例えば5℃未満の低温で形成されるパラフィン結晶のサイズを限定することである。当業者に広く知られている添加剤のタイプは、標準タイプの中間留分、特にディーゼルエンジン又は加熱用燃料として使用される中間留分にしばしば添加される。これらの添加剤は、特に超寒冷仕様に合うように、ガソリンスタンドで販売される自動車燃料に添加できる。
【0003】
CFPPに関する役割を有する、エチレン、酢酸ビニル及びネオデカン酸ビニルのような分枝ビニルエスエルのコポリマーなどの他のタイプの添加剤が特許文献1に記載されている。
【0004】
留分の耐寒性、つまりCFPP及び流動点を改良するために、単独又は前記添加剤との組み合わせで前記留分の流動点に作用する添加剤を前記CFPP(EVA又はEVP)添加剤に添加できる。先行文献には、標準タイプの炭化水素留分の冷間濾過閉塞点及び流動点の両者を低温で改良できる添加剤の組み合わせが豊富に記載されている。
【0005】
特許文献2は、1000から3000の分子量の酢酸ビニルユニット10から30重量%を含むエチレンのコポリマー90から10重量%と、760から100000まで変化する分子量を有するポリアクリル酸ラウリル及び/又はポリメタクリル酸ラウリル10から90重量%から構成される添加剤を含む177から400℃の蒸留中間留分を記載している。スタンダードNF60105に従って決定される流動温度にダメージを与えることなく、前記ポリアクリル酸ラウリルが、スタンダードNF EN116に従って決定される濾過温度を改善できることは注目すべきである。
【0006】
特許文献3の発明者らは、パイプで原油や重油蒸留分を輸送する際に、特にこれらの成分がパイプ中で固形化する低温で、注入特性を改良しなければならないという問題に遭遇した。350℃超の沸点と35℃超の軟化点を有する5から20重量%のパラフィンを含む炭化水素組成物のこれらの性質を改良するために、発明者らは、これらの組成物に、炭素原子3から5のカルボン酸の炭素原子14から30のアルコールのオレフィンエステルのポリマーで1000から1000000の間で変化する分子量を有する該ポリマーと、平均分子量が20000から60000である、1から40、好ましくは14から24の酢酸ビニルユニットを含むエチレンと酢酸ビニルのコポリマーの混合物を10ppmから2重量%を加えることを提案している。前記オレフィンエステルポリマーのエチレン−酢酸ビニルコポリマーに対するモル比は、0.1:1から10:1まで変化する。
【0007】
120℃から480℃の沸点を有する中間留分中に少なくとも3%のレベルで存在するパラフィン結晶のサイズを制御するために、特許文献4は、これらの中間留分に、アルキル鎖が炭素原子数14から16でありかつ1000から200000の間で変化する分子量を有するアクリル酸又はメタクリル酸のオレフィンエステルのホモポリマーと、数平均分子量が4000未満であるエチレンと酢酸ビニルのコポリマーの混合物10ppmから1重量%を添加することを提案している。前記オレフィンエステルホモポリマーのエチレン−酢酸ビニルコポリマーに対するモル比は、0.1:1から20:1まで変化する。
【0008】
耐寒性に加えて、特にディーゼル燃料、航空燃料及び自動車燃料又は家庭用燃料オイル(DFO)などの液体炭化水素は、これらの製品が接触する、ポンプや注入システム及び/又は全ての可動部品、例えば内燃エンジンの保護のため、潤滑能力を有する必要がある。汚染が限りなく少ない限りなく純粋な製品を使用するという要請から、石油精製工業は、硫黄含有量を可能な限り低減させた自動車燃料や燃料オイルを提供するようになる。2005年1月1日から、欧州連合内での自動車燃料で許容された硫黄レベルは、50ppmに制限され、2009年1月1日からは10ppmとしなければならない。現在では硫黄化合物を除去するに従って、これら自動車燃料の潤滑性が失われつつあることが観察されている。硫黄含有製品があるレベル未満であると、磨耗現象が相当現れ、ポンプ及び/又は注入システムの可動部品の損傷が観察される。
【0009】
従って最も汚染を少なくしながら、可能であれば磨耗の危険を限定するために十分な潤滑性を有する非汚染性化合物を使用して、硫黄含有化合物の潤滑効果を補償する必要がある。
【0010】
この問題を解決するために、幾つかのタイプの添加剤が既に提案されている。そして特許文献5〜9に記載されているような、不飽和脂肪酸エステル及び脂肪酸ダイマー、脂肪族アミン、脂肪酸及びジエタノールアミンエステル及び長鎖脂肪族モノカルボン酸を含む潤滑剤の分野で証明されている、主要な耐摩耗性添加剤が軽油に添加される。これらの添加剤の多くは十分な潤滑性を有するが、過剰に高い濃度では、経済的にも非常に有害である。更にトリマー酸を含むもののようなダイマー酸を含む添加剤は、自動車燃料を供給する自動車では使用できず、この自動車では、燃料は潤滑油と接触し、前記酸の化学反応はオイルに不溶であることがある沈殿を生成する。より重要なことは、これらの沈殿が一般的に使用される洗剤と両立しないことである。
【0011】
特許文献10は、それらの組成中にアルコールを含む自動車燃料中のモノ及びポリカルボン酸エステル及び多価アルコールから得られる耐磨耗性添加剤の使用を薦めている。
【0012】
特許文献11は、60ppmまでのトールオイルをディーゼルオイルに導入して、自動車燃料と接触する金属表面での錆びの形成を防止することを薦めている。
【0013】
他の選択枝は、野菜オイルエステルや野菜オイル自体を前記自動車燃料中に導入し、それらの潤滑性や減摩性能を改良することである。これらは、菜種、亜麻、大豆、ひまわり油又はオイル自身から誘導されるエステルを含む(特許文献12及び13参照)。これらのエステルの主要な欠点は、自動車燃料中で、0.5重量%未満の濃度では、潤滑性が低くなることである。
【0014】
軽油の潤滑性を改良するために、特許文献14は、R13が、直鎖、分枝又は脂環及び芳香族である12から24の炭素原子を含み、窒素含有基はCO又はCO2と結合してアミン又はアミドのカルボン酸塩をできるものである1又は2以上のN−R13基を含む窒素含有添加剤により構成される耐寒性添加剤の導入を薦めている。
【0015】
特許文献15は、耐摩耗性添加剤として、トールオイル酸(つまりトールオイル脂肪酸の略であるTOFA)の使用を記載している。
【0016】
特許文献16は、低硫黄含有量のディーゼルオイルの潤滑性を改良するための耐磨耗添加剤を記載し、該添加剤は、少なくとも1種の飽和又は不飽和C12−C24の1個のカルボン酸基を有する脂肪族炭化水素、及び樹脂酸及びそれらの誘導体(アミンカルボキシレート、エステル及びニトリル)から成る群から選択される少なくとも1種の多環式炭化水素化合物から成る。これらの耐摩耗性添加剤は、洗剤、プロセタン添加剤、乳化破壊剤、耐食添加剤、耐寒性を改良する添加剤、臭気改良剤のような他の添加剤の存在下で、液体炭化水素中で使用できる。
【0017】
特許文献17は、(a)エチレン−2種の異なった不飽和エステルのターポリマー及び/又は、
(b)最長のエステルアルキル鎖がC6からC13アルキル鎖である2種の異なったコポリマー[エチレン−1不飽和エステル又はアクリル酸塩]
を含んで成る燃料オイルの低温特性を改良する組成物を記載している。
【0018】
特許文献18は、自動車燃料の耐寒性と潤滑性を改良する多機能添加剤を記載している。これらの添加剤は、(A)油溶性の両親媒性化合物5〜95%及び(B)エチレン−C2〜C4ビニルエステル−C8〜C15ネオカルボン酸ビニルエステル(つまり3級炭素を含む)5〜95%の異なった2種の化合物を含む。潤滑性は両親媒性化合物により与えられる。
【0019】
特許文献19は、自動車燃料の低温流動性を改良する、エチレン−酢酸ビニル−C9又はC10ネオアルカノエートビニルエステルのターポリマーを記載している。
【0020】
液体炭化水素を主とする自動車燃料、特に低硫黄含有量の又は硫黄を含まない自動車燃料の耐寒性(濾過可能温度及び流動点)だけでなく、潤滑性を改良することが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許公開第2004 /0226216号
【特許文献2】米国特許明細書第3,275,427号
【特許文献3】米国特許明細書第3,726,653号
【特許文献4】米国特許明細書第4,153,422号
【特許文献5】米国特許明細書第2,257,889号.
【特許文献6】米国特許明細書第4,185,594号.
【特許文献7】米国特許明細書第4,204,481号
【特許文献8】米国特許明細書第4,208,190号
【特許文献9】米国特許明細書第4,248,182号
【特許文献10】米国特許明細書第4,609,376号
【特許文献11】米国特許明細書第2,686,713号
【特許文献12】欧州特許第635 558号
【特許文献13】欧州特許第605 857号
【特許文献14】国際特許公開第95/33805号
【特許文献15】米国特許明細書第3,667,152号
【特許文献16】欧州特許第・・・号
【特許文献17】国際特許公開第94/00536号
【特許文献18】欧州特許第1116780号
【特許文献19】米国特許明細書第5,254,652号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本願の対象である本発明は、それが添加されると、液体自動車燃料の耐寒性と潤滑性の両者を改良する二機能性添加剤として有利に使用できるコポリマーに関する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の目的は、これらのコポリマーの自動車燃料のベースとしての添加剤、好ましくはディーゼル燃料や家庭用燃料オイル(DFO)用留分としての使用に関する。
【0024】
本発明は、液体炭化水素組成物用の二機能性潤滑及び耐寒性添加剤として、
−n1+n2=nで、nは98から643、好ましくは124から515の範囲にあり、n1はnに等しいことが望ましい、式A−(CH2-CH2)n1−のエチレン及び/又は式A´− ((CH 3)CH2-CH2)n2 のプロピレンから誘導されるユニット、
−mは2から105の範囲、好ましくは16から71の範囲であり、xは0.2から105の範囲、好ましくは1.6から71の範囲である、式B: - (CH2-CHOOCR1)m-x-のユニットであって、R1は、好ましくはメチル、プロピル及び/又はC1〜C15の直鎖又は分枝のアルキル基で、分枝の位置はアルキルラジカルの任意の位置であるが、アルキル鎖の2位又は3位であることが望ましく、かつピバル酸塩、イソペンタン酸塩、イソヘキサン酸塩、イソノナン酸塩、イソデカン酸塩及び/又はイソトリデカン酸塩から選択され、特にネオノナン酸塩、ネオデカン酸塩及び/又はネオウンデカン酸塩から選択されるC5〜C15ビニルコモノマーから好ましく選択される、前記ユニット、
−x1は0から0.3xの範囲で、x1=0であることが好ましい、式C: - (CH2-CHOH)x1 -のユニット、
−x2は0.7xからxの範囲で、x2=xであることが好ましく、R2は、C8〜C24の飽和又は不飽和、直鎖又は分枝のC14〜C20又はC14〜C18であることが好ましいアルキル基である、式D:- (CH2-CHOOCR2)x2- のユニット、
を含んで成り、かつx = x1 + x2である、少なくとも1種のコポリマーの使用方法に関する。
【0025】
コポリマー中のユニットA及び/又はA´のモルパーセンテージは、79から99モル%、好ましくは86.7から90.7モル%の範囲である。ポリマー中のユニットBのモルパーセンテージは、0から19モル%、好ましくは4.6から12モル%の範囲である。ポリマー中のユニットCのモルパーセンテージは、0から6.3モル%、好ましくは0モル%である。ポリマー中のユニットDのモルパーセンテージは、0.1から10モル%、0.1から21モル%、好ましくは0、93から8.6モル%の範囲である。
【0026】
前記少なくとも1種のコポリマーは、炭化水素留分中で濃厚溶液の形態であることが好ましく、50重量%を超える濃度であることが好ましく、70重量%を超える濃度であることがより好ましく又は80重量%を超える濃度であることが更に好ましく、60から80重量%であることも好ましい。
【0027】
好ましい態様では、炭化水素液体組成物は、0から5000ppmの硫黄を含む炭化水素留分であり、少なくとも1種の前記コポリマーを10から5000ppm含有し、更に洗剤、分散剤、乳化破壊剤、発泡抑制剤、殺生物剤、レオドラント、セタン価改良剤、耐腐食剤、摩擦改良剤、潤滑性や燃焼性や曇り点や流動点改良剤、反沈殿剤、導電性改良剤、耐寒性改良剤及び潤滑剤のような他の添加剤との混合物であっても良い。
【0028】
好ましい態様では、前記留分は、沸点が150から450℃、初期結晶化温度(ICT)−20℃以上、好ましくはー15℃以上、好ましくは−15℃から+10℃であり、直接蒸留からの留分、真空蒸留からの留分、水処理された留分、真空蒸留物の接触分解及び/又は水素化分解からの留分、ARDS型変換及び/又はビスブレイキングプロセスからの留分、フィッシャー−トロピッシュ法による成分の改質から得られる留分、野菜及び/又は動物の単独又は混合物のバイオマスのBTL変換で得られる留分、及び野菜及び動物の油又はそ混合物のエステルから成る群から得られる少なくとも1種の炭化水素成分を含む。
【0029】
前記留分は、含有量が1から40質量%のC9からC40パラフィンを含むことが好ましい。
【0030】
ディーゼル燃料用蒸留添加剤としての前記コポリマーは、0から500ppmの硫黄を含むことが好ましい。
【0031】
加熱用燃料油用蒸留添加剤としての前記コポリマーは、0から5000ppmの硫黄を含むことが好ましい。
【0032】
好ましい態様によると、前記コポリマーは重油用蒸留添加剤としての使用が意図される。
【0033】
第2の目的は、全体又は一部が既に加水分解されたビニルエステルユニットのエステル化プロセスによりこれらの新規なポリマーを調製する方法を提供することである。
【0034】
本発明の第3の目的は、実質的に脂肪酸から誘導され、二機能性添加剤としての自動車燃料ベースとして使用される、分枝鎖のグラフト化により化学的に修飾された前述のエチレン及び/又はプロピレン及びビニルエステルの新規なコポリマーの提供に関する。
【0035】
これらの自動車燃料ベースは、一般的にパラフィンを多く含み、弱い芳香性を有し、その結果、溶媒力は弱い。従って本発明によるコポリマーの添加は、非常に高いパラフィン含有成分を有する原油から得られる炭化水素の直接蒸留で得られる留分だけでなく、分解、水素化分解及び接触分解プロセス及びビスブレイキングプロセスなどの精製操作の重油成分から得られる炭化水素、又はフィッシャー−トロピッシュ法で得られるようなガス及び/又は石炭の変換で得られる合成留分にも適用でき、更に特にNexBTL及び野菜及び/又は動物油のエステルを単独又は混合物で含む留分のような野菜及び/又は動物のバイオマスの処理で得られるものにも適用できる。
【0036】
本発明は、
−n1+n2=nで、nは98から643、好ましくは124から515の範囲にあり、n1はnに等しいことが望ましい、式A−(CH2-CH2)n1-のエチレン及び/又は式A´- ((CH 3)CH2-CH2)n2 のプロピレンから誘導されるユニット、
−mは2から105の範囲、好ましくは16から71の範囲であり、xは0.2から105の範囲、好ましくは1.6から71の範囲である、式B: - (CH2-CHOOCR1)m-x-のユニットであって、R1は、好ましくはメチル、プロピル及び/又はC1〜C15の直鎖又は分枝のアルキル基で、分枝の位置はアルキルラジカルの任意の位置であるが、アルキル鎖の2位又は3位であることが望ましく、C1〜C15のビニルコポリマーには、ピバル酸塩、イソペンタン酸塩、イソヘキサン酸塩、イソノナン酸塩、イソデカン酸塩及び/又はイソトリデカン酸塩があり、特に2−エチルヘキサン酸塩、ネオアルカン酸塩、特にネオノナン酸塩、ネオデカン酸塩及び/又はネオウンデカン酸塩が挙げられる、前記ユニット、
−x1は0から0.3xの範囲で、x1=0であることが好ましい、式C: - (CH2-CHOH)x1 -のユニット、
−x2は0.7xからxの範囲で、x2=xであることが好ましく、R2は、C8〜C24の飽和又は不飽和、直鎖又は分枝のC14〜C20又はC14〜C18であることが好ましいアルキル基である、式D:- (CH2-CHOOCR2)x2- のユニット、
を含んで成り、かつx = x1 + x2である、コポリマーに関する。
【0037】
コポリマー中のユニットA及び/又はA´のモルパーセンテージは、79から99モル%、好ましくは86.7から90.7モル%の範囲であり、
ユニットBのモルパーセンテージは、0から19モル%、好ましくは4.6から12モル%の範囲であり、
ユニットCのモルパーセンテージは、0から6.3モル%、好ましくは0モル%に近いか、0モル%であっても良く、
ユニットDのモルパーセンテージは、0.1から21モル%、好ましくは0、93から8.6モル%の範囲であることが、それぞれ有利である。
【0038】
本発明は、前述した本発明のコポリマーの調製方法にも関し、該方法は、次の工程を含んで成る。
1)a)n1+n2=nで、式A−(CH2-CH2)n1-のエチレン及び/又は式A´- ((CH 3)CH2-CH2)n2 のプロピレンから誘導されるユニット、
b)R1は、前述の定義通り、好ましくはメチル基、エチル基及び/又はC5〜C15の直鎖又は分枝のアルキル基である、C1〜C15の直鎖又は分枝のアルキル基単独又は混合物である、式B: - (CH2-CHOOCR1)m-x-のユニット、
を含んで成るエチレン及び/又はプロピレン及びビニルエステルの出発コポリマーを準備し、
2)前記ユニットBに存在するアルキルエステルを少なくとも部分的に加水分解し、次いで、
3)R2は既に定義した通りの式R2COOHの少なくとも1種の脂肪酸及び/又は酸無水物、好ましくは酸塩化物である酸ハロゲン化物のような少なくとも1種の脂肪酸誘導体により、エステル化レベルが好ましくは50%超、より好ましくは80%超、最も好ましくは100%になるように、前述の加水分解したサイトを、少なくとも部分的に、好ましくは全体的にエステル化する。
【0039】
コポリマーを調製する他のプロセスは、R2CH2OH型のアルコールで前記(1)で定義したコポリマーのエステル交換を行うことから成る。エステル交換プロセスは、例えば特許文献17に記載されている。
【0040】
前記工程(1)で使用する出発コポリマーは、
a)n1+n2=nで、式A−(CH2-CH2)n-のエチレン及び/又は式A´- ((CH3)CH2-CH2)n2 のプロピレンから誘導されるユニット、
b)R1が、C1〜C15の直鎖又は分枝のアルキル基から選択される、式B: - (CH2-CHOOCR1)m-のユニット、
を含んで成るランダムコポリマーであり、n及びmは前述の定義通りである。
【0041】
本発明のコポリマーは、ポリスチレン標準較正(GPC)で測定した数平均分子量(数1)が4500〜2000g/モルである。
【0042】
【数1】

【0043】
工程(2)の最後に得られるコポリマーは、前述のエチレン及び/又はプロピレン及びビニルエステルの出発コポリマーのエステル基の部分又は完全加水分解の工程を通して得られる。
【0044】
一般的に、加水分解の割合は、加水分解可能なサイト(ユニットB)の10から100%である。該加水分解は、酸又はアルカリ性媒体中の、好ましくはアルカリ性メタノリシスで直接又はエステル交換により得られる。ビニルエステル基のビニルアルコール基への変換率は、使用するメタノール性ソーダ溶液(アルカリ媒体中のエステル交換の場合)の容量で制御する。プロセス中の工程(a)の加水分解の割合を変化させることにより、最終のコポリマーにグラフト化されるエステルの数も変化する。
【0045】
加水分解工程(2)に続いて、好ましくは酸塩化物、例えば塩化オキサリルに変換された1又は2以上の脂肪酸により前工程で生成したビニルアルコール基の少なくとも1回のエステル化を行い、エステル化の収率を改良する。
【0046】
本発明で、脂肪酸とは、動物及び/又は野菜の脂肪、オイル又はワックスから誘導され、又はそれらに含まれる脂肪族カルボン酸を意味する。天然の脂肪酸は、4から28の炭素原子(一般に偶数)を有する飽和又は不飽和の、直鎖、分枝及び/又は環状炭素鎖を有する。前記脂肪酸は、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸及び/又はリノレイン酸のようなC8からC24の非環状炭化水素鎖を有する酸から、単独又は組み合わせで選択され、少なくとも1つの不飽和結合を有する脂肪酸から選択することが有利である。
【0047】
エステル化工程が、省略形TOFA (tall oil fatty acids)で知られているトールオイルから誘導される脂肪酸を使用して行われた場合は、本発明の範囲は広がらない。これらのTOFAは、一般に硫酸塩法で松のパルプを製造する際の副生成物であるトールオイルの蒸留で得られる。TOFAは、主成分である前述の脂肪酸と、アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、レボピマール酸及び/又はパラストリン酸のような少量の樹脂酸を含んで成る。得られるグラフト化コポリマーは、使用する酸混合物中に存在する樹脂酸から形成される樹脂酸のエステル機能を含むことができる。
【0048】
工程(3)(工程(2)からのコポリマーのエステル化)の終わりには、部分的又は好ましくは完全にエステル化されたグラフト化コポリマーが得られる。
【0049】
本発明のコポリマーは、液体炭化水素、自動車燃料及び燃料油用の添加剤として、工程(3)の終わりで得られたものが好ましく使用できる。
【0050】
本発明のコポリマーは、中間留分型の炭化水素中で、EVA又はEVPのような従来技術のエチレン及び/又はプロピレン及びビニルエステルのコポリマーより、良好な溶解度を有する。これにより、添加剤を添加した自動車燃料や他の燃料の濾過特性、又は添加剤を添加した自動車燃料や他の燃料のブロック傾向特性(標準IP387)を大きく改良できる。FBT(濾過ブロック傾向)値を測定すると、本発明のコポリマーの溶解度が、EVA及びEVPのコポリマーの溶解度と比較して改良されていることが明らかになる。実際に、本発明のコポリマーを添加した炭化水素組成物の前記良好な溶解度は、フィルタ(一般に直径1.6μm)の閉塞を防止できる。
【0051】
本発明のコポリマーの溶解度を改良することにより、例えばエンジンや加熱設備の燃料システムで遭遇することのある濾過システムで、添加剤を有する炭化水素が、常温で初期濾過特性を保持し、かつ完全に濾過可能であることを維持することが可能になる。
【0052】
それに加えて、EVA及び/又はEVPと比較してコポリマーの粘度が低いので、これらの溶液のポンプ性能及び使用に悪影響を与えず、溶媒の芳香族性のレベルを低くした炭化水素中で、本発明のコポリマーの濃厚溶液を実現できる(ポンプ又は注入システム中の粘度及びレオロジ挙動の制限)。
【0053】
本発明のコポリマーは、一般に炭化水素留分中で、溶媒中の濃厚溶液の形態でも使用でき、該濃厚溶液の濃度は好ましくは50重量%超、より好ましくは70重量%超、あるいはより好ましくは80重量%超である。溶媒中の濃厚溶液は、一般に、本発明のコポリマーを好ましくは60から80重量%含む炭化水素留分である。
【0054】
本発明のこれらのコポリマーは、好ましくは前述したその濃厚溶液は、二機能性添加剤として使用できる。つまり液体炭化水素に基づく組成物の冷間濾過閉塞点(CFPP)を低下させることを可能にする添加剤、及び液体炭化水素に基づく組成物用の潤滑性あるいは反摩擦性を改良する添加剤として機能する。
【0055】
液体炭化水素の組成物は、一般に石油精製操作で、特に炭化水素の直接蒸留で得られるが、熱分解、水素化分解及び/又は接触分解プロセス及びビスブレーキングプロセスからも得られる。これらは、ディーゼル燃料、家庭用加熱燃料油(DFO)、ケロセン、重油として使用できる中間留分であることが好ましい。
【0056】
自動車燃料、特にディーゼル燃料に関する要請が増加しているため、精製業者は、冷間濾過閉塞点及び流動温度を増加させることにより、これらの燃料中での使用がより困難である石油以外のソースから耐寒性が低い成分を導入することを検討している。これらの新規な留分のソースに関しては、特に次のものがあることが指摘できる。
−高濃度の18個超の炭素原子を有する分子量の大きいパラフィンを、分解及びビスブレーキングして得られる重質成分。
−フィッシャー−トロピッシュ法で得られるようなガス変換で得られる合成留分。
−特にNexBTLのような、野菜及び/又は動物を起源とするバイオマスの処理から生じる合成留分。
−及びオイル及び/又は野菜又は動物油のエステル。
【0057】
これらの新規な自動車燃料ベースは、単独で、又は前述の自動車燃料ベース及び/又は家庭用燃料オイルベースとしての標準的な石油中間留分との混合物として使用できる。前記ベースは、一般に炭素原子16個以上の長いパラフィン鎖を含む。
【0058】
本発明の液体炭化水素組成物は、硫黄含有量が好ましくは5000ppm未満、より好ましくは500ppm、更に好ましくは50ppm未満である、好ましくは中間留分タイプの液体炭化水素である主成分と、本発明による少なくとも1種のコポリマーを含む少量成分とを含んで成る。
【0059】
他の態様では、本発明は、0から500ppmの硫黄を含み、かつ本発明の少なくとも1種の留分を含んで成るディーゼル燃料に関する。
【0060】
他の態様では、本発明は、0から5000ppmの硫黄を含み、かつ本発明の少なくとも1種の留分を含んで成る加熱用燃料オイルに関する。他の態様では、本発明は、本発明の少なくとも1種の留分を含んで成る重油に関する。
【0061】
本発明の好ましい態様では、炭化水素組成物は、本発明の少なくとも1種のコポリマーを、10から5000重量ppm、好ましくは10から1000ppm含む。
【0062】
本発明の二機能性添加剤とは別に、前記炭化水素組成物は、洗剤、防食剤、分散剤、乳化破壊剤、発泡抑制剤、殺生物剤、レオドラント、プロセタン添加剤、摩擦改良剤、燃焼促進剤(触媒的燃焼及びスス促進剤)、曇り点や流動点や冷間濾過閉塞点の改良剤、反沈殿剤、反磨耗剤及び/又は導電性改良剤から選択される1又は2種以上の異なった他の成分、更に流動点や冷間濾過閉塞点や潤滑性を改良する1又は2以上の他の添加剤も含むことができる。
【0063】
これらの添加剤に関し、次のものが指摘できる。
a)特に(限定されるものではないが)好ましくは硝酸2−エチルヘキシルである硝酸アルキル、好ましくはベンゾイルパーオキサイドであるアロイルパーオキサイド、好ましくはターシャリ−ブチルパーオキサイドであるアルキルパーオキサイドから選択されるプロセタン添加剤。
b)特に(限定されるものではないが)ポリシロキサン、オキシアルキル化ポリシロキサン、及び野菜又は動物油から得られる脂肪酸から選択される発泡抑制剤。このような添加剤の例は、EP861 882, EP663 000, EP 736 590中にある。
c)特に(限定されるものではないが)アミン、サクシンイミド、アルケニルサクシンイミド、ポリアルキルアミン、ポリアルキルポリアミン及びポリエーテルアミンから成る群から選択される洗剤及び/又は防食剤。このような添加剤の例は、EP938 535中にある。
d)特に(限定されるものではないが)脂肪酸及びそのエステル又はアミド誘導体、特にグリセロール・モノオレエート、及び単環及び多環式カルボン酸の誘導体から成る群から選択される潤滑剤添加剤及び/又は耐磨耗剤。このような添加剤の例は、欧州特許第680506号、欧州特許第860494号、国際公開第98/04656号、欧州特許第・・・号、フランス特許第2772783号及びフランス特許第2772784号に記載されている。
e)特に(限定されるものではないが)長鎖オレフィン/(メタ)アクリル酸エステル/マレイミドのターポリマー、及びフマル酸/マレイン酸エステルのポリマーから成る群から選択される曇り点添加剤。このような添加剤の例は、欧州特許第71513号、欧州特許第100248号、フランス特許第2528051号、フランス特許第2528423号、欧州特許第112195号、欧州特許第172758号、欧州特許第271385号及び欧州特許第291367号に記載されている。
f)特に(限定されるものではないが)ポリアミドでアミド化された(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルのコポリマー、ポリアミン・アルケニルサクシンイミド、フタル酸の誘導体及び二重鎖脂肪族アミン、アルキルフェノール樹脂から成る群から選択される反沈殿剤及び分散剤。このような添加剤の例は、欧州特許第261959号、欧州特許第595331号、欧州特許第674689号、欧州特許第327423号、欧州特許第512889号、欧州特許第832172号、米国特許公開第2005/0223631号、米国特許第5998530号及び国際特許公開第93/14178号に記載されている。
g)欧州特許第573490号に記載されているような、オレフィン及び硝酸アルケニルをベースとするポリマーにより構成される群から選択される多機能性冷間操作添加剤。
h)特に米国特許公開第2004/0226216号に記載されている、EVA及びEVPのようなα−オレフィンとビニルエステルのコポリマー、及びエチレン、酢酸ビニル及びネオデカン酸ビニルのような分枝ビニルエステルのコポリマーのような耐寒性添加剤。
i)脂肪酸、TOFA、及び特にそのエステルのような誘導体。
【0064】
一般に、これらの他の添加剤は、10から1000ppm(それぞれ)の範囲の量が添加される。
【0065】
本発明の二機能性添加剤は、精油所内で炭化水素組成物に添加され、及び/又は精油所の下流側で一緒にされる。この際、他の添加剤との混合物としたり、添加剤のパッケージの形態で添加しても良い。
【発明を実施するための形態】
【0066】
[グラフト化ポリマーの調製例]
酢酸ビニル28重量%を含むエチレン及び酢酸ビニルの同じコポリマー(EVA28と表示する)で、ポリスチレン標準較正(GPC)で測定した数平均分子量が5000g/モルである前記コポリマーから出発して、4タイプの異なったグラフト(ユニットD)D1からD4を、本発明の調製法に従ってグラフト化した。
【0067】
D1はTOFA(2から3重量%の樹脂酸を含むトールオイルから誘導される酸の混合物、及びC8からC24であるが、主としてC18である脂肪酸の混合物であり、飽和及び/又は不飽和C14〜C18脂肪酸の濃度は、80から90%まで変化する)である。D1でグラフト化したコポリマーは、トールオイルから誘導された酸の混合物中に存在する樹脂酸から形成される樹脂酸エステル機能も含むことができる。
【0068】
D2からD4は、脂肪酸中のモル組成を下記の表1に示した飽和及び不飽和C14からC18脂肪酸の混合物である。
【0069】
【表1】

【0070】
グラフト化したコポリマーの特性(ユニットAからDのモル%)を表2に纏めた。
【0071】
【表2】

【0072】
その特性を下記表3に纏めた、EN590エンジン軽油タイプの“a”から“e”までを表示した5種のGOM中間留分の冷間濾過閉塞点を、35から700ppmの濃度で添加したコポリマー1から9の1種について、測定した。
【0073】
【表3】

【0074】
FBT(濾過ブロック傾向)も、コポリマー1から9を420ppm含む溶液(コポリマーの4質量%のストック溶液から調製した溶液)の標準IP387に従って測定し、更にHERRテスト条件下(高周波数往復掘削装置EN ISO12156−1、つまりリバプール大学のJ.W.ハドリによる記事SAE932692に記載した方法で)で、コポリマー濃度がそれぞれ210ppm及び/又は420ppmの潤滑性も測定した。テストは、固定した金属板に接触した鋼球に、200g重に相当する圧力を加えること、及び50Hzの周波数で1mmの交差運動を行わせることを含む。潤滑性は、板上の球の磨耗傷の直径の平均値で表示する。直径が小さいと(一般に400μm未満)、良好な潤滑性であることを反映し、逆に直径が大きいと(一般に400μm超)、潤滑性が不十分であることを反映し、直径が大きいほど不十分になる。
【0075】
結果を下記表4に纏める。
【0076】
【表4】

【0077】
0から84ppmの範囲で変動する量のD1単独を有し、“a”と表示したGOM中間留分のコポリマー2,4又は5単独中、又はコポリマー2,4又は5の混合物中、及びその中に添加したD1の潤滑性(HFRR WS1.4)を比較する。
【0078】
結果を下記表5に示す。
【0079】
【表5】

【0080】
0から200ppmの範囲で変動する量のD1単独を有し、“a”と表示したGOMより厳しい“e”と表示したGOM中間留分のコポリマー2から5単独のうちの1個中、又はコポリマー2から5の混合物中、及びその中に添加したD1の潤滑性(WS1.4)を比較する。貯蔵及び調製操作中のサンプル中の変化を防止するために、グラフト化ポリマー溶液を、D1に対して0.05%から0.1%の酸化防止剤である、ブチル化ヒドロキシトルエン又は2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)で安定化する。
【0081】
結果を下記表6に示す。
【0082】
【表6】

【0083】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体炭化水素組成物用の二機能性潤滑及び耐寒性添加剤として、
a)n1+n2=nで、nは98から643、好ましくは124から515の範囲にあり、n1はnに等しいことが望ましい、式A−(CH2-CH2)n1_のエチレン及び/又は式A´_ ((CH3)CH2-CH2)n2 のプロピレンから誘導されるユニット、
b)mは2から105の範囲、好ましくは16から71の範囲であり、xは0.2から105の範囲、好ましくは1.6から71の範囲である、式B: - (CH2-CHOOCR1)m-x_のユニットであって、R1は、好ましくはメチル、プロピル及び/又はC1〜C15の直鎖又は分枝のアルキル基で、分枝の位置はアルキルラジカルの任意の位置であるが、アルキル鎖の2位又は3位であることが望ましく、かつピバル酸塩、イソペンタン酸塩、イソヘキサン酸塩、イソノナン酸塩、イソデカン酸塩及び/又はイソトリデカン酸塩から選択され、特にネオノナン酸塩、ネオデカン酸塩及び/又はネオウンデカン酸塩から選択されるC5〜C15ビニルコモノマーから好ましく選択される、前記ユニット、
c)x1は0から0.3xの範囲で、x1=0であることが好ましい、式C: - (CH2-CHOH)x1 _のユニット、
d)x2は0.7xからxの範囲で、x2=xであることが好ましく、R2は、C8〜C24の飽和又は不飽和、直鎖又は分枝のC14〜C20又はC14〜C18であることが好ましいアルキル基である、式D:- (CH2-CHOOCR2)x2_ のユニット、
を含んで成り、かつx = x1 + x2である、少なくとも1種のコポリマーを使用する方法。
【請求項2】
コポリマー中のユニットA及び/又はA´のモルパーセンテージは、79から99モル%、好ましくは86.7から90.7モル%の範囲である。ポリマー中のユニットBのモルパーセンテージは、0から19モル%、好ましくは4.6から12モル%の範囲である。ポリマー中のユニットCのモルパーセンテージは、0から6.3モル%、好ましくは0モル%である。ポリマー中のユニットDのモルパーセンテージは、0.1から10モル%、0.1から21モル%、好ましくは0、93から8.6モル%の範囲である、請求項1記載の使用方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種のコポリマーは、炭化水素留分中で濃厚溶液の形態であり、好ましくは50重量%を超える濃度、より好ましくは70重量%を超える濃度、更に好ましくは80重量%を超える濃度であり、60から80重量%であることが好ましい請求項1又は2に記載の使用方法。
【請求項4】
炭化水素液体組成物は、0から5000ppmの硫黄を含む炭化水素留分であり、少なくとも1種の前記コポリマーを10から5000ppm含有し、更に洗剤、分散剤、乳化破壊剤、発泡抑制剤、殺生物剤、レオドラント、セタン価改良剤、耐腐食剤、摩擦改良剤、潤滑性や燃焼性や曇り点や流動点改良剤、反沈殿剤、導電性改良剤、耐寒性改良剤及び潤滑剤のような他の添加剤との混合物であっても良い請求項1から3のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項5】
前記留分が、沸点が150から450℃、初期結晶化温度(ICT)−20℃以上、好ましくは−15℃以上、好ましくは−15℃から+10℃であり、直接蒸留からの留分、真空蒸留からの留分、水処理された留分、真空蒸留物の接触分解及び/又は水素化分解からの留分、ARDS型変換及び/又はビスブレイキングプロセスからの留分、フィッシャー−トロピッシュ法による成分の改質から得られる留分、野菜及び/又は動物の単独又は混合物のバイオマスのBTL変換で得られる留分、及び野菜及び動物の油又はそ混合物のエステルから成る群から得られる少なくとも1種の炭化水素成分を含む、請求項4記載の使用方法。
【請求項6】
前記留分は、含有量が1から40質量%のC9からC40のn―パラフィンを含む請求項5記載の使用方法。
【請求項7】
ディーゼル燃料用蒸留添加剤としての前記コポリマーは、0から500ppmの硫黄を含む請求項1から6のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項8】
加熱用燃料油用蒸留添加剤としての前記コポリマーは、0から5000ppmの硫黄を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項9】
前記コポリマーを重油用蒸留添加剤として使用する請求項1から5のいずれか1項に記載の使用方法。

【公表番号】特表2011−508041(P2011−508041A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540158(P2010−540158)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001816
【国際公開番号】WO2009/106743
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(503438322)トタル・ラフィナージュ・マーケティング (8)
【Fターム(参考)】