説明

エチレン性不飽和化合物のカルボニル化法、新規なカルボニル化配位子およびかかる配位子を組み入れた触媒系

一般式(I)の新規な二座触媒配位子が記載されている。Rは、少なくとも1つの芳香環を有するヒドロカルビル芳香族構造を表し、その芳香環には、存在する場合には該少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接する原子上のそれぞれの連結基を介してQおよびQがそれぞれ結合している。基XおよびXは、三級炭素原子を介してそれぞれの原子Qに結合している基を表し、基XおよびXは、一級または置換芳香環炭素原子を介してそれぞれの原子Qに結合している基を表す。AおよびBは、任意選択の低級アルキレン連結基を表す。QおよびQはリン、ヒ素またはアンチモンを表す。また、ヒドロキシル基の供給源、場合によってアニオンの供給源、ならびに第8族、第9族または第10族金属またはその化合物と、一般式(I)の二座配位子を混合することによって得ることができる触媒系の存在下で、化合物と一酸化炭素を反応させる工程を含む、エチレン性不飽和化合物のカルボニル化法が記載されている。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択されたエチレン性不飽和化合物のカルボニル化法、特にそのアルコキシおよびヒドロキシ−カルボニル化法、新規な二座配位子ならびにかかる配位子を組み入れた新規な触媒系に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコールまたは水、および第6族、第8族、第9族または第10族金属、例えばパラジウムおよびホスフィン配位子、例えばアルキルホスフィン、シクロアルキルホスフィン、アリールホスフィン、ピリジルホスフィン、または二座ホスフィンを含む触媒系の存在下で一酸化炭素を用いるエチレン性不飽和化合物のカルボニル化は、数々の欧州特許および特許出願に記載されている(例えば、特許文献1〜13参照)。特に、二座ホスフィン配位子が高い反応速度を達成できる触媒系をもたらすことについて開示されている(例えば、特許文献11〜13参照)。リン原子間のC3アルキル架橋と、それらリン上の三級ブチル置換基とが一緒に例示されている(例えば、特許文献13)。
【0003】
その後、三級炭素基を含むがアリール架橋を有する二座ホスフィン化合物の特定の基が、補充を殆どまたは全く必要としない著しく安定な触媒を提供し得ること、かかる二座触媒の使用が、過去に開示されたものよりも(例えば、特許文献13)著しく高い反応速度をもたらすこと、高い転換速度でも不純物が殆どまたは全く生成されないこと、およびその生成物が、酸またはエステル生成物に対して高い選択性を有し、ポリマーを生成しないことが開示されている(例えば、特許文献14)。
【0004】
特許文献15は、特許文献14と同じ方法および三級炭素で置換されている配位子について、外部から添加された非プロトン性溶媒の存在下で、高級アルケンに対して使用される場合の速度を開示している。
【0005】
特許文献16は、特許文献13に使用された二座ホスフィンの修飾を開示しており、その三級炭素基は、場合によって置換されている2−ホスファ−トリシクロ[3.3.1.1{3、7}]デシル基、または炭素原子の1つもしくは複数がヘテロ原子で置き換えられているその誘導体(「2−PA」基)に組み入れられている一方または両方のリン原子によって利用される。非対称配位子は想定されているが、例示されてはいない。この例には、各リンを組み入れた対称PA基を使用し、リンに結合した炭素が三級になるようにそのPA基の各隣接炭素を置換することによる、エテン、プロペンおよび幾つかの高級末端および内部オレフィンの幾つかのアルコキシカルボニル化が含まれる。リンに結合した二級または一級炭素の使用例はない。内部不飽和オレフィンのカルボニル化に関して、1,3−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)プロパンと比較して速度の改善および収率の改善が見られる。
【0006】
特許文献17は、特許文献16に教示の特定の三級炭素リン置換基配位子から、特許文献14に開示の種類の1,2置換アリール架橋を有する二座ホスフィンまで拡大している。
【0007】
特許文献18は、先の種類の配位子架橋の両方が、ブタジエンカルボニル化に有用であると説明しており、特許文献19は、特許文献18の選択肢を説明しており、ここで三級炭素置換基はそれぞれのリン原子上で異なっており、したがって反応速度が改善されている。
【0008】
二座リン配位子上の一級、二級および芳香族炭素置換基を使用することによって、特定のエチレン性不飽和化合物のカルボニル化において、ポリマー生成物が全く生成されず、または幾らか生成することが知られている。ポリケトンポリマーを生成するための一般法は、数年来知られている。パラジウムなどのVIII族金属を含む二座ホスフィン配位子および6未満のpKaを有する酸を使用する方法が記載されている(例えば、特許文献20〜22)。ポリケトンポリマーを生成するのに好ましい触媒組成物には、パラジウム、適切な酸および1,3−ビス(ジフェニルホスフィン)プロパンまたは1,3−ビス[ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ]プロパンを使用すると教示されている(例えば、特許文献23)。
【0009】
例えば、−CH基を介してリンに結合した1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)プロパンおよびアルキル置換二座配位子などの芳香族基で置換された配位子が、一酸化炭素を使用するエチレンのカルボニル化において、ある範囲の分子量のポリケトンポリマー生成物を良好な収率で生成することが教示されている(例えば、特許文献24)。
【0010】
二級炭素を介してリンと結合しており、アルキレン架橋を含むフォバン(phobane)として公知の環式基、例えば9−ホスファビシクロノナンを含む配位子は、良好な選択性を示し、かかるカルボニル化反応において非ポリマー生成物を生成し得ることが知られている(例えば、特許文献25)。一方のリン上に三級炭素を有し、他方のリン上にフォバン二級炭素を有する非対称二座ホスフィン配位子が開示されている(例えば、特許文献19)。当然ながら、反応はさらに、エステル生成物に対して良好な選択性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0055875号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第04489472号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0106379号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0235864号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0274795号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0499329号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0386833号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0441447号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第0489472号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第0282142号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第0227160号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第0495547号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開第0495548号明細書
【特許文献14】国際公開第96/19434号パンフレット
【特許文献15】国際公開第01/68583号パンフレット
【特許文献16】国際公開第98/42717号パンフレット
【特許文献17】国際公開第03/070370号パンフレット
【特許文献18】国際公開第04/103948号パンフレット
【特許文献19】国際公開第05/082830号パンフレット
【特許文献20】欧州特許第121965号明細書
【特許文献21】欧州特許第181014号明細書
【特許文献22】欧州特許第213671号明細書
【特許文献23】米国特許第4950703号明細書
【特許文献24】米国特許第5369074号明細書
【特許文献25】国際公開第01/87899号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
酸もしくはエステル生成物または他の生成物と他の共反応物質との生成において、ポリマーまたはオリゴマー生成物が収率を低減し、反応プロセスを妨害することから、これらを有していないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、特に、一酸化炭素の存在下でポリケトンに重合する傾向があるエチレン性不飽和化合物をカルボニル化する場合に、かかる反応において非ポリマー/オリゴマー生成物に有利に働くことが知られている配位子を選択することが重要である。驚くべきことに、特定の群の芳香族で架橋された非対称二座配位子が、三級炭素置換基と組み合わせた場合に、先の種類のアルキルおよび芳香族基で置換された二座配位子を使用することによってポリマー生成物を生成しないこと、ならびにかかる反応において、これらの配位子が改善された安定性を示すことも、ここで見出されている。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、請求項1に記載の新規な二座配位子が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、エチレン性不飽和化合物のカルボニル化を触媒できる触媒系が提供され、この系は、
a)第8族、第9族もしくは第10族金属またはその化合物、
b)式Iの二座配位子、および
c)酸
を組み合わせることによって得ることができ、
前記配位子は、前記金属または前記金属化合物の前記金属と比較して少なくとも2:1モル過剰で存在し、前記酸は、前記配位子と比較して少なくとも2:1モル過剰で存在し、
【0015】
【化1】

【0016】
式中、
AおよびBは、独立に、任意選択の低級アルキレン連結基を表し、
Rは、少なくとも1つの芳香環を有するヒドロカルビル芳香族構造を表し、その芳香環には、存在する場合には該少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接する原子上のそれぞれの連結基を介してQおよびQがそれぞれ結合しており、
基XおよびXは、独立に、少なくとも1つの三級炭素原子を有する最大30個の原子の1価の基を表し、またはXおよびXは、一緒になって、少なくとも2つの三級炭素原子を有する最大40個の原子の2価の基を形成し、前記1価または2価の各基は、前記少なくとも1つまたは2つの三級炭素原子を介してそれぞれの原子Qに結合しており、
基XおよびXは、独立に、少なくとも1つの一級、二級もしくは芳香族炭素原子を有する最大30個の原子の1価の基を表し、またはXおよびXは、一緒になって、少なくとも2つの一級、二級もしくは芳香族炭素原子を有する最大40個の原子の2価の基を形成し、前記1価または2価の各基は、前記少なくとも1つまたは2つの一級、二級または芳香族炭素原子(一又は複数)を介してそれぞれの原子Qに結合しており、
およびQは、独立に、リン、ヒ素またはアンチモンを表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
有利には、基XおよびXとQ原子が非三級炭素原子を介して結合することによって、カルボニル化反応においてかかる配位子を利用する触媒系は、驚くべきことに、QおよびQの両方に結合している三級炭素原子を使用する対応する系よりも改善された安定性を有することが見出されている。一般に、カルボニル化反応、特にヒドロキシ−またはアルコキシ−カルボニル化の触媒回転数(TON)(金属モル/生成物モル)が改善される。特にTONは、XおよびXが三級炭素原子を介してQ原子に結合する配位子と比較して、再利用配位子を使用する反応において改善される。好ましくは、本発明の配位子は、連続カルボニル化反応において利用されるが、バッチ反応、特に反復バッチ反応も有益となろう。
【0018】
したがって、本発明の第2の態様によれば、請求項2に記載のエチレン性不飽和化合物のカルボニル化法が提供される。
好ましくは、基XおよびXは、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニルまたはC〜C20アリール基から選択される。
【0019】
基XまたはXの少なくとも1つが置換基を含むことが特に好ましい。好ましくは、置換基は、Q原子に直接結合している炭素上、またはそれに隣接している炭素上にある。しかし置換基は、Q原子からさらに離れていてもよい。例えば、Q原子から最大5個の炭素分だけ離れていてもよい。したがって、Q原子に結合している炭素は、脂肪族二級炭素原子であり、またはそれに対するアルファ炭素は、脂肪族二級もしくは三級炭素原子であり、またはQ原子に結合している炭素は、環の適切な位置で置換されている芳香環の一部を形成する芳香族炭素であることが好ましい。好ましくはこの場合、置換基は、Q原子に結合している環の原子に隣接している原子上にある。
【0020】
好ましくは、さらなる置換基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−ブチル t−ブチル、メトキシまたはエトキシ基などのC〜Cアルキル基またはO−C〜Cアルキル基、あるいは−CN、−F、−Si(アルキル)、−COOR63、−C(O)−または−CFなどの相対的に不活性な基であり、R63は、アルキル、アリールまたはHetである。特に好ましい置換基は、メチル、エチルおよびプロピル基、特にメチル、メトキシまたはエチル、さらに特にはメチルである。好ましい範囲の基は、C〜CアルキルまたはO−C〜Cアルキル基で置換されたフェニル基、特にメチル、メトキシまたはエチルフェニル基である。かかるフェニルの実施形態では、置換基は、環のオルト、メタまたはパラ位、好ましくはオルトまたはメタ位、最も好ましくはオルト位であり得る。
【0021】
適切なXまたはX基は、プロプ−2−イル、フェン−1−イル、2−メチル−フェン−1−イル、2−メトキシ−フェン−1−イル、2−フルオロ−フェン−1−イル、2−トリフルオロメチル−フェン−1−イル、2−トリメチルシリル−フェン−1−イル、4−メチル−フェン−1−イル、3−メチル−フェン−1−イル、ブト−2−イル、ペント−2−イル、ペント−3−イル、2−エチル−フェン−1−イル、2−プロピル−フェン−1−イルおよび2−プロプ−2’−イル−フェン−1−イルである。
【0022】
好ましくは、本発明の方法では、触媒系は、前記配位子と比較して2:1を超えるモル過剰で存在する酸も含み、前記配位子は、前記金属または前記金属化合物の前記金属と比較して少なくとも2:1モル過剰で存在する。
【0023】
したがって、本発明の第3の態様によれば、エチレン性不飽和化合物のカルボニル化を触媒できる触媒系が提供され、この系は、
a)第8族、第9族もしくは第10族金属またはその化合物と、
b)本願で請求する、式Iの二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子と、
c)場合によって酸
を組み合わせることによって得ることができる。
【0024】
好ましくは、第3の態様では、前記配位子は、前記金属または前記金属化合物の前記金属と比較して少なくとも2:1モル過剰で存在し、前記酸は、前記配位子と比較して少なくとも2:1モル過剰で存在する。
【0025】
適切には、本発明の触媒系の成分a)〜c)の全てを、カルボニル化が行われるべき反応容器にその場で添加することができる。あるいは成分a)〜c)は、触媒系を形成するために、任意の順序でまたは幾つか特定の順序で、連続して直接容器に入れることができ、または容器の外で添加して、次いで容器に入れることができる。例えば、酸成分c)を、最初に二座配位子成分b)に添加して、プロトン化配位子を形成することができ、次いでプロトン化配位子を、金属またはその化合物(成分a))に添加して、触媒系を形成することができる。あるいは配位子成分b)および金属またはその化合物(成分a))を混合して、キレート金属化合物を形成することができ、次いで酸(成分c))を添加する。あるいは、任意の2種類の成分を一緒に反応させて中間体部分を形成することができ、次いでそれを反応容器に入れ、第3成分を入れることができ、または最初に第3成分と反応させ、次いで反応容器に入れる。
【0026】
本発明は、それ自体、二座配位子および酸の両方の相対モル濃度が、先に想定した濃度を超えるレベルであり、したがってエチレン性不飽和化合物のカルボニル化において、触媒系を本明細書で定義の配位子と併用する場合に驚くべき予想外の利点をもたらし、従来技術の系の欠点の少なくとも幾らかを軽減し、または少なくとも低減する方法および触媒系を対象にする。特に本発明の触媒系の使用は、少なくとも、より安定な系、反応速度の増大、エチレン性不飽和化合物のカルボニル化反応における触媒回転数の改善、選択性の改善、転換率の改善および重合化の回避をもたらす。
【0027】
前述の通り、配位子は、前記配位子と前記金属(即ち成分b)と成分a))の比が、少なくとも2:1のモル比になるような量で触媒系またはその前駆体に存在する。好ましくは、前記配位子と前記金属の比は、2:1を超えるモル比、より好ましくは2:1〜1000:1の範囲、さらにより好ましくは2.5:1〜1000:1の範囲、さらにより好ましくは3:1〜1000:1の範囲、さらにより好ましくは5:1〜750:1の範囲、さらにより好ましくは5:1超〜750:1の範囲、さらにより好ましくは5:1超〜500:1の範囲、さらにより好ましくは10:1〜500:1の範囲、またさらにより好ましくは20:1〜400:1の範囲、さらにより好ましくは50:1〜250:1の範囲、最も好ましくは50:1を超える範囲、例えば51:1それ以上、さらに特には51:1〜250:1またはそれ以上〜1000:1である。あるいは、前記比は、15:1〜45:1、好ましくは20:1〜40:1、より好ましくは25:1〜35:1の範囲であってよい。
【0028】
前述の通り、酸は、前記酸と前記配位子(即ち成分c)と成分b))の比が、少なくとも2:1のモル比になるような量で触媒系またはその前駆体に存在する。好ましくは、前記酸と前記配位子の比は、2:1を超えるモル比、より好ましくは2:1〜100:1の範囲、さらにより好ましくは4:1〜100:1の範囲、さらにより好ましくは5:1〜95:1の範囲、さらにより好ましくは5:1超〜95:1の範囲、さらにより好ましくは5:1超〜75:1の範囲、より好ましくは10:1〜50:1の範囲、さらにより好ましくは20:1〜40:1の範囲、さらにより好ましくは20:1超〜40:1の範囲(例えば、25:1〜40:1または25:1〜30:1未満)、最も好ましくは30:1を超え、適切には、上限のいずれかは本明細書で先に提示したものである(例えば30:1〜40:1)。
【0029】
「酸」は、酸またはその塩を意味し、酸への言及はこれに従って解釈されるべきである。
前述の配位子と金属および酸と配位子の比の範囲内で作用することの利点は、金属の触媒回転数(TON)の増大からも明らかなように、触媒系の安定性がさらに改善することに現れている。触媒系の安定性を改善することによって、カルボニル化反応スキームにおける金属の使用は最小限に抑えられる。
【0030】
いかなる理論にも拘泥するものではないが、本明細書に記載の特定の比の範囲内で作用することによって、驚くべきことに、触媒系の配位子成分が不慮の空気酸化から保護され(例えば、反応系に空気侵入がある場合)、触媒系の全体的な安定性が改善され、したがって触媒系の金属成分の使用を最小限に抑えられることを見出したと思われる。さらに驚くべきことには、反応物の先の反応速度が改善される。
【0031】
実際、酸の濃度は、使用する特定の二座配位子に合うようにすべきであり、酸の濃度は、ホスフィン、アルシンまたはスチビンが完全にプロトン化されるようにすべきである。したがって、効果の改善を示すために、配位子の濃度は、配位子:金属モル比によって与えられる通り、最小濃度を幾らか上回るべきであり、酸の濃度は、酸:配位子モル比によって与えられる通り、プロトン化を促進するために存在する配位子の濃度に対して最小濃度を幾らか上回るべきである。
【0032】
好ましくは、酸は、触媒系またはその前駆体において、前記酸と前記金属(即ち成分c)と成分a))のモル比が、少なくとも4:1、より好ましくは4:1〜100000:1、さらにより好ましくは10:1〜75000:1、さらにより好ましくは20:1〜50000:1、またさらにより好ましくは25:1〜50000:1、またさらにより好ましくは30:1〜50000:1、またさらにより好ましくは40:1〜40000:1、さらにより好ましくは100:1〜25000:1、またさらにより好ましくは200:1〜25000:1、最も好ましくは550:1〜20000:1、または2000:1超〜20000:1の量で存在する。あるいは前記比は、125:1〜485:1、より好ましくは150:1〜450:1、さらにより好ましくは175:1〜425:1、またさらにより好ましくは200:1〜400:1、最も好ましくは225:1〜375:1の範囲であってよい。
【0033】
明確にするために記載すると、前述の比および比の範囲の全ては、本明細書で以下にさらに詳説する配位子の実施形態の全てに適応される。
またさらに、本発明の配位子を用いて、前述の系を使用してTONを最適化することによって、本発明の配位子に関して見出された驚くべき再利用可能性および重合化の低減がより明らかになる。
【0034】
架橋基R
好ましくは、定義の通り少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接する原子上のAおよびBに結合した基Rはまた、芳香族構造の1つまたは複数の、さらなる芳香環原子(一又は複数)上の1つまたは複数の置換基(一又は複数)Yで置換されている。好ましくは、芳香族構造上の置換基(一又は複数)Yは、x=1〜nΣtY≧4となるような、水素以外の原子の総x=1〜nΣtYを有し、nは置換基(一又は複数)の総数であり、YおよびtYは、特定の置換基Y上の水素以外の原子の総数を表す。
【0035】
一般に、2つ以上の置換基が存在する場合、Yをこれ以降単にYとも呼び、任意の2つは、芳香族構造の同じまたは異なる芳香環原子上に位置することができる。好ましくは、芳香族構造上に≦10個のY基が存在し(即ちnは1〜10である)、より好ましくは1〜6個のY基、最も好ましくは1〜4個のY基が存在し、特に芳香族構造上に1、2または3個の置換基Y基が存在する。置換された環の芳香原子は、炭素またはヘテロであってよいが、好ましくは炭素である。
【0036】
好ましくは、x=1〜nΣtYは4〜100、より好ましくは4〜60、最も好ましくは4〜20、特に4〜12の間である。
好ましくは、1個の置換基Yが存在する場合、Yは、フェニルと少なくとも同程度立体障害である基を表し、2つ以上の置換基Yが存在する場合、それらはフェニルと同程度立体障害であり、および/またはそれらは組み合わさって、フェニルよりも立体障害である基を形成する。
【0037】
本明細書では、立体障害は、これ以降記載の基R〜R12の文脈であろうと置換基Yの文脈であろうと、当業者によって容易に理解される通りの用語を意味するが、明確にするために記載すると、フェニルよりも立体障害であるという用語は、以下の条件に従ってPHY(基Yを表す)がNi(O)(CO)と8倍過剰に反応する場合、PHPhよりも低い置換度(DS)を有することを意味すると解釈することができる。同様に、t−ブチルよりも立体障害であるとは、PHt−Bu等と比較したDS値への言及であると解釈することができる。2個のY基を比較する場合にPHYが基準ほど立体障害ではない場合、PHYがその基準と比較すべきである。同様に、3個のY基を比較する場合にPHYまたはPHYが標準よりも立体障害であることが未だ決定していない場合、PYを比較すべきである。4個以上のY基が存在する場合、それらはt−ブチルよりも立体障害であると解釈すべきである。
【0038】
本発明の文脈における立体障害は、本明細書では、チャップマン(Chapman)およびホール(Hall)によって1981年に刊行されたシーマスターズ(C.Masters)による「Homogenous Transition Metal Catalysis−A Gentle Art」の14頁(以下参照)に論じられている。
【0039】
トールマン(Tolman)(「Phosphorus Ligand Exchange Equilibria on Zerovalent Nickel.A Dominant Role for Steric Effects」、Journal of American Chemical Society、92巻、1970年、2956〜2965頁)は、Ni(O)錯体の安定性を主に決定する配位子の特性は、それらの電気的特徴よりもそれらの大きさであると結論付けている。
【0040】
基Yの相対的立体障害を決定するために、DSを決定するためのトールマンの方法を、前述の通りに決定される基のリン類似体に対して使用することができる。
Ni(CO)のトルエン溶液を、8倍過剰のリン配位子で処理し、その後、赤外スペクトルのカルボニル伸縮振動を用いて、配位子によってCOを置換した。溶液を、100°で64時間、封止管中で加熱することによって平衡化した。100°においてさらに74時間、さらに加熱しても、スペクトルに著しい変化はなかった。次いで、平衡化溶液のスペクトルのカルボニル伸縮帯域の周波数および強度を決定する。置換度は、相対強度から、および帯域の減衰係数が全て同程度の大きさであるという仮定から半定量的に推定することができる。例えば、P(C11の場合、Ni(CO)LのA帯域およびNi(CO)のB帯域は、およそ同じ強度であり、したがって置換度は1.5と推測される。この実験でそれぞれの配位子が区別できない場合、ジフェニルリンPPhHまたはジ−t−ブチルリンを、場合によってはPYH相当物と比較すべきである。またさらに、実験でやはり配位子が区別できない場合、PPhまたはP(Bu)配位子を、場合によってはPYと比較すべきである。かかるさらなる実験は、Ni(CO)錯体を完全に置換する小配位子を必要とし得る。
【0041】
基Yはまた、その円錐角への言及によって定義することができ、この円錐角は、本発明の文脈では、芳香環の中間点を中心とする円錐の頂角と定義され得る。中間点とは、環式環原子から等距離にある、環の平面における一点を意味する。
【0042】
好ましくは、少なくとも1つの基Yの円錐角または2つ以上のY基の円錐角の合計は、少なくとも10°、より好ましくは少なくとも20°、最も好ましくは少なくとも30°である。円錐角は、ここで円錐の頂角が芳香環の中間点を中心とするということを除き、トールマンの方法{C.A.Tolman Chem.Rev.77(1977年)、313〜348頁}に従って測定すべきである。このトールマン円錐角の使用の改変は、シクロペンタジエニルジルコニウムエテン重合触媒におけるものなどの立体作用を測定するための他の系で使用されている(Journal of Molecular Catalysis:Chemical 188、(2002年)、105〜113頁)。
【0043】
置換基Yは、QとQ原子の間の活性部位に対して立体障害をもたらすのに適した大きさになるように選択される。しかし、置換基が金属離脱を防止し、その挿入経路に案内し、一般により安定な触媒確認(confirmation)をもたらし、またはその他の方法で作用するかどうかは知られていない。
【0044】
特に好ましい配位子は、Yが−SR404142を表す場合に見られ、Sは、Si、C、N、S、Oまたはアリールを表し、R404142は、本明細書で以下に定義の通りである。好ましくは各Yおよび/または2個以上のY基の組合せは、t−ブチルと少なくとも同程度立体障害である。
【0045】
より好ましくは、1個の置換基Yしか存在しない場合、Yはt−ブチルと少なくとも同程度立体障害であり、2個以上の置換基Yが存在する場合、単一基としてみなされる場合にはそれらはそれぞれフェニルと少なくとも同程度立体障害であり、t−ブチルと少なくとも同程度立体障害である。
【0046】
好ましくは、Sがアリールである場合、R40、R41およびR42は、独立に、水素、アルキル、−BQ−X(X)(B、XおよびXは、本明細書で定義の通りであり、Qは、先のQまたはQとして定義される)、リン、アリール、アリーレン、アルカリール、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF、−SiR717273またはアルキルリンである。
【0047】
本明細書で言及されるR19〜R30は、独立に、水素、非置換または置換アリールあるいは非置換または置換アルキルから一般に選択することができ、さらにR21は、ニトロ、ハロ、アミノまたはチオであってよい。
【0048】
好ましくは、SがSi、C、N、SまたはOである場合、R40、R41およびR42は、独立に、水素、アルキル、リン、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF、−SiR717273またはアルキルリンであり、R40〜R42の少なくとも1つは、水素ではなく、R19〜R30は、本明細書で定義の通りであり、R71〜R73は、R40〜R42として定義されるが、好ましくはC〜Cアルキルまたはフェニルである。
【0049】
好ましくは、Sは、Si、Cまたはアリールである。しかし、組み合わせたY基の1つもしくは複数として、または多数のY基の場合には、N、SまたはOが好ましい場合もある。明確にするために記載すると、酸素または硫黄が2価であり得る場合、R40〜R42は孤立電子対であってもよい。
【0050】
好ましくは、基Yに加えて、芳香族構造は非置換であってよく、または可能な場合にはY(非芳香環原子上)、アルキル、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF、−SiR717273またはアルキルリンから選択される基でさらに置換されていてもよく、R19〜R30は本明細書で定義の通りであり、Yの場合、または最初の態様のYの定義を満たす基の場合、結合は、芳香族構造の非環式芳香族原子との結合であり、R71〜R73は、R40〜R42として定義されるが、好ましくはC〜Cアルキルまたはフェニルである。さらに、少なくとも1つの芳香環は、メタロセン錯体の一部であってよく、例えばRがシクロペンタジエニルまたはインデニルアニオンである場合、フェロセニル、ルテノシル(ruthenocyl)、モリブデノセニル(molybdenocenyl)またはインデニル相当物などの金属錯体の一部を形成することができる。
【0051】
かかる錯体は、本発明の文脈に含まれる芳香族構造とみなされるべきであり、したがって、それらが2つ以上の芳香環を含む場合、置換基(一又は複数)Yは、QおよびQ原子が結合するのと同じ芳香環またはその構造のさらなる芳香環上にあってよい。例えばメタロセンの場合、置換基Yは、メタロセン構造の任意の1つまたは複数の環上にあってよく、これは、QおよびQが結合するのと同じまたは異なる環であってよい。
【0052】
本明細書に定義の基Yで置換することができる適切なメタロセンの種類の配位子は、当業者に公知であり、国際公開第04/024322号において広範に定義されている。かかる芳香族アニオンに対して特に好ましいY置換基は、SがSiである場合のYである。
【0053】
しかし一般に、Sがアリールである場合、そのアリールは非置換であってよく、またはR40、R41、R42に加えて、先の芳香族構造について定義した追加の置換基のいずれかでさらに置換されていてもよい。
【0054】
本発明においてより好ましいY置換基は、−t−ブチルなどのt−アルキルまたはt−アルキル、アリール、または2−フェニルプロプ−2−イル、−SiMe、−フェニル、アルキルフェニル−、フェニルアルキル−あるいはホスフィノメチルなどのホスフィノアルキル−から選択することができる。
【0055】
好ましくは、SがSiまたはCであり、R40〜R42の1つまたは複数が水素である場合、R40〜R42の少なくとも1つは、必要な立体障害を得るのに十分嵩高くすべきであり、かかる基は、好ましくはリン、ホスフィノアルキル−、−t−ブチルなどの三級炭素担持基、−アリール、−アルカリール、−アラルキルまたは三級シリルである。
【0056】
好ましくは、ヒドロカルビル芳香族構造は、メタロセン錯体でない場合、置換基を含み5個から最大70個の環原子、より好ましくは5〜40個の環原子、最も好ましくは5〜22個の環原子、特に5個または6個の環原子を有する。
【0057】
好ましくは、ヒドロカルビル芳香族構造は、単環式または多環式であってよい。環式芳香族原子は、炭素またはヘテロであってよく、それらへの言及は、本明細書では、硫黄、酸素および/または窒素への言及である。しかし、QおよびQ原子が、少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接する環式炭素原子に結合していることが好ましい。一般に、環式ヒドロカルビル構造が多環式である場合、好ましくは二環式または三環式である。芳香族構造におけるさらなる環は、それら自体芳香族であってよく、そうでなくてもよく、芳香族構造はこれに従って理解されるべきである。本明細書に定義の非芳香族環式環(一又は複数)は、不飽和結合を含むことができる。環原子とは、環骨格の一部を形成する原子を意味する。
【0058】
好ましくは、架橋基−R(Yは、さらに置換されていても、その他であっても、好ましくは200個未満の原子、より好ましくは150個未満の原子、より好ましくは100個未満の原子を含む。
【0059】
芳香族構造のさらなる1つの芳香族環原子という用語は、該芳香族構造の任意のさらなる芳香族環原子を意味し、この環原子は、QまたはQ原子が連結基を介して結合している少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接環原子ではない。
【0060】
好ましくは、前記利用可能な隣接環原子のいずれかの側上の直接隣接した環原子は、好ましくは置換されていない。一例として、環上の1位を介してQ原子に結合し、環上の2位を介してQ原子に結合している芳香族フェニル環は、好ましくは、環の4位および/または5位で置換されている1つまたは複数の前記さらなる芳香環原子、ならびに3位および6位において置換されていない前記利用可能な隣接環原子に対して直接隣接した2つの環原子を有する。しかしこれは、例えば単に好ましい置換基配列に過ぎず、3位および6位における置換も可能である。
【0061】
芳香環という用語は、QまたはQ原子がそれぞれB及びAを介して結合している少なくとも1つの環が芳香族であることを意味し、この芳香族は、好ましくはフェニル、シクロペンタジエニルアニオン、ピロリル、ピリジニルの種類の構造だけでなく、前記環において自由に移動できる非局在化π電子を有する任意の環に見られるものなどの芳香性を有する他の環も含むと広範に解釈されるべきである。
【0062】
好ましい芳香環は、環に5個または6個の原子を有するが、[14]アヌレン、[18]アヌレンなどの4n+2π電子を有する環も可能である。
ヒドロカルビル芳香族構造Rは、ベンゼン−1,2ジイル、フェロセン−1,2−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、4または5メチルベンゼン−1,2−ジイル、1’−メチルフェロセン−1,2−ジイル、4および/または5−t−アルキルベンゼン−1,2−ジイル、4,5−ジフェニル−ベンゼン−1,2−ジイル、4および/または5−フェニル−ベンゼン−1,2−ジイル、4,5−ジ−t−ブチル−ベンゼン−1,2−ジイル、4または5−tブチルベンゼン−1,2−ジイル、2,3,4および/または5−t−アルキル−ナフタレン−8,9−ジイル、1H−インデン−5,6−ジイル、1,2および/または3メチル−1H−インデン−5,6−ジイル、4,7メタノ−1H−インデン−1,2−ジイル、1,2および/または3−ジメチル−1H−インデン5,6−ジイル、1,3−ビス(トリメチルシリル)−イソベンゾフラン−5,6−ジイル、4−(トリメチルシリル)ベンゼン−1,2ジイル、4−ホスフィノメチルベンゼン−1,2ジイル、4−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)ベンゼン−1,2ジイル、4−ジメチルシリルベンゼン−1,2ジイル、4−ジ−t−ブチル、メチルシリルベンゼン−1,2ジイル、4−(t−ブチルジメチルシリル)−ベンゼン−1,2ジイル、4−t−ブチルシリル−ベンゼン−1,2ジイル、4−(トリ−t−ブチルシリル)−ベンゼン−1,2ジイル、4−(2’−tert−ブチルプロプ−2’−イル)ベンゼン−1,2ジイル、4−(2’,2’,3’,4’,4’ペンタメチル−ペント−3’−イル)−ベンゼン−1,2ジイル、4−(2’,2’,4’,4’−テトラメチル、3’−t−ブチル−ペント−3’−イル)−ベンゼン−1,2ジイル、4−(または1’)t−アルキルフェロセン−1,2−ジイル、4,5−ジフェニル−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)フェニル−フェロセン−1,2−ジイル、4,5−ジ−t−ブチル−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)t−ブチルフェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)ホスフィノメチルフェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(2’−フェニルプロプ−2’−イル)フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)ジメチルシリルフェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)ジ−t−ブチル,メチルシリルフェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(t−ブチルジメチルシリル)−フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)t−ブチルシリル−フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(トリ−t−ブチルシリル)−フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(2’−tert−ブチルプロプ−2’−イル)フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(2’,2’,3’,4’,4’ペンタメチル−ペント−3’−イル)−フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(2’,2’,4’,4’−テトラメチル,3’−t−ブチル−ペント−3’−イル)−フェロセン−1,2ジイルから選択することができる。
【0063】
本明細書において、可能な2つ以上の立体異性体が存在する構造は、かかる全ての立体異性体が企図される。
前述の通り、幾つかの実施形態では、芳香族構造のさらなる芳香環原子上の前記Yおよび/または非Y置換基の2つ以上が存在していてもよい。場合によって、前記2つ以上の置換基は、特にそれら自体が隣接する環式芳香族原子上にある場合、それらが組み合わさって、脂環式環構造などのさらなる環構造を形成することができる。
【0064】
かかる脂環式環構造は、飽和または不飽和、架橋または非架橋であってよく、アルキル、本明細書に定義のY基、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)N(R27)R28、−CF、−SiR717273またはホスフィノアルキルで置換されていてもよく(存在する場合、R40〜R42の少なくとも1つは水素ではなく、R19〜R30は、本明細書で定義の通りであり、R71〜R73は、R40〜R42として定義されるが、好ましくはC〜Cアルキルまたはフェニルである)、ならびに/あるいは1つもしくは複数の(好ましくは合計4つ未満)の酸素、窒素、硫黄、ケイ素原子によって、またはシラノもしくはジアルキルシリコン基またはそれらの混合物によって遮断されていてもよい。
【0065】
かかる構造の例には、ピペリジン、ピリジン、モルホリン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、フラン、ジオキサン、アルキルで置換されているDIOP、2−アルキルで置換されている1,3ジオキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、1,4ジチアン、ピペリジン、ピロリジン、チオモルホリン、シクロへキセノン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、アダマンタン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロ−フラン−2−オン、デルタバレロラクトン、γ−ブチロラクトン、グルタル酸無水物、ジヒドロイミダゾール、トリアザシクロノナン、トリアザシクロデカン、チオアゾリジン、ヘキサヒドロ−1H−インデン(5,6ジイル)、オクタヒドロ−4,7メタノ−インデン(1,2ジイル)およびテトラヒドロ−1H−インデン(5,6ジイル)が含まれ、これら全ては、本明細書でアリールに関して定義した通り、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0066】
しかし、基の組合せを形成しようとその他であろうと、QまたはQが前記連結基を介して結合している前記利用可能な隣接環原子のいずれかの側上の直接隣接した芳香環原子が非置換であることが好ましく、好ましい置換基は、少なくとも1つの芳香環上のどこか、または芳香族構造が2つ以上の芳香環を含む場合にはその芳香族構造のどこかにあり、Y置換基の組合せの好ましい位置はこれに従って理解されるべきである。
【0067】
本発明に含まれる非置換および置換芳香族架橋二座配位子の非限定的な具体例は、特許請求の範囲に記載されている。
あるいは、非置換および置換芳香族架橋二座配位子のさらなる例には、前述のo−トリル配位子のフェニル、イソプロピル、o−エチルフェニルおよびo−メトキシフェニル類似体、即ち1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン等が含まれる。
【0068】
配位子の先の一覧において、「ホスフィノメチル−アダマンチル」という用語は、以下の基のいずれか1つを意味する。2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル、2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル、2−ホスフィノメチルペルフルオロ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシルまたは2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル。
【0069】
配位子の先の一覧において、「ホスファ−アダマンチル」という用語は、以下の基のいずれか1つを意味する。2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル、2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル、ペルフルオロ(2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシルまたは2−ホスファ−1,3,5−トリ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル。
【0070】
明確にするために記載すると、2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル等の構造は、以下の通りである。
【0071】
【化2】

【0072】
同様に、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシルの構造は、以下の通りである。
【0073】
【化3】

【0074】
全ての場合において、リンがホスファ−アダマンチル骨格の2つの三級炭素原子に結合していると理解されよう。
本発明の配位子の選択された構造には、以下の、
【0075】
【化4】

【0076】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン、
【0077】
【化5】

【0078】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)フェロセン、
【0079】
【化6】

【0080】
1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン、
【0081】
【化7】

【0082】
(式中、oT|y|はo−トリルを表す)
1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン、
【0083】
【化8】

【0084】
1−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、
【0085】
【化9】

【0086】
1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセンが含まれる。
配位子の先例の構造では、X〜X三級炭素担持基、Qおよび/またはQ基のリンに結合しているt−ブチルの1つまたは複数は、適切な代替によって置き換えることができる。好ましい代替は、アダマンチル、1,3ジメチルアダマンチル、コングレシル(congressyl)、ノルボルニルまたは1−ノルボンジエニル(norbondienyl)であり、あるいはXとXは共におよび/またはXとXは共に、リンと一緒になって、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキソアダマンチル(trioxadamantyl)または2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキソアダマンチルなどの2−ホスファ−トリシクロ[3.3.1.1{3,7}デシル基を形成する。大部分の実施形態では、X〜X基またはX/XおよびX/X基の組合せが同じであることが好ましいが、本発明では一般に、これらの選択された配位子の活性部位の周りに非対称をもたらすために、異なる基を使用することも有利になり得る。
【0087】
同様に、連結基AまたはBの一方は、先の構造の幾つかに示されている通り存在しなくてもよく、したがって唯一のAまたはBがメチレンであり、メチレン基に結合していないリン原子は、リン原子間に3つの炭素架橋をもたらす環炭素に直接結合している。
【0088】
置換基X1〜4
特許請求の範囲に定義されている制限を前提として、置換基X1〜4は、様々な基を表すことができる。例えば、基XはCH(R)(R)を表すことができ、XはCH(R)(R)を表すことができ、XはCR(R)(R)を表すことができ、XはCR10(R11)(R12)を表すことができ、R〜Rは、水素、アルキル、アリールまたはhetを表し、R〜R12は、アルキル、アリールまたはhetを表す。あるいは、XはArを表し、および/またはXはArを表す。好ましくは、Xおよび/またはXがArを表す場合、その基は、C〜Cアルキル基、O−C〜Cアルキル基、−CN、−F、−Si(アルキル)、−COOアルキル、−C(O)−または−CFによって置換されている。好ましくは、Ar基は、Qに結合した環炭素に隣接している炭素において、即ちフェニル環のオルト位において置換されている。
【0089】
特に好ましいのは、有機基R〜Rおよび/またはR10〜R12、あるいはR〜R12が、それらのそれぞれの三級炭素原子(一又は複数)と結合する場合に、t−ブチル(一又は複数)と少なくとも同程度立体障害である複合基を形成する場合である。
【0090】
立体基は、環式、部分的環式または非環式であってよい。環式または部分的環式である場合、その基は、置換であっても非置換であってもよく、または飽和であっても不飽和であってもよい。環式または部分的環式基は、好ましくはその環構造に、三級炭素原子(一又は複数)を含みC〜C34、より好ましくはC〜C24、最も好ましくはC10〜C20の炭素原子を含有することができる。環式構造は、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、アリールまたはHetから選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよく(R19〜R30は、独立に、水素、アリールまたはアルキルを表す)、ならびに/あるいは1つもしくは複数の酸素もしくは硫黄原子によって、またはシラノもしくはジアルキルシリコン(silcon)基によって遮断されていてもよい。
【0091】
特に、環式である場合、Xおよび/またはXはコングレシル、ノルボルニル、1−ノルボルナジエニルまたはアダマンチルを表すことができる。
およびXは、それらが結合するQと一緒になって、場合によって置換されている2−Q1−トリシクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基もしくはその誘導体を形成することができ、またはXおよびXは、それらが結合するQと一緒になって、式1bの環系を形成することができる。
【0092】
【化10】

【0093】
あるいは、基Xおよび/またはXの1つまたは複数は、配位子が結合する固相を表すことができる。
特に好ましいのは、XおよびXが同じであり、XおよびXが同じである場合である。
【0094】
好ましい実施形態では、R〜Rは、独立に、水素、アルキル、アリールまたはHetを表し、R〜R12は、独立に、アルキル、アリールまたはHetを表し、
19〜R30は、独立に、水素、アルキル、アリールまたはHetを表し、
49およびR54は、存在する場合、独立に、水素、アルキルまたはアリールを表し、
50〜R53は、存在する場合、独立に、アルキル、アリールまたはHetを表し、
YYは、存在する場合、独立に、酸素、硫黄またはN−R55を表し、R55は水素、アルキルまたはアリールを表す。
【0095】
好ましくは、R〜RおよびR〜R12は、水素でない場合、独立に、アルキルまたはアリールを表す。より好ましくは、R〜RおよびR〜R12は、独立に、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルフェニル(フェニル基は、本明細書に定義のアリールで場合によって置換されている)またはフェニル(フェニル基は、本明細書に定義のアリールで場合によって置換されている)を表す。さらにより好ましくは、R〜RおよびR〜R12は、独立にC〜Cアルキルを表し、これは場合によって、本明細書に定義のアルキルで場合によって置換されている。最も好ましくは、R〜RおよびR〜R12はそれぞれ、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシル、特にメチルなどの非置換C〜Cアルキルを表す。
【0096】
本発明の特に好ましい1実施形態では、R、RおよびR10はそれぞれ、本明細書で定義の同じアルキル、アリールまたはHet部分を表し、R、R、RおよびR11はそれぞれ、本明細書で定義の同じアルキル、アリールまたはHet部分を表し、R、RおよびR12はそれぞれ、本明細書で定義の同じアルキル、アリールまたはHet部分を表す。より好ましくはR、RおよびR10はそれぞれ、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはシクロヘキシルなどの同じC〜Cアルキル、特に非置換C〜Cアルキルを表し、R、R、RおよびR11は、独立に、上記で定義の同じC〜Cアルキルを表し、R、RおよびR12は、独立に、上記で定義の同じC〜Cアルキルを表す。例えば、R、RおよびR10はそれぞれメチルを表し、R、R、RおよびR11はそれぞれエチルを表し、R、RおよびR12はそれぞれn−ブチルまたはn−ペンチルを表す。
【0097】
本発明の特に好ましい1実施形態では、各R〜RおよびR〜R12基は、本明細書で定義の同じアルキル、アリールまたはHet部分を表す。好ましくは、アルキル基である場合、各R〜R12は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルなどの同じC〜Cアルキル基、特に非置換C〜Cアルキルを表す。より好ましくは、各R〜R12は、メチルまたはtert−ブチル、最も好ましくはメチルを表す。
【0098】
式Iの化合物においてAおよびBが表す「低級アルキレン」という用語は、本明細書で使用される場合、基上の2つの位置において結合して、それによって基QまたはQをR基に結合することができるC〜C10基を含み、そうでなければ以下の「アルキル」と同様に定義される。それでもなおメチレンが最も好ましい。AおよびBに関して任意選択の場合には、基QまたはQがR基に直接結合することができ、中間体としてのC〜C10低級アルキレン基が存在しないという選択肢があることを意味する。しかしこの場合、AおよびBの少なくとも一方は、場合によって削除されていず、C〜C10低級アルキレンであることが好ましい。いずれの場合も、基AまたはBの一方が場合によって存在しない場合、好ましくは他の基が存在し、該他の基が本明細書に定義のC〜C10基を表すことができ、したがってAおよびBの少なくとも一方がC〜C10「低級アルキレン」基であることが好ましい。
【0099】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指定されない限りC〜C10アルキルを意味し、それにはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびへプチル基が含まれる。別段特定されない限り、アルキル基は、十分な数の炭素原子が存在する場合、直鎖または分岐(特に好ましい分岐基は、t−ブチルおよびイソプロピルを含む)、飽和または不飽和、環式、非環式または部分的環式/非環式、非置換であってよく、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換Hetから選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよく、それらで終端していてもよく(R19〜R30は、独立に、水素、ハロ、非置換もしくは置換アリールまたは非置換もしくは置換アルキルを表し、あるいはR21の場合には、ハロ、ニトロ、シアノおよびアミノを表す)、ならびに/あるいは1つもしくは複数の(好ましくは4つ未満)酸素、硫黄、ケイ素原子によって、またはシラノもしくはジアルキルシリコン基またはそれらの混合物によって遮断されていてもよい。
【0100】
「Ar」または「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、フェニル、シクロペンタジエニルおよびインデニルアニオンならびにナフチルなどの、5〜10員の、好ましくは5〜8員の炭素環式芳香族または疑似芳香族基を含み、この基は、非置換であってよく、あるいは非置換または置換アリール、アルキル(この基は、本明細書で定義の通り、それ自体非置換であってもよく、置換されていてもよく、終端していてもよい)、Het(この基は、本明細書で定義の通り、それ自体非置換であってもよく、置換されていてもよく、終端していてもよい)、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30またはC(S)NR2728から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、R19〜R30は、独立に、水素、非置換もしくは置換アリールまたはアルキル(このアルキル基は、本明細書で定義の通り、それ自体非置換であってもよく、置換されていてもよく、終端していてもよい)を表し、あるいはR21の場合は、ハロ、ニトロ、シアノまたはアミノを表す。
【0101】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、C〜C10アルケニルを意味し、それには、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニル基が含まれる。別段特定されない限り、アルケニル基は、十分な数の炭素原子が存在する場合、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環式、非環式または部分的環式/非環式、非置換であってよく、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換Hetから選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよく、それらで終端していてもよく(R19〜R30は、アルキルについての先の定義の通りである)、ならびに/あるいは1つもしくは複数の(好ましくは4つ未満)酸素、硫黄、ケイ素原子によって、またはシラノもしくはジアルキルシリコン基またはそれらの混合物によって遮断されていてもよい。
【0102】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、C〜C10アルキニルを意味し、それには、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニル基が含まれる。別段特定されない限り、アルキニル基は、十分な数の炭素原子が存在する場合、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環式、非環式または部分的環式/非環式、非置換であってよく、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30、C(S)NR2728、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換Hetから選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよく、それらで終端していてもよく(R19〜R30は、アルキルについて先に定義の通りである)、ならびに/あるいは1つもしくは複数の(好ましくは4つ未満)酸素、硫黄、ケイ素原子によって、またはシラノもしくはジアルキルシリコン基またはそれらの混合物によって遮断されていてもよい。
【0103】
「アルキル」、「アラルキル」、「アルカリール」、「アリーレンアルキル」等という用語は、反対の情報がない場合には、基のアルキルまたはalk部分に関する限り「アルキル」の先の定義に従うと解釈されるべきである。
【0104】
先のArまたはアリール基は、1つまたは複数の共有結合によって結合することができるが、「アリーレン」または「アリーレンアルキル」等への言及は、本明細書では2つの共有結合連結と理解されるべきであり、そうでなければ基のアリーレン部分に関する限り、先のArまたはアリールとして定義されるべきである。「アルカリール」、「アラルキル」等への言及は、基のArまたはアリール部分に関する限り、先のArまたはアリールへの言及と解釈されるべきである。
【0105】
前述の基を置換または終端することができるハロ基には、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが含まれる。
「Het」という用語は、本明細書で使用される場合、4〜12員の、好ましくは4〜10員の環系を含み、その環は、窒素、酸素、硫黄およびそれらの混合物から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有し、その環は、二重結合を全く含有しておらず、または1つもしくは複数の二重結合を含有し、あるいは非芳香族、部分的に芳香族もしくは完全に芳香族の性質であってよい。環系は、単環式、二環式であってよく、または縮合していてもよい。本明細書で同定されている各「Het」基は、非置換であってよく、またはハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、アルキル(このアルキル基は、本明細書で定義の通り、それ自体非置換であってもよく、置換されていてもよく、終端していてもよい)−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30または−C(S)N(R27)R28から選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよく、R19〜R30は、独立に、水素、非置換もしくは置換アリールまたはアルキル(このアルキル基は、本明細書で定義の通り、それ自体非置換であってもよく、置換されていてもよく、終端していてもよい)を表し、あるいはR21の場合は、ハロ、ニトロ、アミノまたはシアノを表す。したがって「Het」という用語は、場合によって置換されているアゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリル、インドリル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリダジニル、モルホルニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピペリジニル、ピラゾリルおよびピペラジニルなどの基を含む。Hetの置換は、Het環の炭素原子において、または適切な場合にはヘテロ原子の1つもしくは複数において行うことができる。
【0106】
「Het」基は、Nオキシドの形態であってもよい。
本明細書で言及した通り、その用語は、窒素、酸素、硫黄またはそれらの混合物を意味する。
【0107】
アダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル(norborndienyl)基は、場合によって、水素原子以外に、アルキル、−OR19、−OC(O)R20、ハロ、ニトロ、−C(O)R21、−C(O)OR22、シアノ、アリール、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−C(S)N(R27)R28、−SR29、−C(O)SR30、−CF、−P(R56)R57、−PO(R58)(R59)、−PO、−PO(OR60)(OR61)または−SO62から選択される1つまたは複数の置換基を含むことができ、R19〜R30、アルキル、ハロ、シアノおよびアリールは、本明細書に定義の通りであり、R56〜R62は、独立に、水素、アルキル、アリールまたはHetを表す。
【0108】
適切には、アダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基が先に定義の1つまたは複数の置換基で置換されている場合、かなり好ましい置換基には、非置換C〜Cアルキル、−OR19、−OC(O)R20、フェニル、−C(O)OR22、フルオロ、−SOH、−N(R23)R24、−P(R56)R57、−C(O)N(R25)R26および−PO(R58)(R59)、−CFが含まれ、R19は、水素、非置換C〜Cアルキルまたはフェニルを表し、R20、R22、R23、R24、R25、R26は、独立に、水素または非置換C〜Cアルキルを表し、R56〜R59は、独立に、非置換C〜Cアルキルまたはフェニルを表す。特に好ましい1実施形態では、置換基は、C〜Cアルキル、より好ましくは1,3ジメチルアダマンチルに見られるものなどのメチルである。
【0109】
適切には、アダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基は、水素原子以外に先に定義の最大10個の置換基、好ましくは先に定義の最大5個の置換基、より好ましくは先に定義の最大3個の置換基を含むことができる。適切には、アダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基が、水素原子以外に本明細書で定義の1つまたは複数の置換基を含む場合、好ましくは、各置換基は同一である。好ましい置換基は、非置換C〜Cアルキルおよびトリフルオロメチル、特にメチルなどの非置換C〜Cアルキルである。かなり好ましいアダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基は、水素原子のみを含み、即ちアダマンチル コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基は置換されていない。
【0110】
好ましくは、2つ以上のアダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基が式Iの化合物に存在する場合、かかる各基は同一である。
2−Q−トリシクロ[3.3.1.1.{3,7}]デシル基(便宜上、これ以降2−メタ−アダマンチルがヒ素、アンチモンまたはリン原子であるQを参照している2−メタ−アダマンチル基、即ち2−arsa−アダマンチルおよび/または2−stiba−アダマンチルおよび/または2−ホスファ−アダマンチル、好ましくは2−ホスファ−アダマンチルと呼ぶ)は、場合によって水素原子以外に1つまたは複数の置換基を含むことができる。適切な置換基には、アダマンチル基に関して本明細書に定義の置換基が含まれる。かなり好ましい置換基には、アルキル、特に非置換C〜Cアルキル、特にメチル、トリフルオロメチル、−OR19が含まれ(R19は本明細書で定義の通りである)、特に非置換C〜Cアルキルまたはアリールおよび4−ドデシルフェニルである。2−メタ−アダマンチル基が2つ以上の置換基を含む場合、好ましくは、各置換基は同一である。
【0111】
好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、1、3、5または7位の1つまたは複数において本明細書に定義の置換基で置換されている。より好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、1、3および5位のそれぞれにおいて置換されている。適切には、かかる配列は、2−メタ−アダマンチル基のQ原子が、水素原子を有していないアダマンチル骨格の炭素原子に結合していることを意味する。最も好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、1、3、5または7位のそれぞれにおいて置換されている。2−メタ−アダマンチル基が2つ以上の置換基を含む場合、好ましくは、各置換は同一である。特に好ましい置換基は、非置換C〜Cアルキルおよびハロアキル(haloakyl)、特にメチルなどの非置換C〜Cアルキルおよびトリフルオロメチルなどのフッ素化C〜Cアルキルである。
【0112】
好ましくは、2−メタ−アダマンチルは、非置換2−メタ−アダマンチルまたは1つもしくは複数の非置換C〜Cアルキル置換基で置換されている2−メタ−アダマンチル、またはその組合せを表す。
【0113】
好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、2−メタ−アダマンチル骨格において2−Q原子以外の追加のヘテロ原子を含む。適切な追加のヘテロ原子には、酸素および硫黄原子、特に酸素原子が含まれる。より好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、6、9および10位において1つまたは複数の追加のヘテロ原子を含む。さらにより好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、6、9および10位のそれぞれにおいて追加のヘテロ原子を含む。最も好ましくは、2−メタ−アダマンチル基が2−メタ−アダマンチル骨格において2つ以上の追加のヘテロ原子を含む場合、追加のヘテロ原子のそれぞれは同一である。好ましくは、2−メタ−アダマンチルは、2−メタ−アダマンチル骨格に1つまたは複数の酸素原子を含む。特に好ましい2−メタ−アダマンチル基は、本明細書に定義の1つまたは複数の置換基で場合によって置換されていてもよく、2−メタ−アダマンチル骨格の6、9および10位のそれぞれに酸素原子を含む。
【0114】
本明細書に定義のかなり好ましい2−メタ−アダマンチル基には、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキソアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキソアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキソアダマンチル基および2−ホスファ−1,3,5−トリ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキソアダマンチル基が含まれる。最も好ましくは、2−ホスファ−アダマンチルは、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキソアダマンチル基または2−ホスファ−1,3,5、−トリメチル−6,9,10−トリオキソアダマンチル基から選択される。
【0115】
2−メタ−アダマンチル基は、当業者に周知の方法によって調製することができる。適切には、幾つかの2−ホスファ−アダマンチル化合物は、カナダのCytec Canada Inc.から入手できる。同様に、式Iの相当する2−メタ−アダマンチル化合物等は、同供給者から得ることができ、または類似の方法によって調製することができる。
【0116】
特許請求の範囲を前提として、その限定例である本発明の好ましい実施形態には、
がCR(R)(R)を表し、XがCR10(R11)(R12)を表し、XがCH(R)(R)を表し、XがCR(R)Hを表し、
がCR(R)(R)を表し、XがCR10(R11)(R12)を表し、XおよびX
【0117】
【化11】

【0118】
を表し、
がCR(R)(R)を表し、Xがアダマンチルを表し、XおよびX
【0119】
【化12】

【0120】
を表し、
がCR(R)(R)を表し、Xがアダマンチルを表し、XがCH(R)(R)を表し、XがCR(R)Hを表し、
がCR(R)(R)を表し、Xがコングレシルを表し、XがCH(R)(R)を表し、XがCR(R)Hを表し、
がCR(R)(R)を表し、Xがコングレシルを表し、XおよびX
【0121】
【化13】

【0122】
を表し、
およびXが独立に、アダマンチルを表し、XおよびX
【0123】
【化14】

【0124】
を表し、
およびXが独立に、アダマンチルを表し、XがCH(R)(R)を表し、XがCR(R)Hを表し、
およびXが、それらが結合するQと一緒になって、式1bの環系を形成することができ、
【0125】
【化15】

【0126】
がCH(R)(R)を表し、XがCR(R)Hを表し、
およびXが独立に、コングレシルを表し、XおよびX
【0127】
【化16】

【0128】
を表し、
およびXが、それらが結合するQと一緒になって、式1bの環系を形成することができ、
【0129】
【化17】

【0130】
およびX
【0131】
【化18】

【0132】
を表し、
およびXが独立に、コングレシルを表し、XがCH(R)(R)を表し、XがCR(R)Hを表し、
およびXが、それらが結合するQと一緒になって、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し、XがCH(R)(R)を表し、XがCR(R)Hを表し、
およびXが、それらが結合するQと一緒になって、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し、XおよびX
【0133】
【化19】

【0134】
を表すものが含まれる。
本発明のかなり好ましい実施形態には、
がCR(R)(R)を表し、XがCR10(R11)(R12)を表し、XがCH(R)(R)を表し、XがCH(R)(R)を表し、特にR〜R12がメチルであり、
がCR(R)(R)を表し、XがCR10(R11)(R12)を表し、XおよびX
【0135】
【化20】

【0136】
を表すものが含まれる。
好ましくは、式Iの化合物においてXはXと同一であり、および/またはXはXと同一である。
【0137】
本発明において特に好ましい組合せには、
(1)XがCR(R)(R)を表し、XがCR10(R11)(R12)を表し、XおよびX
【0138】
【化21】

【0139】
を表し、
AおよびBが同じであり、−CH−を表し、
およびQ両方が、環の1位または2位においてR基と結合しているリンを表し、
(2)XがCR(R)(R)を表し、XがCR10(R11)(R12)を表し、XがCH(R)(R)を表し、XがCH(R)(R)を表し、
AおよびBが同じであり、−CH−を表し、
およびQ両方が、環の1位または2位においてR基と結合しているリンを表し、
(3)XおよびXが、それらが結合するQと一緒になって、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し、XおよびX
【0140】
【化22】

【0141】
を表し、
AおよびBが同じであり、−CH−を表し、
およびQ両方が、環の1位または2位においてR基と結合しているリンを表し、
(4)XおよびXが、アダマンチルを表し、XおよびX
【0142】
【化23】

【0143】
を表し、
AおよびBが同じであり、−CH−を表し、
およびQ両方が、環の1位または2位においてR基と結合しているリンを表すものが含まれる。
【0144】
好ましくは、先の実施形態において、R〜Rはメチルまたはエチルである。
好ましくは、式Iの化合物において、AおよびBは独立に、本明細書に定義の通り、例えばアルキル基で場合によって置換されているC〜Cアルキレンを表す。好ましくは、AおよびBが表す低級アルキレン基は非置換である。AおよびBが独立に表すことができる特に好ましいアルキレンは、−CH−または−C−である。最も好ましくは、AおよびBのそれぞれは、本明細書に定義の同じアルキレン、特に−CH−を表す。あるいは、AおよびBの一方は削除されており、即ちQまたはQは、基Rに直接結合しており、他のQ基は、基Rに直接結合しておらず、C〜Cアルキレン、好ましくは−CH−または−C−、最も好ましくは−CH−である。
【0145】
式Iのまたさらに好ましい化合物には、R〜RおよびR〜R12がアルキルであり、同じであり、好ましくはそれぞれC〜Cアルキル、特にメチルを表すものが含まれる。
【0146】
式Iの特に好ましい特定の化合物には、各R〜R12が同じであり、メチルを表し、AおよびBが同じであり、−CH−を表し、Rがベンゼン−1,2−ジイルを表すものが含まれる。
【0147】
明確にするために記載すると、本明細書における第8族、第9族または第10族金属への言及は、現在の周期表の命名法における第8族、第9族および第10族を含むと解釈されるべきである。「第8族、第9族または第10族」という用語については、好ましくはRu、Rh、Os、Ir、PtおよびPdなどの金属が選択される。好ましくは、金属は、Ru、PtおよびPdから選択される。より好ましくは、金属はPdである。
【0148】
かかる第8族、第9族または第10族金属の適切な化合物には、かかる金属と、硝酸;硫酸;酢酸およびプロピオン酸などの低級アルカン(最大C12)酸;メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸、t−ブチルスルホン酸および2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのスルホン酸;スルホン化イオン交換樹脂(低い酸濃度のスルホン樹脂を含む) 過塩素酸などの過ハロ酸;トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸などのハロゲン化カルボン酸;オルトリン酸;ベンゼンホスホン酸などのホスホン酸;ならびにルイス酸とブレンステッド酸の間の相互作用から得られる酸との塩、またはそれらの酸由来の弱配位アニオンを含む化合物が含まれる。適切なアニオンを提供できる他の供給源には、場合によってハロゲン化されているテトラフェニルホウ酸塩誘導体、例えばパーフルオロテトラフェニルホウ酸塩が含まれる。さらに、ゼロ価のパラジウム錯体、特に不安定な配位子を有するもの、例えばトリフェニルホスフィンまたはジベンジリデンアセトンもしくはスチレンなどのアルケンまたはトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを使用することができる。先のアニオンは、金属の化合物として直接導入することができるが、好ましくは独立に、金属または金属化合物の触媒系が導入されるべきである。
【0149】
アニオンは、18℃の希釈水溶液中、6未満、より好ましくは5未満、最も好ましくは4未満のpKaを有する酸、反応を妨害しないカチオンを有する塩、例えば金属塩またはアルキルアンモニウムなどの大部分が有機の塩、および反応条件下で開裂してその場でアニオンを生成することができるエステルなどの前駆体の1つまたは複数から得ることができ、またはそれらとして導入することができる。適切な酸および塩には、先に列挙した酸および塩が含まれる。
【0150】
アルコキシカルボニル化にとって特に好ましい酸促進剤は、スルホン化イオン交換樹脂を含むスルホン酸および先に列挙したカルボン酸である。使用できる低濃度の酸のイオン交換樹脂は、好ましくは反応において35mol/mol未満、より好ましくは25mol/mol未満、最も好ましくは15mol/mol未満の反応のSOH/Pd比の濃度をもたらす。樹脂によってもたらされるSOH濃度の一般的な範囲は、1〜40mol/molのPd、より一般的には2〜30mol/molのPd、最も一般的には3〜20mol/molのPdの範囲である。
【0151】
一般的に、反応に適したアニオン(一又は複数)を選択することができる。幾つかのエチレン性不飽和化合物は、他よりもアニオンの酸のpKaに対してより感受性が高く、条件および溶媒は、当業者の公知の範囲内で適切に変えることができる。例えばブタジエンカルボニル化では、アニオンの酸のpKaは、18℃において希釈水溶液中2を超えるべきであり、より好ましくは2および5の間のpkaを有する。
【0152】
カルボニル化反応において、存在するアニオンの量は、触媒系の触媒挙動にとって重要ではない。アニオンと第8族、第9族または第10族金属または化合物のモル比は、1:1〜10000:1、好ましくは10:1〜2000:1、特に100:1〜1000:1であってよい。アニオンが酸および塩によって提供される場合、酸と塩の相対的割合は重要ではない。しかし、アニオンが酸によって提供され、または酸によって部分的に提供される場合、酸と第8族、第9族または第10族金属の比は、好ましくはアニオンと金属または先の化合物と同じ比である。Hは、1モルの一塩基酸が1モルのHを有し、1モルの二塩基酸が2モルのHを有し、三塩基酸等がこれに従って解釈されるような、活性な酸性部位の量を意味する。同様にC2+は、2カチオン電荷を有するモル数の金属を意味し、したがってMイオンについて金属カチオンの比は、これに従って調節されるべきである。例えば、Mカチオンは、M1モル当たり0.5モルのC2+を有すると解釈されるべきである。
【0153】
アルコキシカルボニル化反応において、好ましくは、二座配位子と酸の比は、少なくとも1:2mol/mol(H)であり、好ましくは二座配位子と第8族、第9族または第10族金属の比は、少なくとも1:1mol/mol(C2+)である。好ましくは、配位子は、金属のmol/mol(C2+)を超え、好ましくは酸との比は1:2mol/mol(H)を超える。過剰の配位子は、配位子自体が塩基として作用して、反応における酸濃度を緩衝し、基材の劣化を防止できるので有利である。一方、酸の存在は、反応混合物を活性化し、反応の全体的な速度を改善する。
【0154】
ヒドロキシカルボニル化反応において、好ましくは、二座配位子と酸の比は、少なくとも1:2mol/mol(H)であり、好ましくは二座配位子と第8族、第9族または第10族金属の比は、少なくとも1:1mol/mol(C2+)である。好ましくは、配位子は、金属のmol/mol(C2+)を超える。過剰の配位子は、配位子自体が塩基として作用して、反応における酸濃度を緩衝し、基材の劣化を防止できるので有利となり得る。一方、酸の存在は、反応混合物を活性化し、反応の全体的な速度を改善する。
【0155】
言及した通り、本発明の触媒系は、均一系に、または不均一系に使用することができる。好ましくは、触媒系は均一系に使用される。
適切には、本発明の方法は、一酸化炭素およびヒドロキシル基含有化合物および場合によってアニオン供給源の存在下で、エチレン性不飽和化合物のカルボニル化を触媒するために使用できる。本発明の配位子は、エチレン、プロピレン、1,3−ブタジエン、ペンテンニトリルおよびオクテンカルボニル化などのカルボニル化において、驚くほど高いTONをもたらす。その結果、カルボニル化法の商業化は、本発明の方法を使用することによって増大することになる。
【0156】
有利には、エチレン性不飽和化合物のカルボニル化等における本発明の触媒系の使用は、特にアルコキシカルボニル化およびヒドロキシカルボニル化にとって良好な速度も付与する。
【0157】
本発明の方法は、バッチ法または連続法であってよい。しかし、本発明の配位子に対する老化試験では、配位子は、崩壊に対して驚くべき耐性があり、数回の再利用後にも活性を維持することが見出された。したがって本発明の方法は、特に連続法に適している。
【0158】
特許請求の範囲を前提として、本明細書におけるエチレン性不飽和化合物への言及は、アルケン、アルキン、コンジュゲートおよび非コンジュゲートジエン、官能性アルケン等に見られるものなどの、化合物の任意の1つまたは複数の不飽和C−C結合(一又は複数)を含むと解釈されるべきである。
【0159】
本発明に適したエチレン性不飽和化合物は、分子1個当たり2〜50個の炭素原子を有するエチレン性不飽和化合物またはその混合物である。適切なエチレン性不飽和化合物は、分子1個当たり1つまたは複数の単離した、またはコンジュゲートした不飽和結合を有することができる。好ましいのは、2〜20個の炭素原子を有する化合物またはその混合物であるが、より好ましいのは、最大18個の炭素原子、さらにより好ましくは最大16個の炭素原子を有する化合物であり、またさらに好ましい化合物は、最大10個の炭素原子を有する。好ましい群の方法において、エチレン性不飽和化合物は、オレフィンまたはオレフィンの混合物である。適切なエチレン性不飽和化合物には、アセチレン、メチルアセチレン、プロピルアセチレン、1,3−ブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ペンテンニトリル、メチル3−ペンテノアートなどのアルキルペンテノアート(pentenoate)、ペンテン酸(2−および3−ペンテン酸など)、ヘプテン、オクテン、ドデセンが含まれる。
【0160】
特に好ましいエチレン性不飽和化合物は、エチレン、1,3−ブタジエン、アルキルペンテノアート、ペンテンニトリル、ペンテン酸(3ペンテン酸など)、アセチレン、ヘプテン、ブチレン、オクテン、ドデセンおよびプロピレンである。
【0161】
特に好ましいエチレン性不飽和化合物は、エチレン、プロピレン、ヘプテン、オクテン、ドデセン、1,3−ブタジエンおよびペンテンニトリルである。
またさらに、内部二重結合および/または飽和炭化水素を含む分岐アルケンを含有するアルケンの混合物をカルボニル化することが可能である。例としては、ラフィネート1、ラフィネート2、ならびに分解装置から得られた他の混合流、またはアルケン二量化(ブテン二量化が、1つの具体例である)およびフィッシャートロプシュ反応から得られた混合流がある。
【0162】
本明細書におけるエチレン性不飽和化合物への言及は、酢酸ビニルおよび他の官能化アルケンを含むビニルエステルを除く。
本明細書の式(例えば式I)の化合物が、定義の通りのアルケニル基またはシクロアルキル部分を含有する場合、cis(E)およびtrans(Z)異性も生じ得る。本発明は、本明細書で定義の式のいずれかの化合物の個々の立体異性体、ならびに適切な場合にはその個々の互変異性体を、その混合物と一緒に含む。立体異性体またはcisおよびtrans異性体の分離は、従来技術によって、例えば諸式の1つの化合物またはその適切な塩もしくは誘導体の立体異性体混合物の分別結晶、クロマトグラフィーまたはH.P.L.C.によって達成することができる。諸式の1つの化合物の個々のエナンチオマーは、対応する光学的に純粋な中間体から調製することができ、あるいは適切なキラル支持体を使用する対応するラセミ体のH.P.L.C.、または適切な場合には対応するラセミ体と適切な光学活性な酸もしくは塩基との反応によって形成された立体異性体の塩の分別結晶などによる分割によって調製することもできる。
【0163】
全ての立体異性体が、本発明のプロセスの範囲に含まれる。
当業者は、式(I)の化合物が、第8族、第9族または第10族金属またはその化合物と共に配位して、本発明で使用するための化合物を形成する配位子として機能できることを理解されよう。一般に、第8族、第9族または第10族金属またはその化合物は、式(I)の化合物の1つまたは複数のリン、ヒ素および/またはアンチモン原子に対して配位する。
【0164】
前述の通り、本発明は、エチレン性不飽和化合物を、本発明で定義の触媒化合物の存在下で一酸化炭素および水またはアルカノールなどのヒドロキシル基の供給源と接触させる工程を含む、先に列挙したものなどのエチレン性不飽和化合物のカルボニル化法を提供する。
【0165】
適切には、ヒドロキシル基の供給源は、ヒドロキシル官能基を有する有機分子を含む。好ましくは、ヒドロキシル官能基を有する有機分子は、分岐または直鎖であってよく、アルカノール、特にアリールアルカノールを含むC〜C30アルカノールを含み、これらは、本明細書で定義のアルキル、アリール、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、C(S)NR2728、SR29またはC(O)SR30から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されていてもよい。かなり好ましいアルカノールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、イソ−ブタノール、t−ブチルアルコール、n−ブタノール、フェノールおよびクロロカプリルアルコールなどのC〜Cアルカノールである。モノアルカノールが最も好ましいが、好ましくはジオール、トリオール、テトラオールおよび糖類などのジ〜オクタオールから選択されるポリアルカノールを利用することもできる。一般に、かかるポリアルカノールは、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセロール、1,2,4ブタントリオール、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6トリヒドロキシヘキサン、ペンタエリスリトール、1,1,1トリ(ヒドロキシメチル)エタン、ナンノース(nannose)、ソルベース(sorbase)、ガラクトースおよび他の糖類から選択される。好ましい糖類には、スクロース、フルクトースおよびグルコースが含まれる。特に好ましいアルカノールは、メタノールおよびエタノールである。最も好ましいアルカノールは、メタノールである。
【0166】
アルコールの量は重要ではない。一般に、カルボニル化される基材の量を超える量が使用される。したがって、アルコールは反応溶媒としても同様に働くことができるが、所望に応じて別個の溶媒を使用することもできる。
【0167】
反応の最終生成物は、使用されるアルカノールの供給源によって少なくともある程度は決定されることを理解されよう。例えばメタノールを使用すると、対応するメチルエステルが生成される。反対に、水を使用すると、対応する酸が生成される。したがって本発明は、エチレン性不飽和結合を介して基−C(O)OC〜C30アルキルもしくはアリールまたは−C(O)OHを付加する好都合な方法を提供する。
【0168】
本発明の方法では、一酸化炭素を純粋な形態で使用し、または窒素、二酸化炭素もしくはアルゴンなどの希ガスなどの不活性ガスで希釈することができる。少量の、一般に5体積%未満の水素が存在することもできる。
【0169】
液相反応媒体中、エチレン性不飽和化合物とヒドロキシル基の供給源の比(体積/体積)は、広範に変わり得るが、適切には1:0.1〜1:10の範囲、好ましくは2:1〜1:2の間であり、アルカノールまたは水が反応溶媒でもある場合、最大100:1の過剰のアルカノールまたは水など、アルカノールまたは水の大過剰までとする。しかし、エチレン性不飽和化合物が反応温度で気体である場合、1:20,000〜1:10、より好ましくは1:10,000〜1:50、最も好ましくは1:5000〜1:500などのヒドロキシル基の供給源との比で、液相反応媒体中に低濃度で存在することができる。
【0170】
カルボニル化法で使用される本発明の触媒の量は重要ではない。良好な結果は、好ましくは第8族、第9族または第10族金属の量が、液相カルボニル化反応媒体中、エチレン性不飽和化合物1モル当たり10−7〜10−1モル、より好ましくは10−6〜10−2モル、最も好ましくは10−5〜10−2モルの範囲である場合に得られる。
【0171】
本発明にとっては本質的ではないが、適切には、本明細書で定義のエチレン性不飽和化合物のカルボニル化は、1つまたは複数の非プロトン性溶媒中で実施することができる。適切な溶媒には、例えばメチルブチルケトンなどのケトン;例えばアニソール(メチルフェニルエーテル)、2,5,8−トリオキサノナン(ジグリム)、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびジエチレングリコールのジメチルエーテルなどのエーテル;例えば酢酸メチル、アジピン酸ジメチル 安息香酸メチル、フタル酸ジメチルおよびブチロラクトンなどのエステル;例えばジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミドなどのアミド;例えばジメチルスルホキシド、ジ−イソプロピルスルホン、スルホラン(テトラヒドロチオフェン−2,2−ジオキシド)、2−メチルスルホラン、ジエチルスルホン、テトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシドおよび2−メチル−4−エチルスルホランなどのスルホキシドおよびスルホン;例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼンなどの化合物のハロ変形形態を含む芳香族化合物;例えばヘキサン、ヘプタン、2,2,3−トリメチルペンタン、塩化メチレンおよび四塩化炭素などの化合物のハロ変形形態を含むアルカン;例えばベンゾニトリルおよびアセトニトリルなどのニトリルが含まれる。
【0172】
非常に適しているのは、298.15Kおよび1×10Nm−2において、50未満の値、より好ましくは3〜8の範囲にある誘電率を有する非プロトン性溶媒である。本発明の文脈において、所与の溶媒についての誘電率は、誘電体としてのその物質についてのコンデンサ容量と、真空での誘電体の同一のコンデンサ容量との比を表す通常の意味で使用する。通常の有機液体の誘電率の値は、David R.Lideら編集、CRC出版により1995年刊行のHandbook of Chemistry and Physics、第76版などの一般的な参考文献に見ることができ、通常は約20℃または25℃、即ち約293.15Kまたは298.15K、および大気圧、即ち約1×10Nm−2について見積もり、または見積もった換算係数を使用して、その温度および圧力に容易に換算し得るものである。特定の化合物について文献データが入手できない場合、誘電率は、確立された物理化学的方法を使用して容易に測定され得る。
【0173】
例えばアニソールの誘電率は4.3(294.2Kにおいて)であり、ジエチルエーテルは4.3(293.2Kにおいて)であり、スルホランは43.4(303.2Kにおいて)であり、ペンタン酸メチルは5.0(293.2Kにおいて)であり、ジフェニルエーテルは3.7(283.2Kにおいて)であり、アジピン酸ジメチルは6.8(293.2Kにおいて)であり、テトラヒドロフランは7.5(295.2Kにおいて)であり、ノナン酸メチルは3.9(293.2Kにおいて)である。好ましい非プロトン性溶媒はアニソールである。
【0174】
アルカノールの存在下では、エチレン性不飽和化合物、一酸化炭素およびアルカノールのエステルカルボニル化生成物が非プロトン性溶媒である場合、非プロトン性溶媒は、反応によって生成されることになる。
【0175】
本方法は、過剰の非プロトン性溶媒中で、即ち少なくとも1:1の非プロトン性溶媒とアルカノールの比(v/v)で行うことができる。好ましくは、この比は1:1〜10:1、より好ましくは1:1〜5:1の範囲である。最も好ましくは、この比(v/v)は1.5:1〜3:1の範囲である。
【0176】
前述にもかかわらず、外部から添加された任意の非プロトン性溶媒が存在しない状態で、即ち反応自体によっては生成されない非プロトン性溶媒が存在しない状態で反応が行われることが好ましい。
【0177】
ヒドロキシカルボニル化の最中、プロトン性溶媒の存在も好ましい。プロトン性溶媒は、カルボン酸またはアルコールを含むことができる。非プロトン性およびプロトン性溶媒の混合物を使用することもできる。
【0178】
水素をカルボニル化反応物に添加して、反応速度を改善することができる。使用される場合、水素の適切な濃度は、一酸化炭素に対して0.1および20%vol/volの間、より好ましくは一酸化炭素に対して1〜20%vol/vol、より好ましくは一酸化炭素に対して2〜15%vol/vol、最も好ましくは一酸化炭素に対して3〜10%vol/volの比であり得る。
【0179】
本発明の触媒化合物は、「不均一系」触媒または「均一系」触媒として作用することができ、好ましくは均一系触媒である。
「均一系」触媒という用語は、好ましくは本明細書に記載の適切な溶媒中で、支持されることなく、ただしカルボニル化反応の反応物質(例えばエチレン性不飽和化合物、ヒドロキシル含有化合物および一酸化炭素)と単に混合され、またはその場で形成される触媒、即ち本発明の化合物を意味する。
【0180】
「不均一系」触媒という用語は、支持体上に担持される触媒、即ち本発明の化合物を意味する。
したがって、さらなる1態様によれば、本発明は、本明細書で定義のエチレン性不飽和化合物のカルボニル化方法を提供し、この方法は、支持体、好ましくは不溶性の支持体を含む触媒を用いて実施される。
【0181】
好ましくは、支持体は、ポリマー、例えばポリオレフィン、ポリスチレンもしくはジビニルベンゼンコポリマーなどのポリスチレンコポリマー、または当業者に公知の他の適切なポリマーもしくはコポリマー;官能化シリカ、シリコーンまたはシリコーンゴムなどのケイ素誘導体;あるいは例えば無機酸化物および無機塩化物などの他の多孔性微粒子材料を含む。
【0182】
好ましくは、この支持材料は、10〜700m/gの範囲の表面積、0.1〜4.0cc/gの範囲の総孔容積および10〜500μmの範囲の平均粒径を有する多孔性シリカである。より好ましくは、表面積は50〜500m/gの範囲であり、孔容積は0.5〜2.5cc/gの範囲であり、平均粒径は20〜200μmの範囲である。最も望ましくは、表面積は100〜400m/gの範囲であり、孔容積は0.8〜3.0cc/gの範囲であり、平均粒径は30〜100μmの範囲である。一般的な多孔性支持材料の平均粒径は、10〜1000Åの範囲である。好ましくは50〜500Å、最も望ましくは75〜350Åの平均孔直径を有する支持材料が使用される。シリカを、100℃〜800℃の温度において3〜24時間の範囲で脱水することが特に望ましい。
【0183】
適切には、支持体は可撓性支持体であっても剛性支持体であってもよく、不溶性支持体は、当業者に周知の技術によって本発明の方法の化合物でコーティングし、かつ/またはそれを含浸させる。
【0184】
あるいは、本発明の方法の化合物は、場合によって共有結合を介して不溶性支持体の表面に固定され、その配列は、場合によって、不溶性支持体から化合物まで間隔を取るための二官能性スペーサー分子を含む。
【0185】
本発明の化合物は、支持体上に存在する、または予め支持体に挿入された相補的反応基を用いて、式Iの化合物中に存在する官能基、例えば芳香族構造の置換基の反応を促進することにより、不溶性支持体の表面に固定することができる。支持体の反応基と本発明の化合物の相補的置換基の組合せによって、本発明の化合物と支持体が、エーテル、エステル、アミド、アミン、尿素、ケト基などの結合を介して結合した不均一系触媒が提供される。
【0186】
本発明の方法の化合物を支持体と結合させる反応条件の選択は、エチレン性不飽和化合物および支持体の基によって決まる。例えば、カルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾールなどの試薬、ならびに混合無水物の使用、還元的アミノ化などの方法が使用され得る。
【0187】
さらなる1態様によれば、本発明は、触媒が支持体と結合する本発明のいずれの態様の方法または配位子触媒組成物の使用を提供する。
さらに二座ホスフィンは、架橋置換基、架橋基R、連結基Aまたは連結基Bの少なくとも1つを介して適切なポリマー基材に結合することができ、好ましくはベンゼン基の3、5または6個の環炭素を介してポリスチレンに結合して、固定された不均一系触媒をもたらすことができる。
【0188】
使用できる二座配位子の量は、広範に変わり得る。好ましくは、二座配位子は、存在する二座配位子のモル数と、存在する第8族、第9族または第10族金属のモル数の比が、金属1モル当たり1〜50モル、例えば1〜15モル、特に1〜10モルとなるような量で存在する。より好ましくは、式Iの化合物と第8族、第9族または第10族金属のモル:モル範囲は、1:1〜20:1の範囲、最も好ましくは1:1〜10:1、またはさらに1:1〜1.5:1の範囲である。好都合には、これらの低モル比が適用可能であることは、それにより過剰な式Iの化合物の使用が回避され、したがって、通常は高価なこれらの化合物の消費を最小限に抑えられることから有利である。適切には、本発明の触媒は、カルボニル化反応におけるその場でのその使用の前に、別個の工程で調製される。
【0189】
好都合には、本発明の方法は、第8族、第9族または第10族金属または本明細書で定義のその化合物を、前述のアルカノールまたは非プロトン性溶媒の1つなどの適切な溶媒(特に好ましい溶媒は、特定のカルボニル化反応のエステルまたは酸生成物、例えばエチレンカルボニル化のプロピオン酸メチルである)に溶解し、その後本明細書に定義の式Iの化合物と混合することによって実施され得る。
【0190】
一酸化炭素は、反応において不活性な他のガスの存在下で使用することができる。かかるガスの例には、水素、窒素、二酸化炭素およびアルゴンなどの希ガスが含まれる。
反応の生成物は、任意の適切な手段により他の成分から分離することができる。しかし、一般に著しく高い選択性によって明らかなように、著しく少ない副生物が形成され、それによって生成物の最初の分離後にさらに精製する必要が低減されることが本方法の利点である。さらなる利点は、触媒系を含有する他の成分をさらなる反応において再利用かつ/または再使用して、新しい触媒の補充を最小限に抑えることができることである。
【0191】
好ましくは、カルボニル化は、−30〜170℃、より好ましくは−10℃〜160℃、最も好ましくは20℃〜150℃の間の温度で実施される。特に好ましい温度は40℃〜150℃の間で選択される温度である。有利には、カルボニル化を適度な温度で実施することができ、特に、室温(20℃)で反応を実施できることが有利である。
【0192】
好ましくは、低温カルボニル化を行う場合、カルボニル化は、−30℃〜49℃、より好ましくは−10℃〜45℃、またさらに好ましくは0℃〜45℃、最も好ましくは10℃〜45℃の間で実施される。特に好ましいのは10〜35℃の範囲である。
【0193】
好ましくは、カルボニル化は、0.80×10N.m−2〜90×10N.m−2、より好ましくは1×10N.m−2〜65×10N.m−2、最も好ましくは1〜50×10N.m−2の間のCO分圧で実施される。特に好ましいのは5〜45×10N.m−2のCO分圧である。
【0194】
好ましくは、低圧カルボニル化も想定される。好ましくは、低圧カルボニル化を行う場合、カルボニル化は、0.1〜5×10N.m−2、より好ましくは0.2〜2×10N.m−2、最も好ましくは0.5〜1.5×10N.m−2の間のCO分圧で実施される。
【0195】
商業的に許容される時間スケール内のカルボニル化が明らかに好ましい場合を除き、カルボニル化の期間に特に制限はない。バッチ反応のカルボニル化は、最大48時間、より一般的には最大24時間、最も一般的には最大12時間で行うことができる。一般に、カルボニル化は、少なくとも5分、より一般的には少なくとも30分、より一般的には少なくとも1時間かかる。連続反応では、かかる時間スケールは明らかに無関係であり、連続反応は、TONが商業的に許容される限り、触媒の補充を必要とするまで継続することができる。
【0196】
本発明の触媒系は、好ましくは反応物質の1つもしくは複数によって、または適切な溶媒の使用によって形成できる液相内に構成される。
触媒系と共に安定化化合物を使用することも、触媒系から喪失した金属の回収を改善するのに有益となり得る。触媒系を液体反応媒体中で利用する場合、かかる安定化化合物は、第8族、第9族または第10族金属の回収の一助になり得る。
【0197】
したがって好ましくは、触媒系は、液体反応媒体中に液体担体に溶解したポリマー分散剤を含み、前記ポリマー分散剤は、液体担体内で触媒系の第8族、第9族または第10族金属または金属化合物の粒子のコロイド状懸濁液を安定化することができる。
【0198】
液体反応媒体は、反応のための溶媒であってよく、または反応物質もしくは反応生成物自体の1つもしくは複数を含んでいてもよい。液体形態の反応物質および反応生成物は、溶媒または液体希釈剤に混和してもよく、溶解していてもよい。
【0199】
ポリマー分散剤は、液体反応媒体に溶けるが、反応速度または伝熱に対して有害になる形で反応媒体の粘度を著しく増加すべきではない。温度および圧力の反応条件下での反応媒体中の分散剤の溶解度は、金属粒子上への分散剤分子の吸着を著しく阻止するほど高くすべきではない。
【0200】
ポリマー分散剤は、液体反応媒体中の前記第8族、第9族または第10族金属または金属化合物粒子のコロイド状懸濁液を安定化し、したがって触媒劣化の結果として形成される金属粒子を液体反応媒体中の懸濁液に保持し、再生のために、および場合によってはさらなる量の触媒の生成における再使用のために、液体と一緒に反応器から排出することができる。金属粒子は、幾つかの場合、より大きな粒子を形成し得るが、普通はコロイドの寸法、例えば平均粒径5〜100nmの範囲である。ポリマー分散剤の一部が金属粒子の表面上に吸着するが、分散剤分子の残りは、液体反応媒体によって少なくとも部分的に溶媒和されたままであり、このようにして分散した第8族、第9族または第10族金属粒子は、反応器の壁上または反応器内のデッドスペースに沈着せずに、また粒子の衝突により成長し、結局凝固し得る金属粒子の凝集体を形成せずに安定化する。適切な分散剤の存在下でも粒子の幾らかの凝集化が生じ得るが、分散剤の種類および濃度が最適化されると、かかる凝集化は比較的低いレベルになり、凝集体がばらばらにしか形成されず、したがって撹拌によって凝集体を破壊し、粒子を再分散することができる。
【0201】
ポリマー分散剤は、グラフトコポリマーおよびスターコポリマーなどのポリマーを含むホモポリマーまたはコポリマーを含むことができる。
好ましくは、ポリマー分散剤は、前記第8族、第9族または第10族金属または金属化合物のコロイド状懸濁液を実質的に安定化するのに十分な酸性または塩基性の官能性を有する。
【0202】
実質的に安定化するとは、液相からの第8族、第9族または第10族金属の沈殿が実質的に回避されることを意味する。
この目的のために特に好ましい分散剤には、ポリアクリレートなどのカルボン酸、スルホン酸、アミンおよびアミドを含む酸性または塩基性ポリマー、または複素環、特に窒素複素環、ポリビニルピロリドンなどの置換ポリビニルポリマーあるいは前述のコポリマーが含まれる。
【0203】
かかるポリマー分散剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ−L−ロイシン、ポリ−L−メチオニン、ポリ−L−プロリン、ポリ−L−セリン、ポリ−L−チロシン、ポリ(ビニルベンゼンスルホン酸)およびポリ(ビニルスルホン酸)、アシル化ポリエチレンイミンから選択することができる。適切なアシル化ポリエチレンイミンは、BASFの特許出願欧州特許第1330309A1号および米国特許第6,723,882号に記載されている。
【0204】
好ましくは、ポリマー分散剤は、ペンダントである、またはポリマー主鎖内にある酸性または塩基性部分を組み入れている。好ましくは、酸性部分は、6.0未満、より好ましくは5.0未満、最も好ましくは4.5未満の解離定数(pK)を有する。好ましくは、塩基性部分は、6.0未満、より好ましくは5.0未満、最も好ましくは4.5未満の塩基解離定数(pK)を有し、pKおよびpKは、希薄水溶液中25℃で測定される。
【0205】
適切なポリマー分散剤は、反応条件で反応媒体に溶けることに加えて、ポリマー主鎖内にある、またはペンダント基としての少なくとも1つの酸性または塩基性部分を含有する。本発明者らは、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリアクリル酸(PAA)などのポリアクリレートなどの酸部分およびアミド部分を組み入れたポリマーが特に適していることを見出した。本発明における使用に適したポリマーの分子量は、反応媒体の性質および反応媒体へのポリマーの溶解度によって決まる。本発明者らは、平均分子量が普通は100,000未満であることを見出した。好ましくは、平均分子量は1,000〜200,000、より好ましくは5,000〜100,000、最も好ましくは10,000〜40,000の範囲であり、例えばPVPを使用する場合、Mは好ましくは10,000〜80,000、より好ましくは20,000〜60,000の範囲であり、PAAの場合、1,000〜10,000程度である。
【0206】
反応媒体中の分散剤の有効濃度は、使用される各反応/触媒系に合わせて決定すべきである。
分散した第8族、第9族または第10族金属は、反応器から取り出された液体流から、例えば濾過によって回収し、次いで廃棄し、または触媒として再使用するためもしくは他の用途のために処理することができる。連続法では、液体流を外部の熱交換器を介して循環することができ、かかる場合には、好都合にはこれらの循環装置内にパラジウム粒子のためのフィルターを設置することができる。
【0207】
好ましくは、ポリマー:金属の質量比g/gは、1:1および1000:1の間、より好ましくは1:1および400:1の間、最も好ましくは1:1および200:1の間である。好ましくは、ポリマー:金属の質量比g/gは、最大1000であり、より好ましくは最大400であり、最も好ましくは最大200である。
【0208】
本発明の最初の態様に記載した特徴のいずれかは、本発明の第2、第3、第4、第5および他の態様の好ましい特徴とみなすことができ、その逆も同様であることを理解されよう。
【0209】
本発明は、式(I)の新規な二座配位子だけでなく、かかる配位子と第8族、第9族または第10族金属またはその化合物の新規な錯体まで拡大する。
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例および比較例によって説明し、例示する。
【0210】
調製実施例
1,2−ベンゼンジメタノールの環状硫酸エステル(3)の調製
実施例の誘導体のホスフィン配位子の合成に使用する方法は、環状硫酸エステル(3)の合成によって開始する。環状硫酸化合物(3)は、2つの工程の合成で形成される。市販のジ−アルコール1,2−ベンゼンジメタノール(1)(フタル酸の水酸化アルミニウムリチウム還元によって調製することもできる)を、ジクロロメタン中塩化チオニル(SOCl)と反応させて、環状亜硫酸錯体(2)を得た。次いで環状亜硫酸錯体を過ヨウ素酸ナトリウムおよび三塩化ルテニウムで酸化して、環状硫酸エステル錯体(3)を得た。
【0211】
【化24】

【0212】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメタン)−2−(ジフェニルホスフィノメタン)ベンゼン(7)の調製
混合ホスフィン(7)を、2つの工程の方法で調製した。環状硫酸エステルを、BuPH.BH(4)のリチウム塩と反応させ、その後PhPH(5)のリチウム塩と連続的に反応させた。次いで、ホウ素保護ホスフィン(6)を、テトラフルオロホウ酸を添加することによって脱ホウ素化し、次いでその場で調製したビス−ホスホニウム塩を、水酸化カリウムを添加することによって遊離ホスフィン(7)に還元した。他の3つの混合ホスフィンを、(7)と同様に調製した。
【0213】
【化25】

【0214】
実験
概略
別段の反対が示されない限り、全ての操作は、標準のシュレンク管、カニューレおよびグローブボックス技術を使用して、窒素雰囲気下で実施した。全てのNMR実験は、CDClを溶媒として使用して実施した。
【0215】
環状硫酸エステル(3)の調製
ジアルコール(1)(21.2g、153mmol)を、ジクロロメタン(250ml)に一部溶解した。これに、塩化チオニル(13.8ml、189mmol)をゆっくり添加した。これによって多量のガスが発生した。次いで、得られた溶液を90分間加熱還流した(50℃)。次いで、得られた溶液を室温に冷却し、終夜撹拌した。この時点で、環状亜硫酸エステル錯体(2)が形成した。次いで溶媒を真空下で除去して、薄褐色油を得た。次いで、環状亜硫酸エステルを、ジクロロメタン(100ml)、アセトニトリル(100ml)および水(150ml)で希釈した。得られた二塩基性溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(65.3g、306mmol)および三塩化ルテニウム水和物(300mg)を添加した。次いで、得られた懸濁液を室温で1時間撹拌し、この間に多量の白色沈殿物が形成した。最終懸濁液を水(100ml)で希釈し、エーテル(100ml)を添加した。有機層を分離によって収集し、水性残渣をエーテル(2×100ml)で洗浄した。次いで混合有機抽出物を、水(2×200ml)で洗浄し、その後硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで有機抽出物を、セライト含有濾紙によって濾過した。これによって無色溶液を得た。次いで溶媒を真空下で除去して、オフホワイト色固体を得た。固体を−20℃の冷凍庫で保存した。収率=24.6g、80%。H NMR(500MHz,CDCl,δ)、7.46(m,2H,Ph)、7.38(m,2H,Ph)、5.44(s,4H,CH)ppm。
【0216】
ジ−tert−ブチルホスフィンボラン(4)の調製
ジ−tert−ブチルホスフィンクロリド(34g、188.41mmol)を、シュレンクフラスコに入れ、その後ジエチルエーテル(200ml)を添加した。エーテル溶液を冷水浴で冷却し、LiAlH(ジエチルエーテル中1M、100ml、100mmol)をゆっくり添加した。これによって黄色懸濁液を得、それを終夜室温で撹拌した。水(50ml、窒素で20分間脱気した)を添加することによって、懸濁液をクエンチした。これによって二塩基性溶液を得た。上層(有機層)を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣を追加のエーテル100mlで洗浄した。エーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、エーテル抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、蒸留によってエーテルを除去した。これによって無色油を得た。次いで無色油をTHF(200ml)で希釈し、0℃に冷却し、これにTHF中BH(1M溶液、250ml、250mmol)を添加した。次いで、得られた溶液を終夜室温で撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去して、白色結晶固体を得、次いでそれをグローブボックスに単離した。収量=22.1g、収率73%。31P{H}NMR(80MHz,CDCl,δ):δ 49.23ppm(多重線)。
【0217】
ジフェニルホスフィン(5)の調製
ジフェニルクロロホスフィン(34.8ml、188.41mmol)をシュレンクフラスコに入れ、その後ジエチルエーテル(200ml)を添加した。エーテル溶液を冷水浴で冷却し、LiAlH(ジエチルエーテル中1M、100ml、100mmol)をゆっくり添加した。これによって黄色懸濁液を得、それを終夜室温で撹拌した。水(40ml、窒素で20分間脱気した)中HCl(濃縮、20ml)を添加することによって、懸濁液をクエンチした。これによって二塩基性溶液を得た。上層(有機層)を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣を追加のエーテル100mlで洗浄した。エーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いでエーテル抽出物を、真空下で乾燥させた。これによって薄黄色油、収量=36gを得た。ホスフィンを冷凍庫で保存した。31P{H}NMR(161.9MHz,CDCl,δ):−37.9ppm
NB.ジフェニルホスフィンは沸点が低く、熱感受性が高く、冷凍庫で保存すべきである。この手順の改変として、エーテルは、ホスフィンの高沸点により、蒸留ではなく真空下で除去すべきである。
【0218】
ジ−tert−ブチルホスフィン(5b)の調製
ジ−tert−ブチルホスフィンクロリド(34g、188.41mmol)を、シュレンクフラスコに入れ、その後ジエチルエーテル(200ml)を添加した。エーテル溶液を冷水浴で冷却し、LiAlH(ジエチルエーテル中1M、100ml、100mmol)をゆっくり添加した。これによって黄色懸濁液を得、それを終夜室温で撹拌した。水(50ml、窒素で20分間脱気した)によって、懸濁液をクエンチした。これによって二塩基性溶液を得た。上層(有機層)を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣を追加のエーテル100mlで洗浄した。エーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いでエーテル抽出物を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、蒸留によってエーテルを除去した。これによって無色油を得た。収率=22.0g、80%。31P{H}NMR(161.9MHz,CDCl):δ 21.0ppm
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ{ボラン}メチル)−2−(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン(6)の調製
BuPH.BH(4)(9.68g、60.50mmol)をTHF(70ml)に溶解し、これにBuLi(ヘキサン中2.5M、28.6ml、71.39mmol)を添加した。得られた黄色溶液を、1時間撹拌した。環状硫酸エステル(3)(11.0g、55.0mmol)をTHF(100ml)に溶解し、−78℃に冷却した。次いで、リン化リチウム溶液を環状硫酸エステル溶液に滴下添加した。添加が終了した後、得られた溶液を−78℃で30分間撹拌し、その後室温に温めた。次いで、溶液を3時間、室温で撹拌した。次いで、溶液を−78℃に冷却した。
【0219】
ジフェニルホスフィン(5)(純度85%、分解による、11.05ml、60.0mmolmmol)をTHF(70ml)で希釈した。これにBuLi(ヘキサン中2.5M、26.4ml、65.95mmol)を添加した。次いで、得られた赤色溶液を、環状硫酸エステル溶液に−78℃で滴下添加した。添加が終了した後、溶液を−78℃で30分間撹拌し、その後室温に温め、次いで終夜撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去して、黄色固体/ゲルを得た。次いで、エーテル(250ml)を添加した後、水(100ml、窒素で30分間脱気した)を添加した。これによって二塩基性溶液を得た。有機(上)相を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣をエーテル(2×100ml)で洗浄した。次いでエーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、乾燥エーテル抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、真空下で乾燥させた。これによって薄黄色油、収量=27.9gを得た。
【0220】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン(7)の調製
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ{ボラン}メチル)−2−(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン(6)錯体(27.9g、最大収量=55mmol)を、MTBE(250ml)に溶解した。これに、テトラフルロホウ酸(tetrafluroboric acid)(45.2ml、330mmol)を添加した。これによってガスが発生し、白色沈殿物が形成した。次いで、得られた懸濁液を63℃にして16時間加熱した。溶媒を真空下で除去して、薄黄色溶液を得た。これに、水(75ml、窒素で30分間脱気した)中KOH(30g、455mmol)を添加した。これによって、オフホワイト色の沈殿物が形成した。ジエチルエーテル(300ml)を添加し、エーテル可溶性材料をカニューレで清潔なシュレンクに移した。次いで、水性残渣をジエチルエーテル(2×100ml)で洗浄した。次いで、エーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、エーテル抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、真空下で乾燥させた。これによって薄黄色の粘性固体を得た。収量=8.0g。固体をメタノール(50ml)に懸濁し、加熱還流し、次いで得られた溶液を室温に冷却し、冷凍庫で終夜静置した。これによって多量のオフホワイト色の固体を得た。固体を濾過によって単離し、真空下で乾燥させた。これによって、自由流動性のオフホワイト色固体を得た。収率=5.6g、23%。純度95%。31P{H.}NMR(CDCl,161.9MHz,δ);28.4(s)、−13.1(s)ppm
ジ−イソ−プロピルホスフィンボラン(10)の調製
ジ−イソ−プロピルホスフィンクロリド(40g、262.1mmol)をシュレンクフラスコに入れ、その後ジエチルエーテル(200ml)を添加した。エーテル溶液を冷水浴で冷却し、LiAlH(ジエチルエーテル中1M、150ml、150mmol)をゆっくり添加した。これによって黄色懸濁液を得、それを終夜室温で撹拌した。水(50ml、窒素で20分間脱気した)を添加することによって、懸濁液をクエンチした。これによって二塩基性溶液を得た。上層(有機層)を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣を、追加のエーテル100mlで洗浄した。エーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、エーテル抽出物を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、エーテルを蒸留によって除去した。これによって無色油を得た。次いで、無色油をTHF(200ml)で希釈し、0℃に冷却し、これにTHF中BH(1M溶液、300ml、300mmol)を添加した。次いで、得られた溶液を終夜室温で撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去して、無色油を得た。収量=27.1g、収率79%。31P{H}NMR(CDCl,161.9MHz,δ);28.0(m)、ppm
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ{ボラン}メチル)−2−(ジ−イソ−プロピルホスフィノ{ボラン}メチル)ベンゼン(11)の調製
BuPH.BH(4)(12.12g、75.75mmol)をTHF(100ml)に溶解し、これにBuLi(ヘキサン中2.5M、30.5ml、75.75mmol)を添加した。得られた黄色溶液を1時間撹拌した。環状硫酸エステル(3)(15.15g、75.75mmol)をTHF(100ml)に溶解し、−78℃に冷却した。次いで、リン化リチウム溶液を、環状硫酸エステル溶液に滴下添加した。添加が終了した後、得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した後、室温に温めた。次いで、溶液を30分間、室温で撹拌した。次いで溶液を−78℃に冷却した。
【0221】
ジ−イソ−プロピルホスフィンボラン(10)(10g、75.75mmol)を、THF(70ml)で希釈し、0℃に冷却した。これにBuLi(ヘキサン中2.5M、30.5ml、75.75mmol)を添加した。次いで、得られた黄色溶液を室温に温めた。次いで、溶液を30分間、室温で撹拌した。次いで、この溶液を環状硫酸エステル溶液に−78℃で滴下添加した。添加が終了した後、溶液を−78℃で30分間撹拌した後、室温に温め、次いで終夜撹拌した。次いで、溶液を真空下で除去して、黄色固体/ゲルを得た。次いでエーテル(250ml)を添加し、その後水(100ml、窒素で30分間脱気した)を添加した。これによって二塩基性溶液を得た。有機(上)相を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣をエーテル(250ml)で洗浄した。次いでエーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、乾燥エーテル抽出物を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、真空下で乾燥させた。これによって薄黄色固体、収量=30.27gを得た。
【0222】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−イソ−プロピルホスフィノメチル)ベンゼン(12)の調製
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ{ボラン}メチル)−2−(ジ−イソ−プロピルホスフィノ{ボラン}メチル)ベンゼン(11)錯体(30.27g、最大収量=75.75mmol)をMTBE(300ml)に溶解した。これに、テトラフルロホウ酸(63ml、454.5mmol)を添加した。これによってガスが発生し、白色沈殿物が形成した。次いで、得られた懸濁液を57℃にして16時間加熱した。溶媒を真空下で除去して、薄黄色溶液を得た。これに、水(50ml、窒素で30分間脱気した)中KOH(40g、605mmol)を添加した。これによってオフホワイト色沈殿物が形成した。ペンタン(2×250)を添加し、ペンタン可溶性材料を、カニューレで清潔なシュレンクに移した。次いで、ペンタン抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、ペンタン抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、真空下で乾燥させた。これによって薄黄色油を得た。収量=10.0g。次いで、水性残渣をさらなるペンタン(2×250ml)で抽出し、ペンタン可溶性材料を、カニューレで清潔なシュレンクに移した。次いで、ペンタン抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、ペンタン抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、真空下で乾燥させた。収量=4.9g。混合収率=14.9g、54%。純度95%。31P{H.}NMR(CDCl,202.3MHz,δ);28.3(s)、5.1(s)ppm。
【0223】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメタン)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメタン)ベンゼン(6)の調製
ホスフィン(6)を、2つの工程の方法で調製した。環状硫酸エステルを、BuPH.BHのリチウム塩と反応させ、その後(o−トリル)PH.BH(4)のリチウム塩と連続的に反応させた。次いで、中間体であるホウ素保護ホスフィン(5)を、テトラフルオロホウ酸を添加することによって脱ホウ素化し、次いでその場で調製したビス−ホスホニウム塩を、水酸化カリウムを添加することによって遊離ホスフィン(7)に還元した。
【0224】
【化26】

【0225】
ジ−o−トリルホスフィンボラン(4)の調製
ジ−o−トリルホスフィンクロリド(10g、40.2mmol)をシュレンクフラスコに入れ、その後ジエチルエーテル(200ml)を添加した。エーテル溶液を冷水浴で冷却し、LiAlH(ジエチルエーテル中1M、100ml、100mmol)をゆっくり添加した。これによって懸濁液を得、次いでそれを終夜室温で撹拌した。水(50ml、窒素で20分間脱気した)を添加することによって、懸濁液をクエンチした。これによって二塩基性溶液を得た。上層(有機層)をカニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣を追加のエーテル100mlで洗浄した。エーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、エーテル抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、エーテルを除去した。これによって白色固体を得た。次いで、白色固体をTHF(200ml)に溶解し、0℃に冷却し、これにTHF中BH(1M溶液、100ml、100mmol)を添加した。次いで、得られた溶液を終夜室温で撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去して、白色ワックス状固体を得た。収率=8.5g、93%。31P{H}NMR(CDCl,161.9MHz,δ);18.9(s)、ppm
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ{ボラン}メチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノ{ボラン}メチル)ベンゼン(5)の調製
BuPH.BH(6.11g、37.3mmol)をTHF(70ml)に溶解し、これにBuLi(ヘキサン中2.5M、15.0ml、37.3mmol)を添加した。得られた黄色溶液を1時間撹拌した。環状硫酸エステル(3)(7.46g、37.3mmol)をTHF(100ml)に溶解し、−78℃に冷却した。次いで、リン化リチウム溶液を環状硫酸エステル溶液に滴下添加した。添加が終了した後、得られた溶液を−78℃で30分撹拌した後、室温に温めた。次いで、溶液を室温で3時間撹拌した。次いで、溶液を−78℃に冷却した。
【0226】
ビス(o−トリル)ホスフィンボラン(4)(8.50g、37.3mmol)をTHF(70ml)に溶解した。これにBuLi(ヘキサン中2.5M、15.0ml、37.3mmol)を添加した。次いで、得られた橙色/赤色溶液を、環状硫酸エステル溶液に−78℃で滴下添加した。添加が終了した後、溶液を−78℃で30分間撹拌し、その後室温に温め、次いで終夜撹拌した。次いで、溶液を真空下で除去して、黄色固体/ゲルを得た。次いで、エーテル(250ml)を添加し、その後水(100ml、窒素で30分間脱気した)を添加した。これによって二塩基性溶液を得た。有機(上)相をカニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣をエーテル(2×100ml)で洗浄した。次いで、エーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、乾燥したエーテル抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、真空下で乾燥させた。これによって薄黄色油、収量=13.3gを得た。
【0227】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン(6)の調製
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ{ボラン}メチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノ{ボラン}メチル)ベンゼン(5)錯体(13.3g、最大収量=37.3mmol)を、MTBE(250ml)に溶解した。これにテトラフルロホウ酸(31.0ml、273.7mmol)を添加した。これによってガスが発生し、白色沈殿物が形成した。次いで、得られた懸濁液を63℃にして16時間加熱した。溶媒を真空下で除去して、薄黄色溶液を得た。これに、水(75ml、窒素で30分間脱気した)中KOH(30g、300mmol)を添加した。これによってオフホワイト色沈殿物が形成した。ペンタン(300ml)を添加し、エーテル可溶性材料をカニューレで清潔なシュレンクに移した。次いで、水性残渣をペンタン(200ml)で洗浄した。次いでペンタン抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、エーテル抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、真空下で乾燥させた。これによって薄橙色固体を得た。収量=9.7g。固体をメタノール(40ml)に懸濁し、加熱還流し、次いで得られた白色懸濁液を室温に冷却し、メタノール可溶性材料をカニューレによって除去した。次いで、不溶性白色材料を真空下で乾燥させ、グローブボックスに単離した。収率=3.4g、24%。純度95%。31P{H.}NMR(CDCl,161.9MHz,δ);29.8(s)、−35.0(s)ppm
1,2−ビス(1,3,5,7−テトラメチル−2,4,8−トリオキサ−6−ホスファアダマンタンメチル)ベンゼン(14)の調製
1,3,5,7−テトラメチル−2,4,8−トリオキサ−6−ホスファアダマンタンボラン(8)のリチウム塩とジクロロ−o−キシレンを添加することによって、ホスフィン(14)を調製した。次いで、中間体であるホウ素保護ホスフィンを、ジエチルアミンを添加することによって脱保護して、標的分子を得た。
【0228】
1,3,5,7−テトラメチル−2,4,8−トリオキサ−6−ホスファアダマンタンボラン(8)の調製
ホスフィン1,3,5,7−テトラメチル−2,4,8−トリオキサ−6−ホスファアダマンタン(7.34g、34mmol)(7)を、500mlのシュレンクフラスコに入れた。これにBH(THF中1M、100ml、100mmol)を添加した。次いで、得られた溶液を終夜静置した。ボラン化(boraneted)ホスフィンを、必要になるまで溶液として維持した。
【0229】
1,2−ビス(1,3,5,7−テトラメチル−2,4,8−トリオキサ−6−ホスファアダマンタンメチル)ベンゼン(14)の調製
1,3,5,7−テトラメチル−2,4,8−トリオキサ−6−ホスファアダマンタンボラン溶液(8)(70mmol)を真空下で乾燥させ、次いでTHF(100ml)に再溶解した。次いで、THF溶液を−78℃に冷却し、BuLi(ヘキサン中2.5M、28.0ml、70mmol)を添加し、次いでこの溶液を、1,2−ビス(クロロメチル)ベンゼン溶液(6.08g、35mmol)に−78℃ですぐに添加した。次いで得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した後、室温に温め、終夜室温で撹拌した。90分後、白色懸濁液を観測した。ジエチルアミン(40ml、窒素で20分間脱気した)を懸濁液に添加し、懸濁液を2時間加熱還流した。次いで、得られた懸濁液を室温に冷却し、次いで真空下で乾燥させた。残渣をトルエン(300ml)に懸濁し、次いで水(100ml、窒素で20分間脱気した)を次いで添加した。上方の(有機)相をカニューレで清潔なシュレンクフラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。これによって白色ペーストを得、次いでそれをメタノール(40ml)に懸濁した。次いで、懸濁液を加熱還流し、次いで室温に冷却した。メタノール可溶性材料をカニューレによって除去し、白色固体を真空下で乾燥させた。次いで、白色固体をグローブボックスに単離した。収量=10.5g。純度95%。31P{H.}NMR(CDCl,161.9MHz,δ);28.4(s)、−13.1(s)ppm
環状硫酸エステル(1)の調製
1,2−ベンゼンジメタノール(21.2g、153mmol)を、ジクロロメタン(250ml)に一部溶解した。これに塩化チオニル(13.8ml、189mmol)をゆっくり添加した。これによって多量のガスが発生した。次いで、得られた溶液を90分間加熱還流した(50℃)。次いで、得られた溶液を室温に冷却し、終夜撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去して、薄褐色油を得た。次いで、残渣をジクロロメタン(100ml)、アセトニトリル(100ml)および水(150ml)で希釈した。得られた二塩基性溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(65.3g、305.3mmol)および三塩化ルテニウム水和物(300mg)を添加した。次いで、得られた懸濁液を室温で1時間撹拌し、その間に多量の白色沈殿物が形成した。最終懸濁液を水(100ml)で希釈し、エーテル(100ml)を添加した。有機層を分離によって収集し、水性残渣をエーテル(2×100ml)で洗浄した。次いで、混合有機抽出物を水(2×200ml)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで有機抽出物を、セライト含有濾紙を介して濾過した。これによって無色溶液を得た。次いで溶媒を真空下で除去して、オフホワイト色固体を得た。固体を−20℃の冷凍庫で保存した。収率=24.6g、80%。H NMRによる純度99%。
【0230】
ジ−tert−ブチルホスフィンボラン(2)の調製
ジ−tert−ブチルホスフィンクロリド(34g、188.41mmol)を、シュレンクフラスコに入れた後、ジエチルエーテル(200ml)を添加した。エーテル溶液を冷水浴で冷却し、LiAlH(ジエチルエーテル中1M、100ml、100mmol)をゆっくり添加した。これによって黄色懸濁液を得、それを終夜室温で撹拌した。水(50ml、窒素で20分間脱気した)を添加することによって、懸濁液をクエンチした。これによって二塩基性溶液を得た。上層(有機層)を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣を追加のエーテル100mlで洗浄した。エーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、エーテル抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、蒸留によってエーテルを除去した。これによって無色油を得た。次いで無色油をTHF(200ml)で希釈し、0℃に冷却し、これにTHF中BH(1M溶液、250ml、250mmol)を添加した。次いで、得られた溶液を終夜室温で撹拌した。次いで溶媒を真空下で除去して、白色結晶固体を得、次いでそれをグローブボックスに単離した。収量=22.1g、収率73%。31P{H}NMR(80MHz,CDCl,δ):δ 49.23ppm(多重線)。
【0231】
ビス(o−エチルフェニル)ホスフィン(phoshine)オキシド(3a)の調製
1Lのシュレンクフラスコに、マグネシウムリボン(7.23g、297.5mmol)の小片(4cm)を入れた。これに、ヨウ素の幾つかの結晶およびTHF(400ml)を添加した。次いで、溶液の橙色が薄黄色に退色するまで、溶液を温水浴に20分間入れた。次いで温水浴を除去し、シュウ化物(50g、270.4mmol)を90分かけて滴下添加した。これによって、褐色溶液および少量の未反応マグネシウムを得た。次いで、溶液を室温で30分間撹拌した後、亜リン酸ジエチル(11.22ml、87.2mmol)を滴下添加した。次いで、得られた溶液を終夜撹拌した。反応を塩酸(50ml)でクエンチし、それを反応溶液にゆっくり添加した。次いでこの後、水(200ml)およびトルエン(300ml)を添加した。これによって二相溶液を得た。上方の有機相を分離によって収集し、水(200ml)、飽和炭酸カリウム溶液(200ml)および水(200ml)で洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで濾過した。次いで濾液を真空下で乾燥させ、薄黄色固体(3a)を得た。収率=17.21g、76%。
【0232】
ビス(o−エチルフェニル)ホスフィン(3b)の調製
1Lのシュレンクフラスコに、ホスフィンオキシド(3a)(17.21g、66.7mmol)を入れた。これにアセトニトリル(400ml)およびトリエチルアミン(27.9ml、200.1mmol)を添加した。次いでトリクロロシラン(20.2ml、200.1mmol)をゆっくり添加した。トリクロロシランを添加することによって、幾らかの白色沈殿物が形成した。次いで、得られた混合物を終夜還流した。次いで、得られた懸濁液を氷浴で0°に冷却し、それに窒素ガスで脱気した水(200ml)中水酸化カリウム(40g)溶液をゆっくり添加した。これによって二相混合物を得た。次いで、追加のアセトニトリル(100ml)を添加した。次いで、上方の有機相をカニューレで清潔なシュレンクフラスコに取り出し、溶媒を真空下で除去した。これによってオフホワイト色の固体(3b)を得た。収率=13.60g、84%。
【0233】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ{ボラン}メチル)−2−(ジ−o−エチルホスフィノメチル)ベンゼン(3c)の調製
BuPH.BH(2)(9.27g、56.2mmol)をTHF(100ml)に溶解し、これにBuLi(ヘキサン中2.5M、22.5ml、56.2mmol)を添加した。得られた黄色溶液を1時間撹拌した。環状硫酸エステル(1)(11.24g、56.2mmol)をTHF(100ml)に溶解し、−78℃に冷却した。次いで、リン化リチウム溶液を、環状硫酸エステル溶液に滴下添加した。添加が終了した後、得られた溶液を−78℃で30分間撹拌し、その後室温に温めた。次いで溶液を室温で30分間撹拌した。次いで溶液を−78℃に冷却した。
【0234】
ビス(o−エチルフェニル)ホスフィン(3b)(13.60g、56.2mmol)をTHF(100ml)に溶解した。これに、−78℃でBuLi(ヘキサン中2.5M、22.5ml、56.2mmol)を添加し、これによって橙色/赤色溶液が形成した。次いで、得られた溶液を30分間撹拌した後、冷浴から取り出し、次いで環状硫酸エステル溶液に−78℃でゆっくり添加した。添加が終了した後、溶液を−78℃で30分間撹拌した後、室温に温め、次いで終夜撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去して、黄色固体/ゲルを得た。次いで、エーテル(350ml)を添加し、その後水(100ml、窒素で30分間脱気した)を添加した。これによって二塩基性溶液を得た。有機(上)相を、カニューレで清潔なシュレンクに移し、水性残渣をエーテル(2×100ml)で洗浄した。次いで、エーテル抽出物を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、乾燥したエーテル抽出物をカニューレで清潔なシュレンクに移し、真空下で乾燥させた。これによって白色固体、収量=18.2gを得た。
【0235】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−エチルホスフィノメチル)ベンゼン(3d)の調製
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン錯体(3d)(18.2g、最大収量=56.2mmol)をMTBE(400ml)に溶解した。これに、テトラフルロホウ酸(46.3ml、337.2mmol)を添加した。これによってガスが発生し、白色沈殿物が形成した。次いで、得られた懸濁液を63℃にして終夜加熱した。次いで、溶媒を真空下で除去して、薄黄色溶液を得た。これに水(200ml、窒素で30分間脱気した)中KOH(40g、606mmol)を添加した。これによって、オフホワイト色沈殿物が形成した。ペンタン(400ml)を添加し、ペンタン可溶性材料をカニューレで清潔なシュレンクに移した。次いで、水性残渣をペンタン(100ml)で洗浄した。次いで、ペンタン抽出物を混合し、真空下で乾燥させた。これによって薄黄色固体を得た。次いで、固体をメタノール(40ml)に懸濁し、加熱還流し、次いで得られた白色懸濁液を室温に冷却し、メタノール可溶性材料をカニューレによって除去した。次いで、不溶性白色材料を真空下で乾燥させた。収量=9.2g、サンプルは、触媒反応で使用するのに十分純粋ではなかったので、さらなる精製工程を追加した。
【0236】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−エチルホスフィノメチル)ベンゼン(3d)の精製
粗ホスフィン(9.2g、純度100%である場合18.78mmolと想定する)を、ジエチルエーテル(400ml)に溶解した。これにメタンスルホン酸(1.22ml、18.78mmol)を添加し、これによってすぐに白色懸濁液が形成し、次いでエーテル可溶性材料をカニューレで清潔なシュレンクフラスコに移し、残渣を真空下で乾燥させた。エーテル可溶性材料に、再度追加当量のメタンスルホン酸(1.22ml、18.78mmol)を添加し、これによってすぐに白色懸濁液が形成した。次いで、エーテル可溶性材料をカニューレで清潔なシュレンクフラスコに移し、残渣を真空下で乾燥させた。最初のエーテル不溶性残渣を、水(50ml、窒素ガスで30分間脱気した)中水酸化カリウム(2.48g、37.56mmol)溶液と反応させた。これによって白色懸濁液が形成した。次いでペンタン(400ml)を添加し、懸濁液を急速に20分間撹拌した。次いで、上方の有機相をカニューレで清潔なシュレンクフラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。これによって白色固体、収率=3.71g、13%を得たが、それは31P{H}およびH NMRによって純度95%を超えていた。次いで、これをフラスコから取り出し、グローブボックスで保存した。
【0237】
第2のエーテル不溶性画分を、水(50ml、窒素ガスで30分間脱気した)中水酸化カリウム(2.48g、37.56mmol)溶液と反応させた。これによって白色懸濁液が形成した。次いでペンタン(400ml)を添加し、懸濁液を急速に20分間撹拌した。次いで、上方の有機相をカニューレで清潔なシュレンクフラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。これによって白色固体、収量=1.90gを得たが、それはNMRによって約80%の純度であった。
【0238】
カルボニル化の実施例
概略
カルボニル化を以下の通り実施し、実施例1〜6ならびに比較例1および2の配位子についての結果を表1〜7に示す。
【0239】
再利用実施例
実験
標準のシュレンク管技術を使用して、Pd(OAc)(0.1ミリモル)22mgおよび0.5ミリモルの配位子(5モル当量)をメタノール溶媒300mlに溶解することによって、反応溶液を調製した。パラジウムおよび配位子を錯体にした後、2.92ml(45ミリモル)のメタンスルホン酸(450モル当量)を添加し、触媒溶液の調製を完了した。
【0240】
触媒溶液を、予め真空にしたオートクレーブに入れ、100℃に加熱すると、その時点で溶媒によって生じた圧力は23×10Pa(2.3bar)であった。次いで、高圧で10リットルのリザーバーからチャージしたCO:エテン(1:1ガス)を添加することによって、オートクレーブを123×10Pa(12.3bar)に加圧した。通常の弁を用いて、10リットルのリザーバーから一定のガスを注入することによって、オートクレーブの圧力を、反応の間中123×10Pa(12.3bar)に確実に維持する。リザーバーの圧力ならびに反応器の温度を、3時間の反応期間中、記録した。反応の任意の時点における、生成した生成物のモルを、理想的なガス挙動およびプロピオン酸メチルに対する100%選択性を想定することによってリザーバー圧力の減少から算出し、特定の配位子を用いた反応のTONを得ることができる。
【0241】
反応期間後、オートクレーブを冷却し、空気を抜いた。反応溶液を容器の底部から収集し、すぐに不活性雰囲気下に置いた。再利用を行う実施例では、次いで溶液を圧力下で約20mlに低減した。この濃縮溶液を、不活性雰囲気下に終夜静置し、次いでメタノール300mlを添加して、次の反応溶液のベースを形成するために使用した。次いで、この再利用材料をオートクレーブに入れ、前と同じ一組の条件下で反応させた。反応TONの著しい低下が観測されるまで、このように触媒を再利用した。
【0242】
生成物に対する選択性を、適切な標準を用いて較正したGCを使用して決定した。
実施例1
実施例1および2は、リン原子の1つの上に三級炭素原子を有していない非対称配位子を使用するエチレンのカルボニル化において、驚くほど高い触媒回転数を示すが、重合化を示していない。比較例1は、両方のリン原子(1,2−ビス−(2−ホスファ−アダマンチル)o−キシレン)上に三級炭素原子を有する配位子についての結果を示す。非三級炭素原子を有する非対称芳香族架橋配位子を用いた系は、排他的に三級炭素原子で置換した配位子よりも優れていることが分かる。
【0243】
【表1】

【0244】
【表2】

【0245】
【表3】

実施例3
実施例3および4は、配位子が著しく安定であり、数回の再利用後も良好な結果を継続してもたらし得ることを示す。
【0246】
【表4】

【0247】
【表5】

実施例5、6
以下の実施例は、高温でも分解または重合化が生じず、やはり高い触媒回転数が得られることを示す。
【0248】
【表6】

【0249】
【表7】

読者の注意は、本願に関連して本明細書と同時にまたは本明細書より前に出願されている、本明細書に公開した全ての論文および文書に向けられるが、かかる全ての論文および文書の内容を本願明細書に援用する。
【0250】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれも含む)に開示した特徴の全て、ならびに/あるいはそのように開示したいずれの方法または方法の工程の全ては、かかる特徴および/または工程の少なくとも幾つかが相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0251】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれも含む)に開示の各特徴は、別段の指示がない限り、同一の、等価な、または類似の目的を果たす代替の特徴によって置き換えることができる。したがって別段指定されない限り、開示した各特徴は、一般的な一連の等価な、または類似の特徴の一例に過ぎない。
【0252】
本発明は前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれも含む)に開示したいずれかの新規な1つの特徴、いずれの特徴の組合せ、いずれの方法、または方法の工程の任意の新規な1つまたは任意の組合せにも及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の新規な二座配位子であって、
【化1】


式中、
AおよびBは、独立に、低級アルキレン連結基を表し、
Rは、少なくとも1つの芳香環を有するヒドロカルビル芳香族構造を表し、その芳香環には、存在する場合には該少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接する原子上のそれぞれの連結基を介してQおよびQがそれぞれ結合しており、
基XおよびXは、独立に、少なくとも1つの三級炭素原子を有する最大30個の原子の1価の基を表し、またはXおよびXは、一緒になって、少なくとも2つの三級炭素原子を有する最大40個の原子の2価の基を形成し、該1価または2価の各基は該少なくとも1つまたは2つの三級炭素原子を介してそれぞれの原子Qに結合しており、
基XおよびXは、独立に、少なくとも1つの一級もしくは芳香族炭素原子を有する最大30個の原子の1価の基を表し、後者の場合、Q原子に結合している炭素は、環の適切な位置において置換されている芳香環の一部を形成する芳香族炭素であり、またはXおよびXは、一緒になって、少なくとも2つの一級または芳香族炭素原子を有する最大40個の原子の2価の基を形成し、後者の場合、Q原子に結合している炭素は、環の適切な位置において置換されている芳香環の一部を形成する芳香族炭素であり、該1価または2価の各基は、該少なくとも1つまたは2つの一級または芳香族炭素原子を介して、それぞれの原子Qに結合しており、
およびQは、独立に、リン、ヒ素またはアンチモンを表す、二座配位子。
【請求項2】
エチレン性不飽和化合物のカルボニル化法であって、
ヒドロキシル基の供給源、場合によってアニオンの供給源および触媒系の存在下で、アセチレン、メチルアセチレン、プロピルアセチレン、1,3−ブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ペンテンニトリル、アルキルペンテノアート、ペンテン酸、ヘプテン、オクテン、ドデセンおよびそれらの混合物から選択されるエチレン性不飽和化合物を一酸化炭素と反応させる工程を備え、
前記触媒系が、
(a)第8族、第9族または第10族金属またはそれらの化合物と、
(b)一般式(I)の二座配位子であって、
【化2】


式中、
AおよびBは、独立に、低級アルキレン連結基を表し、
Rは、少なくとも1つの芳香環を有するヒドロカルビル芳香族構造を表し、その芳香環には、存在する場合には該少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接する原子上のそれぞれの連結基を介してQおよびQがそれぞれ結合しており、
基XおよびXは、独立に、少なくとも1つの三級炭素原子を有する最大30個の原子の1価の基を表し、またはXおよびXは、一緒になって、少なくとも2つの三級炭素原子を有する最大40個の原子の2価の基を形成し、該1価または2価の各基は、それぞれ該少なくとも1つまたは2つの三級炭素原子を介して、それぞれの原子Qに結合しており、
基XおよびXは、独立に、少なくとも1つの一級、二級もしくは芳香族炭素原子を有する最大30個の原子の1価の基を表し、またはXおよびXは、一緒になって、少なくとも2つの一級、二級もしくは芳香族炭素原子を有する最大40個の原子の2価の基を形成し、該1価または2価の各基は、それぞれ該少なくとも1つまたは2つの一級、二級または芳香族炭素原子を介して、それぞれの原子Qに結合しており、
およびQは、独立に、リン、ヒ素またはアンチモンを表す、前記二座配位子を組み合わせることによって得られることを特徴とする、エチレン性不飽和化合物のカルボニル化法。
【請求項3】
前記基XおよびXが、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニルまたはC〜C20アリール基から選択される、請求項1または2に記載の二座配位子。
【請求項4】
前記基XがArを表し、および/または前記基XがArを表す、請求項1または3に記載の二座配位子。
【請求項5】
前記基XまたはXの少なくとも一方が、1つまたは複数の置換基を含む、請求項1、3、4のいずれか一項に記載の二座配位子。
【請求項6】
前記XまたはX置換基が、前記Q原子に直接結合している炭素に直接隣接している炭素上にある、請求項5に記載の二座配位子。
【請求項7】
前記Xおよび/またはX基がα炭素原子を有し、前記Xおよび/またはX基の該α炭素原子が、脂肪族二級または三級炭素原子である、請求項1または請求項3乃至6のいずれか一項に記載の二座配位子。
【請求項8】
前記Q原子に結合している炭素が芳香族炭素であり、該芳香族炭素が、前記Q原子に結合している環の原子に隣接している原子上で置換されている芳香環の一部を形成している、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の二座配位子。
【請求項9】
さらなる置換基が、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−ブチル、t−ブチル、メトキシもしくはエトキシ基、または−CN、−F、−Si(アルキル)、−COOR63、−C(O)−もしくは−CFなどの相対的に不活性な基である、請求項5乃至8のいずれか一項に記載の二座配位子。
【請求項10】
前記XおよびX基がC〜CアルキルまたはO−C〜Cアルキルで置換されているフェニル基である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の二座配位子。
【請求項11】
前記Q原子に結合している炭素が芳香族炭素であり、該芳香族炭素が、前記Q原子に対して環のオルトまたはメタ位において置換されている芳香環の一部を形成している、請求項1に記載の二座配位子。
【請求項12】
前記XまたはX基が、メチル、エチル、プロピル、2−メチル−フェン−1−イル、2−メトキシ−フェン−1−イル、2−フルオロ−フェン−1−イル、2−トリフルオロメチル−フェン−1−イル、2−トリメチルシリル−フェン−1−イル、4−メチル−フェン−1−イル、3−メチル−フェン−1−イル、ブチル、ペンチル、ネオペンチル、2−エチル−フェン−1−イル、2−プロピル−フェン−1−イルおよび2−プロプ−2’−イル−フェン−1−イルからなる群から選択される、請求項1または3乃至10のいずれか一項に記載の二座配位子。
【請求項13】
1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ペンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ナフタレン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−3,5−ジメチルアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−5−tert−ブチルアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(1−アダマンチルtert−ブチル−ホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−2−(ジ−o−トリルホスフィノ)−o−キシレン、1−(2−(ホスファ−アダマンチル))−2−(ジ−o−トリルホスフィノ)−o−キシレン、1−(ジコングレシルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)フェロセン、1−(ジ−tert−ペンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)フェロセン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)フェロセン、1−(ジ−3,5−ジメチルアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)フェロセン、1−(ジ−5−tert−ブチルアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)フェロセン、1−(1−アダマンチルtert−ブチル−ホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)フェロセン、1−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−2−(ジ−o−トリルホスフィノ)−1,2−ジメチルフェロセン、1−(2−(ホスファ−アダマンチル))−2−(ジ−o−トリルホスフィノ)−1,2−ジメチルフェロセン、1−(ジコングレシルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)フェロセン、1−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−2,3−ビス−(ジtertブチルホスフィノメチル)フェロセン;。
1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−t−ブチルベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;
1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;
1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5ジフェニルベンゼン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)ベンゼン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)ベンゼン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;
1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5ジフェニルメチルベンゼン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−フェニルメチルベンゼン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5ビス−(トリメチルシリル)メチルベンゼン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)メチルベンゼン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)メチルベンゼン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)メチルベンゼン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)メチルベンゼン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−t−ブチルメチルベンゼン;
1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;
1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(ジ−tブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロプ−2’−イル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−t−ブチルフェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;
1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロプ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−アダマンチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;
1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5ジフェニルフェロセン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)フェロセン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロプ−2’−イル)フェロセン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;
1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロプ−2’−イル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル、t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;
1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5ジフェニル−メチルフェロセン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニル−メチルフェロセン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5ビス−(トリメチルシリル)−メチルフェロセン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)−メチルフェロセン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロプ−2’−イル)−メチルフェロセン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロプ−2’−イル)−メチルフェロセン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)−メチルフェロセン;1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−o−トリルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチル−メチルフェロセン;
からなる群、または前述のo−トリル配位子のo−エチルフェニルおよびo−メトキシフェニル類似体からなる群から選択される、請求項1に記載の二座配位子。
【請求項14】
前記基XがCH(R)(R)を表し、XがCH(R)(R)を表し、XがCR(R)(R)を表し、XがCR10(R11)(R12)を表し、RおよびRが水素を表し、R、RおよびR〜R12がアルキル、アリールまたはhetを表す、請求項1、3、5乃至7、9のいずれか一項に記載の二座配位子。
【請求項15】
がCR(R)(R)を表し、XがCR10(R11)(R12)を表し、有機基R〜Rおよび/またはR10〜R12あるいはR〜R12が、それらのそれぞれの三級炭素原子に結合する場合、t−ブチルと少なくとも同程度立体障害である複合基を形成する、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の二座配位子。
【請求項16】
第8族、第9族または第10族金属またはそれらの化合物に配位している、本明細書に定義の式Iの新規な二座配位子を含む新規な錯体。
【請求項17】
本明細書で先に記載され、具体例に言及されている新規な二座配位子。
【請求項18】
本明細書で先に記載され、具体例に言及されているエチレン性不飽和化合物のカルボニル化法。
【請求項19】
前記エチレン性不飽和化合物がエチレンである、請求項2に記載のエチレン性不飽和化合物のカルボニル化法。
【請求項20】
AおよびBがメチレンである、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の二座配位子または方法。
【請求項21】
前記触媒系が、前記配位子と比較して2:1を超えるモル過剰で存在する酸も含み、前記配位子が、前記金属または前記金属化合物の前記金属と比較して少なくとも2:1モル過剰で存在する、請求項2、19または20に記載のエチレン性不飽和化合物のカルボニル化法。
【請求項22】
a)第8族、第9族または第10族金属またはその化合物、
b)請求項1または3乃至16または20のいずれか一項に記載の、式Iの二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子、および
c)場合によって酸
を組み合わせることによって得ることができ、エチレン性不飽和化合物のカルボニル化を触媒できる触媒系。
【請求項23】
前記配位子が、前記金属または前記金属化合物の前記金属と比較して少なくとも2:1モル過剰で存在し、前記酸が、前記配位子と比較して少なくとも2:1モル過剰で存在する、請求項22に記載の触媒系。
【請求項24】
前記二座配位子上の前記XまたはX置換基が、前記Q原子に直接結合している炭素上またはそれに隣接している炭素上にある、請求項2または19乃至21のいずれか一項に記載のエチレン性不飽和化合物のカルボニル化法。
【請求項25】
前記Q原子に結合している前記Xおよび/またはX基の炭素が、脂肪族二級炭素原子であり、あるいは前記Xおよび/またはX基のα炭素が、脂肪族二級または三級炭素原子であり、あるいは前記Q原子に結合している炭素が、環の適切な位置において置換されている芳香環の一部を形成する芳香族炭素である、請求項2、19乃至21または25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記XまたはX基が、プロプ−2−イル、フェン−1−イル、2−メチル−フェン−1−イル、2−メトキシ−フェン−1−イル、2−フルオロ−フェン−1−イル、2−トリフルオロメチル−フェン−1−イル、2−トリメチルシリル−フェン−1−イル、4−メチル−フェン−1−イル、3−メチル−フェン−1−イル、ブト−2−イル、ペント−2−イル、ペント−3−イル、2−エチル−フェン−1−イル、2−プロピル−フェン−1−イルおよび2−プロプ−2’−イル−フェン−1−イルからなる群から選択される、請求項2、19乃至21、25または26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記二座配位子が、請求項13に記載の群、または前述のo−トリル配位子のフェニル、イソプロピル、o−エチルフェニルおよびo−メトキシフェニル類似体からなる群から選択される、請求項2、19乃至21または25乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記X基がCH(R)(R)を表し、XがCH(R)(R)を表し、XがCR(R)(R)を表し、XがCR10(R11)(R12)を表し、RおよびRが水素、アルキル、アリールまたはhetを表し、R〜R12がアルキル、アリールまたはhetを表す、請求項2、19乃至21または25乃至28のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−526617(P2011−526617A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515634(P2011−515634)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050780
【国際公開番号】WO2010/001174
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(500460209)ルーサイト インターナショナル ユーケー リミテッド (30)
【Fターム(参考)】