説明

エッジ中継装置、エッジ中継装置の冗長システム、広域ネットワークシステム、及び、エッジ中継装置用のフレーム転送方法

【課題】冗長性の確保に寄与するエッジ中継装置、エッジ中継装置の冗長システム、広域ネットワークシステム、及び、エッジ中継装置用のフレーム転送方法を提供する。
【解決手段】エッジ中継装置(26a)は、NNIポート(32n)、アクセスポート(32a)及びICポート(32i)を通じたコア中継装置(28a,28e)、外部中継装置(24a)及び他のエッジ中継装置(26b)の間でのフレームの流れを制御する中継ユニットを備える。自身に割り当てられるネットワークにおける固有のMACアドレスをマイ代表アドレスとし、他のエッジ中継装置に割り当てられるネットワークにおける固有のMACアドレスをメイト代表アドレスとするとき、中継ユニットは、フレームの宛先及び送信元に含まれる、マイ代表アドレスとメイト代表アドレスの組み合わせに基づいて、フレームの流れを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジ中継装置、エッジ中継装置の冗長システム、広域ネットワークシステム、及び、エッジ中継装置用のフレーム転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広域ネットワークシステムには、MAC−in−MAC方式のネットワーク(コア網)を採用したものがある(例えば特許文献1)。コア網は、複数のスイッチングハブ(中継装置)によって構成され、これらスイッチングハブは、コア網の端に配置されるエッジスイッチ(エッジ中継装置)と、エッジスイッチ間に配置されるコアスイッチ(コア中継装置)に分類される。
【0003】
各エッジスイッチには、コア網内にて固有のMACアドレス(コア網アドレス)が割り当てられており、各エッジスイッチは、コア網の外部から来たMACフレームに、自身のコア網アドレスを送信元アドレスとして含むとともに、宛先のエッジスイッチのコア網アドレスを宛先アドレスとして含むヘッダを付与したカプセル化フレームを生成する。
【0004】
エッジスイッチがカプセル化フレームをコアスイッチに向けて送り出すと、コアスイッチは、カプセル化フレームのヘッダに含まれる宛先アドレスに基づいてカプセル化フレームを転送し、宛先のエッジスイッチにカプセル化フレームが到着する。宛先のエッジスイッチは、カプセル化フレームからヘッダを外して通常のMACフレームに戻し、そして、通常のMACフレームをコア網の外部に送り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−65429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MAC−in−MAC方式のネットワークにおいては、例えば、エッジスイッチが故障してしまった場合、故障したエッジスイッチに接続されたローカルなネットワークが、コア網を通じて通信を行うことができなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされ、その目的とするところは、MAC−in−MAC方式のネットワークにおける冗長性の確保に寄与するエッジ中継装置、エッジ中継装置の冗長システム、広域ネットワークシステム、及び、エッジ中継装置用のフレーム転送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様によれば、MAC−in−MAC方式のネットワークの境界に配置されるエッジ中継装置において、前記ネットワークの境界よりも内側に配置されるコア中継装置との接続に供されるNNIポートと、前記ネットワークの外側に配置された外部中継装置との接続に供されるアクセスポートと、前記境界に配置された他のエッジ中継装置との接続に供されるICポートと、前記NNIポート、前記アクセスポート及び前記ICポートを通じた前記コア中継装置、前記外部中継装置及び前記他のエッジ中継装置の間でのフレームの流れを制御する中継ユニットとを備え、自身に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをマイ代表アドレスとし、前記他のエッジ中継装置に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをメイト代表アドレスとするとき、前記中継ユニットは、前記フレームの宛先及び送信元に含まれる、前記マイ代表アドレスと前記メイト代表アドレスの組み合わせに基づいて、前記フレームの流れを制御する、エッジ中継装置が提供される。
【0009】
また、上記の目的を達成するため、本発明の一態様によれば、MAC−in−MAC方式のネットワークの境界に配置されるエッジ中継装置の冗長システムであって、第1エッジ中継装置及び第2エッジ中継装置を備え、第1エッジ中継装置及び第2エッジ中継装置の各々は、前記ネットワークの境界よりも内側に配置されるコア中継装置に接続されるNNIポートと、前記ネットワークの外部に配置される外部中継装置に接続されるアクセスポートと、前記第1エッジ中継装置と前記第2エッジ中継装置との間の接続に使用されるICポートと、前記NNIポート、前記アクセスポート及び前記ICポートを通じた前記コア中継装置、前記外部中継装置、前記第1エッジ中継装置、及び、前記第2エッジ中継装置の間でのフレームの流れを制御する中継ユニットとを有し、自身に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをマイ代表アドレスとし、前記第1エッジ中継装置については前記第2エッジ中継装置に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをメイト代表アドレスとし、前記第2エッジ中継装置については前記第1エッジ中継装置に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをメイト代表アドレスとするとき、前記中継ユニットは、前記フレームの宛先及び送信元に含まれる、前記マイ代表アドレスと前記メイト代表アドレスの組み合わせに基づいて、前記フレームの流れを制御する、エッジ中継装置の冗長システムが提供される。
【0010】
更に、上記の目的を達成するため、本発明の一態様によれば、上記エッジ中継装置の冗長システムを含む、MAC−in−MAC方式の第1ネットワークと、前記第1ネットワークに接続され、前記第1ネットワークを介して相互に接続される複数の第2ネットワークとを備える広域ネットワークシステムが提供される。
【0011】
また更に、上記の目的を達成するため、本発明の一態様によれば、MAC−in−MAC方式のネットワークの境界に配置されるエッジ中継装置用のフレームの転送方法において、前記エッジ中継装置のNNIポートを、前記ネットワークの境界よりも内側に配置されるコア中継装置と接続し、前記エッジ中継装置のアクセスポートを、前記ネットワークの外側に配置された外部中継装置と接続し、前記エッジ中継装置のICポートを、前記境界に配置された他のエッジ中継装置と接続し、前記エッジ中継装置及び前記他のエッジ中継装置の各々に前記ネットワークにおける固有のMACアドレスを割り当て、前記エッジ中継装置に割り当てられた前記MACアドレスをマイ代表アドレスとし、前記他のエッジ中継装置に割り当てられた前記MACアドレスをメイト代表アドレスとするとき、前記フレームの宛先及び送信元に含まれる、前記マイ代表アドレスと前記メイト代表アドレスの組み合わせに基づいて、前記NNIポート、前記アクセスポート及び前記ICポートを通じた前記コア中継装置、前記外部中継装置及び前記他のエッジ中継装置の間での前記フレームの流れを制御する、エッジ中継装置用のフレームの転送方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、MAC−in−MAC方式のネットワークにおける冗長性の確保に寄与するエッジ中継装置、エッジ中継装置の冗長システム、広域ネットワークシステム、及び、エッジ中継装置用のフレーム転送方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態の広域ネットワークシステムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の広域ネットワークシステムのPBB網を伝搬するIEEE802.1ah規格のB−TAGフレームのフォーマットを示す図である。
【図3】図1の広域ネットワークシステム中の第1エッジスイッチ及び第2エッジスイッチの構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】(a)は、第1エッジスイッチ及び第2エッジスイッチのFDBの内容を概略的に示す表であり、(b)は、第1エッジスイッチ及び第2エッジスイッチのVIDテーブルの内容を概略的に示す表である。
【図5】第1エッジスイッチ及び第2エッジスイッチのポート設定DBの内容を説明するためのブロック図であって、且つ、第1のケースの第1パターンにおけるフレームの流れを説明するための図である。
【図6】図1の広域ネットワークシステムのPB網において障害が発生した状態を説明するための図である。
【図7】第1のケースの第2パターンにおけるフレームの流れを説明するための図である。
【図8】第2のケースの送信時におけるフレームの流れを説明するための図である。
【図9】第2のケースの受信時におけるフレームの流れを説明するための図である。
【図10】第3のケースにおいて、第2エッジスイッチのNNIポートから送信されたときのフレームの流れを説明するための図である。
【図11】第3のケースにおいて、第2エッジスイッチのICポートから送信されたときのフレームの流れを説明するための図である。
【図12】第4のケースにおけるフレームの流れを説明するための図である。
【図13】第5のケースにおけるフレームの流れを説明するための図である。
【図14】第6のケースにおけるフレームの流れを説明するための図である。
【図15】第7のケースにおけるフレームの流れを説明するための図である。
【図16】アクセスリングが正常状態であるときの、第4のケースに対応するフレームの流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態の広域ネットワークシステム10の構成を概略的に示している。具体的には、広域ネットワークシステム10は、複数のユーザ網12a,12b,12c,12dと、ユーザ網12a,12b,12c,12d同士をOSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにてレイヤ2レベルで接続する広域網14とからなる。以下では、ユーザ網12a,12b,12c,12dを単にユーザ網12ともいう。
【0015】
〔ユーザ網〕
各ユーザ網12は、例えば、広域ネットワークシステム10のユーザが全国に複数の支所を有する会社であれば、各支所に対応して設けられる。そして、各ユーザ網12は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)からなるユーザ端末16a,16b,16c,16d、及び、ユーザ端末16a,16b,16c,16dに接続されたスイッチングハブ(中継装置)18a,18b,18c,18d等を含み、スイッチングハブ18a,18b,18c,18dが広域網14に接続される。
ユーザ網12での通信方式は、例えばIEEE802.1Q規格に準拠している。この規格の場合、MAC(Media Access Control)フレームはC−TAG(カスタマーVLANタグ)を含む。以下では、C−TAGを含むMACフレームをC−TAGフレームともいう。
【0016】
〔広域網〕
一方、広域網14は、例えば、通信事業者等によって設置される。広域網14は、プロバイダーブリッジ網(PB網)20a,20c,20dとプロバイダーバックボーンブリッジ網(PBB網)22とからなる。
以下では、PB網20a,20c,20dを単にPB網20ともいう。
【0017】
〔PB網〕
ユーザ網12は、対応するPB網20にそれぞれ接続され、PB網20がPBB網22に接続されている。PB網20の各々は、一般的には、相互に接続された複数のスイッチングハブによって構成されるが、図1では、PB網20aは、2つのスイッチングハブ24a,24bによって構成され、PB網20c,20dは、それぞれ1つのスイッチングハブ24c,24dによって構成されている。
以下では、スイッチングハブ24a,24b,24c,24dのことを単にスイッチングハブ24ともいう。
【0018】
そして、図1では、PB網20aには2つのユーザ網12a,12bが接続され、PB網20c,20dには、1つのユーザ網12c,12dがそれぞれ接続されている。なお、1つのPB網20に対して、3つ以上のユーザ網12が接続されていてもよい。
【0019】
PB網20での通信方式は、例えばIEEE802.1ad規格に準拠している。従って、PB網20のスイッチングハブ24は、ユーザ網12から受信したC−TAGフレームを、ユーザ毎に異なるS−TAG(サービスVLANタグ)を付与することにより、S−TAGフレーム(拡張VLANタグフレーム)に変換し、得られたS−TAGフレームを宛先に応じてPBB網22に向けて送信する。またこれとは逆に、スイッチングハブ24は、PBB網22から受信したS−TAGフレームからS−TAGを外してC−TAGフレームに変換し、得られたC−TAGフレームを宛先に応じてユーザ網12に向けて送信する。
【0020】
〔PBB網〕
PBB網(コア網)22は、複数のスイッチングハブによって構成されるが、より詳しくは、それぞれ複数のエッジスイッチ(エッジ中継装置)26a,26b,26c,26dとコアスイッチ(コア中継装置)28a,28b,28c,28d,28eとから構成される。以下では、エッジスイッチ26a,26b,26c,26d及びコアスイッチ28a,28b,28c,28d,28eをそれぞれ単にエッジスイッチ26及びコアスイッチ28ともいう。
【0021】
エッジスイッチ26は、PBB網22の端若しくは境界、即ち出入口に位置し、PB網20のスイッチングハブ(外部中継装置)24に接続される。コアスイッチ28は、エッジスイッチ26がそれぞれ接続されるコアスイッチ(コアSW)網30を形成している。
なお、図1では、PBB網22が4つのエッジスイッチ26及び5つのコアスイッチ28を含んでいるが、エッジスイッチ26及びコアスイッチ28の数は、一般的にこれより多い。従って、コアSW網30内でのコアスイッチ28の構成は、一般的により複雑である。
【0022】
PBB網22の通信方式は、MAC−in−MAC方式であり、例えばIEEE802.1ah規格に準拠している。従って、PBB網22内ではB−TAGフレーム(バックボーンTAGフレーム)が送受信される。
図2は、B−TAGフレームのフォーマットを示している。B−TAGフレームは、S−TAGフレームに、バックボーン宛先アドレス(B−DA)、バックボーン送信元アドレス(B−SA)、B−TAG(バックボーンタグ)、及び、I−TAG(サービスインスタンスタグ)を付与したものである。ただし、I−TAGは、元々S−TAGフレームに含まれていたカスタマー宛先アドレス(C−DA)及びカスタマー送信元アドレス(C−SA)を含んでいる。
以下では、バックボーン宛先アドレス(B−DA)、バックボーン送信元アドレス(B−SA)、及び、B−TAGを、B−TAGフレームのヘッダ(PBBヘッダ)ともいう。また、バックボーン宛先アドレス(B−DA)のことを単に宛先(B−DA)ともいい、バックボーン送信元アドレス(B−SA)のことを単に送信元(B−SA)ともいう。
【0023】
宛先(B−DA)としては、ユニキャストの場合には、エッジスイッチ26の各々に割り当てられたPBB網22内における固有のMACアドレス(B−MAC)が使われ、マルチキャストの場合には、マルチキャストアドレスが使われる。
送信元(B−SA)としては、エッジスイッチ26の各々に割り当てられたPBB網22内における固有のMACアドレス(B−MAC)が使われる。
また、B−TAG中のB−VID(バックボーンVLANID)としては、PBB網22内において固有のVLAN識別子が使われる。
【0024】
S−TAGフレームに対する、PBBヘッダ、即ち宛先(B−DA)、送信元(B−SA)及びB−TAGの付加(カプセル化)、及び、B−TAGフレームからのPBBヘッダの除外(デカプセル化)については、エッジスイッチ26のみが行う。そして、B−TAGフレームのPBBヘッダの形式は、S−TAGのヘッダの形式と同じである。このため、コアスイッチ28は、IEEE802.1ah規格に準拠している必要はなく、IEEE802.1Q規格に準拠していれば、B−TAGフレームを中継することができる。
【0025】
〔エッジスイッチの冗長システム〕
本実施形態では、エッジスイッチ26のうち、エッジスイッチ26a及びエッジスイッチ26bが所定の関係を存して、対若しくは組みをなすことにより、エッジスイッチ26a及びエッジスイッチ26bの冗長性が確保されている。つまり、エッジスイッチ26a及びエッジスイッチ26bは、エッジスイッチの冗長システムを構成している。
以下では、エッジスイッチ26aを第1エッジスイッチ26aともいい、エッジスイッチ26bを第2エッジスイッチ26bともいう。また、エッジスイッチ26cを第3エッジスイッチ26cともいい、エッジスイッチ26dを第4エッジスイッチ26dともいう。
【0026】
図3は、第1エッジスイッチ26aの概略的な構成を示すブロック図である。なお、第2エッジスイッチ26bの構成も第1エッジスイッチ26aの構成と同一であるため、図3は、第2エッジスイッチ26bの概略的な構成を示すブロック図でもある。
第1エッジスイッチ26aは複数のポート32を有する。ここでいうポート32は、OSI参照レベルでの物理層を担当し、例えば、ポート32の数と同じ数の物理的なコネクタと、コネクタが接続される1つのインターフェースLSI(大規模集積回路)によって構成される。
【0027】
各ポート32は、例えば通信用LSIからなる中継ユニット34に接続されており、接続先に応じて、S−TAGフレーム又はB−TAGフレームを受信して中継ユニット34に入力する。一方、ポート32は、中継ユニット34が出力したS−TAGフレーム又はB−TAGフレームを、接続先に向けて送信する。
【0028】
中継ユニット34はメモリ36に接続され、中継ユニット34及びメモリ36は、互いに協働して、OSI参照レベルでのデータリンク層を担当する。つまり、中継ユニット34及びメモリ36は、ポート32から入力されたS−TAGフレーム又はB−TAGフレームの宛先を決定し、宛先に応じて、カプセル化及びデカプセル化を行ったうえで、S−TAGフレーム又はB−TAGフレームをポート32に向けて出力する。
なお以下では、S−TAGフレーム及びB−TAGフレームを単にフレームともいう。
【0029】
ポート32間でのフレームの受け渡しをフレームのフォーマットを適宜変換しながら行うために、中継ユニット34は、機能でみたときに、学習部40、検索部42、カプセル化部44、及び、デカプセル化部46を有し、メモリ36には、フォワーディングデータベース(FDB)48、VIDテーブル49、マイ代表アドレス50、メイト代表アドレス52、及び、ポート設定DB(データベース)54が登録されている。
【0030】
〔学習部〕
学習部40は、受信したフレームの内容を学習し、FDB48の内容を随時更新する。具体的には、学習部40は、PB網20からS−TAGフレームを受信した場合には、S−TAGフレームに含まれるVLANID(S−VID)、及び、カスタマー送信元アドレス(C−SA)を読み込む。そして、学習部40は、読み込んだS−VID及びC−SAがFDB48に登録されていなければ、受信したポート32の番号と関連付けて、S−VID及びC−SAをFDB48に登録する。
【0031】
一方、学習部40は、B−TAGフレームを受信した場合には、B−TAGフレーム中のS−VID、送信元(B−SA)、C−SAを読み込む。そして、学習部40は、読み込んだS−VID、送信元(B−SA)及びC−SAがFDB48に登録されていなければ、受信したポート32の番号と関連付けて、S−VID、送信元(B−SA)及びC−SAをFDB48に登録する。
【0032】
〔FDB〕
FDB48には、検索キー情報及び宛先情報(検索結果)が登録される。即ち、図4(a)に示したように、FDB48には、C−MAC、S−VID、ポート32の番号及びB−MACが相互に関連付けて登録されている。
なお、図4(a)のFDB48では、各項目に適当な数値や「・・・」が記載されている。
〔VIDテーブル〕
VIDテーブル49には、図4(b)に示したように、S−VID、I−SID(サービス・インスタンスID)及びB−VIDが相互に関連付けて登録されている。VIDテーブル49へのS−VID、I−SID及びB−VIDの登録は、例えばネットワークの管理者が手動にて行う。
なお、図4(b)のVIDテーブル49では、各項目に適当な数値や「・・・」が記載されている。
【0033】
〔検索部〕
検索部42は、FDB48、VIDテーブル49、マイ代表アドレス50、メイト代表アドレス52、及び、ポート設定DB54を参照しながら、ポート32から入力されたフレームの出力先となるポート32を決定する。そして、検索部42の決定に従って、ポート32からポート32へとフレームが中継される。
【0034】
具体的には、PB網20からPBB網22へとフレームを転送する場合、検索部42は、S−TAGフレームのC−DA及びS−VIDを検索キーとして、FDB48内に検索キーと関連付けて登録されている宛先のポートの番号とB−MACを検索する。
一方、検索部42は、S−TAGフレームのS−VIDを検索キーとして、VIDテーブル49内に検索キーと関連付けて登録されているI−SID及びB−VIDを検索する。
【0035】
〔カプセル化部〕
カプセル化部44は、受信したS−TAGフレームをPBB網22内のコアスイッチ28又はエッジスイッチ26向けて送信する場合に、PBBヘッダを付与してB−TAGフレームに変換する。
具体的には、カプセル化部44は、PBBヘッダを付与する際に、検索部42によって検索されたB−MAC、I−SID及びB−VIDの値を、B−SA、I−SID及びB−VIDの領域にそれぞれ格納する。
【0036】
〔デカプセル化部〕
デカプセル化部46は、受信したB−TAGフレームをPB網20内のスイッチングハブ24に向けて送信する場合に、PBBヘッダを外してS−TAGフレームに変換する。
【0037】
〔マイ代表アドレス〕
マイ代表アドレス50は、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bの各々に割り当てられた、PBB網22内における一つの固有のアドレスであり、この固有のアドレスは、エッジスイッチ26がフレームをカプセル化するときに、B−TAGフレームの宛先(B−DA)又は送信元(B−SA)として使用される。従って、第1エッジスイッチ26aにとっては、第1エッジスイッチ26aに割り当てられた固有のアドレスがマイ代表アドレス50であり、第2エッジスイッチ26bにとっては、第2エッジスイッチ26bに割り当てられた固有のアドレスがマイ代表アドレス50である。
マイ代表アドレス50は、例えばPBB網22の管理者によって設定され、第1エッジスイッチ26aのマイ代表アドレス50は、第2エッジスイッチ26bのマイ代表アドレス50とは異なる。
【0038】
〔メイト代表アドレス〕
メイト代表アドレス52は、対をなす第2エッジスイッチ26b又は第1エッジスイッチ26aに割り当てられた、PBB網22内における一つの固有のアドレスであり、例えばPBB網22の管理者によって設定される。第1エッジスイッチ26aにとっては、第2エッジスイッチ26bに割り当てられた固有のアドレスがメイト代表アドレス52であり、第2エッジスイッチ26bにとっては、第1エッジスイッチ26aに割り当てられた固有のアドレスがメイト代表アドレス52である。
なお、本明細書では、対若しくは組をなすという意味でメイトという単語を使用しており、第1エッジスイッチ26aは第2エッジスイッチ26bのメイトであり、第2エッジスイッチ26bは第1エッジスイッチ26aのメイトである。
【0039】
〔ポート設定DB〕
ポート設定DB54は、例えばPBB網22の管理者によって設定される。ポート設定DB54には、中継ユニット34が一のポート32から他のポート32へとフレームを中継する際のルールが、ポート32の接続先に応じて、ポート32毎に規定されている。
具体的には、図5に示したように、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bのポート32には、アクセスポート(ACポート)32a、インターコネクションポート(ICポート)32i、及び、ネットワーク−ネットワークインターフェースポート(NNIポート)32nがある。
【0040】
アクセスポート32aは、外部スイッチ24との接続に使用され、ICポート32iは、対をなす第1エッジスイッチ26aと第2エッジスイッチ26bとの接続に使用され、そして、NNIポート32nは、コアSW網30内のコアスイッチ28a,28b,28eとの接続に使用される。アクセスポート32a、ICポート32i、及び、NNIポート32nの数は、1個又は2個に限定されることはなく、3個以上であってもよい。
以下、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bの各ポート32に、ポート設定DB54に基づいて設定されているルールについて説明する。
【0041】
〔ICポートのルール設定〕
ICポート32iには、出力側の中継ルールとして、メイトB−SA出力フィルタ(Mate B−SA Egress Filter)60が設定される一方、入力側の中継ルールとして、マイB−SA入力フィルタ(My B−SA Ingress Filter)62、及び、メイトB−SA入力マーカ(Mate B−SA Ingress Marker)64が設定されている。
【0042】
(1)メイトB−SA出力フィルタ
メイトB−SA出力フィルタ60によれば、B−TAGフレームの送信元(B−SA)がメイト代表アドレス52に一致する場合に、中継ユニット34は、ICポート32iが当該フレームを送信しないように動作する。
(2)マイB−SA入力フィルタ
マイB−SA入力フィルタ62によれば、ICポート32iによって受信されたB−TAGフレームの送信元(B−SA)がマイ代表アドレス50に一致する場合に、中継ユニット34は、当該フレームを破棄して他のポート32に中継しないように動作する。
【0043】
(3)メイトB−SA入力マーカ
メイトB−SA入力マーカ64によれば、ICポート32iによって受信されたB−TAGフレームの送信元(B−SA)がメイト代表アドレス52に一致するときに、当該フレームに、ICポート32iによって受信されたこと、即ち、対をなす第2エッジスイッチ26bから直接来たことを示すマーカが付与される。
【0044】
〔NNIポートのルール設定〕
NNIポート32nには、出力側の中継ルールとして、メイトB−SA出力フィルタ(Mate B−SA Egress Filter)70、及び、マイ/メイトB−DA出力フィルタ(My/Mate B−DA Egress Filter)72が設定される一方、入力側の中継ルールとして、マイB−SA入力フィルタ(My B−SA Ingress Filter)74が設定されている。
(4)メイトB−SA出力フィルタ
メイトB−SA出力フィルタ70によれば、B−TAGフレームの送信元(B−SA)がメイト代表アドレス52に一致する場合に、中継ユニット34は、NNIポート32nが当該フレームを送信しないように動作する。
ただし例外として、メイトB−SA入力マーカ64によってマーカが付与されたフレームについては、送信元(B−SA)がメイト代表アドレス52に一致しても、中継ユニット34は、NNIポート32nが当該フレームを送信することを許容する。
【0045】
(5)マイ/メイトB−DA出力フィルタ
マイ/メイトB−DA出力フィルタ72によれば、B−TAGフレームの宛先(B−DA)がマイ代表アドレス50及びメイト代表アドレス52のうちの何れかに一致する場合に、中継ユニット34は、NNIポート32nが当該フレームを送信しないように動作する。
ただし例外として、第1エッジスイッチ26a自身がカプセル化したB−TAGフレームについては、宛先(B−DA)がメイト代表アドレス52に一致しても、中継ユニット34は、NNIポート32nが当該フレームを送信することを許容する。
【0046】
(6)マイB−SA入力フィルタ
マイB−SA入力フィルタ74によれば、NNIポート32nによって受信されたB−TAGフレームの送信元(B−SA)がマイ代表アドレス50に一致する場合に、中継ユニット34は、当該フレームを破棄して他のポート32に中継しないように動作する。
【0047】
〔アクセスポートのルール設定〕
アクセスポート32aには、出力側の中継ルールとして、マイ/メイトB−DA出力フォワーダ(My/Mate B−SA Egress Forwarder)80が設定されている。
(7)マイ/メイトB−DA出力フォワーダ
マイ/メイトB−DA出力フォワーダ80によれば、NNIポート32n又はICポートによって受信されたB−TAGフレームの宛先(B−DA)がマイ代表アドレス50及びメイト代表アドレス52の何れかに一致する場合に、中継ユニット34は、当該フレームをアクセスポート32aから送信するように動作する。
すなわち、マイ/メイトB−DA出力フォワーダ80によれば、B−TAGフレームの宛先(B−DA)が、マイ代表アドレス50に一致するときは当然ながら、メイト代表アドレス52に一致する場合にも、中継ユニット34は、当該B−TAGフレームを自局宛として処理する。
【0048】
そして、中継ユニット34は、自局宛のB−TAGフレームのカスタマー宛先アドレス(C−DA)に含まれるMACアドレスがFDB48に登録されていないときでも、デカプセル化したフレームを、アクセスポート32aから送信する(フラッディング)。またこのとき、ICポート32iで受信したのでなければ、ICポート32iから、B−TAGフレームをそのまま送信する(フラッディング)。
なおこのとき、NNIポート32nには、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72が設定されているので、NNIポート32nからB−TAGフレームは送信されない。
また、中継ユニット34は、フレームの宛先(B−DA)がマルチキャストアドレス又はブロードキャストアドレスである場合にも、デカプセル化したフレームを、アクセスポート32aから送信する(フラッディング)。
【0049】
なお、図5においては、スペースの関係から、第1エッジスイッチ26aのICポート32iについてのみ、メイトB−SA出力フィルタ60、マイB−SA入力フィルタ62、及び、メイトB−SA入力マーカ64が表示されているが、第2エッジスイッチ26bのICポート32iについても、メイトB−SA出力フィルタ60、マイB−SA入力フィルタ62、及び、メイトB−SA入力マーカ64が設定されている。
【0050】
同様に、図5においては、第1エッジスイッチ26aの1つのNNIポート32nについてのみ、メイトB−SA出力フィルタ70、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72、及び、マイB−SA入力フィルタ74が表示されているが、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bの全てのNNIポート32nにメイトB−SA出力フィルタ70、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72、及び、マイB−SA入力フィルタ74が設定されている。
【0051】
そして同様に、図5においては、第1エッジスイッチ26aのアクセスポート32aについてのみ、マイ/メイトB−DA出力フォワーダ80が表示されているが、第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aにも、マイ/メイトB−DA出力フォワーダ80が設定されている。
【0052】
〔リング管理部・リング管理DB〕
また、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bの冗長構成を活用するために、PB網20aのスイッチングハブ24a,24bは相互に接続され、これにより、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bに直接的又は間接的に接続されている。つまり、第1エッジスイッチ26a、第2エッジスイッチ26b、スイッチングハブ24a,24bは、リング型伝送路(アクセスリング)を構成している。
なお、このリング型伝送路では、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bを一つのスイッチングハブとみなすことによって、完全なリングを構成する。
【0053】
リング型伝送路では、フレームの永久ループを防止するために、例えば、リングプロトコルが採用される。リングプロトコルによれば、リング型伝送路が正常な時には、第1エッジスイッチ26aのアクセスポート32aはフォワーディング状態にされてフレームの通過を許可しながら、第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aはブロッキング状態に設定されてフレームの通過を禁止する。リング型伝送路に障害が発生したときには、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aはいずれもフォワーディング状態に設定され、フレームの通過を許可する。
【0054】
そして、リングプロトコルによれば、リング型伝送路における、伝送媒体の断線等の障害検知のために、例えば、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bの双方のアクセスポート32aから、PB網20aを経由するように、他方のアクセスポート32aに向けて制御フレームが送信される。第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bは、制御フレームの受信が途切れたときに、リング型伝送路における障害の発生を検知する。
【0055】
このようなリングプロトコルに基づいて動作するために、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bは、リング管理部56とリング管理DB(データベース)58をそれぞれ有する。リング管理部56は、制御フレームの送受信を行い、リング型伝送路が正常状態であるか障害発生状態であるかを検出する。
リング管理DB58は、リング管理部56によって検出されたリング型伝送路の状態を記憶する。また、リング管理DB58は、マスターポート又はスレーブポートに設定されたポート32も記憶する。
マスターポート及びスレーブポートの設定は、例えば、広域ネットワークシステム10又はリング型伝送路の管理者によって行われる。マスターポート及びスレーブポートの設定は、サービスVLAN(S−VLAN)毎に行うことができ、これにより負荷分散を図ることもできる。
【0056】
中継ユニット34は、リング管理DB58を参照して、アクセスポート32aによるフレームの送受信の可否を判定する。すなわち、第1エッジスイッチ26aでは、障害の発生にかかわらず、マスターポートに設定されたアクセスポート32aは、常にフォワーディング状態に設定される。一方、第2エッジスイッチ26bでは、スレーブポートに設定されたアクセスポート32aが、正常時にはブロッキング状態に設定され、障害が発生するとフォワーディング状態に設定される。
【0057】
リングプロトコルによりアクセスポート32aがブロッキング状態に設定された場合、FDB48の登録内容やポート設定DB54の設定にかかわらず、制御フレーム以外のフレーム(ユーザフレーム)のアクセスポート32aでの送受信が禁止される。
なお、図1では、ブロッキング状態の第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aを黒塗りの四角にて表している。
【0058】
〔動作〕
以下、上述した広域ネットワークシステム10の動作を、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bを中心として、複数のケースについて説明する。
いずれのケースにおいても、図6に示したように、スイッチングハブ24aとスイッチングハブ24bとの間の伝送路において障害が発生し、リングプロトコルの規定に従い、第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aが、ブロッキング状態からフォワーディング状態に遷移させられているものとする。
【0059】
また、通常、MACアドレスは6バイトのアドレスがあるが、説明を簡単にするために、第1エッジスイッチ26aのB−MAC即ちマイ代表アドレス50は「A」であるとし、第2エッジスイッチ26bのB−MAC即ちマイ代表アドレス50は「B」であるとする。この場合、第1エッジスイッチ26aのメイト代表アドレス52は「B」であり、第2エッジスイッチ26bのメイト代表アドレス52は「A」である。
そして、第3エッジスイッチ26c及び第4エッジスイッチ26dのB−MACは、それぞれ「X」及び「Y」であるとする。マルチキャストアドレスは「MC」であるとする。更に、ユーザ端末16a,16b,16c,16dのMACアドレスは、それぞれ「a」、「b」、「c」及び「d」であるとする。
【0060】
〔第1のケース/B−SA:B,B−DA:X〕
第1のケースとして、ユーザ網12b内のユーザ端末16bが、ユーザ網12c内のユーザ端末16cに向けてフレームを送信した場合について説明する。第1のケースでは、図5に示したように、第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aがフレームを受信する。第2エッジスイッチ26bは、受信したフレームをカプセル化して、ICポート32i及びNNIポートnのうち一方からフレームを送信する。
【0061】
ここで、フレームの伝搬経路は、第2エッジスイッチ26bのFDB48の登録内容、更に場合によっては第1エッジスイッチ26aのFDB48の登録内容によって異なる。
カスタマー宛先アドレス(C−DA)である「c」が第2エッジスイッチ26bのFDB48に登録済みの場合には、「c」に対応して、NNIポート32nのうちの1つが登録されているパターン(第1のパターン)と、ICポート32iが登録されているパターン(第2のパターン)がある。後者の第2のパターンにおいては、第1エッジスイッチ26aのFDB48には、「c」に対応して、NNIポート32nのうちの1つが登録されている。
【0062】
<第1のパターン>
以下、第1のパターンについて図5を参照して説明する。
第2エッジスイッチ26bのFDB48において、NNIポート32nのうちの1つがカスタマー宛先アドレス(C−DA)の「c」と対応付けて登録されている場合、フレームの出力先の候補としてNNIポート32nが選択される。このため、フレームは、NNIポート32nに設定された、出力側の中継ルールである、メイトB−SA出力フィルタ70、及び、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の処理対象になる。
【0063】
この場合、フレームの送信元(B−SA)である「B」は、第2エッジスイッチ26bのメイト代表アドレス52に一致せず、宛先(B−DA)は、第2エッジスイッチ26bのマイ代表アドレス50及びメイト代表アドレス52の何れにも一致しない。このため、フレームは、メイトB−SA出力フィルタ70、及び、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の通過を許可され、第2エッジスイッチ26bのNNIポート32nから送信される。
【0064】
そして、NNIポート32nから送信されたフレームは、コアスイッチ28b等によって構成されるコアSW網30内では宛先(B−DA)に基づいて転送され、第3エッジスイッチ26cに到達する。そして、フレームは、第3エッジスイッチ26cでデカプセル化されてから、PB網20cを経由して、ユーザ網12cのユーザ端末16cに到達する。
【0065】
<第2のパターン>
以下、第2のパターンについて図7を参照して説明する。
第2エッジスイッチ26bのFDB48において、ICポート32iがカスタマー宛先アドレス(C−DA)の「c」と対応付けて登録されている場合、フレームの出力先の候補としてICポート32iが選択される。このため、フレームは、ICポート32iに設定された、出力側の中継ルールである、メイトB−SA出力フィルタ60の処理対象になる。
【0066】
この場合、フレームの送信元(B−SA)である「B」は、第2エッジスイッチ26bのメイト代表アドレス52に一致しない。このため、フレームは、メイトB−SA出力フィルタ60の通過を許可され、第2エッジスイッチ26bのICポート32iから送信される。
そして、ICポート32iから送信されたフレームは、第1エッジスイッチ26aのICポート32iによって受信され、第1エッジスイッチ26aの入力側の中継ルールである、マイB−SA入力フィルタ62及びメイトB−SA入力マーカ64の処理対象になる。
【0067】
この場合、フレームの送信元(B−SA)は第2エッジスイッチ26bのアドレス「B」であって、第1エッジスイッチ26aのマイ代表アドレス50には一致せず、メイト代表アドレス52に一致する。このため、フレームは、マイB−SA入力フィルタ62の通過を許可され、メイトB−SA入力マーカ64によってマーカを付与される。
【0068】
第1エッジスイッチ26aのFDB48において、NNIポート32nが宛先(B−DA)である「X」と対応付けて登録されている場合、マイB−SA入力フィルタ62の通過を許可されたフレームは、NNIポート32nに設定された、第1エッジスイッチ26aの出力側の中継ルールである、メイトB−SA出力フィルタ70、及び、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の処理対象になる。
この場合、フレームの送信元(B−SA)である「B」はメイト代表アドレス52に一致するが、フレームにはマーカが付与されているので、フレームは、メイトB−SA出力フィルタ70の通過を許可される。一方、フレームの宛先(B−DA)は「X」であり、マイ代表アドレス50及びメイト代表アドレス52の何れにも一致しないので、フレームは、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の通過を許可される。
【0069】
従って、フレームは、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nから送信される。そして、NNIポート32nから送信されたフレームは、コアスイッチ28a等によって構成されるコアSW網30内では宛先(B−DA)に基づいて転送され、最終的にユーザ網12cのユーザ端末16cに到達する。
【0070】
更に、マイB−SA入力フィルタ62の通過を許可されたフレームは、アクセスポート32aに設定された、第1エッジスイッチ26aの出力側の中継ルールである、マイ/メイトB−DA出力フォワーダ80の処理対象になる。
この場合、フレームの宛先(B−DA)は「X」であって、第1エッジスイッチ26aのマイ代表アドレス50及びメイト代表アドレス52の何れにも一致しないので、フレームが第1エッジスイッチ26aのアクセスポート32aから送信されることはない。
【0071】
〔第2のケース/B−SA:B,B−DA:MC〕
以下、第2のケースについて説明する。第2のケースは、ユーザ網12b内のユーザ端末16bがユーザ網12c内のユーザ端末16cに向けてフレームを送信する点においては第1のケースと同じであるが、カスタマー宛先アドレス(C−DA)の「c」が、第2エッジスイッチ26bのFDB48及び第1エッジスイッチ26aのFDB48に登録されていないものとする。このようにカスタマー宛先アドレス(C−DA)の「c」が登録されていない場合としては、ユーザ端末16cが新しい場合の外、何らかの理由によってFDB48がフラッシュ(消去)された場合が考えられる。
【0072】
なお、第2のケースでは、第2エッジスイッチ26bからコアスイッチ28bに向けて送信されたフレームが第1エッジスイッチ26aに戻ってきて受信されることが考えられる。よって以下では、まず、送信時の動作について図8を参照して説明し、その後、図9を参照して受信時の動作について説明する。
【0073】
<送信時>
この場合、図8に示したように、第2エッジスイッチ26bでは、フレームをカプセル化するときに、宛先(B−DA)にマルチキャストアドレスである「MC」が設定され、受信したアクセスポート32aと同一のB−VIDが割り当てられている全てのポート32が、フレームの出力先の候補に設定される。
【0074】
従って、フレームは、NNIポート32nに設定された、第2エッジスイッチ26bの出力側の中継ルールである、メイトB−SA出力フィルタ70、及び、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の処理対象になる。
この場合、フレームの送信元(B−SA)である「B」はメイト代表アドレス52に一致せず、フレームは、メイトB−SA出力フィルタ70の通過を許可される。一方、フレームの宛先(B−DA)は「MC」であり、マイ代表アドレス50及びメイト代表アドレス52の何れにも一致しないので、フレームは、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の通過を許可される。従って、フレームは、第2エッジスイッチ26bのNNIポート32nから送信される。
【0075】
また、フレームは、フレームの宛先(B−DA)が「MC」であるため、ICポート32iに設定された、出力側の中継ルールである、メイトB−SA出力フィルタ60の処理対象になる。この場合、フレームの送信元(B−SA)である「B」は、第2エッジスイッチ26bのメイト代表アドレス52に一致しない。このため、フレームは、メイトB−SA出力フィルタ60の通過を許可され、第2エッジスイッチ26bのICポート32iから送信される。
【0076】
更に、図示しないけれども、受信したアクセスポート32aと同一のB−VIDが割り当てられた他のアクセスポート32aがあれば、当該アクセスポート32aからも、フレームが、カプセル化されることなくPB網20aに向けて送信される。
【0077】
第2エッジスイッチ26bのICポート32iから送信されたフレームは、第1エッジスイッチ26aのICポート32iによって受信され、第1エッジスイッチ26aの入力側の中継ルールである、マイB−SA入力フィルタ62及びメイトB−SA入力マーカ64の処理対象になる。
この場合、フレームの送信元(B−SA)は第2エッジスイッチ26bのアドレス「B」であって、第1エッジスイッチ26aのマイ代表アドレス50には一致しないが、メイト代表アドレス52には一致する。このため、フレームは、マイB−SA入力フィルタ62の通過を許可され、メイトB−SA入力マーカ64によってマーカを付与される。
【0078】
マイB−SA入力フィルタ62の通過を許可されたフレームは、フレームの宛先(B−DA)が「MC」であるため、デカプセル化された後、第1エッジスイッチ26aのアクセスポート32aから送信される。
【0079】
また、マイB−SA入力フィルタ62の通過を許可されたフレームは、NNIポート32nに設定された、第1エッジスイッチ26aの出力側の中継ルールである、メイトB−SA出力フィルタ70、及び、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の処理対象になる。
この場合、フレームの送信元(B−SA)である「B」はメイト代表アドレス52に一致するが、フレームにはマーカが付与されているので、フレームは、メイトB−SA出力フィルタ70の通過を許可される。一方、フレームの宛先(B−DA)は「MC」であり、マイ代表アドレス50及びメイト代表アドレス52の何れにも一致しないので、フレームは、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の通過を許可される。従って、フレームは、第2エッジスイッチ26bのNNIポート32nから送信される。
【0080】
かくして、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bのNNIポート32nから送信されたフレームは、コアスイッチ28a,28b等によって構成されるコアSW網30内では宛先(B−DA)に基づいて転送される。フレームの宛先(B−DA)は「MC」であるので、コアSW網30内のコアスイッチ28a,28b等においても、同一のB−VIDが割り当てられた全てのポートからフレームが送信される。
【0081】
この結果として、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bのNNIポート32nから送信された何れかのフレームが、第3エッジスイッチ26cに到達し、第3エッジスイッチ26cでデカプセル化されてから、PB網20cを経由して、ユーザ網12cのユーザ端末16cに到達する。
【0082】
<受信時>
以下、第2エッジスイッチ26bのNNIポート32nから送信されたフレームが第1エッジスイッチ26aによって受信された一例として、コアSW網30のコアスイッチ28aを経由して、フレームが第1エッジスイッチ26aに到達した場合について、図9を参照して説明する。
第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nによって受信されたフレームは、入力側の中継ルールである、マイB−SA入力フィルタ74の処理対象になる。
【0083】
この場合、フレームの送信元(B−SA)は第2エッジスイッチ26bのアドレス「B」であって、第1エッジスイッチ26aのマイ代表アドレス50には一致しない。このため、フレームは、マイB−SA入力フィルタ74の通過を許可される。そして、フレームの宛先(B−DA)は「MC」であるため、受信した以外の他のNNIポート32n、アクセスポート32a及びICポート32iが出力先の候補に設定される。
【0084】
従って、フレームは、他のNNIポート32nに設定された、出力側の中継ルールである、メイトB−SA出力フィルタ70、及び、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の処理対象になる。この場合、フレームの送信元(B−SA)が「B」であって、メイト代表アドレス52に一致するので、フレームは、メイトB−SA出力フィルタ70の通過を禁止される。このため、フレームは、コアSW網30に向けて折り返して送信されることはない。
【0085】
また、フレームは、ICポート32iに設定された、出力側の中継ルールである、メイトB−SA出力フィルタ60の処理対象になる。この場合、フレームの送信元(B−SA)である「B」は、第1エッジスイッチ26aのメイト代表アドレス52に一致するので、フレームは、メイトB−SA出力フィルタ60の通過を禁止される。このため、フレームは、ICポート32iを通じて第2エッジスイッチ26bに向けて送信されることはない。
【0086】
アクセスポート32aについては、マイ/メイトB−DA出力フォワーダ80が設定されているものの、フィルタは設定されていない。このため、宛先(B−DA)が「MC」であるフレームは、デカプセル化された後、PB網20aに向けて送信される。
【0087】
〔第3のケース/B−SA:B,B−DA:A〕
第3のケースとして、ユーザ網12b内のユーザ端末16bが、ユーザ網12a内のユーザ端末16aに向けてフレームを送信した場合であって、カスタマー宛先アドレス(C−DA)が第2エッジスイッチ26bのFDB48に登録されている場合について説明する。
この第3のケースは、第1のケースとは、フレームの宛先(B−DA)において異なっているが、第2エッジスイッチ26bのFDB48の登録内容に応じて、図10及び図11に示したように、NNIポート32n又はICポート32iからフレームが送信される点においては同じである。
【0088】
これはフレームが、NNIポート32nに設定された、メイトB−SA出力フィルタ70、及び、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の処理対象になっても、メイトB−SA出力フィルタ70の通過が許可されるのは勿論のこと、自身でカプセル化されたフレームは、たとえ宛先(B−DA)がメイト代表アドレス52である「A」と一致しても、例外として、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72の通過を許可されるためである。
【0089】
そして、図10に示したように、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nがフレームを受信すると、フレームは、NNIポート32nに設定されたマイB−SA入力フィルタ74を通過する。そしてフレームは、アクセスポート32aに設定されたマイ/メイトB−DA出力フォワーダ80によって、アクセスポート32aから送信され、スイッチングハブ24aを経由して、ユーザ端末16aに到達する。
【0090】
他方、図11に示したように、第2エッジスイッチ26bのICポート32iからフレームが送信された場合、フレームは、第1エッジスイッチ26aのICポート32iに設定されたマイB−SA入力フィルタ62の通過を許可され、メイトB−SA入力マーカ64によってマーカが付与される。
そしてフレームは、アクセスポート32aに設定されたマイ/メイトB−DA出力フォワーダ80によって、アクセスポート32aから送信され、スイッチングハブ24aを経由して、ユーザ端末16aに到達する。
【0091】
〔第4のケース/B−SA:X,B−DA:A〕
第4のケースとして、図12を参照して、ユーザ網12c内のユーザ端末16cが、ユーザ網12b内のユーザ端末16bに向けてフレームを送信し、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nがフレームを受信した場合について説明する。
なお、第4のケースでも、アクセスリングを構成するスイッチングハブ24aとスイッチングハブ24bとの間には障害が発生しているが、エッジスイッチ26cは、障害の発生を検知できずに、障害発生前と同様、宛先(B−DA)として「A」を用いてフレームをカプセル化するものとする。
【0092】
第4のケースでは、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nによって受信されたフレームは、送信元(B−SA)がマイ代表アドレス50とは異なる「X」であるので、マイB−SA入力フィルタ74の通過を許可される。そして、フレームは、宛先(B−DA)がマイ代表アドレス50である「A」に一致するので、マイ/メイトB−DA出力フォワーダ80によって、アクセスポート32aから送信される。
【0093】
ここで、アクセスリングを構成するスイッチングハブ24aとスイッチングハブ24bとの間には障害が発生しており、障害発生時に第1エッジスイッチ26aのFDB48の内容が一度消去されている。このため、第1エッジスイッチ26aのFDB48には、カスタマー宛先アドレス(C−DA)の「b」が登録されていない。
従って、フレームはフラッディングの対象になり、フレームの出力先の候補として、第1エッジスイッチ26aのICポート32iも選択される。フレームの送信元(B−SA)は「X」であるので、フレームは、ICポート32iに設定されたメイトB−SA出力フィルタ60の通過を許可される。このため、フレームは、第1エッジスイッチ26aのICポート32iから第2エッジスイッチ26bに向けて送信される。
【0094】
第2エッジスイッチ26bのICポート32iによって受信されたフレームは、ICポート32iに設定されたマイB−SA入力フィルタ62の通過を許可され、メイトB−SA入力マーカ64によるマーカの付与は行われない。このフレームは、宛先(B−DA)がメイト代表アドレス52である「A」に一致するので、アクセスポート32aに設定されたマイ/メイトB−DA出力フォワーダ80によって、第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aから送信される。そしてフレームは、スイッチングハブ24bを経由して、カスタマー宛先アドレス(C−DA)の「b」が割り当てられているユーザ端末16bに到達する。
【0095】
〔第5のケース/B−SA:X,B−DA:B〕
第5のケースとして、図13を参照して、ユーザ網12c内のユーザ端末16cが、ユーザ網12b内のユーザ端末16bに向けてフレームを送信し、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nがフレームを受信した場合について説明する。
なお、第5のケースでは、アクセスリングを構成するスイッチングハブ24aとスイッチングハブ24bとの間での障害発生後に、エッジスイッチ26cが、ユーザ端末16bのMACアドレスである「b」を学習しており、宛先(B−DA)として「B」を用いてフレームをカプセル化するものとする。
【0096】
第5のケースでは、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nによって受信されたフレームは、送信元(B−SA)がマイ代表アドレス50とは異なる「X」であるので、マイB−SA入力フィルタ74の通過を許可される。
【0097】
ここで、エッジスイッチ26cは、障害発生後にユーザ端末16bのMACアドレスである「b」を学習していることから、第1エッジスイッチ26aも、障害発生後にユーザ端末16bのMACアドレスである「b」を学習している。従って、FDB52に従って、フレームの出力先の候補として、第1エッジスイッチ26aのICポート32iが選択される。フレームの送信元(B−SA)は「X」であるので、フレームは、ICポート32iに設定されたメイトB−SA出力フィルタ60の通過を許可される。このため、フレームは、第1エッジスイッチ26aのICポート32iから第2エッジスイッチ26bに向けて送信される。
【0098】
第2エッジスイッチ26bのICポート32iによって受信されたフレームは、ICポート32iに設定されたマイB−SA入力フィルタ62の通過を許可され、メイトB−SA入力マーカ64によるマーカの付与は行われない。このフレームは、宛先(B−DA)がマイ代表アドレス50である「B」に一致するので、アクセスポート32aに設定されたマイ/メイトB−DA出力フォワーダ80によって、第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aから送信される。そしてフレームは、スイッチングハブ24bを経由して、カスタマー宛先アドレス(C−DA)の「b」が割り当てられているユーザ端末16bに到達する。
【0099】
〔第6のケース/B−SA:Y,B−DA:X〕
第6のケースとして、図14を参照して、ユーザ網12d内のユーザ端末16dが、ユーザ網12c内のユーザ端末16cに向けてフレームを送信し、このフレームを第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nが受信した場合について説明する。
【0100】
第6のケースでは、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nによって受信されたフレームは、送信元(B−SA)がマイ代表アドレス50とは異なる「Y」であるので、マイB−SA入力フィルタ74の通過を許可される。フレームは、宛先(B−DA)がマイ代表アドレス50である「A」及びメイト代表アドレス52である「B」のいずれにも一致しないので、第1エッジスイッチ26aのアクセスポート32aから送信されることはない。
【0101】
NNIポート32nによって受信されたフレームの出力先の候補として、FDB48の登録内容に応じて、例えば、他のNNIポート32nが選択される。フレームは、他のNNIポート32nに設定されたメイトB−SA出力フィルタ70及びマイ/メイトB−DA出力フィルタ72の通過をそれぞれ許可される。このため、フレームは、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nからコアSW網30に向けて折り返して送信される。
【0102】
なお、第1エッジスイッチ26aでのフレームの出力先の候補として、FDB48の登録内容に応じて、ICポート32iも選択され得る。この場合、図示しないけれども、フレームは、ICポート32iに設定されたメイトB−SA出力フィルタ60の通過を許可され、第2エッジスイッチ26bに向けて送信される。
【0103】
そして、第2エッジスイッチ26bのICポート32iによって受信されたフレームは、ICポート32iに設定されたマイB−SA入力フィルタ62の通過を許可され、メイトB−SA入力マーカ64によるマーカの付与は行われない。このフレームは、宛先(B−DA)がマイ代表アドレス50である「B」及びメイト代表アドレス52である「A」のいずれにも一致しないので、第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aから送信されることはない。
【0104】
また第2エッジスイッチ26bにおいても、ICポート32iによって受信されたフレームの出力先の候補として、NNIポート32nが選択される。第1エッジスイッチ26aの場合と同様に、フレームは、NNIポート32nに設定されたメイトB−SA出力フィルタ70及びマイ/メイトB−DA出力フィルタ72の通過をそれぞれ許可される。このため、フレームは、第2エッジスイッチ26bのNNIポート32nからコアSW網30に向けて送信される。
〔第7のケース/B−SA:X,B−DA:MC〕
図15を参照して第7のケースについて説明する。第7のケースでは、ユーザ網12c内のユーザ端末16cがユーザ網12b内のユーザ端末16bに向けて送信したフレームを、第3エッジスイッチ26cが宛先(B−DA)としてマルチキャストアドレスである「MC」を用いてカプセル化し、このカプセル化されたフレームが第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nによって受信されるものとする。
【0105】
第7のケースでは、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nによって受信されたフレームは、送信元(B−SA)がマイ代表アドレス50とは異なる「X」であるので、マイB−SA入力フィルタ74の通過を許可される。フレームは、宛先(B−DA)がマルチキャストを表す「MC」であるため、第1エッジスイッチ26aのアクセスポート32aから送信される。
【0106】
また、NNIポート32nによって受信されたフレームの出力先の候補として、宛先(B−DA)がMCであるので、他のNNIポート32nが選択される。フレームは、他のNNIポート32nに設定されたメイトB−SA出力フィルタ70及びマイ/メイトB−DA出力フィルタ72の通過をそれぞれ許可される。このため、フレームは、第1エッジスイッチ26aのNNIポート32nからコアSW網30に向けて折り返して送信される。
【0107】
一方、フレームの出力先の候補として、宛先(B−DA)がMCであるので、第1エッジスイッチ26aのICポート32iも選択される。フレームは、ICポート32iに設定されたメイトB−SA出力フィルタ60の通過を許可され、第2エッジスイッチ26bに向けて送信される。
【0108】
第2エッジスイッチ26bのICポート32iによって受信されたフレームは、ICポート32iに設定されたマイB−SA入力フィルタ62の通過を許可され、メイトB−SA入力マーカ64によるマーカの付与は行われない。このフレームは、宛先(B−DA)がマルチキャストを表す「MC」であるため、第2エッジスイッチ26bのアクセスポート32aから送信される。
【0109】
また第2エッジスイッチ26bにおいても、ICポート32iによって受信されたフレームの出力先の候補として、NNIポート32nが選択される。第1エッジスイッチ26aの場合と同様に、フレームは、NNIポート32nに設定されたメイトB−SA出力フィルタ70及びマイ/メイトB−DA出力フィルタ72の通過をそれぞれ許可される。このため、フレームは、第2エッジスイッチ26bのNNIポート32nからコアSW網30に向けて送信される。
【0110】
以上、代表的な第1乃至第7のケースについてフレームの流れを説明したが、他のケースも存在する。そこで、表1に、第1乃至第7のケース及びこれらの類型のケースにおける、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bの各々のメイトB−SA出力フィルタ60,70、マイB−SA入力フィルタ62,74、メイトB−SA入力マーカ64、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72、及び、マイ/メイトB−DA出力フォワーダ80によるフレームの取り扱いを、送信元(B−SA)及び宛先(B−DA)別に示しておく。
【0111】
【表1】

【0112】
上述した一実施形態の広域ネットワークシステム10では、広域網14がMAC−in−MAC方式のPBB網22を採用しており、PBB網22内のコアスイッチ28は、ユーザ網12のユーザ端末16のMACアドレスを学習する必要がない。
【0113】
その上で、上述した一実施形態の広域ネットワークシステム10では、ユーザ網12a,12bが2つのエッジスイッチ、即ち第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bにそれぞれ接続されており、エッジスイッチの冗長性が確保されている。
すなわち、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bのうち一方、例えば、第1エッジスイッチ26aが故障したとしても、他方の第2エッジスイッチ26bが正常に動作していれば、ユーザ網12a,12bのユーザ端末16a,16bから、他のユーザ網12c,12dのユーザ端末16c,16dに向けて送信されたフレームは、第2エッジスイッチ26bを介して転送される。
かくして、広域ネットワークシステム10では、エッジスイッチの冗長性が確保されており、通信の安定性が確保されている。
【0114】
特に、上述した一実施形態の広域ネットワークシステム10では、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bに、マイ代表アドレス50及びメイト代表アドレス52が設定されるとともに、メイトB−SA出力フィルタ60、マイB−SA入力フィルタ62、メイトB−SA入力マーカ64、メイトB−SA出力フィルタ70、マイ/メイトB−DA出力フィルタ72、マイB−SA入力フィルタ74、及び、マイ/メイトB−DA出力フォワーダ80が設定されていることによって、簡単な構成にて、エッジスイッチの冗長性が確保され、通信の安定性が確保されている。
【0115】
また、上述した一実施形態の広域ネットワークシステム10では、第1エッジスイッチ26a、第2エッジスイッチ26b、及び、スイッチングハブ24a,24bがリング型伝送路を構成しているので、PB網20aの冗長性も確保され、通信の安定性が確保されている。
【0116】
すなわち、例えば図6に示したように、スイッチングハブ24aとスイッチングハブ24bとの間の伝送路に障害が発生しても、或いは、スイッチングハブ24aと第1エッジスイッチ26aとの間の伝送路に障害が発生しても、或いは、スイッチングハブ24bと第2エッジスイッチ26bとの間の伝送路に障害が発生しても、ユーザ網12a,12bのユーザ端末16a,16bは、他のユーザ網12c,12dのユーザ端末16c,16dと通信可能である。
なお、リング型伝送路での障害には、第1エッジスイッチ26a及び第2エッジスイッチ26bの各々の一部又は全体の故障も含まれる。
【0117】
一方、上述した一実施形態の広域ネットワークシステム10では、リング型伝送路(アクセスリング)での障害発生により生じる不具合が解消される。
具体的には、図16は、アクセスリングが正常状態にあるときの、ユーザ端末16cからユーザ端末16bに向けたフレームの転送の様子を示している。アクセスリングが正常状態であれば、ユーザ端末16cからユーザ端末16b宛のフレームは、第1エッジスイッチ26a、スイッチングハブ24a及びスイッチングハブ24bを順次経由する。
アクセスリングに障害が発生すると、リングプロトコルによって、第2エッジスイッチ26bのアクセスポートがフォワーディング状態にされ、ユーザ網12bの接続先(収容先)が第1エッジスイッチ26aから第2エッジスイッチ26bに変更される。
しかしながら、他のエッジスイッチ26c,26dは、接続先の変更を検知できず、接続先の変更後も、変更前の接続先である「A」を宛先(B−DA)として、B−TAGフレームを一定期間送信してしまう。この場合、従来技術では、フレームが、変更前の接続先である第1エッジスイッチにおいて廃棄されてしまうことがあり、宛先のユーザ端末16bに届かないことがあった。
【0118】
そこで、本実施形態では、図12を参照しながら第4のケースで説明したように、第1エッジスイッチ26aは、自身宛のB−TAGフレームをICポート32iを通じて第2エッジスイッチ26bに転送し、第2エッジスイッチ26bは、受信したメイト宛のB−TAGフレームをアクセスポート32aからスイッチングハブ24bに向けて送信する。これにより、ユーザ網12bの接続先が変更された直後であっても、フレームが廃棄されることなく確実に宛先であるユーザ端末16bに到達する。
このように、上述した一実施形態の広域ネットワークシステム10では、簡単な構成にて、接続先が変更されたときの不具合が解消される。
【0119】
なお、一定期間とは、ユーザ端末16bとユーザ端末16c,16dが両方向で通信していれば、他のエッジスイッチ26c,26dが再学習するまでであり、片方向で通信していれば、他のエッジスイッチ26c,26dでのFDBの登録がエージングタイムの経過により抹消されるまでである。
【0120】
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変更して実施できる。
例えば上述した一実施形態では、リング型伝送路において使用されるリングプロトコルは特に限定されることはなく、IEEE802.1Dに規定されたSTP(Spanning Tree Protocol)の手法や、ITU−T G.8032に規定されたEthernet Ring Protectionの手法を採用してもよい。
【0121】
また、上述した一実施形態では、MAC−in−MAC方式として、IEEE802.1ahに規定されたPBBを採用していたけれども、EoE(イーサーネットオーバーイーサーネット(イーサネットは登録商標))を採用してもよい。
【0122】
最後に、上述した一実施形態で用いられている装置の具体的な構成や処理手順はいずれも好ましいものであって、これらに限定されることはないのは勿論である。
【符号の説明】
【0123】
10 広域ネットワークシステム
12 ユーザ網
14 広域網
16 ユーザ端末
20 PB網(第2ネットワーク)
22 PBB網(第1ネットワーク)
24 スイッチングハブ(外部中継装置)
26 エッジスイッチ(エッジ中継装置)
26a 第1エッジスイッチ(第1エッジ中継装置)
26b 第2エッジスイッチ(第2エッジ中継装置)
28 コアスイッチ(コア中継装置)
30 コアSW網
19 伝送媒体
32a アクセスポート
32i ICポート
32n NNIポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MAC−in−MAC方式のネットワークの境界に配置されるエッジ中継装置において、
前記ネットワークの境界よりも内側に配置されるコア中継装置との接続に供されるNNIポートと、
前記ネットワークの外側に配置された外部中継装置との接続に供されるアクセスポートと、
前記境界に配置された他のエッジ中継装置との接続に供されるICポートと、
前記NNIポート、前記アクセスポート及び前記ICポートを通じた前記コア中継装置、前記外部中継装置及び前記他のエッジ中継装置の間でのフレームの流れを制御する中継ユニットとを備え、
自身に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをマイ代表アドレスとし、前記他のエッジ中継装置に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをメイト代表アドレスとするとき、
前記中継ユニットは、前記フレームの宛先及び送信元に含まれる、前記マイ代表アドレスと前記メイト代表アドレスの組み合わせに基づいて、前記フレームの流れを制御する、
エッジ中継装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエッジ中継装置において、
前記中継ユニットは、
前記フレームのうち、前記送信元に前記マイ代表アドレスが含まれているフレームについては、前記NNIポート及び前記ICポートの各々によって受信された場合に流れを止め、
前記フレームのうち、前記送信元に前記メイト代表アドレスが含まれているフレームについては、前記ICポートから送信されないように流れを止め、
前記フレームのうち、前記宛先に前記マイ代表アドレス及び前記メイト代表アドレスのうち一方が含まれているフレームについては、前記アクセスポートによって受信されたフレームを除き、前記NNIポートから送信されないように流れを止め、
前記フレームのうち、前記送信元に前記メイト代表アドレスが含まれているフレームについては、前記ICポートによって受信されたフレームを除き、前記NNIポートから送信されないように流れを止め、
前記フレームのうち、前記宛先に前記マイ代表アドレス及び前記メイト代表アドレスが含まれているフレームについては、前記アクセスポートから送信されるように流れを生成する、
エッジ中継装置。
【請求項3】
MAC−in−MAC方式のネットワークの境界に配置されるエッジ中継装置の冗長システムであって、
第1エッジ中継装置及び第2エッジ中継装置を備え、
第1エッジ中継装置及び第2エッジ中継装置の各々は、
前記ネットワークの境界よりも内側に配置されるコア中継装置に接続されるNNIポートと、
前記ネットワークの外部に配置される外部中継装置に接続されるアクセスポートと、
前記第1エッジ中継装置と前記第2エッジ中継装置との間の接続に使用されるICポートと、
前記NNIポート、前記アクセスポート及び前記ICポートを通じた前記コア中継装置、前記外部中継装置、前記第1エッジ中継装置、及び、前記第2エッジ中継装置の間でのフレームの流れを制御する中継ユニットとを有し、
自身に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをマイ代表アドレスとし、前記第1エッジ中継装置については前記第2エッジ中継装置に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをメイト代表アドレスとし、前記第2エッジ中継装置については前記第1エッジ中継装置に割り当てられる前記ネットワークにおける固有のMACアドレスをメイト代表アドレスとするとき、
前記中継ユニットは、前記フレームの宛先及び送信元に含まれる、前記マイ代表アドレスと前記メイト代表アドレスの組み合わせに基づいて、前記フレームの流れを制御する、
エッジ中継装置の冗長システム。
【請求項4】
請求項3に記載のエッジ中継装置の冗長システムにおいて、
前記中継ユニットは、
前記フレームのうち、前記送信元に前記マイ代表アドレスが含まれているフレームについては、前記NNIポート及び前記ICポートの各々によって受信された場合に流れを止め、
前記フレームのうち、前記送信元に前記メイト代表アドレスが含まれているフレームについては、前記ICポートから送信されないように流れを止め、
前記フレームのうち、前記宛先に前記マイ代表アドレス及び前記メイト代表アドレスのうち一方が含まれているフレームについては、前記アクセスポートによって受信されたフレームを除き、前記NNIポートから送信されないように流れを止め、
前記フレームのうち、前記送信元に前記メイト代表アドレスが含まれているフレームについては、前記ICポートによって受信されたフレームを除き、前記NNIポートから送信されないように流れを止め、
前記フレームのうち、前記宛先に前記マイ代表アドレス及び前記メイト代表アドレスが含まれているフレームについては、前記アクセスポートから送信されるように流れを生成する、
エッジ中継装置の冗長システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のエッジ中継装置の冗長システムにおいて、
前記第1エッジ中継装置及び前記第2エッジ中継装置は、前記外部中継装置とともに、リング型伝送路を構成している、
エッジ中継装置の冗長システム。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか一項に記載のエッジ中継装置の冗長システムを含む、MAC−in−MAC方式の第1ネットワークと、
前記第1ネットワークに接続され、前記第1ネットワークを介して相互に接続される複数の第2ネットワークと
を備える広域ネットワークシステム。
【請求項7】
MAC−in−MAC方式のネットワークの境界に配置されるエッジ中継装置用のフレームの転送方法において、
前記エッジ中継装置のNNIポートを、前記ネットワークの境界よりも内側に配置されるコア中継装置と接続し、
前記エッジ中継装置のアクセスポートを、前記ネットワークの外側に配置された外部中継装置と接続し、
前記エッジ中継装置のICポートを、前記境界に配置された他のエッジ中継装置と接続し、
前記エッジ中継装置及び前記他のエッジ中継装置の各々に前記ネットワークにおける固有のMACアドレスを割り当て、
前記エッジ中継装置に割り当てられた前記MACアドレスをマイ代表アドレスとし、前記他のエッジ中継装置に割り当てられた前記MACアドレスをメイト代表アドレスとするとき、
前記フレームの宛先及び送信元に含まれる、前記マイ代表アドレスと前記メイト代表アドレスの組み合わせに基づいて、前記NNIポート、前記アクセスポート及び前記ICポートを通じた前記コア中継装置、前記外部中継装置及び前記他のエッジ中継装置の間での前記フレームの流れを制御する、
エッジ中継装置用のフレームの転送方法。
【請求項8】
請求項7に記載のエッジ中継装置用のフレームの転送方法において、
前記フレームのうち、前記送信元に前記マイ代表アドレスが含まれているフレームについては、前記NNIポート及び前記ICポートの各々によって受信された場合に流れを止め、
前記フレームのうち、前記送信元に前記メイト代表アドレスが含まれているフレームについては、前記ICポートから送信されないように流れを止め、
前記フレームのうち、前記宛先に前記マイ代表アドレス及び前記メイト代表アドレスのうち一方が含まれているフレームについては、前記アクセスポートによって受信されたフレームを除き、前記NNIポートから送信されないように流れを止め、
前記フレームのうち、前記送信元に前記メイト代表アドレスが含まれているフレームについては、前記ICポートによって受信されたフレームを除き、前記NNIポートから送信されないように流れを止め、
前記フレームのうち、前記宛先に前記マイ代表アドレス及び前記メイト代表アドレスが含まれているフレームについては、前記アクセスポートから送信されるように流れを生成する、
エッジ中継装置用のフレームの転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−161027(P2012−161027A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20878(P2011−20878)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】