説明

エネルギー分解イメージング

医療用イメージング方法は、組織を成長させるために生物学的細胞が種付けされたコントラストラベル付け足場材を表すX線投影データをエネルギー分解する段階と、コントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解画像データを生成するようにエネルギー分解X線投影データを再構成する段階とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、イメージングに関する。本発明は、特に、人間の体内のイメージング増影剤がドープされた足場材に関し、同様のイメージングコントラスト特性を有する構造を見分けることが望ましい他の医療用アプリケーション及び非医療用アプリケーションにも関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的な細胞、人工材料及び生化学要素の組み合わせが、組織、例えば、軟骨、骨及び血管を成長させる組織工学において用いられてきている。その一方法は、好ましい微細構造を有する、及び/又は特定の生物学的細胞又は生物学的要素が種付けされた足場材又は生物分解性ステントのような生理学的に相性が良い支持構造を体内に戦略的に埋め込むことを含む。そのような構造は、細胞の成長を容易にする環境を提供する。時間経過につれて、その構造は壊れ、体に吸収され、新たに形成された組織が、生物学的な且つ機械的な機能を引き継ぐ。その構造は、合成材料(例えば、高分子及びポリエステル)又は天然材料(例えば、タンパク質材料及び多糖材料)から形成されることが可能である。
【0003】
特定のアプリケーションは、膝において成長する軟骨を有する。一実施例においては、軟骨の足場材は、適切な細胞が種付けされ、膝の内部の暫定的な機械的な且つ構造的な支持体を提供するように構成される。その足場材は埋め込まれ、軟骨の細胞が成長して、それ自体で支持体を備えることができる軟骨を構成するまで、そのような支持体を提供するようにある速度で劣化する。足場材が適切に位置付けされていない場合には、所望の結果が得られる可能性は小さい、細胞成長速度又は足場材劣化速度は所望の範囲内にない、若しくは新たに成長した組織は所望の機械的特性を有することはない。従って、足場材の最初の位置、足場材の後の位置合わせ、足場材の劣化、新たな組織の成長、及び新しい組織の機械的特性をしばしばモニタすることが望まれる。治療中、治癒過程の種々のフェーズの間に検査される必要がある膝のストレスを制御するように、組織の成長速度及び足場材の劣化速度を認識することが望ましい。
【0004】
そのような特性をモニタする一方法は、足場材が埋め込まれている領域を定期的に画像化することと、異なる時間に取得されるデータから生成される画像を比較することとを含む。しかしながら、一部の例においては、足場材及び当該組織は、比較的サイズが小さく、類似するイメージングコントラスト特性を有する。他の例においては、足場材は不可視である。その結果、イメージング技術により、足場材の位置付け及び劣化並びに組織の形成をモニタする能力が、所望するものより低い可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の特徴は、上記の課題及び他の課題に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一特徴に従って、医療用イメージング方法は、コントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解画像データを生成するように、エネルギー分解投影データを再構成し、組織を成長させる生物学的細胞により種付けされたコントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解X線投影データを有する。
【0007】
他の特徴に従って、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータにより実行されるときに、コントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解画像データを生成するように、エネルギー分解投影データを再構成し、組織を成長させるための、生物学的細胞が種付けされたコントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解X線投影データの複数のステップをコンピュータが実行するようにする命令を有する。
【0008】
他の特徴に従って、医療用イメージングシステムは、あるエネルギー範囲においてエネルギーを検出し、エネルギー分解投影データを生成するエネルギー分解検出器と、検査領域、及び検出器のエネルギー範囲に対応する造影剤がドープされた細胞成長支持構造を含む、検査領域内に置かれた対象物を通るように移動する多エネルギー放射線を発するソースと、エネルギー分解投影データから造影剤を表すエネルギー分解画像データを生成する再構成器とを有する。
【0009】
他の特徴に従って、システムは、造影剤により足場材をラベル付けする手段と、コントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解X線投影データを取得するように足場材をイメージングする手段と、コントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解X線画像データを生成するように画像データを再構成する手段とを有する。
【0010】
他の特徴に従って、細胞成長支持構造は、医療用イメージングアプリケーションについての支持構造に関連して細胞正著牛時構造の画像コントラストを改善する特性を有する元素がドープされている。
【0011】
本発明の更なる特徴については、以下の詳細説明を読んで、理解するときに、当業者は理解することができる。
【0012】
本発明は、種々の構成要素及び構成要素の構成において、そして種々のステップ及びステップの構成において具現化されることが可能である。図は、好適な実施形態を単に例示することを目的とし、本発明を限定するように意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】例示としてのイメージングシステムを示す図である。
【図2】例示としての前処理器を示す図である。
【図3】例示としての前処理器を示す図である。
【図4】例示としての前処理器を示す図である。
【図5】例示としてのイメージング方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照するに、X線イメージング装置100は、X線管又はX線源104及びX線感応性検出器108を有する。X線源104は、検査領域112を横断し、検出器108を照明する放射線を生成し、発する。
【0015】
検出器108はX線放射センサ又は検出器画素のマトリクスを有する。適切な検出器108はフラットパネル検出器を有する。図示している実施形態においては、検出器108は、入射光子のエネルギーを測定し、複数のエネルギー範囲又はエネルギービンの各々における入射光子数を計数する。エネルギー分解検出器は、それに代えて、複数のシンチレーション検出器又は直接変換検出器、若しくは他のエネルギー分解技術を用いて実行されることが可能である。検出器108は、投影データを生成するように検出されたエネルギーを表す電気信号に検出されたエネルギーを変換する。
【0016】
X線源104及び検出器108の両方は、支持アーム116の移動可能なC字形部分からせり出している。X線源104及び検出器108は、支持アーム116と共に移動し、X線源104により発せられる放射線が検査領域112を横断し、検出器108に照射されるように、支持アームにおいて互いに対して空間的に方向付けられている。支持アーム116は、弧状形状のスリーブ部材124内を移動する可変位部材120を有する。可変位部材120は、第1及び第2方向128に沿って移動し、検査領域112の周りでX線源104及び検出器108を回転させる。スリーブ部材124は、構造132に回転可能であるように結合され、回転軸136の周りで回転する。回転軸136の周りでスリーブ部材を回転させることにより、X線源104及び検出器108が回転軸136及び検査領域112の周りで回転するように、ある角度距離を介して支持アーム116を移動させる。
【0017】
構造132は、壁、天井、床、固定装置、移動可能装置又は他の支持体に動作可能であるように接続される。一実施例においては、この接続は、対応する軸に沿って旋回する、回転する又は並進する1つ又はそれ以上の中間構造を有する。そのような旋回、回転及び並進運動は、検査領域112の周りでX線源104及び検出器108を様々に方向付けるように種々の角度の自由度を与えることができる。一実施例においては、移動可能な構成要素を有利に旋回、回転及び並進させることにより、X線投影が異なる複数の角度位置から得られるように、検査領域112の周りでX線源104及び検出器108を回転させるように互いに調整してそれらを運動させることができる。データ取得の角度範囲は、投影が少なくとも180°にファン角度を加えた角度に亘って得られるような角度範囲である。そのような角度範囲に亘る取得データは、三次元回転可能X線再構成についてのデータの完全な集合を与える。
【0018】
患者支持部140は、検査領域112において対象物、患者、又は他の被検体を支持する。患者支持部140は、検査領域において対象物、患者又は他の被検体を案内するように移動可能である。一部のアプリケーションにおいては、支持部材140は検査領域112の外側に移動され、被検体は、支持部材140なしで、検査領域112内に位置付けられる。
【0019】
エネルギー前処理器114は、所望の特定の特徴を有する投影データを与えるように、投影データを処理する。エネルギー前処理器114への入力は、検出器108のエネルギー領域において検出されるエネルギーを表す分解検出器信号を有する。
【0020】
再構成器148は、画像データを生成するように投影データを再構成する。単一のX線投影に対応する画像データは二次元画像を生成するように処理され、異なる角度位置で取得される複数の投影に対応する画像データは、三次元画像を生成するように処理される。一実施例においては、画像は、画像においてビンのエネルギー範囲内のエネルギーを有する検出される光子の相対濃度を示すように特定のエネルギービンについてのエネルギー測定が処理される定量敵技術を用いて、生成される。他の実施例においては、減衰係数及びエネルギー選択の組み合わせが、画像における好ましい素材にラベル付けするように用いられる。汎用コンピュータはオペレータコンソール152としての役割を果たす。オペレータコンソール152は、モニタ、ディスプレイ、並びにキーボード及びマウス等の入力装置のような人間読み取り可能出力装置を有する。オペレータコンソール152に常駐するソフトウェアは、オペレータがスキャナ100を制御することを可能にする。一実施例においては、そのような制御は、スキャンプロトコルの選択、スキャンパラメータの調節、スキャニングの初期化、一時停止及び終了、又は、例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介してスキャナ100とのインタラクトを有する。
【0021】
上記のように、エネルギー前処理器144は、好ましい特定の特性を有する投影データを与えるように検出器108からの投影データを処理する。一実施形態においては、図2を参照するに、エネルギー前処理器144は、被検体において存在する増影剤又は他の物質を表す投影データを生成するようにk−エッジイメージング技術を用いる。エネルギー前処理器114への入力は、複数のエネルギー範囲又はエネルギービンにおいて検出されるエネルギーを表すエネルギー分解検出器信号d,d,...,dを有する。k−エッジ検出の場合、iは、好適には、2に等しいか又はそれより大きい。検出器信号dは、i番目のエネルギービン又はエネルギー範囲bのスペクトル感度D(E)を表す。更に、多色放射線源の発光スペクトルT(E)が一般に知られている。
【0022】
一実施形態においては、モデリングユニット204が、光電効果のスペクトルP(E)との、コンプトン効果のスペクトルC(E)との及び物質(例えば、造影媒体)の当該エネルギー範囲及びスペクトルK(E)におけるk−エッジとの組み合わせとして被検体をモデル化する。成分の各々についての密度と長さの積、特に、各々の検出信号dにおける光電効果の成分p、コンプトン効果の成分c及びk−エッジ成分kについてのその積が、次の関係式に従う離散的な線形系としてモデル化されることが可能である。
式1 d=∫dE・T(E)・D(E)・(p・P(E)+c・C(E)+k・K(E))
少なくとも3つの検出信号d、d、dが少なくとも3つのエネルギー範囲又はエネルギービンb、b、bについて利用可能である場合、3つの未知数を有する少なくとも3つの式の系が構成され、それらの3つの式は、それ故、計算ユニット208における既知の数字上の方法により解を得ることが可能である。その結果、特に、成分p、c及びkは、その場合、従来の再構成方法を用いて好ましい成分の画像を再構成するように、単独で又は組み合わせて用いられることが可能である。
【0023】
3つのエネルギー範囲又はエネルギービンbが、一般に、成分p、c及びkを決定するのに十分である一方、改善された感度及びノイズ耐性は一般に、入力信号のエネルギー分解能を改善することにより、例えば、エネルギー範囲又はエネルギービンbを増加させることにより得られる。
【0024】
図3及び4は、検出器108のエネルギー範囲に対応する特性エネルギーを有する造影剤がドープされた対象物をシステム100が画像化する2つの実施例を示している。この実施例においては、対象物は、人間の膝304内に備えられた足場材308のような細胞成長支持構造である。足場剤308は、人工的(又は合成)材料、天然材料若しくはそれらの組み合わせから構成され、当該組織を、この実施例においては、膝の軟骨を、形成するように成長させる適切な生物学的細胞により種付けされる。
【0025】
一実施形態に従って、足場材を形成する天然高分子は、アガロース、アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、絹又はそれらの組み合わせである。足場材の形成のための合成材料は、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D,L乳酸−グリコール酸)、ポリ(プロピレンフマル酸塩)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(トリメチレン炭酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバロレート)及びそれらの組み合わせである。それらの天然材料及び合成材料は、生物学的細胞の成長について好適な空間形態、機械的強度、密度、気孔率、気孔サイズ、気孔分布及び気孔相互結合性等のマクロ構造特性及びミクロ構造特性を伴って形成されるように処理される。処理方法は、溶液流延/粒子溶出、ガス発泡、繊維結合、相分離、溶融成形、エマルジョン凍結乾燥、及び種々の固体自由成形技術、例えば、三次元バイオプロッティング(bioplotting)、ロボットマイクロアセンブリを含む。他の実施例においては、対象物は再吸収可能ステント等であることが理解できる。
【0026】
足場材308に増影剤をドープする又は足場材308を増影剤で処理するように種々の技術を用いることが可能である。例えば、人工材料で足場材を形成するとき、増影剤は、足場材を同時に形成し、足場材をラベル付けするように人工材料と共に含まれる及び合成されることが可能である。このように、増影剤は、共有結合又はイオン結合により人工材料に結合されることが可能である。造影剤はまた、共有結合又はイオン結合なしで、足場材の形成中に人工材料内に物理的に取り込まれる(又は、溶解される)ことが可能である。代替として、造影剤は、足場材が形成された後、その足場材にグラフト重合されることが可能である。グラフト重合は、造影剤の要素が足場材の要素と結合する化学結合等の結合技術により得ることが可能である。天然材料から足場材を形成するとき、造影剤は、上記のように、足場材にグラフト重合される、又は足場材形成中に天然の足場材材料内に取り込まれる。
【0027】
足場材308はガドリニウムでラベル付けされる。ガドリニウム(Z=64)は、一般に約40keV乃至約170keVの診断エネルギースペクトルの範囲内の、約50keVにKエッジを有する。十分なエネルギーを有する(ガドリニウムのk殻結合エネルギーに等しい又はそのエネルギーより大きいエネルギーを有する)X線源104により発せられる光子と、ガドリニウムのk殻電子との間の光電作用は、光子の吸収及び光電子の放出をもたらし、k殻に空孔を残す。
【0028】
ガドリニウムにより足場材308をラベル付けすることにより、対応するビンエネルギーデータが、周囲の生物学的組織に関連する画像における足場材308の画像コントラストを改善するように用いられることが可能である。一般に、生物学的組織は、大抵は低い原子番号の元素(例えば、水素(H、Z=1)、炭素(C、Z=6)、窒素(N、Z=7)、及び酸素(O、Z=8))を含み、それらの元素は、比較的小さいk殻結合エネルギーを有し、それ故、比較的少ない特性X線をもたらす。更に、組織における光電子吸収については、特性エネルギーは一般に、対象物により完全に吸収され、検出器108によっては検出されない。それ故、このエネルギービンに対応する画像データは、大部分がガドリニウムにより表される。
【0029】
動作中、足場材308は一般に、図3に示すように体重負荷が掛からない位置又は安静位置において、若しくは図4に示すように体重負荷が掛かっている位置又は負荷位置において画像化される。その結果として得られる画像データは、画像化されるときの造影剤の、それ故、足場材308の状態を反映する。このデータは、膝の内部にコントラストラベル付け足場材308を空間的に位置付けるように用いられることが可能である。体重負荷が掛からない状態の画像データ又は画像と体重負荷が掛かった状態の画像データと比較することにより、足場材の機械的特性に関する情報が導き出される。1つ又はそれ以上の異なる時間間隔の間にデータを取得することにより、生成される画像データ又は画像は、異なる時点での足場材308の状態を表すことができる。このデータは、足場材308が異なる位置に移動したかどうかを示すことが可能である。付加的に又は代替として、このデータは、時間経過と共に足場材の特性についての情報を提供する。例えば、細胞が軟骨を生成するように成長するにつれて、足場材308は、時間経過と共に劣化する。異なる時間に足場材308を画像化することにより、足場材308の劣化が、時間経過と共に追跡されることが可能である。足場材の劣化は、細胞又は組織の成長に関連しているため、複数の異なる時間期間の間の足場材の劣化量はまた、異なる時間期間の間の細胞の成長を特徴付けるように用いられることが可能である。
【0030】
図5を参照するに、例示としてのコントラストが改善されたイメージング方法に関連する方法について、ここで説明する。
【0031】
参照番号504においては、好ましい特性を有する増影剤がドープされた足場材を有する対象物が、検査領域内に適切に位置付けらる。
【0032】
参照番号508においては、複数の投影が、再構成のためのエネルギー分解投影の完全な集合を与えるように対象物の周囲の異なる角度位置において取得される。
【0033】
参照番号512においては、投影データが、画像データを生成するように再構成される。上記のように、画像は画像データから生成されることが可能であり、その画像が、増影剤を、ここでは、対象物の内部の足場材308を、空間的に位置付けるように用いられる。
【0034】
参照番号516においては、必要に応じて、他の投影の集合が、後続の時間期間の間に得られ、その集合から画像データを生成する。M個の異なる時間期間に対応する投影データのN個の集合が取得されることを理解することができる。
【0035】
参照番号520においては、異なる期間に対応する画像データが、時間経過と共に、対象物、足場材の劣化及び細胞の成長における足場材308の空間位置をモニタするように用いられる。
【0036】
変形について検討する。
【0037】
例示としての実施形態においては、足場材308はガドリニウムでラベル付けされる。他の実施形態においては、足場材は、代替として、ヨウ素(I、Z=53)、バリウム(Ba、Z=56)、ランタン(La、Z=57)、金(Au、Z=79)、又は好ましいk殻結合エネルギーを有する又は好ましい特性エネルギーを有する光子を放出する他の元素によりラベル付けされる。
【0038】
ここで説明している技術はまた、コンピュータ断層撮影(CT)及び磁気共鳴撮影(MRI)を含む他の撮影モダリティに従うが、それらに限定されるものではない。CTシステムを用いる場合、足場材308は、ガドリニウム、ヨウ素、バリウム、ランタン、金等で同様にラベル付けされる。CTに基づくシステムを用いることの一有利点は、改善されたコントラスト分解能である。MRIシステムを用いる場合、足場材308は、ガドリニウム、酸化鉄又は他の好ましい特性を有する材料でラベル付けされる。
【0039】
スペクトル情報が、エネルギー分解検出器108を用いないで得られることが可能である。例えば、好ましいスペクトル特性及び/又は時間変化を有する放射線を生成するX線源、又は選択的に硬くなる又は放射線のスペクトル特性を変える他のフィルタが用いられることが可能である。異なるスペクトルを有するがエネルギー分解検出器を用いないで取得される投影により反復する方法によるエネルギー分解再構成の方法については、Fessler等による国際公開第03/071483A2号パンフレットに開示されている。
【0040】
更に、造影剤等の当該の物質を特定し、又は好ましい材料分離を提供する他の処理技術も実行されることが可能である。その技術に依存して、例えば、取得された投影データの成分を分離することが好ましい場合に、又はエネルギー分解データを補間することが好ましい場合に、3つのエネルギー範囲又はエネルギービンを表すデータを用いることが可能である。
【0041】
代替の実施形態においては、エネルギー前処理器144は省かれることが可能である。そのような実施形態においては、再構成器148が、エネルギー分解投影データに関して
直接動作することが可能である。画像データに関して動作するエネルギーに基づく後処理器はまた、当該物質を特定するように、又は好ましい材料を分離するように用いられることが可能である。
【0042】
エネルギー前処理器144及び再構成器148は、コンピュータ処理器により実行されるときに、その処理器が上記の技術を実行するようにするコンピュータ読み取り可能命令により実行されることが可能である。そのような場合、それらの命令は、適切なコンピュータに関連する又はそのコンピュータにアクセス可能であるコンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶されている。上記の技術は、データ取得と同時に実行される必要はない。それらの技術はまた、スキャナ100に関連するコンピュータを用いて実行されることが可能であり、そのコンピュータはまた、スキャナ100から遠く離れて位置し、適切な通信ネットワーク、例えば、HIS/RISシステム、PACSシステム、インターネット等において適切なデータにアクセスすることが可能である。
【0043】
上記の詳細説明においては、膝のイメージングに焦点を当てているが、上記の技術はまた、例えば、他の解剖学的構造、即ち、骨及び血管に対応する軟骨等の膝の軟骨以外の組織に関連して用いられることが可能である。
【0044】
本発明については、上で好ましい実施形態に関連付けて説明している。上記の詳述を読み、理解するときに、当業者は変形及び代替を案出することが可能である。本発明は、同時提出の特許請求の範囲における範囲又はそれと同等のものの範囲において、そのような変形及び代替の全てを包含するように、意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を成長させるために生物学的細胞が種付けされたコントラストラベル付け足場材を表すX線投影データをエネルギー分解する段階;及び
前記コントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解画像データを生成するように前記エネルギー分解X線投影データを再構成する段階;
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、増影剤は、ヨウ素、ガドリニウム、バリウム、ランタン及び金のうちの1つである、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記足場材は合成材料又は生物学的材料である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記生物学的細胞は生物学的組織を形成するように成長する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記投影データは、少なくとも180°にファン角度を加えた角度に亘る異なる角度位置において連続的に取得されるX線投影に対応する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記足場材の三次元画像を生成するように前記画像データを再構成する段階を更に有する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記足場材は安静位置にある、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記足場材はストレスを有する位置にある、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記足場材の周囲をX線源及び検出器を回転させる段階であって、前記検出器は、検査領域を横断し、検出された放射線を表す投影データを生成する前記X線源により発せられる放射線を検出する、段階を更に有する、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記検出器は、複数のエネルギー範囲における放射線を検出するエネルギー分解検出器である、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記X線源は、好ましいスペクトル特性を有する放射線を発する、方法。
【請求項12】
コンピュータにより実行されるときに、該コンピュータが請求項1の方法を実行するようにする命令を有するコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、前記コンピュータはX線システムのコンソールであり、該X線システムは:
検査領域を横断するX線を発する放射線源;
前記検査領域を横断し、放射線を表す投影データを生成する前記放射線を検出刷る検出器;
前記放射線源及び前記検出器が動作可能であるように結合されたC字形支持アームであって、該C字形支持アームの角度移動は、足場材の周囲で前記放射線源及び前記検出器を回転させる、C字形支持アーム;並びに
前記投影データをエネルギー分解する構成要素;
を有する、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項14】
エネルギー範囲におけるエネルギーを検出するエネルギー分解検出器;
該エネルギー分解検出器の前記エネルギー範囲に対応する造影剤がドープされたセル成長支持構造を有する、検出領域に置かれた対象物及び前記検出領域を横断するエネルギーを発するソース;並びに
前記検出されたエネルギーから前記の造影剤がドープされたセル成長支持構造を表すエネルギー分解データを生成する再構成器;
を有する医療用イメージングシステム。
【請求項15】
請求項14に記載の医療用イメージングシステムであって、前記増影剤は、ヨウ素、ガドリニウム、バリウム、ランタン及び金のうちの1つである、医療用イメージングシステム。
【請求項16】
請求項14に記載の医療用イメージングシステムであって、支持構造は合成材料又は天然の生物学的材料である、医療用イメージングシステム。
【請求項17】
請求項14に記載の医療用イメージングシステムであって、支持構造は、軟骨、骨及び血管の一を成長させる細胞が種付けされている、医療用イメージングシステム。
【請求項18】
請求項14に記載の医療用イメージングシステムであって、k−エッジ技術がエネルギー分解投影データを生成するように用いられる、医療用イメージングシステム。
【請求項19】
請求項14に記載の医療用イメージングシステムであって、前記ソース及び前記エネルギー分解検出器は、少なくとも180°にファン角度を加えた角度に亘って前記対象物の周囲を回転し、投影データが前記角度の範囲において複数の異なる角度位置で取得される、医療用イメージングシステム。
【請求項20】
請求項19に記載の医療用イメージングシステムであって、前記投影データから生成される画像データは前記造影剤の三次元画像を生成するように用いられる、医療用イメージングシステム。
【請求項21】
請求項14に記載の医療用イメージングシステムであって、画像が前記画像データから生成され、前記画像は、前記対象物における前記造影剤がドープされた支持構造の空間的位置を表す、医療用イメージングシステム。
【請求項22】
請求項14に記載の医療用イメージングシステムであって、異なる時間に取得された画像データは、前記造影剤がドープされた支持構造の状態の変化を反映する、医療用イメージングシステム。
【請求項23】
請求項22に記載の医療用イメージングシステムであって、前記状態の変化は支持構造の劣化を表す、医療用イメージングシステム。
【請求項24】
請求項22に記載の医療用イメージングシステムであって、前記状態の変化は対象物における前記支持構造の動きを表す、医療用イメージングシステム。
【請求項25】
請求項14に記載の医療用イメージングシステムであって、該医療用イメージングシステムはX線システム、コンピュータ断層撮影(CT)システム及び磁気共鳴撮影(MRI)システムのうちの1つである、医療用イメージングシステム。
【請求項26】
造影剤で足場材をラベル付けする手段;
コントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解X線投影データを取得するように前記足場材をイメージングする手段;及び
コントラストラベル付け足場材を表すエネルギー分解X線画像データを生成するように前記画像データを再構成する手段;
を有するシステム。
【請求項27】
医療用イメージングシステムによりイメージングするときに、周囲の構造に対して細胞成長支持構造の画像コントラストを改善する特性を有する元素がドープされた細胞成長支持構造。
【請求項28】
請求項27に記載の細胞成長支持構造であって、前記元素は、前記細胞成長支持構造を画像化するように用いられるX線イメージングシステムのエネルギースペクトルにおけるk殻結合エネルギーを有する、細胞成長支持構造。
【請求項29】
請求項28に記載の細胞成長支持構造であって、前記X線イメージングシステムの前記エネルギースペクトルは約40keV乃至約170keVの範囲内にある、細胞成長支持構造。
【請求項30】
請求項27に記載の細胞成長支持構造であって、前記元素は、ガドリニウム、バリウム、ランタン及び金のうちの1つである、細胞成長支持構造。
【請求項31】
請求項27に記載の細胞成長支持構造であって、前記細胞成長支持構造は、患者の体内に位置している足場材である、細胞成長支持構造。
【請求項32】
請求項27に記載の細胞成長支持構造であって、前記医療用イメージングシステムは、X線システム、コンピュータ断層撮影システム及び磁気共鳴撮影システムのうちの1つである、細胞成長支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−510855(P2010−510855A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538812(P2009−538812)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054611
【国際公開番号】WO2008/065565
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】