説明

エネルギー変換および消散システム

流体圧エネルギー変換および消散システムは、機械的エネルギーを廃流体圧エネルギーに変換するために消散させる必要のある機械的エネルギー源によって駆動される流体圧リターダ・ポンプ(12)、廃流体圧エネルギーを熱エネルギーに変化させるために設けられる流体圧流れリターダ(20)、流体圧流れリターダによって発生する熱エネルギーを消散させるための少なくとも1つの熱交換器(32)および熱交換器を貫通する強制空気流を生成させるために設けられる少なくとも1つの冷却ファン(34)とを備える。冷却ファンは、廃流体圧エネルギーをさらに消散させるために流体圧リターダ・ポンプによって発生する加圧流体圧流体流の廃流体圧エネルギーによって動力供給される対応する流体圧モータ(36)によって駆動される。このシステムは、流体圧リターダ・ポンプの入口と流体連通する流体圧流体リザーバー(16)をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に流体圧リターダ装置(hydraulic retarding apparatus)に関し、より詳しくは流体圧、機械的エネルギー・リターダ装置のための流体圧エネルギー消散システムに関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧リターダ装置の通常の流体圧エネルギー消散システムでは、消散させる必要のある機械的エネルギーによって発生する加圧された流体圧流体は、特定の絞りを横切って流れる。流体がこの絞りを横切って流れるとき、流れが一定のままである間圧力損失が存在する。この圧力の降下は、流体圧のポテンシャル・エネルギーの減少を示す。行われているどんな機械的仕事も不在であると、流体圧ポテンシャル・エネルギーの変化は、流体圧流体が絞りを通るとき、その温度(または熱)エネルギーの増加に結果としてなる。
【0003】
通常は、この熱エネルギーは空気/流体熱交換器(ラジエータ)の使用を介して環境中に消散される。この熱交換器で消散される熱エネルギーの量を増加させるために、冷却ファンなどの装置を熱交換器を貫通する空気移動を強制するために使用することができる。この冷却ファンを駆動するエネルギーは、電気システム、エンジン、車両動作、またはそれらのいくつかの組合せを含む様々な動力源からもたらされることができる。同様に、多くの場合この冷却ファンを駆動するために使用されるエネルギーは、それが連結されている車両システムにおける寄生負荷(parasitic load)である。この寄生負荷は、全体的効率ロスを引き起こす望ましくない効果を有する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、機械的エネルギーから変換される流体圧エネルギーの一部分を冷却ファンに連結される流体圧ファン・モータを駆動するために使用できるようにすることによって、従来技術のこれらの欠点を克服することがこの発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好ましい実施形態によるエネルギー変換および消散システムは、消散させる必要のある機械的エネルギー源によって駆動される流体圧リターダ・ポンプ(hydraulic retarder pump)と、流体圧熱負荷バルブと、熱消散システムを含む。この流体圧リターダ・ポンプは、機械的エネルギーを加圧された流体圧流体の廃流体圧エネルギーに変換するために設けられる。この流体圧熱負荷バルブは、廃流体圧エネルギーの一部分を熱エネルギーに変化するために設けられる。この熱消散システムは、流体圧熱負荷バルブによって発生する熱エネルギーを消散させるための少なくとも1つの熱交換器と、前記少なくとも1つの熱交換器を貫通する強制空気流を生成させるために設けられる少なくとも1つの冷却ファンを備える。さらに、この少なくとも1つの冷却ファンは、廃流体圧エネルギーをさらに消散させるために前記流体圧リターダ・ポンプによって発生する加圧流体圧流体の廃流体圧エネルギーによって動力供給される対応する流体圧モータによって駆動される。
【0006】
本発明のエネルギー変換および消散システムは、適切な量の流体圧流体を貯蔵するための流体圧流体リザーバーをさらに含むことが好ましい。この流体圧流体リザーバー(hydraulic fluid reservoir)は、流体圧リターダ・ポンプの入口と流体連通する。
【0007】
したがって、本発明は、機械的エネルギーを加圧された流体圧流体流の廃流体圧エネルギーに変換するために設けられる主リターダ流体圧ポンプ、この廃流体圧エネルギーを熱エネルギーに変化するために設けられる流体圧熱負荷バルブ、および熱交換器および通常は熱として消散されるであろう流体圧廃エネルギーの一部分によって駆動される流体圧ファン・モータによって選択的に駆動される冷却ファンを含む熱消散システムとを備える、エネルギー変換および消散システムの新規な装置を具現化する。
【0008】
本発明の他の目的および利点は、添付の図面に照らして見るとき、以下の明細書の検討から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の好ましい例示的な実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の例示的実施形態による流体圧リターダ装置用の、全体的に参照番号10によって指定されたエネルギー変換および消散システムを概略的に示す。この変換および消散システム10は、主リターダ流体圧ポンプ12および熱消散システム30を備える。本発明の機械的エネルギー・リターダ装置は、自動車の流体圧リターダまたは流体圧回生ブレーキ・システムを含む、ただし限定ではない様々な用途に使用することができる。そのような用途では、主リターダ流体圧ポンプ12は、軸14を介して自動車の動力伝達装置(driveline)に連結される。さらに、流体圧回生ブレーキ・システムに変換および消散システム10が使用される場合は、この主リターダ流体圧ポンプ12はポンプ/モータの形態であることができる。
【0011】
この主リターダ流体圧ポンプ12は、自動車の減速中などの消散させる必要のある機械的エネルギー源によって駆動され、機械的エネルギーを加圧された流体圧流体の廃流体圧エネルギーに変換するために設けられる。主リターダ流体圧ポンプ12は、容積形ポンプ(positive displacement pump)、例えば、高圧ピストン・ポンプなどの定容量形ポンプ(fixed displacement pump)であることが好ましい。別法として、この主リターダ流体圧ポンプ12は、可変、容積形ポンプであることができる。任意の適切な流体圧ポンプが本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0012】
変換および消散システム10はさらに、主リターダ流体圧ポンプ12に流体圧的に接続される遠隔流体圧流体リザーバー16を備える。この流体圧流体リザーバー16は、適切な量の流体圧流体17を貯蔵し、この流体圧流体17を主リターダ流体圧ポンプ12に供給するために設けられる。車両リターダ動作では、自動車の機械的エネルギーは、車両動力伝達装置に連結される主リターダ流体圧ポンプ12を回転させるために使用される。
【0013】
引き続いて、主リターダ流体圧ポンプ12が車両動力伝達装置によって回転させられると、それは、入口流体圧通路15を介して流体圧流体リザーバー16から流体圧流体17を引き出し、流体圧圧力を生じさせ、その結果減速する自動車の機械的エネルギーを加圧された流体圧流体の流体圧廃エネルギーに変換する。
【0014】
主リターダ流体圧ポンプ12からの流体圧流体17の流れは、圧力下で外部排出およびドレン・ポート(external vent and drain ports)を有する可変、パイロット作動リリーフ・バルブの型式であることが好ましい、流体圧熱負荷バルブ(hydraulic thermal loading valve)20の入口ポートに供給される。この流体圧熱負荷バルブ20の外部ドレン・ポートは、流体圧流体リザーバー16に排出し、返される。この構成によって流体圧熱負荷バルブ20の入口で維持される流体圧がその出口での背圧によって影響を受け難くなる。流体圧熱負荷バルブ20のドレン・ポートは、ばね付勢の、ソレノイド作動、2方向バルブである主パイロット・バルブ22に接続される。
【0015】
電源を切った状態では、主パイロット・バルブ22の付勢ばねによって強制的に、バルブ機構が流体圧熱負荷バルブ20の排出ポートから流体圧流体リザーバー16へ自由流れ通路を可能にさせる。この状態では、流体圧熱負荷バルブ20は主リターダ・ポンプ12からの流れを絞ることはできず、したがって、変換および消散システム10は「無負荷」である。変換および消散システム10が「無負荷」であるとき、自動車の動力伝達装置から非常にわずかな動力しか吸収することができない。
【0016】
主パイロット・バルブ22に電圧を印加したときの、電源を入れた状態では、流体圧熱負荷バルブ20の排出ポートからの流体圧流れは妨げられ、したがって、変換および消散システム10が「負荷状態」になる。この場合には、流体圧熱負荷バルブ20は、バルブのリリーフ設定値に従って流体圧熱負荷バルブ20の入口での流体圧を生じるために、主リターダ・ポンプ12からの流体圧流体の流れを絞る。この状態では、主リターダ・ポンプ12からの流体圧流体流量および流体圧熱負荷バルブ20によって作り出される流体圧に比例して車両動力伝達装置からエネルギーが吸収される。したがって、流体圧熱負荷バルブ20は、減速する自動車の機械的エネルギーから変換された流体圧廃エネルギーを流体圧流体の熱エネルギーに転換するために設けられる。
【0017】
結果として、流体圧流体が出口通路26を通り流体圧熱負荷バルブ20を出るとき、流体圧流体の温度は流体圧熱負荷バルブ20の両端間の圧力降下および流体圧流体の固有の熱力学的特性に比例してかなり高くなる。この流体圧流体の熱エネルギーは、車両の動力伝達装置から吸収されるエネルギーに実質的に等しい。この熱エネルギーを流体圧流体から排除するか、または変換および消散システム10の動作を制限するかのいずれかをしなければならない。変換および消散システム10の実際的な限界は、流体圧流体の熱質量、熱エネルギー吸収速度、および熱エネルギー排除速度の関数である。
【0018】
出口通路26を通り流体圧熱負荷バルブ20を出る流体圧流体17は、熱消散システム30を通る戻り流路28を経由して流体リザーバー16に返される。図1に示すように、この熱消散システム30は、戻り流路28に設けられた熱交換器32、この熱交換器32を通り流れる流体圧流体17の強制冷却用の、熱交換器32に伴う冷却ファン34を備える。この冷却ファン34は、流体圧モータ36によって選択的に駆動され、この流体圧モータは流体圧ファン・モータ36のバイパス流体圧管路を効果的に制御するファン・モータ流体圧圧力制御バルブ38によって選択的に作動する。このファン・モータ流体圧圧力制御バルブ38は、外部排出およびドレン・ポートを有する可変、パイロット作動リリーフ・バルブの型式であることが好ましい。ファン・モータ流体圧圧力制御バルブ38は、流体圧モータ36に供給される流体圧流体の圧力を選択的に調整するために冷却ファン流体圧モータ36と並列に配置される。
【0019】
流体圧流体17が流体圧熱負荷バルブ20を出ると、出口通路26は2つの平行な通路に分割される。1つの通路は流体圧ファン・モータ36を含む第1の流体圧管路31aであり、別の通路はファン・モータ圧力制御バルブ38を含む第2の流体圧管路31bである。第1の流体圧管路31aを通り流れる流体圧流体は、流体圧ファン・モータ36および付属の冷却ファン34を回転させる。流体圧ファン・モータ36を通り流れることができる流体圧流体の量は、流体圧流量制御バルブ42によって制限される。この流量制御バルブ42は、流体圧ファン・モータ36の超過速度を防止するために、第1の流体圧管路31aを通る流体圧ファン・モータ36からの流体圧流体の流量を制御するために第1の流体圧管路31a内に配設される。この流量制御バルブ42は、第1の流体圧管路31aの流路断面積を変更するように動作する型式の可変流量制御バルブであることが好ましい。当業者は、任意の他の適切な型式の流量制御バルブを本発明の範囲から逸脱することなく使用できることを理解するであろう。
【0020】
取り囲んでいる空気質量に対する冷却ファン34の動作は、熱交換器32を横切る空気の流れFおよび流体圧ファン・モータ36の軸に加えられる逆トルクを生じさせる。流体圧ファン・モータ36のこの逆トルクは、モータ36を通る流体圧流体の自由流れに対して制限を生じさせる。流れのこの制限は、流体圧ファン・モータ36の両端間に圧力降下を生じさせる。この流体圧ファン・モータ36の両端間の圧力降下および流れが、流体圧廃エネルギーの運動エネルギーへの変換に結果としてなり、その結果、通常は熱として廃棄されたであろう流体圧廃エネルギーの一部分が空気を強制的に熱交換器32を貫通させるための流体圧ファン・モータ36を駆動するために使用される。結果として、冷却ファンを駆動するために必要とされる、前に述べた寄生負荷をなくすことができる。同様に、流体圧廃エネルギーのいくらかが機械的エネルギーに変換されるので、熱エネルギーに変換すべき必要な流体圧廃エネルギーがより少なくなり、これが熱交換器の全体熱負荷を減少させる。
【0021】
流体圧熱負荷バルブ20の入口に蓄積される圧力は、流体圧熱負荷バルブ20の出口にも存在する。この流体圧熱負荷バルブ20は外部的にドレン排出するので、この圧力の存在はその入口での対応する圧力増加に結果としてならない。この結果は、流体圧熱負荷バルブ20の両端間の圧力差は流体圧ファン・モータ36の動作に起因する圧力蓄積に比例して減少することになる。圧力差のこの減少は、熱エネルギーに変換される流体圧廃エネルギーの量の比例的な減少に結果としてなる。熱消散システム30の動作の結果は、流体圧ファン・モータ36が低級の熱廃エネルギーに変換されたであろう実質的に「只の」エネルギーによって作動することのみならず、排除されるべき熱エネルギーの量も減少することになる。
【0022】
第2の流体圧管路31bを通り流れる流体圧流体は、流体圧ファン・モータ36およびその流量制御バルブ42の両端間の最大圧力を制限することによって流体圧ファン・モータ36を選択的に制御するために設けられたファン・モータ圧力制御バルブ38を通り流れる。流量制御バルブ42の設定値を越えるどんな流れも、このバルブを横断して排出される。本発明の第1の例示的実施形態によるファン・モータ圧力制御バルブ38は、方向制御バルブ40によってパイロット作動する。この方向制御バルブ40は、ばね付勢された、ソレノイド作動の、2方向バルブであることが好ましい。方向制御バルブ40は、ファン・モータ圧力制御バルブ38の排出ポートに接続される。
【0023】
ソレノイドの電源が切られているときの、この方向制御バルブ40の通常の無負荷状態では、ファン・モータ圧力制御バルブ38の排出ポートからの流体圧流体の自由流が可能になる。この状態では、ファン・モータ圧力制御バルブ38は「無負荷」になり、故に流体圧流体流れを絞ることができず、したがって、そのポートの両端間で圧力差を有することができない。この結果は、流体圧流体は最も抵抗の少ない通路をたどり、したがって、流体圧ファン・モータ36をバイパスすることになる。方向制御バルブ40のソレノイドの電源が入っているとき、ファン・モータ圧力制御バルブ38の排出ポートからの流体圧流体流が妨げられ、圧力差がバルブ38の内部ばねバイアス設定値によって制御される。したがって、方向制御バルブ40のソレノイドの電気制御は、ファン・モータ圧力制御バルブ38による流体圧ファン・モータ36の制御に結果としてなる。
【0024】
流体圧ファン・モータ36およびファン・モータ圧力制御バルブ38を横切るそれぞれの流体圧流体流は、熱交換器32を横断して流れるように結合され、熱エネルギーは冷却ファン34の助けにより環境に排除される。
【0025】
熱交換器32を出る流体圧流体は、戻り流路28に設けられた微粒子フィルタを44を通り流体リザーバー16に戻る。さらに、戻り流路28は、閉塞の場合にこの微粒子フィルタ44をバイパスするためのフィルタ・バイパス管路45を含む。このフィルタ・バイパス管路45もやはりチェック・バルブ46を備える。
【0026】
図2は、参照番号110によって全体的に示された、本発明によるエネルギー変換および消散システムの第2の例示的実施形態を示す。図1に示す第1の例示的実施形態から変更のない、または同じように機能する構成部品は、2つの実施形態の対応する部品間の類似点は読者に容易に理解されるであろうから、同じ参照番号を付され、時には詳細の説明なしとする。図2の変換および消散システム110は、図1の変換および消散システム10に実質的に対応し、したがって、異なるエネルギー変換および消散システムのみ以下で詳細に説明されるであろう。参照番号130によって全体的に指定される、本発明の第2の例示的実施形態による熱消散システムは、本発明の第1の例示的実施形態による熱消散システム30と実質的に同じであるが、この実施形態は、複数の並列の流体圧的に駆動される冷却ファンを含む。
【0027】
図2に示すように、この熱消散システム130は、熱交換器32aおよび32bを通り流れる流体圧流体17の強制冷却のために、2つの熱交換器32aおよび32bと熱交換器32aおよび32bそれぞれに関連する2台の冷却ファン34aおよび34bを備えることが好ましい。この冷却ファン34aおよび34bは、ファン・モータ流体圧圧力制御バルブ38によって選択的に動作する対応する並行流体圧ファン・モータ36aおよび36bによって選択的に駆動される。取り囲む空気質量に対する冷却ファン34aの動作が熱交換器32aを横切る空気流Fを生じさせ、一方、取り囲む空気質量に対する冷却ファン34bの動作が熱交換器32bを横切る空気流Fを生じさせことは理解されるであろう。流体圧モータ/ファン回転数の同期は、流体圧ファン・モータ36aおよび36bの各々に対する個々の流量制御バルブ42aおよび42bを介して実施することができる。
【0028】
この分野の技術者は、本発明の範囲を逸脱することなく、事実上任意の数の熱交換器および関連する冷却ファンおよびこれらのファンを駆動する対応する流体圧モータを使用することができることを理解するであろう。
【0029】
図3は、参照番号210で全体的に示す、本発明によるエネルギー変換および消散システムの第3の例示的実施形態を示す。図1に示す第1の例示的実施形態から変更のない、または同じように機能する構成部品は、2つの実施形態の対応する部品間の類似点は読者に容易に理解されるであろうから、同じ参照番号を付され、時には詳細の説明なしとする。図3の変換および消散システム210は、図1の変換および消散システム10に実質的に対応し、したがって、異なる熱消散システムのみ以下に詳細に説明する。参照番号230によって全体的に指定される、本発明の第3の例示的実施形態による熱消散システムは、本発明の第1の例示的実施形態による熱消散システム30と実質的に同一であるが、この実施形態では、ファン・モータ流体圧圧力制御バルブ38は、本発明の第1の例示的実施形態の方向制御バルブ40の代わりに、比例パイロット・リリーフ・バルブ240によってパイロット動作する。
【0030】
ファン・モータ流体圧圧力制御バルブ38の圧力降下の比例制御を介して、流体圧ファン・モータ36の両端間の可変差圧を達成することができる。流体圧ファン・モータ36の両端間の可変差圧は、可変ファン回転数、したがって、ファン翼によって推進される周囲空気に加えられる可変力に結果としてなる。この可変ファン力は、熱交換器32を強制的に横切る空気流Fの可変速度および容積に結果としてなる。
【0031】
この実施形態では、流体圧ファン・モータ36に関連する流体圧流量制御バルブ42は、流体圧ファン・モータ36の超過速度を防止するために使用される。流量制御バルブ42の流量制限設定値より下では、流体圧ファン・モータ36の回転数を制御する上でほとんど効果を持たない。しかしながら、流体圧ファン・モータ36の両端間の圧力差がファン翼を十分早く回転させ、流体圧ファン・モータ36を横切って流れる流体圧流体流量が流量制御バルブ42の流量制限設定値に達する状況では、ファン・モータ回転数の更なる増加は流量制御バルブ42によって制限される。
【0032】
本発明の第3の例示的実施形態によるシステムは、本発明の第2の例示的実施形態のような複数の熱交換器、並行流体圧ファン・モータおよび関連する冷却ファンおよび流体圧流量制御バルブ用に拡張可能であることは理解されるであろう。
【0033】
したがって、本発明は、機械的エネルギーを加圧された流体圧流体流の廃流体圧エネルギーに変換するために設けられる主リターダ流体圧ポンプ、この廃流体圧エネルギーを熱エネルギーに変化するために設けられる流体圧熱負荷バルブ、および通常は熱として消散されるであろう流体圧廃エネルギーの一部分によって駆動される流体圧ファン・モータによって選択的に駆動される冷却ファンとを備える、エネルギー変換および消散システムの新規な装置を具現化する。
【0034】
本発明の好ましい例示的な実施形態の前述の説明は、特許法の規定により例示の目的で示されてきた。それは網羅的であること、あるいは本発明を開示されたものと寸分違わない形態に限定することを意図していない。上記の教示に照らして明らかな改変または変更が可能である。上記で開示された実施形態は、本発明の原理およびその実際的な用途を最も良く示し、それによって、本明細書で開示された原理に従う限り、この分野の技術者が様々な実施形態および企図された特定の使用に適した様々な改変で本発明を最もよく使用することができるように選択されたものである。したがって、上記で開示された発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、変更を加えることができる。本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によって定義されることも意図している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態によるエネルギー変換および消散システムの概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態によるエネルギー変換および消散システムの概略図である。
【図3】本発明の第3の実施形態によるエネルギー変換および消散システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的エネルギーを加圧された流体圧の廃流体圧エネルギーに変換するために設けられる、消散させる必要のある機械的エネルギー源によって駆動される流体圧リターダ・ポンプと、
前記廃流体圧エネルギーの一部分を熱エネルギーに変化させるために設けられる流体圧熱負荷バルブと、
前記流体圧熱負荷バルブによって発生する熱エネルギーを消散させるための少なくとも1つの熱交換器と、
前記少なくとも1つの熱交換器を貫通する強制空気流を生成させるために設けられる少なくとも1つの冷却ファンであって、前記少なくとも1つの冷却ファンは、前記廃流体圧エネルギーをさらに消散させるために前記流体圧リターダ・ポンプによって発生する前記加圧流体圧流体の廃流体圧エネルギーによって動力供給される関連する流体圧モータによって駆動される冷却ファンとを備える、エネルギー変換および消散システム。
【請求項2】
前記流体圧リターダ・ポンプの入口と流体連通する、適切な量の流体圧流体を貯蔵するために設けられる流体圧流体リザーバーをさらに備える、請求項1に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項3】
前記流体圧熱負荷バルブが主パイロット・バルブによって動作する、請求項1に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項4】
前記主パイロット・バルブが、ばね付勢の、ソレノイド作動、2方向バルブである、請求項3に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項5】
前記流体圧熱負荷バルブが、主パイロット・バルブによって作動する外部排出およびドレン・ポートを有する可変リリーフ・バルブである、請求項1に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項6】
前記主パイロット・バルブが、ばね付勢の、ソレノイド作動、2方向バルブである、請求項5に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの冷却ファンと関連する前記流体圧モータと直列に設けられる少なくとも1つの流体圧流量制御バルブをさらに含む、請求項1に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの流体圧流量制御バルブが、その断面積を変更するために設けられる可変流量制御バルブである、請求項7に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの冷却ファンに関連する前記流体圧モータの回転速度を選択的に調整するために設けられる、ファン・モータ流体圧圧力制御バルブをさらに含む、請求項1に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項10】
前記ファン・モータ流体圧圧力制御バルブがパイロット・バルブによって動作する、外部排出およびドレン・ポートを有する可変リリーフ・バルブである、請求項9に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項11】
前記パイロット・バルブが、ばね付勢の、ソレノイド作動の、2方向バルブである、請求項10に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項12】
前記パイロット・バルブが比例パイロット・リリーフ・バルブである、請求項10に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項13】
前記ファン・モータ流体圧圧力制御バルブが、前記少なくとも1つの冷却ファンと関連する前記流体圧モータと並列に配設される、請求項9に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項14】
微粒子フィルタをさらに含む、請求項1に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項15】
閉塞の場合に前記微粒子フィルタをバイパスするためのフィルタ・バイパス管路をさらに含む、請求項14に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項16】
前記流体圧熱負荷バルブによって発生する熱エネルギーを消散させるための少なくとも2つの熱交換器と、前記少なくとも2つの熱交換器の各々を貫通する強制空気流を生成させるために設けられる少なくとも2つの冷却ファンと、廃流体圧エネルギーをさらに消散させるために前記流体圧リターダ・ポンプによって発生する前記加圧流体圧流体の廃流体圧エネルギーによって動力供給される少なくとも2つの流体圧モータとを含み、前記少なくとも2つの流体圧モータの各々が、前記少なくとも2つの冷却ファンのうちの関連する1つを駆動するために設けられる、請求項1に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項17】
前記少なくとも2つの冷却ファンと関連する前記少なくとも2つの流体圧モータの各々の回転速度を選択的に調整するために設けられるファン・モータ流体圧圧力制御バルブをさらに含む、請求項16に記載のエネルギー変換および消散システム。
【請求項18】
前記ファン・モータ流体圧圧力制御バルブが、前記少なくとも2つの流体圧モータの各々と並列に配設される、請求項17に記載のエネルギー変換および消散システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−528969(P2007−528969A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502886(P2007−502886)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/007286
【国際公開番号】WO2005/087567
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(500187063)デーナ、コーポレイション (23)
【Fターム(参考)】