説明

エポキシ樹脂組成物

ジビニルジアレーンジオキシド、例えばジビニルベンゼンジオキシドを含むエポキシ樹脂組成物であって、ジビニルアレーンジオキシドが約15質量%未満のスチレン系不純物、例えばエチルスチレンなどの不純物濃度を有するエポキシ樹脂組成物。かかる製造されたジビニルアレーンジオキシドを使用して、ジビニルアレーンジオキシドと、ジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種の別のエポキシ樹脂とのブレンドを含む硬化性エポキシ樹脂組成物又は配合物、並びに(i)ジビニルアレーンジオキシドと、ジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種の別のエポキシ樹脂とのブレンド、(ii)少なくとも1種の硬化剤、及び(iii)必要に応じて少なくとも1種の触媒を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を製造することができる。本発明のジビニルアレーンジオキシド中の著しく低い濃度のスチレン系不純物によって、低い粘度、良好な貯蔵安定性及び良好な熱安定性を有するエポキシ樹脂組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関し、より詳しくは、低粘度液体エポキシ樹脂組成物、及びそれから誘導される熱硬化物、特にエポキシ樹脂組成物がスチレン系不純物について約15質量%(wt%)未満の不純物濃度を有するジビニルアレーンジオキシドに基づく熱硬化物、並びに前記組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族及びモノ芳香族樹脂は低い粘度を有するのに対して、多官能性芳香族グリシジルエーテルエポキシ樹脂は比較的粘稠な液体(例えば25℃で1000mPa・sを超える粘度を有する)であり、熱硬化用途においてかかるエポキシ樹脂を加工するためにエポキシ樹脂の粘度を低下させるのに(例えば約500mPa・s未満に)、しばしば希釈剤の使用を必要とする。
【0003】
米国特許第2,982,752号明細書(「752号特許」)には、芳香族グリシジルエーテルとジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)の混合物を含むエポキシ樹脂組成物が記載されている。752号特許には、所定量のDVBDOを多価フェノールのポリグリシジルポリエーテルに組み込むことにより多価フェノールのポリグリシジルポリエーテルの粘度を特定用途に適合するように有効に減少できること、及び得られた混合物は、硬化すると高い物理的特性を示すことが開示されている。752号特許には、エポキシ樹脂組成物を製造するために752号特許の方法において使用されるDVBDOが過酢酸を使用して製造されることも教示されている。752号特許には、さらに、DVBDOの純度がせいぜい83%であることが開示されている。752号特許のDVBDO中の不純物はエチルスチレンであると同定された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2,982,752号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より純粋で、ひいては、低い粘度、良好な熱安定性及び良好な結晶化抵抗を有するエポキシ樹脂混合物を製造するのに使用でき、それから誘導された熱硬化物が、エポキシ樹脂生成物の同じ熱及び機械的特性を維持しつつ、改善された耐熱団結性(thermal integrity)及び熱硬化用途における使用に要求される他の有利な特性を有するDVBDO樹脂を製造するために、例えばエチルスチレンなどの不純物の濃度が低いDBVDO及び他のジビニルアレーンジオキシドを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様は、ジビニルアレーンジオキシド、例えばDVBDOを含む組成物に関する。本発明において、ジビニルアレーンジオキシド、例えばDVBDOは、ジビニルアレーンと過酸化水素とを反応させることにより製造され、本発明のエポキシ樹脂組成物において有用なジビニルアレーンジオキシドを提供する。得られたジビニルアレーンジオキシド生成物は約15質量%(wt%)未満のスチレン系不純物、例えばエチルスチレンなどを含む。かかる製造されたジビニルアレーンジオキシドは、エポキシ樹脂組成物又は配合物を製造するために典型的に使用される従来のエポキシ樹脂成分の代替物として使用できる。本発明のジビニルアレーンジオキシドにおけるスチレン系不純物の濃度がかなり低いことによって、低い粘度及び良好な熱安定性を有するエポキシ樹脂組成物が提供される。
【0007】
本発明の別の実施態様は、不純物の少ない上記エポキシ樹脂組成物から誘導された熱硬化物に関し、得られた熱硬化物は著しく改善された耐熱団結性を有する。
【0008】
一実施態様において、ジビニルアレーンジオキシドに基づく硬化性エポキシ樹脂熱硬化性配合物を硬化させて熱硬化物を形成することができる。得られた硬化性熱硬化性配合物は、様々な用途、例えばコーティング、接着剤、複合材料、電子機器などで使用できる。
【0009】
本発明のさらに別の実施態様は、(a)第1のコモノマーとしてジビニルアレーンジオキシド、例えば不純物の少ないDVBDO、及び(b)第2のコモノマーとして少なくとも1種のエポキシ樹脂、例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルの混合物を含むエポキシ樹脂組成物に関する。ジビニルアレーンと過酸化水素又は他の酸化剤から製造されたジビニルアレーンジオキシドとエポキシ樹脂との混合物は、硬化前に著しく低い粘度及び良好な結晶化抵抗性、硬化後に、良好な熱団結性及び高い耐熱性も有する。
【0010】
本発明のさらに別の実施態様は、上記の不純物がより少ないエポキシ樹脂組成物の製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
その最も広い範囲において、本発明は、エポキシ樹脂組成物であって、当該組成物のエポキシ成分が本発明のジビニルアレーンジオキシドを、単独で、又はエポキシ樹脂組成物若しくは配合物を製造するために典型的に使用される他のエポキシ樹脂との組み合わせで含む。本発明の得られたジビニルアレーンジオキシド生成物は約15%未満のスチレン系不純物を含む。
【0012】
本明細書において、「スチレン系不純物」とは、ジビニルアレーンジオキシドと併存する1又は2種以上の望ましくない化合物であって、ジビニルアレーンジオキシドでない化合物、例えばスチレン及び/又はエチルスチレンを意味する。かかるスチレン系不純物は、エポキシ樹脂硬化触媒又は共反応性硬化剤により重合せず、ジビニルアレーンジオキシドよりも揮発性が高い。
【0013】
本明細書において、「結晶化抵抗」とは、液状エポキシ樹脂又はその混合物について、下記の工業標準試験に従って、固形物の形成のために流動性を失う日数単位での時間を意味する。
【0014】
本明細書において、「熱安定性」とは、中温に加熱された場合に過剰な減量を生じないエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の混合物を意味する。
【0015】
本明細書において、「耐熱団結性」とは、静置によって分離しない配合物、又は熱硬化性硬化温度に加熱することによってボイドを形成しない熱硬化物を意味する。適切な耐熱団結性を有する熱硬化物は、硬化によって、わずかな比重の減少も示す。
【0016】
本発明において有用なジビニルアレーンジオキシド、特に、例えばDVBDOなどのジビニルベンゼンから誘導されたものは、比較的低い液体粘度を有するが、従来のエポキシ樹脂よりも高い剛性を有するジエポキシド類の部類である。
【0017】
本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドは、例えば、任意の環位置に2つのビニル基を有する任意の置換又は非置換アレーン核を含んでよい。ジビニルアレーンジオキシドのアレーン部分は、ベンゼン、置換ベンゼン、(置換)環付加(ring-annulated)ベンゼン又は同族的に結合した(置換)ベンゼン、又はそれらの混合物から成ることができる。ジビニルアレーンジオキシドのジビニルベンゼン部分は、オルト、メタ又はパラ異性体又はそれらの任意の混合物であることができる。さらなる置換基は、H耐性基、例えば飽和アルキル、アリール、ハロゲン、ニトロ、イソシアネート、又はRO−(Rは飽和アルキル又はアリールであることができる)などから成ることができる。環付加ベンゼンは、ナフタレン、テトラヒドロナフタレンなどから成ることができる。同族的に結合した(置換)ベンゼンは、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどから成ることができる。
【0018】
一実施態様において、本発明において使用されるジビニルアレーンジオキシドは、例えば、2008年12月30日にMarks他により出願された米国特許出願番号第61/141,457号明細書(引用により本明細書に援用する)に記載されている方法によって製造することができる。
【0019】
本発明の組成物を製造するために使用されるジビニルアレーンジオキシドは、下記一般化学構造I〜IVにより一般的に例示することができる:
【0020】
【化1】

【0021】
【化2】

【0022】
本発明のジビニルアレーンジオキシドコモノマーについての上記構造I〜IVにおいて、各R、R、R及びRは、個別に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール若しくはアラルキル基、又はH耐性基、例えばハロゲン、ニトロ、イソシアネート若しくはRO基(式中、Rはアルキル、アリール又はアラルキルであることができる)などであることができ、xは0〜4の整数であることができ、yは2以上の整数であることができ、x+yは6以下の整数であることができ、zは0〜6の整数であることができ、z+yは8以下の整数であることができ、Arはアレーンフラグメント、例えば1,3−フェニレン基などである。
【0023】
別の実施態様において、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドは、例えば、ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド、又はこれらの混合物を含んでよい。
【0024】
本発明の好ましい一実施態様において、エポキシ樹脂配合物中に使用されるジビニルアレーンジオキシドは例えばDVBDOであることができる。最も好ましくは、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシド成分としては、例えば、下記の構造Vの化学式により例示されるDVBDOが挙げられる:
【0025】
【化3】

【0026】
上記DVBDO化合物の化学式はC1010であり、DVBDOの分子量は約162.2であり、DVBDOの元素分析は、およそ、C,74.06;H,6.21;及びO,19.73であり、エポキシド当量は約81g/molである。
【0027】
ジビニルアレーンジオキシド、特に、例えばDVBDOなどのジビニルベンゼンから誘導されたものは、比較的低い液体粘度を有するが、従来のエポキシ樹脂よりも高い剛性及び架橋密度を有するジエポキシド類の部類である。
【0028】
下記構造VIは、本発明において有用なDVBDOの好ましい化学構造の実施態様を例示する:
【0029】
【化4】

【0030】
下記構造VIIは、本発明において有用なDVBDOの好ましい化学構造の別の実施態様を例示する:
【0031】
【化5】

【0032】
DVBDOが当該技術分野で知られている方法により製造される場合、オルト、メタ及びパラの3つの可能な異性体のうちの1つを得ることが可能である。そのため、本発明は、上記構造のうちのいずれか1つにより例示されるDVBDOを個別に含むか又は上記構造のDVBDOを混合物として含む。上記構造VI及びVIIは、それぞれ、DVBDOのメタ(1,3−DVBDO)異性体及びDVBDOのパラ(1,4−DVBDO)異性体を示す。オルト異性体は少なく、通常、DVBDOは、たいてい、メタ(構造VI)異性体とパラ(構造VII)異性体を一般的に約9:1〜約1:9の範囲内の比で生じる。本発明は、好ましくは、一実施態様として、約6:1〜約1:6の範囲内の比で構造VIと構造VIIを含み、別の実施態様において、構造VIと構造VIIの比は約4:1〜約1:4又は約2:1〜約1:2であることができる。
【0033】
本発明の別に実施態様において、ジビニルアレーンジオキシドは、置換アレーンを含んでよい(例えば約20質量%未満)。置換アレーンの量及び構造は、ジビニルアレーンジオキシドへのジビニルアレーン前駆体の製造に使用される方法に依存する。例えば、ジエチルベンゼン(DEB)の脱水素化により製造されたジビニルベンゼン(DVB)は、エチルビニルベンゼン(EVB)及びDEBを含むことがある。過酸化水素との反応によって、EVBは、エチルビニルベンゼンモノオキシドを生成し、一方、DEBは変化せずに残る。これらの化合物の存在は、ジビニルアレーンジオキシドのエポキシド当量を、純粋な化合物のエポキシド当量を超える値に増加させることができる。
【0034】
一実施態様において、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシド、例えばDVBDOは、低粘度液体エポキシ樹脂(LER)組成物を構成する。本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法において使用されるジビニルアレーンジオキシドの粘度は、一般的に、25℃で、約10mPa・s〜約100mPa・s、好ましくは約10mPa・s〜約50mPa・s、より好ましくは約10mPa・s〜約25mPa・sである。
【0035】
本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドの有利な特性のうちの1つは、それらの熱安定性であり、その熱安定性によって、オリゴマー化又はホモ重合なしに中温(例えば約100℃〜約200℃)で数時間(例えば少なくとも2時間)以内の時間、配合物又は加工におけるそれらの使用が可能となる。配合又は加工中のオリゴマー化又はホモ重合は、粘度の実質的な増加又はゲル化(架橋)により分かる。本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドは、中温で配合又は加工中にジビニルアレーンジオキシドが粘度の実質的な増加又はゲル化を経験しないほどの十分な熱安定性を有する。
【0036】
本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドの別の有利な特性は、例えばその剛性である。ジビニルアレーンジオキシドの剛性は、Prediction of Polymer Properties, Dekker, New York, 1993に記載されているBiceranoの方法を使用して、側鎖を除くジオキシドの回転自由度の計算値に求められる。本発明において使用されるジビニルアレーンジオキシドの剛性は、一般的に、約6〜約10、好ましくは約6〜約9、より好ましくは約6〜約8の回転自由度に及ぶことができる。
【0037】
本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物、例えばDVBDOは、望ましくない副生成物、より具体的にはスチレン系不純物を含んでいてもよい。一般的に、当該生成物中に存在するスチレン系不純物は、ジビニルアレーンジオキシド生成物の製造中に反応しない反応物モノマーの幾らかに基づくか、又は反応して副生成物を生成する反応物モノマーに基づくことがある。スチレン系不純物のレベルは、通常、生成物中に微量である。一般的に、本発明の生成物中に存在するスチレン系不純物のレベルは約15質量%未満、好ましくは約10質量%未満、より好ましくは約5質量%未満、非常に好ましくは約1質量%未満、さらに非常に好ましくは0質量%であることができる。
【0038】
一実施態様において、ジビニルアレーンジオキシド生成物は、約10ppmから約15質量%未満のレベルでスチレン系不純物を含み、別の実施態様において、このレベルは約100ppm〜約5質量%であることができ、さらに別の実施態様において、このレベルは約1質量%〜約3質量%であることができる。
【0039】
別の実施態様において、ジビニルアレーンジオキシド生成物は、約83℃超、好ましくは約85℃超、最も好ましくは約90℃超の損失質量5質量%のその温度により求められる熱安定性を有する。
【0040】
本発明の広い実施態様において、(a)第1のコモノマーとしてジビニルアレーンジオキシド、例えばDVBDOと、(b)第2のコモノマーとして、成分(a)のジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂、例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルとの混合物を含むエポキシ樹脂組成物を製造できる。ジビニルアレーンと過酸化水素又は他の酸化剤から製造されたジビニルアレーンジオキシドとエポキシ樹脂との混合物は、著しく低い粘度、改善された結晶化抵抗、及び硬化前により高い耐熱安定性、並びに硬化後に良好な耐熱団結性及び高い耐熱性も有する。
【0041】
本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度は、一般的に、25℃で、約5mPa・s〜約5000mPa・s、好ましくは約5mPa・s〜約1000mPa・s、より好ましくは約10mPa・s〜約500mPa・sである。
【0042】
ISO 4895により求められる本発明のエポキシ樹脂組成物の結晶化抵抗は、一般的に、8日間超、好ましくは10日間超、最も好ましくは50日間超である。
【0043】
エポキシ化合物のブレンドを含むエポキシ樹脂組成物の第1の成分(a)は、上記のジビニルアレーンジオキシドであることができる。
【0044】
本発明のエポキシ樹脂混合物において使用されるジビニルアレーンジオキシドの濃度は、一般的に、約99質量%(wt%)〜約1wt%、好ましくは約95wt%〜約5wt%、より好ましくは約90wt%〜約10wt%である。幾つかのエポキシ樹脂組成物、例えば15質量%を超えるDVBDOを含むDER 383は、下記実施例で示すように、非常に長期間の結晶化抵抗をもたらす。
【0045】
本発明のエポキシ樹脂組成物のブレンド又は混合物の製造において、上記のジビニルアレーンジオキシドに加えて、混合物は上記の成分(a)と異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂(成分(b))を含んでよい。エポキシ樹脂は、少なくとも1つのビシナルエポキシ基を含む化合物である。エポキシ樹脂は、飽和又は不飽和の、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式であることができ、置換されていてもよい。エポキシ樹脂は、モノマーであってもポリマーであってもよい。本発明において有用なエポキシ樹脂は、当該技術分野で知られている任意のエポキシ樹脂から選択できる。本発明において有用なエポキシ樹脂の広範な列挙が、引用により本明細書に援用するLee, H.及びNeville, K., "Handbook of Epoxy Resins," McGraw-Hill Book Company, New York, 1967, Chapter 2, 第257-307頁に見られる。
【0046】
本発明の成分(b)として本明細書に開示する実施態様において使用されるエポキシ樹脂は、様々なものであることができ、かかる樹脂としては、従来のエポキシ樹脂及び市販のエポキシ樹脂が挙げられ、単独で使用するか、又は2種以上を併用できる。本明細書に開示する組成物に対してエポキシ樹脂を選択する際に、最終生成物の特性だけ考慮されるべきでなく、樹脂組成物の加工に影響を及ぼしうる粘度や他の特性も考慮されるべきである。
【0047】
当業者に知られている特に適するエポキシ樹脂は、多官能性アルコール類、フェノール類、脂環式カルボン酸、芳香族アミン又はアミノフェノール類とエピクロロヒドリンとの反応生成物に基づく。幾つかの非限定的な実施態様として、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、及びパラ−アミノフェノール類のトリグリシジルエーテルが挙げられる。当業者に知られている他の好適なエポキシ樹脂としては、エピクロロヒドリンとo−クレゾールの反応生成物、及びフェノールノボラック樹脂が挙げられる。2種又は3種以上のエポキシ樹脂の混合物を使用することもできる。
【0048】
硬化性エポキシ樹脂組成物の製造のために本発明において有用なエポキシ樹脂(成分(b))は、市販の製品から選択できる。例えば、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)から入手可能なD.E.R.(登録商標)331、D.E.R.332、D.E.R.334、D.E.R.580、D.E.N.431、D.E.N.438、D.E.R.736又はD.E.R.732エポキシ樹脂を使用できる。本発明の1つの例示として、エポキシ樹脂成分(a)は、175〜185のエポキシド当量(EEW)、9.5Pa・sの粘度及び1.16g/ccの密度を有する液体エポキシ樹脂であるD.E.R.383エポキシ樹脂であることができる。エポキシ樹脂成分として使用できる他の市販のエポキシ樹脂は、D.E.R.330、D.E.R.354又はD.E.R.332エポキシ樹脂であることができる。D.E.R.はザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの登録商標である。
【0049】
本発明において有用な他の好適なエポキシ樹脂は、例えば米国特許第3,018,262号、米国特許第7,163,973号、第6,887,574号、第6,632,893号、第6,242,083号、第7,037,958号、第6,572,971号、第6,153,719号及び第5,405,688号明細書;PCT国際公開第2006/052727号;並びに米国特許出願公開第2006/0293172号、第2005/0171237号及び第2007/0221890号明細書に開示されており、それらの開示はそれぞれ引用により本明細書に援用する。
【0050】
好ましい一実施態様において、本発明の組成物において有用な必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、任意の芳香族又は脂肪族のグリシジルエーテル又はグリシジルアミン、あるいは脂環式エポキシ樹脂を含む。
【0051】
一般的に、本発明において使用されるエポキシ樹脂の選択は用途に依存する。しかし、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びその誘導体が特に好ましい。他のエポキシ樹脂は、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAエポキシ樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択できるが、これらに限定されない。
【0052】
少なくとも1種のエポキシ樹脂(成分(b))は、エポキシ樹脂混合物組成物中に、一般的には、約1wt%〜約99wt%、好ましくは約5wt%〜約95wt%、より好ましくは約10wt%〜約90wt%の濃度で存在することができる。
【0053】
本発明の別の広い実施態様において、硬化性エポキシ樹脂組成物は、(i)上記のとおりの、ジビニルアレーンジオキシドとジビニルアレーンジオキシド以外の少なくとも1種のエポキシ樹脂とのエポキシブレンド、(ii)少なくとも1種の硬化剤、及び(iii)必要に応じて、少なくとも1種の触媒との反応混合物を含んでよい。
【0054】
硬化性エポキシ樹脂組成物の成分(i)は、(a)第1のコモノマーとしてジビニルアレーンジオキシド、及び(b)第2のコモノマーとして、成分(a)のジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂とを混合することによって製造できる、上記のエポキシ樹脂組成物を含む。
【0055】
硬化性エポキシ樹脂組成物において使用されるエポキシ樹脂ブレンドの量は、一般的に、約99質量%(wt%)〜約1wt%、好ましくは約95wt%〜約5wt%、より好ましくは約90wt%〜約10wt%に及ぶことができる。上記範囲を超える範囲及び上記範囲未満の範囲では、組成物の硬化は十分に起こらない。
【0056】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に有用な硬化剤(成分(ii))は、硬化性エポキシ樹脂についての技術分野で知られている任意の従来の硬化剤を含んでもよい。熱硬化性組成物において有用な硬化剤(curing agent)(硬化剤(hardener)又は架橋剤とも呼ばれる)は、例えば、当該技術分野でよく知られている硬化剤、例えば酸無水物、カルボン酸、アミン化合物、フェノール系化合物、ポリオール、又はそれらの混合物から選択できるが、これらに限定されない。
【0057】
本発明において有用な必要に応じて使用される架橋剤の例としては、エポキシ樹脂に基づく組成物を硬化させるのに有用であることが知られている硬化性物質のいずれも挙げられる。かかる物質としては、例えば、共反応性硬化剤、例えば、ポリアミン、ポリアミド、ポリアミノアミド、ジシアンジアミド、ポリカルボン酸及び酸無水物、並びに触媒作用のある硬化剤、例えば、第3級アミン、第4級アンモニウムハロゲン化物、及びそれらの任意の組み合わせなどが挙げられる。硬化剤の他の具体例としては、スチレン−無水マレイン酸(SMA)コポリマー、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。従来のエポキシ硬化剤の中で、アミン類及びアミノ又はアミド含有樹脂並びに酸無水物が好ましい。
【0058】
ジシアンジアミドは、本発明において有用な硬化剤の1つの好ましい実施態様である。ジシアンジアミドは、その硬化特性を活性化するのに比較的高い温度を必要とするため、ジシアンジアミドは硬化遅延をもたらすという利点を有し、ジシアンジアミドをエポキシ樹脂に加え、室温(約25℃)で貯蔵することができる。
【0059】
硬化性エポキシ樹脂組成物において使用される硬化剤の量は、一般的に、約1wt%〜約99wt%、好ましくは約5wt%〜約95wt%、より好ましくは約10wt%〜約90wt%に及ぶ。上記範囲を超える範囲及び上記範囲未満の範囲では、組成物の硬化が十分に起こらない。
【0060】
例えば、触媒、溶剤、他の樹脂、安定剤、充填剤、可塑剤、触媒失活剤、及びそれらの混合物などの様々な添加剤を必要に応じて本発明の組成物に加えることができる。
【0061】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を製造する際に、少なくとも1種の硬化触媒(成分(iii))を必要に応じて使用してもよい。本発明において使用される硬化触媒は、少なくとも1種のエポキシ樹脂の重合、例えばホモ重合に合わせて作られたものであってもよい。あるいは、本発明において使用される硬化触媒は、少なくとも1種のエポキシ樹脂と少なくとも1種の硬化剤(使用される場合)との間の反応に合わせて作られたものであってもよい。
【0062】
本発明において有用な必要に応じて使用される硬化触媒(成分(iii))としては、当該技術分野でよく知られている触媒、例えばアミン部分、ホスフィン部分、複素環式窒素部分、アンモニウム部分、ホスホニウム部分、アルソニウム部分、スルホニウム部分及びそれらの任意の組み合わせを含む触媒化合物が挙げられる。本発明の触媒の幾つかの非限定的な例としては、例えば、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート;ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド;引用により本明細書に援用する米国特許第4,925,901号明細書に記載されている複素環式窒素含有触媒;イミダゾール類;トリエチルアミン;及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0063】
本発明において有用な硬化触媒の選択は限定されず、エポキシ系に対して一般的に使用されている触媒を使用できる。また、触媒の添加は任意選択的であり、製造される系に依存する。触媒が使用される場合、触媒の好ましい例としては、第3級アミン、イミダゾール類、有機ホスフィン、及び酸塩が挙げられる。
【0064】
本発明において使用される最も好ましい触媒としては、第3級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、2−メチルイミダゾール、ベンジルジメチルアミン、及びそれらの混合物などが挙げられる。
【0065】
本発明において必要に応じて使用される触媒の濃度は、一般的に0wt%〜約20wt%、好ましくは約0.01wt%〜約10wt%、より好ましくは約0.1wt%〜約5wt%、最も好ましくは約0.2wt%〜約2wt%に及ぶことができる。上記範囲を超える範囲及び上記範囲未満の範囲では、十分な効果が得られないか、樹脂の特性にいくらかの低下がありうる。
【0066】
本発明のさらに別の実施態様において、当該技術分野でよく知られている1又は2種以上の任意選択的な有機溶剤を硬化性エポキシ樹脂組成物中に使用してもよい。例えば、芳香族化合物、例えばキシレンなど、ケトン、例えばメチルエチルケトンなど、及びアルコール、例えば1−メトキシ−2−プロパノール、並びにそれらの混合物を本発明において使用できる。
【0067】
本発明において必要に応じて使用される溶剤の濃度は、一般的には、0wt%〜約90wt%、好ましくは約0.01wt%〜約80wt%、より好ましくは約1〜約70wt%、最も好ましくは約10wt%〜約60wt%である。
【0068】
本発明の硬化性又は熱硬化性組成物は、必要に応じて、1又は2種以上の添加剤(それらの意図する用途に有用なもの)を含んでよい。例えば、本発明の組成物において有用な任意選択的な添加剤としては、安定剤、界面活性剤、流れ調整剤、顔料又は染料、艶消し剤、脱ガス剤、難燃剤(例えば、無機難燃剤、ハロゲン系難燃剤、及び非ハロゲン系難燃剤、例えばリン含有材料)、強化剤、硬化開始剤、硬化抑制剤、湿潤剤、着色剤又は顔料、熱可塑性材料、加工助剤、紫外線(UV)遮断化合物、蛍光化合物、紫外線(UV)安定剤、不活性充填剤、繊維強化材、酸化防止剤、耐衝撃性改良剤、例えば熱可塑性粒子など、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記のリストは例示を目的とし、限定を目的とするものでない。当業者は、本発明の配合物に対して好ましい添加剤を最適化することができる。
【0069】
追加の添加剤の濃度は、全組成物の質量を基準にして、約0wt%〜約90wt%、好ましくは約0.01wt%〜約80wt%、より好ましくは約1wt%〜約65wt%、最も好ましくは約10wt%〜約50wt%である。上記範囲を超える範囲及び上記範囲未満の範囲では、有意な効果がないか、樹脂の特性のいくらかの低下がありうる。
【0070】
本発明の組成物の製造は、次の成分:ジビニルアレーンジオキシド、硬化剤、必要に応じてエポキシ樹脂、必要に応じて触媒、必要に応じて不活性有機溶剤、及び必要に応じて他の添加剤を容器内で混合し、次にこれらの成分を配合してエポキシ樹脂組成物にすることにより達成される。混合順序に重要度はない。すなわち、本発明の配合物又は組成物を構成する成分は、本発明の熱硬化性組成物をもたらすために、任意の順序で混合されてよい。上記の任意選択的な様々な配合剤、例えば充填剤を、混合中又は混合前に組成物に加えて組成物を形成してもよい。
【0071】
硬化性ジビニルアレーンジオキシド樹脂組成物の成分は全て、典型的には、所望の用途のための低い粘度を有する有効なエポキシ樹脂組成物の製造を可能にする温度で混合又は分散される。全成分の混合中の温度は、一般的に、約0℃〜約100℃、好ましくは約20℃〜約50℃である。
【0072】
本発明の硬化性エポキシ樹脂配合物又は組成物は、従来の加工条件下で硬化でき、熱硬化物を形成する。得られた熱硬化物は、実施例で後述するように、高い熱安定性を維持しつつ、優れた熱−機械的特性、例えば良好な靱性及び機械的強度を示す。
【0073】
本発明の熱硬化製品を製造する方法は、重力キャスティング、真空キャスティング、自動圧力ゲル化(APG)、真空圧力ゲル化(VPG)、インフュージョン(infusion)、フィラメント巻き(filament winding)、レイアップインジェクション(lay up injection)、トランスファーモールディング、プリプレグ成形、浸漬、コーティング、吹付け、刷毛塗りなどにより実施できる。
【0074】
硬化反応条件としては、例えば、約0℃〜約300℃、好ましくは約20℃〜約250℃、より好ましくは約50℃〜約200℃の範囲内の温度のもとで反応を実施することが挙げられる。
【0075】
硬化反応は、例えば約0.01バール〜約1000バール、好ましくは約0.1バール〜約100バール、より好ましくは約0.5バール〜約10バールの圧力で実施できる。
【0076】
硬化性又は熱硬化性組成物の硬化は、例えば、当該組成物を硬化させるのに十分な所定の時間で実施することができる。例えば、硬化時間は、約1分間〜約24時間、好ましくは約10分間〜約12時間、より好ましくは約100分間〜約8時間の間で選択できる。
【0077】
本発明の硬化方法は、回分法又は連続法であることができる。当該方法で使用される反応器は、当業者によく知られている任意の反応器及び付帯設備であることができる。
【0078】
本発明のエポキシ樹脂を硬化させることにより製造される硬化又は熱硬化した生成物の耐熱団結性は、都合良いことに、エチルスチレン不純物の相分離又はエチルスチレン不純物の蒸発により形成されるボイドの出現を示さない。一実施態様において、本発明の組成物は、約10ppm未満のエチルスチレン不純物を含む対応する組成物と比べて、ASTM D792により求めた場合の比重が約2.2%低い熱硬化物を生成することができる。
【0079】
本発明の組成物は、コーティング、フィルム、接着剤、積層体、複合材料、電子機器などの形態のエポキシ硬化物又は硬化製品の製造に有用である。
【0080】
本発明の1つの例として、一般的に、エポキシ樹脂組成物は、キャスティング、ポッティング、封入、モールディング及びツーリングに有用であることができる。本発明は、全てのタイプの電気キャスティング、ポッティング及び封入用途に対して特に適し、エポキシに基づく複合材料部品、特に、キャスティング、ポッティング及び封入により製造される大きなエポキシに基づく部品を製造するのに適する。得られた複合材料は、幾つかの用途、例えば電気キャスティング用途又は電子部品の封入、キャスティング、モールディング、ポッティング、封入、射出、樹脂トランスファーモールディング、複合材料、コーティングなどで有用であることができる。
【実施例】
【0081】
以下の実施例及び比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0082】
以下の実施例で使用する様々な用語及び名称を以下のとおり説明する:「DVBDO」はジビニルベンゼンジオキシドを表し、「EVBO」はエチルビニルベンゼンオキシドを表し、「DVBDO−95」は約95質量%のDVBDOと約5質量%のEVBOの混合物を表し、「DVBDO−80」は約80質量%のDVBDOと約20質量%のEVBOの混合物を表し、「ES」はエチルスチレンを表し、「TGA」は熱重量分析を表し、D.E.R.383エポキシ樹脂はザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから市販されている176〜183g/eqのエポキシド当量(EEW)を有するエポキシ樹脂であり、D.E.H.20エポキシ硬化剤は、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから市販されている約21のアミン水素当量を有する工業銘柄のジエチレントリアミンである。
【0083】
ここに記載の実施例で使用した標準分析装置及び方法は以下のとおりである:粘度は30℃で周波数10s-1でARESレオメーターを使用して求め、結晶化抵抗はISO 4985に従って求め、比重はASTM D792に従って求め、熱安定性は、TA Instruments,Inc.製のTGA Q5000装置により昇温速度10℃/分を使用して窒素下で試料がTGAにより5質量%減量した温度(T−5)として求めた。
【0084】
実施例1〜8及び比較例A及びB
実施例1〜8は、表I及びIIにそれぞれ示されている濃度でのDVBDO−95又はDVBDO−80とD.E.R.383エポキシ樹脂のブレンドであり、比較例A及びBはDVBDO−95又はDVBDO−80を含まない。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
実施例9〜11及び比較例C及びD
DVBDO−95(「エポキシ1」)と5質量%、10質量%、15質量%及び17質量%のエチルスチレン(ES)との混合物を、構成成分をジャーに入れて約25℃で混合することにより調製した。DVBDO−95と各混合物の部分を次に化学量論的量のD.E.H.20エポキシ硬化剤と混合し、以下のスケジュールを使用して硬化させて、それぞれ実施例9〜11並びに比較例C及びDを得た:50℃で60分間の後に60℃、90℃、100℃、110℃、120℃、150℃、180℃、210℃及び240℃でそれぞれ30分間。表IIIは、使用した成分の量と、外観、硬化後の損失質量、比重、得られた熱硬化物の比重の差(%)を示す。
【0088】
【表3】

【0089】
実施例12〜14及び比較例E及びF
DVBDO−95中に10質量%のD.E.R.383エポキシ樹脂を含む混合物を調製した(エポキシ2)。エポキシ2と5質量%、10質量%、15質量%及び17質量%のエチルスチレン(ES)との混合物を下記のとおり調製した。各混合物の部分を上記のように化学量論的量のD.E.H.20エポキシ硬化剤と混合し、硬化させて、それぞれ実施例12〜14及び比較例E及びFを得た。表IVは、使用した成分の量と、外観、硬化後の損失質量、比重、得られた熱硬化物の比重の差(%)を示す。
【0090】
【表4】

【0091】
実施例15〜17及び比較例G及びH
実施例12〜14及び比較例E及びFを25℃でバイアル内に24時間放置した。得られた硬化物を、外観とモルフォロジーについて観察した(表V)。
【0092】
【表5】

【0093】
実施例18〜20及び比較例I〜K
実施例9〜11及び比較例C及びDのエポキシ成分とESとをTGAにより分析して表VIに示すようにT−5の値を求めた。
【0094】
【表6】

【0095】
実施例19及び比較例L
DVBDO−95中に10質量%のD.E.R.383エポキシ樹脂を含む配合物及びD.E.R.383エポキシ樹脂のみの配合物を化学量論的量のAncamine DL−50(Air Products,Inc.製の変性メチレンジアニリン硬化剤)により完全に硬化させた。得られた熱硬化物の特性を表VIIに示す。
【0096】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジビニルアレーンジオキシドを含むエポキシ樹脂組成物であって、前記ジビニルアレーンジオキシドが約15質量%未満のスチレン系不純物濃度を有するエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
損失質量5質量%の温度が約83℃を超える、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
(a)請求項1に記載のジビニルアレーンジオキシドと(b)成分(a)のジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂とのブレンドを含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
少なくとも約11日間の結晶化抵抗を有する、請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
(i)請求項3に記載のエポキシ樹脂ブレンド組成物と(ii)少なくとも1種の硬化剤とを含む硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
使用によって、硬化後に得られる硬化した製品の比重の変化が約2.2%未満である、請求項5に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
ジビニルアレーンジオキシドがジビニルベンゼンジオキシドである、請求項1、3又は5に記載の組成物。
【請求項8】
前記ジビニルアレーンジオキシドの濃度が約1質量%〜約99質量%である、請求項1、3又は5に記載の組成物。
【請求項9】
成分(a)のジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂である成分(b)が、多官能性アルコール、フェノール類、脂環式カルボン酸、芳香族アミン若しくはアミノフェノール類とエピクロロヒドリンとの反応生成物、又はそれらの混合物を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
成分(a)のジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂の濃度が約1質量%〜約99質量%である、請求項3又は5に記載の組成物。
【請求項11】
前記硬化剤が酸無水物、カルボン酸、アミン化合物、又はそれらの混合物を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
前記硬化剤の濃度が約0.1質量%〜約90質量%である、請求項5に記載の組成物。
【請求項13】
硬化触媒を含み、当該硬化触媒の濃度が約0.1質量%〜約20質量%である、請求項5に記載の組成物。
【請求項14】
前記硬化触媒が、アミン部分、ホスフィン部分、複素環式窒素部分、アンモニウム部分、ホスホニウム部分、アルソニウム部分、スルホニウム部分、又はそれらの混合体を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
(a)請求項1に記載のジビニルアレーンジオキシドと(b)成分(a)のジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂とをブレンドすることを含むエポキシ樹脂組成物の製造方法。
【請求項16】
(i)請求項3に記載のエポキシ樹脂ブレンド組成物と(ii)少なくとも1種の硬化剤とを混合することを含む、硬化性エポキシ樹脂組成物の製造方法。

【公表番号】特表2013−513694(P2013−513694A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543162(P2012−543162)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/058695
【国際公開番号】WO2011/071745
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】