説明

エレクトロウエッティングセルのアクティブマトリクスを有する表示装置

【課題】光変調のためのエレクトロウエッティングセル(EWセル)のアクティブマトリクスにおいて、液体は値書き込み動作完了後、初期状態にリセットされなければならない。最大電圧又は最小電圧を用いてこのリセットを実行することは知られている。
【解決手段】課題はデータ駆動回路及び選択駆動回路を有するアクティブマトリクスに関し、アクティブマトリクスは駆動回路に電気的に接続され、行列状に配置されたエレクトロウエッティングセル(EWセル)を備える。EWセルは少なくとも一つのトランジスタを通してデータ線と駆動回路の行線に接続された少なくとも2つの電極を備える。EWセルを制御するための電極を同一のデータ線及び2つの異なる制御線に接続することによって不都合が回避され、選択駆動回路は制御信号によって各選択線に接続される複数のトランジスタを同時に活性化し、中間電圧値を達成するために各EWセルの複数の電極をローカルに接続する。本願の技術分野は立体的な又はホログラフ的な三次元表示を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレクトロウエッティングセル(EWセル)のアクティブマトリクスを有する表示装置に関し、EWセル中の液体が二つの値の書き込み動作間で素早く定義された初期状態となり、それによって高速スイッチング時間が達成される。
【背景技術】
【0002】
本願の技術分野はエレクトロウエッティングセルの形で実現される光変調素子を有する制御可能な空間光変調器をアクティブマトリクスとして備える表示装置を含む。これら表示装置は好ましくは三次元情報、特に映像シーケンスを立体的にまたはホログラフ的に表示するのに用いられる。
【0003】
光変調素子として用いられるEWセルは例えば大きな輝度とコントラスト、大きな視野角及び大きなスイッチングスピードを有するので、他の光変調素子に対して大きな利点を有し、多くの分野に好適に応用できる。これらセルの実際の物理的形態は特定の応用に適用されなければならない。これはまた例えばEWセルの制御機構に関する。このような特性を有するEWセルは制御可能なアクティブマトリクスの素子として好適に用いられ、表示装置で使用され得る。EWセルの設計は一般的に当業者の間ではよく知られていて、そのためここでは簡単な説明だけを行う。単純なEWセルは上部及び底部の面板を有する封入容器を備え、これらは好ましくは透明材質でできており、これらの間では混じり合わない2つの液体がインターフェース(界面)を形成する。そのインターフェースの傾斜は多くの電極と協働して制御可能であり、その制御は電極に供給される電圧を変化させることで実行される。実際の電極配置と制御によって、インターフェースはプリズム及びレンズの少なくとも一つの機能を実現できる。
【0004】
制御可能なEWセルを表示装置で使用するとき、一般的な課題は、LC(液晶)ディスプレイパネルの制御可能な液晶セル(画素)の光変調素子と比べて、アクティブマトリクスのEWセルを制御するときに、比較的大量の液体が移動しなければならないことである。自動立体表示装置のEWセルにおいて、入射光を変調するために、中間調(グレースケール)の値は極めて短時間で実現されなければならない。実時間モードで動作するホログラフ表示装置の表示パネルにおいて、入射光を変調するために、異なる位相及び振幅の少なくとも一つの値が極めて短時間で実現されなければならない。いずれの場合においても、EWセルにおいては前記値を表す電荷は極めて急速に変化しなければならない。通常の液晶ディスプレイ(LCD)パネルでは、画素容量は比較的小さく一定のため、画素容量は極めて急速に電荷反転に追従することができる。もし、液晶ディスプレイパネルにおいて、画素が行線に電圧を供給することによって短時間活性化(アクティブ化)されると、画素容量の電圧はデータ線を通して変化し得る。もし画素が再び非活性化(非アクティブ化)されると、容量の電圧は、今は分離されているが、容量値が変化しないので、液晶ディスプレイパネルにおける映像表示の全期間(例えば16ミリ秒)にわたって一定に保たれる。新しい中間調の値は所定のスイッチング時間(約2−20ミリ秒)の後にだけ、異なる電圧を供給することによって設定される。
【0005】
EWセルを有する表示装置においては、同様にスイッチング時間があり、その時間内にEWセル内の液体のインターフェースは新しく設定された制御電圧に適応する。EWセルにおけるウエッティング(湿潤)が変化するにつれて、容量もまた変化する。EWセル(セル容量)を制御しようと意図されていない絶縁された電極の電荷は一定なので、電圧もまた以下の式に従って変化する。
【0006】
Q=C*U (1)
ここで、Qは電荷、Cは容量、Uは電圧である。
【0007】
そのため、インターフェースの望ましい傾斜角、従ってこの望ましい傾斜角に対応するEWセルの電圧値は、いったんセル電極へ供給される電圧によってのみ制御される電荷の書き込みによっては決定することはできない。両方の電極において、前のスイッチング動作によって生じた実際の液体レベルを常に考慮に入れる必要がある。しかし、この液体のレベルは、わからないか正確に判定できないことが多く、また二つの電極におけるレベルは同一でないことが多い。こういうわけで、例えば、二つのスイッチング動作の間、または二つのアドレッシング動作の間で、リセット動作によって、すなわち、所望の値が書き込まれる前に、EWセルは定義された初期状態になる。インターフェースが定常状態を達成している限り、これは供給される電圧を再調整すること及び一定レベルに保持することの少なくとも一方によって実行され得る。移動される液体の量が多いので、EWセルにおける再調整は比較的長い時間がかかるため、このようにリセット動作を実現することはもはや意味をなさない。
【0008】
ここで言うリセット動作とはEWセルにおけるインターフェースの定義された初期傾斜を回復するプロセスを意味する。これは書き込み動作後、EWセルに存在する電圧又は容量が、新しい値を用いた新しい書き込み動作が実行可能となる前にリセットされなければならないことを意味する。さもなければ、新しく書き込まれた値はアクティブマトリクスにおいて間違って表されることになる。そのような間違った値に起因する三次元物体の復元は復元エラーとなって現れる。
【0009】
特許文献1には、EWセルのアクティブマトリクスを有する表示装置における、リセット動作の一つの可能性が記載されている。ここで各EWセルは付加的なリセット線への接続を有する。もし、ダイオードの順方向電圧よりも大きい電圧がリセット線に供給されると、EWセルは書き込み動作に関係なく、その電圧に充電される。このようにある行のEWセルにおけるリセット動作を初期化することが可能となり、一方、他の行のEWセルには複数の値が書き込まれる。この種の表示装置の不利な点の一つはEWセルにとって、ダイオードの極性によって供給される最大、または最小の電圧に充電されることだけが可能なことである。平坦なデザインではなく、壁を有するEWセルにおいて最大電圧に充電されることは特に不利益となる。最大電圧において、EWセルは最低の容量を有し、そのため極めて少量の電荷しか受け入れることができない。更なる不利な点はリセット動作のための電荷をアクティブマトリクスの外部から供給しなければならないことで、これによって更なる電力損失が生じる。これは、低いスイッチング遅延が要求される上記したアクティブマトリクス型の表示装置を有する電気製品では特に大きな問題となる。
【0010】
上記したリセット動作は例えばホログラフ表示装置の表示パネルに要求されるような高速スイッチングが重視される場合、むしろ不利益となる。単一の行のみが活性化され、実時間応用には時間がかかり過ぎるという事実が特に問題である。他方、中くらいの電位に電極を充電するのははるかに有利である。そのときEWセルはその最大容量の約半分の容量を呈し、従来技術に比べてある値を書き込むためのよりよい出発点となる。達成される電圧の2倍の電圧が水による最大ウエッティングのために再び供給されなければならない。また、小さい残余容量に合致する最小電圧を達成することは、最大のスイッチング状態からのほうがはるかに良好な制御が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 2007/049196
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、EWセルのアクティブマトリクスを有する表示装置を提供することである。それは従来技術の装置の不利な点を回避し、EWセルにおいて定義された電位の初期状態を達成する。特に二つの極端な偏向角の間でEWセルの高速スイッチングが可能となる。同時にアクティブマトリクスの電力損失が低く保持され、定義された初期状態を達成するための追加的な電力消費が回避される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はアクティブマトリクス、少なくとも一つのデータ駆動回路及び少なくとも一つの選択駆動回路を有する表示装置に基づくものである。ここで、アクティブマトリクスはデータ駆動回路及び選択駆動回路の両方に電気的に接続され、行列状に規則的に配置されるエレクトロウエッティングセル(EWセル)を備える。そして、各セルは少なくとも一つのトランジスタを通してEWセルをアドレッシングするための駆動回路のデータ線及び選択線に接続される少なくとも二つの制御電極を有する。
【0014】
上記課題を解決するために本発明においては、各EWセルを制御するために設けられた電極が同一のデータ線と異なる二つの選択線とに接続され、選択駆動回路が個別の選択線に接続される複数のトランジスタを制御信号によって同時に活性化するように、また各EWセルの複数の電極をローカルに接続するように構成される。本発明の一実施形態において、選択駆動回路は電極のローカル接続の期間、一つのリセット動作において、EWセルの残余電圧を中間電圧レベルにリセットすることが可能な値を等化電流が実現するように構成される。中間電圧レベルは二つの電極の残余電圧値を等化した結果の値を有する。
【0015】
選択駆動回路はさらに、アクティブマトリクス内に多くのEWセルの行を備える少なくとも一つの制御可能なEWセルストライプが生成され、プログラムされた制御パターンに従って活性化されるように構成される。選択駆動回路は、制御・蓄積部またはシステムコントローラから送信される更なる制御パターンを実行するように構成される。活性化されたEWセルストライプは好ましくはEWセルストライプの全てのEWセルにおいて中間電圧値が実現されるまで活性状態を続ける。
【0016】
選択駆動回路の他の実施形態によると、活性化された個別行における残余電圧はEWセルストライプの個別行を活性化することによって徐々に等化することが可能であり、ここで、残余電圧の等化も徐々に実行することが可能である。EWセルストライプの活性化されていないセルにおいては、データ駆動回路の通常の書き込み動作が選択駆動回路の制御パターンによって開始され得る。選択駆動回路はさらに、EWセルストライプがEWセルストライプの選択線を活性化することによって、アクティブマトリクスの全表面にわたって移動され得るように構成される。セルストライプを移動させるために、少なくとも一つの行がセルストライプの例えば最下部に追加され、例えば最上部の少なくとも一つの行がセルストライプから同時に除去される。ここで追加された行は残余電圧をリセットするための制御信号によって活性化され、最上部の行はEWセルに新しいデータを書き込むために開放される。活性化と開放のプロセスは駆動回路によって制御される。
【0017】
更なる実施形態においては、表示装置のアクティブマトリクスのEWセルは4つの電極を有し、そのうちの対向する電極は一緒に制御することができる。制御可能な電極はトランジスタを通して所定の期間二つの異なる選択線に接続され得るだけであるが、電位の完全な等化が実現されるまでは接続されない。これは、現在書き込まれる、古い値と新しい値との差が全ての行において非常に小さいときに特に必要である。EWセルにおいて、少なくとも二つの電極については部分等化が適用され得る。
【0018】
所定の中間電圧値を正確に実現するために、データ線を介して望ましい残余電圧の更なる調整を実行することが可能であり、ここでこの電圧はEWセルの活性化された複数の行に対して同時に調整され得る。
【0019】
アクティブマトリクスにおいて、データ線は垂直に通り、選択線は水平に通るが、あるいはその逆でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
ここで、本発明の装置が添付の図面を参照して詳細に説明される、
【図1】従来技術による最大偏向状態にあるEWセルの概略図である。
【図2】図1のEWセルにおいて、供給された電圧による書き込み動作を表し、電極の残余容量に蓄積された電荷を可視化した概略図である。
【図3】平衡状態に達した後の図2のEWセルを表し、電荷キャリアの均等な分布によって可視化した概略図である。
【図4】本発明によるアクティブマトリクスの第1実施形態の回路の詳細を示す概略図である。
【図5】本発明によるアクティブマトリクスの第2実施形態の回路の詳細を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1−3は混合しない二つの液体1、2、例えば油と水とを有する従来技術によるエレクトロウエッティングセル(EWセル)を表し、そのインターフェースは供給される電圧の結果傾斜している。EWセルは3つの電極E1、E2及びE3に接続され、その中でE3が基本電極である。ここでのEWセルは四角い断面を有するものと想定されているが、他の形状の断面もまた可能である。書き込み動作を制御するための、すなわちセルをアドレスするための電極が対向して配置される。ここでの書き込み動作には、例えばホログラム計算の結果としての所定の電圧値を供給することが含まれる。図面のアーチ状の矢印は活性化された各電極間の電圧を表す。
【0022】
図1は動作をリセットするための最も好ましくない初期状態、すなわちEWセルの最大偏向状態を概略的に表す。二つの電圧U1とU2が基本電極との関係で電極E1及びE2に供給される。さらに、電極E1は最小の残余容量、例えばC=0.1pFを有し、電極E2は最大の容量、例えばC=1pFを有する。新しい値、例えばホログラム値をEWセルに書き込む前の初期状態は前に供給された古い値に依存する。電極に供給される最大電圧はアクティブマトリクスの外に配置された駆動回路の導電体及びEWセルのトランジスタによって制限される。この例では12Vと想定される。更にこの例では最大偏向(初期状態)のために、U1=0V及びU2=10Vと想定される。駆動回路はデータを供給するためのデータ駆動回路とアドレスされるべき行とEWセルを選択するための選択駆動回路とを備える。
【0023】
例えばスクリーンの対角線長が19”の典型的なアクティブマトリクス内では、例えば1000行を超える多数の行が存在するため、データ線を介してEWセルの電極に必要な電荷だけが短時間に転送可能である。
【0024】
図2は新しい書き込み動作が行われる前に電極E1に残余容量を有する図1のEWセルを表す概略図である。電極E1は薄い絶縁層によって電極E3に電気的に接続されている導電液体2から分離されているので、残余容量が存在する。電極E2と比較して電極E1の極めて小さい部分のみが導電液体にウエットされているので、0.1pFの残余容量は図1のそれに比べるとはるかに小さい。電極E1に転送される電荷は5つの+と5つの−の記号で表される。この電荷は最大電圧(U=12V)と実際の残余容量、例えば0.1pFによって制限されている。(1)式によると、この電荷は例えばQ=0.1pF・12V=1.2Cである。
【0025】
書き込み動作完了後、電極E1は電圧源から分離される。電極E1及びE2の領域においてセルの壁の液体1及び2によるウエッティング、そしてそれゆえに電極E1の容量は、書き込み動作の短時間の間には実質的に変化できない。新しい書き込み動作の期間新しい電圧が電極E1に供給され、それにより、実際のウエッティング角、すなわちインターフェースの傾斜角は新しい電圧によって表されるウエッティング角に対応しない。液体1はこのように電極E1に沿って実際のウエッティング角が目標のウエッティング角と同一になるまで下降する。
【0026】
図3は到達した平衡状態を表す。絶縁された電極E1の電荷は一定だが、液体1でウエットされる電極の表面は減少するので、電極E1の容量は上昇する。その結果、絶縁された電極E1の電圧は12Vから書き込み動作後の平衡状態では、例えば3Vに落ちる。もし最大電圧(12V)と最大の望ましいウエッティング角に必要な電圧(10V)の比は比較的小さいとすると、液体が書き込み動作の間非常にわずかしか動かないので、目標のウエッティング角が達成される前に、平衡状態に到達する。これは液体1及び2が最小のウエッティング角と最大のウエッティング角の間で変化する望ましくない場合には特に重要である。
【0027】
例:
Sは初期(書き込み動作後)の電荷である。
Eは終了時(平衡状態)の電荷である。
目的はQS=QEを達成することである。
そして式(1)によると、Q=C*U:CS*S=CE*E
U1*C1=U2*C2 U2=U1*C1/C2=12V*0.1pF/0.4pF=3V
書き込み動作完了後の初期電圧をUs=12Vとすると、初期容量はCs=0.1pF、最終容量CE=0.4pF、平衡状態の電圧はUE=3Vとなる。従来技術によるこの書き込み動作を行うと、上述の例の値を用いて一回の書き込み動作で傾斜角の最大値と最小値の間での変化を実現することは不可能である。傾斜角の最大値と最小値の間での変化は、電荷が電極E1及びE2に数回転送される場合のみ達成可能である。電荷の転送プロセスと平衡状態に近づけるプロセスは液体の水面の移動を止めることによって数回中断されなければならない。しかしながら、これは転送動作の回数の要因でアクティブマトリクスのフレームレートを減少させる。
【0028】
上述した欠点を避けるために、本発明の回路配置は上述したように、図4及び図5によるEWセルのアクティブマトリクスの行線制御との相互作用を提供する。
【0029】
図4は表示装置のアクティブマトリクスの第1の実施形態による回路配置の詳細を表す図である。アクティブマトリクスは水平方向に対をなして配置され、それを通してEWセルが少なくとも一つの選択駆動回路ASに接続される選択線を備える。データ線は垂直方向に配置され、EWセルを少なくとも一つのデータ駆動回路DSに接続する。駆動回路AS、DSはアクティブマトリクスの外に配置される。図面は1例として4つのEWセルの制御を表し、ここで、一つのEWセル、EWZが図面中枠で強調される。図1−3に表されるように、EWセルEWZは二つの電極を有し、これら電極は対向する側に配置され、液体及び基本電極(図示せず)を制御するのに供される。本発明はEWセルのリセット動作は制御電極を短絡することにより実現され、それにより、制御される二つの電極の電荷を等化することの結果として起こる中間電圧値が達成される、というアイデアに基づく。このため、行の全ての他のEWセルと同様にEWセルEWZは上下の選択線に接続されるが、この選択線もまた行線と呼ぶ。中間電圧値は2つの選択線が電流を流すために短期間電極E1及びE2を同時にローカルに接続するように初期化される。この接続は図面でアーチ状の矢印によって可視化されている。そうすることで、望ましいリセット状態において、もし電圧が異なれば平面インターフェースを形成するだけであるというこの種EWセルの特別な特性が利点としてあげられる。
【0030】
電流はEWセルのトランジスタの開始抵抗及び電極間の極めて短い部分の抵抗によって制限されるだけで、駆動電力や駆動回路とEWセル間の導線の抵抗によっては制限されないので、非常に高い電流が流れ得る。これは2つの電極の電圧が極めて短時間で等化され所定の中間電圧値が得られるという効果を有する。
【0031】
第1の実施形態の更なる物理的な形態によると、EWセルストライプは所定数の行が組み合わされたアクティブマトリクスに形成されることができる。もし、EWセルストライプの全ての選択線がリセット動作期間に同時に活性化されると、このセルストライプ内の列の全てのEWセルの電極は相互接続され、その電圧レベルは中間電圧を得るように等化する。複数の行の電圧値は同時にリセットされるという事実のために、セルストライプは電圧と液体の状態が所定の中間値に等化するまで、活性化された状態に留まる。一方、リフレッシュ率がわずかに減少されるだけである。しかしながら、緩やかな等化を達成するために、セルストライプの個別の行を数回活性化することも可能である。一方、その間に通常の書き込み動作が他の活性化されていない行で開始される。確定したセルストライプは複数の行が最下部に付け加えられ、一方新しい値が与えられる複数の最上部の行が除去されるように、表示装置のアクティブマトリクスを通してスクロールされることができる。
【0032】
図5は本発明によるアクティブマトリクスの第2の実施形態による回路配置の詳細を表す概略図である。4つの電極がここでEWセルに取り付けられ、常に2つの対向する電極が一緒に制御され、図4で上述したリセット動作の原理に従って扱われる。
【0033】
変形実施形態によると、リセット動作は部分的にだけ開始される。これは電極対が所定の期間だけ接続され、電圧の完全等化が達成されるまでは接続されないように達成される。しかしながら、この場合、ある行の全てのEWセルが同様の初期角度と目標角度を有することが必要条件である。それによって、リセット動作のための中間電圧値が中央の値ではなく、初期値に近い状態が達成され得る。
【0034】
リセット動作の更なる変形態様が、データ線を通して中間電圧値を追加的に調整することによって可能となる。もし複数のセルが活性化されると、電圧はこのようにデータ線と外部駆動回路を通して正確な目標値となり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリクスと、少なくとも1つのデータ駆動回路と、少なくとも1つの選択駆動回路とを有する表示装置であって、
前記アクティブマトリクスは、前記データ駆動回路と選択駆動回路の両方に電気的に接続され、行列状に規則的に配置された複数のエレクトロウエッティングセル(EWセル)を備え、
前記EWセルの各々は、当該EWセルをアドレッシングするために少なくとも1つのトランジスタを通して前記駆動回路のデータ線及び選択線に接続される少なくとも2つの制御電極を有し、
個々の前記EWセルを制御するための前記電極は同一のデータ線と2つの異なる選択線に接続され、
前記選択駆動回路は、個々の前記選択線に接続される複数の前記トランジスタを制御信号によって同時に活性化し、前記EWセルの各々の複数の前記電極をローカルに接続するように構成される、ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記選択駆動回路は、前記電極がローカルに接続する間、一つのリセット動作で前記EWセルの残余電圧を中間電圧レベルにリセットすることができる値を等化電流が実現するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記中間電圧値は、2つの前記電極における前記残余電圧値の等化の結果であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記選択駆動回路は、前記アクティブマトリクス内にEWセルの多くの行を備える少なくとも1つの制御可能なEWセルストライプが生成され、プログラムされた制御パターンに従って活性化されるように構成されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記EWセルストライプは、当該EWセルストライプの全てのEWセルにおいて中間電圧値が達成されるまで活性化された状態を続けることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記選択駆動回路は、活性化された個々の前記行における前記残余電圧が前記EWセルストライプの個々の行を活性化することによって徐々に等化されるように構成され、残余電圧の該等化もまた徐々に実行されることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記選択駆動回路は、前記データ駆動回路の通常の書き込み動作が、前記EWセルストライプ内の活性化されていない行で、対応する制御パターンによって開始されるように構成されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記選択駆動回路は、前記EWセルストライプの前記選択線を活性化することによって、当該EWセルストライプが前記アクティブマトリクスの全表面にわたって移動するように構成されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記セルストライプを移動させるために、前記駆動回路によって、少なくとも1つの行が当該セルストライプに加えられるとともに、同時に当該セルストライプから少なくとも1つの行が除去され、
前記加えられる行は、前記残余電圧をリセットする制御信号によって活性化され、
前記除去される行は、前記EWセルに新しいデータを書き込むために開放される
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
EWセルが4つ電極を備え、そのうちの対向する電極が一緒に制御されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項11】
前記制御可能な電極は、前記トランジスタを通して所定期間2つの異なる前記選択線に接続されるだけで、電位の完全等化が達成されるまでは接続されないことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項12】
所定の中間電圧値を正確に達成するために、望ましい残余電圧の追加の調整が前記データ線を介して同時に実行され、該電圧値はEWセルの複数の活性化された行について同時に調整可能であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項13】
前記選択駆動回路は、制御及び蓄積部又はシステムコントローラから前記選択線を介して送信される複数の異なる制御パターンを実行するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項14】
前記アクティブマトリクスにおいて、前記データ線は垂直方向に走り、前記選択線は水平方向に走るか、またはその逆であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−204665(P2010−204665A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−45798(P2010−45798)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(507230267)シーリアル テクノロジーズ ソシエテ アノニム (89)
【氏名又は名称原語表記】SEEREAL TECHNOLOGIES S.A.
【Fターム(参考)】