説明

エレクトロルミネセンス材料及びその使用

記載なし。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネセンス材料即ち、モノマー、ポリマー、配合物及びこれらポリマーを含む処方並びに本発明のモノマー、ポリマー、配合物及び処方の電子及びオプトエレクトロニクス素子における使用に関する。
【0002】
有機及びポリマー発光ダイオード(OLED/PLED)に基づく表示装置及び照明素子の商業化に向けての広範な基礎研究は、10年以上進行中である。この開発は、WO 90/13148に開示された基礎開発により引き起こされた。しかしながら、これら表示装置を現在市場で支配的である液晶表示装置(LCD)に対する真の競争者にするためには、使用される材料における顕著な改善が未だ必要とされている。
【0003】
ポリマーの場合には、全ての3発光色の生成のためには、ある種のコモノマーを対応するポリマーに共重合化する必要がある。(例えば、WO 00/46321、WO 03/020790及びWO 02/077060)このようにして、青色発光ベースポリマー(「主鎖」(backbone))から出発して、2つの他の原色である赤色及び緑色を生成することが次いで一般的に可能となる。
【0004】
フルカラー表示要素のために既に提案され或いは開発されたポリマーは、種々のクラスの材料である。1例として、ポリフルオレン誘導体及びポリスピロビフルオレン、ポリジヒドロフェナントレン及びポリインデノフルオレン誘導体が適している。これら構造要素の2個以上の組み合わせを含むポリマーも既に提案されている。加えて、ポリ-パラ-フェニレン(PPP)を構造要素として含むポリマーも使用されている。
【0005】
先行技術のポリマーは、ある場合には、PLEDでの使用に関して既に良好な特性を示している。しかしながら、達成された進歩にもかかわらず、これらポリマーは、高品質の用途に対してそれらになされる要請を満足していない。
【0006】
特に、緑色及び特に青色発光ポリマーの寿命は、多くの用途に対して未だ不適当である。これは、赤色発光ポリマーの効率でも同様である。更に、発光色は、先行技術の多くの青色発光ポリマーの場合未だ十分に暗青色ではない。
【0007】
例えば、フルオレン、スピロビフルオレン、インデノフルオレン等のような今日使用される大部分のポリマー主鎖は、非常に高いLUMO軌道、例えば、−0.25eVを有する。この結果の1つは、バリウム、カルシウム或いはセシウム(caesium)のような、低い仕事関数を有する金属は、ポリマー中への電子注入のための陰極材料として使用されねばならない。これらの反応性陰極金属は、酸素と湿気に極度に敏感であるという不利益を有する。それゆえ、良好な封入が、長寿命な素子のための重要な前提である。この理由で、低いLUMOを有するポリマー系は、より広範なスペクトルの陰極材料を使用可能とすることから、ポリマー有機表示装置(PLED)での使用のために特に好まれる。それは、唯一の陰極材料として、上記材料より環境的影響に対してより抵抗性のあるアルミニウムの使用を、非常に特に可能とする。加えて、低いLUMOは、安定な高速な電子移動のための基礎的な前提である。高速な電子移動は、PLEDに加えて、主な関心事項である用途への、この型の材料の使用のために重要である:
1.OFET(有機電解効果トランジスタ):最も安定なOFETは、今日では高速pチャンネルに基づいている。安定なeチャンネルを有するOFETを利用可能にすることは、例えば、アクチブマトリックスOLED表示装置での使用のために望まれるように、駆動電流回路のアーキテクチャーの徹底的な単純化を可能とすることから、主要関心事項である。更なる技術的観点から、バイポーラの安定なOFETは、発光トランジスタのための基礎的前提である。これらは、基板上になくてはならないスイッチ要素を有することから、OLEDを凌いでいる(C. Rost, D. J. Gundlach, S. Karg, and W. Riess, Journal of Applied Physics 2004, 95, 5782)。
【0008】
2.ゼログラフィーでの光受容器での使用のためには、安定な高速電子伝導体を利用可能にすることは、主要な利点である。この型の電子伝導体は、材料を正電荷過剰で供給することを可能とし、負電荷過剰(コロナ)を有する材料の、そうでなければ回避できないストレスを阻止する。新規な安定な電子伝導体は、素子構造を単純化することを可能にし、寿命が著しく増加することを可能にする(K.-L. Law, Chemical Reviews, 1993, 93, 449)。
【0009】
3.有機反射素子での使用のためには、短い応答時間及び相補的電荷の効果的分離を達成することを可能とするために安定な電子伝導体を利用可能にすることが重要である(O. Ostroverkhova and W. E. Moerner, Chemical Reviews 2005, 104, 3267)。
【0010】
4.特に、安定な高速電子伝導体は、有機太陽電池の基本的成分である。
【0011】
驚くべきことに、新規なクラスの材料、特にポリマーが、上記先行技術を超える非常に良好な特性を有することが今回見出された。したがって、本発明は、これら材料、特にポリマーとその使用、特にPLEDにおける使用に関する。新規構造単位は、特にポリマー主鎖として適しているが、それだけでなく、置換パターン次第で、正孔伝導体、電子伝導体若しくはエミッターとして適している。特に構造単位の注意深い選択により、低いLUMOを有する安定な電子伝導体を達成することができる。
【0012】
式(1)若しくは(2)の構造要素を含むポリマーは、OLED表示装置での使用のための材料として知られている。それらは、WO 03/099901、WO 05/033174及びWO 04/039859に記載されている。
【化3】

【化4】

【0013】
しかしながら、全く、驚くべきことに、式(3)の構造が、そのLUMO軌道のエネルギー位置に基づいて、良好な電子注入及び伝導特性を有することが今回見出された。これは、式(3)の構造単位が、はしご状ポリマーのように連結するならば、特にそうでもある。
【化5】

【0014】
本発明は、少なくとも0.5モル%の、好ましくは、少なくとも5モル%の、特に好ましくは、少なくとも10モル%の、特に、少なくとも50モル%の式(3)の単位を含むポリマーに関し、ここで、使用される記号及び添字は、以下の意味を有する:
Mは、出現毎に同一であるか異なり、2〜40個のC原子を有する芳香族、複素環式芳香族若しくは非芳香族環構造であって、出現毎に同一であるか異なってもよい1以上のRにより、非置換でも、置換されていてもよく、
、Xは、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、B(R)、C(R、Si(R、Ge(R、C=O、C=S、C=Se、C=Te、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、S(R、N(R)、P(R)、P(=O)R、P(=S)R、P=O、P=S、P=Se、P=Te、Se、Te若しくは2、3若しくは4個のこれらの基の組み合わせから選択され、又は、XとXは、一緒になって、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-であり、ここで、Rは、出現毎に同一であるか異なってもよく、以下に定義されるものであり、
、Y及びYは、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、B(R)、C(R、Si(R、Ge(R、C=O、C=S、C=Se、C=Te、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、S(R、N(R)、P(R)、P(=O)R、P(=S)R、P=O、P=S、P=Se、P=Te、Se、Te若しくは2、3若しくは4個のこれらの基の組み合わせから選択され、又は、Y、Y及び/又はYは、各場合に一緒になって、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-であり、Rは、出現毎に同一であるか異なってもよく、以下に定義されるものであり、
Jは、ポリマーへの連結を形成し、また、出現毎に同一であるか異なり、単結合、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-又は、Rにより非置換でも、置換されていてもよい芳香族、複素環式芳香族若しくは非芳香族環単位であることができ、Rは、出現毎に同一であるか異なってもよく、以下に定義されるものであるか、-N-Arを表わし、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、Br、I、CN、NO、NH、Si(CH、又は1〜40個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル、アルコキシ、チオアルコキシ若しくはアミノ基であって、夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、N-R、-O-CO-O-、-CO-O-、-CH=CH-、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-O-、-S-若しくは-CONR-により置き代えられてよく、そして1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOにより置き代えられてよく、又は1以上の基Rにより置換されてよい2〜40個の芳香族C原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、又は1以上の基Rにより置換されてよい2〜40個の芳香族C原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、又はこれら構造の組み合わせであって;ここで、2個以上の置換基Rは、互いにモノ或いはポリ環状環構造を形成してもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、ハロゲン、NO、CN、NH、N(R若しくは1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族若しくは複素環式芳香族炭化水素基であり、
は、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基、又は置換されてよい2〜24個のC原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であって、;ここで、2個の置換基Rは、互いにモノ或いはポリ環状環構造を形成してもよく、
n、m、pは、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であるが、但し、少なくとも1つのn若しくはmは、1若しくは2と等しくあらねばならないが、但し、好ましくは、全てのn、m及びpは、同時に1若しくは2であることはできず、そして
qは、1〜10の、好ましくは、1〜1000の、特に好ましくは、1〜100の整数値をとることができる。
【0015】
これは記載から明らかであるが、式(3)の構造単位は、非対称に置換されていてもよい、換言すれば、相異なる置換基が単一の単位上に存在してもよいこと、また、置換基X及びYが存在するなら、異なってもよいし、一方の側にだけあってもよいことがここで再度指摘されねばならない。n、m及び/又はpが、0値をとるならば、これはブリッジが存在しないことを意味する。
【0016】
本発明の目的のために、芳香族環構造は、6〜40個のC原子を環構造中に含む。本発明の目的のために、複素環式芳香族環構造は、2〜40個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を環構造中に含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計数は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、Si、N、P、O、S及び/又はGe、特に好ましくは、N、P、O及び/又はSから選ばれる。本発明の目的のために、芳香族若しくは複素芳香族環構造は、必ずしもアリール又はヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリール又はヘテロアリール基は、例えば、C、N又はO原子のような短い非芳香族単位(H以外の原子は、10%より少なく、好ましくは、H以外の原子は、5%より少ない)により中断されていてもよい構造を意味するものと解されることを意図されている。このように、例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル等の構造も、本発明の目的のための芳香族環構造を意味するものと解されることを意図されてもいる。
【0017】
本発明の目的のために、非芳香族環構造は、3〜40個の、好ましくは、6〜40個のC原子を環構造中に含み、飽和及び又部分飽和環構造の両方を包含し、出現毎に同一であるか異なってもよい基Rによって、非置換或いはモノ或いはポリ置換されてもよく、1個以上のヘテロ原子、好ましくは、Si、N、P、O、S及び/又はGe、特に好ましくは、N、P、O及び/又はSを含んでもよい。これらは、例えば、シクロヘキシル様、ピペリジン様構造であってよく、シクロオクタジエン様環構造でもあってもよい。この用語は、縮合、非芳香族環構造を意味するものと解されることを意図されてもいる。
【0018】
本発明の目的のためには、C〜C40-アルキル基は、ここで、加えて、個々のH原子若しくはCH基は、上記した基により置換されていてよく、特に好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、シクロプロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、シクロブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル及びオクチニル基を意味するものと解される。C〜C40-アルコキシ基は、特に好ましくは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、又は2-メチルブトキシを意味するものと解される。C〜C40アリール若しくはヘテロアリール基は、使用に応じて1価若しくは2価であってよく、各場合に上記基Rによって置換されてもよく、任意の所望の部位を介して、芳香族又は複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロリンイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン及びベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解される。本発明の目的のためには、芳香族又は複素環式芳香族環構造は、上記アリール若しくはヘテロアリール基に加えて、特に、ビフェニレン、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、テトラヒドロピレン及びシス-或いはトランス-インデノフルオレンを意味するものと解される。
【0019】
式(3)の好ましい化合物は、基Jが、本発明の隣接する構造単位への直接連結即ち単結合、出現毎に同一であるか異なってもよいRにより非置換でも、置換されていてもよい芳香族若しくは複素環式芳香族単位及び2重結合及び/又は3重結合を形成し、特に好ましくは、直接連結、上記芳香族若しくは複素環式芳香族単位であり、非常に特に好ましくは、直接連結及び2重結合を形成するものである。
【0020】
式(3)の更に好ましい化合物は、記号Mが、出現毎に同一であるか異なり、1若しくは2個の基Rにより、非置換でも、置換されていてもよい2〜24個のC原子を有する芳香族、複素環式芳香族若しくは非芳香族環構造を表わし、特に好ましくは、夫々、1若しくは2個の基Rにより置換されていてもよいベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピリジン、ピレン及びチオフェン、特に、ベンゼンを表わすものである。
【0021】
式(3)の更に好ましい化合物は、記号Rが、出現毎に同一であるか異なり、又は2〜15個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル鎖であって、加えて、1以上の隣接しないC原子は、N-R、-O-、-S-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CH=CH-若しくは-C≡C-により置き代えられてよく、そして加えて、1以上のH原子は、F若しくはCNにより置き代えられてよく、又は1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい4〜20個のC原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族基、又は複数のこれら構造の組み合わせであって;ここで、2個の置換基Rは、互いにモノ或いはポリ環状、芳香族若しくは脂肪族環構造を形成してもよいものである。
【0022】
式(3)の更に好ましい化合物の具体例は、qが、1〜10の、好ましくは、1〜6の、特に好ましくは、1〜4の整数値を有するものである。
【0023】
本発明の1面は、共役ポリマーに関する。本発明の更なる面は、非共役ポリマーに関する。本発明のなお更なる面は、部分共役ポリマーに関する。好ましいのは、共役ポリマー若しくは部分共役ポリマーである。本発明の更なる面は、分岐共役ポリマーに関し、高度に分岐した、また、樹状ポリマー構造を意味するものと解されることを意図している。
【0024】
本発明の目的のために、共役ポリマーは、主としてsp混成の炭素原子を主鎖中に含むものであり、対応するヘテロ原子により置き代えられてよい。最も単純な場合には、これは、主鎖中の2重及び単結合の交互の存在を意味する。「主として」は、共役への中断を生じる自然に生起する欠陥は、用語「共役ポリマー」を無効にはしないことを意味する。更に、例えば、アリールアミン単位及び/又はある種のヘテロ環(即ち、N、O若しくはS原子を介する共役)及び/又は有機金属錯体(即ち、金属原子を介する共役)が主鎖内に位置するならば、用語「共役」は、本出願の文脈で同様に使用される。逆に、例えば、アルキルブリッジ、(チオ)エーテル、エステル、アミド若しくはイミド結合のような単位は、非共役セグメントと明確に定義される。部分共役ポリマーは、主鎖中の延長する共役部分が、非共役部分により中断されるポリマーか、又は主鎖中で非共役であるポリマーの側鎖に延長する共役部分を含むポリマーを意味するものと解されることを意図している。
【0025】
式(3)の単位に加えて、本発明による特に好ましいポリマーは、更なる構成要素を含んでもよい。それらは、とりわけ、WO 02/077060及びWO 05/014689に開示され、挙げられたものである。その他の構造単位は、例えば以下に記載されるクラスから生じることができる。
【0026】
群1:ポリマーの正孔注入及び/又は輸送特性を向上する単位。
【0027】
群2:ポリマーの電子注入及び/又は輸送特性を向上する単位。
【0028】
群3:群1及び群2からの個々の単位の組み合わせを有する単位。
【0029】
群4:電子燐光発光が電子蛍光発光の代わりに得られる程度に、発光特性を変性する単位。
【0030】
群5:単項状態から3重項状態への遷移を向上する単位。
【0031】
群6:得られるポリマーの形態学若しくは発光色にも影響する単位。
【0032】
群7:典型的には主鎖として使用される単位。
【0033】
本発明の好ましいポリマーは、少なくとも1つの構造要素が電荷輸送特性を有するもの、即ち群1及び/又は群2からの単位を含むものである。
【0034】
正孔輸送特性を有する群1からの構造要素は、例えば、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-p-ジオキシン、フェノキサチン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール及びフラン誘導体と、更には、−4.5〜6.0eVの範囲の高HOMO(HOMO=最高非占分子軌道)を有するO-、S-、N-若しくはP-含有へテロ環である。これらのアリールアミン及びヘテロ環は、ポリマー中で、好ましくは−5.8eV(真空レベルに対して)より大な、特に好ましくは−5.5eVより大なHOMOを生じる。
【0035】
電子輸送特性を有する群1からの構造要素は、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、ベンゾチアジゾールとフェナジン誘導体のみならず、トリアリールボラン及び、更には、−2.5〜4.0eVの範囲の低LUMO(LUMO=最低空分子軌道)を有するO-、S-、N-若しくはP-含有へテロ環である。これらの単位は、ポリマー中で、好ましくは−2.7eV(真空レベルに対して)未満の、特に好ましくは−3.0eV未満のLUMOを生じる。
【0036】
本発明のポリマーは、正孔移動性を増加し、電子移動性を増加する構造(即ち、群1及び2からの単位)が互いに直接結合している群3からの単位を含むことが好ましいかもしれない。これら単位の幾つかは、エミッターとして役立ち、発光色を緑色、黄色或いは赤色にシフトし得る。それゆえ、それらの使用は、例えば、元来が青色発光のポリマーから他の発光色の製造のために適している。
【0037】
群4からの構造単位は、室温でさえも、高効率で3重項状態から発光することができる、即ち電子蛍光発光の代わりに電子燐光発光を呈し、頻繁にエネルギー効率の増加を引き起こす。この目的に適するのは、まず、36より大な原子番号を有する重い原子を含む化合物である。特に適切な化合物は、上記条件を満足するd或いはf遷移金属を含むものである。非常に特に好ましいものは、8乃至10属(Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)だけでなくランタニド錯体(例。Eu3+)からの元素を含む対応する構造単位である。本発明のポリマーのために適する構造単位は、ここで、例えば、種々の錯体であり、例えばWO 02/068435、WO 02/081488、EP 1239526及びWO 04/026886に記載されている。対応するモノマーは、WO 02/068435及びDE 10360606 A1に記載されている。
【0038】
群5からの構造要素は、単項状態から3重項状態への遷移を改善するものであり、群4からの構造要素のサポートに使用され、これら構造要素の燐光特性を改善する。この目的のために適するものは、特に、カルバゾール及び架橋カルバゾール2量体単位であり、WO 04/070772及びWO 04113468に記載されている。また、この目的のために適するものは、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、シラン誘導体及び類似化合物であり、DE 10349033 A1に記載されている。
【0039】
上記言及されたものに加えて、ポリマーの形態学と発光色にも影響する群6からの構造要素は、上記群の範囲に入らない少なくとも1つの更なる芳香族若しくは別の共役構造を有するものであり、即ち、電荷担持移動性に関する影響が少ししかなく、有機金属錯体でなく、単項-3重項遷移に関する影響がないものである。この型の構造要素は、得られるポリマーの形態学にも、発光色にも影響を与えてもよい。それゆえ、単位に応じて、それらはエミッターとしても使用されもする。ここで好ましいのは、6〜40個のC原子を有する芳香族構造若しくはトラン、スチルベン或いはビスチリルアリーレン誘導体であり、夫々は1以上の基Rにより置換されていてもよい。ここで特に好ましいものは、1,4-フェニレン、1,4-ナフチレン、1,4-或いは9,10-アントリレン、2,7-或いは3,6-フェナントリレン、1,6-、2,7-或いは4,9-ピレニレン、3,9-或いは3,10-ペリレニレン、4,4’-ビフェニリレン、4,4’’-ターフェニリレン、4,4’-ビ-1,1’-ナフチリレン、4,4’-トラニレン、4,4’-スチルベニレン若しくは4,4’’-ビススチリルアリーレン誘導体の組み込みである。
【0040】
群7からの構造要素は、ポリマー主鎖として典型的に使用される6〜40個のC原子を有する芳香族構造を有する単位である。これらは、例えば、4,5-ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10-テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、9,9’-スピロビフルオレン誘導体、フェナントレン誘導体、9,10-ジヒドロフェナントレン誘導体、5,7-ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体、シス-及びトランス-インデノフルオレン誘導体である。しかしながら、式(3)の単位の割合は、特に少なくとも50モル%であることから、これら構造要素は、好ましくは、主要なポリマー主鎖としてはここでは使用されない。
【0041】
式(3)の構造単位に加えて、本発明の好ましいポリマーは、群1乃至7から選ばれる1以上の単位を同時に追加的に含んでもよい。群からの1以上の構造単位が同時に存在することが同様に好ましい。
【0042】
式(3)の単位の割合は、好ましくは、少なくとも5モル%、特に好ましくは、少なくとも10モル%、特に少なくとも50モル%である。この選好は、特に式(3)の単位がポリマー主鎖であるならば、特に適用される。他の機能の場合には、他の割合が選好され、例えば、エレクトロルミネッセンスポリマーでの正孔伝導体若しくはエミッターの場合には、0.5〜20モル%程度が選好される。他の用途のためには、例えば、有機トランジスターのためには、好ましい割合は再度異なり、例えば、正孔若しくは電子伝導単位の場合には100モル%迄であってよい。
【0043】
本発明の好ましいポリマーは、式(3)の構造単位に加えて、上記群1乃至7からの少なくとも1個の単位をも含む。上記異なるクラスからの少なくとも2個の構造単位が特に好ましい。これら構造単位の1つは、非常に特に好ましくは、正孔伝導単位の群から選ばれ、その他の群は、発光単位であり、これら2つの機能(正孔伝導及び発光)は、同一の単位によりなされてもよい。
【0044】
式(3)の単位は、特に、白色発光コポリマーの合成のためにも適している。これらは、好ましくは緑色及び赤色発光単位を充分に小さな割合で含み、その結果白色発光を全体として生じる。白色発光コポリマーを合成することができる方法は、DE 10343606に詳細に記載されている。
【0045】
式(3)の単位は、非常に特に、燐光発光コポリマーの合成のためにも適している。本発明の式(3)の単位に加えて、これらは、群4からの単位と更なる群1乃至7からの単位をも含む。群4からの単位の割合は、好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満、特に5%未満である。
【0046】
本発明によるポリマーは、好ましくは10〜10,000、特に好ましくは20〜5000、特に20〜2000の反復単位を含む。
【0047】
ポリマーに要求される溶解度は、特に、式(3)の単位上及び随意に更に存在する単位上の置換基Rによって確保される。更なる置換基が存在するならば、これらは溶解度に貢献もする。
【0048】
フィルムの形態を損なうことを回避するために、直鎖内に、12個超のC原子を有する如何なる長鎖置換基を有さないことが好ましく、好ましくは10個超のC原子、特に8個超のC原子を有さない。
【0049】
例えば、式(3)に関するRでの記載のような非芳香族C原子は、対応する直鎖、分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ鎖に存在する。
【0050】
式(3)の単位を含む本発明の好ましいポリマーは、X、Xが、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、C=O、C(R、C=C(R、O、S、S=O、P=O、SO、S(R、N(R)、P(R)、P(=O)R若しくは2、3若しくは4個のこれらの基の組み合わせから選択され、又は、XとXは、一緒になって、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-であるものである。
【0051】
式(3)の単位を含む本発明の特に好ましいポリマーは、X、Xが、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、C=O、O若しくはこれらの基の組み合わせから選ばれるものである。
【0052】
式(3)の単位を含む本発明の非常に特に好ましいポリマーは、X、Xが、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、Xは元素Oで、Xは、基C=Oを表わすものである。
【0053】
式(3)の単位を含む本発明の更に好ましいポリマーは、Y、Y及び/又はYが、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、C=O、C(R、C=C(R、O、S、S=O、P=O、SO、S(R、N(R)、P(R)、P(=O)R若しくは2、3或いは4個のこれらの基の組み合わせから選択され、又は、2個のY、Y及び/又はYは、各場合に一緒になって、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-であるものである。
【0054】
式(3)の単位を含む本発明の特に好ましいポリマーは、Y、Y及び/又はYが、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、C=O、O若しくはこれらの基の組み合わせから選択されるものである。
【0055】
式(3)の単位を含む本発明の特別に好ましいポリマーは、Y、Y及び/又はYが、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、Y、Y及び/又はYは構造単位C=O(O)を表わすものである。
【0056】
式(3)の好ましいポリマーは、Mが、出現毎に同一であるか異なり、2〜40個のC原子を有する芳香族環構造であって、出現毎に同一であるか異なってもよい1以上の基Rにより、非置換でも、置換されていてもよいものを表わすものである。
【0057】
式(3)の特に好ましいポリマーは、Mが、出現毎に同一であるか異なり、2〜40個のC原子を有する芳香族環構造であって、出現毎に同一であるか異なってもよい1以上の基Rにより、非置換でも、置換されていてもよいものを表わすものである。
【0058】
式(3)の特別に好ましいポリマーは、Mが、出現毎に同一であるか異なり、ベンゼン構造であって、出現毎に同一であるか異なってもよい1以上の基Rにより、非置換でも、置換されていてもよいものを表わすものである。
【0059】
式(3)の単位を含む本発明の好ましいポリマーは、n,m及びpが、出現毎に同一であるか異なり、0,1若しくは2であり、但し少なくとも1つのn若しくはmは、2に等しいものである。
【0060】
本発明の好ましいポリマーは、qが整数値をとる式(3)の単位を含むことにより特徴付けられる。
【0061】
本発明の特に好ましいポリマーは、qが10以下の整数値をとる式(3)の単位を含むことにより特徴付けられる。
【0062】
本発明の特別に好ましいポリマーは、qが5以下の整数値をとる式(3)の単位を含むことにより特徴付けられる。
【0063】
置換パターンに依存して、式(3)の単位は、ポリマーの種々の機能に適している。それゆえ、それらは、ポリマー主鎖として或いはエミッターとして好ましくは使用することができる。どの機能に対してどの化合物が特に適しているかは、特に、置換基X及びYにより説明される。置換基Rも、式(3)の単位の電子特性に影響を有する。
【0064】
式(3)の単位の好ましい具体例が、以下の構造3.1乃至3.29であり、ポリマーでの連結は各場合の点線により示される。これらの構造は、置換が可能である全ての点で置換されてもよい。しかしながら、可能な置換基は、明確さの理由で示されない。
【化6】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】
本発明によるポリマーは、ホモポリマーかコポリマーである。本発明のコポリマーは、1以上の式(3)の構造に加えて、場合によっては、好ましくは、例えば上記群1乃至7からの1以上の更なる構造を含んでもよい。
【0071】
本発明のコポリマーは、ランダム、交互或いはブロック様構造を有してもよく、又は複数のこれら交互構造を有する。ブロック様構造を有するコポリマーを得ることができる方法は、例えば、WO 05/014688に詳細に記載されている。コポリマーは、高度の分岐若しくは樹状構造であってよい。
【0072】
複数の異なる構造要素の使用は、溶解度、固体形態学、色、電荷注入及び輸送特性、温度安定性、オプトエレクトロニクス特性等のような特性を調整することができる。
【0073】
本発明のポリマーは、ポリマー中に式(3)の単位を生じる少なくとも1つの1以上のこの型のモノマーの重合により調製される。原則的に多くの対応する重合反応が存在する。しかしながら、C-C若しくはC-N連結を生じる幾つかの型が成功することがここで判明した。
【0074】
(A)鈴木重合;
(B)山本重合;
(C)スチル(STILLE)重合;
(D)ヘック(HECK)重合;
(E)ヒヤマ(HIYAMA)重合;
(F)ソノガシラ(SONOGASHIRA)重合;
(G)ネギシ(NEGISHI)重合;
(H)ハートウイッグ-ブーフバルト(HARTWIG-BUCHWALD)重合;
これらの方法により重合を行うことができる方法及びポリマーが反応媒体から分離し純化することのできる方法は、例えば、WO 2004/037887に反応型A、B、C及びHに対して、詳細に記載されている。
【0075】
(3)の構造単位を含む本発明のポリマーを生じ、このポリマー単位がポリマー中に組み込まれることを可能とする2,7位(若しくは、存在するならば、Y上の適切な位置で)に適切な置換基を有するモノマーは、新規であって、同様に本発明の主題である。
【0076】
本発明は、2個の官能基Aは、出現毎に同一であるか異なり、C-C若しくはC-N連結反応条件下で共重合することを特徴とする式(4)の2官能化モノマー化合物に関する。その他の記号及び添字は、式(3)に関する意味と同じである。
【化7】

【0077】
Aは、好ましくは、Cl、Br、I、O-トシレート、O-トリフレート、O-メシレート、O-ノナフレート、SiMe3−n(n=1或いは2)、O-SO、B(OR、CR=C(R、-C≡C-及びSn(Rから選択され、特に好ましくは、Br、I及びB(ORから選択され、Rは上記と同じ意味であり、2個以上の基Rは、互いに環構造を形成してもよい。
【0078】
C-C連結反応は、好ましくは、鈴木カップリング、山本カップリング、ソノガシラカップリング、ヘックカップリング及びスチルカップリングよりなる群から選択される。C-N連結反応は、好ましくは、ハートウイッグ-ブーフバルトカップリングである。
【0079】
式(3)の構造単位に対して記載される同じ選好が、(4)の2官能化モノマー化合物に適用される。
【0080】
本発明によるポリマーを純粋物としてだけではなく、その代わりに任意の所望の型の更なるポリマー状、オリゴマー状、樹状若しくは低分子量物質と一緒に、混合物(配合物)として使用することが選好されてもよい。これらは、例えば、電子特性を改善し、単項状態から3重項状態への遷移若しくは単項状態から3重項状態への発光そのものを改善するかもしれない。しかしながら、電気的に不活性な物質も、例えば、形成されたポリマーフィルムの形態学若しくはポリマー溶液の粘度に影響することを目的として適切であるかもしれない。したがって、本発明は、この型の配合物にも関する。
【0081】
本発明は、更に1以上の溶媒中に、少なくとも1つの本発明のポリマー或いは本発明の混合物を含む溶液及び処方に関する。ポリマー溶液を調製することができる方法は、例えば、WO 02/072714、WO 03/019694及びそこに引用された文献に記載されている。これらの溶液は、例えば、表面被覆法(例えば、スピンコート)或いは印刷プロセス(例えば、インクジェット印刷)により薄いポリマー層を製造するために、使用することができる。
【0082】
本発明のポリマーは、PLEDに使用することができる。これらは、陰極、陽極、発光層と、場合によっては更なる層、例えば、好ましくは、正孔注入層と随意に正孔注入層と発光層との間の中間層を含む。PLEDを製造することができる方法は、例えば、一般的プロセスとして、WO 04/037887に詳細に記載されており、個々の場合に対応して採用されるべきである。
【0083】
上記したように、本発明のポリマーは、PLED若しくはこの方法で製造される表示装置でのエレクトロルミネセンス材料に特に適している。
【0084】
本発明の目的のために、エレクトロルミネセンス材料は、PLEDでの活性層として使用することのできる材料であるとみなされる。活性層は、層が、電界の適用で発光することができるものであること(発光層)及び/又は、正及び/又は負電荷の注入及び/又は輸送を改善するものであること(電荷注入若しくは電荷輸送層)を意味する。それは、正孔注入層と発光層との間の中間層であってもよい。
【0085】
それゆえ、本発明は、本発明のポリマーのPLEDでの、特に、エレクトロルミネセンス材料としての使用にも関する。
【0086】
したがって、本発明は、同様に、1以上の活性層を有し、これら活性層の少なくとも1つが1以上の本発明のポリマーを含む、PLEDに関する。活性層は、例えば、発光層及び/又は輸送層及び/又は電荷注入層及び/又は中間層であることができる。
【0087】
本発明のポリマーは、最も近い先行技術として言及されるWO 03/020790及びWO 02/077060に記載されたポリスピロビフルオレン及びポリフルオレンを超える以下の驚くべき効果を有する。
【0088】
(1)(その他の点では同一か類似の組成を有する)本発明のポリマーは、使用においてより高いルミネセンス効率を有することが見出された。これは、特に青色発光を呈するコポリマーにいえる。これは、同じ輝度で、特に、標準の再充電可能な電池に依存する移動用への用途(携帯電話、ポケベル、PDA等のための表示装置)に非常に重要であるより低いエネルギー消費を達成することができることから、ずばぬけた重要性を有する。逆に、より高い輝度が、同じエネルギー消費に対して得られ、例えば、照明用途に興味があるかもしれない。
【0089】
(2)更に、本発明のポリマーは、再度、直接比較で、特に緑色及び青色発光PLEDの場合に、より長い駆動寿命を有することが、驚くべきことに見いだされた。
【0090】
(3)色の入手可能性と達成度は、先行技術と比較して、本発明のポリマーの場合には同等か、より良好である。特に、青色発光ポリマーの場合、改善された色配置とより飽和した青色発光が観察される。
【0091】
(4)本発明のポリマーは、電子伝導性コモノマーの使用がなくてさえも、良好な電子伝導体である。ポリマー中での電子伝導特性は、これまでは、先行技術に関する多くの電子伝導体は高品質の用途で十分に安定ではないことから、困難さを以って達成可能なだけであった。
【0092】
(5)式(3)の新規なポリマー主鎖自体は、暗青色発光を生じ、ポリマー中で青色発光を更に生じる発光単位を簡単に導入することができる。それゆえ、ポリマー中で電荷輸送特性と発光特性を簡単に分離することができる。これは、安定なポリマーを得るために必要である。しかしながら、ポリマー主鎖は、それ自身常に同時に発光もしたことから、これまでは困難さを以って可能なだけであった。
【0093】
本出願及び以下の具体例は、特に、PLED及び対応する表示装置に関する本発明のポリマー若しくは配合物の使用に向けられている。説明中での本発明のポリマーの好ましい使用に関するこの制限にもかかわらず、当業者には、更なる発明段階を要することなく、ほんの少しの可能な用途を言及される、例えば、有機回路、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機トリオード、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機太陽電池(O-SC)、有機染料太陽電池、有機光電池、有機電場消光素子(O-FQD)、有機ポリマー発光ダイオード及びまた有機レーザーダイオード(O-laser)のような、他の有機電子及び有機オプトエレクトロニクス素子における更なる使用のために、本発明のポリマー及び本発明の配合物を使用することが可能である。
【0094】
本発明は、同様に、本発明のポリマー及び本発明の配合物の対応する素子への使用及びこれらの素子自身に関する。
【0095】
更に、コメントは同様に、対応するオリゴマー及び共役デンドリマーに適用することができる。本発明は、同様にそれらにも関する。
【0096】
本発明は、以下の例により、より詳細に説明すされるが、それにより限定することを望むものではない。
【0097】

例1のための量子力学的シミュレーション、対応するシス結合構造(例2)及び((式)3における)qが、より高い値となる誘導体が、分子の幾何学的配置とエネルギー準位の位置に関してコメントすることができるように実行された。
【0098】
例5及び6の3量体構造がCaCheシミュレーションプログラム(バージョン6.1)によりモデル化された。最もエネルギー的に安定な配座は、AM1法を使用する最適化により見出された。HOMO及びLUMOエネルギー準位の計算が、同様に最適化された幾何学に基づくAM1法を使用して実行された。全ての5個の3量体は、非常に低いLUMOエネルギー準位、典型的には、約−3.4eVを示す。この結果は、既に上で説明したように、適切な陰極材料の選択における厳格な制限を解消する。
【0099】
BB1(例1)若しくはそれのより高度な同族体BB4乃至BB8(例7乃至11)のようなモノマー構造型に基づくはしご状ポリマー型のポリマー構造のシミュレーションのために、CaChe6.1が使用された。最もエネルギー的に有利な配座を見出すための幾何学的最適化と、最もエネルギー的に有利な配座のHOMO及びLUMOエネルギー準位の計算が、AM1法を使用して実行された。これらの計算の結果が、例に示される。BB8でのHOMO及びLUMOエネルギー準位の位置に関して、従来のポリマーと比べて、ほんのわずかな変化が観察され、それゆえに、これが、はしご状ポリマーに対する有効な共役長さであると仮定されることが、計算から明らかに証明される。例1の型のモノマー単位に基づく可能なはしご状ポリマーは、約−3.72eVの低いLUMO値を有すべきことが、シミュレーション結果から明らかである。したがって、モノマー組成の特定の選択は、陰極材料アルミニウム(−4.08eV)の仕事関数への、はしご状ポリマーのLUMO軌道の非常に良好なマッチングが達成されることを可能とする。
【化8】

【0100】

【0101】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも0.5モル%の式(3)の単位を含むポリマー。
【化1】

(ここで、使用される記号及び添字は、以下の意味を有する:
Mは、出現毎に同一であるか異なり、2〜40個のC原子を有する芳香族、複素環式芳香族若しくは非芳香族環構造であって、出現毎に同一であるか異なってもよい1以上の基Rにより、非置換でも、置換されていてもよく、
、Xは、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、B(R)、C(R、Si(R、Ge(R、C=O、C=S、C=Se、C=Te、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、S(R、N(R)、P(R)、P(=O)R、P(=S)R、P=O、P=S、P=Se、P=Te、Se、Te若しくは2、3若しくは4個のこれらの基の組み合わせから選択され、又は、XとXは、一緒になって、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-であり、Rは、出現毎に同一であるか異なってもよく、以下に定義されるものであり、
、Y及びYは、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、B(R)、C(R、Si(R、Ge(R、C=O、C=S、C=Se、C=Te、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、S(R、N(R)、P(R)、P(=O)R、P(=S)R、P=O、P=S、P=Se、P=Te、Se、Te若しくは2、3若しくは4個のこれらの基の組み合わせから選択され、又は、2個のY、Y及び/又はYは、各場合に一緒になって、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-であり、Rは、出現毎に同一であるか異なってもよく、以下に定義されるものであり、
Jは、ポリマーへの連結を形成し、そして、出現毎に同一であるか異なり、単結合、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-、又は、Rにより非置換でも、置換されていてもよい芳香族、複素環式芳香族若しくは非芳香族環状単位であることができ、Rは、出現毎に同一であるか異なってよく、以下に定義されるものであるか、-N-Arを表わし、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、Br、I、CN、NO、NH、Si(CH、又は1〜40個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル、アルコキシ、チオアルコキシ若しくはアミノ基であって、夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、N-R、-O-CO-O-、-CO-O-、-CH=CH-、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-O-、-S-若しくは-CONR-により置き代えられてよく、そして1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOにより置き代えられてよく、又は1以上の基Rにより置換されてよい2〜40個の芳香族C原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、又は1以上の基Rにより置換されてよい2〜40個の芳香族C原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、又はこれら構造の組み合わせであって;ここで、2個以上の置換基Rは、互いにモノ或いはポリ環状脂肪族環構造を形成してもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、ハロゲン、NO、CN、NH、N(R若しくは1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族若しくは複素環式芳香族炭化水素基であり、
は、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基、又は2〜24個のC原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であって、置換されていてよく;ここで、2個の置換基Rは、互いにモノ或いはポリ環状環構造を形成してもよく、
n、m、pは、出現毎に同一であるか異なり、0、1若しくは2であるが、但し、少なくとも1つのn若しくはmは、1若しくは2と等しくあらねばならず、そして
qは、1〜10の整数値をとることができる。)
【請求項2】
トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-p-ジオキシン、フェノキサチン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール及びフラン誘導体と、更には、−4.5〜6.0eVの範囲の高HOMOを有するO-、S-、N-又はP-含有へテロ環から選択される正孔注入及び/又は輸送特性を向上する更なる構成要素を含むことを特徴とする、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、ベンゾチアジゾール及びフェナジン誘導体のみならず、トリアリールボランと、更には、−2.5〜4.0eVの範囲の低LUMOを有するO-、S-、N-若しくはP-含有へテロ環から選択される電子注入及び/又は輸送特性を向上する更なる構成要素を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載のポリマー。
【請求項4】
正孔注入及び/又は輸送特性を向上する更なる構成要素と電子注入及び/又は輸送特性を向上する更なる構成要素の両方を含むことを特徴とする、請求項2又は3記載のポリマー。
【請求項5】
電子燐光発光が電子蛍光発光の代わりに得られる程度に、発光特性を変更する、更なる構成要素を含むことを特徴とする、請求項1乃至4項何れか1項記載のポリマー。
【請求項6】
カルバゾール及び架橋カルバゾール2量体単位、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン及びシラン誘導体から選択される、単項状態から3重項状態への遷移を改善する、更なる構成要素を含むことを特徴とする、請求項1乃至5項何れか1項記載のポリマー。
【請求項7】
1,4-フェニレン、1,4-ナフチレン、1,4-或いは9,10-アントリレン、2,7-或いは3,6-フェナントリレン、1,6-、2,7-或いは4,9-ピレニレン、3,9-或いは3,10-ペリレニレン、4,4’-ビフェニリレン、4,4’’-ターフェニリレン、4,4’-ビ-1,1’-ナフチリレン、4,4’-トラニレン、4,4’-スチルベニレン若しくは4,4’’-ビススチリルアリーレン誘導体から選択される、更なる構成要素を含むことを特徴とする、請求項1乃至6項何れか1項記載のポリマー。
【請求項8】
4,5-ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10-テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、9,9’-スピロビフルオレン誘導体、フェナントレン誘導体、9,10-ジヒドロフェナントレン誘導体、5,7-ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体、シス-及びトランス-インデノフルオレン誘導体から選択され、主鎖として典型的に使用される、更なる構成要素を含むことを特徴とする、請求項1乃至7何れか1項記載のポリマー。
【請求項9】
式(3)の単位に加えて、請求項2乃至8何れか1項記載の構成要素から選択される少なくとも2個の構成単位を含むことを特徴とする、請求項1乃至8何れか1項記載のポリマー。
【請求項10】
構成単位の1つが、正孔伝導単位の群から選択され、その他の群が発光単位であることを特徴とする、請求項9記載のポリマー。
【請求項11】
記号Rは、出現毎に同一であるか異なり2〜15個のC原子を有する直鎖、分岐或いは環状アルキル鎖であって、加えて、1以上の隣接しないC原子は、N-R、-O-、-S-、-O-CO-O-、-CO-O-、-CH=CH-若しくは-C≡C-により置き代えられてよく、加えて、1以上のH原子は、F若しくはCNにより置き代えられてよく、又は1以上の非芳香族基Rにより置換されてもよい4〜20個のC原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族基、又は複数のこれら構造の組み合わせを表わし;ここで、2個の基Rは、一緒になって、更なるモノ或いはポリ環状、芳香族若しくは脂肪族環構造を形成してもよいことを特徴とする、請求項1乃至10何れか1項記載のポリマー。
【請求項12】
式(3)の化合物におけるqが、1〜10の整数値を有することを特徴とする、請求項1乃至11何れか1項記載のポリマー。
【請求項13】
、Xは、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、C=O、C(R、C=C(R、O、S、S=O、SO、S(R、N(R)、P(R)、P(=O)R若しくはこれらの2、3若しくは4個のこれらの基の組み合わせから選択され、Rは、請求項1に定義されるものであり、又は、XとXは、一緒になって、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-である、式(3)の単位を含むことを特徴とする、請求項1乃至12何れか1項記載のポリマー。
【請求項14】
、Y及びYは、出現毎に同一であるか異なり、Mと共に環状構造を形成するブリッジであり、C=O、C(R、C=C(R、O、S、S=O、P=O、SO、S(R、N(R)、P(R)、P(=O)R若しくは2、3若しくは4個のこれらの基の組み合わせから選択され、Rは、請求項1に定義されるものであり、又は、Y、Y及び/又はYは、各場合に一緒になって、非置換或いは置換2重結合-CR=CR-若しくは3重結合-C≡C-である、式(3)の単位を含むことを特徴とする、請求項1乃至13何れか1項記載のポリマー。
【請求項15】
Mは、出現毎に同一であるか異なり、2〜40個のC原子を有する芳香族環構造であって、出現毎に同一であるか異なってもよい1以上のRにより、非置換でも、置換されていてもよく、Rは、請求項1に定義されるものである、式(3)の単位を含むことを特徴とする、請求項1乃至14何れか1項記載のポリマー。
【請求項16】
2個の官能基Aは、出現毎に同一であるか異なり、C-C若しくはC-N連結反応条件化で共重合し、J、M、X、X、Y、Y、Y、m、n、p及びqは、請求項1に定義されるものであることを特徴とする2官能化モノマー化合物。
【化2】

【請求項17】
Aが、Cl、Br、I、O-トシレート、O-トリフレート、O-メシレート、O-ノナフレート、SiMe3−n(n=1或いは2)、O-SO、B(OR、CR=C(R、-C≡C-及びSn(Rであり、Rは、請求項1に定義されるものであり、そして、2個以上の基Rは、互いに環構造を形成してもよいことを特徴とする、請求項16記載の2官能化モノマー化合物。
【請求項18】
請求項1乃至15何れか1項記載の少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの更なるポリマー状、オリゴマー状、樹状及び/又は低分子量物質との混合物(配合物)。
【請求項19】
少なくとも1つの溶媒中に請求項1乃至15何れか1項記載の少なくとも1つのポリマー若しくは請求項18記載の配合物を含む溶液及び処方。
【請求項20】
請求項1乃至15何れか1項記載の少なくとも1つのポリマー若しくは請求項18記載の配合物の、有機電子素子での使用。
【請求項21】
請求項1乃至15何れか1項記載の少なくとも1つのポリマー若しくは請求項18記載の配合物の、有機オプトエレクトロニクス素子での使用。

【公表番号】特表2009−524710(P2009−524710A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551700(P2008−551700)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000429
【国際公開番号】WO2007/085377
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】