説明

エレクトロルミネッセンス物質および装置

エレクトロルミネッセンス物質は、構造式(I)に示した、1-フェニル-3-メチル-4-トリメチルアセチル-ピラゾール-5-オン( 1-phenyl-3-methyl-4-trimethylacetyl-pyrazol-5-one )である。構造式(I)の化合物をルミネッセンス層に含むエレクトロルミネッセンス装置も、本発明の一部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、エレクトロルミネッセンス物質およびエレクトロルミネッセンス物質を含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電流が流れたときに発光する物質は公知であり、ディスプレイに広範囲で応用されている。液晶デバイスと、無機半導体システムに基づいたデバイスとは広範囲で用いられているが、これらは高いエネルギー消費、製造時の高コスト、低い量子効率およびフラットパネルディスプレイをつくることができないという見地に鑑みて不利である。
【0003】
有機ポリマーはエレクトロルミネッセンスデバイスにおいて有用であるとの提案がなされてきたが、純色が得られないこと、製造コストが高いことおよび比較的低い効率であることが問題であった。
【0004】
提案された別の化合物としては、アルミニウムキノラート(aluminium quinolate)があるが、色の差を得るためには添加共存物質(ドーパント)(dopants)が必要なこと、および比較的低い効率であることが問題であった。
【0005】
特許出願 WO98/58037号は、特性とよりよい結果を保証するエレクトロルミネッセンスデバイスにおいて用いることができるランタノイド錯体の範囲を開示している。特許出願 PCT/GB98/01773号, PCT/GB99/03619号, PCT/GB99/04030号, PCT/GB99/04024号, PCT/GB99/04028号, PCT/GB00/00268号 において、希土類元素のキレートを用いたエレクトロルミネッセンス錯体、構造およびデバイスが開示されている。
【0006】
従来、エレクトロルミネッセンス金属錯体は、希土類元素、遷移金属、ランタノイドまたはアクチノイドに基づくもの、あるいはアルミニウムキノラートのようなキノラートであった。
【発明の開示】
【0007】
われわれは、希土類元素、遷移金属、ランタノイドまたはアクチノイドを含まないエレクトロルミネッセンス物質を発明した。
本発明では、以下の構造式を持つエレクトロルミネッセンス化合物を提供する。
【0008】
【化2】

ここで、Mはアルミニウム以外の金属、nはMの原子価であって、R1, R2およびR3 は、水素、炭化水素基、置換あるいは非置換脂肪族置換基に置換されたまたは非置換の芳香族基、複素環および多環構造、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、チオフェニル基またはニトリル、のうちから選ばれる、同一または異なる基であって、R1およびR3 は、環構造をとることができ、また、R1 , R2およびR3 は、スチレンのようなモノマーと共重合することができる。
【0009】
構造式(I) の化合物は、以下の錯体を形成する、Lpのような中性配位子を配位することができる。
(Lα)nM ← Lp
ここで、Lαは、下の構造式である。
【0010】
【化3】

ここで、Mは金属、nはMの原子価、Lpは中性配位子である。
【0011】
基 Lpは、以下から選択することができ、
【0012】
【化4】

それぞれの Ph は、フェニル(OPNP)基または置換フェニル基、他の置換または非置換芳香族基、置換または非置換複素環もしくは多環基、ナフチル基やアントラセン基やフェナントレン基やピレン基のような置換または非置換縮合多環芳香族基、から選ぶことができる、同一または異なる基である。前記の置換基は、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、芳香族基、複素環基、多環基、フッ素のようなハロゲン基、シアノ基、アミノ基である。置換アミノ基など。図8および図9に示した例では、R, R1 , R2, R3および R4 は、水素、炭化水素基、置換または非置換芳香族基、複素環基、多環基、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン基、チオフェニル基、から選ぶことができる同一または異なる基であって、R1, R2, R3および R4 は、置換または非置換縮合芳香族環、複素環もしくは多環構造を形成することができ、また、スチレンのようなモノマーと共重合することができる。R, R1 , R2 , R3および R4 は、さらにビニル基や下のような基といった非飽和アルキレン基であることもできる。
【0013】
-C-CH2 =CH2 -R
ここで、Rは上述したものである。
Lpはまた以下の構造式であることもでき、
【0014】
【化5】



ここでR1 , R2および R3 は、上述したものであって、例えば図10に示すバソフェン(bathophen)であり、このRは、上述したもの、または以下のものであって、
【0015】
【化6】


ここでR1 , R2, およびR3 は上述したものである。
【0016】
Lpは、また、
【0017】
【化7】


であって、ここでPhは上述したものである。
【0018】
Lpキレートの他の例としては、図群11に示したもの、図群12に示すフルオレン(fluorene)ならびにフルオレン誘導体、および図13〜15に示した構造の化合物、がある。
本発明はまた、(i) 第一電極、(ii) 構造式(I)の錯体の層を含むエレクトロルミネッセンス層 (iii) 第二電極、を含むエレクトロルミネッセンスデバイスも提供する。
【0019】
R1および/または R2および/または R3 の例は、脂肪族・芳香族・複素環のアルコキシ基およびアリールオキシ基およびカルボキシ基、置換または置換フェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基、フルオレン基、t-ブチル基のようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基、を含む。
【0020】
R1および R2 は、Ph1 およびPh2 であることが好ましく、Ph1 およびPh2 のうち少なくともひとつは、置換または非置換芳香族化合物であって、その他のPh基は、水素、置換または非置換脂肪族基といった置換または非置換ヒドロカルビル基、置換または非置換芳香族基、複素環または多環構造、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン基、置換または非置換縮合環芳香族基、複素環または多環構造、から選ぶことができる、また、スチレン、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、といったモノマーと共重合させることができる。例は、脂肪族基、芳香族環・複素環状のアルコキシ基、アリルオキシ基およびカルボキシ基、置換または置換フェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基、フルオレン基、t-ブチル基のようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基、を含む。
【0021】
好ましくは、R1はメチル基であり、R2は以下の構造式のものである。
【0022】
【化8】

好ましい物質は、アルミニウム以外の金属であり、例えば、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ(II)、スズ(IV)、アンチモン(II)、アンチモン(IV)、鉛(II)、鉛(IV)、および、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(II)、白金(IV)、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、イットリウムといった異なる原子価の第一、第二、第三遷移金属グループの金属であり、また、R3はフェニル基もしくは置換フェニル基であるのが好ましい。
【0023】
透明な基層上に正孔伝送層(hole transmitting layer)が置かれるのが好ましく、また、エレクトロルミネッセンス物質が前記の正孔伝送層上に置かれるのが好ましい。前記正孔伝送層は、正孔(ホール)(holes)を伝送し、かつ電子を堰き止めるため、これによって、正孔と再結合していない電子の、電極内の移動が妨げられる。したがって前記のキャリアーの再結合は、主に発光層(the emitter layer)で起こる。
【0024】
正孔伝送層は、ポリマーエレクトロルミネッセンスデバイスに配された小さい分子内、および希土類金属錯体に基づくエレクトロルミネッセンスデバイスで使用でき、ならびに、任意の公知のフィルム状の正孔伝送物質が使用できる。
【0025】
正孔伝送層は、ポリマーエレクトロルミネッセンスデバイス内で使用でき、また、任意の公知のフィルム状の正孔伝送物質が使用できる。
前記の正孔伝送層は、ポリ(ビニルカルバゾール)( poly(vinylcarbazole) )、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン (TPD ; N,N'-bis(3-methylphenyl)-1,1'-biphenyl-4,4'-diamine )、アミノ置換芳香族化合物の非置換または置換ポリマー、ポリアニリン、置換ポリアニリン、ポリチオフェン、置換ポリチオフェン、ポリシラン、などといった芳香族アミン錯体のフィルムからつくられる。ポリアニリンの例としては、以下のもののポリマーであって、
【0026】
【化9】

ここで、Rは、オルト位またはメタ位である水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシル基、または下に示す基であって、
【0027】
【化10】

ここで、Rはアルキル基またはアリール基、R'は水素、炭素数1〜6のアルキル基、または、少なくともひとつの上述した構造式(I)の他のモノマーを持つアリール基である。
【0028】
本発明で用いられるポリアニリンは、下の一般的な構造式を持ち、
【0029】
【化11】

ここで、pは1から10までの数、nは1から20までの数であり、Rは上の記述で定義されたもの、Xは、Cl、Br、SO4 、BF4 、PF6 、H2PO3 、H2PO4 、アリールスルホナート、アレーンジカルボキシラート、ポリスチレンスルホナート、ポリアクリレートアルキルスルホナート、ビニルスルホナート、ビニルベンゼンスルホナート、セルローススルホナート、ショウノウスルホナート、セルローススルファート、または過フッ化ポリアニオン、から選ぶことが好ましいアニオンである。
【0030】
アリールスルホナートの例は、p-トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、9,10-アントラキノン-スルホナート( 9,10-anthraquinone-sulphonate )、アントラセンスルホナートであり、また、アレーンジカルボキシラートの例は、フタラートであり、アレーンジカルボキシラートの例は、ベンゾアートである。
【0031】
われわれは、ポリアニリンのようなアミノ置換芳香族化合物の非置換または置換ポリマーの、プロトン化されたポリマーは、蒸着が難しいもしくは蒸着できないことを発見していたが、われわれは意外にもアミノ置換芳香族化合物の非置換または置換ポリマーを脱プロトン化すると容易に蒸着でき、すなわち前記ポリマーが蒸着できるということを発見した。
【0032】
蒸着可能な、アミノ置換芳香族化合物の非置換または置換ポリマーの脱プロトン化ポリマーを用いるのが好ましい。前記の脱プロトン化アミノ置換芳香族化合物の非置換または置換ポリマーは、水酸化アンモニウムや、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムといったアルカリ金属の水酸化物のような、アルカリによる処理で該ポリマーを蒸着することによって形成できる。
【0033】
プロトン化の程度は、プロトン化ポリアニリンの形成および、脱プロトン化によって制御できる。ポリアニリンの調整の方法については、文献 A.G.MacDiarmid and A.F.Epsteinh, Faraday Discussions, Chem Soc.88 P319 1989 に開示されている。
【0034】
前記ポリアニリンの伝導度は、プロトン化の程度に依存し、最大の伝導度となるのはプロトン化が40%から60%のあいだ、例えば50%、であるときである。
前記ポリマーは、実質的に完全に脱プロトン化されるのが好ましい。
【0035】
ポリアニリンは、オクタマー単位(octamer units)、すなわちpが4である構造をとることができ、例えば、
【0036】
【化12】

前記ポリアニリンは、1x10-1 Siemen cm-1 のオーダーか、さらにそれ以上の伝導度を持つことができる。
【0037】
前記芳香環は、非置換であるか、または、例えばエチル基のような炭素数が1〜20のアルキル基による置換をすることができる。
前記ポリアニリンは、アニリンのコポリマーとすることができ、また、好ましいコポリマーは、o-アニシジン(o-anisidine )、m-スルファニル酸、o-アミノフェノールとアニリンとのコポリマー、または、o-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミンとo-トルイジン(o-toluidine )とのコポリマー、または、アミノアントラセンのコポリマー、である。
【0038】
使用できるアミノ置換芳香族化合物の他のポリマーは、置換または非置換のポリアミノナフタレン、ポリアミノアントラセン、ポリアミノフェナントレンなど、および、他の縮合ポリ芳香族化合物、を含む。ポリアミノアントラセンおよびその合成方法は、米国特許 6,153,726号に開示されている。前記の芳香環は、非置換であるか、または上述の基Rによって置換することができる。
【0039】
前記のポリアニリンは、例えば真空蒸着、スピンコーティング、化学成長法(chemical deposition)、直接電析(direct electrodeposition)などである従来技術によって、第一電極上に析出させることができる。前記のポリアニリン層の厚さは、該層が伝導性を持ちかつ透明であるような厚さであるのが好ましく、好ましくは20nmから200nmの範囲である。前記ポリアニリンは、ドープしたものであってもなくてもよい。ドープした場合、前記ポリアニリンは、溶媒に溶かしてフィルム状に析出させることができ、また、非ドープの場合は、前記ポリアニリンは固体であって、昇華させて真空蒸着することができる。
【0040】
その他の正孔伝送物質の構造式をいくつか、図1,2,3,4および5に示しており、ここで、R, R1 , R2およびR3 は、水素、置換または非置換脂肪族基といった置換または非置換炭化水素基、置換または非置換芳香族基、複素環または多環構造、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン基、チオフェニル基、から選ぶことができる同一または異なる基であって、また、R1, R2, R3は、さらに、置換または非置換の縮合環芳香族基、複素環または多環構造であって、スチレンのようなモノマーと共重合することができる。Xは、Se、S、O であって、また、Yは、水素、置換または非置換脂肪族基といった置換または非置換ヒドロカルビル基、置換または非置換芳香族基、複素環または多環構造、フッ素、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン基、またはチオフェニル基もしくはニトリル、とすることができる。
【0041】
R1および/または R2および/または R3は、脂肪族・芳香族・複素環のアルコキシ基およびアリールオキシ基およびカルボキシ基、置換または置換フェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基ならびにフルオレン基、t-ブチル基のようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基を、含む。
【0042】
前記正孔伝送物質は、任意の前記エレクトロルミネッセンス物質と、前記エレクトロルミネッセンス物質5〜95%に対して前記正孔伝送物質95〜5%の比率で混合することができる。
【0043】
他に使用できる正孔伝送物質は、共役ポリマーである。
米国特許 5807627号は、前記のエレクトロルミネッセンス層中に共役ポリマーを持つエレクトロルミネッセンスデバイスを開示している。前記共役ポリマーとは、その主鎖が、前記主鎖の長さに沿ったパイ被占分子軌道のひろがりが完全に共役しているポリマー、または、実質的に共役だが、共役が前記主鎖に沿ってランダムにもしくは一定に中断されているポリマーのいずれかを指す。前記共役ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーとすることができる。
【0044】
前記共役ポリマーは、US 5807627、PCT/WO90/13148、PCT/WO92/03490に開示または参照されている共役ポリマーのうちから用いることができる。
開示されている共役ポリマーは、ポリ(p-フェニレンビニレン)-PPV ( poly(p-phenylenevinylene)-PPV )および、PPVを含むコポリマーである。他の好ましいポリマーは、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン),ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン) ( poly(2-methoxy-5-(2-methoxypentyloxy-1,4-phenylene vinylene, poly(2-methoxypentyloxy)-1,4-phenylenevinylene) )、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン) (poly(2-methoxy-5-(2-dodecyloxy-1,4-phenylenevinylene )といったポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン) (poly(2,5dialkoxyghenylene vinylene) )、および、少なくともひとつの、長鎖可溶アルコキシ基、ポリフルオレン、オリゴフルオレン、ポリフェニレン、オリゴフェニレン、ポリアントラセン、オリゴアントラセン、ポリチオフェン、オリゴチオフェン、であるアルコキシ基を持つ、他のポリ(2,5ジアルコキシフェニレンビニレン) 、である。
【0045】
PPVの中では、前記のフェニレン環が、好ましくはメチル基であるアルキル基、好ましくはメトキシ基またはエトキシ基であるアルコキシ基のうちから、それぞれが独立して選ばれるひとつまたは複数の置換基を任意に持つことができる。
【0046】
置換された誘導体を含む、任意のポリ(アリーレンビニレン) ( poly(arylenevinylene) )を使用することができ、また、ポリ(p-フェニレンビニレン)内のフェニレン環は、アントラセン環またはナフチレン環のような縮合環系に置き換えることができ、また、それぞれのポリフェニレンビニレン基中のビニレン基の数は、7またはそれ以上に増やすことができる。
【0047】
前記の共役ポリマーは、US 5807627 、PCT/WO90/13148 、PCT/WO92/03490 に開示されている方法でつくることができる。
前記の正孔伝送物質および発光金属化合物は、混合してひとつの層を形成することができるものであって、その混合比は、前記正孔伝送物質5〜95%に対して前記発光金属物質95〜5%である。
【0048】
前記カソード(陽極)と前記エレクトロルミネッセンス物質層との間に、任意に電子伝送物質の層をはさむことができる。前記電子伝送物質は、内部を電流が流れたときに電子を移送する物質である。前記電子伝送物質は、アルミニウムキノラートやリチウムキノラートといった金属キノラートのような金属錯体、9,10-ジシアノアントラセンやポリスチレンスルホナートや図6および7に示した構造式の化合物といったシアノアントラセン、を含む。分離した層の代わりに、前記電子伝送物質を、前記エレクトロルミネッセンス物質と混合して、前記電子伝送物質5〜95%に対して前記発光金属化合物95〜5%の比率であるひとつの層とすることもできる。
【0049】
前記エレクトロルミネッセンス層は、前記発光金属化合物と前記正孔伝送物質および電子伝送物質の混合物を含むことができる。
前記エレクトロルミネッセンス物質は、前記基層に対して、真空蒸散または有機溶媒溶液からの蒸発によって、直接析出させることができる。用いられる前記溶媒は、物質によって変わるが、ジクロロメタンおよびn-メチルピロリドンのような塩素化された炭化水素、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなどは、多くの場合に適する。
【0050】
また、エレクトロルミネッセンス物質は、溶液からのスピンコーティングや、固相からの真空蒸着すなわちスパッタリング(sputtering)や他の従来技術の方法によっても、析出させることができる。
【0051】
好ましくは、前記第一電極は、アノード(陰極)としてはたらく導電性ガラスまたはプラスチック金属のような透明な基層である。好ましい基層は、錫ドープ酸化インジウム(indium tin oxide)被覆ガラスのような導電性ガラスであるが、導電性があるか、もしくは金属または導電性ポリマーのような透明な導電性層を持つ任意のガラスを用いることができる。
【0052】
導電性ポリマーおよび、導電性ポリマー被覆ガラスまたはプラスチック金属は、前記の基層にも用いることができる。
前記第二電極は、カソードとしてはたらき、例えばアルミニウム、カルシウム、リチウム、銀/マグネシウム合金などである低い仕事関数の任意の金属にすることができる。好ましくは、アルミニウムを用いる。
【0053】
本発明のディスプレイは、単色または多色である。エレクトロルミネッセンス希土類キレート化合物は、例えば赤、緑、青の光と白色光といった範囲の発光をすることが公知であって、例は特許出願 WO98/58037 PCT/GB98/01773 、 PCT/GB99/03619 、 PCT/GB99/04030 、 PCT/GB99/04024 、 PCT/GB99/04028 、 PCT/GB00/00268 に開示されており、また、例では、これらの光を発するために OLED を構成している。
したがって、フルカラーディスプレイは、光学システムの異なる側において、それぞれが異なる単原色を発する三枚の独立したバックプレーン(backplanes)を、前記光学システムの別の側からの結合した色イメージを見ることができるように配置している。または、異なる色を発する希土類キレートエレクトロルミネッセンス化合物を、赤、緑、青の光の三つの隣接するピクセル(画素)のグループをつくる隣接ダイオードピクセルに加工することもできる。さらに、フィールドシーケンシャルカラーフィルター(field sequential colour filters)を、白色発光ディスプレイに接合することもできる。
【0054】
電極のうちの一方もしくは両方は、シリコンおよび前記エレクトロルミネッセンス物質で構成することができ、正孔伝送物質および電子伝送物質の中間層は、前記シリコン基層上のピクセルとして構成することができる。好ましくは、それぞれのピクセルは、希土類キレートエレクトロルミネッセンス物質の少なくともひとつの層と、前記基層から隔たった側部の前記有機層と接触する(少なくとも半)透明な電極とを、含む。
【0055】
好ましくは、前記基層は結晶シリコンでつくられ、また、前記基層の表面は、電極もしくはエレクトロルミネッセンス化合物の析出前に、平滑な表面となるよう研磨されているかまたは均されている。また、平滑ではないシリコン基層を、導電性ポリマーで被覆し、さらなる物質の析出のために均一で平滑な表面にすることもできる。
【0056】
ある実施例では、それぞれのピクセルは、前記基層と接触する金属の電極を含む。前記金属と透明電極の相対仕事関数に依って、いずれかがアノードとしてはたらき、他方がカソードとなる。
【0057】
前記シリコン基層がカソードのとき、錫ドープ酸化インジウム被覆ガラスはアノードとしてはたらき、光はアノードを透過して発せられる。前記シリコン基層がアノードとしてはたらくときは、カソードは、例えば、酸化鉛が適切な低さの仕事関数を持っている酸化インジウム・酸化鉛被覆ガラス(a indium zinc oxide coated glass)のような、適する仕事関数を持つ透明電極で構成できる。アノードはその上に構成された金属の透明コーティングを有するので適切な仕事関数を与えることができる。これらのデバイスは、トップエミッティングデバイス(top emitting devices)またはバックエミッティングデバイス(back emitting devices)と呼ばれることもある。
【0058】
前記金属電極は、前記基層上に析出させた例えばアルミニウムのような高い仕事関数を持つ金属、および、前記の高い仕事関数を持つ金属上に析出させた、カルシウムのような低仕事関数金属である複数の金属層から成る。別の例では、アルミニウムのような安定な金属の上面に、導電性ポリマーの層がさらに在る。
【0059】
好ましくは、前記電極は、各ピクセルの背後のミラーとしてもはたらき、また、前記電極は、前記基層の平滑な表面の上に析出している、あるいは中に沈んでいる。しかしながら、前記基層には、別の光吸収性ブラックレイヤー(a light absorbing blaack layer)を隣接させることもできる。
【0060】
さらに別の実施例では、底面の導電性ポリマー層の選択できる領域は、前記ピクセル電極と底面で接触を保持している導電性ピクセルパッドの整列構造を許可しつつ、適切な水溶液にさらすことで、非導電性とすることもできる。
【0061】
WO00/60669 に開示されているように、それぞれのピクセルからの発光の輝度は、好ましくは、マトリックス電気回路または各ピクセル回路内でアナログ信号に変換されるデジタル信号の入力に適合する、電圧または電流の調整によりアナログ方式で制御可能である。
【0062】
前記基層は、好ましくは、データドライバ、データコンバータおよび、ピクセルの配列をアドレスし画像を生成するように情報を処理するためのスキャンドライバ、も供給する。適当な電圧に依り異なる色を発光するエレクトロルミネッセンス物質を用いたとき、各ピクセルの色は、前記マトリックス電気回路によって制御することができる。
【0063】
ある実施例では、好都合なように金属酸化半導体電界効果トランジスタ(MOSFETs)もしくはアクティブマトリッストランジスタとして構成された電圧制御要素および種々の抵抗要素の双方を含むスイッチによって、各ピクセルは制御される。
【発明を実施するための最良の態様】
【0064】
本発明は例を図示している。
【実施例1】
【0065】
トリス-(4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オネート)ガリウム ( Ga(tBuPz)3; Tris-(4-tButylacetyl-3-methyl-1-phenyl-pyrazol-5-onato)Gallium )の調製
【0066】
【化13】

4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オン ( 4-tButylacetyl-3-methyl-1-phenyl-pyrazol-5-one )(2.83g, 10.39mmol)を、100mLの丸底フラスコにとり、ゆっくり加熱しながらエタノール(〜50mL)に溶かした。塩化ガリウム(III) (0.61g, 3.46mmol)をH2O (〜10mL)に溶かし、前記のピラゾール溶液に加えた。得られた懸濁液を加熱して2時間還流した後、冷ました。得られた懸濁液を濾過し、H2O (3 x 10mL)およびEtOH (3 x 10mL)で洗い、80℃で減圧乾燥して、以下の分析結果となったピンクの粉末を得た。
【0067】
【表1】

融点 : 252.1℃(D.S.C.)
発光λmax : -450nm
フォトルミネッセンス効率(x,y) : 0.001cdm2 μW-1 (0.21,0.24)
(PL測定)
PLスペクトルを、 Lot Oriel Multispec Model 77400 CCDカメラで測定した。
【0068】
前記の測定は、前記の粉末をスペクトロシルプレート(a spectrosil plate)上にひろげて行なった。
(試薬) 塩化ガリウム、無水、99.99%; Aldrich; 45,089-8
4.8%メタノール変性エタノールによって調製した、 4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オネート ; Fluka; 02857
【実施例2】
【0069】
トリス-(4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オネート)ランタン ( La(tBuPz)3; Tris-(4-tButylacetyl-3-methyl-1-phenyl-pyrazol-5-onato)Lanthanum )の調製
【0070】
【化14】

4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オン (2.93g, 10.76mmol)を100mLの丸底フラスコにとり、ゆっくり加熱しながらエタノール(〜50mL)に溶かした。塩化ランタン(III) (1.27g, 3.59mmol)をH2O (〜10mL)に溶かし、前記のピラゾール溶液に加えた。得られた懸濁液を加熱して2時間還流した後、冷ました。得られた懸濁液を濾過し、H2O (3 x 10mL)およびEtOH (3 x 10mL)で洗い、80℃で減圧乾燥して、以下の分析結果となった白色粉末を得た。
【0071】
【表2】

融点 : 114.1℃(Tg)
発光λmax : 441.8nm
フォトルミネッセンス効率(x,y) : 0.003cdm2 μW-1 (0.20,0.22)
(試薬)
塩化ランタン(III)六水和物、99.99%; Strem Chmeicals; 93-5731; Lot no. 251194-S
4.8%メタノール変性エタノールによって調製した、 4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オネート ; Fluka; 02857
【実施例3】
【0072】
トリス-(4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オネート)スカンジウム ( Sc(tBuPz)3; Tri-(4-tButylacetyl-3-methyl-1-phenyl-pyrazol-5-onato)Scandium )の調製
【0073】
【化15】

4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オン (1.07g, 3.93mmol)を100mLの丸底フラスコにとり、ゆっくり加熱しながらエタノール(〜50mL)に溶かした。塩化スカンジウム(III)六水和物(0.34g, 1.31mmol)をH2O (〜40mL)に溶かし、前記のピラゾール溶液に加えた。得られた懸濁液を加熱して2時間還流した後、冷ました。得られた懸濁液を濾過し、H2O (3 x 10mL)およびEtOH (3 x 10mL)で洗い、80℃で減圧乾燥して、以下の分析結果となった白色粉末を得た。
【0074】
【表3】

融点 : 275.5℃(D.S.C.)
発光最大(Emission Max) : 448.55nm
フォトルミネッセンス効率(x,y) : 0.004cdm2 μW-1 (0.22,0.28)
(試薬)
塩化スカンジウム(III)六水和物、99.99%; Strem Chemicals; 93-2111; Lot no. B4745091
4.8%メタノール変性エタノールによって調製した、 4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オン ; Fluka; 02857
【実施例4】
【0075】
トリス-(4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オネート)テルビウム ( Tb(tBuPz)3; Tris-(4-tButylacetyl-3-methyl-1-phenyl-pyrazol-5-onato)Terbium )の調製
【0076】
【化16】

4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オン (1.45g, 5.32mmol)を100mLの丸底フラスコにとり、ゆっくり加熱しながらエタノール(〜50mL)に溶かした。塩化テルビウム(III)六水和物(0.66g, 1.77mmol)をH2O (〜10mL)に溶かし、前記のピラゾール溶液に加えた。得られた懸濁液を加熱して2時間還流した後、冷ました。得られた懸濁液を濾過し、H2O (3 x 10mL)およびEtOH (3 x 10mL)で洗い、80℃で減圧乾燥して、以下の分析結果となった白色粉末を得た。
【0077】
【表4】

融点 : 252.6℃(D.S.C.)
発光最大(Emission Max) : 492.4nmh, 547.6nm
フォトルミネッセンス効率(x,y) : cdm2 μW-1
(試薬)
塩化テルビウム(III)六水和物、99.99%; Acros
4.8%メタノール変性エタノールによって調製した、 4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オン ; Fluka; 02857
【実施例5】
【0078】
テトラキス-(4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オネート)トリウム ( Th(tBuPz)3; Tetrakis-(4-tButylacetyl-3-methyl-1-phenyl-pyrazol-5-onato)Thorium )の調製
【0079】
【化17】

4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オン (1.92g, 7.06mmol)を100mLの丸底フラスコにとり、ゆっくり加熱しながらエタノール(〜50mL)に溶かした。塩化トリウム(IV)六水和物 (0.66g, 1.77mmol)をH2O (〜10mL)に溶かし、前記のピラゾール溶液に加えた。得られた懸濁液を加熱して2時間還流した後、冷ました。得られた懸濁液を濾過し、H2O (3 x 10mL)およびEtOH (3 x 10mL)で洗い、80℃で減圧乾燥して、以下の分析結果となったピンク色の粉末を得た。
【0080】
【表5】

融点 : 254.7℃(D.S.C.)
発光最大(Emission Max) : 462.8nm
フォトルミネッセンス効率(x,y) : 0.002cdm2 μW-1 (0.27,0.36)
(試薬)
塩化トリウム(IV)水和物、99.9%; Strem Chemicals; 09-3155
4.8%メタノール変性エタノールによって調製した、 4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オン ; Fluka; 02857
【実施例6】
【0081】
トリス-(4-t-ブチルアセチル-3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-5-オネート)カルシウム ( Ca(tBuPz)2; Tris-(4-tButylacetyl-3-methyl-1-phenyl-pyrazol-5-onato)Calcium )の調製
Ca(tBuPz)2は、例の塩化テルビウムを塩化カルシウムに置き換えた方法で調製した。
【実施例7】
【0082】
実施例4の Tb(tBuPz)3を、ジフェニルホスホニックアジドのトリメチルペンタン溶液中で加熱還流し、前記の混合物を、清澄な溶液が得られるまで還流して加熱した(約1時間)。前記溶液から、 (Tb(tBuPz)3)ジフェニルホスフィノイミドトリス-フェニルホスホラン ( Tb(tBuPz)3diphenylphosponimidetris-phenylphosphorane ; Tb(tBuPz)3OPNP ;または Tb(pyr)3OPNP )を無色結晶として得た。
【0083】
【化18】

【実施例8】
【0084】
実施例6の Ca2(tBuPz)3を、フェナントレンのクロロホルム溶液中で一晩加熱還流した。前記の溶媒を減圧除去し、固体の Ca2(tBuPz)3Phen2(または、 Ca(pyr)2Phen2)を得た。
【0085】
【化19】

(デバイスの組立)
錫ドープ酸化インジウム(indium tin oxide ;ITO)被覆ガラス片(1x1cm2)は、濃塩酸でITOを除く食刻をした部分を持ち、洗浄し乾燥した。四つのデバイスが組み立てられた。
【0086】
デバイス1は、ITO/α-NPB(75nm)/Tb(pyr)3OPNP(50nm)/BCP(20nm)Alq3(40nm) LiF(0.5nm)/Al (ここで、α-NPB は図1に示したもの、BCP はバソクプロイン(bathocuproin)、LiF フッ化リチウム、Alq3 はアルミニウムキノラート、である)を含む層のITO上で連続的に形成されて組み立てられた。
【0087】
デバイス2は、ITO/α-NPB(10nm)/Tb(pyr)3OPNP(50nm)/BCP(20nm)Alq3(40nm) LiF(0.7nm)/Al を含む層のITO上で連続的に形成されて組み立てられた。
デバイス3は、ITO(100Ωsqr)/CuPc(8nm)/α-NPB(60nm)/Ca(pyr)2Phen2(50nm)/Alq3(10nm) LiF(0.7nm)/Al (ここで、 CuPc はフタロシアニン銅( copper phtalocyanie )である)を含む層のITO上で連続的に形成されて組み立てられた。
【0088】
デバイス4は、ITO(100Ωsqr)/CuPc(8nm)α-NPB(60nm)/Ca(pyr)2Phen2(10nm)/Al を含む層のITO上で連続的に形成されて組み立てられた。
濃塩酸で食刻した前記部分における前記有機コーティングを、綿棒で拭い取り去った。前記の被覆電極は、真空塗装機(Edwards, 10-6torr)に入れてアルミニウムトップ接触(aluminium top contacts)をつくるまでの間は、モレキュラシーブおよび五酸化リンとともに真空デシケータに格納した。前記デバイス 0.1cm2 に対して前記のLEDの活性エリアは 0.08cm2 であって、エレクトロルミネッセンス研究を行なうまでの間、真空デシケータ内に前記デバイスを保存した。
【0089】
前記ITO電極は、つねに前記陽極と接触している。電流と電圧の相関の研究は、コンピューター制御された Keithly 2400 source meter 上で行なわれた。エレクトロルミネッセンススペクトルは、コンピューター制御されたPhotoresearch Inc. 製 PR650システム上の電荷結合素子(CCD)を用いた方法で記録された。
【0090】
結果は、図16〜23に示した。
【図面の簡単な説明】
【0091】
国際出願時の明細書において、[図面の簡単な説明]の記載なし。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【図10】







【図14】

【図15】

【図17】

【図19】

【図21】

【図23】

【図16】

【図18】

【図20】

【図22】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式を持つエレクトロルミネッセンス化合物であって、

【化1】


式中のMはアルミニウム以外の金属、nはMの原子価、R1およびR2 およびR3 は、水素、ヒドロカルビル基、置換あるいは非置換脂肪族置換基に置換されたまたは非置換の芳香族基、複素環および多環構造、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、チオフェニル基またはニトリル、のうちから選ばれる、同一または異なる基であって、R1およびR3 は、環構造をとることができ、また、R1 , R2およびR3 は、スチレンのようなモノマーと共重合することができる、エレクトロルミネッセンス化合物。
【請求項2】
Mがガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ(II)、スズ(IV)、アンチモン(II)、アンチモン(IV)、鉛(II)、鉛(IV)、および、例えばマンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(II)、白金(IV)、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウムまたはイットリウムである異なる原子価状態の第一、第二、第三遷移金属グループの金属であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記構造式を持つ、エレクトロルミネッセンス化合物であって、
(Lα)nM ← Lp
式中のLαは明細書中の構造式(II)であり、Mは金属、nはMの原子価、Lpは中性配位子であるエレクトロルミネッセンス化合物。
【請求項4】
基Lpが、明細書中の構造式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、及び図11〜15の化合物から選ばれることを特徴とする、請求項3記載のエレクトロルミネッセンス化合物。
【請求項5】
Mがガリウム、インジウム、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ(II)、スズ(IV)、アンチモン(II)、アンチモン(IV)、鉛(II)、鉛(IV)、および、例えばマンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(II)、白金(IV)、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、またはイットリウムである異なる原子価の第一、第二、第三遷移金属グループの金属であることを特徴とする、請求項3記載のエレクトロルミネッセンス化合物。
【請求項6】
(i) 第一電極、(ii) 請求項1または2に記載のエレクトロルミネッセンス化合物の層を含むエレクトロルミネッセンス層、(iii) 第二電極、を含む、エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項7】
Mがガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ(II)、スズ(IV)、アンチモン(II)、アンチモン(IV)、鉛(II)、鉛(IV)、および、例えばマンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(II)、白金(IV)、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、またはイットリウムである異なる原子価の第一、第二、第三遷移金属グループの金属であり、及び、R3がフェニル基もしくは置換フェニル基であることを特徴とする、請求項6記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項8】
(i) 第一電極、(ii) 請求項3〜5のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス化合物の層を含むエレクトロルミネッセンス層、(iii) 第二電極、を含む、エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項9】
前記第一電極と前記エレクトロルミネッセンス錯体層との間に、正孔伝送物質が在ることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第二電極と前記エレクトロルミネッセンス錯体層との間に、電子伝送物質が在ることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
(i) 第一電極、(ii) 正孔伝送物質層、(iii) 請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス化合物を含むエレクトロルミネッセンス層、(iv) 電子伝送物質層、及び(v) 第二電極、を含む、エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項12】
前記正孔伝送層が、芳香族アミン錯体であることを特徴とする、請求項11記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項13】
前記正孔伝送層が、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン (TPD)、ポリアニリン、または置換ポリアニリン、から構成されていることを特徴とする、請求項9記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項14】
前記正孔伝送層が、明細書中の構造式(XI)あるいは(XII)、または図1〜4の構造式を持つことを特徴とする、請求項9記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項15】
前記正孔伝送層が、明細書中で記述した共役ポリマーであることを特徴とする、請求項9記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項16】
前記正孔伝送層が、ポリ(p-フェニレンビニレン)-PPV、および、PPV、ポリ(2,5 ジアルコキシフェニレン ビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、及び、アルコキシ基、ポリフルオレン、オリゴフルオレン、ポリフェニレン、オリゴフェニレン、ポリアントラセン、オリゴアントラセン、ポリチオフェン、オリゴチオフェンに可溶であるところの長鎖を有する少なくともひとつのアルコキシ基を持つ他のポリ(2,5 ジアルコキシフェニレンビニレン)、を含むコポリマー、から選ばれることを特徴とする、請求項9記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項17】
前記正孔伝送物質および前記発光金属化合物が、前記正孔伝送物質5〜95%に対して前記発光金属化合物が95〜5%の比率で混合されて一層を成していることを特徴とする、請求項9〜16のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項18】
前記電子伝送物質が、金属キノラートまたは図5の物質であることを特徴とする、請求項10〜17のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項19】
前記金属キノラートが、リチウムキノラート、ナトリウムキノラート、カリウムキノラート、亜鉛キノラート、マグネシウムキノラート、またはアルミニウムキノラート、であることを特徴とする、請求項18記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項20】
前記電子伝送物質および前記発光金属化合物が、前記電子伝送物質5〜95%に対して前記発光金属化合物が95〜5%の比率で混合されて一層を成していることを特徴とする、請求項10〜19のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項21】
前記アノードおよび/またはカソードが、結晶シリコンの基層上に構成され、かつ、前記基層の表面が、研磨されもしくは均されることによって、
電極またはエレクトロルミネッセンス化合物の析出前に平滑な表面とされていることを特徴とする、請求項6〜20のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項22】
前記アノードおよび/またはカソードが、平滑でない結晶シリコンの基層上に構成されていることを特徴とする、請求項6〜21のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項23】
前記第一電極上にフタロシアニン銅の層が在り、かつ前記第二電極上にフッ化リチウムの層が在ることを特徴とする、請求項6〜22のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。

【公表番号】特表2006−509008(P2006−509008A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556546(P2004−556546)
【出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005303
【国際公開番号】WO2004/050793
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(501348210)エラム−ティー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】