説明

エレクトロルミネッセンス金属錯体

式IまたはI’[LDH]nM[L]m(I)[LTH](M[L]p2(I1)[式中、nは整数1または2であり、mおよびpは、それぞれ整数1または2であり、合計(n+m)は2または3であり、Mは、イリジウムなどの原子量が40を超える金属であり、Lは、請求項1に記載のリガンドであり、LDHは、式IIの二座リガンドであり、LTHは、2個の金属原子Mに結合する式II’のLDHの二量体であり、Wは、O、S、NR4、CR56から選択され、Xは、NまたはCR7であり、Yは、O、S、NR8から選択され;さらなる残基は請求項1に規定される通りである]は、エレクトロルミネッセンス用途において良好な発光効率を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のエレクトロルミネッセンス金属錯体、それらを製造するための新規の中間体(リガンド)、金属錯体を含む電子デバイス、酸素感応インジケータ、バイオアッセイにおけるリン光インジケータおよび触媒としての電子デバイス、特に有機発光ダイオード(OLED)におけるそれらの使用に関する。
【0002】
ディスプレイを構成する発光ダイオードなどの、発光する有機電子デバイスは、多くの異なる種類の電子装置に存在する。すべての当該デバイスにおいて、有機活性層が2つの電気接触層の間に挟まれている。電気接触層の少なくとも一方は、光が電気接触層を透過できるように光透過性である。有機活性層は、接触層に電圧が印加されると、光透過性電気接触層を通じて発光する。
【0003】
発光ダイオードにおける活性成分として使用される既知の有機エレクトロルミネッセンス化合物としては、炭素および窒素原子を介して中心の金属原子に結合するキレートリガンド(C、N−結合二座リガンド;例えば、WO06/000544の[ベンゾ]トリアゾールリガンド参照)またはWO06/067074に開示されている一定のカルベンリガンド(C、C−結合)を含む金属錯体が挙げられる。この種類の錯体は、アセチルアセトネート、ピリジルカルボキシレート、1,1−ビピリジンの誘導体から選択されるものなどの一定のヘテロ原子結合リガンドをさらに含むことができる。関連するリガンド構造が、US−2004−065544、WO05/106868、US−6420057にも開示されている。
【0004】
一定の種類のヘテロ原子結合二座リガンドは、別の(C、N−および/またはC、C−結合)タイプのリガンドと組み合わせると、エレクトロルミネッセンス金属錯体の製造に特に有用であることが判明した。したがって、本発明は、主に、式IまたはI’
[LDH]nM[L]m (I)
[LTH](M[L]p2 (I’)
[式中、
nは、整数1または2であり、
mおよびpは、それぞれ整数1または2であり、
合計(n+m)は、2または3であり、
Mは、原子量が40を超える金属であり、
Lは、独立して、2つの一座リガンド、またはLDHもしくはLTH以外の1つの二座リガンドからなる発色誘発成分であり;
LDHは、式II
【化1】

の二座リガンドであり、
LTHは、2個の金属原子Mに結合する式II’
【化2】

のLDHの二量体であり、
Wは、O、S、NR4、CR56から選択され、
Xは、NまたはCR7であり、
Yは、O、S、NR8から選択され;
1、R2、R4、R5、R6は、独立して、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシルであり;あるいは
1、R2は、ハロゲン、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択される置換基を表していてもよく;
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは、水素であってもよく;あるいは
隣接する残基R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよい全部で5から7個の環原子の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環を完成させる有機架橋基を形成し;
7は、存在すれば、隣接する残基R3と一緒になって、それらが結合している炭素原子ととともに、場合により置換されていてもよい全部で5から7個の環原子の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環を完成させる有機架橋基を形成し;あるいはR7は、R4について示される意味を包含し、または水素、OR、SR、NRR’、COOR、CONRR’、CN、OCN、SCNであり、またはそれぞれ無置換または置換のC2−C5アルキニル、C3−C5シクロアルキル、ヘテロ−C2−C5シクロアルキルもしくはC3−C5シクロアルケニルであり;あるいは
3は、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシル、OR、SR、NRR’であり、またはそれぞれ無置換、またはCOR、COOR、CONRR’、CN、ハロゲンおよび/またはORによって単一または多置換されたC2−C5アルキニル、C3−C5シクロアルキル、ヘテロ−C2−C5シクロアルキルもしくはC3−C5シクロアルケニルであり;
R’3は、無置換または置換C1−C18アルキレン、無置換または置換C2−C18アルケニレン、無置換または置換C5−C10アリーレン、無置換または置換C2−C10ヘテロアリーレン、C2−C18ジアシレンであり;
8は、水素または置換基である]の金属錯体に関する。
【0005】
典型的な化合物において、Lは、独立して、2つの一座リガンドCyCおよび/またはCyNからなる成分CyC CyNもしくはCyC CyCであり、または2つの成分CyCおよびCyNもしくはCyCおよびCyCが化学結合によって相互結合した1つの二座リガンドであり、
CyCは、Mに結合する炭素原子を含む有機成分であり、CyNは、Mに結合する窒素原子を含む環式有機成分であり、
LDHは、式II
【化3】

の二座リガンドであり、
LTHは、2個の金属原子Mに結合する式II’
【化4】

のLDHの二量体であり、
Wは、O、S、NR4、CR56から選択され、
Xは、NまたはCR7であり、
Yは、O、S、NR8から選択され;
1、R2、R4、R5、R6は、独立して、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシルであり;あるいは
1、R2は、ハロゲン、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから独立して選択される置換基を表していてもよく;
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは、水素であってもよく;あるいは
隣接する残基R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよい全部で5から7個の環原子の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環を完成させる有機架橋基を形成し;
7は、存在すれば、隣接する残基R3と一緒になって、それらが結合している炭素原子ととともに、場合により置換されていてもよい全部で5から7個の環原子の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環を完成させる有機架橋基を形成し;WがO、NR4、CR56であり、かつ/またはYが窒素原子を含む場合は、R7は、R4について示される意味をも包含し;あるいは
3は、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシルであり;
R’3は、無置換または置換C1−C18アルキレン、無置換または置換C2−C18アルケニレン、無置換または置換C5−C10アリーレン、無置換または置換C2−C10ヘテロアリーレン、C2−C18ジアシレンであり;
8は、水素または置換基である。
【0006】
本発明の錯体は、エレクトロルミネッセンス用途における効率の向上および高量子収率などのいくつかの有利な特徴を示す。
【0007】
式IおよびI’における成分CyCおよびCyNは、個別の化学的構成要素(すなわち一座リガンド)であってよく、好ましくは化学結合によって相互結合されて(一緒になって二座リガンドを形成して)もよい。これらの種類のリガンドは、当該技術分野で周知である(例えば、US−2004−265633;US−2006−172150;WO04/017043;WO06/067074;およびさらに上記の文献を参照)。例えば、成分CyCは、ヘテロ原子を含むことができる、場合により置換されたアリール基を表す環A
【化5】

(あるいは環Dと称する、以下参照)であってよく、またはリガンドを表す基C
【化6】

は、ヘテロ原子を含むことができる求核カルベンから誘導され、成分CyNは、さらなるヘテロ原子を含むことができるアリール基を含む場合により置換された窒素を表す環B
【化7】

であってよい。これらの種類の好適なリガンドにおいて、2つの環が相互結合されて、それぞれ、式:
【化8】

[式中、
Dは、−C(=O)−または−C(X12−であり、X1は水素またはC1-4アルキル、特に水素であり、yは0または1、特に0である]の二座リガンドを形成する。
【0008】
本発明の文脈における「求核カルベンリガンド」は、古典的な2e-供与体リガンドを置換することができる典型的なσ−供与体リガンドを指す。それらは、環式または非環式であり得る。それらは、ヘテロ原子を有さないか、またはいくつかの異なるヘテロ原子もしくは同種のヘテロ原子を有することができる。考えられるカルベンは、例えば、ジアリールカルベン、環式ジアミノカルベン、イミダゾール−2−イリデン、イミダゾリジン−2−イリデン、1,2,4−トリアゾール−3−イリデン、1,3−チアゾール−2−イリデン、非環式ジアミノカルベン、非環式アミノオキシカルベン、非環式アミノチオカルベン、環式ジボリルカルベン、非環式ジボリルカルベン、ホスフィノシリル−カルベン、ホスフィノホスホニノ−カルベン、スルフェニル−トリフルオロメチルカルベン、スルフェニルペンタフルオロチオカルベンなどである。
この種類の二座リガンドの例としては、式:
【化9】

[式中、
開結合は、中心の金属原子に結合する炭素原子を示し、
2点(:)は、金属に結合するカルベンを示し、
Arは、アリール基、例えば、2,6−ジイソプロピルフェニルなどのフェニルまたは置換フェニルを表す]のものが挙げられる。当該カルベン型リガンドのさらなる説明および例は、参考として本明細書で援用されるWO06/067074(5頁、第27行から11頁、第16行の節を参照)に示されている。
【0009】
金属Mは、一般には、原子量が40を超える金属Mであり、好ましくは、金属Mは、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、特にMo、Cr、Mn、Ta、V、Cu、Fe、Ru、Ni、Co、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Os、AgおよびAuから選択される。より好ましくは、金属は、IrおよびRu、ならびにAg、Au、PtおよびPdから選択され、IrおよびPtが最も好適である。
【0010】
MがCoまたはFe、特にIrまたはRhである場合は、(n+m)は、好ましくは3であり、特に、nが1であり、mが2であり、pは、好ましくは2である。
【0011】
MがNi、RhまたはRu、特にPdまたはPtである場合は、(n+m)は、好ましくは2であり、pは、好ましくは1である。
【0012】
上記式IIおよびII’は、新規のリガンドの考えられる共鳴/互変異性形(「エノール形」)の1つを示しているにすぎず、以下の式II"(ケト形):
【化10】

または現行の式II’に対応するその二量体の1つなどの他の形も可能であり、支配的な形は、主として、R3およびXなどの置換パターンに応じて決まる。
【0013】
式IIまたはII"の二座リガンド、あるいは式II’の四座リガンドは、通常、上記構造に示されるNおよびY原子によって金属原子に結合する。しかし、Wが硫黄原子を表す場合には、硫黄原子による結合が窒素原子による結合に取って代わることができる。したがって、対応する配座は、以下の式IIa、IIbおよびIIc(ラインはMに対する結合を表し、配位結合は点線で示され、電子対結合は直線で示される)のものを含む。
【0014】
【化11】

【0015】
「リガンド」という用語は、金属イオンの配位領域に結合された分子、イオンまたは原子を指すことを意図する。「錯体」という用語は、名詞として用いられるときは、少なくとも1つの金属イオンおよび少なくとも1つのリガンドを有する化合物を指すことを意図する。「基」という用語は、有機化合物における置換基または錯体におけるリガンドなどの化合物の一部を指すことを意図する。「面の」という用語は、3つの「a」基が、例えば、八面体の1つの三角面の角においてすべて隣接する八面体の幾何構造を有する錯体Ma33の1つの異性体を指すことを意図する。「経線の」という用語は、2つが互いにトランスになるように3つの「a」基が3つの位置を占める、すなわち3つの「a」基が3つの共平面位置に存在して、経線と考えられる配位領域にアークを形成する八面体の幾何構造を有する錯体Ma33の1つの異性体を指すことを意図する。「に隣接する」という語句は、デバイスにおける層を指すのに用いられるときは、1つの層が別の層と直接隣接していることを必ずしも意味しない。「光活動性」という用語は、エレクトロルミネッセンスおよび/または感光性を示す任意の材料を指す。
【0016】
2つの隣接残基が、それらのアンカー原子と一緒になって有機架橋基として形成する全部で5から7個の環原子の任意の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、または以下に説明する脂環式不飽和成分からしばしば選択される。
【0017】
置換基は、存在すれば、好ましくは、ハロゲン、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C4−C10ヘテロアリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C1−C12ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは、水素であってもよい。
【0018】
8は、有利には、水素、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C5−C10アリール、C4−C10ヘテロアリール、およびSO2R’、SO3R’、SO2NHR’、SO2NRR’、SO2NH−NHR’、SO2NH−NRR’、C1−C18アシル、C1−C8ハロアルキル、特にSO2R、またはC1−C4パーフルオロアルキルなどのC1−C4パーハロアルキルなどの電子引抜置換基から選択され得る。好適なR8(またはR20)は、H、SO2R’、COR’、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、無置換または置換フェニル、ピリジル;より好ましくはH、SO2−R11、CO−R11から選択され、R11は、C1−C12アルキル、CF3などのC1−C12ハロアルキル、フェニル、ハロゲンで置換されたフェニルから選択される。
【0019】
アシルは、形式的に酸OHの引抜によって形成されるスルホン酸または特に有機カルボン酸の残基を表し;例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルである。一般的に、C1−C18アシルは、基X’−R11を表し、X’は、COまたはSO2であり、R11は、通常は分子量が300までの一価の脂肪族または芳香族有機残基から選択され;例えば、R11は、無置換、またはC1−C8アルキルもしくはハロゲンもしくはC1−C8アルコキシで置換されていてもよいC1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C5−C10アリール、あるいは無置換、または芳香族部がC1−C8アルキルもしくはハロゲンもしくはC1−C8アルコキシで置換されていてもよいC6−C15アリールアルキル、C4−C12シクロアルキルから選択されてもよく、X’がCOである場合は、R11はHであってもよい。アシルは、好ましくは、通常1から30個の炭素原子を有する有機酸−CO−R11の脂肪族または芳香族残基であり、R11は、それぞれが置換または無置換であっても、かつ/または特にアルキル残基について他の箇所に記載するように遮断されていてもよいアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルを包含し、あるいはR’はHであってよい(すなわちCOR’はホルミルであってよい)。結果として、優先順位は、記載の通りアリール、アルキルなどである。より好適なアシル残基は、置換または無置換のベンゾイル、アセチルまたはプロピオニルまたはブタノイルまたはペンタノイルまたはヘキサノイルなどの置換または無置換のC1−C17アルカノイルまたはアルケノイル、シクロヘキシルカルボニルなどの置換または無置換のC5−C12シクロアルキルカルボニルである。
【0020】
式Iの錯体は、好適な対イオンで中和される正味電荷を担持することができ、その中心原子Mの(形式的に正の)荷電を(形式的に負の荷電の)同数のリガンドによって中和できることが好適である。
【0021】
本発明の好適な錯体において、中心原子Mは、2+(例えばPt2+)または特に3+(例えばIr3+)の電荷の金属カチオンの塩から得られる。
特に興味深い錯体において、nは1であり、mは2である。
【0022】
アリール(例えばC1−C14−アリール)が使用される場合は、これは、好ましくはフェニル、ナフチル、アントラキニル、アントラセニルまたはフルオレニルなどの可能な限り多数の二重結合を有する単環式環または多環式環系を含むのが好ましい。アリールという用語は、環構造の一部として、主にO、NおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む複素環式環(ヘテロアリールとも呼ばれる)であってよいC1−C18芳香族成分を主に包含する。炭化水素アリールの例は、主に、フェニル、ナフチル、アントラキニル、アントラセニル、フルオレニル、特にフェニルを含むC6−C18である。C4−C18ヘテロアリールなどのヘテロアリールは、芳香族環を形成する原子のなかの特にN、O、Sから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むアリール基を指す。例としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジル、チエニル、ベンゾチエニル、ピリル、フリル、ベンゾフリル、インジル、カルバゾリル、ベンゾトリアゾリル、チアゾリル、キノリル、イソキノリル、トリアジニル、テトラヒドロナフチル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリルが挙げられる。例えば、フェニル、ナフチル、ピリジル、テトラヒドロナフチル、フリル、チエニル、ピリル、キノリル、イソキノリル、アントラキニル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチエニルから選択されるC4−C18アリール、特にC6−C10アリールが好適であり、フェニル、ナフチルが最も好適である。
【0023】
ハロゲンは、I、Br、Cl、F、好ましくはCl、F、特にFを指す。
【0024】
アルキルは、任意の脂環式飽和一価ヒドロカルビル基を指し;アルケニルは、(アリルのように)少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むことを除いて同様の基を指し;同様に、アルケニルは、(プロパルギルのように)少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含むことを除いて同様の基を指す。アルケニルまたはアルキニル基が2つ以上の二重結合を含む場合は、これらの結合は、通常は累積されず、−[CH=CH−]nまたは−[CH=C(CH3)−]n[式中、nは、例えば2〜50の範囲であってよい]のように交互に配列され得る。他に指定する場合を除いて、好適なアルキルは1〜22個の炭素原子を含み;好適なアルケニルおよびアルキニルは、それぞれ2〜22個の炭素原子、特に3〜22個の炭素原子を含む。
【0025】
遮断が示唆される場合は、2個以上、特に3個以上の炭素原子の任意のアルキル成分、または別の成分の一部である当該アルキルまたはアルケニル成分が、O、S、COO、OCNR10、OCOO、OCONR10、NR10CNR10またはNR10[式中、R10は、H、C1−C12アルキル、C3−C12シクロアルキル、フェニルである]などのヘテロ官能基によって遮断され得る。それらは、各々の場合において1つの基が概して1つの炭素−炭素結合に挿入され、ヘテロ−ヘテロ結合、例えばO−O、S−S、NH−NHなどが生じないように1つ以上のこれらのスペーサ基によって遮断され得る。遮断されたアルキルがさらに置換される場合は、置換基は、一般的にヘテロ原子に対するαでない。−O−、−NR10−、−S−の2つ以上の遮断基が1つの基に存在する場合は、それらは、しばしば同一である。
【0026】
したがって、アルキルという用語が用いられる場合は、それは常に、特に無遮断で、適宜置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルフェニル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルフェニル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどのC1−C22アルキルを主に包含する。アルコキシはアルキル-O-であり;アルキルチオはアルキル−S−である。
【0027】
ハロアルキルは、ハロゲンで置換されたアルキルを指し;これは、パーフルオロアルキル、特に、例えば−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF32、−(CF23CF3および−C(CF33などの分枝状または非分枝状基であるC1−C4パーフルオロアルキルなど過ハロゲン化アルキルを含む。
【0028】
アルキルは、所定の定義の範囲内で、通常は、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェネチル、α−メチルベンジル、α−α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−オクチル、ω−フェニル−ドデシルなどの、置換されていてもよいC7−C24アラルキル基、好ましくはC7−C15アラルキル基:または例えば2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,6−ジメチルベンジルまたは4−tert−ブチルベンジルまたは3−メチル−5−(1’,1’,3’,3’−テトラメチル−ブチル)−ベンジルなどの1から3つのC1−C4アルキル基でフェニル環が置換されたフェニル−C1−C4アルキルから選択される。
【0029】
したがって、アルケニルという用語が用いられる場合は、それは常に、特に無遮断で、適宜ビニル、アリルなどの置換されたC2−C22アルキルを主に包含する。
【0030】
2-24アルキニルは、直鎖状または分枝状であり、好ましくは、無置換であっても置換されていてもよい、例えばエチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イン、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニル−9−イル、1−デシン−10−イルまたは1−テトラコシン−24−イルなどのC2-8アルキニルである。
【0031】
脂肪族環式成分としては、シクロアルキル、脂肪族複素環式成分、ならびにシクロアルケニルなどのその不飽和変形体が挙げられる。C3−C18シクロアルキルなどのシクロアルキルは、好ましくは、C3−C12シクロアルキル、または1から3つのC1−C4アルキル基に置換された前記シクロアルキルであり、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロドデシル、1−アダマンチルまたは2−アダマンチルを含む。シクロヘキシル、1−アダマンチルおよびシクロペンチルが最も好適である。C3−C12シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルを含み;これらの残基のなかでC3−C6シクロアルキルならびにシクロドデシル、特にシクロヘキシルが好適である。存在するさらなる環構造は、通常、その中の少なくとも1つ、特に1〜3つが通常O、S、NR10(R10はNR10基の遮断について以上に説明した通りである)から選択されるヘテロ成分である5から7つの環員を含む複素環式脂肪族環である。例としては、ピペリジル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニルおよびモルホリニルなどの、S、OまたはNR10で遮断されたC4−C18シクロアルキルが挙げられる。不飽和変形体は、2つの隣接する環員上の水素原子を引き抜いてそれらの間に二重結合を形成することによってこれらの構造から誘導され得る。当該成分の例は、シクロヘキセニルである。
【0032】
1−C24アルコキシなどのアルコキシは、直鎖状または分枝状基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミロキシ、イソアミルオキシまたはtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシおよびオクタデシルオキシである。
【0033】
6−C18シクロアルコキシは、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシまたはシクロオクチルオキシ、または1から3つのC1−C4アルキルで置換された前記シクロアルコキシ、例えば、メチルシクロペンチルオキシ、ジメチルシクロペンチルオキシ、メチルシクロヘキシルオキシ、ジメチルシクロヘキシルオキシ、トリメチルシクロヘキシルオキシまたはtert−ブチルシクロヘキシルオキシである。
【0034】
6−C24アリールオキシは、典型的には、フェノキシ、または例えばo−、m−もしくはp−メチルフェノキシ、2,3−ジメチルフェノキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,5−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、3,4−ジメチルフェノキシ、3,5−ジメチルフェノキシ、2−メチル−6−エチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、2−エチルフェノキシまたは2,6−ジエチルフェノキシなどの、1から3つのC1−C4アルキル基で置換されたフェノキシである。
【0035】
6−C24アリールオキシは、典型的には、例えば、ベンジルオキシ、α−メチルベンジルオキシ、α,α−ジメチルベンジルオキシまたは2−フェニルエトキシなどのフェニル−C1−C9アルコキシである。
【0036】
1−C24アルキルチオ基は、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、テトラデシルチオ、ヘキサデシルチオまたはオクタデシルチオなどの直鎖状または分枝状アルキルチオ基である。
【0037】
SiRR’R"などのシリルは、好ましくは、以上に規定したように、無置換または置換ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルオキシ(置換基は、好ましくは、置換シリル以外の基である)から選択される2つまたは好ましくは3つの成分、あるいは無置換または置換ヘテロアリールで置換されたSiである。Siが2つの置換基のみを担持する場合には、シリル基は、R2が好ましくはヒドロカルビルまたはヒドロカルビルオキシである−SiH(R2)型である。好適なヒドロカルビル(オキシ)は、C1−C20アルキル(オキシ)、フェニル(オキシ)などのアリール(オキシ)、C1−C9アルキルフェニル(オキシ)であり、「(オキシ)」は、存在してもしていなくてもよい随意のリンカー「−O−」を表す。3つのC1−C20−アルキルまたは−アルコキシ置換基(すなわち、置換シリルが、R12をC1−C20−アルキルまたは−アルコキシとするSi(R12)3になる)、特に、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチルまたはイソブチルなどの3つのC1−C8−アルキル置換基がより好適である。
【0038】
一実施形態において、本発明は、以上に記載した少なくとも1つのリガンドLDHまたはLTH、および式
【化12】

のリガンドなどのWO06/067074に記載されている少なくとも1つのリガンドを含む金属錯体に向けられる。
【0039】
この種類の好適なリガンドにおける環系B(以降ピリジル基とも称するが、ピリジルに限定されない)は、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、フリル基、置換フリル基、ベンゾフリル基、置換ベンゾフリル基、チエニル基、置換チエニル基、ベンゾチエニル基および置換ベンゾチエニル基などを含む。置換フェニル基、置換ナフチル基、置換フリル基、置換ベンゾフリル基、置換チエニル基および置換ベンゾチエニル基上の置換基は、C1−C24アルキル基、C2−C24アルケニル基、C2−C24アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、C1−C24アルコキシ基、C1−C24アルキルチオ基、シアノ基、C2−C24アシル基、C1−C24アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子およびアルキレンジオキシ基などを含む。
【0040】
前記実施形態において、リガンド
【化13】

(L)は、より好ましくは、式
【化14】

[式中、
6、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C1−C24アルキル、C2−C24アルケニル、C2−C24アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、シアノ、アシル、アルキルオキシカルボニル、ニトロ基またはハロゲン原子であり;あるいは
互いに隣接する2つの置換基R6、R7、R8およびR9は、一緒になって、基
【化15】

を形成し、R205、R206、R207およびR208は、互いに独立して、HまたはC1−C8アルキルであり、
環Aは、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール基であり;あるいは環Aは、環Aに結合したピリジル基と一緒になって環を形成してもよく;R6、R7、R8およびR9で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基およびアルキルオキシカルボニル基は、置換されていてもよい]の基である。
【0041】
好適な種類のリガンドLの別の例は、式
【化16】

特に
【化17】

[式中、Yは、S、O、NR200であり、R200は、水素、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、場合により置換されたC6−C10アリール(特にフェニル)、−(CH2r−Ar(Arは、場合により置換されたC6−C10アリール、特に
【化18】

である)、基−(CH2r’20(式中、r’は、1から5の整数であり、X20は、ハロゲン(特にFまたはCl)、ヒドロキシ、シアノ、−O−C1−C4アルキル、ジ(C1−C4アルキル)アミノ、アミノまたはシアノである);基−(CH2rOC(O)(CH2r"CH3(式中、rは1または2であり、r"は0または1である);
【化19】

、−NH−Rh、−C(O)CH3、−CH2−O−(CH22−Si(CH33または
【化20】

である)の化合物である。
【0042】
別の好適な種類のリガンドLは、WO06/000544に記載されており、そのうちの以下のリガンドを本発明に従って有利に使用することができる。
【0043】
【化21】

または特に
【化22】

[式中、
1およびQ2は、互いに独立して、水素、C1−C24アルキルまたはC6−C18アリールであり、
21は、水素、ハロゲン、C1−C4アルコキシまたはC1−C4アルキルであり、
22は、水素、ハロゲン、C1−C12アルコキシ、C1−C12またはC6−C10アリールであり、
23は、水素、ハロゲン、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキルまたはC6−C10アリールであり、
24は、水素、ハロゲン、C1−C4アルコキシまたはC1−C4アルキルであり、あるいは
22およびA23またはA23およびA24は、一緒になって、基
【化23】

を形成し、R205、R206、R207およびR208は、互いに独立して、H、ハロゲン、C1−C12アルコキシまたはC1−C12アルキルであり、
42は、H、ハロゲン、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシまたはC1−C4パーフルオロアルキルであり、
43は、H、ハロゲン、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C4パーフルオロアルキル、C7−C15アラルキルまたはC6−C10アロールであり、
44は、H、ハロゲン、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C6−C10アリール、C7−C15アラルキルまたはC1−C4パーフルオロアルキルであり、
45は、H、ハロゲン、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシまたはC1−C4パーフルオロアルキルであり、特に、
21は、水素であり、
22は、水素、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキルまたはフェニルであり、
23は、水素、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキルまたはフェニルであり、
24は、水素であり、あるいは
23およびA24またはA23およびA24は、一緒になって、基
【化24】

を形成し、R205、R206、R207およびR208は、互いに独立して、HまたはC1−C8アルキルであり
42は、H、F、C1−C12アルキル、C1−C8アルコキシまたはC1−C4パーフルオロアルキルであり、
43は、H、F、C1−C12アルキル、C1−C8アルコキシ、C1−C4パーフルオロアルキルまたはフェニルであり、
44は、H、F、C1−C12アルキル、C1−C8アルコキシまたはC1−C4パーフルオロアルキルであり、
45は、H、F、C1−C12アルキル、C1−C8アルコキシまたはC1−C4パーフルオロアルキルである。]。
【0044】
この種類のリガンドのさらなる例は、その節が参考として本明細書で援用されるWO06/000544の14頁、第12行から18頁、第3行ならびに前記文献の21〜56および67〜72頁の実施例に記載されている。
【0045】
別の好適な種類のリガンドLは、特許出願第PCT/EP2006/069803号に記載されており、そのうちの以下のリガンドを本発明に従って有利に使用することができる。
【0046】
【化25】

[式中、
nは、0、1または2、特に1であり;
12、A14、A16、A21、A22、A23およびA24は、互いに独立して、水素、CN、ハロゲン、C1−C24アルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、C1−C24パーフルオロアルキル、Gで場合により置換されたC6−C18アリール;−NR2526、−CONR2526もしくは−COOR27、またはGで場合により置換されたC2−C10ヘテロアリール;またはそれぞれGで場合により置換されたC5−C12シクロアルキル、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12シクロアルキルチオ;特に式
【化26】

の基であり;あるいは近接原子と結合する2つの隣接する基A12、A14;またはA14、A17;またはA17、A16;またはA21、A22;またはA22、A23;またはA23、A24;またはA18、A22;またはA23、A19は、ともに、式
【化27】

の基であり、A41、A42、A43、A44、A45、A46およびA47は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1−C24アルキル、C1−C24パーフルオロアルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、Gで場合により置換されていてもよいC6−C18アリール;−NR2526、−CONR2526、または−COOR27、またはC2−C10ヘテロアリール;特に
【化28】

であり;
11、A13、A15、A’21、A’22、A’23およびA’24の各々は、独立して、水素またはC1−C24アルキルであり;あるいは同一の炭素原子と結合する2つの隣接する基A11、A12;A13、A14;A15、A16;A’21、A21;A’22、A22;A’23、A23;またはA’24、A24は、ともに、=Oまたは=NR25または=N−OR25または=N−OHであり;
1は、O、SまたはNR25であり、
25およびR26は、互いに独立して、C6−C18アリール、C7−C18アラルキルまたはC1−C24アルキルであり、R27は、C1−C24アルキル、C6−C18アリールまたはC7−C18アラルキルであり;
1、Y2およびY3は、互いに独立して、式
【化29】

の基であり、
41は、M2に対する結合であり、
71は、M2に対する結合であり、
42は、水素、またはC1−C24アルキル、CN、Fで置換されたC1−C24アルキル、ハロゲン、特にF、C6−C18−アリール、C1−C12アルキルで置換されたC6−C18−アリール、またはC1−C8アルコキシであり、
43は、水素、CN、ハロゲン、特にF、Fで置換されたC1−C24アルキル、C6−C18アリール、C1−C12アルキルで置換されたC6−C18アリール、またはC1−C8アルコキシ、−CONR2526、−COOR27
【化30】

、特に
【化31】

であり、
2は、−S−、−O−または−NR25’−であり、R25’は、C1−C24アルキルまたはC6−C10アリールであり、
110は、H、CN、C1−C24アルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526または−COOR27であり、あるいは
42およびR43は、式
【化32】

の基であり、A41、A42、A43、A44、A45、A46およびA47は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1−C24アルキル、C1−C24パーフルオロアルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、Gで場合により置換されていてもよいC6−C18アリール、−NR2526、−CONR2526もしくは−COOR27またはC2−C10ヘテロアリール;特に
【化33】

であり、
44は、水素、CNもしくはC1−C24アルキル、Fで置換されたC1−C24アルキル、ハロゲン、特にF、C6−C18−アリール、C1−C12アルキルで置換されたC6−C18−アリール、またはC1−C8アルコキシであり、
45は、水素、CNもしくはC1−C24アルキル、Fで置換されたC1−C24アルキル、ハロゲン、特にF、C6−C18−アリール、C1−C12アルキルで置換されたC6−C18−アリール、またはC1−C8アルコキシであり、
11’、A12’、A13’およびA14’は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1−C24アルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526または−COOR27であり、
68およびR69は、互いに独立して、C1−C24アルキル、特にC4−C12アルキル、特にヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、および1または2個の酸素原子で遮断され得るオクチルであり、
70、R72、R73、R74、R75、R76、R90、R91、R92およびR93は、互いに独立して、H、ハロゲン、特にF、CN、C1−C24アルキル、C6−C10アリール、C1−C24アルコキシ、
1−C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526または−COOR27であり、R25、R26およびR27は、以上に定義した通りであり、Gは、C1−C18アルキル、−OR305、−SR305、−NR305306、−CONR305306または−CNであり、R305およびR306は、互いに独立して、C6−C18アリール;C1−C18アルキルで置換されたC6−C18アリール、またはC1−C18アルコキシ;C1−C18アルキル、または−O−で遮断されたC1−C18アルキル;あるいはR305およびR306は、一緒になって、
【化34】

などの5または6員環を形成する。]。
【0047】
別の好適な種類のリガンドLは、式
【化35】

[式中、
6は、水素、ハロゲン、特にFまたはCl;ニトロ、C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキル、C1−C4アルコキシ、または場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニルであり、
7は、水素、ハロゲン、特にFまたはCl;C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
8は、水素、C1−C4アルキル、C1−C8アルコキル、C1−C4パーフルオロアルキル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
9は、水素、ハロゲン、特にFまたはCl;ニトロ、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキル、C1−C4アルコキシ、または場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニルであり、
10は、水素、ハロゲン、特にFまたはCl;ニトロ、シアノ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4パーフルオロアルキル、−O−C1−C4パーフルオロアルキル、トリ(C1−C4アルキル)シラニル、特にトリ(メチル)シラニル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
11は、水素、ハロゲン、特にFまたはCl;ニトロ、シアノ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4パーフルオロアルキル、−O−C1−C4パーフルオロアルキル、トリ(C1−C4アルキル)シラニル、特にトリ(メチル)シラニル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
12は、水素、ハロゲン、特にFまたはCl;ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4パーフルオロアルキル、C1−C4アルコキル、−O−C1−C4パーフルオロアルキル、−S−C1−C4アルキル、(CH2r20(式中、rは1または2であり、X20は、ハロゲン、特にFまたはClである)の基;ヒドロキシ、シアノ、−O−C1−C4アルキル、ジ(C1−C4アルキル)アミノ、−CO221(式中、X21はHまたはC1−C4アルキルである);−CH=CHCO222(式中、X22はC1−C4アルキルである);−CH(O)、−SO223、−SOX23、−NC(O)X23、−NSO223、−NHX23、−N(X232(X23はC1−C4アルキルである);トリ(C1−C4アルキル)シロキサニル、場合により置換された−O−C6−C10アリール、特にフェノキシ、シクロヘキシル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
13は、水素、ニトロ、シアノ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4パーフルオロアルキル、O−C1−C4パーフルオロアルキル、トリ(C1−C4アルキル)シラニル、または場合により置換されたC6−C10アリールである]の化合物である。
【0048】
Lの具体例は、以下の化合物(VI−1)から(VI−53)である。
【0049】
【化36】

【0050】
【化37】

【0051】
【化38】

【0052】
【化39】

それらのなかでも(VI−1)から(VI−47)ならびに以下の例の化合物が特に重要である。
【0053】
好適な錯体は、式(I)または(I’)[式中、
Lは、独立して、2つの成分CyCおよびCyNまたはCyCおよびCyCが化学結合によって相互結合されている二座リガンド
【化40】

であり、
LDHは、式IIの二座リガンドであり、LTHは、2つの金属原子Mに結合する式II’のLDHの二量体であり、
Wは、O、S、NR4、CR56から選択され、
Xは、NまたはCR7であり、
Yは、O、S、NR8から選択され;
1、R2は、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシル、ハロゲン、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから独立して選択され;
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C1−C6ハロアルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから独立して選択され;Rは、水素であってもよく;あるいは
隣接する残基R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよい炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族6員環を完成させる有機架橋基を形成し;
4、R5、R6は、独立して、H、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換C2−C8アルケニル、無置換または置換フェニルであり;
7は、存在すれば、隣接する残基R3と一緒になって、それらが結合している炭素原子ととともに、場合により置換されていてもよい芳香族6員環を完成させる有機架橋基を形成し;WがO、NR4、CR56であり、かつ/またはYが窒素原子を含む場合は、R7は、R4について示される意味をも包含し;あるいは
3は、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換フェニル、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシルであり;
R’3は、無置換または置換C1−C8アルキレン、無置換または置換C2−C8アルケニレン、無置換または置換フェニレン、無置換または置換C2−C10ヘテロアリーレン、C2−C8ジアシレンであり;
8は、水素、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C5−C10アリール、C4−C10ヘテロアリール、およびSO2R’、SO3R’、SO2NHR’、SO2NRR’、SO2NH−NHR’、SO2NH−NRR’、C1−C18アシル、C1−C8ハロアルキルなどの電子引抜置換基から選択される]の錯体、例えば式(I)または(I’)[式中、
Yは、OまたはNR8であり;
Mは、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Mo、Cr、Mn、Ta、V、Cu、Fe、Ru、Ni、Co、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Os、AgおよびAuから選択され;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は以上に定義した通りであり、置換される場合は、置換基は、ハロゲン、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキルチオ、C1−C4アルキルもしくはC1−C4アルコキシもしくはハロゲンで置換されたベンゾイル、C1−C4アルキルもしくはC1−C4アルコキシもしくはハロゲンで置換されたベンゾイルオキシ、フェニル、フェニルオキシ、C3−C12シクロアルキル、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、OCOR、COOR、CONHR、CONRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’から選択され、
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C1−C6ハロアルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから独立して選択され;Rは、水素であってもよい]の錯体である。
【0054】
より好適な錯体は、式I[式中、
nは整数1であり、
Mは、Co、Fe、または特にIr、Rhであり、mは2であり、
Mは、Ni、Rh、Ru、または特にPd、Ptであり、mは1であり、
1、R2は、H、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換フェニル、ハロゲン、C1−C8アルコキシ、COR、COOR、SO2R、CN、NHR、NRR’から独立して選択され;あるいは
隣接する残基R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよい環形フェニル環を完成させる有機架橋基を形成し、
5、R6は、独立して、H、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換C2−C8アルケニル、無置換または置換フェニルであり;
4は、R5について定義した通りであり、またはHであり;
7は、存在すれば、隣接する残基R3と一緒になって、それらが結合している炭素原子ととともに、場合により置換されていてもよいフェニル環を完成させる有機架橋基を形成し;WがO、NR4、CR56であり、かつ/またはYが窒素原子を含む場合は、R7は、水素、C1−C4アルキルをも包含し;あるいは
3は、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換C2−C8アルケニル、無置換または置換フェニルであり;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、C1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、COR、OCOR、COOR、SO2R、CN、NHR、NRR’から選択され;
R、R’およびR"は、C1−C6アルキルから独立して選択され、Rは、水素であってもよく;
8は、H、SO2−R11、CO−R11であり、R11は、C1−C12アルキル、C1−C12ハロアルキル、フェニル、ハロゲンで置換されたフェニルである]の錯体である。
【0055】
YがOである化合物が特に技術的に興味深い。R3が水素と異なる化合物も同様に技術的に興味深い。
【0056】
本発明のいくつかのより好適な錯体の例は、式
【化41】

[式中、
【化42】

は、以上に定義した二座C、N−結合リガンドであり、
nは1であり、
MはIrであり、mは2であり、あるいは
MはPtであり、mは1であり;
Wは、O、S、NR4、CR56であり、
Xは、NまたはCHであり、
Yは、OまたはNR8であり、
1、R2は、H、C1−C8アルキル、フェニル、ハロゲン、C1−C8アルコキシ、CN、NHR、NRR’から独立して選択され;あるいは
1およびR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよい環形フェニル環を形成し;
3は、H、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換C2−C8アルケニル、無置換または置換フェニルであり;
4、R5、R6は、独立して、HまたはC1−C8アルキルであり;
8は、H、C1−C8アルキル、COR、SO2Rであり;
13、R14、R15、R16は、独立して、水素または置換基であり;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、C1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、COR、NHR、NRR’から選択され;
R、R’およびR"は、C1−C6アルキルから独立して選択され、Rは、水素であってもよい]の錯体およびそれらの互変異性体である。
【0057】
式I’の二量体錯体の例としては、式
【化43】

[式中、
W、X、Yおよびリガンド
【化44】

は、以上に定義した通りであり、
1、R2は、H、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換フェニル、ハロゲン、C1−C8アルコキシ、COR、COOR、SO2R、CN、NHR、NRR’から独立して選択され;
R’1およびR’2は、独立して、水素または置換基であり、
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、C1−C8アルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、COR、OCOR、COOR、SO2R、CN、NHR、NRR’から選択され、
R、R’およびR"は、C1−C6アルキルから独立して選択され、Rは、水素であってもよく;
R’3は、無置換または置換C1−C8アルキレン、無置換または置換C2−C6アルケニレン。無置換または置換フェニレンである]の錯体、例えば、
【化45】

[n=2]の化合物である。
これらの金属錯体の好適な層への変換は、当該技術分野で既知の方法に従って実施され得る。前記層を含むエレクトロルミネッセンスデバイスの構造は、当該技術分野で周知である(例えば、WO04/017043および上記のさらなる文献参照)。
【0058】
式IIのリガンドのいくつかは既知の化合物である。しかし、より興味深いリガンドのいくつかは新規である。したがって、本発明は、式VまたはVI
【化46】

[式中、
1、R2、R3、WおよびYは、本発明の金属錯体について定義した通りであり;
X’はNであり、WがO、NR4、CR56であり、かつ/またはYが窒素原子を含む場合は、X’は、CR17を表してもよく;
Rは、C1−C12アルキル、フェニル、またはC1−C4アルコキシもしくはハロゲンで置換された前記フェニルもしくはC1−C12アルキルであり;
13、R14、R15、R16の少なくとも1つは、好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシ、OR、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシルオキシ、NH−C1−C18アシル、NR"R’、NH−NR"R’、CONR’OHから選択される電子押込み置換基であり;特に、R13、R14、R15、R16の1つは、ヒドロキシ、OR、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、NR"R’から選択される電子押込み置換基であり;
13、R14、R15、R16の残りは、水素、もしくは以上にさらに定義した置換基、例えば、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR’、CH=NR’、CH=N−OH、CH=N−OR’、COOR’、CONHR’、CONR’、CONH−NHR’、CONH−NRR’、SO2R’、SO3R’、SO2NHR’、SO2NRR’、SO2NH−NHR’、SO2NH−NRR’、S(O)R’、S(O)OR’、S(O)NHR’、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR’、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、POR"R’、PO(OR")R’、PO(OR’)2、PO(NHR’)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR’、NRR’、NH−NHR’、NH−NRR’、CONR’OHから独立して選択されてもよく、特に水素またはアルキルであり;
R’およびR"は、独立して、Rについて定義した通りであり、または水素であり;
17は、H、C1−C6アルキルであり;
20は、SO2R’、SO3R’、SO2NHR’、SO2NRR’、SO2NH−NHR’、SO2NH−NRR’、C1−C18アシル、C1−C8ハロアルキル、特にSO2RまたはC1−C4パーフルオロアルキルなどのC1−C4パーハロアルキルから選択される電子引抜残基である]の化合物またはそれらの互変異性体を含む。
【0059】
新規のリガンドの製造は、当該技術分野で既知の方法に従って実施され得る。例えば、WO05/106868に記載されている方法と同様にして、XがCR7であるリガンドを得ることができる。
【0060】
Xが窒素を表すリガンドは、便利には、対応するアミン
【化47】

から出発して、YがOであるリガンドを得るための好適な酸無水物または酸ハロゲン化物R3−CO−Halなどのアシル成分との反応によって;あるいはYがNHであるリガンドを得るための好適なニトリルとの反応によって製造される。
【0061】
K.Waisser,Sci.Pharm.67,1999,113−122に記載されている手順と同様にして、YがOであるリガンドを、SとしてYを含むリガンドに変換することができる。
【0062】
既知の方法と同様にして反応を実施することができる(例えば、Dothager,Robin S.;Putt,Karson S.;Allen,Brittany J.;Leslie,Benjamin J.;Nesterenko,Vitaliy;Hergenrother,Paul J.;J.Am.Chem.Soc.127(24),2005,8686)。当該技術分野で既知の手順に従って、遊離アミノ官能基をさらに改質して、水素以外の残基R8を導入することができる。例えば、J.Lee et al.,J.Med.Chem.2003,46,3116と同様にして、またはW.Anderson,Synth.Commun.19,1989,2237−2242と同様にして、好適なハロゲン化物Cl−R20を用いて対応するアミン(Y=NHである以下の式VIIの化合物)を変換することによってスルホンアミド類(上記式VIの化合物のようなY=N−SO2R)の新規のリガンドを得ることができる。例としては、Xが窒素であるリガンドIIまたはII’と、スルホクロリドCl−SO2Rとの反応:
【化48】

[式中、
「環」は環式成分
【化49】

を表し、R3は、式II’の化合物の合成において、架橋基R’3(2つの反応中心が変換された二量体)を表してもよい]である。
【0063】
例えばDE−A−2333378に記載されている方法と同様にしてアミンを得ることができる。例えば、遊離体2−アミノチオフェノールおよび4−ジメチルアミノ−2−ニトロベンズアルデヒドを反応させて(4−ベンゾチアゾール−2−イル−3−ニトロフェニル)−ジメチルアミンを得て、そのニトロ基を従来の方法で(例えば、SnCl/HClを使用して)アミンに還元することができ、生成物をメタンスルホクロリドと反応させる。
【0064】
先行技術から既知の通常の方法(例えば、WO06/000544およびそれに引用されている文献参照)に従って、容易に入手可能な金属塩、ならびに式VII
【化50】

[式中、すべての符号は、式IおよびIIについて以上に定義した通りである]の本発明のリガンドおよびそれらの互変異性体を含む記載のリガンドから本発明の金属錯体を製造することができる。
【0065】
式Ir(La2L’[式中、LaおよびL’は、2種類の二座リガンド[CyC、CyN]を独立して表す]および本発明の特徴である式IIのイリジウム金属錯体を、例えば、最初に、式
【化51】

[式中、Xは、Hまたはメチルもしくはエチルなどの低級アルキルであり、Laは、以上に定義した通りである]の中間イリジウム二量体を製造し、次いでHL’を添加することによって製造することができる。イリジウム二量体を、一般には、最初に三塩化イリジウム水和物とHLaを反応させ、NaXを添加すること、および三塩化イリジウム水和物とHLaを2−エトキシエタノールなどの好適な溶媒中で反応させることによって製造することができる。
【0066】
本発明は、また、金属錯体を含む電子デバイス、およびその製造方法に向けられる。電子デバイスは、デバイスの層の少なくとも一方が金属錯体化合物を含む2つの電気接触層の間に配置された少なくとも1つの有機活性材料を含むことができる。電子デバイスは、アノード層(a)、カソード層(e)および活性層(c)を含むことができる。随意の正孔注入/輸送層(b)がアノード層(a)に隣接し、随意の電子注入/輸送層(d)がカソード層(e)に隣接する。層(b)および(d)は、電荷輸送層の例である。
【0067】
活性層(c)は、本発明の少なくとも約1質量パーセントに金属錯体を含むことができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、活性層(c)は、Alq3(以下参照)などのホスト電荷輸送材料が必要とされないため、金属錯体が実質的に100%であってよい。「実質的に100%」とは、層を形成するための方法に起因する不純物または外来性副産物を除いては金属錯体が層における唯一の材料であることを意味する。さらに、いくつかの実施形態において、金属錯体は、典型的には、活性層(c)内の電荷輸送を助けるために使用されるホスト材料内のドーパントであってよい。金属錯体のいずれかを含む活性層(c)は、小分子の活性材料であり得る。
【0069】
デバイスは、アノード層(a)またはカソード層(e)に隣接する支持体または基板を含むことができる。最も頻繁には、支持体は、アノード層に隣接する。支持体は、軟質または硬質、有機または無機であり得る。一般には、ガラスまたは軟質有機フィルムが支持体として使用される。アノード層(a)は、カソード層(e)と比較して正孔注入の効率がより高い電極である。アノードは、金属、混合金属、合金、金属酸化物または混合金属酸化物を含む材料を含むことができる。アノード層(a)内の好適な金属原子としては、第4、5、6および8〜11族の遷移金属を挙げることができる。アノード層(a)が透光性である場合は、インジウム錫酸化物などの第12、13および14族の金属の混合金属酸化物を使用することができる。アノード層(a)の材料のいくつかの非限定的な具体例としては、インジウム錫酸化物(「ITO」)、アルミニウム−錫−酸化物、金、銀、銅、ニッケルおよびセレニウムが挙げられる。
【0070】
化学または物理蒸着方法または回転鋳造方法によってアノード層(a)を形成することができる。化学蒸着をプラズマ励起化学蒸着(「PECVD」)または金属有機化学蒸着(「MOCVD」)として実施することができる。
【0071】
物理蒸着は、すべての形のスパッタリング(例えば、イオンビームスパッタリング)、電子ビーム蒸着、および抵抗蒸着を含むことができる。
【0072】
物理蒸着の具体的な形としては、rfマグネトロンスパッタリングまたは誘導結合プラズマ物理蒸着(「ICP−PVD」)が挙げられる。これらの蒸着技法は、半導体製造技術分野で周知である。
【0073】
正孔注入層(b)は、アノードと隣接し得る。正孔輸送小分子化合物およびポリマーの両方を使用することができる。
【0074】
広く使用されている正孔輸送分子としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンジアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、4,4’−N,N−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、N,N−ジカルバゾイル−1,4−ジメタン−ベンゼン(DCB)、ポルフィリン化合物、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0075】
広く使用されている正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)およびポリアニリンである。上記の分子などの正孔輸送分子をポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーにドーピングすることによって正孔輸送ポリマーを得ることができる。
【0076】
スピン塗装、キャスティングおよびグラビア印刷などの印刷を含む任意の従来の手段を使用することによって正孔注入/輸送層(b)を形成することができる。インクジェット印刷、熱パターン化または化学もしくは物理蒸着によって層を塗布することもできる。
【0077】
通常、アノード層(a)および正孔注入/輸送層(b)は、同じリソグラフィック処理中にパターン化される。パターンは、要望に応じて変更され得る。例えば、第1の電気接触層材料を塗布する前にパターン化マスクまたはレジストを第1の軟質複合バリヤ構造体上に配置することによって層をあるパターンに形成することができる。あるいは、層を全層(ブランケット堆積とも呼ばれる)として塗布し、続いて、例えばパターン化レジスト層および湿式または乾燥エッチング技法を用いてパターン化することができる。当該技術分野で周知である他のパターン化の方法を用いることもできる。電子デバイスがアレイ内に配置される場合は、アノード層(a)および正孔注入/輸送層(b)は、典型的には、実質的に同一方向に伸びる長さを有する実質的に平行な帯に成形される。
【0078】
活性層(c)は、本明細書に記載されている金属錯体を含むことができる。選択される特定の材料は、具体的な用途、処理中に使用されるポテンシャルまたは他の要因に左右され得る。活性層(c)は、励起子が光電子放射機構を介して放射材料から解放されるように、電子、正孔および/または励起子をトラップすることができる放射材料がドーピングされた、電子および/または正孔を輸送することが可能なホスト材料を含むことができる。活性層(c)は、輸送特性と放射特性を兼ね備えた単一の材料を含むことができる。放射材料がドーパントまたは主たる構成成分であるかどうかにかかわらず、活性層は、放射材料の放射を調整するドーパントなどの他の材料を含むことができる。活性層(c)は、一緒になって所望のスペクトルの光を放射することが可能な複数の放射材料を含むことができる。リン光放射材料の例としては、本発明の金属錯体が挙げられる。蛍光放射材料の例としては、DCMおよびDMQAが挙げられる。ホスト材料の例としては、Alq3、CBPおよびmCPが挙げられる。放射およびホスト材料の例は、その全体が参考として本明細書で援用されるUS−B−6,303,238に開示されている。
【0079】
スピンコーティング、鋳造、マイクログラビアコーティング、ロールコーティング、ワイヤバーコーティング、浸漬コーティング、スプレー塗装、ならびにスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷およびインクジェット印刷などの印刷技術を含む任意の従来の技術によって溶液から活性層(c)を塗布することができる。活性有機材料を材料の性質に応じて、蒸着方法により直接塗布することもできる。
【0080】
溶液処理方法に使用される溶媒は、特に限定されず、材料を溶解または均一に分散させることができるものが好ましい。好ましくは、材料を溶媒に溶解させ、基板上に堆積させ、溶媒を除去して固体の膜を残す。不活性であり、少なくともある程度の材料を溶解させることができ、従来の乾燥手段(例えば、加熱、減圧、空気流など)によって基板から除去できるのであれば、イオン性化合物を溶解するのにあらゆる好適な溶媒を使用することができる。好適な有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルミアミド、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などの芳香族または脂肪族炭化水素、塩素化などのハロゲン化炭化水素、エステル、エーテル、ケトン、アミド、およびアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。水、および水和性溶媒との混合物も可能である。
【0081】
随意の層(d)は、電子注入/輸送を容易にするように機能するとともに、層界面における失活反応を防止するための緩衝層または拘束層として機能する。より具体的には、層(d)は、層(c)および(e)が直に接触しているのであれば、電子移動を促進し、失活反応の可能性を低下させることができる。随意の層(d)の材料の例としては、金属キレートオキシノイド化合物(例えば、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)など);フェナントロリン系化合物(例えば2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)または4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DPA」)など);アゾール化合物(例えば、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」)など、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」)など;他の同様の化合物;あるいはそれらの1つ以上の組合せが挙げられる。あるいは、随意の層(d)は、無機物であり、BaO、LiFまたはLi2Oなどを含むことができる。
【0082】
スピンコーティング、鋳造およびグラビア印刷などの印刷を含む任意の従来の手段を使用して電子注入/輸送層(d)を形成することができる。該層をインクジェット印刷、熱パターン化または化学もしくは物理蒸着によって塗布することもできる。
【0083】
カソード層(e)は、電子または負電荷担体を注入するのに特に効率的な電極である。カソード層(e)は、第1の電気接触層(この場合はアノード層(a))より低い仕事関数を有する任意の金属または非金属であり得る。第2の電気接触層の材料を第1族のアルカリ金属(例えばLi、Na、K、Rb、Cs)、第2族の(アルカリ土類)金属、第12族の金属、希土類、ランタニド(例えばCe、SmまたはEuなど)およびアクチニドから選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、イットリウムおよびマグネシウムならびにそれらの組合せなどの材料を使用することもできる。Li含有有機金属化合物、LiFおよびLi2Oを有機層とカソード層の間に堆積して、動作電圧を下げることができる。カソード層(e)の材料の具体的な非限定例としては、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユーロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウムまたはサマリウムが挙げられる。
【0084】
カソード層(e)は、通常、化学または物理蒸着方法によって形成される。概して、カソード層は、アノード層(a)および随意の正孔注入層(b)に関して以上に説明したようにパターン化されることになる。デバイスがアレイ内にある場合は、カソード層(e)を実質的に平行なストリップにパターン化することができ、カソード層ストリップの長さは、実質的に同一方向に、アノード層ストリップの長さと実質的に垂直に伸びる。
【0085】
ピクセルと呼ばれる電子要素は、(アレイを平面図または上面図から見た場合にアノード層ストリップがカソード層ストリップと交差する)交差点に形成される。
【0086】
他の実施形態において、さらなる層が、有機電子デバイス内に存在し得る。例えば、正孔注入層(b)と活性層(c)の間の層は、層の正電荷輸送バンドギャップ整合を容易にし、または保護層として機能することなどができる。同様に、電子注入層(d)とカソード層(e)の間の追加的な層は、層間の負電荷輸送バンドギャップ整合を容易にし、または保護層として機能することなどができる。当該技術分野で既知の層を使用することができる。層の一部またはすべての表面処理を行って、電荷担体輸送効率を向上させることができる。高度なデバイス効率を有するデバイスを提供する目標と、製造コスト、製造の複雑さまたは可能性のある他の要因とのバランスをとることによって、構成層の各々の材料の選択を行うことができる。
【0087】
電荷輸送層(b)および(d)は、一般には、活性層(c)の材料と同じタイプである。より具体的には、活性層(c)が小分子化合物を有する場合は、電荷輸送層(b)および(d)は、そのいずれかまたは両方が存在する場合は、異なる小分子化合物を有することができる。活性層(c)がポリマーを有する場合は、電荷輸送層(b)および(d)は、いずれかまたは両方が存在する場合は、異なるポリマーを有することもできる。さらに、活性層(c)は、小分子化合物であってよく、その隣接する電荷輸送層のいずれかがポリマーであってよい。
【0088】
各機能層を2つ以上の層で構成することができる。例えば、カソード層は、第1族金属の層およびアルミニウムの層を含むことができる。第1族金属は、活性層(c)の近くに存在することができ、アルミニウムは、水などの環境的汚染物質から第1族金属を保護するのに役立つことができる。
【0089】
限定することを意図しないが、異なる層は、以下の厚さの範囲を有することができる。無機アノード層(a)は、通常、約500nm以下、例えば約50〜200nmであり;随意の正孔注入層(b)は、通常、約100nm以下、例えば50〜200nmであり;活性層(c)は、通常、約100nm以下、例えば約10〜80nmであり;随意の電子注入層(d)は、通常、約100nm以下、例えば約10〜80nmであり;カソード層(e)は、通常、約1000nm、例えば約30〜500nmである。アノード層(a)またはカソード層(e)は、少なくとも一部の光を透過させる場合は、当該層の厚さは、約100nmを超えてはならない。
【0090】
デバイスにおける電子−正孔再結合域の位置、およびデバイスの放射スペクトルは、各層の相対的な厚さに影響され得る。例えば、Alq3などの強力な発光化合物が電子輸送層(d)に使用されるときは、電子−正孔再結合域はAlq3層内に存在することができる。
【0091】
次いで、放射はAlq3の放射であり、所望の鋭い放射にならない。したがって、電子−輸送層の厚さは、電子−正孔再結合域が発光層(即ち活性層(c))内に存在するように選択されるべきである。層厚さの所望の比率は、使用される材料の厳密な性質に依存し得る。
【0092】
金属錯体で製造されたデバイスの効率を、デバイスにおける他の層を最適化することによってさらに向上させることができる。例えば、Ca、Ba、Mg/AgまたはLiF/Alなどのより効率的なカソードを使用することができる。動作電圧の低下または量子効率の向上をもたらす成形基板および正孔輸送材料も使用可能である。さらなる層を追加して、様々な層のエネルギーレベルを調整し、エレクトロルミネッセンスを促進することもできる。
【0093】
電子デバイスの用途に応じて、活性層(c)は、信号によって活性化される(発光ダイオードなどの)発光層、または放射エネルギーに応答し、印加電位を有する、もしくは有さない信号を生成する材料の層(ディテクタまたは電池など)であり得る。放射エネルギーに応答することができる電子デバイスの例は、光伝達セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、光起電セルから選択される。本明細書を読んだ後に、当業者は、具体的な用途に応じた材料を選択することができるであろう。
【0094】
エレクトロルミネッセンスデバイスを、例えば、携帯電話、テレビおよびパーソナルコンピュータ画面におけるフルカラーディスプレイに採用することができる。したがって、本発明は、また、本発明による有機発光ダイオードを含むコンピュータ、携帯電話、ラップトップ、pda類、テレビのディスプレイ、プリンタ、台所設備、広告掲示板、照明設備、列車およびバスにおける情報掲示板および行先掲示板におけるディスプレイなどの固定および移動ディスプレイに関する。
【0095】
OLEDにおいて、それぞれカソード(e)およびアノード(a)層から光活性層(c)に注入された電子および正孔は、活性層(c)に負および正に帯電したポラロンを形成する。これらのポラロンは、印加電場の影響を受けて移動して、反対に帯電した化学種を有するポラロン励起子を形成し、続いて放射再結合する。通常は約20ボルト未満であり、場合によっては約5ボルト以下であるアノードとカソードの十分な電位差をデバイスに印加することができる。実際の電位差は、より大きい電子部品におけるデバイスの用途に左右され得る。多くの実施形態において、電子デバイスの動作時は、アノード層(a)は正電圧に偏向し、カソード層(e)は実質的に接地電位、または0ボルトである。電池または他の動力源を回路の一部として電子デバイスに電気接続することができる。
【0096】
他の実施形態において、金属錯体化合物を層(b)または(d)における電荷輸送材料として使用することができる。
【0097】
化合物は、効果を発揮するために層(b)、(c)または(d)に使用されるときは、固体マトリックス希釈剤(例えばホスト電荷輸送材料)中に存在する必要がない。層の全質量に対して、金属錯体化合物が約1質量%を超え、金属錯体化合物が実質的に100%までの層を活性層(c)として使用することができる。さらなる材料が、錯体化合物とともに活性層(c)に存在し得る。例えば、放射線の色を変えるために蛍光染料が存在してもよい。
【0098】
希釈剤を添加することもできる。希釈剤は、ポリ(N−ビニルカルバゾール)およびポリシランなどのポリマー材料であり得る。それは、また、4,4’−N、N’−ジカルバゾールビフェニルまたは三級芳香族アミンであり得る。希釈剤が使用されるときは、錯体化合物は、一般には、層の全質量に対して通常は20質量%未満、好ましくは10質量%未満の少量で存在する。
【0099】
金属錯体を電子デバイス以外の用途で使用することができる。例えば、錯体を触媒またはインジケータ(例えば酸素感応インジケータまたはバイオアッセイにおけるリン光インジケータなど)として使用することができる。
【0100】
以下の実施例は、本発明の一定の特徴および利点を説明するものである。それらは、本発明を例示することを意図するものであって、限定するものではない。他に指定する場合を除いて、すべての百分率は、質量百分率であり、「終夜」は、14から16時間の時間を指し、室温は、20〜25℃の範囲の温度を指す。略語は、以下の通りである。
ITO インジウムドープ酸化錫
Ph フェニル
t− 三級(アルキル)基を指す。例えば、t−Buは三級ブチルを指す。
Bu ブチル
LC 液体クロマトグラフィー
MS 質量分光測定
CIE 国際照明/色度委員会
NMR 他に指定する場合を除いて1Hの核磁気共鳴
DMSO ジメチルスルホキシド
実施例
A)リガンド
実施例1:N−ベンゾチアゾール−2−イル−ベンズアミド
【化52】

【0101】
電磁撹拌機、温度計、滴下漏斗および窒素導入口を備えた100mlの三口フラスコのなかで、5.34g(35.6mmol)の2−アミノ−ベンゾチアゾールを50mlのピリジンに溶解させ、氷浴を使用して3℃まで冷却する。混合物内の温度を5度未満に維持しながら、5.0gのベンゾイルクロリド(35.6mmol)を20分以内で一滴ずつ添加する。撹拌をさらに15分間継続し、次いで混合物を500mlの水に注ぐ。白色懸濁物を1時間撹拌し、濾過し、白色残渣をそれぞれ100mlの水で3回洗浄し、50℃、30mbarで終夜乾燥させる。得られた7.5gの粗製物を、ヘキサン/酢酸エチル3:1(v/v)を使用したフラッシュクロマトグラフィーで精製し、5.8gの表題の生成物を得る。
1H−NMR(300MHz、CDCl3):8.02−7.96(m、2H)
7.86−7.78(m、1H)
7.55−7.48(m、1H)
7.44−7.36(m、2H)
7.30−7.24(m、3H)
実施例2〜6:対応するアミンおよび酸塩化物または無水物を使用して、実施例1と同様にして以下の第1表の化合物を製造する。
【0102】
第1表
【表1】

【0103】
実施例7:2,2,2−トリフルオロ−N−チアゾール−2−イル−アセトアミド
【化53】

【0104】
電磁撹拌機、温度計、滴下漏斗および窒素導入口を備えた250mlの三口フラスコに、100mlのテトラヒドロフラン中5.0g(49.9mmol)の2−アミノチアゾールおよび14.3g(99.85mmol)のトリフルオロ酢酸エチルアセテートを導入する。14.4g(124.8mmol)の−カリウム−t−ブチレートを50mlのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を、その内部温度が氷浴を使用して20〜25℃の範囲に維持されている撹拌褐色溶液に15分以内で一滴ずつ添加する。撹拌をさらに75分間継続し、次いで300mlの緩衝液を添加し、2NのHCl水溶液を添加することによってpH7に調整する。300mlの酢酸エチルで3回にわたって抽出を行い、混合した有機相を250mlの水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過する。溶媒を蒸発させた後、粗製物を2−プロパノールから再結晶させ、2.26gの表題の生成物を得る。
1H−NMR(300MHz、DMSO):7.62(d、1H)
7.29(d、1H)
実施例8〜10:対応するアミンおよびエステルを使用して、実施例7と同様にして以下の第2表の化合物を製造する。
【0105】
第2表
【表2】

【0106】
実施例11:3−[3−ベンゾオキサゾール−(2)−イリデン]−1,1,1−トリフルオロ−プロパン−2−オン
【化54】

【0107】
電磁撹拌機、温度計、滴下漏斗および窒素導入口を備えた500mlの三口フラスコに、120mlのテトラヒドロフラン中14.0g(125mmol)のカリウム−t−ブチレートを導入する。氷浴を使用して透明な溶液を3℃まで冷却する。6.65g(50mmol)の2−メチルベンゾキサゾールおよび14.2g(100mmol)のエチルトリフルオロアセテートを200mlのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を50分以内で徐々に添加する。さらに60分間にわたって3℃で撹拌を継続し、次いで氷浴を除去し、橙色の溶液を室温で終夜撹拌する。続いて、120mlの10%(w/w)クエン酸水溶液を一滴ずつ添加し、混合物を撹拌しながら1lの水に注ぐ。500mlの酢酸エチルで3回にわたって抽出を行い、混合した有機相を100mlのNaCl飽和水溶液で3回洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過する。溶媒を蒸発させた後、残渣を10mlの氷冷酢酸エチルで2回洗浄し、50℃、25mbarで終夜乾燥させて、7.9gの表題の生成物を得る。
1H−NMR(300MHz、DMSO−D6):7.62−7.57(m、1H)
7.54−7.49(m、1H)
7.39−7.26(m、2H)
5.73(s、1H)
実施例12〜14:対応するメチル化合物を使用して、実施例11と同様にして以下の第3表の化合物を製造する。
【0108】
第3表
【表3】

【0109】
実施例15および16:T.George,Synthesis 1974,346−347に記載されているN−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−ベンズアミジンの合成と同様にして、以下の第4表の化合物を製造する。
【0110】
第4表
【表4】

【0111】
実施例17:N−(2−ベンズチアゾール−2−イル−5−ジメチルアミノ−フェニル)−メタンスルホンアミド
【化55】

a)2−アミノチオフェノールおよび4−ジメチルアミノ−2−ニトロ−ベンズアルデヒドから出発して、DE−A−2333378の実施例1に記載されている手順と同様にして、(4−ベンズチアゾール−2−イル−3−ニトロ−フェニル)−ジメチルアミンを製造する。
b)電磁撹拌機、温度計、還流凝縮器および窒素導入口を備えた250mlの三口フラスコのなかで、15.25gの(78.8mmol)の無水塩化第二錫を40mlの37%塩酸に溶解させ、6.94g(23.2mmol)の(4−ベンズチアゾール−2−イル−3−ニトロ−フェニル)−ジメチルアミン(パートaの生成物)を撹拌しながら添加する。高濃度の赤色懸濁物を100℃まで加熱する。さらに5時間にわたって内部温度を60℃に維持する。冷却後、180mlの4N水酸化ナトリウム溶液を添加することによって反応混合物をpH14に調整し、撹拌をさらに30分間継続する。濾過後、残渣を50mlの水で3回洗浄し、50℃、25mbarで終夜乾燥させて、6.49gの粗製4−ベンズチアゾール−2−イル−N,N−ジメチル−ベンゼン−1,3−ジアミンを得て、それをさらに精製することなく次の工程に使用する。
c)電磁撹拌機、温度計および窒素導入口を備えた250mlの三口フラスコに、65mlのピリジン中6.20g(23.0mmol)の粗製4−ベンズチアゾール−2−イル−N,N−ジメチル−ベンゼン−1,3−ジアミン(パートbの生成物)を導入し、撹拌しながら3℃まで冷却する。3.19g(27.6mmol)のメタンスルホクロリドを、シリンジを使用して30分以内で一滴ずつ添加し、次いで氷浴を除去し、黒色溶液を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を700mlの氷水に一滴ずつ注ぎ込み、こうして得られた赤褐色の懸濁物を20分間撹拌し、濾過し、残渣を100mlの氷水で3回洗浄し、50℃、25mbarで終夜乾燥させる。7.50gの表題の生成物を得る。
1H−NMR(300MHz、DMSO−D6):11.89(s、1H)
8.04(d、1H)
7.84(d、1H)
7.70(d、1H)
7.52−7.34(m、2H)
6.85(d、1H)
6.59(dxd、1H)
3.17(s、3H)
3.03(s、6H)
実施例18および19:実施例17の化合物と同様にして、以下の第5表の化合物を製造する。
【0112】
第5表
【表5】

【0113】
B)中間錯体
WO2006/000544の実施例10に示されている方法に従って第6表の化合物を製造する。
【0114】
第6表
【表6】

【0115】
【表7】

【0116】
C)最終錯体
WO2006/000544の実施例11に示されている方法に従って第7表の化合物を製造する。
【0117】
第7表
【表8】

【0118】
【表9】

【0119】
実施例57:
【化56】

【0120】
実施例21で製造した447mg(0.186mmol)の化合物、98mg(0.372mMol)のトリフルオロメタンスルホン酸銀および15mlの2−ノナノンを、電磁撹拌機および還流凝縮器を備えた50mlの三口丸底フラスコに入れる。黄色懸濁物を排気し、窒素で3回パージする。反応混合物を2時間にわたって100℃の内部温度まで加熱し、次いでさらに1時間にわたって120℃に加熱し、次いで50℃まで冷却する。実施例1で製造した95mg(0.372mMol)の化合物を褐色懸濁物に添加し、得られた反応混合物を18時間にわたって120℃まで加熱する。次いで、褐色懸濁物を室温まで冷却し、濾過し、残渣を20mlのヘキサンで3回洗浄する。濾液を蒸発させ、ヘキサン/酢酸エチル=40:1を溶離剤として使用したフラッシュクロマトグラフィーで粗製物を生成する。60mgの所望の生成物を黄色粉末として単離する。トルエン中の光ルミネッセンススペクトルは、507および540nmで発光極大を示す。
【0121】
実施例57に従って第8表の化合物を製造する。
【0122】
第8表
【表10】

【0123】
さらなる実施例
実施例68:リガンドとして2−(4−tert.ブチルフェニル)ピリジンを使用して、WO2006/000544の実施例10と同様にして以下の中間錯体を製造する。
【0124】
【化57】

【0125】
実施例69〜71:第7表に記載した錯体と同様にして、第9表に記載する錯体を製造する。
【0126】
第9表:実施例68の中間体からの発光錯体
【表11】

【0127】
応用実施例
単一の有機発光層を有する有機発光デバイスを以下のようにして製造する。ガラス基板上に、75nmの厚さのITO膜をスパッタリングによって形成し、続いて酸素プラズマ処理(Thin Film Devices(TFD)、米国から商業的に入手可能)によってパターン化する。該ITO膜上に、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スルホン酸スチレン);Baytron(登録商標)P AI4083の商標名で入手可能)を使用した80nmの厚さの正孔注入層をスピンコーティングによって形成した後、200℃で(6分間)加熱する。上記実施例の1つで製造し、続く第9表に示した48mgの化合物、468mgのポリ(9−ビニルカルバゾール)(PVK)、265mgの2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert.ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)および220mgのN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(TPD、CAS−No.65181−78−4)を46.7mlのトルエンに溶解させた溶液をスピンコーティング(950rpm.;50秒)によって塗布して、80nmの厚さを得る。このようにして処理した基板を真空蒸着チャンバにセットした後、5nmのバリウムを、続いて70nmのアルミニウムを蒸着することによって2層電極構造体を形成する。以下の第10表は、100cd/sqmの輝度を発するようにデバイスを駆動させたときに色データ(CIE−データx、y)および効力、ならびに対応する電流密度および電圧を示す。
【0128】
第10表:100cd/mで駆動したデバイスの色(CIEx、y)および発光効力
【表12】

【0129】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IまたはI’
[LDH]nM[L]m (I)
[LTH](M[L]p2 (I’)
[式中、
nは、整数1または2であり、
mおよびpは、それぞれ整数1または2であり、
合計(n+m)は、2または3であり、
Mは、原子量が40を超える金属であり、
[L]mは、2つの一座リガンド、またはLDHもしくはLTH以外の1つの二座リガンドからなる発色誘発成分であり;
LDHは、式II
【化1】

の二座リガンドであり、
LTHは、2個の金属原子Mに結合する式II’
【化2】

のLDHの二量体であり、
Wは、O、S、NR4、CR56から選択され、
Xは、NまたはCR7であり、
Yは、O、S、NR8から選択され;
1、R2、R4、R5、R6は、独立して、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシルであり;あるいは
1、R2は、ハロゲン、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択される置換基を表していてもよく;
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは、水素であってもよく;あるいは
隣接する残基R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよい全部で5から7個の環原子の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環を完成させる有機架橋基を形成し;
7は、存在すれば、隣接する残基R3と一緒になって、それらが結合している炭素原子ととともに、場合により置換されていてもよい全部で5から7個の環原子の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環を完成させる有機架橋基を形成し;あるいはR7は、R4について示される意味を包含し、または水素、OR、SR、NRR’、COOR、CONRR’、CN、OCN、SCNであり、またはそれぞれ無置換または置換のC2−C5アルキニル、C3−C5シクロアルキル、ヘテロ−C2−C5シクロアルキルもしくはC3−C5シクロアルケニルであり;あるいは
3は、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシル、OR、SR、NRR’であり、またはそれぞれ無置換、またはCOR、COOR、CONRR’、CN、ハロゲンおよび/またはORによって単一または多置換されたC2−C5アルキニル、C3−C5シクロアルキル、ヘテロ−C2−C5シクロアルキルもしくはC3−C5シクロアルケニルであり;
R’3は、無置換または置換C1−C18アルキレン、無置換または置換C2−C18アルケニレン、無置換または置換C5−C10アリーレン、無置換または置換C2−C10ヘテロアリーレン、C2−C18ジアシレンであり;
8は、水素または置換基である]の化合物。
【請求項2】
Lは、独立して、2つの一座リガンドCyCおよび/またはCyNからなる成分
【化3】

であり、または2つの成分CyCおよびCyNもしくはCyCおよびCyCが化学結合によって相互結合した1つの二座リガンドであり、
CyCは、Mに結合する炭素原子を含む有機成分であり、CyNは、Mに結合する窒素原子を含む環式有機成分であり、
LDHは、式II
【化4】

の二座リガンドであり、
LTHは、2個の金属原子Mに結合する式II’
【化5】

のLDHの二量体であり、
Wは、O、S、NR4、CR56から選択され、
Xは、NまたはCR7であり、
Yは、O、S、NR8から選択され;
1、R2、R4、R5、R6は、独立して、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシルであり;あるいは
1、R2は、ハロゲン、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択される置換基を表していてもよく;
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは、水素であってもよく;あるいは
隣接する残基R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよい全部で5から7個の環原子の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環を完成させる有機架橋基を形成し;
7は、存在すれば、隣接する残基R3と一緒になって、それらが結合している炭素原子ととともに、場合により置換されていてもよい全部で5から7個の環原子の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環を完成させる有機架橋基を形成し;WがO、NR4、CR56であり、かつ/またはYが窒素原子を含む場合は、R7は、R4について示される意味をも包含し;あるいは
3は、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシルであり;
R’3は、無置換または置換C1−C18アルキレン、無置換または置換C2−C18アルケニレン、無置換または置換C5−C10アリーレン、無置換または置換C2−C10ヘテロアリーレン、C2−C18ジアシレンであり;
8は、水素または置換基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
7は、存在すれば、隣接する残基R3と一緒になって、それらが結合している炭素原子ととともに、場合により置換されていてもよい全部で5から7個の環原子の炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族環を完成させる有機架橋基を形成し;あるいはR7は、R4について示される意味を包含し、またはNRR’、COR、COOR、CONRR’、CNであり、またはそれぞれ無置換または置換のC2−C5アルキニル、C3−C5シクロアルキル、ヘテロ−C2−C5シクロアルキルもしくはC3−C5シクロアルケニルであり;あるいは
3は、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシルであり、またはそれぞれ無置換、またはCOR、COOR、CONRR’、CN、ハロゲンおよび/またはORによって単一または多置換されたC2−C5アルキニル、C3−C5シクロアルキル、ヘテロ−C2−C5シクロアルキルもしくはC3−C5シクロアルケニルであり;
R’3は、無置換または置換C1−C18アルキレン、無置換または置換C2−C18アルケニレン、無置換または置換C5−C10アリーレン、無置換または置換C2−C10ヘテロアリーレン、C2−C18ジアシレンであり;
8は、水素または置換基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C4−C10ヘテロアリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから選択され;
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C1−C12ハロアルキル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキルから、好ましくはC1−C6アルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから独立して選択され;
Rは、水素であってもよい、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
Lは、独立して、2つの成分CyCおよびCyNまたはCyCおよびCyCが化学結合によって相互結合されている二座リガンド
【化6】

であり、
LDHは、式IIの二座リガンドであり、LTHは、2つの金属原子Mに結合する式II’のLDHの二量体であり、
Wは、O、S、NR4、CR56から選択され、
Xは、NまたはCR7であり、
Yは、O、S、NR8から選択され;
1、R2は、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換C5−C10アリール、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシル、ハロゲン、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C1−C18アシルオキシ、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、CH=NR、CH=N−OH、CH=N−OR、COOR、CONHR、CONRR’、CONH−NHR、CONH−NRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SO2NH−NHR、SO2NH−NRR’、S(O)R、S(O)OR、S(O)NHR、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、PO(NHR)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’、CONROHから独立して選択され;
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C1−C6ハロアルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから独立して選択され;Rは、水素であってもよく;あるいは
隣接する残基R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよい炭素環式または複素環式非芳香族または好ましくは芳香族6員環を完成させる有機架橋基を形成し;
4、R5、R6は、独立して、H、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換C2−C8アルケニル、無置換または置換フェニルであり;
7は、存在すれば、隣接する残基R3と一緒になって、それらが結合している炭素原子ととともに、場合により置換されていてもよい芳香族6員環を完成させる有機架橋基を形成し;WがO、NR4、CR56であり、かつ/またはYが窒素原子を含む場合は、R7は、R4について示される意味をも包含し;あるいは
3は、H、無置換または置換C1−C18アルキル、無置換または置換C2−C18アルケニル、無置換または置換フェニル、無置換または置換C2−C10ヘテロアリール、C1−C18アシルであり;
R’3は、無置換または置換C1−C8アルキレン、無置換または置換C2−C8アルケニレン、無置換または置換フェニレン、無置換または置換C2−C10ヘテロアリーレン、C2−C8ジアシレンであり;
8は、水素、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C5−C10アリール、C4−C10ヘテロアリール、およびSO2R’、SO3R’、SO2NHR’、SO2NRR’、SO2NH−NHR’、SO2NH−NRR’、C1−C18アシル、C1−C8ハロアルキルなどの電子引抜置換基から選択される、請求項1に記載の式(I)または(I’)の化合物。
【請求項6】
Yは、OまたはNR8であり;
Mは、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Mo、Cr、Mn、Ta、V、Cu、Fe、Ru、Ni、Co、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Os、AgおよびAuから選択され;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は以上に定義した通りであり、置換される場合は、置換基は、ハロゲン、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキルチオ、C1−C4アルキルもしくはC1−C4アルコキシもしくはハロゲンで置換されたベンゾイル、C1−C4アルキルもしくはC1−C4アルコキシもしくはハロゲンで置換されたベンゾイルオキシ、フェニル、フェニルオキシ、C3−C12シクロアルキル、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR、OCOR、COOR、CONHR、CONRR’、SO2R、SO3R、SO2NHR、SO2NRR’、SiRR’R"、PORR’、PO(OR)R’、PO(OR)2、CN、NO2、NHR、NRR’、NH−NHR、NH−NRR’から選択され、
R、R’およびR"は、C1−C12アルキル、C1−C6ハロアルキル、フェニル、シクロフェニル、シクロヘキシルから独立して選択され;Rは、水素であってもよい、請求項5に記載の式(I)または(I’)の化合物。
【請求項7】
Lは、
a)式
【化7】

[式中、
6、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C1−C24アルキル、C2−C24アルケニル、C2−C24アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、シアノ、アシル、アルキルオキシカルボニル、ニトロ基またはハロゲン原子であり;あるいは
互いに隣接する2つの置換基R6、R7、R8およびR9は、一緒になって、基
【化8】

を形成し、R205、R206、R207およびR208は、互いに独立して、HまたはC1−C8アルキルであり、
環Aは、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール基であり;あるいは環Aは、環Aに結合したピリジル基と一緒になって環を形成してもよく;R6、R7、R8およびR9で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基およびアルキルオキシカルボニル基は、置換されていてもよい]のリガンド;
b)式
【化9】

[式中、Y’は、S、O、、NR200であり、例えば
【化10】

であり、R200は、水素、シアノ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、場合により置換されたフェニルなどのC6−C10アリール、−(CH2r−Ar(Arは、場合により置換されたC6−C10アリールである)、基−(CH2r’20(式中、r’は、1から5の整数であり、X20は、ハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−C4アルキル、ジ(C1−C4アルキル)アミノ、アミノまたはシアノである);基−(CH2rOC(O)(CH2r"CH3(式中、rは1または2であり、r"は0または1である);
【化11】

、−NH−Ph、−C(O)CH3、−CH2−O−(CH22−Si(CH33または
【化12】

である]のリガンド;
c)式
【化13】

または特に
【化14】

[式中、
1およびQ2は、互いに独立して、水素、C1−C24アルキルまたはC6−C18アリールであり、
21は、水素、ハロゲン、C1−C4アルコキシまたはC1−C4アルキルであり、
22は、水素、ハロゲン、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキルまたはC6−C10アリールであり、
23は、水素、ハロゲン、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキルまたはC6−C10アリールであり、
24は、水素、ハロゲン、C1−C4アルコキシまたはC1−C4アルキルであり、あるいは
22およびA23またはA23およびA24は、一緒になって、基
【化15】

を形成し、R205、R206、R207およびR208は、互いに独立して、H、ハロゲン、C1−C12アルコキシまたはC1−C12アルキルであり、
42は、H、ハロゲン、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシまたはC1−C4パーフルオロアルキルであり、
43は、H、ハロゲン、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C1−C4パーフルオロアルキル、C7−C15アラルキルまたはC6−C10アリールであり、
44は、H、ハロゲン、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、C6−C10アリール、C7−C15アラルキルまたはC1−C4パーフルオロアルキルであり、
45は、H、ハロゲン、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシまたはC1−C4パーフルオロアルキルである]のリガンド;
d)式
【化16】

[式中、
nは、0、1または2、特に1であり;
12、A14、A16、A21、A22、A23およびA24は、互いに独立して、水素、CN、ハロゲン、C1−C24アルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、C1−C24パーフルオロアルキル、Gで場合により置換されたC6−C18アリール;−NR2526、−CONR2526もしくは−COOR27、またはGで場合により置換されたC2−C10ヘテロアリール;またはそれぞれGで場合により置換されたC5−C12シクロアルキル、C5−C12シクロアルコキシ、C5−C12シクロアルキルチオであり;あるいは近接原子と結合する2つの隣接する基A12、A14;またはA14、A17;またはA17、A16;またはA21、A22;またはA22、A23;またはA23、A24;またはA18、A22;またはA23、A19は、ともに、式
【化17】

の基であり、A41、A42、A43、A44、A45、A46およびA47は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1−C24アルキル、C1−C24パーフルオロアルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、Gで場合により置換されていてもよいC6−C18アリール;−NR2526、−CONR2526、−COOR27、C2−C10ヘテロアリールであり;
11、A13、A15、A’21、A’22、A’23およびA’24の各々は、独立して、水素またはC1−C24アルキルであり;あるいは
同一の炭素原子と結合する2つの隣接する基A11、A12;A13、A14;A15、A16;A’21、A21;A’22、A22;A’23、A23;またはA’24、A24は、ともに、=Oまたは=NR25または=N−OR25または=N−OHであり;
1は、O、SまたはNR25であり、
25およびR26は、互いに独立して、C6−C18アリール、C7−C18アラルキルまたはC1−C24アルキルであり、R27は、C1−C24アルキル、C6−C18アリールまたはC7−C18アラルキルであり;
1、Y2およびY3は、互いに独立して、式
【化18】

の基であり、
41は、M2に対する結合であり、
71は、M2に対する結合であり、
42は、水素、またはC1−C24アルキル、CN、ハロゲンで置換されたC1−C24アルキル、C6−C18−アリール、C1−C12アルキルで置換されたC6−C18−アリール、またはC1−C8アルコキシであり、
43は、水素、CN、ハロゲン、Fで置換されたC1−C24アルキル、C6−C18アリール、C1−C12アルキルで置換されたC6−C18アリール、またはC1−C8アルコキシ、−CONR2526、−COOR27
【化19】

であり、
2は、−S−、−O−または−NR25’−であり、R25’は、C1−C24アルキルまたはC6−C10アリールであり、
110は、H、CN、C1−C24アルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526または−COOR27であり、あるいは
42およびR43は、式
【化20】

の基であり、A41、A42、A43、A44、A45、A46およびA47は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1−C24アルキル、C1−C24パーフルオロアルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、Gで場合により置換されていてもよいC6−C18アリール、−NR2526、−CONR2526もしくは−COOR27またはC2−C10ヘテロアリールであり;
44は、水素、CNもしくはC1−C24アルキル、Fで置換されたC1−C24アルキル、ハロゲン、C6−C18−アリール、C1−C12アルキルで置換されたC6−C18−アリール、またはC1−C8アルコキシであり、
45は、水素、CNもしくはC1−C24アルキル、Fで置換されたC1−C24アルキル、ハロゲン、C6−C18−アリール、C1−C12アルキルで置換されたC6−C18−アリール、またはC1−C8アルコキシであり、
11’、A12’、A13’およびA14’は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1−C24アルキル、C1−C24アルコキシ、C1−C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526または−COOR27であり、
68およびR69は、互いに独立して、1または2個の酸素原子で遮断され得るC1−C24アルキル、特にC4−C12アルキルであり、
70、R72、R73、R74、R75、R76、R90、R91、R92およびR93は、互いに独立して、H、ハロゲン、CN、C1−C24アルキル、C6−C10アリール、C1−C24アルコキシ、
1−C24アルキルチオ、−NR2526、−CONR2526または−COOR27であり、R25、R26およびR27は、以上に定義した通りであり、Gは、C1−C18アルキル、−OR305、−SR305、−NR305306、−CONR305306または−CNであり、R305およびR306は、互いに独立して、C6−C18アリール;C1−C18アルキルで置換されたC6−C18アリール、またはC1−C18アルコキシ;C1−C18アルキル、または−O−で遮断されたC1−C18アルキル;あるいはR305およびR306は、一緒になって、
【化21】

などの5または6員環を形成する]のリガンド;
e)式
【化22】

[式中、
6は、水素、ハロゲン、ニトロ、C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキル、C1−C4アルコキシ、または場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニルであり、
7は、水素、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
8は、水素、C1−C4アルキル、C1−C8アルコキル、C1−C4パーフルオロアルキル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
9は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4パーフルオロアルキル、C1−C4アルコキシ、または場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニルであり、
10は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4パーフルオロアルキル、−O−C1−C4パーフルオロアルキル、トリ(C1−C4アルキル)シラニル、特にトリ(メチル)シラニル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
11は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4パーフルオロアルキル、−O−C1−C4パーフルオロアルキル、トリ(C1−C4アルキル)シラニル、特にトリ(メチル)シラニル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
12は、水素、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4パーフルオロアルキル、C1−C4アルコキル、−O−C1−C4パーフルオロアルキル、−S−C1−C4アルキル、−(CH2r20(式中、rは1または2であり、X20は、ハロゲン、)の基;ヒドロキシ、シアノ、−O−C1−C4アルキル、ジ(C1−C4アルキル)アミノ、−CO221(式中、X21はHまたはC1−C4アルキルである);−CH=CHCO222(式中、X22はC1−C4アルキルである);−CH(O)、−SO223、−SOX23、−NC(O)X23、−NSO223、−NHX23、−N(X232(X23はC1−C4アルキルである);トリ(C1−C4アルキル)シロキサニル、場合により置換された−O−C6−C10アリール、特にフェノキシ、シクロヘキシル、場合により置換されたC6−C10アリール、特にフェニル、または場合により置換されたC6−C10パーフルオロアルキル、特にC65であり、
13は、水素、ニトロ、シアノ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4パーフルオロアルキル、−O−C1−C4パーフルオロアルキル、トリ(C1−C4アルキル)シラニル、または場合により置換されたC6−C10アリールである]のリガンドから選択される、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
nは整数1であり、
Mは、Co、Fe、または特にIr、Rhであり、mは2であり、
Mは、Ni、Rh、Ru、または特にPd、Ptであり、mは1であり、
1、R2は、H、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換フェニル、ハロゲン、C1−C8アルコキシ、COR、COOR、SO2R、CN、NHR、NRR’から独立して選択され;あるいは
隣接する残基R1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されていてもよい環形フェニル環を完成させる有機架橋基を形成し、
5、R6は、独立して、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換C2−C8アルケニル、無置換または置換フェニルであり;
4は、R5について定義した通りであり、または水素であり;
7は、存在すれば、隣接する残基R3と一緒になって、それらが結合している炭素原子ととともに、場合により置換されていてもよいフェニル環を完成させる有機架橋基を形成し;WがO、NR4、CR56であり、かつ/またはYが窒素原子を含む場合は、R7は、水素、C1−C4アルキルをも包含し;あるいは
3は、無置換または置換C1−C8アルキル、無置換または置換C2−C8アルケニル、無置換または置換フェニルであり;
任意の置換基は、存在すれば、ハロゲン、C1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、COR、OCOR、COOR、SO2R、CN、NHR、NRR’から選択され;
R、R’およびR"は、C1−C6アルキルから独立して選択され、Rは、水素であってもよく;
8は、H、SO2−R11、CO−R11であり、R11は、C1−C12アルキル、C1−C12ハロアルキル、フェニル、ハロゲンで置換されたフェニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項9】
式VまたはVI
【化23】

[式中、
1、R2、R3、WおよびYは、式IまたはI’の金属錯体について請求項1で定義した通りであり;
X’はNであり、WがNR4、CR56であり、かつ/またはYが窒素原子を含む場合は、X’は、CR17を表してもよく;
Rは、C1−C12アルキル、フェニル、またはC1−C4アルコキシもしくはハロゲンで置換された前記フェニルもしくはC1−C12アルキルであり;
13、R14、R15、R16の少なくとも1つは、好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシ、OR、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、NR"R’、NH−NR"R’から選択される電子押込み置換基であり;
特に、R13、R14、R15、R16の1つは、ヒドロキシ、OR、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルチオ、NR"R’から選択される電子押込み置換基であり;
13、R14、R15、R16の残りは、水素、もしくは以上にさらに定義した置換基、例えば、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アシル、C5−C10アリール、C3−C12シクロアルキル、C5−C10アリールオキシ、C3−C12シクロアルキルオキシから、または残基COR’、CH=NR’、CH=N−OH、CH=N−OR’、COOR’、CONHR’、CONRR’、CONH−NHR’、CONH−NRR’、SO2R’、SO3R’、SO2NHR’、SO2NRR’、SO2NH−NHR’、SO2NH−NRR’、S(O)R’、S(O)OR’、S(O)NHR’、S(O)NRR’、S(O)NH−NHR’、S(O)NH−NRR’、SiRR’R"、POR"R’、PO(OR")R’、PO(OR’)2、PO(NHR’)2、PO(NRR’)2、CN、NO2、NHR’、NRR’、NH−NHR’、NH−NRR’、CONR’OHから独立して選択されてもよく、特に水素またはアルキルであり;
R’およびR"は、独立して、Rについて定義した通りであり、または水素であり;
17は、H、C1−C6アルキルであり;
20は、SO3R’、SO2NHR’、SO2NRR’、SO2NH−NHR’、SO2NH−NRR’、C1−C18アシル、C1−C8ハロアルキル、特にSO2RまたはC1−C4パーフルオロアルキルなどのC1−C4パーハロアルキルから選択される電子引抜残基である]の化合物またはそれらの互変異性体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の化合物を含む発光層を含む有機電子デバイス、特に有機発光ダイオード。
【請求項11】
ポリビニル−カルバゾール、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンジアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、4,4’−N,N−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、N,N−ジカルバゾイル−1,4−ジメタン−ベンゼン(DCB)、ポルフィリン化合物、およびそれらの組合せから選択される正孔輸送層をさらに含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
電子デバイスにおける、特に、有機発光ダイオード(OLED)における活性部品としての、酸素感応インジケータとしての、バイオアッセイにおけるリン光インジケータとしての、または触媒としてとしての、請求項1から9のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
請求項10または11に記載の有機発光ダイオードを含むコンピュータ、携帯電話、ラップトップ、pda類、テレビのディスプレイ、プリンタ、台所設備、広告掲示板、照明設備、列車およびバスにおける情報掲示板および行先掲示板におけるディスプレイなどの固定および移動ディスプレイから選択されるデバイス。

【公表番号】特表2010−518136(P2010−518136A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549393(P2009−549393)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051308
【国際公開番号】WO2008/098851
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】