説明

エレベータの乗場戸敷居融雪装置

【課題】エレベータ乗場戸の敷居が雪で詰まるような状況のときに、自動的にその雪を融かして常に乗場戸を円滑に開閉動作させることができるエレベータの乗場戸敷居融雪装置を提供する
【解決手段】エレベータ乗場18の乗場戸21の開閉動作をガイドする敷居22を備え、その敷居22に温度検出手段としての温度センサ24及び加熱手段としてのヒータ25が設けられている。温度センサ24が降雪の可能な所定温度以下の温度を検出したときに、その情報に基づいて制御盤の制御によりヒータ25が駆動され、敷居22が加熱される。したがって、エレベータ乗場18に雪が吹き込み、敷居22の上に雪が積もろうとしたときに、その雪がヒータ25による熱で融かされ、また敷居22に雪が詰まることもない。このため、常に乗場戸21を円滑に動作させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの乗場戸の敷居が雪で詰まるような事態を防止して常に乗場戸を円滑に動作させる乗場戸敷居融雪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンション、イベントホール、駅のプラットホームなどの建築物に設置されるエレベータにおいては、そのエレベータ乗場が屋外に面している場合がある。このようなエレベータ乗場にあっては、冬期の降雪時に雪が吹き込み、その雪がエレベータ乗場戸の敷居に入り込んで詰まり、乗場戸の開閉動作に支障が生じてしまうことがある。
【0003】
また、雪が吹き込まない建築物であっても、エレベータ利用者が屋外から入り込んでエレベータを利用する際に、その利用者の靴や傘を介して雪が敷居に付着してしまうこともある。
そこで、特開2002−332173公報では、降雪時の積雪を検出する積雪検出装置を屋外に設け、この積雪検出装置により所定以上の積雪が検出されたときに、ディスプレイやスピーカーでエレベータの利用者に対し、雪による敷居の詰りについての注意を促すようにした技術が提案されている。
【特許文献1】特開2002−332173公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開2002−332173公報のものでは、降雪時に単にエレベータの利用者に対して雪の詰りに関する注意を促すだけであり、利用者がその注意を怠ったり無視したりしたときには、乗場戸をガイドする敷居に雪が詰り、乗場戸の開閉動作に支障が生じてしまうことになる。
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、乗場戸の敷居が雪で詰まるような状況のときに、自動的にその詰りを防止して常に乗場戸を円滑に開閉動作させることができるエレベータの乗場戸敷居融雪装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、エレベータ乗場の乗場戸の開閉動作をガイドする敷居と、前記敷居の温度を検出する温度検出手段と、前記敷居を加熱することが可能な加熱手段と、前記温度検出手段が検出する検出温度が所定温度以下のときに前記加熱手段を駆動して前記敷居を加熱する制御手段とを具備することを特徴としている。
【0006】
請求項2の発明は、前記敷居の温度の情報及び加熱の情報がエレベータの運行を監視する監視センタに送られることを特徴としている。
【0007】
請求項3の発明は、前記加熱手段がヒータであって、前記敷居の長手方向に沿って設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、乗場戸の敷居が雪で詰まるような状況のときに、自動的にその雪を融かして常に乗場戸を円滑に開閉動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1には、エレベータの全体の構成を示してあり、建築物の昇降路1の上部には機械室2が設けられ、この機械室2内に巻上機3が設置されている。巻上機3はトラクションシーブ4を備え、このトラクションシーブ4にメインロープ5が巻き掛けられている。メインロープ5の両端側は昇降路1内に引き落とされ、その一方側の端末に乗りかご6が、他端側の端末につり合い重り7がそれぞれ連結され、これら乗りかご6及びつり合い重り7が昇降路1内に吊り下げられている。そして巻上機3が起動し、トラクションシーブ4が回転してメインロープ5が走行することにより乗りかご6とつり合い重り7が昇降路1内で互いに逆方向に昇降移動する。
【0011】
乗りかご6の前面にはかご戸装置9が設けられ、このかご戸装置9により乗りかご6の前面の出入口(図示せず)が開閉される。機械室2にはエレベータを制御する制御手段としての制御盤10が設けられ、この制御盤10により前記巻上機3が制御されて乗りかご6が昇降移動する。制御盤10には図3に示すように遠隔監視装置14及び監視センタ15が接続され、制御盤10によるエレベータの運転制御状況の信号が遠隔監視装置14を介して監視センタ15に送られ、その信号に基づいて監視センタ15で運転制御状況が監視される。
【0012】
建築物の各階には屋外に面したエレベータ乗場18が設けられている。各エレベータ乗場18の壁面には昇降路1に通じる出入口19が形成され、この出入口19に乗場戸装置20が設けられている。乗場戸装置20は、左右に移動して出入口19を開閉する乗場戸21を備えている。出入口19には乗場戸21の移動をガイドする敷居22が設けられている。この敷居22は例えばアルミニウムやステンレスなどの金属で形成され、図2に示すように上面にガイド溝22aを有し、このガイド溝22a内に乗場戸21の下部が摺動自在に嵌合し、このガイド溝22aに沿って乗場戸21が左右に移動する。
【0013】
エレベータ乗場18の出入口19は通常時には乗場戸21により閉合され、そのエレベータ乗場18に乗りかご6が着床して停止し、かご戸装置9が開放動作したときに、そのかご戸装置9に連動して乗場戸装置20の乗場戸21が開放動作し、これにより乗りかご6とエレベータ乗場18との間での乗客の乗り降りが可能となる。乗客の乗り降りが終了した後には、かご戸装置9及び乗場戸装置20が閉合し、乗りかご6が次に目的階に向って移動する。
【0014】
各階のエレベータ乗場18に設けられた敷居22には図2に示すように、敷居22の温度を検出する温度センサ24及び敷居22を加熱することが可能な熱源としてのヒータ25が設けられている。各ヒータ25は、例えば敷居22の長手方向に沿って延びるようにその敷居22のガイド溝22aの底部側下面に取り付けられている。各温度センサ24は制御盤10に接続され、各ヒータ25は駆動回路26を介して制御盤10に接続されている。
【0015】
各エレベータ乗場18における敷居22の温度は温度センサ24により逐次検出され、その情報が制御盤10に送られる。そして温度センサ24が検出する温度情報が降雪の予想される例えば0℃以下となったときには、その情報に基づいて制御盤10による制御で駆動回路26を介してヒータ25が駆動され、このヒータ25で敷居22が加熱される。このヒータ25は敷居22を融雪が可能な例えば20℃程度の温度に保つように制御される。
【0016】
したがって、実際に降雪があり、エレベータ乗場18に雪が吹き込み、敷居22の上に雪が積もろうとしたときに、その雪がヒータ25による熱で融かされる。このため敷居22の上に雪が積もったり、敷居22のガイド溝22a内に雪が詰まったりするようなことがない。よって、乗場戸21の開閉動作が雪の詰りで阻害されるようなことがなく、雪の吹き込みによる影響を何ら受けることなく、常に乗場戸21を円滑に動作させることができる。
【0017】
また、エレベータ乗場18に直接雪が吹き込むような場合のほかに、乗客の靴や傘に付着した雪が敷居22に付着したりガイド溝22a内に詰まったりしたときにおいても、その雪がヒータ25により直ちに融かされ、このため乗場戸21の開閉動作に支障が生じることがなく、常に乗場戸21を円滑に動作させることができる。
【0018】
このような敷居22に対する融雪管理情報は、制御盤10を介して監視センタ15に逐次送られる。したがってその管理状況を監視センタ15において常時把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態に係るエレベータの全体の構成を示す説明図。
【図2】そのエレベータの要部の構造を拡大して示す断面図。
【図3】そのエレベータの制御回路のブロック図。
【符号の説明】
【0020】
1…昇降路
2…機械室
3…巻上機
4…トラクションシーブ
5…メインロープ
6…乗りかご
9…かご戸装置
10…制御盤
14…遠隔監視装置
15…監視センタ
18…エレベータ乗場
19…出入口
20…乗場戸装置
21…乗場戸
22…敷居
22a…ガイド溝
24…温度センサ
25…ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ乗場の乗場戸の開閉動作をガイドする敷居と、
前記敷居の温度を検出する温度検出手段と、
前記敷居を加熱することが可能な加熱手段と、
前記温度検出手段が検出する検出温度が所定温度以下のときに前記加熱手段を駆動して前記敷居を加熱する制御手段と、
を具備することを特徴とするエレベータの乗場戸敷居融雪装置。
【請求項2】
前記敷居の温度の情報及び加熱の情報がエレベータの運行を監視する監視センタに送られることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの乗場戸敷居融雪装置。
【請求項3】
前記加熱手段はヒータであって、前記敷居の長手方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの乗場戸敷居融雪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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