説明

エレベータの制御装置

【課題】エレベータのかご内荷重が最大積載量に対して余裕がある場合でも、乗り込みスペースが無いと判断した場合は途中の乗り場呼びを通過させることにより、運転効率の向上が図れるエレベータの制御装置を提供する。
【解決手段】かご内乗客が使用する物体3に発信機4を設け、かご1内の発信機4の個数を検出するかご内乗車個数検出手段5と、乗車待ち客が使用する物体7に発信機8を設け、乗り場6の発信機8の個数を検出する乗車待ち個数検出手段9と、かご1内の発信機4の個数と乗り場6の発信機8の個数と、かご1に乗車可能な物体7の個数を比較する個数比較手段ステップ11,21,22,31,32,41,42と、比較結果により乗車不可と判断した場合に満員通過運転を行う満員検出手段ステップ23を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の装置は、かご内を複数区画に分割し、区画ごとに物体を検出する装置を設けることにより乗りかご内の乗客及び乗客の所持品による占有面積を検出する構成となっていた。
【0003】
また、複数区画に設置された検出装置に予め設定値を設定しておき、乗りかごにそれ以上人を乗せるスペースが無いと判断した場合、途中の乗り場呼びを通過させていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平06−144718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、かご内を複数区画に分割し、区画ごとに物体を検出する装置を設けることにより乗りかごにそれ以上人を乗せるスペースが無いと判断した場合、途中の乗り場呼びを通過させて無駄な運転停止を無くし、エレベータによる交通を円滑にするものであった。しかし前記のような内容では各区画に物体を検出する装置を設置する必要があり、かご内という狭く限られた範囲にさらに細かい区画を設定するには、検出装置の設置スペースの問題や隣り合った検出装置同士が誤検出せぬような手段を講じる必要がある。また検出装置をかご床下に設置した場合は、調整作業に時間を要してしまう。
【0005】
本発明の目的は、必要最低限の追加装置にてかご内荷重が最大積載量に対して余裕がある場合でも、乗り込みスペースが無いと判断した場合は途中の乗り場呼びを通過させることにより、運転効率の向上が図れるエレベータの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、かご内乗客が使用する物体に発信機を設け、かご内の発信機の個数を検出するかご内乗車個数検出手段と、乗車待ち客が使用する物体に発信機を設け、乗り場の発信機の個数を検出する乗車待ち個数検出手段と、かご内の発信機の個数と乗り場の発信機の個数と、かごに乗車可能な物体の個数を比較する個数比較手段と、比較結果により乗車不可と判断した場合に満員通過運転を行う満員検出手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、必要最低限の追加装置にてかご内荷重が最大積載量に対して余裕がある場合でも、乗り込みスペースが無いと判断した場合は途中の乗り場呼びを通過させることにより、運転効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図1、図2に基づき説明する。またエレベータの乗客が使用する物体はショッピングカートで、かごにはショッピングカートが3台まで積載できるものとし、また平常運転時はかご内荷重が最大積載荷重の80%を検出した場合に満員通過運転を行うものとして説明する。
【0009】
図1は本発明のエレベータ制御装置の一実施形態を示すシステム構成図である。
【0010】
図1において1は乗りかご、2は乗りかご1の床下に設置された秤装置、3はエレベータの乗客が使用するかご内ショッピングカート、4はかご内ショッピングカート3に取り付けた発信機、5は発信機4からの信号を受信するかご内受信機である。6は乗り場、7はエレベータの乗車待ち客が使用する乗車待ちショッピングカート、8は乗車待ちショッピングカート7に取り付けた発信機、9は発信機8からの信号を受信する乗り場受信機である。
【0011】
図2は本発明のエレベータ制御装置の一実施形態を示すフローチャートである。
【0012】
まずステップ11でかご内のカートの有無を判定し、カートが無ければステップ12で平常運転を行う。すなわち満員通過運転を最大積載荷重の80%を検出した場合に行う。カートがあればステップ21へ進み、かご内のカートが1台であるかを判定する。1台の時はステップ22へ進み、乗り場のカートが2台以下であるかを判定する。2台以下の時はステップ12で平常運転を行う。3台以上の時はステップ23へ進み、満員通過運転を行う。かご内のカートが1台でない場合はステップ31へ進み、かご内のカートが2台であるかを判定する。2台の時はステップ32へ進み、乗り場のカートが1台以下であるかを判定する。1台以下の時はステップ12で平常運転を行う。2台以上の時はステップ23ヘ進み、満員通過運転を行う。かご内のカートが2台でない場合はステップ41へ進み、かご内のカートは3台となる。この時すでにかご内はカートで満員であるため、ステップ42へ進み、乗り場にカートがないかを判定する。ない場合はステップ12で平常運転を行う。1台以上ある時はステップ23へ進み、満員通過運転を行う。次にステップ24で目的階に到着後、ステップ25にてカートがかごから降りたかを判定し、降りた場合はステップ11へ戻り、再度かご内のカートの有無を判定する。降りなかった場合はステップ26へ進み、満員通過運転を継続する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、かご内荷重が最大積載量に対して余裕がある場合でも、乗り込みスペースが無いと判断した場合は途中の乗り場呼びを通過させることにより、運転効率の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0015】
1 乗りかご
2 秤装置
3 かご内ショッピングカート
4 かご内ショッピングカートの発信機
5 かご内受信機
6 乗り場
7 乗車待ちショッピングカート
8 乗車待ちショッピングカートの発信機
9 乗り場受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご内の積載量を検出して、満員通過運転を行うエレベータの制御装置において、かご内乗客が使用する物体に発信機を設け、かご内の発信機の個数を検出するかご内乗車個数検出手段と、乗車待ち客が使用する物体に発信機を設け、乗り場の発信機の個数を検出する乗車待ち個数検出手段と、かご内の発信機の個数と乗り場の発信機の個数と、かごに乗車可能な物体の個数を比較する個数比較手段と、比較結果により乗車不可と判断した場合に満員通過運転を行う満員検出手段を備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−143405(P2006−143405A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336001(P2004−336001)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】