説明

エンコーダの信号処理回路

【課題】A相とB相の正弦波信号に補正しきれない誤差が生じても、容易な演算処理で誤差の影響を低減できる位置検出精度が高いエンコーダの信号処理回路を提供する。
【解決手段】合成角度変換手段2は、正弦波信号A0、正弦波信号B0、反転信号A1および反転信号B1の交点から合成角度信号AB0を生成し、分配係数変換手段4は、合成角度信号AB0から分配係数KA1と分配係数KB1を求める。それぞれの分配係数KA1(分配係数KB1)と、正弦波信号A0(正弦波信号B0)を逆三角関数変換によって得られる角度データA2(角度データB2)を乗算する。乗算データA3と乗算データB3を合成手段6にそれぞれ入力し、平均処理することで位置データθ1を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交する2相(A相とB相)の正弦波信号を内挿処理により分解能を高めるエンコーダの位置検出方式において、2相の正弦波信号から位置データを生成する信号処理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
回転型(またはリニア型)のエンコーダの位置検出は、一般的に発光素子と受光素子と、その間に格子状のスリットを形成した回転体(または移動体)から形成され、格子状のスリット間隔によって分解能が決定される。
【0003】
従って分解能を上げるために、スリット間隔を小さくすることが行われてきたが、加工精度や光の回折現象が原因でこの手法で分解能を上げるのには限界があった。
【0004】
近年、回転体(または移動体)のスリット間の信号と同期した90度位相差のあるA,B相の正弦波のアナログ信号を生成し、そのアナログ信号を内挿処理した信号と上記のスリットによって得られる信号を合成して分解能を上げる方法が一般的に行われている。
【0005】
しかし、A相とB相の正弦波信号をADコンバータによりディジタルデータに変換する際に、正弦波信号の上下頂点付近では角度に対する電圧レベルの変化量が小さく、ディジタル化による丸め誤差が大きくなり、位置検出精度が悪化するため、位置データの精度低下を抑制するため、例えば、以下のような提案がされている。
【0006】
図11は、A相とB相の正弦波信号から直線的な傾斜部分(上下頂点以外の部分)を利用して位置データを得る手法であり、A相とB相の角度データをA相とB相の交点で切り替えて位置データを求める構成である(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、図12は、A=COSθとB=SINθの2つの正弦波信号から、それぞれの角度データへの配分係数を、(B2/(A2+B2))COS−1A+(A2/(A2+B2))SIN−1Bから演算して、位置データを求める手法である(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−005402号公報
【特許文献2】特開2003−021540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の手法では、A相とB相の正弦波信号に補正しきれない振幅誤差や位相誤差や正弦波信号に重畳している高調波成分の影響により、A相とB相の角度データの切り替え時に連続性がなくなり、切り替え箇所で歪が生じてしまうという課題があった。
【0009】
一方、特許文献2の手法では、2つの角度データCOS−1AとSIN−1Bの係数はCOSθとSINθの両方を用いて演算するため、各信号の頂点付近では信号の精度が悪い情報が含まれている。従って、この係数によって演算された位置データの精度も悪化してしまうという課題があった。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、A相とB相の正弦波信号に補正しきれない振幅誤差や位相誤差が生じても、簡単な演算処理で位置検出精度が高いエンコーダの信号処理回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため請求項1に記載のエンコーダの信号処理回路は、直交するAB相の正弦波信号A0と正弦波信号B0をそれぞれ逆三角関数変換し角度信号に変換して位置を検出するエンコーダの内挿処理方式において、前記正弦波信号A0と正弦波信号B0を別々に入力し、逆三角関数変換によって正弦波信号からそれぞれ角度信号A2と角度信号B2に変換する角度変換手段と、前記正弦波信号A0と正弦波信号B0を入力して符号を反転した反転信号A1と反転信号B1を生成する反転手段と、前記正弦波信号A0と正弦波信号B0と反転信号A1および反転信号B1を入力し、それぞれの交点を検出し、交点から前記信号の絶対値の小さい信号を選択して連続線とし、連続線の値から角度情報を得る合成角度信号AB0を生成する合成角度検出手段と、前記合成角度信号AB0を入力し、前記角度信号A2と角度信号B2に乗算する分配係数KA1と分配係数KB1を演算しそれぞれ出力する分配係数変換手段と、前記角度信号A2と分配係数KA1を、前記角度信号B2と分配係数KB1をそれぞれ入力し、乗算データA3および乗算データB3をそれぞれ出力する乗算器と、前記乗算データA3と乗算データB3を入力し、平均処理し位置データθ1を生成する合成手段を備え、前記分配係数変換手段は、前記合成角度信号AB0から得られる全ての角度値に対し、前記分配係数KA1と分配係数KB1の和が等しくなるように分配する。
【0012】
また、請求項2に記載のエンコーダの信号処理回路は、前記分配係数KA1は、前記合成角度信号AB0からπ/2ラジアン毎に最大と最小を繰り返えす値とし、前記分配係数KA1と分配係数KB1は、それぞれの最大と最小の領域で前記合成角度信号AB0の角度演算分解能に対し2倍以上の幅を有する。
【0013】
また、請求項3に記載のエンコーダの信号処理回路は、前記分配係数KA1は、最大値と最小値の間の角度を直線で結び得られる。
【0014】
また、請求項4に記載のエンコーダの信号処理回路は、前記分配係数KA1の1/2の中間値に前記合成角度信号AB0の角度演算分解能に対し2倍以上の幅を有する。
【0015】
また、請求項5に記載のエンコーダの信号処理回路は、前記分配係数KA1は、最大値と中間値および中間値と最小値の間の角度を直線で結び得られる。
【0016】
さらに、請求項6に記載のエンコーダの信号処理回路は、前記合成角度信号AB0を入力し、上限値と下限値によって信号の大きさを制限した合成角度信号AB1を前記分配係数変換手段に出力する上下限リミット手段をさらに備える。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載のエンコーダの信号処理回路によれば、検出精度の高い合成角度信号AB0を使用して分配係数を求めるため、位置データへの変換精度を高めることができる。
【0018】
また、請求項2に記載のエンコーダの信号処理回路によれば、分配係数は最大値と最小値に合成角度信号AB0の角度分解能に対して2倍以上の幅を有するように設定するため、位相誤差や振幅誤差、正弦波信号の歪がある場合にも位置データへの変換精度の低下を抑制することができる。
【0019】
また、請求項3に記載のエンコーダの信号処理回路によれば、分配係数は最大値と最小値の間の角度を直線で結び設定するため、合成して得られた位置データは滑らかに変化し、不連続点の発生を抑制することができる。
【0020】
また、請求項4に記載のエンコーダの信号処理回路によれば、分配係数の1/2の中間値に合成角度信号AB0の角度分解能に対して2倍以上の幅を有するように設定するため、更に位相誤差や振幅誤差、正弦波信号の歪がある場合にも位置データへの変換精度の低下を抑制することができる。
【0021】
また、請求項5に記載のエンコーダの信号処理回路によれば、最大値と中間値、中間値と最小値の間の角度を直線で結び設定するため、更に合成して得られた位置データは滑らかに変化し、不連続点の発生を抑制することができる。
【0022】
さらに、請求項6に記載のエンコーダの信号処理回路によれば、合成角度信号AB0に上限値と下限値のリミット手段を設けることにより、更に位相誤差や振幅誤差、正弦波信号の歪がある場合にも位置データへの変換精度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
直交するAB相の正弦波信号A0と正弦波信号B0をそれぞれ逆三角関数変換し角度信号に変換して位置を検出するエンコーダの内挿処理方式において、前記正弦波信号A0と正弦波信号B0を別々に入力し、逆三角関数変換によって正弦波信号からそれぞれ角度信号A2と角度信号B2に変換する角度変換手段と、前記正弦波信号A0と正弦波信号B0を入力して符号を反転した反転信号A1と反転信号B1を生成する反転手段と、前記正弦波信号A0と正弦波信号B0と反転信号A1および反転信号B1を入力し、それぞれの交点を検出し、交点から前記信号の絶対値の小さい信号を選択して連続線とし、連続線の値から角度情報を得る合成角度信号AB0を生成する合成角度検出手段と、前記合成角度信号AB0を入力し、前記角度信号A2と角度信号B2に乗算する分配係数KA1と分配係数KB1を演算しそれぞれ出力する分配係数変換手段と、前記角度信号A2と分配係数KA1を、前記角度信号B2と分配係数KB1をそれぞれ入力し、乗算データA3および乗算データB3をそれぞれ出力する乗算器と、前記乗算データA3と乗算データB3を入力し、平均処理し位置データθ1を生成する合成手段を備え、前記分配係数変換手段は、前記合成角度信号AB0から得られる全ての角度値に対し、前記分配係数KA1と分配係数KB1の和が等しく、π/2ラジアン毎に最大と最小を繰り返えす値とし、前記分解係数KA1とKB1はそれぞれの最大と最小と中間の領域で前記合成角度信号AB0の角度演算分解能に対し2倍以上の幅を有する構成としたエンコーダの信号処理回路である。以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明によるエンコーダの信号処理回路について、図1から図6を用いて説明する。図1は、2相の正弦波信号から位置データに変換する信号処理回路のブロック図、図2から図4は、各ブロックの動作波形を示している。
【0024】
図1において、反転手段1には、正弦波信号A0と正弦波信号B0が入力され、反転信号A1と反転信号B1を生成する。合成角度検出手段2には、正弦波信号A0、正弦波信号B0、反転信号A1および反転信号B1が入力され、角度情報を得る合成角度信号AB0を生成する。角度変換手段3a(角度変換手段3b)には、正弦波信号A0と正弦波信号B0が入力され、逆三角関数変換によって角度信号A2(角度信号B2)に変換する。
【0025】
分配係数変換手段4には、合成角度信号AB0が入力され、角度信号A2と角度信号B2に乗算する分配係数を演算し、乗算器5aに分配係数KA1、乗算器5bに分配係数KB1を出力する。乗算器5a(乗算器5b)には、角度信号A2(角度信号B2)と分配係数KA1(分配係数KB1)が入力され、乗算データA3(乗算データB3)を合成手段6に出力する。合成手段6では、入力された乗算データA3と乗算データB3を平均処理し位置データθ1を生成する。
【0026】
ここで、正弦波信号A0と正弦波信号B0は、正規化された90度位相差の正弦波信号であり、エンコーダの信号検出器で検出した直交するA相とB相のアナログの正弦波信号をディジタル変換し、振幅ずれやオフセットずれおよび位相ずれを補正することによって得ることができる。
【0027】
エンコーダの信号検出器は、一般的に発光素子と受光素子とスリット板から構成される。発光素子は、LEDやレーザー光、受光素子はフォトダイオードやフォトトランジスタが用いられる。スリット板は、光を透過するガラスや樹脂材でできており、スリット板上に光を遮断する格子状のマスクを設けている。発光素子からの光は、スリット板を介して受光素子が透過した光を受けるように配置し、スリット板はエンコーダの回転体に設置されているため、回転すると正弦波の波形が受光素子から出力するようにスリット板の格子状の形が形成される。
【0028】
ここで、図2を用いて合成角度検出手段2の動作について説明する。正弦波信号A0と正弦波信号B0は共に反転した反転信号A1と反転信号B1と合わせて合成角度検出手段2に入力する。それぞれの信号の交点(C315、C45、C135、C225)を求め、交点を基点として1周期を4つの領域(領域1から領域4)に分割する。
【0029】
領域1は、正弦波信号A0と反転信号B1の交点C315からスタートし、正弦波信号A0の軌跡を通り、正弦波信号A0と正弦波信号B0の交点C45に到達する。領域2は、交点C45からスタートし、正弦波信号B0の軌跡を通り、反転信号A1と正弦波信号B0の交点C135に到達する。領域3は、交点C135からスタートし、反転信号A1の軌跡を通り、反転信号A1と反転信号B1の交点C225に到達する。領域4は、交点C225からスタートし、反転信号B1の軌跡を通り、正弦波信号A0と反転信号B1の交点C315に到達する。
【0030】
このように交点を基点として、各信号の軌跡をたどることで、図2のように合成角度信号AB0を生成することができる。また、合成角度信号AB0は、合成角度信号を各領域の信号(各信号の交点から交点の信号)を組み合わせることによって得られる信号としてもよい。
【0031】
次に、図3を併用して角度変換手段3aと角度変換手段3bの動作について説明する。角度変換手段3aには、正弦波信号A0と正弦波信号B0が入力され、正弦波信号A0を逆三角関数変換によって角度データA2に変換する。逆三角関数変換は、−π/2ラジアン〜π/2ラジアンの領域で計算されるので、図3のように正弦波信号B0が正のとき(−π/2ラジアン〜π/2ラジアン)と、負のとき(π/2ラジアン〜3π/2ラジアン)に分離して計算する。
【0032】
また、角度変換手段3bは、正弦波信号B0を同様に正弦波信号A0が正のとき(0ラジアン〜πラジアン)と、負のとき(πラジアン〜2πラジアン)に分離して計算する。このように90度位相差の正弦波信号を用いることで、0ラジアン〜2πラジアンまでの逆三角関数変換を容易に求めることができる。
【0033】
次に、分配係数変換手段4について図3を用いて説明する。分配係数変換手段4は、合成角度検出手段2からの合成角度信号AB0を入力し、分配係数KA1と分配係数KB1を得る。分配係数KA1と分配係数KB1は、0ラジアン〜2πラジアンまでの角度領域で分配係数KA1とKB1の和が等しくなるように選定する。
【0034】
例えば、図3では分配係数の最大値をKKとした場合であり、0ラジアンのときKA1=KK、KB1=0となり、π/4ラジアンのときKA1=KK/2、KB1=KK/2
となり、π/2ラジアンのときKA1=0、KB1=KK/2となる。分配係数KA1、KB1の値は合成角度信号AB0をアドレスとして、ROM(Read Only Memory)に事前に設定しておくことで、複雑な計算をすることなく容易に求めることができる。
【0035】
次に、乗算器5aと乗算器5bおよび合成手段6について説明する。乗算器5a(乗算器5b)は、角度データA2(角度データB2)と分配係数KA1(分配係数KB1)を乗算し、乗算データA3(乗算データB3)を得る。合成手段6では、乗算データA3と乗算データB3の平均値を求めることで、位置データθ1を得ることができる。
【0036】
ここで、分配係数KA1と分配係数KB1の設定方法について説明する。正弦波信号A0、正弦波信号B0を角度で微分すると、頂点付近のπ/2ラジアン、3π/2ラジアンと0ラジアン、πラジアンは値が小さくなるため、角度変換手段3a、角度変換手段3bで求めた角度データA2、B2は、図3に示す丸印の部分で精度が悪くなる。図3のように分配係数KA1、KB1はこの丸印付近で最小になるように選定することで、位置データへの変換精度を高めることができる。
【0037】
また、正弦波信号A0、正弦波信号B0は補正した信号を用いるが、補正しきれない誤差や波形歪の影響で合成角度信号AB0に誤差が生じる。このような場合、角度データA2、角度データB2の精度が悪い領域で、分配係数KA1、分配係数KB1はゼロにならないため、合成した位置データθ1に、精度が悪い角度データの情報が含まれてしまう。
【0038】
そこで図4のように分配係数KA1、分配係数KB1の最大値と最小値に合成角度信号AB0の角度分解能に対して、2倍以上の幅を有するように設定する。このように設定することで、合成角度信号AB0の許容誤差を、2倍以上にすることができる。
【0039】
また、分配係数KA1、分配係数KB1は、最大値と最小値に間の角度を直線で結び設定してもよい。この場合、分配係数KA1、分配係数KB1は、連続的に変化するので、合成して得られた位置データは滑らかに変化し、不連続点の発生を抑制することができる(実施の形態2)
図7を用いて、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1と異なるのは分配係数KA1と分配係数KB1の設定方法であり、この点について説明する。
【0040】
分配係数KA1、分配係数KB1は、π/2×nラジアン毎(n:0、1、3、4)に最大値と最小値を繰り返すが、この中間点π/4×nラジアン(n:0、1、3、4、5、6、7)では、双方のバランスを取るため中間値(最大値/2)を取るのがよい。正弦波信号A0、正弦波信号B0に振幅や位相誤差が含まれていない場合は、実施の形態1の方法で、π/4×nラジアン(n:0、1、3、4、5、6、7)で、分配係数KA1、分配係数KB1は中間値となる。
【0041】
しかし、正弦波信号A0、正弦波信号B0は、補正しきれない誤差や波形歪の影響で合成角度信号AB0に誤差が生じるため、分配係数KA1、分配係数KB1の中間値に合成角度信号AB0の角度分解能に対して2倍以上の幅を有するように設定する。このように設定することで、合成角度信号AB0の許容誤差を2倍以上にすることができるため、合成して得られた位置データは更に滑らかに変化し、不連続点の発生を抑制することができる。
(実施の形態3)
図8、図9および図10を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1および実施の形態2と異なるのは、合成角度信号AB0を上下リミット手段7によって最大値と最小値のリミット処理を設けた点であり、この動作について説明する。
【0042】
図8に示すように、上下リミット手段7は、合成角度変換手段2と分配係数変換手段4の間に設けられ、合成角度信号AB0が入力され、最大値と最小値のリミット処理をした合成角度信号AB1を出力する。
【0043】
正弦波信号A0、正弦波信号B0は、補正しきれない誤差や波形歪の影響で合成角度信号AB0に誤差が生じる。図9と図10は、正弦波信号A0、正弦波信号B0に位相誤差があった場合の例であり、合成角度信号AB0が、π/4ラジアン、3π/4ラジアンで正規値であるKS・sin(π/4)をオーバーする。
【0044】
このように、リミット値を越える場合は、リミット値で制限を掛けて、その結果を合成角度信号AB1として分配係数変換手段4に入力する構成とする。
【0045】
例えば、実施の形態1の構成を例にすると、分配係数KA1、分配係数KB1は、図9のようになる。また、実施の形態2の構成を例にすると、分配係数KA1、分配係数KB1は、図10のようになり、どちらの場合においても、正弦波信号A0、正弦波信号B0の位相誤差の影響を吸収し連続性を保つことができる。合成して得られた位置データは更に滑らかに変化し、不連続点の発生を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の信号処理回路は、サーボモータ制御装置に限らず、高分解能の位置情報を得るためにエンコーダを搭載した装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1における信号処理回路のブロック図
【図2】実施の形態1の各ブロックにおける信号波形の説明図(1)
【図3】実施の形態1の各ブロックにおける信号波形の説明図(2)
【図4】実施の形態1の各ブロックにおける信号波形の説明図(3)
【図5】実施の形態1の各ブロックにおける信号波形の説明図(4)
【図6】実施の形態1の各ブロックにおける信号波形の説明図(5)
【図7】実施の形態2の各ブロックにおける信号波形の説明図
【図8】実施の形態3における信号処理回路のブロック図
【図9】実施の形態3の各ブロックにおける信号波形の説明図(1)
【図10】実施の形態3の各ブロックにおける信号波形の説明図(2)
【図11】従来例における信号処理回路のブロック図(1)
【図12】従来例における信号処理回路のブロック図(2)
【符号の説明】
【0048】
A0、B0 正弦波信号
A1、B1 反転信号
A2、B2 角度データ
A3、B3 乗算データ
AB0、AB1 合成角度信号
KA1、KB1 分配係数
θ1 位置データ
C45、C135、C225、C315 正弦波信号の交点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交するAB相の正弦波信号A0と正弦波信号B0をそれぞれ逆三角関数変換し角度信号に変換して位置を検出するエンコーダの内挿処理方式において、
前記正弦波信号A0と正弦波信号B0を別々に入力し、逆三角関数変換によって正弦波信号からそれぞれ角度信号A2と角度信号B2に変換する角度変換手段と、
前記正弦波信号A0と正弦波信号B0を入力して符号を反転した反転信号A1と反転信号B1を生成する反転手段と、
前記正弦波信号A0と正弦波信号B0と反転信号A1および反転信号B1を入力し、それぞれの交点を検出し、交点から前記信号の絶対値の小さい信号を選択して連続線とし、連続線の値から角度情報を得る合成角度信号AB0を生成する合成角度検出手段と、
前記合成角度信号AB0を入力し、前記角度信号A2と角度信号B2に乗算する分配係数KA1と分配係数KB1を演算しそれぞれ出力する分配係数変換手段と、
前記角度信号A2と分配係数KA1を、前記角度信号B2と分配係数KB1をそれぞれ入力し、乗算データA3および乗算データB3をそれぞれ出力する乗算器と、
前記乗算データA3と乗算データB3を入力し、平均処理し位置データθ1を生成する合成手段を備え、
前記分配係数変換手段は、前記合成角度信号AB0から得られる全ての角度値に対し、前記分配係数KA1と分配係数KB1の和が等しくなるように分配することを特徴とするエンコーダの信号処理回路。
【請求項2】
前記分配係数KA1は、前記合成角度信号AB0からπ/2ラジアン毎に最大と最小を繰り返えす値とし、前記分配係数KA1と分配係数KB1は、それぞれの最大と最小の領域で前記合成角度信号AB0の角度演算分解能に対し2倍以上の幅を有することを特徴とする請求項1記載のエンコーダの信号処理回路。
【請求項3】
前記分配係数KA1は、最大値と最小値の間の角度を直線で結び得られることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンコーダの信号処理回路。
【請求項4】
前記分配係数KA1の1/2の中間値に前記合成角度信号AB0の角度演算分解能に対し2倍以上の幅を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンコーダの信号処理回路。
【請求項5】
前記分配係数KA1は、最大値と中間値および中間値と最小値の間の角度を直線で結び得られることを特徴とする請求項4に記載のエンコーダの信号処理回路。
【請求項6】
前記合成角度信号AB0を入力し、上限値と下限値によって信号の大きさを制限した合成角度信号AB1を前記分配係数変換手段に出力する上下限リミット手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエンコーダの信号処理回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−210315(P2009−210315A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51788(P2008−51788)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】