説明

エンコーダ

【課題】簡易な構成で検出精度を向上できるエンコーダを提供する。
【解決手段】エンコーダ(1)は、第1のパターン(11)と第2のパターン(12)とが互いに並列して移動方向に沿って設けられたスケール板(10)と、第1のパターン(11)に照射される第1の光(L1)と第2のパターン(12)に照射される第2の光(L2)とを受光する受光面(35)を有するセンサ部(30)と、第1の光を射出する第1の発光素子(21)と、第2の光を射出する第2の発光素子(22)と、を備え、第1の発光素子(21)は、受光面(35)に直交する第1平面(P1)によって分割される2つの領域の一方(31)に配置され、第2の発光素子(22)は、第1平面(P1)によって分割される2つの領域のうち第1の発光素子(21)とは異なる他方の領域(32)に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出を行うエンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の移動位置や回転体の回転角度位置を光学的に検出する光学式エンコーダでは、フォトダイオードアレイを有するフォトICやイメージセンサを利用して、位置を検知する(例えば、特許文献1参照)。そのようなエンコーダでは、近年、その用途が多様化し、小型化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−170788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1のような反射型エンコーダの構成に、2つのトラックに設けられたパターンをそれぞれ設け、それらのパターンをそれぞれ検出する際、専用に形成されたセンサがそれぞれ必要になり、簡易な構成でエンコーダを実現できないという課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、簡易な構成で検出精度を向上できるエンコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、第1のパターンと第2のパターンとが互いに並列して移動方向に沿って設けられたスケール板と、前記第1のパターンに照射される第1の光と第2のパターンに照射される第2の光とを受光する受光面を有するセンサ部と、前記第1の光を射出する第1の発光素子と、前記第2の光を射出する第2の発光素子と、を備え、前記第1の発光素子は、前記受光面に直交する第1平面によって分割される2つの領域の一方に配置され、前記第2の発光素子は、前記第1平面によって分割される2つの領域のうち前記第1の発光素子とは異なる他方の領域に配置される、ことを特徴とするエンコーダである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡素な構成で検出精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態によるエンコーダの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による符号板10に設けられるパターンの一態様を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による符号板10に設けられたパターン11、12、光源21、22及びセンサ30の配置を示す鳥瞰図である。
【図4】本発明の一実施形態によるセンサ30の受光面を示す上面図である。
【図5】本発明の一実施形態による光源とセンサの制御方法を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の一実施形態によるセンサ30の受光面35上の領域31、32を示す上面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるセンサ30の受光面35を示す上面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるエンコーダの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態によるエンコーダの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態によるエンコーダの構成を示すブロック図である。
この図に示されるエンコーダ1は、符号板10(スケール板)、光源(発光素子)21、22、センサ(センサ部)30(イメージセンサ)、光源駆動部41、42、センサ駆動部50、及び、制御部90を備える。本実施形態に示すエンコーダ1は、回転体の回転軸の角度位置情報を検出する一態様を示す。
符号板10は、駆動装置(例、モータ)によって回転される回転体の回転軸に固定され、その回転体とともに転回自在に設けられる。符号板10には、回転角度の位置を示す指標であるパターンが配置される。そのパターンの配置において、絶対角度を検出するための絶対角度検出パターンが配置されるアブソリュート・トラック、又は、相対角度を検出するための相対角度検出パターンが配置されるインクリメンタル・トラックのうち少なくともいずれか一方のトラックが設けられる。符号板10に設けられるトラックは、回転軸に対してそれぞれ一定の距離に配置され、すなわち、それぞれ異なる半径の円周上に設けられる。それゆえ、各トラックは移動方向に沿って互いに並列に配置される。
【0011】
図2は、符号板10に設けられるパターンの一態様を示す図である。
図2に示される符号板10は、パターン11(第1のパターン)を含んだアブソリュート・トラックと、パターン12(第2のパターン)を含んだインクリメンタル・トラックの双方のトラックを備える。アブソリュート・トラックに含まれるパターン11は、センサ30と符号板10との位置関係を絶対角度として示す位置情報を符号化して示すものである。また、インクリメンタル・トラックに含まれるパターン12は、同一の形状の指標を等間隔に配置したものである。
符号板10の各トラックに設けられるパターン11とパターン12とは、それぞれ、照射された光を反射する反射型のパターンである。パターン11と12とは、そのパターンが示す情報に応じて反射量が異なるように、例えば、異なる反射率を有する状態に表面処理が施される。図2では、反射率が低い領域を濃い色で、反射率が高い領域を白で示す。
パターン11(第1のパターン)には、光源21(第1の発光素子)からの光L1(第1の光)が照射される。パターン11は、照射された光L1を反射する。パターン12(第2のパターン)には、光源22(第2の発光素子)からの光L2(第2の光)が照射される。パターン12は、照射された光L2を反射する。
また、パターン11とパターン12とが符号板10上に並列にそれぞれ設けられ、回転軸を基準として各パターンがそれぞれ半径の異なる同周上に設けられることにより、局所的に並行するパターンになる。各パターンの幅と回転軸からの半径を適当に設けて、2つのパターンが重ならないように隙間を設けて配置する。
【0012】
図1に戻り、光源21(第1の発光素子)は、符号板10のトラックに設けられたパターン11(第1のパターン)の検出に必要とされる光L1(第1の光)を照射する。光源22(第2の発光素子)は、符号板10のトラックに設けられたパターン12(第2のパターン)の検出に必要とされる光L2(第2の光)を照射する。光源21、22は、制御部90から光源駆動部41、42を介してそれぞれ供給される制御信号に応じて点灯状態が制御される。
なお、光源21の光軸は、符号板10のトラックに設けられたパターン11に向くように配置される。光源22の光軸は、符号板10のトラックに設けられたパターン12に向くように配置される。このように配置することにより、照射する光をパターンの検出に効率よく利用することができ、光源21、22における電力損失を低減し発熱量を低減することができる。光源21、22の光軸の設定には、光源21、22が備えるレンズなどの光学部材の配光特性を利用することもできる。
【0013】
センサ30は、符号板10のトラックに設けられたパターン11、12を検出する。センサ30の受光面35は、符号板10のトラックが設けられた面と対向して配置される。センサ30の受光面35には、2次元の格子上に配置された光検出素子(受光素子)が設けられる。そして、その光検出素子は、符号板10に設けられたトラックの接線方向と平行、又は、そのトラックに沿って、符号板10のトラックが配置された位置と対向するように設けられる。なお、センサ30は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどが適用できる。
【0014】
センサ30の各光検出素子は、受光量に応じた光電変換を行い、それぞれの光量に対応した電圧によって示されるアナログ信号に変換する。各光検出素子には、例えば、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどが適用できる。C−MOSセンサの場合における光検出素子は、フォトダイオード、電荷電圧変換部、セレクタスイッチなどを含んで構成される。センサ30の各光検出素子は、光源駆動部41、42から供給される制御信号に応じて選択され、選択された光検出素子が出力する情報から受光した光量を検出できる。
【0015】
なお、センサ30は、前述の光源21と22とに直接接しないように配置する。例えば、光源21、センサ30及び光源22を、示された順に従って同一の基板80上に、それぞれ間隔をあけて隔離された状態に配置する。このように配置することにより、センサ30において、光源21と22とにおける損失によって発生した熱の影響を低減させることができる。
また、上記のようにセンサ30、光源21及び光源22を同一の基板80に配置することにより、それぞれを受光面35と平行な同一平面上に配置することができる。
【0016】
光源駆動部41、42は、制御部90からの指示により、符号板10のトラックに設けられたパターンの検出に必要とされる光を、光源21、22によって照射させるための制御信号を供給する。
センサ駆動部50は、制御部90からの指示により、センサ30の受光面35に配置された光検出素子における受光量を検出するための制御信号及びタイミング信号をセンサ30に供給する。
センサ駆動部50は、選択された領域に対応する範囲に含まれる光検出素子に対して、受光量に応じて蓄積された電荷量に応じた信号電圧を順に出力する。
センサ駆動部50は、センサ30における光検出素子によって検出された受光量に応じた信号を増幅する。センサ駆動部50は、センサ30が出力した信号レベルに応じて、適当な信号レベルとなるように増幅率が調整される。
【0017】
制御部90は、エンコーダ1における各種設定を行い、動作時には各部への制御指示を出力し、センサ30において検出された光量に基づいて検出した位置情報を生成して出力する。
制御部90は、不図示の光源制御部及びセンサ制御部を備える。
制御部90における光源制御部は、予め定められた制御指示に基づき光源20の発光状態を制御する制御信号を光源駆動部41、42に供給する。
制御部90におけるセンサ制御部は、予め定められた制御指示に基づきセンサ30から出力させる情報を選択する制御信号をセンサ駆動部50に供給する。また、制御部90におけるセンサ制御部には、センサ30によって検出された信号に基づいた情報が、センサ駆動部50を経て供給される。センサ制御部は、その情報に対して信号変換処理を行う。信号変換処理としては、例えば、フィルタリング処理、アナログデジタル変換処理などを行い、検出された信号に応じた位置情報を生成する処理がある。
【0018】
次に、図を参照し、上記した各構成の配置を説明する。
図3は、符号板10に設けられたパターン11、12、光源21、22及びセンサ30の配置を示す鳥瞰図である。
この図3(a)と(b)は、光源21と22とがセンサ30に対して異なる配置とした態様をそれぞれ示す。また、符号板10の記載を省略し、符号板10の下側の面に設けられたトラックのパターン11と12とが示される。センサ30の受光面35は、パターン11と12とが配置された符号板10の下の面と平行で且つ対向する状態で配置される。
【0019】
センサ30の受光面35を基準に座標系を定義する。センサ30の受光面35を(x−y)平面とし、受光面35に鉛直方向をz軸とする。また、x軸は、符号板10の移動方向、すなわちパターン11と12の移動方向とする。
【0020】
また、平面P1(第1の平面)は、センサ30の受光面35に直交する面である。この図3に示される平面P1は、(x-z)平面と平行である。その平面P1によって分割された領域に光源21と光源22とがそれぞれ分かれて配置される。
光源21は、光軸をパターン11の方に向けて配置される。また、光源21から射出される光L1がパターン11によって反射され、センサ30の受光面35上の領域31(第1の領域)にパターン11の反射光11s(光L1)が、照射されるように、光源21とパターン11とセンサ30の受光面35上の領域31がそれぞれ配置される。
光源22は、光軸をパターン12の方に向けて配置される。また、光源22から射出される光L2がパターン12によって反射され、センサ30の受光面35上の領域32(第2の領域)にパターン12の反射光12s(光L2)が、照射されるように、光源22とパターン12とセンサ30の受光面35上の領域32がそれぞれ配置される。
【0021】
図3(a)では、光源21と22とが、センサ30の受光面35を上面視した状態で、y軸方向に沿って挟む位置に配置された状態を示す。この配置では、パターン11と12との間隔は、それぞれの反射光11sと12sとの間隔よりも広くなる。
図3(b)では、光源21と22とが、センサ30の受光面35を上面視した状態で、x軸方向に沿って挟む位置に配置された状態を示す。この配置では、光源21と22とが、パターン11と12との下側にそれぞれ配置されることから、パターン11と12との間隔は、それぞれの反射光11sと12sとの間隔に近くなる。
図3(a)と(b)とに示したように、センサ30の受光面35を平面視した状態で、センサ30を挟む位置に光源21と22とを配置することによって、各光源からセンサ30の受光面35までの光路差を少なくすることができ、光路差によって生じる受光量の差を少なくすることができる。
【0022】
図4は、センサ30の受光面を示す上面図である。
この図4は、パターン11と12とからの反射光を検出するための光検出素子が選択された領域である受光面上の領域31、32を示す。
受光面35上の領域31には、パターン11の反射光11sが照射された状態を示す。受光面35上の領域32には、パターン12の反射光12sが照射された状態を示す。
センサ30は、2次元の格子にそれぞれ配置された光検出素子を備える。
図4では、そのセンサ30の受光面35を2つの領域に分割した領域31(第1の領域)と領域32(第2の領域)とが示される。
受光面35における領域31では、パターン11の反射光11sを検出し、領域32では、パターン12の反射光12sを検出する。それらの反射光11sと反射光12sとが干渉しない場合には、この図4に示したように、その境界を直線で示すことができる。しかし、それらの反射光による影の間隔が近い場合には、それらの領域が重なることが生じる。そこで、本実施形態では、次の処理を行うことにより、この課題を解決する。
【0023】
図5は、本実施形態における光源21、22とセンサ30との制御方法を示すタイミングチャートである。
この図5には、光源21と光源22とがそれぞれ発光する発光タイミングと、センサ30における受光タイミングとの制御シーケンスが示される。
このタイミングチャートによって示される初期状態では、光源21と光源22とが消灯した状態を示し、センサ30が非検出状態を示す。
時刻t1では、制御部90は、センサ30を受光可能な状態にする。時刻t2から時刻t3までの間、制御部90は、光源21を発光させる。時刻t4に、制御部90は、センサ30を受光可能な状態を終了させる。センサ30では、時刻t1から時刻t4までの間に光源21から受光した光L1の光量に応じて変換された信号を、それぞれの光検出素子から読み出す。
【0024】
また、時刻t5では、制御部90は、センサ30を受光可能な状態にする。時刻t6から時刻t7までの間、制御部90は、光源22を発光させる。時刻t8に、制御部90は、センサ30を受光可能な状態を終了させる。センサ30では、時刻t5から時刻t8までの間に光源22から受光した光L2の光量に応じて変換された信号を、それぞれの光検出素子から読み出す。
【0025】
このように、制御部90は、光源21と光源22とに対し点灯時間が重複しないように時差を設けて間欠的に発光させる。制御部90は、光源21と光源22とがそれぞれ発光する発光タイミングに同期させて、センサ30に検出させる。センサ30は、光源21と光源22とからそれぞれ照射された光を、発光タイミングに同期してそれぞれ検出することにより、互いの光が外乱光となって影響することを防ぐことができる。例えば、図4に示したように、2つの反射光11sと12sの空間的な間隔が少なく判別しにくい場合、互いの光が回り込んでしまう場合、又は受光面35の領域31と領域32とを分離して制御できない場合などに、2つのパターンの情報を容易に分離して検出することができる。特に、エンコーダを小型化することによって光の周り割込み(迷光)が生じる場合や、光源21と22との配置を図3(a)に示す配置にした場合には、2つの反射光11sと12sとが干渉することがありうる。本実施形態のように、制御部90は、光源21、22及びセンサ30を制御することにより、干渉を生じることなく検出できる。
【0026】
(第2実施形態)
図6を参照し、他の態様について示す。
図6は、センサ30の受光面35上の領域31、32を示す上面図である。
本実施形態における構成は、図1を参照し、同じ符号で説明する。
この図6に示す上面図では、センサ30の受光面35上の領域31、32に、パターン11の反射光11sとパターン12の反射光12sとが照射された状態を示す。このセンサ30は、受光面35上の領域31、32が波長依存性の感度特性を有し、互いに異なる波長領域の感度特性にピークを有する。例えば、受光面35上の領域31には、波長λ1(第1の波長)を透過し、波長λ2(第2の波長)を減衰させる波長フィルタを設ける。また、受光面35上の領域32には、波長λ1(第1の波長)を減衰し、波長λ2(第2の波長)を透過させる波長フィルタを設ける。このようにセンサ30のそれぞれの受光面35上の領域に波長フィルタを設けることにより、波長の選択性を設定することができる。
【0027】
ここで、光源21は、波長λ1(第1の波長)の光を照射し、光源22は、波長λ2(第2の波長)の光を照射する。
光源21、22の発光波長と、センサ30の受光面31と32の感度特性の組合せにより、波長の異なる光が漏れて照射される場合であっても、波長の選択性が確保されることから、領域31と領域32から出力される信号を分離して検出することにより信号の分離ができる。
すなわち、本実施形態のようにセンサ30の受光面35の領域を分割し、受光の波長を選択することにより、第1実施形態の図4において示した課題を解決することができる。
また、2つの波長について、例えば、中心波長を850nmと、650nmとする。波長が850nmの光は、赤外領域であり、波長が650nmの光は、「赤」である。このような波長選択特性を有するフィルタを構成することは容易であり、また、光源としても高出力タイプのLEDを使用することができるため、構成が容易である。
【0028】
(第3実施形態)
図7を参照し、他の実施態様について示す。
図7は、センサ30の受光面35を示す上面図である。
本実施形態における構成は、図1を参照し、同じ符号で説明する。
この図7に示す上面図では、センサ30の受光面35に、パターン11の反射光11sとパターン12の反射光12sとが照射された状態を示す。このセンサ30は、受光面35では、波長依存性の感度特性を有した領域31、32が、市松模様のように配置される。例えば、一般のカラー画像センサなどに用いられる格子状の波長フィルタが、構成される光検出素子単位に配列された場合と同様に実現することができる。
【0029】
波長フィルタの感度特性は、第2実施形態と同様とする。そのフィルタの特性に対応する波長の光による反射光11sと反射光12sが照射された領域が重なる場合であっても、市松格子に配列された光検出素子の情報を合成することにより、反射光11sと反射光12sとを分離することができる。
また、2つの波長について、例えば、中心波長を550nmと650nmとする。波長が550nmの光は、「緑」であり、波長が650nmの光は、「赤」である。このような波長選択特性を有するフィルタを構成することは容易であり、また、光源のLEDも容易に選択することができるため、構成が容易である。
また、第2実施形態に示したように、赤外領域と「赤」を中心波長として選択することもできる。
【0030】
(第4実施形態)
図8を参照し、他の実施態様について示す。
図8は、本実施形態におけるエンコーダの構成を示すブロック図である。
図8に示す構成において、図1と同じ構成には同じ符号を附す。
図8に示す構成では、図1に示した構成に対し、断熱部81と82が追加されている。
断熱部81は、光源21とセンサ30との間に充填され、熱抵抗が高い断熱構造の材質によって形成される。断熱部82は、光源22とセンサ30との間に充填され、熱伝導率が低い断熱構造の材質によって形成される。
このように、断熱部81と82とが充填されることにより、光源21、光源22と、センサ30との間の熱抵抗が高くなり、光源21、22の発熱によって、センサ30への影響を低減できることから検出精度を高めることができる。
【0031】
(第5実施形態)
図9を参照し、他の実施態様について示す。
図9は、本実施形態におけるエンコーダの構成を示す図である。
図9に示す構成において、図1、図3と同じ構成には同じ符号を附す。
図9(a)に示す構成では、図1に示した構成に対し、基板80に代えて、基板80aと基板80bとが設けられる。
図9(b)は、図9(a)に示した構成の鳥瞰図である。図9(b)に示すように、基板80aには、光源21と光源22が配置され、基板80bには、センサ30が配置される。また、基板80aと基板80b間の熱抵抗を高くすることにより、光源21と光源22、及び、センサ30間の熱抵抗を高くすることができる。
このように、基板80aと基板80bとを分離することにより、光源21、光源22と、センサ30との間の熱抵抗が高くなり、光源21、22の発熱によって、センサ30への影響を低減できることから検出精度を高めることができる。
【0032】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、センサ30は、2次元イメージセンサとする実施態様を示したが、リニア型の1次元センサも適用可能である。符号板10の移動方向と、1次元センサの光検出素子が配列される方向を一致させることが好適である。
また、2つの光源の配置を、センサ30の受光面に対して平面視した状態で、センサ30を挟んだ状態となる実施態様を示したが、2つの光源をセンサに対して同じ方向に配置することも可能である。
【0033】
また、符号板10(スケール板)は、反射型とする実施態様を示したが、透過型とする構成とすることにより可能である。その場合、符号板10とセンサ30との間の光路中に、偏向部材を配置することにより可能となる。その、偏向部材は、例えば、コリメータレンズなどが適用できる。或いは、センサ30とスケール板のスリットと光源が直線状に配置されるように、光源の光軸をセンサ30の受光面の法線に対して斜めになるように配置する、などの構成とすることにより透過型の符号板を用いた場合にも適用が可能である。
また、透過型とした場合においても、光源を照射させるタイミング(又は点灯時間)を制御して変えることも可能である。
【0034】
なお、本実施形態におけるエンコーダ(1)は、第1のパターン(11)と第2のパターン(12)とが互いに並列して移動方向に沿って設けられたスケール板(10)と、第1のパターン(11)に照射される第1の光(L1)と第2のパターン(12)に照射される第2の光(L2)とを受光する受光面(35)を有するセンサ部(30)と、第1の光(L1)を射出する第1の発光素子(21)と、第2の光(L2)を射出する第2の発光素子(22)と、を備え、第1の発光素子(21)は、受光面(35)に直交する第1平面(P1)によって分割される2つの領域の一方(31)に配置され、第2の発光素子(22)は、第1平面(P1)によって分割される2つの領域のうち第1の発光素子(21)とは異なる他方の領域(32)に配置される。
【0035】
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の発光素子(21)と第2の発光素子(22)との発光タイミングを制御する制御部(90)を備える。
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の発光素子(21)と第2の発光素子(22)とは、点灯時間が重複しないようにそれぞれ間欠的に点灯する。
また、上記のエンコーダ(1)において、センサ部(30)は、発光タイミングに同期して、第1の光(L1)と第2の光(L2)とを検出する。
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の光(L1)と第2の光(L2)とは、互いに異なる波長の光である。
また、上記のエンコーダ(1)は、センサ部(30)は、第1の光(L1)の波長(λ1)と第2の光(L2)の波長(λ2)とに対応させて、第1の光(L1)及び第2の光(L2)を検出する。
【0036】
また、上記のエンコーダ(1)において、センサ部(30)は、第1の光(L1)及び第2の光(L2)が照射される受光領域に応じて、第1の光(L1)の波長(λ1)と第2の光(L2)の波長(λ2)とを識別可能な感度特性を有する。
また、上記のエンコーダ(1)において、センサ部(30)は、受光面(35)において2次元に配列された複数の光検出素子を備え、複数の光検出素子が受光した光量に基づいて第1の光(L1)と第2の光(L2)とを検出する。
【0037】
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の発光素子(21)は、第1の波長の光(L1)を射出し、第2の発光素子(22)は、第1の波長(λ1)と異なる第2の波長(λ2)の光(L2)を射出し、センサ部(30)は、第1の波長(λ1)を識別する第1の受光領域(31)である第1の光検出素子と、第2の波長(λ2)を識別する受光領域(32)である第2の光検出素子とが、交互に配列され、第1の光検出素子と第2の光検出素子に応じて第1と第2の波長を識別する。
【0038】
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の発光素子(21)と第2の発光素子(22)とは、センサ部(30)と隔離してそれぞれ配置される。
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の発光素子(21)及び第2の発光素子(22)は、センサ部(30)の配置される基板(80a)とは異なる基板(80b)に配置される。
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の発光素子(21)と第2の発光素子(22)とは、センサ部(30)の受光面(35)を平面視して、センサ部(30)を挟んでそれぞれ配置される。
【0039】
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の発光素子(21)と第2の発光素子(22)とは、受光面(35)と同一平面上に配置される。
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の発光素子(21)は、第1の光(L1)の光軸を第1のパターン(11)に向けて配置され、第2の発光素子(22)は、第2の光(L2)の光軸を第2のパターン(12)に向けて配置される。
【0040】
また、上記のエンコーダ(1)において、第1の発光素子(21)及び第2の発光素子(22)は、受光面(35)に対して斜めにそれぞれ配置される。
また、上記のエンコーダ(1)において、第1のパターン(11)は、移動方向(x軸方向)における位置を絶対位置として識別するアブソリュートパターンである。
【0041】
本実施形態に示すエンコーダは、1つのセンサを用いて2つのパターンによって示される位置情報を検出できる。小型化することにより、2つのパターンの光が干渉するような場合でも、それらの信号を容易に分離することができることから、簡素な構成で検出精度を向上することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 エンコーダ
10 符号板
11、12 パターン
21、22 光源
30 センサ
31、32 領域
35 受光面
90 制御部
L1、L2 光(反射光11s、12s)
P1 平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパターンと第2のパターンとが互いに並列して移動方向に沿って設けられたスケール板と、
前記第1のパターンに照射される第1の光と第2のパターンに照射される第2の光とを受光する受光面を有するセンサ部と、
前記第1の光を射出する第1の発光素子と、
前記第2の光を射出する第2の発光素子と、
を備え、
前記第1の発光素子は、前記受光面に直交する第1平面によって分割される2つの領域の一方に配置され、
前記第2の発光素子は、前記第1平面によって分割される2つの領域のうち前記第1の発光素子とは異なる他方の領域に配置される、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のエンコーダであって、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子との発光タイミングを制御する制御部を備える、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のエンコーダであって、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とは、点灯時間が重複しないようにそれぞれ間欠的に点灯する、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のエンコーダであって、
前記センサ部は、前記発光タイミングに同期して、前記第1の光と前記第2の光とを検出する、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記第1の光と前記第2の光とは、互いに異なる波長の光である、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記センサ部は、前記第1の光の波長と前記第2の光の波長とに対応させて、前記第1の光及び前記第2の光を検出する、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記センサ部は、前記第1の光及び前記第2の光が照射される受光領域に応じて、前記第1の光の波長と前記第2の光の波長とを識別可能な感度特性を有する、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記センサ部は、
前記受光面において2次元に配列された複数の光検出素子
を備え、

前記複数の光検出素子が受光した光量に基づいて前記第1の光と前記第2の光とを検出する、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項9】
請求項8に記載のエンコーダであって、
前記第1の発光素子は、
第1の波長の光を射出し、
前記第2の発光素子は、
前記第1の波長と異なる第2の波長の光を射出し、
前記センサ部は、
前記第1の波長を識別する第1の受光領域である第1の前記光検出素子と、第2の波長を識別する受光領域である第2の前記光検出素子とが、交互に配列され、前記第1の光検出素子と前記第2の光検出素子に応じて前記第1と第2の波長を識別する
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記第1の発光素子と第2の発光素子とは、前記センサ部と隔離してそれぞれ配置される、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子は、センサ部の配置される基板とは異なる基板に配置される、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記第1の発光素子と第2の発光素子とは、前記センサ部の受光面を平面視して、前記センサ部を挟んでそれぞれ配置される、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とは、前記受光面と同一平面上に配置される、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記第1の発光素子は、前記第1の光の光軸を前記第1のパターンに向けて配置され、
前記第2の発光素子は、前記第2の光の光軸を前記第2のパターンに向けて配置される、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子は、前記受光面に対して斜めにそれぞれ配置される、
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載のエンコーダであって、
前記第1のパターンは、前記移動方向における位置を絶対位置として識別するアブソリュートパターンである
ことを特徴とするエンコーダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−214846(P2011−214846A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80338(P2010−80338)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】