説明

エンジンの制御装置

【課題】多様でより体感的な心地よさを演出することができるエンジンの制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン17が運転状態にある場合、制御ユニット71が、エンジン17により発生する可聴音または体感可能な振動の周期を変化させるように燃焼調整部75を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの燃焼状態を調整するエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の鞍乗り型車両には、エンジンへの燃料供給量や点火時期や吸気量を変化させてエンジンから発生する可聴音波の音圧レベル波形の音圧レベルを変化させ、エンジンが動いていることをライダーに音の変化で伝える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−043622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年ユーザーの趣味や嗜好が多様化しており、様々なユーザーに対してエンジンの体感的な心地よさを演出することが望まれている。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、多様でより体感的な心地よさを演出することができるエンジンの制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、エンジン(17)の燃焼状態を調整する燃焼調整部(75)と、前記燃焼調整部(75)を制御する燃焼制御部(71)とを設けたエンジンの制御装置において、前記燃焼制御部(71)は、前記エンジン(17)の所定の運転状態において、前記エンジン(17)により発生する可聴音または体感可能な振動の周期を変化させるように前記燃焼調整部(75)を制御することを特徴とする。
この構成によれば、エンジンにより発生する可聴音または体感可能な振動の周期を変化させるように燃焼調整部を制御するので、従来のエンジンでは得られなかった可聴音や体感可能な振動の揺らぎを実現することができ、新規なリズムやテンポを付与することができる。これにより、存在感、心地よさ、鼓動感のいずれもより強調することが可能となり、多様でより体感的な心地よさを演出することができるエンジンを提供することが可能になる。
【0006】
上記構成において、前記燃焼制御部(71)は、前記エンジン(17)が予め定めた目標運転状態に対応した燃焼状態となるように前記燃焼調整部(75)を制御する通常モードと、前記エンジン(17)により発生する可聴音または体感可能な振動の周期を変化させるように前記燃焼調整部(75)を制御する変化モードとの間で動作モードを切り替えるようにしても良い。この構成によれば、ユーザーの希望に応じて可聴音や振動のリズムを変えることができ、様々なユーザーの好みに合わせることができる。
また、上記構成において、前記通常モードと前記変化モードとに切り替えるモード切替スイッチ(77A)を設けるようにしても良い。この構成によれば、ユーザーが容易にモードを切り替えできる。
【0007】
また、上記構成において、前記エンジン(17)により発生する可聴音または体感可能な振動の周期を所定パターンで変化させる燃焼パターンを記憶する燃焼パターン記憶部(72)を有し、前記燃焼制御部(71)は、前記燃焼パターンに基づいて前記燃焼調整部(75)を制御するようにしても良い。この構成によれば、上記可聴音や振動の周期変化を繰り返し再現でき、且つ、この変化の変更/設定も容易である。
また、上記構成において、前記燃焼パターンは、前記エンジン(17)の燃焼休止を含むようにしても良い。この構成によれば、可聴音や振動のリズムの間隔を拡げることができ、従来のエンジンでは得られなかった独特のリズムを得ることができ、且つ、リズムのバリエーションを増やすことができる。
【0008】
上記構成において、前記燃焼パターンは、前記エンジン(17)の燃料噴射及び/又は点火の情報を含み、少なくとも燃料噴射量、燃料噴射の休止、噴射タイミング、又は、点火タイミングのいずれか1つの情報を含むようにしても良い。この構成によれば、エンジン制御に必須の燃料噴射及び点火の情報を利用するので、特別なエンジン制御やエンジン構造を追加する必要がない。
また、上記構成において、前記燃焼パターンを切り替える燃焼パターン切替スイッチ(77B)を設けるようにしても良い。この構成によれば、ユーザーが容易に燃焼パターンを切り替えできる。
【0009】
また、上記構成において、前記燃焼制御部(71)は、前記エンジン(17)の運転状態毎にユーザーに選択された前記燃焼パターンを記憶し、この記憶に従って前記エンジン(17)の運転状態に合わせて前記燃焼パターンを選択するようにしても良い。この構成によれば、ユーザーの好みを学習して自動的に反映することができ、且つ、運転状態に応じたグルーブサウンドをユーザーにフィードバックするので、運転状態を把握し易くなる。
また、上記構成において、前記燃焼制御部(71)は、前記エンジン(17)により発生する可聴音または体感可能な振動の周期の変化を、所定の周期で発生させるように前記燃焼調整部(75)を制御するようにしても良い。この構成によれば、ブラックミュージック等の音楽分野で用いられるリズムの一つである、所定の周期で変化する揺らぎのあるリズムを再現することができ、従来のエンジンでは得られなかった独特のリズムを得ることができる。
【0010】
また、上記構成において、乱数を発生する乱数発生部(93)と、前記乱数発生部(93)により発生された乱数に基づいて前記燃焼パターンを生成する燃焼パターン生成部(94)とを設けるようにしても良い。この構成によれば、燃焼パターンの作成が容易で、且つ、燃焼パターンのバリエーションを容易に増やすことができる。
また、上記構成において、前記燃焼調整部(75)は、燃料供給装置(43)、点火装置(56)、吸気量可変装置(42)、可変動弁装置(55)、気筒休止、及び、アイドリング回転数調整装置のいずれか一つ又は複数の組み合わせであるようにしても良い。この構成によれば、エンジン制御に必要な各種装置のいずれか一つ以上を用いて、エンジンにより発生する可聴音や振動の周期を変化させることができる。
【0011】
また、上記構成において、複数の前記エンジン(17)が個別の可聴音の周期で駆動する際、前記燃焼制御部(71)の制御によって各エンジン(17)が発生する可聴音の周期が変化する燃焼パターンを、全ての前記エンジン(17)の可聴音が各可聴音の周期よりも長い周期で同期する燃焼パターンに制御するポリリズム制御部(95)を設けるようにしても良い。この構成によれば、長い周期と同調する可聴音や振動を含みながら、リズムを異にする複数種類のフレーズを組み合わせた複合リズム、つまり、ポリリズムを実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、エンジンにより発生する可聴音または体感可能な振動の周期を変化させるように燃焼調整部を制御するので、従来のエンジンでは得られなかった可聴音や体感可能な振動の揺らぎを実現することができ、多様でより体感的な心地よさを演出することができるエンジンを提供できる。
また、エンジンが予め定めた目標運転状態に対応した燃焼状態となるように燃焼調整部を制御する通常モードと、エンジンにより発生する可聴音または体感可能な振動の周期を変化させるように燃焼調整部を制御する変化モードとの間で動作モードを切り替えるようにすれば、ユーザーの希望に応じて可聴音や振動のリズムを変えることができ、様々なユーザーの好みに合わせることができる。
また、通常モードと変化モードとに切り替えるモード切替スイッチを設けるようにすれば、ユーザーが容易にモードを切り替えできる。
【0013】
また、エンジンにより発生する可聴音または体感可能な振動の周期を所定パターンで変化させる燃焼パターンを記憶し、記憶された燃焼パターンに基づいて燃焼調整部を制御するようにすれば、上記可聴音や振動の周期変化を繰り返し再現でき、且つ、この変化の変更/設定も容易である。
また、燃焼パターンは、エンジンの燃焼休止を含むようにすれば、可聴音や振動のリズムの間隔を拡げることができ、従来のエンジンでは得られなかった独特のリズムを得ることができ、且つ、リズムのバリエーションを増やすことができる。
また、燃焼パターンは、エンジンの燃料噴射及び/又は点火の情報を含み、少なくとも燃料噴射量、燃料噴射の休止、噴射タイミング、又は、点火タイミングのいずれか1つの情報を含むようにすれば、エンジン制御に必須の燃料噴射及び点火の情報を利用するので、特別なエンジン制御やエンジン構造を追加する必要がない。
【0014】
また、燃焼パターンを切り替える燃焼パターン切替スイッチを設けるようにすれば、ユーザーが容易に燃焼パターンを切り替えできる。
また、エンジンの運転状態毎にユーザーに選択された燃焼パターンを記憶し、この記憶に従ってエンジンの運転状態に合わせて燃焼パターンを選択するようにすれば、ユーザーの好みを学習して自動的に反映することができ、且つ、運転状態に応じたグルーブサウンドをユーザーにフィードバックするので、運転状態を把握し易くなる。
また、エンジンにより発生する可聴音または体感可能な振動の周期の変化を、所定の周期で発生させるように燃焼調整部を制御するようにすれば、ブラックミュージック等の音楽分野で用いられるリズムの一つを再現することができ、従来のエンジンでは得られなかった独特のリズムを得ることができる。
【0015】
また、乱数を発生する乱数発生部と、乱数発生部により発生された乱数に基づいて燃焼パターンを生成する燃焼パターン生成部とを設けるようにすれば、燃焼パターンの作成が容易で、且つ、燃焼パターンのバリエーションを容易に増やすことができる。
また、燃焼調整部は、燃料供給装置、点火装置、吸気量可変装置、可変動弁装置、気筒休止、及び、アイドリング回転数調整装置のいずれか一つ又は複数の組み合わせであるようにすれば、エンジン制御に必要な各種装置のいずれか一つ以上を用いて、エンジンにより発生する可聴音や振動の周期を変化させることができる。
また、複数のエンジンが個別の可聴音の周期で駆動する際、各エンジンが発生する可聴音の周期が変化する燃焼パターンを、全てのエンジンの可聴音が各可聴音の周期よりも長い周期で同期する燃焼パターンに制御するポリリズム制御部を設けるようにすれば、長い周期と同調する可聴音や振動を含みながら、リズムを異にする複数種類のフレーズを組み合わせた複合リズム、つまり、ポリリズムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る自動二輪車の側面図である。
【図2】エンジンの制御系を示す図である。
【図3】制御ユニットを周辺構成と共に示すブロック図である。
【図4】(A)は通常モードの音圧波形を示し、(B)(C)は変化モードの音圧波形を説明する図である。
【図5】変形例に係るエンジンの制御系を示す図である。
【図6】変形例に係るポリリズム制御部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、以下の説明中、前後左右および上下といった方向は、車体の乗員(操縦者)から見た方向である。
図1は、本発明の実施形態に係る自動二輪車10の側面図である。
この自動二輪車10は、クルーザータイプの自動二輪車であり、車体フレーム11と、車体フレーム11の前端部に取り付けられたヘッドパイプ12に回動自在に支持された左右一対のフロントフォーク13と、フロントフォーク13の上端部を支持するトップブリッジ14に取り付けられた操舵用のハンドル15と、フロントフォーク13に回転自在に支持された前輪16と、車体フレーム11に支持された内燃機関としてのエンジン(パワーユニット)17と、エンジン17に排気管18A,18Bを介して連結された排気マフラー19A,19Bと、車体フレーム11の後下部のピボット20に上下に揺動自在に支持されたリアスイングアーム21と、このリアスイングアーム21の後端部に回転自在に支持された後輪22とを備え、リアスイングアーム21と車体フレーム11との間にリアクッション23が配設されている。
【0018】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ12から後下がりに延びるメインフレーム25と、メインフレーム25の後部に連結される左右一対のピボットプレート(センターフレームとも言う)26と、ヘッドパイプ12からメインフレーム25下方を後方に延びてピボットプレート26に連結されるダウンチューブ27とを備えている。メインフレーム25を跨ぐように燃料タンク28が支持され、メインフレーム25が後輪22上方まで延びてリアフェンダ29が支持され、このリアフェンダ29上方から燃料タンク28までの間にシート30が支持される。
なお、図1中、符号31はダウンチューブ27に支持されたラジエータ、符号32はフロントフェンダ、符号33はサイドカバー、符号34はヘッドライト、符号35はテールライト、符号36は乗員用ステップである。
【0019】
エンジン17は、複数のエンジンブラケット37(図1では一部のみを図示)を介して車体フレーム11に支持され、メインフレーム25、ピボットプレート26及びダウンチューブ27によって囲まれる空間に配置される。
このエンジン17は、2つのシリンダをV字状に配置したV型2気筒の4サイクルエンジンであり、クランク軸101や変速機構102等を支持するクランクケース105と、クランクケース105から前上がりに立設する前バンク110Aと、クランクケース105から後上がりに立設する後バンク110Bとを備えている。前バンク110Aと後バンク110Bとの間には、エンジン吸気系を構成するエアクリーナ41及びスロットルボディ42が設けられている。
【0020】
図2は、エンジン17の制御系を示す図である。なお、前バンク110Aと後バンク110Bの制御系は同じであり、図2では一方のバンク(前バンク110A)を示している。
前バンク110Aは、クランク軸101にコンロッド45を介してつながるピストン46が摺動自在なシリンダ部47と、シリンダ部47の上部を覆うシリンダヘッド48とを有している。シリンダヘッド48には、ピストン46の頂部が臨む燃焼室50に連通する吸気ポート51及び排気ポート52と、燃焼室50への吸排気をコントロールする動弁機構54と、燃焼室50内の混合気に点火するに点火装置56とが設けられている。
吸気ポート51には、吸気通路61が接続され、この吸気通路61に上流から順にエアクリーナ41、吸気量可変装置であるスロットルボディ42、燃料供給装置であるインジェクタ43が設けられており、エアクリーナ41で清浄化された空気の供給量をスロットルボディ42のスロットル弁(吸気絞り弁とも称する)44で調整し、インジェクタ43から供給される燃料と共に各バンク110A,110Bへ供給する。
【0021】
本実施形態の自動二輪車1は、各バンク110A,110Bに対応して設けられたスロットル弁44を開閉駆動するスロットル弁駆動部(例えば、駆動モータ)63を備えており、いわゆるスロットル・バイ・ワイヤ形式(電子スロットル形式とも称する)に構成されている。つまり、この自動二輪車1では、操縦者(ユーザー)が右手で操作するスロットルグリップ(スロットル操作子)15Aの操作が後述するスロットル開度センサー64で検出され、この検出結果に基づいてスロットル弁駆動部63がスロットル弁44を駆動する。
【0022】
動弁機構54は、吸気ポート51を開閉する吸気バルブ54Aと、排気ポート52を開閉する排気バルブ54Bとを有しており、クランク軸101の回転角度に同期させて吸排気バルブ54A,54Bを駆動し、4サイクルエンジンの各工程(吸気行程、圧縮行程、燃焼工程、排気行程)に対応する吸排気コントロールを行う。
本実施形態では、この動弁機構54が、吸排気バルブ54A,54Bの開閉タイミングの進角/遅角や開閉量の増大/減少によって吸排気バルブ54A,54Bの開閉特性を可変する可変動弁装置(開閉タイミング可変装置)55を備えており、より具体的には、この可変動弁装置55は、吸気バルブ54Aの開閉特性を可変させる吸気バルブ制御装置55Aと、排気バルブ54Bの開閉特性を可変させる排気バルブ制御装置55Bとを有し、これらによって、吸排気バルブ54A,54Bの開閉特性を変えてエンジン出力特性を可変可能である。
【0023】
制御ユニット71は、エンジンコントロールユニット(ECU)として機能するコンピューターであり、操縦者の操作を含む車体の各部からの情報を取得する運転状態検出部として機能すると共に、運転状態に基づいて被制御部(スロットルボディ42、点火装置56、可変動弁装置55等)を制御する制御部として機能する。なお、図中、符号38は、排気管18Aに設けられる触媒コンバータである。
【0024】
図3は、制御ユニット71を周辺構成と共に示すブロック図である。
制御ユニット71には、大別すると、車体の各部の情報を取得するセンサー部73と、エンジン17の燃焼状態を調整する燃焼調整部75と、操縦者が操作する操作部77とが接続されている。
センサー部73は、エンジン回転数を検出するクランク角度センサー(エンジン回転数センサー)81、車速を検出する車速センサー82、吸気負圧を検出する吸気負圧センサー83、吸気流速を検出する吸気流速センサー84、各バンク110A,110Bの吸気温度を検出する吸気温度センサー85、スロットルグリップ15Aの操作を検出するスロットル開度センサー86と、吸気バルブ54Aのリフト量を検出する吸気バルブリフト量センサー87と、排気バルブ54Bのリフト量を検出する排気バルブリフト量センサー88と、排出ガスの酸素濃度を検出する酸素センサー89と、大気圧を検出する大気圧センサー90とを有している。
【0025】
燃焼調整部75は、各バンク110A,110Bに設けられた点火装置56と、各バンク110A,110Bに燃料を供給するインジェクタ(燃料供給装置)43と、各バンク110A,110Bの吸気量を制御するスロットル弁駆動部63と、各バンク110A,110Bの吸気バルブ54Aを制御する吸気バルブ制御装置55Aと、各バンク110A,110Bの排気バルブ54Bを制御する排気バルブ制御装置55Bとを有している。つまり、エンジン17の燃焼状態は、点火タイミング、燃料供給、吸気、及び、吸排気バルブ54A,54Bの開閉特性といった各パラメータの組み合わせによって決まり、いずれかのパラメータを変化させてもエンジン17の燃焼状態に変化を生じさせることができる。
【0026】
本実施形態では、この燃焼状態に変化を生じさせることによって、エンジン17により発生する可聴音や体感可能な振動の極大値が現れるタイミングを時間軸上で前後に変化させ、つまり、エンジン音やエンジン振動のリズムを変化させるリズム変化機能を具備するようにしている。
以下、説明の便宜上、「エンジン音やエンジン振動」を「エンジン音等」と表記する。なお、本実施形態の自動二輪車1では、エンジン音の極大値とエンジン振動の極大値とが略一致のタイミングで発生しているが、別々のタイミングで発生するように構成しても良い。
【0027】
エンジン音等とエンジン17の燃焼状態との関係を説明すると、4サイクルエンジンでは、燃焼工程で最も大きなエネルギーが発生するため、このときにエンジン音等の極大値が発生する。従って、燃焼工程中の点火タイミングが、エンジン音等の極大値のタイミングを規定する大きな要素となっている。
但し、点火タイミングだけがエンジン音等の極大値のタイミングを規定するものではなく、燃料噴射のタイミング、又は、噴射量、若しくはその過渡変化、スロットル弁44のの開角のタイミング、又は、開度量、若しくはその過渡変化、吸気バルブ54Aや排気バルブ54Bの開閉タイミング、又は、リフト量、若しくはその過渡変化によっても、点火開始から混合気が完全燃焼するまでの時間が変化したり、燃焼室50内の混合気の流れの変化により点火開始から完全燃焼するまでの時間が変化したりするので、上記極大値のタイミングを規定する要素となる。
【0028】
つまり、点火タイミング、燃料供給量、吸気量、及び、吸排気バルブ54A,55Bの開閉特性のいずれを変化させても、エンジン音等の極大値のタイミングを前後にずらしてリズムを変化させることが可能である。
そこで、本実施形態では、エンジン17が予め定めた目標運転状態に対応した燃焼状態となるように燃焼調整部75を制御する通常モードに加え、上記の各要素を変えてエンジン音等の極大値のタイミングを前後にずらすように燃焼調整部75を制御する変化モードを設け、いずれかの動作モードで動作可能に構成されている。
【0029】
具体的には、制御ユニット71の記憶部(燃焼パターン記憶部)72には、上記動作モードで動作するための制御プログラム72Aと、各動作モードに対応する複数の燃焼パターン72Bのデータとが記憶されており、操作部77として、通常モードと変化モードとに切り替えるモード切替スイッチ77Aと、燃焼パターン72Bを切り替える燃焼パターン切替スイッチ77Bとが設けられている。
図2には、モード切替スイッチ77A及び燃焼パターン切替スイッチ77Bをスロットルグリップ15A近傍に設けることによって、操縦者が右手で操作可能に構成した場合を示している。図2中、「A」が通常モードへの切替スイッチを示し、「B」が変化モードへの切替スイッチを示し、「C」が燃焼パターン切替スイッチ77Bを示している。
【0030】
図4(A)は通常モードの音圧波形を示し、図4(B)は、通常モードから変化モードへの変更を示し、図4(C)は変化モードの音圧波形を示しており、横軸が時間、縦軸が音圧に対応している。これら図は、センサー部73によって検出される入力情報(スロットル操作量やエンジン17周りの各種情報)が同一の場合を示しており、図4中、白抜きの丸(○)が、前バンク110Aのエンジン音の極大値を示し、黒塗りの丸(●)が後バンク110Bのエンジン音の極大値を示している。
通常モードに対応する燃焼パターン72Bは、センサー部73によって検出される入力情報に応じて燃焼調整部75を制御するマップデータであり、入力情報から最適なエンジン性能を得るための燃焼制御値(点火タイミング、燃料噴射量、スロットル弁開度、吸排気バルブ54A,54Bの開閉特性)を特定する。
このため、図4(A)に示すように、センサー部73によって検出される入力情報が同一であれば、エンジン17が1サイクルする間(クランク角度で720°)に発生するエンジン音の極大値のタイミングは毎回同じとなる。
本実施形態のエンジン17では、前バンク110Aと後バンク110Bとによって不等間隔でエンジン音の極大値が発生するように構成されている。
【0031】
一方、変化モードに対応する燃焼パターン72Bは、エンジン17が1サイクルする間に発生するエンジン音の極大値のタイミングが、エンジン17の1サイクル毎又は複数サイクル毎或いはランダムサイクル毎に、乗員等が認識可能な程度に変化するパターンに設定される。
より具体的には、燃焼パターン72Bのデータとして、通常モードに対する進み時間や遅延時間を示す情報(図4(B)中の矢印に対応する情報)、つまり、通常モードに対する差分時間のデータが用いられる。そして、制御ユニット71が、このデータに基づいて燃焼制御値(点火タイミング、燃料噴射量、スロットル弁開度、吸排気バルブ54A,54Bの開閉特性)を設定し、燃焼調整部75を制御することによって、図4(C)に示す音圧波形、つまり、図4(B)中の矢印の分だけエンジン音の極大値のタイミングが変化した音圧波形が得られる。
このように、通常モードの燃焼パターン72Bに対する差分時間に基づいて変化モードの燃焼パターン72Bを設定すれば、変化モードの燃焼パターン72Bを設定し易くなり、また、通常モードを基準にして変化モードのリズムを作り易くなる、といったメリットがある。
この変化モードの燃焼パターン72Bのデータは、上記時間を用いるデータに限らず、例えば、入力情報に応じて燃焼調整部75を制御するマップデータに、時間軸上の変化を付与するようにデータを適用しても良く、種々の変更が可能である。
【0032】
次に動作を説明する。
エンジン17が始動した状態で、操縦者がモード切替スイッチ77Aを操作すると、制御ユニット71は、このスイッチ操作に応じて通常モードと変化モードとの間で動作モードを切り替える。ここで、通常モードに切り替えた場合、制御ユニット71は、記憶部72に記憶された通常モードに対応する燃焼パターン72Bのデータを読み出し、このデータに基づいて、センサー部73を介して取得した現在の入力情報に対応する燃焼制御値を設定し、この燃焼制御値に基づいて燃焼調整部75を制御する。
【0033】
一方、変化モードに切り替えた場合、制御ユニット71は、記憶部72に記憶された変化モードに対応する燃焼パターン72Bのデータを読み出す。変化モードに対応する燃焼パターン72Bのデータは、複数記憶されており、操縦者により燃焼パターン切替スイッチ77Bが操作されると、制御ユニット71は、このスイッチ操作に応じて変化モードに対応する別の燃焼パターン72Bのデータを読み出す。
次いで、制御ユニット71は、読み出した燃焼パターン72Bに基づいて、センサー部73を介して取得した現在の入力情報に対応する燃焼制御値を特定し、この燃焼制御値に基づいて燃焼調整部75を制御する。より具体的には、変化モードの燃焼パターン72Bのデータが差分時間の場合、制御ユニット71は、まず、記憶部72に記憶された通常モードに対応する燃焼パターン72Bのデータに基づいて、現在の入力情報に対応する燃焼制御値を特定した後、上記差分時間を付与するように予め規定された変換ルールを適用して燃焼制御値を補正し、この補正後の燃焼制御値に基づいて燃焼調整部75を制御する。
【0034】
例えば、燃焼タイミングを早める場合には、点火タイミングや燃料噴射タイミングを基準タイミング(通常モード時のタイミングに相当)よりも早くする制御、或いは、燃焼室50内の混合気の濃い部分が早期に点火装置56に届くように、又は、混合気の流れを早くするように吸排気バルブ54A,54Bの開閉特性を変化させ、燃焼タイミングを遅くする場合には、上記と逆の制御を行ったり、燃料噴射量の低減(通常モード時よりも低減)を行ったりすれば良い。なお、このような燃焼タイミングを変化させる制御は、公知の燃焼タイミングを微調整する制御を広く適用可能である。
また、変化モードの燃焼パターン72Bには、エンジン17の燃焼工程での燃焼休止(気筒休止)を含めても良い。この場合、制御ユニット71は、エンジン17の1サイクル中で燃料噴射の中止及び点火中止を行うことにより実現される。この構成によれば、気筒休止の分だけエンジン音の極大値の間隔が長くなるので、エンジン音のリズムを大きく変化させることが可能である。
【0035】
以上説明したように、変化モードでは、エンジン17が運転状態にある場合、制御ユニット71が、エンジン17により発生する可聴音の周期を変化させるように燃焼調整部75を制御するので、従来のエンジンでは得られなかった可聴音の揺らぎを実現することができ、新規なリズムやテンポを付与することができる。これにより、存在感、心地よさ、鼓動感のいずれもより強調することが可能となり、多様でより体感的な心地よさを演出することができるエンジン17を提供可能になる。
なお、エンジン17の可聴音の周期を変化させれば、乗員が体感する車体振動の周期も変化するので、従来のエンジンでは得られなかった体感可能な振動の揺らぎを実現することができ、これによっても、存在感、心地よさ、鼓動感のいずれもより強調することが可能となり、多様でより体感的な心地よさをより一層演出可能になる。
また、上記エンジン17により発生する可聴音や体感可能な振動は、エンジン17から直接発生する音や振動以外にも、上記エンジン制御によってエンジン17以外の部位(駆動系やタイヤ等)から発生する間接的な可聴音や振動も含んでいる。これらトータルの可聴音や振動によって、多様でより体感的な心地よさを演出可能である。
【0036】
また、エンジン17が予め定めた目標運転状態に対応した燃焼状態となるように燃焼調整部75を制御する通常モードと、エンジン17により発生する可聴音を変化させるように燃焼調整部75を制御する変化モードとの間で動作モードを切り替えるので、乗員の希望に応じて可聴音や振動等のリズムを変えることができ、様々な乗員の好みに合わせることができる。
また、動作モードを切り替えるモード切替スイッチ77Aや、変化モード時の燃焼パターン72Bを切り替える燃焼パターン切替スイッチ77Bを設けたので、乗員が容易にモード切り替えや燃焼パターン切り替えができる。
【0037】
また、本実施形態では、エンジン17により発生する可聴音または体感可能な振動の周期を所定パターンで変化させる燃焼パターン72Bを記憶部72に記憶し、記憶された燃焼パターン72Bに基づいて燃焼調整部75を制御するので、燃焼パターン72Bのような情報を記憶しない場合に比して、上記可聴音や振動の周期変化を繰り返し再現でき、且つ、この変化の変更/設定も容易である。
また、本実施形態では、点火タイミング、燃料供給、吸気、及び、吸排気バルブ54A,54Bの開閉特性といったエンジン制御に必須の制御値の少なくともいずれか1つの情報に基づいて、可聴音の周期を変化させるので、特別なエンジン制御やエンジン構造を追加する必要がなく、通常の制御値を用いてエンジン音やエンジン振動のリズムを変えることができ、部品点数の増大や構造の複雑化を抑えることができる。
【0038】
また、従来、この種のV型2気筒エンジン17を搭載する自動二輪車10は、エンジン17の燃焼間隔を不等間隔にすることによって得られる鼓動感を好むユーザーによって支持されており、本実施形態では、この自動二輪車10に上記エンジン制御を適用するので、鼓動感を好むユーザーの満足度をより向上させることができる。
さらに、変化モードの燃焼パターン72Bに、エンジン17の燃焼休止を含めたので、可聴音や振動のリズムの間隔を拡げることができ、従来のエンジンでは得られなかった独特のリズムを得ることができ、且つ、リズムのバリエーションを増やすことができる。
【0039】
このように本実施形態では、従来の自動二輪車では単調であった可聴音や振動のリズムを変化させることができるので、ジャズ、レゲエ、ソウル等のブラックミュージック等の音楽分野で用いられるグルーヴのあるリズム(所定の規則に基づいた揺らぎのあるリズム)を再現することが可能になる。従って、いわゆるグルーブサウンドを実現可能な新しい自動二輪車10を提供することができる。また、グルーブの制御の仕方により自動二輪車10に様々な個性を持たせることが可能になる。
【0040】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、制御ユニット71は、エンジン17の運転状態毎に乗員に選択された燃焼パターン72Bを記憶し、この記憶された燃焼パターン72Bを、エンジン17の運転状態に合わせて自動的に選択する学習機能を有するようにしても良い。
具体的には、例えば、エンジン17の始動直後のファーストアイドル時(第1運転状態と言う)には、操縦者が通常モードに設定し、車速センサー82の検出速度が零で、クランク角度センサー81の検出結果から安定した安定アイドル時(第2運転状態と言う)に、操縦者が変化モードを選び、所定の第1燃焼パターン72Bに切り替え、スロットル開度センサー86の検出結果からスロットルグリップ15Aが開かれ、車速センサー82の検出速度が所定速度以上の走行時(第3運転状態と言う)に、操縦者が変化モードの第2燃焼パターン72Bに切り替え、車速センサー82の検出角度が零の走行停止時(第4運転状態と言う)に、操縦者が変化モードの第1燃焼パターン72Bに切り替えたとする。
【0041】
この場合、制御ユニット71は、第1運転状態に通常モードを対応付け、第2運転状態に変速モードの第1燃焼パターン72Bを対応付け、第3運転状態に変速モードの第2燃焼パターン72Bを対応付け、第4運転状態に変速モードの第1燃焼パターン72Bを対応付けた対応付けデータを作成して記憶部72に記憶し、それ以降、センサー部73の検出結果に基づいて第1運転状態であれば通常モードに設定し、第2運転状態であれば変速モードの第1燃焼パターン72Bに設定し、第3運転状態であれば変速モードの第2燃焼パターン72Bに設定し、第4運転状態であれば変速モードの第1燃焼パターン72Bに設定する。
このとき、操縦者によって動作モード又は燃焼パターン72Bが切り替えられた場合には、制御ユニット71が、切替後に対応する対応付けデータに更新し、更新後のデータに基づいて動作モード及び燃焼パターン72Bを設定する。この構成によれば、操縦者の好みを学習して自動的に反映することができると共に、運転状態に応じたグルーブサウンドを操縦者にフィードバックすることができ、操縦者が運転状態を把握し易くなる。
【0042】
なお、上記各実施形態において、変化モードのときにエンジン回転が不安定になった場合には、制御ユニット71が通常モードに強制的に設定するようにしても良い。
また、上記各実施形態において、燃焼エンジン17により発生する可聴音または体感可能な振動の周期の変化を、燃焼間隔よりも長い所定の周期で発生させる燃焼パターン72Bを適用しても良い。この燃焼パターン72Bを用いれば、ブラックミュージック等の音楽分野で用いられるリズムの一つである、所定の周期で変化する揺らぎのあるリズムを再現することができ、従来のエンジンでは得られなかった独特のリズムを得ることができる。
【0043】
さらに、上記各実施形態において、図5に示すように、乱数を発生する乱数発生部93と、乱数発生部93により発生された乱数に基づいて変化モードの燃焼パターン72Bを生成する燃焼パターン生成部94とを設け、変化モードが選択された場合に、制御ユニット71が、燃焼パターン生成部94により燃焼パターン72Bを生成させ、この燃焼パターン72Bに基づいて制御するようにしても良い。この構成によれば、燃焼パターン72Bの作成が容易で、且つ、燃焼パターン72Bのバリエーションを容易に増やすことができる。
【0044】
また、上記実施形態では、エンジン17により発生する可聴音の周期を変化させるために、吸気量可変装置であるスロットルボディ42、燃料供給装置であるインジェクタ43、点火装置56、可変動弁装置55、気筒休止の全てを利用する場合を説明したが、これに限らず、いずれか一つ又は複数の組み合わせを利用するようにしても良い。また、この種の自動二輪車は、アイドリング回転数を調整するためのアイドリング回転数調整装置(不図示)を具備しているが、このアイドリング回転数調整装置の制御によって、エンジンにより発生する可聴音や振動の周期を変化させるようにしても良い。要は、エンジン制御に用いる各種装置のいずれか一つ以上を用いて、エンジン17により発生する可聴音や振動の周期を変化させれば良い。
【0045】
また、上記実施形態では、自動二輪車10単独で可聴音や振動の周期を変化させる場合を説明したが、これに限らない。例えば、複数の自動二輪車10が集まっている場合に、各自動二輪車10のエンジン17が個別の可聴音等(振動を含む)の周期で駆動することとなるが、この場合に、制御ユニット71によって各エンジン17が発生する可聴音等の周期が変化する燃焼パターン72Bを、全てのエンジン17の可聴音等が、当該可聴音等の周期よりも長い周期で同期する燃焼パターン72Bに制御するポリリズム制御部95を設けるようにしても良い。
【0046】
図6は、ポリリズム制御部95の一例を説明する図である。この図に示すように、集まっている全ての自動二輪車10にポリリズム制御部95が設けられ、各ポリリズム制御部95は、無線通信部96により他のポリリズム制御部95と無線通信可能に構成される。この無線通信により、通信エリア(例えば、数メートルの範囲)内の全てのポリリズム制御部95が通信リンクを確立し、通信リンク内のいずれか一つのポリリズム制御部95がホストとして機能し、このホストが、全ての自動二輪車10のエンジン17の可聴音が各可聴音の周期よりも長い周期で同期する燃焼パターン72Bを選定し、各ポリリズム制御部95を介して各制御ユニット71に振り分け設定する。
この場合に、ホストは、複数のエンジン17で異なる燃焼パターン72Bであって、各エンジン17の可聴音の周期よりも長い周期で各可聴音の極大値を同期させる燃焼パターン72Bを選定する。これにより、長い周期で同調する可聴音や振動を含みながら、リズムを異にする複数種類のフレーズを組み合わせた複合リズム(ポリリズム)を実現することができる。
【0047】
また、上記各実施形態では、エンジン17により発生する可聴音と体感可能な振動の周期を変化させるように燃焼調整部75を制御する場合を説明したが、要は、多様でより体感的な心地よさを演出可能な範囲で、エンジン17により発生する可聴音又は体感可能な振動の周期を変化させるように燃焼調整部75を制御すれば良い。また、上記各実施形態では、図1に示す自動二輪車10のエンジン17の制御装置に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、様々な自動二輪車のエンジンの制御装置に本発明を適用することができる。また、自動二輪車に搭載されるエンジン以外のエンジンの制御装置に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0048】
10 自動二輪車
17 エンジン
42 スロットルボディ(吸気量可変装置)
43 インジェクタ(燃料供給装置)
55 可変動弁装置
55A 吸気バルブ制御装置
55B 排気バルブ制御装置
56 点火装置
61 吸気通路
63 スロットル弁駆動部
64 スロットル開度センサー
71 制御ユニット(燃焼制御部)
72 記憶部(燃焼パターン記憶部)
73 センサー部
75 燃焼調整部
77 操作部
77A モード切替スイッチ
77B 燃焼パターン切替スイッチ
93 乱数発生部
94 燃焼パターン生成部
95 ポリリズム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(17)の燃焼状態を調整する燃焼調整部(75)と、前記燃焼調整部(75)を制御する燃焼制御部(71)とを設けたエンジンの制御装置において、
前記燃焼制御部(71)は、前記エンジン(17)の所定の運転状態において、前記エンジン(17)により発生する可聴音または体感可能な振動の周期を変化させるように前記燃焼調整部(75)を制御することを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
前記燃焼制御部(71)は、前記エンジン(17)が予め定めた目標運転状態に対応した燃焼状態となるように前記燃焼調整部(75)を制御する通常モードと、前記エンジン(17)により発生する可聴音または体感可能な振動の周期を変化させるように前記燃焼調整部(75)を制御する変化モードとの間で動作モードを切り替えることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
【請求項3】
前記通常モードと前記変化モードとに切り替えるモード切替スイッチ(77A)を設けたことを特徴とする請求項2に記載のエンジンの制御装置。
【請求項4】
前記エンジン(17)により発生する可聴音または体感可能な振動の周期を所定パターンで変化させる燃焼パターンを記憶する燃焼パターン記憶部(72)を有し、
前記燃焼制御部(71)は、前記燃焼パターンに基づいて前記燃焼調整部(75)を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項5】
前記燃焼パターンは、前記エンジン(17)の燃焼休止を含むことを特徴とする請求項4に記載のエンジンの制御装置。
【請求項6】
前記燃焼パターンは、前記エンジン(17)の燃料噴射及び/又は点火の情報を含み、少なくとも燃料噴射量、燃料噴射の休止、噴射タイミング、又は、点火タイミングのいずれか1つの情報を含んでいることを特徴とする請求項4又は5に記載のエンジンの制御装置。
【請求項7】
前記燃焼パターンを切り替える燃焼パターン切替スイッチ(77B)を設けたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
【請求項8】
前記燃焼制御部(71)は、前記エンジン(17)の運転状態毎にユーザーに選択された前記燃焼パターンを記憶し、この記憶に従って前記エンジン(17)の運転状態に合わせて前記燃焼パターンを選択することを特徴とする請求項7に記載のエンジンの制御装置。
【請求項9】
前記燃焼制御部(71)は、前記エンジン(17)により発生する可聴音または体感可能な振動の周期の変化を、所定の周期で発生させるように前記燃焼調整部(75)を制御することを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項10】
乱数を発生する乱数発生部(93)と、前記乱数発生部(93)により発生された乱数に基づいて前記燃焼パターンを生成する燃焼パターン生成部(94)とを設けたことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項11】
前記燃焼調整部(75)は、燃料供給装置(43)、点火装置(56)、吸気量可変装置(42)、可変動弁装置(55)、気筒休止、及び、アイドリング回転数調整装置のいずれか一つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項12】
複数の前記エンジン(17)が個別の可聴音の周期で駆動する際、前記燃焼制御部(71)の制御によって各エンジン(17)が発生する可聴音の周期が変化する燃焼パターンを、全ての前記エンジン(17)の可聴音が各可聴音の周期よりも長い周期で同期する燃焼パターンに制御するポリリズム制御部(95)を設けたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−72408(P2013−72408A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213871(P2011−213871)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】