説明

エンジンの点火時期制御装置

【課題】トルク重視の点火時期と燃費重視の点火時期との切り替えの際におけるドライバビリティの低下を防止し、運転状態が良好となるエンジンの点火時期を制御するエンジンの点火時期制御装置を提供する。
【解決手段】トルク重視の点火時期を記憶した点火時期マップ130と、点火時期マップ130により得られるトルク重視の点火時期を燃費重視の点火時期に補正するECU106とを備えるエンジン22の点火時期制御装置100において、トルク重視の点火時期を燃費重視の点火時期に補正する進角目標量が記憶された進角目標量マップ134をさらに備え、ECU106は、車両の運転状態が加速及び減速が少ないクルーズ状態になったと判断した場合は、進角目標量マップ134によりエンジン22の各気筒46毎に進角目標量を算出するとともに、当該各気筒46毎の進角目標量に対して、各気筒46の点火時期を段階的に変化させる進角制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの点火時期を、トルク重視の点火時期と燃費重視の点火時期とに切り替えるエンジンの点火時期制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、エンジンの動作ポイントを設定するための動作ラインとして最適燃費ラインとこの最適燃費ラインより回転数に対してトルクが大きいトルク優先ラインとを切り替えてエンジンの動作ポイントを設定する動力出力装置であって、トルク優先ラインから最適燃費ラインを切り替える際に、エンジン回転数が上昇することによって運転者に与える異和感を抑制する制御手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−226131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、運転者に対して異和感を与えないように、トルク優先ラインと最適燃費ラインとを切り替えるものであって、動作ラインの切り替え中の過渡的な状態で、運転状態が良好となるように制御することは記載されていない。
【0005】
そこで、本発明は、トルク重視の点火時期と燃費重視の点火時期との切り替えの際の過渡状態におけるドライバビリティの低下を防止し、運転状態が良好となるエンジンの点火時期を制御するエンジンの点火時期制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、トルク重視の点火時期を記憶した点火時期マップ(130)と、前記点火時期マップ(130)により得られるトルク重視の点火時期を燃費重視の点火時期に補正する点火時期補正手段(106)とを備えるエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、前記トルク重視の点火時期を前記燃費重視の点火時期に補正する進角目標量が記憶された進角目標量マップ(134)をさらに備え、前記点火時期補正手段(106)は、車両の運転状態が加速及び減速が少ないクルーズ状態になったと判断した場合は、前記進角目標量マップ(134)により前記エンジン(22)の各気筒(46)毎に進角目標量を算出するとともに、当該各気筒(46)毎の進角目標量に対して、前記各気筒(46)の点火時期を段階的に変化させる進角制御を実行することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、前記点火時期補正手段(106)による進角制御は、一定の周期で前記各気筒(46)毎の点火時期を進角移行量ずつ進角させることで、前記各気筒(46)毎の前記トルク重視の点火時期を、前記各気筒(46)毎の前記進角目標量まで進角させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、前記点火時期補正手段(106)による進角制御は、前記各気筒(46)毎の前記トルク重視の点火時期を前記進角移行量ずつ進角させていき、前記各気筒(46)毎の進角量が前記進角目標量を超える場合は、該各気筒(46)毎の進角量を前記進角目標量に制限することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、前記点火時期補正手段(106)は、前記車両の運転状態がクルーズ状態でなくなった場合は、前記エンジン(22)の前記各気筒(46)毎の点火時期を段階的に遅角させていくことで、前記トルク重視の点火時期に戻す復帰制御を実行することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、前記点火時期補正手段(106)による復帰制御は、一定の周期で前記各気筒(46)毎の点火時期を遅角移行量ずつ遅角させることで、前記各気筒(46)毎の点火時期を前記トルク重視の点火時期に戻すことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項2、3、5の何れか1項に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、前記進角移行量及び前記遅角移行量は、エンジン回転数に応じて予め決定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、前記進角移行量及び前記遅角移行量は、前記エンジン回転数が大きいほど、大きく設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、クルーズ状態になると、各気筒の点火時期を段階的に進角させていくことで、トルク重視の点火時期を、燃費重視の点火時期まで進角させるので、過渡状態における各気筒、エンジンの出力変化が穏やかになり、点火時期の移行が良好になる上、ドライバビリティが低下することなく、運転状態が良好となり、運転者に異和感を与えることがなく点火時期を変更することができる。また、エンジンの気筒毎に、進角目標量を得るので、気筒毎にトルク重視の点火時期と燃費重視の点火時期との偏差が異なる場合であっても、良好に点火時期を制御することができ、過渡状態における各気筒、エンジンの出力変化が穏やかになり、ドライバビリティが低下することがない。これにより、運転状態が良好となり、運転者に異和感を与えることがなく点火時期を変更することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、一定の周期で気筒毎の点火時期を一定量進角させるので、トルク重視の点火時期から燃費重視の点火時期に切り替える際の過渡状態における各気筒、エンジンの出力変化がリニアになる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、各気筒毎のトルク重視の点火時期を進角移行量ずつ進角させていき、各気筒毎の進角量が進角目標量を超える場合は、各気筒毎の進角量を進角目標量に制限するので、徐々に点火時期を進角させていき、最終的には燃費重視の点火時期に移行させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、車両の運転状態がクルーズ状態でなくなった場合は、エンジンの気筒毎の点火時期を段階的に遅角させていくことで、トルク重視の点火時期に戻す復帰制御を実行するので、過渡状態における各気筒、エンジンの出力変化が穏やかになり、ドライバビリティが低下することなく、運転状態が良好となり、運転者に異和感を与えることがなく点火時期を変更することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、一定の周期で気筒毎の点火時期を一定量遅角させるので、燃費重視の点火時期からトルク重視の点火時期に切り替える際の過渡状態における各気筒、エンジンの出力変化がリニアになる。
【0018】
請求項6及び7に記載の発明によれば、進角移行量及び遅角移行量をエンジンの回転数に応じて決められているので、エンジン回転数に応じて点火時期を適切に進角、遅角させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係るエンジンの点火時期制御装置を有する鞍乗型自動二輪車を示す概略側面図である。
【図2】エンジンの点火時期制御装置の電気的な概略構成図である。
【図3】実施可能領域マップの一例を示す図である。
【図4】進角目標量マップの一例を示す図である。
【図5】進角移行量マップの一例を示す図である。
【図6】遅角移行量マップの一例を示す図である。
【図7】点火時期制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】図7のクルーズ条件判断処理の動作を示すサブフローチャートである。
【図9】図7のクルーズ条件判断処理の動作を示すサブフローチャートである。
【図10】図7の点火時期補正制御処理の動作を示すサブフローチャートである。
【図11】クルーズアドバンス制御によって補正される点火時期を示す図である。
【図12】復帰制御によって補正される点火時期の補正を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るエンジンの点火時期制御装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係るエンジンの点火時期制御装置を有する鞍乗型自動二輪車(以下、自動二輪車という)12を示す概略側面図である。なお、発明の理解を容易にするために、特に指示のない限り、図1に示す矢印方向を基準として、前後及び上下の方向を説明するとともに、車体に着座した運転者から見た方向を基準として、左右の方向を説明する。
【0022】
自動二輪車12は、車体を構成する車体フレーム14と、該車体フレーム14の前端部に設けられたヘッドパイプ16に回転自在に軸支される左右一対のフロントフォーク18と、フロントフォーク18に取り付けられる前輪(操舵輪)20と、車体フレーム14に支持される自動二輪車12の駆動源であるエンジン22と、車体フレーム14下部のピボット部24に揺動可能に支持されるスイングアーム26と、該スイングアーム26の後端部に取り付けられる後輪(駆動輪)28とを備える。
【0023】
車体フレーム14は、例えば、高剛性を有するアルミ鋳造性のチューブフレームによって構成されている。車体フレーム14は、ヘッドパイプ16から斜め下方に延びる一対のメインフレーム30と、該メインフレーム30の後部に連接され下方に向かって延出するピボット部24と、該メインフレーム30の後部に取り付けられ後斜め上方に延びる左右一対のシートフレーム32とを有する。
【0024】
ヘッドパイプ16の前方には、車体の前方を照射するヘッドライト36が設けられている。ヘッドパイプ16の上方には、前輪20を操舵可能なハンドル38が取り付けられ、このハンドル38には、左右一対のバックミラー40が取り付けられている。右側のハンドル38には、自動二輪車12の加速を指示する図示しないスロットルグリップが設けられている。
【0025】
前輪20は、このフロントフォーク18の下端部に回転自在に軸支されており、その側面には、前輪20に制動力を与えるブレーキ装置(ディスクブレーキ)20aが装着されている。また、フロントフォーク18の下端部には、前輪20を上方から覆うフロントフェンダ42が取り付けられている。
【0026】
エンジン22は、例えば、水冷4ストロークV型4気筒エンジンであり、エンジン22は、下端部に配置されるクランクケース44と、4つのシリンダ(気筒)46、46、46、46とを備える。4つのシリンダ46、46、46、46のうち、2つのシリンダ46、46は、該クランクケース44から斜め前上方に向けて左右に延設され、その後方において残りの2つのシリンダ46、46が斜め後上方に向けて左右に延設される。エンジン22は、斜め前方に延設されたシリンダ46、46と斜め後方に延設されたシリンダ46、46とに挟まれた中間部がメインフレーム30に固定支持されるとともに、後部がピボット部24に固定支持されることで、その姿勢が固定される。
【0027】
シリンダ46、46、46、46の内部には、図示しない点火を行う点火プラグ(点火装置)、及び、ピストンが収納されている(図示略)。一方、クランクケース44の内部には、前記ピストンにコンロッドを介して連結される後述するクランク軸が軸支されている(図示略)。このエンジン22の回転駆動力は、クランクケース44から後方に延在する図示しないドライブシャフトによって後輪28に伝達される。
【0028】
エンジン22の前方には、エンジン22の放熱を行うラジエータ50が配設される。さらに、エンジン22の上方には、燃料タンク52及び吸気装置54が搭載される。吸気装置54は、各シリンダ46、46、46、46に接続される吸気管56、56、56、56と、該吸気管56、56、56、56に接続されるエアクリーナ58とを備える。吸気管56には、シリンダ46、46、46、46に供給する空気量を調整するスロットルバルブ57、57、57、57が設けられている。スロットルバルブ57、57、57、57は、TBW(スロットル・バイ・ワイヤ)方式によって、その開度が調整される。吸気装置54は、取り込んだ空気の埃等をエアクリーナ58によって除去し、該空気を吸気管56、56、56、56を介してシリンダ46、46、46、46に供給する。
【0029】
一方、エンジン22の下部には、排気装置60が設けられている。排気装置60は、シリンダ46、46、46、46にそれぞれ接続されてクランクケース44の下部を回り込むようにして後ろに伸びる排気チューブ62と、排気チューブ62に連通して後輪28の右側に配置される排気マフラー64とを備え、エンジン22からの排気ガスを排気する機能を有している。
【0030】
スイングアーム26は、ピボット部24から後方に向かって略水平に延び、その後端部には、後輪28が回転自在に軸支される。後輪28の側面には、後輪28に制動力を与えるブレーキ装置(ディスクブレーキ)28aが装着されている。スイングアーム26の上部には、メインフレーム30とスイングアーム26とを弾性的に接続するリアクッション66が取り付けられている。このリアクッション66は、自動二輪車12の走行時の振動を吸収する機能を有している。
【0031】
一方、シートフレーム32には、搭乗者(運転者及び同乗者)を載せるシート68が配設されている。シート68は、運転者が着座するフロントシート68a、及びフロントシート68aの後方で同乗者が着座するリアシート68bからなる、いわゆるタンデム型のシートが採用されている。また、シートフレーム32の後部には、後方に延び、その後部下側から斜め下方に延びるリアフェンダ70が取り付けられている。リアフェンダ70には、テールランプユニット72が取り付けられている。テールランプユニット72には、ブレーキランプ72a及び後側ウィンカランプ72bが配設されている。
【0032】
自動二輪車12には、車体の前後方向に向けて車体の意匠(外観)を構成する車体カバー74が取り付けられている。車体カバー74は、ヘッドライト36の周囲を覆うヘッドライトカバー76と、ヘッドライト36の上部においてスクリーン78を支持するスクリーン支持カバー80と、ハンドル38の前方を覆うハンドルカバー82と、ヘッドライト36の両側面から後方向に延在する左右一対のサイドカウル84とシートフレーム32とともに後上方に伸び、該シートフレーム32の両側面を覆うリアカウル86とを有している。
【0033】
車体カバー74は、ヘッドライト36及びスクリーン支持カバー80を支持するカウルサポートステー88を備え、このカウルサポートステー88は、メインフレーム30の前部に固定されている。カウルサポートステー88は、ヘッドライト36の後側に配設されるメータユニット90を支持するとともに、その両側面には前側ウィンカランプ92が取り付けられている。参照符号94は、左右一対のメインフレーム30の側面からサイドカウル84を回り込んで前方にそれぞれ延出し、ヘッドライトカバー76の下部に接続されるカウルガードパイプである。
【0034】
図2は、エンジン22の点火時期制御装置100の電気的な概略構成図である。点火時期制御装置100は、V型4気筒のエンジン22と、シリンダ46、46、46、46に接続された吸気管56、56、56、56と吸気管56、56、56、56内に設けられたスロットルバルブ57、57、57、57と、シリンダ46、46、46、46の図示しない燃焼室に吸気される混合気を生成するために燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)102、102、102、102と、前記燃焼室内の混合気に点火する点火プラグ(点火装置)104、104、104、104とを備える。混合気は、空気と燃料とが混合されたものである。
【0035】
インジェクタ102、102、102、102は、各シリンダ46、46、46、46の前記燃焼室への吸気空気量を調整するスロットルバルブ57、57、57、57を介して吸入された空気に燃料を噴射して混合気を生成する。生成された混合気が前記燃焼室に流入されて、点火プラグ104、104、104、104によって点火されて混合気が燃焼することで、エンジン22は、燃焼エネルギーを動力に変換する。
【0036】
スロットルバルブ57、57、57、57は、図示しないモータを介してECU(制御装置)106によって制御され、その開度が調整される。スロットルバルブ57、57、57、57の開度は、前記スロットルグリップの開度に応じて開かれる。本実施の形態では、スロットルバルブ57、57、57、57の開度が大きいほど、エンジン22の出力は大きくなるものとする。各スロットルバルブ57、57、57、57の開度は、同じとなるように制御される。
【0037】
インジェクタ102、102、102、102の燃料噴射量、噴射時期、及び噴射時間や点火プラグ104、104、104、104の点火時期は、ECU106によって制御される。
【0038】
エンジン22の出力軸であるクランク軸108は、DCT(Dual Clutch Transmission)110を介して後輪28に接続される。DCT110は、後輪28に伝達させる動力を変速させるものである。詳しくは、奇数段のギアセット(例えば、1速ギア段、3速ギア段、5速ギア段)と偶数段のギアセット(例えば、2速ギア段、4速ギア段、6速ギア段)を2つのクラッチで切り換えるトランスミッションであり、前記2つのクラッチを交互に繋ぎ変える事で瞬時に変速を行う。例えば、現在接続されているギアポジションが3速ギア段の場合は、2速ギア段又は4速ギア段が待機している状態となり、他方のクラッチに切り換えることで瞬時に変速を行うことができる。接続させるギア段を変えることでDCT110の変速比が変わる。1速ギア段が最も変速比が高く、6速ギア段が最も変速比が低い。
【0039】
点火時期制御装置100は、前記スロットルグリップの開度を検出するスロットルグリップ開度センサ112と、スロットルバルブ57、57、57、57の開度を検出するスロットルバルブ開度センサ114と、エンジン22の図示しない冷却水の温度を検出する水温センサ116と、エンジン22及びDCT110の潤滑油の温度を検出する油温センサ118と、エンジン22のクランク軸108の回転数(エンジン回転数NE)を検出する回転数センサ120と、現在接続されているギア段を検出するギアポジションセンサ122と、自動二輪車12の車速を検出する車速センサ124とを有し、スロットルグリップ開度センサ112、スロットルバルブ開度センサ114、水温センサ116、油温センサ118、回転数センサ120、ギアポジションセンサ122、及び車速センサ124が検出した信号は、ECU106に送られる。この上記各種センサは、所定の周期で検出を行う。
【0040】
記憶部126は、ECU106の制御に必要なプログラム、及びデータが記憶されているとともに、ECU106のワーキングメモリとして使用される。特に、記憶部126には、点火時期マップ130、実施可能領域マップ132、進角目標量マップ134、進角移行量マップ136、及び遅角移行量マップ138が記憶されている。
【0041】
点火時期マップ130は、トルク重視の点火時期を記憶したマップである。詳しくは、エンジン回転数NEとシリンダ46、46、46、46に吸入される吸入空気量に応じた、各シリンダ46、46、46、46の点火時期が定められており、該点火時期マップ130は、シリンダ46、46、46、46毎に設けられている。吸入空気量は、スロットルバルブ57、57、57、57の開度に応じて決まる。
【0042】
実施可能領域マップ132は、後述するクルーズアドバンス制御(進角制御)の実行を許可する実施可能領域が記憶されており、図3の斜線で示すように実施可能領域は、エンジン回転数NE、及び、前記スロットルグリップの開度又はスロットルバルブ57、57、57、57の開度(以下、前記スロットルグリップの開度、スロットルバルブ57、57、57、57の開度を総称してスロットル開度THという)によって定められている。
【0043】
進角目標量マップ134は、トルク重視の点火時期を燃費重視であり、且つ、トルクが最大となる点火時期MBT(Minimum Advance for Best Torque)に補正するための進角目標量が記憶されている。進角目標量は、図4に示すように、スロットル開度THとエンジン回転数NEに応じて定められている。この進角目標量マップ134は、シリンダ46、46、46、46毎に設けられている。
【0044】
進角移行量マップ136には、1回の点火時期の補正によって、点火時期を進角させる量を示す進角移行量(一定量)が記憶されている。進角移行量は、図5に示すように、エンジン回転数NEに応じて定められている。進角移行量は、エンジン回転数NEが大きいほど大きく設定されている。本実施の形態では、エンジン回転数NEが第1回転数以下の場合はそれ以上進角移行量が小さくならないようにリミッタが設けられている。また、同様に、エンジン回転数NEが第2回転数以上の場合はそれ以上進角移行量が大きくならないようにリミッタが設けられている。
【0045】
遅角移行量マップ138には、1回の点火時期の補正によって、点火時期を遅角させる量を示す遅角移行量(一定量)が記憶されている。遅角移行量は、図6に示すように、エンジン回転数NEに応じて定められている。遅角移行量は、エンジン回転数NEが大きいほど大きく設定されている。本実施の形態では、エンジン回転数NEが第3回転数以下の場合はそれ以上遅角移行量が小さくならないようにリミッタが設けられている。また、同様に、エンジン回転数NEが第4回転数以上の場合はそれ以上遅角移行量が大きくならないようにリミッタが設けられている。
【0046】
ECU(点火時期補正手段)106は、上記各種センサによって検出された検出信号に基づいて、各スロットルバルブ57、57、57、57の開度、各インジェクタ102、102、102、102の燃料噴射量や噴射時期を制御するとともに、各点火プラグ104、104、104、104の点火時期を制御する。
【0047】
ECU106は、トルク重視の点火時期をスロットル開度THの変化量ΔTHに応じて、該点火時期を補正する。詳しくは、一定時間前のスロットル開度THと現在のスロットル開度THとの変化量(現在のスロットル開度THから一定時間前のスロットル開度THを減算した値)ΔTHの大きさに応じて、点火時期マップ130から読み出されたトルク重視の点火時期を進角させることで、該トルク重視の点火時期を補正する。本実施の形態では、特に言及しない限り、トルク重視の点火時期とは、点火時期マップ130から読み出された点火時期であってもよく、変化量ΔTHの大きさに応じて補正されたトルク重視の点火時期であってもよい。
【0048】
また、ECU106は、運転状態が加減速している状態から、加減速しないクルーズ状態になった場合は、トルク重視の点火時期を、燃費重視であり、且つ、トルクが最大となる点火時期MBT(以下、燃費重視の点火時期MBTという)に補正する補正制御(クルーズアドバンス制御)を行う。詳しくは、ECU106は、トルク重視の点火時期を進角目標量まで進角させることで、燃費重視の点火時期MBTに補正する。このとき、点火時期をトルク重視の点火時期から一気に燃費重視の点火時期MBTにすると、運転者に異和感を与えてしまい、ドライバビリティが低下するので、点火時期を進角移行量ずつ進角させていくことで、徐々に点火時期を進角目標量まで進角させる。このとき、ECU106は、インジェクタ102によって噴射される燃料噴射量を変えてもよい。トルク重視の点火時期で混合気を爆発させる場合のインジェクタ102が噴射する燃料噴射量は、燃費重視の点火時期MBTで点火させる場合の燃料噴射量より大きい。また、点火時期を段階的に進角させていくにつれて、燃料噴射量を段階的に少なくさせる。
【0049】
また、運転状態がクルーズ状態から脱した場合(運転状態が加減速している状態に戻った場合)も同様に、燃費重視の点火時期MBTを一気にトルク重視の点火時期に戻すと、運転者に異和感を与えてしまい、ドライバビリティが低下するので、遅角移行量ずつ点火時期を遅角させていくことで、徐々に点火時期をトルク重視の点火時期に戻す復帰制御を行う。このとき、ECU106は、インジェクタ102によって噴射される燃料噴射量を変えてもよい。点火時期を段階的に遅角させていくにつれ、燃料噴射量を段階的に大きくさせる。
【0050】
次に、点火時期制御装置100の動作を図7のフローチャートにしたがって説明する。
【0051】
ステップS1で、ECU106は、後述するクルーズ条件判断処理を行い、ステップS2で、ECU106は、後述する点火時期補正制御処理を行う。この図7のフローチャートに示す動作は、一定の周期で行う。この一定の周期は、少なくとも前記した所定の周期以上の長さである。
【0052】
まず、図7のステップS1で、クルーズ条件判断処理について説明する。クルーズ条件判断処理を開始すると、図8のステップS21に進み、ECU106は、車速センサ124が正常であるか否かを判断する。ステップS21で、車速センサ124が正常であると判断すると、ECU106は、ギアポジションセンサ122が正常であるか否かを判断する(ステップS22)。
【0053】
ステップS22で、ギアポジションセンサ122が正常であると判断すると、現在接続されているギアポジションが高速ギア段であるか否かを判断する(ステップS23)。この判断は、ギアポジションセンサ122が検出したギア段に基づいて判断する。ここで、ECU106は、現在接続されているギア段が所定ギア段(例えば、4速ギア段)以上の場合は、現在接続されているギアポジションが高速ギア段であると判断する。
【0054】
ステップS23で、現在接続されているギアポジションが高速ギア段であると判断すると、ECU106は、点火時期マップ130から読み出され、変化量ΔTHに応じて補正されたトルク重視の点火時期の進角量が所定量以下であるか否かを判断する(ステップS24)。つまり、変化量ΔTHに応じて補正されたトルク重視の点火時期が所定量よりも進角していないか否かを判断する。
【0055】
ステップS24で、補正されたトルク重視の点火時期の進角量が所定量以下である(進角していない)と判断すると、ECU106は、現在の運転状態が無負荷運転の状態であるか否かを判断する(ステップS25)。ECU106は、ニュートラル状態の場合は、無負荷運転の状態と判断する。この判断は、スロットルグリップ開度センサ112、ギアポジションセンサ122の検出信号に基づいて判断する。なお、図示しないクラッチが開放されている場合も、無負荷運転の状態と判断してもよい。
【0056】
ステップS25で、現在の運転状態が無負荷運転の状態でないと判断すると、水温が所定温度以上であるか否かを判断する(ステップS26)。この判断は、水温センサ116の検出信号に基づいて判断する。なお、ステップS26では、水温に変えて油温が所定温度以上であるか否かを判断してもよく、水温及び油温が所定温度以上であるか否かを判断してもよい。
【0057】
ステップS26で水温が所定温度以上であると判断すると、ECU106は、フラグF_CRZRが0であるか否かを判断する(ステップS27)。フラグF_CRZRは、燃費重視の点火時期MBTからトルク重視の点火時期に戻す復帰制御が実行中であるか否かを示す(運転状態が、加減速しないクルーズ状態から加減速する状態に復帰している最中であることを示す)フラグであり、復帰制御が実行中である場合は、フラグF_CRZRが1となる。このフラグF_CRZRの値は、記憶部126に記憶されている。
【0058】
ステップS27で、フラグF_CRZRが0であると判断すると、ECU106は、実施可能領域マップ132を用いて、現在の運転状態がクルーズアドバンス制御の実行を許可する実施可能領域内にあるか否かを判断する(ステップS28)。つまり、現在のエンジン回転数NE及びスロットル開度THが、図3の実施可能領域マップ132に示す実施可能領域内にあるか否かを判断する。
【0059】
ステップS28で、現在の運転状態が実施可能領域内にあると判断すると、ECU106は、フラグF_CRZが0であるか否かを判断する(ステップS29)。フラグF_CRZは、トルク重視の点火時期を、燃費重視の点火時期MBTにするクルーズアドバンス制御が実行中であるか否かを示す(運転状態がクルーズ状態であることを示す)フラグであり、クルーズアドバンス制御が実行中である場合は、フラグF_CRZが1となる。このフラグF_CRZの値は、記憶部126に記憶されている。
【0060】
ステップS29で、フラグF_CRZが0であると判断すると、ECU106は、スロットル開度THの変化量ΔTHの絶対値が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS30)。スロットル開度THの変化量ΔTHの絶対値が所定値以下でない場合は、現在の運転状態は加減速している状態であり、クルーズ状態と言えないからである。
【0061】
ステップS30で、スロットル開度THの変化量ΔTHの絶対値が所定値以下であると判断すると、ECU106は、実施条件監視時間が経過したか否かを判断する(ステップS31)。つまり、クルーズ条件判断処理は、一定の周期で繰り返し行われ、ステップS31では、実施条件監視時間以上の間、ステップS30でスロットル開度THの変化量ΔTHの絶対値が所定値以下と判断されたか否かを判断している。
【0062】
ステップS31で、実施条件監視時間が経過したと判断すると、現在の運転状態が加減速のないクルーズ状態になったと判断し、ECU106は、フラグF_CRZを1にするとともに、現在のスロットル開度THを基準スロットル開度THCRZとして(ステップS32)、クルーズ条件判断処理を終了する。このフラグF_CRZを1にすることで、ECU106は、現在の運転状態がクルーズ状態であり、クルーズアドバンス制御が実行中であることを認識することができる。
【0063】
一方、ステップS30でスロットル開度THの変化量ΔTHが所定値以下でないと判断した場合、ステップS31で実施条件監視時間が経過していないと判断すると、フラグF_CRZの値を変更することなく、現時運転状態が加減速のないクルーズ状態でないと判断して、クルーズ条件判断処理を終了する。
【0064】
ステップS29で、フラグF_CRZが0でない、つまり、1であると判断すると、ECU106は、基準スロットル開度THCRZから現在のスロットル開度THを減算した値の絶対値が閾値以下であるか否かを判断する(ステップS33)。ステップS33では、加減速していないクルーズ状態が継続して行われているか否かを判断している。
【0065】
ステップS33で、基準スロットル開度THCRZから現在のスロットル開度THを減算した値の絶対値が閾値以下であると判断すると、クルーズ条件判断処理を終了し、ステップS33で、基準スロットル開度THCRZから現在のスロットル開度THを減算した値の絶対値が閾値以下でないと判断すると、ECU106は、フラグF_CRZを0にするとともに、F_CRZRを1にして(ステップS34)、クルーズ条件判断処理を終了する。基準スロットル開度THCRZから現在のスロットル開度THを減算した値の絶対値が閾値以下でない場合は、現在の運転状態がクルーズ状態とは言えないので、クルーズ状態から加減速する状態に復帰させるべく、フラグF_CRZを0にして、フラグF_CRZRを1にする。このフラグF_CRZRを1にすることで、ECU106は、現在復帰制御が実行中であることを認識することができる。
【0066】
ステップS27で、フラグF_CRZRが1であると判断すると、図9のステップS35に進み、各シリンダ46、46、46、46における点火時期の進角量IGCRZ1〜4が0以下であるか否かを判断する。IGCRZ1は、第1のシリンダ46における点火時期の進角量を示し、IGCRZ2は、第2のシリンダ46における点火時期の進角量を示し、IGCRZ3は、第3のシリンダ46における点火時期の進角量を示し、IGCRZ4は、第4のシリンダ46における点火時期の進角量を示す。進角量IGCRZ1〜4が0以下の場合は、各シリンダ46、46、46、46における点火時期は、進角していないことになり、各シリンダ46、46、46、46の点火時期は、燃費重視の点火時期MBTから、トルク重視の点火時期に戻っていることになる。つまり、復帰制御が完了していることになる。この進角量IGCRZ1〜4は、各シリンダ46、46、46、46の点火時期が、各シリンダ46、46、46、46のトルク重視の点火時期からどのくらい進角しているかを示している。
【0067】
ステップS35で、IGCRZ1〜4が0以下であると判断すると、復帰制御が完了しているので、フラグF_CRZを0にするとともに、フラグF_CRZRも0にしてから(ステップS36)、クルーズ条件判断処理を終了する。一方、ステップS35で、IGCRZ1〜4が0以下でないと判断すると、フラグF_CRZ及びフラグF_CRZRの値を変更することなく、クルーズ条件判断処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS26で、水温が所定温度以上でないと判断された場合、ステップS28で、現在の運転状態が実施可能領域内にないと判断すると、図9のステップS37に進み、フラグF_CRZが0であるか否かを判断する。
【0069】
ステップS37で、フラグF_CRZが1の場合は(現在の運転状態がクルーズ状態であり、クルーズアドバンス制御が実行中である場合は)、図8のステップS34に進み、フラグF_CRZを0にするとともに、F_CRZRを1にして、クルーズ条件判断処理を終了する。F_CRZが1の状態で、現在の運転状態が実施可能領域内でない場合は、クルーズ状態とは言えないので、クルーズ状態から加減速する状態に復帰させるべく、フラグF_CRZを0にして、フラグF_CRZRを1にする。水温が所定温度以上でなく、ステップS37でフラグF_CRZが1であると判断された場合は、ステップS34で、フラグF_CRZを0、フラグF_CRZRを1にすることで、燃料噴射量が多くなり、水温が低下することを防ぐことができる。
【0070】
一方、ステップS37で、F_CRZが0の場合は(現在の運転状態がクルーズ状態でない場合は)、ステップS36に進み、フラグF_CRZを0にするとともに、フラグF_CRZRも0にしてから、クルーズ条件判断処理を終了する。
【0071】
また、ステップS21で車速センサが正常でないと判断された場合、ステップS22でギアポジションセンサが正常でないと判断された場合、ステップS23でギアポジションが高速ギア段でないと判断された場合、ステップS24で補正後のトルク重視の点火時期の進角量が所定量以下でないと判断された場合、ステップS25で無負荷運転と判断された場合は、図9のステップS36に進み、F_CRZを0にするとともに、F_CRZRも0にして、クルーズ条件判断処理を終了する。
【0072】
次に、図7のステップS2の、点火時期補正制御処理について説明する。点火時期補正制御処理を開始すると、図10のステップS51に進み、ECU106は、フラグF_CRZRが0であるか否かを判断する。つまり、ステップS51では、燃費重視の点火時期MBTからトルク重視の点火時期に戻す復帰制御が実行中であるか否かを判断している。
【0073】
ステップS51で、フラグF_CRZRが0であると判断すると、復帰制御中ではないと判断し、フラグF_CRZが0であるか否かを判断する(ステップS52)。つまり、ステップS52では、クルーズアドバンス制御中であるか否かを判断している。ステップS52で、フラグF_CRZが1であると判断すると、クルーズアドバンス制御中であると判断し、前回のステップS52でフラグF_CRZが0であると判断したか否かを判断する(ステップS53)。つまり、前回のステップS52で、クルーズアドバンス制御中であると判断したか否かを判断する。
【0074】
ステップS53で、前回のステップS52でフラグF_CRZが1であると判断したと判断するとそのままステップS55に進み、ステップS53で、前回のステップS52でフラグF_CRZが0であると判断したと判断すると、進角移行量DIGCRZを進角移行量マップ136から取得して(ステップS54)、ステップS55に進む。
【0075】
ステップS55に進むと、ECU106は、現在のスロットル開度TH及びエンジン回転数NEに対応する各シリンダ46、46、46、46の進角目標量IGCRZM1〜4を進角目標量マップ134から取得する。ステップS55では、各シリンダ46、46、46、46の進角目標量IGCRZM1〜4を、シリンダ46毎に設けられた進角目標量マップ134から取得する。ここで、進角目標量IGCRZM1は第1のシリンダ46の進角目標量とし、進角目標量IGCRZM2は第2のシリンダ46の進角目標量とし、進角目標量IGCRZM3は第3のシリンダ46の進角目標量とし、進角目標量IGCRZM4は第4のシリンダ46の進角目標量とする。
【0076】
次いで、ECU106は、現在の各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4に、ステップS54で取得した進角移行量DIGCRZを加算した値を、新たな各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4とする(ステップS56)。つまり、進角量IGCRZ1〜4=進角量IGCRZ1〜4+進角移行量DIGCRZ、とする。ここで、進角量IGCRZ1は第1シリンダ46の進角量とし、進角量IGCRZ2は第2のシリンダ46の進角量とし、進角量IGCRZ3は第3のシリンダ46の進角量とし、進角量IGCRZ4は第4のシリンダ46の進角量とする。
【0077】
次いで、ECU106は、ステップS56で得られた各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4が進角目標量IGCRZM1〜4以上であるか否かを判断する(ステップS57)。つまり、第1のシリンダ46の進角量IGCRZ1が進角目標量IGCRZM1以上であるか、第2のシリンダ46の進角量IGCRZ2が進角目標量IGCRZM2以上であるか、第3のシリンダ46の進角量IGCRZ3が進角目標量IGCRZM3以上であるか、第4のシリンダ46の進角量IGCRZ4が進角目標量IGCRZM4以上であるかを判断する。
【0078】
ステップS57で得られた進角量IGCRZ1〜4が、進角目標量IGCRZM1〜4以上であると判断された場合は、ECU106は、進角量IGCRZ1〜4を、進角目標量IGCRZM1〜4にして(ステップS58)、ステップS59に進む。つまり、各シリンダ46、46、46、46のトルク重視の点火時期を進角目標量IGCRZM1〜4まで進角させれば、燃費重視の点火時期MBTになるので、各シリンダ46、46、46、46の点火時期を進角目標量IGCRZM1〜4より進角させる必要はなく、進角量IGCRZ1〜4が進角目標量IGCRZM1〜4以上の場合は、該進角目標量IGCRZM1〜4に制限する。なお、ステップS57では、進角量IGCRZが進角目標量IGCRZM以上と判断されたシリンダ46の進角量IGCRZのみを、進角目標量IGCRZMに制限する。
【0079】
一方、ステップS57で、ステップS56で得られたすべてのシリンダ46の進角量IGCRZ1〜4が、進角目標量以上でないと判断された場合は、そのままステップS59に進む。
【0080】
ステップS59に進むと、ECU106は、各シリンダ46、46、46、46のトルク重視の点火時期を、現在の進角量IGCRZ1〜4だけ進角させた点火時期で点火するように各シリンダ46、46、46、46の点火プラグ104、104、104、104を制御して、点火時期補正制御処理を終了する。
【0081】
このステップS52〜ステップS59の動作は、トルク重視の点火時期を燃費重視の点火時期MBTに補正するクルーズアドバンス制御の動作である。
【0082】
なお、各シリンダ46、46、46、46の現在の進角量IGCRZ1〜4に応じてECU106は、インジェクタ102によって噴射される燃料噴射量を変える。この燃料噴射量は、各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4に応じて定まり、進角量IGCRZ1〜4が大きい程、燃料噴射量は少なくなる。
【0083】
一方、ステップS51で、フラグF_CRZRが1であると判断すると、復帰制御中であると判断し、ECU106は、前回のステップS51でフラグF_CRZRが0であると判断したか否かを判断する(ステップS60)。つまり、前回のステップS51で、復帰制御中であると判断したか否かを判断する。
【0084】
ステップS60で、前回のステップS51でフラグF_CRZRが1であると判断したと判断するとそのままステップS62に進み、前回のステップS51でフラグF_CRZRが0であると判断したと判断すると、遅角移行量DIGCRZRを遅角移行量マップ138から取得して(ステップS61)、ステップS62に進む。
【0085】
ステップS62に進むと、ECU106は、現在の各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4から、ステップS61で取得した遅角移行量DIGCRZRを減算した値を、新たな各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4とする。つまり、進角量IGCRZ1〜4=進角量IGCRZ1〜4−遅角移行量DIGCRZR、とする。
【0086】
次いで、ECU106は、ステップS62で得られた各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4が0以下であるか否かを判断する(ステップS63)。ステップS63で、各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4が0以下であると判断した場合は、ECU106は、各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4を0にして(ステップS64)、ステップS59に進む。つまり、進角させた各シリンダ46、46、46、46の点火時期をトルク重視の点火時期まで戻せばよいので、進角量IGCRZ1〜4が0以下の場合は、0に制限する。なお、ステップS64では、進角量IGCRZ1〜4が0以下である判断されたシリンダ46の進角量のみを0に制限する。また、ステップS64では、各シリンダ46、46、46、46の進角目標量IGCRZM1〜4も0にする。
【0087】
一方、ステップS63で、ステップS62で得られたすべてのシリンダ46の進角量IGCRZ1〜4が、0以下でないと判断すると、そのままステップS59に進む。
【0088】
ステップS59に進むと、ECU106は、各シリンダ46、46、46、46のトルク重視の点火時期を、現在の進角量IGCRZ1〜4だけ進角させた点火時期で点火するように点火プラグ104、104、104、104を制御して、点火時期補正制御処理を終了する。
【0089】
このステップS60〜ステップS64、及びステップS59の動作は、燃費重視の点火時期MBTをトルク重視の点火時期に戻す復帰制御の動作である。
【0090】
なお、各シリンダ46、46、46、46の現在の進角量IGCRZ1〜4に応じてECU106は、インジェクタ102によって噴射される燃料噴射量を変える。この燃料噴射量は、各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4に応じて定まり、進角量IGCRZ1〜4が大きい程、燃料噴射量は少なくなる。
【0091】
図11は、クルーズアドバンス制御によって補正される各シリンダ46、46、46、46の点火時期の遷移図である。点火時期t10、t20、t30、t40は、それぞれトルク重視の第1のシリンダ46、第2のシリンダ46、第3のシリンダ46、及び第4のシリンダ46の点火時期を示している。
【0092】
1回目の図10のフローチャート(ステップS52〜ステップS59)に示す動作により、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の点火時期は、進角移行量DIGCRZだけ進角する。これにより、第1〜第4のシリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4は、進角移行量DIGCRZ、となり、第1のシリンダ46の点火時期は点火時期t10から点火時期t11に、第2のシリンダ46の点火時期は点火時期t20から点火時期t21に、第3のシリンダ46の点火時期は点火時期t30から点火時期t31に、第4のシリンダ46の点火時期は点火時期t40から点火時期t41に移行する。
【0093】
周期が到来し、2回目の図10のフローチャート(ステップS52〜ステップS59)に示す動作により、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の点火時期は、さらに進角移行量DIGCRZだけ進角する。これにより、第1〜第4のシリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4は、2×進角移行量DIGCRZ、となり、第1のシリンダ46の点火時期は点火時期t11から点火時期t12に、第2のシリンダ46の点火時期は点火時期t21から点火時期t22に、第3のシリンダ46の点火時期は点火時期t31から点火時期t32に、第4のシリンダ46の点火時期は点火時期t41から点火時期t42に移行する。
【0094】
その後、再び周期が到来し、3回目の図10のフローチャート(ステップS52〜ステップS59)に示す動作により、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の点火時期は、さらに進角移行量DIGCRZだけ進角する。これにより、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4は、3×進角移行量DIGCRZ、となり、第1のシリンダ46の点火時期は点火時期t12から点火時期t13に、第2のシリンダ46の点火時期は点火時期t22から点火時期t23に、第3のシリンダ46の点火時期は点火時期t32から点火時期t33に、第4のシリンダ46の点火時期は点火時期t42から点火時期t43に移行する。
【0095】
しかしながら、第1のシリンダ46の進角量IGCRZ1は、第1のシリンダ46の進角目標量IGCRZM1以上のため、第1のシリンダ46の進角量IGCRZ1は、進角目標量IGCRZM1に制限される。これにより、第1のシリンダ46の点火時期は、燃費重視の点火時期MBT1となる。また、第2のシリンダ46の進角量IGCRZ2は、第2のシリンダ46の進角目標量IGCRZM2以上のため、第2のシリンダ46の進角量IGCRZ2は、進角目標量IGCRZM2に制限される。これにより、第2のシリンダ46の点火時期は、燃費重視の点火時期MBT2となる。また、第3のシリンダ46の進角量IGCRZ3は、第3のシリンダ46の進角目標量IGCRZM3以上のため、第3のシリンダ46の進角量IGCRZ3は、進角目標量IGCRZM3に制限される。これにより、第3のシリンダ46の点火時期は、燃費重視の点火時期MBT3となる。また、第4のシリンダ46の進角量IGCRZ4は、第4のシリンダ46の進角目標量IGCRZM4以上のため、第4のシリンダ46の進角量IGCRZ4は、進角目標量IGCRZM4に制限される。これにより、第4のシリンダ46の点火時期は、燃費重視の点火時期MBT4となる。
【0096】
このように、各シリンダ46、46、46、46の点火時期を進角移行量DIGCRZずつ進角させ、各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4が進角目標量IGCRZM1〜4以上になると、各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4を、進角目標量IGCRZMに制限する。
【0097】
図12は、復帰制御によって補正される各シリンダ46、46、46、46の点火時期の遷移図である。1回目の図10のフローチャート(ステップS60〜ステップS64、及びステップS59)に示す動作により、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の点火時期は、遅角移行量DIGCRZRだけ遅角する。これにより、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4は、進角目標量IGCRZM1〜4−遅角移行量DIGCRZR、となり、第1のシリンダ46の点火時期は燃費重視の点火時期MBT1から点火時期t´12に、第2のシリンダ46の点火時期は燃費重視の点火時期MBT2から点火時期t´22に、第3のシリンダ46の点火時期は燃費重視の点火時期MBT3から点火時期t´32に、第4のシリンダ46の点火時期は燃費重視の点火時期MBT4から点火時期t´42に移行する。
【0098】
周期が到来し、2回目の図10のフローチャート(ステップS60〜ステップS64、及びステップS59)に示す動作により、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の点火時期は、さらに、遅角移行量DIGCRZRだけ遅角する。これにより、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4は、進角目標量IGCRZM1〜4−(2×遅角移行量DIGCRZR)、となり、第1のシリンダ46の点火時期は点火時期t´12から点火時期t´11に、第2のシリンダ46の点火時期は点火時期t´22から点火時期t´21に、第3のシリンダ46の点火時期は点火時期t´32から点火時期t´31に、第4のシリンダ46の点火時期は点火時期t´42から点火時期t´41に移行する。
【0099】
その後、再び周期が到来し、3回目の図10のフローチャート(ステップS60〜ステップS64、及びステップS59)に示す動作により、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の点火時期は、さらに遅角移行量DIGCRZRだけ遅角する。これにより、第1〜4のシリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4は、進角目標量IGCRZM1〜4−(3×遅角移行量DIGCRZR)、となり、第1のシリンダ46の点火時期は点火時期t´11から点火時期t´10に、第2のシリンダ46の点火時期は点火時期t´21から点火時期t´20に、第3のシリンダ46の点火時期は点火時期t´31から点火時期t´30に、第4のシリンダ46の点火時期は点火時期t´41から点火時期t´40に移行する。
【0100】
しかしながら、第1のシリンダ46の進角量IGCRZ1は、0以下(トルク重視の点火時期t10より遅角側)のため、第1のシリンダ46の進角量IGCRZ1は0に制限される。これにより、第1のシリンダ46の点火時期は、トルク重視の点火時期t10となる。また、第2のシリンダ46の進角量IGCRZ2は、0以下(トルク重視の点火時期t20より遅角側)のため、第2のシリンダ46の進角量IGCRZ2は0に制限される。これにより、第2のシリンダ46の点火時期は、トルク重視の点火時期t20となる。また、第3のシリンダ46の進角量IGCRZ3は、0以下(トルク重視の点火時期t30より遅角側)のため、第3のシリンダ46の進角量IGCRZ3は0に制限される。これにより、第3のシリンダ46の点火時期は、トルク重視の点火時期t30となる。また、第4のシリンダ46の進角量IGCRZ4は、0以下(トルク重視の点火時期t40より遅角側)のため、第4のシリンダ46の進角量IGCRZ4は0に制限される。これにより、第4のシリンダ46の点火時期は、トルク重視の点火時期t40となる。
【0101】
このように、各シリンダ46、46、46、46の点火時期を遅角移行量DIGCRZRずつ遅角させ、各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4が0以下になると、各シリンダ46、46、46、46の進角量IGCRZ1〜4を0に制限する。
【0102】
以上のように、実施の形態では、加減速している状態から加減速しないクルーズ状態になると、各シリンダ46、46、46、46の点火時期を段階的に進角させていくことで、トルク重視の点火時期を、燃費重視の点火時期MBTまで進角させるので、トルク重視の点火時期から燃費重視の点火時期MBTへの切り替えの際の過渡状態における各シリンダ46、46、46、46、エンジン22の出力変化が穏やかになり、ドライバビリティが低下することがない。したがって、運転状態が良好となり運転者に異和感を与えることがなく点火時期を変更することができる。
【0103】
シリンダ46、46、46、46毎に、進角目標量マップ134を設けるので、シリンダ46、46、46、46毎にトルク重視の点火時期と燃費重視の点火時期MBTとの偏差が異なる場合であっても、良好に点火時期を制御することができ、過渡状態における各シリンダ46、46、46、46、エンジン22の出力変化が穏やかになり、ドライバビリティが低下することがない。これにより、運転状態が良好となり、運転者に異和感を与えることがなく点火時期を変更することができる。
【0104】
一定の周期でシリンダ46、46、46、46毎の点火時期を進角移行量DIGCRZ進角させるので、トルク重視の点火時期から燃費重視の点火時期MBTに切り替える際の過渡状態における各シリンダ46、46、46、46、エンジン22の出力変化がリニアになる。
【0105】
また、運転状態がクルーズ状態から加減速する状態になった場合は、シリンダ46、46、46、46毎の点火時期を段階的に遅角させていくことで、トルク重視の点火時期に戻すので、過渡状態における各シリンダ46、46、46、46、エンジン22の出力変化が穏やかになり、ドライバビリティが低下することがない。これにより、運転状態が良好となり、運転者に異和感を与えることがなく点火時期を変更することができる。
【0106】
一定の周期でシリンダ46、46、46、46毎の点火時期を遅角移行量DIGCRZR遅角させるので、燃費重視の点火時期MBTからトルク重視の点火時期に切り替える際の過渡状態におけるシリンダ46、46、46、46、エンジン22の出力変化がリニアになる。
【0107】
上記実施の形態は、以下のように変形してもよい。
【0108】
(変形例1)上記実施の形態では、記憶部126は、各シリンダ46、46、46、46毎に、進角目標量マップ134を記憶するようにしたが、シリンダ46、46、46、46毎にトルク重視の点火時期と燃費重視の点火時期MBTとの偏差が異ならない場合は、記憶部126に記憶される進角目標量マップ134は1つであってもよい。この場合は、各シリンダ46、46、46、46の進角目標量IGCRZM1〜4は、該1つの進角目標量マップ134から取得することになり、取得する各シリンダ46、46、46、46の進角目標量IGCRZM1〜4の値は同一となる。
【0109】
(変形例2)上記実施の形態では、記憶部126は、1つの進角移行量マップ136を記憶するようにしたが、各シリンダ46、46、46、46毎に進角移行量マップ136を記憶するようにしてもよい。これにより、シリンダ46、46、46、46毎に進角移行量DIGCRZを異ならせることができ、点火時期の補正制御の精度が向上する。また、記憶部126は、1つの遅角移行量マップ138を記憶するようにしたが、各シリンダ46、46、46、46毎に遅角移行量マップ138を記憶するようにしてもよい。これにより、シリンダ46、46、46、46毎に遅角移行量DIGCRZRを異ならせることができ、点火時期の補正制御が向上する。
【0110】
(変形例3)上記実施の形態では、シリンダ46、46、46、46毎に、進角目標量マップ134を備えるようにしたが、1つの進角目標量マップ134を備え、該1つの進角目標量マップから各シリンダ46、46、46、46の進角目標量を算出するようにしてもよい。
【0111】
(変形例4)上記実施の形態では、1つの進角移行量マップ136及び遅角移行量マップ138を備えるようにしたが、シリンダ46、46、46、46毎に、進角移行量マップ136及び遅角移行量マップ138を備えるようにしてもよい。
【0112】
(変形例5)上記変形例1〜4を任意に組み合わせた態様であってもよい。
【0113】
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態の記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、特許請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定して解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0114】
12…鞍乗型自動二輪車 22…エンジン
54…吸気装置 56…吸気管
57…スロットルバルブ 60…排気装置
100…点火時期制御装置 102…インジェクタ
104…点火プラグ 106…ECU
108…クランク軸 110…DCT
112…スロットルグリップ開度センサ 114…スロットルバルブ開度センサ
116…水温センサ 118…油温センサ
120…回転数センサ 122…ギアポジションセンサ
124…車速センサ 126…記憶部
130…点火時期マップ 132…実施可能領域マップ
134…進角目標量マップ 136…進角移行量マップ
138…遅角移行量マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク重視の点火時期を記憶した点火時期マップ(130)と、前記点火時期マップ(130)により得られるトルク重視の点火時期を燃費重視の点火時期に補正する点火時期補正手段(106)とを備えるエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、
前記トルク重視の点火時期を前記燃費重視の点火時期に補正する進角目標量が記憶された進角目標量マップ(134)をさらに備え、
前記点火時期補正手段(106)は、車両の運転状態が加速及び減速が少ないクルーズ状態になったと判断した場合は、前記進角目標量マップ(134)により前記エンジン(22)の各気筒(46)毎に進角目標量を算出するとともに、当該各気筒(46)毎の進角目標量に対して、前記各気筒(46)の点火時期を段階的に変化させる進角制御を実行する
ことを特徴とするエンジン(22)の点火時期制御装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、
前記点火時期補正手段(106)による進角制御は、一定の周期で前記各気筒(46)毎の点火時期を進角移行量ずつ進角させることで、前記各気筒(46)毎の前記トルク重視の点火時期を、前記各気筒(46)毎の前記進角目標量まで進角させる
ことを特徴とするエンジン(22)の点火時期制御装置(100)。
【請求項3】
請求項2に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、
前記点火時期補正手段(106)による進角制御は、前記各気筒(46)毎の前記トルク重視の点火時期を前記進角移行量ずつ進角させていき、前記各気筒(46)毎の進角量が前記進角目標量を超える場合は、該各気筒(46)毎の進角量を前記進角目標量に制限する
ことを特徴とするエンジン(22)の点火時期制御装置(100)。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、
前記点火時期補正手段(106)は、前記車両の運転状態がクルーズ状態でなくなった場合は、前記エンジン(22)の前記各気筒(46)毎の点火時期を段階的に遅角させていくことで、前記トルク重視の点火時期に戻す復帰制御を実行する
ことを特徴とするエンジン(22)の点火時期制御装置(100)。
【請求項5】
請求項4に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、
前記点火時期補正手段(106)による復帰制御は、一定の周期で前記各気筒(46)毎の点火時期を遅角移行量ずつ遅角させることで、前記各気筒(46)毎の点火時期を前記トルク重視の点火時期に戻す
ことを特徴とするエンジン(22)の点火時期制御装置(100)。
【請求項6】
請求項2、3、5の何れか1項に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、
前記進角移行量及び前記遅角移行量は、エンジン回転数に応じて予め決定されている
ことを特徴とするエンジン(22)の点火時期制御装置(100)。
【請求項7】
請求項6に記載のエンジン(22)の点火時期制御装置(100)において、
前記進角移行量及び前記遅角移行量は、前記エンジン回転数が大きいほど、大きく設定されている
ことを特徴とするエンジン(22)の点火時期制御装置(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−72406(P2013−72406A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213735(P2011−213735)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】