説明

エンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材

【課題】簡易な構成で給油時等にキャップが邪魔にならずに、キャップを繋ぎ止めることが可能な抜防止部材を提供することである。
【解決手段】抜防止部材1は、本体部5の一端がオイルタンク105のキャップ107に接続され、本体部5の他端にはオイルタンク105内からの抜け止めを行う抜防止部3が形成され、本体部5の特定方向Aへの柔軟性が高く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのオイル、燃料等のエンジン用液体タンクのキャップを繋ぎ止めるための抜防止部材(ストラップ)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、エンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材(ストラップ)に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平4―20788号公報
【特許文献2】実開昭61―156653号公報
【特許文献3】実開平6―16255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の方法においては、給油時等にキャップが邪魔になるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成で給油時等にキャップが邪魔にならずに、キャップを繋ぎ止めることが可能な抜防止部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材は、本体部の一端がエンジン用液体タンクのキャップに接続され、前記本体部の他端には前記エンジン用液体タンク内からの抜け止めを行う抜防止部が形成され、前記本体部の特定方向への柔軟性が高く形成されている。
【0007】
好適には、前記本体部は、前記特定方向の長さが、前記特定方向に対して直交方向の長さよりも短い断面形状に形成されている。
【0008】
好適には、前記本体部の断面形状が、長方形形状に形成されている。
【0009】
好適には、屈曲部を有し、前記抜防止部が前記エンジン用液体タンク内に入った状態において、前記キャップが前記エンジン用液体タンクの開口部から取り外され、前記抜防止部によって前記キャップが抜防止状態になった場合に、前記本体部と前記開口部の接する部分に前記屈曲部は形成されている。
【0010】
好適には、前記屈曲部の部分のみが、前記本体部の特定方向への柔軟性が高く形成されている。
【0011】
好適には、前記本体部の一端の前記キャップとの接続は回転自在に接続されている。
【0012】
好適には、前記抜防止部は、前記抜防止部が前記エンジン用液体タンク内に入った状態になるのに際して、前記エンジン用液体タンクの開口部に撓んだ状態で挿入され、前記エンジン用液体タンク内において、元の状態に戻る、形状に形成されている。
【0013】
好適には、前記抜防止部は、前記本体部と接続される張出部と、前記張出部と接続される集束部と、を有し、前記張出部は、前記本体部の他端における長手方向の軸を含む同一平面上に張り出し、前記集束部は、前記同一平面上において、前記長手方向の軸に集束している。
【0014】
好適には、前記張出部の張り出し角度は、前記集束部の前記長手方向の軸に向かう角度よりも大である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって、簡易な構成で給油時等にキャップが邪魔にならずに、キャップを繋ぎ止めることが可能な抜防止部材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】オイルタンク(エンジン用液体タンク)のキャップの抜防止部材が用いられるエンジンを搭載した作業工具の一例である。
【図2】抜防止部材の説明図である。
【図3】図2のIII部分の拡大図である
【図4】キャップに抜防止部材1を接続する方法の説明図である。
【図5】図2のV−V断面における説明図である。
【図6】キャップが螺着状態である場合の説明図である。
【図7】キャップが解除状態(抜防止状態)である場合の説明図である。
【図8】本体部の断面形状の変形例の説明図である。
【図9】抜防止部の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、オイルタンク105(エンジン用液体タンク)のキャップ107の抜防止部材が用いられるエンジン103を搭載した作業工具101の一例である。
【0018】
図1には、エンジン103によって駆動される作業工具101(ソー)が記載されている。
なお、エンジン103が用いられるのはこのようにソーのみである必要はなく、エンジン103は様々な工具、農機具等に用いられる。
このようなエンジン103には、その下部等にオイルタンク105が設けられている。
なお、オイルタンク105の位置は下部に限る趣旨ではない。
さらに、このオイルタンクには、オイルタンク105へオイルの補充・交換等を行うためにキャップ107が設けられている。
このキャップ107を回転等して、オイルタンク105のキャップ107が取り付けられている部分に対するキャップ107の螺着状態を解除する。
そして、キャップ107の螺着状態が解除された状態(以下、解除状態という)において、オイルの補充・交換等が行われる。
【0019】
しかし、キャップ107が解除状態となっている際に、本実施形態の抜防止部材1(ストラップ)が設けられていないと、補充・交換している間にキャップ107が脱落し、紛失する恐れがある(抜防止部材1の形状等については図2を参照のこと)。
紛失しないまでも、脱落したキャップ107を拾うなどの無駄な作業をユーザに要求してしまう。
また、脱落を防止するために、キャップ107をどこかに一時的に置いて、元に戻すという動作、又は、キャップ107を手で保持しておく等の動作をユーザに要求することになり、ユーザの迅速な作業を阻害する。
したがって、キャップ107には抜防止部材1を用いる必要がある。
なお、オイルタンク105のキャップ107の抜け防止を行う抜防止部材1について説明しているが、抜防止部材1はエンジン103に用いられる各種のタンク(オイルタンク105、燃料タンク、冷却水タンク等)のすべてに適用可能なものである。
【0020】
図2は、抜防止部材1の説明図である。
【0021】
図2のように、抜防止部材1はキャップ107に接続されている。
抜防止部材1は、本体部5と抜防止部3によって構成されている。
本体部5の一方側は、回転自在にキャップ107と接続されている(なお、回転自在とする構成については、図4及び図5に対する説明部分で詳説する。)。
本体部5の他方側には、抜防止部3が形成されている。
抜防止部3は、集束部31及び張出部33を有する。
張出部33は、本体部5の他端における長手方向の軸を含む同一平面上に張り出している。
集束部31は、この同一平面上において、長手方向の軸に集束している。
【0022】
ここで、抜防止部3は、図6、のようにオイルタンク105の内部に組み立て時に挿入される。そして、その後抜防止部3は、このオイルタンク105内部、及び、通路部113に位置することになる。
キャップ107は、把持部107a、パッキン部107b、接続部107c及び蓋部107dを有する。
そして、把持部107aは、ユーザの手に挟持されて、回転力が加えられる部分である。
また、パッキン部107bは、キャップ107が螺着状態にある場合に、オイルタンク105の通路部113の内周面と圧着して、オイルタンク107内部を気密状態とするものである(図7も参照のこと)。
さらに、接続部107cは、抜防止部材1とキャップ107とを接続する(図4及び図5も参照のこと)。
蓋部107dは、オイルタンク105を閉塞するための蓋構造を有する。より具体的には、円盤状の部分と、抜防止部材1側に延びる円筒状の部分を有する。そして、この円筒状の部分には、オイルタンク105の通路部113の開口部113a側に形成されたねじ構造部分と螺着するためのねじ構造が形成されている。
【0023】
本体部5は、ポリアミド樹脂等から構成されている。本体部5を構成する材質をこれに限定する趣旨ではなく、他の材質であってもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、等であってもよい。つまり、タンクに貯蔵される液体によって劣化せず、ある程度の強度を有し、かつ、特定方向Aへの柔軟性を持たせることが可能なものであればどのようなものであってもよい。
【0024】
図8(a)は、図2のVIII−VIII部分の断面拡大図である。
【0025】
図8(a)のように、本体部5は、その長手方向に対して横方向の長さaと厚さ方向の長さbとを有し、長さaは長さbよりも長く形成されている。そのため、本体部5は長方形形状の断面形状を有している。
しかし、後で詳説するが、図8のように長方形形状以外の形状であってもよい。
このように形成されている為、本体部5は、長さbの方向の柔軟性が高く形成されている。
そのため、キャップ107等の重みで容易に厚さ方向(長さbの方向)に撓む(この、本体部5が撓む方向を特定方向Aとする。)。
なお、この特定方向Aとは、図2おいて紙面上下方向(矢印によって図2に記載している)であり、図8(a)において長さbの方向である。
【0026】
このように、本体部5が長方形形状の断面を有していることから、同一の断面積としたときには、特許文献3のように円形の断面を有する場合等に比べて、本実施形態の本体部5はこの特定方向Aへの撓みがきわめて大きくなる。
なお、円形断面の場合には、本実施形態の本体部5と同一の撓みを有させようとすると、本体部5に該当する特許文献3の紐体57はかなり小さな断面を有しなければならない。
しかし、こうしてしまうと、断面積が小さいことから本体部5に該当する特許文献3の紐体57が容易に引っ張り力、曲げ力、経年変化等によって切れてしまう可能性がある。これでは、抜防止部材1としての役目を果たすことができない。
他方、本実施形態の方法では、断面積は大きく維持できるのであるから本体部5が切れる可能性をかなり抑制することができる。
なお、本体部5が撓まなければならない理由であるが、本体部5が撓まないと、給油時等にキャップ107が邪魔になってしまうからである。つまり、よりスムーズに、給油等を行うには、本体部5がキャップ107(+本体部5の自重)によって撓む必要がある。
【0027】
また、本体部5に該当する部分をかなり長く形成すれば、本実施形態の本体部5と同様の撓みを得ることは可能である。
しかし、本体部5を長く形成してしまうと、キャップ107が螺着状態となった際に本体部5の一端に形成された抜防止部3がオイルタンク105の内部の奥深くまで侵入してしまう。
ここで、オイルタンク105は、ほぼ中空の部材ではあるものの、その中に他の部材等が配置されていることが多い。
そうすると、螺着状態から解除状態とした際に抜防止部3が、これらの他の部材等に引っ掛かってしまい、キャップ107を解除状態とすることが不可能になってしまうおそれがある。
したがって、本体部5を長く形成することは適切ではない。
さらに、本体部5を長く形成してしまうと、解除状態としたときにキャップ107が下側方向に長く垂れ下がってしまうことになる。
そして、キャップ107はオイル等が付着していることが多いことから、ユーザが注意しないと作業者等の衣服にこのキャップ107が付着してしまい、衣服を汚してしまう恐れがある。
したがって、この点からも本体部5を長く形成することは適切ではない。
【0028】
よって、本実施形態では、本体部5の断面形状を長方形形状としたことによって、本体部5の強度を維持しつつ、さらに、本体部5を長くすることなしに、撓みを大きくすることを可能としている。
さらに、このことから、ユーザの作業性の向上、材料の低減、抜防止部材1の形成の容易化を図っている。
【0029】
さらに、キャップ107が解除状態の際に、当初、本体部5の特定方向Aとは異なる方向側(図8(a)(図3)において長さbの面)が鉛直下向きに面することになっても、長方形形状であることから、本体部5の特定方向A(図8(a)(図3)において長さaの面)が鉛直下向きになるように回転する。
つまり、長方形の短辺(長さbの面)が開口部113aの鉛直下側の端部と接する状態であっても、より安定的な状態である、長方形の長辺(長さaの面)が開口部113aの鉛直下側の端部と接する状態となるように移行する。
このような性質によって、当初、本体部5が撓みにくい状態となっていても、本体部5が回転して、本体部5が撓みやすい状態(特定方向Aが鉛直下向きになっている状態)に移行することになる。
よって、本実施形態の本体部5は、本体部5の断面形状を長方形形状としたことによって常に撓みやすい状態に移行することが可能となる。
【0030】
このように、単に本体部5の断面形状が長方形形状を有していることによって、本体部5の強度を維持しつつ、さらに、本体部5を長くすることなしに、撓みを大きくすることを可能としているが、さらに、屈曲部5aを有するとより好適である。なお、屈曲部5aは本実施形態の必須の構成要件ではないことはいうまでもない。
図3のように、屈曲部5aは本体部5を約135°の角度を有して屈曲させている。(屈曲部5aの位置については、図7に対する説明部分で詳説する)。なお、135°という角度については、これに限定する趣旨でないことは言うまでもない。
【0031】
この屈曲部5aを有することから、撓みが十分ではない場合であっても、キャップ107が通路部113の開口部113aから外れ、キャップ107が邪魔になることがないという効果がある。
なお、この効果は、本実施形態の本体部5の断面形状が長方形形状であることの効果に、相乗的に加えられる効果である。
【0032】
図3のように、抜防止部3の張出部33は、本体部5と同一の横方向の幅(長さa)及び厚さ方向の幅(長さb)を有して、本体部5の他端における長手方向の軸を含む同一平面上に張り出している。
具体的には、本体部5の長手方向の軸から直交方向の成分を有して延びる2枚の辺から形成されている。
同様に、抜防止部3の集束部31は、本体部5と同一の横方向の幅(長さa)及び厚さ方向の幅(長さb)を有して、この同一平面上において、長手方向の軸に集束している。
この抜防止部3の張出部33の2辺は、特定方向A側にそれぞれ張り出している。
さらに、抜防止部3の集束部31の2辺は、特定方向A側にそれぞれ集束している。
抜防止部3の集束部31及び張出部33は、四角形状を有している。
この四角形状は、以下のようにして形成されている。
張出部33の2辺の一端どうしが接続し、この張出部33の2辺の他端がそれぞれ集束部31の2辺の一端と接続している。そして集束部31の2辺の他端どうしが接続している。
そして、張出部33の2辺の一端どうしが接続している部分に本体部5が接続されている。
【0033】
抜防止部3がこのような形状を有することから、抜防止部3は、オイルタンク105の通路部113に撓んだ状態で挿入され、オイルタンク105内において元の状態に戻る形状に形成されている(図6及び図7も参照のこと)。
このような形状を有していることから、組み立て時に単に、抜防止部材1(抜防止部3)を通路部113内に押し込むことによって組み付けることが可能となる。
【0034】
また、張出部33の張り出し角度は、集束部31の抜防止部3と接続する部分側の本体部5の長手方向の軸に向かう角度よりも大である。
つまり、図3のように、張出部33の2辺が特定方向A側に向かう角度は、集束部31が本体部5の長手方向を延長して想定される軸に集束していく角度よりも大となっている。
このように形成したことから、抜防止部材1を組付ける際(製造時)に抜防止部材1(抜防止部3)を、通路部113を通過させてオイルタンク105に侵入させる場合に必要とする力を、引き抜く場合に必要な力よりも小さくすることができる(図6及び図7も参照のこと)。
これによって、組み立て時には容易に抜防止部材1を有するキャップ107を組付けることができ、ユーザが使用しているときに抜防止部材1があるにもかかわらずキャップ107が容易に抜け落ちてしまうことを防止することができる。
【0035】
さらに、このように抜防止部材1(抜防止部3、本体部5)が比較的単純な形状であることから、射出成型(押出成型)によって容易に形成可能である。
したがって、本実施形態の抜防止部材1は、安価に製造することが可能という効果がある。
【0036】
図4は、キャップ107に抜防止部材1を接続する方法の説明図である。
【0037】
図4のように、抜防止部材1の本体部5の一端側に、キャップ107接続されている。
より具体的に説明する。
抜防止部材1の本体部5の一端側に、第1球形部5b、第2球形部5cが順に形成されている。
キャップ107の接続部107cには、挿入部107eが形成されている。
そして、この第2球形部5cがこの挿入部107eにS方向に挿入されることによって、キャップ107と抜防止部材1が接続されている。
【0038】
図5は、図2のV−V断面における説明図である。
【0039】
図5のように、本体部5に連続する第2球形部5cが接続部107cの挿入部107eに挿入される。
このように構成されることから、抜防止部材1(本体部5)は本体部5の長手方向の軸を中心に自由に回転する(回転自在)ことができる。
このように抜防止部材1がキャップ107に対して回転自在であることによって、本体部5が特定方向Aに撓みやすい状態に回転するのに伴い、キャップ107も一緒に回転してしまい。その際に、ユーザにオイル等が飛び散ることを抑制することができる。
また、このように抜防止部材1がキャップ107に対して回転自在であることによって、キャップ107を解除状態とするために回転することに伴い抜防止部材1も回転して、抜防止部材1がオイルタンク105内部の他の部材等に引っ掛かってしまうことを抑制することが可能となる。
なお、第1球形部5bは、本体部5がキャップ107の軸方向から角度を有した場合に、接続部107cの、抜防止部材1側の内部方向面107fと接触することによって、本体部5に生ずる応力の集中を防ぐ(分散する)役割を有している。
この第1球形部5bがあることによって、本体部5の強度を高め、本体部5が切れてしまうこと等を防ぐことが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態では、図4及び図5のような構成を有して、キャップ107に対して抜防止部材1が回転自在に構成したが、必ずしも回転自在に構成する必要はない。回転自在とした方が、単により好適であるに過ぎない。
つまり、キャップ107と抜防止部材1が接続されていれば足り、回転不可能に形成されていてもよい。さらには、キャップ107と抜防止部材1が一体に形成(一体成型)されていてもよい。
【0041】
図6は、キャップ107が螺着状態である場合の説明図である。
【0042】
図6のように、キャップ107は、オイルタンク105の通路部113の先端側に螺着される。
通路部113は、オイルタンク105の内部空間であるタンク内部空間105aと外部とをつないで、オイルの補給の通路としての役割を果たしている。
通路部113の先端部分が開口部113aである(図7も参照のこと)。
また、この通路部113はネック部113bを有している。このネック部113bは通路部113の他の部分よりも断面積が小さく形成されている。
さらに、このネック部113bは、抜防止部3の本体部5の長手方向の軸に対して直交方向に張り出した最大部分よりも小さく形成されている。つまり、ネック部113bは、張出部33及び集束部31の本体部5の長手方向の軸に対して直交方向に張り出した最大部分よりも小さく形成されている。
そして、この螺着状態では、本体部5の屈曲部5aは、通路部113の内部に位置している。
また、抜防止部3は、タンク内部空間105aに位置している。より具体的には、抜防止部3は、タンク内部空間105aの通路部113の近傍に位置している。
このように、抜防止部3がタンク内部空間105aの通路部113の近傍に位置となっていることから、螺着状態であっても抜防止部3がタンク内部空間105a内部を這い回ることがないことになる。その結果、抜防止部3がタンク内部空間105a内の他の部材に引っ掛かってしまうという可能性がきわめて低減されている。
【0043】
図7は、キャップ107が解除状態(抜防止状態)である場合の説明図である。
【0044】
キャップ107が解除状態となった場合のうち、さらに、抜防止部3はネック部113bに引っ掛かって、それ以上抜防止部材1が通路部113を移動できない状態を抜防止状態という。この抜防止状態を表したのが、図7である。なお、解除状態とは単に、キャップ107の螺着が解除されている状態を意味する。
この抜防止状態において、通路部113の開口部113aに接する位置に屈曲部5aが形成されている。
この位置に屈曲部5aが形成されていることから、キャップ107を通路部113の注ぎ口の延長空間から排除し、より確実に給油等の際にキャップ107が邪魔になることを防ぐことができる。
【0045】
また、張出部33の直角方向の成分は、集束部31の本体部5の長手方向の軸に向かう方向の成分よりも大となっていることから、製造時にはネック部113bを抜防止部3が比較的容易に通過させることができる。
逆に、張出部33の直角方向の成分は、集束部31の本体部5の長手方向の軸に向かう方向の成分よりも大となっていることから、この抜防止状態において、容易に、抜防止部材1が引き抜かれてしまうことを防ぐことができる。
【0046】
図8は、本体部5の断面形状の変形例の説明図である。
【0047】
本実施形態の本体部5は、特定方向Aの長さ(長さb)が、特定方向Aに対して直角方向の長さ(長さa)よりも短い断面形状に形成されていれば足りる。
そのため、前述の実施形態のように断面形状が長方形(図8(a))である必要性はない。
具体的には、図8(b)のように、楕円形状であってもよい。
また、図8(c)のように、複数の円が一方方向に連続する形態であってもよい。
さらに、特定方向Aの長さ(長さb)が、特定方向Aに対して直角方向の長さ(長さa)よりも短い断面形状に形成されているといえさえすれば、どのような形状であってもよい。
【0048】
さらに、本実施形態の本体部5は、本体部の特定方向への柔軟性が高く形成されていれば足りる。
そのため、必ずしも、断面形状が特定方向Aの長さ(長さb)が、特定方向Aに対して直角方向の長さ(長さa)よりも短い断面形状である必要さえない。
つまり、特定方向Aの柔軟性が高くなるように本体部5を形成する、もしくは、特定方向Aの柔軟性が高くなるような材料を用いて本体部5を形成することも可能である。
【0049】
図9は、抜防止部3の変形例の説明図である。
【0050】
本実施形態の抜防止部3は、前述の実施形態のような形状(図8(a))である必要性はない。
具体的には、図8(b)、図8(c)のような形状であってもよい。
さらに、抜防止部3は抜防止部材1の抜けを防止することができるのであればどのような形状であってもよい。
【0051】
<他の実施形態>
以上の説明では、本体部5全体が撓みやすい形状としていたが、屈曲部5aの部分のみを撓みやすい材質や形状で形成してもよい。
さらに、屈曲部5aを設けず、つまり、本体部5を直線状に形成して、屈曲部5aに相当する部分のみ撓みやすい材料又は形状によって形成してもよい。
【0052】
<実施形態の構成及び効果>
本実施形態の抜防止部材1は、本体部5の一端がオイルタンク105のキャップ107に接続され、本体部5の他端にはオイルタンク105内からの抜け止めを行う抜防止部3が形成されている。
そして、本体部5の特定方向Aへの柔軟性が高く形成されている。
このような構成を有することから、本実施形態では、本体部5の断面形状を長方形形状としたことによって、本体部5の強度を維持しつつ、さらに、本体部5を長くすることなしに、撓みを大きくすることを可能となるという効果を有している。
さらに、このことから、ユーザの作業性の向上、材料の低減、抜防止部材1の形成の容易化を可能とするという効果を有している。
つまり、簡易な構成で給油時等にキャップ107が邪魔にならずに、キャップ107を繋ぎ止めることが可能な抜防止部材を提供することが可能となる。
【0053】
本体部5は、特定方向Aの長さが、特定方向Aに対して直交方向の長さよりも短い断面形状に形成されている。
このような構成を有することから、容易に本体部5の特定方向Aへの柔軟性が高く形成することが可能となるという効果がある。
また、このような構成を有することから、たとえ当初、本体部5が撓みにくい状態となっていても、本体部5が回転して、本体部5が撓みやすい状態(特定方向Aが鉛直下向きになっている状態)に移行することになる。つまり、本実施形態の本体部5は、本体部5の断面形状を長方形形状としたことによって常に撓みやすい状態に移行することが可能となるという効果がある。
【0054】
本体部5の断面形状が、長方形形状に形成されている。
このような構成を有することから、より容易に本体部5の特定方向Aへの柔軟性が高く形成することが可能となるという効果がある。
つまり、長方形形状の本体部5を形成することは他の複雑な形状よりも容易なため、容易に特定方向Aへの柔軟性が高い本体部5を形成することが可能となるという効果がある。
【0055】
本体部5は、屈曲部5aを有している。
そして、屈曲部5aは、抜防止部3がオイルタンク105内に入った状態において、キャップ107がオイルタンク105の開口部から取り外され、抜防止部3によってキャップ107が抜防止状態になった場合に、本体部5が開口部113aに接する部分に形成されている。
このような構成を有していることから、屈曲部5aを支点として抜防止部材1が折れ曲ることになる。その結果、たとえ、本体部5の撓みが十分でなくてもキャップ107を通路部113の注ぎ口の延長空間か排除することが可能となる。
つまり、より確実に給油等の際にキャップ107が邪魔になることを防ぐことができる。
【0056】
屈曲部5aのみが、本体部5の特定方向Aへの柔軟性が高く形成されている。
このように構成したことから、より容易に特定方向Aへの柔軟性が高い本体部5を形成することが可能となる。
【0057】
本体部5の一端のキャップ107との接続は回転自在に接続されている。
このような構成を有することから、本体部5が特定方向Aに撓みやすい状態に回転するのに伴い、キャップ107も一緒に回転してしまい。その際に、ユーザにオイル等が飛び散ることを抑制することができるという効果がある。
また、このような構成を有することから、キャップ107を解除状態とするために回転することに伴い抜防止部材1も回転して、抜防止部材1がオイルタンク105内部の他の部材等に引っ掛かってしまうことを抑制することが可能となるという効果がある。
【0058】
抜防止部3は、抜防止部3がオイルタンク105内に入った状態になるのに際して、オイルタンク105の開口部に撓んだ状態で挿入され、オイルタンク105内において、元の状態に戻る、形状に形成されている。
このような構成を有していることから、製造時に単に、抜防止部材1(抜防止部3)を通路部113内に押し込むことによって組み付けることが可能となる。
【0059】
抜防止部3は、本体部5と接続される張出部33と、張出部33と接続される集束部31と、を有している。
そして、張出部33は、抜防止部3と接続する部分側の本体部5の長手方向の軸を含む同一平面上に張り出している。
集束部31は、抜防止部3と接続する部分側の本体部5の長手方向の軸を含む同一平面上において、抜防止部3と接続する部分側の本体部5の長手方向の軸に集束している
このような構成を有することから、簡易な構造を有しつつ、製造時に単に、抜防止部材1(抜防止部3)を通路部113内に押し込むことによって組み付けることが可能となる。
【0060】
張出部33の張り出し角度は、集束部31の抜防止部3と接続する部分側の本体部5の長手方向の軸に向かう角度よりも大である。
このような構成を有することから、張出部33の直角方向の成分は、集束部31の本体部5の長手方向の軸に向かう方向の成分よりも大となっていることから、製造時にはネック部113bを抜防止部3が比較的容易に通過させることができる。
さらに、このような構成を有することから、逆に、張出部33の直角方向の成分は、集束部31の本体部5の長手方向の軸に向かう方向の成分よりも大となっていることから、この抜防止状態において、容易に、抜防止部材1が引き抜かれてしまうことを防ぐことができる。
【0061】
また、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、様々な変化した構造、構成、を有していて良い。
【0062】
<定義等>
本体部5は、キャップ107等の重みで容易に厚さ方向(長さbの方向)に撓む(この、本体部5が撓む方向を特定方向Aという
本発明においてエンジン用液体タンクの一例が、オイルタンク105である。つまり、エンジン用液体タンクとは、燃料タンク、冷却水タンク、オイルタンク105等のエンジンに必要とされる各種の液体を貯蔵するタンクであればどのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 抜防止部材
3 抜防止部
5 本体部
5a 屈曲部
31 集束部
33 張出部
105 オイルタンク(エンジン用液体タンク)
107 キャップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の一端がエンジン用液体タンクのキャップに接続され、
前記本体部の他端には前記エンジン用液体タンク内からの抜け止めを行う抜防止部が形成され、
前記本体部の特定方向への柔軟性が高く形成されている
エンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材。
【請求項2】
前記本体部は、
前記特定方向の長さが、前記特定方向に対して直交方向の長さよりも短い断面形状に形成されている
請求項1に記載のエンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材。
【請求項3】
前記本体部の断面形状が、長方形形状に形成されている
請求項2に記載のエンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材。
【請求項4】
前記本体部は、屈曲部を有し、
前記抜防止部が前記エンジン用液体タンク内に入った状態において、前記キャップが前記エンジン用液体タンクの開口部から取り外され、前記抜防止部によって前記キャップが抜防止状態になった場合に、前記本体部と前記開口部の接する部分に前記屈曲部は形成されている
請求項1に記載のエンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材。
【請求項5】
前記屈曲部の部分のみが、前記本体部の特定方向への柔軟性が高く形成されている
請求項4に記載のエンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材。
【請求項6】
前記本体部の一端の前記キャップとの接続は回転自在に接続されている
請求項1に記載のエンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材。
【請求項7】
前記抜防止部は、前記抜防止部が前記エンジン用液体タンク内に入った状態になるのに際して、
前記エンジン用液体タンクの開口部に撓んだ状態で挿入され、
前記エンジン用液体タンク内において、元の状態に戻る、形状に形成されている
請求項1に記載のエンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材。
【請求項8】
前記抜防止部は、
前記本体部と接続される張出部と、
前記張出部と接続される集束部と、を有し、
前記張出部は、前記本体部の他端における長手方向の軸を含む同一平面上に張り出し、
前記集束部は、前記同一平面上において、前記長手方向の軸に集束している
請求項6に記載のエンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材。
【請求項9】
前記張出部の張り出し角度は、前記集束部の前記長手方向の軸に向かう角度よりも大である
請求項7に記載のエンジン用液体タンクのキャップの抜防止部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−197088(P2012−197088A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61101(P2011−61101)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】