エンジン駆動式発電機の速度を制御するシステムと方法
発電機/溶接機または独立型発電機を駆動する内燃機関を制御するシステムと方法が提供される。エンジンの制御には、発電機および/または溶接機の動作パラメータに関して検出した要求に基づいてエンジン速度を変化させることが含まれる。例えば発電機に関して、および/または溶接機の動作パラメータに関して検出された電力の引き出しに基づいてエンジン速度を上昇させることができる。それに加え、要求が所定の期間検出されない場合には、エンジン速度を自動的に非標準的なアイドリング速度まで下げること、またはエンジンを自動的にオフにすることができる。さらに、発電機に対する周波数とは独立した要求が検出された場合にだけ、エンジン速度を上昇させることができる。これらの方法とさらに別の方法の組み合わせを実行することができる。上記の方法を実現するためのさまざまな装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、エンジンの状態と発電機の負荷に基づいて発電機を駆動するエンジンを制御するシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の電力を容易に入手できない場所に電力を供給するのにエンジン駆動式発電機が一般に用いられている。ガソリン・エンジンとディーゼル・エンジンの両方ともそのような発電機を駆動するのに使用され、発生する電力の典型値は120VACまたは240VACである。棒電極溶接、ミグ溶接、ティグ溶接などの用途のため、エンジン駆動式発電機を用いて溶接銃(例えばトーチ、アークなど)に電力を供給することができる。これらの溶接システムは、発電機によって生み出される電力を調節することにより、その電力をアーク溶接、プラズマ切断や、同様の操作に適したものにする制御システムを含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的な溶接システムでは、ユーザーがエンジンの設定をカスタム化して制御することがほとんどできない。例えばエンジンは、エンジン調速機を利用してエンジン速度を制御することができる。溶接銃または補助装置がシステムに接続されてオンにされると、その負荷に電力を供給するのに必要な速度までエンジン速度を上昇させることができる。この速度の上昇は、必要な速度を超えることを実質的に回避するためエンジン速度をゆっくりと上昇させる一般的な調速曲線によって決定することができる。溶接負荷と補助負荷(例えば動作させるのに必要な電力が溶接機よりも顕著に少ない照明)が区別されることはない。
【0004】
それに加え、典型的な溶接システムでは、使用していないときにエンジン速度をアイドリング速度まで低下させることができる。しかしこのアイドリング速度はそれでも大量のエネルギーを消費し、しかも高レベルのノイズを発生させる。ユーザーには、こうした不便に耐えるか、使用していないときにしばらくエンジンを手動で停止させる以外の選択肢がなかろう。したがって溶接銃を再び使用できるようにするにはエンジンを手動で再始動させねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のいくつかの特徴によれば、エンジン駆動式発電機/溶接機を制御する方法は、溶接負荷と補助負荷に向けて発電機から出力される電圧および/または電流をモニタし、その検出された出力に基づいて内燃機関の速度を制御する操作を含んでいる。
【0006】
さらに、エンジン駆動式発電機/溶接機を制御する方法として、発電機の溶接出力に関する要求をモニタし、その要求が検出されたときには事前設定動作パラメータに基づくカスタム式制御方式を利用して内燃機関の速度を上昇させ、エンジン速度に基づくエンジン速度制御方式へと移行させる操作を含む方法が提供される。
【0007】
本発明により、エンジン駆動式発電機/溶接機システムとして、内燃機関と、その内燃機関によって駆動される発電機と、溶接電力発電機に対する溶接出力の要求を検出し、少なくとも一部は検出されたその溶接出力の要求および/または事前設定動作パラメータに基づいて内燃機関を制御する制御装置とを含むシステムも提供される。
【0008】
本発明のこれらの特徴、側面、利点と、他の特徴、側面、利点は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明を読めばよりよく理解されよう。なお図面全体を通じ、同じ参照番号は同様の部分を表わす。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のいくつかの特徴によるエンジン・発電機統合制御スキームの全体を示すダイヤグラムであり、このスキームによってエンジンと発電機の機能をよりよく制御することができる。
【図2】本発明の一実施形態によるエンジン駆動式発電機/溶接機システムのブロック・ダイヤグラムである。
【図3】本発明の一実施形態によるエンジン速度のグラフである。
【図4】図3のエンジン速度のグラフに示した1連の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御する方法を示すフロー・チャートである。
【図5】図3のエンジン速度のグラフに示した別の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御する別の方法を示すフロー・チャートである。
【図6】本発明の一実施形態による別のエンジン速度のグラフである。
【図7】図6のエンジン速度のグラフに示した1連の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御する別の方法を示すフロー・チャートである。
【図8】図6のエンジン速度のグラフに示した別の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御するさらに別の方法を示すフロー・チャートである。
【図9】本発明の一実施形態による別のエンジン速度のグラフである。
【図10】図9のエンジン速度のグラフに示した1連の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御するさらに別の方法を示すフロー・チャートである。
【図11】本発明の一実施形態に従って図4、図5、図7、図9に示したエンジン制御法を組み合わせることによって生じるエンジン速度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、発電機を駆動するエンジンの制御に関する。発電機/溶接機を作動させるエンジンは、さまざまな入力をもとにして、エンジン速度、点火、燃料噴射、点火のタイミングのほか、エンジンに関する制御可能な他のあらゆるパラメータに影響を与えるいろいろな制御装置を含むことができる。そのような入力として、例えば負荷(溶接銃および/または補助装置)に供給される電流または電圧、あらかじめ設定した溶接パラメータ、時間などが挙げられる。
【0011】
図1は、本発明のいくつかの特徴によるエンジン・発電機統合制御スキームの全体を示すダイヤグラムである。以下により詳しく説明するように、このシステムは、ガソリン・エンジンやディーゼルエンジンなど、広い範囲のエンジンに適用することができる。さらに、エンジンは、測定可能かつ観察可能かつ制御可能な広範囲のパラメータ(例えば単なる例示だが、燃料流、スロットルの位置、速度、トルク、電力、点火進角(例えばガソリン・エンジン)など)を含むことができる。これら制御装置のいくつかは、機械式、または電子機械式、または電子式の装置として実現できる(例えば電子式調速機を用いる)。一般に、エンジンが始動し、図1に示した統合制御装置によって決まる速度で動作することになる。この統合制御装置は、最適な動作条件が何であるかに応じてエンジンを特定の速度で作動させたり、以下により詳しくまとめて説明するように特定の負荷に電力を送ったりすることができる。
【0012】
図1に示した実施形態では、エンジンが発電機を駆動する。実際、発電機はエンジンにとっての1つの負荷である一方で、発電機そのものは、電気的負荷のための電源である。図1に示したダイヤグラムでは、他の電源(例えばバッテリー、配電網から電力を引き出して電気的負荷に供給する配電網変換器)もシステムに含まれていてもよい。ここで考慮するいくつかのシステムでは、発電機は、他の電源(例えばバッテリーや配電網変換器)と並列に作動する。エンジンの動作に関しては、負荷は電力を発電機および/または他の電源から引き出し、統合制御装置を介してエンジンの制御に影響を与えることができる。したがって、発電機、バッテリー、配電網変換器や、これら以外の電源のために電気的パラメータを感知し、統合制御装置が、感知されたこれらパラメータを利用してエンジンの動作と性能を制御することができる。統合制御装置は、電源のいくつかの機能も調節できることにも注意されたい。統合制御装置は、例えば発電機の界磁を調節することで、発電機によって生み出される電力が電気的負荷の必要に合致するとともに、エンジンの速度とトルクの制御とも協調するようにできる。ここで考慮する用途では、電源は、さまざまな負荷が利用できる制御された電力を発生させる。この電力は、エンジンが発電機を回す速度と、発電機に含まれる極の数との関数になるであろう。あるいはこの電力は、以下に説明するようにさらに処理してもよい。
【0013】
図1には、電源(例えばエンジン-発電機セット)から電力を引き出す可能性のある多数の負荷の例も示してある。ここで考慮する実施形態では、その負荷の中に溶接機といくつかの補助負荷が含まれる。当業者であればわかるように、溶接機は、溶接作業で金属の溶融に用いる電気放電を発生させるのに大きな電力を必要とする。図1に示した溶接機は、発電機からの電力を、実行する特定の溶接作業に適した電力に変換することができる。やはり以下に説明することだが、このような溶接作業は、溶接作業の性質に応じ、定電圧出力方式、または定電流出力方式、またはさまざまなパルス方式を必要とするであろう。補助負荷は、交流電流負荷と直流電流負荷の両方を含むことができ、電源からの出力が、必要に応じて特定の負荷のために変換される。いくつかの実施形態では、統合制御装置は、溶接負荷と補助負荷の両方に合うようにエンジンを適切な速度と電力レベルで動作させる。例えば送電網の周波数(例えば北アメリカでは60Hz)の交流で動作するように設計されたツールや照明その他の負荷は、発電機の電力引き出し口の数に応じて特定の速度で動作するエンジンを必要とするであろう。統合制御装置は、発電機の出力と負荷の出力を感知するか、負荷によって引き出される電力を感知し、それに合わせてエンジンの速度を調節することができる。
【0014】
図1に示したシステムによって電力を供給される他の負荷として充電器が挙げられる。例えば携帯する多くの用途では、エンジンを補助電源として駆動して車両のバッテリーを充電することが有用であろう。他のいくつかの負荷も例として図1に示してあるが、例がこれだけに限られるわけではない。そのような他の負荷として、プラズマ・カッター、ワイヤ供給機、特定の作業(例えばタングステン不活性ガス(ティグ)溶接)に用いる交流電源、さまざまな溶接用付属品、電力変換器(例えばインバータやチョッパー)などが挙げられる。統合制御装置は、上記の溶接機と補助負荷の場合と同様、例えば接続の検出、電力の引き出し、個々のツールの特徴などに基づいてエンジンおよび/または発電機の動作をそのような負荷に合うように調節することができる。
【0015】
統合制御装置は、エンジンおよび/または発電機を制御するため、さまざまな電源からの入力も考慮することができる。そうした電源のうちのいくつかを図1のダイヤグラムに示してある。制御のためにここで考慮する電源として、操作者のさまざまな入力がある。操作者のそのような入力は、溶接機/発電機収納ケースの制御パネルまたはヒューマン・インターフェイスに含めることができる。例えば以下に説明するように、操作者の入力によって溶接パラメータを設定することができる。しかし操作者の入力には、速度の手動オーバーライド、望ましい雑音または燃料使用の手動入力なども含まれていてよい。入力は、図1に示したようにネットワーク化されていてもよい。そのようにネットワーク化された入力として、例えば専用ネットワーク接続、LAN接続、WAN接続、無線などを通じて受け取る入力が挙げられる。実際、任意の入力を、さらには統合制御装置によって調節された制御されたパラメータでさえ、操作者が入力すること、またはネットワークによって入力することができる。他の入力源として、特別な電力を求める命令または要求や、電源に連結された負荷のうちの任意の1つからの電気的パラメータが挙げられる。このような入力として、電源を経由せずにエンジンに直接または間接に連結された装置がさらに挙げられる。例えばいくつかの用途では、エンジンが(図1に示していない)空気圧縮機や油圧ポンプなどの他の装置を駆動することができ、統合制御装置は、そのような装置が動作していることを示す入力を受け取ってエンジンからの電力を付加し、そのような入力に基づいてエンジン速度、燃料流量、出力トルク(または出力電力)などを変えるることができる。
【0016】
統合制御装置それ自体は適切な任意の形態にすることができ、典型的には、1つ以上の電源と、感知したパラメータの値や制御プログラムなどを記憶するためのメモリが付属した1つ以上のプロセッサとを含むことになろう。多くの用途でこのシステムは携帯されることになるため、一般に統合制御装置では、困難な環境で動作することが可能であるよう、エンジンと発電機が、システムの他の部品とともに、丈夫なパッケージに入れられる。プロセッサは、適切な任意のディジタル・プロセッサ(例えばマイクロプロセッサ)、界磁をプログラムできるゲート・アレイなどを含むことができる。メモリ装置はプロセッサのパッケージの一部として(例えば界磁をプログラムできるゲート・アレイのケースの中に)用意することができる。追加のメモリとして、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、読み出し専用メモリ、プログラム可能な読み出し専用メモリなどが挙げられる。エンジンと発電機の調節作業を制御するルーチンは適切な任意のコンピュータ言語で書くことができ、そのようなコードは、以下に説明するさまざまな制御方式に基づく分野の当業者の能力範囲であると考えられる。
【0017】
統合制御装置によって実現される統合の程度は、目指す制御方式の洗練度によって異なる可能性がある。例えば以下により詳しく説明するように、統合制御装置は、電源のいくつかの電気的パラメータ(特に発電機のパラメータ)を感知し、比較的単純な操作(エンジンのために例えばスロットルの位置や燃料流量などに基づいて速度制御)を実行する。しかし、制御装置がエンジンのパラメータと発電機のパラメータの両方を調節して特定の負荷と電力の必要性に合わせるという、はるかに洗練された制御方式を実現することができる。
【0018】
上述のように、統合制御装置は、エンジンの設計と、発電機の設計と、想定される負荷とに応じ、これらの機械に特に合ったさまざまな機能を実行することができる。ここで考慮するいくつかの用途では、例えばエンジンの多くの機能を機械式制御にすることができ、エンジンは、炭素含有燃料の混合に基づいたものにすることができる。他の用途では、エンジンは、燃料噴射式のものを備えている。機械式または電気式の調速機は、炭素含有燃料の混合または燃料の噴射に合わせることができる。当業者であればわかるように、機械式調速機では、制御装置は一般にスロットルの位置を制御しない。同様に、システム内のエンジンは、1気筒、2気筒、3気筒、またはそれよりも多くすることができ、液冷式でも空冷式でもよい。
【0019】
やはり上述のように、制御は、システム内の発電機と他の電源の個々の設計に基づいて実行することができる。例えばここで考慮するいくつかの設計では、発電機は、界磁を制御するために電気式レオスタットを利用することができる。界磁のこのような制御は、統合制御装置で調節することができる。このような用途では、統合制御装置は、エンジンのための燃料噴射器も制御することができ、そのような制御はすべて、溶接機や、さまざまなタイプの補助負荷などからの入力に基づいて実行することができる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態によるエンジン駆動式溶接・発電システム10を示している。このシステム10は、一般に、エンジン12と、溶接発電機14と、補助出力電力を供給する補助発電機16とを含んでいる。統合制御システムにはエンジン制御装置18と溶接機制御装置20が含まれている。これらの制御装置は全体または一部を統合し、エンジン、溶接機、補助発電機から制御のための入力を受け取ってエンジンと発電機の一方または両方を制御するための出力を発生させることができる。溶接発電機は、溶接機22のための電力を供給する。溶接機は、溶接機制御装置20によって制御することができる。溶接機は、典型的には、溶接銃(例えばミグ・トーチ、ティグ・トーチ、棒ハンドルなど)を含んでいる。さまざまな補助負荷または補助装置24(例えば照明、電動工具、ラジオなど)に補助発電機16から電力を供給することができる。エンジン12として、発電機を駆動するガソリン・エンジンまたはディーゼル・エンジンが可能である。
【0021】
図2からわかるように、制御装置18は、エンジン12からの入力、および/またはユーザー・インターフェイス52からの入力、および/または発電機からの出力電力を受け取ることができる。例えばエンジン12の中に配置されるかエンジン12に連結されているセンサーが、エンジンの動作条件、設定、過渡的状況などに関する情報を制御装置に供給することができる。センサーの例として、温度センサー26、酸素センサー28、マニホールドの圧力センサー30、RPMセンサー32、クランク位置のセンサー34などが挙げられる。さらに別のエンジン・センサーが、スロットルの位置、燃料噴射速度、点火のタイミング、大量の空気流量などに関する情報を検出することができる。それに加え、発電機14と補助発電機16の1つ以上の電力出力に連結されたセンサーが、これら発電機から電力を引き出す負荷(例えば溶接機22および/または補助負荷24)に関する情報を提供することができる。例えば電圧センサー36および/または電流センサー38を発電機14の電力出力ラインに連結させ、負荷(例えば溶接機22)が発電機から電力を引き出しているかどうかと電力を引き出すレベルを制御装置が判断できるようにすることが可能である。同様に、電圧センサー40および/または電流センサー42を補助発電機16の電力出力ラインに連結させ、その補助発電機からの電力の引き出しを検出することが可能である。ユーザー入力(例えばあらかじめ設定された動作パラメータ)をユーザー・インターフェイス52を通じて制御装置に供給することもできる。あらかじめ設定された動作パラメータとして、電流と電圧の条件、処理のタイプ(例えば定電流、定電圧、ミグ、ティグ、棒)、ワイヤ電極、棒のサイズなどが挙げられる。ユーザー・インターフェイス24はシステムと統合してもよいし、独立した装置(例えば入力パネル、遠隔制御システムなど)にしてもよい。ユーザー・インターフェイス24は、例えばユーザー入力装置(例えばキーパッド、キーボード、マウス、タッチ-スクリーン、ダイヤル、スイッチ、電位差計、LED、照明など)とディスプレイ(例えばモニタ、CRTディスプレイ、LCDスクリーン)を含むことができる。
【0022】
制御装置は、入力からエンジンの情報、プロセスの情報、負荷の情報を受け取ることに加え、制御信号をさまざまなエンジン・システムに送ることができる。以下により詳しく説明するように、制御装置は、センサー38〜42から集めた情報および/またはユーザー・インターフェイス52を通じた入力の一部または全部を処理し、エンジンの動作設定を変えることができる。制御装置が管理できるのは、例えばエンジン調速機44(例えばスロットル・プレートを通じて)、点火またはクランクするタイミング46、燃料噴射器48とそのタイミング、点火タイマー50、制御可能な他の任意のエンジン部品である。制御装置は、その制御装置に入力される信号とその制御装置から出力される信号をすべて処理するため、離散的なアナログおよび/またはディジタル回路、論理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラム可能な論理コントローラ、界磁をプログラムできるゲート・アレイ、複雑なプログラムが可能な論理装置などを含むことができる。
【0023】
図3は、本発明の実施形態による、発電機の速度56(例えば1分当たりの回転)と時間58の関係を示すグラフ54である。システム10の要素に関しては図2を一般に参照し、グラフ54に関しては図3を参照する。アイドリング速度60は、2気筒のガソリン・エンジンなどの内燃機関に関して約1800〜2400rpmが可能である。別の一実施形態では、ディーゼル・エンジンを約600〜1200rpmのアイドリング速度で作動させることができる。溶接発電機14と補助発電機16に電力を供給するエンジン18は、動作速度62で作動することができる。一般に、通常動作速度62は、同期電力出力周波数を発生させるエンジン速度である。アメリカの装置は一般に60Hzという周波数を利用しており、他の装置は50Hzという周波数を利用している。一例として、2気筒のガソリン・エンジンの通常動作速度62は約3600rpmであり、約60Hzの周波数の交流電流を発生させる。エンジン駆動式4極発電機は、約1800rpmで60Hzを発生させることができる。エンジンの動作速度62は、ほぼ以下の式に基づいたものになろう。
s=120f/P (1)
【0024】
ここにsはエンジンの速度(rpm)であり、fは目標とする周波数(Hz)であり、Pは発電機に含まれる極の数である。例えばエンジンの種類(例えばガソリン・エンジンかディーゼル・エンジンか)とエンジンの設計(例えば気筒の数、極の数など)に応じ、他のアイドリング速度60と動作速度62も利用することができる。
【0025】
従来のエンジン制御システムで見られるように、軌跡64が、アイドリング速度60から動作速度62へとエンジン速度56が上昇することを示している。例えば溶接機22および/または補助負荷24をある時刻66にオンにする。エンジンの負荷が増大するときには必要なトルクが増加するため、エンジン12の速度は最初に低下する。しばらくした後、エンジン調速機44がエンジン速度56の変化を検出し、燃料流の速度を大きくしてエンジン速度56を上昇させることで、増加した負荷を補償する。するとエンジン速度56は、調速曲線に基づいて動作速度62まで上昇する。rpmに基づく従来の制御方式では、一般的な調速曲線を利用してエンジン速度56を所定の負荷に必要な速度まで上昇させ(、その速度をrpm閉鎖ループの中で維持す)ることができる。すなわち、所定の負荷を大きく超えることがないようエンジン速度56は比較的ゆっくりと上昇する(すなわち“通り過ぎ”を制限する)。制御装置は、動作速度に到達させてその速度を維持するため、さまざまな制御技術(例えば閉鎖ループ制御、開放ループ制御、PID制御、直接的な極配置、最適制御、適応的制御、インテリジェントな制御、非線形制御など)を利用することができる。しばらくした後68、エンジン速度56は一般に動作速度62で一定になる。グラフ54からわかるように、軌跡64は、負荷が導入された後に調速機44がエンジン速度56を上昇させ始めるまで大きく垂れ下がっている。
【0026】
それとは逆に、軌跡70は、溶接機22が発電機14から電力を引き出すときにエンジン速度56を上昇させる改良された技術を示している。ユーザーは、ユーザー・インターフェイス52を通じて設定(例えば溶接機22に必要な電流と電圧)を入力することができる。すると制御装置は、電圧と電流が引き出されていることを溶接電力出力に関するセンサー36と38を通じてモニタすることにより、溶接機22がいつ動作しているかを感知できる。制御装置は、発電機14に関する電力の引き出しが検出されると、信号をエンジン調速機44に送り、修正した調速曲線に基づいてエンジン速度56を直ちに上昇させ始める。例えばユーザーが入力する設定を検索表やアルゴリズムなどで利用し、エンジン速度56を望む動作速度62へと最も効果的に上昇させる調速曲線を決定することができる。制御装置18は、一般的な調速曲線に加えて任意の数の入力特異的な調速曲線に関する情報を記憶することができる。溶接機22が時刻66に電力を引き出し始めると、エンジン速度56は負荷のもとで短時間低下する可能性がある。しかしその引き出しが検出されるとすぐに信号がエンジン調速機44に送られるため、調速機44は、エンジン速度56を、軌跡64によって示される従来のエンジン制御システムにおけるよりもはるかに早く上昇させ始める。したがってエンジン速度56は、ある時刻72の後は動作速度62で一般に一定になることができる。エンジンの作動開始から時刻72までの遅れは、軌跡64が動作速度62を維持する時刻68(従来の制御)よりも著しく前にすることができる。
【0027】
さらに、制御装置は、速度上昇と速度維持プロセスの異なる時刻で異なる制御方式を利用することができる。例えば軌跡70は、事前設定に基づく制御方式を示しており、その制御方式を図4にさらに詳しく示してある。それとは逆に、軌跡64は、rpmに基づく従来の制御方式を示している。グラフ54からわかるように、事前設定に基づく制御方式(軌跡70)は、rpmに基づく制御方式(軌跡64)よりも動作速度62を大きく超過した。この現象は、エンジン速度56を上昇させるのにそれぞれの制御方式で利用している技術に帰することができよう。事前設定に基づく制御方式のより迅速な速度上昇をrpmに基づく制御方式の安定化と組み合わせるため、制御装置は、例えばエンジン速度56に合わせて一方の制御方式から他方の制御方式に切り換えることができる。例えば事前設定に基づく制御方式(軌跡70)を利用してエンジン速度56が標的とする動作速度62に近づくと、時刻74で制御装置はrpmに基づく制御方式(軌跡64)へと切り換えることができる。制御方式を変えることにより、それぞれのタイプの制御の利点を最適化することができる。
【0028】
図4は、軌跡70(図3)を生成させることのできる方法76を示している。システム10の要素に関しては図2を、グラフ54に関しては図3を、方法76に関しては図4を参照する。事前設定動作パラメータは、例えばユーザー・インターフェイス52を通じて入力できる(ブロック78)。事前設定動作パラメータとして、例えば溶接機22が必要とする電流と電圧、溶接方式、その方式の詳細などが挙げられる。次に、溶接機22に関して入力した設定に基づいてエンジン負荷を決定する(ブロック80)。すなわち、アイドリング速度60、および/または動作速度62、および/または溶接機22に必要な電流と電圧を実現するのに予想される負荷を決定することができる。例えば検索表やアルゴリズムなどを利用してエンジン負荷、および/またはアイドリング速度60、および/またはその負荷に必要な動作速度62を決定することができる。これらは、予想される負荷条件のもとでエンジンを試験することによって前もって経験的に決定することができる。動作パラメータの入力後、エンジン12をある期間(例えばユーザーが溶接機22を準備している間)アイドリングさせることができる(ブロック82)。溶接機22が作動状態になる(例えばアークが点火する)と、制御装置は発電機14での電力の引き出しを感知する(ブロック84)。すると制御装置は、調速機44、点火/クランク入力46、燃料噴射器48、点火タイマー50などに信号を送り、エンジン速度56をアイドリング速度60から動作速度62へと上昇させ始める(ブロック88)。上昇プロセスでは、ユーザーが入力した設定と予想される動作速度62とに基づいたエンジン調速曲線を利用することができる。例えば発電機が3600rpmの速度62で動作するときに発生する出力電力を溶接機22が必要とする場合、制御装置はエンジンの動作設定を調節してエンジンのスロットルを開き、エンジンが3600rpmで動作するのに必要な位置にする。するとエンジンは迅速に動作速度62まで上昇する。
【0029】
図5は、エンジン制御方式を変えることのできる方法90を示している。グラフ54に関しては図3を、方法76に関しては図4を参照する。事前設定に基づく制御方式を利用してエンジン速度56を上昇させることができる(ブロック92)。その後、エンジン速度56をモニタし(ブロック94)、目標とする動作速度62と比較することができる(ブロック96)。エンジン速度56が動作速度62に近くない場合には、事前設定に基づく制御方式を利用してエンジン速度を上昇させ続ける(ブロック92)。しかしエンジン速度56が動作速度62に近い場合には、rpmに基づく制御方式を実現することができる(ブロック98)。エンジン速度56が動作速度62に“近い”と見なす閾値は、事前に設定された値、ユーザーが入力する値、動作速度62のある割合、別の適切なレベルのいずれかにすることができる。
【0030】
図6は、本発明の実施形態によるエンジン速度56と時間58の関係を示すグラフ100である。システム10の要素に関しては一般に図2を、グラフ100に関しては図6を参照し、アイドリング速度60と定格速度62に加えて低いアイドリング速度102とエンジン停止速度104(すなわち停止させる)を説明する。例えばアイドリング速度60が1800rpmのエンジンは、約1600rpmという低いアイドリング速度102を持つことができる。だが他の低いアイドリング速度102を実現してもよい。使用していないときのエンジン速度56の低下またはエンジン停止は、負荷を利用していないときにエンジンを冷却して雑音と燃料消費を減らすのに役立つ。別の一実施形態では、要求に応えるため、事前設定操作パラメータに基づいて溶接機22の高いアイドリング速度105を実現することができる。例えばエンジンが1800rpmというアイドリング速度60を持っていて、事前設定動作速度62が3600rpmである場合、高いアイドリング速度105は約3000rpmになろう。この高いアイドリング速度105により、例えばエンジンが間欠的にアイドリングするときに操作速度62をより迅速に上昇させることが可能になる。
【0031】
軌跡106、108、114は、システム10において実現できる可能なエネルギー節約技術を示している。例えばある時刻110の後に発電機からの電力の引き出しがない場合には、エンジン速度56をアイドリング速度60から低いアイドリング速度102(軌跡106)へと低下させること、またはエンジンの動作を一時的に中断し(軌跡108)、エンジン速度56をエンジン停止速度104に下げることができる。ある時刻112にエンジンへの電力の引き出しが検出されると、上述の任意の制御技術を利用してエンジン速度56を動作速度62まで上昇させることができる。さらに、軌跡114によって示してあるように、低いアイドリング速度102とエンジン停止速度104の組み合わせを利用することもできる。例えば時刻110の後にエンジン速度56を低いアイドリング速度102まで低下させ、時刻116の後にエンジン停止速度104まで低下させることができる。
【0032】
別の一実施形態では、エンジン速度56を最初に動作速度62から高いアイドリング速度105に低下させることができる。発電機からの電力の引き出しが検出されると、エンジン速度56は動作速度62に戻ることができる。しかしある時刻110の後に電力の引き出しが検出されない場合には、エンジン速度56を高いアイドリング速度105からより低い速度へと低下させることができる(例えば軌跡109で示したアイドリング速度60;低いアイドリング速度102;エンジン停止速度104;別のエンジン速度56)。時刻110、112、116は、アイドリング方式が異なる場合には異なっていてもよいことに注意されたい。例えばエンジンをアイドリング速度60よりも短い時間にわたって高いアイドリング速度105に維持した後、より低いエンジン速度56に移行することが望ましかろう。
【0033】
図7を参照すると、軌跡106、108、114(図6)を生成させる方法118が示されている。システム10の要素に関しては図2を、グラフ100に関しては図6を、方法118のステップに関しては図7を参照する。エンジン18は、高いアイドリング速度105またはアイドリング速度60で動作することができる(ブロック120)。制御装置は、引き出される電流と電圧を電力出力においてモニタし、負荷が発電機から電力を引き出しているかどうかを判断する(ブロック122)。引き出しがない場合には、エンジン速度56を(例えば高いアイドリング速度105から)アイドリング速度60に低下させること、または(例えばアイドリング速度60または高いアイドリング速度105から)低いアイドリング速度102に低下させること、または(例えばアイドリング速度60、または低いアイドリング速度102、または高いアイドリング速度105から)エンジン停止速度104に低下させることができる(ブロック124)。エンジン速度56が低下した後、制御装置は、センサー36〜42を通じて発電機からの電流および/または電圧のモニタを継続することができる(ブロック126)。溶接機22と補助負荷24のどちらかが電流および/または電圧を引き出している場合には、エンジンを再始動させること、および/またはエンジン速度56を動作速度62まで上昇させることができる(ブロック128)。それに加え、溶接機22は、エンジンを遠隔で始動させることができるようにスイッチを含むことができる。発電機からの電力の引き出しがない場合には、エンジン速度56をアイドリング速度60または低いアイドリング速度102に維持すること、またはエンジンを停止させたままにしておくことができる(ブロック124)。4通りのアイドリング/停止速度をグラフ100(図6)と方法118(図7)に示してあるが、アイドリング/停止速度は、この明細書に従って任意の数および/または組み合わせで実現することができる。
【0034】
図8は、軌跡114(図6)に示したようにエンジン速度56の低下が多数回含まれる方法130を示している。システム10の要素に関しては図2を、グラフ100に関しては図6を、方法130のステップに関しては図8を参照する。エンジンは、アイドリング速度60でアイドリングさせることができる(ブロック132)。制御装置は、エンジン速度56および/または発電機から引き出される電流と電圧をモニタし、エンジンがどれくらいの期間アイドリングの状態であったかを判断する(ブロック134)。エンジン18のアイドリング状態が所定の期間に満たない場合には、エンジン速度56をアイドリング速度60のままにしておくことができる(ブロック132)。しかしエンジンが所定の期間アイドリング状態であった場合には、エンジン速度56を低いアイドリング速度102まで低下させることができる(ブロック136)。すると制御装置は、エンジン速度56のモニタを継続し、エンジンがどれくらいの期間低いアイドリング速度102であったかを判断する(ブロック138)。エンジンが低いアイドリング速度102である期間が所定の期間に満たない場合には、エンジン速度56を低いアイドリング速度102のままにしておくことができる(ブロック136)。エンジンが所定の期間低いアイドリング速度102であった場合には、エンジンを一時的に停止させ、エンジン速度56をエンジン停止速度104に低下させることができる(ブロック140)。エンジンの停止後、制御装置は、負荷に関してセンサー36〜42のモニタを継続することができる(ブロック142)。溶接機22または補助負荷24がオンにされる(すなわち電力が引き出され始める、または電力が要求される)場合には、エンジン18を再始動させ、エンジン速度56を動作速度62まで上昇させることができる(ブロック144)。それに加え、スイッチを用いて停止後のエンジンを再始動させることができる。例えばトーチ20は、エンジンを遠隔で始動させることができるようにスイッチを含むことができる。負荷が検出されない場合には、エンジンを停止させたままにしておくことができる(ブロック140)。アイドリング速度の異なる組み合わせを方法130で実現できることと、任意の数の速度を利用してエンジン速度56を徐々に低下させうることを理解されたい。
【0035】
図9を参照すると、本発明の実施形態によるエンジン速度56と時間58の関係を示すグラフ146が示されている。図2は、全体としてシステム10の要素を示しており、図9は、グラフ146を示している。本発明のこのケースでは、特に補助負荷24が発電機16から電力を引き出していないとき、または補助負荷24が発電機16によって供給される周波数に敏感でないときには、“インテリジェントな超過速度”148を実現し、溶接のための電力出力を改善することができる。アンペア数の大きい方法(例えば、ガウジング、幅の広いワイヤを用いたワイヤ溶接、幅の広い棒を用いた溶接)や、多数のインバータを含む方法を実行するときには、エンジン速度56を上昇させること、したがって発電14の出力を増やすことが望ましかろう。軌跡150は、インテリジェントな超過速度148の利用を示している。時刻152においてエンジン速度56を通常の動作速度62からより大きな速度148へと上昇させることができる。このより大きな速度148は、溶接機22がより効率的に動作するエンジン速度56(例えば2極のガソリン・エンジンでは3700〜3800rpm、4極のガソリン・エンジンでは2400〜3000rpm)にすることができる。システムと溶接機22の動作パラメータに応じて他の速度148を実現してもよい。それに加え、速度148として、事前設定値、ユーザーの入力値、溶接の設定に基づいて決まる値、適切な任意の速度のいずれかが可能である。
【0036】
周波数に依存する補助負荷24を傷めることなくより高い周波数の電力を発生させるには、周波数に依存する補助負荷24が使用されているときにエンジン速度の上昇を阻止する制御方式を提供することが望ましかろう。例えばこのシステムに、標準的な補助ソケットに加えて、または標準的な補助ソケットの代わりに、適切な補助電力ソケットを設けることができる。周波数とは独立な補助負荷は、周波数とは独立なその補助負荷だけを補助電力ソケットに差し込むことができるよう、対応する適切なプラグを備えることができる。すると対応する制御方式では、電力が標準的な電力ソケットから引き出されている場合にはエンジン速度56を上昇させず、電力が適切な電力ソケットから引き出されている場合にはエンジン速度56を上昇させることができる。別の一実施形態では、制御装置は、取り付けられた補助負荷が周波数に依存するかどうかを判断することができる。周波数に依存する補助負荷がシステムから電力を引き出していない場合にだけ、エンジン速度を上昇させることができる。さらに、別の一実施形態では、システムは、入力される電圧、周波数、位相などとは独立に出力電圧を調節する電力管理技術を含むことができる。例えばミラー・エレクトリック社から入手できるAuto-Line(登録商標)がそのような電力の安定性を提供することができる。したがって補助ソケットでは調節された電力出力が得られるのに対し、溶接電力出力は可変周波数にすることができる。
【0037】
図10は、軌跡150(図9)を生成させることのできる方法154を示している。システムの要素に関しては図2を、グラフ146に関しては図9を、方法154に関しては図10を参照する。エンジンは、動作速度62で動作することができる(ブロック156)。すなわち溶接機および/または補助負荷は、発電機から電力を引き出すことができる。制御装置は、センサー36〜42を利用し、電力が溶接電力出力および/または発電機の補助電力出力から引き出されているかどうかを判断することができる(ブロック158と162)。溶接電力が引き出されておらず(すなわち溶接機が作動していない)、周波数に依存する補助負荷が電力を引き出している(すなわち周波数に依存する装置が利用されている)場合には、エンジン速度56を通常動作速度62に維持することができる(ブロック160)。しかし溶接電力が引き出されていて(すなわち溶接機を使用中で)、周波数に依存する補助負荷が電力を引き出していない(すなわち補助装置を使用していないか、周波数に依存する装置だけを使用中である)場合には、制御装置はエンジン速度56をより大きな速度148に上昇させることができる(ブロック164)。エンジン速度56を大きくすることにより、発電機はより高周波数の電力を出力することができる。溶接銃14は、より高い周波数の電力をより効率的に操作することができる。
【0038】
最後に、図11は、本発明の実施形態として示されるエンジン速度56と時間58の関係を表わすグラフ166を示している。システム10の要素に関しては図2を、グラフ166に関しては図11を参照する。軌跡は、本発明の多くの特徴の組み合わせを示している。例えばエンジンをアイドリング速度60で始動させることができる。制御装置は、時刻170に溶接機が発電機から電力を引き出していることを検出できる。ユーザー・インターフェイスで入力された事前設定動作パラメータに基づき、事前設定値に基づく制御方式を利用してエンジン速度56を迅速に上昇させることができる。時刻172にはエンジン速度56が目標とする動作速度62に近づくため、制御装置はrpmに基づく制御方式に切り換えることができる。するとエンジン速度56を動作速度62に安定させることができる。時刻174の後、制御装置は、溶接機も補助負荷も使用されていないことを確認し、エンジン速度56をアイドリング速度60まで低下させることができる。その後、時刻176まで電力の引き出しが検出されないと、制御装置はエンジン速度56を低いアイドリング速度102まで低下させることができる。同様に、時刻178の後に引き出しが検出されない場合には、制御装置はエンジンを停止し、エンジン速度をエンジン停止速度104までうまく低下させることができる。時刻180に負荷が検出されると、制御装置はエンジンをオンにし、エンジン速度56を動作速度62まで上昇させる。制御装置は、時刻182に、再度、事前設定値に基づく制御方式からrpmに基づく制御方式に移行することができる。時刻184に周波数に依存した負荷がエンジンに存在していない(例えば、溶接機だけが動作している、または溶接機と周波数に依存しない装置が動作している)と制御装置が判断した場合には、エンジン速度56をより高い速度148までさらに上昇させることができる。
【0039】
本明細書に開示したどの実施形態も、単一のシステム、発電機/溶接機、発電機として実現できることに注意されたい。本発明のいくつかの特徴だけをこの明細書に図示して説明してきたが、当業者は多くの改変や変更を思いつくであろう。したがって添付の請求項は、本発明の真の精神に含まれるそのような改変と変更をすべてカバーするものと理解する。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、エンジンの状態と発電機の負荷に基づいて発電機を駆動するエンジンを制御するシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の電力を容易に入手できない場所に電力を供給するのにエンジン駆動式発電機が一般に用いられている。ガソリン・エンジンとディーゼル・エンジンの両方ともそのような発電機を駆動するのに使用され、発生する電力の典型値は120VACまたは240VACである。棒電極溶接、ミグ溶接、ティグ溶接などの用途のため、エンジン駆動式発電機を用いて溶接銃(例えばトーチ、アークなど)に電力を供給することができる。これらの溶接システムは、発電機によって生み出される電力を調節することにより、その電力をアーク溶接、プラズマ切断や、同様の操作に適したものにする制御システムを含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的な溶接システムでは、ユーザーがエンジンの設定をカスタム化して制御することがほとんどできない。例えばエンジンは、エンジン調速機を利用してエンジン速度を制御することができる。溶接銃または補助装置がシステムに接続されてオンにされると、その負荷に電力を供給するのに必要な速度までエンジン速度を上昇させることができる。この速度の上昇は、必要な速度を超えることを実質的に回避するためエンジン速度をゆっくりと上昇させる一般的な調速曲線によって決定することができる。溶接負荷と補助負荷(例えば動作させるのに必要な電力が溶接機よりも顕著に少ない照明)が区別されることはない。
【0004】
それに加え、典型的な溶接システムでは、使用していないときにエンジン速度をアイドリング速度まで低下させることができる。しかしこのアイドリング速度はそれでも大量のエネルギーを消費し、しかも高レベルのノイズを発生させる。ユーザーには、こうした不便に耐えるか、使用していないときにしばらくエンジンを手動で停止させる以外の選択肢がなかろう。したがって溶接銃を再び使用できるようにするにはエンジンを手動で再始動させねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のいくつかの特徴によれば、エンジン駆動式発電機/溶接機を制御する方法は、溶接負荷と補助負荷に向けて発電機から出力される電圧および/または電流をモニタし、その検出された出力に基づいて内燃機関の速度を制御する操作を含んでいる。
【0006】
さらに、エンジン駆動式発電機/溶接機を制御する方法として、発電機の溶接出力に関する要求をモニタし、その要求が検出されたときには事前設定動作パラメータに基づくカスタム式制御方式を利用して内燃機関の速度を上昇させ、エンジン速度に基づくエンジン速度制御方式へと移行させる操作を含む方法が提供される。
【0007】
本発明により、エンジン駆動式発電機/溶接機システムとして、内燃機関と、その内燃機関によって駆動される発電機と、溶接電力発電機に対する溶接出力の要求を検出し、少なくとも一部は検出されたその溶接出力の要求および/または事前設定動作パラメータに基づいて内燃機関を制御する制御装置とを含むシステムも提供される。
【0008】
本発明のこれらの特徴、側面、利点と、他の特徴、側面、利点は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明を読めばよりよく理解されよう。なお図面全体を通じ、同じ参照番号は同様の部分を表わす。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のいくつかの特徴によるエンジン・発電機統合制御スキームの全体を示すダイヤグラムであり、このスキームによってエンジンと発電機の機能をよりよく制御することができる。
【図2】本発明の一実施形態によるエンジン駆動式発電機/溶接機システムのブロック・ダイヤグラムである。
【図3】本発明の一実施形態によるエンジン速度のグラフである。
【図4】図3のエンジン速度のグラフに示した1連の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御する方法を示すフロー・チャートである。
【図5】図3のエンジン速度のグラフに示した別の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御する別の方法を示すフロー・チャートである。
【図6】本発明の一実施形態による別のエンジン速度のグラフである。
【図7】図6のエンジン速度のグラフに示した1連の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御する別の方法を示すフロー・チャートである。
【図8】図6のエンジン速度のグラフに示した別の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御するさらに別の方法を示すフロー・チャートである。
【図9】本発明の一実施形態による別のエンジン速度のグラフである。
【図10】図9のエンジン速度のグラフに示した1連の軌跡を生み出すため、本発明の一実施形態に従ってエンジンを制御するさらに別の方法を示すフロー・チャートである。
【図11】本発明の一実施形態に従って図4、図5、図7、図9に示したエンジン制御法を組み合わせることによって生じるエンジン速度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、発電機を駆動するエンジンの制御に関する。発電機/溶接機を作動させるエンジンは、さまざまな入力をもとにして、エンジン速度、点火、燃料噴射、点火のタイミングのほか、エンジンに関する制御可能な他のあらゆるパラメータに影響を与えるいろいろな制御装置を含むことができる。そのような入力として、例えば負荷(溶接銃および/または補助装置)に供給される電流または電圧、あらかじめ設定した溶接パラメータ、時間などが挙げられる。
【0011】
図1は、本発明のいくつかの特徴によるエンジン・発電機統合制御スキームの全体を示すダイヤグラムである。以下により詳しく説明するように、このシステムは、ガソリン・エンジンやディーゼルエンジンなど、広い範囲のエンジンに適用することができる。さらに、エンジンは、測定可能かつ観察可能かつ制御可能な広範囲のパラメータ(例えば単なる例示だが、燃料流、スロットルの位置、速度、トルク、電力、点火進角(例えばガソリン・エンジン)など)を含むことができる。これら制御装置のいくつかは、機械式、または電子機械式、または電子式の装置として実現できる(例えば電子式調速機を用いる)。一般に、エンジンが始動し、図1に示した統合制御装置によって決まる速度で動作することになる。この統合制御装置は、最適な動作条件が何であるかに応じてエンジンを特定の速度で作動させたり、以下により詳しくまとめて説明するように特定の負荷に電力を送ったりすることができる。
【0012】
図1に示した実施形態では、エンジンが発電機を駆動する。実際、発電機はエンジンにとっての1つの負荷である一方で、発電機そのものは、電気的負荷のための電源である。図1に示したダイヤグラムでは、他の電源(例えばバッテリー、配電網から電力を引き出して電気的負荷に供給する配電網変換器)もシステムに含まれていてもよい。ここで考慮するいくつかのシステムでは、発電機は、他の電源(例えばバッテリーや配電網変換器)と並列に作動する。エンジンの動作に関しては、負荷は電力を発電機および/または他の電源から引き出し、統合制御装置を介してエンジンの制御に影響を与えることができる。したがって、発電機、バッテリー、配電網変換器や、これら以外の電源のために電気的パラメータを感知し、統合制御装置が、感知されたこれらパラメータを利用してエンジンの動作と性能を制御することができる。統合制御装置は、電源のいくつかの機能も調節できることにも注意されたい。統合制御装置は、例えば発電機の界磁を調節することで、発電機によって生み出される電力が電気的負荷の必要に合致するとともに、エンジンの速度とトルクの制御とも協調するようにできる。ここで考慮する用途では、電源は、さまざまな負荷が利用できる制御された電力を発生させる。この電力は、エンジンが発電機を回す速度と、発電機に含まれる極の数との関数になるであろう。あるいはこの電力は、以下に説明するようにさらに処理してもよい。
【0013】
図1には、電源(例えばエンジン-発電機セット)から電力を引き出す可能性のある多数の負荷の例も示してある。ここで考慮する実施形態では、その負荷の中に溶接機といくつかの補助負荷が含まれる。当業者であればわかるように、溶接機は、溶接作業で金属の溶融に用いる電気放電を発生させるのに大きな電力を必要とする。図1に示した溶接機は、発電機からの電力を、実行する特定の溶接作業に適した電力に変換することができる。やはり以下に説明することだが、このような溶接作業は、溶接作業の性質に応じ、定電圧出力方式、または定電流出力方式、またはさまざまなパルス方式を必要とするであろう。補助負荷は、交流電流負荷と直流電流負荷の両方を含むことができ、電源からの出力が、必要に応じて特定の負荷のために変換される。いくつかの実施形態では、統合制御装置は、溶接負荷と補助負荷の両方に合うようにエンジンを適切な速度と電力レベルで動作させる。例えば送電網の周波数(例えば北アメリカでは60Hz)の交流で動作するように設計されたツールや照明その他の負荷は、発電機の電力引き出し口の数に応じて特定の速度で動作するエンジンを必要とするであろう。統合制御装置は、発電機の出力と負荷の出力を感知するか、負荷によって引き出される電力を感知し、それに合わせてエンジンの速度を調節することができる。
【0014】
図1に示したシステムによって電力を供給される他の負荷として充電器が挙げられる。例えば携帯する多くの用途では、エンジンを補助電源として駆動して車両のバッテリーを充電することが有用であろう。他のいくつかの負荷も例として図1に示してあるが、例がこれだけに限られるわけではない。そのような他の負荷として、プラズマ・カッター、ワイヤ供給機、特定の作業(例えばタングステン不活性ガス(ティグ)溶接)に用いる交流電源、さまざまな溶接用付属品、電力変換器(例えばインバータやチョッパー)などが挙げられる。統合制御装置は、上記の溶接機と補助負荷の場合と同様、例えば接続の検出、電力の引き出し、個々のツールの特徴などに基づいてエンジンおよび/または発電機の動作をそのような負荷に合うように調節することができる。
【0015】
統合制御装置は、エンジンおよび/または発電機を制御するため、さまざまな電源からの入力も考慮することができる。そうした電源のうちのいくつかを図1のダイヤグラムに示してある。制御のためにここで考慮する電源として、操作者のさまざまな入力がある。操作者のそのような入力は、溶接機/発電機収納ケースの制御パネルまたはヒューマン・インターフェイスに含めることができる。例えば以下に説明するように、操作者の入力によって溶接パラメータを設定することができる。しかし操作者の入力には、速度の手動オーバーライド、望ましい雑音または燃料使用の手動入力なども含まれていてよい。入力は、図1に示したようにネットワーク化されていてもよい。そのようにネットワーク化された入力として、例えば専用ネットワーク接続、LAN接続、WAN接続、無線などを通じて受け取る入力が挙げられる。実際、任意の入力を、さらには統合制御装置によって調節された制御されたパラメータでさえ、操作者が入力すること、またはネットワークによって入力することができる。他の入力源として、特別な電力を求める命令または要求や、電源に連結された負荷のうちの任意の1つからの電気的パラメータが挙げられる。このような入力として、電源を経由せずにエンジンに直接または間接に連結された装置がさらに挙げられる。例えばいくつかの用途では、エンジンが(図1に示していない)空気圧縮機や油圧ポンプなどの他の装置を駆動することができ、統合制御装置は、そのような装置が動作していることを示す入力を受け取ってエンジンからの電力を付加し、そのような入力に基づいてエンジン速度、燃料流量、出力トルク(または出力電力)などを変えるることができる。
【0016】
統合制御装置それ自体は適切な任意の形態にすることができ、典型的には、1つ以上の電源と、感知したパラメータの値や制御プログラムなどを記憶するためのメモリが付属した1つ以上のプロセッサとを含むことになろう。多くの用途でこのシステムは携帯されることになるため、一般に統合制御装置では、困難な環境で動作することが可能であるよう、エンジンと発電機が、システムの他の部品とともに、丈夫なパッケージに入れられる。プロセッサは、適切な任意のディジタル・プロセッサ(例えばマイクロプロセッサ)、界磁をプログラムできるゲート・アレイなどを含むことができる。メモリ装置はプロセッサのパッケージの一部として(例えば界磁をプログラムできるゲート・アレイのケースの中に)用意することができる。追加のメモリとして、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、読み出し専用メモリ、プログラム可能な読み出し専用メモリなどが挙げられる。エンジンと発電機の調節作業を制御するルーチンは適切な任意のコンピュータ言語で書くことができ、そのようなコードは、以下に説明するさまざまな制御方式に基づく分野の当業者の能力範囲であると考えられる。
【0017】
統合制御装置によって実現される統合の程度は、目指す制御方式の洗練度によって異なる可能性がある。例えば以下により詳しく説明するように、統合制御装置は、電源のいくつかの電気的パラメータ(特に発電機のパラメータ)を感知し、比較的単純な操作(エンジンのために例えばスロットルの位置や燃料流量などに基づいて速度制御)を実行する。しかし、制御装置がエンジンのパラメータと発電機のパラメータの両方を調節して特定の負荷と電力の必要性に合わせるという、はるかに洗練された制御方式を実現することができる。
【0018】
上述のように、統合制御装置は、エンジンの設計と、発電機の設計と、想定される負荷とに応じ、これらの機械に特に合ったさまざまな機能を実行することができる。ここで考慮するいくつかの用途では、例えばエンジンの多くの機能を機械式制御にすることができ、エンジンは、炭素含有燃料の混合に基づいたものにすることができる。他の用途では、エンジンは、燃料噴射式のものを備えている。機械式または電気式の調速機は、炭素含有燃料の混合または燃料の噴射に合わせることができる。当業者であればわかるように、機械式調速機では、制御装置は一般にスロットルの位置を制御しない。同様に、システム内のエンジンは、1気筒、2気筒、3気筒、またはそれよりも多くすることができ、液冷式でも空冷式でもよい。
【0019】
やはり上述のように、制御は、システム内の発電機と他の電源の個々の設計に基づいて実行することができる。例えばここで考慮するいくつかの設計では、発電機は、界磁を制御するために電気式レオスタットを利用することができる。界磁のこのような制御は、統合制御装置で調節することができる。このような用途では、統合制御装置は、エンジンのための燃料噴射器も制御することができ、そのような制御はすべて、溶接機や、さまざまなタイプの補助負荷などからの入力に基づいて実行することができる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態によるエンジン駆動式溶接・発電システム10を示している。このシステム10は、一般に、エンジン12と、溶接発電機14と、補助出力電力を供給する補助発電機16とを含んでいる。統合制御システムにはエンジン制御装置18と溶接機制御装置20が含まれている。これらの制御装置は全体または一部を統合し、エンジン、溶接機、補助発電機から制御のための入力を受け取ってエンジンと発電機の一方または両方を制御するための出力を発生させることができる。溶接発電機は、溶接機22のための電力を供給する。溶接機は、溶接機制御装置20によって制御することができる。溶接機は、典型的には、溶接銃(例えばミグ・トーチ、ティグ・トーチ、棒ハンドルなど)を含んでいる。さまざまな補助負荷または補助装置24(例えば照明、電動工具、ラジオなど)に補助発電機16から電力を供給することができる。エンジン12として、発電機を駆動するガソリン・エンジンまたはディーゼル・エンジンが可能である。
【0021】
図2からわかるように、制御装置18は、エンジン12からの入力、および/またはユーザー・インターフェイス52からの入力、および/または発電機からの出力電力を受け取ることができる。例えばエンジン12の中に配置されるかエンジン12に連結されているセンサーが、エンジンの動作条件、設定、過渡的状況などに関する情報を制御装置に供給することができる。センサーの例として、温度センサー26、酸素センサー28、マニホールドの圧力センサー30、RPMセンサー32、クランク位置のセンサー34などが挙げられる。さらに別のエンジン・センサーが、スロットルの位置、燃料噴射速度、点火のタイミング、大量の空気流量などに関する情報を検出することができる。それに加え、発電機14と補助発電機16の1つ以上の電力出力に連結されたセンサーが、これら発電機から電力を引き出す負荷(例えば溶接機22および/または補助負荷24)に関する情報を提供することができる。例えば電圧センサー36および/または電流センサー38を発電機14の電力出力ラインに連結させ、負荷(例えば溶接機22)が発電機から電力を引き出しているかどうかと電力を引き出すレベルを制御装置が判断できるようにすることが可能である。同様に、電圧センサー40および/または電流センサー42を補助発電機16の電力出力ラインに連結させ、その補助発電機からの電力の引き出しを検出することが可能である。ユーザー入力(例えばあらかじめ設定された動作パラメータ)をユーザー・インターフェイス52を通じて制御装置に供給することもできる。あらかじめ設定された動作パラメータとして、電流と電圧の条件、処理のタイプ(例えば定電流、定電圧、ミグ、ティグ、棒)、ワイヤ電極、棒のサイズなどが挙げられる。ユーザー・インターフェイス24はシステムと統合してもよいし、独立した装置(例えば入力パネル、遠隔制御システムなど)にしてもよい。ユーザー・インターフェイス24は、例えばユーザー入力装置(例えばキーパッド、キーボード、マウス、タッチ-スクリーン、ダイヤル、スイッチ、電位差計、LED、照明など)とディスプレイ(例えばモニタ、CRTディスプレイ、LCDスクリーン)を含むことができる。
【0022】
制御装置は、入力からエンジンの情報、プロセスの情報、負荷の情報を受け取ることに加え、制御信号をさまざまなエンジン・システムに送ることができる。以下により詳しく説明するように、制御装置は、センサー38〜42から集めた情報および/またはユーザー・インターフェイス52を通じた入力の一部または全部を処理し、エンジンの動作設定を変えることができる。制御装置が管理できるのは、例えばエンジン調速機44(例えばスロットル・プレートを通じて)、点火またはクランクするタイミング46、燃料噴射器48とそのタイミング、点火タイマー50、制御可能な他の任意のエンジン部品である。制御装置は、その制御装置に入力される信号とその制御装置から出力される信号をすべて処理するため、離散的なアナログおよび/またはディジタル回路、論理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラム可能な論理コントローラ、界磁をプログラムできるゲート・アレイ、複雑なプログラムが可能な論理装置などを含むことができる。
【0023】
図3は、本発明の実施形態による、発電機の速度56(例えば1分当たりの回転)と時間58の関係を示すグラフ54である。システム10の要素に関しては図2を一般に参照し、グラフ54に関しては図3を参照する。アイドリング速度60は、2気筒のガソリン・エンジンなどの内燃機関に関して約1800〜2400rpmが可能である。別の一実施形態では、ディーゼル・エンジンを約600〜1200rpmのアイドリング速度で作動させることができる。溶接発電機14と補助発電機16に電力を供給するエンジン18は、動作速度62で作動することができる。一般に、通常動作速度62は、同期電力出力周波数を発生させるエンジン速度である。アメリカの装置は一般に60Hzという周波数を利用しており、他の装置は50Hzという周波数を利用している。一例として、2気筒のガソリン・エンジンの通常動作速度62は約3600rpmであり、約60Hzの周波数の交流電流を発生させる。エンジン駆動式4極発電機は、約1800rpmで60Hzを発生させることができる。エンジンの動作速度62は、ほぼ以下の式に基づいたものになろう。
s=120f/P (1)
【0024】
ここにsはエンジンの速度(rpm)であり、fは目標とする周波数(Hz)であり、Pは発電機に含まれる極の数である。例えばエンジンの種類(例えばガソリン・エンジンかディーゼル・エンジンか)とエンジンの設計(例えば気筒の数、極の数など)に応じ、他のアイドリング速度60と動作速度62も利用することができる。
【0025】
従来のエンジン制御システムで見られるように、軌跡64が、アイドリング速度60から動作速度62へとエンジン速度56が上昇することを示している。例えば溶接機22および/または補助負荷24をある時刻66にオンにする。エンジンの負荷が増大するときには必要なトルクが増加するため、エンジン12の速度は最初に低下する。しばらくした後、エンジン調速機44がエンジン速度56の変化を検出し、燃料流の速度を大きくしてエンジン速度56を上昇させることで、増加した負荷を補償する。するとエンジン速度56は、調速曲線に基づいて動作速度62まで上昇する。rpmに基づく従来の制御方式では、一般的な調速曲線を利用してエンジン速度56を所定の負荷に必要な速度まで上昇させ(、その速度をrpm閉鎖ループの中で維持す)ることができる。すなわち、所定の負荷を大きく超えることがないようエンジン速度56は比較的ゆっくりと上昇する(すなわち“通り過ぎ”を制限する)。制御装置は、動作速度に到達させてその速度を維持するため、さまざまな制御技術(例えば閉鎖ループ制御、開放ループ制御、PID制御、直接的な極配置、最適制御、適応的制御、インテリジェントな制御、非線形制御など)を利用することができる。しばらくした後68、エンジン速度56は一般に動作速度62で一定になる。グラフ54からわかるように、軌跡64は、負荷が導入された後に調速機44がエンジン速度56を上昇させ始めるまで大きく垂れ下がっている。
【0026】
それとは逆に、軌跡70は、溶接機22が発電機14から電力を引き出すときにエンジン速度56を上昇させる改良された技術を示している。ユーザーは、ユーザー・インターフェイス52を通じて設定(例えば溶接機22に必要な電流と電圧)を入力することができる。すると制御装置は、電圧と電流が引き出されていることを溶接電力出力に関するセンサー36と38を通じてモニタすることにより、溶接機22がいつ動作しているかを感知できる。制御装置は、発電機14に関する電力の引き出しが検出されると、信号をエンジン調速機44に送り、修正した調速曲線に基づいてエンジン速度56を直ちに上昇させ始める。例えばユーザーが入力する設定を検索表やアルゴリズムなどで利用し、エンジン速度56を望む動作速度62へと最も効果的に上昇させる調速曲線を決定することができる。制御装置18は、一般的な調速曲線に加えて任意の数の入力特異的な調速曲線に関する情報を記憶することができる。溶接機22が時刻66に電力を引き出し始めると、エンジン速度56は負荷のもとで短時間低下する可能性がある。しかしその引き出しが検出されるとすぐに信号がエンジン調速機44に送られるため、調速機44は、エンジン速度56を、軌跡64によって示される従来のエンジン制御システムにおけるよりもはるかに早く上昇させ始める。したがってエンジン速度56は、ある時刻72の後は動作速度62で一般に一定になることができる。エンジンの作動開始から時刻72までの遅れは、軌跡64が動作速度62を維持する時刻68(従来の制御)よりも著しく前にすることができる。
【0027】
さらに、制御装置は、速度上昇と速度維持プロセスの異なる時刻で異なる制御方式を利用することができる。例えば軌跡70は、事前設定に基づく制御方式を示しており、その制御方式を図4にさらに詳しく示してある。それとは逆に、軌跡64は、rpmに基づく従来の制御方式を示している。グラフ54からわかるように、事前設定に基づく制御方式(軌跡70)は、rpmに基づく制御方式(軌跡64)よりも動作速度62を大きく超過した。この現象は、エンジン速度56を上昇させるのにそれぞれの制御方式で利用している技術に帰することができよう。事前設定に基づく制御方式のより迅速な速度上昇をrpmに基づく制御方式の安定化と組み合わせるため、制御装置は、例えばエンジン速度56に合わせて一方の制御方式から他方の制御方式に切り換えることができる。例えば事前設定に基づく制御方式(軌跡70)を利用してエンジン速度56が標的とする動作速度62に近づくと、時刻74で制御装置はrpmに基づく制御方式(軌跡64)へと切り換えることができる。制御方式を変えることにより、それぞれのタイプの制御の利点を最適化することができる。
【0028】
図4は、軌跡70(図3)を生成させることのできる方法76を示している。システム10の要素に関しては図2を、グラフ54に関しては図3を、方法76に関しては図4を参照する。事前設定動作パラメータは、例えばユーザー・インターフェイス52を通じて入力できる(ブロック78)。事前設定動作パラメータとして、例えば溶接機22が必要とする電流と電圧、溶接方式、その方式の詳細などが挙げられる。次に、溶接機22に関して入力した設定に基づいてエンジン負荷を決定する(ブロック80)。すなわち、アイドリング速度60、および/または動作速度62、および/または溶接機22に必要な電流と電圧を実現するのに予想される負荷を決定することができる。例えば検索表やアルゴリズムなどを利用してエンジン負荷、および/またはアイドリング速度60、および/またはその負荷に必要な動作速度62を決定することができる。これらは、予想される負荷条件のもとでエンジンを試験することによって前もって経験的に決定することができる。動作パラメータの入力後、エンジン12をある期間(例えばユーザーが溶接機22を準備している間)アイドリングさせることができる(ブロック82)。溶接機22が作動状態になる(例えばアークが点火する)と、制御装置は発電機14での電力の引き出しを感知する(ブロック84)。すると制御装置は、調速機44、点火/クランク入力46、燃料噴射器48、点火タイマー50などに信号を送り、エンジン速度56をアイドリング速度60から動作速度62へと上昇させ始める(ブロック88)。上昇プロセスでは、ユーザーが入力した設定と予想される動作速度62とに基づいたエンジン調速曲線を利用することができる。例えば発電機が3600rpmの速度62で動作するときに発生する出力電力を溶接機22が必要とする場合、制御装置はエンジンの動作設定を調節してエンジンのスロットルを開き、エンジンが3600rpmで動作するのに必要な位置にする。するとエンジンは迅速に動作速度62まで上昇する。
【0029】
図5は、エンジン制御方式を変えることのできる方法90を示している。グラフ54に関しては図3を、方法76に関しては図4を参照する。事前設定に基づく制御方式を利用してエンジン速度56を上昇させることができる(ブロック92)。その後、エンジン速度56をモニタし(ブロック94)、目標とする動作速度62と比較することができる(ブロック96)。エンジン速度56が動作速度62に近くない場合には、事前設定に基づく制御方式を利用してエンジン速度を上昇させ続ける(ブロック92)。しかしエンジン速度56が動作速度62に近い場合には、rpmに基づく制御方式を実現することができる(ブロック98)。エンジン速度56が動作速度62に“近い”と見なす閾値は、事前に設定された値、ユーザーが入力する値、動作速度62のある割合、別の適切なレベルのいずれかにすることができる。
【0030】
図6は、本発明の実施形態によるエンジン速度56と時間58の関係を示すグラフ100である。システム10の要素に関しては一般に図2を、グラフ100に関しては図6を参照し、アイドリング速度60と定格速度62に加えて低いアイドリング速度102とエンジン停止速度104(すなわち停止させる)を説明する。例えばアイドリング速度60が1800rpmのエンジンは、約1600rpmという低いアイドリング速度102を持つことができる。だが他の低いアイドリング速度102を実現してもよい。使用していないときのエンジン速度56の低下またはエンジン停止は、負荷を利用していないときにエンジンを冷却して雑音と燃料消費を減らすのに役立つ。別の一実施形態では、要求に応えるため、事前設定操作パラメータに基づいて溶接機22の高いアイドリング速度105を実現することができる。例えばエンジンが1800rpmというアイドリング速度60を持っていて、事前設定動作速度62が3600rpmである場合、高いアイドリング速度105は約3000rpmになろう。この高いアイドリング速度105により、例えばエンジンが間欠的にアイドリングするときに操作速度62をより迅速に上昇させることが可能になる。
【0031】
軌跡106、108、114は、システム10において実現できる可能なエネルギー節約技術を示している。例えばある時刻110の後に発電機からの電力の引き出しがない場合には、エンジン速度56をアイドリング速度60から低いアイドリング速度102(軌跡106)へと低下させること、またはエンジンの動作を一時的に中断し(軌跡108)、エンジン速度56をエンジン停止速度104に下げることができる。ある時刻112にエンジンへの電力の引き出しが検出されると、上述の任意の制御技術を利用してエンジン速度56を動作速度62まで上昇させることができる。さらに、軌跡114によって示してあるように、低いアイドリング速度102とエンジン停止速度104の組み合わせを利用することもできる。例えば時刻110の後にエンジン速度56を低いアイドリング速度102まで低下させ、時刻116の後にエンジン停止速度104まで低下させることができる。
【0032】
別の一実施形態では、エンジン速度56を最初に動作速度62から高いアイドリング速度105に低下させることができる。発電機からの電力の引き出しが検出されると、エンジン速度56は動作速度62に戻ることができる。しかしある時刻110の後に電力の引き出しが検出されない場合には、エンジン速度56を高いアイドリング速度105からより低い速度へと低下させることができる(例えば軌跡109で示したアイドリング速度60;低いアイドリング速度102;エンジン停止速度104;別のエンジン速度56)。時刻110、112、116は、アイドリング方式が異なる場合には異なっていてもよいことに注意されたい。例えばエンジンをアイドリング速度60よりも短い時間にわたって高いアイドリング速度105に維持した後、より低いエンジン速度56に移行することが望ましかろう。
【0033】
図7を参照すると、軌跡106、108、114(図6)を生成させる方法118が示されている。システム10の要素に関しては図2を、グラフ100に関しては図6を、方法118のステップに関しては図7を参照する。エンジン18は、高いアイドリング速度105またはアイドリング速度60で動作することができる(ブロック120)。制御装置は、引き出される電流と電圧を電力出力においてモニタし、負荷が発電機から電力を引き出しているかどうかを判断する(ブロック122)。引き出しがない場合には、エンジン速度56を(例えば高いアイドリング速度105から)アイドリング速度60に低下させること、または(例えばアイドリング速度60または高いアイドリング速度105から)低いアイドリング速度102に低下させること、または(例えばアイドリング速度60、または低いアイドリング速度102、または高いアイドリング速度105から)エンジン停止速度104に低下させることができる(ブロック124)。エンジン速度56が低下した後、制御装置は、センサー36〜42を通じて発電機からの電流および/または電圧のモニタを継続することができる(ブロック126)。溶接機22と補助負荷24のどちらかが電流および/または電圧を引き出している場合には、エンジンを再始動させること、および/またはエンジン速度56を動作速度62まで上昇させることができる(ブロック128)。それに加え、溶接機22は、エンジンを遠隔で始動させることができるようにスイッチを含むことができる。発電機からの電力の引き出しがない場合には、エンジン速度56をアイドリング速度60または低いアイドリング速度102に維持すること、またはエンジンを停止させたままにしておくことができる(ブロック124)。4通りのアイドリング/停止速度をグラフ100(図6)と方法118(図7)に示してあるが、アイドリング/停止速度は、この明細書に従って任意の数および/または組み合わせで実現することができる。
【0034】
図8は、軌跡114(図6)に示したようにエンジン速度56の低下が多数回含まれる方法130を示している。システム10の要素に関しては図2を、グラフ100に関しては図6を、方法130のステップに関しては図8を参照する。エンジンは、アイドリング速度60でアイドリングさせることができる(ブロック132)。制御装置は、エンジン速度56および/または発電機から引き出される電流と電圧をモニタし、エンジンがどれくらいの期間アイドリングの状態であったかを判断する(ブロック134)。エンジン18のアイドリング状態が所定の期間に満たない場合には、エンジン速度56をアイドリング速度60のままにしておくことができる(ブロック132)。しかしエンジンが所定の期間アイドリング状態であった場合には、エンジン速度56を低いアイドリング速度102まで低下させることができる(ブロック136)。すると制御装置は、エンジン速度56のモニタを継続し、エンジンがどれくらいの期間低いアイドリング速度102であったかを判断する(ブロック138)。エンジンが低いアイドリング速度102である期間が所定の期間に満たない場合には、エンジン速度56を低いアイドリング速度102のままにしておくことができる(ブロック136)。エンジンが所定の期間低いアイドリング速度102であった場合には、エンジンを一時的に停止させ、エンジン速度56をエンジン停止速度104に低下させることができる(ブロック140)。エンジンの停止後、制御装置は、負荷に関してセンサー36〜42のモニタを継続することができる(ブロック142)。溶接機22または補助負荷24がオンにされる(すなわち電力が引き出され始める、または電力が要求される)場合には、エンジン18を再始動させ、エンジン速度56を動作速度62まで上昇させることができる(ブロック144)。それに加え、スイッチを用いて停止後のエンジンを再始動させることができる。例えばトーチ20は、エンジンを遠隔で始動させることができるようにスイッチを含むことができる。負荷が検出されない場合には、エンジンを停止させたままにしておくことができる(ブロック140)。アイドリング速度の異なる組み合わせを方法130で実現できることと、任意の数の速度を利用してエンジン速度56を徐々に低下させうることを理解されたい。
【0035】
図9を参照すると、本発明の実施形態によるエンジン速度56と時間58の関係を示すグラフ146が示されている。図2は、全体としてシステム10の要素を示しており、図9は、グラフ146を示している。本発明のこのケースでは、特に補助負荷24が発電機16から電力を引き出していないとき、または補助負荷24が発電機16によって供給される周波数に敏感でないときには、“インテリジェントな超過速度”148を実現し、溶接のための電力出力を改善することができる。アンペア数の大きい方法(例えば、ガウジング、幅の広いワイヤを用いたワイヤ溶接、幅の広い棒を用いた溶接)や、多数のインバータを含む方法を実行するときには、エンジン速度56を上昇させること、したがって発電14の出力を増やすことが望ましかろう。軌跡150は、インテリジェントな超過速度148の利用を示している。時刻152においてエンジン速度56を通常の動作速度62からより大きな速度148へと上昇させることができる。このより大きな速度148は、溶接機22がより効率的に動作するエンジン速度56(例えば2極のガソリン・エンジンでは3700〜3800rpm、4極のガソリン・エンジンでは2400〜3000rpm)にすることができる。システムと溶接機22の動作パラメータに応じて他の速度148を実現してもよい。それに加え、速度148として、事前設定値、ユーザーの入力値、溶接の設定に基づいて決まる値、適切な任意の速度のいずれかが可能である。
【0036】
周波数に依存する補助負荷24を傷めることなくより高い周波数の電力を発生させるには、周波数に依存する補助負荷24が使用されているときにエンジン速度の上昇を阻止する制御方式を提供することが望ましかろう。例えばこのシステムに、標準的な補助ソケットに加えて、または標準的な補助ソケットの代わりに、適切な補助電力ソケットを設けることができる。周波数とは独立な補助負荷は、周波数とは独立なその補助負荷だけを補助電力ソケットに差し込むことができるよう、対応する適切なプラグを備えることができる。すると対応する制御方式では、電力が標準的な電力ソケットから引き出されている場合にはエンジン速度56を上昇させず、電力が適切な電力ソケットから引き出されている場合にはエンジン速度56を上昇させることができる。別の一実施形態では、制御装置は、取り付けられた補助負荷が周波数に依存するかどうかを判断することができる。周波数に依存する補助負荷がシステムから電力を引き出していない場合にだけ、エンジン速度を上昇させることができる。さらに、別の一実施形態では、システムは、入力される電圧、周波数、位相などとは独立に出力電圧を調節する電力管理技術を含むことができる。例えばミラー・エレクトリック社から入手できるAuto-Line(登録商標)がそのような電力の安定性を提供することができる。したがって補助ソケットでは調節された電力出力が得られるのに対し、溶接電力出力は可変周波数にすることができる。
【0037】
図10は、軌跡150(図9)を生成させることのできる方法154を示している。システムの要素に関しては図2を、グラフ146に関しては図9を、方法154に関しては図10を参照する。エンジンは、動作速度62で動作することができる(ブロック156)。すなわち溶接機および/または補助負荷は、発電機から電力を引き出すことができる。制御装置は、センサー36〜42を利用し、電力が溶接電力出力および/または発電機の補助電力出力から引き出されているかどうかを判断することができる(ブロック158と162)。溶接電力が引き出されておらず(すなわち溶接機が作動していない)、周波数に依存する補助負荷が電力を引き出している(すなわち周波数に依存する装置が利用されている)場合には、エンジン速度56を通常動作速度62に維持することができる(ブロック160)。しかし溶接電力が引き出されていて(すなわち溶接機を使用中で)、周波数に依存する補助負荷が電力を引き出していない(すなわち補助装置を使用していないか、周波数に依存する装置だけを使用中である)場合には、制御装置はエンジン速度56をより大きな速度148に上昇させることができる(ブロック164)。エンジン速度56を大きくすることにより、発電機はより高周波数の電力を出力することができる。溶接銃14は、より高い周波数の電力をより効率的に操作することができる。
【0038】
最後に、図11は、本発明の実施形態として示されるエンジン速度56と時間58の関係を表わすグラフ166を示している。システム10の要素に関しては図2を、グラフ166に関しては図11を参照する。軌跡は、本発明の多くの特徴の組み合わせを示している。例えばエンジンをアイドリング速度60で始動させることができる。制御装置は、時刻170に溶接機が発電機から電力を引き出していることを検出できる。ユーザー・インターフェイスで入力された事前設定動作パラメータに基づき、事前設定値に基づく制御方式を利用してエンジン速度56を迅速に上昇させることができる。時刻172にはエンジン速度56が目標とする動作速度62に近づくため、制御装置はrpmに基づく制御方式に切り換えることができる。するとエンジン速度56を動作速度62に安定させることができる。時刻174の後、制御装置は、溶接機も補助負荷も使用されていないことを確認し、エンジン速度56をアイドリング速度60まで低下させることができる。その後、時刻176まで電力の引き出しが検出されないと、制御装置はエンジン速度56を低いアイドリング速度102まで低下させることができる。同様に、時刻178の後に引き出しが検出されない場合には、制御装置はエンジンを停止し、エンジン速度をエンジン停止速度104までうまく低下させることができる。時刻180に負荷が検出されると、制御装置はエンジンをオンにし、エンジン速度56を動作速度62まで上昇させる。制御装置は、時刻182に、再度、事前設定値に基づく制御方式からrpmに基づく制御方式に移行することができる。時刻184に周波数に依存した負荷がエンジンに存在していない(例えば、溶接機だけが動作している、または溶接機と周波数に依存しない装置が動作している)と制御装置が判断した場合には、エンジン速度56をより高い速度148までさらに上昇させることができる。
【0039】
本明細書に開示したどの実施形態も、単一のシステム、発電機/溶接機、発電機として実現できることに注意されたい。本発明のいくつかの特徴だけをこの明細書に図示して説明してきたが、当業者は多くの改変や変更を思いつくであろう。したがって添付の請求項は、本発明の真の精神に含まれるそのような改変と変更をすべてカバーするものと理解する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン駆動式発電機を制御する方法であって、
内燃機関によって駆動される発電機の出力を求める溶接要求と補助要求とをモニタすることと、
前記溶接要求が検出され、かつ前記補助要求が検出されない場合に、前記内燃機関のエンジン速度を上昇させて通常動作速度よりも大きくすることとを有する、方法。
【請求項2】
上昇した前記エンジン速度が、ユーザーが入力するエンジン速度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補助要求が検出された場合にエンジン速度を通常動作速度まで低下させることを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
溶接の事前設定が、目標とする速度と、アイドリング速度と、前記内燃機関を前記目標とする速度に到達させる方式とを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
エンジン駆動式発電機を制御する方法であって、
内燃機関によって駆動される発電機の出力を求める溶接要求と補助要求とをモニタすることと、
前記補助要求が検出された場合には、その補助要求を周波数に依存するのかあるいは周波数とは独立であるのかに分類することと、
前記溶接要求が検出され、かつ前記補助要求が検出されないかあるいは周波数とは独立であると分類された場合、前記内燃機関のエンジン速度を上昇させて通常動作速度よりも大きくすることとを有する、方法。
【請求項6】
通常動作速度と最大動作速度を持つ内燃機関と、
該内燃機関によって駆動されて、該内燃機関の通常動作速度で同期電力を出力する発電機と、
前記内燃機関のエンジン速度を上昇させて通常動作速度よりも大きくし、前記発電機に非同期電力を出力させる制御装置とを備える、エンジン駆動式発電機システム。
【請求項7】
前記同期電力が60Hzの周波数を持ち、前記非同期電力が60Hzよりも大きい周波数を持つ、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
単一の電力取り出し口を備えていて、前記非同期電力の利用が、前記単一の電力取り出し口に連結する相補的電力コネクタを有する外部装置に限られる、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
同期電力取り出し口と非同期電力取り出し口を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記同期電力に対応する第1の選択肢と、前記非同期電力に対応する第2の選択肢とを有する選択装置を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の選択肢が、前記第1の選択肢で利用できるよりも大きなアンペア数を要求する用途を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
より大きなアンペア数の前記要求が、トーチのより厚い電極、トーチとともに機能するより厚い材料、またはこれらの組み合わせと関係している、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
エンジン駆動式発電機を制御する方法であって、
内燃機関によって駆動される発電機の出力を求める要求をモニタすることと、
その要求が所定の期間中に検出されない場合に前記内燃機関を停止させることとを有する、方法。
【請求項14】
前記要求を継続してモニタし、該要求が検出されたときに前記内燃機関を自動的に再始動させることを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
遠隔装置から信号を受信して前記内燃機関を再始動させることを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記遠隔装置が溶接銃を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記遠隔装置が補助装置を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記所定の期間が、あらかじめ設定した固定された期間である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記所定の期間が、ユーザーが入力する期間である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
内燃機関と、
該内燃機関によって駆動される発電機と、
該発電機に関する要求を検出し、少なくとも一部は該検出された要求に基づいて前記内燃機関を始動させるエンジン制御装置とを備える、エンジン駆動式発電機システム。
【請求項21】
前記発電機の電力出力に連結された1つ以上のセンサーを備えていて、該センサーが、前記電力出力における電流および/または電圧をモニタする、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記要求が所定の期間に検出されない場合に、前記エンジン制御装置が、前記内燃機関のエンジン速度を通常アイドリング速度から、該通常アイドリング速度よりも低い速度へと低下させる、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記要求が追加の所定の期間に検出されない場合に、前記エンジン制御装置が前記エンジンを停止させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項24】
前記エンジン制御装置から制御信号を受け取って前記内燃機関のエンジン速度を調節するエンジン調速機を備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記エンジン制御装置が前記内燃機関の動作条件を検出し、少なくとも一部は該検出された動作条件に基づいてその内燃機関を制御する、請求項20に記載のシステム。
【請求項1】
エンジン駆動式発電機を制御する方法であって、
内燃機関によって駆動される発電機の出力を求める溶接要求と補助要求とをモニタすることと、
前記溶接要求が検出され、かつ前記補助要求が検出されない場合に、前記内燃機関のエンジン速度を上昇させて通常動作速度よりも大きくすることとを有する、方法。
【請求項2】
上昇した前記エンジン速度が、ユーザーが入力するエンジン速度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補助要求が検出された場合にエンジン速度を通常動作速度まで低下させることを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
溶接の事前設定が、目標とする速度と、アイドリング速度と、前記内燃機関を前記目標とする速度に到達させる方式とを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
エンジン駆動式発電機を制御する方法であって、
内燃機関によって駆動される発電機の出力を求める溶接要求と補助要求とをモニタすることと、
前記補助要求が検出された場合には、その補助要求を周波数に依存するのかあるいは周波数とは独立であるのかに分類することと、
前記溶接要求が検出され、かつ前記補助要求が検出されないかあるいは周波数とは独立であると分類された場合、前記内燃機関のエンジン速度を上昇させて通常動作速度よりも大きくすることとを有する、方法。
【請求項6】
通常動作速度と最大動作速度を持つ内燃機関と、
該内燃機関によって駆動されて、該内燃機関の通常動作速度で同期電力を出力する発電機と、
前記内燃機関のエンジン速度を上昇させて通常動作速度よりも大きくし、前記発電機に非同期電力を出力させる制御装置とを備える、エンジン駆動式発電機システム。
【請求項7】
前記同期電力が60Hzの周波数を持ち、前記非同期電力が60Hzよりも大きい周波数を持つ、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
単一の電力取り出し口を備えていて、前記非同期電力の利用が、前記単一の電力取り出し口に連結する相補的電力コネクタを有する外部装置に限られる、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
同期電力取り出し口と非同期電力取り出し口を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記同期電力に対応する第1の選択肢と、前記非同期電力に対応する第2の選択肢とを有する選択装置を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の選択肢が、前記第1の選択肢で利用できるよりも大きなアンペア数を要求する用途を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
より大きなアンペア数の前記要求が、トーチのより厚い電極、トーチとともに機能するより厚い材料、またはこれらの組み合わせと関係している、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
エンジン駆動式発電機を制御する方法であって、
内燃機関によって駆動される発電機の出力を求める要求をモニタすることと、
その要求が所定の期間中に検出されない場合に前記内燃機関を停止させることとを有する、方法。
【請求項14】
前記要求を継続してモニタし、該要求が検出されたときに前記内燃機関を自動的に再始動させることを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
遠隔装置から信号を受信して前記内燃機関を再始動させることを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記遠隔装置が溶接銃を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記遠隔装置が補助装置を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記所定の期間が、あらかじめ設定した固定された期間である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記所定の期間が、ユーザーが入力する期間である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
内燃機関と、
該内燃機関によって駆動される発電機と、
該発電機に関する要求を検出し、少なくとも一部は該検出された要求に基づいて前記内燃機関を始動させるエンジン制御装置とを備える、エンジン駆動式発電機システム。
【請求項21】
前記発電機の電力出力に連結された1つ以上のセンサーを備えていて、該センサーが、前記電力出力における電流および/または電圧をモニタする、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記要求が所定の期間に検出されない場合に、前記エンジン制御装置が、前記内燃機関のエンジン速度を通常アイドリング速度から、該通常アイドリング速度よりも低い速度へと低下させる、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記要求が追加の所定の期間に検出されない場合に、前記エンジン制御装置が前記エンジンを停止させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項24】
前記エンジン制御装置から制御信号を受け取って前記内燃機関のエンジン速度を調節するエンジン調速機を備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記エンジン制御装置が前記内燃機関の動作条件を検出し、少なくとも一部は該検出された動作条件に基づいてその内燃機関を制御する、請求項20に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−516409(P2012−516409A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547926(P2011−547926)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/066060
【国際公開番号】WO2010/087895
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/066060
【国際公開番号】WO2010/087895
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】
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