説明

エントロピー符号化装置、エントロピー復号装置、エントロピー符号化方法及びエントロピー復号方法

【課題】高いデータ圧縮率を維持しながら、エントロピー復号装置側での復号処理の処理負荷を軽減することができるエントロピー符号化装置及びエントロピー符号化方法を提供する。
【解決手段】固定長符号バッファ9N−1がV2F符号化器7N−1の後段に配置されており、V2F符号化器7N−1から出力される固定長符号が4ビットであり、予め設定されている符号長である8ビットに満たないため、固定長符号バッファ9N−1がその固定長符号を蓄積し、蓄積している固定長符号が8ビットになると、蓄積している8ビットの固定長符号を符号化データ出力部8に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多値シンボル系列を2値化して、2値化シンボル系列をエントロピー符号化するエントロピー符号化装置及びエントロピー符号化方法と、符号化データから2値化シンボル系列を復号し、2値化シンボル系列を多値化して多値シンボル系列を出力するエントロピー復号装置及びエントロピー復号方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、生起確率が異なる多値シンボル系列を効率よくエントロピー符号化する手法として、例えば、以下の非特許文献1に開示されているPIPE(Probability Interval Partitioning Entropy Codes)が知られている。
図11はPIPE手法によって多値シンボル系列を符号化するPIPE符号化装置を示す構成図である。
【0003】
エントロピー符号化装置であるPIPE符号化装置の2値化部101は、多値シンボル系列を入力すると、多値シンボルの2値化テーブルを参照して、その多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化し、長さが1以上の2値化シンボルの系列を符号化bin出力部103に出力する。
また、2値化部101は、多値シンボルの2値化テーブルを参照して、各2値化シンボルが上記多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を確率状態出力部102に出力する。
【0004】
確率状態出力部102は、2値化部101から出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボル(“0”又は“1”のうち、生起する確率が高い方の値を示すシンボル)を示す優勢シンボル情報を符号化bin出力部103に出力する。
また、確率状態出力部102は、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を切替スイッチ104に出力する。
【0005】
符号化bin出力部103は、確率状態出力部102から出力された優勢シンボル情報を参照して、2値化部101から出力された2値化シンボル系列内の各2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを符号化2値化シンボルとして切替スイッチ104に出力する。
即ち、符号化bin出力部103は、2値化部101から出力された2値化シンボル系列内の2値化シンボル毎に、当該2値化シンボルが確率状態出力部102から出力された優勢シンボル情報が示す優勢シンボルと一致するか否かを判定し、その判定結果を符号化2値化シンボルとして切替スイッチ104に出力する。
【0006】
切替スイッチ104は、符号化bin出力部103から符号化2値化シンボルの系列を受けると、N個のV2V(Variable Length Code to Variable Length Code)符号化器106〜106の中から、確率状態出力部102から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブルを実装しているV2V符号化器106を選択して、その符号化2値化シンボルの系列を当該V2V符号化器106の前段に配置されているbinバッファ105に格納する。
ここで、図12は優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブル(V2Vテーブル)の一例を示す説明図である。
【0007】
例えば、PIPE符号化装置が4個のV2V符号化器106〜106から構成されており、V2V符号化器106がV2Vテーブル1を実装し、V2V符号化器106がV2Vテーブル2を実装し、V2V符号化器106がV2Vテーブル3を実装し、V2V符号化器106がV2Vテーブル4を実装している場合、図12の例では、優勢シンボルの生起確率が0.9375以上であれば、V2Vテーブル1を実装しているV2V符号化器106を選択し、優勢シンボルの生起確率が0.9375未満で0.7794以上であれば、V2Vテーブル2を実装しているV2V符号化器106を選択する。
また、優勢シンボルの生起確率が0.7794未満で0.6369以上であれば、V2Vテーブル3を実装しているV2V符号化器106を選択し、優勢シンボルの生起確率が0.6369未満で0.5000以上であれば、V2Vテーブル4を実装しているV2V符号化器106を選択する。
【0008】
V2V符号化器106〜106は、実装しているV2Vテーブルを参照して、binバッファ105〜105に格納されている符号化2値化シンボル系列を可変長符号化し、その符号化結果である可変長符号を符号化データ出力部107に出力する。
優勢シンボルの生起確率に基づいて、V2V符号化器106により入力される符号化2値化シンボル系列の平均符号長と、V2V符号化器106から出力される可変長符号の平均符号長とができる限り等しくなるように、各々のV2Vテーブルが設計されていれば、それぞれの優勢シンボルの生起確率に適するエントロピー符号化がなされるため、効率よくエントロピー符号化が行われる。
符号化データ出力部107は、V2V符号化器106〜106から出力された可変長符号を多重化し、その多重化結果を符号化データとして出力する。
【0009】
図13は図12のPIPE符号化装置により生成された符号化データを復号して多値シンボル系列を生成するPIPE復号装置を示す構成図である。
PIPE復号装置の符号化データ入力部201は、図12のPIPE符号化装置により生成された符号化データを入力すると、その符号化データから多重化されている可変長符号を抽出して、その可変長符号をV2V復号器203に出力する。
即ち、符号化データ入力部201は、V2V符号化器106により生成された可変長符号についてはV2V復号器203に出力し、V2V符号化器106N−1により生成された可変長符号についてはV2V復号器203N−1に出力し、V2V符号化器106により生成された可変長符号についてはV2V復号器203に出力する。
また、符号化データ入力部201は、多値シンボルの2値化テーブルを参照して、その可変長符号に対応する各2値化シンボルが多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を確率状態出力部202に出力する。
【0010】
確率状態出力部202は、符号化データ入力部201から出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボル(“0”又は“1”のうち、生起する確率が高い方の値を示すシンボル)を示す優勢シンボル情報をbin出力部206に出力する。
また、確率状態出力部202は、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を切替スイッチ205に出力する。
【0011】
N個のV2V復号器203〜203は、V2V符号化器106〜106が実装している符号化テーブル(V2Vテーブル)と逆処理になる復号テーブル(V2Vテーブル)を実装しており、符号化データ入力部201から可変長符号を受けると、実装しているV2Vテーブルを参照して、その可変長符号を可変長復号し、その復号結果である復号2値化シンボルの系列をbinバッファ204〜204に格納する。
【0012】
切替スイッチ205は、binバッファ204〜204の中から、確率状態出力部202から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する復号テーブルを実装しているV2V復号器203の復号結果を格納しているbinバッファ204を選択し、そのbinバッファ204に格納されている復号結果である復号2値化シンボル系列をbin出力部206に出力する。
【0013】
bin出力部206は、切替スイッチ205から復号2値化シンボル系列を受けると、確率状態出力部202から出力された優勢シンボル情報を参照して、その復号2値化シンボル系列内の各復号2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを2値化シンボルとして多値化部207に出力する。
即ち、bin出力部206は、切替スイッチ205から出力された復号2値化シンボル系列内の2値化シンボル毎に、当該2値化シンボルが確率状態出力部202から出力された優勢シンボル情報が示す優勢シンボルと一致するか否かを判定し、その判定結果を2値化シンボルとして多値化部207に出力する。
多値化部207は、bin出力部206から2値化シンボルの系列を受けると、その2値化シンボルの系列を多値化して、多値シンボル系列を出力する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Probability Interval Partitioning Entropy CodesDetlev Marpe, Senior Member, IEEE, Heiko Schwarz, and Thomas Wiegand, Senior Member, IEEE(http://iphome.hhi.de/wiegand/assets/pdfs/ieee_trit-ec_10.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来のエントロピー符号化装置は以上のように構成されているので、可変長符号化手法と比べて、効率よくデータ圧縮することができる。しかし、V2V符号化器106〜106が符号化2値化シンボル系列を可変長符号化しているため、エントロピー復号装置側では、可変長符号を可変長復号しなければならず、処理負荷が大きくなるなどの課題があった。
【0016】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、高いデータ圧縮率を維持しながら、エントロピー復号装置側での復号処理の処理負荷を軽減することができるエントロピー符号化装置及びエントロピー符号化方法を得ることを目的とする。
また、この発明は、処理負荷が少ない復号処理で、符号化データから2値化シンボル系列を復号することができるエントロピー復号装置及びエントロピー復号方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明に係るエントロピー符号化装置は、多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化して、1以上の2値化シンボルの系列を出力するとともに、その2値化シンボルが多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を出力するシンボル2値化手段と、シンボル2値化手段から出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を出力するとともに、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を出力する確率情報出力手段と、確率情報出力手段から出力された優勢シンボル情報を参照して、シンボル2値化手段から出力された2値化シンボル系列内の各2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを符号化2値化シンボルとして出力する符号化2値化シンボル出力手段と、確率情報出力手段から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブルを参照して、符号化2値化シンボル出力手段から出力された符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力する固定長符号化手段と、固定長符号化手段から出力された固定長符号を多重化し、その多重化結果を符号化データとして出力する多重化手段とを備え、固定長符号化手段が、相互に異なる符号化テーブルを実装している複数の固定長符号化器と、複数の固定長符号化器の中から、確率情報出力手段から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブルを実装している固定長符号化器を選択して、符号化2値化シンボル出力手段から出力された符号化2値化シンボルの系列を上記固定長符号化器に与える切替スイッチとから構成され、その固定長符号化器が符号化テーブルを参照して、切替スイッチにより与えられた符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力するものであり、固定長符号化器から出力される固定長符号の符号長が予め設定されている符号長より短い場合、その固定長符号を蓄積する固定長符号バッファが設けられ、その固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号の符号長が予め設定されている符号長に到達すれば、その固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号が多重化手段に与えられるようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化して、1以上の2値化シンボルの系列を出力するとともに、その2値化シンボルが多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を出力するシンボル2値化手段と、シンボル2値化手段から出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を出力するとともに、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を出力する確率情報出力手段と、確率情報出力手段から出力された優勢シンボル情報を参照して、シンボル2値化手段から出力された2値化シンボル系列内の各2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを符号化2値化シンボルとして出力する符号化2値化シンボル出力手段と、確率情報出力手段から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブルを参照して、符号化2値化シンボル出力手段から出力された符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力する固定長符号化手段と、固定長符号化手段から出力された固定長符号を多重化し、その多重化結果を符号化データとして出力する多重化手段とを備え、固定長符号化手段が、相互に異なる符号化テーブルを実装している複数の固定長符号化器と、複数の固定長符号化器の中から、確率情報出力手段から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブルを実装している固定長符号化器を選択して、符号化2値化シンボル出力手段から出力された符号化2値化シンボルの系列を上記固定長符号化器に与える切替スイッチとから構成され、その固定長符号化器が符号化テーブルを参照して、切替スイッチにより与えられた符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力するものであり、固定長符号化器から出力される固定長符号の符号長が予め設定されている符号長より短い場合、その固定長符号を蓄積する固定長符号バッファが設けられ、その固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号の符号長が予め設定されている符号長に到達すれば、その固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号が多重化手段に与えられるように構成したので、高いデータ圧縮率を維持しながら、エントロピー復号装置側での復号処理の処理負荷を軽減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態1によるエントロピー符号化装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるエントロピー符号化装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】多値シンボルの2値化テーブルの一例を示す説明図である。
【図4】優勢シンボルの生起確率に対応するV2Fテーブルの一例を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2によるエントロピー復号装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態2によるエントロピー復号装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態3によるエントロピー符号化装置を示す構成図である。
【図8】V2F符号化器7〜7が実装しているV2Fテーブルの一例を示す説明図である。
【図9】プレフックスとサフックスからなる2値化テーブルの一例を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態4によるエントロピー復号装置を示す構成図である。
【図11】PIPE手法によって多値シンボル系列を符号化するPIPE符号化装置を示す構成図である。
【図12】優勢シンボルの生起確率に対応するV2Vテーブルの一例を示す説明図である。
【図13】図11のPIPE符号化装置により生成された符号化データを復号して多値シンボル系列を生成するPIPE復号装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエントロピー符号化装置を示す構成図である。
図1において、2値化部1は多値シンボルの2値化テーブルを参照して、その多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化し、長さが1以上の2値化シンボルの系列を符号化bin出力部3に出力する処理を実施する。
また、2値化部1は多値シンボルの2値化テーブルを参照して、各2値化シンボルが上記多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を確率状態出力部2に出力する処理を実施する。
なお、2値化部1はシンボル2値化手段を構成している。
【0021】
確率状態出力部2は予めbin番号毎に、当該bin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボル(“0”又は“1”のうち、生起する確率が高い方の値を示すシンボル)を示す優勢シンボル情報と、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を記憶しており、2値化部1から出力されたbin番号に対応する優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を符号化bin出力部3に出力するとともに、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を固定長符号化部4の切替スイッチ5に出力する処理を実施する。
なお、確率状態出力部2は確率情報出力手段を構成している。
【0022】
符号化bin出力部3は確率状態出力部2から出力された優勢シンボル情報を参照して、2値化部1から出力された2値化シンボル系列内の各2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを符号化2値化シンボルとして固定長符号化部4の切替スイッチ5に出力する処理を実施する。
即ち、符号化bin出力部3は、2値化部1から出力された2値化シンボル系列内の2値化シンボル毎に、当該2値化シンボルが確率状態出力部2から出力された優勢シンボル情報が示す優勢シンボルと一致するか否かを判定し、その判定結果を符号化2値化シンボルとして固定長符号化部4の切替スイッチ5に出力する処理を実施する。
なお、符号化bin出力部3は符号化2値化シンボル出力手段を構成している。
【0023】
固定長符号化部4は確率状態出力部2から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する可変長bin固定長符号化テーブル(V2Fテーブル:Variable Length Code to Fixed length Code Table)を参照して、符号化bin出力部3から出力された符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を符号化データ出力部8に出力する処理を実施する。なお、固定長符号化部4は固定長符号化手段を構成している。
【0024】
固定長符号化部4の切替スイッチ5はN個のV2F符号化器7〜7の中から、確率状態出力部2から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応するV2Fテーブルを実装しているV2F符号化器7を選択して、符号化bin出力部3から出力された符号化2値化シンボル系列を当該V2F符号化器7の前段に配置されているbinバッファ6に格納する処理を実施する。
binバッファ6〜6は符号化bin出力部3から出力された符号化2値化シンボル系列を一時的に格納するメモリである。
【0025】
固定長符号化器であるV2F符号化器7〜7は実装しているV2Fテーブルを参照して、binバッファ6〜6に格納されている符号化2値化シンボル系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を符号化データ出力部8に出力する処理を実施する。
なお、V2F符号化器7〜7から出力される全ての固定長符号は同一の符号長である。
符号化データ出力部8は固定長符号化部4から出力された固定長符号を多重化し、その多重化結果を符号化データとして出力する処理を実施する。なお、符号化データ出力部8は多重化手段を構成している。
【0026】
図1の例では、エントロピー符号化装置の構成要素である2値化部1、確率状態出力部2、符号化bin出力部3、固定長符号化部4及び符号化データ出力部8のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、エントロピー符号化装置の全部又は一部がコンピュータで構成されるようにしてもよく、その場合には、2値化部1、確率状態出力部2、符号化bin出力部3、固定長符号化部4及び符号化データ出力部8の処理内容を記述しているプログラムの全部又は一部をコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1によるエントロピー符号化装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0027】
次に動作について説明する。
2値化部1は、多値シンボル系列を入力すると、予め多値シンボルの種類に応じて決められた規則にしたがって、その多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化し、1以上の2値化シンボルの系列を符号化bin出力部3に出力する(ステップST1)。
ここで、図3は多値シンボルの2値化テーブルの一例を示す説明図である。
2値化部1に入力される多値シンボルの種類(例えば、画像符号化におけるマクロブロックタイプ、DCT係数など)はシンタックスで決められているため、2値化部1は入力される多値シンボルの種類を認識することができる。
【0028】
図3の例では、入力された多値シンボルの種類が多値シンボルAであれば、(a)の2値化テーブルを参照して、多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化し、多値シンボルの種類が多値シンボルBであれば、(b)の2値化テーブルを参照して、多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化する。
また、多値シンボルの種類が多値シンボルCであれば、(c)の2値化テーブルを参照して、多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化する。
例えば、多値シンボルの種類が多値シンボルAであり、その多値シンボルの値が“2”であれば、2値化部1から2値化シンボルとして、“1”、“0”、“1”の系列が出力される。
【0029】
また、2値化部1は、多値シンボルの2値化テーブルを参照して、1以上の2値化シンボルが多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を確率状態出力部2に出力する。
例えば、“2”の多値シンボルに対応する2値化シンボルとして、“1”、“0”、“1”の系列を出力する場合、“1”、“0”、“1”の系列に対応するbin番号として、“0”、“1”、“2”、を出力する。
また、“7”の多値シンボルに対応する2値化シンボルとして、“1”、“1”、“1”、“0”、“0”の系列を出力する場合、“1”、“1”、“1” 、“0”、“0”の系列に対応するbin番号として、“0”、“1”、“2”、“3”、“4”を出力する。
【0030】
確率状態出力部2は、予めbin番号毎に、当該bin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボル(“0”又は“1”のうち、生起する確率が高い方の値を示すシンボル)を示す優勢シンボル情報と、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を記憶している。
例えば、図3(a)の2値化テーブルの場合、“0”〜“9”の値をとる多値シンボルにおいて、“0”の多値シンボルが発生する確率が約70%であるような場合には、“0”のbin番号に対応する2値化シンボルにおいて、“0”のシンボルが生起される確率が約70%となるので、当該2値化シンボルにおける優勢シンボルは“0”のシンボルとなる。また、この優勢シンボルの生起確率は約70%となる。
確率状態出力部2は、2値化部1からbin番号を受けると、そのbin番号に対応する優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を符号化bin出力部3に出力するとともに、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を固定長符号化部4の切替スイッチ5に出力する(ステップST2)。
【0031】
符号化bin出力部3は、2値化部1から2値化シンボル系列を受け、確率状態出力部2から優勢シンボル情報を受けると、その優勢シンボル情報を参照して、その2値化シンボル系列内の各2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを符号化2値化シンボルとして固定長符号化部4の切替スイッチ5に出力する(ステップST3)。
即ち、符号化bin出力部3は、2値化部1から出力された2値化シンボル系列内の2値化シンボル毎に、当該2値化シンボルが確率状態出力部2から出力された優勢シンボル情報が示す優勢シンボルと一致するか否かを判定し、その判定結果を符号化2値化シンボル(例えば、一致=1、不一致=0)として固定長符号化部4の切替スイッチ5に出力する。
【0032】
固定長符号化部4は、符号化bin出力部3から符号化2値化シンボルの系列を受けると、確率状態出力部2から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応するV2Fテーブルを参照して、その符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を符号化データ出力部8に出力する。
以下、固定長符号化部4の処理内容を具体的に説明する。
【0033】
固定長符号化部4の切替スイッチ5は、符号化bin出力部3から符号化2値化シンボルの系列を受けると、N個のV2F符号化器7〜7の中から、確率状態出力部2から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応するV2Fテーブルを実装しているV2F符号化器7を選択して(ステップST4)、その符号化2値化シンボルの系列を当該V2F符号化器7の前段に配置されているbinバッファ6に格納する(ステップST5)。
ここで、図4は優勢シンボルの生起確率に対応するV2Fテーブルの一例を示す説明図である。
【0034】
例えば、エントロピー符号化装置が4個のV2F符号化器7〜7から構成されており、V2F符号化器7がV2Fテーブル1を実装し、V2F符号化器7がV2Fテーブル2を実装し、V2F符号化器7がV2Fテーブル3を実装し、V2F符号化器7がV2Fテーブル4を実装している場合、図4の例では、優勢シンボルの生起確率が0.6369未満で0.5000以上であれば、V2Fテーブル1を実装しているV2F符号化器7を選択し、優勢シンボルの生起確率が0.7794未満で0.6369以上であれば、V2Fテーブル2を実装しているV2F符号化器7を選択する。
また、優勢シンボルの生起確率が0.9375未満で0.7794以上であれば、V2Fテーブル3を実装しているV2F符号化器7を選択し、優勢シンボルの生起確率が0.9375以上であれば、V2Fテーブル4を実装しているV2F符号化器7を選択する。
【0035】
V2F符号化器7〜7は、実装しているV2Fテーブルを参照して、binバッファ6〜6に格納されている符号化2値化シンボル系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を符号化データ出力部8に出力する(ステップST6)。
このように、V2F符号化器7〜7が、優勢シンボルの生起確率に対応するV2Fテーブルを参照して、符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化することにより、それぞれの優勢シンボルの生起確率に適するエントロピー符号化がなされるため、効率よくエントロピー符号化を行うことができる。
即ち、V2Fテーブルの入力側である符号化2値化シンボルの系列(可変長binコード)の平均符号長が、V2Fテーブルの固定長符号の符号長にできるだけ近い値となるように、優勢シンボルの生起確率に応じてV2Fテーブルを切り替えることにより、エントロピー限界に近い符号化効率での符号化が実現される。
また、V2F符号化器7〜7から出力される全ての固定長符号が同一の符号長であるため、後述する符号化データ出力部8における符号化データの多重化処理の簡易化を図ることができ、従来の手法と比べて、処理量を低減することが可能となる。
【0036】
符号化データ出力部8は、固定長符号化部4から出力された固定長符号を多重化し、その多重化結果を符号化データとして出力する(ステップST7)。
例えば、多値化シンボル系列の全体を符号化し、V2F符号化器7の番号順にまとめて符号化データを多重化するようにしてもよいし、図5のエントロピー復号装置において、復号処理を実施する際に、binバッファ15〜15が空になる順序にしたがって符号化データを順次出力するようにしてもよい。
なお、V2F符号化器7の番号順にまとめて符号化データを多重化するように構成する場合には、V2F符号化器7の番号ごとの符号化データの終端を示す特殊コードを多重化することにより、エントロピー復号装置において固定長符号に対応するV2F符号化器7の番号を特定することができる。特殊コードとしては、例えば“0”が12個連続したコードとし、“0”が8個連続で続く場合には、必ず直後に“1”が4個連続したコードを多重化することにより、実現することができる。当然、その他のいかなる方法であっても特殊コードとして認識できる手法であれば適用することができる。
ステップST1〜ST7の処理は、全ての多値シンボル系列の処理が終了するまで繰り返し実施される(ステップST8)。
【0037】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化して、1以上の2値化シンボルの系列を出力するとともに、その2値化シンボルが上記多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を出力する2値化部1と、2値化部1から出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を出力するとともに、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を出力する確率状態出力部2と、確率状態出力部2から出力された優勢シンボル情報を参照して、2値化部1から出力された2値化シンボル系列内の各2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを符号化2値化シンボルとして出力する符号化bin出力部3と、確率状態出力部2から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応するV2Fテーブルを参照して、符号化bin出力部3から出力された符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力する固定長符号化部4とを設け、符号化データ出力部8が、固定長符号化部4から出力された固定長符号を多重化し、その多重化結果を符号化データとして出力するように構成したので、高いデータ圧縮率を維持しながら、エントロピー復号装置側での復号処理の処理負荷を軽減することができる効果を奏する。
なお、この実施の形態1では、V2F符号化器7〜7から出力される全ての固定長符号が同一の符号長であるように構成したが、それぞれ異なる長さの固定長符号を出力するように構成しても、程度は少ないが、従来に比べてエントロピー復号装置側での復号処理の処理負荷を軽減する効果は得られる。
【0038】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2によるエントロピー復号装置を示す構成図である。
図5において、符号化データ入力部11は図1のエントロピー符号化装置により生成された符号化データを入力すると、その符号化データから多重化されている固定長符号を抽出して、その固定長符号を固定長復号部13のF2V復号器14に出力する処理を実施する。
即ち、符号化データ入力部11はV2F符号化器7により生成された固定長符号についてはF2V復号器14に出力し、V2F符号化器7N−1により生成された固定長符号についてはF2V復号器14N−1に出力し、V2F符号化器7により生成された固定長符号についてはF2V復号器14に出力する処理を実施する。
また、符号化データ入力部11は多値シンボルの2値化テーブルを参照して、その固定長符号に対応する1以上の2値化シンボルが多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を確率状態出力部12及び多値化部18に出力する処理を実施する。
なお、符号化データ入力部11は固定長符号抽出手段を構成している。
【0039】
確率状態出力部12は予めbin番号毎に、当該bin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボル(“0”又は“1”のうち、生起する確率が高い方の値を示すシンボル)を示す優勢シンボル情報と、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を記憶しており、符号化データ入力部11から出力されたbin番号に対応する優勢シンボルを示す優勢シンボル情報をbin出力部17に出力するとともに、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を固定長復号部13の切替スイッチ16に出力する処理を実施する。なお、確率状態出力部12は確率情報出力手段を構成している。
【0040】
固定長復号部13は優勢シンボルの生起確率に対応する固定長符号可変長bin復号テーブル(F2Vテーブル:Fixed Length Code to Variable Length Code table)を参照して、符号化データ入力部11から出力された固定長符号を固定長復号し、その復号結果である復号2値化シンボル系列をbin出力部17に出力する処理を実施する。なお、固定長復号部13は固定長復号手段を構成している。
【0041】
固定長復号器であるF2V復号器14〜14はV2F符号化器7〜7が実装しているV2Fテーブルと逆処理になるF2Vテーブルを実装しており、符号化データ入力部11から固定長符号を受けると、実装しているF2Vテーブルを参照して、その固定長符号を固定長復号し、その復号結果である復号2値化シンボル系列をbinバッファ15〜15に格納する処理を実施する。例えば、図4に示したbin系列を固定長符号に変換するV2Fテーブルに対するF2Vテーブルは、図4に示したV2Fテーブルにおいて固定長符号をbin系列に変換するものである。
なお、F2V復号器14〜14により復号される全ての固定長符号は同一の符号長である。
【0042】
binバッファ15〜15はF2V復号器14〜14により復号された復号2値化シンボル系列を一時的に格納するメモリである。
切替スイッチ16はbinバッファ15〜15の中から、確率状態出力部12から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応するF2Vテーブルを実装しているF2V復号器14の復号結果を格納しているbinバッファ15を選択し、そのbinバッファ15に格納されている復号結果である復号2値化シンボル系列をbin出力部17に出力する処理を実施する。
【0043】
bin出力部17は切替スイッチ16から復号2値化シンボル系列を受けると、確率状態出力部12から出力された優勢シンボル情報を参照して、その復号2値化シンボル系列内の各復号2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを2値化シンボルとして多値化部18に出力する処理を実施する。
即ち、bin出力部17は切替スイッチ16から出力された復号2値化シンボル系列内の2値化シンボル毎に、当該2値化シンボルが確率状態出力部12から出力された優勢シンボル情報が示す優勢シンボルと一致するか否かを判定し、その判定結果を2値化シンボルとして多値化部18に出力する処理を実施する。
なお、bin出力部17は2値化シンボル出力手段を構成している。
【0044】
多値化部18は多値シンボルの2値化テーブルを参照して、bin出力部17から出力された2値化シンボルの系列を多値化して、多値シンボル系列を出力する処理を実施する。なお、多値化部18はシンボル多値化手段を構成している。
【0045】
図5の例では、エントロピー復号装置の構成要素である符号化データ入力部11、確率状態出力部12、固定長復号部13、bin出力部17及び多値化部18のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、エントロピー復号装置の全部又は一部がコンピュータで構成されるようにしてもよく、その場合には、符号化データ入力部11、確率状態出力部12、固定長復号部13、bin出力部17及び多値化部18の処理内容を記述しているプログラムの全部又は一部をコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図6はこの発明の実施の形態2によるエントロピー復号装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0046】
次に動作について説明する。
符号化データ入力部11は、図1のエントロピー符号化装置により生成された符号化データを入力すると、その符号化データから多重化されている固定長符号を抽出して、その固定長符号を固定長復号部13のF2V復号器14に出力する(ステップST11)。
符号化データを与えるF2V復号器14の順番は、図1のエントロピー符号化装置との間で予め決められており、図1のエントロピー符号化装置の符号化データ出力部8において、多値化シンボル系列の全体を符号化し、V2F符号化器7の番号順にまとめて符号化データを多重化しているような場合には、F2V復号器14の番号順に符号化データを与えるようにする。
また、符号化データ出力部8において、binバッファ15〜15が空になる順序にしたがって符号化データを順次出力しているような場合には、空になっているbinバッファ15の前段のF2V復号器14に符号化データを与えるようにする。
【0047】
即ち、符号化データ入力部11は、V2F符号化器7により生成された固定長符号についてはF2V復号器14に出力し、V2F符号化器7N−1により生成された固定長符号についてはF2V復号器14N−1に出力し、V2F符号化器7により生成された固定長符号についてはF2V復号器14に出力する。
【0048】
また、符号化データ入力部11は、図3の多値シンボルの2値化テーブルを参照して、その固定長符号に対応する1以上の2値化シンボルが多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を確率状態出力部12及び多値化部18に出力する。
なお、符号化データ出力部8において、V2F符号化器7の番号順にまとめて符号化データを多重化するように構成する場合には、V2F符号化器7の番号ごとの符号化データの終端を示す特殊コードが多重化されているため、エントロピー復号装置において、固定長符号に対応するV2F符号化器7の番号を特定することができ、V2F符号化器7の番号に対応する2値化テーブルを参照する。
特殊コードとしては、例えば“0”が12個連続したコードとし、“0”が8個連続で続く場合には、必ず直後に“1”が4個連続したコードを多重化するように構成していれば、符号化データ入力部11では、“0”が8個連続で続くとき、その直後に4個の連続した“1”が続く場合には4個連続した“1”のコードを復号せずにスキップし、“0”が8個連続で続き、その直後に4個の連続した“0”が続く場合には特殊コードと認識することができる。当然、その他のいかなる方法であっても特殊コードとして認識できる手法であれば適用することができる。
また、符号化データ出力部8において、復号処理を実施する際にbinバッファ15〜15が空になる順序にしたがって符号化データを順次出力するように構成する場合には、多値化部18から出力される多値シンボルの種類(例えば、マクロブロックタイプ、DCT係数など)はシンタックスで決められているため、binバッファ15〜15が空になった場合に、次に復号すべき多値シンボルの種類およびbin番号を特定することができ、そのbin番号の優勢シンボルの生起確率に対応するF2V復号器に次の固定長符号を出力し、対応する2値化テーブルを参照する。
例えば、図4(a)のV2Fテーブル1と逆処理になるF2Vテーブル1を実装しているV2F符号化器7に対して符号化データを出力する場合において、例えば、多値シンボルの種類が多値シンボルAであり、固定長符号が“1111”であれば、2値化シンボルの系列が“1111”となり(図4(a)のV2Fテーブル1を参照)、その2値化シンボルの系列に対応するbin番号が“0”、“1”、“2”、“3”となる(図3(a)の2値化テーブルを参照)。
【0049】
確率状態出力部12は、図1の確率状態出力部2と同様に、予めbin番号毎に、当該bin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボル(“0”又は“1”のうち、生起する確率が高い方の値を示すシンボル)を示す優勢シンボル情報と、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を記憶している。
確率状態出力部12は、符号化データ入力部11からbin番号を受けると、そのbin番号に対応する優勢シンボルを示す優勢シンボル情報をbin出力部17に出力するとともに、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を固定長復号部13の切替スイッチ16に出力する(ステップST12)。
【0050】
固定長復号部13は、符号化データ入力部11から固定長符号を受けると、優勢シンボルの生起確率に対応するF2Vテーブルを参照して、その固定長符号を固定長復号し、その復号結果である復号2値化シンボル系列をbin出力部17に出力する。
以下、固定長復号部13の処理内容を具体的に説明する。
【0051】
固定長復号部13のF2V復号器14〜14は、V2F符号化器7〜7が実装しているV2Fテーブルと逆処理になるF2Vテーブルを実装しており、符号化データ入力部11から固定長符号を受けると、実装しているF2Vテーブルを参照して、その固定長符号を固定長復号し(ステップST13)、その復号結果である復号2値化シンボル系列をbinバッファ15〜15に格納する(ステップST14)。
このように、F2V復号器14〜14が、優勢シンボルの生起確率に対応するF2Vテーブルを参照して、固定長符号を固定長復号することにより、好適に復号2値化シンボル系列を得ることができる。
また、F2V復号器14〜14により復号される全ての固定長符号が同一の符号長であるため、符号化データの復号処理を簡易に構成できるようになり、従来の手法と比べて処理量を低減することが可能となる。
【0052】
切替スイッチ16は、binバッファ15〜15の中から、確率状態出力部12から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応するF2Vテーブルを実装しているF2V復号器14の復号結果を格納しているbinバッファ15を選択し、そのbinバッファ15に格納されている復号結果である復号2値化シンボル系列をbin出力部17に出力する(ステップST15)。
【0053】
例えば、エントロピー復号装置が4個のF2V復号器14〜14から構成されており、F2V復号器14がF2Vテーブル1を実装し、F2V復号器14がF2Vテーブル2を実装し、F2V復号器14がF2Vテーブル3を実装し、F2V復号器14がF2Vテーブル4を実装している場合、例えば、優勢シンボルの生起確率が0.6369未満で0.5000以上であれば、F2Vテーブル1を実装しているF2V復号器14を選択し、優勢シンボルの生起確率が0.7794未満で0.6369以上であれば、F2Vテーブル2を実装しているF2V復号器14を選択する。
また、優勢シンボルの生起確率が0.9375未満で0.7794以上であれば、F2Vテーブル3を実装しているF2V復号器14を選択し、優勢シンボルの生起確率が0.9375以上であれば、F2Vテーブル4を実装しているF2V復号器14を選択する。
【0054】
bin出力部17は、切替スイッチ16から復号2値化シンボル系列を受けると、確率状態出力部12から出力された優勢シンボル情報を参照して、その復号2値化シンボル系列内の各復号2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを2値化シンボルとして多値化部18に出力する(ステップST16)。
即ち、bin出力部17は、切替スイッチ16から出力された復号2値化シンボル系列内の2値化シンボル毎に、当該2値化シンボルが確率状態出力部12から出力された優勢シンボル情報が示す優勢シンボルと一致するか否かを判定し、その判定結果を2値化シンボルとして多値化部18に出力する。
【0055】
多値化部18は、bin出力部17から2値化シンボル系列を受け、符号化データ入力部11からbin番号を受けると、図3の多値シンボルの2値化テーブルを参照して、その2値化シンボル系列とbin番号に対応する多値シンボルを特定し、その多値シンボルを出力する(ステップST17)。
例えば、多値シンボルの種類が多値シンボルAであるとき、2値化シンボルの系列が“1111”であり、その2値化シンボルの系列に対応するbin番号が“0”、“1”、“2”、“3”であれば、多値シンボルの値が“9”になる(図3(a)の2値化テーブルを参照)。
ステップST11〜ST17の処理は全ての符号化データの処理が終了するまで繰り返し実施される(ステップST18)。
【0056】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、符号化データから多重化されている固定長符号を抽出して、その固定長符号を出力するとともに、その固定長符号に対応する1以上の2値化シンボルが多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を出力する符号化データ入力部11と、符号化データ入力部11から出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を出力するとともに、その優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を出力する確率状態出力部12と、その優勢シンボルの生起確率に対応するF2Vテーブルを参照して、符号化データ入力部11から出力された固定長符号を固定長復号し、その復号結果である復号2値化シンボル系列を出力する固定長復号部13と、確率状態出力部12から出力された優勢シンボル情報を参照して、固定長復号部13から出力された復号2値化シンボル系列内の各復号2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを2値化シンボルとして出力するbin出力部17とを設け、多値化部18が、bin出力部17から出力された2値化シンボルの系列を多値化して、多値シンボルの系列を出力するように構成したので、処理負荷が少ない復号処理で、符号化データから2値化シンボル系列を復号して多値シンボルが得られる効果を奏する。
【0057】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、V2F符号化器7〜7から出力される全ての固定長符号が同一の符号長であるものを示したが、V2F符号化器7〜7から出力される固定長符号の符号長が異なっていてもよい。
この実施の形態3では、V2F符号化器7,7から出力される固定長符号が8ビットの固定長符号であり、V2F符号化器7〜7N−1から出力される固定長符号が4ビットの固定長符号である例を説明する。
【0058】
図7はこの発明の実施の形態3によるエントロピー符号化装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
固定長符号バッファ9〜9N−1はV2F符号化器7〜7N−1の後段に配置されており、V2F符号化器7〜7N−1から出力される固定長符号の符号長が4ビットであり、予め設定されている符号長である8ビットに満たないため、その固定長符号を蓄積し、蓄積している固定長符号が8ビットになると(V2F符号化器7〜7N−1から4ビットの固定長符号が2回出力された場合)、蓄積している8ビットの固定長符号を符号化データ出力部8に出力する。
なお、図7では、V2F符号化器7の記載を省略しているため、固定長符号バッファ9の記載も省略している。
【0059】
次に動作について説明する。
固定長符号バッファ9〜9N−1がV2F符号化器7〜7N−1の後段に配置されている点以外は、上記実施の形態1と基本的には同じである。
ただし、V2F符号化器7〜7が実装しているV2Fテーブルが、上記実施の形態1と相違している。
ここで、図8はV2F符号化器7〜7が実装しているV2Fテーブルの一例を示す説明図である。
【0060】
図8の例では、V2F符号化器7,7は、bin系列である符号化2値化シンボル系列に対応する固定長符号が8ビットであるV2Fテーブルを実装し(図8(a)(d)を参照)、V2F符号化器7〜7N−1は、符号化2値化シンボル系列に対応する固定長符号が4ビットであるV2Fテーブルを実装している(図8(b)(c)を参照)。
このため、V2F符号化器7〜7の処理内容自体は、上記実施の形態1と同様であるが、V2F符号化器7,7から出力される固定長符号が8ビットであるのに対して、V2F符号化器7〜7N−1から出力される固定長符号が4ビットである。
したがって、固定長符号バッファ9〜9N−1がV2F符号化器7〜7N−1の後段に配置されていない場合、符号化データ出力部8に与えられる固定長符号の符号長が混在し(8ビット、4ビット)、符号化データ出力部8は符号長に応じて処理を切り替える必要があるため処理負荷が大きくなる。
【0061】
そこで、この実施の形態3では、V2F符号化器7〜7N−1から出力される4ビットの固定長符号を蓄積する固定長符号バッファ9〜9N−1を実装し、固定長符号バッファ9〜9N−1に蓄積されている固定長符号が8ビットになると(V2F符号化器7〜7N−1から4ビットの固定長符号が2回出力された場合)、固定長符号バッファ9〜9N−1に蓄積されている8ビットの固定長符号を符号化データ出力部8に出力するようにしている。
これにより、符号化データ出力部8に与えられる固定長符号の符号長が全て同一の符号長(8ビット)になり、符号化データ出力部8は、上記実施の形態1と同様に、全ての固定長符号を8ビットの符号として処理することができる。
【0062】
なお、8ビット固定長符号のV2Fテーブルは、256個のインデックスが必要であるため、V2Fテーブルを記憶するメモリが大きくなる。
ただし、図8(a)に示すV2F符号化器7用のV2Fテーブルのように、bin系列である符号化2値化シンボル系列と固定長符号が同じであり、V2F符号化器7が、binバッファ6から与えられる符号化2値化シンボル系列をそのまま固定長符号として出力する場合、V2Fテーブルを実装する必要がない。
【0063】
また、確率情報出力部2から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する変換規則にしたがって符号化2値化シンボル系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力する場合も、V2Fテーブルを実装する必要がない。
例えば、図8(d)に示すV2F符号化器7用のV2Fテーブルのように、bin系列である符号化2値化シンボル系列において0が連続する数が、8ビットの固定長符号となる変換規則がある場合、その変換規則にしたがって符号化2値化シンボル系列を固定長符号化すればよいため、V2Fテーブルを実装する必要がない。
【0064】
図8(d)では、例えば、符号化2値化シンボル系列が“001”であれば、0が連続する数が2個であるため、“00000010”の固定長符号に変換され、例えば、符号化2値化シンボル系列が“000001”であれば、0が連続する数が5個であるため、“00000101”の固定長符号に変換される。
このように、簡単な数値演算処理で、符号化2値化シンボル系列を固定長符号に変換できる場合にもV2Fテーブルを実装する必要がないため、少ないメモリ容量で本発明の効果を得ることができる。
【0065】
また、例えば、動画像符号化における動きベクトルの2値化などにおいて、図9に示すような2値化テーブルを用いて、プレフィックス部の各2値化シンボルの優勢シンボルの生起確率は確率状態出力部2から得るのに対し、サフィックス部の各2値化シンボルは常に優勢シンボルの生起確率が0.5に固定されるように構成する場合がある。
この場合、サフィックス部については確率状態を取得する必要がないため、直接、確率0.5に対応するV2F符号化器7のbinバッファ6に入力することにより低演算量で処理を行うことができる。
さらに、サフィックス部が複数の2値化シンボルから構成される場合には、それらをまとめて一度の処理でbinバッファ6に入力することができるため、より低演算量で処理を行うことができる。
【0066】
4ビットの固定長符号では、最大15個の2値化シンボルを4ビットで符号化するため、符号化効率は0.267ビット/binを上回ることができない。
一方、8ビットの固定長符号では、最大255個の2値化シンボルを8ビットで符号化することができるため、符号化効率は0.031ビット/binまで達することが可能である。
したがって、4ビットの固定長符号と8ビットの固定長符号を混在させることにより、メモリサイズを抑えつつ符号化効率を向上させることができる。
【0067】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、V2F符号化器7〜7N−1の後段に固定長符号バッファ9〜9N−1を配置しているので、符号化データ出力部8に与えられる固定長符号の符号長が全て同一の符号長(8ビット)に固定されるようになり、低演算量で処理を行うことが可能になる。
【0068】
なお、この実施の形態3では、V2F符号化器7,7から出力される固定長符号が8ビットの固定長符号であり、V2F符号化器7〜7N−1から出力される固定長符号が4ビットの固定長符号である例を示したが、これに限るものではなく、符号化データ出力部8に固定長符号が与えられる時点で、全ての固定長符号の符号長が同一であれば、V2F符号化器7〜7から出力される固定長符号の符号長は何ビットであってもよい。
【0069】
実施の形態4.
上記実施の形態2では、F2V復号器14〜14が入力する全ての固定長符号が同一の符号長であるものを示したが、F2V復号器14〜14が入力する固定長符号の符号長が異なっていてもよい。
この実施の形態4では、F2V復号器14,14が入力する固定長符号が8ビットの固定長符号であり、F2V復号器14〜14N−1が入力する固定長符号が4ビットの固定長符号である例を説明する。
【0070】
図10はこの発明の実施の形態4によるエントロピー復号装置を示す構成図であり、図において、図5と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
固定長符号バッファ19〜19N−1はF2V復号器14〜14N−1により固定長復号される固定長符号の符号長(4ビット)が、符号化データ入力部11から出力される固定長符号の符号長(8ビット)より短いため、F2V復号器14〜14N−1の前段に配置されている。
固定長符号バッファ19〜19N−1は符号化データ入力部11から出力された8ビットの固定長符号を蓄積し、8ビットの固定長符号の中から、順次、4ビットの固定長符号が取り出されてF2V復号器14〜14N−1に与えられる。
【0071】
次に動作について説明する。
固定長符号バッファ19〜19N−1がF2V復号器14〜14N−1の前段に配置されている点以外は、上記実施の形態2と基本的には同じである。
ただし、F2V復号器14〜14が実装しているF2Vテーブルが、上記実施の形態2と相違している。
即ち、F2V復号器14〜14は、例えば、上記実施の形態3のV2F符号化器7〜7が実装しているV2Fテーブル(図8のV2Fテーブル)と逆処理になるF2Vテーブルを実装している。
【0072】
即ち、F2V復号器14,14は、8ビットの固定長符号に対応する復号2値化シンボル系列が格納されているF2Vテーブルを実装し(図8(a)(d)を参照)、F2V復号器14〜14N−1は、4ビットの固定長符号に対応する復号2値化シンボル系列が格納されているF2Vテーブルを実装している(図8(b)(c)を参照)。
このため、F2V復号器14〜14の処理内容自体は、上記実施の形態2と同様であるが、F2V復号器14,14は、8ビットの固定長符号に対応する復号2値化シンボル系列を出力し、F2V復号器14〜14N−1は、4ビットの固定長符号に対応する復号2値化シンボル系列を出力する。
したがって、固定長符号バッファ19〜19N−1がF2V復号器14〜14N−1の前段に配置されていない場合、符号化データ入力部11から出力される固定長符号の符号長が混在し(8ビット、4ビット)、符号化データ入力部11の処理負荷が大きくなる。
【0073】
そこで、この実施の形態4では、符号化データ入力部11から出力される8ビットの固定長符号を蓄積する固定長符号バッファ19〜19N−1を実装し、固定長符号バッファ19〜19N−1により蓄積されている8ビットの固定長符号の中から、順次、4ビットの固定長符号を取り出してF2V復号器14〜14N−1に与えるようにしている。
これにより、符号化データ入力部11から出力される固定長符号の符号長を全て同一の符号長(8ビット)にすることができるため、符号化データ入力部11は、上記実施の形態2と同様に、全ての固定長符号を8ビットの符号として処理することができる。
【0074】
なお、8ビット固定長符号のF2Vテーブルは、256個のインデックスが必要であるため、F2Vテーブルを記憶するメモリが大きくなる。
ただし、F2V復号器14用のF2Vテーブル(図8(a)を参照)のように、固定長符号と復号2値化シンボル系列が同じであり、F2V復号器14が、符号化データ入力部11から与えられる固定長符号をそのまま復号2値化シンボル系列として出力する場合、F2Vテーブルを実装する必要がない。
【0075】
また、確率状態出力部2から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する変換規則にしたがって固定長符号を固定長復号し、その復号結果である復号2値化シンボル系列を出力する場合も、F2Vテーブルを実装する必要がない。
例えば、F2V復号器14用のF2Vテーブル(図8(d)を参照)のように、bin系列である復号2値化シンボル系列において0が連続する数が、8ビットの固定長符号と一致する変換規則であれば、その変換規則にしたがって固定長符号を固定長復号すればよいため、F2Vテーブルを実装する必要がない。
このように、簡単な数値演算処理で、固定長符号を復号2値化シンボル系列に変換できる場合にもF2Vテーブルを実装する必要がないため、少ないメモリ容量で本発明の効果を得ることができる。
【0076】
また、例えば、動画像符号化における動きベクトルの2値化などにおいて、図9に示すような2値化テーブルを用いて、プレフィックス部の各2値化シンボルの優勢シンボルの生起確率は確率状態出力部2から得るのに対し、サフィックス部の各2値化シンボルは常に優勢シンボルの生起確率が0.5に固定されるように構成する場合がある。
この場合、サフィックス部については確率状態を取得する必要がないため、直接、確率0.5に対応するF2V復号器14のbinバッファ15に対して、2値化シンボルとして出力することにより低演算量で処理を行うことができる。
【0077】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、F2V復号器14〜14N−1の前段に固定長符号バッファ19〜19N−1を配置しているので、符号化データ入力部11から出力される固定長符号の符号長を全て同一の符号長(8ビット)にすることができるようになり、4ビットの固定長符号と8ビットの固定長符号が混在しているビットストリームの復号処理を低演算量で実現することができる。
【0078】
なお、この実施の形態4では、F2V復号器14,14が入力する固定長符号が8ビットの固定長符号であり、F2V復号器14〜14N−1が入力する固定長符号が4ビットの固定長符号である例を示したが、これに限るものではなく、符号化データ入力部11から出力される時点で、全ての固定長符号の符号長が同一であれば、F2V復号器14〜14が入力する固定長符号の符号長は何ビットであってもよい。
【0079】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 2値化部(シンボル2値化手段)、2 確率状態出力部(確率情報出力手段)、3 符号化bin出力部(符号化2値化シンボル出力手段)、4 固定長符号化部(固定長符号化手段)、5 切替スイッチ、6〜6 binバッファ、7〜7 V2F符号化器(固定長符号化器)、8 符号化データ出力部(多重化手段)、9N−1 定長符号バッファ、11 符号化データ入力部(固定長符号抽出手段)、12 確率状態出力部(確率情報出力手段)、13 固定長復号部(固定長復号手段)、14〜14 F2V復号器(固定長復号器)、15〜15 binバッファ、16 切替スイッチ、17 bin出力部(2値化シンボル出力手段)、18 多値化部(シンボル多値化手段)、19N−1 固定長符号バッファ、101 2値化部、102 確率状態出力部、103 符号化bin出力部、104 切替スイッチ、105〜105 binバッファ、106〜106 V2V符号化器、107 符号化データ出力部、201 符号化データ入力部、202 確率状態出力部、203〜203 V2V復号器、204〜204 binバッファ、205 切替スイッチ、206 bin出力部、207 多値化部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化して、1以上の2値化シンボルの系列を出力するとともに、上記2値化シンボルが上記多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を出力するシンボル2値化手段と、上記シンボル2値化手段から出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を出力するとともに、上記優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を出力する確率情報出力手段と、上記確率情報出力手段から出力された優勢シンボル情報を参照して、上記シンボル2値化手段から出力された2値化シンボル系列内の各2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを符号化2値化シンボルとして出力する符号化2値化シンボル出力手段と、上記確率情報出力手段から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブルを参照して、上記符号化2値化シンボル出力手段から出力された符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力する固定長符号化手段と、上記固定長符号化手段から出力された固定長符号を多重化し、その多重化結果を符号化データとして出力する多重化手段とを備え、
上記固定長符号化手段は、相互に異なる符号化テーブルを実装している複数の固定長符号化器と、上記複数の固定長符号化器の中から、上記確率情報出力手段から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブルを実装している固定長符号化器を選択して、上記符号化2値化シンボル出力手段から出力された符号化2値化シンボルの系列を上記固定長符号化器に与える切替スイッチとから構成され、上記固定長符号化器が上記符号化テーブルを参照して、上記切替スイッチにより与えられた符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力するものであり、
上記固定長符号化器から出力される固定長符号の符号長が予め設定されている符号長より短い場合、上記固定長符号を蓄積する固定長符号バッファが設けられ、上記固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号の符号長が予め設定されている符号長に到達すれば、上記固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号が上記多重化手段に与えられることを特徴とするエントロピー符号化装置。
【請求項2】
固定長符号化手段は、符号化テーブルを参照せずに、確率情報出力手段から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する変換規則にしたがって符号化2値化シンボル出力手段から出力された符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力することを特徴とする請求項1記載のエントロピー符号化装置。
【請求項3】
符号化データに多重化されている予め設定された符号長の符号である固定長符号を抽出して、上記固定長符号を出力するとともに、上記固定長符号に対応する1以上の2値化シンボルが多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を出力する固定長符号抽出手段と、上記固定長符号抽出手段から出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を出力するとともに、上記優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を出力する確率情報出力手段と、上記優勢シンボルの生起確率に対応する復号テーブルを参照して、上記固定長符号抽出手段から出力された固定長符号を固定長復号し、その復号結果である復号2値化シンボル系列を出力する固定長復号手段と、上記確率情報出力手段から出力された優勢シンボル情報を参照して、上記固定長復号手段から出力された復号2値化シンボル系列内の各復号2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを2値化シンボルとして出力する2値化シンボル出力手段と、上記2値化シンボル出力手段から出力された2値化シンボルの系列を多値化して、多値シンボルの系列を出力するシンボル多値化手段とを備え、
上記固定長復号手段は、相互に異なる復号テーブルを実装している複数の固定長復号器と、上記複数の固定長復号器の中から、上記確率情報出力手段から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する復号テーブルを実装している固定長復号器を選択して、上記固定長復号器の復号結果である復号2値化シンボルの系列を出力する切替スイッチとから構成されており、
上記固定長復号器により固定長復号される固定長符号の符号長が上記固定長符号抽出手段から出力される固定長符号の符号長より短い場合、上記固定長符号抽出手段から出力される固定長符号を蓄積する固定長符号バッファが設けられ、上記固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号の中から、上記固定長復号器が対応可能な符号長の固定長符号が順次取り出されて、上記固定長復号器に与えられることを特徴とするエントロピー復号装置。
【請求項4】
固定長復号手段は、復号テーブルを参照せずに、確率情報出力手段から出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する変換規則にしたがって固定長符号を固定長復号し、その復号結果である復号2値化シンボル系列を出力することを特徴とする請求項3記載のエントロピー復号装置。
【請求項5】
シンボル2値化手段が、多値シンボル系列内の多値シンボルを2値化して、1以上の2値化シンボルの系列を出力するとともに、上記2値化シンボルが上記多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を出力するシンボル2値化処理ステップと、確率情報出力手段が、上記シンボル2値化処理ステップで出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を出力するとともに、上記優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を出力する確率情報出力処理ステップと、符号化2値化シンボル出力手段が、上記確率情報出力処理ステップで出力された優勢シンボル情報を参照して、上記シンボル2値化処理ステップで出力された2値化シンボル系列内の各2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを符号化2値化シンボルとして出力する符号化2値化シンボル出力処理ステップと、固定長符号化手段が、上記確率情報出力処理ステップで出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブルを参照して、上記符号化2値化シンボル出力処理ステップで出力された符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力する固定長符号化処理ステップと、多重化手段が、上記固定長符号化処理ステップで出力された固定長符号を多重化し、その多重化結果を符号化データとして出力する多重化処理ステップとを備え、
上記固定長符号化手段が、相互に異なる符号化テーブルを実装している複数の固定長符号化器と、上記複数の固定長符号化器の中から、上記確率情報出力処理ステップで出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する符号化テーブルを実装している固定長符号化器を選択して、上記符号化2値化シンボル出力処理ステップで出力された符号化2値化シンボルの系列を上記固定長符号化器に与える切替スイッチとから構成され、上記固定長符号化器が上記符号化テーブルを参照して、上記切替スイッチにより与えられた符号化2値化シンボルの系列を固定長符号化し、その符号化結果である固定長符号を出力するものであり、
上記固定長符号化器から出力される固定長符号の符号長が予め設定されている符号長より短い場合、上記固定長符号を蓄積する固定長符号バッファが設けられ、上記固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号の符号長が予め設定されている符号長に到達すれば、上記固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号が上記多重化手段に与えられることを特徴とするエントロピー符号化方法。
【請求項6】
固定長符号抽出手段が、符号化データに多重化されている予め設定された符号長の符号である固定長符号を抽出して、上記固定長符号を出力するとともに、上記固定長符号に対応する1以上の2値化シンボルが多値シンボルに係る何番目の2値化シンボルであるかを示すbin番号を出力する固定長符号抽出処理ステップと、確率情報出力手段が、上記固定長符号抽出処理ステップで出力されたbin番号に対応する2値化シンボルにおいて生起する確率が高い優勢シンボルを示す優勢シンボル情報を出力するとともに、上記優勢シンボルの生起確率を示す確率情報を出力する確率情報出力処理ステップと、固定長復号手段が、上記優勢シンボルの生起確率に対応する復号テーブルを参照して、上記固定長符号抽出処理ステップで出力された固定長符号を固定長復号し、その復号結果である復号2値化シンボル系列を出力する固定長復号処理ステップと、2値化シンボル出力手段が、上記確率情報出力処理ステップで出力された優勢シンボル情報を参照して、上記固定長復号処理ステップで出力された復号2値化シンボル系列内の各復号2値化シンボルが優勢シンボルであるか否かを示すフラグを2値化シンボルとして出力する2値化シンボル出力処理ステップと、シンボル多値化手段が、上記2値化シンボル出力処理ステップで出力された2値化シンボルの系列を多値化して、多値シンボルの系列を出力するシンボル多値化処理ステップとを備え、
上記固定長復号手段が、相互に異なる復号テーブルを実装している複数の固定長復号器と、上記複数の固定長復号器の中から、上記確率情報出力処理ステップで出力された確率情報が示す優勢シンボルの生起確率に対応する復号テーブルを実装している固定長復号器を選択して、上記固定長復号器の復号結果である復号2値化シンボルの系列を出力する切替スイッチとから構成されており、
上記固定長復号器により固定長復号される固定長符号の符号長が上記固定長符号抽出処理ステップで出力される固定長符号の符号長より短い場合、上記固定長符号抽出処理ステップで出力される固定長符号を蓄積する固定長符号バッファが設けられ、上記固定長符号バッファに蓄積されている固定長符号の中から、上記固定長復号器が対応可能な符号長の固定長符号が順次取り出されて、上記固定長復号器に与えられることを特徴とするエントロピー復号方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−253413(P2012−253413A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122222(P2011−122222)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】