オイルポンプの駆動装置
【課題】オイルポンプを駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸の回転方向によらずオイルポンプを常に一方向に回転させることを目的とする。
【解決手段】オイルポンプの駆動装置2において、回転方向変更機構6は相互に差動回転する3つの回転要素を有する遊星歯車機構8を備え、3つの回転要素を共線図上に配置した場合、両端に位置する第1回転要素および第2回転要素の一方を回転軸4に連結するとともに他方を駆動軸5に連結し、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素が一体的に回転するようこれら3つの回転要素のうちいずれか2つを第1ワンウェイクラッチ13により連結し、回転軸4が逆方向に回転する場合、第3回転要素が逆方向へ回転することを防止するようこの第3回転要素を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結したことを特徴とする。
【解決手段】オイルポンプの駆動装置2において、回転方向変更機構6は相互に差動回転する3つの回転要素を有する遊星歯車機構8を備え、3つの回転要素を共線図上に配置した場合、両端に位置する第1回転要素および第2回転要素の一方を回転軸4に連結するとともに他方を駆動軸5に連結し、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素が一体的に回転するようこれら3つの回転要素のうちいずれか2つを第1ワンウェイクラッチ13により連結し、回転軸4が逆方向に回転する場合、第3回転要素が逆方向へ回転することを防止するようこの第3回転要素を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はオイルポンプの駆動装置に係り、特に、二輪、四輪、産業機器や等の歯車、軸受等の潤滑用のオイルや、電動車両、ハイブリッド車両のモータ等の冷却用のオイルの供給に使用されるオイルポンプの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機器の潤滑や冷却に使用されるオイルを供給するオイルポンプの駆動装置としては、特開2001−233070号公報に、エンジンとモータとを駆動源とするハイブリッド用変速機について、変速機の内部機構(ギア、モータ、軸受など)の潤滑・冷却のためのオイルを供給するオイルポンプを駆動するための機構が示されている。
前記公報に開示されるオイルポンプの駆動装置は、エンジン、モータの動力を合成する機構(以下「動力分割機構」と記す)において、動力を出力する軸以外に常に正転する軸を設け、この軸にオイルポンプを接続することで、逆回転時に機能しないというオイルポンプの短所を克服している。前記公報に開示されるオイルポンプの駆動装置は、これを2組の遊星ギア、1組のクラッチ、1組のワンウェイクラッチを用いて実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−233070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記公報に開示される構造では、以下の課題がある。
・動力分割機構の内部のある特定の1軸のみでしか、オイルポンプを常時使用することができない。
・動力分割機構の内部にあるすべての回転軸に適用できない。
・クラッチを使用しているため、別途油圧等による制御が必要である。
【0005】
この発明は、オイルポンプを駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ回転軸の回転方向によらずオイルポンプを常に一方向に回転させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、正方向と逆方向に駆動される回転軸とオイルポンプの駆動軸との間に回転方向変更機構を配置したオイルポンプの駆動装置において、前記回転方向変更機構は相互に差動回転する3つの回転要素を有する遊星歯車機構を備え、前記3つの回転要素を共線図上に配置した場合、両端に位置する第1回転要素および第2回転要素の一方を前記回転軸に連結するとともに他方を前記オイルポンプの駆動軸に連結し、前記回転軸が正方向に回転する場合、前記3つの回転要素が一体的に回転するようこれら3つの回転要素のうちいずれか2つを第1ワンウェイクラッチにより連結し、前記回転軸が逆方向に回転する場合、第3回転要素が逆方向へ回転することを防止するようこの第3回転要素を第2ワンウェイクラッチによってハウジングと連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、油圧等による制御を必要とせずに1つの遊星歯車機構と2つのワンウェイクラッチによってオイルポンプを駆動することができ、オイルポンプを駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸の回転方向によらずオイルポンプを常に一方向に回転させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はオイルポンプの駆動装置の構成図である。(実施例)
【図2】図2は回転軸正回転時の作動共線図である。(実施例)
【図3】図3は回転軸逆回転時の作動共線図である。(実施例)
【図4】図4はオイルポンプの駆動装置を備えたシリーズパラレル方式のハイブリッド車両の動力伝達装置の構成図である。(実施形態1)
【図5】図5は車両前進時の作動共線図である。(実施形態1)
【図6】図6は車両後退時の作動共線図である。(実施形態1)
【図7】図7はオイルポンプの駆動装置を備えたシリーズ方式のハイブリッド車両の動力伝達装置の構成図である。(実施形態2)
【図8】図8はオイルポンプの駆動装置の変形例1の構成図である。(変形例1)
【図9】図9はオイルポンプの駆動装置の変形例2の構成図である。(変形例2)
【図10】図10はオイルポンプの駆動装置の変形例3の構成図である。(変形例3)
【図11】図11は変形例3の作動共線図である。(変形例3)
【図12】図12はオイルポンプの駆動装置の変形例4の構成図である。(変形例4)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
図1〜図3は、この発明の実施例を示すものである。図1において、1はオイルポンプ、2は駆動装置である。機器の潤滑や冷却に使用されるオイルを供給するオイルポンプ1の駆動装置2は、正方向と逆方向に駆動可能な駆動源であるモータ3によって正方向と逆方向に駆動される回転軸4とオイルポンプ1の駆動軸5との間に、回転方向変換機構6を配置している。
前記回転方向変更機構6は、ハウジング7内に相互に差動回転する3つの回転要素を有する遊星歯車機構8を備えている。遊星歯車機構8は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、3つの第1〜第3回転要素として、サンギア9(第2回転要素)と、2つの互いに噛み合うプラネタリギア10・10を支持するとともに一方の第1プラネタリギア10が前記第1サンギア9に噛み合うプラネタリキャリア11(第1回転要素)と、他方のプラネタリギア10に噛み合うリングギア12(第3回転要素)とを有している。
遊星歯車機構8は、図2・図3に示すように、3つの第1〜第3回転要素の回転数と回転方向を表す共線図上に配置した場合に、右端にプラネタリキャリア11(第1回転要素)を配置し、中間にリングギア12(第3回転要素)を配置し、左端にサンギア9(第2回転要素)を配置している。遊星歯車機構8は、共線図上の両端に位置するプラネタリキャリア11(第1回転要素)およびサンギア9(第2回転要素)のうち、一方のプラネタリキャリア11(第1回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、他方のサンギア9(第2回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結している。なお、図2・図3においては、サンギア9をS、プラネタリキャリア11をC、リングギア12をRとして記載している。
【0011】
遊星歯車機構8は、サンギア9(第2回転要素)と、プラネタリキャリア11(第1回転要素)と、リングギア12(第3回転要素)とのうち、サンギア9(第2回転要素)とリングギア12(第3回転要素)との2つを第1ワンウェイクラッチ13により連結している。
第1ワンウェイクラッチ13は、モータ3の回転軸4が正方向に回転する場合に作動し、正回転するプラネタリキャリア11(第1回転要素)に対して、リングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)を連結する。リングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)の連結によって、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)とは正方向に一体的に回転する。
一方、第1ワンウェイクラッチ13は、モータ3の回転軸4が逆方向に回転する場合に空転し、逆回転するプラネタリキャリア11(第1回転要素)に対して、リングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)の連結を解放する。リングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)の連結解放によって、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)とは差動回転する。
このように、第1ワンウェイクラッチ13は、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)が一体的に回転するよう、2つの回転要素(サンギア9、リングギア12)を連結する。これにより、回転方向変更機構6は、回転軸4が正方向に回転する場合、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動する。
【0012】
また、遊星歯車機構8は、サンギア9(第2回転要素)と、プラネタリキャリア11(第1回転要素)と、リングギア12(第3回転要素)とのうち、リングギア12(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によりハウジング7に連結している。前記第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14とは、遊星歯車機構8のオイルポンプ1側において駆動軸5の径方向内側と外側に重なる位置に配置している。
第2ワンウェイクラッチ14は、モータ3の回転軸4が逆方向に回転する場合に作動し、リングギア12(第3回転要素)をハウジング7に連結する。リングギア12(第3回転要素)は、ハウジング7との連結によって、逆方向への回転を防止される。リングギア12(第3回転要素)の逆方向への回転防止によって、モータ3の回転軸4の逆方向の回転は2つの噛み合ったプラネタリギア10・10により反転してサンギア9(第2回転要素)に伝達され、サンギア9(第2回転要素)を正方向に回転する。
一方、第2ワンウェイクラッチ14は、モータ3の回転軸4が正方向に回転する場合に空転し、リングギア12(第3回転要素)をハウジング7との連結から解放する。リングギア12(第3回転要素)は、ハウジング7との連結解放によって、正方向への回転を許容される。
このように、第2ワンウェイクラッチ14は、回転軸4が逆方向に回転する場合、リングギア12(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するようこのリングギア12(第3回転要素)をハウジング7と連結する。これにより、回転方向変更機構6は、回転軸4が逆方向に回転する場合、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動する。
【0013】
次に作用を説明する。
図2に示すように、オイルポンプ1の駆動装置2は、モータ3の回転軸4が正方向に回転する場合、サンギア9(第2回転要素)およびリングギア12(第3回転要素)はともに正方向へ回転し、かつ差動によりリングギア12(第3回転要素)の回転数Nrがサンギア9(第2回転要素)の回転数Nsより大きく(Nr>Ns)なる。このため、回転方向変更機構6の第1ワンウェイクラッチ13が作動してリングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)を連結し、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)とを正方向に一体的に回転させる。また、第2ワンウェイクラッチ13は空転し、リングギア12(第3回転要素)をハウジング7との連結から解放し、リングギア12(第3回転要素)の正方向への回転を許容する。
駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13の作動によってサンギア9(第2回転要素)の回転数Nsとプラネタリキャリア11(第1回転要素)の回転数NcとがNs=Ncとなる。オイルポンプ1は、回転速度Nsで正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)により駆動軸5を正方向に駆動され、オイルを供給する。
また、図3に示すように、オイルポンプ1の駆動装置2は、モータ3の回転軸4が逆方向に回転する場合、回転方向変更機構6の第2ワンウェイクラッチ14が作動してリングギア12(第3回転要素)をハウジング7と連結し、リングギア12(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止する。このとき、サンギア9(第2回転要素)が正方向へ回転し、かつサンギア9(第2回転要素)の回転数Nsがリングギア12(第3回転要素)の回転数Nrより大きく(Nr<Ns)なる。このため、第1ワンウェイクラッチ13は空転し、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)との差動回転を許容する。リングギア12(第3回転要素)の逆方向への回転防止によって、モータ3の回転軸4の逆方向の回転は2つの噛み合ったプラネタリギア10・10により反転してサンギア9(第2回転要素)に伝達され、サンギア9(第2回転要素)を正方向に回転する。
駆動装置2は、第2ワンウェイクラッチ15の作動によってリングギア12(第3回転要素)の回転数NrがNr≧0となり、サンギア9(第2回転要素)の回転数Nsとプラネタリキャリア11(第1回転要素)の回転数Ncの関係は、Ns=−a・Nc(a=遊星ギア比)となる。オイルポンプ1は、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)により駆動軸5を正方向に駆動され、オイルを供給する。
【0014】
このように、このオイルポンプ1の駆動装置2は、油圧等による制御を必要とせずに、1つの遊星歯車機構8と2つの第1・第2ワンウェイクラッチ13・14によってオイルポンプ1を駆動することができ、オイルポンプ1を駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸4の回転方向によらずオイルポンプ1を常に一方向に回転させることできる。
また、駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14を径方向に重なる位置に配置したので、回転方向変更機構6の軸方向寸法を減少させ、駆動装置を簡素化することができる。
【0015】
図4〜図6は、上述実施例のオイルポンプ1の駆動装置2の実施形態1を示すものである。図4において、オイルポンプ1の駆動装置2は、シリーズパラレル方式のハイブリッド車両15の動力伝達装置16に備えられている。
ハイブリッド車両15の動力伝達装置16は、燃料の燃焼により駆動力を発生させる駆動源であるエンジン17の出力軸18と、電気により駆動力を発生するとともに駆動により電気エネルギを発生する第一のモータジェネレータ19及び第二のモータジェネレータ20と、ハイブリッド車両15の駆動輪21に接続される駆動軸22と、出力軸18、第一のモータジェネレータ19、第二のモータジェネレータ20、及び駆動軸22にそれぞれ連結された動力伝達機構である差動歯車機構23と、を備えている。
前記第一のモータジェネレータ19は、出力軸18と同軸に配置した第1モータロータ軸24と、第1モータロート軸24に固定した第1モータロータ25と、第1モータロータ25の外周に配置した第1モータステータ26とを備えている。前記第二のモータジェネレータ20は、出力軸18と同軸に配置した第2モータロータ軸27と、第2モータロータ軸27に固定した第2モータロータ28と、第2モータロータ28の外周に配置した第2モータステータ29とを備えている。第一のモータジェネレータ19と第二のモータジェネレータ20とは、供給される電気により駆動力を発生するとともに、エンジン17の駆動力および回生時の駆動輪21からの駆動力で電気エネルギを発生し、バッテリに充電する。
【0016】
前記差動歯車機構23は、3つの回転要素を有するシングルピニオン型の第1遊星歯車機構30および第2遊星歯車機構31を備えている。第1遊星歯車機構30は、出力軸18と同軸に配置した第1サンギア33と、この第1サンギア33に噛み合う第1プラネタリギア34を支持する第1プラネタリキャリア35と、第1プラネタリギア34に噛み合う第1リングギア36とを備えている。前記第2遊星歯車機構31は、出力軸18と同軸に配置した第2サンギア37と、この第2サンギア37に噛み合う第2プラネタリギア38を支持する第2プラネタリキャリア39と、第2プラネタリギア38に噛み合う第2リングギア40とを備えている。
差動歯車機構23は、第1遊星歯車機構30および第2遊星歯車機構31を同一軸上に互いに隣り合う状態で配置し、第1遊星歯車機構30のエンジン17に近接する側に第一のモータジェネレータ19を配置し、第2遊星歯車機構31のエンジン2から離れる側に第二のモータジェネレータ20を配置している。
第1遊星歯車機構30の第1サンギア33には、第一のモータジェネレータ19の第1モータロータ軸24を接続している。第1遊星歯車機構30の第1プラネタリキャリア35と第2遊星歯車機構31の第2サンギア37とは、互いに結合されたうえエンジン17の出力軸18に連結されている。第1遊星歯車機構30の第1リングギア36と第2遊星歯車機構31の第2プラネタリキャリア39とは、互い結合されたうえ出力ギア42に連結されている。出力ギア42は、伝達ギア43と終減速駆動ギア44と終減速被動ギア45と差動ギア46とを介して前記駆動軸22に接続している。第2遊星歯車機構31の第2リングギア40には、第二のモータジェネレータ20の第2モータロータ軸27を接続している。
前記第一のモータジェネレータ19の第1モータステータ26と第二のモータジェネレータ20の第2モータステータ29とは、動力伝達装置16のケース47に固定されている。また、前記エンジン17の出力軸18と動力伝達装置16のケース47の間には、ワンウェイクラッチ41が配置され、エンジン17の出力軸18が逆転することを防止する。
【0017】
ハイブリッド車両15の動力伝達装置16は、エンジン17と第一のモータジェネレータ19と第二のモータジェネレータ20とが発生する動力を、第1遊星歯車機構30と第2遊星歯車機構31とを介して駆動軸22に出力し、駆動輪21を駆動する。また、ハイブリッド車両15は、駆動輪21からの駆動力を、第1遊星歯車機構30と第2遊星歯車機構31とを介して第一のモータジェネレータ19と第二のモータジェネレータ20とに伝達し、電気エネルギを発生してバッテリを充電する。
このハイブリッド車両15の動力伝達装置16には、オイルポンプ1の駆動装置2を備えている。この駆動装置2は、駆動源に連結される回転軸4を備え、この回転軸4を第2遊星歯車機構31の第2リングギア40および第二のモータジェネレータ20に連結され、正方向と逆方向に駆動される第2モータロータ軸27に接続し、この回転軸4とオイルポンプ1の駆動軸5との間に回転方向変換機構6を配置している。回転方向変換機構6は、図1に示すように、3つの回転要素を有するダブルピニオン型の遊星歯車機構8と、第1ワンウェイクラッチ13および第2ワンウェイクラッチ14を備えている。
動力伝達装置16の第1遊星歯車機構30および第2遊星歯車機構31と、駆動装置2の遊星歯車機構8とは、図5・図6に示すように、3つの回転要素の回転数と回転方向を表す共線図上に配置した場合に、以下のように配置される。
前記第1遊星歯車機構30は、左から右に向かって第1サンギア33と第1プラネタリキャリア35と第1リングギア36とを順次に配置している。前記第2遊星歯車機構31は、左から右に向かって第2サンギア37と第2プラネタリキャリア39と第2リングギア40とを順次に配置している。また、前記遊星歯車機構8は、左から右に向かってプラネタリキャリア11とリングギア12とサンギア9とを順次に配置している。
前記第1遊星歯車機構30の第1プラネタリキャリア35と第2遊星歯車機構31の第2サンギア37とは、接続されて同方向に回転する。前記第1遊星歯車機構30の第1リングギア36と第2遊星歯車機構31の第2プラネタリキャリア39とは、接続されて同方向に回転する。前記第2遊星歯車機構31の第2リングギア40と遊星歯車機構8のプラネタリキャリア11とは、接続されて同方向に回転する。
なお、図5・図6においては、第1サンギア33をS1、第1プラネタリキャリア35をC1、第リングギア36をR1とし、また、第2サンギア37をS2、第2プラネタリキャリア39をC2、第2リングギア40をR2とし、さらに、サンギア9をS3、プラネタリキャリア11をC3、リングギア12をR3として記載している。また、図5・図6においては、第一のモータジェネレータ19をMG1、第二のモータジェネレータ20をMG2として記載している。
【0018】
オイルポンプ1の駆動装置2は、図5に示すように、ハイブリッド車両15が前進走行し、動力伝達装置16を構成する第二のモータジェネレータ20および第2リングギア40が正方向に回転する場合、図1に示す回転方向変更機構6の第1ワンウェイクラッチ13が作動してリングギア12とサンギア9を連結し、サンギア9とプラネタリキャリア11とリングギア12とを正方向に一体的に回転させる。このとき、第2ワンウェイクラッチ13は空転し、リングギア12をハウジング7との連結から解放し、リングギア12の正方向への回転を許容する。
駆動装置2は、正方向に回転するサンギア9によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動し、オイルを供給する。
また、オイルポンプ1の駆動装置2は、図6に示すように、ハイブリッド車両15が後退走行し、動力伝達装置16を構成する第二のモータジェネレータ20および第2リングギア40が逆方向に回転する場合、図1に示す回転方向変更機構6の第2ワンウェイクラッチ14が作動してリングギア12をハウジング7と連結し、リングギア12が逆方向へ回転することを防止する。このとき、第1ワンウェイクラッチ13は空転し、サンギア9とプラネタリキャリア11とリングギア12との差動回転を許容する。リングギア12の逆方向への回転防止によって、回転軸4の逆方向の回転は2つの第1・第2プラネタリギア10a・10bにより反転してサンギア9に伝達され、サンギア9を正方向に回転する。
駆動装置2は、正方向に回転するサンギア9によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動し、オイルを供給する。
【0019】
このように、シリーズパラレル方式のハイブリッド車両15の動力伝達装置16に設けたオイルポンプ1の駆動装置2は、油圧等による制御を必要とせずに、1つの遊星歯車機構8と2つの第1・第2ワンウェイクラッチ13・14によってオイルポンプ1を駆動することができ、オイルポンプ1を駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸4の回転方向によらずオイルポンプ1を常に一方向に回転させることできる。
また、駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14を径方向において重なる位置に配置したので、回転方向変更機構6の軸方向寸法を減少させ、駆動装置を簡素化することができる。
【0020】
図7は、上述実施例のオイルポンプ1の駆動装置2の実施形態2を示すものである。図7において、オイルポンプ1の駆動装置2は、シリーズ方式のハイブリッド車両48の動力伝達装置49に備えられている。
ハイブリッド車両48の動力伝達装置49は、燃料の燃焼により駆動力を発生させるエンジン50の出力軸51と、出力軸51に連結されてエンジン50の駆動により電気エネルギを発生するジェネレータ52と、ジェネレータ52の発生する電気により駆動力を発生する駆動源のモータ53と、ハイブリッド車両48の駆動輪54に接続される駆動軸55と、モータ53及び駆動軸55にそれぞれ連結された動力伝達機構56と、を備えている。
前記ジェネレータ52は、出力軸51と同軸に配置したジェネレータロータ軸57と、ジェネレータロータ軸57に固定したジェネレータロータ58と、ジェネレータロータ58の外周に配置したジェネレータステータ59とを備えている。ジェネレータ52は、エンジン50からの駆動力で電気エネルギを発生し、バッテリに充電する。前記モータ53は、モータロータ軸60と、モータロータ軸60に固定したモータロータ61と、モータロータ61の外周に配置したモータステータ62とを備えている。モータ53は、供給される電気により駆動力を発生する。
前記動力伝達機構56は、モータ53のモータロータ軸60を出力ギア63に連結している。出力ギア63は、伝達ギア64と終減速駆動ギア65と終減速被動ギア66と差動ギア67とを介して前記駆動軸55に接続している。前記ジェネレータ52のジェネレータステータ59とモータ53のモータステータ62とは、動力伝達装置49のケース68に固定されている。
【0021】
ハイブリッド車両48の動力伝達装置49は、エンジン50によりジェネレータ58を駆動して電気エネルギを発生してバッテリを充電し、バッテリの電気をモータ53に供給して駆動力を発生し、モータ53の発生する駆動力を各ギア63〜67を介して駆動軸55に出力し、駆動輪54を駆動する。また、ハイブリッド車両48は、駆動輪54からの駆動力を、各ギア63〜67を介してモータ53に伝達し、電気エネルギを発生してバッテリを充電する。
このハイブリッド車両48の動力伝達装置49には、オイルポンプ1の駆動装置2を備えている。この駆動装置2は、動力伝達機構56を構成するモータ53を駆動源とし、モータ53のモータロータ軸60と一体に回転する出力ギヤ63に正方向と逆方向に駆動される回転軸4を接続し、この回転軸4とオイルポンプ1の駆動軸5との間に回転方向変換機構6を配置している。回転方向変換機構6は、図1に示すように、3つの回転要素を有する遊星歯車機構8(ダブルピニオン型)と、第1ワンウェイクラッチ13および第2ワンウェイクラッチ14を備えている。動力伝達機構56の出力ギア63と遊星歯車機構8のプラネタリキャリア11とは、接続されて同方向に回転する。
【0022】
オイルポンプ1の駆動装置2は、ハイブリッド車両48が前進走行し、動力伝達機構56の出力ギア63が正方向に回転する場合、回転方向変更機構6の第1ワンウェイクラッチ13が作動してリングギア12とサンギア9を連結し、サンギア9とプラネタリキャリア11とリングギア12とを正方向に一体的に回転させる。このとき、第2ワンウェイクラッチ13は空転し、リングギア12をハウジング7との連結から解放し、リングギア12の正方向への回転を許容する。
駆動装置2は、正方向に回転するサンギア9によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動し、オイルを供給する。
また、オイルポンプ1の駆動装置2は、ハイブリッド車両48が後退走行し、動力伝達機構56の出力ギア63が逆方向に回転する場合、回転方向変更機構6の第2ワンウェイクラッチ14が作動してリングギア12をハウジング7と連結し、リングギア12が逆方向へ回転することを防止する。このとき、第1ワンウェイクラッチ13は空転し、サンギア9とプラネタリキャリア11とリングギア12との差動回転を許容する。リングギア12の逆方向への回転防止によって、回転軸4の逆方向の回転は2つの噛み合ったプラネタリギア10・10により反転してサンギア9に伝達され、サンギア9を正方向に回転する。
駆動装置2は、正方向に回転するサンギア9によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動し、オイルを供給する。
【0023】
このように、シリーズ方式のハイブリッド車両48の動力伝達装置49に設けたオイルポンプ1の駆動装置2は、油圧等による制御を必要とせずに、1つの遊星歯車機構8と2つの第1・第2ワンウェイクラッチ13・14によってオイルポンプ1を駆動することができ、オイルポンプ1を駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸4の回転方向によらずオイルポンプ1を常に一方向に回転させることできる。
また、駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14を径方向において重なる位置に配置したので、回転方向変更機構6の軸方向寸法を減少させ、駆動装置を簡素化することができる。
【0024】
なお、上述実施例のオイルポンプ1の駆動装置2は、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)が一体的に回転するよう、第1ワンウェイクラッチ13によりサンギア9(第2回転要素)とリングギア12(第3回転要素)を連結したが、これに限定されるものではない。
例えば、図8は、変形例1を示すものである。図8に示す駆動装置2は、回転軸4が逆方向に回転する場合、リングギア12(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するよう、このリングギア12(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結している。
そして、図8に示す駆動装置2は、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)を破線で示す第1ワンウェイクラッチ13aにより連結し、または、プラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)を一点鎖線で示す第1ワンウェイクラッチ13bにより連結することで、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)を一体的に回転させることができる。
【0025】
また、上述実施例のオイルポンプ1の駆動装置2は、共線図上の両端に位置するプラネタリキャリア11(第1回転要素)およびサンギア9(第2回転要素)のうち、プラネタリキャリア11(第1回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、サンギア9(第2回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結したが、これに限定されるものではない。
図9は、変形例2を示すものである。図9に示す駆動装置2は、サンギア9(第2回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、プラネタリキャリア11(第1回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結している。図9に示す駆動装置2は、回転軸4が逆方向に回転する場合、リングギア12(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するよう、このリングギア12(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結している。
そして、図9に示す駆動装置2は、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)を実線で示す第1ワンウェイクラッチ13cにより連結し、または、プラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)を破線で示す第1ワンウェイクラッチ13dにより連結し、あるいは、サンギア9(第2回転要素)とリングギア12(第3回転要素)を一点鎖線で示す第1ワンウェイクラッチ13eにより連結することで、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)を一体的に回転させることができる。
【0026】
図10・図11は、変形例3を示すものである。図10に示すように、駆動装置2の回転方向変更機構6を構成する遊星歯車機構8は、シングルピニオン型の遊星歯車機構であり、3つの第1〜第3回転要素として、サンギア9(第2回転要素)と、第1サンギア9に噛み合う1つのプラネタリギア10を支持するプラネタリキャリア11(第3回転要素)と、前記プラネタリギア10に噛み合うリングギア12(第1回転要素)とを有している。
遊星歯車機構8は、図11に示すように、3つの第1〜第3回転要素の回転数と回転方向を表す共線図上に配置した場合に、右端にリングギア12(第1回転要素)を配置し、中間にプラネタリキャリア11(第3回転要素)を配置し、左端にサンギア9(第2回転要素)を配置している。遊星歯車機構8は、共線図上の両端に位置するリングギア13(第1回転要素)およびサンギア9(第2回転要素)のうち、一方のリングギア13(第1回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、他方のサンギア9(第2回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結している。なお、図11においてはサンギア9をS、プラネタリキャリア11をC、リングギア12をRとして記載している。
駆動装置2は、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)が一体的に回転するよう、第1ワンウェイクラッチ13によりサンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)を連結している。また、駆動装置2は、回転軸4が逆方向に回転する場合、プラネタリキャリア11(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するようこのプラネタリキャリア11(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結している。
オイルポンプ1の駆動装置2は、モータ3の回転軸4が正方向に回転する場合、第1ワンウェイクラッチ13が作動してプラネタリキャリア11(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)を連結し、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)とリングギア12(第1回転要素)とを正方向に一体的に回転させる。このとき、第2ワンウェイクラッチ14は空転し、プラネタリキャリア11(第3回転要素)をハウジング7との連結から解放し、リングギア12(第1回転要素)の正方向への回転を許容する。オイルポンプ1は、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)により駆動軸5を正方向に駆動され、オイルを供給する。
また、オイルポンプ1の駆動装置2は、モータ3の回転軸4が逆方向に回転する場合、第2ワンウェイクラッチ14が作動してプラネタリキャリア11(第3回転要素)をハウジング7と連結し、リングギア12(第1回転要素)が逆方向へ回転することを防止する。このとき、第1ワンウェイクラッチ13は空転し、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)とリングギア12(第1回転要素)との差動回転を許容する。プラネタリキャリア11(第3回転要素)の逆方向への回転防止によって、モータ3の回転軸4の逆方向の回転はプラネタリギア10により反転してサンギア9(第2回転要素)に伝達され、サンギア9(第2回転要素)を正方向に回転する。オイルポンプ1は、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)により駆動軸5を正方向に駆動され、オイルを供給する。
【0027】
このように、このオイルポンプ1の駆動装置2は、油圧等による制御を必要とせずに、1つの遊星歯車機構8と2つの第1・第2ワンウェイクラッチ13・14によってオイルポンプ1を駆動することができ、オイルポンプ1を駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸4の回転方向によらずオイルポンプ1を常に一方向に回転させることできる。また、駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14を径方向において重なる位置に配置することで、回転方向変更機構6の軸方向寸法を減少させ、駆動装置を簡素化することができる。
なお、変形例3の駆動装置2は、図10に示すように、リングギア12(第1回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)を破線で示す第1ワンウェイクラッチ13fにより連結する構造、または、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)を一点鎖線で示す第1ワンウェイクラッチ13gにより連結する構造に変更でき、このような構造によっても回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)を一体的に回転させることができる。
【0028】
図12は、変形例4を示すものである。図12に示す駆動装置2は、サンギア9(第1回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、リングギア12(第2回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結している。この駆動装置2は、回転軸4が逆方向に回転する場合、プラネタリキャリア11(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するよう、このプラネタリキャリア11(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結している。
そして、図12に示す駆動装置2は、サンギア9(第1回転要素)とリングギア12(第2回転要素)を実線で示す第1ワンウェイクラッチ13hにより連結し、または、プラネタリキャリア11(第3回転要素)とリングギア12(第2回転要素)を破線で示す第1ワンウェイクラッチ13iにより連結し、あるいは、サンギア9(第1回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)を一点鎖線で示す第1ワンウェイクラッチ13jにより連結することで、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)を一体的に回転させることができる。
【0029】
このように、オイルポンプ1の駆動装置2は、図8〜図12に示すように、回転方向調整機構6内のオイルポンプ1の駆動軸5、回転軸4と遊星歯車機構8、第1・第2ワンウェイクラッチ13・14の配置を入れ替えることでも同様の効果が得られる。
また、オイルポンプ1の駆動装置2は、遊星歯車機構8のギア比を変えることで、駆動軸5の回転速度を増減してオイルポンプ1の吐出量を変化させることができる。吐出量の変化は、駆動装置2の使用用途に合わせて以下のような設定が考えられる。
【0030】
<駆動軸5を増速して使用する場合>
・駆動軸5が低回転時から、遊星歯車機構8のギア比分だけ多くの吐出量を得ることができる。
・一定流量を得るのに、遊星歯車機構8のギアを小さくして高速でまわすことで対応できるため、ギア小型化によりコスト、重量減を図ることができる。
【0031】
<駆動軸5を減速して使用する場合>
・オイルポンプ1の駆動トルクが相対的に下がるため、駆動軸5の駆動トルク(=エンジンやモータのトルク)のロス低減により燃費性能を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明は、油圧等による制御を必要とせずにオイルポンプを駆動することができ、オイルポンプを駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸の回転方向によらずオイルポンプを常に一方向に回転させることできるものであり、車両にかぎらず、駆動源を備えた産業機器に応用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 オイルポンプ
2 駆動装置
3 モータ
4 回転軸
5 駆動軸
6 回転方向変更機構
7 ハウジング
8 遊星歯車機構
9 サンギア
10 第1プラネタリギア
11 プラネタリキャリア
12 リングギア
13 第1ワンウェイクラッチ
14 第2ワンウェイクラッチ
15 シリーズパラレル方式のハイブリッド車両
16 動力伝達装置
48 シリーズ方式のハイブリッド車両
49 動力伝達装置
【技術分野】
【0001】
この発明はオイルポンプの駆動装置に係り、特に、二輪、四輪、産業機器や等の歯車、軸受等の潤滑用のオイルや、電動車両、ハイブリッド車両のモータ等の冷却用のオイルの供給に使用されるオイルポンプの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機器の潤滑や冷却に使用されるオイルを供給するオイルポンプの駆動装置としては、特開2001−233070号公報に、エンジンとモータとを駆動源とするハイブリッド用変速機について、変速機の内部機構(ギア、モータ、軸受など)の潤滑・冷却のためのオイルを供給するオイルポンプを駆動するための機構が示されている。
前記公報に開示されるオイルポンプの駆動装置は、エンジン、モータの動力を合成する機構(以下「動力分割機構」と記す)において、動力を出力する軸以外に常に正転する軸を設け、この軸にオイルポンプを接続することで、逆回転時に機能しないというオイルポンプの短所を克服している。前記公報に開示されるオイルポンプの駆動装置は、これを2組の遊星ギア、1組のクラッチ、1組のワンウェイクラッチを用いて実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−233070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記公報に開示される構造では、以下の課題がある。
・動力分割機構の内部のある特定の1軸のみでしか、オイルポンプを常時使用することができない。
・動力分割機構の内部にあるすべての回転軸に適用できない。
・クラッチを使用しているため、別途油圧等による制御が必要である。
【0005】
この発明は、オイルポンプを駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ回転軸の回転方向によらずオイルポンプを常に一方向に回転させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、正方向と逆方向に駆動される回転軸とオイルポンプの駆動軸との間に回転方向変更機構を配置したオイルポンプの駆動装置において、前記回転方向変更機構は相互に差動回転する3つの回転要素を有する遊星歯車機構を備え、前記3つの回転要素を共線図上に配置した場合、両端に位置する第1回転要素および第2回転要素の一方を前記回転軸に連結するとともに他方を前記オイルポンプの駆動軸に連結し、前記回転軸が正方向に回転する場合、前記3つの回転要素が一体的に回転するようこれら3つの回転要素のうちいずれか2つを第1ワンウェイクラッチにより連結し、前記回転軸が逆方向に回転する場合、第3回転要素が逆方向へ回転することを防止するようこの第3回転要素を第2ワンウェイクラッチによってハウジングと連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、油圧等による制御を必要とせずに1つの遊星歯車機構と2つのワンウェイクラッチによってオイルポンプを駆動することができ、オイルポンプを駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸の回転方向によらずオイルポンプを常に一方向に回転させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はオイルポンプの駆動装置の構成図である。(実施例)
【図2】図2は回転軸正回転時の作動共線図である。(実施例)
【図3】図3は回転軸逆回転時の作動共線図である。(実施例)
【図4】図4はオイルポンプの駆動装置を備えたシリーズパラレル方式のハイブリッド車両の動力伝達装置の構成図である。(実施形態1)
【図5】図5は車両前進時の作動共線図である。(実施形態1)
【図6】図6は車両後退時の作動共線図である。(実施形態1)
【図7】図7はオイルポンプの駆動装置を備えたシリーズ方式のハイブリッド車両の動力伝達装置の構成図である。(実施形態2)
【図8】図8はオイルポンプの駆動装置の変形例1の構成図である。(変形例1)
【図9】図9はオイルポンプの駆動装置の変形例2の構成図である。(変形例2)
【図10】図10はオイルポンプの駆動装置の変形例3の構成図である。(変形例3)
【図11】図11は変形例3の作動共線図である。(変形例3)
【図12】図12はオイルポンプの駆動装置の変形例4の構成図である。(変形例4)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
図1〜図3は、この発明の実施例を示すものである。図1において、1はオイルポンプ、2は駆動装置である。機器の潤滑や冷却に使用されるオイルを供給するオイルポンプ1の駆動装置2は、正方向と逆方向に駆動可能な駆動源であるモータ3によって正方向と逆方向に駆動される回転軸4とオイルポンプ1の駆動軸5との間に、回転方向変換機構6を配置している。
前記回転方向変更機構6は、ハウジング7内に相互に差動回転する3つの回転要素を有する遊星歯車機構8を備えている。遊星歯車機構8は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、3つの第1〜第3回転要素として、サンギア9(第2回転要素)と、2つの互いに噛み合うプラネタリギア10・10を支持するとともに一方の第1プラネタリギア10が前記第1サンギア9に噛み合うプラネタリキャリア11(第1回転要素)と、他方のプラネタリギア10に噛み合うリングギア12(第3回転要素)とを有している。
遊星歯車機構8は、図2・図3に示すように、3つの第1〜第3回転要素の回転数と回転方向を表す共線図上に配置した場合に、右端にプラネタリキャリア11(第1回転要素)を配置し、中間にリングギア12(第3回転要素)を配置し、左端にサンギア9(第2回転要素)を配置している。遊星歯車機構8は、共線図上の両端に位置するプラネタリキャリア11(第1回転要素)およびサンギア9(第2回転要素)のうち、一方のプラネタリキャリア11(第1回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、他方のサンギア9(第2回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結している。なお、図2・図3においては、サンギア9をS、プラネタリキャリア11をC、リングギア12をRとして記載している。
【0011】
遊星歯車機構8は、サンギア9(第2回転要素)と、プラネタリキャリア11(第1回転要素)と、リングギア12(第3回転要素)とのうち、サンギア9(第2回転要素)とリングギア12(第3回転要素)との2つを第1ワンウェイクラッチ13により連結している。
第1ワンウェイクラッチ13は、モータ3の回転軸4が正方向に回転する場合に作動し、正回転するプラネタリキャリア11(第1回転要素)に対して、リングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)を連結する。リングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)の連結によって、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)とは正方向に一体的に回転する。
一方、第1ワンウェイクラッチ13は、モータ3の回転軸4が逆方向に回転する場合に空転し、逆回転するプラネタリキャリア11(第1回転要素)に対して、リングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)の連結を解放する。リングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)の連結解放によって、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)とは差動回転する。
このように、第1ワンウェイクラッチ13は、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)が一体的に回転するよう、2つの回転要素(サンギア9、リングギア12)を連結する。これにより、回転方向変更機構6は、回転軸4が正方向に回転する場合、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動する。
【0012】
また、遊星歯車機構8は、サンギア9(第2回転要素)と、プラネタリキャリア11(第1回転要素)と、リングギア12(第3回転要素)とのうち、リングギア12(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によりハウジング7に連結している。前記第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14とは、遊星歯車機構8のオイルポンプ1側において駆動軸5の径方向内側と外側に重なる位置に配置している。
第2ワンウェイクラッチ14は、モータ3の回転軸4が逆方向に回転する場合に作動し、リングギア12(第3回転要素)をハウジング7に連結する。リングギア12(第3回転要素)は、ハウジング7との連結によって、逆方向への回転を防止される。リングギア12(第3回転要素)の逆方向への回転防止によって、モータ3の回転軸4の逆方向の回転は2つの噛み合ったプラネタリギア10・10により反転してサンギア9(第2回転要素)に伝達され、サンギア9(第2回転要素)を正方向に回転する。
一方、第2ワンウェイクラッチ14は、モータ3の回転軸4が正方向に回転する場合に空転し、リングギア12(第3回転要素)をハウジング7との連結から解放する。リングギア12(第3回転要素)は、ハウジング7との連結解放によって、正方向への回転を許容される。
このように、第2ワンウェイクラッチ14は、回転軸4が逆方向に回転する場合、リングギア12(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するようこのリングギア12(第3回転要素)をハウジング7と連結する。これにより、回転方向変更機構6は、回転軸4が逆方向に回転する場合、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動する。
【0013】
次に作用を説明する。
図2に示すように、オイルポンプ1の駆動装置2は、モータ3の回転軸4が正方向に回転する場合、サンギア9(第2回転要素)およびリングギア12(第3回転要素)はともに正方向へ回転し、かつ差動によりリングギア12(第3回転要素)の回転数Nrがサンギア9(第2回転要素)の回転数Nsより大きく(Nr>Ns)なる。このため、回転方向変更機構6の第1ワンウェイクラッチ13が作動してリングギア12(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)を連結し、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)とを正方向に一体的に回転させる。また、第2ワンウェイクラッチ13は空転し、リングギア12(第3回転要素)をハウジング7との連結から解放し、リングギア12(第3回転要素)の正方向への回転を許容する。
駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13の作動によってサンギア9(第2回転要素)の回転数Nsとプラネタリキャリア11(第1回転要素)の回転数NcとがNs=Ncとなる。オイルポンプ1は、回転速度Nsで正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)により駆動軸5を正方向に駆動され、オイルを供給する。
また、図3に示すように、オイルポンプ1の駆動装置2は、モータ3の回転軸4が逆方向に回転する場合、回転方向変更機構6の第2ワンウェイクラッチ14が作動してリングギア12(第3回転要素)をハウジング7と連結し、リングギア12(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止する。このとき、サンギア9(第2回転要素)が正方向へ回転し、かつサンギア9(第2回転要素)の回転数Nsがリングギア12(第3回転要素)の回転数Nrより大きく(Nr<Ns)なる。このため、第1ワンウェイクラッチ13は空転し、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)との差動回転を許容する。リングギア12(第3回転要素)の逆方向への回転防止によって、モータ3の回転軸4の逆方向の回転は2つの噛み合ったプラネタリギア10・10により反転してサンギア9(第2回転要素)に伝達され、サンギア9(第2回転要素)を正方向に回転する。
駆動装置2は、第2ワンウェイクラッチ15の作動によってリングギア12(第3回転要素)の回転数NrがNr≧0となり、サンギア9(第2回転要素)の回転数Nsとプラネタリキャリア11(第1回転要素)の回転数Ncの関係は、Ns=−a・Nc(a=遊星ギア比)となる。オイルポンプ1は、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)により駆動軸5を正方向に駆動され、オイルを供給する。
【0014】
このように、このオイルポンプ1の駆動装置2は、油圧等による制御を必要とせずに、1つの遊星歯車機構8と2つの第1・第2ワンウェイクラッチ13・14によってオイルポンプ1を駆動することができ、オイルポンプ1を駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸4の回転方向によらずオイルポンプ1を常に一方向に回転させることできる。
また、駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14を径方向に重なる位置に配置したので、回転方向変更機構6の軸方向寸法を減少させ、駆動装置を簡素化することができる。
【0015】
図4〜図6は、上述実施例のオイルポンプ1の駆動装置2の実施形態1を示すものである。図4において、オイルポンプ1の駆動装置2は、シリーズパラレル方式のハイブリッド車両15の動力伝達装置16に備えられている。
ハイブリッド車両15の動力伝達装置16は、燃料の燃焼により駆動力を発生させる駆動源であるエンジン17の出力軸18と、電気により駆動力を発生するとともに駆動により電気エネルギを発生する第一のモータジェネレータ19及び第二のモータジェネレータ20と、ハイブリッド車両15の駆動輪21に接続される駆動軸22と、出力軸18、第一のモータジェネレータ19、第二のモータジェネレータ20、及び駆動軸22にそれぞれ連結された動力伝達機構である差動歯車機構23と、を備えている。
前記第一のモータジェネレータ19は、出力軸18と同軸に配置した第1モータロータ軸24と、第1モータロート軸24に固定した第1モータロータ25と、第1モータロータ25の外周に配置した第1モータステータ26とを備えている。前記第二のモータジェネレータ20は、出力軸18と同軸に配置した第2モータロータ軸27と、第2モータロータ軸27に固定した第2モータロータ28と、第2モータロータ28の外周に配置した第2モータステータ29とを備えている。第一のモータジェネレータ19と第二のモータジェネレータ20とは、供給される電気により駆動力を発生するとともに、エンジン17の駆動力および回生時の駆動輪21からの駆動力で電気エネルギを発生し、バッテリに充電する。
【0016】
前記差動歯車機構23は、3つの回転要素を有するシングルピニオン型の第1遊星歯車機構30および第2遊星歯車機構31を備えている。第1遊星歯車機構30は、出力軸18と同軸に配置した第1サンギア33と、この第1サンギア33に噛み合う第1プラネタリギア34を支持する第1プラネタリキャリア35と、第1プラネタリギア34に噛み合う第1リングギア36とを備えている。前記第2遊星歯車機構31は、出力軸18と同軸に配置した第2サンギア37と、この第2サンギア37に噛み合う第2プラネタリギア38を支持する第2プラネタリキャリア39と、第2プラネタリギア38に噛み合う第2リングギア40とを備えている。
差動歯車機構23は、第1遊星歯車機構30および第2遊星歯車機構31を同一軸上に互いに隣り合う状態で配置し、第1遊星歯車機構30のエンジン17に近接する側に第一のモータジェネレータ19を配置し、第2遊星歯車機構31のエンジン2から離れる側に第二のモータジェネレータ20を配置している。
第1遊星歯車機構30の第1サンギア33には、第一のモータジェネレータ19の第1モータロータ軸24を接続している。第1遊星歯車機構30の第1プラネタリキャリア35と第2遊星歯車機構31の第2サンギア37とは、互いに結合されたうえエンジン17の出力軸18に連結されている。第1遊星歯車機構30の第1リングギア36と第2遊星歯車機構31の第2プラネタリキャリア39とは、互い結合されたうえ出力ギア42に連結されている。出力ギア42は、伝達ギア43と終減速駆動ギア44と終減速被動ギア45と差動ギア46とを介して前記駆動軸22に接続している。第2遊星歯車機構31の第2リングギア40には、第二のモータジェネレータ20の第2モータロータ軸27を接続している。
前記第一のモータジェネレータ19の第1モータステータ26と第二のモータジェネレータ20の第2モータステータ29とは、動力伝達装置16のケース47に固定されている。また、前記エンジン17の出力軸18と動力伝達装置16のケース47の間には、ワンウェイクラッチ41が配置され、エンジン17の出力軸18が逆転することを防止する。
【0017】
ハイブリッド車両15の動力伝達装置16は、エンジン17と第一のモータジェネレータ19と第二のモータジェネレータ20とが発生する動力を、第1遊星歯車機構30と第2遊星歯車機構31とを介して駆動軸22に出力し、駆動輪21を駆動する。また、ハイブリッド車両15は、駆動輪21からの駆動力を、第1遊星歯車機構30と第2遊星歯車機構31とを介して第一のモータジェネレータ19と第二のモータジェネレータ20とに伝達し、電気エネルギを発生してバッテリを充電する。
このハイブリッド車両15の動力伝達装置16には、オイルポンプ1の駆動装置2を備えている。この駆動装置2は、駆動源に連結される回転軸4を備え、この回転軸4を第2遊星歯車機構31の第2リングギア40および第二のモータジェネレータ20に連結され、正方向と逆方向に駆動される第2モータロータ軸27に接続し、この回転軸4とオイルポンプ1の駆動軸5との間に回転方向変換機構6を配置している。回転方向変換機構6は、図1に示すように、3つの回転要素を有するダブルピニオン型の遊星歯車機構8と、第1ワンウェイクラッチ13および第2ワンウェイクラッチ14を備えている。
動力伝達装置16の第1遊星歯車機構30および第2遊星歯車機構31と、駆動装置2の遊星歯車機構8とは、図5・図6に示すように、3つの回転要素の回転数と回転方向を表す共線図上に配置した場合に、以下のように配置される。
前記第1遊星歯車機構30は、左から右に向かって第1サンギア33と第1プラネタリキャリア35と第1リングギア36とを順次に配置している。前記第2遊星歯車機構31は、左から右に向かって第2サンギア37と第2プラネタリキャリア39と第2リングギア40とを順次に配置している。また、前記遊星歯車機構8は、左から右に向かってプラネタリキャリア11とリングギア12とサンギア9とを順次に配置している。
前記第1遊星歯車機構30の第1プラネタリキャリア35と第2遊星歯車機構31の第2サンギア37とは、接続されて同方向に回転する。前記第1遊星歯車機構30の第1リングギア36と第2遊星歯車機構31の第2プラネタリキャリア39とは、接続されて同方向に回転する。前記第2遊星歯車機構31の第2リングギア40と遊星歯車機構8のプラネタリキャリア11とは、接続されて同方向に回転する。
なお、図5・図6においては、第1サンギア33をS1、第1プラネタリキャリア35をC1、第リングギア36をR1とし、また、第2サンギア37をS2、第2プラネタリキャリア39をC2、第2リングギア40をR2とし、さらに、サンギア9をS3、プラネタリキャリア11をC3、リングギア12をR3として記載している。また、図5・図6においては、第一のモータジェネレータ19をMG1、第二のモータジェネレータ20をMG2として記載している。
【0018】
オイルポンプ1の駆動装置2は、図5に示すように、ハイブリッド車両15が前進走行し、動力伝達装置16を構成する第二のモータジェネレータ20および第2リングギア40が正方向に回転する場合、図1に示す回転方向変更機構6の第1ワンウェイクラッチ13が作動してリングギア12とサンギア9を連結し、サンギア9とプラネタリキャリア11とリングギア12とを正方向に一体的に回転させる。このとき、第2ワンウェイクラッチ13は空転し、リングギア12をハウジング7との連結から解放し、リングギア12の正方向への回転を許容する。
駆動装置2は、正方向に回転するサンギア9によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動し、オイルを供給する。
また、オイルポンプ1の駆動装置2は、図6に示すように、ハイブリッド車両15が後退走行し、動力伝達装置16を構成する第二のモータジェネレータ20および第2リングギア40が逆方向に回転する場合、図1に示す回転方向変更機構6の第2ワンウェイクラッチ14が作動してリングギア12をハウジング7と連結し、リングギア12が逆方向へ回転することを防止する。このとき、第1ワンウェイクラッチ13は空転し、サンギア9とプラネタリキャリア11とリングギア12との差動回転を許容する。リングギア12の逆方向への回転防止によって、回転軸4の逆方向の回転は2つの第1・第2プラネタリギア10a・10bにより反転してサンギア9に伝達され、サンギア9を正方向に回転する。
駆動装置2は、正方向に回転するサンギア9によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動し、オイルを供給する。
【0019】
このように、シリーズパラレル方式のハイブリッド車両15の動力伝達装置16に設けたオイルポンプ1の駆動装置2は、油圧等による制御を必要とせずに、1つの遊星歯車機構8と2つの第1・第2ワンウェイクラッチ13・14によってオイルポンプ1を駆動することができ、オイルポンプ1を駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸4の回転方向によらずオイルポンプ1を常に一方向に回転させることできる。
また、駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14を径方向において重なる位置に配置したので、回転方向変更機構6の軸方向寸法を減少させ、駆動装置を簡素化することができる。
【0020】
図7は、上述実施例のオイルポンプ1の駆動装置2の実施形態2を示すものである。図7において、オイルポンプ1の駆動装置2は、シリーズ方式のハイブリッド車両48の動力伝達装置49に備えられている。
ハイブリッド車両48の動力伝達装置49は、燃料の燃焼により駆動力を発生させるエンジン50の出力軸51と、出力軸51に連結されてエンジン50の駆動により電気エネルギを発生するジェネレータ52と、ジェネレータ52の発生する電気により駆動力を発生する駆動源のモータ53と、ハイブリッド車両48の駆動輪54に接続される駆動軸55と、モータ53及び駆動軸55にそれぞれ連結された動力伝達機構56と、を備えている。
前記ジェネレータ52は、出力軸51と同軸に配置したジェネレータロータ軸57と、ジェネレータロータ軸57に固定したジェネレータロータ58と、ジェネレータロータ58の外周に配置したジェネレータステータ59とを備えている。ジェネレータ52は、エンジン50からの駆動力で電気エネルギを発生し、バッテリに充電する。前記モータ53は、モータロータ軸60と、モータロータ軸60に固定したモータロータ61と、モータロータ61の外周に配置したモータステータ62とを備えている。モータ53は、供給される電気により駆動力を発生する。
前記動力伝達機構56は、モータ53のモータロータ軸60を出力ギア63に連結している。出力ギア63は、伝達ギア64と終減速駆動ギア65と終減速被動ギア66と差動ギア67とを介して前記駆動軸55に接続している。前記ジェネレータ52のジェネレータステータ59とモータ53のモータステータ62とは、動力伝達装置49のケース68に固定されている。
【0021】
ハイブリッド車両48の動力伝達装置49は、エンジン50によりジェネレータ58を駆動して電気エネルギを発生してバッテリを充電し、バッテリの電気をモータ53に供給して駆動力を発生し、モータ53の発生する駆動力を各ギア63〜67を介して駆動軸55に出力し、駆動輪54を駆動する。また、ハイブリッド車両48は、駆動輪54からの駆動力を、各ギア63〜67を介してモータ53に伝達し、電気エネルギを発生してバッテリを充電する。
このハイブリッド車両48の動力伝達装置49には、オイルポンプ1の駆動装置2を備えている。この駆動装置2は、動力伝達機構56を構成するモータ53を駆動源とし、モータ53のモータロータ軸60と一体に回転する出力ギヤ63に正方向と逆方向に駆動される回転軸4を接続し、この回転軸4とオイルポンプ1の駆動軸5との間に回転方向変換機構6を配置している。回転方向変換機構6は、図1に示すように、3つの回転要素を有する遊星歯車機構8(ダブルピニオン型)と、第1ワンウェイクラッチ13および第2ワンウェイクラッチ14を備えている。動力伝達機構56の出力ギア63と遊星歯車機構8のプラネタリキャリア11とは、接続されて同方向に回転する。
【0022】
オイルポンプ1の駆動装置2は、ハイブリッド車両48が前進走行し、動力伝達機構56の出力ギア63が正方向に回転する場合、回転方向変更機構6の第1ワンウェイクラッチ13が作動してリングギア12とサンギア9を連結し、サンギア9とプラネタリキャリア11とリングギア12とを正方向に一体的に回転させる。このとき、第2ワンウェイクラッチ13は空転し、リングギア12をハウジング7との連結から解放し、リングギア12の正方向への回転を許容する。
駆動装置2は、正方向に回転するサンギア9によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動し、オイルを供給する。
また、オイルポンプ1の駆動装置2は、ハイブリッド車両48が後退走行し、動力伝達機構56の出力ギア63が逆方向に回転する場合、回転方向変更機構6の第2ワンウェイクラッチ14が作動してリングギア12をハウジング7と連結し、リングギア12が逆方向へ回転することを防止する。このとき、第1ワンウェイクラッチ13は空転し、サンギア9とプラネタリキャリア11とリングギア12との差動回転を許容する。リングギア12の逆方向への回転防止によって、回転軸4の逆方向の回転は2つの噛み合ったプラネタリギア10・10により反転してサンギア9に伝達され、サンギア9を正方向に回転する。
駆動装置2は、正方向に回転するサンギア9によりオイルポンプ1の駆動軸5を正方向に駆動し、オイルを供給する。
【0023】
このように、シリーズ方式のハイブリッド車両48の動力伝達装置49に設けたオイルポンプ1の駆動装置2は、油圧等による制御を必要とせずに、1つの遊星歯車機構8と2つの第1・第2ワンウェイクラッチ13・14によってオイルポンプ1を駆動することができ、オイルポンプ1を駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸4の回転方向によらずオイルポンプ1を常に一方向に回転させることできる。
また、駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14を径方向において重なる位置に配置したので、回転方向変更機構6の軸方向寸法を減少させ、駆動装置を簡素化することができる。
【0024】
なお、上述実施例のオイルポンプ1の駆動装置2は、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)が一体的に回転するよう、第1ワンウェイクラッチ13によりサンギア9(第2回転要素)とリングギア12(第3回転要素)を連結したが、これに限定されるものではない。
例えば、図8は、変形例1を示すものである。図8に示す駆動装置2は、回転軸4が逆方向に回転する場合、リングギア12(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するよう、このリングギア12(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結している。
そして、図8に示す駆動装置2は、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)を破線で示す第1ワンウェイクラッチ13aにより連結し、または、プラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)を一点鎖線で示す第1ワンウェイクラッチ13bにより連結することで、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)を一体的に回転させることができる。
【0025】
また、上述実施例のオイルポンプ1の駆動装置2は、共線図上の両端に位置するプラネタリキャリア11(第1回転要素)およびサンギア9(第2回転要素)のうち、プラネタリキャリア11(第1回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、サンギア9(第2回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結したが、これに限定されるものではない。
図9は、変形例2を示すものである。図9に示す駆動装置2は、サンギア9(第2回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、プラネタリキャリア11(第1回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結している。図9に示す駆動装置2は、回転軸4が逆方向に回転する場合、リングギア12(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するよう、このリングギア12(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結している。
そして、図9に示す駆動装置2は、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第1回転要素)を実線で示す第1ワンウェイクラッチ13cにより連結し、または、プラネタリキャリア11(第1回転要素)とリングギア12(第3回転要素)を破線で示す第1ワンウェイクラッチ13dにより連結し、あるいは、サンギア9(第2回転要素)とリングギア12(第3回転要素)を一点鎖線で示す第1ワンウェイクラッチ13eにより連結することで、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)を一体的に回転させることができる。
【0026】
図10・図11は、変形例3を示すものである。図10に示すように、駆動装置2の回転方向変更機構6を構成する遊星歯車機構8は、シングルピニオン型の遊星歯車機構であり、3つの第1〜第3回転要素として、サンギア9(第2回転要素)と、第1サンギア9に噛み合う1つのプラネタリギア10を支持するプラネタリキャリア11(第3回転要素)と、前記プラネタリギア10に噛み合うリングギア12(第1回転要素)とを有している。
遊星歯車機構8は、図11に示すように、3つの第1〜第3回転要素の回転数と回転方向を表す共線図上に配置した場合に、右端にリングギア12(第1回転要素)を配置し、中間にプラネタリキャリア11(第3回転要素)を配置し、左端にサンギア9(第2回転要素)を配置している。遊星歯車機構8は、共線図上の両端に位置するリングギア13(第1回転要素)およびサンギア9(第2回転要素)のうち、一方のリングギア13(第1回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、他方のサンギア9(第2回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結している。なお、図11においてはサンギア9をS、プラネタリキャリア11をC、リングギア12をRとして記載している。
駆動装置2は、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)が一体的に回転するよう、第1ワンウェイクラッチ13によりサンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)を連結している。また、駆動装置2は、回転軸4が逆方向に回転する場合、プラネタリキャリア11(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するようこのプラネタリキャリア11(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結している。
オイルポンプ1の駆動装置2は、モータ3の回転軸4が正方向に回転する場合、第1ワンウェイクラッチ13が作動してプラネタリキャリア11(第3回転要素)とサンギア9(第2回転要素)を連結し、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)とリングギア12(第1回転要素)とを正方向に一体的に回転させる。このとき、第2ワンウェイクラッチ14は空転し、プラネタリキャリア11(第3回転要素)をハウジング7との連結から解放し、リングギア12(第1回転要素)の正方向への回転を許容する。オイルポンプ1は、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)により駆動軸5を正方向に駆動され、オイルを供給する。
また、オイルポンプ1の駆動装置2は、モータ3の回転軸4が逆方向に回転する場合、第2ワンウェイクラッチ14が作動してプラネタリキャリア11(第3回転要素)をハウジング7と連結し、リングギア12(第1回転要素)が逆方向へ回転することを防止する。このとき、第1ワンウェイクラッチ13は空転し、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)とリングギア12(第1回転要素)との差動回転を許容する。プラネタリキャリア11(第3回転要素)の逆方向への回転防止によって、モータ3の回転軸4の逆方向の回転はプラネタリギア10により反転してサンギア9(第2回転要素)に伝達され、サンギア9(第2回転要素)を正方向に回転する。オイルポンプ1は、正方向に回転するサンギア9(第2回転要素)により駆動軸5を正方向に駆動され、オイルを供給する。
【0027】
このように、このオイルポンプ1の駆動装置2は、油圧等による制御を必要とせずに、1つの遊星歯車機構8と2つの第1・第2ワンウェイクラッチ13・14によってオイルポンプ1を駆動することができ、オイルポンプ1を駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸4の回転方向によらずオイルポンプ1を常に一方向に回転させることできる。また、駆動装置2は、第1ワンウェイクラッチ13と第2ワンウェイクラッチ14を径方向において重なる位置に配置することで、回転方向変更機構6の軸方向寸法を減少させ、駆動装置を簡素化することができる。
なお、変形例3の駆動装置2は、図10に示すように、リングギア12(第1回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)を破線で示す第1ワンウェイクラッチ13fにより連結する構造、または、サンギア9(第2回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)を一点鎖線で示す第1ワンウェイクラッチ13gにより連結する構造に変更でき、このような構造によっても回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)を一体的に回転させることができる。
【0028】
図12は、変形例4を示すものである。図12に示す駆動装置2は、サンギア9(第1回転要素)をモータ2の回転軸4に接続し、リングギア12(第2回転要素)をオイルポンプ1の駆動軸5に連結している。この駆動装置2は、回転軸4が逆方向に回転する場合、プラネタリキャリア11(第3回転要素)が逆方向へ回転することを防止するよう、このプラネタリキャリア11(第3回転要素)を第2ワンウェイクラッチ14によってハウジング7と連結している。
そして、図12に示す駆動装置2は、サンギア9(第1回転要素)とリングギア12(第2回転要素)を実線で示す第1ワンウェイクラッチ13hにより連結し、または、プラネタリキャリア11(第3回転要素)とリングギア12(第2回転要素)を破線で示す第1ワンウェイクラッチ13iにより連結し、あるいは、サンギア9(第1回転要素)とプラネタリキャリア11(第3回転要素)を一点鎖線で示す第1ワンウェイクラッチ13jにより連結することで、回転軸4が正方向に回転する場合、3つの回転要素(サンギア9、プラネタリキャリア11、リングギア12)を一体的に回転させることができる。
【0029】
このように、オイルポンプ1の駆動装置2は、図8〜図12に示すように、回転方向調整機構6内のオイルポンプ1の駆動軸5、回転軸4と遊星歯車機構8、第1・第2ワンウェイクラッチ13・14の配置を入れ替えることでも同様の効果が得られる。
また、オイルポンプ1の駆動装置2は、遊星歯車機構8のギア比を変えることで、駆動軸5の回転速度を増減してオイルポンプ1の吐出量を変化させることができる。吐出量の変化は、駆動装置2の使用用途に合わせて以下のような設定が考えられる。
【0030】
<駆動軸5を増速して使用する場合>
・駆動軸5が低回転時から、遊星歯車機構8のギア比分だけ多くの吐出量を得ることができる。
・一定流量を得るのに、遊星歯車機構8のギアを小さくして高速でまわすことで対応できるため、ギア小型化によりコスト、重量減を図ることができる。
【0031】
<駆動軸5を減速して使用する場合>
・オイルポンプ1の駆動トルクが相対的に下がるため、駆動軸5の駆動トルク(=エンジンやモータのトルク)のロス低減により燃費性能を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明は、油圧等による制御を必要とせずにオイルポンプを駆動することができ、オイルポンプを駆動する駆動装置の構造を簡素化しつつ、回転軸の回転方向によらずオイルポンプを常に一方向に回転させることできるものであり、車両にかぎらず、駆動源を備えた産業機器に応用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 オイルポンプ
2 駆動装置
3 モータ
4 回転軸
5 駆動軸
6 回転方向変更機構
7 ハウジング
8 遊星歯車機構
9 サンギア
10 第1プラネタリギア
11 プラネタリキャリア
12 リングギア
13 第1ワンウェイクラッチ
14 第2ワンウェイクラッチ
15 シリーズパラレル方式のハイブリッド車両
16 動力伝達装置
48 シリーズ方式のハイブリッド車両
49 動力伝達装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方向と逆方向に駆動される回転軸とオイルポンプの駆動軸との間に回転方向変更機構を配置したオイルポンプの駆動装置において、前記回転方向変更機構は相互に差動回転する3つの回転要素を有する遊星歯車機構を備え、前記3つの回転要素を共線図上に配置した場合、両端に位置する第1回転要素および第2回転要素の一方を前記回転軸に連結するとともに他方を前記オイルポンプの駆動軸に連結し、前記回転軸が正方向に回転する場合、前記3つの回転要素が一体的に回転するようこれら3つの回転要素のうちいずれか2つを第1ワンウェイクラッチにより連結し、前記回転軸が逆方向に回転する場合、第3回転要素が逆方向へ回転することを防止するようこの第3回転要素を第2ワンウェイクラッチによってハウジングと連結したことを特徴とするオイルポンプの駆動装置。
【請求項2】
前記第1ワンウェイクラッチと前記第2ワンウェイクラッチを径方向に重なる位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプの駆動装置。
【請求項1】
正方向と逆方向に駆動される回転軸とオイルポンプの駆動軸との間に回転方向変更機構を配置したオイルポンプの駆動装置において、前記回転方向変更機構は相互に差動回転する3つの回転要素を有する遊星歯車機構を備え、前記3つの回転要素を共線図上に配置した場合、両端に位置する第1回転要素および第2回転要素の一方を前記回転軸に連結するとともに他方を前記オイルポンプの駆動軸に連結し、前記回転軸が正方向に回転する場合、前記3つの回転要素が一体的に回転するようこれら3つの回転要素のうちいずれか2つを第1ワンウェイクラッチにより連結し、前記回転軸が逆方向に回転する場合、第3回転要素が逆方向へ回転することを防止するようこの第3回転要素を第2ワンウェイクラッチによってハウジングと連結したことを特徴とするオイルポンプの駆動装置。
【請求項2】
前記第1ワンウェイクラッチと前記第2ワンウェイクラッチを径方向に重なる位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプの駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−36539(P2013−36539A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173079(P2011−173079)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]