説明

オイル相用の構造剤

【課題】本発明は、新規なオイル相用の構造剤、特にはポリオール、ジカルボン酸二量体および長鎖脂肪族モノカルボン酸のオリゴエステル反応生成物であるオイル構造剤を提供するものであり、またそのように構造化されたオイル相、特にはパーソナルケア製品を提供するものである。
【解決手段】二量体系のジカルボン酸、ポリオール、およびC16〜C30の、特にC20〜C24の脂肪族モノカルボン酸の反応によって、ポリエステルオイル構造剤が得られる。この構造剤は、広い範囲の極性のオイルに、構造、特に増粘および/またはゲル化を与えるのに用いることができる。増粘されたオイルは、パーソナルケアおよび他の用途の分野で用途を見出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイル相用の構造剤に関し、特にはポリオール、ジカルボン酸二量体および長鎖脂肪族モノカルボン酸のオリゴエステル反応生成物であるオイル構造剤に関し、またそれらを含むオイル相に関し、またそのように構造化されたオイル相、特にはパーソナルケア製品、例えば化粧品への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルは、極めて望ましい化粧用の特性、例えば洗浄、メークアップの除去、および柔軟性を有しているが、しかしながら、オイルの流体の形態は、それらを使用するのに不便にし、そして/またはその応用を困難なものにし、また場合によっては不快なものにする。このような欠点は、オイルを構造化された組成物または特に増粘された組成物、例えばクリームもしくはゲルの形態、またはエマルジョンの、特には油中水エマルジョンであって、この場合増粘は連続したオイル相だけに必要である油中水エマルジョンの形態で用いることによって低減することができる。オイル相の増粘はまた、化粧用のゲルを調製するのに行われ、特に無水のゲル、特に組成物中の物質が水分および/または酸素に敏感な場合に有用な無水のゲルを調整するのに行われる。
【0003】
オイルの構造化、増粘またはゲル化に用いることのできる物質としては、ワックス、シリカ、たとえばヒュームドシリカ、疎水的に改質されたクレイ、例えばベントナイト、脂肪酸金属塩、例えばステアリン酸水酸化アルミニウムマグネシウム、ヒドロキシ脂肪酸エステル、例えばトリヒドロキシステアリン、またはオリゴ糖エステル誘導体、例えばパルミチン酸デキストリン、が挙げられる。これらは有効な構造剤、ゲル化剤および増粘剤であることができる一方で、これらの物質は欠点を有してもいる。例えば、ワックスは最終製品に望ましくない皮膚感触を与え、そして製品の光沢を低下させる可能性があり、これは口紅および他のパーソナルケア製品には極めて不都合であり、疎水的に改質されたクレイおよびステアリン酸水酸化アルミニウムマグネシウムで構造化されたオイルは、水での希釈で自然には乳化せず、また疎水的に改質されたクレイは高い混合エネルギーが必要であり、トリヒドロキシステアリンおよび高分子量ポリマーは、構造化されたオイルを作るのに通常、例えば90℃以下の、高い処理温度の使用が求められ、シリカは嵩密度が低く、そしてパルミチン酸デキストリンは極めて高価である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規なオイル相用の構造剤、特にはポリオール、ジカルボン酸二量体および長鎖脂肪族モノカルボン酸のオリゴエステル反応生成物であるオイル構造剤を提供するものであり、またそのように構造化されたオイル相、特にはパーソナルケア製品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリオール、ジカルボン酸二量体および長鎖脂肪族モノカルボン酸の反応によって得ることができるエステル生成物、そして特に複数のペンダントの脂肪酸基を有しており、また通常は遊離のヒドロキシル基もまた有している生成物が、オイル相系中の極めて有効な構造剤であり得るとの我々の発見を基にしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、従って、ジカルボン酸二量体、ポリオール、およびC16〜C30、好ましくはC18〜C24、より好ましくはC20〜C24の脂肪族モノカルボン酸の反応によって得ることができるポリエステルオイル構造剤化合物を与える。
特に本発明は、ジカルボン酸二量体、ポリオール、平均で1〜2個の第1級の水酸基、また少なくとも1個の、特に1〜4個の、第2級の水酸基およびC16〜C30、好ましくはC18〜C24、より好ましくはC20〜C24のもの脂肪族カルボン酸の反応によって得ることができる脂肪酸ポリエステルオイル構造剤化合物を含んでいる。
【0007】
更に本発明は、特にジカルボン酸二量体、グリセロール、ソルビトール、ソルビタンおよびそれらの混合物もしくは組み合わせから選ばれたポリオール、およびC16〜C30、好ましくはC18〜C24、より好ましくはC20〜C24の脂肪族モノカルボン酸の反応によって得ることができる脂肪酸ポリエステルオイル構造剤化合物を含んでいる。
【0008】
本発明の化合物は、オイル構造剤、当に増粘剤および/またはゲル化剤としての使用のために設計されており、そして従って、本発明は、オイル相構造剤として、ジカルボン酸二量体、ポリオールおよびC16〜C30、好ましくはC18〜C24、より好ましくはC20〜C24の脂肪族モノカルボン酸の反応によって得ることができるポリエステル化合物である化合物を含む構造化されたオイル系を含んでいる。
【0009】
本発明の化合物は、オイル系の、またはオイル含有のパーソナルケア製剤中の構造剤として特有な使用を見出し、そして従って、本発明は増粘されたオイル系を含むパーソナルケア製品または製剤を含み、増粘されたオイル系は、構造剤として、ジカルボン酸二量体、ポリオールであり、好ましくは平均1〜2個の第1級水酸基および少なくとも1個の、特には1〜4個の第2級水酸基を有し、そして特にはグリセロール、ソルビトール、ソルビタンおよびそれらの混合物もしくは組み合わせから選ばれるポリオール、およびC16〜C30、好ましくはC18〜C24、より好ましくはC20〜C24の脂肪族モノカルボン酸の反応によって得ることができるポリエステル化合物を含む。
【0010】
更に本発明は、本発明の化合物のオイル構造剤としての使用、特にはパーソナルケア製品または製剤中での使用を含む。
【0011】
本発明の、また本発明で用いられる化合物を、「ポリエステル」または「オリゴエステル」と言う場合には、我々は、ポリオールとジ−およびモノ−カルボン酸との間の反応から誘導される、化合物中の複数のエステル結合を言っている。ジカルボン酸とポリオール残基の交互のポリエステル鎖を有する化合物は、本発明の、また本発明で用いられる多くの化合物の望ましい特徴ではあるけれども、それらは必ずしもそのような連鎖を意味しているのではない。
【0012】
用語「構造剤」は、粘度を増大する(粘度を上げるまたは増粘する)ことから、オイルのゲル化(分子レベルで3次元構造を作り出し、連続相オイルを捕捉すること)までの範囲の効果を与えることを言い、そしてオイル中に液晶様の相を生成させる可能性を含んでおり、それらの全てはオイル中に分散する相の安定性を向上させることができる。
【0013】
本発明の群のポリエステルを作るのに、出発物質として用いられるポリオールは、通常は3個以上8個以下の水酸基を有しており、また好ましくは平均1〜2個の第1級水酸基および少なくとも1個、特には1〜4個の第2級水酸基を有している。それらは、式(I):R−(OH)で表されると考えることができ、nは3〜8、そして特には3〜6である。R基は、好ましくは脂肪族であり、また通常はヒドロカルビルであり、通常は飽和の、3〜10個そして好ましくは3〜8個、またより好ましくは3〜6個の炭素原子を有し、また分岐を含んでもよいが、通常は線状である。ポリオール(I)中には、通常1個または2個の第1級水酸基(ポリオールの末端炭素原子上に)および少なくとも1個、また通常はn2の第2級水酸基がある。好ましくは、ポリオール(I)は、式(Ia):HOHC−(CHOH)−CHOHで表され、pは1〜6、より好ましくは1〜4である。適切なポリオールとしては、グリセロール、Cポリオール、例えばトレイトールおよびエリスリトール、Cポリオール例えばイノシトール、アラビトールおよびキシリトール、およびCポリオール例えばソルビトール、および誘導された物質、例えばソルビタン、が挙げられる。C〜Cポリオールは、通常は対応する四炭糖、五炭糖、および六炭糖の還元された、または水素添加された形態である。特に、望ましいポリオールはグリセロール、特にはソルビトールおよびソルビタン(通常、ソルビトールからその場で誘導される)またはそれらの混合物または組み合わせである。
【0014】
有用なポリオールの更なる群は、ポリオール、例えばグリセロールおよびペンタエリスリトールのオリゴ縮合生成物である。オリゴグリセロールは、通常ポリグリセロールと呼ばれ、通常式(Ib):H[−O−Gly−]−OH(Ib)で表され、それぞれのGlyは独立して、2個の水酸基を取り除いた後のグリセロール分子の残基であり、またnは平均で2〜10である。通常、Gly基の大部分は、式:−CH−CHOH−CH−で表され、第1級水酸基でのエステル化後の残基であるが、1組の第1級および第2級水酸基でのエステル化後の残基である、例えば−CH−(CHOH)−CH−および−CH−CH(CHOH)−もまた存在していてよい。オリゴグリセロールの例としては、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、ペンタグリセロール、ヘキサグリセロール、ヘプタグリセロール、ノナグリセロール、デカグリセロールおよびそれらの混合物が挙げられる。特に有用なポリグリセロールは、式(I)のもので、nが特に2〜7、より好ましくは2〜5、また特に好ましくは2、3もしくは4、またはこれらの範囲の中のオリゴグリセロールの混合物である。
【0015】
ペンタエリスリトールのオリゴマーは通常、式(Ib):H[−OCHC(CHOH)CH−]OH(Ib)で表され、mは平均で1.5〜5、特に2〜4である。
【0016】
ジオール、例えばエチレン、ジエチレン、トリエチレンから誘導されるジオール、またはプロピレングリコールまたはイソソルビド(ソルビトールの二無水物化によって誘導される)から誘導される残基を比較的に少ない割合で含んでいてもよい。このようなジオール残基の含有はポリマーの特性の調整を可能にするが、しかしながらこのような残基の割合は、通常少なく、通常は平均で、化合物中のポリオール残基の、20モル%以下であり、より好ましくは15モル%以下、そして望ましくは10モル%以下であり、例えば1〜10モル%、そして特には1〜5モル%である。
【0017】
特にポリオールが4個またはそれ以上の炭素原子と4個またはそれ以上の水酸基、通常は2個の第1級水酸基および2個またはそれ以上の第2級水酸基を有する場合には、そして特に、ポリオールが式(Ia)で表されてpが3または4である場合には、分子内のエーテル化(無水物化)反応によって、反応して環状エーテルを形成することができる。例えば、ソルビトールはソルビタン環状エーテルを形成することができ、それは更に反応して2環のジエーテルイソソルビドを形成することができ、エステル化に使用可能な水酸基の数を減少させる。ソルビタン残基が生成物中に必要であれば、それは通常、実際にはその場でのソルビタンの形成によって行われ、また同様に、ソルビトールエステルを作ろうとするときに、いくらかのソルビトールがソルビタンへと変換されると思われる。無水物化が起こるとしても、その程度は反応条件の選択、例えば酸性触媒の使用によって、少なくともある程度は、制御することができ、特に高温と結びついた場合には、アルカリ触媒の使用よりもより大きい度合いの無水物化をもたらす(そして、より低い反応温度はより低い度合いの無水物化をもたらす)。
【0018】
本発明のポリエステルを作るのに出発物質として用いられるジカルボン酸二量体は、脂肪酸二量体残基である、または、脂肪酸二量体残基を含む。脂肪酸二量体(通常、単純に「ダイマー酸」と呼ばれる)は、良く知られた主に二量体のオリゴマー化生成物であり、不飽和の脂肪酸(工業的には、主にオレイン酸、リノール酸および/またはリノレン酸)から、通常は熱重合され、通常は酸触媒、例えばクレイ上の酸性サイトを用いて誘導される。通常は、それらは出発物質の脂肪酸の2分子に概ね相当する平均分子量を有しており、それ故、二量体化されたオレイン酸はいわゆるC36二塩基酸に相当する平均分子量を有しているが、しかしながら、下記のように商品銘柄は通常C18(モノマー)およびC54(トリマー)化合物もまた含んでいる。製造したままでは、ダイマー酸は不飽和を有しているが、しかしながらこれは本発明において用いられるポリマーの出発物質の製造において還元させる(水素化する)ことができる。
【0019】
ダイマー酸は商業的には上記の重合反応からの蒸留の留分として作られる。通常は、それらは少ない割合のモノカルボン酸を含んでいる。モノカルボン酸の割合は好ましくは比較的に低く保たれ、それはモノカルボン酸化合物がポリエステルの連鎖停止剤として作用する傾向にあり、従って得られる有効な分子量を低下させるためである。また、単量体の酸は、通常分岐があり、また不飽和である可能性があるので、それらはオリゴマーエステルのオイル構造剤特性に不利な影響を有している可能性がある。通常は、ポリマー中のこのような単官能性のカルボン酸からの残基の割合は、用いられた総量のダイマー酸の、約5モル%以下、より好ましくは約3モル%以下、そして望ましくは約2モル%以下である。
【0020】
ダイマー酸を作るのに用いられるオリゴマー化反応はまた、通常三量体生成物(しばしばトリマー酸と呼ばれる)生じさせ、そしてダイマー酸は通常は少なくともいくらかのトリマー酸を含んでいる。トリカルボン酸化合物、例えばトリマー酸は鎖分岐のサイトを提供し、そして架橋されたポリマーをもたらす可能性がある。このことはポリマーの構造剤としての有効性を低減する可能性があり、またこの理由から望ましくない可能性があるが、しかしながらこの効果はポリマーの構造的な特性を調整するのに用いることができる。本発明で用いられるポリマー中のこのような3官能性のカルボキシル化合物の残基の割合は、用いられる総ダイマー酸残基の約30モル%以下であってよく、より好ましくは約25モル%以下であってよい。総ダイマー残基の1〜25モル%、より好ましくは2〜20モル%の量が一般的である。我々は、満足な構造剤を作るのに、精製したダイマー酸を使用する必要があるとは認識しなかった。
【0021】
ダイマー酸は、遊離酸または適切な反応性誘導体として用いることができ、特に低級の、例えばC〜Cの、そして特にはメチルの、アルキルエステル(通常はジエステル)として用いることができる。
【0022】
もし望むのであれば、他のジカルボン酸を、例えば該化合物の構造剤特性を改質するために含んでいてもよく、そのような二塩基酸はC〜C12、例えばC〜C10のジカルボン酸であることができ、そして通常は脂肪族化合物である。通常は、このようなジカルボン酸は式:HOOC−R−COOHで表され、RはC〜Cヒドロカルビル基であり、これは飽和でも不飽和でもよく、線状でも分岐していてもよく、また芳香族、例えばフェニル環(従って、フタル酸、テレフタル酸、またはイソフタル酸を与える)または好ましくは脂肪族の、通常はアルキレンまたはアルケニレン基であり、また環状であってもよいが、但し、これは好ましくは開鎖である。通常は、Rは基:−(CH−であり、mは2〜8である。異なるジカルボン酸の混合物(または反応性誘導体)が実際に用いられる物質の製造に用いられるので、mは平均値となるため、mは整数でなくてもよい。ジカルボン酸の適切な反応性誘導体はとしては、低級の、例えばC〜Cの、そして特にはメチルの、アルキルエステル(通常はジエステル)および無水物、特には環状無水物、例えばコハク酸無水物、マレイン酸無水物およびフタル酸無水物が挙げられる。他のジカルボン酸としては、ダイマー中に含まれるトリカルボン酸に加えて、より高級の官能性ジカルボン酸、例えばトリカルボン酸、例えばトリメリット酸が挙げられる。もしも含まれるのであれば、ダイマー酸以外のジカルボン酸の比率は、用いられる総ジカルボン酸(ダイマー酸および他のジカルボン酸)の、通常は約70モル%以下、より好ましくは約60モル%以下、そして望ましくは約50モル%以下である。従って、ダイマー酸の比率は、用いられる総ジカルボン酸(ダイマー酸および他のジカルボン酸)の、通常は約30モル%以上、より好ましくは約40モル%以上、そして望ましくは約50モル%以上である。他のジカルボン酸が用いられる場合には、用いられる比率は、総ジカルボン酸の、通常は2〜70モル%、より好ましくは5〜60モル%、そして典型的には10〜50モル%である。ダイマー二塩基酸は実質的に他のジカルボン酸よりも大きい分子量を有していることを考慮すると、これらの範囲は大まかには、総ジカルボン酸の質量の、約0.5〜35質量%、1.1〜25質量%、そして2.3〜20質量%に相当する。
【0023】
本発明のポリエステルを作るのに出発物質として用いられるモノカルボン酸は、C16〜C30、特にはC18〜C30、そして好ましくはC20〜C24のヒドロカルビル、特に脂肪族の、そして特には飽和の、線状脂肪族の脂肪酸である。通常は、それらは式(III):RCOHで表され、R5は長鎖脂肪族ヒドロカルビル基、特にC15〜C29、通常はC17〜C29、より好ましくはC19〜C23の、ヒドロカルビル、特にはアルキル、基である。合成反応で用いることのできるモノカルボン酸の反応性誘導体としては、低級の、例えばC〜Cの、そして特にはメチルの、アルキルエステルが挙げられる。
【0024】
脂肪族モノカルボン酸鎖の長さは、本発明の、そして本発明で用いられる化合物の構造剤の有効性に直接に関係すると考えられ、C16よりも短い鎖長の脂肪酸の使用では、構造化の、例えば増粘の、粘度を上げる、またはゲル化する効果はあったとしても殆んどなく(少なくとも室温では)、そしてより長い鎖長、例えばC18または特にはC20または更に長い鎖長ではより有効な構造剤を与えることができることを我々は見出した。従って、望ましいモノカルボン酸はステアリン酸、そして特にベヘン酸である。モノカルボン酸の鎖中の分岐や不飽和の存在は、それがそれらの酸を基にした生成物をより有効でない構造剤物質にしてしまうので、通常望ましくない。分岐した、または不飽和のモノカルボン酸の比率は、通常は、低く、化合物中の総脂肪族モノカルボン酸残基の、通常は平均で10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、そして望ましくは2モル%以下、例えば1〜5モル%である。
【0025】
所望であればモノカルボン酸の混合物を、用いることができ、そしてそれは生成物の特性を調整できるようにするのに有利である可能性がある。長鎖のモノカルボン酸の混合物を用いることは通常、全体がそれぞれの脂肪酸であるそれぞれの生成物の間の中間の特性を持つ生成物を与える。少ない比率の短鎖の(特には16炭素原子よりも短い)または分岐した、または不飽和のモノカルボン酸(いずれの鎖長でも)を含むことは、ゲル化型の構造剤としてより有効性の劣る生成物を作る傾向にある。しかしながら、比較的少ない比率のそのような短鎖のモノカルボン酸または分岐した、または不飽和のモノカルボン酸を含むことは、構造剤の特性を改質する、例えば感覚的な特性、例えば皮膚感触を改善するように改善することを可能にするのに有利である可能性がある。短鎖のモノカルボン酸の比率は通常は比較的少量であり、化合物中の総脂肪族モノカルボン酸残基の、通常平均で30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、そして望ましくは20モル%以下、例えば1〜20モル%、そして特には5〜15モル%である。
【0026】
比較的に小さなポリエステル分子であっても、顕著な増粘を得ることができ、そして本発明の、または本発明で用いられる化合物は、通常は1000〜10000、より好ましくは1200〜7000、そして特に好ましくは1300〜6000の数平均分子量(ダルトン単位で)、そして2500〜20000、より好ましくは2500〜12000、そして特に好ましくは2500〜10000の対応する重量平均分子量を有している(標準ポリスチレンに対してゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定した分子量に基づく)。このような分子量値は、ポリオールとジカルボン酸二量体(これは他のジカルボン酸を含んでいてもよい)のいわゆる重合エステル化から誘導される鎖長に相関しており、ジカルボン酸二量体は、約1〜約20、より好ましくは約1〜約10、そして特に好ましくは約1〜約7.5の繰り返し単位(ヒドロキシ/カルボキシ末端のポリオール−ジカルボン酸エステル単位を基にして)のものである。もちろん、この繰り返し単位の数および分子量は平均値であり、そして従って整数ではなくてもよい。
【0027】
本発明の生成物を作るのに用いられる反応成分中の、全ての利用可能な水酸基のエステル化される程度は、構造剤として、本発明の、または本発明で用いられる化合物の有効性に重大な影響を有する可能性がある。通常は、総ポリオール水酸基の、40%以上、より好ましくは50%以上、そして望ましくは60%以上がエステル化される。エステル化の水準が低いと、遊離の水酸基の比率が顕著に高くなり、オリゴエステルのオイル溶解性を著しく低下させ、そして従って化合物の増粘性能に不利な影響がある。明らかに、このようなエステル残基の最大数は、当初のポリオール中の水酸基の数に依存する。しかしながら、実際には完全な反応を達成するのは困難であり、従ってエステル化の水準は、当初のポリオール中の水酸基の、通常は約90%を超えず、そして一般には約80%を超えない。(当初のポリオール中の水酸基の数を数えるのに、反応条件の下で反応してエーテルを形成する、例えばソルビタンからソルビトールを形成する場合のようなものは含めない。)これらの範囲の中で、遊離の水酸基の比率は、該化合物の増粘効果を、調節する、または加減するのに用いることができる。
【0028】
全体として、オリゴマーはカルボキシル基に対して過剰の水酸基を有することが望ましい。このOH:COOH基のモル比(出発物質中のこれらの官能基の量に基づく)は、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上、そして2.8以下であることができ、しかしながらより好ましくは2.5以下である。
【0029】
生成物のオリゴエステル中の水酸基末端の優勢(カルボキシルに対して)を生み出すために、ポリオールは通常ジカルボン酸二量体(および他のジカルボン酸)に対してモル過剰で用いられ、最も一般的にはポリオール:二塩基酸のモル比で1.1〜2、より好ましくは1.25〜2である。用いられるモノカルボン酸の量は、ポリオール中の水酸基の数および生成物中でエステル化を望まれる水酸基の比率に依存する。通常は、用いられる比率は、ポリオールのモル当り、モノカルボン酸が1〜2.5、より好ましくは1〜2.2、そして特に好ましくは1.2〜2モルである。従って、用いられるポリオール、ジカルボン酸二量体(および他のジカルボン酸)およびモノカルボン酸の比率は、好ましくは1:0.5〜0.95:1〜2.5、より好ましくは1:0.5〜0.85:1〜2.2、そして特に好ましくは1:0.6〜0.85:1.2〜2である。本発明の生成物は通常、15〜350、より好ましくは25〜300のヒドロキシル価(OH no)を有している。
【0030】
本発明の、または本発明で用いられる化合物は、ポリオール、二量体を含めたジカルボン酸およびモノカルボン酸のオリゴエステルまたはポリエステルであるが、しかしながらそれらの正確な分子構造は不明確である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いた分子量の測定からは、ポリオールおよび二量体を含めたジカルボン酸が連結してオリゴマーまたはポリマー骨格を形成し、そしてモノカルボン酸は残ったポリオールの水酸基のいくつかまたは全部をエステル化していると考えられる。この化合物は異なる分子の混合物であり、また一部は比較的直鎖の線状連鎖、例えば二量体を含めたジカルボン酸とグリセロールやソルビトール中のようなα,ω−第1級水酸基との間の反応からのような線状連鎖、一部はねじれた連鎖であって、例えば二量体を含めたジカルボン酸と末端ではない、特には第2級の水酸基との間の反応から発生するねじれた連鎖、および一定の分岐した、もしくは架橋した連鎖もしくは基、を含む可能性がある。
【0031】
本発明の、または本発明で用いられる化合物は、主にOH末端であり、また遊離のカルボン酸基の比率は小さく、それは測定された酸価で示されており、酸価は通常、カルボン酸含量に対しての、測定された分子量よりも著しく高い当量に相当している。通常、酸価は一般に10未満であり、例えば5mg(KOH)g−1未満であるが、しかしながらポリオールが無水化を受け易い、例えばソルビトールの場合、また生成物が低い無水化の水準であることが望まれる場合には、エステル化ではより推進的でない条件が用いられ、そしてこのことが幾分高い酸価、例えば20mg(KOH)g−1以下をもたらす可能性がある。本発明の、または本発明で用いられる生成物は主にOH末端(カルボキシル基末端でなく)であることを反映して、ヒドロキシル価は通常酸価よりも著しく高く、例えば酸価の1.5倍以上である(共にmg(KOH)g−1で)。
【0032】
本発明の、または本発明で用いられる化合物は、ポリオール、二量体および場合によっては他のジカルボン酸(もしくは反応性誘導体)およびモノカルボン酸(もしくは反応性誘導体)を出発原料として用いた一般的な慣用のエステル化によって作ることができる。本発明の、または本発明で用いられる化合物を、我々は直接の1段階の経路によって成功裏に作ったが、その中で全ての3成分、ポリオール、ジカルボン酸(もしくは反応性誘導体)およびモノカルボン酸(もしくは反応性誘導体)を混合し、そしてエステル(交換)化条件、特に高温および触媒の存在下で共に反応させた。
【0033】
反応条件は通常は、150〜250℃、そして特には170〜240℃の反応温度を用いることを含んでいる。遊離の酸が直接エステル化で試薬として用いられる場合には、反応は、大気圧または、反応の水の除去を促進するために緩やかな真空下、ゲージ圧で例えば50〜250ミリバール、特に約100ミリバールで行われ、また低級アルキルエステルを用いたエステル交換反応は、通常大気圧で行われる。
【0034】
適切な触媒は、実際の出発物質と望まれる生成物による。直接エステル化用の通常の触媒としては、塩基性触媒、例えばアルカリ金属水酸化物、または炭酸塩、例えば水酸化ナトリウム、もしくは水酸化カリウムまたは炭酸ナトリウム、もしくは炭酸カリウム、特に炭酸カリウム、または酸性触媒、例えばスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸、リンオキソ酸、例えばリン酸、または特にもしも発色する酸化反応を避けることが望ましく、特に出発がポリオール、例えばソルビトールの場合は、亜リン酸、およびリン酸および/または亜リン酸とアルカリとを、通常は1:1〜1:3のモル比で組み合わせた触媒、またエステル交換用の触媒としては、比較的強くないアルカリ金属塩基の、例えば炭酸塩、特には炭酸カリウム、チタン酸エステル、例えばチタン酸テトラブチルが挙げられる。
【0035】
本発明は更に本発明の構造剤化合物の製造方法を含み、該方法はポリオール(または反応性誘導体)、二量体を含めたジカルボン酸(または反応性誘導体)および脂肪族モノカルボン酸(または反応性誘導体)を共に、エステル化条件の下で反応させ、脂肪族ポリエステル構造剤誘導体を形成することを含んでいる。
【0036】
広い範囲のオイルを本発明の化合物を用いて構造化することができ、またそのような化合物の最良のものは、広い範囲のオイルを構造化することを提供する(比較的狭い範囲のそれぞれの構造剤化合物でなく)。構造化を与えることができるオイルの極性の範囲は、非極性オイル、例えばパラフィンオイルからアルコキシル化オイルまでの広い範囲であることができる。この極性の範囲を表す方法の1つは、数値の溶解度パラメータを用いることである。我々は、分散的な(ファン・デル・ワールス)、極性の(クーロン力の)および水素結合の成分を組み合わせたハンセン(Hansen)およびビアバウワー(Beerbower)の溶解度パラメータδ(CRCハンドブックの溶解度パラメータおよび他の凝集パラメータ、p.85〜87参照)が、我々が検討したオイルの性能に反映される極性と良好な一致を与えることを見出した。下記に与えた溶解度パラメータの数値は、ハンセン(Hansen)およびビアバウワー(Beerbower)の溶解度パラメータδ値であり、「HBSP」値と省略して記載されている。通常は、本発明の、または本発明で用いられる構造剤は、HBSP値が15(極めて非極性)〜25(高度に極性)、特に15〜22の範囲でオイル中に構造を与えることができる。
【0037】
本発明の化合物を用いて構造化することのできる通常のオイルとしては下記のものが挙げられる。
脂肪族アルコールポリアルコキシレート、特にプロポキシレート、例えばC12〜C20の脂肪族、特にC14、C16およびC18の脂肪族アルコールのアルコキシレートで、それは、例えばパルミチン酸およびステアリン酸のように線状であってよく、またイソステアリルアルコールのように分岐していてもよく(実際には、通常は主に、分岐した、平均が概ねC18の、C14〜C22アルコールの混合物を含むダイマー酸製造から誘導される生成物である)、3〜25のアルコキシレート、特に7〜20のアルコキシレート、特にエトキシレート、プロポキシレートまたはエトキシレートおよびプロポキシレートの混合物の単位を備えている、例えばユニケマ(Uniqema)社からアルラモール(Arlamol)E(HBSP20.8)の商品名で入手可能なステアリルアルコール15−ポリプロポキシレート。
【0038】
エステルオイルであって、C〜C22の線状、分岐もしくは不飽和の脂肪酸および線状、分岐もしくは不飽和の脂肪族アルコールに基づいたエステルオイルで、そして通常はモノカルボン酸と一価アルコールから、ジ−もしくトリ−カルボン酸と一価アルコールから、酸と一価アルコールから、または二価もしくは多価アルコールとモノカルボン酸から誘導されたエステル、例えばユニケマから商品名エストール(Estol)3609(HBSP20.4)として入手可能なエステルオイル、ユニケマから商品名プリソリン(Prisorine)2021(HBSP17.7)として入手可能なイソプロピルイソステアレートオイル、及びユニケマから商品名プリオルベ(Priolube)1400(HBSP17.9)として入手可能なメチルオレートオイル。
【0039】
芳香族エステルオイル、特に安息香酸およびC〜C18の一価アルコールのエステル、たとえばファインテックス(Finetex)から商品名フィンソルブ(Finsolve)TN(HBSP19.1)として入手可能なC12〜C15のベンゾエートオイル。
分岐した液体脂肪族アルコール、特にゲルベ(Guerbet)アルコール、例えばオクチルドデカノールまたはイソステアリルアルコール(上記を参照)、例えばユニケマから商品名プリソリン3515(HBSP17.9)として入手可能なイソステアリルアルコール。
分岐した液体脂肪酸、特にイソステアリン酸およびダイマー酸(二量体化された脂肪酸、特にオレイン酸および/またはリノール酸)、例えばジリノール酸(HBSP17.8)、および
【0040】
パラフィンオイル、特に分岐したパラフィンオイル、例えばユニケマから商品名アルラモール(Arlamol)HD(HBSP15.6)として入手可能なイソパラフィンオイル、
揮発性でも不揮発性でもよいシリコ−ンオイル、特にジメチルポリシロキサンオイル(ジメチコーンオイル)、例えばシクロメチコーンオイル、および非メチル置換のシリコーンオイル、例えばフェニルトリメチコーン。
【0041】
オイル類、特に上記のオイル類は2つまたはそれ以上の異なる種類のオイルの混合物として用いることができ、例えばシリコーンオイルとエステルオイルの混合物として用いることができる。
【0042】
オイルを基にした製剤に含まれる構造剤の量は、望まれる効果に依存するが、しかしながら通常は、製剤の0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.2〜7質量%、そして特に好ましくは0.5〜5質量%の範囲である。
【0043】
本発明の、また本発明で用いられる化合物は、単独で、または所望により他の構造剤と組み合わせて用いることができ、特に所望の構造化効果が、特性の生成物に望まれる全ての温度範囲で得られることを確実にするように組み合わせて用いることができる。他の構造剤とともに用いられる場合には、本発明の構造剤の比率は、用いられる総構造剤の、通常25〜95質量%、より好ましくは40〜80質量%である。混合物が用いられる場合には、構造剤の総量は通常、本発明の化合物について上記に示した範囲内である。
【0044】
構造剤は通常、構造剤を、通常はやや高温の、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜85℃、一般には約80℃で、オイル中に溶解することによって、そして次いで混合物を室温まで冷却するか、または冷ますことによって、オイルを基にした製剤中へ混合される。構造化効果は冷却するにつれて明らかになる。
【0045】
本発明の、また本発明で用いられる化合物は、オイルを基にした系において構造剤として有用であり、特にパーソナルケアの製剤で有用である。それらが用いられることで与えられる望ましい効果としては、少しの増粘から本当のゲル化までの範囲の粘度の増加が挙げられ、それは、水分および/もしくは酸素に敏感な製剤成分を保護することのできる無水のゲルの製造すること、製剤の放出もしくは拡散を変え、または改善された色もしくはUV保護を与えるためのレオロジー的な側面を改質すること、より良い耐摩耗性もしくは耐水性もしくは非移動特性を与える改善された表面接着性、油性と認識されることを低減させ、もしくは柔軟な印象を作り出す、改質された触感の知覚特性、または分離、沈降、もしくは離漿を低減しもしくは防止することによる改善された製剤安定性、に有用である可能性がある。このようなパーソナルケア製剤の物理的形態としては、化粧品原料の分散体、例えば、顔料、日焼け止め剤成分もしくは他の活性物質のオイルを基にした製剤中、または油中水エマルジョン中の分散体、例えばスキンクリーム、または塗布後、特には水の連続相が蒸発した後に、もしくは皮膚に吸収された後に油性を認識することを低減する、水中油製剤中の分散体が挙げられる。本技術が適用可能なパーソナルケア製品の種類としては、装飾的な化粧品、例えば口紅、マスカラ、化粧品のファウンデーションおよびクリームパウダー、発汗抑制剤および体臭防止剤製品、特にスティックおよびゲル、ベビーオイル(特にパラフィン系オイルを基にしたもの)および他のスキンケアオイル混合物、例えば髪、マッサージ、化粧品除去剤および洗浄製品、シャンプー、特に比較的に粘調な担体物質が望まれる場合、および日焼け防止製品、特に日焼け止め剤、例えば超微細顔料、例えば二酸化チタンまたは酸化亜鉛または同様の物質を全体において、もしくは一部で基にした日焼け止め剤、が挙げられる。このようなパーソナルケア製剤に含まれる構造剤の量は、通常は上記に示した範囲内であり、また他の構造剤も所望であればまた上記のように含むことができる。
【0046】
本発明の化合物の最終的な他の用途としては、オイルを基にした作物保護製剤中の構造剤が挙げられ、特にいわゆるオイル流動性を有する製剤、およびグリース中の構造剤が挙げられる。
【実施例】
【0047】
以下の実施例は本発明を説明するものである。全ての部およびパーセントは、特別に記載されていない限り、モル基準である。
物質
P1 ソルビトール
DA1 オレイン酸のダイマー酸、ユニケマから販売されているプリポール(Pripol)1017
DA2 水素添加オレイン酸のダイマー酸、ユニケマから販売されているプリポール1006
DA3 セバシン酸およびDA1の1:1モル混合物
FA1 パルミチン酸/ステアリン酸の1:1モル混合物、ユニケマから販売されているプリステレン(Pristerene)9559
FA2 ベヘン酸、ユニケマから販売されているプリフラック(Prifrac)2987
Cat1 炭酸カリウム
Cat2 HPOとNaOHのモル比1.59:4.0の混合物
オイル1 ステアリルアルコール 15−ポリプロポキシレート、ユニケマから販売されているアルラモール(Arlamol)E
オイル2 グリセロールトリス−2−エチルヘキサノエートエステルオイル、ユニケマから販売されているエストール(Estol)3609
オイル3 C12/C15ベンゾエートエステル混合物、ファインテックス(Finetex)から販売されているフィンソルブ(Finsolv)TN
オイル4 イソステアリルアルコール、ユニケマから販売されているプリソリン(Prisorine)3515
オイル5 イソプロピルイソステアレート、ユニケマから販売されているプリソリン(Prisorine)2021
オイル6 イソヘキサデカン皮膚軟化剤オイル、ユニケマから販売されているアルラモールHD
オイル7 オレイン酸メチル、ユニケマから販売されているプリオルベ(Priolube)1400
【0048】
試験方法
酸価は、ASTMのD1980−87法を用いて測定し、また結果を「AV」として、mg(KOH)g−1で示した。
ヒドロキシル価は、ASTMのD1957−88法を用いて測定し、また結果を遊離水酸基(遊離OH価はOH−AV)「OH」として、mg(KOH)g−1で示した。
粘度を、通常試験オイル中の5質量%(いくつかは10質量%で測定)の濃度の構造剤の溶液で、ブルックフィルドDV1+粘度計を用いて、通常10rpm(いくつかはデータに示したように5rpmで)で、TバーS95を用いて、Tバーの回転を開始した後、1分間後に測定をすることによって測定し、そして結果をPa.sで示した。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、ビスコテックエボリューション(Viscotek Evolution)GPC装置で、混合ゲルカラムおよびTHF溶出剤を用いて、標準ポリスチレンに対して測定した。結果は数平均および重量平均分子量の両方で計算することができるようにした。
【0049】
合成例
合成例SE1−ポリ(ソルビトールダイマレート)ステアレエート/パルミテート
無水ポリオールP1(47.3g、0.26モル)、ダイマー酸DA1(88.0g、0.16モル)、脂肪族モノカルボン酸FA1(105.3g、0.39モル)および触媒Cat1の2.61g(ポリオール基準で7.5モル%)を、プロペラ撹拌器、枝付き水冷凝縮器および収集フラスコ、真空ポンプ、窒素吹込みと温度計(熱電対)およびイソマントル(isomantle)を備えた500mLの丸底フラスコに入れた。この混合物を、撹拌(300rpm)下に、170℃に、窒素を吹き込みながら、100ミリバールの真空下で加熱した。酸価が5mg(KOH)g−1未満となった時(7時間後)にこの反応を停止し、そして生成物を排出した。測定した分子量は、Mnが2220、Mwが6390であった。
【0050】
合成例SE2−ポリ(ソルビトールダイマレート)ベヘネート
無水ポリオールP1(40.2g、0.22モル)、ダイマー酸DA2(74.3g、0.13モル)、脂肪族モノカルボン酸FA2(135.4g、0.40モル)、触媒Cat2の0.28g(ポリオール基準で1.59モル%の亜リン酸)を、プロペラ撹拌器、枝付き水冷凝縮器および収集フラスコ、真空ポンプ、窒素吹込みと温度計(熱電対)およびイソマントル(isomantle)を備えた500mLの丸底フラスコに入れた。窒素を吹き込みながら、この混合物を撹拌(300rpm)下に、240℃まで加熱した。酸価が5mg(KOH)g−1未満となった時(7〜8時間後)にこの反応を停止し、そして生成物を排出した。測定した分子量は、Mnが2400、Mwが6370であった。
【0051】
更に、オリゴ(ソルビトールダイマーエステル)エステルを、合成例SE1およびSE2で示した一般的な方法によって、しかしながら物質の比率もしくは条件に適当な変更を加えて、製造した。
合成例中で作った生成物および用いた反応条件を下記の表1にまとめた。
【0052】
【表1】

【0053】
応用例AE1〜AE5
オイルおよび構造剤の混合物を80℃に、緩やかな撹拌下で加熱することによって、合成例SE1〜SE7のポリマーを、種々のオイル中に溶解し、そして構造剤が溶解したら、この混合物を室温まで冷却することによって試験製剤を製造した。共にポリマーとオイルの混合物に対して、例AE2、AE4およびAE5では、5質量%のポリマーを、またAE1およびAE3では10質量%のポリマーを、用いた。構造化されたオイルの製造の次の日に、オイルの粘度を測定し、そして結果を下記の表2に示した。
【0054】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジカルボン酸二量体、ポリオールおよびC16〜C30の、特にC20〜C24の脂肪族モノカルボン酸の反応によって得られるポリエステルオイル構造剤化合物。
【請求項2】
ポリオールが平均で1〜2個の第1級水酸基および少なくとも1個の、特に1〜4個の第2級水酸基を有する、請求項1記載のポリエステルオイル構造剤化合物。
【請求項3】
ポリオールがグリセロール、ソルビトールまたはそれらの混合物もしくは組み合わせである、請求項1または2記載のポリエステルオイル構造剤化合物。
【請求項4】
ジカルボン酸二量体がオレイン酸二量体を基にしたものである請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステルオイル構造剤化合物。
【請求項5】
ジカルボン酸が、ジカルボン酸二量体に加えて、ジカルボン酸を含み、式HOOC−R−COOHで表され、RはC〜Cのヒドロカルビル基である請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステルオイル構造剤化合物。
【請求項6】
が−(CH−基であり、mが2〜8である請求項5記載のポリエステルオイル構造剤化合物。
【請求項7】
脂肪族モノカルボン酸がC18〜C30、望ましくはC18〜C24の脂肪酸である、請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステルオイル構造剤化合物。
【請求項8】
脂肪族モノカルボン酸がベヘン酸である請求項7記載のポリエステルオイル構造剤化合物。
【請求項9】
オイルおよび、請求項1〜8のいずれか1項記載の構造剤化合物を含む構造化されたオイル。
【請求項10】
オイルが、1種またはそれ以上の脂肪族アルコールポリアルコキシレート、エステルオイル、芳香族エステルオイル、分岐した液体脂肪族アルコール、分岐した液体脂肪酸、パラフィンオイル、および/またはシリコーンオイルである請求項9記載の構造化されたオイル。
【請求項11】
0.1〜10質量%の構造剤を含む請求項9または10記載の構造化されたオイル。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1項記載の構造化されたオイルを含むパーソナルケア製品。
【請求項13】
オイルを基にした製剤、油中水エマルジョンまたは水中油エマルジョンの形態にある請求項12記載のパーソナルケア製品。
【請求項14】
口紅、マスカラ、化粧品のファウンデーションもしくはクリームパウダー、発汗抑制剤および体臭防止剤のスティックもしくはゲル、ベビーオイル、髪、マッサージ、化粧品の除去剤および洗浄製品、シャンプー、または日焼け防止製品である請求項12または13記載のパーソナルケア製品。

【公表番号】特表2009−533406(P2009−533406A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504817(P2009−504817)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001350
【国際公開番号】WO2007/119047
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(506352278)クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー (24)
【Fターム(参考)】