説明

オキサゾール誘導体、その調製及びその治療上の使用

本発明は、塩基又は酸付加塩の形態の及び水和状態若又は溶媒和状態の式(I)の化合物に関する。


(RはH又はC−Cアルキルであり、RはC−C10アルキル、C−C12非芳香族炭素環基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル基、複素環基、炭素環を有するC−Cアルキレン基、フェニルアルキレン基、NR10基であるか、又はR及びRはこれらが結合している窒素原子と共に、ピペラジン−1−イル基又は1,4−ジアゼパン−1−イル基又はピペリジン−1−イル又はピロリジン−1−イルのいずれかであり、R、R、R、R、R、Rは独立してH又はハロゲン、C−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、トリフルオロメチル基又はS(O)Alk基である。)本発明はさらに、これら化合物の調製のための方法及びこれら化合物の治療上の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4,5−ジアリール−1,3−オキサゾール−2−カルボキサミド誘導体、その調製及び治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
仏国特許出願FR 2 085 675は式(A)
【0003】
【化4】

の組成物を記載している。
【0004】
これらの化合物について記載されている治療適応症は、呼吸器系の炎症、運動器系障害及びすべてのタイプの浮腫である。
【発明の開示】
【0005】
本発明の対象は、式(I)
【0006】
【化5】

{Rは、水素又は(C−C)アルキルを表し、
は、
(C−C10)アルキル基、
非芳香族C−C12炭素環基(この非芳香族C−C12炭素環基は置換されていない又は(C−C)アルキル基で1回以上置換されている。)、
1,2,3,4−テトラヒドロナフト−1−イル又は−2−イル基、
5ないし7個の原子を有し、1個の酸素を有する又は1個の硫黄を有する飽和の複素環基(この複素環基は置換されていない又は(C−C)アルキル基で1回以上置換されている。)、
5ないし7個の原子を有し、1個の窒素を有する飽和の複素環基(この窒素原子は(C−C)アルキル基、フェニル基、ベンジル基、(C−C)アルコキシカルボニル基又は(C−C)アルカノイル基により置換されている。)、
(C−C)アルキレン基[この(C−C)アルキレン基は非芳香族C−C12炭素環基(この非芳香族C−C12炭素環基は置換されていない又は(C−C)アルキル基で1回以上置換されている。)を有する。]、
フェニルアルキレン基(このアルキレンは(C−C)であり、このフェニルアルキレン基は、アルキレン上で置換されていなく又は1個以上のメチル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基で置換され、フェニル上で置換されていない又はハロゲン原子又は(C−C)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C−C)アルコキシ基若しくはトリフルオロメトキシ基から選択される同一又は別異であり得る1個以上の置換基で置換されている。)、
NR10
を表し、又は
及びRは、これらが結合している窒素原子と共に、
ピペラジン−1−イル基又は1,4−ジアゼパン−1−イル基(これらの基は4位においてフェニル基又はベンジル基により置換されている。)であるか
ピペリジン−1−イル基又はピロリジン−1−イル基(これらの基は、フェニル基、ベンジル基、(C−C)アルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、(C−C)アルカノイル基、(C−C)アルコキシカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基から選択される同一又は異別であり得る基により又はCONR1112基若しくはNR1112基により1置換又は2置換されている。)であるか(但し、前記基において置換している前記フェニル基又はベンジル基は置換されていない又はハロゲン原子又はメチル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、シアノ基、アセチル基若しくはメトキシカルボニル基から選択される1個以上の置換基により置換されている。)であるか、又は
スピロ[1H−インデン−1,4’−ピペリジン]基又は3H−スピロ[2−ベンゾフラン−1,4’−ピペリジン]基(これらの基は置換されていない又はオキソ基により置換されている。)であるか、いずれかを構成し、
、R、R、R、R及びRは、各々互いに独立して、水素原子若しくはハロゲン原子、(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基若しくはトリフルオロメチル基又はS(O)Alk基を表し、R、R、R、R、R及びRは同時に水素原子ではないという条件のもとにあり、
は、水素原子又はメチル基を表し、
10は、(C−C)アルキル基、フェニル基又は(C−C10)シクロアルキル基を表し(前記フェニル基及びシクロアルキル基は置換されていない又はハロゲン原子若しくは(C−C)アルキル基から選択される1個以上の置換基により置換されている。)、又は
及びR10は、これらが結合している窒素原子と共に、5ないし11個の原子を有する飽和又は不飽和の複素環基を構成し[この基は、架橋されていても又は架橋されていなくともよく、スピロ炭素を含み得、O又はNから選択される第二のヘテロ原子を含み得、置換されていない又はヒドロキシル基、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基又はフェニル基(この基は置換されていない又はハロゲン原子若しくは(C−C)アルキル基から選択される1つ以上の置換基により置換されている。)から選択される置換基により1回以上置換されている。]、
11及びR12は、各々互いに独立して、水素原子若しくは(C−C)アルキル基を表し、又は
11及びR12は、これらが結合している窒素原子と共に、O又ははNから選択される第二のヘテロ原子を含有し得る、3個から7個の原子を有する飽和した複素環基を構成し(前記複素環基は置換されていない又はメチルにより1回以上置換されている。)、
nは0、1又は2を表し、
Alkは(C−C)アルキル基を表す。}
に対応する化合物、これらの塩、これらの溶媒和物およびこれらの水和物である。
【0007】
式(I)の化合物は1つ以上の非対称性炭素原子を含有得る。式(I)の化合物はそれゆえ、鏡像異性体又はジアステレオ異性体の形態で存在し得る。これらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びにまたラセミ混合物を含むこれらの混合物は、本発明の一部を形成する。
【0008】
式(I)の化合物は塩基の又は酸との酸付加塩の形態で存在し得る。これらの塩は医薬的に許容できる塩により有利に調製されるが、他の酸の塩もまた、例えば式(I)の化合物を精製又は単離するために有用であり、本発明の一部を形成する。
【0009】
式(I)の化合物は、水和物又は溶媒和物の形態、すなわち、水の1つまたはそれ以上の分子と又は溶媒を伴っているか又は組み合わさっている形態で、存在し得る。このような水和物及び溶媒和物もまた本発明の一部を形成する。
【0010】
「アルキル」基という語は、例えば特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル又はイソヘキシルなどの、直鎖又は分岐鎖のラジカルを意味するよう意図され、(C−C)アルキル、tert−ブチル、2−メチル−2−ブチルがメチル基として好ましく、3,3−ジメチル−2−ブチル基が(C−C)アルキルとして好ましい。
【0011】
「アルキレン基」という語は直鎖若しくは分岐鎖の二価ラジカルが意図され、メチレン、1−メチルメチレンおよびエチレンが好ましい。
【0012】
「アルコキシ基」という語は、直鎖若しくは分岐鎖のラジカルを意味するよう意図され、メトキシ基が好ましい。
【0013】
「ハロゲン原子」という語はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味するよう意図され、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
【0014】
非芳香族C−C12炭素環基は、単環式又は多環式の、融合された又は架橋された基を含む。単環式基はシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルを包含し、シクロヘキシル及びシクロペンチルが好ましい。前記融合した、架橋した又はスピラロ形態の二環式ラジカル又は三環式ラジカルは、例えばノルボルニル基、ボルニル基、イソボルニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基、スピロ[5.5]ウンデシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基及びビシクロ[3.1.1]ヘプチル基を包含する。
【0015】
「O又はNなどの第二ヘテロ原子を含み得、3ないし11個の原子を有する飽和又は不飽和の複素環基」という表現は、アジリジニル、アゼチジニル、モルフォリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イル又はオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2−イルなどの基を意味するよう意図され、ピペリジン−1−イル基及びモルフォリン−4−イル基が好ましい。
【0016】
「5ないし7個の原子を有し、1個の窒素を有する飽和の複素環基」という表現は、ピペリジン−4−イル又はピロリジン−3イルなどのラジカルを意味するよう意図され、ピペリジン−4−イルラジカルが好ましい。
【0017】
「5ないし7個の原子をし、1個の酸素を有する飽和の一酸化複素環基」という表現は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−2H−ピラニル又はオキセパニルなどの基を意味するよう意図され、テトラヒドロフラニルが好ましい。
【0018】
「5ないし7個の原子をし、1個の一硫黄を有する飽和の複素環」という表現は、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロ−2H−チオピラニル又はチエパニルなどの基を意味するよう意図される。
【0019】
本発明によれば、際立った式(I)の化合物並びにまたこれらの塩、これらの溶媒和物及びこれらの水和物は次のものである。
及びRが、これらの結合している窒素原子と共に、
ピペラジン−1−イル基又は1,4−ジアゼパン−1−イル基(この基は、4位においてフェニル基又はベンジル基により置換されている。)であるか、
ピペリジン−1−イル基又はピロリジン−1−イル基(この基は、フェニル基、ベンジル基、(C−C)アルキル基、ヒドロキシル基、(C−C)アルカノイル基、(C−C)アルコキシカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基から選択される同一又は別異であり得る基により1置換又はジェム−(gem−)2置換されている。)であるか(前記基において置換している前記フェニル基又はベンジル基は、置換されていない又はハロゲン原子及びメチル基から選択される1個以上の置換基により置換されている。)、いずれかを構成し、
、R、R、R、R及びRが、各々互いに独立して、水素原子若しくはハロゲン原子、(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基若しくはトリフルオロメチル基又はS(O)Alk基を表し、R、R、R、R、R及びRが同時に水素原子ではないという条件のもとにあり、
nが0、1又は2を表し、
Alkが(C−C)アルキル基を表す。
【0020】
本発明によれば、特に際立った式(I)の化合物並びにまたこれらの塩、これらの溶媒和物及びこれらの水和物は次のものである。
及びRが、これらが結合している窒素原子と共に、
4位においてフェニル基又はベンジル基により置換されているピペラジン−1−イル基であるか、
フェニル基、ベンジル基、(C−C)アルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、(C−C)アルカノイル基、(C−C)アルコキシカルボニル基若しくは(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基により又はCONR1112基若しくはNR1112基により1置換又は2置換されているピペリジン−1−イル基であるか(前記基において置換している前記フェニル基又はベンジル基は、置換されていない又はハロゲン原子若しくはメチル基、トキシ基、シアノ基、アセチル基又はメトキシカルボニル基から選択される1個以上の置換基体により置換されている。)、
置換されていない又はオキソ基により置換されているスピロ[1H−インデン−1,4’−ピペリジン]基又は3H−スピロ[2−ベンゾフラン−1,4’−ピペリジン]基であるか、いずれかを構成し、
11及びR12が各々互いに独立して、水素原子又は(C−C)アルキル基を表し、又は
11及びR12が、これらが結合している窒素原子と共に、O又はNから選択される第二のヘテロ原子を有し得る、3から7個の原子を有する、飽和の複素環基を構成し(前記複素環ラジカルは置換されていない又はメチルで1回以上置換されている。)、
、R、R、R、R及びRが、各々互いに独立して、水素原子又はハロゲン原子を表し、R、R、R、R、R及びRが同時に水素原子ではないという条件の下にあり、好ましくは、Rが4−クロロ又は4−ブロモを表し、Rが2−クロロを表し、Rが4−クロロ又は水素原子を表し、並びにR、R及びRが水素原子を表す。
【0021】
発明によれば、最も特に際立った式(I)の化合物並びにまたこれらの塩、これらの溶媒和物及びこれらの水和物は次のものである。
及びRが、これらが結合している窒素原子と共に、
4位においてフェニル基により置換されているピペラジン−1−イル基であるか、
ピペリジン−1−イル基であるか(この基は、置換されていない又はフェニル基又はピペリジン−1−イル基により及びシアノ基、アセチル基、アミノカルボニル基又はピロリジン−1−イルカルボニル基によりジェム−2置換されている。)、(前記基において置換している前記フェニル基は、置換されていなく又は塩素原子、臭素原子若しくはフッ素原子により又はメチル、メトキシ、ヒドロキシル、シアノ若しくはアセチル基により置換されている。)、
スピロ[1H−インデン−1,4’−ピペリジン]基であるか、
3H−スピロ[2−ベンゾフラン−1,4’−ピペリジン]−3−オン基であるか、いずれかを構成し、
が、4−ブロモ又は4−クロロであり、
が、2−クロロであり、
が、4−クロロ又は水素原子であり、
、R及びRが、水素原子を表す。
【0022】
以下の化合物が好ましい。すなわち、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(3−メチルフェニル)ピペラジン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(3−メトキシフェニル)ピペラジン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(4−クロロフェニル)ピペラジン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(3−フルオロフェニル)ピペラジン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(2−クロロフェニル)ピペラジン、
1−(4−(4−クロロフェニル)−1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}ピペリジン−4−イル)エタノン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド、
1−[4−(4−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}ピペラジン−1−イル)フェニル]エタノン、
1’−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド、
1−(1−{[4−(2−クロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボニトリル、
1−(3−クロロフェニル)−4−{[4−(2−クロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}ピペラジン、
1’−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミドである。
【0023】
以下の化合物が最も特に好ましい。すなわち、
1−(1−{5−(4−ブロモフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン、
1−(1−{[5−(4−ブロモフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(3−クロロフェニル)ピペラジン、
1−(1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノンである。
【0024】
本発明の対象は、本発明に記載の化合物を調製するための方法でもある。
【0025】
この方法、
式(II)
【化6】

(R、R、R、R、R及びRは(I)おいて定義されている。)
の酸又はこの酸の機能的誘導体を、式HNR(III)(R及びRは(I)おいて定義されている。)のアミンを用いて処理することを特徴とする。
【0026】
酸(II)の機能的誘導体として、酸塩化物、無水物、混合無水物、アルキルが直鎖若しくは分岐鎖であるC−Cアルキルエステル、活性化エステル(例えばp−ニトロフェニルのエステル)又は遊離酸(この遊離酸は、場合により、例えばN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドで又はベンゾトリアゾール−1−イルオキソトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(BOP)又はベンゾトリアゾール−1−イルオキソトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBOP)で活性化される。)が使用され得る。
【0027】
したがって、本発明に記載の方法において、塩化チオニルを式(II)の酸と反応させることによって得られる1,3−オキサゾール−3−カルボン酸またはその塩化物は、不活性気体のもとで、0℃ないし温度で、トリエチルアミン、N−メチルモルフォリンまたはピリジンなどの三級アミンの存在下、塩素化溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)、エーテル(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)、又はアミド(例えばN,N−ジメチルホルムアミド)などの不活性溶媒中で、アミンHNRと反応させることができる(方法A)。
【0028】
式(II)の化合物のアルキルエステルは、不活性溶媒中で、トリメチルアルミニウムの存在下、アミンNHRと反応させることも可能である(方法B)。
【0029】
変法は、式(II)の酸の混合無水物を、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、エチルクロロギ酸を式(II)の酸と反応させることによって調製し、それを、ジクロロメタンなどの溶媒中、不活性気体のもとで、周囲温度にて、トリエチルアミンなどの塩基の存在下にて、アミンHNRと反応させることにある。
【0030】
式(II)の化合物は以下のスキーム
【0031】
【化7】

に従って調製できる。
【0032】
式(III)の化合物は、特許出願WO 03/07887に記載される公知の方法によって、NaHMDS(ヘキサメチルジシラザンナトリウム)の存在下、安息香酸エステルのフェニル酢酸の誘導体の作用によって調製できる。
【0033】
式(IV)のオキシムは、式(III)の化合物へのヒドロキシルアミン塩酸の作用によって得られる。
【0034】
次に、環化をハロゲン化アルキルシュウ酸の作用により実施する。
【0035】
4,5−ジフェニル−1,3−オキサゾール−2−カルボン酸のメチルエステル及びエチルエステルは米国特許第3 622 595及び刊行物薬学雑誌、1962、82、140−143に記載されている。
【0036】
式(II)の酸及び式(IIa)のエステルは、R、R、R、R、R及びRが水素以外であるとき新規である。
【0037】
したがって、本発明の対象は、式(IIb)
【0038】
【化8】

の化合物でもありる(式中、
Xは、ハロゲン原子若しくはヒドロキシル基、(C−C)アルキル基又はベンジル基を表し、
、R、R、R、R及びRは、各々互いに独立して、水素原子若しくはハロゲン原子、(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ若しくはトリフルオロメチル基又はS(O)Alkを表し、
Alkは(C−C)アルキルを表し、
nは0、1又は2を表し、
、R、R、R、R及びRは同時に水素ではないという条件のもとにある。)。
【0039】
XがOH基を表すとき、式(IIb)の化合物は塩の形態でも存在できる。このような塩は本発明の一部を形成する。
【0040】
本発明によれば、5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−カルボン酸、5−(4−ブロモフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−カルボン酸、5−(4−クロロフェニル)−4−(2−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−カルボン酸及び5−(2,4−ジクロロフェニル)−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−カルボン酸、これらのエチルエステル及びこれらの塩化物が好ましい。
【0041】
以下の例は、本発明に記載の特定の化合物の調製を記述する。これらの例は本発明を制限しているのではなく単に説明するものである。例示された化合物の番号は以下の表に供与されるものを指し、この表は本発明に記載のいくつかの化合物の化学構造及び物理特性を示す。
【0042】
実施例において、以下の略語を使用する。すなわち、
Mp: 融点
BOP: ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸
THF: テトラヒドロフラン
AT: 周囲温度
DCM: ジクロロメタン
MeOH: メタノール
である。
【0043】
核磁気共鳴スペクトルをDMSO−d中200MHzで記録する。前記スペクトルの解釈のため、以下の略語を使用する。すなわち、s:一重項、d:二重項、t:三重項、up:未解離ピーク、mt:多重項、bs:幅の広い一重項である。
【0044】
本発明に記載の化合物を、以下に記載する条件(a)又は条件(b)にしたがって、LC/UV/MSの組み合せ(液体クロマトグラフィー/紫外線検出/質量分析)により分析する。分子ピーク(MH)及び保持時間(tr)(分)を測定する。
【0045】
条件(a)
2.1×50mm及び3.5μmである、Water社販売のWaters(登録商標)XTerra MS C18カラムを30℃、流速0.4ml/分で使用する。
溶離剤は以下のとおり構成される。
溶媒A:水中10mM酢酸アンモニウム(NHOAc)、pH7
溶媒B:アセトニトリル
勾配:
【表1】

紫外線検出はλ=220nmで実施され、質量分析は正のESI化学イオン化モードにおいて実施される。
【0046】
条件(b)
2.1×30mm及び3.5μmである、Water社販売のWaters(登録商標)Xterra MS C18カラムを周囲温度、流速1ml/分で使用する。
溶離剤は以下のとおり構成される。
溶媒A:水中0.025%のトリフルオロ酢酸(TFA)水溶液
溶媒B:アセトニトリル中0.025%のTFA
勾配: 溶媒Bの割合は2分間で0ないし100%の範囲であり、Bの100%で1分間最高値とする。
【0047】
紫外線検出は210nmないし400nmで実施され、質量分析は大気圧での化学イオン化モードにおいて実施される。
【実施例1】
【0048】
化合物1
5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)―N−ピペリジン−1−イル−1,3−オキサゾール−2−カルボキサミド。
【0049】
1.1:5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−カルボン酸エチルエステル。
【0050】
1.1.1: 2−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エタノン。
【0051】
本化合物は特許出願WO 03/007887に従って調製される。
【0052】
1.1.2:2−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エタノンオキシム。
【0053】
先の段階からの前記化合物2.15gをMeOH32mlに懸濁し、水21ml中の溶液中のヒドロキシルアミン塩酸3g及び酢酸ナトリウム5.40gの混合物を添加し、この反応混合物を18時間還流する。これを、真空下で容積を半分に濃縮し、次に水50mlを添加する。反応媒体をDCMで抽出した後、洗浄を水で、次に飽和NaCl溶液で実施する。予期の化合物2.24gを得る。Mp=91℃。
【0054】
1.1.3:5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−カルボン酸エチルエステル。
【0055】
塩化シュウ酸エチル1.28mlを、先の段階において得られたオキシム1.20gへ滴下して添加し、反応混合物をATで15分間撹拌した後、120℃で2時間加熱する。氷冷した水50mlへ注ぐ。この混合物をDCMで抽出した後、洗浄を飽和NaHCO溶液、次いで飽和NaCl溶液で実施する。MgSO上で乾燥した後、得られた生成物をシリカ上でのクロマトグラフィーにかけ、溶出をEtOAc/ヘキサン混合物(8/92、v/v)で実施する。予期の化合物0.51gを得る。
【0056】
1.2:5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−カルボン酸。
【0057】
先の段階で得られた前記エステル1.02gを含有するMeOH25ml、THF5ml及び水0.2ml中の溶液を調製し、LiOH0.123gを添加する。この反応媒体をATで1時間30分撹拌した後、0℃に冷却した5%HCl溶液へ注ぐ。得られた沈殿をろ過した後、水で洗浄し、真空下で乾燥させる。予期の化合物0.72gを得る。Mp=90℃。
【0058】
1.3:5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−N−ピペリジン−1−イル−1,3−オキサゾール−2−カルボキサミド。
【0059】
先の段階で得られた前記酸のDCM15ml及びTHF1.5ml中の溶液を調製し、トリエチルアミン0.68mlを、次いで1−アミノピペリジン0.22mlを添加した後、0℃でBOP0.91gを添加する。前記反応媒体をATで16時間撹拌する。この反応媒体を氷冷水50mlへ注ぎ、この混合物を次にDCMで抽出し、水で、次いで飽和NaCl溶液で洗浄する。MgSO上で乾燥した後、得られた生成物をシリカ上でのクロマトグラフィーにかけ、溶出をEtOAc/ヘキサン混合液(10/90、v/v、次いで20/80、v/v)で実施した後、MeOH/DCM混合物(3/97、v/v)で実施する。得られた生成物をイソプロピルエーテルから結晶化する。予期の化合物0.15gを得る。Mp=165℃。
【0060】
実施例1(段階1.1及び1.2)に記載の手法を実施することによって、以下に記載される式(II)及び(IIa)の中間体化合物を調製する。
【0061】
【表2】

【実施例2】
【0062】
化合物17番
1−(1−((4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル)カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン。
【0063】
トルエン中の2Mトリメチルアルミニウム1.58mlを、冷却条件下で、窒素下のトルエン2ml中4−フェニル−4−アセチルピペリジン0.64gの溶液へ添加する。この反応媒体をATで1時間撹拌した後、乾燥したトルエン2mlに溶解した調製1.1の化合物0.5gを滴下して添加し、前記反応媒体を次に60℃で2時間加熱する。この反応媒体をATに回復させた後、水へ注ぎ、5%HClを添加することによってpHを5へ調整する。この反応媒体をEtOAcで2回抽出した後、洗浄を飽和NaCl溶液で2回実施する。乾燥をMgSO上で実施した後、濃縮して乾燥させる。精製後、予期の化合物460mgを得る。Mp=175.5ないし176.4。
【0064】
以下の表は、本発明のいくつかの化合物の化学構造及び物理特性を示す。この表において、Ph、Me及びEtはそれぞれフェニル基、メチル基及びエチル基を表す。
【0065】
【表3】





【0066】
式(I)の化合物は、M.Rinaldi−Carmona et al.(FEBS Letters, 1994, 350, 240−244)によって記載された実験条件下で、カンナビノイドCB受容体に対するインビトロでの良好な親和性(10−6Mないし10−9MのIC50)を有する。
【0067】
式(I)の化合物の拮抗性性質を、M.Bouaboula et al., J. Biol. Chem., 1995, 270, 13973−13980、M.Rinaldi−Carmona et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 278, 871−878及びM.Bouaboula et al., J. Biol. Chem., 1997, 272, 22330−22339に記載されているとおり、アデニル酸シクラーゼ阻害のモデルで得られる結果によって決定した。
【0068】
式(I)の化合物の毒性は、医薬製剤としてのそれらの使用と適合性がある。
【0069】
本発明の態様の別のものによれば、カンナビノイドCB受容体が関係する疾病の治療又は予防を意図した医薬製剤を調製するための、本発明は式(I)の化合物の使用、又は医薬的に許容できるその塩、溶媒和物又は水和物のうちの1つの使用に関する。
【0070】
例えば、黙示的に制限することなく、式(I)の化合物は向精神性製剤として有用であり、特に、不安、鬱、気分障害、不眠症、せん妄障害、強迫性障害、一般的な精神病、統合失調症、多動児における注意欠陥多動障害(ADHD)を含む精神医学的障害の治療のために有用であり、及び向精神性物質の使用を伴う障害の治療のためにも有用であり、特にアルコール依存症及びニコチン依存症を含む物質乱用及び/又は物質依存の場合に有用である。
【0071】
本発明に記載の式(I)の化合物は片頭痛、ストレス、心身症(diseases of psychosomatic origin)、パニック発作、癲癇、運動障害、特にジスキネジア又はパーキンソン病、振戦及びジストニアの治療のための製剤として使用できる。
【0072】
本発明に記載の化合物は、記憶欠乏、認知障害の治療において、特に老人性認知症及びアルツハイマー病の治療における製剤としても使用でき、注意障害またはアラートネス障害の治療においても使用できる。さらに、式(I)の化合物は、神経保護薬として有用であることができ、虚血、脳障害(cranial trauma)の治療において、及び舞踏病、ハンチントン舞踏病及びトゥーレット症候群を含む神経変性疾患の治療において有用でり得る。
【0073】
本発明に記載の式(I)の化合物は疼痛(神経因性疼痛、急性末梢痛、及び炎症源の慢性痛)の治療における製剤として使用できる。
【0074】
本発明に記載の式(I)の化合物は、食欲障害、渇望障害(糖類、炭水化物、薬物、アルコール又はいずれかの食欲促進物質に対する渇望)及び/又は摂食障害の治療における製剤として使用でき、特に食欲減退剤として又は肥満若しくは過食症の治療のために、及びII型糖尿病若しくはインスリン非依存性糖尿病の治療のためにも、及び異脂肪血症並びにメタボリックシンドロームの治療のために使用できる。したがって、本発明に記載の式(I)の化合物は、肥満並びに肥満と関連した危険性、特に心臓循環器系の危険の治療に有用である。さらに、本発明に記載の式(I)の化合物は、消化器系障害、下痢障害、潰瘍、嘔吐、膀胱及び泌尿器系障害、内分泌源の障害、心臓循環器系障害、低血圧、出血性ショック、敗血症性ショック、慢性肝硬変、脂肪肝、脂肪性肝炎、喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支肺炎、レイノー症候群、緑内障、妊孕性障害、炎症現象、免疫系疾患、特に関節リウマチ、反応性関節炎、脱髄において生じる疾患、多発性硬化症などの自己免疫疾患及び神経炎症性疾患、脳炎、脳卒中などの感染性及びウィルス性疾患の治療における製剤として使用でき、抗癌性化学療法のための製剤としても、ギラン・バレー症候群を治療するため及び骨粗鬆症を治療するための製剤としても使用できる。
【0075】
本発明によれば、式(I)の化合物は、精神病性障害、特に統合失調症、運動過剰(MBD)児における注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療するため、食欲障害及び肥満を治療するため、記憶欠乏及び認知欠乏を治療するため、アルコール依存症及びニコチン依存症を治療するため、すなわちアルコール離脱及びタバコ離脱のために最も特に有用である。
【0076】
本発明の態様のうちの1つによれば、本発明は、式(I)の化合物の使用、医薬的に許容できるその塩の使用及びそれらの溶媒和物若しくは水和物の使用、上述の障害及び疾患を治療するための使用に関する。
【0077】
本発明に記載の化合物は投薬単位として一般に投与される。
【0078】
前記投薬単位は、前記活性成分が医薬補形薬と混合される医薬組成物において好ましく処方される。
【0079】
このように、本発明の態様の別のものによれば、本発明は、活性成分として式(I)の化合物、医薬的に許容できるその塩のうちの1つ又はその溶媒和物若しくは水和物のうちの1つを含有する医薬組成物に関する。
【0080】
上述の式(I)の化合物及び医薬的に許容できるその塩若しくは溶媒和物は、治療される哺乳類の体重1kgあたり0.01ないし100mgの毎日の投与量で使用でき、好ましくは0.02ないし50mg/kgの毎日の投与で使用できる。ヒトにおいて、投与量は、好ましくは1日あたり0.05ないし4000mgの範囲であることができ、より特別には1日あたり0.1ないし1000mgの範囲であり、処理される個体の年齢又は処理のタイプ、つまり予防であるか若しくは治療であるかに左右される。これらの投薬は平均的な状況の例であるが、より多めの又はより少なめの投薬が適切な特殊な場合があり得、そのような投薬も本発明の一部である。通常の経験にしたがって、各患者に適した投薬は、投与の様式、前記患者の年齢、体重及び反応性にしたがって医師により決定される。
【0081】
経口投与、舌下投与、吸入投与、皮下投与、筋内投与、静脈内投与、経皮投与、局所投与又は直腸投与のための本発明の医薬組成物において、活性成分は既存の医薬担体との混合物としての投与の単位形態において、動物及び人間へ投与できる。投与の適切な単位形態は、錠剤、ゼラチン、カプセル、粉末、顆粒、経口用溶液若しくは懸濁液などの経口剤形、舌下投与剤形及びバッカル錠、エアロゾル、局所投与剤形、インプラント、皮下投与剤形、筋内投与剤形、静脈内投与剤形、鼻内投与剤形又は眼内投与剤形及び直腸投与剤形を含む。
【0082】
本発明の医薬組成物において、前記活性成分は毎日の投与のための投薬単位あたり活性成分の0.05ないし1000mg、有利には0.1ないし500mg、好ましくは1ないし200mgを含有する投薬単位で一般に処方される。
【0083】
例示として、錠剤の形態の、本発明に記載の化合物の投与の単位剤形は、以下の成分を含むことができる。
【0084】
本発明に記載の化合物:50.0mg
マンニトール:223.75mg
クロスカーメロースナトリウム:60mg
とうもろこし澱粉:15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:2.25mg
ステアリン酸マグネシウム:3.0mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

{Rは、水素又は(C−C)アルキルを表し、
は、
(C−C10)アルキル基、
非芳香族C−C12炭素環基(この非芳香族C−C12炭素環基は置換されていない又は(C−C)アルキル基で1回以上置換されている。)、
1,2,3,4−テトラヒドロナフト−1−イル又は−2−イル基、
5ないし7個の原子を有し、1個の酸素を有する又は1個の硫黄を有する飽和の複素環基(この複素環基は置換されていない又は(C−C)アルキル基で1回以上置換されている。)、
5ないし7個の原子を有し、1個の窒素を有する飽和の複素環基(この窒素原子は(C−C)アルキル基、フェニル基、ベンジル基、(C−C)アルコキシカルボニル基又は(C−C)アルカノイル基により置換されている。)、
(C−C)アルキレン基[この(C−C)アルキレン基は非芳香族C−C12炭素環基(この非芳香族C−C12炭素環基は置換されていない又は(C−C)アルキル基で1回以上置換されている。)を有する。]、
フェニルアルキレン基(このアルキレンは(C−C)であり、このフェニルアルキレン基は、アルキレン上で置換されていなく又は1個以上のメチル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基で置換され、フェニル上で置換されていない又はハロゲン原子又は(C−C)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C−C)アルコキシ基若しくはトリフルオロメトキシ基から選択される同一又は別異であり得る1個以上の置換基で置換されている。)、
NR10
を表し、又は
及びRは、これらが結合している窒素原子と共に、
ピペラジン−1−イル基又は1,4−ジアゼパン−1−イル基(これらの基は4位においてフェニル基又はベンジル基により置換されている。)であるか、
ピペリジン−1−イル基又はピロリジン−1−イル基(これらの基は、フェニル基、ベンジル基、(C−C)アルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、(C−C)アルカノイル基、(C−C)アルコキシカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基から選択される同一又は異別であり得る基により又はCONR1112基若しくはNR1112基により1置換又は2置換されている。)であるか(但し、前記基において置換している前記フェニル基又はベンジル基は置換されていない又はハロゲン原子又はメチル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、シアノ基、アセチル基若しくはメトキシカルボニル基から選択される1個以上の置換基により置換されている。)、又は
スピロ[1H−インデン−1,4’−ピペリジン]基又は3H−スピロ[2−ベンゾフラン−1,4’−ピペリジン]基(これらの基は置換されていない又はオキソ基により置換されている。)であるか、いずれかを構成し、
、R、R、R、R及びRは、各々互いに独立して、水素原子若しくはハロゲン原子、(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基若しくはトリフルオロメチル基又はS(O)Alk基を表し、R、R、R、R、R及びRは同時に水素原子ではないという条件のもとにあり、
は、水素原子又はメチル基を表し、
10は、(C−C)アルキル基、フェニル基又は(C−C10)シクロアルキル基を表し(前記フェニル基及びシクロアルキル基は置換されていない又はハロゲン原子若しくは(C−C)アルキル基から選択される1個以上の置換基により置換されている。)、又は
及びR10は、これらが結合している窒素原子と共に、5ないし11個の原子を有する飽和又は不飽和の複素環基を構成し[この基は、架橋されていても又は架橋されていなくともよく、スピロ炭素を含み得、O又はNから選択される第二のヘテロ原子を含み得、置換されていない又はヒドロキシル基、(C−C)アルキル基又は(C−C)アルコキシカルボニル基又はフェニル基(この基は置換されていない又はハロゲン原子若しくは(C−C)アルキル基から選択される1つ以上の置換基により置換されている。)から選択される置換基により1回以上置換されている。]、
11及びR12は、各々互いに独立して、水素原子若しくは(C−C)アルキル基を表し、又は
11及びR12は、これらが結合している窒素原子と共に、O又ははNから選択される第二のヘテロ原子を含有し得る、3個から7個の原子を有する飽和した複素環基を構成し(前記複素環基は置換されていない又はメチルにより1回以上置換されている。)、
nは0、1又は2を表し、
Alkは(C−C)アルキル基を表す。}
に対応する、塩基又は酸との酸付加塩の形態にあり及び水和物又は溶媒和物の形態にある化合物。
【請求項2】
及びRが、これらの結合している窒素原子と共に、
ピペラジン−1−イル基又は1,4−ジアゼパン−1−イル基(この基は、4位においてフェニル基又はベンジル基により置換されている。)であるか、
ピペリジン−1−イル基又はピロリジン−1−イル基(この基は、フェニル基、ベンジル基、(C−C)アルキル基、ヒドロキシル基、(C−C)アルカノイル基、(C−C)アルコキシカルボニル基又は(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基から選択される同一又は別異であり得る基により1置換又はジェム−(gem−)2置換されている。)であるか(前記基において置換している前記フェニル基又はベンジル基は、置換されていない又はハロゲン原子及びメチル基から選択される1個以上の置換基により置換されている。)、いずれかを構成し、
、R、R、R、R及びRが、各々互いに独立して、水素原子若しくはハロゲン原子、(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基若しくはトリフルオロメチル基又はS(O)Alk基を表し、R、R、R、R、R及びRが同時に水素原子ではないという条件のもとにあり、
nが0、1又は2を表し、
Alkが(C−C)アルキル基を表す、
塩基又は酸との酸付加塩の形態にあり及び水和物又は溶媒和物の形態にもある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
及びRが、これらが結合している窒素原子と共に、
4位においてフェニル基又はベンジル基により置換されているピペラジン−1−イル基であるか、
フェニル基、ベンジル基、(C−C)アルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、(C−C)アルカノイル基、(C−C)アルコキシカルボニル基若しくは(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基により又はCONR1112基若しくはNR1112基により1置換又は2置換されているピペリジン−1−イル基であるか(前記基において置換している前記フェニル基又はベンジル基は、置換されていない又はハロゲン原子若しくはメチル基、トキシ基、シアノ基、アセチル基又はメトキシカルボニル基から選択される1個以上の置換基により置換されている。)、又は
置換されていない又はオキソ基により置換されているスピロ[1H−インデン−1,4’−ピペリジン]基又は3H−スピロ[2−ベンゾフラン−1,4’−ピペリジン]基であるか、いずれかを構成し、
11及びR12が、各々互いに独立して、水素原子又は(C−C)アルキル基を表し、又は
11及びR12が、これらが結合している窒素原子と共に、O又はNから選択される第二のヘテロ原子を有し得る、3から7個の原子を有する、飽和の複素環基を構成し(前記複素環ラジカルは置換されていない又はメチルで1回以上置換されている。)、
、R、R、R、R及びRが、各々互いに独立して、水素原子又はハロゲン原子を表し、R、R、R、R、R及びRが同時に水素原子ではないという条件の下にあり、好ましくは、Rが4−クロロ又は4−ブロモを表し、Rが2−クロロを表し、Rが4−クロロ又は水素原子を表し、並びにR、R及びRが水素原子を表す、
塩基若しくは酸との酸付加塩の形態にあり及び水和物若しくは溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
及びRが、これらが結合している窒素原子と共に、
4位においてフェニル基により置換されているピペラジン−1−イル基であるか、
ピペリジン−1−イル基であるか(この基は、置換されていない又はフェニル基又はピペリジン−1−イル基により及びシアノ基、アセチル基、アミノカルボニル基又はピロリジン−1−イルカルボニル基によりジェム−2置換されている。)、(前記基において置換している前記フェニル基は、置換されていなく又は塩素原子、臭素原子若しくはフッ素原子により又はメチル、メトキシ、ヒドロキシル、シアノ若しくはアセチル基により置換されている。)、
スピロ[1H−インデン−1,4’−ピペリジン]基であるか、
3H−スピロ[2−ベンゾフラン−1,4’−ピペリジン]−3−基であるか、いずれかを構成し、
が、4−ブロモ又は4−クロロであり、
が、2−クロロであり、
が、4−クロロ又は水素原子であり、
、R及びRが、水素原子を表す、
塩基若しくは酸との酸付加塩の形態にあり及び水和物若しくは溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(3−メチルフェニル)ピペラジン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(3−メトキシフェニル)ピペラジン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(4−クロロフェニル)ピペラジン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(3−フルオロフェニル)ピペラジン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(2−クロロフェニル)ピペラジン、
1−(4−(4−クロロフェニル)−1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}ピペリジン−4−イル)エタノン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド、
1−[4−(4−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}ピペラジン−1−イル)フェニル]エタノン、
1’−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド、
1−(1−{[4−(2−クロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン、
1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボニトリル、
1−(3−クロロフェニル)−4−{[4−(2−クロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}ピペラジン、
1’−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド、
1−(1−{[5−(4−ブロモフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン、
1−(1−{[5−(4−ブロモフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−(3−クロロフェニル)ピペラジン、
1−(1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン、
から選択される、塩基若しくは酸との酸付加塩の形態にある、及び水和物若しくは溶媒和物の形態にもある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
式(II)
【化2】

(R、R、R、R、R及びRは(I)おいて定義されている。)
の酸又はこの酸の機能的誘導体を、式HNR(III)(R及びRは(I)おいて定義されている。)のアミンを用いて処理することを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物を調製するための方法。
【請求項7】
式(IIb)
【化3】

(Xは、ハロゲン原子若しくはヒドロキシル基、(C−C)アルキル基又はベンジル基を表し、
、R、R、R、R及びRは、各々互いに独立して、水素原子若しくはハロゲン原子、(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基若しくはトリフルオロメチル基又はS(O)Alk基を表し、
Alkは(C−C)アルキルを表し、
nは0、1又は2を表し、
、R、R、R、R及びRが同時には水素ではないという条件のもとにある。)
の化合物。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又は医薬的に許容できる酸によるこの化合物の付加塩又は式(I)の化合物の水和物若しくは溶媒和物を含むことを特徴とする医薬品。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はこの化合物の医薬的に許容できる塩、水和物若しくは溶媒和物を含み、及び少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形薬も含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項10】
食欲障害、胃腸障害、炎症性現象、免疫系疾患、精神疾患、アルコール依存又はニコチン依存の治療及び予防のための医薬品を調製するための、請求項1ないし5の何れか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−522191(P2007−522191A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552665(P2006−552665)
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000321
【国際公開番号】WO2005/080357
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】