説明

オキサゾール誘導体、それらの製造方法及びそれらを用いたオキサゾリル基導入方法

【課題】オキサゾール誘導体に関する。
【解決手段】一般式(1)(式中、Rはアルキル基、アラルキル基、芳香族基等を表し、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基、芳香族基等を表し、R及びRは同一又は相異ってアルキル基等を表し、RとRが一体となって環を形成してもよい。)


で示されるオキサゾール誘導体、それらの製造方法、およびそれらを用いたオキサゾリル基導入方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキサゾール誘導体、それらの製造方法及びそれらを用いたオキサゾリル基導入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多置換オキサゾール誘導体は、医薬品や有機材料に広く用いられている共通構造であり、その需要は非常に高い化合物類である。多置換オキサゾール誘導体の合成方法として、オキサゾリル基導入試薬と有機ハロゲン化物あるいはスルホン酸エステルなどとの金属触媒を利用したクロスカップリング反応が挙げられる。従来、そのオキサゾリル基導入試薬としては、例えば、オキサゾールの亜鉛試薬(非特許文献1)やスズ試薬(非特許文献2)等が知られている。しかしながら、その製造方法が煩雑である、試薬自体の毒性が高い、反応の収率が悪いという問題点があった。一方、アリールホウ素試薬は金属触媒を用いて、有機ハロゲン化物あるいはスルホン酸エステルなどとクロスカップリング反応が進行することが報告されており(非特許文献3)、安全かつ容易に扱えるアリール基導入試薬として医薬品合成や材料分野で幅広く利用されている。しかしながら、オキサゾールのホウ素試薬はオキサゾール−2−イルボロン酸誘導体が一例開示されているのみであり(特許文献1)、本発明に関するオキサゾール−4−イルボロン酸誘導体に関しては一切記載されていない。特許文献1において、オキサゾール−2−イルボロン酸を対応するオキサゾールの2位の水素原子の塩基によるメタル化、続くホウ酸トリイソプロピルエステルとの反応で調製する例が、一例記載されている。しかしながら、その合成方法は基質特異性が高く他のオキサゾール−2−イルボロン酸誘導体が調製できない場合があり(比較実施例参照)、一般的な方法とは言い難い。またオキサゾール−2−イルボロン酸誘導体は安定性が低く、容易に加水素分解されてしまうことが報告されている(非特許文献4)。本発明に関するオキサゾール−4−イルボロン酸誘導体、その製造方法およびそれを用いた金属触媒による有機ハロゲン化物あるいはスルホン酸エステル等とのクロスカップリング反応は全く報告されていない。
【0003】
【特許文献1】特開2004−31743号公報
【非特許文献1】Journal of Organic Chemistry、 1999年、64巻、1011ページ
【非特許文献2】Synlett、 1995年、 415ページ
【非特許文献3】Chemical Reviews、 1995年、95巻、 2457ページ
【非特許文献4】Organic Letters、2006年、8巻、2495ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、医薬、有機材料として幅広く利用されている多置換オキサゾールの種々の類縁化合物の合成が可能であり、簡便に調製でき、かつ安定に取り扱うことができるオキサゾリル基導入試薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、本発明のオキサゾール誘導体(1)が、オキサゾリル基導入試薬として有用であることを見い出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、一般式(1)
【化22】

(式中、Rは置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいC〜C11アラルキル基、置換していてもよいC〜Cアルケニル基、置換していてもよいC〜Cアルキニル基、置換していてもよい芳香族基、水酸基の保護基で保護されていてもよい水酸基、置換していてもよいC〜Cアルコキシ基、ホルミル基、置換していてもよいC〜Cアシル基、置換していてもよいC〜Cアルコキシカルボニル基、置換していてもよいカルバモイル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換していてもよいアミノ基、置換していてもよい複素環基または置換していてもよいシリル基を表す。Rは水素原子、置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいC〜C11アラルキル基、置換していてもよいC〜Cアルケニル基、置換していてもよいC〜Cアルキニル基、置換していてもよい芳香族基、水酸基の保護基で保護されていてもよい水酸基、置換していてもよいC〜Cアルコキシ基、ホルミル基、置換していてもよいC〜Cアシル基、置換していてもよいC〜Cアルコキシカルボニル基、置換していてもよいカルバモイル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換していてもよいアミノ基、置換していてもよい複素環基または置換していてもよいシリル基を表す。R及びRは同一または相異なって水素原子、置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいフェニル基または置換していてもよいC〜C11アラルキル基を表す。RとRが一体となって環を形成してもよい。)で示されるオキサゾール誘導体に関する。
【0007】
さらに、本発明は、一般式(2)
【化23】

(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。Xはハロゲン原子を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、一般式(3)
【化24】

(式中、Rは置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいフェニル基または置換していてもよいC〜C11アラルキル基を表す。)で示されるホウ酸エステルとを、塩基存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1a)
【化25】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法に関する。
【0008】
さらに、本発明は、一般式(1a)
【化26】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、水、あるいは一般式(4)
【化27】

(式中、Rは置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいフェニル基または置換していてもよいC〜C11アラルキル基を表す。)で示されるアルコール類、あるいは一般式(5)
【化28】

(Qは置換していてもよいエチレン基、置換していてもよいトリメチレン基または置換していてもよいo−フェニレン基を表す。)で示されるジオール類とを、酸触媒存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化29】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法に関する。
【0009】
さらに、本発明は、一般式(2)
【化30】

(式中、R、R及びXは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、一般式(3)
【化31】

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるホウ酸エステルとを、塩基存在下に反応させることにより、一般式(1a)
【化32】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体を得、次いで、水、あるいは一般式(4)
【化33】

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるアルコール類、あるいは一般式(5)
【化34】

(Qは前記と同じ意味を表す。)で示されるジオール類とを、酸触媒存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化35】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法に関する。
【0010】
さらに、本発明は、一般式(6)
【化36】

(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。Xは脱離基を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、一般式(7)
【化37】

(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるホウ素試薬とを、金属触媒存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化38】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法に関する。
【0011】
さらに、本発明は、一般式(1)
【化39】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体を成分とするオキサゾリル基導入試薬に関する。
【0012】
さらに、本発明は、一般式(1)
【化40】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、一般式(8)
【化41】

(式中、Rは置換していてもよいC〜C11アラルキル基、置換していてもよいC〜Cアルケニル基、置換していてもよいC〜Cアルキニル基、置換していてもよい芳香族基、置換していてもよいC〜Cアシル基を表す。Xは脱離基を表す。)で示される化合物とを、金属触媒存在下に反応させることを特徴とする、一般式(9)
【化42】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一般式(1)で示されるオキサゾール誘導体は、オキサゾール−2−イルボロン酸誘導体や他のオキサゾールの金属試薬に比べて、簡単かつ安全な操作で調製かつ利用できるオキサゾリル基導入試薬である。また、オキサゾール誘導体(1)を有機ハロゲン化物または有機スルホン酸エステルと金属触媒存在下反応させて、オキサゾール誘導体(9)が合成でき、これはテロメラーゼ阻害活性を有するテロメスタチン(非特許文献5)や抗癌剤ウラプアリド類(非特許文献6)などの有用生理活性物質や機能性材料の製造に利用する点で極めて有用である。
【非特許文献5】Journal of American Chemical Society、2001年、123巻、1262ページ
【非特許文献6】Journal of American Chemical Society、1986年、108巻、846ページ
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明において、R、R、R、R、R及びRで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖状もしくは分岐状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、オクチル基等を例示することができる。これらのアルキル基は、ハロゲン原子、シクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アルコキシ基、シロキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基等で一個以上置換されていてもよく、さらに具体的には2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、ニトロメチル基、2−メチルチオエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、tert−ブチルジメチルシロキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、1−アセチルエチル基、3−アセチルプロピル基等を例示することができる。R及びRは、収率が良い点でメチル基、tert-ブチル基を用いることが好ましい。R、R、R及びRは、収率が良い点で、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を用いることが好ましい。
【0015】
、R、R、R、R及びRで表される炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を例示することができる。また、これらのシクロアルキル基は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよく、さらに具体的に1−メチルシクロプロピル基、2−メチルシクロプロピル基、3−メチルシクロペンチル基等を例示することができる。
【0016】
、R、R、R、R、R及びRで表される炭素数7〜11のアラルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基等を例示することができる。これらのアラルキル基の芳香族環上は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、シアノ基等で一個以上置換されていてもよい。R及びRは、収率が良い点でベンジル基を用いることが好ましい。
【0017】
、R及びRで表される炭素数2〜8のアルケニル基としては、直鎖状もしくは分岐状あるいは環状のいずれであってもよく、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−メチルー2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、1−シクロペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−シクロヘキセニル基、2−ヘプテニル基、1−シクロオクテニル基を例示することができる。これらのアルケニル基は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、シアノ基等で一個以上置換されていてもよい。R及びRは、収率が良い点でビニル基、アリル基、2−メチルー2−プロペニル基を用いることが好ましい。
【0018】
、R及びRで表される炭素数2〜8のアルキニル基としては、直鎖状もしくは分岐状のいずれであってもよく、エチニル基、プロパルギル基、1−ブチン−3−イル基、3−メチル−1−ブテン−3−イル基、2−ブチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基等を例示することができる。これらのアルキニル基は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、シアノ基等で一個以上置換されていてもよい。R及びRは、収率が良い点でエチニル基、プロパルギル基を用いることが好ましい。
【0019】
、R及びRで表される芳香族基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、5−インドリル基、2−フリル基及び3−フリル基等を例示することができる。これらの芳香族環上は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜12の芳香族基、炭素数3〜14のシリル基、炭素数1〜8のアルキルスルホナート基等で一個以上置換されていてもよく、4−メトキシフェニル基、4−エトキシカルボニルオキサゾール−2−イル基、2−tert−ブチルジメチルシリルオキサゾール−2−イル基、4−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシオキサゾール−2−イル)オキサゾール−2−イル基等を例示することができる。R及びRは、収率が良い点でフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基を用いることが好ましい。
【0020】
、R及びRで表される置換していてもよいフェニル基のベンゼン環上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基等を例示することができる。
【0021】
及びRで表される水酸基の保護基としては、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等のエステル系保護基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等のシリル系保護基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等のカーボネート系保護基等を例示することができる。収率が良い点で、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基を用いることが好ましい。
【0022】
及びRで表される炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロプロピルメチルオキシ、ベンジルオキシ基等を例示することができる。これらのアルコキシ基は1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基等で一個以上置換されていてもよくメトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、p-メトキシベンジルオキシ基等を例示することができる。収率が良い点で、メトキシ基を用いることが好ましい。
【0023】
、R及びRで表される炭素数2〜8のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を例示することができる。R及びRは、収率が良い点でアセチル基を用いることが好ましい。
【0024】
及びRで表される置換していてもよいC〜Cアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等を例示することができる。収率が良い点で、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基を用いることが好ましい。
【0025】
及びRで表される置換していてもよいカルバモイル基としては、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−イソプロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N,N−ジイソプロピルカルバモイル基またはN,N−ジブチルカルバモイル基等が例示できる。
【0026】
及びRで表される置換していてもよいアミノ基の置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数7〜11のアラルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数2〜8のアシル基、炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基等を例示することができ、それらの置換基がアミノ基に一置換あるいは、同一又は相異なって二置換していてもよい。さらに具体的にはメチルアミノ基、エチルアミノ基、アリルアミノ基、プロパルギルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、9−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ基またはトリクロロエトキシカルボニルアミノ基等が例示できる。
【0027】
及びRで表される置換していてもよい複素環基としては、アジリジニル基、2−ピロリジニル基、3−ピロリジニル基、2−ピペリジル基、3−ピペリジル基、4−ピペリジル基、ピペリジノ基、テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロフラン−3−イル基、2−ジオキサニル基、2−オキサゾリジニル基、4−オキサゾリジニル基等が例示できる。複素環基の複素環上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基等を例示することができる。
【0028】
及びRで表される置換していてもよいシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等を例示することができる。収率が良い点で、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基を用いることが好ましい。
【0029】
及びRが結合して形成する環としては下記式a,b,c又はd
【化43】

等を例示することができる。収率が良い点で、a,bを用いることが好ましい。
【0030】
で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を例示することができる。収率が良い点で、臭素原子、ヨウ素原子を用いることが好ましい。
【0031】
及びXで表される脱離基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、またはメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアルキルあるいはアリールスルホニルオキシ基等を例示することができる。Xは、収率が良い点で、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニル基を用いることが好ましい。Xは、収率が良い点で、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニル基を用いることが好ましい。
【0032】
Qで表される置換していてもよいエチレン基としては、エチレン基、1,1,2,2−テトラメチルエチレン基、プロピレン基、1,2−ジメチルエチレン基等を例示することができる。収率が良い点で、エチレン基、1,1,2,2−テトラメチルエチレン基を用いることが好ましい。
【0033】
Qで表される置換していてもよいトリメチレン基としては、トリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1,1,3,3−テトラメチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基等を例示することができる。
【0034】
Qで表される置換していてもよいo−フェニレン基としては、o−フェニレン基、3,6−ジメチル−o−フェニレン基、2,3−ナフチレン基等を例示することができる。収率が良い点で、o−フェニレン基を用いることが好ましい。
【0035】
以下、本発明に属するオキサゾール誘導体の製造方法及びそれを用いた金属触媒による有機ハロゲン化物あるいは有機スルホン酸エステル等との反応について詳細に説明する。
【化44】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、X、X、X及びQは前記と同じ意味を表す。)
【0036】
工程―1は、オキサゾール誘導体(2)の4位のハロゲン原子を塩基で処理することでハロゲン−金属交換反応を行い、ホウ酸エステル(3)と反応させることにより、本発明のオキサゾール誘導体(1a)を製造する工程である。
【0037】
本工程の原料であるオキサゾール誘導体(2)は、対応するオキサゾールの4位ハロゲン化あるいはオキサゾール−4(5H)−オン誘導体のハロゲン化などの常法に従い製造することができる。これらハロゲン化前駆体となるオキサゾール誘導体及びオキサゾール−4(5H)−オン誘導体は、文献記載の方法またはそれに準じた方法により調製することができる。(非特許文献―7)。ホウ酸エステル(3)は一部市販されているが、ボロンオキシドと対応するアルコールとの反応、市販されているトリイソプロピルボレートと対応するアルコールとのエステル交換反応により容易に調製することができる。
【0038】
【非特許文献−7】OXAZOLES:SYNTHESIS、REACTIONS,AND SPECTROSCOPY Part A,Edited by D.C.Palmer, JOHN WILEY & SONS, INC.2003年
【0039】
反応は塩基存在下に行うことが必須であり、用いることのできる塩基としては、ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、フェニルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムクロリド等のアルカリ金属有機塩基を例示することができる。収率が良い点で、ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムを用いることが好ましい。塩基の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して等量以上用いて実施することが収率が良い点で好ましい。
【0040】
反応は有機溶媒中で行うことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができる。例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を例示でき、上記の溶媒のうち2種類以上を混合しても差し支えない。
【0041】
反応は、―78゜C〜溶媒還流温度から適宜選ばれた温度で円滑に進行するが、―78゜C〜室温付近で実施することが収率が良い点で好ましい。後処理の方法として、反応液に水を加えることで反応を停止することができるが、酢酸等の酸性水溶液で後処理することが収率が良い点で好ましい。反応後の混合溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。また、オキサゾール誘導体(1a)は単離することなく、そのまま工程―2に供することもできる。
【0042】
工程―2は、工程―1の方法で製造することのできるオキサゾール誘導体(1a)と水、アルコール類(4)、またはジオール類(5)と酸触媒存在下に加水分解またはアセタール交換を行い本発明のオキサゾール誘導体(1)を製造する工程である。
【0043】
本工程の原料であるアルコール類(4)、またはジオール類は(5)は一部市販されているが、常法により調製することができる。
【0044】
反応は酸触媒存在下にて速やかに進行する。用いることのできる酸としては、塩酸、臭酸、硫酸、硝酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等のスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホナート等のスルホン酸塩などを例示することができる。酸の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して触媒量から等量用いて実施することが収率が良い点で好ましい。
【0045】
反応に用いる水、アルコール類(4)、またはジオール類(5)の量は特に制限なく、いずれも溶媒としても用いることができる。反応基質に対して等量以上用いて実施することが収率が良い点で好ましい。
【0046】
さらに本工程においては、反応に害を及ぼさない有機溶媒であれば使用することができる。例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を挙げることができ、これらの溶媒のうち2種類以上を混合しても差し支えない。
【0047】
反応は、―78゜C〜溶媒還流温度から適宜選ばれた温度で円滑に進行するが、室温付近で実施することが収率が良い点で好ましい。反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【0048】
工程―3は、オキサゾール誘導体(6)を金属触媒存在下、ジボロン誘導体(7)とクロスカップリング反応させることにより、本発明のオキサゾール誘導体(1)を製造する工程である。
【0049】
本工程の原料であるXがハロゲン原子であるオキサゾール誘導体(6)は工程―1で記載した方法で製造することができ、Xがスルホニルオキシ基であるオキシオキサゾール誘導体(6)は、対応するオキサゾール−4(5H)−オン誘導体より文献記載の方法(非特許文献―2)またはそれに準じた方法により製造することができる。前駆体となるオキサゾール−4(5H)−オン誘導体は前記の方法で製造することができる。ジボロン(7)は一部市販されているが、テトラキス(ジメチルアミド)ジボロンと対応するアルコールより文献記載の方法またはそれに準じた方法により調製することができる(非特許文献―8)。
【0050】
【非特許文献−8】Inorganic Chemsistry、1968年、7巻、225ページ
【0051】
反応は金属触媒存在下に行うことが必須であり、用いることのできる金属触媒としては例えば、パラジウム触媒、ニッケル触媒、白金触媒等を挙げることができる。これらの金属触媒は、「金属」、「担持金属」、「金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩または酸化物等の金属塩」や「オレフィン錯体、ホスフィン錯体、アミン錯体、アンミン錯体またはアセチルアセトナート錯体等の錯化合物」を用いることができる。さらにこれらの金属、担持金属、金属塩および錯化合物と三級ホスフィン配位子を組合わせて用いることもできる。収率が良い点でパラジウム触媒を用いることが好ましい。
パラジウム触媒としては、パラジウム黒、パラジウムスポンジ等のパラジウム金属が例示でき、また、パラジウム/アルミナ、パラジウム/炭素、パラジウム/シリカ、パラジウム/Y型ゼオライト等の担持パラジウム金属も例示できる。また、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酢酸パラジウム等の金属塩を例示できる。さらに、π―アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(クロロホルム付加物)、ジクロロジアンミンパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウムおよびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等の錯化合物を例示できる。収率が良い点で、酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(クロロホルム付加物)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを用いることが好ましい。
これらのパラジウム触媒は単独で用いても良いが、さらに三級ホスフィンと組合わせて用いても良い。用いることのできる三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリo−トリルホスフィン、トリオクチルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルおよび(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等が例示できる。収率が良い点で、トリフェニルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリo−トリルホスフィンを用いることが好ましい。
また、工程―3では、収率向上のため塩基を添加しても良い。添加する塩基としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジイソプロピルアミンまたはエチルジイソプロピルアミン等の無機塩基または有機塩基が例示できる。収率が良い点で、炭酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウムを用いることが好ましい。
金属触媒、三級ホスフィンの使用量は特に制限はないが、反応基質に対していわゆる触媒量を用いて実施することができる。塩基の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して1〜50等量用いることが収率が良い点で好ましい。
【0052】
反応は有機溶媒中で行うことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができる。テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を例示でき、これらの溶媒のうち2種類以上を混合して用いても差し支えない。
【0053】
反応は、―78゜C〜溶媒還流温度から適宜選ばれた温度で円滑に進行するが、室温から溶媒還流温度付近で実施することが収率が良い点で好ましい。反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【0054】
本発明のオキサゾール誘導体(1)は、有用なオキサゾリル基導入試薬として利用することができ、化合物(8)と金属触媒存在下に反応させて、オキサゾール誘導体を製造することができる。
【0055】
工程―4は、本発明のオキサゾール誘導体(1)と化合物(8)とを金属触媒存在下に反応させて、オキサゾール誘導体(9)を製造する工程である。
【0056】
反応は金属触媒存在下に行うことが必須であり、用いることのできる金属触媒としては例えば、パラジウム触媒、ニッケル触媒、鉄触媒、ルテニウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、イリジウム触媒等を列挙することができる。これらの金属触媒は、「金属」、「担持金属」、「金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩または酸化物等の金属塩」、「オレフィン錯体、ホスフィン錯体、アミン錯体、アンミン錯体またはアセチルアセトナート錯体等の錯化合物」を用いることができる。さらにこれらの金属、金属塩および錯化合物と三級ホスフィン配位子を組合わせて用いることもできる。収率が良い点で、パラジウム触媒を用いることが好ましい。
パラジウム触媒としては、パラジウム黒、パラジウムスポンジ等のパラジウム金属が例示でき、また、パラジウム/アルミナ、パラジウム/炭素、パラジウム/シリカ、パラジウム/Y型ゼオライト等の担持パラジウム金属も例示できる。また、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酢酸パラジウム等の金属塩を例示できる。さらに、π―アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(クロロホルム付加物)、ジクロロジアンミンパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウムおよびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等の錯化合物を例示できる。収率が良い点で、酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(クロロホルム付加物)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを用いるのが好ましい。
これらのパラジウム触媒は単独で用いても良いが、さらに三級ホスフィンと組合わせて用いても良い。用いることのできる三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリオクチルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルおよび(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等が例示できる。収率が良い点で、トリフェニルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリo−トリルホスフィンを用いることが好ましい。
また、工程―4では、収率向上のため塩基を添加しても良い。添加する塩基としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジイソプロピルアミンまたはエチルジイソプロピルアミン等の無機塩基または有機塩基が例示できる。収率が良い点で、炭酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウムを用いることが好ましい。
金属触媒、三級ホスフィンの使用量は特に制限はないが、反応基質に対していわゆる触媒量を用いて実施することができる。塩基の使用量は特に制限はないが、反応基質に対して1〜50等量用いることが収率が良い点で好ましい。
【0057】
反応は有機溶媒中で行うことが好ましく、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができる。たとえば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を例示でき、これらの溶媒のうち2種類以上を混合して用いても差し支えない。
【0058】
反応は、―78゜C〜溶媒還流温度から適宜選ばれた温度で円滑に進行するが、室温から溶媒還流温度付近で実施することが収率が良い点で好ましい。反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【0059】
以下、実施例及び参考例によりにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【0060】
図中で使用されている略語は以下の意味である。TBS:tert−ブチルジメチルシリル基、Boc:tert−ブトキシカルボニル基、Tf:トリフルオロメタンスルホニル基、TMS:トリメチルシリル基。
【実施例】
【0061】
実施例−1
【化45】

4−ブロモ−2−フェニルオキサゾール(52mg, 0.23mmol)のテトラヒドロフラン(2.3ml)溶液に、アルゴン雰囲気下、ホウ酸トリイソプロピル(69μl, 0.30mmol)を加えて−78゜Cに冷却した。混合溶液に、ブチルリチウム(1.56M, ヘキサン溶液, 0.17ml, 0.28mmol)を加えて30分撹拌後、室温まで昇温して2時間撹拌した。得られたジイソプロポキシ(2−フェニルオキサゾール−4−イル)ボランを含む黄色反応混合液に、ピナコール(40mg, 0.35mmol)と酢酸(17μl, 0.30mmol)を加えて更に1時間攪拌した。反応溶液をろ過し不溶物を除去後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1→1:1)で精製して2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(41mg, 65%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.37(12H, s), 7.40−7.47(3H, m)、8.05(1H, s), 8.10−8.17(2H, m).
【0062】
実施例−2
【化46】

アルゴン雰囲気下、4−ブロモ−5−メチル−2−フェニルオキサゾール(20mg, 84μmol)のテトラヒドロフラン(1ml)溶液を−78゜Cに冷却し、ブチルリチウム(1.56M ヘキサン溶液, 58μl, 92μmol)を加えて30分撹拌した。反応溶液に、ホウ酸トリイソプロピル(23μl, 100μmol)を加えて更に1.5時間、室温で1.5時間撹拌した。得られたジイソプロポキシ(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イル)ボランを含む黄色反応混合液に、ピナコール(40mg, 0.35mmol)、酢酸(17μl, 0.30mmol)を加えて更に3時間室温で攪拌した。反応溶液をジエチルエーテル(10ml)で希釈した後、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1→1:1)精製して、5−メチル−2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(16mg, 65%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.36(12H, s), 2.56(3H, s), 7.38−7.50(3H, m), 8.06−8.17(2H, m).
【0063】
実施例−3
【化47】

4−ブロモ−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5−メチルオキサゾール(55mg, 0.15mmol)のテトラヒドロフラン(1.5ml)溶液に、アルゴン雰囲気下−78゜Cに冷却し、トリイソプロピルボレート(67μl, 0.3mmol)及びブチルリチウム(1.58Mヘキサン溶液, 0.18ml, 0.3mmol)を加えて、−78゜Cで30分、室温で30分反応させた。得られた[2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5−メチルオキサゾール−4−イル]ジイソプロポキシボランの黄色反応混合液にピナコール(55mg, 0.3mmol)、酢酸(17μl, 0.3mmol)を加え、更に室温で1時間反応させた。反応液をジエチルエーテル(50ml)で希釈した後水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=4:1→酢酸エチル)で精製して、2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(36mg, 58%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.15−1.40(24H, m), 1.67(6H, brs), 2.49(3H,brs), 4.20−4.30(1H, m), 4.46−4.56(1H, m).
【0064】
実施例−4
【化48】

トリフルオロメタンスルホン酸2−フェニルオキサゾール−4−イル(2g, 6.8mmol)の1,4−ジオキサン(25ml)溶液に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(236mg, 0.19mmol)、ビスピナコラートジボロン(1.9g, 7.5mmol)及び酢酸カリウム(1g, 10mmol)を加えて、アルゴン雰囲気下12時間加熱還流した。反応溶液をジエチルエーテル(150ml)で希釈した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1→1:1)で精製し、ヘキサン/エーテルで再結晶して2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(924mg, 50%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.37(12H, s), 7.40−7.47(3H, m), 8.05(1H, s), 8.10−8.17(2H, m).
【0065】
実施例−5
【化49】

トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(クロロホルム付加物)(12mg, 12μmol)、トリシクロへキシルホスフィン(17mg, 61μmol)の1,4−ジオキサン(1ml)溶液を、アルゴン雰囲気下室温で15分間撹拌した。トリフルオロメタンスルホン酸2’−tert−ブチルジメチルシリル−2,4’−ビオキサゾール−4−イル(97mg, 0.24mmol)の1,4−ジオキサン溶液(1.5ml)、ビスピナコラートジボロン(123mg, 0.48mmol)及び酢酸カリウム(71mg, 0.72mmol)を加えて30分加熱還流した。反応液を酢酸エチル(50ml)で希釈した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=2:1→1:1)で精製して、2’−tert−ブチルジメチルシリル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,4’−ビオキサゾール(57mg, 62%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 0.39(6H, s), 0.99 (9H, s), 1.36(12H, s), 8.06(1H, s), 8.50(1H, s).
【0066】
実施例−6
【化50】

2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(46mg, 0.17mmol)の1,4−ジオキサン(2ml)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(10mg, 0.008mmol)、炭酸カリウム(35mg, 0.25mmol)及びブロモベンゼン(0.032ml, 0.3mmol)を加えて、アルゴン雰囲気下5時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して2,4−ジフェニルオキサゾール(18mg, 48%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 7.30−7.55(6H, m), 7.79−7.88(2H, m), 7.97(1H, s), 8.10−8.19(2H, m).
【0067】
実施例−7
【化51】

2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(60.0mg, 0.22mmol)の1,4−ジオキサン(4ml)溶液に、2−クロロオキサゾール−4−カルボン酸エチル(86mg, 0.49mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(24mg, 0.017mmol)及び炭酸カリウム(85mg, 0.51mmol)を加えて、6時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して、2’−フェニル−2,4’−ビオキサゾール−4−カルボン酸エチル(50mg, 80%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.41(3H, t, J=5.0Hz), 4,43(2H, q, J=5.0Hz), 7.48−7.53(3H, m), 8.09−8.17(2H, m), 8.32(1H, s), 8.43(1H, s).
【0068】
実施例−8
【化52】

2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(60mg, 0.22mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(13mg, 11μmol)、炭酸カリウム(92mg, 0.66mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)懸濁液に、p−ブロモ安息香酸エチル(36μl, 0.22mmol)を加えて100℃で30分間撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=50:1→20:1)で精製して4−(4−エトキシカルボニルフェニル)−2−フェニルオキサゾール(54mg,83%)を得た。H NMR(500MHz, CDCl, ppm): δ 1.42(3H, t, J=7.1Hz), 4.41(2H, q, J=7.1Hz), 7.46−7.52(3H, m), 7.89−7.92(2H, m), 8.06(1H, s), 8.09−8.15(4H, m).
【0069】
実施例−9
【化53】

2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(60mg, 0.22mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(13mg, 11μmol)、炭酸カリウム(92mg, 0.66mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)懸濁液に、p−ブロモアニソール(28μl, 0.22mmol)を加えて100℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=50:1)で精製して4−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルオキサゾール(31mg, 56%)を得た。H NMR(500MHz, CDCl, ppm): δ 3.86(3H, s), 6.95−6.99(2H, m), 7.45−7.50(3H, m), 7.74−7.77(2H, m), 8.09−8.13(2H, m), 8.11(1H, s).
【0070】
実施例−10
【化54】

2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(60mg, 0.22mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(13mg, 11μmol)、炭酸カリウム(92mg, 0.66mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)懸濁液に、o−ブロモトルエン(27μl, 0.22mmol)を加えて100℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=30:1)で精製して4−(2−メチルフェニル)−2−フェニルオキサゾール(28mg, 54%)を得た。H NMR(500MHz, CDCl, ppm): δ 2.51(3H, s), 7.25−7.33(5H, m), 7.45−7.51(3H, m), 7.82(1H, s), 7.91−7.94(1H, m), 8.11−8.15(2H, m).
【0071】
実施例−11
【化55】

2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(60mg, 0.22mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(13mg, 11μmol)、炭酸カリウム(92mg, 0.66mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)懸濁液に、1−ブロモ−2−メチル−1−プロペン(23μl, 0.22mmol)を加えて100℃で1.5時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して4−(2−メチル−1−プロペニル)−2−フェニルオキサゾール(28mg, 65%)を得た。H NMR(500MHz, CDCl, ppm): δ 1.94(3H, s), 2.01(3H, s), 6.13(1H, s), 7.42−7.48(3H, m), 7.56(1H, s), 8.02−8.07(2H, m).
【0072】
実施例−12
【化56】

2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(60mg, 0.22mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(13mg, 11μmol)、炭酸カリウム(92mg, 0.66mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)懸濁液に、2−ブロモピリジン(21μl, 0.22mmol)を加えて100℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1→4:1)で精製して2−フェニル−4−(ピリジン−2−イル)オキサゾール(36mg, 73%)を得た。H NMR(500MHz, CDCl, ppm): δ 7.21−7.26(1H, ddd, J=1.0, 4.9, 7.5Hz), 7.46−7.52(3H, m), 7.79(1H, dt, J=1.7, 7.7Hz), 8.02(1H, d, J=7.9Hz), 8.12−8.16(2H, m), 8.32(1H, s), 8.61(1H, brd, J=4.3Hz).
【0073】
実施例−13
【化57】

2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(60mg, 0.22mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(13mg, 11μmol)、炭酸カリウム(92mg, 0.66mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)懸濁液に、2−ブロモチアゾール(20μl, 0.22mmol)を加えて100℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1→4:1)で精製して2−フェニル−4―(チアゾール−2−イル)オキサゾール(40mg, 80%)を得た。H NMR(500MHz, CDCl, ppm): δ 7.40(1H, d, J=3.2Hz), 7.48−7.52(3H, m), 7.88(1H, d, J=3.2Hz), 8.11−8.15(2H, m), 8.28(1H, s).
【0074】
実施例−14
【化58】

5−メチル−2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(20mg, 70μmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(4mg, 3.5μmol)、炭酸カリウム(29mg, 210μmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.5ml)懸濁液に、ブロモベンゼン(7.4μl, 0.22mmol)を加えて100℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して2,4−ジフェニル−5−メチルオキサゾール(16mg, 98%)を得た。H NMR(500MHz, CDCl, ppm): δ 2.62(3H, s), 7.31−7.35(1H, m), 7.42−7.48(5H, m), 7.72−7.75(2H, m), 8.07−8.10(2H, m).
【0075】
実施例−15
【化59】

5−メチル−2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(20mg, 70μmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(4mg, 3.5μmol)、炭酸カリウム(29mg, 210μmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.5ml)懸濁液に、2−ブロモチアゾール(6.3μl, 0.22mmol)を加えて100℃で2時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して5−メチル−2−フェニル−4−(チアゾール−2−イル)オキサゾール(15mg, 83%)を得た。H NMR(500MHz, CDCl, ppm): δ 2.81(3H, s), 7.34(1H, d, J=3.3Hz), 7.45−7.49(3H, m), 7.88(1H, d, J=3.3Hz), 8.06−8.10(2H, m).
【0076】
実施例−16
【化60】

5−メチル−2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(15.6mg, 0.055mmol)の1,4−ジオキサン(1.5ml)溶液に、2−クロロオキサゾール−4−カルボン酸エチル(17.6mg, 0.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5mg, 4.3μmol)及び炭酸カリウム(17mg, 0.13mmol)を加えて、5時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して、5’−メチル−2’−フェニル−2,4’−ビオキサゾール−4−カルボン酸エチル(14mg, 86%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.41(3H, t, J=7.0Hz), 2.82(3H, s), 4.42(2H, q, J=7.0Hz), 7.42−7.50(3H, m), 8.02−8.13(2H, m), 8.30(1H, s).
【0077】
実施例−17
【化61】

2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(50mg, 0.12mmol)の1,4−ジオキサン(1.5ml)溶液に、2−クロロオキサゾール−4−カルボン酸エチル(35mg, 0.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(7.7mg, 6.5μmol)及び炭酸カリウム(55mg, 0.4mmol)を加えて、2時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=5:1→4:1→2:1)で精製して、2’−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5’−メチル−2,4’−ビオキサゾール−4−カルボン酸エチル(43mg, 83%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.15−1.50(9H, m), 1.39(3H, d, J=5.0Hz), 1.40(3H, t, J=7.5Hz), 1.70(6H, s), 2.74(3H, s), 4.41(2H, q, J=7.5Hz), 4.31−4.60(2H, m), 8.26(1H, s).
【0078】
実施例−18
【化62】

2’−tert−ブチルジメチルシリル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,4’−ビオキサゾール(57.0mg, 0.15mmol)の1,4−ジオキサン(3ml)溶液に、2−ブロモオキサゾール−4−カルボン酸エチル(63mg, 0.29mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(28mg, 24μmol)及び炭酸カリウム(100mg, 0.72mmol)を加えて、2時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=4:1→2:1)で精製して、2”−tert− ブチルジメチルシリル−2,4’:2’,4”−ターオキサゾール−4−カルボン酸エチル(50mg, 85%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 0.41(6H, s), 1.01(9H, s), 1.41(3H, t, J=8.3Hz), 4.43(2H, q, J=8.3Hz), 8.31(1H, s), 8.43(1H, s), 8.53(1H, s).
【0079】
実施例−19
【化63】

トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(クロロホルム付加物)(5.6mg,5.4μmol)、トリo−トリルホスフィン(13mg, 43μmol)を1,4−ジオキサン(0.5ml)に溶解し、室温で30分撹拌した。反応混合液にトリフルオロメタンスルホン酸2’−ブロモ−5−トリメチルシリル−2,4’−ビオキサゾール−4−イル(90mg, 0.21mmol)の1,4−ジオキサン溶液(1.6ml)、2−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(88mg, 0.32mmol)及び炭酸ナトリウム(69mg, 0.65mmol)を加えて20時間加熱還流した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して、トリフルオロメタンスルホン酸2”−フェニル−5−トリメチルシリル−2,4’:2’,4”−ターオキサゾール−4−イル(59mg, 57%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 0.43(9H, s), 7.47−7.52(3H, m), 8.11−8.18(2H, m), 8.32(1H, s), 8.42(1H, s).
【0080】
実施例−20
【化64】

トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(クロロホルム付加物)(4.3mg,4.2μmol)、トリo−トリルホスフィン(10mg, 33μmol)を1,4−ジオキサン(0.5ml)に溶解し、室温で30分撹拌した。反応混合液に、2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)オキサゾール(40mg, 0.095mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸2’−ヨード−2,4’−ビオキサゾール−4−イル(68mg, 0.17mmol)の1,4−ジオキサン溶液(1.5ml)及び炭酸カリウム(69mg, 1.0mmol)を加えて2時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して、トリフルオロメタンスルホン酸2”−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5”−メチル−2,4’:2’,4”−ターオキサゾール−4−イル(38mg, 69%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.39(3H, d, J=6Hz), 1.21−1.71(15H, m), 2.76(3H, brs), 4.20−4.35(1H, m), 4.45−4.55(1H, m), 7.77(1H, s), 8.30(1H, brs).
【0081】
参考例−1
【化65】

2−フェニルオキサゾール−4(5H)−オン(50mg, 0.31mmol)のトルエン(3ml)溶液に、三臭化リン(0.6ml)を加えて5時間加熱還流した。反応溶液を0゜Cに冷却した後、氷を加えて水層をジエチルエーテル(100ml)で抽出し、抽出溶媒を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、4−ブロモ−2−フェニルオキサゾール(38mg, 50%))を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 7.40−7.50(3H, m), 7.69(1H, s), 7.96−8.05(2H, m).
【0082】
参考例−2
【化66】

プロパルギルアミン(0.59ml, 8.57mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液を0゜Cに冷却した後、トリエチルアミン(1.4ml, 10mmol)とベンゾイルクロリド(1ml, 8.57mmol)を加えて30分撹拌した。反応溶液をジエチルエーテル(150ml)で希釈した後、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して、N−プロパルギルベンズアミド(868mg, 63%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 2.27−2.29(1H, m), 4.20−4.30(2H, m), 6.20−6.60(1H, brs), 7.32−7.56(3H, m), 7.30−7.80(2H, m).
【0083】
参考例−3
【化67】

水素化ナトリウム(122mg, 3.3mmol)を1,4−ジオキサン(25ml)に懸濁させ、N−プロパルギルベンズアミド(592mg, 3.3mmol)を加えて30分室温で撹拌し、さらに4時間加熱還流した。反応溶液を室温まで戻した後に飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)を加えて反応を停止させた。反応混合液をジエチルエーテル(10ml)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して、5−メチル−2−フェニルオキサゾール(405mg、77%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 2.40(3H, m), 6.83(1H, m), 7.40−7.45(3H, m), 7.96−8.05(2H, m).
【0084】
参考例−4
【化68】

5−メチル−2−フェニルオキサゾール(195mg, 1.2mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(12ml)溶液に、N−ブロモコハク酸イミド(261mg, 1.5mmol)を加え、室温で6時間撹拌した。反応溶液をジエチルエーテル(50ml)で希釈した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して、4−ブロモ−5−メチル−2−フェニルオキサゾール(94mg, 32%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 2.39(3H, s), 7.40−7.47(3H, m), 7.91−8.00(2H, m).
【0085】
参考例−5
【化69】

1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.03g, 5.4mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.65g, 11mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液に、プロパルギルアミン(0.62ml, 9.0mmol)を加えて30分撹拌した後、3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−カルボン酸(932mg, 3.6mmol)のジクロロメタン溶液(20ml)を加えて室温で12時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル(300ml)で希釈し、3%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して3−tert−ブトキシカルボニル−N−プロパルギル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−カルボキサミド(892mg, 84%)を得た。得られた3−tert−ブトキシカルボニル−N−プロパルギル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−カルボキサミド(400mg, 1.35mmol)の1,4−ジオキサン溶液(12ml)を、アルゴン雰囲気下室温で、水素化ナトリウム(50mg, 1.35mmol)の1,3−ジオキサン(14ml)懸濁液に加えて室温で30分撹拌し、さらに1時間加熱還流した。反応溶液を室温に戻した後に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させ、ジエチルエーテル(150ml)で抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5−メチルオキサゾール(168mg、42%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.21−1.50(9H, m), 1.35(3H, d, J=6.0Hz), 1.69(6H, s), 2.31(3H, s), 4.20−4.30(1H, m), 4.35−4.50(1H, m), 6.69(1H, m).
【0086】
参考例−8
【化70】

2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5―メチルオキサゾール(300mg, 1.01mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)溶液に、N−ブロモコハク酸イミド(216mg, 1.21mmol)を加えて、遮光下48時間室温で攪拌した。反応混合液をジエチルエーテル(100ml)で希釈した後、水、3%塩酸で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1)で精製して4−ブロモ−2−(3−tert−ブトキシカルボニル−2,2,5−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−イル)−5−メチルオキサゾール(258mg, 68%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 1.23−1.50(9H, m), 1.35(3H, d, J=7.5Hz), 1.67(6H, s), 2.30(3H, s), 4.19−4.31(1H, m), 4.32−4.50(1H, m).
【0087】
参考例−9
【化71】

2−ブロモオキサゾール−4−カルボキサミド(1.0g, 5.2mmol)のジクロロメタン(50ml)懸濁液に塩化オキサリル(0.46ml, 5.2mmol)を加え、室温で2時間撹拌し、さらに12時間加熱還流した。反応液の溶媒を減圧下留去後、残渣をテトラヒドロフラン(50ml)に溶解した。その溶液にトリメチルシリルジアゾメタン(2.0Mジエチルエーテル溶液、2.62ml, 5.2mmol)を加え、室温で30分間反応させた後、−78゜Cに冷却しトリエチルアミン(1.45ml, 10.4mmol)とトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.97ml, 5.7mmol)を加えて、−78゜Cで2時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた後、ジエチルエーテル(200ml)で抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=50:1)で精製してトリフルオロメタンスルホン酸2’−ブロモ−5−トリメチルシリル−2,4’−ビオキサゾール−4−イル(427mg、20%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 0.40(9H, s), 8.29(1H, s).
【0088】
参考例−10
【化72】

トリフルオロメタンスルホン酸2’−ブロモ−5−トリメチルシリル−2,4’−ビオキサゾール−4−イル(425mg, 0.98mmol)のテトラヒドロフラン(3ml)溶液に、フッ化水素−ピリジン錯体(65〜70%, 0.28ml)を加えて室温で3時間撹拌した。反応混合液に酢酸エチル(50ml)を加えて希釈した後、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1)で精製してトリフルオロメタンスルホン酸2’−ブロモ−2,4’−ビオキサゾール−4−イル(288mg, 81%)を得た。そのトリフルオロメタンスルホン酸2’−ブロモ−2,4’−ビオキサゾール−4−イル(596mg, 1.6mmol)の酢酸(10ml)溶液に、亜鉛粉末(560mg, 8.5mmol)を加えて、60゜Cで5時間、80゜Cで4間加熱した。反応液を冷却後、不溶物をセライトろ過して除き、ろ液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=20:1→4:1)で精製してトリフルオロメタンスルホン酸2,4’−ビオキサゾール−4−イル(330mg, 71%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 7.78(1H, s), 8.02(1H, m), 8.32(1H, m).
【0089】
参考例−11
【化73】

トリフルオロメタンスルホン酸2,4’−ビオキサゾール−4−イル(89mg, 0.31mmol)のテトラヒドロフラン(3ml)溶液に、アルゴン雰囲気下−78゜Cでリチウムビストリメチルシリルアミド(1Mテトラヒドロフラン溶液, 0.34ml, 0.34mmol)を加えて30分間撹拌した。反応混合液に、トリフルオロメタンスルホン酸tert−ブチルジメチルシリル(78μl, 0.34mmol)を加えて、更に2時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2ml)を加えて、混合液をジエチルエーテル(50ml)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=50:1→4:1)で精製してトリフルオロメタンスルホン酸2’−tert−ブチルジメチルシリ−2,4’−ビオキサゾール−4−イル(97mg, 78%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 0.40(6H, s), 0.99(9H, s), 7.73(1H, s), 8.41(1H, s).
【0090】
参考例−12
【化74】

トリフルオロメタンスルホン酸2,4’−ビオキサゾール−4−イル(100mg, 0.35mmol)のテトラヒドロフラン(2ml)溶液に、アルゴン雰囲気下−78゜Cでリチウムビストリメチルシリルアミド(1Mテトラヒドロフラン溶液、 0.39ml, 0.39mmol)を加え30分間撹拌した。反応溶液に、ヨウ素(100mg, 0.39mmol)のテトラヒドロフラン溶液(2ml)を加えて、更に10分間撹拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2ml)を加えて反応を停止させ、ジエチルエーテル(50ml)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン:酢酸エチル=10:1)で精製してトリフルオロメタンスルホン酸2’−ヨード−2,4’−ビオキサゾール−4−イル(128mg, 89%)を得た。H NMR(250MHz, CDCl, ppm): δ 7.76(1H, s), 8.34(1H, s).
【0091】
比較実施例−1
オキサゾール(100mg, 1.45mmol)のテトラヒドロフラン(4ml)溶液に、アルゴン雰囲気下−78゜Cでリチウムジイソプロピルアミド(1Mテトラヒドロフラン溶液、1.6ml, 1.60mmol)を加え2時間間撹拌した。反応溶液に、ホウ酸トリメチル(312mg, 3.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(2ml)を加えて、更に2時間撹拌し、室温で2時間撹拌した。反応混合液に農塩酸(2ml)を加えて反応を停止させ、ジエチルエーテル(10ml)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮したが目的のオキサゾール−2−イルボロン酸は生成していなかった。
【0092】
比較実施例−2
オキサゾール−4−イルカルボン酸エチル(100mg, 0.71mmol)のテトラヒドロフラン(4ml)溶液に、アルゴン雰囲気下−78゜Cでリチウムジイソプロピルアミド(1Mテトラヒドロフラン溶液、0.78ml, 0.78mmol)を加え2時間間撹拌した。反応溶液に、ホウ酸トリメチル(156mg, 1.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液(2ml)を加えて、更に2時間撹拌し、室温で2時間撹拌した。反応混合液に農塩酸(1ml)を加えて反応を停止させ、ジエチルエーテル(10ml)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し得たが目的の4−エトキシカルボニルオキサゾール−2−イルボロン酸は生成していなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいC〜C11アラルキル基、置換していてもよいC〜Cアルケニル基、置換していてもよいC〜Cアルキニル基、置換していてもよい芳香族基、水酸基の保護基で保護されていてもよい水酸基、置換していてもよいC〜Cアルコキシ基、ホルミル基、置換していてもよいC〜Cアシル基、置換していてもよいC〜Cアルコキシカルボニル基、置換していてもよいカルバモイル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換していてもよいアミノ基、置換していてもよい複素環基または置換していてもよいシリル基を表す。Rは水素原子、置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいC〜C11アラルキル基、置換していてもよいC〜Cアルケニル基、置換していてもよいC〜Cアルキニル基、置換していてもよい芳香族基、水酸基の保護基で保護されていてもよい水酸基、置換していてもよいC〜Cアルコキシ基、ホルミル基、置換していてもよいC〜Cアシル基、置換していてもよいC〜Cアルコキシカルボニル基、置換していてもよいカルバモイル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換していてもよいアミノ基、置換していてもよい複素環基または置換していてもよいシリル基を表す。R及びRは同一または相異なって水素原子、置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいフェニル基または置換していてもよいC〜C11アラルキル基を表す。RとRが一体となって環を形成してもよい。)で示されるオキサゾール誘導体。
【請求項2】
一般式(2)
【化2】

(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。Xはハロゲン原子を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、一般式(3)
【化3】

(式中、Rは置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいフェニル基または置換していてもよいC〜C11アラルキル基を表す。)で示されるホウ酸エステルとを、塩基存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1a)
【化4】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法。
【請求項3】
塩基がブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウムである請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
一般式(1a)
【化5】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、水、あるいは一般式(4)
【化6】

(式中、Rは置換していてもよいC〜Cアルキル基、置換していてもよいC〜Cシクロアルキル基、置換していてもよいフェニル基または置換していてもよいC〜C11アラルキル基を表す。)で示されるアルコール類、あるいは一般式(5)
【化7】

(Qは置換していてもよいエチレン基、置換していてもよいトリメチレン基または置換していてもよいo−フェニレン基を表す。)で示されるジオール類とを、酸触媒存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化8】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法。
【請求項5】
一般式(2)
【化9】

(式中、R、R及びXは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、一般式(3)
【化10】

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるホウ酸エステルとを、塩基存在下に反応させることにより、一般式(1a)
【化11】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体を得、次いで、水、あるいは一般式(4)
【化12】

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるアルコール類、あるいは一般式(5)
【化13】

(Qは前記と同じ意味を表す。)で示されるジオール類とを、酸触媒存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化14】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法。
【請求項6】
塩基がブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウムである請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
一般式(6)
【化15】

(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。Xは脱離基を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、一般式(7)
【化16】

(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるホウ素試薬とを、金属触媒存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化17】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法。
【請求項8】
金属触媒がパラジウム触媒である請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
一般式(7)で示される化合物がビス(カテコラート)ジボロン、ビス(ピナコラート)ジボロン、ビス(エチレングリコラート)ジボロンまたはビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロンである請求項7または8に記載の製造方法。
【請求項10】
一般式(1)
【化18】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体を成分とするオキサゾリル基導入試薬。
【請求項11】
一般式(1)
【化19】

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体と、一般式(8)
【化20】

(式中、Rは置換していてもよいC〜C11アラルキル基、置換していてもよいC〜Cアルケニル基、置換していてもよいC〜Cアルキニル基、置換していてもよい芳香族基、置換していてもよいC〜Cアシル基を表す。Xは脱離基を表す。)で示される化合物とを、金属触媒存在下に反応させることを特徴とする、一般式(9)
【化21】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキサゾール誘導体の製造方法。
【請求項12】
金属触媒がパラジウム触媒である請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
が置換していてもよい芳香族基である、請求項11または12に記載の製造方法。



【公開番号】特開2007−145806(P2007−145806A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260513(P2006−260513)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】