説明

オキシトシン受容体アンタゴニストとしてのピペラジンジオン

式(I):[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは2,6−ジメチル−3−ピリジルまたは4,6−ジメチル−3−ピリジルから選択される基であり、Rはメチルを表して、Rは水素またはメチルを表すか、あるいはRとRはそれらの結合する窒素原子と一緒になってモルホリノを表す]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体、その製法、該化合物を含有する医薬組成物および医療における使用、特にオキシトシンアンタゴニストとしての使用が記載されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシトシン受容体にて強力かつ選択的なアンタゴニスト作用を有する新規なジケトピペラジン誘導体に、その製法に、該化合物を含有する医薬組成物に、およびその医学における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オキシトシンホルモンは子宮の強力な収縮剤であり、陣痛の誘発または増幅に使用される。また、子宮オキシトシン受容体の密度は妊娠の間に100倍より大きく有意に増加し、陣痛(早期および満期)にてピークに達する。
早産/早期陣痛(24週と37週の間)は約60%の乳児の死亡/死亡率を生じさせる。かくしてオキシトシンの子宮作用を阻害する化合物、例えばオキシトシンアンタゴニストは、早期陣痛の防止または制御に有用であるはずである。
【0003】
国際特許出願WO99/47549は、フルクトース1,6−ビスホスフェート(FBPase)の阻害剤としての3−ベンジル−2,5−ジケトピペラジン誘導体を含むジケトピペラジン誘導体を記載する。
【0004】
国際特許出願WO03/053443は、オキシトシン受容体にて選択的なアンタゴニストとして特に有用なレベルの活性を示す一連のジケトピペラジン誘導体を記載する。そこに記載の一連の好ましい化合物は、式(A):
【化1】

で示される。
かかる化合物は、とりわけ、Rが2−インダニルであり、RがC3−4アルキルであり、Rが環中の炭素原子を介して分子の残基に結合した5または6員のヘテロアリール基であり、RがNR基(RおよびRは、各々、アルキル、例えばメチルであるか、またはRおよびRはその結合する窒素原子と一緒になって3−ないし7−員の飽和複素環式環を形成し、その複素環は酸素より選択される付加的なヘテロ原子を含有してもよい)を表すところの、化合物を包含する。
【0005】
国際特許出願WO2005/000840は、式(B):
【化2】

[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イルであり、RおよびRはその結合する窒素原子と一緒になってモルホリノを表す]
で示されるジケトピペラジン誘導体を記載する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この度、本発明者らは、特に有利な薬物動態プロファイルを示す、一群の新規な選択的オキシトシン受容体アンタゴニストを見出した。
本発明は、かくして、式(I):
【化3】

[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは2,6−ジメチル−3−ピリジルまたは4,6−ジメチル−3−ピリジルから選択される基であり、Rはメチルを表して、Rは水素またはメチルを表すか、あるいはRとRはそれらの結合する窒素原子と一緒になってモルホリノを表す]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される少なくとも1つの化学物質を提供する。
【0007】
式(I)の化合物は、R、RおよびR基を有する不斉炭素原子が、すなわち、これらの位置での空間的配置が常に(R)であるように示される、絶対立体化学を有することが分かるであろう。それでも、かかる化合物は実質的にはR、RおよびRの各々で(S)−エピマーを含まないが、各エピマーは少量にて存在しうること、例えば、1%以下の(S)−エピマーが存在してもよいことも認識すべきである。
【0008】
基が不斉炭素原子を含有し、本発明がその(R)−および(S)−エピマーの両方を含むことも理解されよう。
本発明の一の実施形態においては、Rは(1S)−1−メチルプロピルである。本発明のもう一つ別の実施形態においては、Rは(1R)−1−メチルプロピルである。
【0009】
本発明の一の実施形態は、その調製が実施例1、2、3および6に具体的に記載されている、化合物である。本発明のもう一つ別の実施形態は、その調製が実施例1、2および3に具体的に記載されている化合物である。本発明のさらなる実施形態は、その調製が実施例3および6に具体的に記載されている化合物である。本発明のさらなる別の実施形態は、その調製が実施例3に具体的に記載されている化合物である。本発明のもう一つ別の実施形態は、その調製が実施例1に具体的に記載されている化合物である。
【0010】
一の態様において、本発明にて有用な化学物質は:
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−メチルエタンアミド;
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N,N−ジメチルエタンアミド;
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N,N−ジメチルエタンアミド;
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−メチルエタンアミド;
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
ならびにその医薬上許容される誘導体
より選択される少なくとも1つの化学物質であってもよい。
【0011】
本明細書にて用いる場合、「医薬上許容される」なる語は、医薬用途に適する化合物を意味する。医薬用途に適する本発明の化合物の塩および溶媒和物は、そのカウンターイオンまたは結合溶媒が医薬上許容されるものである。しかし、医薬上許容されないカウンターイオンまたは結合溶媒を有する塩および溶媒和物も、例えば、本発明の他の化合物ならびにその医薬上許容される塩および溶媒和物の調製における中間体として用いるため、本発明の範囲内にある。
【0012】
本明細書にて用いる場合、「医薬上許容される誘導体」なる語は、被験者に投与されると、本発明の化合物あるいはその活性代謝物または残基の提供能を(直接的または間接的に)有する、本発明の化合物の医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ、例えばエステルのいずれをも意味する。かかる誘導体は、当業者であれば過度の実験を行うことなく理解しうる。とは言っても、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 5 th Edition, Vol 1: Principles and Practiceの教示に言及するものであり、かかる誘導体に対する教示を出典を明示することでその内容を本明細書の一部とする。一の態様において、医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物、エステル、カルバメートおよびホスフェートエステルである。もう一つ別の態様において、医薬上許容される誘導体は塩、溶媒和物、エステル、カルバミン酸エステルおよびリン酸エステルである。一の態様において、医薬上許容される誘導体は塩、溶媒和物およびエステルである。さらなる態様において、医薬上許容される誘導体は塩および溶媒和物である。もう一つ別の態様において、医薬上許容される誘導体は生理学的に許容される塩である。
【0013】
本発明の化合物の適当な生理学的に許容される塩として、生理学的に許容される無機酸または有機酸とで形成される酸付加塩が挙げられる。かかる酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸、スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸およびマレイン酸が挙げられる。
本発明はまた、式(I)の化合物の溶媒和物、例えば、水和物、または、限定されるものではないが、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、アセトン、エーテル、エステル、例えば酢酸エチルを含む、医薬上許容される溶媒との溶媒和物に関する。
【0014】
本発明の化合物はまた、他の治療薬と組み合わせて用いてもよい。かくして、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体をさらなる治療薬と一緒に含む組み合わせを提供する。
【0015】
本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を、同じ病態に対して活性である第二治療薬と組み合わせて用いる場合、各化合物の用量は、その化合物を単独で用いる用量とは異なるかもしれない。当業者であれば、適量を容易に認識するであろう。治療に用いるのに必要な本発明の化合物の量は、治療される状態の性質、患者の年齢および状態で変化するであろうし、最終的には顧問医または獣医の判断であろう。本発明の化合物は子宮収縮阻害薬または予防薬と組み合わせて用いてもよい。これらは、限定されるものではないが、テルブタリンまたはリトドリンなどのベータ−アゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、例えばニフェデピン、非ステロイド系抗炎症薬、例えばインドメタシン、マグネシウムの塩、例えば硫酸マグネシウム、他のオキシトシンアンタゴニスト、例えばアトシバン、およびプロゲステロンアゴニストおよび処方を包含する。加えて、本発明の化合物はベータメタゾンおよびデキサメタゾンを含む出生前ステロイド、妊婦用ビタミン、特に葉酸補充剤、抗生物質、限定されるものではないが、アンピシリン、アモキシリン/クラブラン酸塩、メトロニダゾール、クリンダマイシンおよび不安解消薬と組み合わせて用いられてもよい。
【0016】
上記の組み合わせは、都合よくは、医薬処方の形態における使用のために供されてもよく、上記した組み合わせと医薬上許容される担体または賦形剤とを含む医薬処方は本発明のさらなる態様を形成する。かかる組み合わせの個々の成分は、都合のよい経路により、連続的に、あるいは同時に、別々のまたは組み合わせた医薬処方のいずれで投与されてもよい。
連続的に投与する場合、本発明の化合物または第二治療薬のいずれが最初であってもよい。同時に投与する場合、その組み合わせは同じまたは異なる医薬組成物のいずれで投与されてもよい。
【0017】
同じ処方中に組み合わせる場合、2種の化合物は安定しており、相互におよび処方の他の成分と混和性でなければならない。別々に処方される場合、それらは都合よくは当該分野にてかかる化合物に対して公知の方法にて、いずれか都合のよい処方にて提供されてもよい。
【0018】
式(I)の化合物はラットおよびヒトの子宮上のオキシトシン受容体に対して強いアフィニティを有しており、このことは一般的手段を用いて測定され得る。例えば、ラットの子宮上のオキシトシン受容体に対するアフィニティは、Pettiboneら、Drug Development Research 30. 129-142(1993)の操作により測定され得る。本発明の化合物はまた、CHO細胞のヒト組換えオキシトシン受容体で高いアフィニティを示し、このことは、都合よくは、Wyattら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、2001(11)1301-1305頁に記載の操作を用いて測定され得る。
【0019】
本発明の化合物は、良好な水溶性を伴う良好な生体利用能を含め、有利な薬物動態プロファイルを示す。一の態様にて、本発明の化合物は良好な効能および固有の低クリアランスを示す。もう一つ別の態様において、本発明の化合物は固有の低クリアランスを示す。
本発明の化合物は、したがって、オキシトシンの作用を介して媒介される疾患および/または症状の治療または予防にて有用である。かかる疾患および/または症状の例として、早期陣痛、月経困難症、子宮内膜症および良性前立腺過形成が挙げられる。
【0020】
該化合物はまた、選択しうる帝王切開または患者を三次医療センターに移す前に、性的機能不全(男性および女性)、特に早漏、肥満、食事障害、鬱血性心不全、動脈性高血圧、肝硬変、腎臓性高血圧または高眼圧症、強迫障害および神経精神障害の治療の前に、陣痛を遅らせるのに有用でもある。本発明の化合物はまた、動物、例えば家畜の出産率を改良するのにも有用である。
したがって、本発明は、治療にて用いるための、特にヒトまたは家畜の治療にて用いるための、とりわけオキシトシンのオキシトシン受容体に対する作用を拮抗するための医薬として用いるための、式(I)の化合物および/またはその医薬上許容される誘導体より選択される少なくとも1種の化学物質を提供する。
【0021】
本発明はまた、オキシトシンのオキシトシン受容体に対する作用を拮抗するための医薬の製造における、式(I)の化合物および/またはその医薬上許容される誘導体より選択される少なくとも1種の化学物質の使用を提供する。
【0022】
さらなる態様によれば、本発明はまた、オキシトシンのオキシトシン受容体に対する作用を拮抗する方法であって、その必要とする患者に、拮抗量の少なくとも一つの式(I)の化合物および/またはその医薬上許容される誘導体より選択される化学物質を投与することを含む、方法を提供する。
本明細書の治療に対する言及は予防ならびに確立された疾患または徴候の治療にまで及ぶことは当業者に明らかであろう。
【0023】
さらには、治療にて用いるのに必要とされる本発明の化合物の量は、治療される症状の特性、投与形路および患者の年齢および状態で変化し、最終的には顧問医の判断であろう。一般に、成人の治療に利用される用量は、典型的には、投与形路に応じて、2ないし1000mg/日の範囲にあるであろう。
かくして、非経口投与の場合、一日の用量は、典型的には、2ないし50mg、好ましくは5ないし25mg/日の範囲にあるであろう。経口投与の場合、一日の用量は、典型的には、10ないし1000mg、例えば50ないし500mg/日の範囲内にあるであろう。
【0024】
望ましい用量は、都合よくは、単回用量にて、あるいは適当な間隔で投与される分割された用量として、例えば一日に付き2回、3回、4回またはそれ以上の細分用量として提供されてもよい。
治療にて用いる場合、本発明の化合物は原料として投与されることも可能であるが、医薬処方の活性成分として投与されることが好ましい。
【0025】
かくして、本発明は、さらには、式(I)の化合物および/またはその医薬上許容される誘導体と、1個または複数の医薬上許容される担体と、所望により他の治療および/または予防成分とを一緒に含む医薬処方を提供する。担体は、処方の他の成分と適合しうるという意味で「許容される」ものでなければならず、その受容者に有害であってはならない。
本発明の組成物は、経口、バッカル、非経口、吸入または注入、インプラント、膣または直腸投与用に特に処方された形態のものを包含する。
【0026】
経口投与用の錠剤およびカプセルは、結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、澱粉粘液またはポリビニルピロリドン;充填剤、例えばラクトース、ショ糖、微結晶セルロース、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウムまたはソルビトール;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えばイモ澱粉または澱粉グリコール酸ナトリウム、またはラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤等の慣用的な賦形剤を含有してもよい。錠剤は当該分野にて周知の方法によりコーティングされていてもよい。経口用液体製剤は、例えば水性または油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、あるいは使用前に水または他の適当なビヒクルで復元される乾燥生成物として与えられてもよい。かかる液体製剤は、懸濁化剤、例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/ショ糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは硬化食用脂;乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアカシア;非水性ビヒクル(食用油を含んでいてよい)、例えばアーモンド油、分別ココヤシ油、油性エステル、プロピレングリコールまたはエチルアルコール;界面活性剤、例えばポリソルベートまたはシクロデキストリンなどの可溶化剤;および保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルあるいはアスコルビン酸などの慣用的な添加剤を含有してもよい。該組成物はまた、例えばカカオ脂または他のグリセリドなどの慣用的な坐剤用基剤を含有する坐剤として処方されてもよい。
【0027】
バッカル投与の場合、該組成物は慣用的操作にて処方された錠剤またはロゼンジの形態を取ることができる。
本発明の組成物は注射または点滴による非経口投与用に処方されてもよい。注射用の処方は、単回投与のアンプルの形態にて、あるいは保存剤を加えた複数回投与用の容器にて与えられてもよい。該組成物は、かかる形態を油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンとして取ってもよく、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの処方剤を含有してもよい。また、活性成分は、使用前に適当なビヒクル、例えば滅菌した発熱物質不含水で復元する粉末形態であってもよい。
【0028】
本発明の組成物は、0.1−99%の活性成分、都合よくは錠剤およびカプセルの場合に1−50%の活性成分、液体製剤の場合に3−50%の活性成分を含有してもよい。
本発明の化合物の有利な薬物動態プロファイルは、生物学的に活性な化合物の薬物動態特性を測定する通常の操作を用いて容易に測定される。
本発明の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、本発明のさらなる態様を構成する、以下に記載の操作により調製される。以下の記載において、基は、特記しない限り、本発明の化合物について上記したとおりである。
【0029】
式(I)の化合物は、カルボン酸(II):
【化4】

(ここで、R、RおよびRは式(I)の記載と同意義であり、Rのキラリティは(R)または(S)あるいはその混合物である)またはその活性化誘導体を、アミン HNR(ここで、RおよびRは式(I)の記載と同意義である)と、カルボン酸またはその活性化誘導体とアミンとからアミドを調製する標準条件下で、反応させて調製することができる。
【0030】
上記の反応より得られる式(I)の化合物のジアステレオマーの混合物は、当該分野にて周知の標準的分割技法、例えばカラムクロマトグラフィーを用いて分離することができる。
かくして、式(I)のアミドは、式(II)のカルボン酸を、BOP(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘテロフルオロリン酸塩)、TBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロホウ酸塩)、BOP−Cl(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド)、塩化オキサリルまたは1,1’−カルボニルジイミダゾールなどの活性化剤と、トリエチルアミンなどの非プロトン性溶媒中、所望によりトリエチルアミンなどの第三アミンの存在下で処理し、その後、こうして形成された生成物、すなわち式(II)の化合物の活性化誘導体を、アミン HNRと反応させることで調製され得る。
【0031】
別法として、式(I)のアミドは、カルボン酸(II)(ここで、R、RおよびRは式(I)の記載と同意義である)から誘導される混合無水物をアミン HNRとテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中で反応させることで調製することができる。都合よくは、該反応は低温、例えば25℃ないし−90℃、都合よくは約−78℃で実施される。
混合無水物は、都合よくは、カルボン酸(II)を、適当な酸塩化物、例えば塩化ピバロリルと、トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンなどの第三有機塩基の存在下、低温、例えば25℃ないし−90℃、都合よくは約−78℃で、酢酸エチルなどの非プロトン性溶媒中で反応させることで調製される。
【0032】
式(I)の化合物はまた、式(III):
【化5】

[式中、R、RおよびRは式(I)の記載と同意義であり、Rは2−ヒドロキシフェニルを意味する]
で示される化合物を、1,1'−カルボニルジイミダゾールまたは1,1'−チオカルボニルジイミダゾールと、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で反応させ、その後、このように形成された生成物をアミン HNRと反応させることで調製され得る。
【0033】
式(II)の化合物は、式(III)の化合物(式中、Rは2−ヒドロキシフェニルである)を、1,1'−カルボニルジイミダゾールまたは1,1−チオカルボニルジイミダゾールと、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で反応させ、その後、こうして形成された生成物を水性アセトンと反応させることで調製され得る。
式(III)の化合物(式中、Rは2−ヒドロキシフェニルである)は、対応する式(III)の化合物(式中、Rは2−ベンジルオキシフェニル基である)を水素およびパラジウム触媒を用いて水素添加分解することで調製され得る。
【0034】
別法として、式(III)の化合物(式中、Rは2−ヒドロキシフェニルである)は、式(IV):
【化6】

[式中、R、RおよびRは式(I)の記載と同意義であり、Rは2−ベンジルオキシフェニルであり、Rはベンジルオキシカルボニルであり、RはC1−6アルキルを意味する]
で示される化合物を、パラジウム/チャコール触媒の存在下で水素と、そして酢酸と反応させることで調製され得る。この反応は、都合よくは、エタノール、トリフルオロエタノールまたはその混合液などの溶媒中で実施される。
【0035】
式(IV)の化合物は、アミノエステル塩酸塩(V):
【化7】

[ここで、Rは式(I)の記載と同意義であり、RはC1−6アルキルである]
を、アルデヒド:RCHO(VI)[ここで、Rは式(I)の記載と同意義である]と、トリエチルアミンの存在下、トリフルオロエタノールなどの溶媒中で反応させ、ついで得られた生成物を、化合物(VII):
【化8】

[ここで、Rは式(I)の記載と同意義であり、Rはt−ブチルオキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルである]
およびイソシアニド:CNR(VIII)[ここで、Rは2−ベンジルオキシフェニル基である]と、トリフルオロエタノールなどの溶媒中で反応させることにより調製され得る。
【0036】
式(III)の化合物[式中、Rは2−ベンジルオキシフェニル基である]は、式(IV)の化合物[式中、R、RおよびRは式(I)の記載と同意義であり、Rは2−ベンジルオキシフェニルであり、Rはt−ブチルオキシカルボニルである]を、塩化水素と、ジオキサン中で反応させ、つづいてトリエチルアミンとジクロロメタンなどの溶媒中で反応させることにより調製され得る。
式(IV)の化合物[式中、Rはt−ブチルオキシカルボニルである]は、式(VII)の化合物[式中、Rはt−ブチルオキシカルボニルである]を用い、上記した反応経路により調製され得る。
【0037】
置換基は1−メチルプロピル基であり、式(I)の化合物[式中、Rは(S)または(R)配置の1−メチルプロピル基である]は、アミノエステル塩酸塩(V)[ここで、R基は必要とされる(S)または(R)配置である]を用いて開始することで調製され得る。
アミノエステル塩酸塩(V)[ここで、Rは式(I)の記載と同意義であり、RはC1−6アルキルである]は、Schmidt, U;Kroner, M;Griesser, H. Synthesis(1989)、(11)、832-5の方法により、その対応する市販のアミノ酸、D−アロイソロイシンまたはD−イソロイシンより調製され得る。
【0038】
アルデヒド:RCHO(VI)[ここで、Rは式(I)の記載と同意義である]は、市販されているか、文献記載の方法(Comins, Daniel L.;Weglarz, Michael A.;J.Org.Chem.;53;19;1988;4437-4442)により調製されるかのいずれかである。
【0039】
アミノ酸誘導体(VII)[ここで、Rは式(I)の記載と同意義であり、Rはt−ブチルオキシカルボニルである]は商業的に入手可能であり;アミノ酸誘導体(VII)[ここで、Rは式(I)の記載と同意義であり、Rはベンジルオキシカルボニルである]は、対応する市販のアミノ酸:(R)−RCH(NH)COH(IX)[ここで、Rは式(I)の記載と同意義である]をN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミドおよびトリエチルアミンと水中ジオキサンなどの溶媒中で処理することで調製され得る。
【0040】
イソシアニドCNR(VIII)は文献記載の方法に従って調製することができる(Obrecht, Roland;Herrmann, Rudolf;Ugi, Ivar、Synthesis、1985、4、400-402)。
式(I)の化合物の酸付加塩は、慣用的手段、例えば、該化合物のジクロロメタンまたはアセトンなどの適当な溶媒中溶液を、適当な無機または有機酸の適当な溶液で処理することにより調製することができる。
以下の実施例は例示であり、本発明の実施形態を限定するものではない。
【0041】
実験
命名法
中間体および実施例のすべては、イジスドロー(ISISDraw)のACD Name Pro6.02を用いて命名した。
略語
CV:カラム容量;一のカラム容量を充填カラム中で吸着剤により占められる容量として定義する。これは使用される個々の吸着剤の質量および密度より大体の容量として計算することができる(1CV=質量を密度で割ったものである)。
【0042】
一般的精製および分析方法
分析用HPLCは、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3cmx4.6mmID)上で、水中0.1%HCOHおよび0.01M酢酸アンモニウム(溶媒A)、およびアセトニトリル中0.05%HCOHおよび5%水(溶媒B)で、溶出勾配1:0−0.7分の0%B、0.7−4.2分の0%−100%B、4.2−5.3分の100%B、5.3−5.5分の0%Bあるいは溶出勾配2:0−0.7分の0%B、0.7−4.2分の0%−100%B、4.2−4.6分の100%B、4.6−4.8分の0%Bを3ml/分の流速を用いて溶出して行われた。保持時間(Rt)は分で示される。マススペクトル(MS)は、エレクトロスプレーポジティブ[MH+およびM(NH4)+分子イオンを得るのにES+ve]モードまたはエレクトロスプレーネガティブ[(M−H)−分子イオンを得るのにES−ve]モードを用いてWaters ZQ 2000マススペクトロメーターに記録された。H NMRスペクトルは、外部標体としてテトラメチルシランを用い、Bruker DPX 400MHzを利用して記録された。
【0043】
シリカカートリッジを用いる精製は、Presearchより供給されるRedisep(登録商標)カートリッジでのCombiflash(登録商標)CompanionTMを用いて行われるクロマトグラフィーをいう。疎水性フリットはWhatmanより販売されている濾過チューブをいう。SPE(固相抽出法)はInternational Sorbent Technology Ltdより販売されているカートリッジの使用をいう。TLC(薄層クロマトグラフィー)はシリカゲル60F254でコーティングされたMerckより販売されているTLCプレートの使用をいう。
【0044】
中間体1
【化9】

N−[(2R)−2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)アセチル]−N−[1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−オキソ−2−({2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アミノ)エチル]−D−アロイソロイシン酸メチル
【0045】
メタノール(50mL)および2,2,2−トリフルオロエタノール(50mL)中の2,6−ジメチルピリジン−3−カルボキシアルデヒド(Aurora Feinchemie GmbH)(2.00g、16.1ミリモル)および(D)−アロイソロイシンメチルエステル塩酸塩(2.93g、16.1ミリモル)をトリエチルアミン(2.24mL、16.1ミリモル)で処理し、その混合物を窒素下室温で20時間攪拌した。
(2R)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)エタン酸(5.24g、16.1ミリモル)および2−ベンジルオキシフェニルイソニトリル(3.37g、16.1ミリモル)を添加し、該混合物を窒素下室温で4日間攪拌した。該混合物を減圧下で濃縮し、ついで水性炭酸水素ナトリウム(6mL)を加えた酢酸エチル(150mL)と水(150mL)の間に分配した。その水相を酢酸エチル(50mL)で逆抽出し、合した有機抽出液を炭酸水素ナトリウム半飽和水溶液、塩化アンモニウムおよび塩化ナトリウム(各々、100mL)で連続して抽出し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて粗生成物(12.01g)を得た。これをシクロヘキサン中20−50%酢酸エチルで溶出するRedisepシリカカラム(330g)に付して精製し、7.46gの標記化合物を一対のジアステレオマーとして得た。
HPLC Rt=3.88および3.96分(勾配1);m/z[M+H]=797
【0046】
中間体2
【化10】

2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−(2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド
【0047】
N−[(2R)−2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−({[(フェニルメチル) オキシ]カルボニル}アミノ)アセチル]−N−[1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−オキソ−2−({2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アミノ)エチル]−D−アロイソロイシン酸メチル粗製物(中間体1)(7.46g)をエタノール(150mL)および酢酸(10mL)に溶かし、該混合物を炭素上10%パラジウム(Degussa型)(1:1(w:w)の水で湿らせて1.8g)上、1気圧のH下で18時間水素添加した。該反応混合物を減圧下で蒸発させて残渣を酢酸エチルと水の間に分配し、水相が塩基性(pH8)になるまで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を添加した。水相を酢酸エチルで抽出し、合した有機抽出液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液:水(3:1、100mL)で、ついで飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物を酢酸エチル中0−10%メタノールで溶出するRedisepシリカカラム(120g)に付して精製し、標記化合物を一対のジアステレオマーとして得た(2.94g)。
HPLC Rt=2.75および2.81分(勾配2);m/z[M+H]=541。
【0048】
中間体3
【化11】

2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−{2−[(フェニルメチル)オキシ]−フェニル}アセトアミド
【0049】
4,6−ジメチル−3−ピリジンカルボアルデヒド(2.52g)およびD−アロイソロイシン酸メチル塩酸塩(3.4g)を2,2,2−トリフルオロエタノール(50ml)に溶かした。これに、トリエチルアミン(2.61ml)を添加し、該反応混合物を18時間放置した。(2R)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−カルボニル}アミノ)エタン酸(5.44g)および2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニルイソシアニド(4.18g)をメタノール(10ml)と一緒に該反応混合物に加え、その溶液を室温で3日間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をジクロロメタンと水の間で分離させた。有機相を疎水性フリットに通し、真空下で蒸発させた。残渣をジオキサン中4N塩化水素(50ml)に溶かし、該反応混合物を4時間放置した。溶媒を真空下で除去し、残渣をジクロロメタン(200ml)に溶かした。これにトリエチルアミン(20ml)を加え、該反応混合物を20時間放置した。該反応混合物をジクロロメタンと水の間で分離させた。有機相を疎水性フリットに通し、真空下で蒸発させた。残渣を4x90gのBiotageカラムに充填し、シクロヘキサン/酢酸エチル(1:1、1:2v/v)および酢酸エチルで溶出した。必要とされるフラクションを合し、真空下で蒸発させて2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アセトアミド(5.55g、47%)を黄褐色の泡沫体として得た。
HPLC Rt=3.43、3.45分、勾配1);m/z[M+H]=631。
参考資料:
1. Comins, Daniel L.;Weglarz, Michael A.;J. Org. Chem.;53;19;1988;4437-4442
【0050】
中間体4
【化12】

2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−(2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド
【0051】
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−{2−[(フェニルメチル)オキシ]フェニル}アセトアミド(中間体3)(3.30g)をエタノール(75ml)に溶かし、パラジウム/チャコール(湿った状態の10%Pd、0.50g)上で20時間水素添加に付した。触媒を濾過で除去し、ジクロロメタンで洗浄した。合した濾液および洗液を真空下で蒸発させた。残渣を90gのBiotageカラムに充填し、酢酸エチルで溶出した。必要とされるフラクションを合し、真空下で蒸発させて2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−(2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド(2.43g、87%)を淡黄色固体として得た。
HPLC Rt=2.86分(勾配1);m/z[M+H]=541。
【0052】
中間体5
{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)酢酸 塩酸塩
【化13】

【0053】
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−(2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド(24.25g、45ミリモル)(中間体2)および1,1'−カルボニルジイミダゾール(11.7g、72ミリモル)を乾燥ジクロロメタン(200ml)に溶かし、窒素下で20時間放置した。溶媒を真空下で除去し、残渣をアセトン(200ml)および2N塩酸(20ml)に溶かした。20時間攪拌した後、溶媒を真空下で除去し、残渣をメタノール(50ml)に溶かした。該溶液をアミノプロピルカートリッジ(2x70g)に充填し、メタノール(250ml)で、ついでメタノール中10%酢酸(250ml)で溶出した。必要とされるフラクションを合し、真空下で蒸発させた。残渣を2N塩酸で処理し、得られた溶液を真空下で蒸発させ、標記化合物の{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)酢酸・塩酸塩を黄褐色固体として得た(12.21g、56%)。
HPLC Rt=2.48分(勾配2);m/z[M+H]=450。
【0054】
中間体6
【化14】

(2R)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル({[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}アミノ)エタン酸
【0055】
(2R)−アミノ(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)エタン酸(1.91g、10ミリモル)をジオキサン(10ml)および水(10ml)に懸濁させた。これにトリエチルアミン(1.7ml)およびN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−スクシンイミド(2.54g)を添加し、該反応混合物を室温で2日間速やかに攪拌した。該反応混合物を水(50ml)中に注ぎ、クロロホルム(100ml)で抽出した。有機相を1N塩酸(50ml)および水(50ml)で洗浄した。これを硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を真空下で除去して標記化合物(3.06g、94%)を得た:H NMR(CDCl)δ7.40−7.29(m,5H)、7.21−7.11(m,4H)、5.28(d,1H,J=8.6Hz)、5.11(s,2H)、4.57(m,1H)、3.14−2.79(m,5H);LCMS m/z326(MH+)、Rt 3.35分(勾配2)
【0056】
実施例1
【化15】

(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−メチルエタンアミド
【0057】
乾燥ジクロロメタン(10mL)中の2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−(2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド(中間体2)(0.400g、0.74ミリモル)および1,1'−カルボニルジイミダゾール(0.192g、1.18ミリモル)を、窒素下、室温で7時間攪拌した。該混合物をメチルアミンのテトラヒドロフラン中2M溶液(1.849mL、3.70ミリモル)で処理し、室温で一夜放置した。溶媒をNで吹き飛ばし、残渣を酢酸エチル中0−10%メタノールで溶出するRedisepシリカカラム(35g)に付して精製し、つづいて0.1%ギ酸含有の水性アセトニトリル(20−45%MeCN)で溶出するKromasil KR100-10-C18逆相カラムに付して精製した。この操作により、標記化合物を1,4−ジオキサンからの凍結乾燥により、白色凍結乾燥体(30%)として得た。
【0058】
HPLC Rt=2.44分(勾配1);m/z[M+H]=463。
H NMR(CDCl)δ7.63(d,1H)、7.25−7.15(m,4H)、7.05(d,1H)、6.79(d,1H)、5.96(q,1H)、5.35(s,1H)、4.07(dd,1H)、3.88(d,1H)、3.19−2.88(m,4H)、2.85(d,3H)、2.81−2.73(m,1H)、2.56(s,3H)、2.55(s,3H)、1.82−1.67(m,2H)、1.20−1.08(m,1H)、0.99(d,3H)、0.90(t,3H)。
【0059】
同様にして、中間体2およびジメチルアミン(テトラヒドロ中2.0M)より次の化合物を調製した:
実施例2
【化16】

(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N,N−ジメチルエタンアミドを、1,4−ジオキサンからの凍結乾燥により、白色凍結乾燥体(33%)として得た。
【0060】
HPLC Rt=2.69分(勾配1);m/z[M+H]=477
H NMR(CDCl)δ7.49(d,1H)、7.27−7.15(m,4H)、7.08(d,1H)、6.66(s,1H)、6.30(d,1H)、4.10(dd,1H)、4.05(d,1H)、3.22−3.08(m,3H)、2.99−2.84(m,4H)、2.80−2.70(m,4H)、2.63(s,3H)、2.58(s,3H)、1.65−1.53(m,1H)、0.97−0.78(m,2H)、0.71(t,3H)、0.46(d,3H)。
【0061】
同様にして、中間体2およびモルホリン(3.7ミリモル)より次の化合物を調製した:
実施例3(方法A)
【化17】

(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオンを、1,4−ジオキサンからの凍結乾燥により、白色凍結乾燥体(88mg、23%)として得た。
【0062】
HPLC Rt=2.70分(勾配2);m/z[M+H]=519
H NMR(CDCl)δ7.49(d,1H)、7.27−7.15(m,4H)、7.10(d,1H)、6.68(s,1H)、6.40(d,1H)、4.10(dd,1H)、4.01(d,1H)、3.74−3.52(m,5H)、3.28−3.07(m,5H)、2.97−2.84(m,2H)、2.79−2.71(m,1H)、2.62(s,3H)、2.59(s,3H)、1.65−1.53(m,1H)、0.98−0.80(m,2H)、0.70(t,3H)、0.45(d,3H)。
【0063】
実施例3(方法B)
【化18】

(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン
【0064】
{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)酢酸・塩酸塩(5.0g、10.3ミリモル)(中間体5)の乾燥ジクロロメタン(50ml)中懸濁液を1,1−カルボニルジイミダゾール(2.6g、16ミリモル)で処理し、該反応混合物を窒素下で18時間攪拌した。モルホリン(4.8ml、55ミリモル)を加え、得られた溶液を窒素下で18時間放置した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルと水の間で分離した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残渣をジクロロメタンに溶かした。これを塩基性アルミナカートリッジ(240g)に充填し、ジエチルエーテル中0−7.5%メタノール(9CV)、ジエチルエーテル中7.5−10%メタノール(1CV)およびジエチルエーテル中10%メタノール(1CV)の勾配を用いて溶出した。必要とされるフラクションを合し、真空下で蒸発させて(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオンを白色固体として得た(2.4g、45%)。
HPLC Rt=2.72分(勾配2);m/z[M+H]=519
【0065】
実施例4
【化19】

(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N,N−ジメチルエタンアミド
【0066】
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−(2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド(中間体4)(0.700g)および1,1'−カルボニルジイミダゾール(0.324g)を乾燥ジクロロメタン(20ml)に溶かし、20時間放置した。この溶液の半分(10ml)に、ジメチルアミンのテトラヒドロフラン(5ml)中2.0M溶液を添加し、その反応混合物を3日間放置した。該反応混合物をジクロロメタンと炭酸水素ナトリウム飽和水溶液の間に分離させた。有機相を疎水性フリットに通し、真空下で蒸発させた。残渣をシリカカートリッジ(10g)に充填し、酢酸エチルで、ついで酢酸エチル5%メタノールで溶出した。必要とされるフラクションを真空下で蒸発させ、残渣をさらにMass Directed AutoPrepを用いて精製した。この操作により(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N,N−ジメチルエタンアミド(0.10g、32%)を白色泡沫体として得た。
【0067】
HPLC Rt=2.82分(勾配1);m/z[M+H]=477
H NMR(CDCl)δ8.32(s,1H)、7.26−7.15(m,4H)、7.08(s,1H)、6.71(s,1H)、6.16(d,1H)、4.17(d,1H)、4.10(dd,1H)、3.22−3.06(m,3H)、2.98(s,3H)、2.91(m,1H)、2.74(dd,1H)、2.67(s,3H)、2.57(s,3H)、2.39(s,3H)、1.56(m,1H)、0.93(m,1H)、0.85(m,1H)、0.68(t,3H)、0.45(d,3H)。
【0068】
同様にして、中間体4とメチルアミンより、次の化合物を調製した:
実施例5
【化20】

(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−メチルエタンアミド
【0069】
HPLC Rt=2.60分(勾配1);m/z[M+H]=463
H NMR(CDCl)δ8.48(s,1H)、7.25−7.14(m,4H)、7.04(s,1H)、6.72(d,1H)、6.07(q,1H)、5.45(s,1H)、4.07(dd,1H)、3.90(d,1H)、3.17−3.04(m,3H)、2.92(m,1H)、2.86(d,3H)、2.76(dd,1H)、2.53(s,3H)、2.33(s,3H)、1.70(m,2H)、1.12(m,1H)、0.94(d,3H)、0.87(t,3H)。
【0070】
同様にして、中間体4とモルホリンより、次の化合物を調製した:
実施例6
【化21】

(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン
【0071】
HPLC Rt=2.94分(勾配2);m/z[M+H]=519
H NMR(CDCl)δ8.34(s,1H)、7.25−7.15(m,4H)、7.09(s,1H)、6.71(s,1H)、6.21(d,1H)、4.14−4.07(m,2H)、3.73−3.47(m,5H)、3.23−3.05(m,5H)、2.95−2.83(m,2H)、2.74(dd,1H)、2.58(s,3H)、2.38(s,3H)、1.56(m,1H)、0.94(m,1H)、0.86(m,1H)、0.68(t,3H)、0.44(d,3H)。
【0072】
生物学的活性
本発明の実施例1ないし6を以下に記載のあらゆるアッセイにて試験した。各化合物の結果を以下の表1に示す。表1はまた比較のための化合物Xを包含する。
【0073】
アッセイ1
FLIPRを用いるヒトオキシトシン−1受容体でのアンタゴニストアフィニティの測定
細胞培養
組換えヒトオキシトシン1(hOT)受容体を安定して発現する接着チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、10%熱不活化ウシ胎仔血清(Gibco/Invitrogen、カタログ番号01000−147)、2mM L−グルタミン(Gibco/Invitrogen、カタログ番号25030−024)および0.2mg/ml G418(Gibco/Invitrogen、カタログ番号10131−027)を補足したDMEM:F12培地(Sigma、カタログ番号D6421)の培養液に維持した。細胞を、95%:5%の空気:COの下、37℃で単層として増殖させ、TrypLE(登録商標)Express(Gibco/Invitrogen、カタログ番号12604−013)を用いて3−4日毎に継代させた。
【0074】
FLIPRTMを用いる[Ca2+の測定
CHO−hOT細胞を、ウェル当たり10000細胞の密度で上記した培地中のブラックウォールクレアベースの384−ウェルのプレート(Nunc)に播種し、(95%:5%の空気:CO、37℃)を一夜維持した。培地を除去した後、細胞を37℃で1時間、プロベネシド(0.7mg/ml)、細胞質カルシウム指示薬であるFluo−4(4μM;Teflabs、USA)および消光剤であるブリリアントブラック(Brilliant Black)(250μM;Molecular Devices、UK)含有のTyroad培地(NaCl、145mM;KCl、2.5mM;HEPES、10mM;Glucose、10mM;MgCl2、1.2mM;CaCl2、1.5mM)にてインキュベートした。ついで、細胞を37℃でさらに30分間、バッファーだけか、OTアンタゴニスト含有のバッファーと一緒にインキュベートし、FLIPRTM(Molecular Devices、UK)に置き、最大下濃度のオキシトシン(EC80)を添加する前後での細胞蛍光(λex=488nm、λEM=540nm)をモニター観察した。
【0075】
データ解析
FLIPRを用いる機能応答をActivity Base Version5.0.10を用いて解析した。
【0076】
アッセイ2
オキシトシン結合アッセイ
調製
ヒト組換えオキシトシン受容体を発現するCHO細胞より膜を調製した。該膜調製物を使用まで−70℃でアリコートにて凍結させた。
膜調製物は使用されるまで−70℃でアリコートにて凍結された。
【0077】
結合アッセイプロトコル
1μMの標識されていないオキシトシンの存在しない(全結合)または存在する(非特異結合)状態にて約2.4nMの[3H]−オキシトシンと、増加する濃度の実施例1ないし6の化合物あるいは比較化合物とを含有する200μlのアッセイバッファー(50mM トリス、10mM MgClおよび0.1%のウシ血清アルブミン、pH7.5)中で膜(約50μg)をインキュベートした。インキュベーションを室温で60分間行った。反応を3mlの氷冷バッファーで停止させ、0.3%ポリエチレンイミンに予浸させた、Whatman GF/Cフィルターペーパーを介して濾過した。該フィルターをBrandel細胞ハーベスターを用いて3mlのバッファーで4回洗浄した。フィルターを3mlのReady Safeシンチレーション流体(Beckman)中で計数した。
特異結合は全結合の約90%を示した。
【0078】
データ解析
非線形回帰分析(GraphPad)を用いて競合結合実験よりIC50値を測定し、ChengおよびPrusoff、1974の方法を用いてKiに変換した。データは平均値で報告されている。
【0079】
アッセイ3
ミクロソームにおけるインビトロ固有クリアランスの測定
インキュベーションに用いるためのNADP再生バッファーをアッセイの日に新たに調製した。それは、2%炭酸水素ナトリウム1mLに付き、7.8mgのグルコース−6−ホスフェート(一ナトリウム塩)、1.7mgのNADPおよび6ユニットのグルコース−6−ホスフェート・デヒドロゲナーゼを含有した。ミクロソーム(ヒト、女性;カニクイザル、雌;イヌ、雌;ラット、雌)をpH7.4のリン酸バッファー中にて調製し、それは1mL当たり0.625mgの蛋白を含有した。特記しない限り、その後のすべての工程はTecan Genesis 150/8 RSPで行われた。1.25mMの該化合物のストック溶液をアセトニトリル/水(1:1)中に調製した。25μlの1.25mMのストック溶液を600μlのアセトニトリル/水(1:1)に加え、50μMの溶液を得た。その50μMの溶液(10μL)をマイクロプレート(Porvair、96個の深底ウェル、四角型)にある各種のミクロソーム(790μL)に添加した。
【0080】
該化合物を含有する400μLのミクロソーム溶液をマイクロプレート(Porvair、96個の深底ウェル、丸型)に移し、インキュベーションを開始する前に37℃で5分間予め加温した。インキュベーションはすべて100μLのNADP再生システムを予め加温したミクロソームに添加することで開始された。Techne加熱ブロックにて該混合物を37℃でインキュベートした。インキュベーションを0、3、6、12および30分行った後、20μLのアリコートを取り、内部標体含有の100μLのアセトニトリルに添加した。
【0081】
代謝率を測定するために、インキュベーションを0.5μMの化合物の濃度および0.5mg/mLの蛋白の濃度で行った。該インキュベーションにおける溶媒の濃度は0.5%であった。
試験化合物の濃度をLC/MS/MSで測定した;結果は分析物:内部標体のピーク面積割合として報告された。
喪失速度は指数関数的減衰(single exponential decay)をエクセルを用いて濃度−時間曲線に適合させることで算定され、固有クリアランスは以下の式を用いて算定された:
【数1】

【0082】
結果
本発明の実施例1ないし6およびまた比較化合物[X=(2R)−2−[(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−イソブチル−2,5−ジオキソピペラジン−1−イル]−N,N−ジメチル−2−(6−メチルピリジン−3−イル)エタンアミド(WO 03/053443の実施例209)]を上記アッセイにて試験した。
【0083】
アッセイ1および2にて試験した場合の比較化合物Xは、本発明の化合物1ないし6が示す効能と同様の効能を示した。実際、これらの化合物は、各々、8.1と9.2の間のfpKi(アッセイ1)および8.8と10.5の間のpKi(アッセイ2)を示した。
しかし、本発明の化合物は、比較化合物Xと比較した場合、ミクロソームにおけるインビトロ固有クリアランス(アッセイ3)にて意外な改善を示した。
【0084】
【表1】

【0085】
表1の符号
+ 1−8ml/分/mgに相当する
++ 9−15ml/分/mgに相当する
+++ 16−20ml/分/mgに相当する
++++ 21−30ml/分/mgに相当する
+++++ >31ml/分/mgに相当する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは2,6−ジメチル−3−ピリジルまたは4,6−ジメチル−3−ピリジルから選択される基であり、Rはメチルを表して、Rは水素またはメチルを表すか、あるいはRとRはそれらの結合する窒素原子と一緒になってモルホリノを表す]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体より選択される少なくとも1つの化学物質。
【請求項2】
式(I):
【化2】

[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは2,6−ジメチル−3−ピリジルまたは4,6−ジメチル−3−ピリジルから選択される基であり、Rはメチルを表して、Rは水素またはメチルを表すか、あるいはRとRはそれらの結合する窒素原子と一緒になってモルホリノを表す]
で示される化合物の塩および溶媒和物より選択される少なくとも1つの化学物質。
【請求項3】
が(1S)−1−メチルプロピルである、請求項1記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項4】
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−メチルエタンアミド;
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N,N−ジメチルエタンアミド;
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N,N−ジメチルエタンアミド;
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−メチルエタンアミド;
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
およびその医薬上許容される誘導体から選択される請求項1または請求項3記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項5】
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−メチルエタンアミド;
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N,N−ジメチルエタンアミド;
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
およびその医薬上許容される誘導体から選択される請求項1、3または4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項6】
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N−メチルエタンアミド;
(2R)−2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−2−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−N,N−ジメチルエタンアミド;
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
およびその医薬上許容される誘導体から選択される請求項1、3または4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項7】
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(4,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
およびその医薬上許容される誘導体から選択される請求項1、3または4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項8】
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン;
およびその医薬上許容される誘導体から選択される請求項1、3または4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項9】
請求項1または3ないし8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質と、1個または複数の医薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項10】
療法にて用いるための請求項1または請求項3ないし8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項11】
オキシトシンのオキシトシン受容体に対する効果に拮抗作用を及ぼすための医薬の製造における請求項1または請求項3ないし8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質の使用。
【請求項12】
早期陣痛、月経困難症、子宮内膜症および良性前立腺過形成より選択される1種または複数の疾患または症状を治療するための医薬の製造における請求項1および請求項3ないし6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質の使用。
【請求項13】
オキシトシンの作用を媒介する疾患または症状を治療あるいは予防する方法であって、それを必要とする哺乳動物に有効量の請求項1または請求項3ないし8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化学物質を投与することを含む、方法。
【請求項14】
疾患または症状が早期陣痛、月経困難症、子宮内膜症または良性前立腺過形成より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の式(I)の化合物の調製方法であって、
(a)式(II):
【化3】

[式中、R、RおよびRは請求項1の記載と同意義であり、RのキラリティーはRまたはSあるいはその混合のいずれかである]
で示される化合物またはその活性化誘導体を、アミン:HNR(RおよびRは請求項1の記載と同意義である)と、カルボン酸またはその活性化誘導体とアミンとからアミドを調製するための標準的な条件下で反応させるか、または
(b)式(III):
【化4】

[式中、R、RおよびRは請求項1の記載と同意義であり、Rは2−ヒドロキシフェニルを意味する]
で示される化合物を、1,1'−カルボニルジイミダゾールまたは1,1'−チオカルボニルジイミダゾールと、適当な溶媒中で反応させ、その後、こうして形成された生成物をアミン:HNR(RおよびRは請求項1の記載と同意義である)と反応させることを含む、方法。

【公表番号】特表2008−503534(P2008−503534A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517197(P2007−517197)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006760
【国際公開番号】WO2006/000399
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】