説明

オゾン供給システム及び建物

【課題】身体への悪影響を抑制しつつオゾンによる浄化能力を好適に発揮させることができるオゾン供給システムを提供する。
【解決手段】建物10には、浴室11、キッチン12、トイレ13及び洗面室14がサニタリとして設けられている。また、建物10は、サニタリ11〜14にオゾンを供給するオゾン供給システムを有しており、オゾン供給システムはオゾン生成装置51を含んで構成されている。例えば、オゾン生成装置51によりトイレ13へ高濃度オゾンガスや高濃度オゾン水が供給される場合、トイレ13においてトイレドア82がトイレ施錠装置83により施錠されるとともに、トイレドア82のアンダーカット84がアンダーカット閉鎖部85により閉鎖される。オゾン供給中に人がトイレ13に入ろうとしている場合、オゾン供給が停止されるとともに、トイレ換気扇91によりトイレ空間23の強制換気が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン供給システム及びそのオゾン供給システムを備える建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オゾンを利用して空気の浄化や消臭等を行う技術が提案されている。例えば、特許文献1には、オゾン発生装置が空気清浄器に内蔵された構成が記載されている。この構成では、オゾン発生装置からオゾンを発生させることで、空気清浄器の内部に取り込まれた空気がそのオゾンにより浄化される。そして、空気清浄器はその浄化された空気を放出する。また、空気清浄器から放出される空気はオゾンを含むオゾンガスであるため、空気清浄器が設置された空間の広範囲を対象として、空気清浄効果を発揮することができる。
【特許文献1】特開2003−42490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、オゾンガスにより空気の浄化を行う場合、その空気中のオゾン濃度が高いほど大きな空気清浄効果が得られる。しかしながら、オゾン濃度の高い空気は人体にとって有害であるため、人が居る空間を対象として空気清浄を行う場合、オゾンガスのオゾン濃度高さが制限される。この場合、オゾンガスの空気清浄能力を効果的に発揮させることができないといった問題が発生する。なお、このような問題は、オゾン水により殺菌や洗浄等を行う場合にも発生する。
【0004】
そこで、本発明は、身体への悪影響を抑制しつつオゾンによる浄化能力を好適に発揮させることができるオゾン供給システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0006】
第1の発明は、オゾンガス又はオゾン水を生成するオゾン生成装置と、前記オゾン生成装置により生成される生成オゾンを建物内の所定場所に供給するオゾン供給装置とを備えるオゾン供給システムであって、前記生成オゾンが前記所定場所へ供給される場合に該生成オゾンによる身体への影響の有無を判定する影響判定手段と、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、該生成オゾンの身体への接触又は体内への取り込みを規制する規制手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、オゾンガスやオゾン水が生成オゾンとして建物内の所定場所に供給されるため、その所定場所や周辺空気を対象として生成オゾンによるオゾン洗浄が行われる。オゾン洗浄は殺菌消臭効果を有している。ここで、オゾンは濃度が高いと高い浄化能力を有する一方で人や動物の身体にとって有害であるが、生成オゾンが身体にとって有害である場合には、身体に影響を及ぼさないように生成オゾンの身体への接触や体内への取り込みが規制される。したがって、身体が生成オゾンから害を受けることが抑制される。以上の結果、身体への悪影響を抑制しつつ、オゾンによる浄化能力を好適に発揮させることができる。
【0008】
第2の発明では、仕切体によって仕切られた所定の屋内空間を前記所定場所として前記生成オゾンを供給するオゾン供給システムであり、前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、前記屋内空間に人が立ち入ることを規制する。
【0009】
第2の発明によれば、屋内空間に供給される生成オゾンが身体に影響を及ぼす場合には、屋内空間への人の立ち入りが規制される。ここで、屋内空間は仕切体によって仕切られているため、オゾンが屋内空間から他の空間へ拡散することが抑制される。つまり、人が屋内空間に立ち入らなければ、オゾンが身体に接触したり体内に取り込まれたりすることが抑制される。以上の結果、人が生成オゾンにより害を被ることを抑制できる。
【0010】
第3の発明では、前記屋内空間の出入口に設けられた開閉体を施錠する施錠装置を備える建物に適用され、前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、前記開閉体の開放を規制するべく前記施錠装置の施錠制御を行う。
【0011】
第3の発明によれば、屋内空間に供給される生成オゾンが身体に影響を及ぼす場合には、屋内空間の出入口に設けられた開閉体が施錠装置により施錠される。この場合、人は施錠装置を解錠して開閉体を開放しない限り屋内空間に立ち入ることができない。したがって、所定場所に生成オゾンが供給されていることを知らない人についても、不意にオゾンが身体に接触したり体内に取り込まれたりすることを抑制できる。
【0012】
第4の発明では、前記屋内空間及び該屋内空間に隣接する建物内空間に通じるように前記仕切体に形成された通気部と、前記通気部を閉鎖する閉鎖装置とを備える建物に適用され、前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、前記通気部を閉鎖させるべく前記閉鎖装置の動作制御を行う。
【0013】
第4の発明によれば、屋内空間に供給される生成オゾンが身体に影響を及ぼす場合には、通気部が閉鎖される。この場合、仮に生成オゾンがオゾンガスとして屋内空間に充満していても、そのオゾンガスが屋内空間から建物内空間に通気部を通じて漏れ出すことが抑制される。したがって、人は屋内空間に立ち入らなければ、たとえ通気部に近づいたとしてもオゾンが身体に接触したり体内に取り込まれたりすることを回避できる。なお、通気部としては、開閉体に設けられるアンダーカットやガラリ等が挙げられる。
【0014】
第5の発明では、前記影響判定手段は、オゾン供給装置により前記生成オゾンが前記所定場所へ供給された場合に、該生成オゾンによる身体への影響の有無を判定し、前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響無しと判定された場合に、前記屋内空間への人の立ち入り規制を解除する。
【0015】
第5の発明によれば、所定場所に生成オゾンが供給されても、生成オゾンが身体に影響を及ぼさない場合には、屋内空間への人の立ち入りが許可される。したがって、屋内空間においてオゾン洗浄が行われた後であっても、屋内空間での安全性が確保されれば、人が屋内空間へ自由に出入りすることができる。
【0016】
第6の発明では、前記屋内空間に人が立ち入ろうとしていることを検出する立入検出手段と、前記立入検出手段により人が立ち入ろうとしていることが検出された場合に前記屋内空間の換気を行う換気装置とを備える。
【0017】
第6の発明によれば、屋内空間を対象として換気装置により換気が行われるため、屋内空間からオゾンが積極的に排出される。このため、屋内空間において、オゾンの減少をただ待つ場合に比べて、安全性を確保するまでに要する期間を短縮することができる。特に、人が屋内空間に立ち入ろうとしている場合に屋内空間の換気が行われるため、仮にオゾン洗浄が行われている最中であっても、屋内空間に入りたいという人の要望に合わせていち早く屋内空間を立ち入り可能な状態にすることができる。つまり、屋内空間の使い勝手が悪化することを抑制しつつ、オゾン洗浄を行うことができる。
【0018】
なお、屋内空間の換気が行われる場合、所定場所へのオゾン供給が停止されることが好ましい。この場合、屋内空間において、安全性を確保するまでに要する期間をより一層短縮することができる。
【0019】
第7の発明では、前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、前記所定場所に供給する前記生成オゾンの濃度を低くする濃度調整手段である。
【0020】
第7の発明によれば、生成オゾンが身体に影響を及ぼす場合には、その生成オゾンの濃度が低くされる。したがって、身体に影響が無い濃度のオゾンにより手などを洗うことが可能となり、オゾンによる殺菌効果を好適に得ることができる。
【0021】
第8の発明では、前記オゾン供給装置は、前記オゾン生成装置により生成されるオゾンガスを前記所定場所としてのトイレ又は浴室の少なくとも一方に供給する。
【0022】
第8の発明によれば、生成オゾンがトイレや浴室に供給されるため、トイレや浴室においてオゾンの浄化能力を容易に得ることができる。この場合、トイレでは、トイレ使用後に臭気が発生しやすいため、生成オゾンの消臭効果を好適に発揮させることができ、浴室では、高い湿気により細菌が発生しやすいため、生成オゾンの殺菌効果を好適に発揮させることができる。
【0023】
第9の発明では、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のオゾン供給システムと、前記生成オゾンが供給される前記所定場所としての複数の屋内空間とを備える建物であって、前記オゾン供給装置は、屋内空間ごとにそれぞれ設けられ、前記オゾン生成装置により生成されるオゾンガスを各屋内空間に供給することを特徴とする。
【0024】
第9の発明によれば、生成オゾンが複数の屋内空間に供給されるため、建物全体でオゾンの浄化能力を容易に得ることが可能となる。建物においては、一部の建物内空間を殺菌消臭してもその他の空間から細菌や臭気が広がるおそれがあるため、建物内空間全体を対象として殺菌消臭等を行うことが効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、建物10の概略断面を示す図である。
【0026】
図1に示すように、住宅等の建物10には、浴室11、キッチン12、トイレ13及び洗面室14が設けられている。浴室11、キッチン12、トイレ13及び洗面室14は、浴槽や流し台等といった水まわりの設備を備えるサニタリとなっており、以下、これらをサニタリ11〜14ともいう。サニタリ11〜14において、浴室11は浴室空間21、キッチン12はキッチン空間22、トイレ13はトイレ空間23、洗面室14は洗面室空間24をそれぞれ有しており、それら浴室空間21、キッチン空間22、トイレ空間23及び洗面室空間24(以下、サニタリ空間21〜24ともいう)は、建物10の屋内空間として他の空間と仕切られている。サニタリ空間21〜24は、例えば仕切壁やドア等といった仕切体により仕切られており、それら仕切体により囲まれている。なお、建物10には、その他にもリビングやダイニング等の居室が設けられている。
【0027】
建物10には、水まわり設備として、蛇口や水栓等を有する給水装置が複数設けられている。給水装置には、例えば、浴室11において浴槽31に湯を張るための湯張り装置32、同じく浴室11においてシャワー水を放出するシャワー装置33、キッチン12において流し台35に湯水を放出するキッチン用給水装置36、トイレ13において便器38の水を流すトイレ用給水装置39、洗面室14において洗面台41の水を流す洗面室用給水装置42等が含まれている。これら給水装置32,33,36,39,42には水道管45がそれぞれ接続されており、水道管45を介して水道水が供給される。なお、各給水装置32,33,36,39,42には水道水が上水として供給される他に、使用済みの再利用水が中水として供給されてもよい。
【0028】
本実施形態では、建物10において、建物設備や屋内空間等にオゾンを供給するオゾン供給システムが構築されている。オゾン供給システムは、オゾンを含む気体又は液体を生成するオゾン生成装置51を含んで構築されている。オゾン生成装置51は、オゾンを含む気体としてオゾンガスを生成するオゾンガス生成部52と、オゾンを含む液体としてオゾン水を生成するオゾン水生成部53とを有しており、生成されたオゾンガスやオゾン水はサニタリ11〜14に供給される。
【0029】
オゾンガス生成部52は、例えば空気に高電圧を印加することでオゾンガスを発生させる。オゾンガス生成部52は、発生させるオゾンガスの濃度を調整するオゾンガス濃度調整機能を有しており、低濃度オゾンガス又は高濃度オゾンガスを生成する。オゾンは、酸化作用が強く且つ不安定な物質であり、オゾン濃度が高いほど細菌や臭気、カビ等に対する浄化能力が向上するとともに、人や動物の身体に接触したり体内に取り込まれたりした際の身体にとっての有害度も大きくなる。ここでは、オゾンガス中のオゾン濃度を、例えば低濃度オゾンガスでは0.01ppmより小さくし、高濃度オゾンガスでは0.1ppmより小さくしている。この場合、低濃度オゾンガスは浄化能力が低いが、人体にとっては害が無いとされ、高濃度オゾンガスは浄化能力が高いが、人体にとっては害の有る可能性が高いとされる。
【0030】
オゾン水生成部53は、オゾンガス生成部52により生成されたオゾンガスを水に溶け込ませたり水に高電圧を印加したりすることでオゾン水を生成する。オゾン水生成部53は、生成するオゾン水の濃度を調整するオゾン水濃度調整機能を有しており、低濃度オゾン水又は高濃度オゾン水を生成する。オゾン水は、オゾンガスと同様に、オゾン濃度が高いほど浄化能力が向上する。一方で、オゾン濃度が高いほど揮発するオゾンの量が増加し、人体にとっての有害度も大きくなる。ここでは、低濃度オゾン水は、オゾンの揮発に伴って発生するオゾンガスが低濃度オゾンガスより小さく、高濃度オゾン水は、オゾンの揮発に伴って発生するオゾンガスが高濃度オゾンガスより小さくなっている。この場合、低濃度オゾン水は浄化能力が低いが、体を洗うには害が無いとされ、高濃度オゾン水は浄化能力が高いが、使用するだけで人体にとっては害のある可能性が高いとされる。但し、低濃度オゾン水であっても飲むと人体に害のある可能性が高いとされる。
【0031】
オゾン生成装置51には、外気を取り込むための取込用ダクト55が接続されており、取込用ダクト55は屋外に通じている。なお、取込用ダクト55は屋内空間に通じていてもよく、この場合、オゾン生成装置51は内気を取り込むことが可能となる。また、オゾン生成装置51には、オゾンガスをサニタリ11〜14に供給するための供給用ダクト56が接続されており、供給用ダクト56は、サニタリ空間21〜24に通じている。オゾン生成装置51は、供給用ダクト56を介してサニタリ11〜14に低濃度オゾンガス又は高濃度オゾンガスを供給する。この場合、オゾンガスはサニタリ空間21〜24を所定場所として空気の浄化に使用される。
【0032】
サニタリ11〜14の天井には吹出グリル58がそれぞれ取り付けられており、供給用ダクト56は、各吹出グリル58に接続されることでサニタリ11〜14側においてそれぞれ固定されている。吹出グリル58は、開閉式のグリルとなっており、駆動することで吹出グリル58を開状態又は閉状態に切り替えるグリル用駆動部59を有している。より詳しくは、吹出グリル58は、その吹出口を開閉する開閉部(図示略)を有しており、開閉部が開放されることで開状態となり開閉部が閉鎖されることで閉状態となる。開閉部は、グリル用駆動部59の駆動に伴って開閉動作する構成となっている。
【0033】
オゾン生成装置51には、水道管45が接続されており、水道管45から水道水が供給される。また、オゾン生成装置51には、オゾン水をサニタリ11〜14に供給するためのオゾン水給水管61が接続されている。キッチン12、トイレ13及び浴室11においては、オゾン水給水管61は、キッチン用給水装置36、トイレ用給水装置39及び洗面室用給水装置42といった給水装置に接続されており、それら給水装置36,39,42には、水道水に加えてオゾン水が供給される。これに対して、浴室11においては、オゾン水給水管61は、湯張り装置32やシャワー装置33ではなく、浴室11内でオゾン水を放出する浴室オゾン水放出装置63に接続されており、浴室オゾン水放出装置63にはオゾン水だけが供給される。
【0034】
オゾン生成装置51は、生成したオゾン水のうち高濃度オゾン水をサニタリ11〜14のうち浴室11、キッチン12及びトイレ13に対して供給し、低濃度オゾン水を洗面室14に対して供給する構成となっている。具体的には、オゾン水給水管61のうち高濃度オゾン水用の高濃度用給水管61aは、浴室オゾン水放出装置63、キッチン用給水装置36及びトイレ用給水装置39に接続されており、低濃度オゾン水用の低濃度用給水管61bは、洗面室用給水装置42に接続されている。この場合、低濃度オゾン水は人の手足等の洗浄に使用され、高濃度オゾン水は浴室11の壁や床、浴槽31、キッチン12の流し台35、トイレ13の便器38といった建物10や建物設備の洗浄に使用される。
【0035】
なお、キッチン用給水装置36、トイレ用給水装置39及び洗面室用給水装置42は、下流側に供給する水を水道水及びオゾン水の一方に切り替える給水切替機能をそれぞれ有している。また、湯張り装置32やシャワー装置33は、キッチン用給水装置36、トイレ用給水装置39及び洗面室用給水装置と同様に水道管45に加えてオゾン水給水管61と接続されていてもよく、この場合は給水切替機能を有していることが好ましい。
【0036】
ここで、浴室11及びトイレ13の構成について、図2,図3を参照しつつ説明する。図2は浴室11の概略断面を示す図、図3はトイレ13の概略断面を示す図である。なお、説明の便宜上、図2では、湯張り装置32及びシャワー装置33の図示を省略し、図3では、トイレ用給水装置39の図示を省略している。
【0037】
まず、浴室11の構成について説明する。
【0038】
図2に示すように、人が浴室11に出入りするための浴室出入口66には浴室ドア67が設けられており、浴室ドア67にはその施解錠を行う浴室施錠装置68が設けられている。浴室11においては、浴室ドア67が閉鎖された場合、人は例えば浴室11に隣接した脱衣室(図示略)から浴室11内に入ることができない。また、この場合、浴室ドア67に通気用ガラリ等の通気口が設けられていなければ又は設けられていても通気口が閉鎖されていれば、浴室空間21は、空気が脱衣室等のその他の屋内空間に拡散しない非拡散状態となる。したがって、浴室施錠装置68により浴室ドア67が施錠されることで、浴室11が非拡散状態で保持される。換言すれば、浴室11は浴室出入口66側における密閉度が高い状態で保持される。なお、この場合、浴室11において屋外に通じる窓等が閉められていれば、浴室11全体が高気密状態で保持される。
【0039】
浴室11には、浴室空間21にオゾンガスを供給する吹出グリル58に加えて、その天井に浴室換気扇71が設けられており、浴室換気扇71には、屋外に通じる排気用ダクト72が接続されている。浴室換気扇71は、駆動されることで浴室11内の空気を屋外に排出する。
【0040】
浴室11において、浴室オゾン水放出装置63は、広範囲にオゾン水を放出する広域用放水部75と、局所的にオゾン水を放出する局部用放水部76a,76b,76cとを有している。広域用放水部75は、天井に取り付けられており、下方に向かってオゾン水を噴霧する。一方、局部用放水部76a〜76cは、それぞれ側面に放水孔が設けられた給水管となっており、鏡パネル77等の背面において浴室壁面との間の隙間に沿って延びるように配置されている隙間放出部76aと、浴室カウンタ78や浴室壁面のコーナや隅角部に沿って延びるように配置されているコーナ放出部76bと、浴槽31の外周面における凹凸部等に沿って延びるように配置されている浴槽放出部76cとを有している。この場合、局部用放水部76a〜76cの放水孔から放出されるオゾン水は、浴室11内において汚れやカビの発生しやすい箇所に散布されることになる。なお、隙間放出部76aは鏡パネル77等の背面側に配置されているが、図示の便宜上、その隙間放出部76aを実線で図示している。
【0041】
次に、トイレ13の構成について説明する。
【0042】
図3(a)に示すように、人がトイレ13に出入りするためのトイレ出入口81にはトイレドア82が設けられており、トイレドア82にはその施解錠を行うトイレ施錠装置83が設けられている。トイレ13においては、トイレドア82が閉鎖されると、人は例えばトイレ13に隣接した廊下(図示略)からトイレ13内に入ることができない。
【0043】
トイレドア82には、トイレ空間23用の通気部としてのアンダーカット84と、アンダーカット84を閉鎖するアンダーカット閉鎖部85とが設けられている。アンダーカット84は略長方形状の開口部となっており、アンダーカット閉鎖部85は、アンダーカット84よりも大きな略長方形の板部となっている。図3(b)に示すように、アンダーカット閉鎖部85は、アンダーカット84の上方にてトイレドア82の内側に収容されている。アンダーカット閉鎖部85は、上下方向にスライド移動可能となっており、下方へ移動することでアンダーカット84を閉鎖する。また、トイレドア82には、駆動することでアンダーカット閉鎖部85をスライド移動させるアンダーカット用駆動部86が設けられており、アンダーカット閉鎖部85及びアンダーカット用駆動部86により閉鎖装置が構成されている。
【0044】
トイレ13において、トイレドア82が閉鎖され、それに加えてアンダーカット84が閉鎖された場合、トイレ空間23の空気が廊下等のその他の屋内空間に拡散しない非拡散状態となる。したがって、トイレ施錠装置83によりトイレドア82が施錠されることで、トイレ13が非拡散状態で保持される。換言すれば、トイレ13はトイレ出入口81側における密閉度が高い状態で保持される。なお、この場合、トイレ13において屋外に通じる窓等が閉められていれば、トイレ13全体が高気密状態で保持される。また、トイレドア82には、アンダーカット84に加えて又は代えて通気用ガラリが設けられていてもよい。この場合、通気用ガラリを閉鎖するガラリ閉鎖部が設けられていることが好ましい。
【0045】
トイレ13には、その床にトイレ換気扇91が設けられており、トイレ換気扇91には、屋外に通じる排気用ダクト92が接続されている。トイレ換気扇91は、駆動されることでトイレ13内の空気を屋外に排出する。この場合、トイレ換気扇91は、トイレ空間23の下部の空気を排出しやすくなっており、排泄物等により便器38等から臭気が発生してもその臭気を効果的に排出する。
【0046】
ここで、オゾン供給システムの電気的な構成について説明する。
【0047】
図1に示すように、オゾン供給システムはコントローラ95により制御され、コントローラ95にはオゾン生成装置51が接続されている。コントローラ95は、例えば居室等に設置され、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを有しており、指令信号を出力することでオゾン生成装置51の動作制御を行う。すなわち、オゾンガス生成部52によるオゾンガス生成の制御を行ったり、オゾン水生成部53によるオゾン水生成の制御を行ったりする。コントローラ95は、例えば居室等に設置されている。
【0048】
コントローラ95には、オゾンガス供給手段として、グリル用駆動部59が複数接続されており、コントローラ95は、指令信号を出力することで各グリル用駆動部59の開閉制御を個別に行う。すなわち、サニタリ空間21〜24を対象としてオゾンガス供給制御を個別に行う。
【0049】
コントローラ95には、オゾン水供給手段として、キッチン用給水装置36、トイレ用給水装置39、洗面室用給水装置42及び浴室オゾン水放出装置63に接続されており、コントローラ95は、指令信号を出力することでこれら装置36,39,42,63のオゾン水放出制御を個別に行う。すなわち、浴室11、キッチン12の流し台35、トイレ13の便器38、及び洗面室14の洗面台41を対象としてオゾン水供給制御を個別に行う。
【0050】
また、コントローラ95には、浴室設備として、浴室施錠装置68及び浴室換気扇71が接続されており、コントローラ95は、指令信号を出力することで浴室施錠装置68及び浴室換気扇71の動作制御を行う。すなわち、コントローラ95は、規制手段として浴室施錠装置68の施錠制御を行う。さらに、トイレ設備として、トイレ施錠装置83、アンダーカット用駆動部86及びトイレ換気扇91が接続されており、コントローラ95は、指令信号を出力することでトイレ施錠装置83、アンダーカット用駆動部86及びトイレ換気扇91の駆動制御を行う。すなわち、コントローラ95は、規制手段としてトイレ施錠装置83の施錠制御を行うとともにアンダーカット84の閉鎖制御を行う。
【0051】
コントローラ95には、室内に人が居ることを検出する人感センサ97と、室内空間における空気中のオゾン濃度を検出するオゾンガスセンサ98とが接続されており、これら人感センサ97及びオゾンガスセンサ98から検出信号がそれぞれ入力される。人感センサ97及びオゾンガスセンサ98は、サニタリ11〜14のそれぞれに設けられている。特に、オゾンガスセンサ98は、サニタリ11〜14において壁や天井にそれぞれ複数設置されている。これにより、それらサニタリ11〜14においては複数箇所でオゾン濃度が検出される。
【0052】
続いて、コントローラ95により実行されるオゾン供給制御処理について、図4,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。図4は、高濃度オゾン水及びオゾンガス供給制御処理を示すフローチャートであり、図5は、低濃度オゾン水供給制御処理を示すフローチャートである。
【0053】
まず、高濃度オゾン水及びオゾンガス供給制御処理について説明する。ここでは、トイレ13をオゾン供給対象としている。
【0054】
図4において、ステップS101では、トイレ13の各人感センサ97から入力される検出信号に基づいて、トイレ13に人が居るか居ないかを判定する。トイレ13に人が居る場合、そのまま本処理を終了し、トイレ13に人が居ない場合、ステップS102〜S104のオゾン供給処理に進む。なお、ここでは、オゾン供給処理を、住人等によりトイレ13が使用されるたびにその使用後に行う。
【0055】
オゾン供給処理として、ステップS102では、トイレ13の施錠処理を行う。具体的には、トイレ施錠装置83によりトイレドア82の施錠を行う。これにより、トイレ13内への人の立ち入りが抑制される。また、施錠処理に加えて、通気部の閉鎖処理を行う。具体的には、アンダーカット用駆動部86を駆動させることでアンダーカット閉鎖部85によりアンダーカット84を閉鎖させる。
【0056】
ステップS103では、高濃度オゾン水供給処理を行う。具体的には、トイレ用給水装置39から高濃度オゾン水を放出させ、便器38に高濃度オゾン水を供給することで、便器38の浄化を行う。ステップS104では、オゾンガス供給処理を行う。具体的には、トイレ13の吹出グリル58から高濃度オゾンガスを吹き出させ、トイレ空間23に高濃度オゾンガスを供給することで、トイレ空間23を対象として消臭等の空気清浄を行う。空気清浄は、高濃度オゾン水から発生するオゾンガスによっても行われる。ここで、トイレドア82においてアンダーカット84が閉鎖されているため、トイレ13内にオゾンガスが充満していてもそのオゾンガスがアンダーカット84からその他の空間に漏れ出すことがない。なお、オゾン供給としては、高濃度オゾン水ではなく低濃度オゾン水を供給してもよく、高濃度オゾンガスではなく低濃度オゾンガスを供給してもよい。
【0057】
また、消臭を目的として、トイレ使用に伴ってトイレ換気扇91の駆動を開始させ、オゾン供給処理の実行より前に停止させてもよい。つまり、トイレ使用に伴って臭気排出処理を行ってもよい。この場合、オゾンガス供給処理だけが行われる場合に比べて消臭効果を高めることができる。さらに、トイレ13には、臭気を検出する臭気検出センサが設置されていれば、臭気検出センサにより臭気が検出された時にトイレ換気扇91を駆動させてもよい。この場合、トイレ換気扇91の運転に関して省エネ効果を得ることができる。
【0058】
ステップS105では、オゾン供給処理を行っている最中にトイレ13に人が入室しようとしているか否かを判定する。例えばトイレドア82にはタッチセンサが設けられており、人がトイレドア82のドアノブに触った場合にタッチセンサから検出信号が入力される。ここでは、人がドアノブに触ればトイレ13への入室意思を持っていると推定し、ドアノブに触らなければトイレ13に入ろうとはしていないと推定する。トイレ13に人が入室しようとしていない場合、ステップS106に進み、オゾン供給用のタイマをセットする。この場合、トイレ13へのオゾン供給を継続し、所定時間経過後にオゾン供給を停止させる。ここでは、タイマを高濃度オゾン水やオゾンガスによる殺菌消臭に必要な時間(例えば3分)に設定する。
【0059】
ステップS107では、オゾン供給停止後、トイレ空間23における空気中オゾン濃度が所定濃度(例えば、低濃度オゾンガスと同等の濃度)より小さいか否かを判定する。この場合、空気中オゾン濃度は、トイレ13のオゾンガスセンサ98から入力される検出信号に基づいて取得する。なお、オゾンは不安定な物質であるため、オゾン供給を停止するだけで空気中オゾン濃度は低下していく。
【0060】
空気中オゾン濃度が所定濃度より小さくなった場合、ステップS108に進み、トイレ施錠装置83を動作させることでトイレドア82を解錠させる。一方、空気中オゾン濃度が所定濃度より小さくなっていない場合、トイレドア82の施錠を継続させるためにそのまま本処理を終了する。つまり、トイレ空間23においてオゾンガスに関する安全性に問題がある限りは、トイレ13への入室を規制する。
【0061】
なお、トイレ13の外側において、トイレ出入口81の周辺には表示ランプや表示装置、スピーカ等がそれぞれ設けられている。そして、トイレ空間23においてオゾンガスに関する安全性に問題がなくなった場合、その旨を表示ランプ等により報知させる。また、トイレ13を対象としてオゾン供給処理を行っている場合に、その旨を表示ランプ等により報知させてもよい。
【0062】
また、オゾン供給処理を行っている最中にトイレ13に人が入室しようとした場合(ステップS105がYES判定の場合)、ステップS109に進み、空気中オゾン濃度を低下させるべく、トイレ13へのオゾン供給を直ちに停止させる。なお、トイレ13に供給されるオゾンガスを高濃度から低濃度に切り替えてもよい。続いて、ステップS110では、オゾン除去処理を行う。具体的には、トイレ換気扇91を動作させることでトイレ空間23の強制換気を行い、オゾンガスを排出して空気中オゾン濃度を積極的に低下させる。この場合、トイレ空間23において、空気中のオゾン減少をただ待つ場合に比べて短時間で安全性が確保される。空気中オゾン濃度が所定濃度より小さくなった場合(ステップS107がYES判定の場合)、トイレドア82を解錠させる(ステップS108の処理)。これにより、人がトイレ13に入ろうとしている場合にその要望に合わせていち早くトイレ13を入室可能な状態に移行させることができる。
【0063】
ちなみに、オゾンは圧力や温度が高いほど酸化反応が促進される。つまりオゾンが消滅しやすくなる。したがって、オゾン除去処理として、室内圧力調整装置等によりトイレ13内の圧力を高くしたり、エアコン等によりトイレ13の室温を上昇させたりしてもよい。
【0064】
上記のような高濃度オゾン水及びオゾンガス供給制御処理は、トイレ13をオゾン供給対象としなくても同様に行われる。例えば、浴室11をオゾン供給対象とした場合、オゾン供給処理を、住人等が浴室11で入浴するたびにその入浴後に行う。この場合、オゾン供給処理として、浴室施錠装置68により浴室ドア67の施錠を行い、高濃度オゾン水供給処理及びオゾンガス供給処理を行う。特に、浴室11においては、高濃度オゾン水供給処理により浴室内全体の浄化が行われる。
【0065】
そして、オゾン供給処理を行っている最中に浴室11に人が入室しようとした場合、オゾン供給を停止させるとともに、浴室換気扇71により強制換気を行う。これにより、浴室11における空気中オゾン濃度を積極的に低下させる。その後、浴室空間21において安全性に問題がなくなった場合に浴室ドア67の解錠を行う。
【0066】
また、キッチン12や洗面室14をオゾン供給対象とした場合でも、高濃度オゾン水供給処理やオゾンガス供給処理が同様に行われる。例えば、キッチン12や洗面室14に高濃度オゾンガスを供給することでキッチン空間22や洗面室空間24の空気洗浄を行う。また、キッチン用給水装置36から流し台35に高濃度オゾン水を供給することで流し台35の浄化を行い、洗面室用給水装置42から洗面台41に高濃度オゾン水を供給することで洗面台41の浄化を行う。
【0067】
次に、低濃度オゾン水供給制御処理について説明する。ここでは、洗面室14の洗面台41をオゾン供給対象としている。
【0068】
図5において、ステップS201では、洗面室14において洗面台41が使用されるか否かを判定する。例えば、洗面室14の人感センサ97から入力される検出信号に基づいて、人の手が洗面台41の蛇口に近づいたか否かを判定する。人が手を蛇口に近づければ洗面台41の使用意思を持っていると推定し、蛇口に近づけなければ使用意思がないと推定する。
【0069】
ステップS202では、洗面台41に低濃度オゾン水を供給するか否かを判定する。例えば、洗面台41の使用者が大人であるか否かを判定する。ここで、洗面室14の人感センサ97は、人を検出対象として静脈やシルエットを検出する構成となっており、それら静脈やシルエットに基づいて検出対象者が大人であるか否かを判定する。低濃度オゾン水を供給しない場合、ステップS203に進み、水道水供給処理を行う。つまり、洗面台41の使用者が子供である場合、洗面室用給水装置42から洗面台41に水道水を供給させる。これにより、子供が誤って低濃度オゾン水を飲んでしまうといった不都合を回避できる。
【0070】
一方、低濃度オゾン水を供給する場合、ステップS204に進み、低濃度オゾン水供給処理を行う。つまり、洗面台41の使用者が大人である場合、オゾン生成装置51において低濃度オゾン水を生成し、洗面室用給水装置42から洗面台41に低濃度オゾン水を供給させる。これにより、大人は低濃度オゾン水で手や顔を洗うことができる。なお、洗面台41の使用者が子供であっても、保護者として大人が居れば低濃度オゾン水供給処理を行ってもよい。
【0071】
ステップS205では、洗面室14のオゾンガスセンサ98から入力される検出信号に基づいて、洗面室14における空気中のオゾン濃度を取得する。ステップS206では、空気中オゾン濃度が所定濃度(例えば、低濃度オゾンガスと同等の濃度)より小さいか否かを判定する。空気中オゾン濃度が所定濃度より小さい場合、安全性に問題がないとして洗面台41への低濃度オゾン水の供給を継続するべくそのまま本処理を終了する。低濃度オゾン水からは低濃度オゾンガスよりも濃度の高いオゾンガスは発生しないと考えられるが、空気中オゾン濃度が所定濃度以上である場合、安全性に問題があるとしてステップS207に進む。
【0072】
ステップS207では、空気中オゾン濃度低下処理を行う。具体的には、洗面台41への低濃度オゾン水の供給を停止させ、低濃度オゾン水に代わって水道水を洗面台41に供給させる。これにより、空気中オゾン濃度低下を図ることができる。なお、洗面室14に換気扇が設けられていれば、換気扇を駆動させてもよい。この場合、空気中オゾン濃度を積極的に低下させることができる。
【0073】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0074】
オゾン生成装置51により生成されたオゾンガスやオゾン水が浴室11やキッチン12、トイレ13、洗面室14に供給される。これらサニタリ11〜14は、水まわりの設備(便器38や流し台35等)を有するため、建物10内において臭いや細菌の発生元となる可能性が高い。したがって、サニタリ11〜14を対象としてオゾン洗浄が行われることは効果的である。また、オゾン供給対象とされたサニタリ11〜14には、人が居ない場合に高濃度オゾンガスや高濃度オゾン水が供給されるため、サニタリ11〜14の浄化を行いつつ、オゾンが身体に接触したり体内に取り込まれたりすることを抑制できる。以上の結果、人体への悪影響を抑制しつつオゾンによる浄化能力を好適に発揮させることができる。
【0075】
浴室空間21やトイレ空間23は壁やドア等により囲まれているため、浴室11やトイレ13内がオゾンにより浄化されている場合に、オゾンガスがその他の屋内空間に拡散することが抑制されている。また、この場合、浴室ドア67やトイレドア82が施錠されているため、人はそれらドア67,82を解錠しない限りは浴室11やトイレ13内に立ち入ることができない。したがって、浴室11やトイレ13内でオゾン洗浄が行われていることを知らない人についても、不意に高濃度オゾンガスや高濃度オゾン水が身体に接触したり体内に取り込まれたりすることを抑制できる。つまり、その人はオゾンにより害を被ることがない。
【0076】
トイレ13を対象としてオゾン供給が行われる場合、トイレドア82のアンダーカット84が閉鎖される。この場合、オゾン供給によりトイレ空間23に存在するオゾンガスがアンダーカット84を通じてその他の空間に漏れ出すことを抑制できる。したがって、人がトイレ13内に立ち入らなければ、たとえトイレ出入口81に近づいたとしても高濃度オゾンガスが身体に接触したり体内に取り込まれたりすることを回避できる。また、トイレ13には臭気が発生しやすいため、オゾンの消臭効果を好適に発揮させることができる。さらに、浴室11やトイレ13を対象としたオゾン供給は、入浴後やトイレ使用後にその都度行われるため、浴室11やトイレ13を常にきれいに快適な状態で維持することができる。
【0077】
オゾンによる浴室11やトイレ13内の浄化が完了した後、空気中オゾン濃度が所定濃度より小さくなると浴室ドア67やトイレドア82が解錠される。つまり、浴室空間21やトイレ空間23における安全性が確保されれば、人は浴室11やトイレ13に対して自由に出入りすることができる。
【0078】
オゾン洗浄の途中で浴室11やトイレ13に人が入ろうとした場合、オゾン供給が停止されるとともに、浴室換気扇71やトイレ換気扇91が駆動することでオゾン除去処理が行われる。この場合、空気中オゾン濃度が強制的に低下されるため、浴室空間21やトイレ空間23での安全性が確保されるまで要する時間を極力短くすることができる。したがって、浴室11やトイレ13の使い勝手が悪化することを抑制しつつ、オゾン洗浄を好適に行うことができる。
【0079】
洗面室14において低濃度オゾン水が洗面台41に供給されるため、人は低濃度オゾン水により手を洗うことができる。この場合、通常の手の洗い方でオゾンによる殺菌効果を好適に得ることができる。
【0080】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0081】
(1)上記実施形態では、オゾンガスがサニタリ11〜14に供給される構成としたが、オゾンガスがその他の屋内空間に供給される構成としてもよい。例えば、オゾン生成装置51からオゾンガスを供給する供給用ダクト56が居室空間や廊下空間等に通じており、オゾンガスが複数の屋内空間に供給される構成とする。この場合、オゾンガスが各屋内空間に一括で供給されれば、建物内空間の全体にオゾンガスを供給することが可能となる。ここで、建物10においては、上記サニタリ11〜14の他にも居室や廊下が設けられているため、サニタリ11〜14を個別にオゾン洗浄しても、他の空間から殺菌や臭気が広がるおそれがある。そこで、建物内空間の全体にオゾンガスが供給される構成であれば、建物10を全体的にオゾン洗浄することができるため効果的である。
【0082】
この場合、人感センサ97は、サニタリ11〜14に加えてその他の屋内空間に居る人を検出する位置に設置されている。コントローラ95は、その検出信号に基づいて建物10内に人が居ないことを取得し、人が留守である場合に建物内空間の全体に高濃度オゾンガスを供給させる。なお、コントローラ95は、セットされたタイマに基づいてオゾン供給制御を行ってもよく、人が所持している無線通信装置から送信された信号に基づいてオゾン供給制御を行ってもよい。
【0083】
(2)浴室11やトイレ13の外側における浴室ドア67やトイレドア82の周辺には、浴室空間21やトイレ空間23から外にオゾンガスが漏れ出したことを検出するオゾンガス検出部が設けられていてもよい。例えば、オゾンガス検出部によりオゾンガス漏れが検出された場合、フェイルセーフ処理として、浴室11やトイレ13へのオゾンガス供給が停止されるとともに、浴室換気扇71やトイレ換気扇91により換気が行われる構成とする。これにより、仮にオゾン洗浄時にオゾンガスが浴室11やトイレ13から漏れ出しても、その他の屋内空間における安全性低下を抑制できる。
【0084】
(3)浴室11やトイレ13の外側に、浴室空間21やトイレ空間23における空気中オゾン濃度が所定濃度より大きいことを報知する報知手段が設けられていてもよい。報知手段は、例えば表示装置やスピーカ等である。この例では、規制手段としてコントローラ95が報知手段の報知制御を行う構成とする。これにより、例えばオゾン供給処理中に浴室11やトイレ13に人が立ち入ることを規制でき、ひいては、オゾンが身体に接触したり体内に取り込まれたりすることを抑制できる。
【0085】
(4)上記実施形態では、浴室11やトイレ13において人の存在が検出される構成としたが、ペット(愛玩動物)の存在が検出される構成としてもよい。これにより、浴室11やトイレ13にペットが居るにもかかわらずオゾンガスやオゾン水が供給されるといった不都合を回避できる。
【0086】
(5)上記実施形態では、浴室ドア67やトイレドア82に浴室施錠装置68やトイレ施錠装置83が設けられているが、これら施錠装置68,83は設けられていなくてもよい。この場合でも、浴室ドア67やトイレドア82により浴室出入口66やトイレ出入口81が閉鎖されていれば、オゾンの身体への接触や体内への取り込みが規制される。要は、浴室11やトイレ13への人の立ち入りや、オゾンガスやオゾン水の拡散が規制されていれば、オゾンが身体に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0087】
(6)上記実施形態では、オゾン水の濃度がオゾン生成装置51により調整される構成としたが、それら濃度がキッチン用給水装置36やトイレ用給水装置39、洗面室用給水装置42により調整される構成としてもよい。この場合、給水装置によりオゾン水と水道水とが混合され、その混合比率が調整される構成とすれば、オゾン水の濃度を調整することができる。
【0088】
(7)上記実施形態では、通気部がアンダーカット84として浴室ドア67やトイレドア82に設けられているが、通気部は浴室壁やトイレ壁に設けられていてもよい。この場合、通気部が、浴室11やトイレ13に隣接する廊下等の建物内空間に通じており且つ閉鎖装置により閉鎖される構成であれば、オゾンガスが浴室空間21やトイレ空間23から建物内空間に通気部を通じて漏れ出すことを抑制できる。
【0089】
(8)上記実施形態では、オゾン供給対象が浴室11やトイレ13といった部屋に設定されているが、オゾン供給対象は、オゾン供給が可能な内部空間を有するカプセル等であってもよい。この場合、カプセル内において空気洗浄を行うことができるとともに、カプセル内の物品等を対象としてオゾン浄化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本実施形態における建物の概略断面を示す図。
【図2】浴室の概略断面を示す図。
【図3】トイレの概略断面を示す図。
【図4】コントローラにより実行される高濃度オゾン水及びオゾンガス供給制御処理を示すフローチャート。
【図5】低濃度オゾン水供給制御処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0091】
10…建物、13…トイレ、23…トイレ空間、36…オゾン供給装置としてのキッチン用給水装置、39…オゾン供給装置としてのトイレ用給水装置、42…オゾン供給装置としての洗面室用給水装置、51…オゾン生成装置、56…オゾン供給装置を構成する供給用ダクト、58…オゾン供給装置を構成する吹出グリル、59…オゾン供給装置としてのグリル用駆動部、68…規制手段としての浴室施錠装置、71…換気装置としての浴室換気扇、83…規制手段としてのトイレ施錠装置、85…閉鎖装置を構成するアンダーカット閉鎖部、86…閉鎖装置を構成するアンダーカット用駆動部、90…換気装置としてのトイレ換気扇。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンガス又はオゾン水を生成するオゾン生成装置と、
前記オゾン生成装置により生成される生成オゾンを建物内の所定場所に供給するオゾン供給装置と
を備えるオゾン供給システムであって、
前記生成オゾンが前記所定場所へ供給される場合に該生成オゾンによる身体への影響の有無を判定する影響判定手段と、
前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、該生成オゾンの身体への接触又は体内への取り込みを規制する規制手段と
を備えることを特徴とするオゾン供給システム。
【請求項2】
仕切体によって仕切られた所定の屋内空間を前記所定場所として前記生成オゾンを供給するオゾン供給システムであり、
前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、前記屋内空間に人が立ち入ることを規制する請求項1に記載のオゾン供給システム。
【請求項3】
前記屋内空間の出入口に設けられた開閉体を施錠する施錠装置を備える建物に適用され、
前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、前記開閉体の開放を規制するべく前記施錠装置の施錠制御を行う請求項2に記載のオゾン供給システム。
【請求項4】
前記屋内空間及び該屋内空間に隣接する建物内空間に通じるように前記仕切体に形成された通気部と、前記通気部を閉鎖する閉鎖装置とを備える建物に適用され、
前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、前記通気部を閉鎖させるべく前記閉鎖装置の動作制御を行う請求項2又は3に記載のオゾン供給システム。
【請求項5】
前記影響判定手段は、オゾン供給装置により前記生成オゾンが前記所定場所へ供給された場合に、該生成オゾンによる身体への影響の有無を判定し、
前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響無しと判定された場合に、前記屋内空間への人の立ち入り規制を解除する請求項2乃至4のいずれか1項に記載のオゾン供給システム。
【請求項6】
前記屋内空間に人が立ち入ろうとしていることを検出する立入検出手段と、
前記立入検出手段により人が立ち入ろうとしていることが検出された場合に前記屋内空間の換気を行う換気装置と
を備える請求項5に記載のオゾン供給システム。
【請求項7】
前記規制手段は、前記影響判定手段により前記生成オゾンが身体に影響有りと判定された場合に、前記所定場所に供給する前記生成オゾンの濃度を低くする濃度調整手段である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のオゾン供給システム。
【請求項8】
前記オゾン供給装置は、前記オゾン生成装置により生成されるオゾンガスを前記所定場所としてのトイレ又は浴室の少なくとも一方に供給する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のオゾン供給システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のオゾン供給システムと、前記生成オゾンが供給される前記所定場所としての複数の屋内空間とを備える建物であって、
前記オゾン供給装置は、屋内空間ごとにそれぞれ設けられ、前記オゾン生成装置により生成されるオゾンガスを各屋内空間に供給することを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−261503(P2009−261503A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112451(P2008−112451)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】