説明

オプトエレクトロニックデバイス

【課題】発光半導体とエポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、封止体処方物から作成される封止体とを含むオプトエレクトロニックデバイスを提供する。
【解決手段】デバイスは、封止体が高いUV並びに熱安定性、改善された硬化性、例えばB又はC段階の硬化能力、より良好な透明性、及びより高いガラス転移点(Tg)を有し、(i)発光半導体を準備する工程、及び(ii)該発光半導体を、封止体によって封止する工程を含む、オプトエレクトロニックデバイスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オプトエレクトロニックデバイスおよびその製法に関するものである。より詳しくは、本発明は、発光半導体および封止体(encapsulant)を含むオプトエレクトロニックデバイスを提供する。該封止体は、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、封止体処方物から作成される。
【背景技術】
【0002】
オプトエレクトロニックデバイス用の満足できる封止体の開発においては、とりわけ熱的安定性、低い熱膨張率(CTE)、UV安定性、酸化安定性、防湿性、光学的明澄度、透明性、光束出力(lumen output)、電力消費、量子収率、波長変換、構造的一体性、硬さ、熱的コンプライアンス、亀裂抵抗、信頼性、粘度、硬化特性、製造適正、および原価効率等の広範囲に渡るファクタ、およびこれらの間の釣り合いを考慮する必要がある。熱的およびUV安定性は、発光ダイオード、電荷結合素子(CCD)、大規模集積装置(LSI)、フォトダイオード、垂直共振器表面発光レーザー(垂直共振器レーザー:VCSEL)、フォトトランジスタ、フォトカプラ、およびオプトエレクトロニックカプラ等のオプトエレクトロニックデバイス用の封止体を開発する際に、主として重要となる特性である。例えば、発光活性レーザーは、470nm〜380nmなる範囲内の波長における強力な光に耐えるためには、優れた熱的およびUV特性を必要とする。LEDパッケージにおいて使用される封止体も、短い波長の光、例えば400nm近傍の光に対して耐性である必要がある。
初期の5mmLEDデバイスは、著しく低い光束強度およびその結果としての低い熱的要求しか持たなかった。この5mmデバイスで使われている封止体材料は、高靭性のシリコーンから、極めて耐久性のよいエポキシ系、例えばビスグリシドキシビスフェノールAから誘導されるものにまで及ぶ。しかし、シリコーン材料は、一般に進歩した照明用途における、長期に渡る耐久性にとって必要な、靭性を持つことはない。
【0003】
耐久性、加工容易性および原価効率は、エポキシ由来の封止体材料に関する3つの強度である。しかし、エポキシ系も、幾つかの局面においては、完全とはいえない。オプトエレクトロニックデバイスに関する従来の封止の一つは、主としてビスフェノール-Aエポキシ樹脂と、脂肪族無水物硬化剤とのブレンドを使用している。米国特許第4,178,274号に記載されているように、公知の促進剤、例えば三級アミン、イミダゾール、またはホウ素トリフルオライド錯体の使用によって迅速に硬化する、これら組成物に係る欠点の一つは、その貧弱な熱老化安定性である。これまで使用されてきたこれらの材料は、80℃以上の温度に長期間暴露した後に、変色する。黄色乃至褐色となる、これらの生成樹脂は、著しく低下した光透過率を持つ。更に、ビスフェノール-Aを主成分とするエポキシ樹脂の芳香族性のために、これらの封止体は、典型的に、紫外線に暴露した際の安定性が低く、また紫外線に長期間暴露した場合には、劣化する恐れがある。例えば、ビスグリシドキシビスフェノール-Aは、1ワット当たり約20ルーメンなる、光束強度を持つ5mmデバイスにおいて使用されてきた。一般的に、芳香族物質を主成分とする材料は、455nm未満の波長を持つ光に暴露した際に黄変することから、UV用の途には適さない。シクロ-オレフィンコポリマーが、ブルーパワーパッケージ(blue power package)デバイスにおいて使用されているが、これらは、約100℃なる温度において、長期間に渡り存続しない。
【0004】
チップおよび関連する熱的部品は進歩しつつあるので、例えばより新しいパワーパッケージは、例えば180℃を越えるより高い接合温度を有し、また光学的な要件は、高温度(例えば、>100℃)にて、およびより短波長における、より高い光束強度にて、数万時間に及び存続し続ける材料を要求する。
UV発光LEDの原型は、不活性ガスを満たし、ガラスに封入したデバイスを用いて、ニチアケミカル工業(Nichia Chemical Industries)社によって製造されている。しかしながら、これらデバイスは、禁止的価格を持つ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、オプトエレクトロニックデバイスおよびその製法を提供することを目的とする。より詳しくは、本発明は、発光半導体および封止体を含むオプトエレクトロニックデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
有利なことに、本発明は、改善されたデバイスを提供するものであり、とりわけ、その封止体は、高いUV並びに熱的安定性、改善された硬化性、例えばBまたはC段階の硬化能力、より良好な透明性、およびより高いガラス転移点(Tg)を有する。
本発明の例示的態様の一局面は、発光半導体および封止体を含む、オプトエレクトロニックデバイスを提供するものである。該封止体は、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、封止体処方物から作成したものである。
本発明の例示的態様のもう一つの局面は、オプトエレクトロニックデバイスの製造方法を提供することにあり、この方法は、(i) 発光半導体を準備する工程、および(ii) 該発光半導体を、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、処方物から作成した封止体によって、封止する工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、発光半導体および封止体を含むオプトエレクトロニックデバイスを提供する。該発光半導体は、発光ダイオード(LED)またはレーザーダイオードであり得る。該封止体は、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、封止体用の処方物から作成したものである。このようなオプトエレクトロニックデバイスの製造方法も、本発明の範囲内に含まれる。
本発明のオプトエレクトロニックデバイスは、スペクトルの紫外、可視、および赤外部分における電磁輻射光を、発生、変調、透過および検知するためのあらゆる半導体およびその他のエレクトロニックデバイスであり得る。しばしば半導体デバイスまたは固体(solid-state)素子とも呼ばれる、オプトエレクトロニックデバイスは、発光ダイオード(LED)、電荷結合素子(CCD)、フォトダイオード、垂直共振器表面発光レーザー(垂直共振器レーザー:VCSEL)、フォトトランジスタ、フォトカプラ、およびオプトエレクトロニックカプラ等を含むが、これらに制限されない。しかし、該封止体用処方物は、またオプトエレクトロニックデバイス以外のデバイス、とりわけ、例えばマイクロプロセッサ、ASICs、DRAMsおよびSRAMs等のロジックおよびメモリーデバイス、並びに電子部品、例えばキャパシタ、インダクタおよび抵抗器等においても使用可能であると理解すべきである。
【0008】
本発明のオプトエレクトロニックデバイスの、幾つかの非-限定的な例は、添付した図面に示されている。これらの図面は、便宜および証明の容易さに基く、単なる模式的表示であり、従って該オプトエレクトロニックデバイスまたはその部品の相対的なサイズおよび寸法を示すものではない。
明確さのために、以下の説明においては、特別な用語を使用するが、これらの用語は、図面において例示するために選択された態様の、特定の構造を意味することのみを意図しており、本発明の範囲を規定もしくは限定するものではない。以下の図面および以下の説明において、同様な数値的名称は、同様な機能を持つ部品を意味するものと理解すべきである。
【0009】
図1を参照すると、本発明の一態様によるデバイスが、模式的に示されている。このデバイスは、図1に示されているように、リードフレーム105に電気的に接続された、LEDチップ104を含む。例えば、このLEDチップ104は、該リードフレーム105のアノードまたはカソード電極に、直接電気的に接続し、またリード107によって、該リードフレーム105の、対向するアノードまたはカソード電極に、接続することができる。図1に示された、特定の態様においては、該リードフレーム105は、該LEDチップ104を支持している。しかし、リード107は省くことができ、また該LEDチップ104は、該リードフレーム105の両電極に渡って広がっていてもよく、該LEDチップ104は、コンタクト層を含み、該コンタクト層は、該リードフレーム105のアノードまたはカソード電極両者と接触している。該リードフレーム105は、電源、例えば電流または電圧源、または別の回路(図示せず)と接続している。
該LEDチップ104は、輻射光放出表面109から輻射光を発する。このLEDは、可視、紫外または赤外光を発することができる。該LEDチップ104は、所定の輻射光を発することのできる、任意の半導体層のp-n接合を含む、あらゆるLEDチップであり得る。例えば、該LEDチップ104は、任意の所定の第III-V族化合物半導体層、例えばGaAs、GaAlAs、GaN、InGaN、GaP等、または第II-VI族化合物半導体層、例えばZnSe、ZnSSe、CdTe等、または第IV-IV族化合物半導体層、例えばSiCを含むことができる。該LEDチップ104は、また他の層、例えばクラッド層、導波路層、およびコンタクト層を含むこともできる。
【0010】
該LEDは、本発明に従って製造された、封止体111で実装されている。一態様において、該封止体111は、シェル114と共に使用される。該シェル114は、該LED輻射光に対して透明な、任意のプラスチックまたはその他の材料、例えばポリカーボネートであり得る。しかし、該シェル114は、該封止体111が、シェル無しに使用するのに十分な靭性および剛性を持つ場合には、加工を単純化するために省略することができる。このように、該封止体111の外側表面は、幾つかの態様においては、シェル114またはパッケージとして機能するであろう。該シェル114は、該LEDチップ104の上方の光または輻射光放出表面115と、該リードフレーム105に隣接する非-発光表面116とを含む。該輻射光放出表面115は、レンズとして機能するように湾曲しており、および/またはフィルタとして機能するように着色されていてもよい。様々な態様において、該非-発光表面116は、該LED輻射光に対して不透明なものであり得、また金属等の不透明な材料で作ることができる。該シェル114は、また必要ならば、該LEDチップ104の周りにリフレクタを、または抵抗器等の他の部品を含むことができる。
【0011】
本発明によれば、蛍光体(蛍リン光体)を、該LEDチップ104上に、薄層として塗布し、あるいは該シェル114の内側表面上に塗布し、あるいは封止体111と共に蛍光体の粉末として散在させ、またはこれと混合することができる。任意の適当な蛍光体を、該LEDチップと共に使用することができる。例えば、黄色の光を発する、セリウムをドープした、イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体(YAG:Ce3+)を、青色の光を発するInGaN活性層LEDチップと共に使用して、ヒトが観測した場合には、白色に見える、可視領域の黄色および青色の出力を得ることができる。LEDチップと蛍光体とのその他の組合せを、所望により使用することができる。UV/青色光を可視光に効果的に転化する、UV/青色光LED-蛍光体デバイスの詳細な開示は、米国特許第5,813,752号(Singer)および同第5,813,753号(Vriens)に見出すことができる。
該実装されたLEDチップ104は、図1に示されたような一態様によれば、該リードフレーム105によって支持されているが、このデバイスは、様々な他の構造を持つことができる。例えば、該LEDチップ104は、該シェル114の底部表面116によって、あるいは該リードフレーム105の代わりに、該シェル114の底部に配置されたペデスタル(図示せず)によって、支持されていてもよい。
【0012】
図2を参照すると、プラスチック基板上に設けられた、LEDアレイを含むデバイスが図示されている。LEDチップまたはダイス204は、典型的におよび電気的にカソードリード206上に搭載されている。該LEDチップ204の上部表面は、リード線207によって、アノードリード205と、電気的に接続されている。これらのリード線は、公知のワイヤボンディング技術によって、導電性チップパッドに結合することができる。該リード206、205は、リードフレームを含み、また銀メッキした銅等の金属で作ることができる。該リードフレームおよびLEDチップアレイは、プラスチックパッケージ209、例えばポリカーボネートパッケージ、ポリ塩化ビニルパッケージまたはポリエーテルイミドパッケージ内に収容されている。幾つかの態様において、該ポリカーボネートは、ビスフェノールAポリカーボネートを含む。該プラスチックパッケージ209は、本発明による封止体用の処方物で作られた、封止体201で満たされている。該パッケージ209は、テーパーを付した内部側壁208を含み、これは該LEDチップ204を包囲し、また光広がり共振器(キャビティー)(light spreading cavity)202を形成し、これはLED光のクロスフラクシング(cross fluxing)を保証する。
【0013】
図3は、該LEDチップ304が、キャリア基板307により支持されている、デバイスを示す。図3を参照すると、該キャリア基板307は、該LEDパッケージの下方部分を含み、また任意の材料、例えばプラスチック、金属またはセラミックスを含むことができる。好ましくは、該キャリア基板は、プラスチックで作られ、溝303を含み、該溝には、該LEDチップ304が配置されている。該溝303の側部は、反射性の金属302、例えばアルミニウムで被覆されており、この反射金属は、リフレクタとして機能する。しかし、該LEDチップ304は、該基板307の平坦表面上に形成することも可能である。該基板307は、電極306を含み、これは電気的に、該LEDチップ304のコンタクト層と接触している。あるいはまた、該電極306は、図3に示されているように、1または2つのリードによって、該LEDチップ304と電気的に接続することができる。該LEDチップ304は、封止体301によって覆われており、該封止体は、本発明の封止体用の処方物で作られている。望ましい場合には、シェル308またはガラス板を、レンズまたは保護材料として作用するように、該封止体301上に形成することができる。
【0014】
垂直共振器表面発光レーザー(垂直共振器レーザー:VCSEL)を、図4に示す。図4を参照すると、VCSEL 400は、印刷回路基板アセンブリー403のポケット402の内部に包埋されている。ヒートシンク404は、該ポケット402内に設けることができ、また該VCSEL 400は、該ヒートシンク404上に載置することができる。該封止体406は、注入等によって、本発明の封止体用の処方物を、該印刷回路基板403の該ポケット402の空洞405内に満たすことによって形成される。この処方物は、該VCSEL包囲するように流動し、その全ての側を包み込み、また該VCSEL 400の表面上に、トップコートフィルム406を生成することができる。該トップコートフィルム406は、該VCSEL 400を、損傷並びに劣化から保護し、また同時に水分に対して不活性であり、透明であり、かつ研磨可能である。該VCSELから放出されるレーザービーム407を、ミラー408に当てて、該印刷回路基板403の該ポケット402から反射させることができる。
【0015】
ここでは、本発明の開示事項の特定の特性、例えば百分率、化学種、および温度等に関連して、「範囲」または「群」に言及した場合、該範囲または群は、あらゆる下位範囲または下位群の各々および各構成員並びにその組合せ全てに関連し、またこれらを、ここに明示的に組入れるものと理解すべきである。従って、任意の特定の範囲または群は、個々の範囲または群の各々および各構成員、並びにそこに含まれる可能なあらゆる下位範囲または下位群の各々および各構成員に言及する際の簡略法として理解すべきであり、またその中のあらゆる下位範囲または下位群についても同様である。
上に記載したように、本発明は、発光ダイオードと、封止体とを含む、オプトエレクトロニックデバイスを提供する。ここで、該封止体は、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、封止体用の処方物から作成したものである。
本発明で使用する該エポキシイソシアヌレートは、ここでは2つの構造単位を含む化合物として定義され、その第一の構造単位は、1またはそれ以上の水素原子が除去された、以下の式(Ia)であらわされるイソシアヌレート基であり、またその第二の構造単位は、以下の式(Ib)で表されるエポキシ基である:
【0016】
【化1】

【0017】
様々な例示的態様において、該式(Ib)で表されるエポキシ基は、以下の式の何れかによって表すことができる:
【0018】
【化2】

【0019】
ここで、破線は、該エポキシ基とイソシアヌレートの窒素原子とを結合する、任意の結合基、例えばC1-6アルキレン基を表す。
例えば、該エポキシイソシアヌレートは、以下に列挙する式等、またはこれらの組合せで表される、1またはそれ以上の化合物から選択することができる:












【0020】
【化3】



【0021】
【化4】

【0022】
特定の一態様において、該エポキシイソシアヌレートは、以下に示す式(I-1)で表される化合物(TGIC)を含む:
【0023】
【化5】

【0024】
様々な態様において、該封止体は、式(I-1)で示される化合物等のエポキシイソシアヌレート、および硬化剤を含む封止体用処方物から作られる。該封止体は、場合により、式(I-1)で表される化合物等のエポキシイソシアヌレート、脂肪族または脂環式エポキシ、および硬化剤または硬化試薬を含む、封止体用処方物から製造することができる。
該エポキシイソシアヌレートの量は、該封止体用処方物の全質量を基準として、約5質量%を越え、好ましくは約10〜約50質量%なる範囲内、より好ましくは約20〜約40質量%なる範囲内にある。
上記の如く、本発明は、発光ダイオードと、封止体とを含む、オプトエレクトロニックデバイスを提供する。ここで、該封止体は、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、封止体用処方物から作成したものである。本発明で使用するエポキシヒダントインは、ここでは、2つの構造単位を含む化合物として定義され、その第一の構造単位は、1またはそれ以上の水素原子が除去された、以下の式(Ha)であらわされるヒダントイン基であり、またその第二の構造単位は、以下の式(Ib)で表されるエポキシ基である:
【0025】
【化6】

【0026】
様々な例示的態様において、該式(Ib)で表されるエポキシ基は、以下の式の何れかによって表すことができる:
【0027】
【化7】

【0028】
ここで、破線は、該エポキシ基とイソシアヌレートの窒素原子とを結合する、任意の結合基、例えばC1-6アルキレン基を表す。
例えば、該エポキシヒダントインは、以下に列挙する式等、またはこれらの組合せで表される、1またはそれ以上の化合物から選択することができる:
【0029】
【化8】






【0030】
【化9】



【0031】
【化10】

【0032】
特定の一態様において、該エポキシヒダントイン化合物は、例えばビスエポキシヒダントインの如く、2またはそれ以上の脂肪族または脂環式エポキシ基を含む。エポキシヒダントイン(epoxyhydration)の一例は、1,3-ビスグリシジル-5-メチルヒダントインである。
特定の態様においては、該エポキシヒダントイン化合物は、以下に示す式(H-1)で表される化合物(HYDE)を含む:












【0033】
【化11】

【0034】
本発明で使用する封止体用処方物における、該エポキシヒダントインの量は、該封止体用処方物の全質量を基準として、一般的に約5質量%よりも高く、好ましくは約10〜約30質量%なる範囲内にある。
該エポキシイソシアヌレート、または該エポキシイソシアヌレートと、該エポキシヒダントインとの混合物を、場合により該封止体用処方物において、これらとは異なる1またはそれ以上の適当なエポキシ化合物(以下「他のエポキシ化合物」という)との組合せで、使用することができる。このようなエポキシ化合物の例は、脂肪族マルチ-エポキシ化合物、脂環式マルチ-エポキシ化合物、およびこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。例えば、脂環式マルチ-エポキシ化合物は、チバ-ガイギー(Ciba-Geigy)社から入手できるERLシリーズのエポキシ化合物、例えば一般的にERL 4221として知られている、以下の式(E-1)で表される化合物;一般的にERL 4206として知られている、以下の式(E-2)で表される化合物;一般的にERL 4234として知られている、以下の式(E-3)で表される化合物;一般的にERL 4299として知られている、以下の式(E-4)で表される化合物等;およびこれらの混合物から選択することができる:



















【0035】
【化12】

【0036】
脂肪族マルチ-エポキシ化合物の例は、ブタジエンジオキシド、ジメチルペンタンジオキシド、ジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジペンテンジオキシド、ポリオールジグリシジルエーテル等、およびこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。
脂肪族マルチ-エポキシ化合物のその他の具体的な例は、以下の構造を持つものを含むが、これらに制限されない:














【0037】
【化13】



【0038】
【化14】

【0039】
ここで、R1およびR2は夫々独立に、C1-10の二価の炭化水素基を表し、R4およびR7は夫々独立に、OH、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、およびC1-10アルコキシからなる群から選択され、R4、R8およびR9は、夫々独立に、ヒドロキシアルケン、ヒドロキシアルケニレン、R1、R2、-R1-S-R2-、-R1-N(R5)(R2)-、および-C(R5)(R6)-からなる群から選択され、R5およびR6は、夫々独立に、H、OH、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルケニル、およびC1-10ヒドロキシアルケニルからなる群から選択され、nは、2〜6なる範囲(境界を含む)内の整数であり、mは、0〜4なる範囲(境界を含む)内の整数であり、但し、2≦m+n≦6を満たすことを条件とし、pおよびqは、夫々独立に、1〜5なる範囲(境界を含む)内の整数からなる群から選択され、rおよびsは、夫々独立に、0〜4なる範囲(境界を含む)内の整数からなる群から選択され、但し、2≦p+r≦5、および2≦q+s≦5を満たすことを条件とする。
【0040】
脂環式マルチ-エポキシ化合物の例は、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ-(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン、3,4-エポキシシクロヘキシル-3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(EECH)、3,4-エポキシシクロヘキシルアルキル-3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル、3',4-エポキシ-6'-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキサンジオキシド、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ-エキソビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、エンド-エキソビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2-ビス(4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,6-ビス(2,3-エポキシプロポキシシクロヘキシル-p-ジオキサン(dioxanc)、2,6-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ノルボルネン(norbonene)、リノール酸ダイマーのジグリシジルエーテル、リモネンジオキシド、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジオキシド、1,2-エポキシ-6-(2,3-エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、p-(2,3-エポキシ)シクロペンチルフェニル-2,3-エポキシプロピルエーテル、1-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル-5,6-エポキシヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、o-(2,3-エポキシ)シクロペンチルフェニル-2,3-エポキシプロピルエーテル)、1,2-ビス[5-(1,2-エポキシ)-4,7-ヘキサヒドロメタノインダノキシル]エタン、シクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、およびこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。
【0041】
幾つかの態様においては、芳香族エポキシ樹脂を使用することができる。芳香族エポキシ樹脂の例は、ビスフェノール-Aエポキシ樹脂、ビスフェノール-Fエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、4,4'-ビフェニルエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンジオキシド樹脂、2-グリシジルフェニルグリシジルエーテル樹脂等、およびこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。存在する場合における、本発明の封止体用処方物中の、該他のエポキシ化合物の量は、一般に該封止体用処方物の全質量を基準として、約40質量%を越え、好ましくは約50〜約80質量%なる範囲、より好ましくは約60〜約70質量%なる範囲内にある。
全てのエポキシ化合物の総量は、一般に該封止体用処方物の全質量を基準として、約40質量%を越え、好ましくは約50〜約90質量%なる範囲、より好ましくは約60〜約80質量%なる範囲内にある。
本発明の特定の態様においては、該封止体用処方物は、以下の式(I-1)で表されるエポキシイソシアヌレート(TGIC)および以下に示すような式(H-1)で表されるエポキシヒダントイン(HYDE)を含む:
【0042】
【化15】

【0043】
この封止体用処方物においては、該処方物の全質量を基準として、該式(I-1)で表されるエポキシイソシアヌレートの量は、約10〜約40質量%なる範囲内にあり、また該式(H-1)で表されるエポキシヒダントインの量は、約10〜約30質量%なる範囲内にある。
本発明の特定の態様においては、該封止体用処方物は、以下の式(I-1)で表されるエポキシイソシアヌレートおよび以下の式(E-1)で表されるエポキシ化合物(EHEHA)を含む:



【0044】
【化16】

【0045】
この封止体用処方物においては、該処方物の全質量を基準として、該式(I-1)で表されるエポキシイソシアヌレートの量は、約10〜約40質量%なる範囲内にあり、また該式(E-1)で表されるエポキシ化合物の量は、約10〜約30質量%なる範囲内にある。
上記の如く、本発明は、発光ダイオードと封止体とを含む、オプトエレクトロニックデバイスを提供する。該封止体は、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、封止体用の処方物から作られる。該硬化剤は、特に、脂環式無水物、脂肪族無水物、ポリ酸およびその無水物、ポリアミド、ホルムアルデヒド樹脂、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸ポリエステル、ポリスルフィドおよびポリメルカプタン、フェノールノボラック樹脂、およびポリオール、例えばポリフェノールから選択することができる。
【0046】
無水物硬化剤の例は、「エポキシ樹脂の化学および技術(Chemistry and Technology of the Epoxy Resins)」13. エリス(Ellis)編、チャップマンホール(Chapman Hall), N.Y., 1993および「エポキシ樹脂、化学および技術(Epoxy Resins Chemistry and Technology)」C.A.(May)編、マルセルデッカー(Marcel Dekker)、N.Y., 第2版、1988に記載されているものであり得る。無水物の非-限定的な例は、琥珀酸無水物、ドデセニル琥珀酸無水物、フタル酸無水物、テトラ(tetraa)ヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)、ヘキサヒドロ-4-メチルフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、ピロメリット酸二無水物、クロレンド酸無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸の無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、エンド-シスビシクロ(2.2.1)ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ(2.2.1)ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、1,4,5,6,7,7-ヘキサクロロビシクロ(2.2.1)-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、以下の式で表される無水物、例えばHHPA;5,5'-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ビス-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物(DISIAN)等、並びにこれらの混合物:








【0047】
【化17】

【0048】
一特定の態様において、該硬化剤は、HHPAを含む。幾つかの例示的態様において、THY処方物が、該封止体に対して使用される。該THY処方物は、上記の如くTGIC、HYDE、およびHHPAを含有する組成物として定義される。
ポリアミン硬化剤の例は、脂肪族ポリアミンおよび脂環式ポリアミン、例えばClayton A. MayおよびYoshio Tanaka編「エポキシ樹脂、化学および技術(Epoxy Resins Chemistry and Technology)」、マルセルデッカー(1973)、第3および4章、に記載されているものであり得る。ポリアミンの非-限定的な例は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メンタンジアミン(4-(2-アミノプロパン-2-イル-)-1-メチルシクロヘキサン-1-アミン)、珪素-含有ポリアミン、N-アミノエチルピペラジン、オレフィンオキシド-ポリアミン付加物、例えばH2N(CH2CH2NH)2(CH2)2OH、H2NRaNH(CH2)2OH、H2N(CH2)2NHRaNH(CH2)2OH(但し、Raは、C1-10炭化水素基である)、グリシジルエーテル-ポリアミン付加物、ケチミン等である。
適当な脂環式ポリアミンは、例えばピペラジンの誘導体、例えばN-アミノエチルピペラジン、脂環式炭化水素の誘導体、例えば1,2-ジアミノシクロヘキサン、および以下の式で表されるイソホロンジアミンである:
【0049】
【化18】

【0050】
ポリアミド硬化剤の例は、式:Rd-(C(=O)NH-Rb)u-NH-Rc-NH2で表されるアルキル/アルケニルイミダゾリン(ここで、RbおよびRcは、相互に独立に、C1-10炭化水素基であり、またRdはH、C1-10アルキル、C1-10アルケニル、C1-10ヒドロキシアルキル、およびC1-10ヒドロキシアルケニルからなる群から選択され、またuは、1〜10(境界を含む)なる範囲内の整数である。
他の適当な硬化剤は、ポリメルカプタンおよびポリフェノール硬化剤、例えば「エポキシ樹脂:化学および技術(Epoxy Resins: Chemistry and Technology)」第2版、C.A. Mory編、マルセルデッカー社刊に記載されているものを含む。
様々な例示的な態様において、本発明の処方物は、フェニルイミダゾール、脂肪族スルホニウム塩、またはこれらの任意の混合物を含むことができる。
特定の一態様において、該硬化剤は、以下の式(A-1)を持つ無水物、あるいはヘキサヒドロ-4-メチルフタル酸無水物、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、またはメチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)として知られるものを包含する:
【0051】
【化19】

【0052】
本発明の封止体用処方物における該硬化剤の量は、該処方物全質量を基準として、一般的に約10質量%を越え、好ましくは約20〜約60質量%なる範囲、より好ましくは約30〜約60質量%なる範囲内にある。
本発明の特定の態様において、該封止体用処方物は、式(I-1)のエポキシイソシアヌレート、式(E-1)のエポキシ化合物、および式(A-1)の無水物硬化剤を含む:
【0053】
【化20】

【0054】
本発明の幾つかの態様において、特に酸無水物またはノボラック樹脂を、該硬化剤として使用した場合、該封止体用処方物は、更に該エポキシ樹脂と該硬化剤との反応を促進する目的で、触媒または硬化促進剤を含むことができる。
適当な触媒は、例えばイミダゾール化合物、三級アミン化合物、ホスフィン化合物、シクロアミジン化合物等を含む。イミダゾール化合物の例は、例えば2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、および2-フェニルイミダゾールを含む。
該封止体用処方物における触媒の量は、該処方物全質量を基準として、一般的に約0.01質量%を越え、好ましくは約0.01〜約20質量%なる範囲、より好ましくは約0.05〜約5質量%なる範囲内にある。
本発明の特定の態様において、該封止体用処方物は、式(I-1)のエポキシイソシアヌレート、式(E-1)のエポキシ化合物、式(A-1)の無水物硬化剤、および式(C-1)の触媒、即ち2-フェニルイミダゾールを含む:
【0055】
【化21】

【0056】
本発明の封止体用処方物に含めることの可能な他の適当な触媒は、例えばホウ素-含有触媒である。好ましくは、ホウ素-含有触媒は、本質的に最少量のハロゲンを含むか、あるいはこれを全く含まない。最少量のハロゲンとは、これが存在する場合、該封止体の最終的な生成物が、最少量のハロゲンの存在によって、実質的に変色されないような、僅かな量で存在することを意味する。様々な例示的態様において、ホウ素-含有触媒は、以下の式(B-1)または(B-2)で表される化合物を含むことができる:
【0057】
【化22】

【0058】
ここで、Rb1、Rb2、およびRb3はC1-20アリール、アルキルまたはシクロアルキル基およびその置換誘導体、またはアリールオキシ、アルキルオキシまたはシクロアルコキシ基およびその置換誘導体である。上記触媒の例は、特にトリフェニルボレート、トリブチルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリフェニルボロキシン、トリメチルボロキシン、トリブチルボロキシン、トリメトキシボロキシン、およびトリブトキシボロキシンを含むが、これらに制限されない。
本発明の封止体用処方物の随意の成分は、一種またはそれ以上の補助的硬化触媒を含むことができる。補助的硬化触媒の例示的な例は、「エポキシ樹脂の化学および技術(Chemistry and Technology of the Epoxy Resins)」B.エリス(Ellis)編、チャップマンホール(Chapman Hall), N.Y., 1993および「エポキシ樹脂、化学および技術(Epoxy Resins Chemistry and Technology)」C.A.(May)編、マルセルデッカー(Marcel Dekker)、N.Y., 第2版、1988に記載されている。特定の態様において、該補助的硬化触媒は、少なくとも一つの金属カルボキシレート、金属アセチルアセトネート、金属オクトエートまたは以下に示すような、2-エチルヘキサノエートを含む。これらの化合物は、単独でまたは少なくとも2種の化合物の組合せとして使用することができる。
【0059】
【化23】

【0060】
本発明による封止体用処方物の随意成分は、エポキシの硬化速度を改善することのできる、1種またはそれ以上の硬化改善剤を含むことができる。本発明の様々な態様において、硬化改善剤は、少なくとも一つの効果促進剤または硬化阻害剤を含む。硬化改善剤は、孤立電子対を含むヘテロ原子を含有する化合物であり得る。様々な態様において、硬化改善剤は、ジオール、トリオール等の多官能性アルコール、およびビスフェノール、トリスフェノール等を含む。更に、このような化合物の該アルコール基は、一級、二級または三級、もしくはこれらの混合物であり得る。その代表的な例は、ベンジルアルコール、シクロヘキサンメタノール、アルキルジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、例えば2,5-へキシレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリエーテルポリオール、例えばダウケミカル社(Dow Chemical Company)によって、ボラノール(VORANOL)なる商品名の下で市販されているもの等を含む。特定の態様において、該硬化改善剤は、以下に列挙する化合物の1種、またはその混合物から選択できる:
【0061】
【化24】

【0062】
ホスフィットも、硬化改善剤として使用することができる。ホスフィットの例示的な例は、トリアルキルホスフィット、トリアリールホスフィット、トリアルキルチオホスフィット、およびトリアリールチオホスフィットを含む。幾つかの態様において、ホスフィットは、トリフェニルホスフィット、ベンジルジエチルホスフィット、またはトリブチルホスフィットを含む。他の適当な硬化改善剤は、立体障害のあるアミン、および2,2,6,6-テトラメチルピペリジル基を持つもの、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)セバケートを含む。特定の態様によれば、以下に示すトリフェニルホスフィットを、本発明の封止体用処方物において使用することができる:
【0063】
【化25】

【0064】
本発明による封止体用処方物の随意成分は、またカップリング剤を含むこともでき、このカップリング剤は、様々な態様において、封止体用エポキシ樹脂の、ガラスマトリックス等のマトリックスとの結合を補助して、早期の破損を起こすことの無いような、強力な結合を形成することを可能とする。様々な例示的態様において、該カップリング剤は、以下に示すような式で表される:
【0065】
【化26】

【0066】
Rc1、Rc2およびRc3はアルキル基、例えばメチルまたはエチル基であり、またRc4は、特にC4-16アルキル基等のアルキル基、ビニル基、ビニルアルキル基、3-グリシドキシプロピル等のω-グリシドキシアルキル基、3-メルカプトプロピル等のω-メルカプトアルキル基、3-アクリルオキシプロピル等のω-アクリルオキシアルキル基、および3-メタクリルオキシプロピル等のω-メタクリルからなる群から選択される。特定の態様においては、該カップリング剤は、以下に示すような化合物である:


【0067】
【化27】

【0068】
他の例示的なカップリング剤は、シランおよびメルカプト部分両者を含む化合物を含み、その例示的な例は、メルカプトメチルトリフェニルシラン、β-メルカプトエチルトリフェニルシラン、β-メルカプトプロピルトリフェニルシラン、γ-メルカプトプロピルジフェニルメチルシラン、γ-メルカプトプロピルフェニルジメチルシラン、δ-メルカプトブチルフェニルジメチルシラン、δ-メルカプトブチルトリフェニルシラン、トリス(β-メルカプトエチル)フェニルシラン、トリス(γ-メルカプトプロピル)フェニルシラン、トリス(γ-メルカプトプロピル)メチルシラン、トリス(γ-メルカプトプロピル)エチルシラン、トリス(γ-メルカプトプロピル)ベンジルシラン等を包含する。
様々な例示的態様において、該処方物は、場合によりシルセスキオキサンポリマーを含み、より良好な機械的保全性を付与することもできる。
【0069】
封止体の劣化を最小化するために、安定剤、例えば熱安定剤およびUV-安定剤を、随意の成分として、本発明の処方物に添加することができる。安定剤の例は、J.F.ラベック(Rabek),「ポリマーの光安定化; 原理および応用(Photostabilization of Polymers; Principles and Applications)」、エルセビアアプライドサイエンス(Elsevier Applied Science), N.Y., 1990および「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastic Additives Handbook)」第5版、H. Zweifel編、ハンサーパブリッシャー(Hanser Publishers), 2001に記載されている。
適当な安定剤の例示的な例は、有機ホスフィットおよびホスホナイト、例えばトリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリ(ノニルフェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフィット、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスフィット、ジ-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、およびテトラキス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニルジホスホナイトを含む。
【0070】
適当な安定剤の例示的な例は、硫黄-含有含リン化合物、例えばトリスメチルチオホスフィット、トリスエチルチオホスフィット、トリスプロピルチオホスフィット、トリスペンチルチオホスフィット、トリスヘキシルチオホスフィット、トリスヘプチルチオホスフィット、トリスオクチルチオホスフィット、トリスノニルチオホスフィット、トリスラウリルチオホスフィット、トリスフェニルチオホスフィット、トリスベンジルチオホスフィット、ビスプロピオチオメチルホスフィット、ビスプロピオチオノニルホスフィット、ビスノニルチオメチルチオホスフィット、ビスノニルチオブチルホスフィット、メチルエチルチオブチルホスフィット、メチルエチルチオプロピオホスフィット、メチルノニルチオブチルホスフィット、メチルノニルチオラウリルホスフィット、およびペンチルノニルチオラウリルホスフィットを含む。
適当な安定剤は、立体障害のあるフェノールを含むことができる。立体障害のあるフェノール安定剤の例示的な例は、2-t-アルキル置換フェノール誘導体、2-t-アミル置換フェノール誘導体、2-t-オクチル置換フェノール誘導体、2-t-ブチル置換フェノール誘導体、2,6-ジ-t-ブチル置換フェノール誘導体、2-t-ブチル-6-メチル(または6-メチレン)置換フェノール誘導体、および2,6-ジ-メチル置換フェノール誘導体を含む。本発明の幾つかの特定の態様においては、立体障害のあるフェノール安定剤は、α-トコフェロールおよびブチル化ヒドロキシトルエンを含む。
【0071】
適当な安定剤は、立体障害のあるアミンを包含し、その例示的な例は、ビス-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)セバケート、n-ブチルー3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロン酸、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)エステル、1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンと琥珀酸との縮合生成物、N,N'-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-t-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-s-トリアジンとの縮合生成物、トリス-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、および1,1'-(1,2-エタンジイル)-ビス-(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)等を含む。
適当な安定剤は、過酸化物を破壊する化合物を含み、その例示的な例は、β-チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチル、またはトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾール、または2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛ジブチルジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルフィド、およびペンタエリスリトールテトラキス-(β-ドデシルメルカプト)プロピオネートを含む。
【0072】
その他の随意の成分は、蛍光体(蛍リン光体)粒子を含むことができる。該蛍光体粒子は、蛍光性物質の大きな片から、任意の磨砕または粉砕法、例えばジルコニアで強化したボールを用いる、ボールミルまたはジェットミルによって製造することができる。これらは、また溶液からの結晶成長によっても製造することができ、またそのサイズは、ある適当な時点において、該結晶成長を停止させることによって、調節することができる。蛍光体の一例は、セリウムでドープしたイットリウムアルミニウム酸化物:Y3Al5O12ガーネット(YAG:Ce)である。他の適当な蛍光体は、1種の型以上の希土類元素イオンをドープした、YAGを主成分とするもの、例えば(Y1-x-yGdxCey)3Al5O12(YAG:Gd,Ce)、(Y1-xCex)3(Al5-yGay)O12(YAG:Ga,Ce)、(Y1-x-yGdxCey)(Al5-zGaz)O12(YAG:Gd,Ga,Ce)、および(Gd1-xCex)Sc2Al3O12(GSAG)であり、ここで0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦5、およびx+y≦1である。例えば、YAG:Gd,Ce蛍光体は、約390nm〜約530nmなる範囲内(即ち、青乃至緑に渡るスペクトル領域)の波長範囲内の光の吸収性、および約490nm〜約700nmなる範囲内(即ち、緑乃至赤に及ぶスペクトル領域)の波長範囲の光を放出する特性を示す。関連する蛍光体は、両者共にセリウムでドープされた、Lu3Al5O12およびTb2Al5O12を含む。更に、これらのセリウムでドープしたガーネット蛍光体は、付随的に少量のPr(例えば、約0.1〜2モル%)によってドープして、赤色の発光を、更に強化することも可能である。300nm〜約500nmなる範囲の輻射光により、効率よく励起される蛍光体の非-限定的な例は、緑色光を発する蛍光体、例えばCa8Mg(SiO4)4Cl2: Eu2+、Mn2+;GdBO3: Ce3+、Tb3+;CeMgAl11O19: Tb3+;Y2SiO5: Ce3+、Tb3+;およびBaMg2Al16O27: Eu2+等;赤色光を発する蛍光体、例えばY2O3: Bi3+、Eu3+;Sr2P2O7: Eu2+、Mn2+;SrMgP2O7: Eu2+、Mn2+;(Y,Gd)(V,B)O4: Eu3+;および3.5MgO・0.5MgF2・CeO2: Mn4+(マグネシウムフルオロゲルマネート)等;青色光を発する蛍光体、例えばBaMg2Al16O27: Eu2+;Sr5(PO4)10Cl2: Eu2+;(Ba,Ca,Sr)(PO4)10(Cl,F)2: Eu2+;および(Ca,Ba,Sr)(Al,Ga)2:S4: Eu2+等;黄色光を発する蛍光体、例えば(Ba,Ca,Sr)(PO4)10(Cl,F)2: Eu2+、Mn2+等を包含する。エネルギー利用率を高める一方法として、更に別のイオンを、該蛍光体に配合して、該放出光から、該蛍光体のホスト格子における他の活性化イオンに、エネルギーを伝達することができる。例えば、Sb3+およびMn2+イオンが、同一の蛍光体の格子内に存在する場合、Sb3+は、Mn2+によってはそれ程効率的に吸収されない、青色領域における光を効率よく吸収し、そのエネルギーを、Mn2+イオンに伝達する。従って、発光ダイオード由来のより大量の全光量が、これら両イオンによって吸収され、より高い量子収率をもたらす。
【0073】
他の随意成分は、1またはそれ以上の屈折率改良剤を含むことができる。適当な屈折率改良剤の非-限定的な例は、元素周期律表の第II、III、IV、VおよびVI族元素の化合物である。該屈折率改良剤の非-限定的な例は、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、窒化ガリウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、または1種またはそれ以上の第II、III、IV、VおよびVI族金属の合金、例えばZn、Se、SおよびTeから作られる合金である。
当業者は理解するように、多くの他の随意の成分を、本発明の範囲内に含めることができる。例えば、反応性または非-反応性の希釈剤(粘度を減じるための)、難燃剤、離型性添加剤、酸化防止剤、可塑化添加剤等を、該封止体用処方物に、有利に配合できる。
【0074】
上記の如く、本発明は、またオプトエレクトロニックデバイスの製法をも提供し、該方法は、(i) 発光半導体を準備する工程、および(ii) 該発光半導体を、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、処方物から作成した封止体によって、封止する工程を含む。該発光半導体は、発光ダイオード(LED)またはレーザーダイオードであり得る。
例示的な態様において、この方法は、(i) 発光半導体を準備する工程、および(ii) 該発光半導体を、エポキシイソシアヌレートおよび硬化剤を含む処方物から作成した、封止体によって、封止する工程を含む。この封止体は、場合により、式(I-1)で表される化合物等のエポキシイソシアヌレート、脂肪族または脂環式エポキシ、硬化剤または硬膜剤を含む、処方物から作成することも可能である。
【0075】
本発明の封止体は、様々な処方用の成分、および必要により随意の成分を、任意の有利な順序で組合わせることによって、製造することができる。様々な態様において、該成分の全てを、一緒に混合することができる。他の態様では、2またはそれ以上の成分を予め混合し、引続き他の成分と組合わせることもできる。
本発明の処方物は、手作業で混合処理できるが、標準的な混合装置、例えばドウミキサ、チェーン形缶ミキサ、遊星形ミキサ等によって混合することができる。この混合は、バッチ式、連続式または半連続式モードで実施することができる。
任意の適当なポリマー加工技術を、該オプトエレクトロニックデバイスの封入において使用できるが、樹脂トランスファー成型および/または流込み成型が好ましい。様々な例示的態様においては、上記処方に従って調製した該封止体用の材料は、樹脂トランスファー成型性、注入成型性またはその両者の特性を持つものであり得る。
【0076】
トランスファー成型(またはプランジャー式)成型において、金型を閉じた後に、成型すべき材料を、小さな開口またはゲートを介して導入する。この方法は、追加の材料、例えばガラスまたは他の設計上の対象物、例えばLED装置を、該金型を閉じる前に、該金型内に配置する場合に、利用することができる。現実のトランスファーまたはポット-式成型においては、該金型は閉じられ、プレス内に配置され、その締結作用は、該金型を閉じた状態に維持する。該材料は、該金型の上部における開放状態の受口に導入される。プランジャーを該ポット内に配置し、該プレスを閉じる。該プレスが閉じられているので、該プランジャーが押され、結果として該成型材料が、金型キャビティー内に押し込められる。過剰量の成型材料を添加して、該金型を満たすのに十分な量の材料を確保することできる。該材料を所定の程度まで硬化した後、該プランジャーおよび該部品を該金型から取外す。
【0077】
注型性材料の製造において、少なくとも2つの方法を利用して、注型に関する要件を満たすべく、該封止体材料の粘度等の物性を調節することができる。その第一の方法において、該封止体用処方物を、高密度ではなく、軽度に架橋する。その第二の方法においては、該封止体用処方物の重合は、注型に適したものとなる程度まで、調節される。例えば、該材料の注型可能な形状を製造可能とすべく、重合速度を、効果的に制御することができる。好ましくは、これら2つの方法を組合わせる。実際に、加工中に圧力を印加することなしに、特別な形状、チューブ、シート、ロッド、およびフィルムを、本発明の注型性材料から、製造することができる。注型するに際して、該処方に従う組成物は、例えば加熱して流体とし、金型内に注入し、硬化し、かつ該金型から取り出すことができる。当業者は理解するように、様々な技術的利点、例えば特に新規なLEDパッケージデザインに適する該封止用材料の可撓性、および制御可能な重合の化学的作用等を、本発明のこの局面から達成することができる。
【0078】
様々な例示的態様において、オプトエレクトロニックデバイスを、典型的には金型内で行われる、該未硬化の処方物に封入した後、該処方物を硬化する。該硬化は、熱、UV、電子ビーム技術またはこれらの組合せ等の方法を利用して、1またはそれ以上の段階で行うことができる。例えば、熱硬化は、一態様においては、20〜約200℃なる範囲の温度にて、またもう一つの態様では、約80〜約200℃なる範囲の温度にて、更に別の態様では、約100〜約200℃なる範囲の温度にて、および更に別の態様では、約120〜約160℃なる範囲の温度にて、行うことができる。また、他の態様では、該処方物は、第一段階では、ほぼ室温において、光化学的に硬化することができる。該光化学反応およびその後の硬化に由来する、幾分かの熱の移動が起こり得るが、典型的には、外部加熱は必要とされない。他の態様では、該処方物は、2段階で硬化され、例えば最初の熱またはUV硬化は、部分的に硬化されたまたはB-段階のエポキシ樹脂を製造するのに利用できる。容易に扱うことのできるこの材料は、次いで更に、例えば熱またはUV技術を利用して、硬化して、所定の性能の、オプトエレクトロニックデバイスを与える材料を製造することができる。
【0079】
本発明の特定の態様においては、二種のエポキシモノマー、トリグリシジルイソシアヌレートおよびERL 4221と、ヘキサヒドロ-4-メチルフタル酸無水物との間の、2-フェニルイミダゾールを触媒とする反応は、改善されたUV並びに熱的特性を示す、硬化された組成物を与えた。この材料は、低温並びに低速伝播型の触媒によって、また引続き150℃にて硬化することによって、B-段階の形状に硬化することができる。B-段階を達成するための触媒としての、2-フェニルイミダゾールの使用は、従来のエポキシ化触媒に比して、その低い酸性度および反応性のために、独創的である。
様々な例示的態様において、本発明のオプトエレクトロニックデバイスは、例えばとりわけBまたはC段階の硬化能力、光学的な明澄性、透過率、UV安定性パッケージ、高い熱安定性、市販品として入手できる原料物質、触媒系、および良好なTg特性、例えば150℃よりも僅かに高いTg等の種々の利点を持つ。
様々な例示的態様において、トリグリシジルイソシアヌレートの添加は、この添加が無いと、UVに暴露した際に劣化するであろう、幾分かの脂肪族または脂環式エポキシ系のUV耐性を改善する。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は、請求している発明を実施するに際して、当業者に追加の案内を与えるために、ここに含められる。ここに与えられる実施例は、本特許出願の教示のために寄与する、研究の単なる典型例に過ぎない。従って、これらの実施例は、添付した特許請求の範囲に規定された本発明を、何ら限定するものではない。
【0081】
比較例1:
幾つかの選ばれた材料に関する、400nmにおける伝送損失(%)は、UV加速レーザーテスト、熱的テスト、および組合わせたUV/熱テストによって測定した。熱処理は、120℃で行った。UVへの暴露は、250ミリワット(mW)であった。樹脂A、BおよびCは、全て芳香族系を主成分とする材料であった。これら材料の、400nmにおける伝送損失(%)を、図5に示した。シリコーンが、これらの条件下で最良に機能したが、加工適正および耐久性の点からは、これらの材料はあまり望ましくないものである。
【0082】
以下の実施例において使用した試薬は、ハンツマン(Huntsman)から入手できるAY 238(1,3-ビス-グリシジル-5-メチル-5'-エチルヒダントイン)を含み、これは使用に先立って蒸留した。ヘキサヒドロフタル酸無水物および4-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物を、アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)社から入手し、これを、使用に先立って蒸留した。イミダゾール触媒およびトリスグリシジルイソシアヌレートは、アルドリッチケミカル社から購入し、そのまま使用した。SR 355は、GEシリコーン(Silicone)社から入手した、シリコーン樹脂であった。ジステアリルペンタエリスリトールジホスフィットは、GEウエストン(Weston) 618なる商品名の下で、入手した。典型的な製造法においては、以下の成分を130℃にてブレンドした:トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC、1分子当たり3エポキシドリング)、1,3-ビス-グリシジル-5-メチル-5'-エチルヒダントイン(HYDE、1分子当たり2エポキシドリング)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA、脂環式酸無水物、硬膜剤または硬化剤)、および2-フェニルイミダゾール(PI、触媒または促進剤)。
【0083】
【化28】

【0084】
(ジステアリルペンタエリスリトールジホスフィット)
【0085】
実施例2:
典型的な硬化スケジュール:
B-段階:60℃にて48時間;
C-段階:100℃にて2時間→125℃にて2時間→150℃にて4時間
【0086】
【表1】







【0087】
【表2】

【0088】
上で調製したB-段階のサンプルを、樹脂トランスファー成型装置において使用し、引続き150℃にて3時間、最終的な硬化を行うことができた。C-段階の材料を、全ての促進テストに対して使用した。
【0089】
実施例3:
極めて安定な系を、1,3-ビスグリシジル-5-メチル-5'-エチルヒダントインから誘導したエポキシ材料、低濃度の架橋剤:トリスグリシジルイソシアヌレート(TGIC)および脂環式酸無水物から、イミダゾール触媒(THY)の作用下で、実施例2に例示したようにして製造した。図6は、1mm2当たり、187mWにて、406nmの光に対して暴露し、一方で該THY樹脂の温度を125℃に維持した前後の、透過率に及ぼす効果を示す。
機械的諸特性および加工条件も、THYを、LED出力パッケージアセンブリーに関する優れた候補とする。破壊靭性によって、THYは、1m1/2当たり3GPa程度の靭性を有する、標準的な芳香族を主成分とする系の性能を超える。THYは、またB-段階処理し、かつLED出力パッケージに、樹脂トランスファー成型することができる。
【0090】
1,3-ビスグリシジル-5-メチル-5'-エチルヒダントインを主成分とするエポキシ材料が、高い熱並びにUV安定性を示すことを見出した。これらの材料は、温度の上昇に伴う、LED UV光束強度に耐えることができ、また樹脂トランスファー成型することができ、更に比較的安価に製造できる。
【0091】
実施例4:
8種のTHYサンプルを、以下の表3に示すように製造した。各サンプルは、0.35gのSR 355、0.1gのトリフェニルホスフィット、60mgの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、1gの2-フェニルイミダゾール、および0.1gのウエストン618または616を含む、全質量20gを有していた。
【0092】
【表3】

【0093】
表3は、B-段階処理が、TGIC/HYDEの比を減じることによって、達成できることを示している。
【0094】
実施例5:125℃にて1000時間に及ぶ老化処理
8種のサンプルを、対応するB-段階処理サンプルから製造した。全てのサンプルを、150℃にて4時間硬化させた。その透過率を、全て400nmにて測定したが、そのデータは、1000時間の老化処理後に、9.6%なる伝送損失を示した。良好な光学特性が、HYDEおよびHHPAを使用して得られた。
【0095】
実施例6:UV加速、Tg、およびCTE
実施例5におけるような8種のサンプルについて、同様に、UV(%)加速、CTE、およびTgを測定した。得られた結果を、以下の表4に示す。
【0096】
【表4】

【0097】
表4に示したように、伝送損失は、UV加速後、1.6%であった。
実施例7〜16においては、TGICおよびEHEHAを、上記エポキシ化合物として使用した。MHHPAを、上記無水物硬化剤として使用した。2-フェニルイミダゾールを、上記の触媒として使用した。
【0098】
【表5】

【0099】
表5に示したように、B-段階処理は、TGIC/EHEHAの比を減じることによって得ることができた。10種のサンプルを、対応するB-段階のサンプルから製造した。これら全てのサンプルを、100℃にて2時間および150℃にて2時間硬化した。該TgおよびCTEのデータを以下の表6に示す:
【0100】
【表6】

【0101】
2種のエポキシモノマー、トリスグリシジルイソシアヌレートおよびERL 4221と、ヘキサヒドロ-4-メチルフタル酸無水物との間の、2-フェニルイミダゾール触媒の作用下での反応は、改善されたUVおよび熱特性を呈する、硬化された組成物を生成した。この物質は、低温および低速伝播触媒によって、B-段階形状で硬化することができ、これは引続き150℃にて硬化することができる。B-段階を達成するための触媒としての、2-フェニルイミダゾールの使用は、従来のエポキシ化触媒に比して、その低い酸性度および反応性のために、独創的である。
本発明は、典型的な態様によって例示し、かつその中で説明してきたが、ここに示された詳細に限定する意図はない。というのは、本発明の精神から、何ら逸脱することなしに、様々な改良並びに置換を行うことが、可能であるからである。従って、ほんの日常的な実験を利用して、当業者は、ここに記載した本発明の更なる改良および等価なものを導くことができ、従ってこのような改良および等価なものは、全て添付した特許請求の範囲によって規定される本発明の精神並びに範囲内に入るものと信じる。ここにおいて引用した全ての特許並びに刊行物を、参考文献としてここに組入れる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一態様に従う、LEDデバイスの模式的な図である。
【図2】本発明の一態様に従う、基板上のLEDアレイの模式的な図である。
【図3】本発明の別の態様に従う、LEDデバイスの模式的な図である。
【図4】本発明の更に別の態様に従う、垂直共振器表面発光レーザーデバイスの模式的な図である。
【図5】本発明の一態様に従う、幾つかの選択された材料に関する、400nmにおける伝送損失(%)を示す。
【図6】本発明の一態様に従う、UV/熱暴露の際の、封止体用材料の相対的な透過率を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光半導体および封止体を含み、該封止体が、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、封止体処方物から作成したものであることを特徴とする、オプトエレクトロニックデバイス。
【請求項2】
該エポキシイソシアヌレートが、以下に列挙する式で表される化合物、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものである、請求項1記載のオプトエレクトロニックデバイス:
【化1】

【化2】

【化3】

【請求項3】
該エポキシヒダントインが、以下に列挙する式で表される化合物、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものである、請求項1記載のオプトエレクトロニックデバイス:
【化4】

【化5】

【請求項4】
該エポキシイソシアヌレートが、式(I-1)の化合物(TGIC)を含み、かつ該エポキシヒダントインが、式(H-1)の化合物(HYDE)を含む、請求項1記載のオプトエレクトロニックデバイス。
【請求項5】
該発光半導体が、発光ダイオード(LED)またはレーザーダイオードである、請求項1記載のオプトエレクトロニックデバイス。
【請求項6】
(i) 発光半導体を準備する工程、および
(ii) 該発光半導体を、エポキシイソシアヌレート、随意成分としてのエポキシヒダントイン、および硬化剤を含む、処方物から作成した封止体によって、封止する工程、
を含むことを特徴とする、オプトエレクトロニックデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−7782(P2008−7782A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−193916(P2007−193916)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(507250553)ルミネイション リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】